(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045522
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】雄コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/26 20060101AFI20240326BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61M39/26
A61M39/10 120
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019892
(22)【出願日】2024-02-14
(62)【分割の表示】P 2020557604の分割
【原出願日】2019-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2018217356
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019150221
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】今井 健太
(72)【発明者】
【氏名】松本 一樹
(57)【要約】
【課題】従来構造の雄コネクタが内在する問題の少なくとも1つを解消することのできる、新規な構造の雄コネクタを提供する。
【解決手段】中空針の先端部分で内孔16が側方に開口されたサイドホールニードル14を備えており、接続相手方である雌コネクタ86に対してサイドホールニードル14を挿し入れることで流体流路106を連通せしめる雄コネクタ10であって、サイドホールニードル14の先端部分において内孔16の側方への開口12を覆う弾性のカバー弁体74がサイドホールニードル14に対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、カバー弁体74のサイドホールニードル14の基端側への移動を許容しつつカバー弁体74をサイドホールニードル14の先端部分へ弾性的に位置決めする位置決め手段112が設けられている一方、カバー弁体74の外周を覆う硬質の拘束部材56が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、
前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、
該カバー弁体が、前記雌コネクタの弁部材に比べて柔軟に形成されている雄コネクタ。
【請求項2】
前記カバー弁体を保持する保持部材における前記サイドホールニードルの軸方向への移動を制限して、該サイドホールニードルの前記先端部分の開口を該カバー弁体による封止状態に保持する解除可能な移動制限機構が設けられていると共に、
該移動制限機構が、嵌合凸部と嵌合凹部との係止機構を含んで構成されており、
該移動制限機構の解除機構として、操作外力を及ぼすことで該嵌合凸部と該嵌合凹部との係止を解除可能な操作片が設けられている請求項1に記載の雄コネクタ。
【請求項3】
前記カバー弁体の先端面が、外周から中央に向かって軸方向の先端側に突出した中央突出形状とされていると共に、
該カバー弁体の該先端面の中央部分が、先端に向かって凸となる湾曲状先端面とされている一方、
該中央部分から外周に向けて広がる領域が、先端に向かって凹となる逆湾曲状傾斜面とされている請求項1又は2に記載の雄コネクタ。
【請求項4】
前記サイドホールニードルの前記内孔の側方への開口を覆う先端側へ向けて前記カバー弁体を基端側から付勢する付勢手段が設けられており、
該カバー弁体の基端面に重ね合わされて該基端面の変形を制限する制限部材が設けられている請求項1~3の何れか1項に記載の雄コネクタ。
【請求項5】
前記カバー弁体の基端側において、該カバー弁体と前記サイドホールニードルの外周面との間をシールする環状のシール部が設けられている請求項1~4の何れか1項に記載の雄コネクタ。
【請求項6】
前記雌コネクタと係止する筒状周壁部が前記カバー弁体に対して軸方向で移動可能に設けられており、
該筒状周壁部の外周側には、該筒状周壁部及び該カバー弁体より先端側に位置するカバー部が設けられている請求項1~5の何れか1項に記載の雄コネクタ。
【請求項7】
前記カバー弁体において前記サイドホールニードルの挿し入れられる中心軸上の少なくとも基端側の部分が、針より小径のピンホールとされている請求項1~6の何れか1項に記載の雄コネクタ。
【請求項8】
前記サイドホールニードルにおける前記側方への開口が、該サイドホールニードルの前記内孔の70%以下の流路断面積をもって、且つ、同一周上で複数設けられている請求項1~7の何れか1項に記載の雄コネクタ。
【請求項9】
前記サイドホールニードルにおいて前記カバー弁体に挿し入れられる先端部分の内外径が、該サイドホールニードルの基端部分の内外径よりも小さくされている請求項1~8の何れか1項に記載の雄コネクタ。
【請求項10】
先端部分に開口する内孔を備えた管状体を備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該管状体の該先端部分を挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、
前記管状体における前記先端部分の開口を覆う弾性のカバー弁体が設けられていると共に、該カバー弁体を保持する保持部材における該管状体の軸方向への移動を制限して、該管状体の該先端部分の開口を該カバー弁体による封止状態に保持する解除可能な移動制限機構が設けられていると共に、
該移動制限機構が、嵌合凸部と嵌合凹部との係止機構を含んで構成されており、
該移動制限機構の解除機構として、操作外力を及ぼすことで該嵌合凸部と該嵌合凹部との係止を解除可能な操作片が設けられている雄コネクタ。
【請求項11】
先端部分に開口する内孔を備えた管状体と、該管状体の該先端部分の開口を覆う弾性のカバー弁体とを備えており、該管状体の該先端部分を該カバー弁体から突出させて接続相手方である雌コネクタへ挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、
前記カバー弁体の先端面が、外周から中央に向かって軸方向の先端側に突出した中央突出形状とされていると共に、
該カバー弁体の該先端面の中央部分が、先端に向かって凸となる湾曲状先端面とされている一方、
該中央部分から外周に向けて広がる領域が、先端に向かって凹となる逆湾曲状傾斜面とされている雄コネクタ。
【請求項12】
中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、
前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、
該サイドホールニードルの該内孔の側方への開口を覆う先端側へ向けて該カバー弁体を基端側から付勢する付勢手段が設けられており、
該カバー弁体の基端面に重ね合わされて該基端面の変形を制限する制限部材が設けられている雄コネクタ。
【請求項13】
中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、
前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、
該カバー弁体の基端側において、該カバー弁体と該サイドホールニードルの外周面との間をシールする環状のシール部が設けられている雄コネクタ。
【請求項14】
中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、
前記サイドホールニードルの先端部分において該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられて、前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体を有していると共に、
前記雌コネクタと係止する筒状周壁部が該カバー弁体に対して軸方向で移動可能に設けられており、
該筒状周壁部の外周側には、該筒状周壁部及び該カバー弁体より先端側に位置するカバー部が設けられている雄コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野に用いられる流体流路において雌コネクタに接続される雄コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野では、水分や電解質、抗がん剤などの薬液、栄養素、血液、造影剤などの液体を投与または採取するために、輸液ラインや輸血ラインなどの流体流路が用いられている。かかる流体流路では、必要に応じて別の流体流路を接続するために、一方の流路の端部に雄コネクタを設けると共に他方の流路の端部に雌コネクタを設けて、これら雄コネクタと雌コネクタとを相互に接続するようにされる。
【0003】
具体的には、例えば抗がん剤などの薬液が封入されたシリンジなどの容器から延びる流路の端部に中空針や雄ルアーを備える雄コネクタを設ける一方、患者に挿入されたカテーテルなどからなる流路の端部に雌コネクタを設けることで、雄コネクタの雌コネクタへの着脱により流体流路の接続と遮断が実現可能とされる。
【0004】
ところで、雄コネクタでは、雌コネクタへの非接続時に、薬液などの外部への暴露や漏出を防止するために、流路の開口が閉鎖されることが好ましい。このような雄コネクタが、例えば特開2013-121525号公報(特許文献1)に示されている。即ち、特許文献1の
図1~9に記載の態様では、雄コネクタ(10)における雄ルアーの内周側に中空のバルブ部材(16)が位置せしめられており、例えば特許文献1の
図8に示されるように、雌コネクタ(92)への非接続時には、周壁に開口するウィンドウ(54)を備えたバルブ部材(16)の先端が雄ルアー(22)の先端開口部に嵌合されることで流体流路が遮断される。一方、特許文献1の
図9に示されるように、雌コネクタ(92)への接続時には、雌コネクタ(92)によりバルブ部材(16)が雄ルアー(22)の後方へ押し込まれることで、バルブ部材(16)の内腔がウィンドウ(54)と雄ルアー(22)の先端開口を通じて開放されて、雌コネクタ(92)の流体流路と連通されるようになっている。
【0005】
また、国際公開第2018/056465号(特許文献2)においても、雌コネクタへの非接続時に流路の開口が閉鎖される雄コネクタが示されている。即ち、特許文献2の
図1~5に記載の態様では、雌コネクタ(2a)への非接続時において、ハウジング本体(20a)の凸部(22)と移動体(30a)の凹部(31)とが係合して、ハウジング本体(20a)に対する移動体(30a)の軸方向の移動が防止されており、雄コネクタ(1a)の流路(第1流路41)の開口(42)は弁体(50a)で閉塞されている。このような雄コネクタ(1a)の移動体(30a)に雌コネクタ(2a)を連結して、雌コネクタ(2a)及び移動体(30a)をハウジング本体(20a)に対して近位端側へ移動させることで、凸部(22)と凹部(31)との係合が解除される。そして、更に雌コネクタ(2a)及び移動体(30a)を近位端側へ移動させることで、雄コネクタ(1a)の流路(第1流路41)を構成する流路管部材(40a)の先端部(44)が弁体(50a)及び弾性弁体(70)を貫通して雌コネクタ(2a)内に挿入され、雄コネクタ(1a)の流路(第1流路41)と雌コネクタ(2a)の流路(第2流路66)とが相互に連通されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-121525号公報
【特許文献2】国際公開第2018/056465号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1の
図1~9に記載の雄コネクタ(10)では、雄ルアーの雌ルアーに対する非接続状態において、バルブ部材(16)のウィンドウ(54)が直接に閉塞されるものでないことや、バルブ部材(16)の先端と雄ルアー(22)への嵌合部におけるシール性の確保が難しいといった問題があり、コネクタ構造における薬液などの暴露や漏出の防止について更なる改善が要求されていた。
【0008】
また、特許文献2の
図1~5に示される態様では、雄コネクタ(1a)と雌コネクタ(2a)とを接続する一連の動作において、雌コネクタ(2a)及び移動体(30a)をハウジング本体(20a)に対して近位端側に移動させることで、凸部(22)を有するハウジング本体(20a)の周壁を外周側に弾性変形させて凸部(22)と凹部(31)との係合を解除していた。それ故、単に雌コネクタ(2a)及び移動体(30a)を近位端側に移動させる操作力に加えて、ハウジング本体(20a)の周壁を外周側へ弾性変形させて凸部(22)を凹部(31)から離脱させる操作力が必要となることから、操作性が悪化するおそれがあったり、ハウジング本体(20a)において弾性変形する部分を手で把持してしまうことで凹部(31)からの凸部(22)の離脱が生じにくくなるおそれがあったり、作動の安定性や信頼性が十分に確保されないおそれがあった。
【0009】
更にまた、凸部(22)と凹部(31)との係合の解除と、雌コネクタ(2a)及び移動体(30a)の近位端側への移動とが、一連の動作として行われることから、例えば凸部(22)と凹部(31)との係合力を大きく設定すると、係合を解除するために必要な操作力も大きくなり、雄コネクタ(1a)と雌コネクタ(2a)との接続作動に支障を来すおそれがあった。一方、凸部(22)と凹部(31)との係合力を小さく設定すると、意図せず凸部(22)と凹部(31)との係合が解除され、移動体(30a)が近位端側へ移動して雌コネクタ(2a)への非接続時に雄コネクタ(1a)の流路(第1流路41)が開放されてしまうおそれがあった。即ち、凸部(22)と凹部(31)との係合の解除と、雌コネクタ(2a)及び移動体(30a)の近位端側への移動とを一連の動作として行うことで、係合安定性の向上と移動操作性の向上とを両立して達成することが困難であった。
【0010】
本発明の解決課題とするところは、雌コネクタの非接続時に流路を安定して閉鎖できたり、雌コネクタへの接続作動の安定性や信頼性を向上することができたり、雌コネクタの非接続時における流路の安定した閉鎖と雌コネクタへの接続操作の操作性の向上とを両立して達成できたり、雌コネクタとの接続時における流路の外部空間に対する遮断性能を向上させたり、薬液の暴露をより確実に防止する等、従来構造の雄コネクタが内在する問題の少なくとも1つを解消することのできる、新規な構造の雄コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0012】
第1の態様は、中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、該カバー弁体の該サイドホールニードルの基端側への移動を許容しつつ該カバー弁体を該サイドホールニードルの先端部分へ弾性的に位置決めする位置決め手段が設けられている一方、該カバー弁体の外周を覆う硬質の拘束部材が設けられており、前記雌コネクタが螺合される雌ねじ部が内周面に形成された雄コネクタハウジングを有しており、該雄コネクタハウジングに対して前記拘束部材が軸方向に相対移動可能とされているものである。
【0013】
本態様の雄コネクタによれば、サイドホールニードルの開口が弾性のカバー弁体で覆われて閉鎖されることから、雌コネクタへの非接続時における雄コネクタの閉鎖が安定して実現され得る。さらに、カバー弁体の外周を覆う硬質の拘束部材によりカバー弁体の変形態様の安定化が図られると共に、カバー弁体によるサイドホールニードルの閉鎖性能の向上も図られ得る。
【0014】
第2の態様は、前記第1の態様に係る雄コネクタにおいて、前記拘束部材が、前記サイドホールニードルの基端側に向かって延びだす基端側突出部を備えており、該基端側突出部において該拘束部材の軸方向への移動を前記雄コネクタハウジングに対して案内するガイド部が設けられているものである。
【0015】
本態様の雄コネクタによれば、拘束部材を軸方向へ一層スムーズに移動させることが可能となり、カバー弁体の変形態様の安定化が図られる。
【0016】
第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る雄コネクタにおいて、前記拘束部材の外周を覆う筒状周壁部を有する前記雄コネクタハウジングを備えているものである。
【0017】
本態様の雄コネクタによれば、例えばカバー弁体を位置決めする位置決め手段を筒状周壁部の内部に設けることが可能となり、カバー弁体の位置決めが意図せず解除されることが防止され得る。
【0018】
第4の態様は、前記第3の態様に係る雄コネクタにおいて、前記筒状周壁部が、前記サイドホールニードルの針ハブと別体構造とされているものである。
【0019】
本態様の雄コネクタによれば、例えば筒状周壁部の内部に拘束部材を配置した状態で針ハブを組み付けることで、拘束部材の外周側が筒状周壁部によって覆われる構造が容易に実現され得る。
【0020】
