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特開2024-42127生体管腔中でのカテーテルデリバリに用いる遠位スタビライザ、治療デバイスのデリバリシステム、及び治療デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042127
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】生体管腔中でのカテーテルデリバリに用いる遠位スタビライザ、治療デバイスのデリバリシステム、及び治療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20240321BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61F2/966
A61M25/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010388
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】521038773
【氏名又は名称】株式会社Bolt Medical
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 直希
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB26
4C267BB32
4C267BB40
4C267CC08
4C267EE01
4C267GG34
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】生体管腔の内壁への係止性能に優れ、カテーテルへのリシースを簡便に行える遠位スタビライザ等を提供する。
【解決手段】生体管腔中でのカテーテルデリバリに用いる遠位スタビライザ1であって、デリバリワイヤ2と、デリバリワイヤ2の遠位端21から延び、自己拡張力によって生体管腔の内壁に係止可能な係止ステント3とを備え、係止ステント3は、自由凸端42が遠位側D2にのみ突出するオープンセル部分41を有し、縮径状態で第1カテーテル5に収納された係止ステント3を第1カテーテル5から解放して内壁に係止させた状態で、第1カテーテル5よりも内径が大きい第2カテーテル6を含むカテーテルを遠位側D2へ前進させることを含むカテーテルデリバリ操作の後、遠位スタビライザ1を生体管腔外へと抜去するためにデリバリワイヤ2を近位側D1へ後退させると、係止ステント3が縮径して、カテーテル5,6,8のいずれかへとリシースされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔中でのカテーテルデリバリに用いる遠位スタビライザであって、
デリバリワイヤと、
前記デリバリワイヤの遠位端から延び、自己拡張力によって生体管腔の内壁に係止可能な係止ステントと、を備え、
前記係止ステントは、自由凸端が遠位側にのみ突出するオープンセル部分を有する本体部と、前記本体部の近位端を前記デリバリワイヤへ集束するアンテナと、を有し、
縮径状態で第1カテーテルに収納された前記係止ステントを前記第1カテーテルの遠位端から解放して前記内壁に係止させた状態で、前記第1カテーテルよりも内径の大きい第2カテーテルを含むカテーテルを遠位側へ前進させることを含むカテーテルデリバリ操作の後、前記遠位スタビライザを生体管腔外へと抜去するために前記デリバリワイヤを近位側へ後退させると、前記係止ステントが縮径して、前記カテーテルのいずれかへとリシースされる、
遠位スタビライザ。
【請求項2】
前記第2カテーテルを含むカテーテルの前進は、前記係止ステントを前記内壁に係止させた状態で前記デリバリワイヤを近位側へ引っ張る操作によって行う請求項1記載の遠位スタビライザ。
【請求項3】
前記係止ステントの解放は、前記第1カテーテルを近位側へと後退させる操作によって行う請求項1又は2記載の遠位スタビライザ。
【請求項4】
前記係止ステントは、内径が0.017インチ以下の前記第1カテーテルに適合する請求項1~3いずれか記載の遠位スタビライザ。
【請求項5】
前記本体部は、複数のセルが、前記係止ステントの長軸方向に対して螺旋状に並んだ構造を有する請求項1~4いずれか記載の遠位スタビライザ。
【請求項6】
前記係止ステントは、1個であり又は2個以上が直列配置されており、合計して5mm以上の有効長を有する請求項1~5いずれか記載の遠位スタビライザ。
【請求項7】
前記係止ステントは、放射線不透過性部分を有する請求項1~6いずれか記載の遠位スタビライザ。
【請求項8】
前記係止ステントは、前記本体部の周方向全体に亘って隙間を埋めるフィルタを有する請求項1~7いずれか記載の遠位スタビライザ。
【請求項9】
生体管腔中での治療デバイスのデリバリシステムであって、
請求項1~8いずれか記載の遠位スタビライザと、
前記第1カテーテル及び前記第2カテーテルを含む複数のカテーテルと、を備え、
前記複数のカテーテルのうち内径が第1カテーテルよりも大きい目的カテーテルを生体管腔中の標的位置に配置することで、前記目的カテーテル自体である又は前記目的カテーテルに内挿した治療デバイスを標的位置へとデリバリ可能とするために用いられるデリバリシステム。
【請求項10】
前記標的位置は、血管内径が0.5mm以上10mm以下の領域に位置する請求項9記載のデリバリシステム。
【請求項11】
生体管腔中での治療デバイスのデリバリシステムであって、
デリバリワイヤと、前記デリバリワイヤの遠位端から延び、自己拡張力によって生体管腔の内壁に係止可能な係止ステントと、を備える遠位スタビライザであって、前記係止ステントは、セル部分を有する本体部と、前記本体部の近位端を前記デリバリワイヤへ集束するアンテナと、を有する遠位スタビライザと、
小カテーテル、及び前記小カテーテルよりも内径が大きい大カテーテルを含む複数のカテーテルと、を備え、
縮径状態で前記小カテーテルに収納された前記係止ステントを前記小カテーテルの遠位端から解放して前記内壁に係止させた状態で、前記小カテーテルを生体管腔外へと抜去し、
前記大カテーテルを含む目的カテーテルを、前記デリバリワイヤに外挿した状態で遠位側へ前進させ、生体管腔中の標的位置に配置することで、前記目的カテーテル自体である又は前記目的カテーテルに内挿した治療デバイスを標的位置へとデリバリ可能とするために用いられるデリバリシステム。
【請求項12】
生体管腔中での治療デバイスのデリバリシステムであって、
デリバリワイヤと、前記デリバリワイヤの遠位端から延び、自己拡張力によって生体管腔の内壁に係止可能な係止ステントと、を備える遠位スタビライザであって、前記係止ステントは、セル部分を有する本体部と、前記本体部の近位端を前記デリバリワイヤへ集束するアンテナと、を有する遠位スタビライザと、
小カテーテル、及び前記小カテーテルよりも内径が大きい大カテーテルを含む複数のカテーテルと、を備え、
