(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040788
(43)【公開日】2024-03-26
(54)【発明の名称】駆動装置、温度調整システム、自動車、および廃熱マネジメント方法
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240318BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20240318BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20240318BHJP
F16H 57/04 20100101ALI20240318BHJP
【FI】
H02K9/19 A
B60L15/00 Z
B60K11/02
F16H57/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145371
(22)【出願日】2022-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】岡村 大地
(72)【発明者】
【氏名】梶原 智
(72)【発明者】
【氏名】南家 健志
【テーマコード(参考)】
3D038
3J063
5H125
5H609
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3D038AC23
3J063AA04
3J063AB01
3J063AC01
3J063BA15
3J063XD16
3J063XH03
3J063XH13
3J063XH23
3J063XH34
3J063XJ03
5H125AA01
5H125CD06
5H125EE05
5H125FF01
5H125FF22
5H609BB03
5H609BB16
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP17
5H609QQ05
5H609RR50
5H609RR52
5H609SS17
5H609SS20
5H609SS21
5H609SS23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】駆動装置の出力効率を速やかに高めつつ、被加熱要素の温度を速やかに高めることができる廃熱マネジメント方法を提供する。
【解決手段】モータ2と、ギヤ部3と、モータ収容部6aおよびギヤ収容部6bを有するハウジング6と、モータを冷却し一部がギヤ収容部の内部に貯留される流体と、流体が流れる流路と、流路に設けられ流体を冷却するクーラ97と、流路に設けられる制御バルブ45と、制御バルブの開閉制御を行う制御部40と、を備える。クーラには流体の熱を被加熱要素9に移動させる冷媒流路が接続される。流路は、モータ収容部からクーラに流体を送る第1流路92mと、モータ収容部からギヤ収容部に流体を送る連通路92bと、ギヤ収容部からクーラに流体を送る第2流路92nと、クーラからモータ収容部に流体を送る第3流路92fと、を有する。制御バルブは、第1流路および第2流路を流れる流体の流量を調整可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの動力を伝達するギヤ部と、
前記モータを内部に収容するモータ収容部および前記ギヤ部を内部に収容するギヤ収容部を有するハウジングと、
前記モータを冷却するとともに、一部が前記ギヤ収容部の内部に貯留される流体と、
前記流体が流れる流路と、
前記流路に設けられ、前記流体を冷却するクーラと、
前記流路に設けられる制御バルブと、
前記制御バルブの開閉制御を行う制御部と、
を備え、
前記クーラには、前記流体の熱を被加熱要素に移動させる冷媒流路が接続され、
前記流路は、
前記モータ収容部から前記クーラに前記流体を送る第1流路と、
前記モータ収容部から前記ギヤ収容部に前記流体を送る連通路と、
前記ギヤ収容部から前記クーラに前記流体を送る第2流路と、
前記クーラから前記モータ収容部に前記流体を送る第3流路と、
を有し、
前記制御バルブは、前記第1流路を流れる前記流体の流量および前記第2流路を流れる前記流体の流量を調整可能であり、
前記制御部は、
前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する第1判断部と、
前記第1判断部の判断結果にしたがって、前記制御バルブの動作を制御する開閉制御部と、
を有する、駆動装置。
【請求項2】
前記第1判断部は、前記被加熱要素の温度と相関する第1温度を検知する第1センサを有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1センサは、前記冷媒流路のうち前記被加熱要素よりも下流側を流れる冷媒の温度を直接的または間接的に検出する、請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体に対する加熱の要否を判断する第2判断部を有し、
前記開閉制御部は、前記第2判断部の判断結果にしたがって、前記制御バルブの動作を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第2判断部は、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体の温度と相関する第2温度を検知する第2センサを有する、請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記制御バルブは、前記第1流路に配置される第1バルブと、前記第2流路に配置される第2バルブと、を有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、
前記流体を貯留する流体貯留室と、
前記モータ収容部の内部と前記流体貯留室とを繋ぐ第2連通路と、
前記ギヤ収容部の内部と前記流体貯留室とを繋ぐ第3連通路と、
前記流体貯留室と前記クーラの吸込口とを繋ぐクーラ流入流路と、
を有し、
前記第1流路は、前記モータ収容部、前記第2連通路、および前記クーラ流入流路を通る前記流体の経路であり、
前記第2流路は、前記ギヤ収容部、第3連通路、および前記クーラ流入流路を通る前記流体の経路である、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記モータ収容部の下部に前記流体を貯留する流体貯留部を有し、
前記第1流路は、前記流体貯留部と繋がる、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、断熱性を有する保温部を有し、
前記保温部は、前記ギヤ収容部の下部に配置される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項10】
請求項1に記載の駆動装置と、前記冷媒流路と、前記被加熱要素と、を有する温度調整システム。
【請求項11】
請求項10に記載の温度調整システムを有する、自動車。
【請求項12】
モータと、
前記モータの動力を伝達するギヤ部と、
前記モータを内部に収容するモータ収容部および前記ギヤ部を内部に収容するギヤ収容部を有するハウジングと、
前記モータを冷却するとともに、一部がギヤ収容部の内部に貯留される流体と、
前記流体が流れる流路と、
前記流路に設けられ、前記流体を冷却するクーラと、
前記流路に設けられる制御バルブと、
前記制御バルブの開閉制御を行う制御部と、
を備え、
前記クーラには、前記流体の熱を被加熱要素に移動させる冷媒流路が接続され、
前記流路は、
前記モータ収容部から前記クーラに前記流体を送る第1流路と、
前記モータ収容部から前記ギヤ収容部に前記流体を送る連通路と、
前記ギヤ収容部から前記クーラに前記流体を送る第2流路と、
前記クーラから前記モータ収容部に前記流体を送る第3流路と、
を有し、
前記制御バルブは、前記第1流路を流れる前記流体の流量および前記第2流路を流れる前記流体の流量のそれぞれを調整可能である、駆動装置において、
前記制御部が前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する第1判断ステップと、前記制御部が前記第1判断ステップの判断結果に基づいて前記制御バルブの動作を制御する制御ステップと、を有する、廃熱マネジメント方法。
【請求項13】
前記第1判断ステップにおいて、前記制御部は、前記被加熱要素の温度と相関する第1温度と、予め設定される第1目標温度とを比較して、前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する、請求項12に記載の廃熱マネジメント方法。
【請求項14】
前記制御部は、所定周期毎、又は、前記制御バルブの動作の制御時に、前記第1目標温度を設定する、請求項13に記載の廃熱マネジメント方法。
【請求項15】
前記第1判断ステップにおいて、前記第1温度が前記第1目標温度よりも高い場合、前記制御ステップにおいて、前記制御部は、前記第2流路を流れる流体の流量を、前記第1流路を流れる流体の流量よりも多い流量に設定する、請求項13に記載の廃熱マネジメント方法。
【請求項16】
前記第1判断ステップよりも前に、前記制御部が、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体に対する加熱の要否を判断するプレ判断ステップを有する、請求項13から15のいずれか一項に記載の廃熱マネジメント方法。
【請求項17】
前記プレ判断ステップにおいて、前記制御部は、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体の温度と相関する第2温度と、予め設定される第2目標温度とを比較して、前記ギヤ部の内部に貯留される前記流体に対する加熱の要否を判断する、請求項16に記載の廃熱マネジメント方法。
【請求項18】
前記制御部は、所定周期毎、又は、前記制御バルブの動作の制御調整時に、前記第2目標温度を設定する、請求項17に記載の廃熱マネジメント方法。
【請求項19】
前記プレ判断ステップにおいて、前記第2温度が前記第2目標温度よりも低い場合、前記制御ステップにおいて、前記制御部は、前記第2流路を流れる流体の流量を、前記第1流路を流れる流体の流量よりも多い流量に設定する、請求項17に記載の廃熱マネジメント方法。
【請求項20】
前記プレ判断ステップにおいて、前記第2温度が前記第2目標温度よりも高い場合、且つ、前記第1判断ステップにおいて、前記制御部が前記被加熱要素に対する加熱が必要と判断する場合、前記制御ステップにおいて、前記制御部は、前記第1流路を流れる流体の流量を、前記第2流路を流れる流体の流量よりも多い流量に設定する、請求項17に記載の廃熱マネジメント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、温度調整システム、自動車、および廃熱マネジメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ、およびモータと連結されるギヤ部を備え、車両の車軸を回転させる駆動装置が知られている。例えば、特許文献1には、ギヤ部を潤滑する潤滑油等の流体によってモータを冷却しつつ、モータの廃熱により流体の温度を高めて、流体の粘度が高くなることを抑制し、駆動装置の出力効率が低下することを抑制する駆動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような駆動装置では、車両が備えるバッテリおよび車室内の空気を暖める暖房装置等の被加熱要素に、潤滑油等の流体を介してモータの廃熱を供給する場合がある。このような駆動装置では、モータの廃熱を被加熱要素に供給するため、流体の温度を速やかに高めることが困難になる虞があり、その結果、駆動装置の出力効率を速やかに高めることができない虞がある。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、モータの廃熱を流体および被加熱要素に適切に供給することによって、駆動装置の出力効率を速やかに高めつつ、被加熱要素の温度を速やかに高めることができる駆動装置、温度調整システム、および自動車を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、モータの廃熱を流体および被加熱要素に適切に供給することによって、駆動装置の出力効率を速やかに高めつつ、被加熱要素の温度を速やかに高めることができる廃熱マネジメント方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、モータと、前記モータの動力を伝達するギヤ部と、前記モータを内部に収容するモータ収容部および前記ギヤ部を内部に収容するギヤ収容部を有するハウジングと、前記モータを冷却するとともに、一部が前記ギヤ収容部の内部に貯留される流体と、前記流体が流れる流路と、前記流路に設けられ、前記流体を冷却するクーラと、前記流路に設けられる制御バルブと、前記制御バルブの開閉制御を行う制御部と、を備える。前記クーラには、前記流体の熱を被加熱要素に移動させる冷媒流路が接続される。前記流路は、前記モータ収容部から前記クーラに前記流体を送る第1流路と、前記モータ収容部から前記ギヤ収容部に前記流体を送る連通路と、前記ギヤ収容部から前記クーラに前記流体を送る第2流路と、前記クーラから前記モータ収容部に前記流体を送る第3流路と、を有する。前記制御バルブは、前記第1流路を流れる前記流体の流量および前記第2流路を流れる前記流体の流量を調整可能である。前記制御部は、前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する第1判断部と、前記第1判断部の判断結果にしたがって、前記制御バルブの動作を制御する開閉制御部と、を有する。
