(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051426
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】筒型防振装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20240404BHJP
F16F 1/38 20060101ALI20240404BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F16F15/08 K
F16F1/38 Z
F16F15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157595
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一徳
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA19
3J048BF02
3J048EA01
3J048EA15
3J059AD10
3J059BA42
3J059BC01
3J059BC04
3J059BC06
3J059BD01
3J059BD02
(57)【要約】
【課題】識別突起の形成に伴う防振特性への悪影響や耐久性の低下といった従来構造の筒型防振装置に内在する問題点を回避しつつ、良好な識別機能を発揮し得る識別突起を本体ゴム弾性体に設けることを可能と為し得る、新規な構造の筒型防振装置を提供する。
【解決手段】インナ軸部材12とアウタ筒部材14を本体ゴム弾性体16にて連結した筒型防振装置10であって、本体ゴム弾性体16の軸方向一方の端面18には、外方に突出する第一識別突起22が周方向に離隔して複数形成されると共に、軸方向他方の端面20には外方に突出する第二識別突起26が周方向に離隔して複数形成されており、第一識別突起22と第二識別突起26が軸方向の投影において互いに周方向で異なる位置に配置されていると共に、第一識別突起22と該第二識別突起26は総合的に本体ゴム弾性体16の中心軸C上で重量バランスがとれる総合的全体パターン30を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体にて連結した筒型防振装置であって、
前記本体ゴム弾性体の軸方向一方の端面には、外方に突出する第一識別突起が周方向に離隔して複数形成されると共に、軸方向他方の端面には外方に突出する第二識別突起が周方向に離隔して複数形成されており、
該第一識別突起と該第二識別突起が軸方向の投影において互いに周方向で異なる位置に配置されていると共に、
該第一識別突起と該第二識別突起は総合的に該本体ゴム弾性体の中心軸上で重量バランスがとれる総合的全体パターンを有している筒型防振装置。
【請求項2】
複数の前記第一識別突起の全体パターンと複数の前記第二識別突起の全体パターンとが同じである請求項1に記載の筒型防振装置。
【請求項3】
複数の前記第一識別突起は大きさ及び形状が同じであり、且つ、複数の前記第二識別突起は大きさ及び形状が同じである請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項4】
前記第一識別突起と前記第二識別突起は何れも一定の幅寸法をもって軸直角方向に延びている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項5】
前記第一識別突起と前記第二識別突起は互いに軸方向の投影において重ならない請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項6】
前記第一識別突起と前記第二識別突起は互いに同数で且つ軸方向の投影において周方向で交互に配置されている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項7】
前記第一識別突起と前記第二識別突起は何れも周方向で等間隔に配置されている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項8】
前記第一識別突起が周方向に4つ以上形成されていると共に、前記第二識別突起が周方向に4つ以上形成されている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【請求項9】
前記インナ軸部材が制振対象に取り付けられることにより、前記アウタ筒部材がマス部材とされてダイナミックダンパを構成するようになっている請求項1又は2に記載の筒型防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナ軸部材とアウタ筒部材とが本体ゴム弾性体で連結された基本的構造を有する筒型防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動伝達系を構成する部材に用いられる防振装置の一種として筒型防振装置が知られている。具体的には、例えば自動車等の車両においてエンジンやモーターを含むパワーユニットを支持するパワーユニットマウント、サスペンションブッシュ、ボデーマウントやダイナミックダンパなどとして、筒型防振装置が用いられている。かかる筒型防振装置は、例えば特開平10-9336号公報(特許文献1)に示されているように、一般にインナ軸部材と外筒金具とが本体ゴム弾性体で連結された構造とされている。