第5の態様は、前記第3又は第4の態様に係る雄コネクタにおいて、前記筒状周壁部には、該筒状周壁部よりも大径で、且つ先端側に突出する筒状のカバー部が設けられているものである。
【0021】
本態様の雄コネクタによれば、カバー部が十分に大径とされることで、雌コネクタを接近させて接続する際にも、雌コネクタとの接触が防止されて、良好な操作性が発揮される。また、カバー部が十分な長さをもって先端側に突出することで、カバー弁体の外周側をより確実にカバー部で覆うことができて、使用者がカバー弁体に意図せず接触して薬液が漏出したり暴露したりすることが防止され得る。
【0022】
第6の態様は、前記第1~第5の何れかの態様に係る雄コネクタにおいて、前記雌コネクタに対して着脱可能で且つ該雌コネクタの弁部材に対して前記カバー弁体が重ね合わされた当接状態で連結される連結部が設けられており、該連結部による該雌コネクタの該弁部材に対する該カバー弁体の当接状態下で、前記サイドホールニードルが該カバー弁体及び該雌コネクタの該弁部材に対して挿抜可能とされているものである。
【0023】
本態様の雄コネクタによれば、カバー弁体と雌コネクタの弁部材とを重ね合わせた状態でこれらの弁部材にサイドホールニードルが挿抜されることで、薬液等の暴露や漏出等が一層防止され得る。
【0024】
第7の態様は、先端部分に開口する内孔を備えた管状体を備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該管状体の該先端部分を挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記管状体における前記先端部分の開口を覆う弾性のカバー弁体が設けられていると共に、該カバー弁体を保持する保持部材における該管状体の軸方向への移動を制限して、該管状体の該先端部分の開口を該カバー弁体による封止状態に保持する解除可能な移動制限機構が設けられているものである。
【0025】
本態様の雄コネクタによれば、カバー弁体を保持する保持部材の移動が制限されることにより、管状体の先端部分の開口のカバー弁体による封止状態の安定性が向上され得る。
【0026】
第8の態様は、先端部分に開口する内孔を備えた管状体と、該管状体の該先端部分の開口を覆う弾性のカバー弁体とを備えており、該管状体の該先端部分を該カバー弁体から突出させて接続相手方である雌コネクタへ挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記カバー弁体の先端面が、外周から中央に向かって軸方向の先端側に突出した中央突出形状とされていると共に、該カバー弁体の該先端面の中央部分が、先端に向かって凸となる湾曲状先端面とされている一方、該中央部分から外周に向けて広がる領域が、先端に向かって凹となる逆湾曲状傾斜面とされているものである。
【0027】
本態様の雄コネクタによれば、カバー弁体の先端面のうちで中央部分から外周に向けて広がる領域が逆湾曲状傾斜面とされていることにより、雌コネクタへの接続状態において、雌コネクタ側の弁体の表面との重ね合わせ面間に生ずる隙間を小さくして例えば密着状態とすることができる。その結果、例えばかかる隙間への薬液等の滲み出しや漏れなどを抑えることが可能になる。
【0028】
ところで、本発明が対象とする雄コネクタでは、薬液の暴露防止性能の向上が重要な課題の一つであることを認識した。即ち、例えば滅菌などに際しての熱影響(特に針先が刺さった初期状態で熱が及ぼされるから)でカバー弁体の暴露防止性能が低下するおそれがあったり、例えば複数回の使用によって針が貫通することを繰り返してスリットが開き易くなったり、摩擦抵抗等で弁体が針で引っ張られて変形状態になってしまったりすることで、カバー弁体の暴露防止性能が低下するおそれのあることがわかった。
【0029】
特に本発明者が検討したところ、カバー弁体の基端側における暴露防止性能が新たな着目点(新規課題の1つ)であるとの新たな認識を得た。例えば、(i)従来構造ではカバー弁体に一文字や放射状などのスリットが弁体に採用されていることから、サイドホールニードル等の管状体の挿入に際してスリット方向の両側において隙間が発生し易いメカニズムを有しており、且つ、(ii)カバー弁体には径方向に圧縮力が及ぼされることで軸方向に延びる変形が発生していることに加えて、(iii)弁体の基端面はコイルスプリングが押し当てられていること等によって、弁体後端部分において局所的にいびつな変形が発生し易い、などの理由から、カバー弁体の後端部分では薬液の暴露が発生し易い傾向にある。
【0030】
加えて、サイドホールニードルの弁体からの抜去時には、サイドホールニードル等の管状体の摩擦によってカバー弁体のスリット内面が後方へ引っ張られることとなり、径方向の圧縮力も低下し易くなると共に、スリットの後端が開く方向に変形し易いことから、弁体の後端部分からの薬液の暴露のリスクが一層大きくなるといった新たな着眼点を見出し、そこに着目することで、暴露防止性能の改善という技術的効果を達成し得た。
【0031】
第9の態様は、中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、該カバー弁体において該サイドホールニードルの挿し入れられる中心軸上の少なくとも基端側の部分が、該サイドホールニードルより小径のピンホールとされているものである。
【0032】
本態様の雄コネクタによれば、カバー弁体において、例えばスリットに代えてサイドホールニードルより小径なピンホールが設けられることで、カバー弁体にサイドホールニードルが挿抜される際には、スリットの場合に比べて、カバー弁体とサイドホールニードルとの隙間が小さくされて、薬液の漏出や暴露がより確実に防止され得る。
【0033】
第10の態様は、中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、該サイドホールニードルの該内孔の側方への開口を覆う先端側へ向けて該カバー弁体を基端側から付勢する付勢手段が設けられており、該カバー弁体の基端面に重ね合わされて該基端面の変形を制限する制限部材が設けられているものである。
【0034】
本態様の雄コネクタによれば、カバー弁体が基端側から付勢されても、カバー弁体の基端面の変形が制限部材により制限されることから、サイドホールニードルとカバー弁体との間に隙間が発生することが防止されて、当該隙間を通じて薬液が基端側に漏出又は暴露することが回避され得る。また、例えば付勢手段が制限部材を介してカバー弁体に固定される場合には、付勢手段によるカバー弁体の局所的な変形を回避することも可能であり、サイドホールニードルとカバー弁体との間に隙間を生じにくくさせることもできる。
【0035】
第11の態様は、中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、該カバー弁体の基端側において、該カバー弁体と該サイドホールニードルの外周面との間をシールする環状のシール部が設けられているものである。
【0036】
本態様の雄コネクタによれば、仮にカバー弁体とサイドホールニードルとの隙間から薬液が漏出しても、環状のシール部により、薬液の更なる漏出及び暴露が防止され得る。
【0037】
第12の態様は、中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、該サイドホールニードルにおける前記側方への開口が、該サイドホールニードルの該内孔の70%以下の流路断面積をもって、且つ、同一周上で複数設けられているものである。
【0038】
本態様の雄コネクタによれば、サイドホールニードルの側方への開口の断面積が所定の大きさより小さくされることで、開口からの薬液の漏出のおそれが低減され得る。また、かかる開口を周上で複数設けることにより、サイドホールニードルを流動する流体量を十分に確保することができる。
【0039】
第13の態様は、中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、該サイドホールニードルにおいて該カバー弁体に挿し入れられる先端部分の内外径が、該サイドホールニードルの基端部分の内外径よりも小さくされているものである。
【0040】
本態様の雄コネクタによれば、サイドホールニードルにおいてカバー弁体や雌コネクタの弁部材に挿し入れられる部分を小径に形成することで、当該小径部分における流体の流動効率を低下させて薬液の漏出や暴露のおそれを低減させることができると共に、カバー弁体や弁部材に挿し入れられない基端部分を大径に形成することでサイドホールニードルを流動する流体量を十分に確保することができる。
【0041】
第14の態様は、中空針の先端部分で内孔が側方に開口されたサイドホールニードルを備えており、接続相手方である雌コネクタに対して該サイドホールニードルを挿し入れることで流体流路を連通せしめる雄コネクタであって、前記サイドホールニードルの先端部分において前記内孔の側方への開口を覆う弾性のカバー弁体が該サイドホールニードルに対して軸方向で移動可能に設けられていると共に、該カバー弁体が、前記雌コネクタの弁部材に比べて柔軟に形成されているものである。
【0042】
本態様の雄コネクタによれば、カバー弁体と弁部材が重ね合わされた状態でサイドホールニードルが挿通される際に、弁部材より柔軟に形成されたカバー弁体が弁部材の変形に追従して変形することができて、カバー弁体と弁部材との間における隙間の発生のおそれが低減されることから、薬液の漏出や暴露がより効果的に防止され得る。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、雌コネクタの非接続時に流路を安定して閉鎖できたり、接続操作の安定性や信頼性、操作性を向上することができたり、雌コネクタとの接続時における流路の外部空間に対する遮断性能を向上させたり、薬液の漏出をより確実に防止する等、従来構造の雄コネクタが内在する問題の少なくとも1つを解消することのできる雄コネクタが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の第1の実施形態としての雄コネクタにおける初期状態を示す斜視図。
【
図2】
図1に示された雄コネクタにおける別の方向からの斜視図。
【
図4】
図1に示された雄コネクタにおける縦断面図。
【
図5】
図1に示された雄コネクタに接続され得る雌コネクタの具体的な1例を示す縦断面図。
【
図6】
図1に示された雄コネクタと
図5に示された雌コネクタとの接続状態を示す縦断面図。
【
図7】本発明の第2の実施形態としての雄コネクタにおける初期状態を示す斜視図。
【
図9】
図7に示された雄コネクタにおける左側面図。
【
図10】
図7に示された雄コネクタにおける右側面図。
【
図11】(a)は
図9におけるXI-XI断面図、(b)はカバー弁体の単品を示す側面図。
【
図14】
図7に示された雄コネクタを構成する拘束部材を示す斜視図。
【
図15】
図7に示された雄コネクタに接続され得る雌コネクタの具体的な1例を示す縦断面図。
【
図16】(a)は
図7に示された雄コネクタと
図15に示された雌コネクタとの接続状態を示す縦断面図、(b)は実際の接続前後の状態を例示する実施形態試作品のX線透視画像。
【
図17】本発明の第3の実施形態としての雄コネクタにおける初期状態を示す斜視図。
【
図20】本発明の第4の実施形態としての雄コネクタにおける初期状態を示す縦断面図。
【
図21】
図20に示された雄コネクタに対して雌コネクタが連結された状態を示す縦断面図。
【
図22】
図21に示された雄コネクタのサイドホールニードルを雌コネクタに挿し入れた状態を示す縦断面図。
【
図23】本発明に係る雄コネクタの別の態様を示す縦断面図であって、
図4に対応する図。
【
図25】本発明に係る雄コネクタの更に別の態様を示す縦断面図であって、
図4に対応する図。
【
図27】本発明に係る雄コネクタの更に別の態様を示す縦断面図であって、
図4に対応する図。
【
図28】本発明に係る雄コネクタの更に別の態様を示す縦断面図であって、
図4に対応する図。
【
図29】本発明に係る雄コネクタで採用され得るカバー弁体の具体的な一例を示す図であって、(a)が正面図、(b)が背面図、(c)が(a)における(c)-(c)断面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0046】
先ず、
図1~4には、本発明の第1の実施形態としての雄コネクタ10が示されている。この雄コネクタ10は、側方に開口部12を有する中空針としてのサイドホールニードル14を備えており、当該サイドホールニードル14またはサイドホールニードル14が内挿される部材(詳細は後述)が雄ルアーとして機能して接続相手方である雌コネクタの雌ルアーに挿入されることで、雄コネクタ10と雌コネクタとが接続して流体流路が連通状態とされるようになっている。なお、以下の説明において、軸方向とは、サイドホールニードル14の中心軸方向となる
図3中の上下方向をいう。また、先端側とは、サイドホールニードル14において開口部12が設けられる側である
図3中の下側をいう一方、基端側とは、サイドホールニードル14が固定される側である
図3中の上側をいう。
【0047】
より詳細には、サイドホールニードル14は、ステンレス鋼などの金属や硬質の合成樹脂により形成された中空針であり、中心軸方向に延びる内孔16を有している。かかるサイドホールニードル14の先端は閉塞されているとともに、後述する雌コネクタ86の弁部材94に挿入されやすいように丸められており、サイドホールニードル14の先端面17が湾曲面により構成されている。また、サイドホールニードル14の先端部分には、軸直角方向(側方)に開口する開口部12が設けられており、内孔16が、当該開口部12を通じて外部空間に連通されている。本実施形態では、軸直角方向1方向の両側(
図4中の左右方向両側)に、一対の開口部12,12が設けられている。
【0048】
さらに、雄コネクタ10は、サイドホールニードル14を固定支持する雄コネクタハウジング18を有している。この雄コネクタハウジング18は、全体として硬質の合成樹脂などからなる略筒状の一体成形品とされており、基端部分には、略筒状とされた雌ルアー部20が設けられている。即ち、雌ルアー部20は、軸方向に延びる略筒状のルアー周壁部22を備えており、当該ルアー周壁部22の内周面が、内径寸法が基端側に向かって次第に拡開する雌ルアーテーパ面24とされている。また、雌ルアー部20の基端側開口部分26には、ルアー周壁部22の外周面から外周側に突出する雄ねじ部28が設けられている。これにより、雌ルアー部20には、例えば薬液などが封入されたバッグなどから延びる流路の端部に設けられるルアーロックタイプのシリンジやコネクタなどが、接続可能とされている。なお、雌ルアー部20とバッグなどから延びる流路との接続は、後述する雄コネクタ10と雌コネクタ86との接続前に行われてもよいし、接続後に行われてもよい。
【0049】
一方、ルアー周壁部22の先端には、内周側に突出する環状の底壁部30が設けられており、当該底壁部30の中央には、軸方向で貫通する貫通孔32が形成されている。即ち、ルアー周壁部22の内径寸法が、雌ルアーテーパ面24により先端側に向かって次第に小さくされているとともに、底壁部30の形成位置においては更に小さくされており、貫通孔32の内径寸法と等しくされている。なお、本実施形態では、かかる底壁部30の先端側端面が、軸直角方向に広がる環状の平坦面33とされている。
【0050】
そして、当該底壁部30の内周縁部(貫通孔32の開口縁部)からは、先端側に突出する針ハブ部34が設けられている。この針ハブ部34の内径寸法は、貫通孔32の内径寸法と等しくされており、サイドホールニードル14の外径寸法と略等しいか僅かに小さくされている。これにより、針ハブ部34の先端側開口部からサイドホールニードル14の基端部分が略圧入状態で挿入されて、必要に応じて接着や溶着により固着されることで、サイドホールニードル14の基端部分が、針ハブ部34、ひいては雄コネクタハウジング18によって固定支持されるようになっている。そして、このように、サイドホールニードル14が針ハブ部34によって固定支持されることで、雌ルアー部20の内孔が、貫通孔32および針ハブ部34の内孔を通じてサイドホールニードル14の内孔16に連通されるようになっている。
【0051】
また、雄コネクタハウジング18の軸方向中間部分には、略筒状の外側筒部36が設けられている。この外側筒部36は、全体として略筒状とされており、ルアー周壁部22と略等しい外径寸法をもって底壁部30の先端側端面から先端側に連続して延び出している。これにより、雌ルアー部20(ルアー周壁部22)と外側筒部36とが、外周面において滑らかに連続している。また、雄コネクタ10(雄コネクタハウジング18)の軸方向中間部分において、針ハブ部34の形成位置では、針ハブ部34と外側筒部36とが相互に軸直角方向で離隔して内外挿状態とされた二重筒構造とされている。
【0052】
