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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044620
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】油性化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240326BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240326BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20240326BHJP
   A61Q 3/04 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/39
A61K8/86
A61Q1/14
A61Q3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150259
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】石井 さやか
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC482
4C083AC642
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD662
4C083BB04
4C083CC24
4C083CC29
4C083DD23
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】粘度の調整が容易であり、且つ保存安定性に優れる油性化粧料を提供する。
【解決手段】成分A:成分A1および成分A2を含むエステル油と、成分B:成分B1、成分B2、および成分B3を含むノニオン性界面活性剤と、成分C:多価アルコールとを含有し、質量比[B3/B1]は2.0~10.0であり、成分B1~B3の合計の含有割合は20.0~50.0質量%である、油性化粧料。
成分A1:一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステル
成分A2:炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステル
成分B1:炭素数8~14の脂肪酸と平均重合度3~10のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~5であるエステル
成分B2:炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が4~6であるエステル
成分B3:炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~3であるエステル
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、下記成分B、および下記成分Cを含有し、
成分B1の含有量に対する成分B3の含有量の質量比[B3/B1]は2.0~10.0であり、
成分B1、成分B2、および成分B3の合計の含有割合は20.0~50.0質量%である、油性化粧料。
成分A:下記成分A1および下記成分A2を含むエステル油
成分A1:一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステル
成分A2:炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステル
成分B:下記成分B1、下記成分B2、および下記成分B3を含むノニオン性界面活性剤
成分B1:炭素数8~14の脂肪酸と平均重合度3~10のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~5であるエステル
成分B2:炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が4~6であるエステル
成分B3:炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~3であるエステル
成分C:多価アルコール
【請求項2】
さらに、下記成分Dを含有する請求項1に記載の油性化粧料。
成分D:高級アルコール
【請求項3】
成分B2の含有割合が0.5~5.0質量%である請求項1または2に記載の油性化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイク汚れを除去する油性化粧料として、クレンジング効果(いわゆる、メイク汚れの除去効果)に優れる観点から、従来から油性化粧料である油性クレンジング化粧料が汎用されている。これまでに、油性クレンジング化粧料のクレンジング力の向上や、使用感を向上させる試みがなされている(特許文献1等)。
【0003】
一方、マスカラなどのメーキャップ化粧料においては、化粧くずれの抑制を目的に耐水性を向上させる改良が行われている。それに伴い、除去の困難性も向上している。そこで、マスカラなどの部分的に行うメーキャップ化粧料の除去には、メーキャップ領域全体(顔全体)を対象とする油性クレンジング化粧料とは別に、ポイントメイク(マスカラ、アイライン、アイシャドウ、リップなど)用の油性クレンジング化粧料(マスカラリムーバー、アイメイクアップリムーバー、リップリムーバーなど)を用いることが一般的となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-66623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのポイントメイク用の油性クレンジング化粧料には、優れたクレンジング力に加え、適用時において各メイク部位でたれ落ち難い粘度を有することが求められる。油性クレンジング化粧料に粘度を付与する手段として、粘度の高い油剤や増粘剤を配合する手段が考えられる。
【0006】
しかしながら、従来の油性クレンジング化粧料において、粘度の高い油剤や増粘剤を配合する手段では目的の粘度に調整することが困難であった。粘度向上のためのその他の手段として、油性クレンジング化粧料に含まれる界面活性剤の配合量を増やすことが考えられる。しかしながら、界面活性剤の配合量を増やすと油性クレンジング化粧料の保存安定性が低下するという問題ある。
【0007】
従って、本発明の目的は、粘度の調整が容易であり、且つ保存安定性に優れる油性化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のエステル油、特定のノニオン性界面活性剤、および多価アルコールを組み合わせて用いることにより、粘度の調整が容易であり、且つ保存安定性に優れる油性化粧料が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、下記成分A、下記成分B、および下記成分Cを含有し、