【0003】
ところで、このような筒型防振装置では、識別符号を付する必要のある場合がある。例えば、類似するが異なる種類の筒型防振装置を区別して装着する必要がある場合や、特定の軸直角方向を所定の向きに位置合わせてして装着する必要がある場合などでは、筒型防振装置に対して種類を特定する識別符号を付したり、特定の軸直角方向を示す識別符号を付したりする場合がある。
【0004】
かかる識別符号は目視可能である必要があり、例えば筒型防振装置の表面へのペイントによる識別符号も採用されるが、特別なペイント工程が必要となるだけでなく、ペイントで識別符号を安定して形成することが難しく、また装着前の輸送工程等でペイント剥離などの損傷が発生しやすいという問題があった。
【0005】
なお、特許第4833946号公報(特許文献2)に示されているように、本体ゴム弾性体の一方の端面から突出する識別突起を一体形成することも考えられる。しかし、かかる特許文献2に記載の識別突起について本発明者が検討したところ、識別突起の形成によって本体ゴム弾性体のばね特性ひいては本来の防振特性に悪影響が発生しやすく、また、本体ゴム弾性体の耐久性の低下につながるおそれもあることが判った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-9336号公報
【特許文献2】特許第4833946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決課題は、識別突起の形成に伴う防振特性への悪影響や耐久性の低下といった上記特許文献2記載発明に内在する問題点を回避しつつ、良好な識別機能を発揮し得る識別突起を本体ゴム弾性体に設けることを可能と為し得る、新規な構造の筒型防振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0009】
第一の態様は、インナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体にて連結した筒型防振装置であって、前記本体ゴム弾性体の軸方向一方の端面には、外方に突出する第一識別突起が周方向に離隔して複数形成されると共に、軸方向他方の端面には外方に突出する第二識別突起が周方向に離隔して複数形成されており、該第一識別突起と該第二識別突起が軸方向の投影において互いに周方向で異なる位置に配置されていると共に、該第一識別突起と該第二識別突起は総合的に該本体ゴム弾性体の中心軸上で重量バランスがとれる総合的全体パターンを有しているものである。
【0010】
本態様によれば、軸方向両側の端面に設けられる第一及び第二識別突起がそれぞれ周方向で相互に離隔して複数形成されるものであることから、例えば前記特許文献2の
図6に示されているように周方向に連続した環状の識別突起等に比して本体ゴム弾性体への影響が分散される。それ故、本体ゴム弾性体に一体形成された識別突起によるばね特性への悪影響が軽減されると共に、外力作用時における応力や歪の分散が図られて耐久性の低下も軽減される。
【0011】
しかも、第一及び第二の識別突起は、本体ゴム弾性体の中心軸上で重量バランスがとれる総合的全体パターンを有していることから、本体ゴム弾性体における軸直角方向のばね特性等が、第一及び第二の識別突起を形成したことに伴って方向性を持つこと、即ち軸直角方向のばね特性の周方向位置における大きなばらつきを軽減乃至は回避することが可能になる。それ故、例えば軸直角方向のばね特性に関して特定方向性(異方性)をもたない筒型防振装置では、装着時に軸直角方向の位置合わせを不要と為すことも可能になる。
【0012】
なお、第一識別突起と第二識別突起の総合的全体パターンが本体ゴム弾性体の中心軸上で重量バランスがとれることは、後述する幾つかの実施形態からも把握できるように、本体ゴム弾性体の軸方向端面に突出形成された各複数の第一識別突起と第二識別突起を軸直角方向に広がる一つの平面上に並べた態様(軸方向視の態様)において、それら第一及び第二の識別突起の全てをあわせた総合的な重心が本体ゴム弾性体の中心軸上に位置することをいう。また、パターンとは、識別突起について形状および大きさだけでなく軸直角方向に広がる平面上での位置を含めた形態をいう。それ故、本発明によれば、例えば軸直角方向に広がる平面への投影面積が同じであっても、本体ゴム弾性体からの突出高さが異なる識別突起では、本体ゴム弾性体に対する変形拘束力や重量などの作用の程度が異なるものとして取り扱うことが可能になり、それによって、各識別突起の影響を精度良く把握して筒型防振装置本来の防振特性や耐久性などを良好に達成することができる。
【0013】
第二の態様は、前記第一の態様に係る筒型防振装置において、複数の前記第一識別突起の全体パターンと複数の前記第二識別突起の全体パターンとが同じであるものである。
【0014】