さらに、かかる外側筒部36には、軸方向の略全長に亘って延びて厚さ方向に貫通する切欠き38が設けられている。この切欠き38は、幅方向寸法よりも軸方向寸法の方が大きくされた軸方向に長手の略矩形状とされており、当該切欠き38の基端側開口部が雌ルアー部20における底壁部30で閉塞されるとともに、先端側開口部が後述するロック部42における上底壁部46で閉塞されることで、外側筒部36(雄コネクタハウジング18の軸方向中間部分)には、厚さ方向で貫通する略矩形状の開口窓40が形成されている。本実施形態では、周上の4箇所において、開口窓40が、周方向で略等間隔(略90度毎)に形成されている。
【0053】
なお、かかる外側筒部36の先端部分は、先端側に向かって僅かに拡開するテーパ筒形状とされている。これにより、後述する雄コネクタ10の初期状態において、係合爪70が開口窓40内の先端(外側筒部36の先端部分)に位置する場合にも、係合爪70がより確実に外側筒部36内に位置せしめられて、外部からの接触により係合爪70と上底壁部46との係合が解除されて拘束部材56が雄コネクタハウジング18から意図せず脱落することが防止され得る。
【0054】
更にまた、雄コネクタハウジング18の先端部分には、ロック部42が、外側筒部36の先端から連続して一体的に形成されている。このロック部42は、全体として軸方向に延びる略筒状とされており、本実施形態では、雌ルアー部20よりも大径な筒状とされている。即ち、ロック部42は、軸方向に延びる略筒状のロック周壁部44を備えており、当該ロック周壁部44の基端側開口部には、内周側に突出する環状の上底壁部46が設けられている。この上底壁部46の中央には、軸方向で貫通する貫通孔48が形成されており、当該貫通孔48の内径寸法が、サイドホールニードル14の外径寸法よりも大きく、且つ外側筒部36の内径寸法よりも小さくされている。なお、本実施形態では、かかる上底壁部46の基端側端面が、軸直角方向に広がる環状の平坦面49とされている。
【0055】
また、かかるロック周壁部44の内周面には、雌ねじ部50が設けられている一方、ロック周壁部44の外周面には、略矩形断面をもって外周側に突出し、且つ軸方向の略全長に亘って延びる突条52が設けられている。本実施形態では、8つの突条52が周方向で略等間隔(略45度毎)に形成されており、これにより、ロック周壁部44の外周面に凹凸が付されている。このようにロック部42(ロック周壁部44)の外周面に凹凸が付されることにより、後述する雄コネクタ10を把持して雌コネクタ86に螺合させる操作が行い易くされている。
【0056】
特に、本実施形態では、突条52の基端側端面が、軸直角方向に広がる平坦面54とされており、当該平坦面54が、上底壁部46の基端側端面である平坦面49と軸直角方向で滑らかに連続している。
【0057】
なお、雄コネクタハウジング18の針ハブ部34にサイドホールニードル14が固定された状態において、本実施形態では、サイドホールニードル14の先端面17は、ロック部42の先端と軸方向で略等しい位置か僅かに基端側に位置しているが、サイドホールニードルの先端面は、ロック部よりも先端側まで突出していてもよい。
【0058】
そして、かかる構造とされた雄コネクタハウジング18には、拘束部材56が組み付けられている。この拘束部材56は、例えば硬質の合成樹脂からなる略筒状の部材とされており、軸方向に略ストレートに延びている。かかる拘束部材56の先端部分における外周面には、軸直角方向に広がる環状の段差面58が形成されており、当該段差面58よりも先端側が、基端側に比べて、外径寸法が大きくされている。そして、かかる拘束部材56の先端部分において外径寸法が大きくされた部分が、周方向の全周に亘って連続して延びる外周壁部60とされている。なお、この外周壁部60の軸方向寸法は何等限定されるものではないが、サイドホールニードル14の開口部12における直径よりも大きくされることが好適である。
【0059】
この外周壁部60の先端には、内周側に突出する環状の係止爪62が形成されている。一方、外周壁部60の基端部分には、内周側に突出する環状の底壁部64が形成されており、即ち当該底壁部64の内周側(中央)には軸方向に貫通する貫通孔66が形成されている。この貫通孔66の内径寸法は、サイドホールニードル14の外径寸法よりも大きくされているとともに、後述するコイルスプリング82の内径寸法よりも小さくされている。そして、拘束部材56における段差面58よりも基端側の部分が、これら外周壁部60および底壁部64から基端側に向かって延び出す基端側突出部68とされている。底壁部64が設けられていることで、後述するカバー弁体74の変形態様の安定化などの拘束部材56による機能の向上が図られ得る。また、コイルスプリング82からカバー弁体74の基端へ外力が加わることを防ぎ、カバー弁体74の変形による暴露リスクを低減する。
【0060】
この基端側突出部68は、全体として軸方向に延びる略筒状とされており、前述のように外径寸法が外周壁部60の外径寸法より小さくされているとともに、内径寸法も外周壁部60の内径寸法より小さくされている。本実施形態では、基端側突出部68の外径寸法が、ロック部42の上底壁部46の中央に設けられた貫通孔48の内径寸法と略等しいか僅かに小さくされているとともに、基端側突出部68の内径寸法が、後述するコイルスプリング82の外径寸法よりも大きくされている。
【0061】
また、基端側突出部68の基端には、外周側に突出する係合爪70が設けられている。この係合爪70は、周上で部分的に形成されており、本実施形態では、4つの係合爪70が、周方向で略等間隔(略90度毎)に形成されている。一方、これら周方向で隣り合う係合爪70,70の間には、所定の幅方向寸法および軸方向寸法をもって、基端側突出部68の基端から先端側に向かって延びる切欠き72が形成されている。これにより、基端側突出部68の基端部分において係合爪70の形成部分が、軸直角方向に弾性変形可能とされており、後述するように雄コネクタハウジング18への拘束部材56の組付けが可能とされている。
【0062】
そして、かかる構造とされた拘束部材56の先端部分において外周壁部60と底壁部64とで囲まれる領域には、カバー弁体74が組み付けられている。このカバー弁体74は、全体として略ディスク状とされており、ゴムやエラストマなどの弾性体により形成されている。かかるカバー弁体74の基端側端面における中央部分には、先端側に向かって延びる挿入凹部76が形成されている。当該挿入凹部76は、サイドホールニードル14の先端部分に対応する形状とされており、開口部から直線状に延びるとともに、底面が湾曲面とされている。なお、かかる挿入凹部76は、カバー弁体74を貫通しておらず、挿入凹部76の底面が、カバー弁体74の軸方向中間部分に位置している。一方、当該挿入凹部76の底面における頂部(最深部)からは、軸方向に延びてカバー弁体74を貫通するスリット78が形成されている。即ち、これら挿入凹部76とスリット78によりカバー弁体74の全体を軸方向で貫通するスリットが形成されていると把握することも可能である。
【0063】
なお、本実施形態では、
図2に示されるように、カバー弁体74の中央部分において、スリット78が、軸直角方向に一文字状に延びているが、スリットの形状は何等限定されるものではなく、十文字状や中央から複数方向に放射状に延びていてもよい。尤も、かかるスリット78は必須なものではない。また、挿入凹部76も必須なものではない。
【0064】
また、カバー弁体74の外周面には、外周側に開口する係止凹部80が形成されている。かかる係止凹部80は、拘束部材56の先端に設けられた係止爪62と対応する形状とされており、本実施形態では、周方向の全周に亘って連続して環状に形成されている。尤も、かかる係止凹部は、カバー弁体の成形時に形成される必要はなく、平坦なカバー弁体の外周面に係止爪が押し付けられることで、カバー弁体の外周面に係止爪が食い込んで係止凹部が形成されるようになっていてもよい。係止爪62によりカバー弁体74の外周面の先端側は環状に強い圧縮力が生じており、カバー弁体74の先端側からの暴露リスクを低減している。
【0065】
以上の如きカバー弁体74が拘束部材56に組み付けられている。即ち、略ディスク状とされたカバー弁体74が、拘束部材56における外周壁部60と底壁部64とで囲まれる領域に嵌め入れられており、カバー弁体74の外周面が外周壁部60に当接して、カバー弁体74の外周側が外周壁部60で周方向の全周に亘って覆われているとともに、カバー弁体74の底面(基端側端面)が底壁部64に当接して、カバー弁体74の底面側(基端側)が底壁部64で覆われている。また、カバー弁体74における係止凹部80に拘束部材56の係止爪62が入り込むことで、カバー弁体74の拘束部材56からの意図しない脱落が防止される。これにより、後述する雄コネクタ10と雌コネクタ86との螺合時および螺合解除時には、拘束部材56とカバー弁体74とが軸方向に一体的に移動するようになっている。なお、上記のようにカバー弁体74が拘束部材56に組み付けられることで、カバー弁体74が外周壁部60により軸直角方向で圧縮されたり、底壁部64と係止爪62とにより軸方向で圧縮されることが好適であるが、軸直角方向及び/又は軸方向で圧縮されなくてもよく、ゼロタッチであったり隙間が設けられていてもよい。さらに、本実施形態では、カバー弁体74が係止爪62よりも先端側まで突出しており、外周壁部60の先端側端面を覆っている。
【0066】
そして、かかる拘束部材56とカバー弁体74との組付体が、サイドホールニードル14が固定された雄コネクタハウジング18に組み付けられている。即ち、雄コネクタハウジング18におけるロック部42の貫通孔48に拘束部材56の基端側突出部68が挿し入れられる。これにより、基端側突出部68の基端から外周側に突出する係合爪70が貫通孔48の内周面に当接せしめられ、係合爪70の形成部分が内周側に弾性変形して基端側突出部68が貫通孔48を通過可能となるとともに、係合爪70が貫通孔48を通過することで係合爪70が弾性的に復元変形して雄コネクタハウジング18の軸方向中間部分に開口する開口窓40に入り込んでいる。これにより、拘束部材56とカバー弁体74との組付体が、雄コネクタハウジング18から脱落することが防止されている。なお、係合爪70の形成位置における外径寸法(各係合爪70の外周面を接続する環状面を想定した際の仮定的な外径寸法)は、外側筒部36の内径寸法よりも大きくされている。これにより、後述する雄コネクタ10と雌コネクタ86との螺合時には、係合爪70が開口窓40の内周面に当接することで、雄コネクタハウジング18と拘束部材56とが一体的に回転されるようになっている。
【0067】
また、雄コネクタハウジング18の針ハブ部34から先端側に延び出すサイドホールニードル14が、拘束部材56およびカバー弁体74に挿通されている。
【0068】
ここにおいて、雄コネクタハウジング18と拘束部材56との軸方向間には、付勢手段としてのコイルスプリング82が配設されている。このコイルスプリング82は、サイドホールニードル14に外挿されており、具体的には、コイルスプリング82の基端部分が雌ルアー部20における針ハブ部34に外挿されて、例えば底壁部30の先端側端面である平坦面33に固着されている一方、コイルスプリング82の先端部が拘束部材56における底壁部64の基端側端面に固着されている。
図1~4に示される初期状態では、かかるコイルスプリング82が略自然長か圧縮された状態とされており、拘束部材56およびカバー弁体74が、コイルスプリング82により雄コネクタハウジング18に対して先端側へ変位する方向へ付勢されている。
【0069】
かかる初期状態では、拘束部材56が雄コネクタハウジング18に対して先端側に付勢されており、基端側突出部68における係合爪70が、ロック部42の上底壁部46における基端側端面である平坦面49に当接することで、拘束部材56の先端側への移動端が規定されている。即ち、本実施形態では、拘束部材56およびカバー弁体74の先端側への移動端を規定する規定手段84が、基端側突出部68における係合爪70を含んで構成されている。
【0070】
また、かかる初期状態では、カバー弁体74がサイドホールニードル14の先端部分に位置している。具体的には、サイドホールニードル14の先端部分がカバー弁体74の挿入凹部76に挿入されており、サイドホールニードル14の先端面17が挿入凹部76の底面にゼロタッチで当接するか僅かな離隔距離をもって位置している。これにより、初期状態では、サイドホールニードル14の先端面17がカバー弁体74の軸方向(スリット78の貫通方向)中間部分に位置しており、当該サイドホールニードル14の先端面17がカバー弁体74で覆われるとともに、カバー弁体74におけるスリット78が閉塞状態とされている。さらに、かかる状態では、サイドホールニードル14の開口部12に対して、カバー弁体74における挿入凹部76の内周面が略密着状態で当接するようになっており、サイドホールニードル14の外部への開口が閉鎖されている。また、本実施形態では、初期状態において、拘束部材56の外周壁部60がサイドホールニードル14の開口部12を覆う軸方向位置にあるが、かかる態様に限定されるものではない。更にまた、本実施形態では、初期状態において、カバー弁体74の先端側端面がロック部42よりも先端側に位置している。
【0071】
初期状態が上記の如き構造とされた本実施形態の雄コネクタ10は、接続相手方である雌コネクタに接続されることで流体流路が連通状態とされるようになっている。本実施形態の雄コネクタ10に接続され得る雌コネクタは何等限定されるものではないが、雌コネクタの具体的な1例を
図5に示す。
【0072】
本実施形態の雌コネクタ86は、ベース部材88と下カバー部材90と上カバー部材92と弁部材94とを含んで構成されている。即ち、弁部材94を間に挟んだ状態で上下のカバー部材92,90がベース部材88に固着されており、上下のカバー部材92,90により構成される雌ルアー部96の開口部に弁部材94が配されている。かかる弁部材94には、厚さ方向で貫通するスリット98が設けられており、初期状態では、当該スリット98が閉塞状態とされている。なお、本実施形態の上カバー部材92の外周面には段差面100が設けられており、当該段差面100よりも基端側(
図5中、上方)が小径筒部101とされて、当該小径筒部101の外周面に、雄コネクタ10におけるロック部42に設けられた雌ねじ部50と螺合する雄ねじ部102が設けられている。また、ベース部材88には、図示しないカテーテルなどが接続される筒状部104が設けられており、かかるカテーテルが患者の血管などに接続されている。
【0073】
以上の如き雌コネクタ86に対して雄コネクタ10が接続されることで、
図6に示されるように、流体流路106が連通状態とされるようになっている。即ち、雄コネクタ10の先端側端面と雌コネクタ86の基端側端面(
図5中の上方の端面)とを重ね合わせた状態から、雄コネクタ10と雌コネクタ86とを相互に接近する方向に押し付けて、雌コネクタ86に対して雄コネクタ10を回転させることで、雌コネクタ86における雄ねじ部102を雄コネクタ10のロック部42における雌ねじ部50に螺合させる。これにより、雌コネクタ86における小径筒部101がロック部42内にねじ送りされるようになっている。なお、かかる雄ねじ部102と雌ねじ部50との螺合は、例えばロック部42の先端側端面が、雌コネクタ86(上カバー部材92)の外周面に設けられた段差面100に当接することで制限されるようになっている。
【0074】
そして、上記のように雌コネクタ86における小径筒部101がロック部42内に挿入せしめられることで、雌コネクタ86の基端側端面である上カバー部材92および弁部材94の基端側端面が、ロック部42の内部のカバー弁体74の先端側端面に当接して、更に拘束部材56およびカバー弁体74を、コイルスプリング82の付勢力に抗して(コイルスプリング82が圧縮されながら)基端側に押し込むようになっている。具体的には、硬質の部材とされた上カバー部材92の基端側端面が、カバー弁体74を介して、同じく硬質の部材とされた拘束部材56の先端側端面に当接して、拘束部材56およびカバー弁体74を基端側に押し込むようになっている。尤も、本実施形態では、初期状態において、カバー弁体74の先端側端面がロック部42よりも先端側に位置しており、カバー弁体74の先端側端面と上カバー部材92および弁部材94の基端側端面との当接が生じた後に、雌コネクタ86の小径筒部101がロック部42に挿入されて、拘束部材56およびカバー弁体74が基端側に押し込まれる。これにより、カバー弁体74と弁部材94とが液密的に密着して、両弁体74,94の間の隙間を通じて抗がん剤などの薬液が暴露したり漏出することが防止され得る。
【0075】
これにより、拘束部材56およびカバー弁体74が、サイドホールニードル14に対して基端側に移動せしめられて、サイドホールニードル14の先端がスリット78を通じてカバー弁体74の先端側に突出するとともに、当該サイドホールニードル14の先端がスリット98を通じて弁部材94に挿通されて、雌コネクタ86の雌ルアー部96内に挿入される。そして、このようにサイドホールニードル14の先端がカバー弁体74で覆われた状態から、雌ルアー部96内に露出した状態となることで、サイドホールニードル14の開口部12,12が、雌ルアー部96内で開放される。この結果、雄コネクタ10における雌ルアー部20の内部空間が、サイドホールニードル14の内孔16を通じて雌コネクタ86における雌ルアー部96の内部空間に連通される。これにより、雄コネクタ10の雌ルアー部20、サイドホールニードル14、雌コネクタ86の雌ルアー部96、筒状部104などを含んで構成される流体流路106が連通状態とされて、雄コネクタ10の雌ルアー部20に接続されるバッグに封入される抗がん剤などの薬液が、流体流路106および筒状部104に接続されるカテーテルなどを通じて、患者の血管内に注入される。