【0007】
本発明の温度調整システムの一つの態様は、上記の駆動装置と、前記冷媒流路と、前記被加熱要素と、を有する。
【0008】
本発明の自動車の一つの態様は、上記の温度調整システムを有する。
【0009】
本発明の廃熱マネジメント方法の一つの態様は、モータと、前記モータの動力を伝達するギヤ部と、前記モータを内部に収容するモータ収容部および前記ギヤ部を内部に収容するギヤ収容部を有するハウジングと、前記モータを冷却するとともに、一部がギヤ収容部の内部に貯留される流体と、前記流体が流れる流路と、前記流路に設けられ、前記流体を冷却するクーラと、前記流路に設けられる制御バルブと、前記制御バルブの開閉制御を行う制御部と、を備える。前記クーラには、前記流体の熱を被加熱要素に移動させる冷媒流路が接続される。前記流路は、前記モータ収容部から前記クーラに前記流体を送る第1流路と、前記モータ収容部から前記ギヤ収容部に前記流体を送る連通路と、前記ギヤ収容部から前記クーラに前記流体を送る第2流路と、前記クーラから前記モータ収容部に前記流体を送る第3流路と、を有する。前記制御バルブは、前記第1流路を流れる前記流体の流量および前記第2流路を流れる前記流体の流量のそれぞれを調整可能である、駆動装置において、前記制御部が前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する第1判断ステップと、前記制御部が前記第1判断ステップの判断結果に基づいて前記制御バルブの動作を制御する制御ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、駆動装置、温度調整システム、および自動車において、駆動装置の出力効率を速やかに高めつつ、被加熱要素の温度を速やかに高めることができる。また、廃熱マネジメント方法において、駆動装置の出力効率を速やかに高めつつ、被加熱要素の温度を速やかに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態の温度調整システムを示す第1の概略図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態の温度調整システムを示す第2の概略図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施形態の温度調整システムを示す第3の概略図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の駆動装置を示す概念図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の廃熱マネジメント方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、一実施形態の第1変形例の温度調整システムを示す概略図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の第1変形例の駆動装置を示す概念図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の第2変形例の温度調整システムを示す概略図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の第2変形例の廃熱マネジメント方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。つまり、以下の実施形態において説明する鉛直方向に関する相対位置関係は、駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合に少なくとも満たしていればよい。
【0013】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。
X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置1が搭載される車両の前後方向である。+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。以下の説明では、車両の前側を単に「前側」と呼び、車両の後側を単に「後側」と呼ぶ。
Y軸方向は、X軸方向およびZ軸方向の両方と直交する方向であって、車両の左右方向である。+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。以下の説明では、車両の左側を単に「左側」と呼び、車両の右側を単に「右側」と呼ぶ。
なお、上側、下側、前側、後側、左側、右側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0014】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
【0015】
各図に適宜示す第1軸線J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明では、第1軸線J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、第1軸線J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、第1軸線J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ場合がある。
【0016】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る温度調整システム101について説明する。なお、以下の図面においては、各構成を分かり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺や数などを異ならせる場合がある。
【0017】
図1は、本実施形態の温度調整システム101の概略図である。
温度調整システム101は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等、駆動装置1のモータを動力源とする自動車7に搭載される。自動車7は、温度調整システム101を有する。
【0018】
温度調整システム101は、冷媒流路Cと、駆動装置1と、チラー125と、第1ポンプ121と、ラジエータ126と、圧縮機123と、被加熱要素9と、室外熱交換器127と、第2ポンプ130と、熱交換器131と、第2制御部140と、を有する。本実施形態において、冷媒流路Cは、第1回路C1と、第2回路C2と、第3回路C3と、を有する。第1回路C1、第2回路C2、および第3回路C3は、それぞれ独立して冷媒R、R2、R3が流れる流路である。第1回路C1および第3回路を流れる冷媒R、R3は、液相を維持して回路中を循環する。第1回路C1および第3回路を流れる冷媒R、R3は、同一種類の冷媒であってもよい。一方で、第2回路C2を流れる冷媒R2は、液相と気相との間で相変化しながら回路中を循環する。
【0019】
本実施形態において、温度調整システム101は、第1加熱モードM1と、第2加熱モードM2と、を有する。冷媒流路Cにおいて、被加熱要素9は、冷媒から熱を供給されることによって加熱される。本実施形態において、被加熱要素9は、暖房用熱交換器128と、バッテリ129と、を含む。
【0020】
(第2制御部)
第2制御部140は、第1ポンプ121と、ラジエータ126と、圧縮機123と、暖房用熱交換器128と、室外熱交換器127と、第2ポンプ130と、熱交換器131と、バッテリ129と、に電気的に接続され、これらの動作を制御する。なお、第2制御部140は、
図3に示す駆動装置1の第1制御部(制御部)40と電気的に接続される。
【0021】
(第1回路)
第1回路C1には、第1冷媒(冷媒)Rが流れる。第1回路C1の経路中には、駆動装置1、チラー125、第1ポンプ121、およびラジエータ126が配置される。第1回路C1は、複数の管路110と、第1切替部122aと、を有する。複数の管路110は、互いに連結されて第1冷媒Rを流すループを構成する。複数の管路110には、管路110a,110b,110cが含まれる。なお、本明細書において、ループとは、第1冷媒R、後述する第2冷媒R2、および後述する第3冷媒R3の何れかを循環させるループ状の経路を意味する。
【0022】
第1切替部122aは、三方弁である。第1切替部122aは、管路110aと、管路110bおよび管路110cとを連通させる。第1切替部122aは、第2制御部140からの信号に従って、第1冷媒Rが流れる管路を、管路110bと管路110cとの間で切り替え可能である。
【0023】
次に、それぞれの管路110の構成について説明する。なお、それぞれの管路110の説明において、「一端」とは第1冷媒Rの流動方向の上流側端部を示し、「他端」とは第1冷媒Rの流動方向の下流側端部を示す。
【0024】
管路110aの一端は、管路110bの他端および管路110cの他端に接続される。管路110aの他端は、管路110bの一端および管路110cの一端に接続される。管路110aは、駆動装置1、チラー125、および第1ポンプ121を通過する。第1冷媒Rは、管路110aの一端から他端に向かって、駆動装置1、チラー125、第1ポンプ121の順で流れる。また、管路110aの一部は、
図3に示す、後述する冷媒経路70を構成する。
【0025】
管路110bの一端は、管路110aの他端および管路110cの一端に接続される。管路110bの他端は、管路110aの一端および管路110cの他端に接続される。
【0026】
管路110cの一端は、管路110aの他端および管路110bの一端に接続される。管路110cの他端は、管路110aの一端および管路110bの他端に接続される。管路110cは、ラジエータ126を通過する。
【0027】
第1ポンプ121は、管路110aにおいて一端側から他端側に向かって第1冷媒Rを圧送する。
チラー125は、第1回路C1および第2回路C2に跨って配置される。チラー125は、第1回路C1を流れる第1冷媒Rと第2回路C2を流れる第2冷媒R2との間で熱交換を行う。
ラジエータ126は、車室外の熱を第1冷媒Rに供給することで第1冷媒Rを加熱する。ラジエータ126は、第1冷媒Rと車室外の空気との間で熱交換を行う熱交換器である。
【0028】
(第2回路)
第2回路C2には、第2冷媒(冷媒)R2が流れる。第2回路C2の経路中には、圧縮機123、暖房用熱交換器128、熱交換器131、第1膨張弁124a、第2膨張弁124b、室外熱交換器127、チラー125が配置される。第2回路C2は、複数の管路115と、第2切替部122bと、第3切替部122cと、を有する。複数の管路115には、管路115a,115b,115cが含まれる。
【0029】
第2切替部122bは、三方弁である。第2切替部122bは、管路115bおよび管路115cの何れか一方と、管路115aとを連通させる。第2切替部122bは、第2制御部140からの信号に従って、第2冷媒R2が流れる管路を、管路115bと管路115cとの間で切り替え可能である。
【0030】
第3切替部122cは、三方弁である。第3切替部122cは、管路115aと、管路115bおよび管路115cの何れか一方とを連通させる。第3切替部122cは、第2制御部140からの信号に従って、第2冷媒R2が流れる管路を、管路115bと管路115cとの間で切り替え可能である。
【0031】
管路115aの一端は、管路115bの他端および管路115cの他端に接続される。管路115aの他端は、管路115bの一端および管路115cの一端に接続される。管路115aは、圧縮機123、暖房用熱交換器128、熱交換器131を通過する。第2冷媒R2は、管路115aの一端から他端に向かって、圧縮機123、暖房用熱交換器128、熱交換器131の順で流れる。
【0032】
