(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051942
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240404BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E02F9/00 F
E02F3/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158341
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓人
(72)【発明者】
【氏名】朝日 駿佑
(72)【発明者】
【氏名】加庭 啓充
(72)【発明者】
【氏名】天童 作
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輝
【テーマコード(参考)】
2D012
2D015
【Fターム(参考)】
2D012BA01
2D012BA02
2D012EB01
2D015AA01
(57)【要約】
【課題】作業機械のブームおよびアームのいずれか一方の構成要素である第1部材および第2部材を、より容易に連結可能な作業機械を提供する。
【解決手段】油圧ショベル1は、第1上挿通孔131Uが形成された第1部材21Aと、第1上挿通孔132Uが形成された第2部材21Bと、第1部材21Aに移動可能な状態で設けられた上連結ピン160Uと、第1部材21Aに設けられ、上連結ピン160Uを移動させる上連結ピン駆動装置と、第2部材21Bに設けられた上芯出し部材140と、第2部材21Bに移動可能な状態で取付けられた目印部材180とを備える。目印部材180は、第2部材21Bの上芯出し部材140を第1部材21Aの上連結ピン160Uに対して係合させるときに、第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出した所定位置P1まで上連結ピン160Uにより押圧されて移動する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ピン挿通孔が形成された第1部材と、
第2ピン挿通孔が形成された第2部材と、
前記第1部材に移動可能な状態で設けられた連結ピンと、
前記第1部材に設けられ、前記連結ピンを移動させる連結ピン駆動装置と、
前記第2部材に設けられた芯出し部材とを備え、
前記連結ピン駆動装置は、前記第2部材の前記芯出し部材が前記第1部材の前記連結ピンに係合されている状態のとき、前記連結ピンを前記第1ピン挿通孔と前記第2ピン挿通孔とに挿通させて、前記第1部材と前記第2部材とを連結させる作業機械において、
前記第2部材に移動可能な状態で取付けられた目印部材を備え、
前記目印部材は、前記第2部材の前記芯出し部材を前記第1部材の前記連結ピンに対して係合させるときに、前記第1部材および前記第2部材よりも上側に突出した所定位置まで前記連結ピンにより押圧されて移動する作業機械。
【請求項2】
前記目印部材は、前記第2部材の前記芯出し部材を前記第1部材の前記連結ピンに対して係合させるときに、前記所定位置まで回動して移動する請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記目印部材は、前記芯出し部材が前記連結ピンと係合したときに、前記第1部材および前記第2部材よりも上側に突出し、かつ、前記連結ピンに下側から支持されて、前記連結ピンを中心として回動する前記第2部材に対して相対移動しない前記所定位置となる請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記目印部材は、前記芯出し部材の先端部に回動自在に取り付けられる請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記目印部材は、前記第2部材に対する回動中心となる回動支点と、前記連結ピンに押圧される押圧部と、前記所定位置となったときに前記第1部材および前記第2部材よりも上側に突出する目印部とを有する請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記目印部材は、3つの角部を有する三角形状部材であり、前記3つの角部が前記回動支点、前記押圧部および前記目印部である請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記目印部材は、前記回動支点と前記目印部とを結ぶ辺の中途部に、前記所定位置となったときに前記連結ピンの外面に嵌り込む凹部が形成されており、前記凹部で前記連結ピンによって下側から支持される請求項6に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機械に関し、特にブームおよびアームのいずれか一方を構成する第1部材および第2部材を連結する作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のセクションに分解可能な作業機械の作業装置について、ブームやアームを複数の部材で構成し、各部材を連結ピンにより連結する作業機械に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ブームまたはアームの構成要素である第1部材および第2部材を連結する2部材連結装置を備えた作業機械が記載されている。