【0076】
なお、上記拘束部材56およびカバー弁体74の、サイドホールニードル14に対する基端側への移動は、例えば拘束部材56の基端に設けられた係合爪70が、雌ルアー部20の底壁部30における平坦面33に当接することで制限されるようになっていてもよいし、拘束部材56の外周面に設けられた段差面58が、ロック部42の上底壁部46の先端側端面に当接することで制限されるようになっていてもよい。また、かかる拘束部材56およびカバー弁体74の基端側への移動は、拘束部材56の基端側突出部68における外径寸法が、ロック部42の貫通孔48における内径寸法と略等しいか僅かに小さくされていることから、拘束部材56の基端側突出部68における外周面108が、貫通孔48における内周面110と略当接しながら、軸方向で略直線状に行われるようになっている。即ち、本実施形態では、拘束部材56の基端側への移動をガイドするガイド部が、基端側突出部68における外周面108を含んで構成されている。
【0077】
そして、上記のように薬液を患者に注入した後は、雄コネクタ10と雌コネクタ86との接続を解除することで、流体流路106が遮断状態とされる。即ち、雄コネクタ10におけるロック部42の雌ねじ部50と雌コネクタ86における雄ねじ部102との螺合を解除することで、雌コネクタ86における小径筒部101がロック部42の外部に移動せしめられて、雄コネクタ10の先端側端面と雌コネクタ86の基端側端面との当接が解除される。この結果、コイルスプリング82の付勢力に従って拘束部材56およびカバー弁体74がサイドホールニードル14に対して先端側に移動せしめられるとともに、規定手段84により拘束部材56の先端側への移動端が規定されることで、カバー弁体74がサイドホールニードル14の先端面17を覆う初期位置まで復帰せしめられる。即ち、本実施形態では、カバー弁体74のサイドホールニードル14の基端側への移動を許容するとともに、カバー弁体74をサイドホールニードル14の先端部分へ弾性的に位置決めする位置決め手段112が、付勢手段であるコイルスプリング82と規定手段84とを含んで構成されている。そして、このようにカバー弁体74が初期位置に復帰せしめられることで、サイドホールニードル14の開口部12,12がカバー弁体74の挿入凹部76における内周面で覆われて閉鎖されるようになっている。
【0078】
以上の如き構造とされた本実施形態の雄コネクタ10では、雌コネクタ86への非接続時には、サイドホールニードル14の開口部12,12が弾性体からなるカバー弁体74で覆われることで、安定して閉鎖される。特に、カバー弁体74の外周側が外周壁部60により全周に亘って覆われるとともに、底壁部64と係止爪62との軸方向間で挟まれて支持されることで、カバー弁体74の意図しない変形が抑制されることから、サイドホールニードル14の開口部12,12が意図せず開放されて薬液などの流体が暴露したり漏出したりすることが防止され得る。また、雌コネクタ86への非接続時には、サイドホールニードル14の先端面17がカバー弁体74で覆われることから、雌コネクタ86に挿入されることで先端面17に付着した薬液などの流体の飛散が防止され得る。
【0079】
さらに、本実施形態では、拘束部材56の基端に係合爪70を有しており、当該係合爪70を含んで拘束部材56の先端側への移動端を規定する規定手段84が構成されているとともに、当該規定手段84と付勢手段であるコイルスプリング82とを含んで、カバー弁体74をサイドホールニードル14の先端部分に弾性的に位置決めする位置決め手段112が構成されている。それ故、雄コネクタ10と雌コネクタ86との接続時には、拘束部材56およびカバー弁体74がサイドホールニードル14に対して基端側に移動せしめられてサイドホールニードル14の開口部12,12が開放されるとともに、雄コネクタ10と雌コネクタ86との接続解除時には、拘束部材56およびカバー弁体74がサイドホールニードル14に対して自動的に先端側に移動せしめられて開口部12,12が閉鎖されることから、薬液などの流体の暴露や漏出のおそれが一層低減され得る。
【0080】
更にまた、本実施形態では、拘束部材56の基端側突出部68における外周面108を含んで、拘束部材56の軸方向の移動をガイドするガイド部が構成されていることから、拘束部材56およびカバー弁体74の移動に伴うサイドホールニードル14の開口部12,12の開放と閉鎖がより安定して実現され得る。
【0081】
次に、
図7~13には、本発明の第2の実施形態としての雄コネクタ120が示されている。この雄コネクタ120は、側方に開口部122を有する中空針としてのサイドホールニードル124を備えている。なお、本実施形態において、軸方向とは、サイドホールニードル124の中心軸方向となる
図11中の左右方向をいう。また、先端側とは、サイドホールニードル124において開口部122が設けられる側である
図11中の左側をいう一方、基端側とは、サイドホールニードル124が固定される側である
図11中の右側をいう。
【0082】
サイドホールニードル124は、ステンレス鋼などの金属や硬質の合成樹脂により形成された中空針であり、中心軸方向に延びる内孔126を有した管状体とされている。かかるサイドホールニードル124の先端は閉塞されているとともに、後述する雌コネクタ190の弁部材としてのディスク弁198に挿入されやすいように丸められており、サイドホールニードル124の先端面128が湾曲面により構成されている。
【0083】
サイドホールニードル124の先端部分には、軸直角方向(側方)に開口する開口部122が設けられており、内孔126が、当該開口部122を通じて外部空間に連通されている。本実施形態では、軸直角方向1方向の両側(
図11中の紙面直交方向両側)に、一対の開口部122,122が設けられている。
【0084】
さらに、雄コネクタ120は、サイドホールニードル124を固定支持する針ハブ部130を備えて、サイドホールニードル124に対して固定的に設けられた雄コネクタハウジング132を有している。この雄コネクタハウジング132は、全体として硬質の合成樹脂などからなる略円筒状の部材であり、基端部分には、略円筒状とされた雌ルアー部134が設けられている。雌ルアー部134には、例えば薬液などが封入されたバッグなどから延びる流路の端部に設けられる外部流路としてのルアーロックタイプ又はルアースリップタイプのシリンジやコネクタなどが接続可能とされている。
【0085】
雌ルアー部134の先端には、先端側に突出する略円筒状の針ハブ部130が略同軸的に設けられており、針ハブ部130に対してサイドホールニードル124の基端部分が略圧入状態で挿入されて、必要に応じて接着や溶着されることで、サイドホールニードル124が、針ハブ部130、ひいては雄コネクタハウジング132に固定支持されている。これにより、雌ルアー部134とサイドホールニードル124の内孔126とが相互に連通しており、雌ルアー部134を介してサイドホールニードル124に対して外部流路が接続されるようになっている。
【0086】
なお、本実施形態では、雄コネクタハウジング132が、針ハブ部130と雌ルアー部134を備えた一体成形品として形成されている。
【0087】
また、本実施形態では、雌ルアー部134の内径寸法は先端側に向かって小さくされており、最先端部では、サイドホールニードル124の内径寸法と略等しくされている。更に、雌ルアー部134の軸方向中間部分の外周面には、先端側に向かって外径寸法が次第に小さくなるテーパ面135が形成されている。
【0088】
雄コネクタハウジング132は、サイドホールニードル124に対して外周側に離隔して略同軸的に配された外側筒部136を一体的に備えている。この外側筒部136は、全体として先端側に開口する略有底筒形状とされており、当該外側筒部136の基端には、軸直角方向に広がる略円形の底板部138が設けられている。
【0089】
本実施形態では、底板部138の外周部分が略環状とされていると共に内周部分は略十字形状とされており、軸直角2方向(
図11中の上下方向及び紙面直交方向)で相互に直交する一対の基端壁部140,140を備えている。これら基端壁部140,140が相互に直交することで、底板部138には、中心軸回りの周長が1/4周より小さい略扇形の挿通孔142が、周方向で略等間隔に離隔して4つ設けられている。また、底板部138の中央部分となる基端壁部140,140の交差部分から基端側に向かって雌ルアー部134が突出していると共に、先端側に向かって針ハブ部130が突出している。
【0090】
外側筒部136には、先端側に開口すると共に厚さ方向で貫通する切欠き143が設けられている。本実施形態では、外側筒部136において、周方向で4つの切欠き143が、先端から基端部分に至る軸方向の略全長に亘って設けられている。これら切欠き143は、雄コネクタハウジング132の幅方向(
図9中の左右方向)で隣り合う切欠き143,143間の周方向寸法に比べて、上下方向(
図9中の上下方向)で隣り合う切欠き143,143間の周方向寸法の方が大きくされている。これら切欠き143により、外側筒部136を構成する周壁は4つに分割されている。
【0091】
すなわち、外側筒部136の上下方向両側には、周方向寸法が小さくされて径方向での弾性変形が容易な一対の可撓壁部144,144が設けられていると共に、外側筒部136の幅方向両側には、可撓壁部144よりも周方向寸法が大きくされて径方向での変形強さが大きくされた一対の壁部146,146が設けられている。そして、可撓壁部144,144の先端には、内周側に突出する接続係止部としての嵌合凸部148,148が形成されている。
【0092】
このようなサイドホールニードル124と外側筒部136との径方向間には、サイドホールニードル124及び外側筒部136に対して軸方向で移動可能とされた拘束部材150が設けられている。本実施形態の拘束部材150は、
図14にも示されているように、全体として略円筒状とされており、サイドホールニードル124に外挿されている。この拘束部材150の外径寸法は、雄コネクタハウジング132の内径寸法と略等しいか、僅かに小さくされており、軸方向の略全長に亘って略一定とされている。
【0093】
拘束部材150の先端部分には、比較的大きな内径寸法を有する筒状の先端突出部151が構成されており、当該先端突出部151の内周部分をもって先端側に開口する略環状の大径凹部152が形成されている。これにより、使用者の指が後述するカバー弁体170に触れにくくなっている。なお、先端突出部151の先端径は指が挿入されにくいような小さい径であることが好ましい。大径凹部152の内径は、後述する雌コネクタ190における小径筒部206の外周面の雄ねじ部208の外径より大きくされている。大径凹部152の内周縁部には、先端側に突出する筒状部154が設けられていると共に、当該筒状部154の基端には、内周側に突出する略環状の内周突部156が設けられている。これにより、拘束部材150の内径寸法が、大径凹部152から筒状部154、内周突部156となるにつれて、段階的に小さくされており、内周突部156の内径寸法は、サイドホールニードル124の外径寸法よりも大きくされている。
【0094】
そして、筒状部154と内周突部156とにより囲まれる略円柱状の空間が、後述するカバー弁体170が収容される収容領域158とされている。従って、収容領域158に収容されるカバー弁体170が、拘束部材150と共にサイドホールニードル124に対して軸方向で移動可能とされている。
【0095】
さらに、拘束部材150において、内周突部156よりも基端側には、略円筒形状とされた基端側突出部160が形成されている。この基端側突出部160は、内周突部156の内孔や大径凹部152と略同軸的に形成されており、基端側突出部160と大径凹部152とが、内周突部156の内孔を通じて連通されている。基端側突出部160の内径寸法は、内周突部156の内径寸法より大きくされており、雌ルアー部134の先端部分における外径寸法と略等しいか僅かに小さくされている。
【0096】
そして、拘束部材150には、基端から先端側に向かって延びるようにして、周壁(基端側突出部160)を厚さ方向に貫通する切欠き162が形成されている。本実施形態では、切欠き162が、基端側突出部160よりも短い軸方向寸法をもって形成されており、拘束部材150の内外が切欠き162を通じて径方向で連通している。
【0097】
また、本実施形態では、切欠き162が、雄コネクタハウジング132における外側筒部136の基端壁部140に対応する周方向位置に設けられており、周方向の4箇所において略等間隔に形成されている。これにより、拘束部材150の基端部分では、環状の周壁(基端側突出部160)が略4分割されており、周方向で相互に離隔する4本の脚部164が形成されている。各脚部164の断面形状は、外側筒部136の底板部138に設けられた挿通孔142と略対応する形状とされており、中心軸回りの周長が1/4周より小さい扇形状とされている。
【0098】
また、各脚部164の基端部分では外径寸法(各脚部164の外周面を繋ぐ仮想的な環状面の外径寸法)が小さくされており、当該外径寸法が小さくされた部分の外周面には、周方向に延びる位置決め凹部166が設けられている。
【0099】
さらに、拘束部材150の先端部分(先端突出部151)の外周面には、周方向の全周に亘って延びる環状の嵌合凹部168が形成されている。なお、この嵌合凹部は周方向の全周に亘って設けられる必要はなく、雄コネクタハウジング132の嵌合凸部148,148に対応して、上下方向両側に設けられるだけでもよい。
【0100】
以上の如き構造とされた拘束部材150の収容領域158には、ゴムやエラストマ等の弾性体から構成されたカバー弁体170が配されている。即ち、カバー弁体170を保持する保持部材が、拘束部材150により構成されている。このカバー弁体170は、全体として中実の円柱形状又は円板形状(ディスク状)とされており、基端側端面の略中央から先端側に延びる挿入凹部172が形成されている。当該挿入凹部172は、サイドホールニードル124の先端部分に略対応してサイドホールニードル124の外径よりも小さな内径で延びる円形穴形状とされており、基端側の開口部から軸方向に直線状に延びている。また、挿入凹部172の先端側はテーパ状に小径化されており、カバー弁体170を貫通せずに、挿入凹部172の先端(底面)が、カバー弁体170の軸方向の中間部分に位置している。
【0101】
さらに、カバー弁体170において、挿入凹部172の底面(最深部)からは、軸方向で先端側に貫通して延びるスリット173が形成されている。即ち、挿入凹部172とスリット173によりカバー弁体170の全体を軸方向で貫通するスリットが形成されていると把握することもできる。なお、スリット173は、一文字状スリットや放射状スリット、ピン孔状スリットなど具体的に限定されないが、カバー弁体170の弾性で閉鎖状態に保持されている。
【0102】
そして、かかる挿入凹部172にサイドホールニードル124の先端部分が挿し入れられて収容されており、サイドホールニードル124の外周面に対してカバー弁体170の挿入凹部172の内周面が弾性的に密着されて、開口部122が封止されている。なお、挿入凹部172は、サイドホールニードル124の先端よりも深く形成されており、製造公差や組付誤差等によって生じるサイドホールニードルの先端位置の変動に対応するための空隙が、挿入凹部172の底部に設定されている。これにより、初期状態においてサイドホールニードル124がカバー弁体170に影響を与え、例えばサイドホールニードル124の先端面が挿入凹部172の底面に押し付けられたり、スリット173にまで至ったりすることで、カバー弁体170のスリット173が開かれてしまうような不具合を防止することができる。
【0103】
また、本実施形態では、カバー弁体170の先端面174が、後述するサイドホールニードル124が挿通されて変形させられた後の雌コネクタ190のディスク弁198の形状を考慮して、外周部分よりも中央部分において先端側に突出する中央突出形状とされており、全体として中心軸回りの略回転対称形状となる略山形の先端面174とされている。
【0104】
より詳細には、