縮径状態で前記小カテーテルに収納された前記係止ステントを動脈瘤より遠位側の箇所で前記小カテーテルの遠位端から解放して前記内壁に係止させ、前記大カテーテルを含む目的カテーテルを、前記デリバリワイヤに外挿した状態で遠位側へ前進させ、生体管腔中の標的位置に配置することで、前記目的カテーテル自体である又は前記目的カテーテルに内挿した治療デバイスを標的位置へとデリバリ可能とするために用いられ、
前記標的位置は、動脈瘤又はその遠位側であるデリバリシステム。
【請求項13】
前記係止ステントは、クローズセル部分のみからなる、オープンセル部分のみからなる、又はクローズセル部分及びオープンセル部分を兼ね備える請求項11又は12記載のデリバリシステム。
【請求項14】
前記係止ステントは、前記本体部の周方向全体に亘って隙間を埋めるフィルタを有する請求項9~13いずれか記載のデリバリシステム。
【請求項15】
前記治療デバイスは、血栓吸引デバイス、フローダイバータ、動脈瘤塞栓デバイス、血栓除去デバイス、動脈瘤治療用ステント、頭蓋内動脈狭窄症治療用ステント、バルーンカテーテル、シャント、又は液体塞栓物質放出手段である請求項10~14いずれか記載のデリバリシステム。
【請求項16】
請求項10~15いずれか記載のデリバリシステムで生体管腔中の標的位置へデリバリして用いられる、生体管腔中での治療デバイス。
【請求項17】
前記標的位置へデリバリした後、生体管腔内で用いられ、又は生体管腔外へと突出して用いられる請求項16記載の治療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔中でのカテーテルデリバリに用いる遠位スタビライザ、治療デバイスのデリバリシステム、及び治療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の動脈等の生体管腔中にて、標的位置の近傍に遠位端が配置されたカテーテルの内部の通路を利用して、治療デバイスを標的位置へデリバリして治療デバイスによる治療や、カテーテル自体を治療デバイスとして使用した治療が行われている。
【0003】
このカテーテルは、治療デバイスを内挿可能な程に十分大きい又は治療デバイスとして機能するのに十分大きい内径(通路径)を有する必要がある。そのような比較的大きいサイズのカテーテル(目的カテーテル)を生体管腔中の標的位置の近傍へ配置する操作を簡易化するツールとして、目的カテーテルよりも細いカテーテル(マイクロカテーテル)及びこのカテーテルに内挿されるデリバリワイヤ(ガイドワイヤ又はプッシャーワイヤと呼ばれることもある)が常用される。典型的な操作は、デリバリワイヤを先行させ、これに外挿したマイクロカテーテルを標的位置の近傍へと誘導した後、マイクロカテーテルに外挿した目的カテーテルを標的位置の近傍へと誘導する、という手順である。
【0004】
ここで、例えば、高度に屈曲した蛇行血管の先に標的位置がある場合には、相対的に剛直な目的カテーテルが蛇行血管を越える際の力に対抗できるよう、デリバリワイヤを必要以上に遠位側へと配置せざるを得ない。しかし、この操作は、血管の穿孔、穿通枝(標的位置ではない分岐した細い動脈)へのデリバリワイヤの迷入、及び、穿通枝の穿孔による出血といったリスクを伴い得る。したがって、この手技によって治療する標的位置は、生体管腔の比較的に近位側の領域に制約されてきた。
【0005】
特許文献1には、デリバリワイヤの先端にステントが接合したアンカーデバイスが開示されている。このステントをマイクロカテーテルから押し出して拡張させると、血管内壁にデリバリワイヤがアンカリングされる。これによって、上記リスクの一部を軽減することができる。
【0006】
また、特許文献1に開示されるカテーテルシステムは、3個以上のカテーテルが望遠鏡状に挿入しあった構造を有する。先に血管内に配置された最も細いカテーテルに対して2番目に細いカテーテルを外挿させて前進させ、このカテーテルに対して3番目に細いカテーテルを外挿させて前進させるという手順を繰り返すことで、最も太いカテーテルを標的位置の近傍へとデリバリする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許9682216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ステントの構造について、特許文献1には、ジグザグ構造の全ワイヤの頂部同士を溶接したクローズセル構造が図示されている。しかし、クローズセル構造のステントは、高度に屈曲した蛇行血管等に対してキンクしやすく、十分には係止しにくい。
【0009】
一方、特許文献1には、鋭い屈曲に追従しやすい点で、ジグザグ構造のワイヤの頂部の一部を溶接せずに残したオープンセル構造を、ステントが有してもよいことも開示されている。しかし、オープンセル構造は、主に留置用ステントで従来採用されてきた事実に示されるように、カテーテルへのリシースが難しいのが技術常識である。事実、特許文献1に開示されるオープンセル構造のステントでは、カテーテルへのリシースが極めて困難である。
【0010】
また、特許文献1のような望遠鏡構造のカテーテルシステムの場合、最も太いカテーテルを使った治療デバイスのデリバリに限定されるため、デリバリすることが難しい標的位置が多く存在する。
【0011】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、生体管腔の内壁への係止性能に優れ、かつ、使用後にカテーテルへのリシースを簡便に行える遠位スタビライザ、この遠位スタビライザを備えた治療デバイスのデリバリシステム、及びこのシステムと併用される治療デバイスを提供することを目的とする。
【0012】
本発明は、生体管腔の内壁に係止可能な遠位スタビライザを備え且つ治療デバイスをデリバリ可能な標的位置の自由度を向上することができる治療デバイスのデリバリシステム、及びこのシステムと併用される治療デバイスを提供することを別の目的とする。
【0013】
本発明は、生体管腔の内壁に係止可能な遠位スタビライザを備え且つ治療デバイスを動脈瘤又はそれより遠位側にある標的位置に簡便にデリバリすることができる治療デバイスのデリバリシステム、及びこのシステムと併用される治療デバイスを提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、生体管腔中でのカテーテルデリバリに用いる遠位スタビライザであって、デリバリワイヤと、前記デリバリワイヤの遠位端から延び、自己拡張力によって生体管腔の内壁に係止可能な係止ステントと、を備え、前記係止ステントは、自由凸端が遠位側にのみ突出するオープンセル部分を有する本体部と、前記本体部の近位端を前記デリバリワイヤへ集束するアンテナと、を有し、縮径状態で第1カテーテルに収納された前記係止ステントを前記第1カテーテルの遠位端から解放して前記内壁に係止させた状態で、前記第1カテーテルよりも内径の大きい 第2カテーテルを含むカテーテルを遠位側へ前進させることを含むカテーテルデリバリ操作の後、前記遠位スタビライザを生体管腔外へと抜去するために前記デリバリワイヤを近位側へ後退させると、前記係止ステントが縮径して、前記カテーテルのいずれかへとリシースされる、遠位スタビライザに関する。