本態様によれば、第一識別突起と第二識別突起が相互に同じ全体パターンを有していることから、本体ゴム弾性体の軸方向両側においても特性等のバランスを略均等にとりやすくなる。その結果、第一及び第二の識別突起に起因する本体ゴム弾性体の軸方向における特性や耐久性のばらつきを軽減乃至は回避することが可能になる。
【0015】
第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る筒型防振装置において、複数の前記第一識別突起は大きさ及び形状が同じであり、且つ、複数の前記第二識別突起は大きさ及び形状が同じであるものである。
【0016】
本態様によれば、複数の第一識別突起の相互間や複数の第二識別突起の相互間における本体ゴム弾性体への影響(例えば外力作用時における応力や歪の集中の程度)のばらつきが軽減乃至は回避される。それ故、本体ゴム弾性体の各一方の端部における識別突起に起因する周方向での特性の変化やばらつきの発生を軽減したり耐久性の低下を抑えたりすることが一層容易となる。
【0017】
第四の態様は、前記第一~第三の何れか一つの態様に係る筒型防振装置において、前記第一識別突起と前記第二識別突起は何れも一定の幅寸法をもって軸直角方向に延びているものである。
【0018】
本態様によれば、軸直角方向に略一定幅寸法で軸直角方向に延びる形態を有する第一識別突起と第二識別突起が周方向に離隔して複数設けられることから、例えば本体ゴム弾性体における軸直角方向のばね特性を、軸方向のばね特性への影響を抑えつつ、かかる第一及び第二の識別突起を含めてチューニングや設定等することも容易となる。なお、本態様において、好ましくは、例えば本体ゴム弾性体においてインナ軸部材とアウタ筒部材とを橋渡しするような構造をもって、実質的にインナ軸部材とアウタ筒部材との間に跨がる軸直角方向長さで第一及び第二識別突起が形成される。
【0019】
第五の態様は、前記第一~第四の何れか一つの態様に係る筒型防振装置において、前記第一識別突起と前記第二識別突起は互いに軸方向の投影において重ならないものである。
【0020】
本態様によれば、各複数の第一識別突起と第二識別突起とによる本体ゴム弾性体のばね特性への過大な影響を軽減乃至は回避することが容易となる。
【0021】
第六の態様は、前記第一~第五の何れか一つの態様に係る筒型防振装置において、前記第一識別突起と前記第二識別突起は互いに同数で且つ軸方向の投影において周方向で交互に配置されているものである。
【0022】
本態様によれば、軸方向の投影において第一識別突起と第二識別突起とを周方向で交互に配置することで、第一識別突起と第二識別突起からなる総合的全体パターンと、各複数の第一及び第二の識別突起の各全体パターンとの何れにおいても、本体ゴム弾性体における軸直角方向ばね特性等の周方向での異方性を軽減乃至は回避することが容易となる。
【0023】
第七の態様は、前記第一~第六の何れか一つの態様に係る筒型防振装置において、前記第一識別突起と前記第二識別突起は何れも周方向で等間隔に配置されているものである。
【0024】
本態様においても、上記第六の態様と同様に、第一識別突起と第二識別突起からなる総合的全体パターンと、各複数の第一及び第二の識別突起の各全体パターンとの何れにおいても、本体ゴム弾性体における軸直角方向ばね特性等の周方向での異方性を軽減乃至は回避することが容易となる。
【0025】
第八の態様は、前記第一~第七の何れか一つの態様に係る筒型防振装置において、前記第一識別突起が周方向に4つ以上形成されていると共に、前記第二識別突起が周方向に4つ以上形成されているものである。
【0026】
本態様によれば、各複数の第一及び第二の識別突起による周方向での異方性を更に軽減することが容易となる。なお、好適には、各識別突起は、周方向で10以下とされ、及び/又は、本体ゴム弾性体の軸方向各一方の端面の周方向において識別突起が形成されている部分が形成されていない部分よりも小さくされ、それによって識別突起による本体ゴム弾性体への過度の影響が軽減され得る。
【0027】
第九の態様は、前記第一~第八の何れか一つの態様に係る筒型防振装置において、前記インナ軸部材が制振対象に取り付けられることにより、前記アウタ筒部材がマス部材とされてダイナミックダンパを構成するようになっているものである。
【0028】
本態様によれば、前記第一~第八の何れかの態様に記載の効果を発揮し得るダイナミックダンパを提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る筒型防振装置によれば、識別突起の形成に伴う防振特性への悪影響や耐久性の低下といった上記特許文献2記載発明に内在する問題点を回避しつつ、良好な識別機能を発揮し得る識別突起を本体ゴム弾性体に設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態としての筒型防振装置を示す縦断面図であって、
図2におけるI-I断面図
【
図4】
図1に示された筒型防振装置における軸方向の投影を平面側から示す図
【
図5】本発明の第2実施形態としての筒型防振装置を示す図であって、
図4に対応する図
【
図6】本発明の第3実施形態としての筒型防振装置を示す図であって、
図4に対応する図
【
図7】本発明の第4実施形態としての筒型防振装置を示す図であって、
図4に対応する図
【