管路115bの一端は、管路115aの他端および管路115cの一端に接続される。管路115bの他端は、管路115aの一端および管路110cの他端に接続される。管路115bは、第1膨張弁124aおよび室外熱交換器127を通過する。第2冷媒R2は、管路115bの一端から他端に向かって、第1膨張弁124a、室外熱交換器127の順で流れる。
【0033】
管路115cの一端は、管路115aの他端および管路115bの一端に接続される。管路115cの他端は、管路115aの一端および管路115bの他端に接続される。管路115cは、第2膨張弁124bおよびチラー125を通過する。第2冷媒R2は、管路115cの一端から他端に向かって、第2膨張弁124b、チラー125の順で流れる。
【0034】
圧縮機123は、通過する第2冷媒R2を圧縮して温度を上昇させる。圧縮機123は、管路115aの他端側に高圧かつ気相の第2冷媒R2を吐出する。
【0035】
上述のように、暖房用熱交換器128は、被加熱要素9の一つの要素である。暖房用熱交換器128は、第2冷媒R2から熱を供給され、これにより加熱される。暖房用熱交換器128は、第2冷媒R2の熱を車室内の空気に供給することで車室内の空気を暖房する。暖房用熱交換器128は、第2冷媒R2と車室内の空気との間で熱交換を行う熱交換器である。
【0036】
熱交換器131は、第2回路C2および第3回路C3に跨って配置される。熱交換器131は、第2回路C2を流れる第2冷媒R2と第3回路C3を流れる第3冷媒R3との間で熱交換を行う。
【0037】
室外熱交換器127は、車室外の熱を第2冷媒R2に供給することで第2冷媒R2を加熱する。室外熱交換器127は、第2冷媒R2と車室外の空気との間で熱交換を行う熱交換器である。
【0038】
(第3回路)
第3回路C3には、第3冷媒(冷媒)R3が流れる。第3回路C3の経路中には、第2ポンプ130、熱交換器131、バッテリ129が配置される。第3回路C3は、一つの管路118を有する。管路118は、第2ポンプ130、熱交換器131、バッテリ129を通過する。第3冷媒R3は、第2ポンプ130、熱交換器131、バッテリ129の順で流れる。
【0039】
第2ポンプ130は、管路118において熱交換器131に向かって第3冷媒R3を圧送する。
【0040】
上述のように、バッテリ129は、被加熱要素9の一つの要素である。バッテリ129は、第3冷媒R3から熱を供給され、これにより加熱される。バッテリ129は、自動車7が備える電気機器等に電力を供給する。
【0041】
本実施形態の温度調整システム101は、第1加熱モードM1と、第2加熱モードM2を、を有する。各モードは、第2切替部122bおよび第3切替部122cの切り替えによって互いに遷移可能である。なお、温度調整システム101は、第1切替部122a、第2切替部122b、および第3切替部122cを切り替えることで構成し得る他のモードを有しても良い。
【0042】
図2Aは、第1加熱モードM1の概略図である。第2冷媒R2は、室外熱交換器127において車室外の空気の熱を吸熱して、車室外の空気の熱を暖房用熱交換器128および熱交換器131に移送する。第3冷媒R3は、熱交換器131において第2冷媒R2の熱を吸熱して、バッテリ129に移送する。第1加熱モードM1では、これらにより、暖房用熱交換器128およびバッテリ129、すなわち被加熱要素9を加熱する。
【0043】
第1加熱モードM1において、第1回路C1は、第1ループL11を構成する。第1ループL11は、第1ポンプ121、駆動装置1、チラー125の順で通過して第1冷媒Rを循環させる。
【0044】
第2制御部140は、第1切替部122aを以下のように切り替えて、第1ループL11を構成する。第1切替部122aは、管路110aと管路110bとを連通させる。これにより、管路110aを流れる第1冷媒Rは全て管路110bを流れ、管路110cには第1冷媒Rが流れない。
【0045】
第1ループL11において、第1冷媒Rは、第1ポンプ121によって、管路110aの一端側から他端側に向かって圧送される。第1冷媒Rは、駆動装置1を通過する際に駆動装置1の廃熱(より具体的には、後述するモータ2の廃熱)を吸熱する。第1加熱モードM1において、チラー125は第1冷媒Rと第2冷媒R2との間で熱交換を行わない。第1冷媒Rは、吸熱した駆動装置1の廃熱を、第1ループL11を循環することで分散する。
【0046】
第1加熱モードM1において、第2回路C2は、第1加熱ループL21を構成する。第1加熱ループL21は、第1膨張弁124a、室外熱交換器127、圧縮機123、暖房用熱交換器128、熱交換器131の順で通過して第2冷媒R2を循環させる。第1加熱ループL21において、第2冷媒R2は、室外熱交換器127において車室外の空気の熱を吸熱し、車室外の空気の熱を暖房用熱交換器128および熱交換器131に移送する。
【0047】
第2制御部140は、第2切替部122bおよび第3切替部122cを以下のように切り替えることで、第1加熱ループL21を構成する。第2切替部122bおよび第3切替部122cは、それぞれ、管路115aと管路115bとを連通させる。これにより、管路115aを流れる第2冷媒R2は全て管路115bを流れ、管路115cには第2冷媒R2が流れない。
【0048】
第1加熱ループL21において、第2冷媒R2は、第1膨張弁124aを通過することで減圧され、室外熱交換器127において気化するとともに車室外の熱を吸熱する。低圧気相の第2冷媒R2は、圧縮機123において圧縮され、圧縮機123から吐出される高圧気相の第2冷媒R2は、暖房用熱交換器128および熱交換器131を通過する過程で暖房用熱交換器128および熱交換器131に熱を供給して、液化する。これにより、暖房用熱交換器128が加熱され、車室内の空気が暖房される。また、熱交換器131において、第3冷媒R3が加熱される。
【0049】
第1加熱モードM1において、第3回路C3は、バッテリ加熱ループL31を構成する。バッテリ加熱ループL31は、第2ポンプ130、熱交換器131、バッテリ129の順で通過して第3冷媒R3を循環させる。バッテリ加熱ループL31では、第3冷媒R3は、熱交換器131において第2冷媒R2の熱を吸熱して、バッテリ129に移送する。
【0050】
バッテリ加熱ループL31において、第3冷媒R3は、第2ポンプ130によって、管路118を熱交換器131に向かって圧送され、熱交換器131において、第2冷媒R2の熱を吸熱し、バッテリ129に熱を供給する。これにより、車室外の熱をバッテリ129に移送でき、バッテリ129を加熱できる。
したがって、第1加熱モードM1の温度調整システム101は、車室外の熱によって、暖房用熱交換器128およびバッテリ129のそれぞれを加熱する。つまり、第1加熱モードM1の温度調整システム101では、車室外の熱によって、被加熱要素9を加熱する。
【0051】
図2Bは、温度調整システム101の第2加熱モードM2の概略図である。第1冷媒Rは、チラー125を介して、第2冷媒R2に熱を供給する。第2冷媒R2は、第1冷媒Rの熱を暖房用熱交換器に移送する。第3冷媒R3は、熱交換器131において第2冷媒R2の熱を吸熱して、バッテリ129に移送する。第2加熱モードM2では、これらにより、被加熱要素9を加熱する。
【0052】
第2加熱モードM2において、第1回路C1は、上述の第1ループL11を構成し、第2回路C2は第2加熱ループL22を構成し、第3回路C3は上述のバッテリ加熱ループL31を構成する。第2加熱ループL22は、第2膨張弁124b、チラー125、圧縮機123、暖房用熱交換器128、熱交換器131の順で通過して第2冷媒R2を循環させる。
【0053】
第2制御部140は、第2切替部122bおよび第3切替部122cを以下のように切り替えることで、第2加熱ループL22を構成する。第2切替部122bおよび第3切替部122cは、それぞれ、管路115aと管路115cとを連通させる。これにより、管路115aを流れる第2冷媒R2は全て管路115cを流れ、管路115bには第2冷媒R2が流れない。
【0054】
第2加熱ループL22において、第2冷媒R2は、第2膨張弁124bを通過することで減圧され、チラー125において気化するとともに第1冷媒Rの熱を吸熱する。これにより、後述するモータ2の廃熱が第2冷媒R2に供給される。低圧気相の第2冷媒R2は、圧縮機123において圧縮され、圧縮機123から吐出される高圧気相の第2冷媒R2は、暖房用熱交換器128および熱交換器131を通過する過程で、モータ2の廃熱を、暖房用熱交換器128および熱交換器131に供給して、液化する。これにより、暖房用熱交換器128が加熱され、車室内の空気が暖房される。また、熱交換器131において、第3冷媒R3が加熱される。さらに、バッテリ加熱ループL31において、第3冷媒R3は、モータ2の廃熱をバッテリ129に移送する。これらにより、第2加熱モードM2の温度調整システム101は、モータ2の廃熱を、被加熱要素9に移送でき、被加熱要素9の温度を高めることができる。
【0055】
(駆動装置)
以下、本発明の例示的な一実施形態に係る駆動装置1について説明する。本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。
図1に示すように、駆動装置1は、温度調整システム101に配置される。
図3に示すように、駆動装置1は、モータ2と、ギヤ部3と、インバータ8と、ハウジング6と、ポンプ96と、クーラ97と、制御バルブ45と、第1センサ42aと、第2センサ43aと、第1制御部40と、流路90と、冷媒経路70と、流体Oと、を備える。
【0056】
駆動装置1は、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えた電動発電機である。駆動装置1は、車両の車軸に接続され、車軸を回転させる。駆動装置1は、モータ2を冷却する流体Oを有する。後段で詳細に説明するが、流体Oに吸熱されるモータ2の廃熱は、クーラ97を介して第1冷媒Rに供給される。
【0057】
ハウジング6は、モータ2、ギヤ部3、インバータ8、制御バルブ45、第2センサ43a、および流体Oを内部に収容する。ハウジング6は、モータ収容部6a、ギヤ収容部6b、インバータ収容部6c、および流体収容部6dを有する。モータ収容部6aは、モータ2を内部に収容する。ギヤ収容部6bは、ギヤ部3を内部に収容する。インバータ収容部6cは、インバータ8を内部に収容する。流体収容部6dは、流体Oを内部に収容する。ギヤ収容部6bは、モータ収容部6aの左側(+Y側)に配置され、モータ収容部6aと軸方向に繋がる。インバータ収容部6cは、モータ収容部6aの上側に配置され、モータ収容部6aと鉛直方向に繋がる。流体収容部6dは、モータ収容部6aの下側、且つ、ギヤ収容部6bの右側(-Y側)に配置され、モータ収容部6aと鉛直方向に繋がり、ギヤ収容部6bと軸方向に繋がる。
【0058】
ハウジング6の内部には、モータ2、ギヤ部3、インバータ8、および流体Oを収容する収容空間80が設けられる。収容空間80は、モータ2を収容するモータ室81と、ギヤ部3を収容するギヤ室82と、インバータ8を収容するインバータ室83と、流体Oを貯留する流体貯留室85と、に区画される。モータ室81は、モータ収容部6aの内部空間である。ギヤ室82は、ギヤ収容部6bの内部空間である。インバータ室83は、インバータ収容部6cの内部空間である。流体貯留室85は、流体収容部6dの内部空間である。
【0059】
ギヤ室82の下部領域には、流体Oの一部が貯留する流体溜りP1が設けられる。モータ室81の下部領域には、流体Oの一部が貯留する流体貯留部P2が設けられる。すなわち、ハウジング6は、モータ収容部6aの下部に流体貯留部P2を有する。本実施形態において、モータ室81の底部81aは、ギヤ室82の底部82aより上側に位置する。モータ室81とギヤ室82とを区画する隔壁部60bには、隔壁開口68が設けられる。隔壁開口68は、モータ室81とギヤ室82とを連通させる。隔壁開口68を介して、流体貯留部P2に貯留される流体Oの一部が、流体溜りP1に移動する。
【0060】
(モータ)
モータ2は、モータ室81に収容される。モータ2は、第1軸線J1を中心に回転可能なロータ20と、ロータ20の径方向外側に配置されるステータ30と、第1ベアリング26と、第2ベアリング27と、を備える。
【0061】
ロータ20は、シャフト21と、ロータコア24と、複数のロータマグネット(図示略)と、を有する。ロータ20の動力は、ギヤ部3に伝達される。
【0062】
シャフト21は、第1軸線J1に沿って軸方向に延びる。シャフト21は、第1軸線J1を中心として回転する。シャフト21は、モータ室81とギヤ室82とに跨って延びる。シャフト21の内部には、軸方向に延びる空洞である中空部22が設けられる。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、シャフト21を径方向に貫通する孔である。
【0063】