【0015】
上記発明において、前記第2カテーテルを含むカテーテルの前進は、前記係止ステントを前記内壁に係止させた状態で前記デリバリワイヤを近位側へ引っ張る操作によって行ってもよい。
【0016】
上記発明において、前記係止ステントの解放は、前記第1カテーテルを近位側へと後退させる操作によって行ってもよい。
【0017】
上記発明において、前記係止ステントは、内径が0.017インチ以下の前記第1カテーテルに適合するものであってもよい。
【0018】
上記発明において、前記本体部は、複数のセルが、前記係止ステントの長軸方向に対して螺旋状に並んだ構造を有するものであってもよい。
【0019】
上記発明において、前記係止ステントは、1個であり又は2個以上が直列配置されており 、合計して5mm以上の有効長を有するものであってもよい。
【0020】
本発明は、前記係止ステントは、放射線不透過性部分を有していてもよい。
【0021】
上記発明において、前記係止ステントは、前記本体部の周方向全体に亘って隙間を埋めるフィルタを有していてもよい。
【0022】
本発明は、生体管腔中での治療デバイスのデリバリシステムであって、前記遠位スタビライザと、前記第1カテーテル及び前記第2カテーテルを含む複数のカテーテルと、を備え、前記複数のカテーテルのうち内径が第1カテーテルよりも大きい 目的カテーテルを生体管腔中の標的位置に配置することで、前記目的カテーテル自体である又 は前記目的カテーテルに内挿した治療デバイスを標的位置へとデリバリ可能とするために用いられるデリバリシステムに関する。
【0023】
上記発明において、前記標的位置は、血管内径が0.5mm以上10mm以下の領域に位置していてもよい。
【0024】
本発明は、生体管腔中での治療デバイスのデリバリシステムであって、デリバリワイヤと、前記デリバリワイヤの遠位端から延び、自己拡張力によって生体管腔の内壁に係止可能な係止ステントと、を備える遠位スタビライザであって、前記係止ステントは、セル部分を有する本体部と、前記本体部の近位端を前記デリバリワイヤへ集束するアンテナと、を有する遠位スタビライザと、小カテーテル、及び前記小カテーテルよりも内径が大きい大カテーテルを含む複数のカテーテルと、を備え、縮径状態で前記小カテーテルに収納された前記係止ステントを前記小カテーテルの遠位端から解放して前記内壁に係止させた状態で、前記小カテーテルを生体管腔外へと抜去し、前記大カテーテルを含む目的カテーテルを、前記デリバリワイヤに外挿した状態で遠位側へ前進させ、生体管腔中の標的位置に配置することで、前記目的カテーテル自体である又は前記目的カテーテルに内挿した治療デバイスを標的位置へとデリバリ可能とするために用いられるデリバリシステムに関する。
【0025】
本発明は、生体管腔中での治療デバイスのデリバリシステムであって、デリバリワイヤと、前記デリバリワイヤの遠位端から延び、自己拡張力によって生体管腔の内壁に係止可能な係止ステントと、を備える遠位スタビライザであって、前記係止ステントは、セル部分を有する本体部と、前記本体部の近位端を前記デリバリワイヤへ集束するアンテナと、を有する遠位スタビライザと、小カテーテル、及び前記小カテーテルよりも内径が大きい大カテーテルを含む複数のカテーテルと、を備え、縮径状態で前記小カテーテルに収納された前記係止ステントを動脈瘤より遠位側の箇所で前記小カテーテルの遠位端から解放して前記内壁に係止させ、前記大カテーテルを含む目的カテーテルを、前記デリバリワイヤに外挿した状態で遠位側へ前進させ、生体管腔中の標的位置に配置することで、前記目的カテーテル自体である又は前記目的カテーテルに内挿した治療デバイスを標的位置へとデリバリ可能とするために用いられ、前記標的位置は、動脈瘤又はその遠位側であるデリバリシステムに関する。
【0026】
上記発明において、前記係止ステントは、クローズセル部分のみからなる、オープンセル部分のみからなる、又はクローズセル部分及びオープンセル部分を兼ね備えてよい。
【0027】
上記発明において、前記係止ステントは、前記本体部の周方向全体に亘って隙間を埋めるフィルタを有していてもよい。
【0028】
上記発明において、前記治療デバイスは、血栓吸引デバイス、フローダイバータ、動脈瘤塞栓デバイス、血栓除去デバイス、動脈瘤治療用ステント、頭蓋内動脈狭窄症治療用ステント、バルーンカテーテル、シャント、又は液体塞栓物質放出手段であってもよい。
【0029】
本発明は、前記デリバリシステムで生体管腔中の標的位置へデリバリして用いられる、生体管腔中での治療デバイスに関する。
【0030】
上記発明において、前記治療デバイスは、前記標的位置へデリバリした後、生体管腔内で用いられ、又は生体管腔外へと突出して用いられてよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、生体管腔の内壁への係止性能に優れ、かつ、使用後にカテーテルへのリシースを簡便に行うことができる。
本発明によれば、生体管腔の内壁に係止可能な遠位スタビライザを備え且つ治療デバイスをデリバリ可能な標的位置の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態の遠位スタビライザ1を示す模式的斜視図である。
図2】遠位スタビライザ1の係止ステント3が、仮想的に円柱形状物に外挿された状態を示す斜視図である。
図3】係止ステント3を仮想的に平面に展開して示す展開図である。
図4】係止ステント3が屈曲した状態を示す斜視図である。
図5】遠位スタビライザ1を含むデリバリシステム10による施術を順次示す模式図である。
図6図5の別の状態を示す模式図である。
図7図5の次の手順を示す模式図である。
図8図7の次の手順を示す模式図である。
図9図8の次の手順を示す模式図である。
図10図9の次の手順を示す模式図である。
図11図10の次の手順を示す模式図である。
図12図11の次の手順を示す模式図である。
図13図12の次の手順を示す模式図である。
図14図9の次の手順の別実施形態を示す模式図である。
図15図14の次の手順を示す模式図である。
図16図15の次の手順を示す模式図である。
図17図16の次の手順を示す模式図である。
図18図17の次の手順を示す模式図である。
図19図18の次の手順の別実施形態を示す模式図である。
図20図19の次の手順を示す模式図である。
図21図20の次の手順を示す模式図である。
図22】フィルタ32を有する係止ステント3Aを示す図である。
図23】遠位スタビライザを動脈瘤より遠位側の箇所で生体管腔の内壁に係止させた状態を示す図である。