成分B1の含有量に対する成分B3の含有量の質量比[B3/B1]は2.0~10.0であり、
成分B1、成分B2、および成分B3の合計の含有割合は20.0~50.0質量%である、油性化粧料を提供する。
成分A:下記成分A1および下記成分A2を含むエステル油
成分A1:一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステル
成分A2:炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステル
成分B:下記成分B1、下記成分B2、および下記成分B3を含むノニオン性界面活性剤
成分B1:炭素数8~14の脂肪酸と平均重合度3~10のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~5であるエステル
成分B2:炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が4~6であるエステル
成分B3:炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~3であるエステル
成分C:多価アルコール
【0010】
上記油性化粧料は、さらに、下記成分Dを含有することが好ましい。
成分D:高級アルコール
【0011】
成分B2の含有割合は0.5~5.0質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の油性化粧料は、粘度の調整が容易であり、且つ保存安定性に優れる。このため、適用部位等の使用状況に応じた適度な粘度を有しながら、保存安定性に優れる油性化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の油性化粧料は、一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステルおよび炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステルを含むエステル油を含む。なお、本明細書において、一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステルを「成分A1」、炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステルを「成分A2」とそれぞれ称する場合がある。そして、成分A1および成分A2を含む上記エステル油を「成分A」と称する場合がある。
【0014】
また、本発明の油性化粧料は、炭素数8~14の脂肪酸と平均重合度3~10のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~5であるエステルと、炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が4~6であるエステルと、炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~3であるエステルとを含むノニオン性界面活性剤を含む。なお、本明細書において、炭素数8~14の脂肪酸と平均重合度3~10のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~5であるエステルを「成分B1」、炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が4~6であるエステルを「成分B2」、炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~3であるエステルを「成分B3」とそれぞれ称する場合がある。そして、成分B1、成分B2、および成分B3を含む上記ノニオン性界面活性剤を「成分B」と称する場合がある。
【0015】
また、本発明の油性化粧料は、多価アルコールを含む。なお、本明細書において、多価アルコールを「成分C」と称する場合がある。
【0016】
本発明の油性化粧料は、さらに、高級アルコールを含んでいてもよい。なお、本明細書において、高級アルコールを「成分D」と称する場合がある。
【0017】
すなわち、本発明の油性化粧料は、成分A1および成分A2を含む成分Aと、成分B1、成分B2、および成分B3を含む成分Bと、成分Cとを少なくとも含む。本発明の油性化粧料は、さらに成分Dを含んでいてもよい。また、本発明の油性化粧料は、上記成分A~D以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の油性化粧料に含まれる各成分、例えば、成分A、成分B、成分C、成分D、および他の成分等の各成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0018】
[成分A]
成分Aは成分A1(一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステル)および成分A2(炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステル)を含むエステル油である。成分A1および成分A2は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0019】
(成分A1)
成分A1は、一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステルである。
【0020】
成分A1を構成する一価の高級脂肪酸としては、特に限定されないが、炭素数6以上の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましい。上記脂肪酸の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは12以上である。また、上記脂肪酸の炭素数は、22以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは16以下である。
【0021】
上記高級脂肪酸としては、例えば、2-エチルヘキサン酸(C8)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、イソステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)等の飽和脂肪酸、オレイン酸(18:1(n-9))、リノール酸(18:2(n-6))等の不飽和脂肪酸などが挙げられる。また、その他、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の動植物由来の脂肪酸も挙げられる。