図8】本発明の第5実施形態としての筒型防振装置を示す図であって、
図4に対応する図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0032】
先ず、
図1~4には、本発明に係る筒型防振装置の第1実施形態として、ダイナミックダンパ10が示されている。ダイナミックダンパ10は、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とが筒状の本体ゴム弾性体16にて弾性連結された構造を有している。なお、ダイナミックダンパ10の配置される向きが限定されるものではないが、以下の説明では、原則として、上下方向とは本体ゴム弾性体16の中心軸C方向となる
図1中の上下方向をいう。また、本体ゴム弾性体16の中心軸Cに直交する二軸として、
図2中の左右方向を以下の説明では前後方向、
図2中の上下方向を以下の説明では右左方向として説明する。
【0033】
より詳細には、インナ軸部材12は、金属や合成樹脂などで形成された高剛性の部材であって、上下方向に略ストレートに延びる小径の略円筒形状を有している。また、アウタ筒部材14は、インナ軸部材12と同様の材質により形成された高剛性の部材であって、上下方向に略ストレートに延びる大径の略円筒形状を有している。
【0034】
そして、アウタ筒部材14がインナ軸部材12に外挿されて、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とが相互に同軸的に配置されていると共に、それらインナ軸部材12とアウタ筒部材14とが本体ゴム弾性体16によって相互に弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、略厚肉円筒形状のゴム弾性体であって、内周面がインナ軸部材12の外周面に加硫接着されていると共に、外周面がアウタ筒部材14の内周面に加硫接着されている。本実施形態の本体ゴム弾性体16は、インナ軸部材12とアウタ筒部材14を備える一体加硫成形品として形成されている。
【0035】
本体ゴム弾性体16の軸方向一方の端面である上面18は、上方に向けて開口する凹状湾曲断面で周方向に延びる湾曲面とされている。また、本体ゴム弾性体16の軸方向他方の端面である下面20は、下方に向けて開口する凹状湾曲断面で周方向に延びる湾曲面とされている。
【0036】
そして、インナ軸部材12に対して図示しないボルトが挿通されて制振対象となる部材に取り付けられることにより、本実施形態に係る筒型防振装置が、アウタ筒部材14を筒状のマス部材とするダイナミックダンパ10として構成されている。これにより、制振対象から入力される振動が、本体ゴム弾性体16の弾性変形による振動吸収作用により抑制されるようになっている。
【0037】
ここにおいて、
図1,2に示されるように、本体ゴム弾性体16の上面18には、外方(上方)に突出する第一識別突起22が周方向に離隔して複数形成されている。本実施形態の第一識別突起22は、周方向に4つ形成されており、周方向で略等間隔に(略90度毎に)配置されている。また、各第一識別突起22は、相互に同じ大きさ及び形状で設けられており、それぞれ略一定の幅寸法をもって軸直角方向(上下方向に直交する方向)に延びている。特に、本実施形態では、
図1に示されるように、各第一識別突起22が、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐ(橋渡しする)ように延びている。なお、各第一識別突起22の上面18からの突出高さは、本体ゴム弾性体16の内周端部や外周端部を超えるものではなく、本体ゴム弾性体16の上面18は、全体として上方に開口して周方向に延びる湾曲面とされつつ、各第一識別突起22の形成位置において部分的に盛り上がった形状とされている。
【0038】
要するに、各第一識別突起22は、
図2に示すように、周方向で略等間隔に4つ形成されて、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐように略一定の幅寸法で軸直角方向に延びている。これにより、各第一識別突起22は、上記の如き全体パターンとしての第一パターン24をもって配置されている。そして、かかる第一パターン24を有する各第一識別突起22は、ダイナミックダンパ10が
図1~3のように配置された状態において、前後方向及び左右方向に対して45度の傾斜角度をもって斜め方向に延びている。
【0039】
また、
図1,3に示されるように、本体ゴム弾性体16の下面20には、外方(下方)に突出する第二識別突起26が周方向に離隔して複数形成されている。本実施形態の第二識別突起26は、周方向に4つ形成されており、周方向で略等間隔に(略90度毎に)配置されている。また、各第二識別突起26は相互に同じ大きさ及び形状で設けられており、それぞれ略一定の幅寸法をもって軸直角方向に延びている。特に、本実施形態では、各第二識別突起26は、各第一識別突起22と同じ大きさ及び形状で設けられており、