図24図23の次の手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る遠位スタビライザ1及びデリバリシステム10の実施形態について説明する。なお、本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。本明細書等において、形状、幾何学的条件、これらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「方向」等の用語については、その用語の厳密な意味に加えて、ほぼ平行、ほぼ直交等とみなせる程度の範囲、概ねその方向とみなせる範囲を含む。本明細書では、施術時において施術者に近い近位側(近位方向)をD1といい、施術者から離れる遠位側(遠位方向)をD2として説明する。「~側」を、適宜に「~方向」ともいう。
【0034】
図1は、本発明の実施形態の遠位スタビライザ1を示す模式的斜視図である。図2は、遠位スタビライザ1の係止ステント3が、仮想的に円柱形状物に外挿された状態を示す斜視図である。図3は、係止ステント3を仮想的に平面に展開して示す展開図である。図4は、係止ステント3が屈曲した状態を示す斜視図である。
【0035】
デリバリシステム10は、生体管腔V中での治療デバイス7のデリバリのためのシステムである。治療デバイス7については、後述する。図1に示すように、デリバリシステム10は、遠位スタビライザ1と、第1カテーテル5、第2カテーテル6及び第3カテーテル8を含む複数のカテーテルと、を備える。
【0036】
遠位スタビライザ1は、生体管腔V中でのカテーテルのデリバリに用いるデバイスである。遠位スタビライザ1は、デリバリワイヤ2と、係止ステント3と、を備える。係止ステント3は、デリバリワイヤ2の遠位端21から延びており、自己拡張力によって生体管腔Vの内壁V1に係止可能なステントである。なお、生体管腔は、特に限定されず、脳、冠状、上下肢等の血管(動脈、静脈)、臓器等であってよい。
【0037】
デリバリワイヤ2は、係止ステント3を生体管腔V内で前進させる際には遠位側D2へ送り出され、係止ステント3を生体管腔V内で後退させる際には近位側D1へ引き込まれる。デリバリワイヤ2の径は、この操作を行うのに十分な物性を有し且つ第1カテーテルに適合する限りにおいて特に限定されず、例えば0.005~0.018インチであってよい。
【0038】
係止ステント3は、本体部4とアンテナ31とを有する。本体部4は、自由凸端42が遠位側D2にのみ突出するオープンセル部分41を有する。アンテナ31は、本体部4の近位端43をデリバリワイヤ2へ集束する部位である。
【0039】
係止ステント3は、図1のように1個であってもよいが、2個以上が直列配置されていてもよい。係止ステント3は、合計して5mm以上の有効長を有することが好ましい。なお、2個以上が直列配置される場合、各々の係止ステントの有効長は、特に限定されないが、例えば1~5mmであってよい。2個以上の直列配置の場合、デリバリワイヤ2が、近位側の係止ステントのアンテナから、遠位側に関して次の係止ステントのアンテナへと延在する。有効長は、一般的に本体部4の長さである。
【0040】
図1図4に示すように、本体部4は、略円筒形状であり、メッシュパターン構造を有する。本体部4は、複数のオープンセル部分41を含む複数のセル45が、係止ステント3の長軸方向LDに対して螺旋状に並んだ構造を有する。セル45とは、開口又は隔室ともいい、ステントのメッシュパターンを形成するワイヤ状のストラットで囲まれた部分をいう。オープンセル部分41は、セル45のうち、自由凸端42を有するセルである。本実施形態においては、全てのセル45がオープンセルである。自由凸端42は、例えば、略V字状、略U字状、略Ω字状等に突出する端部であり、この端部に別のストラットが繋がっていない端部である。自由凸端42の突出方向は、概して遠位側D2であればよく、長軸方向LD±90°未満の方向であり、4長軸方向LD±45°未満の方向であり、より好ましくは長軸方向LD±22.5°未満の方向である。自由凸端42は、他のストラットにより拘束されていないため、径方向(長軸方向LDに直交する方向)への変位や変形が拘束されにくい。
【0041】
オープンセル部分41は、閉鎖凸端46を有する。閉鎖凸端46は、全体視で突出する端部であるが、その端部に別のストラットが繋がっているため自由凸端を構成しない端部である。閉鎖凸端46の形状は、例えば、略V字状、略U字状、略Ω字状等である。閉鎖凸端46の突出方向は、概して近位側D1であればよく、長軸方向LD±90°未満の方向であり、好ましくは長軸方向LD±45°未満の方向であり、より好ましくは長軸方向LD±22.5°未満の方向である。このように、閉鎖凸端46は近位側D1へと突出するが、外方への跳ね上りがストラットによって抑制されるため、リシースの障害になりにくい。なお、本実施形態では閉鎖凸端46同士の間に自由凸端42が存在する。
【0042】
なお、セル45の全部がオープンセルである必要はなく、セル45がクローズドセルとオープンセルとを併有していてもよい。オープンセル部分を有する係止ステント3は、生体管腔によって屈曲させられるストラット部分が小さくなることから、係止される生体管腔(血管等)の形態を直線化しようとする力が、クローズセルのみからなる係止ステントに比べて低くなり、生体管腔に対して愛護的である。このため、高度に蛇行する又は損傷が致命的である生体管腔に係止ステント3を係止する場合、オープンセル部分を有する係止ステントは好適である。
【0043】
本体部4は、ステンレス鋼、又はタンタル、プラチナ、金、コバルト、ニッケル、チタン若しくはこれらの合金(例えばニッケルチタン合金)のような生体適合性を有する材料から形成されている。
【0044】
オープンセル部分41は、周方向に複数配列している。周方向に配列する複数のオープンセル部分41は、径方向に対して傾斜している。なお、周方向に配列する複数のオープンセル部分41は、径方向に対して傾斜していなくてもよい。
【0045】
係止ステント3は、放射線不透過性部分(図示せず)を有する。放射線不透過性部分は、放射線の不透過性が高い部分であり、そのため、放射線を照射したときに視認性が高い部分である。放射線不透過性部分は、係止ステント3の位置を確認するための目印となる。放射線は例えばX線である。放射線不透過性部分を形成する材料としては、例えば、白金、金、タンタル、プラチナ、タングステン、イリジウム、プラチナタングステンなど、及びこれらの合金材料が挙げられる。また、当該材料としては、放射線不透過性フィラー等を添加した放射線不透過性を有するポリマー材料が挙げられる。
【0046】
係止ステント3に放射線不透過性部分を設ける手段としては、以下が例示される。ひも状の放射線不透過性部材をストラットに巻き付ける又は沿わせる。コイル状の放射線不透過性部材を、ストラットの辺の途中や凸端に巻き付け、又はストラットに設けられる略L字形状の突部に挿入させて係合する(略L字形状の突部は互いに対向する一対でもよい)。ストラットの上に放射線不透過性材料をメッキ又は塗布等で積層させて、部材を形成する。放射線不透過性部分は、係止ステント3の全体に亘ってもよいし、あるいは本体部4の遠位端44や、本体部の長軸方向LDの中間部分の適所などに、部分的に設けられてもよい。