【0022】
成分A1を構成する一~三価のアルコールとしては、特に限定されないが、炭素数2~20の直鎖または分岐鎖のアルコールが好ましい。上記アルコールの炭素数は、3~18が好ましく、より好ましくは3~10である。
【0023】
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、t-ブタノール、ペンタノール、2-ペンタノール、イソペンタノール、ネオペンタノール、t-ペンタノール、n-ヘキサノール、2-ヘキサノール、イソヘキサノール、エチルヘキサノール、オクチルドデカノール等の一価アルコール;1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール等の二価アルコール;グリセリン等の三価アルコールなどが挙げられる。
【0024】
成分A1としては、特に限定されないが、例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸イソブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸イソブチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸イソブチル、オレイン酸デシル、ステアリン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、リノール酸エチル、安息香酸アルキル(C12-15)、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルなどが挙げられる。中でも、パルミチン酸エチルヘキシルが好ましい。
【0025】
本発明の油性化粧料中の成分A1の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、20~80質量%が好ましく、より好ましくは30~70質量%、さらに好ましくは35~65質量%である。上記含有割合が20質量%以上であると、クレンジング効果により優れる。上記含有割合が80質量%以下であると、保存安定性により優れる。上記成分A1の含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分A1の含有割合の合計である。
【0026】
(成分A2)
成分A2は、炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステルである。
【0027】
成分A2を構成する脂肪酸の炭素数は8~22であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、炭素数12~20の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数14~20の脂肪酸である。
【0028】
成分A2における脂肪酸の結合数は、7~15であり、保存安定性により優れる観点から、好ましくは8~12である。
【0029】
成分A2を構成するポリグリセリンの平均重合度は、5~15であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、6~14が好ましく、より好ましくは8~12である。
【0030】
成分A2としては、特に限定されないが、例えば、デカイソステアリン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリルなどが挙げられる。中でも、デカイソステアリン酸ポリグリセリルが好ましい。
【0031】
本発明の油性化粧料中の成分A2の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、2~10質量%が好ましく、より好ましくは3~8質量%、さらに好ましくは4~7質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる。上記成分A2の含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分A2の含有割合の合計である。
【0032】
成分Aは、成分A1および成分A2以外のその他のエステル油を含んでいてもよい。本明細書において、上記その他のエステル油を「成分A3」と称する場合がある。成分A3としては、特に限定されないが、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ネオペンタン酸イソデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等の多価脂肪酸エステル;テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチルなどが挙げられる。成分A3は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0033】
成分A3としては、クレンジング効果により優れる観点から、多価脂肪酸エステルを含むことが好ましく、アジピン酸ジイソプロピルを含むことが特に好ましい。
【0034】
本発明の油性化粧料中の成分A3の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、0.5~8質量%が好ましく、より好ましくは1.0~5質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であると、クレンジング効果がより一層優れる。上記含有割合は8質量%でクレンジング効果が頭打ちとなる。成分A3の含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分A3の含有割合の合計である。
【0035】
本発明の油性化粧料中の成分Aの含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、30~85質量%が好ましく、より好ましくは35~75質量%、さらに好ましくは40~70質量%である。上記含有割合が30質量%以上であると、クレンジング効果により優れる。上記含有割合が85質量%以下であると、保存安定性により優れる。上記成分Aの含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分Aの含有割合の合計である。
【0036】
[成分B]
成分Bは、成分B1、成分B2、および成分B3を少なくとも含むノニオン性界面活性剤である。成分B1、成分B2、および成分B3は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。ノニオン性界面活性剤として成分B1~B3を組み合わせて使用することにより、油性化粧料の粘度を適切に調整することができ、且つ保存安定性に優れることとすることができる。