図1に示されるように、各第二識別突起26が、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐ(橋渡しする)ように延びている。なお、各第二識別突起26の下面20からの突出高さは、各第一識別突起22と略等しくされており、本体ゴム弾性体16の内周端部や外周端部を超えないようにされている。それ故、本体ゴム弾性体16の下面20も、全体として下方に開口して周方向に延びる湾曲面とされつつ、各第二識別突起26の形成位置において部分的に盛り上がった形状とされている。
【0040】
要するに、各第二識別突起26は、
図3に示すように、周方向で略等間隔に4つ形成されて、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐように略一定の幅寸法で軸直角方向に延びている。これにより、各第二識別突起26は、上記の如き全体パターンとしての第二パターン28をもって配置されている。そして、かかる第二パターン28を有する各第二識別突起26は、ダイナミックダンパ10が
図1~3のように配置された状態において、前後方向及び左右方向に延びている。
【0041】
図4においてダイナミックダンパ10の上方からの軸方向の投影図を示して、各第一識別突起22(第一パターン24)と各第二識別突起26(第二パターン28)を
図4中において併せて示す。すなわち、各第一識別突起22から構成される第一パターン24と各第二識別突起26から構成される第二パターン28は全体として相互に同じであるが、各第一識別突起22と各第二識別突起26とは、本体ゴム弾性体16の中心軸C周りに相互に45度ずれて配置されており、各第一識別突起22と各第二識別突起26とが軸方向の投影(
図4)において周方向で互いに異なる位置に配置されている。また、各第一識別突起22と各第二識別突起26とは径方向で互いに同じ位置に配置されている。
【0042】
要するに、本実施形態では、各第一識別突起22と各第二識別突起26は互いに同数(4つ)で且つ軸方向の投影において周方向で交互に配置されており、特に本実施形態では、軸方向の投影において各第一識別突起22と各第二識別突起26とが相互に重なることなく設けられている。そして、これら各第一識別突起22(第一パターン24)と各第二識別突起26(第二パターン28)により、本体ゴム弾性体16に設けられる識別突起(各第一識別突起22及び各第二識別突起26)の総合的全体パターン30が構成されている。
【0043】
かかる総合的全体パターン30に従って各第一識別突起22及び各第二識別突起26が設けられた本体ゴム弾性体16では、前述のように各第一識別突起22における上面18からの突出高さと各第二識別突起26における下面20からの突出高さが略等しくされていることから、第一識別突起22の形成位置における本体ゴム弾性体16の軸方向長さA(
図1参照)と第二識別突起26の形成位置における本体ゴム弾性体16の軸方向長さB(
図1参照)が略等しくされている。これにより、本体ゴム弾性体16において各第一識別突起22の形成位置におけるゴムボリューム(ゴム重量)と各第二識別突起26の形成位置におけるゴムボリューム(ゴム重量)とが略等しくされている。
【0044】
また、本体ゴム弾性体16において各第一識別突起22及び各第二識別突起26が設けられていない領域も所定の形状を有しており、これら各第一識別突起22、各第二識別突起26及びこれらが設けられていない領域が周方向で交互に連続して配置されている。この結果、本体ゴム弾性体16の重心Gは、軸方向の投影において中心軸C上に位置している。即ち、各第一識別突起22と各第二識別突起26は、総合的に本体ゴム弾性体16の中心軸C上で重量バランスがとれる総合的全体パターン30を有している。
【0045】
なお、軸方向の投影において、各第一識別突起22及び各第二識別突起26が設けられている領域と、何れの識別突起も設けられていない領域との大きさの関係は限定されるものではないが、本実施形態では各第一識別突起22及び各第二識別突起26の幅寸法を適切に設定することにより、各第一識別突起22及び各第二識別突起26が設けられている領域の方が、何れの識別突起も設けられていない領域に比して大きくされている。これにより、例えば軸直角方向のばね特性の周方向での変化を良好に抑えることもできる。
【0046】
より具体的には、
図4に示されるように、本体ゴム弾性体16の軸方向の投影において、中心軸Cを通る軸直角の二方向(例えば、前後方向FB、左右方向LR)のそれぞれで分割した場合、各方向における両側での重量が等しくなるようにされている。即ち、本体ゴム弾性体16において前後方向(
図4中の左右方向)両側の重量が等しくされていると共に、左右方向(
図4中の上下方向)両側の重量が等しくされている。なお、中心軸Cを通る軸直角の二方向は前後方向FB及び左右方向LRに限定されず、例えば
図4中の直線D及び直線Dに直交する直線Eなども該当するが、本体ゴム弾性体16において直線Dで分割した場合の両側、及び直線Eで分割した場合の両側における重量がそれぞれ等しくされている。従って、本実施形態の本体ゴム弾性体16では、本体ゴム弾性体16の中心軸Cに対する何れの軸直角二方向においてもその両側においてゴム重量(ゴムボリューム)が等しくされており、何れの方向からの荷重に対しても略均一なゴム特性を発揮することができ、周方向におけるゴム特性の変化を低減するか、略なくすことができる。
【0047】