【0047】
カテーテルは、生体管腔V内に挿入される細長い筒状体からなる。カテーテルの遠位端近傍には、係止ステント3と同様に、放射線不透過性部分(図示せず)が設けられていてもよい。
【0048】
図1に示すように、デリバリワイヤ2には、第1カテーテル5が外挿される。第1カテーテル5は、例えば、マイクロカテーテルと呼ばれるカテーテルである。第1カテーテル5には、第2カテーテル6が外挿される。第1カテーテルの径は、後述の標的位置TP及びそこに至る経路の生体管腔Vの内径や屈曲度に応じて設定され、特に限定されないが、内径が好ましくは0.017インチ以下、より好ましくは0.0165インチ以下である。前述の係止ステントは、第1カテーテルに適合するように、セルの構造及び並び方、ストラットの素材及び径等が設計される。
【0049】
カテーテルとしては、必要に応じて、第2カテーテル6に外挿される他の1又は複数のカテーテル(図示せず)が用いられてもよい。一般的に、多くの数のカテーテルを用いることで、最終的に、内径の大きいカテーテルを生体管腔V内に挿入し、前進させることができる。
【0050】
カテーテルとしては、必要に応じて、第1カテーテル5(小カテーテル)よりも内径が大きい第3カテーテル(大カテーテル。後述の図15の符号8)が用いられてもよい。必要に応じて、第3カテーテルの外径より大きい内径を有する第2カテーテル6を併用してもよい。このような第3カテーテルは、生体管腔Vの遠位側へと前進させる操作が、内径がミリメートルオーダーのカテーテル(典型的には第2カテーテル)よりも簡易であり、遠位側の標的位置にデリバリしやすい。さらに、この第3カテーテルは、大サイズの治療デバイスをデリバリする性能、あるいは第3カテーテル自体を治療デバイスとして使用する性能が、第1カテーテルよりも優れている。この態様における第3カテーテルの内径は、特に限定されないが、0.017インチ以上(好ましくは0.017インチ超)、0.035インチ以下であってよい。なお、この段落に記載される第1カテーテル及び第3カテーテルを備えるカテーテルデリバリシステムにおいて、係止ステント3は、オープンセル構造を一部又は全部に備えてもよいが、備えなくてもよい。具体的には、この実施形態の係止ステントは、特許文献1に図示されるように、クローズセル構造のみからなる本体部と、アンテナとを有してもよい。
【0051】
第2カテーテル6を含む複数のカテーテルのうち内径が第1カテーテル1よりも大きいカテーテル(治療デバイスを内挿するのに十分な内径を有する、又は、それ自体を治療デバイスとして使用するのに十分な内径を有するカテーテル)を、目的カテーテル(前者はガイディングカテーテル、後者は血栓吸引カテーテルと呼ばれることもある)PCと呼ぶ。
【0052】
後述の図10図13では、第2カテーテル6が目的カテーテルPCである場合を例にして説明し、図16図21では、第3カテーテル8が目的カテーテルPCである場合を例にして説明する。
【0053】
遠位スタビライザ1は、縮径状態で第1カテーテル5に収納された係止ステント3を第1カテーテル5の遠位端51から解放して内壁V1に係止させた状態で、第1カテーテル5よりも内径が大きいカテーテル(例えば第2カテーテル6)を遠位側D2へ前進させることを含むカテーテルデリバリ操作の後、遠位スタビライザ1を生体管腔Vの外へと抜去するためにデリバリワイヤ2を近位側D1へ後退させると、係止ステント3が縮径して、カテーテルのいずれかへとリシースされる(resheathe。収納される)。なお、係止ステント3を内壁V1に係止させた後に遠位側D2へと前進させるカテーテルは、第1カテーテル5よりも内径が大きいカテーテルのみでなくてもよく、第1カテーテル5そのもの、あるいは第1カテーテル5と内径が同等又はそれ以下のカテーテルを含んでいてもよい。
【0054】
次に、実施形態の遠位スタビライザ1及びデリバリシステム10を用いて、所望の治療デバイス7を標的位置TPへデリバリ(配送)する施術の一部の手順について説明する。生体管腔Vは、血管である。特に、実施形態の遠位スタビライザ1及びデリバリシステム10は、血管に、高度に屈曲した蛇行血管が含まれる場合に好ましく適用され、また、標的位置TPが血管内径7mm以下、具体的には2.5mm未満(好ましくは2.0mm以下、又は1.5mm以下)の領域に位置する場合に好ましく用いられる。具体的に、標的位置TPは、中大脳動脈(MCA)のM2以降の領域(M2、M3、M4等)、前大脳動脈(ACA)のA1、A2領域、後大脳動脈(PCA)のP1以降の領域(P1、P2等)、内頚動脈(ICA)等であってもよい。ただし、標的位置TPは、これらに限定されず、血管内径0.5~10mmの幅広い範囲の領域に位置してよい。
【0055】
施術としては、以下の説明以外にも種々の作業が行われるが、ここでは説明を省略する。図5図12は、遠位スタビライザ1を含むデリバリシステム10による施術の第1の例を順次示す模式図である。
【0056】
まず、患者の生体管腔Vの近位側D1に第2カテーテル6を配置する。典型的には、図5及び6に示すように、第2カテーテル6は、その遠位端61が生体管腔Vの屈曲部位や分岐部位にひっかかり、それ以上に遠位側へと前進させるのが難しい。このような第2カテーテル6に対し、図7に示すように、第1カテーテル5を内挿して生体管腔V内に送り込み、第2カテーテル6の遠位端61から押し出した後、第1カテーテル5の遠位端51を標的位置TPの近傍に配置させる。続いて、図8に示すように、第1カテーテル5に遠位スタビライザ1を内挿して、標的位置TPの近傍に配置させる。このとき、遠位スタビライザ1の係止ステント3は、縮径状態で第1カテーテル5に収納されている。なお、図8において、遠位スタビライザ1は、第1カテーテル5の全域に亘って収納されているが、便宜上、第1カテーテル5の遠位側のみ、遠位スタビライザ1を破線で図示している。
【0057】
次に、図9に示すように、縮径状態で第1カテーテル5に収納された係止ステント3を第1カテーテル5の遠位端51から解放させる。係止ステント3の解放は、第1カテーテル5を近位側D1へと後退させる操作によって行われる。第1カテーテル5の遠位端51から解放された係止ステント3は、その自己拡張力により自己拡張し、生体管腔Vの内壁V1を内側から外側に向けて押し、内壁V1に係止する。係止ステント3は、自由凸端42が突出するオープンセル部分41を有するため、強い係止力で、内壁V1に係止することができる。
【0058】
続いて、図10に示すように、第1カテーテル5に外挿させるようにして、第2カテーテル6を生体管腔V内の遠位側D2へ前進させる。第2カテーテル6は、その外径が太く且つその剛性(コシ)が大きい。そのため、第2カテーテル6は、前進する過程で、剛性に劣る第1カテーテル5及びデリバリワイヤ2を近位側へと引きずりこむ力を幾度も与えることになる。しかし、係止ステント3が内壁V1に強く係止されているため、第2カテーテル6の引きずり込む力に対抗して、第1カテーテル5及びデリバリワイヤ2を設置位置に留めることができる。