ロータコア24は、軸方向に延びる略円環状である。ロータコア24の内周面は、シャフト21の外周面と固定される。ロータコア24には、複数のロータマグネット(図示略)が固定される。複数のロータマグネットは、磁極を交互にして周方向に沿って配置される。
【0064】
第1ベアリング26および第2ベアリング27は、シャフト21を回転可能に支持する。第1ベアリング26および第2ベアリング27は、ロータコア24を挟んでシャフト21の軸方向両側にそれぞれ配置される。第1ベアリング26および第2ベアリング27は、ハウジング6に保持される。
【0065】
ステータ30は、ステータコア32と、コイル31と、インシュレータ(図示略)と、を有する。ステータコア32は、軸方向に延びる略円環状である。ステータコア32は、ハウジング6に保持される。ステータコア32には、インシュレータを介して、コイル31が装着される。コイル31は、インバータ8と電気的に接続される。インバータ8を介して、図示しない外部電源からコイル31に電力が供給されると、ロータ20が第1軸線J1を中心として回転する。このとき、コイル31にはジュール熱が発生する。以下の説明では、コイル31で発生するジュール熱をモータ2の廃熱と呼ぶ。
【0066】
(ギヤ部)
ギヤ部3は、ギヤ室82に収容される。ギヤ部3は、シャフト21と接続される。ギヤ部3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2の動力は、減速装置4および差動装置5を介して、出力シャフト55に伝達される。
【0067】
減速装置4は、シャフト21に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2の動力を差動装置5に伝達する。減速装置4は、第1ギヤ52と、第2ギヤ53と、を有する。第1ギヤ52は、シャフト21に固定され、シャフト21とともに、第1軸線J1回りに回転する。第2ギヤ53は、二つのギヤが連結される二段ギヤである。第2ギヤ53の一方のギヤは、第1ギヤ52と互いに噛み合う。
【0068】
差動装置5は、減速装置4および出力シャフト55と接続される。差動装置5は、モータ2の動力を出力シャフト55に伝達する。出力シャフト55は、第1軸線J1と平行な第2軸線J2に沿って軸方向に延びる柱状である。本実施形態において、出力シャフト55は、車両の車軸である。差動装置5は、リングギヤ51を有する。リングギヤ51は、第2軸線J2を中心に回転可能である。リングギヤ51は、第2ギヤ53の他方のギヤと互いに噛み合う。これにより、モータ2から出力される動力が出力シャフト55に伝達される。
【0069】
(インバータ)
インバータ8は、インバータ室83に収容される。インバータ8は、コイル31と電気的に接続される。インバータ8は、モータ2に供給される電流を制御する。本実施形態において、インバータ8は、第1制御部40と電気的に接続される。なお、インバータ8は、第1制御部40と電気的に接続されていなくてもよい。
【0070】
(ハウジング)
ハウジング6は、モータハウジング60、蓋部材61、ギヤハウジング62、インバータハウジング63、および貯留部ハウジング64を有する。蓋部材61、ギヤハウジング62、インバータハウジング63、および貯留部ハウジング64は、それぞれ、モータハウジング60に固定される。
【0071】
モータハウジング60は、周壁部60aと、隔壁部60bと、張出部60cと、箱状部60hと、を有する。周壁部60aは、第1軸線J1を中心とする略円筒状である。周壁部60aの右側(-Y側)の部分は、モータ2を径方向外側から囲む。周壁部60aの右側の部分は、モータ収容部6aの一部を構成する。周壁部60aの左側(+Y側)の部分は、ギヤ部3を径方向外側から囲む。周壁部60aの左側の部分は、ギヤ収容部6bの一部を構成する。周壁部60aの底部81aの左側の部分は、流体収容部6dの上側の部分を構成する。周壁部60aは、右側に開口する開口部60dを有する。底部81aには、第1貫通孔69aが設けられる。第1貫通孔69aは、底部81aを鉛直方向に貫通する孔である。第1貫通孔69aを介して、モータ室81と流体貯留室85とが互いに連通する。
【0072】
隔壁部60bは、径方向に沿って拡がる略板状である。隔壁部60bの板面は、軸方向を向く。隔壁部60bの径方向外側の端部は、周壁部60aの内周面と繋がる。隔壁部60bは、モータ室81とギヤ室82とを区画する。隔壁部60bは、モータ収容部6aの左側(+Y側)の部分と、ギヤ収容部6bの右側(-Y側)の一部を構成する。上述のように、隔壁部60bは、隔壁開口68を有する。隔壁開口68は、隔壁部60bを軸方向に貫通する孔である。
【0073】
張出部60cは、隔壁部60bから後側(-X側)に突出する部分である。張出部60cは、ギヤ収容部6bの右側の一部を構成する。張出部60cは、流体収容部6dの左側の部分を構成する。張出部60cには、第2貫通孔69bが設けられる。第2貫通孔69bは、張出部60cを軸方向に貫通する孔である。第2貫通孔69bを介して、ギヤ室82と流体貯留室85とが互いに連通する。
【0074】
箱状部60hは、周壁部60aの上側に配置される。箱状部60hは、上側に開口する箱状である。箱状部60hの下端は、周壁部60aと繋がる。箱状部60hは、インバータ収容部6cの下側の部分を構成する。
【0075】
蓋部材61は、モータハウジング60の右側(-Y側)の端部に固定される。蓋部材61は、モータハウジング60の開口部60dを右側から塞ぐ。
【0076】
ギヤハウジング62は、モータハウジング60の左側(+Y側)の端部に固定される。ギヤハウジング62は、右側(-Y側)に開口する箱状である。ギヤハウジング62は、ギヤ収容部6bの左側の部分を構成する。
【0077】
インバータハウジング63は、モータハウジング60の上側に配置される。インバータハウジング63は下側に開口する箱状である。インバータハウジング63は、箱状部60hに固定される。インバータハウジング63は、インバータ収容部6cの上側の部分を構成する。インバータハウジング63は、導入口63dを有する。導入口63dは、インバータハウジング63を貫通する孔である。
【0078】
貯留部ハウジング64は、モータ収容部6aの下側、且つ、後側(-X側)に配置される。貯留部ハウジング64は、モータハウジング60に固定される。貯留部ハウジング64は、流体収容部6dの一部を構成する。
【0079】
(ポンプ)
ポンプ96は、流体貯留室85に貯留される流体Oを、流路90内に圧送する。ポンプ96は、貯留部ハウジング64の右側(-Y側)を向く面に固定される。
【0080】
(クーラ)
クーラ97は、流体Oを冷却する。流体Oは、クーラ97において、第1冷媒Rとの間で熱交換されて冷却される。クーラ97において、流体Oの熱は第1冷媒Rに供給される。これにより、モータ2の廃熱が第1冷媒Rに供給される。クーラ97は、周壁部60aに固定される。
【0081】
<流路>
流路90は、ハウジング6の壁部の内部、および収容空間80に跨って設けられる。流路90は、モータ室81とギヤ室82とに跨って配置される。流路90は、流体溜りP1と、流体貯留部P2と、モータ2と、ギヤ部3との間において、流体Oを循環させる経路である。
【0082】
なお、本明細書において、「流路」とは、流体溜りP1と、流体貯留部P2と、モータ2と、ギヤ部3との間を循環する流体Oの経路を意味する概念である。「流路」とは、定常的に一方向に向かう流体が流れる「流路」のみならず、流体Oを一時的に滞留させる経路および流体が滴下する経路も含む概念である。
【0083】
流路90は、流体溜りP1とギヤ部3との間で流体Oを循環させる第1循環路91と、流体貯留部P2、流体溜りP1およびモータ2との間で流体Oを循環させる第2循環路92と、を有する。流体Oは、第1循環路91において、ギヤ部3の複数のギヤを潤滑する。流体Oは、第2循環路92において、モータ2を冷却するとともに、モータ2の廃熱を第1冷媒Rに供給する。
【0084】
(第1循環路)
第1循環路91は、流体溜りP1に貯留する流体Oを第1ギヤ52、第2ギヤ53、およびリングギヤ51に供給する経路である。本実施形態では、リングギヤ51の一部は、流体溜りP1に浸っている。そのため、流体溜りP1に貯留する流体Oは、ギヤ部3の動作によってリングギヤ51によって上側にかき上げられ、ギヤ室82に拡散される。ギヤ室82に拡散された流体Oは、第1ギヤ52、第2ギヤ53、およびリングギヤ51に供給され、各ギヤの歯面を潤滑する。これにより、各ギヤ間の摺動抵抗が低減されるため、駆動装置1の出力効率を高めることができる。各ギヤに供給された流体Oは、流体溜りP1へ滴下し、流体溜りP1に貯留する。なお、以下の説明では、ギヤ収容部6bの内部に貯留される流体O、すなわち、流体溜りP1に貯留する流体Oを、ギヤ収容部流体Ogと呼ぶ場合がある。
【0085】
なお、本実施形態の流体Oは、温度が低くなるほど粘度が高くなる。よって、ギヤ収容部流体Ogの温度が所定温度より低い場合、ギヤ収容部流体Ogが所望の潤滑性能を発揮できない虞がある。そのため、後述するように、本実施形態では、ギヤ収容部流体Ogの温度が所定温度以下の場合、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogに優先的に供給して、ギヤ収容部流体Ogの温度を速やかに高める制御を行う。
【0086】
(第2循環路)
第2循環路92は、第2連通路92aと、連通路92bと、第3連通路92cと、ポンプ流入流路92dと、ポンプ流出流路92eと、第3流路92fと、シャフト内流路92gと、ロータ内流路92hと、を有する。第2循環路92の経路中には、ポンプ96と、クーラ97と、リザーバ98と、が設けられる。また、本実施形態において、第2循環路92は、クーラ流入流路92pを有する。クーラ流入流路92pは、ポンプ流入流路92dおよびポンプ流出流路92eによって構成される。
【0087】
第2連通路92a、連通路92b、第3連通路92c、ポンプ流入流路92d、ポンプ流出流路92e、および第3流路92fは、それぞれ、ハウジング6の壁部の内部に設けられる。よって、クーラ流入流路92pは、ハウジング6の壁部の内部に設けられる。また、ハウジング6は、第2連通路92aと、連通路92bと、第3連通路92cと、ポンプ流入流路92dと、ポンプ流出流路92eと、第3流路92fと、を有する。すなわち、ハウジング6は、クーラ流入流路92pを有する。
【0088】
第2連通路92aは、モータ収容部6aの内部と流体貯留室85とを繋ぐ。第2連通路92aは、モータハウジング60の第1貫通孔69aによって構成される。流体貯留部P2に貯留する流体Oは、重力によって、第2連通路92aを下側に向けて流れ、流体貯留室85に流れ込む。
【0089】
連通路92bは、モータ室81とギヤ室82とを繋ぐ。連通路92bは、モータハウジング60の隔壁開口68によって構成される。流体貯留部P2に貯留する流体Oのうち、隔壁開口68の下端部よりも上側に位置する流体Oは、連通路92bを介して、ギヤ室82に流れ込む。すなわち、連通路92bは、モータ収容部6aからギヤ収容部6bに流体Oを送る。
【0090】
第3連通路92cは、ギヤ収容部6bの内部と流体貯留室85とを繋ぐ。第3連通路92cは、モータハウジング60の第2貫通孔69bによって構成される。ギヤ室82の流体溜りP1に貯留する流体Oのうち、第2貫通孔69bの下端部よりも上側に位置する流体Oは、第3連通路92cを右側(-Y側)に向けて流れ、流体貯留室85に流れ込む。
【0091】
ポンプ流入流路92dは、流体貯留室85とポンプ96の図示しない吸入口とを繋ぐ。ポンプ96は、ポンプ流入流路92dおよび吸入口を介して、流体貯留室85の内部に貯留する流体Oを吸い上げ、図示しない吐出口からポンプ流出流路92eに圧送する。
【0092】
ポンプ流出流路92eは、ポンプ96の図示しない吐出口とクーラ97の吸込口97bとを繋ぐ。これにより、クーラ流入流路92pは、流体貯留室85と、クーラ97の吸込口97bとを繋ぐ。よって、クーラ流入流路92pは、流体貯留室85とクーラ97の吸込口97bとを繋ぐ。ポンプ流出流路92eを流れる流体Oは、クーラ97の内部に流れ込む。クーラ97の内部を通過する流体Oは、後述する冷媒経路70の第4冷媒経路74を通過する第1冷媒Rとの間で熱交換されて冷却される。このとき、第4冷媒経路74を通過する第1冷媒Rは、流体Oから供給される熱、すなわちモータ2の廃熱を吸熱する。
【0093】
第3流路92fは、クーラ97とモータ室81とを繋ぐ。第3流路92fは、流路中において、シャフト内流路92gと分岐する。第3流路92fの下流端は、リザーバ98の上側でモータ室81に開口する。第3流路92fを流れる流体Oの一部は、開口からモータ室81に流れ込み、リザーバ98に貯留される。また、第3流路92fを流れる流体Oの他の一部は、シャフト内流路92gに流れ込む。これらにより、第3流路92fは、クーラ97からモータ収容部6aの内部に流体Oを送る。