それ故、本実施形態の筒型防振装置(ダイナミックダンパ10)では、ゴム特性が周方向で略変化しないことから、何れの方向からの荷重に対しても所望のゴム特性が発揮されて、例えばゴム特性が周方向で異なる場合のように特定方向からの荷重に対して所望のゴム特性が発揮されないおそれが低減される。また、筒型防振装置(ダイナミックダンパ10)の周方向位置を気にすることなく取り付けることができることから、筒型防振装置(ダイナミックダンパ10)の取付作業が容易とされ得る。更に、各第一識別突起22及び各第二識別突起26が前記特許文献2の
図6のような環状でなく、周方向に離隔して複数設けられていることから、突起部分に応力や歪が集中することがなく、耐久性の向上も図られる。
【0048】
また、本実施形態では、各第一識別突起22の全体パターンである第一パターン24と各第二識別突起26の全体パターンである第二パターン28が、全体として相互に同じとされている。具体的には、各第一識別突起22と各第二識別突起26とがそれぞれ周方向で4つ設けられていると共に、各第一識別突起22と各第二識別突起26とが周方向でそれぞれ略等間隔に設けられている。また、各第一識別突起22は相互に形状や大きさが同じであると共に、各第二識別突起26は相互に形状や大きさが同じである。これら各第一識別突起22と各第二識別突起26は、それぞれ一定の幅寸法をもって、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐように軸直角方向に延びている。更に、これら各第一識別突起22と各第二識別突起26とは、軸方向の投影において周方向で交互に配置されている。このように相互に同じとされた第一パターン24と第二パターン28とをそれぞれ本体ゴム弾性体16における軸方向の一方の端面(上面18)及び他方の端面(下面20)に設けることで、各第一識別突起22及び各第二識別突起26を含めた本体ゴム弾性体16全体において中心軸C上で重量バランスがとりやすく、即ち本体ゴム弾性体16の重心Gを中心軸C上に、より確実に位置させることができる。この結果、軸直角方向のばね特性が周方向で変化することがより確実に回避される。
【0049】
そして、本実施形態では、各第一識別突起22と各第二識別突起26とが、軸方向の投影において相互に重なることなく設けられている。これにより、例えば第一識別突起と第二識別突起の重なり部分においてゴム弾性体の軸方向長さが変化してしまうことが回避されて、周方向の特定の位置でゴム特性が変化してしまうことが回避される。
【0050】
なお、本発明者は、本実施形態に係るダイナミックダンパ10を試作して、0度(
図4中の直線LR)を基準として、中心軸周りに周方向で22.5度回転した方向(
図4中の直線a)、中心軸周りに周方向で45度回転した方向(
図4中の直線b)の各方向について、軸直角方向への1G加振に際しての加速度応答試験をスイープ加振によって行った。この結果、0度、22.5度、45度の各方向において有意な差は認められず、軸直角方向におけるばね特性の周方向での変化が抑制されていることが確認できた。
【0051】
次に、
図5には、本発明に係る筒型防振装置の第2実施形態として、ダイナミックダンパ40が示されている。本実施形態では、第1の実施形態におけるダイナミックダンパ10と比べて、各第一識別突起42及び各第二識別突起44から構成される総合的全体パターン46が異なっている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材及び部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、本体ゴム弾性体16における上面18の左側(
図5中の下側)に3つの第一識別突起42が相互に離隔して、略等間隔(略60度毎)に設けられており、各第一識別突起42により、第一識別突起42の全体パターンとしての第一パターン48が構成されている。また、本体ゴム弾性体16における下面20の右側(
図5中の上側)に3つの第二識別突起44が相互に離隔して、略等間隔(略60度毎)に設けられており、各第二識別突起44により、第二識別突起44の全体パターンとしての第二パターン50が構成されている。そして、これら第一パターン48と第二パターン50により本実施形態の総合的全体パターン46が設けられており、本実施形態の総合的全体パターン46では、軸方向の投影において、各第一識別突起42と各第二識別突起44とが周方向で略等間隔(略60度毎)に設けられている。なお、本実施形態においても、各第一識別突起42と各第二識別突起44とはそれぞれ一定の幅寸法をもって形成されており、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐように軸直角方向に延びている。
【0053】
このような総合的全体パターン46であっても、軸直角二方向である前後方向FBや左右方向LRで本体ゴム弾性体16を分割した場合、各方向の両側におけるゴム重量が同じとなる。また、前後方向FBや左右方向LR以外の軸直角二方向においても同様である。それ故、軸方向の投影において本体ゴム弾性体16の重心Gを中心軸C上に位置させることができて、各第一識別突起42及び各第二識別突起44からなる総合的全体パターン46により、本体ゴム弾性体16が中心軸C上で重量バランスをとることができる。この結果、本実施形態のダイナミックダンパ40においても、第1実施形態のダイナミックダンパ10と同様の効果を発揮することができる。