【0037】
(成分B1)
成分B1は、炭素数8~14の脂肪酸と平均重合度3~10のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~5であるエステルであるノニオン性界面活性剤である。成分B1は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0038】
成分B1を構成する脂肪酸の炭素数は、8~14であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、好ましくは8~12である。
【0039】
成分B1を構成するポリグリセリンの平均重合度は、3~10であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、好ましくは4~8である。
【0040】
成分B1における脂肪酸の結合数は、1~5であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、好ましくは2~3である。
【0041】
成分B1としては、特に限定されないが、例えば、モノラウリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸ポリグリセリル、ジカプリン酸ポリグリセリルなどが挙げられる。中でも、ジカプリン酸ポリグリセリルが好ましい。
【0042】
本発明の油性化粧料中の成分B1の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、2.0~10.0質量%が好ましく、より好ましくは3.0~8.0質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、保存安定性により優れる。上記成分B1の含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分B1の含有割合の合計である。
【0043】
(成分B2)
成分B2は、炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が4~6であるエステルであるノニオン性界面活性剤である。成分B2は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0044】
成分B2を構成する脂肪酸の炭素数は、16~22であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、好ましくは16~20である。
【0045】
成分B2を構成するポリグリセリンの平均重合度は、5~15であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、好ましくは6~14、より好ましくは8~12である。
【0046】
成分B2としては、特に限定されないが、例えば、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、ペンタステアリン酸ポリグリセリルなどが挙げられる。中でも、ペンタオレイン酸ポリグリセリルが好ましい。
【0047】
本発明の油性化粧料中の成分B2の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、0.5~5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.8~4.0質量%、さらに好ましくは1.0~2.5質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、保存安定性により優れる。上記成分B2の含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分B2の含有割合の合計である。
【0048】
(成分B3)
成分B3は、炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~3であるエステルであるノニオン性界面活性剤である。成分B3は成分Aとの相溶性に優れ、成分B3を配合することにより、油性化粧料のクレンジング効果、保存安定性を優れたものとすることができる。成分B3は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0049】
成分B3を構成する脂肪酸の炭素数は、16~22であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、好ましくは16~20である。
【0050】
成分B3を構成するポリグリセリンの平均重合度は、5~15であり、油性化粧料の粘度を適度に高くすることができ、且つ保存安定性により優れる観点から、好ましくは6~14、より好ましくは8~12である。
【0051】
成分B3としては、特に限定されないが、例えば、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、ジオレイン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、トリオレイン酸ポリグリセリルなどが挙げられる。中でも、ジオレイン酸ポリグリセリルが好ましい。
【0052】
本発明の油性化粧料中の成分B3の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、10~40質量%が好ましく、より好ましくは15~32質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、保存安定性により優れる。上記成分B3の含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分B3の含有割合の合計である。
【0053】
成分B1の含有量に対する成分B3の含有量の質量比[B3/B1]は、2.0~10.0であり、好ましくは2.0~7.0、より好ましくは2.5~5.5である。
【0054】
成分B1、成分B2、および成分B3の合計の含有割合は、20.0~50.0質量%であり、好ましくは22.0~40.0質量%、より好ましくは24.0~36.0質量%である。
【0055】
成分Bは、成分B1、成分B2、および成分B3以外のその他のノニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。但し、成分B中の成分B1、成分B2、および成分B3の合計の含有割合は、成分Bの総量100質量%に対して、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0056】
成分Bの含有量に対する成分Aの含有量の質量比[成分A/成分B]は、特に限定されないが、1.0~3.0が好ましく、より好ましくは1.2~2.5である。上記質量比が上記範囲内であると保存安定性により優れる。