【0094】
リザーバ98は、モータ2の上側に配置される。リザーバ98は、複数の流出口98aを有する。リザーバ98に貯留される流体Oは、各流出口98aからモータ2に供給され、モータ2を冷却する。このとき、流体Oはモータ2の廃熱を吸熱する。モータ2を冷却した流体Oは、モータ2の下側に滴下し、流体貯留部P2に貯留される。
【0095】
シャフト内流路92gは、シャフト21の中空部22に設けられる経路である。
ロータ内流路92hは、流体Oをシャフト21の連通孔23からロータコア24の内部を通過させて径方向外側に飛散させ、流体Oをステータ30に供給する経路である。ステータ30に供給された流体Oは、ステータ30を冷却する。このとき、流体Oはモータ2の廃熱を吸熱する。モータ2の廃熱を吸熱した流体Oは、モータ2の下側に滴下し、流体貯留部P2に貯留される。
【0096】
第2循環路92の各流路は、互いに繋がり合って、一連の流路としての第1流路92mと、第2流路92nと、を構成する。すなわち、第2循環路92は、第1流路92mと、第2流路92nと、を有する。
【0097】
第1流路92mは、第2連通路92aと、クーラ流入流路92pによって構成される経路である。第1流路92mは、モータ収容部6a、第2連通路92a、およびクーラ流入流路92pを通る流体Oの経路である。第1流路92mは、モータ収容部6aからクーラ97に流体Oを送る経路である。第1流路92mは、流体貯留部P2と繋がる。第1流路92mは、流体貯留部P2に貯留する流体Oをクーラ97に送る経路である。
【0098】
第2流路92nは、第3連通路92cと、クーラ流入流路92pによって構成される経路である。第2流路92nは、ギヤ収容部6bからクーラ97に流体Oを送る経路である。第2流路92nは、ギヤ収容部6b、第3連通路92c、およびクーラ流入流路92pを通る流体Oの経路である。第2流路92nは、流体溜りP1からクーラ97に流体Oを送る経路である。
【0099】
本実施形態によれば、ハウジング6は、流体Oを貯留する流体貯留室85と、モータ収容部6aの内部と流体貯留室85とを繋ぐ第2連通路92aと、ギヤ収容部6bの内部と流体貯留室85とを繋ぐ第3連通路92cと、流体貯留室85とクーラ97の吸込口97bとを繋ぐクーラ流入流路92pと、を有する。第1流路92mは、モータ収容部6a、第2連通路92a、クーラ流入流路92pを通る流体Oの経路であり、第2流路92nは、ギヤ収容部6b、第3連通路92c、およびクーラ流入流路92pを通る流体Oの経路である。上述のように、第2連通路92a、第3連通路92c、およびクーラ流入流路92pは、ハウジング6の壁部の内部に設けられ、流体貯留室85は、ハウジング6の一部である。そのため、第1流路92mおよび第2流路92nを、ハウジング6が有する流体貯留室85および各流路92a,92c,92eによって構成できる。よって、第1流路92mおよび第2流路92nを構成するために、配管等の別途の部材を配置する必要が無いため、流路90の構成の簡素化を図ることができる。よって、駆動装置1の組立工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0100】
(制御バルブ)
制御バルブ45は、流路90に設けられる。制御バルブ45は、第1バルブ45aと、第2バルブ45bと、を有する。第1バルブ45aおよび第2バルブ45bは、それぞれ、第1制御部40と電気的に接続される。第1バルブ45aおよび第2バルブ45bの動作は、第1制御部40によって制御される。
【0101】
第1バルブ45aは、第1貫通孔69aに取り付けられる。第1バルブ45aは、第2連通路92aに配置される。第1バルブ45aは、第1流路92mに配置される。第1バルブ45aは、第2連通路92aを開閉する。第1バルブ45aが第2連通路92aを開くと、モータ収容部6aの内部と流体貯留室85とが繋がり、流体貯留部P2に貯留する流体Oが、流体貯留室85に流れ込む。第1バルブ45aが第2連通路92aを閉じると、モータ収容部6aの内部と流体貯留室85とは互いに隔絶され、モータ収容部6aの内部と流体貯留室85との間の流体Oの流れを抑制できる。これにより、モータ収容部6aの内部から流体貯留室85間への流れを抑制された流体Oは、連通路92bを介してギヤ収容部6bに流れ込む。よって、第1バルブ45aによって、第2連通路92aを開閉することにより、第1流路92mを流れる流体Oの流量を調整可能である。
【0102】
第2バルブ45bは、第2貫通孔69bに取り付けられる。第2バルブ45bは、第3連通路92cに配置される。第2バルブ45bは、第2流路92nに配置される。第2バルブ45bは、第3連通路92cを開閉する。第2バルブ45bが第3連通路92cを開くと、ギヤ収容部6bの内部と流体貯留室85とが繋がり、流体溜りP1に貯留する流体Oが、流体貯留室85に流れ込む。第2バルブ45bが第3連通路92cを閉じると、ギヤ収容部6bの内部と流体貯留室85とは互いに隔絶され、ギヤ収容部6bの内部と流体貯留室85との間の流体Oの流れを抑制できる。第2バルブ45bによって、第3連通路92cを開閉することにより、第2流路92nを流れる流体Oの流量を調整可能である。
【0103】
よって、本実施形態によれば、第1バルブ45aおよび第2バルブ45bの2つのバルブのみを設ける構成によって、第1流路92mを流れる流体Oの流量および第2流路92nを流れる流体Oの流量のそれぞれを調整できる。そのため、第1流路92mおよび第2流路92nを流れる流体Oの流量を調整するために、配管等の別個の部材を追加して配置する必要が無いため、流路90の簡素化を図ることができる。したがって、駆動装置1の組立工数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0104】
(第1制御部)
第1制御部40は、第1流路92mを流れる流体Oの流量および第2流路92nを流れる流体Oの流量を調整する。第1制御部40は、図示しないCPUおよびROM等を備えるコンピュータシステムとして構成される。第1制御部40は、第1判断部42と、第2判断部43と、開閉制御部40aと、を有する。第1制御部40は、第2制御部140と電気的に接続される。
【0105】
第1判断部42は、第1制御部40において、被加熱要素9に対する加熱の要否を判断する役割を担う。第1判断部42は、第1センサ42aを有する。本実施形態において、第1センサ42aは、被加熱要素9のうちバッテリ129の温度と相関する第1温度T1を検知する温度センサである。第1センサ42aは、第1判断部42と電気的に接続される。
図1に示すように、本実施形態において、第1センサ42aは、バッテリ129と接触して配置される。
【0106】
第2判断部43は、第1制御部40において、ギヤ収容部流体Ogに対する加熱の要否を判断する役割を担う。第2判断部43は、第2センサ43aを有する。本実施形態において、第2センサ43aは、ギヤ収容部流体Ogの温度と相関する第2温度T2を検知する。第2センサ43aは、第2判断部43と電気的に接続される。本実施形態において、第2センサ43aは、流体溜りP1に配置される。本実施形態では、第2センサ43aは、ハウジング6の底部82aに固定される。なお、第2センサ43aは、ギヤ収容部6bの外側面に取り付けられ、ギヤ収容部流体Ogの温度と相関するギヤ収容部6bの温度を検知してもよい。また、第2センサ43aは、ギヤ収容部流体Ogの温度と相関のあるギヤ収容部流体Ogの粘度を測定する粘度計であってもよい。この場合、ギヤ収容部流体Ogの粘度に基づいて、ギヤ収容部流体Ogの温度を算出または推定によって得ることができる。
【0107】
開閉制御部40aは、第1バルブ45aおよび第2バルブ45bと電気的に接続される。開閉制御部40aは、第1判断部42および第2判断部43の判断結果にしたがって、制御バルブ45の動作を制御する。第1制御部40は、制御バルブ45の開閉制御を行う。これにより、第1制御部40は、第1流路92mを流れる流体Oの流量および第2流路92nを流れる流体Oの流量を調整する。
【0108】
(冷媒経路)
冷媒経路70は、ハウジング6の内部および外部に跨って配置される。冷媒経路70は、第1冷媒Rが流れる経路である。冷媒経路70は、
図1に示す第1回路C1の一部である。より詳細には、冷媒経路70は、管路110aの一部である。
図3に示すように、冷媒経路70を流れる第1冷媒Rは、クーラ97において、流体Oとの間で熱交換される。第1冷媒Rは、流体Oを冷却するとともに、流体Oの熱を吸熱する。これにより、モータ2の廃熱が第1冷媒Rに供給される。また、上述のように冷媒経路70は、第1回路C1の一部であるため、
図2Bに示す第2加熱モードM2において、第1冷媒R、チラー125、第2回路C2を流れる第2冷媒R2、熱交換器131、および第3回路C3を流れる第3冷媒R3を介して、モータ2の廃熱は被加熱要素9に移送される。簡単のため、
図3における冷媒経路70においては、冷媒流路Cにおける駆動装置1、被加熱要素9以外の構成要素の図示を省略する。
【0109】
図3に示すように、冷媒経路70は、第1冷媒経路71と、第2冷媒経路72と、第3冷媒経路73と、第4冷媒経路74と、第5冷媒経路75と、を有する。第1冷媒経路71は、インバータハウジング63の導入口63dに接続される。第1冷媒経路71を流れる第1冷媒Rは、導入口63dを介して、第2冷媒経路72に流れ込む。第2冷媒経路72は、第1冷媒経路71と第3冷媒経路73とを繋ぐ。第2冷媒経路72は、インバータ収容部6cの内部を通過する。第2冷媒経路72を流れる第1冷媒Rは、インバータ8を冷却する。第2冷媒経路72を流れる第1冷媒Rは、第3冷媒経路73に流れ込む。
【0110】
第3冷媒経路73は、第2冷媒経路72と第4冷媒経路74とを繋ぐ。第3冷媒経路73を流れる第1冷媒Rは、クーラ流入口97aを介して、第4冷媒経路74に流れ込む。第4冷媒経路74は、第3冷媒経路73と第5冷媒経路75とを繋ぐ。第4冷媒経路74は、クーラ97の内部に設けられる経路である。つまり、クーラ97には、冷媒経路70が接続される。すなわち、クーラ97には冷媒流路Cが接続される。上述のように、クーラ97において、流体Oは、第4冷媒経路74を通過する第1冷媒Rとの間で熱交換されて冷却される。このとき、第1冷媒Rは、流体Oの熱を吸熱する。これにより、モータ2の廃熱は、第1冷媒Rに供給される。第4冷媒経路74を流れる第1冷媒Rは、第5冷媒経路75に流れ込む。第5冷媒経路75を流れる第1冷媒Rは、管路110aを
図1に示すチラー125に向けて流れる。
【0111】
(廃熱マネジメント方法)
次に、モータ2の廃熱によって被加熱要素9およびギヤ収容部流体Ogを加熱する廃熱マネジメント方法Mt1について説明する。
図4に示すように、廃熱マネジメント方法Mt1は、目標温度設定ステップS01と、プレ判断ステップS02と、第1判断ステップS03と、第2判断ステップS04と、制御ステップS05と、を有する。制御ステップS05は、第1制御ステップS051と、第2制御ステップS052と、を有する。第1制御ステップS051は、第1制御部40の開閉制御部40aが、第1バルブ45aを開き、第2バルブ45bを閉じる。第1制御ステップS051が実行された場合、第1流路92mには流体Oが流れ、第2流路92nには流体Oが流れない。そのため、モータ2の廃熱は、ギヤ収容部流体Ogに供給されず、第1冷媒R、第2冷媒R2、第3冷媒R3を介して、被加熱要素9に供給される。第2制御ステップS052は、開閉制御部40aが、第1バルブ45aを閉じ、第2バルブ45bを開く。第2制御ステップS052が実行されたされた場合、第1流路92mには流体Oが流れず、第2流路92nには流体Oが流れる。そのため、モータ2の廃熱は、ギヤ収容部流体Ogに供給される。
【0112】
目標温度設定ステップS01では、第1制御部40は、被加熱要素9の目標温度である第1目標温度Tg1およびギヤ収容部流体Ogの目標温度である第2目標温度Tg2を設定する。第1目標温度Tg1は、被加熱要素9のうち、バッテリ129が所望の性能を発揮する閾温度である。第1温度T1が、第1目標温度Tg1より高いとき、バッテリ129は所望の性能を発揮する。第2目標温度Tg2は、ギヤ収容部流体Ogが所望の潤滑性能を発揮する閾温度である。第2温度T2が、第2目標温度Tg2より高いとき、ギヤ収容部流体Ogは所望の潤滑性能を発揮する。第1目標温度Tg1は、バッテリ129の温度などに応じて第1制御部40で適宜設定される温度である。一方で、第2目標温度Tg2は、流体Oの特性によって決まる温度であり、第1制御部40に予め記憶されている。
【0113】
なお、第1制御部40は、被加熱要素9の温度と車室外の空気の温度との温度差に応じて第1目標温度Tg1を適宜変更してもよい。これにより、被加熱要素9から車室外に放熱される熱量を鑑みた第1目標温度Tg1を設定できる。また、第1制御部40は、バッテリ129の発熱量によって第1目標温度Tg1を適宜変更してもよい。また、第1制御部40は、ギヤ収容部流体Ogの温度と車室外の空気の温度との温度差に応じて第2目標温度Tg2を適宜変更してもよい。これにより、ギヤ収容部流体Ogが所望の潤滑性能をより安定して発揮できる。