図11(b)に示されているように、山形の先端面174の頂部付近となる中央部分174aが、曲率中心を先端面174よりも基端側に設定されることで先端側に向かって凸となる湾曲面とされている。また、かかる中央部分174aから外周に向かって、山形の先端面174の山裾まで広がる領域である外周部分174bは、曲率中心を先端面174よりも先端側に設定されることで先端側に向かって凹となる、中央部分174aとは逆向きの湾曲状傾斜面とされている。なお、上記の中央部分174aと外周部分174bの各湾曲面は、単一の円弧形状とされる必要はなく、各曲率半径Ra,Rbが複数段階に又は漸次に変化していても良い。また、山形の先端面174は、全体に亘って折れ点がなく滑らかに繋がった表面形状とされることが望ましく、中央部分174aと外周部分174bの両湾曲面も共通接線をもって滑らかに接続されていることが望ましい。なお、先端面174における中央部分174aと外周部分174bの各曲率半径は、Ra<Rbとなるように設定されることが好適である。また、先端面174の外周部分174bの半径方向幅寸法は、中央部分174aの半径寸法よりも大きくされることで、全体として凹形の湾曲面が充分な広さで設けられることが好ましい。
【0105】
さらに、本実施形態のカバー弁体170の外周面175は、先端面174の外周縁部となる外周部分174bの外周端から軸方向基端側に向かって延びる円筒形状とされている。特に本実施形態では、筒状外周面175の軸方向の中間部分で且つ中央よりも先端側に位置して、径方向に広がる段差面175aが形成されている。そして、段差面175aよりも先端側が小径の先端側外周面175bとされていると共に、段差面175aよりも基端側が大径の基端側外周面175cとされており、外周面175の全体が段付きの円筒形状とされている。
【0106】
なお、カバー弁体170の基端面から軸方向先端側に向かって延びる上述の挿入凹部172は、段差面175aを越えて先端側外周面175bの内周側にまで達する深さとされており、或いは、先端側外周面175bも越えて先端面174の外周部分174bの内周側にまで達する深さとされている。また、かかる挿入凹部172に挿入されるサイドホールニードル124の先端は、カバー弁体170の基端側外周面175cの内周側に位置していても良いが、本実施形態では、段差面175aを越えて先端側外周面175bの内周側にまで達している。
【0107】
また、カバー弁体170は、拘束部材150の収容領域158に対して嵌め入れられた状態で組み付けられており、カバー弁体170の基端面が収容領域158の底面に対して重ね合わされていると共に、カバー弁体170の基端側外周面175cが収容領域158の内周面に対して重ね合わされている。更に、カバー弁体170の段差面175aは、拘束部材150において先端突出部151内に突設された筒状部154の突出先端面と略同じ軸方向位置とされている。
【0108】
さらに、筒状部154には、硬質の環状部材176が外挿装着されている。環状部材176が筒状部154に対して略圧入状態で外挿されたり、必要に応じて接着や溶着を行うことで固定されている。また、環状部材176の先端部分は内周側に屈曲して、筒状部154の先端側において、筒状部154よりも内周側にまで突出する環状の押え突部177が形成されている。そして、かかる押え突部177の軸方向基端側の内面が、カバー弁体170の段差面175aに重ね合わされていると共に、押え突部177の内周側の突出先端面が、カバー弁体170の先端側外周面175bに当接又は隙間をもって対向配置されている。押え突部177はカバー弁体170の外周面175の段差面175a上に位置して、カバー弁体170の先端側への変形が生じにくくされている。
【0109】
このように、拘束部材150の筒状部154に対して環状部材176が外挿固定されており、かかる環状部材176の押え突部177がカバー弁体170の外周部分を先端から覆っていることにより、拘束部材150からのカバー弁体170の抜け出しによる脱落が防止されていると共に、カバー弁体170の外周面に重ね合わされた筒状部154の補強も図られている。
【0110】
また、環状部材176の押え突部177の内周側では、カバー弁体170の先端面174が軸方向先端側に向かって突出している。かかるカバー弁体170の先端面174における突出端(中央部分174aの頂点)は、拘束部材150の先端までは至らず、拘束部材150の先端突出部151の内部に収容配置されている。
【0111】
なお、カバー弁体170は、筒状部154及び/又は環状部材176により径方向で圧縮状態とされることが好適である。具体的には、本実施形態では、カバー弁体170における段差面175aよりも基端側の部分(基端側外周面175cの形成部分)における外径寸法が筒状部154の内径寸法よりも大きくされること等により、カバー弁体170の基端部分が径方向で圧縮されている。一方、カバー弁体170の先端部分において、先端側外周面175bの形成部分における外径寸法は、押え突部177の内径寸法よりも僅かに小さくされており、カバー弁体170における段差面175aよりも先端側の部分は径方向で圧縮されないようになっている。これにより、径方向の圧縮力がスリット173の部分に及ぼされることがなく、スリット173が予期せず開いてしまうことが防止され得る。また、カバー弁体170は、内周突部156と環状部材176において内周側に屈曲した部分(押え突部177)とにより軸方向で圧縮されることが好適である。これにより、後述する初期状態において、サイドホールニードル124の開口部122がより確実にカバー弁体170で閉塞され得る。即ち、本実施形態では、カバー弁体170の外周を覆う拘束部材150においてカバー弁体170の外周を覆う外周壁部が筒状部154により構成されると共に、カバー弁体170の底面を覆う底壁部が、内周突部156により構成されると把握され得る。
【0112】
以上の如き構造とされた拘束部材150と、サイドホールニードル124を有する雄コネクタハウジング132とが相互に組み付けられている。即ち、拘束部材150の基端部分に設けられた各切欠き162に対して雄コネクタハウジング132の基端壁部140が周方向で位置合わせされて差し入れられており、各切欠き162の基端側開口部を蓋部材178で閉塞することにより拘束部材150から雄コネクタハウジング132が脱落することが防止され得る。換言すれば、拘束部材150における基端側突出部160の基端に蓋部材178が組み付けられることで切欠き162の基端側開口部が蓋部材178で閉塞される。
【0113】
本実施形態の蓋部材178は、
図10や
図13にも示されるように、全体として略環状の部材とされている。蓋部材178において拘束部材150における切欠き162と対応する周方向位置には、内周側に突出する位置決め突部180が設けられていると共に、蓋部材178において拘束部材150の基端部分に設けられた位置決め凹部166に対応する位置に、位置決め凸部182が形成されている。そして、拘束部材150の基端部分において外径寸法が小さくされた部分に対して蓋部材178が外挿されて、切欠き162に位置決め突部180が差し入れられると共に、位置決め凹部166に位置決め凸部182が嵌まり込むことで、拘束部材150に対して蓋部材178が、軸方向及び周方向で位置決めされた状態で組み付けられている。
【0114】
なお、蓋部材178における最小内径寸法(各位置決め突部180の内周面を繋ぐ仮想的な環状面の内径寸法)は、雌ルアー部134の最大外径寸法(基端側開口部における外径寸法)よりも大きくされており、拘束部材150と雄コネクタハウジング132とを組み付けた状態で、拘束部材150の基端部分に対して蓋部材178を外挿することができるようになっている。
【0115】
このように、拘束部材150の基端部分(基端側突出部160)に対して蓋部材178が組み付けられて切欠き162の基端側開口部が閉塞されることで、拘束部材150には、内外で貫通して軸方向に延びる略矩形の案内窓184が形成されており、当該案内窓184に雄コネクタハウジング132の基端壁部140が差し入れられている。
【0116】
また、拘束部材150と雄コネクタハウジング132との組付状態では、サイドホールニードル124及び針ハブ部130が基端側突出部160内に挿し入れられ、サイドホールニードル124が内周突部156を貫通している。更に、雌ルアー部134の先端部分が基端側突出部160内に挿し入れられていると共に、雌ルアー部134の基端部分は基端側突出部160から基端側へ突出している。
【0117】
図7~13に示される初期状態では、サイドホールニードル124の先端面128がカバー弁体170内における軸方向(スリット173の貫通方向)の中間部分に位置しており、サイドホールニードル124の先端面128がカバー弁体170で覆われている。本実施形態では、サイドホールニードル124において開口部122が形成された軸方向位置で、カバー弁体170の外周が、拘束部材150の筒状部154及び環状部材176により全周に亘って覆われている。これにより、サイドホールニードル124の内孔126の側方への開口(開口部122)がカバー弁体170により覆われて閉塞されている。
【0118】
そして、相互に組み付けられる拘束部材150と雄コネクタハウジング132との間には、拘束部材150を雄コネクタハウジング132に対して先端側に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング186が設けられている。具体的には、コイルスプリング186が、針ハブ部130に外挿されて基端側突出部160内に収容されており、コイルスプリング186の先端が拘束部材150の内周突部156に固定されていると共に、コイルスプリング186の基端が雌ルアー部134の先端や基端壁部140,140に固定されている。
【0119】
図7~13に示される初期状態では、拘束部材150に設けられた嵌合凹部168に対して雄コネクタハウジング132に設けられた嵌合凸部148が嵌まり込んでいる。これら嵌合凸部148と嵌合凹部168との径方向の凹凸嵌合により、雄コネクタハウジング132と拘束部材150とが軸方向で相互に係止されており、雄コネクタハウジング132に対する拘束部材150の軸方向の移動が制限されている。これにより、サイドホールニードル124の側方への開口部122が、カバー弁体170による封止状態に保持されている。即ち、雄コネクタハウジング132において、拘束部材150と係止してカバー弁体170を開口部122を封止する位置に保持する移動制限機構が、嵌合凸部148と嵌合凹部168との係止機構を含んで構成されている。なお、嵌合凸部と嵌合凹部とは相互に逆側に設けられてもよく、即ち嵌合凸部が拘束部材に、嵌合凹部が雄コネクタハウジングに設けられてもよい。
【0120】
初期状態では、拘束部材150が、雄コネクタハウジング132に対して最も先端側に位置しており、拘束部材150における基端壁部140,140が、各案内窓184内における最も基端側に位置して蓋部材178と当接するか僅かに離隔している。かかる初期状態では、コイルスプリング186が略自然長とされるか、僅かに圧縮状態とされている。従って、本実施形態では、カバー弁体170の先端側への移動端を規定する規定手段が、嵌合凸部148と嵌合凹部168との凹凸嵌合と、案内窓184内における基端壁部140と蓋部材178との当接との少なくとも一方により構成されていると共に、カバー弁体170をサイドホールニードル124の先端部分へ弾性的に位置決めする位置決め手段187が、付勢手段であるコイルスプリング186と、上記規定手段とを含んで構成されている。
【0121】
ここにおいて、雄コネクタハウジング132には、移動制限機構としての嵌合凸部148と嵌合凹部168との係止機構を解除することのできる解除機構が設けられている。具体的には、可撓壁部144の先端に設けられた嵌合凸部148から連続して、外周側に突出する操作部としての操作片188が設けられている。本実施形態の操作片188は、可撓壁部144の先端から外周側に突出すると共に、その外周端から基端側に湾曲して、基端側に延び出している。特に、本実施形態では、操作片188が、基端側に向かうにつれて外周側に傾斜する方向に延び出している。これにより、操作片188に操作外力を及ぼして、具体的には操作片188の基端部分を内周側に押圧して嵌合凸部148及び可撓壁部144を外周側に離隔させるように弾性変形させることで、嵌合凸部148と嵌合凹部168との係止が解除されるようになっている。即ち、本実施形態では、嵌合凸部148と嵌合凹部168との係止機構が、解除機構としての操作部(操作片188)を含んで構成されている。
【0122】
初期状態が上記の如き構造とされた本実施形態の雄コネクタ120は、接続相手方である雌コネクタにサイドホールニードル124を挿し入れて接続することで流体流路が連通状態とされるようになっている。本実施形態の雄コネクタ120に接続され得る雌コネクタは何等限定されるものではないが、雌コネクタの具体的な1例を
図15に示す。
【0123】
本実施形態の雌コネクタ190は、ベース部材192と下カバー部材194と上カバー部材196を含んで構成される雌コネクタハウジングに対して、弁部材としてのディスク弁198が組み付けられて構成されている。即ち、ディスク弁198を間に挟んだ状態で上下のカバー部材196,194がベース部材192に固着されており、上下のカバー部材196,194により構成される雌ルアー部200の開口部にディスク弁198が配されている。
【0124】
かかるディスク弁198とその雌コネクタハウジングによる保持構造は、例えば特開2013-198755号公報や特開2019-72648号公報などで公知のものが適宜に採用可能である。即ち、例えばディスク弁198は、略一定の厚さ寸法で軸直角方向に広がる円板形状の中央部分198aにおいて、厚さ方向で貫通するスリット202が設けられており、初期状態では、当該スリット202が閉塞状態とされている。なお、スリット202の形状は限定されるものではなく、一文字状、十文字状、放射状等、各種形状が採用され得るが、本実施形態では、中央から周方向の三方に略等間隔に延びる三又状とされている。なお、スリット202を三又状といった複数のスリットで構成したり、幅を大きくすることでディスク弁198の変形性が大きくなり、挿入抵抗が少なく操作性が向上できる。スリット202の幅をサイドホールニードル124が挿入され得る程度に小さくすることで、操作性は低減するが、暴露リスクを抑制することができる。暴露リスクを抑制するため、スリットではなくピンホールとすることも可能である。
【0125】
また、ディスク弁198において、中央部分198aの外周側には、内面と外面の両方に位置してそれぞれ周方向に延びる係止溝が形成されている。これら内外面の係止溝によって、ディスク弁198の厚さ寸法が薄肉とされており、かかる薄肉の挟持部の外周側には、環状乃至は筒状の支持部198bが形成されている。そして、雌コネタクハウジングへの組付状態下では、かかる支持部198bが、上下のカバー部材196,194で挟まれており、これら上下のカバー部材196,194に設けられた内外の係止爪が、ディスク弁198の内外の係止溝に対して係止されている。
【0126】
さらに、本実施形態の上カバー部材196の外周面には環状の段差面204が設けられており、当該段差面204よりも接続先端側となる雌コネクタ先端側(
図15中、右側)が小径筒部206とされて、当該小径筒部206の外周面に雄ねじ部208が設けられている。この雄ねじ部208により、雌コネクタ190の小径筒部206には、例えばロック付きのシリンジ等が接続可能とされており、薬液を注入して雄コネクタ120を抜去した後、生理食塩水等が封入されたシリンジ等を接続して患者の体内に生理食塩水等を注入することで、雌コネクタ190内に残留する薬液も残すことなく患者に注入することができる。
【0127】
また、雌コネクタ190の雌コネクタハウジングにおいて、雌コネクタ先端側の外周壁を構成する上カバー部材196の外周面には、ねじ部としての雄ねじ部208よりも雌コネクタ基端側(
図15中、左側)に位置して、前述の雄コネクタ120が軸方向で係止され得る外方突部としてのフランジ状部210が、雄ねじ部208よりも外周側に突出して設けられている。
【0128】
本実施形態では、雌コネクタハウジングが、軸方向の中間部分に段差面204を有しており、かかる段差面204よりも雌コネクタ先端側が、外周面に雄ねじ部208が形成された小径部分とされている一方、段差面204よりも雌コネクタ基端側が、大径の略円筒形状の大径筒部212とされている。そして、この大径筒部212の雌コネクタ先端部において、外周側に突出する環状のフランジ状部210が形成されている。尤も、かかるフランジ状部210は、雄コネクタ120(本実施形態では、雄コネクタ120の嵌合凸部148)が軸方向で係止可能であれば良く、例えば周方向で部分的に突出形成されていても良いし、段差面204よりも雌コネクタ先端側に位置して突出形成されていても良いし、フランジ状部210に代えて嵌合凸部148と嵌合する溝を設けてもよい。
【0129】
以上の如き雌コネクタ190に対して雄コネクタ120が接続されることで、
図16に示されるように、流体流路216が連通状態とされるようになっている。即ち、雌コネクタ190の小径筒部206を雄コネクタ120の大径凹部152に差し入れた後、解除機構を構成する操作片188,188の基端部分を内周側に押圧することで、可撓壁部144及び嵌合凸部148が弾性的に変形及び/又は変位して、嵌合凸部148を外周側に変位させる。これにより、嵌合凸部148と嵌合凹部168との係合が解除されて、拘束部材150が雄コネクタハウジング132に対して軸方向で移動可能とされる。