【0057】
[成分C]
成分Cは多価アルコールである。成分Cを配合すると低温での保存安定性が向上する。成分Cは、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0058】
成分Cとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール(カプリリルグリコール)、1,2-デカンジオール、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられる。
【0059】
本発明の油性化粧料中の成分Cの含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、4.0~15.0質量%が好ましく、より好ましくは6.0~13.0質量%、さらに好ましくは8.0~11.0質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、保存安定性により優れる。上記成分Cの含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分Cの含有割合の合計である。
【0060】
[成分D]
成分Dは高級アルコールである。成分Dを配合すると低温での保存安定性がより向上する。成分Dは、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0061】
成分Dとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
【0062】
また、成分Dとしては、ステロール等の脂環を有する高級アルコールが挙げられる。ステロールとしては、例えば、動物ステロール、植物ステロール(フィトステロール)等が挙げられる。動物ステロールとしては、例えば、コレステロール、コレスタノール、7-デヒドロコレステロールなどが挙げられる。また、植物ステロールとしては、例えば、シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロールなどが挙げられる。
【0063】
本発明の油性化粧料中の成分Dの含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、0.1~3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5~1.5質量%である。上記含有割合が上記範囲内であると、保存安定性により優れる。上記成分Dの含有割合は、本発明の油性化粧料中の全ての成分Dの含有割合の合計である。
【0064】
[その他の成分]
本発明の油性化粧料は、上記成分A~D以外のその他の成分をさらに含有していてもよい。上記その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、成分Aおよび成分D以外のその他の油性成分、成分B以外の界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等)、低級アルコール、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、増粘剤、ビタミン類、中和剤、アミノ酸、pH調整剤、美白剤、抗炎症剤、消臭剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤などの添加剤などが挙げられる。上記その他の成分は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0065】
上記その他の油性成分としては、植物油、シリコーン油、炭化水素油、ロウ、高級脂肪酸などが挙げられる。上記その他の油性成分としては、中でも、クレンジング効果により優れる観点から、炭化水素油が好ましい。上記その他の油性成分は、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0066】
上記植物油としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、ダマスクバラ花ロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、椿油、これらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)などが挙げられる。
【0067】
上記シリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノールなどが挙げられる。
【0068】
上記炭化水素油としては、例えば、α-オレフィンオリゴマー、ワセリン、イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソドデカンなどが挙げられる。
【0069】
上記ロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリン、ヒマワリ種子ロウなどが挙げられる。
【0070】
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。
【0071】
上記その他の油性成分(特に炭化水素油)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、20質量%以下(例えば1~20質量%)が好ましく、より好ましくは15質量%以下(例えば5~15質量%)である。上記含有割合が1質量%以上であると、クレンジング効果により優れる。上記含有割合が20質量%以下であると、保存安定性により優れる。
【0072】
本発明の油性化粧料中の油性成分(成分Aおよび上記その他の油性成分の合計)の含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料の総量100質量%に対して、30~85質量%が好ましく、より好ましくは35~75質量%、さらに好ましくは40~70質量%である。上記含有割合が30質量%以上であると、クレンジング効果により優れる。上記含有割合が85質量%以下であると、保存安定性により優れる。
【0073】
本発明の油性化粧料中の成分Bの含有割合は、特に限定されないが、本発明の油性化粧料中の界面活性剤の総量100質量%に対して、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0074】
本発明の油性化粧料の粘度は、特に限定されないが、例えば、25℃での粘度が1300~6000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1500~4000mPa・sであり、さらに好ましくは2000~3500mPa・sである。粘度測定はB型粘度計を用い、粘度に合ったローターを選択し、回転数30r/minで実施する。上記粘度が1300mPa・s以上であると、油性化粧料の塗布時に垂れ落ちにくく操作性に優れる。上記粘度が6000mPa・s以下であると、油性化粧料の使用性に優れる。