【0114】
プレ判断ステップS02では、第1制御部40は、ギヤ収容部流体Og、すなわちギヤ収容部6bの内部に貯留される流体Oに対する加熱の要否を判断する。より詳細には、第1制御部40は、ギヤ収容部流体Ogの温度と相関する第2温度T2と、目標温度設定ステップS01において予め設定される第2目標温度Tg2とを比較して、ギヤ収容部流体Ogに対する加熱の要否を判断する。
【0115】
第2温度T2が第2目標温度Tg2より高い場合、第2判断部43は、ギヤ収容部流体Ogに対する加熱は必須ではないと判断し、第1判断ステップS03に移行する。
第2温度T2が第2目標温度Tg2以下の場合、第2判断部43は、ギヤ収容部流体Ogに対する加熱が必要と判断し、第2制御ステップS052に移行する。このとき、上述のように、開閉制御部40aは、第1バルブ45aを閉じ、第2バルブ45bを開く。これにより、第1制御部40は、第2流路92nを流れる流体Oの流量を、第1流路92mを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定する。
【0116】
本実施形態によれば、第1制御部40が、ギヤ収容部流体Og、すなわちギヤ収容部6bの内部に貯留される流体Oに対する加熱の要否を判断するプレ判断ステップS02において、ギヤ収容部流体Ogに対する加熱が必要と判断した場合、第2流路92nを流れる流体Oの流量を、第1流路92mを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定できる。これにより、モータ2の廃熱を吸熱した流体貯留部P2に貯留される流体Oを、ギヤ収容部6bの内部に供給できる。そのため、ギヤ収容部流体Ogの温度を速やかに高めることができ、ギヤ収容部流体Ogの粘度を速やかに低下させることができる。したがって、ギヤ収容部流体Ogの潤滑性能を速やかに高めるとともに、駆動装置1の出力効率を速やかに高めることができる。
【0117】
本実施形態によれば、プレ判断ステップS02において、第1制御部40は、第2温度T2と、予め設定される第2目標温度Tg2とを比較して、ギヤ収容部流体Ogに対する加熱の要否を判断するため、第2温度T2が第2目標温度Tg2以下の場合、ギヤ収容部流体Ogの温度を第2目標温度Tg2よりも高い温度に精度よく高めることができるとともに、ギヤ収容部流体Ogの温度を第2目標温度Tg2よりも高い温度に安定して維持できる。したがって、駆動装置1の出力効率を安定的に高めることができる。
【0118】
本実施形態によれば、プレ判断ステップS02において、第2温度T2が第2目標温度Tg2よりも低い場合、第1制御部40は、第2流路92nを流れる流体Oの流量を、第1流路92mを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定する。よって、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogに優先的に供給できる。したがって、駆動装置1の出力効率を速やかに高めることができる。
【0119】
本実施形態によれば、第1制御部40は、ギヤ収容部流体Ogに対する加熱の要否を判断する第2判断部43を有し、開閉制御部40aは、第2判断部43の判断結果にしたがって、制御バルブ45の動作を制御する。したがって、第2判断部43がギヤ収容部流体Ogに対する加熱が必要と判断した場合、モータ2の廃熱を吸熱した流体貯留部P2に貯留される流体Oをギヤ収容部6bの内部に供給して、ギヤ収容部流体Ogの温度を速やかに高めることができる。したがって、駆動装置1の出力効率を速やかに高めることができる。
【0120】
本実施形態によれば、第2判断部43は、ギヤ収容部流体Ogの温度と相関する第2温度T2を検知する第2センサ43aを有する。よって、第2センサ43aによって、ギヤ収容部流体Ogの温度を精度良く検知できるため、ギヤ収容部流体Ogの温度をより安定的に第2目標温度Tg2より高い温度に維持できる。したがって、駆動装置1の出力効率を所望の出力効率により安定して維持できる。
【0121】
なお、第2制御ステップS052において、第2制御部140は、温度調整システム101を、
図2Aに示す第1加熱モードM1に構成することが好ましい。これにより、第1回路C1を流れる第1冷媒Rの熱が、第2冷媒R2に供給されることを抑制できるため、第1回路C1を流れる第1冷媒Rの温度が低下することを抑制できる。したがって、ギヤ収容部流体Ogの温度を速やかに高めることができ、駆動装置1の出力効率を速やかに高めることができる。
【0122】
図4に示す第1判断ステップS03では、第1制御部40は、被加熱要素9におけるバッテリ129に対する加熱の要否を判断する。より詳細には、第1判断ステップS03において、第1制御部40は、バッテリ129の温度と相関する第1温度T1と、目標温度設定ステップS01において予め設定される第1目標温度Tg1とを比較して、バッテリ129に対する加熱の要否を判断する。
【0123】
第1温度T1が第1目標温度Tg1よりも高い場合、第1制御部40の第1判断部42は、バッテリ129に対する加熱は必須ではないと判断し、第2判断ステップS04に移行する。
第1温度T1が第1目標温度Tg1より低い場合、第1判断部42は、バッテリ129に対する加熱が必要と判断し、第1制御ステップS051に移行する。このとき、上述のように、開閉制御部40aは、第1バルブ45aを開き、第2バルブ45bを閉じる。これにより、第1制御部40は、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定する。
【0124】
なお、第1制御ステップS051において、第2制御部140は、温度調整システム101を、
図2Bに示す、第2加熱モードM2に構成する。これにより、第1回路C1を流れる第1冷媒Rの熱を、チラー125を介して、第2冷媒R2に供給することができ、更に、熱交換器131を介して、第3冷媒R3に供給することができる。これらにより、モータ2の廃熱をバッテリ129に優先的に供給できる。
【0125】
本実施形態によれば、流路90は、モータ収容部6aからクーラ97に流体Oを送る第1流路92mと、モータ収容部6aからギヤ収容部6bに流体Oを送る連通路92bと、ギヤ収容部6bからクーラ97に流体Oを送る第2流路92nと、クーラ97からモータ収容部6aに流体Oを送る第3流路92fと、を有する。制御バルブ45は、第1流路92mを流れる流体Oの流量および第2流路92nを流れる流体Oの流量を調整可能である。第1制御部40は、被加熱要素9に対する加熱の要否を判断する第1判断部42と、第1判断部42の判断結果にしたがって、制御バルブ45の動作を制御する開閉制御部40aと、を有する。よって、第1判断部42が、被加熱要素9の加熱が不要と判断した場合は、上述のように、開閉制御部40aによって制御バルブ45の動作を制御し、第2流路92nを流れる流体Oの流量を、第1流路92mを流れる流体Oの流量よりも多くすることで、モータ2の廃熱を吸熱して温度が高い流体Oをギヤ収容部6bの内部に優先的に供給できる。そのため、ギヤ収容部流体Ogの温度を速やかに高めることができる。また、第1判断部42が、被加熱要素9の加熱が必要と判断した場合は、開閉制御部40aによって制御バルブ45の動作を制御し、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多くすることで、モータ2の廃熱を吸熱して温度が高い流体Oをモータ収容部6aからクーラ97に優先的に流すことができる。よって、上述のように、モータ2の廃熱を被加熱要素9に優先的に供給できる。これらにより、駆動装置1、温度調整システム101、および自動車7において、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogおよび被加熱要素9に適切に供給することができるため、駆動装置1の出力効率を速やかに高めつつ、被加熱要素9の温度を速やかに高めることができる。
【0126】
本実施形態によれば、第1制御部40が被加熱要素9に対する加熱の要否を判断する第1判断ステップS03と、第1制御部40が第1判断ステップS03の判断結果に基づいて制御バルブ45の動作を制御する制御ステップS05と、を有する。よって、第1判断ステップS03において、第1制御部40が、被加熱要素9の加熱が不要と判断した場合は、制御ステップS05において、第2流路92nを流れる流体Oの流量を、第1流路92mを流れる流体Oの流量よりも多くすることで、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogに優先的に供給できる。また、第1判断ステップS03において、第1制御部40が、被加熱要素9の加熱が必要と判断した場合は、制御ステップS05において、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多くすることで、モータ2の廃熱を被加熱要素9に優先的に供給できる。これらにより、廃熱マネジメント方法Mt1において、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogおよび被加熱要素9に適切に供給することができるため、駆動装置1の出力効率を速やかに高めつつ、被加熱要素9の温度を速やかに高めることができる。
【0127】
本実施形態によれば、プレ判断ステップS02において、第2判断部43が、ギヤ収容部流体Ogの加熱が不要と判断し、且つ、第1判断ステップS03において、第1判断部42が被加熱要素9に対する加熱が必要であると判断する場合、モータ2の廃熱を吸熱した流体貯留部P2に貯留される流体Oを、ギヤ収容部6bの内部に供給せずに、第1流路92mによって、クーラ97に供給できる。これにより、モータ2の廃熱を、ギヤ収容部流体Ogに供給せずに、被加熱要素9に優先的に供給できる。また、プレ判断ステップS02は、第1判断ステップS03よりも前に行われるため、ギヤ収容部流体Ogの温度が低い場合は、被加熱要素9の温度に依らず、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogに優先的に供給できる。これらにより、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogおよび被加熱要素9に適切に供給することができる。
【0128】
本実施形態によれば、第1判断ステップS03において、第1制御部40は、被加熱要素9の温度と相関する第1温度T1と、予め設定される第1目標温度Tg1とを比較して、被加熱要素9に対する加熱の要否を判断するため、第1温度T1が、第1目標温度Tg1より低い場合、被加熱要素9の温度を第1目標温度Tg1よりも高い温度に精度よく高めることができるとともに、被加熱要素9の温度を第1目標温度Tg1よりも高い温度に安定して維持できる。
【0129】
本実施形態によれば、第1判断部42は、被加熱要素9の温度と相関する第1温度T1を検知する第1センサ42aを有する。よって、第1センサ42aによって、被加熱要素9の温度を精度良く検知できるため、被加熱要素9の温度を第1目標温度Tg1より高い温度により安定的に維持できる。
【0130】
本実施形態によれば、ハウジング6は、モータ収容部6aの下部に流体Oを貯留する流体貯留部P2を有し、第1流路92mは、流体貯留部P2と繋がる。よって、第2制御ステップS052において、第2バルブ45bを閉じた状態でポンプ96の駆動を行って、流路90に流体Oを流す場合であっても、第1流路92mによって、流体貯留部P2に貯留する流体Oを流体貯留室85の内部に供給できる。そのため、ポンプ96に流体Oを安定して供給でき、流路90を流れる流体Oの量を安定させることができる。したがって、モータ2を安定して冷却できるとともに、被加熱要素9の温度を速やかに高めることができる。
【0131】
第2判断ステップS04では、第1制御部40は、車室内の空気を暖房する要求である暖房要求の有無を第2制御部140に確認する。上述のように、車室内の暖房は、
図1に示す暖房用熱交換器128によって行われる。車室内の暖房は、暖房用熱交換器128を流れる第2冷媒R2と車室内の空気との間の熱交換によって行われる。そのため、車室内の暖房が行われる場合、第2冷媒R2は暖房用熱交換器128を通過する際に冷却される。これにより、チラー125において、第1冷媒Rから第2冷媒R2に供給される熱量が増加するため、チラー125を通過する際に、第1冷媒Rの温度が大きく低下し易い。これにより、クーラ97において、流体Oから第1冷媒Rに供給される熱量が増加するため、クーラ97を通過する際に、流体Oの温度が大きく低下し易い。