【0130】
なお、大径凹部152への小径筒部206の挿し入れは、小径筒部206の基端部分における軸方向の少なくとも一部が挿し入れられればよく、例えば小径筒部206の全長が挿し入れられたり、カバー弁体170とディスク弁198とが当接するまで挿し入れられる必要はない。この操作は、嵌合凸部148と嵌合凹部168との係合が解除された状態で、意図せず拘束部材150が小径筒部206と接触して基端側に移動させられることを防止することを目的としているが、必須なものではなく、嵌合凸部148と嵌合凹部168との係合を解除した後に、小径筒部206が大径凹部152へ挿し入れられてもよい。
【0131】
そして、拘束部材150が雄コネクタハウジング132に対して移動可能とされた状態で、雌コネクタ190の先端面(上カバー部材196及びディスク弁198の表面)と拘束部材150における大径凹部152内の先端面(環状部材176及びカバー弁体170の表面)とを当接させて、雌コネクタ190を雄コネクタハウジング132内へ向けて軸方向に押し込む。この雌コネクタ190の押込力により、雌コネクタ190と共に、カバー弁体170を備える拘束部材150がコイルスプリング186の付勢力に抗して(コイルスプリング186が圧縮されながら)サイドホールニードル124に対して基端側に移動する。本実施形態では、雌コネクタ190及び拘束部材150が、ストレートに、即ち回転しないで直線的な並進移動によって移動するようになっている。なお、例えば操作片188,188の基端部分の内周側への押圧を片方の手で行うことで、雌コネクタ190及び拘束部材150の基端側への移動をもう片方の手で行うことができる。
【0132】
この結果、サイドホールニードル124が、カバー弁体170及びディスク弁198の両スリット173,202に挿通されて、サイドホールニードル124の開口部122が雌コネクタ190の雌ルアー部200内に位置することで、雄コネクタ120の流路と雌コネクタ190の流路とが連通されて、流体流路216が構成される。これにより、雄コネクタ120の雌ルアー部134に接続されるバッグに封入される抗がん剤などの薬液が、流体流路216に連通されるカテーテルなどを通じて、患者の血管内に注入され得る。
【0133】
特に、本実施形態では、雌コネクタ190と拘束部材150との当接に際して、それぞれ硬質の部材とされた環状部材176と上カバー部材196とが当接することから、雌コネクタ190の押込力が拘束部材150により確実に伝達されて、雌コネクタ190と拘束部材150との基端側への移動が安定して達成され得る。
【0134】
さらに、拘束部材150の案内窓184に雄コネクタハウジング132の基端壁部140が挿し入れられていることから、拘束部材150の雄コネクタハウジング132に対する軸方向移動が、案内窓184によって案内され得る。
【0135】
なお、拘束部材150の外径寸法と外側筒部136の内径寸法が略等しくされていることから、拘束部材150の外周面と外側筒部136の内周面とが当接することでも雄コネクタハウジング132に対する拘束部材150の軸直角方向の移動が阻止されて、軸方向の移動を案内するようになっている。即ち、拘束部材150の外周面と外側筒部136の内周面によっても案内手段が構成されていると把握することができるし、拘束部材150の基端側突出部160の外周面によってガイド部が構成されていると把握することもできる。特に、外側筒部136の壁部146,146は、上下の可撓壁部144,144よりも周方向寸法が大きくされることで、内周面の面積や変形強度も確保されており、外側筒部136による拘束部材150の案内作用の向上も図られ得る。
【0136】
また、本実施形態では、雄コネクタ120のカバー弁体170の先端面174が、前述の如き凸状湾曲形状の中央部分174aと凹状湾曲形状の外周部分174bからなる特定形状とされていることにより、雄コネクタ120と雌コネクタ190との接続状態において、カバー弁体170とディスク弁198とが略隙間なく重ね合わされるようになっている。即ち、
図16(a),(b)に示されているように、雌コネクタ190のディスク弁198へサイドホールニードル124が挿し入れられると、サイドホールニードル124の摩擦抵抗等によってディスク弁198の中央部分198aが雌コネクタ190の軸方向内方へ凹むように変形し、初期形状で平坦面だったディスク弁198の中央部分198aの外表面は、略すり鉢状に凹むように変形することとなる。
【0137】
この際、
図16(b)のX線透視画像に示されているように、雌コネクタ190のディスク弁198の中央部分198aの外表面は、雌コネクタハウジングにおける内外の係止爪で支持された外周端から中央に向かって外表面側に凸となる湾曲形状をもって弾性変形する。それ故、雄コネクタ120のカバー弁体170が凹状湾曲形状の外周部分174bを先端面174に有していることで、雄コネクタ120と雌コネクタ190との接続時に、サイドホールニードル124の挿通によって弾性変形したディスク弁198の外表面に対して形状的に略合致して、隙間の発生を抑えた略密接状態で重ね合わされ得ることとなる。
【0138】
しかも、雌コネクタ190のディスク弁198の中心部分では、挿し入れられるサイドホールニードル124の表面につられて内方へ引き込まれやすいが、そこに重ね合わされる雄コネクタ120のカバー弁体170の中央部分174aが凸状湾曲形状とされていることで、雄コネクタ120と雌コネクタ190とを接続する際に、良好な密着性が確保され得る。これにより、雄コネクタ120と雌コネクタ190との接続状態において、カバー弁体170とディスク弁198との重ね合わせ面間における隙間がより効果的に軽減されるようになっている。なお、ディスク弁198に形成されるスリット202は、一文字状より三又状や十文字状等の3つ以上のフラップが形成されるスリット形態である方が、凹状湾曲形状の外周部分174bと湾曲形状をもって弾性変形するディスク弁198とが重ね合わされやすく、好ましい。
【0139】
そして、雌コネクタ190のフランジ状部210が雄コネクタハウジング132の嵌合凸部148よりも基端側に位置した状態で、操作片188の基端部分の内周側への押圧を解除することで、可撓壁部144及び嵌合凸部148が弾性的に復元変形して、接続係止部としての嵌合凸部148がフランジ状部210に係合される。これにより、雄コネクタハウジング132と雌コネクタ190とが離脱不能とされて接続状態が保持されている。
【0140】
薬液を患者に注入した後は、雄コネクタ120と雌コネクタ190との接続を解除することで、流体流路216が遮断状態とされる。即ち、操作片188に操作外力を及ぼして、具体的には操作片188の基端部分を内周側に押圧して嵌合凸部148を外周側に変位させることで、嵌合凸部148とフランジ状部210との係合が解除されて、雌コネクタ190が雄コネクタハウジング132に対して離脱可能とされる。即ち、本実施形態では、嵌合凸部148と嵌合凹部168との係止を解除する操作片188を操作することで、嵌合凸部148とフランジ状部210との係止も解除されるようになっている。この状態で雌コネクタ190を把持して先端側(
図16中の左側)に引き抜くことで、雌コネクタ190のディスク弁198からサイドホールニードル124が抜去されて、雌コネクタ190は、
図15に示される状態に復元する。
【0141】
また、雌コネクタ190の先端側(
図16中の左側)への引き抜きに伴って、コイルスプリング186が弾性的に復元変形して、拘束部材150が雄コネクタハウジング132に対して先端側に移動する。これにより、サイドホールニードル124の先端部分がカバー弁体170で覆われると共に、操作片188への押圧力を解除することで、嵌合凸部148と嵌合凹部168とが係止して、拘束部材150が雄コネクタハウジング132に対して移動不能とされる。この結果、サイドホールニードル124の開口部122からの薬液の暴露や漏出がより確実に防止され得る。
【0142】
以上の如き構造とされた本実施形態の雄コネクタ120においても、カバー弁体170をサイドホールニードル124の先端部分へ位置決めする位置決め手段187が設けられて、当該カバー弁体170の外周を覆う硬質の拘束部材150や環状部材176が設けられていることから、前記第1の実施形態と同様に、雌コネクタ190への非接続時にサイドホールニードル124の開口部122がより確実にカバー弁体170により封止されて、薬液の暴露や漏出がより確実に防止され得る。特に、本実施形態では、拘束部材150と雄コネクタハウジング132とが係止することで拘束部材150の移動を制限する移動制限機構が設けられていることから、サイドホールニードル124の開口部122の封止状態が安定して維持され得る。
【0143】
また、本実施形態の雄コネクタ120は、拘束部材150と雄コネクタハウジング132との係止を解除する解除機構(操作片188)を設けて、雌コネクタ190と拘束部材150の基端側への移動操作と、解除機構(操作片188)による係止解除操作とを別個に行うこととした。これにより、拘束部材150と雄コネクタハウジング132との係止の解除を意図して行うことができて、係止解除作動の安定性と信頼性の向上が図られる。このように、移動制限機構の解除操作(操作片188を中心軸に向けて押す操作)と拘束部材の移動操作(拘束部材150を中心軸に沿って移動させる操作)とが別動作とされることで、それぞれの操作に必要な操作力を各別に設定することもできる。これにより、移動制限機構による拘束部材の移動制限の確実性と、移動制限機構の解除時における拘束部材の良好な移動操作性とが両立して達成され得る。具体的には、例えば拘束部材150の良好な移動操作性を確保しつつ、拘束部材150と雄コネクタハウジング132の係止力を大きくすることも可能となる。それ故、移動操作の操作性の向上と、係止解除操作の操作性の向上とを両立して達成することもできる。
【0144】
本実施形態では、初期状態において、拘束部材150の先端突出部151がカバー弁体170よりも先端側に突出した状態で移動が制限されていることから、意図せずカバー弁体170に接触してサイドホールニードル124の開口部122が開放されることが防止されて、抗がん剤等の薬液の暴露や漏出が防止され得る。
【0145】
また、本実施形態では、拘束部材150の基端側への移動が案内手段に従ってなされることから、拘束部材150が、雄コネクタハウジング132に対するがたつきを小さく抑えられつつ移動され得る。なお、案内手段は、例えば雄コネクタハウジング132に軸方向に延びる溝部が設けられると共に拘束部材150に外周側に突出する案内片が設けられて、溝部内を案内片が摺動することで構成されてもよい。
【0146】
更にまた、本実施形態では、カバー弁体170が先端側に突出しており、サイドホールニードル124が挿通された際に先端側に引っ張られるように変形する雌コネクタ190のディスク弁198と略対応する形状とされている。これにより、雄コネクタ120と雌コネクタ190の接続時にカバー弁体170とディスク弁198とが略隙間なく当接するようになっており、雌コネクタ190からサイドホールニードル124を抜去した際に、カバー弁体170とディスク弁198との間の隙間に入り込んだ薬液が暴露したり漏出したりすることが回避され得る。
【0147】
次に、
図17,18には、本発明の第3の実施形態としての雄コネクタ220が示されている。本実施形態の雄コネクタ220は、前記第1の実施形態の雄コネクタ10と同様な構造とされている。即ち、本実施形態の雄コネクタ220は、
図19にも示されるように、中空針の先端部分の側方において開口部12を有するサイドホールニードル14と、当該側方への開口部12を覆うカバー弁体222と、カバー弁体222の外周を覆う硬質の拘束部材224と、拘束部材224の外周を覆う雄コネクタハウジング226と、拘束部材224を基端側から先端側に付勢する付勢手段としてのコイルスプリング82と、を備えている。なお、本実施形態において、軸方向とは、サイドホールニードル14の中心軸方向となる
図18中の上下方向をいう。また、先端側とは、サイドホールニードル14において開口部12が設けられる側である
図18中の下側をいう一方、基端側とは、サイドホールニードル14が固定される側である
図18中の上側をいう。さらに、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材及び部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0148】
前記第1の実施形態では、雄コネクタハウジング18が一体成形により形成された1つの部材とされていたが、本実施形態の雄コネクタハウジング226は、複数の部材が軸方向で連結された構造となっている。即ち、本実施形態の雄コネクタハウジング226は、拘束部材224の外周を覆う筒状周壁部228と、サイドホールニードル14を支持する針ハブ230とが、相互に別体構造とされており、針ハブ230の先端側に筒状周壁部228が連結されている。
【0149】
筒状周壁部228は、全体として略筒状とされており、基端部分には、周壁の厚さ方向で貫通する平面視で略矩形状の貫通窓232と、周壁の厚さ方向で貫通してある程度の軸方向寸法をもって基端から先端側に延びる位置決め凹部234とが形成されている。本実施形態では、4つの貫通窓232が、周方向で略等間隔に形成されていると共に、当該貫通窓232を周方向で外れた位置において、一対の位置決め凹部234が径方向で対向して形成されている。かかる位置決め凹部234が設けられることで、筒状周壁部228の基端における周壁が、径方向で弾性変形可能とされている。なお、本実施形態では、筒状周壁部228の基端の内周面には、貫通窓232と対応する周方向位置において、基端側に向かって次第に拡径するテーパ面236が設けられている。
【0150】
また、筒状周壁部228の基端部分における内周面には、周方向で部分的に内径寸法が大きくされた部分が設けられており、当該内径寸法が大きくされた部分により内周溝部238が形成されている。内周溝部238は、略矩形断面を有しており、ある程度の軸方向寸法をもって基端から先端側に延びている。換言すれば、筒状周壁部228の軸方向中間部分において内周側に突出する環状の内周突部240が設けられており、当該内周突部240の基端側において軸方向に延びる内周溝部238が形成されている。本実施形態では、4つの内周溝部238が設けられており、周方向で略等間隔に形成されている。
【0151】
さらに、筒状周壁部228の先端部分における内周面には、雌ねじ部242が形成されている。当該雌ねじ部242は、接続相手方である雌コネクタ86の雄ねじ部102と螺合可能とされている。
【0152】
針ハブ230は、外部流路が接続される雌ルアー部244とサイドホールニードル14を実質的に保持する針ハブ部246とを一体的に備える形状とされている。これら雌ルアー部244と針ハブ部246とは、何れも略筒状とされており、針ハブ部246の方が雌ルアー部244よりも小径とされて、雌ルアー部244の内周側で針ハブ部246が連続して先端側に延び出している。即ち、針ハブ230の軸方向中間部分は、雌ルアー部244と針ハブ部246とが相互に内外挿された二重筒構造とされており、雌ルアー部244と針ハブ部246との径方向間には、先端側に開口する環状凹部248が形成されている。
【0153】
また、雌ルアー部244の先端部分における外周面には、外周側に突出する係合突部250が設けられている。係合突部250は、貫通窓232と略対応する形状とされており、平面視で略矩形状とされている。本実施形態では、4つの係合突部250が設けられており、貫通窓232と周方向で対応する位置に形成されている。更に、係合突部250を周方向で外れた位置には、外周側に突出して軸方向に延びる位置決め凸部252が設けられており、本実施形態では、位置決め凹部234と周方向で対応する位置に形成されている。なお、係合突部250の先端面は、先端側に向かって次第に外周側への突出寸法が小さくなるテーパ面254とされている。
【0154】
さらに、拘束部材224は、全体として略筒状とされており、先端には、内周側に突出する環状の押え突部256が設けられていると共に、基端には、外周側に突出する外周突部258が設けられている。この外周突部258は、内周溝部238と略対応する大きさの矩形ブロック状の突部とされており、内周溝部238と周方向で対応する位置に形成されている。
【0155】
更にまた、本実施形態のカバー弁体222は、全体として前記第2の実施形態のカバー弁体170と同様の形状とされているが、本実施形態では、挿入凹部172の底面が段差面175aと略等しい軸方向位置にあり、カバー弁体222の先端部分の中央において、段差面175aよりも先端側の全長に亘ってスリット173が形成されている。これにより、サイドホールニードル14の先端面17と挿入凹部172の底面とがゼロタッチで当接するか、サイドホールニードル14の先端が僅かにスリット173内に入り込んでいる。この結果、サイドホールニードル14の先端面17と挿入凹部172の底面との間には、空間が略設けられないようになっている。また、本実施形態においても、カバー弁体222の先端部分における外径寸法が押え突部256の内径寸法よりも僅かに小さくされており、カバー弁体222のスリット173の部分が径方向で圧縮されないようになっている。