【0059】
それにもかかわらず、剛性が大きい第2カテーテル6は、生体管腔Vの屈曲の激しい箇所や内径が小さい箇所を通過できず、第1カテーテル5の遠位端51の位置まで前進することができない場合がある。この場合、第2カテーテル6の遠位端61の位置は、第1カテーテル5の遠位端51の位置よりも、近位側D1に位置する。また、第2カテーテル6は、その剛性が大きいため、生体管腔V内を大きく蛇行してしまう。そのため、第2カテーテル6の経路長が長くなる。経路長は、生体管腔V内のある位置までに到達するまでの経路の長さである。経路長は、経路が直線状の場合に最短となるが、生体管腔Vは、通常、直線状ではないため、経路は屈曲を繰り返す(蛇行する)。経路が直線状に近いほど、経路長は短くなる。
【0060】
このようなとき、図10に示すように、係止ステント3を内壁V1に係止させた状態でデリバリワイヤ2を近位側D1へ引っ張ることができる。この引っ張り操作により、図11に示すように第2カテーテル6は、遠位側D2へ前進する。係止ステント3を内壁V1に係止させた状態でデリバリワイヤ2を近位側D1へ引っ張ると、生体管腔V内において、デリバリワイヤ2の経路は直線状に近づこうとして、短くなる。このときに、第2カテーテル6の近位側D1の部分を直接的に又は間接的に保持しておくと、第2カテーテル6の近位側D1の部分の位置が変わらないため、その代わりに、第2カテーテル6の遠位端61が生体管腔V内を前進する。また、第2カテーテル6の近位側の部分の位置が変わらずに、第2カテーテル6の遠位端61が生体管腔V内を前進すると、第2カテーテル6の経路は直線状に近づく。この操作は、第2カテーテル6が通過しにくい箇所、例えば生体管腔Vの屈曲の激しい箇所や内径が小さい箇所、を通過させようとするときに特に有益である。
【0061】
このようにして第2カテーテル6のデリバリを終えた後、図12に示すように、遠位スタビライザ1を近位側D1へ後退させ、カテーテルに収納する。遠位スタビライザ1を第1カテーテル5に収納した後、第1カテーテル5及び遠位スタビライザ1を第2カテーテル6の近位側D1から抜去させてもよい。あるいは、第1カテーテル5を近位側D1から抜去させた後、遠位スタビライザ1を第2カテーテル6に収納して近位側D1から抜去させてもよい。
【0062】
ここで、本体部4の近位端43がアンテナ31によってデリバリワイヤ2へ集束し、かつ、遠位スタビライザ1の係止ステント3のオープンセル部分41の自由凸端42は、遠位側D2にのみ突出しているため、カテーテル、特に内径の小さい第1カテーテル5への収納過程において、係止ステント3はカテーテルの遠位側の開口部に引っ掛からず、スムーズに収納されやすい。
【0063】
次に、図13に示すように、第2カテーテル6を生体管腔V中の標的位置TPに配置することで、第2カテーテル6に内挿した治療デバイス7を標的位置TPへ容易にデリバリ可能である。また、第2カテーテル6又は第3カテーテル自体を治療デバイスとして使用してもよい。例えば第2カテーテル6を血栓吸引デバイスとして使用する場合、第2カテーテル6の内部流路を負圧にすることで、遠位端61から標的位置TPの血栓を吸引除去する。なお、遠位スタビライザ1の抜去は、治療デバイス7のデリバリの前に限らず、後であってもよい。後者の場合、第2カテーテル6は、遠位スタビライザ1及び第1カテーテル5が挿通されるルーメンと、治療デバイス7が挿通されるルーメンとの二重以上の構造を有する。
【0064】
治療デバイス7は、例えば、血栓吸引デバイス、フローダイバータ、動脈瘤塞栓デバイス、血栓除去デバイス(ステントリトリーバ等)、動脈瘤治療用ステント、頭蓋内動脈狭窄症治療用ステント、バルーンカテーテル、シャント、又は液体塞栓物質放出手段(液体塞栓物質を通すルーメンを備えたカテーテル等)である。本発明によれば、これらの治療デバイスを、前述した血管内径0.5mm~10mm、好ましくは7mm以下、具体的には2.5mm未満(好ましくは2.0mm以下、又は1.5mm以下)の領域にも経カテーテル的にデリバリでき、これらの領域での疾患又は状態(血管閉塞、血管瘤等)を患者への小さな負担で、治療又は改善することができる。なお、標的位置TPにデリバリした治療デバイス7は、生体管腔内で使用されてもよいし(血栓吸引デバイス、フローダイバータ、動脈瘤塞栓デバイス、血栓除去デバイス、動脈瘤治療用ステント、頭蓋内動脈狭窄症治療用ステント、バルーンカテーテル、又は液体塞栓物質放出手段等)、生体管腔外へ突出して使用されてもよい(シャント等)。本発明は、デリバリシステム10で生体管腔V中の標的位置TPへ治療デバイス7をデリバリし、生体管腔V内の標的位置TP又は標的位置TPから生体管腔V外へ突出させて治療デバイス7を利用した治療行為を行う方法も包含する。
【0065】
本実施形態によれば、例えば、以下の効果が奏される。
【0066】
実施形態の遠位スタビライザ1は、デリバリワイヤ2と、デリバリワイヤ2の遠位端21から延び、自己拡張力によって生体管腔Vの内壁V1に係止可能な係止ステント3と、を備える。係止ステント3は、自由凸端42が遠位側D2にのみ突出するオープンセル部分41を有する本体部4と、本体部4の近位端43をデリバリワイヤ2へ集束するアンテナ31と、を有する。実施形態の遠位スタビライザ1は、縮径状態で第1カテーテル5に収納された係止ステント3を第1カテーテル5の遠位端51から解放して内壁V1に係止させた状態で、第1カテーテル5に外挿された第2カテーテル6を遠位側D2へ前進させることを含むカテーテルデリバリ操作の後、遠位スタビライザ1を生体管腔V外へと抜去するためにデリバリワイヤ2を近位側D1へ後退させると、係止ステント3が縮径して、カテーテル5,6のいずれかへとリシースされる。
【0067】
そのため、実施形態の遠位スタビライザ1によれば、オープンセル部分41を有するため、生体管腔Vの内壁V1への係止性能に優れる。また、自由凸端42が遠位側にのみ突出しているため、カテーテルデリバリ操作の後、遠位スタビライザ1を生体管腔V外へと抜去するためにデリバリワイヤ2を近位側D1へ後退させる際に、カテーテル5,6のいずれかへ遠位スタビライザ1のリシース性が大幅に向上する。そのため、係止ステント3は、内径が小さいマイクロカテーテル(例えば、内径が0.017インチ以下、好ましくは0.0165インチ以下の第1カテーテル5)に適合することができる。その結果、これまで実現できないとされていた末梢血管へ、カテーテル、ひいては治療デバイスをデリバリすることができる。なお、係止ステント3が適合する第1カテーテル5の内径は特に限定されず、0.017インチ超であってもよい。また、実施形態の遠位スタビライザ1は、オープンセル部分41を有し、生体管腔に対して愛護的である点でも、末梢血管等の高度に蛇行する又は損傷が致命的な箇所への係止に好適である。
【0068】