【0132】
第2判断ステップS04において、暖房要求が有る場合、第1制御部40は、被加熱要素9に対する加熱が必要と判断して、第1制御ステップS051に移行し、開閉制御部40aは、第1バルブ45aを開き、第2バルブ45bを閉じる。これにより、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多くすることで、上述のように、モータ2の廃熱を暖房用熱交換器128に供給できるため、車室内を速やかに暖房できる。
【0133】
第2判断ステップS04において、暖房要求が無い場合、第1制御部40は、被加熱要素9に対する加熱が不要と判断して、第2制御ステップS052に移行し、第1制御部40の開閉制御部40aは、第1バルブ45aを閉じ、第2バルブ45bを開く。
【0134】
本実施形態によれば、第1判断ステップS03において、第1温度T1が第1目標温度Tg1よりも高い場合、制御ステップS05の第2制御ステップS052において、第1制御部40は、第2流路92nを流れる流体の流量を、第1流路92mを流れる流体の流量よりも多い流量に設定する。つまり、第2温度T2が第2目標温度Tg2より高い場合であっても、第1制御部40は、第2流路92nを流れる流体の流量を、第1流路92mを流れる流体の流量よりも多い流量に設定する。そのため、モータ2の廃熱をギヤ収容部流体Ogに優先的に供給して、ギヤ収容部流体Ogの温度をさらに高めることができ、ギヤ収容部流体Ogの粘度をさらに低下させることができる。したがって、ギヤ収容部流体Ogの潤滑性能をさらに高めることができ、駆動装置1の出力効率をさらに高めることができる。
【0135】
また、本実施形態では、第2判断ステップS04において、暖房要求が有る場合、第1制御ステップS051において、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多くすることで、モータ2の廃熱を暖房用熱交換器128に供給できるため、車室内を速やかに暖房できる。さらに、上述のように、暖房用熱交換器128にモータ2の廃熱を供給する場合、流体Oの温度は大きく低下し易いが、温度が大きく低下した流体Oがギヤ収容部6bの内部に流れ込むことを抑制できる。したがって、ギヤ収容部流体Ogの温度が低下することを抑制でき、駆動装置1の出力効率が低下することを抑制できる。
【0136】
なお、本実施形態において、第1制御部40は、所定周期毎、又は、制御バルブ45の動作の制御時に、第2目標温度Tg2を適宜設定してもよい。例えば、第2制御ステップS052において、第1制御部40が、第1バルブ45aを閉じ、第2バルブ45bを開いた際に、第2目標温度Tg2をより高い温度である温度Tg2bに設定してもよい。これにより、第2温度T2が温度Tg2bより高い温度に上昇するまで、制御バルブ45の状態を維持できるため、制御バルブ45の動作が頻繁に切り替わることを抑制でき、ギヤ収容部流体Ogの温度を安定させることができる。また、第2温度T2が温度Tg2bを超えると、第2目標温度Tg2を温度Tg2bよりも低い温度である温度Tg2cに設定してもよい。これにより、第2温度T2が温度Tg2cより低い温度に低下するまで、第1バルブ45aを開き、第2バルブ45bを閉じた状態に維持できるため、制御バルブ45の動作が頻繁に切り替わることを抑制でき、ギヤ収容部流体Ogの温度および被加熱要素9の温度を安定させることができる。また、第1制御部40は、第1目標温度Tg1についても、第2目標温度Tg2と同様に、所定周期毎、又は、制御バルブ45の動作の制御時に、第1目標温度Tg1を設定してもよい。これにより、制御バルブ45の動作が頻繁に切り替わることを抑制でき、ギヤ収容部流体Ogの温度および被加熱要素9の温度を安定させることができる。
【0137】
また、本実施形態において、第2判断ステップS04は暖房要求の有無を確認するステップとしたが、第1判断ステップS03と同様に、暖房用熱交換器128の温度と相関する検知温度と暖房用熱交換器128の目標温度とを比較するステップとしてもよい。
【0138】
<第1変形例>
図5は、本実施形態の第1変形例の温度調整システム301を示す概略図である。
図6は、本変形の駆動装置201を示す概念図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0139】
図5に示すように、本変形例において、第1センサ242aは、第3回路C3の管路118のうちバッテリ129よりも下流側の部分に配置される。すなわち、第1センサ242aは、冷媒流路C300のうち、被加熱要素9よりも下流側に配置される。本変形例において、第1センサ242aは、管路118の内部に配置され、冷媒流路C300のうちバッテリ129よりも下流側を流れる冷媒(第3冷媒R3)の温度を直接的に検出する。バッテリ129よりも下流側を流れる第3冷媒R3の温度は、バッテリ129の温度と相関する。すなわち、第1センサ242aは、被加熱要素9の温度と相関する第3冷媒R3の温度を検知する。本変形例において、第1センサ242aが検知する温度は、第1温度T1である。なお、第1センサ242aは、例えば、管路118の外部に設けられ、管路118の温度を測定することで、第3冷媒R3の温度を間接的に測定してもよい。この場合、管路118の温度に基づいて、第3冷媒R3の温度を算出または推定によって得ることができる。
【0140】
本変形例によれば、第1センサ242aによって、被加熱要素9の温度と相関がある第1温度T1を検知できる。したがって、被加熱要素9の温度を所望の温度より高い温度に速やかに高めることができるとともに、且つ、被加熱要素9の温度を所望の温度よりも高い温度に安定的に維持できる。
【0141】
図6に示すように、本変形例の駆動装置201のハウジング206は、保温部265を有する。保温部265は、ギヤ収容部6bの下部に配置される。本変形例において、保温部265は、ギヤ収容部6bの下部の外側に配置され、ギヤ収容部6bの下部を外側から囲む。これにより、流体溜りP1は、保温部265に囲まれる。なお、保温部265は、ギヤ収容部6bの下部の内側に配置されてもよい。本実施形態において、保温部265は、断熱性を有する。よって、保温部265の熱伝導率は、モータハウジング60およびギヤハウジング62の熱伝導率よりも小さい。保温部265は、モータハウジング60およびギヤハウジング62を構成する材料よりも熱伝導率が小さい材料によって構成されてもよいし、内部に空気層を有する中空状に構成されてもよい。
【0142】
本変形例によれば、ハウジング6は、断熱性を有する保温部265を有し、保温部265は、ギヤ収容部6bの下部に配置される。よって、保温部265によって、ギヤ収容部流体Ogが貯留される流体溜りP1を囲むことができる。そのため、流体溜りP1に貯留されるギヤ収容部流体Ogの熱が、ハウジング6を介して、駆動装置201の外部に放熱されることを抑制できる。したがって、上述の廃熱マネジメント方法Mt1の第2制御ステップS052において、ギヤ収容部流体Ogの温度をより速やかに高めることができる。また、上述の第1制御ステップS051において、ギヤ収容部流体Ogの温度が低下することを好適に抑制できる。これらにより、ギヤ収容部流体Ogの潤滑性能をさらに高めることができ、駆動装置1の出力効率をさらに高めることができる。また、上述のように、保温部265によって、ギヤ収容部流体Ogの熱が、駆動装置201の外部に放熱されることを抑制できるため、ギヤ収容部流体Ogに供給するモータ2の廃熱量を抑制できる。したがって、モータ2の廃熱をより優先的に被加熱要素9に供給できるため、被加熱要素9の温度を速やかに高めることができる。
【0143】
<第2変形例>
図7は、本実施形態の第2変形例の温度調整システム401を示す概略図である。
図8は、本変形の廃熱マネジメント方法Mt2を示すフローチャートである。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0144】
図7に示すように、本変形例の温度調整システム401は、冷媒流路C400と、駆動装置1と、チラー125と、第1ポンプ121と、ラジエータ126と、圧縮機123と、被加熱要素9と、熱交換器131と、第2制御部140と、を有する。本変形例において、冷媒流路C400は、第1回路C1と、第2回路C402と、第3回路C3と、を有する。第1実施形態と同様に、被加熱要素9は、暖房用熱交換器128と、バッテリ129と、を含む。
【0145】
本変形例の第1回路C1は、上述の第1実施形態の第1回路C1と同様の構成である。
本変形例の第2回路C402の経路中には、圧縮機123、暖房用熱交換器128、熱交換器131、第2膨張弁124b、チラー125が配置される。第2回路C2は、一つの管路415aを有する。
本変形例の第3回路C3は、上述の第1実施形態の第3回路C3と同様の構成である。
【0146】
本変形例の温度調整システム401は、第3加熱モードM3を有する。第3加熱モードM3において、第1冷媒Rは、ラジエータ126において車室外の空気の熱を吸熱するとともに、駆動装置1のモータ2の廃熱を吸熱する。第1冷媒Rは、チラー125を介して、第2冷媒R2に熱を供給する。第2冷媒R2は、第1冷媒Rの熱を暖房用熱交換器128に移送する。第3冷媒R3は、熱交換器131において第2冷媒R2の熱を吸熱して、バッテリ129に移送する。第3加熱モードM3では、これらにより、被加熱要素9を加熱する。
【0147】
第3加熱モードM3において、第1回路C1は第2ループL412を構成する。第2ループL412は、第1ポンプ121、ラジエータ126、駆動装置1、チラー125の順で通過して第1冷媒Rを循環させる。
【0148】
第2制御部140は、第1切替部122aを以下のように切り替えて、第2ループL412を構成する。第1切替部122aは、管路110aと管路110cとを連通させる。これにより、管路110aを流れる第1冷媒Rは全て管路110cを流れ、管路110bには第1冷媒Rが流れない。
【0149】
第3加熱ループL423において、第1冷媒Rは、ラジエータ126を通過する際に、車室外の熱を吸熱する。第1冷媒Rは、
図2に示す駆動装置1のクーラ97において、モータ2の廃熱を吸熱する。
図7に示すように、第1冷媒Rは、チラー125における熱交換によって、第2冷媒R2に車室外の空気の熱およびモータ2の廃熱を供給する。
【0150】
第3加熱モードM3において、第2回路C402は第3加熱ループL423を構成する。第3加熱ループL423は、第2膨張弁124b、チラー125、圧縮機123、暖房用熱交換器128、熱交換器131の順で通過して第2冷媒R2を循環させる。
【0151】
第3加熱ループL423において、第2冷媒R2は、第2膨張弁124bを通過することで減圧され、チラー125において気化するとともに第1冷媒Rの熱を吸熱する。これにより、モータ2の廃熱および車室外の空気の熱は、第2冷媒R2に供給される。低圧気相の第2冷媒R2は、圧縮機123において圧縮され、圧縮機123から吐出された高圧気相の第2冷媒R2は、暖房用熱交換器128および熱交換器131を通過する過程で、モータ2の廃熱および車室外の空気の熱を、暖房用熱交換器128および熱交換器131に供給して、液化する。これにより、暖房用熱交換器128が加熱され、車室内の空気が暖房される。また、熱交換器131において、第3冷媒R3が加熱される。さらに、バッテリ加熱ループL31において、第3冷媒R3は、モータ2の廃熱および車室外の空気の熱をバッテリ129に移送する。これらにより、モータ2の廃熱を、被加熱要素9に移送でき、被加熱要素9の温度を高めることができる。
【0152】
図8に示すように、本変形例の廃熱マネジメント方法Mt2は、目標温度設定ステップS41と、第1判断ステップS42と、第2判断ステップS43と、制御ステップS44と、を有する。制御ステップS44は、第1制御ステップS441と、第2制御ステップS442と、を有する。第1制御ステップS441における、開閉制御部40aが制御する制御バルブ45の動作および流路90における流体Oの流れは、上述の第1実施形態の第1制御ステップS051と同様である。また、第2制御ステップS442における、開閉制御部40aが制御する制御バルブ45の動作および流路90における流体Oの流れは、上述の第1実施形態の第2制御ステップS052と同様である。
【0153】
目標温度設定ステップS41では、第1制御部40は、被加熱要素9の目標温度である第1目標温度Tg41を設定する。なお、第1目標温度Tg41は、上述の第1実施形態の第1目標温度Tg1と同じ温度でもよいし、異なる温度であってもよい。
【0154】
第1判断ステップS42では、第1制御部40は、被加熱要素9の温度と相関する第1温度T1と、目標温度設定ステップS41において予め設定される第1目標温度Tg41とを比較して、被加熱要素9に対する加熱の要否を判断する。