【0156】
なお、カバー弁体222の外径寸法(基端側外周面175cにおける外径寸法)は、拘束部材224の内径寸法と略等しいか僅かに大きくされることが好適であり、カバー弁体222と拘束部材224とが組み付けられた際に、カバー弁体222が拘束部材224の内周面により径方向で僅かに圧縮されることが好ましい。また、カバー弁体222の内径寸法(挿入凹部172の内径寸法)は、サイドホールニードル14の外径寸法と略等しいか僅かに小さくされることが好適であり、サイドホールニードル14がカバー弁体222に挿入された際に、サイドホールニードル14の先端部分に対してカバー弁体222の内周面(挿入凹部172の内周面)が押し付けられるようになっている。なお、カバー弁体222の外面に環状の凸部を設けて、拘束部材224の内周面により径方向で僅かに圧縮されるようにしてもよい。また、サイドホールニードル14の開口部12より先端側と基端側において特に強い圧縮が環状に生じるようにしてもよい。さらに、サイドホールニードル14の外周面及び/又は拘束部材224の内周面に環状の凸部を設けてもよい。
【0157】
カバー弁体222が組み付けられた拘束部材224が、筒状周壁部228の基端から挿入されている。その際、筒状周壁部228の内周溝部238に拘束部材224の外周突部258が嵌め入れられており、拘束部材224が筒状周壁部228に対して中心軸回りの回転が不能に、且つ軸方向で移動可能とされている。そして、筒状周壁部228の内周突部240と拘束部材224の外周突部258とが相互に当接することで、筒状周壁部228に対する拘束部材224の先端側への移動端が規定されている。
【0158】
かかる筒状周壁部228の基端側から、サイドホールニードル14が固定された針ハブ230が挿し入れられている。即ち、筒状周壁部228の貫通窓232と針ハブ230の係合突部250とが周方向で位置合わせされた状態で、筒状周壁部228の基端側開口部から針ハブ230を挿入することで、位置決め凹部234に対して位置決め凸部252が入り込んで筒状周壁部228と針ハブ230との相対回転が防止されると共に、筒状周壁部228に対する針ハブ230の先端側への移動端が規定される。また、貫通窓232に対して係合突部250が入り込んで係合することでも筒状周壁部228と針ハブ230との相対回転が防止されると共に、筒状周壁部228に対する針ハブ230の基端側への移動端が規定される。
【0159】
これにより、筒状周壁部228と針ハブ230とが軸方向で位置決めされた状態で組み付けられている。なお、かかる筒状周壁部228と針ハブ230との組付けに際しては、筒状周壁部228の基端のテーパ面236と、係合突部250の先端のテーパ面254とが相互に当接することで、筒状周壁部228の基端が外周側へ変形し易くなっている。
【0160】
以上の如き構造とされた本実施形態の雄コネクタ220においても、先端側から、例えば
図5に示される如き雌コネクタ86がねじ送りにより接続されることで、カバー弁体222の先端面174と弁部材94の基端面(
図5中の上面)とが当接せしめられて、サイドホールニードル14がカバー弁体222と弁部材94に挿通される。
【0161】
本実施形態では、雄コネクタハウジング226が、相互に別体とされた筒状周壁部228と針ハブ230とを連結することで構成されていることから、内周突部240や外周突部258を雄コネクタハウジング226の内部に設けることが容易とされ得る。また、内周突部240及び外周突部258が筒状周壁部228の内部に設けられていることから、例えば外部から外周突部258が内周側に押し込まれて内周突部240との係合が意図せず解除されることも回避される。
【0162】
次に、
図20には、本発明の第4の実施形態としての雄コネクタ270が示されている。本実施形態の雄コネクタ270は、前記第2の実施形態の雄コネクタ120と同様な構造とされている。前記第2の実施形態の雄コネクタ120の相違点として、本実施形態の雄コネクタ270は、拘束部材150における先端突出部151の内周面に、接続相手方である雌コネクタ190(
図15参照)の雄ねじ部208と螺合する雌ねじ部272を備えている。また、カバー弁体としては、前記第3の実施形態の形状のカバー弁体222を採用している。なお、本実施形態において、軸方向とは、サイドホールニードル124の中心軸方向となる
図20中の左右方向をいう。また、先端側とは、サイドホールニードル124において開口部122が設けられる側である
図20中の左側をいう一方、基端側とは、サイドホールニードル124が固定される側である
図20中の右側をいう。
【0163】
以下、本実施形態の雄コネクタ270と雌コネクタ190との接続方法の具体的な一例を、
図21,22を示して説明するが、雄コネクタ270と雌コネクタ190との接続方法は限定されるものではない。
【0164】
先ず、
図21に示されるように、雄コネクタ270と雌コネクタ190とを相互に接近させて、雌ねじ部272と雄ねじ部208とを螺合させる。そして、雌コネクタ190をねじ送りで雄コネクタ270との接近方向に移動させることで、雌コネクタ190の小径筒部206が、先端突出部151内に入り込む。なお、雄コネクタ270に対する雌コネクタ190の移動端は、例えば雄コネクタ270の押え突部177と小径筒部206の基端面(
図21中の右端面)とが相互に当接したり、先端突出部151の先端面と雌コネクタ190の段差面204とが相互に当接することで規定され得る。即ち、本実施形態では、雄コネクタ270に設けられて雌コネクタ190と連結する連結部が、雌ねじ部272により構成されている。特に、本実施形態では、かかる連結部(雌ねじ部272)が雄コネクタ270の拘束部材150に設けられており、雌コネクタ190と雄コネクタ270の特に拘束部材150とが相互に連結されるようになっている。
【0165】
本実施形態では、雌コネクタ190の移動端において、押え突部177と小径筒部206の基端面とが相互に当接している。これにより、雄コネクタ270におけるカバー弁体222の先端面174と雌コネクタ190における弁部材としてのディスク弁198の基端面とが重ね合わされて相互に突出している。なお、押え突部177を小径筒部206より小さくし、押え突部177が小径筒部206内に挿入されるようにすることもできる。
【0166】
かかる状態から、操作片188を操作して(操作片188を内周側に押圧して)嵌合凸部148と嵌合凹部168との係合を解除し、
図22に示されるように、雄コネクタハウジング132を、コイルスプリング186の付勢力に反して(コイルスプリング186を圧縮させつつ)拘束部材150及び雌コネクタ190に対して先端側に移動させる(若しくは、拘束部材150及び雌コネクタ190を雄コネクタハウジング132に対して基端側に移動させる)。これにより、サイドホールニードル124が、カバー弁体222及びディスク弁198に挿通されて、流体流路216が連通状態とされる。
【0167】
尤も、雄コネクタ270と雌コネクタ190との接続方法は上記の方法に限定されるものではなく、例えば操作片188を操作して嵌合凸部148と嵌合凹部168との係合を解除した後、雌ねじ部272と雄ねじ部208とを螺合させて雄コネクタ270と雌コネクタ190とを連結し、その後雄コネクタハウジング132を先端側に移動させてサイドホールニードル124をカバー弁体222及びディスク弁198に挿通すると共に、嵌合凸部148とフランジ状部210とを係合させてもよい。
【0168】
本実施形態の雄コネクタ270では、サイドホールニードル124が、カバー弁体222及びディスク弁198に挿通される前に、雌ねじ部272と雄ねじ部208とが螺合して、カバー弁体222の先端面とディスク弁198の基端面とが相互に当接状態とされる。即ち、カバー弁体222とディスク弁198とが相互に重ね合わされた状態でサイドホールニードル124が挿通及び抜去されることから、サイドホールニードル124の挿抜に際して、カバー弁体222とディスク弁198との間に隙間が発生することが防止される。これにより、当該隙間を通じての薬液の漏出や暴露が効果的に回避され得る。
【0169】
また、雄コネクタハウジング132の移動時には、拘束部材150と雌コネクタ190とが相互に連結していることから、嵌合凸部148をフランジ状部210に係合させる操作時において、拘束部材150から雌コネクタ190が意図せず離脱することがなく、嵌合凸部148とフランジ状部210との係合操作、即ち雄コネクタハウジング132を移動させてサイドホールニードル124をカバー弁体222及びディスク弁198に挿通する操作をより確実に行うことができる。
【0170】
特に、雌ねじ部272と雄ねじ部208との螺合を行うことで、雄コネクタ270と雌コネクタ190のそれぞれの中心軸が位置合わせされて、サイドホールニードル124がディスク弁198の中心のスリット202に対してより確実に挿通され得る。これにより、ディスク弁198の意図しない変形も抑制されて、カバー弁体170とディスク弁198との間に隙間が発生して薬液が漏出したり暴露することが防止され得る。
【0171】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
【0172】
たとえば、前記第1の実施形態では、雄コネクタ10(雄コネクタハウジング18)において雌ルアー部20と外側筒部36とロック部42とが一体で形成されており、雌コネクタ86との螺合時には、雌コネクタ86に対して雄コネクタ10の全体が中心軸回りに回転するようにされていた。また、前記第3の実施形態では、雄コネクタハウジング226において筒状周壁部228と針ハブ230とが別体で形成されて、且つ回転不能とされていたが、これらの態様に限定されるものではない。具体的には、
図23,24に示される雄コネクタ280のように、雌ルアー部282とロック部284とを別体として中心軸回りで相対回転可能に形成してもよい。
【0173】
図23,24に示された別態様では、ロック部284の基端側に筒状体286が固着されており、筒状体286内に、雌ルアー部282の先端部分が相対回転可能に差し入れられている。そして、雌ルアー部282と筒状体286との間にラチェット機構288が構成されている。
【0174】
ラチェット機構288は、雌ルアー部282を
図24の右回りに回転させた際、
図24中の上下部分に示された雌ルアー部282の突起が、筒状体286内に突設された可撓片の先端面に突き当たって、筒状体286で回転阻止される。それ故、雌ルアー部282への右回転力は、筒状体286からロック部284へ直接的に伝達されることとなり、雌ルアー部282と筒状体286およびロック部284とが供回りする。
【0175】
一方、雌ルアー部282を
図24の左回りに回転させると、雌ルアー部282の突起は、筒状体286の可撓片の先端部分に対して側方より当たるから、可撓片が逃げるように弾性変形して雌ルアー部282の筒状体286に対する相対回転が許容される。それ故、雌ルアー部282への左回転力は、筒状体286およびロック部284へは伝達されずに、雌ルアー部282と筒状体286とが空回りする。
【0176】
従って、雌ルアー部282に対して、薬液バッグ等から延びる薬液流路のロック付きコネクタを接続する際には、筒状体286やロック部284を把持することで雌ルアー部282の右回りの回転を阻止させた状態で、コネクタを雌ルアー部282へ回転ロックさせて接続することができる。
【0177】
一方、雌ルアー部282へのロック付きコネクタの接続状態では、雌ルアー部282からの意図しないコネクタ離脱が防止される。即ち、ロック付きコネクタ側から或いはロック部284に接続されたカテーテル側から、雌ルアー部282からコネクタを離脱させる方向の回転力が及ぼされた場合でも、ラチェット機構288の機能で、雌ルアー部282からコネクタのロックを外す方向の回転力の作用が回避されることとなり、雌ルアー部282の雄ねじ部28へのコネクタの螺合状態が安定して維持され得る。
【0178】
同様に、
図25,26に示される雄コネクタ290では、雌ルアー部292を構成する部材とロック部294を構成する部材とが別体とされているとともに、両部材間にラチェット機構296が構成されている。かかる構造とされた本態様の雄コネクタ290においても、
図23,24に示される雄コネクタ280と同様の効果が発揮され得る。
【0179】
また、
図27に示される雄コネクタ300のように、カバー弁体302の基端面には、サイドホールニードル14に外挿状態で装着される環状のシール部としてのOリング304やカバー弁体302の基端面の変形を制限する制限部材306が設けられてもよい。本態様では、カバー弁体302の基端面における内周側にOリング304が設けられていると共に、当該Oリング304の外周側から基端側を覆うように環状の制限部材306が設けられている。これにより、制限部材306とカバー弁体302の基端面の外周部分とが相互に当接している。かかる制限部材306は、拘束部材224に圧入状態で内挿されたり、接着や溶着等により固着されることにより、拘束部材224やサイドホールニードル14等に組み付けられ得る。そして、Oリング304が制限部材306とサイドホールニードル14との径方向間で圧縮されることにより、カバー弁体302とサイドホールニードル14の外周面との間がシールされるようになっている。なお、本態様では、コイルスプリング82の先端が、制限部材306の基端面に固着されている。
【0180】
上記の如きOリング304が設けられることで、サイドホールニードル14のカバー弁体302への挿抜等により、仮にサイドホールニードル14とカバー弁体302との間に隙間が生じたとしても、当該隙間を通じての薬液の漏出や暴露が防止され得る。また、カバー弁体302の基端面に当接する制限部材306が設けられることで、カバー弁体302の基端面の変形が抑制されて、カバー弁体302とサイドホールニードル14との間の隙間の発生が防止され得る。
【0181】
なお、本態様では、Oリング304と制限部材306が同時に設けられていたが、これらはそれぞれ単独で設けられてもよい。カバー弁体の基端側に環状のシール部が設けられる場合には、当該シール部はOリングである必要はなく、例えばカバー弁体から基端側に一体的に突出する筒状部がサイドホールニードルへの外挿状態で設けられて、当該筒状部を締め付けるように環状の部材がサイドホールニードルに外嵌固定されてもよい。かかる場合には、筒状部の内周面に環状の凹部が設けられることで、筒状部がサイドホールニードルの外周面に対して線当たりの状態となることが好ましい。これにより、サイドホールニードルの挿抜時にシール部との摩擦抵抗が大きくなることが回避され得る。
【0182】
また、制限部材が単独で設けられる場合には、制限部材は、本態様のように、カバー弁体の基端面を部分的に覆ってもよいし、例えばカバー弁体の基端面の略全面を覆う略環状の部材とされてもよい。なお、制限部材は、カバー弁体より硬質の材質で形成されることが好ましく、例えば金属や硬質の合成樹脂により形成されることがより好ましい。
【0183】
さらに、前記第1や第3の実施形態では、カバー弁体74,222の先端が雄コネクタハウジング18,226から先端側に突出して外部に露出していたが、
図28に示される雄コネクタ310のように、雄コネクタハウジング312の筒状周壁部314から先端側に突出するカバー部316を設けて、カバー弁体318の先端がカバー部316で覆われるようになっていてもよい。本態様のカバー部316は、筒状周壁部314よりも大径とされており、カバー部316の基端が筒状周壁部314の軸方向中間部分において環状の連結壁部320により連結されている。これにより、使用者が意図せずカバー弁体318に接触してサイドホールニードル14の開口部12から薬液が漏出したり暴露することが防止されると共に、雌コネクタ86を接続するに際しても、カバー部316と雌コネクタ86との接触が回避されて、良好な操作性が発揮され得る。なお、カバー部316は筒状周壁部314から分離可能としてもよい。
【0184】
更にまた、本発明に係る雄コネクタでは、
図29に示されるカバー弁体330も採用され得る。即ち、カバー弁体330には、先端側スリット332と基端側スリット334が設けられており、これらスリット332,334の延びる方向が異ならされている。特に、本態様では、両スリット332,334が相互に直交する方向に延びている。これにより、薬液の漏出や暴露が効果的に防止され得る。なお、本態様では、カバー弁体330における挿入凹部76よりも先端側に、先端側及び基端側スリット332,334が形成されており、先端面174と挿入凹部76とを相互に連通している。また、先端側と基端側でスリットの延出方向が異なるカバー弁体は、例えばスリットの延出方向が異なる複数の弾性体を軸方向で重ね合わせて形成してもよいし、一つのカバー弁体に対して先端側と基端側から異なる方向にカッターを入れて、異なる方向のスリットを形成してもよい。なお、かかる先端側スリットと基端側スリットは、スリットの幅寸法が相互に異なっていてもよい。