【0075】
本発明の油性化粧料は常法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、公知の方法、例えばホモミキサーを用いて撹拌することにより製造することができる。
【0076】
本発明の油性化粧料は、主に、皮膚(肌)に塗布するために用いられる皮膚化粧料であることが好ましい。本発明の油性化粧料は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨などとして用いられる。本発明の油性化粧料を適用する部位としては、特に限定されないが、例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、身体(腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中など)などが挙げられる。中でも、特に好ましくは顔である。
【0077】
本発明の油性化粧料は、メイク除去を目的として使用されるクレンジング化粧料であることが好ましい。本発明の油性化粧料は、クレンジング効果を優れたものとすることができ、また睫毛に塗布しても垂れ落ち難い粘度の油性化粧料とすることができるため、ポイントメイク(マスカラ、アイライン、アイシャドウ、リップなど)用のクレンジング化粧料(マスカラリムーバー、アイメイクアップリムーバー、リップリムーバーなど)であることが好ましく、特にマスカラリムーバーであることが好ましい。
【0078】
本発明の油性化粧料の剤型としては、特に限定されないが、例えば、化粧水(ローション)、クリーム、ジェル、乳液、エアゾールスプレー、ナチュラルスプレー、スティック、パウダー、ロールオン、シート(ペーパー)などの種々の剤型が挙げられる。
【0079】
本発明の油性化粧料は、容器に充填されて油性化粧料製品として用いられる。上記油性化粧料製品は、内容物を吐出可能な容器と、上記容器内に充填された本発明の油性化粧料とを備える。上記容器は、油性化粧料充填部と、櫛部とを備えることが好ましい。上記櫛部は、上記油性化粧料充填部から供給された油性化粧料を吐出するための吐出口を有することが好ましい。このような容器は、例えば油性化粧料充填部の外側から圧力をかけることで油性化粧料充填部に充填された油性化粧料を、油性化粧料充填部に結合した櫛部内の供給路を経由して上記吐出口から吐出することができる。そして、櫛部で睫毛をとかしつつ油性化粧料を塗布することができる。本発明の油性化粧料は、粘度を適度に調整することができるため、例えば高粘度として塗布時に垂れ落ち難くすることができ、且つ保存安定性に優れる。このため、本発明の油性化粧料は、上記櫛部を有する容器を備える油性化粧料製品として特に好ましく用いられる。
【0080】
本発明の油性化粧料は、油剤として一価の高級脂肪酸と一~三価のアルコールとのエステル(成分A1)および炭素数8~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が7~15であるエステル(A2)を含むエステル油(成分A)を用い、そしてノニオン性界面活性剤(成分B)として炭素数8~14の脂肪酸と平均重合度3~10のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~5であるエステル(成分B1)、炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が4~6であるエステル(成分B2)、および炭素数16~22の脂肪酸と平均重合度5~15のポリグリセリンとのエステルであり、脂肪酸の結合数が1~3であるエステル(成分B3)を組み合わせて用い、そして多価アルコール(成分C)を配合することを重要な特徴としている。これにより、油性化粧料の粘度を例えば高くすることができ、それでいて保存安定性、特に低温での保存安定性に優れたものとすることができる。また、本発明の油性化粧料をクレンジング化粧料として用いる場合、粘度が高いことで垂れ落ちにくく塗布性に優れるため、特にポイントメイク用のクレンジング化粧料として好ましく使用することができる。
【実施例0081】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。
【0082】
実施例1~8、比較例1~13
表に示した各成分を用い、実施例および比較例の各油性化粧料を常法により調製した。
【0083】
(評価)
実施例および比較例で得られた油性化粧料について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0084】
(1)安定性試験
各実施例および比較例の油性化粧料について、調製直後、調製翌日、および2週間後において外観の目視観察を行った。保管温度は表に示すとおりである。そして、安定性を下記の評価基準に従って評価した。なお、調製翌日の評価結果がC以上の油性化粧料のみを対象に、25℃における粘度の測定、および2週間後の観察を行った。
<安定性の評価基準>
A:透明で均一な状態
B:少なくとも一部に結晶化が見られるが、25℃に戻すと透明化する
C:一部が濁り半透明な状態
D:白濁し不透明な状態
E:明らかに分離した状態
【0085】
(2)25℃における粘度
各実施例および比較例の油性化粧料の粘度は、B型粘度計(製品名「TVB-25L」、東機産業株式会社製)を用い、ローターNo.3を使用して25℃および30rpmの条件で測定した。
【0086】
(3)クレンジング力
0.02gの市販マスカラを人工皮膚(商品名「バイオスキンプレート」、白色、株式会社ビューラックス製)の表面に塗布した(約1.5cm×1.5cm)。塗布したマスカラ全体を覆うように、各実施例の油性化粧料1gを重ねた。1分静置後、コットンで10回拭き取りを行い、残存したマスカラの量を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した。
<クレンジング力の評価基準>
A:残存したマスカラが約20%未満であり、優れたクレンジング力を有する
B:残存したマスカラが約20%~50%であり、充分なクレンジング力を有する
C:残存したマスカラが約50%超であり、クレンジング力に劣る
【0087】
【表1】
【0088】
本発明の油性化粧料(実施例)は、粘度が1300~6000mPa・sでありながら、いずれも保存安定性およびクレンジング力に優れると評価された。一方、成分B1~B3の合計の含有割合が少ない場合、質量比[B3/B1]が大きい場合、成分B2を含まない場合、成分B3を含まない場合のいずれにおいても保存安定性に劣っていると評価された(比較例)。
【0089】
さらに、本発明の油性化粧料の処方例を表2に示す。
【表2】