実施形態の遠位スタビライザ1においては、第2カテーテル6の前進は、係止ステント3を内壁V1に係止させた状態でデリバリワイヤ2を近位側D1へ引っ張る操作によって行う。そのため、実施形態の遠位スタビライザ1によれば、デリバリワイヤ2及びその外側のカテーテル5,6が最短距離の経路を描くように配置され、結果的に余った距離だけカテーテル5,6が遠位側D2へと動くようになる。
【0069】
実施形態の遠位スタビライザ1においては、係止ステント3の解放は、第1カテーテル5を近位側D1へと後退させる操作によって行う。そのため、実施形態の遠位スタビライザ1によれば、施術者は、遠位側D2に突出する自由凸端42が生体管腔Vの内壁V1に刺さることを抑制しつつ、係止ステント3を第1カテーテル5から解放させることができる。
【0070】
実施形態の遠位スタビライザ1においては、本体部4は、複数のセル45が、係止ステント3の長軸方向LDに対して螺旋状に並んだ構造を有する。そのため、実施形態によれば、生体管腔Vの屈曲に対して遠位スタビライザ1は追従しやすい。遠位スタビライザ1を屈曲の強い箇所に係止させれば、屈曲の弱い箇所に係止させるときよりも高い係止力を発現することができる。屈曲の強い箇所は生体管腔Vの末梢側に頻繁に存在するところ、本実施形態の遠位スタビライザ1は内径の小さいマイクロカテーテルに適合するため、屈曲の強い箇所へとデリバリしやすい点でも有利である。
【0071】
実施形態の遠位スタビライザ1においては、係止ステント3は、5mm以上の合計有効長を有する。そのため、実施形態の遠位スタビライザ1によれば、係止ステント3の有効長が大きいことで、生体管腔Vの内壁V1への係止ステント3の係止力を発現しやすい。また、有効長が大きくなるにつれ、カテーテルへの係止ステント3のリシースが難しくなるところ、実施形態の係止ステント3の構造であれば、そのデメリットを回避することができる。この観点で、係止ステント3の合計有効長は、7.5mm以上、10mm以上、又は12.5mm以上であってよい。一方、係止ステント3の合計有効長は、過大であるとカテーテル内での摺動性が悪くなり、操作性を低下させ得るため、45mm以下であることが好ましく、より好ましくは40mm以下、30mm以下、又は25mm以下である。
【0072】
以下、第1実施形態とは異なる実施形態を説明するが、共通する態様についての説明を一部省略する。
【0073】
実施形態の遠位スタビライザ1においては、係止ステント3は、放射線不透過性部分を有する。そのため、実施形態の遠位スタビライザ1によれば、係止ステント3の位置決めは容易である。
【0074】
次に、図14図18を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。図14は、図9の次の手順の別実施形態を示す模式図である。図14に示すように、係止ステント3を内壁V1に係止させた後、第1カテーテル5(小カテーテル)を近位側D1へ後退させ、抜去する。
【0075】
次に、図15に示すように、デリバリワイヤ2に外挿された第2カテーテル6(大カテーテル)を生体管腔V内の遠位側D2へ前進させる。係止ステント3が内壁V1に強く係止されているため、第2カテーテル6の引きずり込む力に対抗して、デリバリワイヤ2を設置位置に留めることができる。
【0076】
次に、図16に示すように、第3カテーテル8(大カテーテル)を、デリバリワイヤ2に外挿し、且つ、第1カテーテル5が内挿されていない状態の第2カテーテル6に対して内挿する。この状態を維持しながら、第3カテーテル8を、遠位端61から押し出して標的位置TPへとデリバリする。このとき、第3カテーテル8は、剛性の強い第2カテーテル6に支持されることで遠位端61まで簡便にデリバリすることができ、また、遠位端61から押し出された後も、係止ステント3による強い係止力で強く位置決めされたデリバリワイヤ2に支持されることで標的位置TPまで簡便にデリバリすることができる。なお、第3カテーテル8の外径は、第2カテーテル6の内径及び外径よりも小さい。このため、標的位置TP又はそこに至る途中に、屈曲の激しい又は径の小さい箇所が生体管腔に存在する場合、第2カテーテル6よりも第3カテーテル8の方が標的位置TPにデリバリしやすい。
【0077】
その後、図17に示すように、デリバリワイヤ2を近位側D1へ後退させて、係止ステント3を第3カテーテル8に縮径させてリシースし、遠位スタビライザ1を生体管腔外へと抜去する。
【0078】
次に、図18に示すように、治療デバイス7を、第3カテーテル8に内挿し、遠位端81から押し出すことで、標的位置TPにデリバリする。第3カテーテル8の内径が第1カテーテル5の内径よりも大きいため、デリバリ可能な治療デバイス7のサイズの自由度が高い。これにより、症状に最適化されたフローダイバータまたは動脈瘤塞栓デバイス等の治療デバイスを使った治療行為を行うことができる。また、第3カテーテル自体を治療デバイスとして使用してもよい。
【0079】
なお、遠位スタビライザ1の抜去は、治療デバイス7のデリバリの前に限らず、後であってもよい。後者の場合、第3カテーテルは、遠位スタビライザ1が挿通されるルーメンと、治療デバイス7が挿通されるルーメンとの二重以上の構造を有する。
【0080】
また、第1カテーテル抜去後に第2カテーテルの標的位置TP近傍への前進操作を有しない点で第2実施形態と異なるシステムは、本発明の第3実施形態である。
【0081】
まず、第1カテーテル5(小カテーテル)の遠位端51を標的位置TPの近傍に配置させる(図7)。
【0082】
続いて、第1カテーテル5に遠位スタビライザ1を内挿して、標的位置TPの近傍に配置させる(図8)。
【0083】
次に、縮径状態で第1カテーテル5に収納された係止ステント3を第1カテーテル5の遠位端51から解放させる。係止ステント3の解放は、第1カテーテル5を近位側D1へと後退させる操作によって行われる(図9)。
【0084】
係止ステント3を内壁V1に係止させた後、第1カテーテル5を近位側D1へ後退させ、抜去する(図14)。
【0085】
次に、図19に示すように、第3カテーテル8(大カテーテル)を、デリバリワイヤ2に外挿して標的位置TPへとデリバリする。このとき、第3カテーテル8は、係止ステント3による強い係止力で強く位置決めされたデリバリワイヤ2に支持されることで、標的位置TPまで簡便にデリバリすることができる。
【0086】
このとき、係止ステント3を内壁V1に係止させた状態でデリバリワイヤ2を近位側D1へ引っ張ることができる。この引っ張り操作により、第3カテーテル8は、遠位側D2へ前進する。この操作は、第3カテーテル8が通過しにくい箇所、例えば生体管腔Vの屈曲の激しい箇所や内径が小さい箇所、を通過させようとするときに特に有益である。その後、図20に示すように、デリバリワイヤ2を近位側D1へ後退させて、係止ステント3を第3カテーテル8に縮径させてリシースし、遠位スタビライザ1を生体管腔外へと抜去する。
【0087】