【0185】
さらに、前記第1の実施形態では、拘束部材56の先端部分において、外周壁部60が周方向の全周に亘って形成されていたが、周上で部分的に形成されてもよい。外周壁部が周上で部分的に形成される場合、外周壁部は、サイドホールニードルにおける開口部と周上で対応する位置に形成されることが好適であるが、対応しない位置に形成されてもよい。同様に、前記第1の実施形態では、拘束部材56の先端部分において、底壁部64が全周に亘って環状に形成されていたが、周上で部分的に形成されてもよい。なお、拘束部材における底壁部は必須なものではない。また、前記
図27に示される態様のように、カバー弁体の基端面に制限部材を設けることで、当該制限部材を底壁部と把握することも可能であり、即ち拘束部材において底壁部は別体で形成されてもよい。
【0186】
さらに、前記第1~第4の実施形態では、カバー弁体74,170,222の基端側端面においてサイドホールニードル14,124の先端部分が挿入される挿入凹部76,172が形成されていたが、かかる態様に限定されるものではない。即ち、挿入凹部に代えて、スリットが採用されてもよく、当該スリットにサイドホールニードルの先端部分が挿入されていてもよい。要するに、カバー弁体には、厚さ方向で貫通する1つのスリットが設けられてもよい。更にまた、前記第1~第4の実施形態では、挿入凹部76,172に加えてスリット78,173が設けられていたが、かかるスリット78,173は設けられなくてもよい。即ち、雌コネクタとの接続時において、カバー弁体がサイドホールニードルに対して基端側に移動した際に、サイドホールニードルの先端部分がカバー弁体を突き破ってカバー弁体から先端側に突出するようになっていてもよい。かかる態様が採用されることで、雌コネクタとの接続前における、雄コネクタからの薬液などの流体の暴露や漏出がより確実に防止され得る。
【0187】
また、前記第1~第4の実施形態では、拘束部材56,150,224及びカバー弁体74,170,222を先端側に付勢する付勢手段としてコイルスプリング82,186が採用されていたが、かかる態様に限定されるものではない。即ち、コイルスプリングに代えて、弾性材から構成される筒状体などが雄コネクタにおける雌ルアー部と拘束部材との軸方向間に配設されてもよいし、弾性以外に磁力を用いるなど、従来公知の付勢手段が何れも採用され得る。なお、付勢手段がゴム等の弾性材から構成される場合、カバー弁体と一体的に形成されてもよい。
【0188】
さらに、前記第1~第4の実施形態における雄コネクタ10,120,220,270に接続される雌コネクタは、
図5や
図15に記載のものに限定されるものではない。例えば、前記第1~第4の実施形態における雌コネクタ86,190には弁部材94,198が設けられていたが、これらの弁部材は必須なものではない。また、雌コネクタ86,190において、弁部材94,198を支持するハウジングが、ベース部材88,192と下カバー部材90,194と上カバー部材92,196とにより構成されていたが、かかる分割構造に限定されるものではなく、単一の部材により構成されていてもよい。
【0189】
なお、拘束部材は、カバー弁体を直接的に覆っていてもよいが、例えばカバー弁体と拘束部材との間に、カバー弁体とは別体とされた弾性部材が介在されていてもよい。
【0190】
また、例えば前記第1の実施形態では、サイドホールニードル14が内挿される部材としてカバー弁体74および拘束部材56を有している。雄コネクタ10と雌コネクタ86との接続時には、雌コネクタ86の上カバー部材92がカバー弁体74を介して拘束部材56に当接することから、これらカバー弁体74と拘束部材56が、雌コネクタ86内に挿入されることはない。しかし、雌コネクタ86とカバー弁体74や拘束部材56との相対的な径寸法を調節するなどして、サイドホールニードル14が内挿される部材であるカバー弁体74や拘束部材56が、雄ルアーとして機能して雌コネクタに挿入されて流体流路の接続連通が実現されるようになっていても良い。例えば、雄コネクタのカバー弁体における先端が、雌コネクタにおける弁部材の基端側端面を押圧して、雌コネクタの弁部材が開口した状態で雌コネクタの弁部材における基端側端面と雄コネクタのカバー弁体における先端側端面により液密なシール面が形成されるようになっていてもよい。
【0191】
更にまた、拘束部材と雄コネクタハウジングとの係合は凹凸嵌合である必要はない。例えば、前記第2や第4の実施形態において、外側筒部の外周面を凹凸のない環状面として、初期状態には、嵌合凸部148,148が外側筒部の外周面との当接による摩擦力等により外側筒部を上下方向で挟持することで、拘束部材と雄コネクタハウジングとが係合されるようになっていてもよい。
【0192】
さらに、前記第2や第4の実施形態では、操作部が、基端側に突出する操作片188によりテコの作用を利用して軽く操作できるように構成されていたが、例えば嵌合凸部148から外周側に突出するように形成された操作部を外周側に引っ張ることで雄コネクタハウジングと拘束部材との係合が解除されるようになっていてもよい。また、前記第2や第4の実施形態のように、サイドホールニードルに対して雄コネクタハウジングや係止機構が一体成形や別部品の固着などによって固定的に設けられることで構造の簡略化などが図られ得るが、別態様として、係止機構を、サイドホールニードルや雄コネクタハウジングに対して非固着の別部材で構成することも可能である。例えば、雄コネクタハウジング132の外側筒部136を内外に貫通して別体の係止ピンを組み付けて、当該係止ピンの内周側への突出先端部を拘束部材150の嵌合凹部168へ係止させると共に、当該係止ピンの外周側への突出部分を外方へ引っ張ることで係止解除され得るようにしても良い。また、拘束部材へ係合する嵌合突部を、操作部材(操作片188)と一体的に設けることなく、例えば拘束部材150又は雄コネクタハウジング132に対して取外し可能に装着されるキャップ等の着脱部材に対して嵌合突部を設け、当該着脱部材を取り外すことでカバー弁体の軸方向移動が許容されるようにしても良い。
【0193】
また、拘束部材への係合部は、操作片に一体的に設けられている必要もない。例えば、拘束部材150の先端突出部151を径方向内方に押圧する押圧部材を、拘束部材150や操作片188とは別部材で設け、当該押圧部材を操作片188で径方向内方へ押圧移動させて拘束部材150の先端突出部151を径方向内方へ変形させることで、拘束部材150に対する嵌合凸部148の係止を解除して、拘束部材150を軸方向に移動可能にすることも可能である。
【0194】
また、雄コネクタハウジングと拘束部材との係合部分、及び当該係合を解除する操作部は、上下に一対設けられる態様に限定されるものではなく、例えば嵌合凸部の位置と略対応して、嵌合凹部を周上で1箇所に設けられてもよいし、3箇所以上に設けられてもよい。
【0195】
また、前記第2や第4の実施形態における雄コネクタハウジング132において、拘束部材150への係合部分と雌コネクタ190への係合部分は、共に嵌合凸部148とされていたが、拘束部材への係合部分と雌コネクタへの係合部分は異なっていてもよい。例えば、雄コネクタハウジングにおいて、嵌合凸部148とは周方向で異なる部分(例えば高剛性壁部146)や軸方向で異なる部分に雌コネクタとの係合部分を設けてもよい。
【0196】
さらに、前記第2や第4の実施形態において、雌コネクタは雄コネクタに対してねじ送りで接続されるようになっていてもよい。例えば、雄コネクタハウジングの内周面に雌ねじ部を設けると共に、雌コネクタの外周面に雄ねじ部を設けて、これら雄ねじ部と雌ねじ部が螺合することで雄コネクタハウジングと雌コネクタとが係合するようになっていてもよい。更にまた、雄コネクタハウジングに対する拘束部材の移動もねじ送りによって行われてもよく、拘束部材が移動する前に解除機構によって雄コネクタハウジングと拘束部材との係合が解除されるようになっていればよい。なお、前記第4の実施形態では、雌コネクタ190の雄ねじ部208と螺合する雌ねじ部272が拘束部材150に設けられていたが、例えば雄コネクタハウジングから先端側に突出する部分を設けて、当該突出部分の内周面に雌コネクタの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を設けてもよい。
【0197】
なお、前記第2の実施形態において、雌コネクタの小径筒部には、筒状の部材(アダプタ)が外挿装着されてもよい。その際、アダプタの外径寸法を拘束部材における大径凹部の内径寸法と略等しくして、アダプタの外周面と大径凹部の内周面により大径凹部への雌コネクタの挿入を案内するようにしてもよいし、大径凹部の内周面に雌ねじ部を設けると共にアダプタの外周面に雄ねじ部を設けて、これら雄ねじ部と雌ねじ部の螺合により、拘束部材と雌コネクタとが連結されるようになっていてもよい。或いは、アダプタを雌コネクタの大径筒部までも覆う構造として、例えば雄コネクタハウジングの内周面に設けた雌ねじ部とアダプタの外周面に設けた雄ねじ部が螺合するようになっていてもよい。
【0198】
また、前記第2や第4の実施形態では、雌コネクタ190の外周面に外周側に突出するフランジ状部210が設けられて雄コネクタハウジング132の嵌合凸部148と係合していたが、雌コネクタ190と雄コネクタ120との係合機構は、係合によって相互の軸方向移動を制限するものであれば限定されない。例えば、雌コネクタ190のハウジングの外周面に開口する係合凹部を周方向で部分的に又は全周に亘って連続して設けて、当該係合凹部に対して、雄コネクタ120の嵌合凸部148が係合するようにしても良い。
【0199】
さらに、前記第2や第4の実施形態において、拘束部材150の先端突出部151がカバー弁体170よりも先端側に突出していたが、この態様に限定されるものではなく、カバー弁体が拘束部材よりも先端側に位置して外部に露出していてもよいし、先端突出部を前記第2の実施形態のように筒状又は環状とする他、周方向で部分的に突出させてカバー弁体の外周側に配置させてもよい。また、カバー弁体より基端側の流路を確定する部材はサイドホールニードルに限定されず、穿刺端を有するニードルやルアーなどの管状体であっても良い。
【0200】
なお、前記第1~第4の実施形態では、サイドホールニードル14,124が針ハブ部34,130(即ち雄コネクタハウジング18,132)や針ハブ230と別体とされて後固着されているが、一体的に形成されてもよく、例えばサイドホールニードルと針ハブ部(即ち雄コネクタハウジング)や針ハブとが硬質の合成樹脂からなる一体成形品により構成されてもよい。これにより、部品点数が削減されると共に、後固着等の操作が省かれ得る。
【0201】
また、サイドホールニードルに対する開口部の大きさは限定されるものではないが、例えば開口部の流路断面積が、サイドホールニードルの内孔の流路断面積の70%以下とされることが好適であり、より好適には、40%~60%の範囲内に設定される。要するに、開口部の内径寸法φA(
図18参照)は、例えば内孔の内径寸法φB(
図18参照)の85%以下とされることが好適であり、より好適には、60%~80%の範囲内に設定される。なお、このように比較的小径の開口部が設けられる場合には、開口部は、同一周上で複数設けられることが好適であり、例えばサイドホールニードルにおいて側方への開口部を、例えば3~6個設けてもよい。サイドホールニードルの数や大きさが上記の如く設定されることにより、薬液の暴露が効果的に防止されると共に、サイドホールニードルを流動する薬液の流量が十分に確保され得る。特に、開口部の軸方向寸法を小さくすることで、雄コネクタのカバー弁体と雌コネクタの弁部材との間を通過する時間が短くなり、これらの隙間に薬液が漏出するおそれが低減され得る。
【0202】
さらに、前記第1~第4の実施形態では、サイドホールニードル14,124が、内外径が軸方向で略一定で、略ストレートに延びているが、サイドホールニードルの先端部分における内外径を、基端部分における内外径に比べて、小径としてもよい。かかる小径部分は、サイドホールニードルの先端からある程度の軸方向長さをもって形成されることが好適であり、例えば雌コネクタとの接続時に、カバー部材及び雌コネクタの弁部材に挿通される分だけ小径とされてもよい。これにより、小径とされた部分における流体の流動効率が低下せしめられて、カバー部材及び弁部材への挿通時に、カバー部材及び弁部材とサイドホールニードルとの間の隙間の発生が回避されて、当該隙間を通じての薬液の漏出や暴露が防止され得る。また、サイドホールニードルの先端部分が小径とされることで、挿通性の向上や摩擦抵抗減少の効果が発揮されて、カバー部材及び弁部材の変形が抑制されることから、これによっても、隙間の発生及び当該隙間を通じての薬液の漏出及び暴露防止の効果が発揮され得る。
【0203】
なお、カバー弁体に設けられるスリットや挿入凹部は、サイドホールニードルの外径寸法よりも小径とされたピンホールとされてもよい。これにより、スリットに比して、サイドホールニードルとカバー弁体との隙間が小さくされることから、薬液の漏出や暴露のおそれが低減され得る。
【0204】
また、雄コネクタのカバー弁体と雌コネクタの弁部材とは、硬度(柔軟性)を異ならせて形成してもよく、例えば雄コネクタのカバー弁体を、雌コネクタの弁部材よりも柔軟に形成してもよい。これにより、カバー弁体と弁部材とが重ね合わされた状態で変形した際に、カバー弁体を弁部材に対して追従変形させることができて、カバー弁体と弁部材との間に隙間が発生するおそれが低減され得る。
【符号の説明】
【0205】
10:雄コネクタ、12:開口部、14:サイドホールニードル(中空針)、16:内孔、17:先端面、18:雄コネクタハウジング、20:雌ルアー部、22:ルアー周壁部、24:雌ルアーテーパ面、26:基端側開口部分、28:雄ねじ部、30:底壁部、32:貫通孔、33:平坦面、34:針ハブ部、36:外側筒部、38:切欠き、40:開口窓、42:ロック部、44:ロック周壁部、46:上底壁部、48:貫通孔、49:平坦面、50:雌ねじ部、52:突条、54:平坦面、56:拘束部材、58:段差面、60:外周壁部、62:係止爪、64:底壁部、66:貫通孔、68:基端側突出部、70:係合爪、72:切欠き、74:カバー弁体、76:挿入凹部、78:スリット、80:係止凹部、82:コイルスプリング(付勢手段)、84:規定手段、86:雌コネクタ、88:ベース部材、90:下カバー部材、92:上カバー部材、94:弁部材、96:雌ルアー部、98:スリット、100:段差面、101:小径筒部、102:雄ねじ部、104:筒状部、106:流体流路、108:外周面(ガイド部)、110:内周面、112:位置決め手段、120:雄コネクタ、122:開口部、124:サイドホールニードル(中空針、管状体)、126:内孔、128:先端面、130:針ハブ部、132:雄コネクタハウジング、134:雌ルアー部、135:テーパ面、136:外側筒部、138:底板部、140:基端壁部、142:挿通孔、143:切欠き、144:可撓壁部、146:壁部、148:嵌合凸部(移動制限機構、係止機構、接続係止部)、150:拘束部材(保持部材)、151:先端突出部、152:大径凹部、154:筒状部(外周壁部)、156:内周突部(底壁部)、158:収容領域、160:基端側突出部、162:切欠き、164:脚部、166:位置決め凹部、168:嵌合凹部(移動制限機構、係止機構)、170:カバー弁体、172:挿入凹部、173:スリット、174:先端面、174a:中央部分、174b:外周部分、175:筒状外周面、175a:段差面、175b:先端側外周面、175c:基端側外周面、176:環状部材、177:押え突部、178:蓋部材、180:位置決め突部、182:位置決め凸部、184:案内窓、186:コイルスプリング(付勢手段)、187:位置決め手段、188:操作片(係止機構、操作部)、190:雌コネクタ、192:ベース部材、194:下カバー部材、196:上カバー部材、198:ディスク弁(弁部材)、198a:中央部分、198b:支持部、200:雌ルアー部、202:スリット、204:段差面、206:小径筒部、208:雄ねじ部、210:フランジ状部、212:大径筒部、216:流体流路、220:雄コネクタ、222:カバー弁体、224:拘束部材、226:雄コネクタハウジング、228:筒状周壁部、230:針ハブ、232:貫通窓、234:位置決め凹部、236:テーパ面、238:内周溝部、240:内周突部、242:雌ねじ部、244:雌ルアー部、246:針ハブ部、248:環状凹部、250:係合突部、252:位置決め凸部、254:テーパ面、256:押え突部、258:外周突部、270:雄コネクタ、272:雌ねじ部(連結部)、280:雄コネクタ、282:雌ルアー部、284:ロック部、286:筒状体、288:ラチェット機構、290:雄コネクタ、292:雌ルアー部、294:ロック部、296:ラチェット機構、300:雄コネクタ、302:カバー弁体、304:Oリング(シール部)、306:制限部材、310:雄コネクタ、312:雄コネクタハウジング、314:筒状周壁部、316:カバー部、318:カバー弁体、320:連結壁部、330:カバー弁体、332:先端側スリット、334:基端側スリット