第1温度T1が第1目標温度Tg41以上である場合、第1判断部42は、被加熱要素9に対する加熱は必須ではないと判断し、第2判断ステップS43に移行する。
第1温度T1が第1目標温度Tg41より低い場合、第1判断部42は、被加熱要素9に対する加熱が必要と判断し、第1制御ステップS441に移行する。第1制御ステップS441において、開閉制御部40aは、第1バルブ45aを開き、第2バルブ45bを閉じる。これにより、第1制御部40は、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定し、上述のように被加熱要素9の温度を速やかに高める。
【0155】
第2判断ステップS43では、第1制御部40は、上述の暖房要求の有無を第2制御部140に確認する。
第2判断ステップS43において、暖房要求が有る場合、第1制御部40は、被加熱要素9に対する加熱が必要と判断し、第1制御ステップS441に移行し、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定し、上述のように車室内を速やかに暖房する。
一方、暖房要求が無い場合、第1制御部40は、被加熱要素9に対する加熱が不要と判断し、第2制御ステップS442に移行する。第2制御ステップS442において、開閉制御部40aは、第1バルブ45aを閉じ、第2バルブ45bを開く。これにより、第1制御部40は、第2流路92nを流れる流体Oの流量を、第1流路92mを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定し、上述のように、ギヤ収容部流体Ogの温度を速やかに高める。
【0156】
被加熱要素9を加熱する場合、および暖房要求が有る場合では、上述のように、流体Oの温度が大きく低下するが、本変形例によれば、第1制御部40は、ギヤ収容部流体Ogの温度に依らず、被加熱要素9の加熱が行われる場合、および暖房要求が有る場合は、ギヤ収容部流体Ogの温度に依らず、第1流路92mを流れる流体Oの流量を、第2流路92nを流れる流体Oの流量よりも多い流量に設定する。そのため、温度が大きく低下した流体Oが、ギヤ収容部6bの内部に流れ込むことをより好適に抑制できる。したがって、ギヤ収容部流体Ogの温度が低下することをより確実に抑制でき、駆動装置1の出力効率が低下することをより確実に抑制できる。
【0157】
以上に、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0158】
例えば、本実施形態では、制御部が第1判断部および第2判断部それぞれの判断結果に基づいて、第1バルブおよび第2バルブの動作を制御しているが、例えば、制御部は、第1判断部および第2判断部それぞれの判断結果に基づいて、インバータに第1バルブおよび第2バルブの動作に関する指令を伝達し、インバータが第1バルブおよび第2バルブの動作を制御してもよい。
【0159】
また、被加熱要素を加熱できるならば、冷媒流路の構成は、本実施形態に限定されず様々な構成を採用できる。例えば、第3回路を設けずに、バッテリを第2回路に配置してもよい。この場合、バッテリは、例えば、圧縮機と暖房用熱交換器の間に配置できる。また、この場合、熱交換器を設ける必要が無いため、冷媒流路の構成の簡略化および製造コストの低減を図ることができる。
【0160】
上述の実施形態では、第1バルブおよび第2バルブのいずれか一方を閉じ、他方を開く制御によって、第1流路および第2流路を流れる流体の流量を調整しているが、第1流路および第2流路を流れる流体の流量を調整する手法はこれに限定されない。例えば、第1バルブおよび第2バルブそれぞれの開状態と閉状態の比率を独立して変える制御によっても、第1流路および第2流路を流れる流体の流量を調整できる。また、第1バルブおよび第2バルブそれぞれの開度を独立して調整する制御によっても、第1流路および第2流路を流れる流体の流量を調整できる。この場合、第1流路および第2流路を流れる流体の流量を段階的または連続的に調整できるため、被加熱要素およびギヤ収容部流体の温度をより精度良く安定させることができる。
【0161】
上述の実施形態では、駆動装置の制御バルブを制御する第1制御部と、冷媒流路を制御する第2制御部とが、別々に設けられ、これらが互いに接続される場合について説明した。しかしながら、第1制御部、および第2制御部に代えて、これら機能を統合的に有する一つの制御部を有していてもよい。
【0162】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) モータと、前記モータの動力を伝達するギヤ部と、前記モータを内部に収容するモータ収容部および前記ギヤ部を内部に収容するギヤ収容部を有するハウジングと、前記モータを冷却するとともに、一部が前記ギヤ収容部の内部に貯留される流体と、前記流体が流れる流路と、前記流路に設けられ、前記流体を冷却するクーラと、前記流路に設けられる制御バルブと、前記制御バルブの開閉制御を行う制御部と、を備え、前記クーラには、前記流体の熱を被加熱要素に移動させる冷媒流路が接続され、前記流路は、前記モータ収容部から前記クーラに前記流体を送る第1流路と、前記モータ収容部から前記ギヤ収容部に前記流体を送る連通路と、前記ギヤ収容部から前記クーラに前記流体を送る第2流路と、前記クーラから前記モータ収容部に前記流体を送る第3流路と、を有し、前記制御バルブは、前記第1流路を流れる前記流体の流量および前記第2流路を流れる前記流体の流量を調整可能であり、前記制御部は、前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する第1判断部と、前記第1判断部の判断結果にしたがって、前記制御バルブの動作を制御する開閉制御部と、を有する、駆動装置。
(2) 前記第1判断部は、前記被加熱要素の温度と相関する第1温度を検知する第1センサを有する、(1)に記載の駆動装置。
(3) 前記第1センサは、前記冷媒流路のうち前記被加熱要素よりも下流側を流れる冷媒の温度を直接的または間接的に検出する、(2)に記載の駆動装置。
(4) 前記制御部は、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体に対する加熱の要否を判断する第2判断部を有し、前記開閉制御部は、前記第2判断部の判断結果にしたがって、前記制御バルブの動作を制御する、(1)から(3)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(5) 前記第2判断部は、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体の温度と相関する第2温度を検知する第2センサを有する、(4)に記載の駆動装置。
(6) 前記制御バルブは、前記第1流路に配置される第1バルブと、前記第2流路に配置される第2バルブと、を有する、(1)から(5)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(7) 前記ハウジングは、前記流体を貯留する流体貯留室と、前記モータ収容部の内部と前記流体貯留室とを繋ぐ第2連通路と、前記ギヤ収容部の内部と前記流体貯留室とを繋ぐ第3連通路と、前記流体貯留室と前記クーラの吸込口とを繋ぐクーラ流入流路と、を有し、前記第1流路は、前記モータ収容部、前記第2連通路、および前記クーラ流入流路を通る前記流体の経路であり、前記第2流路は、前記ギヤ収容部、第3連通路、および前記クーラ流入流路を通る前記流体の経路である、(1)から(6)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(8) 前記ハウジングは、前記モータ収容部の下部に前記流体を貯留する流体貯留部を有し、前記第1流路は、前記流体貯留部と繋がる、(1)から(7)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(9) 前記ハウジングは、断熱性を有する保温部を有し、前記保温部は、前記ギヤ収容部の下部に配置される、(1)から(8)のいずれか一項に記載の駆動装置。
(10) (1)から(9)のいずれか一項に記載の駆動装置と、前記冷媒流路と、前記被加熱要素と、を有する温度調整システム。
(11) (10)に記載の温度調整システムを有する、自動車。
(12) モータと、前記モータの動力を伝達するギヤ部と、前記モータを内部に収容するモータ収容部および前記ギヤ部を内部に収容するギヤ収容部を有するハウジングと、前記モータを冷却するとともに、一部がギヤ収容部の内部に貯留される流体と、前記流体が流れる流路と、前記流路に設けられ、前記流体を冷却するクーラと、前記流路に設けられる制御バルブと、前記制御バルブの開閉制御を行う制御部と、を備え、前記クーラには、前記流体の熱を被加熱要素に移動させる冷媒流路が接続され、前記流路は、前記モータ収容部から前記クーラに前記流体を送る第1流路と、前記モータ収容部から前記ギヤ収容部に前記流体を送る連通路と、前記ギヤ収容部から前記クーラに前記流体を送る第2流路と、前記クーラから前記モータ収容部に前記流体を送る第3流路と、を有し、前記制御バルブは、前記第1流路を流れる前記流体の流量および前記第2流路を流れる前記流体の流量のそれぞれを調整可能である、駆動装置において、前記制御部が前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する第1判断ステップと、前記制御部が前記第1判断ステップの判断結果に基づいて前記制御バルブの動作を制御する制御ステップと、を有する、廃熱マネジメント方法。
(13) 前記第1判断ステップにおいて、前記制御部は、前記被加熱要素の温度と相関する第1温度と、予め設定される第1目標温度とを比較して、前記被加熱要素に対する加熱の要否を判断する、(12)に記載の廃熱マネジメント方法。
(14) 前記制御部は、所定周期毎、又は、前記制御バルブの動作の制御時に、前記第1目標温度を設定する、(13)に記載の廃熱マネジメント方法。
(15) 前記第1判断ステップにおいて、前記第1温度が前記第1目標温度よりも高い場合、前記制御ステップにおいて、前記制御部は、前記第2流路を流れる流体の流量を、前記第1流路を流れる流体の流量よりも多い流量に設定する、(13)または(14)に記載の廃熱マネジメント方法。
(16) 前記第1判断ステップよりも前に、前記制御部が、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体に対する加熱の要否を判断するプレ判断ステップを有する、(13)から(15)のいずれか一項に記載の廃熱マネジメント方法。
(17) 前記プレ判断ステップにおいて、前記制御部は、前記ギヤ収容部の内部に貯留される前記流体の温度と相関する第2温度と、予め設定される第2目標温度とを比較して、前記ギヤ部の内部に貯留される前記流体に対する加熱の要否を判断する、(16)に記載の廃熱マネジメント方法。
(18) 前記制御部は、所定周期毎、又は、前記制御バルブの動作の制御調整時に、前記第2目標温度を設定する、(17)に記載の廃熱マネジメント方法。
(19) 前記プレ判断ステップにおいて、前記第2温度が前記第2目標温度よりも低い場合、前記制御ステップにおいて、前記制御部は、前記第2流路を流れる流体の流量を、前記第1流路を流れる流体の流量よりも多い流量に設定する、(17)または(18)に記載の廃熱マネジメント方法。
(20) 前記プレ判断ステップにおいて、前記第2温度が前記第2目標温度よりも高い場合、且つ、前記第1判断ステップにおいて、前記制御部が前記被加熱要素に対する加熱が必要と判断する場合、前記制御ステップにおいて、前記制御部は、前記第1流路を流れる流体の流量を、前記第2流路を流れる流体の流量よりも多い流量に設定する、(17)から(19)のいずれか一項に記載の廃熱マネジメント方法。
【符号の説明】
【0163】
1,201…駆動装置、2…モータ、3…ギヤ部、6,206…ハウジング、6a…モータ収容部、6b…ギヤ収容部、7…自動車、9…被加熱要素、40…第1制御部(制御部)、40a…開閉制御部、42…第1判断部、42a,242a…第1センサ、43…第2判断部、43a…第2センサ、45…制御バルブ、45a…第1バルブ、45b…第2バルブ、85…流体貯留室、90…流路、92a…第2連通路、92b…連通路、92c…第3連通路、92f…第3流路、92m…第1流路、92n…第2流路、92p…クーラ流入流路、97…クーラ、101,301,401…温度調整システム、265…保温部、C,C300,C400…冷媒流路、Mt1,Mt2…廃熱マネジメント方法、O…流体、P2…流体貯留部、R3…第3冷媒(冷媒)、S02…プレ判断ステップ、S03,S42…第1判断ステップ、S05,S44…制御ステップ、T1…第1温度、Tg1,Tg41…第1目標温度、T2…第2温度、Tg2…第2目標温度