【0054】
すなわち、本発明に係る筒型防振装置(ダイナミックダンパ)では、各第一識別突起や各第二識別突起は、本体ゴム弾性体の軸方向一方又は他方の端面において、周方向に均等に配置されている必要はなく、例えば前後方向FBや左右方向LRの一方に偏倚して設けられていてもよい。また、各第一識別突起と各第二識別突起とは、軸方向の投影において、周方向で交互に設けられる必要はない。
【0055】
次に、
図6には、本発明に係る筒型防振装置の第3実施形態として、ダイナミックダンパ60が示されている。本実施形態では、第1の実施形態におけるダイナミックダンパ10と比べて、各第一識別突起62及び各第二識別突起64の幅寸法が大きくされている。これにより、本実施形態の総合的全体パターン66には、軸方向の投影において各第一識別突起62と各第二識別突起64とが部分的に重なることで形成される重なり部68が形成されている。なお、本実施形態においても、各第一識別突起62と各第二識別突起64とはそれぞれ一定の幅寸法をもって形成されており、インナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐように軸直角方向に延びている。
【0056】
すなわち、各第一識別突起62により形成される全体パターンとしての第一パターン70及び各第二識別突起64により形成される全体パターンとしての第二パターン72はそれぞれ、基本的に第1実施形態における第一パターン24及び第二パターン28と同様の形状であるが、各第一識別突起62と各第二識別突起64における幅寸法が大きくされることで、各第一識別突起62及び各第二識別突起64における内周端部において複数の重なり部68が形成されている。要するに、軸方向の投影において第一パターン70と第二パターン72とが重なる部分が各重なり部68である。これら各重なり部68は、各第一識別突起62又は各第二識別突起64の内周端部における周方向両側に形成されており、本実施形態では、8個の重なり部68が、周方向で相互に離隔して、略等間隔(略45度毎)に形成されている。
【0057】
かかる形状とされた総合的全体パターン66であっても、重なり部68が周方向で略等間隔に形成されることから、軸直角二方向である前後方向FBや左右方向LR、又はその他の軸直角二方向で本体ゴム弾性体16を分割した場合、各方向の両側におけるゴム重量が同じとなる。それ故、軸方向の投影において本体ゴム弾性体16の重心Gを中心軸C上に位置させることができて、各第一識別突起62及び各第二識別突起64からなる総合的全体パターン66により、本体ゴム弾性体16が中心軸C上で重量バランスをとることができる。この結果、本実施形態のダイナミックダンパ60においても、第1実施形態のダイナミックダンパ10と同様の効果を発揮することができる。
【0058】
次に、
図7には、本発明に係る筒型防振装置の第4実施形態として、ダイナミックダンパ80が示されている。本実施形態においても、本体ゴム弾性体16における上面18において各第一識別突起82が周方向で相互に離隔して4つ設けられているが、そのうち径方向で対向する2つ(
図7中の右上及び左下)の各第一識別突起82が相対的に幅寸法が大きくされた第一識別突起82a,82aであると共に、径方向で対向する残り2つ(
図7中の左上及び右下)の各第一識別突起82が相対的に幅寸法が小さくされた第一識別突起82b,82bである。同様に、下面20において各第二識別突起84が周方向で相互に離隔して4つ設けられているが、そのうち径方向で対向する2つ(
図7中の左右方向両側)の各第二識別突起84が相対的に幅寸法が大きくされた第二識別突起84a,84aであると共に、径方向で対向する残り2つ(
図7中の上下方向両側)の各第二識別突起84が相対的に幅寸法が小さくされた第二識別突起84b,84bである。
【0059】
なお、例えば幅寸法が大きくされた各第一識別突起82aと各第二識別突起84aとは、軸方向の投影において相互に重なって複数の重なり部68が形成されてもよく、かかる場合には、複数の重なり部68は径方向で相互に対向する位置において相互に対応する大きさで形成される。
【0060】
かかる形状とされた総合的全体パターン86であっても、軸直角二方向である前後方向FBや左右方向LR、又はその他の軸直角二方向で本体ゴム弾性体16を分割した場合、各方向の両側におけるゴム重量が同じとなる。それ故、軸方向の投影において本体ゴム弾性体16の重心Gを中心軸C上に位置させることができて、各第一識別突起82及び各第二識別突起84からなる総合的全体パターン86により、本体ゴム弾性体16が中心軸C上で重量バランスをとることができる。この結果、本実施形態のダイナミックダンパ80においても、第1実施形態のダイナミックダンパ10と同様の効果を発揮することができる。
【0061】
次に、