続いて、治療デバイス7を、第3カテーテル8に内挿し、遠位端81から押し出すことで、標的位置TPにデリバリする(図21)。また、第3カテーテル自体を治療デバイスとして使用してもよい。
【0088】
なお、遠位スタビライザ1の抜去は、治療デバイス7のデリバリの前に限らず、後であってもよい。後者の場合、第2カテーテルは、遠位スタビライザ1が挿通されるルーメンと、治療デバイス7が挿通されるルーメンとの二重以上の構造を有する。
【0089】
また、係止ステント3をリシースするカテーテルは、第3カテーテル8に限らず、新たに生体管腔中に挿入した第4カテーテルであってもよい。第4カテーテルは、第1カテーテルの内径よりも大きくてもよいが、同等又はそれ以下であってもよい。後者において、第4カテーテルは第1カテーテル自体であり得る。
【0090】
係止ステントがフィルタ機能を有する点において、第2~第3実施形態と異なるシステムは、本発明の第4実施形態である。第4実施形態に係る係止ステント3Aについては、前記係止ステント3に関する説明が適宜流用又は援用される。
【0091】
図22に示すように、係止ステント3Aは、本体部4の周方向全体に亘って隙間を埋めるフィルタ32を更に有する。フィルタ32は、水不透過性の疎水性材料(例えば、PTFE等のフッ素系樹脂)からなり、かつ、固形物(後述のデブリスDB等)も血液も通さないサイズ(例えば0~100μm径)、または固形物を通さず血液を通すサイズ(例えば30μm~100μm径)の孔が多数形成されている。孔径が0μmとは、孔が無いことを意味する。
【0092】
このような係止ステント3Aを標的位置TPより遠位側D2の位置に係止させた状態で、治療デバイス7(バルーンや留置ステント等の狭窄治療デバイス)を、狭窄が生じている標的位置TPに経カテーテル的にデリバリする。デリバリの手順は、特に限定されないが、第3実施形態の図19までの手順と同様であってよい。
【0093】
その後、係止ステント3Aを抜去せずに係止させたまま、治療デバイス7を標的位置TPで使用する。このとき、狭窄を構成する生体物質の一部が破砕して形成されたデブリスDBが、血流にのって遠位側D2へと流され、有害事象を生じるおそれがある。しかし、本実施形態では、標的位置TPよりも遠位側D2にフィルタ機能(フィルタ32)を有する係止ステント3Aが位置しているため、血流を止めることなくデブリスDBを捕捉することができる。
【0094】
その後、デリバリワイヤ2を近位側D1へ後退させて、係止ステント3Aをカテーテルに縮径させてリシースし、捕捉したデブリスDBとともに遠位スタビライザ1Aを生体管腔外へと抜去することができる。あるいは、デリバリワイヤ2から係止ステント3Aを分離し、生体管腔V内に留置することもできる。なお、係止ステント3Aの分離手法は、特に限定されず、従来公知の手段(電気導通による加熱、物理的力等で結合構造を破壊する)で行うことができる。
【0095】
次に、図23及び図24を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。ただし、第1~第4実施形態とは異なる実施形態を主に説明し、共通する態様についての説明を一部省略する。第5実施形態の遠位スタビライザ1は、縮径状態で小カテーテル(本実施形態では、第1カテーテル5)に収納された係止ステント3を動脈瘤ANより遠位側の箇所で小カテーテルの遠位端から解放して内壁V1に係止させ、大カテーテルを含む目的カテーテルを、デリバリワイヤ2に外挿した状態で遠位側D2へ前進させ、生体管腔V中の標的位置TPに配置することで、目的カテーテル自体である又は目的カテーテルに内挿した治療デバイスを標的位置TPへとデリバリ可能とするために用いられる。標的位置TPは、動脈瘤AN又はその遠位側である。
【0096】
図23に示すように、係止ステント3を動脈瘤ANより遠位側D2の箇所で生体管腔Vの内壁V1に係止させる。係止箇所より近位側D1において、生体管腔Vである血管(特に限定されないが、典型的には、蛇行性の大きい脳血管等)内に動脈瘤ANが存在すると、この動脈瘤ANにデリバリワイヤ2や第1カテーテル5が入り込むことで、意図する方向への先進性を失い、第1カテーテルより5も内径の大きいカテーテル(第2カテーテルや第3カテーテル等)のデリバリ性能が著しく低下し得る。
【0097】
そこで、図24に示すように、係止ステント3を内壁V1に係止させた状態でデリバリワイヤ2を近位側D1へ引っ張ることで、生体管腔V内でのデリバリワイヤ2の経路が短くなり、デリバリワイヤ2や第1カテーテル5が動脈瘤ANの中から生体管腔Vへと戻すことができる。これにより、意図する方向への先進性を回復し、第1カテーテル5よりも内径の大きいカテーテル(第2カテーテルや第3カテーテル等)を、動脈瘤AN又はその遠位側D2にある標的位置TPへと簡便に配置することができる。
【0098】
標的位置TPが動脈瘤ANである場合、上述の引っ張り操作を適切に行い、必要に応じてその後の前進操作を適切に行うことで、デリバリワイヤ2や第1カテーテル5を動脈瘤ANの開口部AN1(図23参照)に沿わせることができる。この状態で、第1カテーテル5よりも内径の大きい目的カテーテル(第2カテーテルや第3カテーテル等)を動脈瘤ANの開口部AN1に沿って配置し、その後、目的カテーテルに内挿した治療デバイスを動脈瘤ANへデリバリする。
【0099】
なお、第1~第5実施形態において、第1カテーテル~第4カテーテルは、各々が独立して、ワイヤが挿通されるルーメンが遠位端から近位端まで延びるタイプ(いわゆるオーバーザワイヤ型)であっても、上記ルーメンが遠位端から近位端の途中から側面へと延びるタイプ(いわゆるラピッドエクスチェンジ型)であってもよい。
【0100】
特に限定されないが、デリバリ操作の簡便性の観点で、第3カテーテル8がラピッドエクスチェンジ型の場合、少なくとも第1カテーテル5及び第2カテーテル6はラピッドエクスチェンジ型であることが好ましい。また、第3カテーテル8がオーバーザワイヤ型の場合、第1カテーテル5及び第2カテーテル6は各々独立してオーバーザワイヤ型又はラピッドエクスチェンジ型であってよい。
【0101】
なお、第2~第5実施形態に係るカテーテル及び治療デバイスのデリバリシステムにおいて、係止ステント3は、クローズセル構造のみからなる本体部と、アンテナとを有してもよい。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。
【符号の説明】
【0103】
1 遠位スタビライザ
2 デリバリワイヤ
21 遠位端
3 係止ステント
31 アンテナ
4 本体部
41 オープンセル部分
42 自由凸端
43 近位端
45 セル
5 第1カテーテル
51 遠位端
6 第2カテーテル
7 治療デバイス
8 第3カテーテル
10 デリバリシステム
D1 近位側
D2 遠位側
LD 長軸方向
PC 目的カテーテル
TP 標的位置
V 生体管腔
V1 内壁
図1
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