図8には、本発明に係る筒型防振装置の第5実施形態として、ダイナミックダンパ90が示されている。本実施形態では、各第一識別突起92及び各第二識別突起94がインナ軸部材12とアウタ筒部材14とを繋ぐようには設けられておらず、各第一識別突起92及び各第二識別突起94が、インナ軸部材12及びアウタ筒部材14に対して径方向で離隔した位置に設けられている。特に、本実施形態では、各第一識別突起92が本体ゴム弾性体16における上面18の外周部分に設けられていると共に、各第二識別突起94が下面20の外周部分に設けられており、各第一識別突起92と各第二識別突起94とが、本体ゴム弾性体16の径方向で略対応する位置に形成されている。
【0062】
具体的には、各第一識別突起92が、上面18における
図8中の右上、右下、左上、左下の各部分において設けられていると共に、これらの各部分において一対の第一識別突起92,92が相互に接近して設けられている。即ち、本体ゴム弾性体16の上面18には、合計で8つの第一識別突起92が設けられている。各第一識別突起92は平面視(軸方向の投影)において略矩形状とされており、本体ゴム弾性体16の径方向が長手方向となる向きで配置されている。また、各第二識別突起94は、下面20における
図8中の上下方向両側及び左右方向両側において設けられており、合計で4つの第二識別突起94が設けられている。各第二識別突起94は軸方向の投影において略円形とされており、例えば略円筒状や略半球状の形状をもって形成されている。
【0063】
かかる形状とされた総合的全体パターン96であっても、軸直角二方向である前後方向FBや左右方向LR、又はその他の軸直角二方向で本体ゴム弾性体16を分割した場合、各方向の両側におけるゴム重量が同じとなる。それ故、軸方向の投影において本体ゴム弾性体16の重心Gを中心軸C上に位置させることができて、各第一識別突起92及び各第二識別突起94からなる総合的全体パターン96により、本体ゴム弾性体16が中心軸C上で重量バランスをとることができる。この結果、本実施形態のダイナミックダンパ90においても、第1実施形態のダイナミックダンパ10と同様の効果を発揮することができる。
【0064】
以上、本発明の第1~第5実施形態について説明してきたが、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良などを加えた態様で実施可能である。
【0065】
前記実施形態に記載の第一識別突起や第二識別突起は単なる例示であり、各第一識別突起及び/又は各第二識別突起の形状や大きさ、配置パターン(即ち、第一パターンや第二パターン)は、本体ゴム弾性体が中心軸上で重量バランスがとれている限り、限定されるものではない。即ち、例えば前記実施形態では、各第一識別突起と各第二識別突起が相互に径方向で略同じ位置に形成されていたが、各第一識別突起と各第二識別突起とは径方向で異なる位置に設けられてもよい。また、例えば前記第1~第4実施形態において、各第一識別突起及び/又は各第二識別突起は径方向で分断されて設けられてもよい。なお、前記第1、第3、第4実施形態では、第一識別突起及び第二識別突起がそれぞれ周方向に4つずつ設けられていたが、第一識別突起及び第二識別突起の数は限定されるものではなく、前記第2実施形態のようにそれぞれ周方向に3つずつ設けられてもよいし、第一識別突起及び/又は第二識別突起は、周方向に4つ以上設けられてもよい。
【0066】
また、前記実施形態では、筒型防振装置がダイナミックダンパ10,40,60,80,90として採用されていたが、本発明に係る筒型防振装置は、例えば車両に装着されてパワーユニットマウントやサスペンションブッシュに適用されてもよいし、車両用以外の筒型防振装置として適用されてもよい。なお、筒型防振装置として適用される場合、前記実施形態のようにソリッドタイプの筒型防振装置とされてもよいし、内部に流体が封入された流体封入式の筒型防振装置とされてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 ダイナミックダンパ(筒型防振装置)
12 インナ軸部材
14 アウタ筒部材
16 本体ゴム弾性体
18 上面(軸方向一方の端面)
20 下面(軸方向他方の端面)
22 第一識別突起
24 第一パターン(第一識別突起の全体パターン)
26 第二識別突起
28 第二パターン(第二識別突起の全体パターン)
30 総合的全体パターン
40 ダイナミックダンパ(筒型防振装置)
42 第一識別突起
44 第二識別突起
46 総合的全体パターン
48 第一パターン(第一識別突起の全体パターン)
50 第二パターン(第二識別突起の全体パターン)
60 ダイナミックダンパ(筒型防振装置)
62 第一識別突起
64 第二識別突起
66 総合的全体パターン
68 重なり部
70 第一パターン(第一識別突起の全体パターン)
72 第二パターン(第二識別突起の全体パターン)
80 ダイナミックダンパ(筒型防振装置)
82 第一識別突起
82a (幅寸法が大きい)第一識別突起
82b (幅寸法が小さい)第一識別突起
84 第二識別突起
84a (幅寸法が大きい)第二識別突起
84b (幅寸法が小さい)第二識別突起
86 総合的全体パターン
90 ダイナミックダンパ(筒型防振装置)
92 第一識別突起
94 第二識別突起
96 総合的全体パターン
C 中心軸
D,E,a,b 直線
G 重心
FB 前後方向
LR 左右方向