この2部材連結装置では、第1部材の先端部に一対の第1ブラケットが設けられ、第2部材の基端部に一対の第1ブラケットと対向する一対の第2ブラケットが設けられる。一対の第1ブラケットおよび一対の第2ブラケットには、第1ブラケットに取り付けられる上連結ピンおよび下連結ピンが挿通される複数の挿通孔が形成されており、各連結ピンを各挿通孔へと挿通させることで第1部材と第2部材とを連結する。また、第2部材には、上連結ピンと係合して上連結ピンと対応する挿通孔同士とを軸心を合わせる上芯出し部材と、下連結ピンと当接して下連結ピンと対応する挿通孔同士との軸心を合わせる下芯出し部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の2部材連結装置では、クレーンにより第2部材を吊り下げて第1部材側に運び、上芯出し部材が上連結ピンに係合するように、各ブラケットに形成された各挿通孔と上連結ピンとの軸心を合わせる。この際、上芯出し部材が連結ピンに係合したか否かを近くに配置された作業員が目視で確認し、クレーンや作業機械を操作する操作者へと具体的な位置を指示する。しかしながら、当該作業員が上芯出し部材や連結ピンの位置を目視するためには、比較的に高所に位置する各挿通孔を覗き込むといった対応が必要であり、容易な目視確認を行うことが困難であり、各挿通孔と上連結ピンとの軸心を合わせる作業に手間がかかっていた。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業機械のブームおよびアームのいずれか一方の構成要素である第1部材および第2部材を、より容易に連結可能な作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の作業機械は、第1ピン挿通孔が形成された第1部材と、第2ピン挿通孔が形成された第2部材と、前記第1部材に移動可能な状態で設けられた連結ピンと、前記第1部材に設けられ、前記連結ピンを移動させる連結ピン駆動装置と、前記第2部材に設けられた芯出し部材とを備え、前記連結ピン駆動装置は、前記第2部材の前記芯出し部材が前記第1部材の前記連結ピンに係合されている状態のとき、前記連結ピンを前記第1ピン挿通孔と前記第2ピン挿通孔とに挿通させて、前記第1部材と前記第2部材とを連結させる作業機械において、前記第2部材に移動可能な状態で取付けられた目印部材を備え、前記目印部材は、前記第2部材の前記芯出し部材を前記第1部材の前記連結ピンに対して係合させるときに、前記第1部材および前記第2部材よりも上側に突出した所定位置まで前記連結ピンにより押圧されて移動する。
【0007】
この構成により、第2部材を第1部材側に移動させる過程において、第2部材に設けられた目印部材が連結ピンに押圧されて回動し、目印部材が第1部材および第2部材よりも上側に突出した所定位置となったことで、連結ピンと芯出し部材とが係合したことを作業員が離れた位置から目視で確認することができる。したがって、本発明の作業機械によれば、ブームおよびアームのいずれか一方の構成要素である第1部材および第2部材を、より容易に連結可能となる。
【0008】
また、前記目印部材は、前記第2部材の前記芯出し部材を前記第1部材の前記連結ピンに対して係合させるときに、前記所定位置まで回動して移動することが好ましい。
【0009】
この構成により、目印部材を回動させて容易に所定位置へと移動させることができる。
【0010】
また、前記目印部材は、前記芯出し部材が前記連結ピンと係合したときに、前記第1部材および前記第2部材よりも上側に突出し、かつ、前記連結ピンに下側から支持されて、前記連結ピンを中心として回動する前記第2部材に対して相対移動しない前記所定位置となることが好ましい。
【0011】
この構成により、目印部材が第2部材に対して相対移動しない状態となったことを作業者が確認することで、連結ピンと芯出し部材とが係合したことを容易に把握することができる。
【0012】
また、前記目印部材は、前記芯出し部材の先端部に回動自在に取り付けられることが好ましい。
【0013】
この構成により、芯出し部材を連結ピンに接近させる過程で、連結ピンによって目印部材を容易に押圧して回動させることができる。
【0014】
また、前記目印部材は、前記第2部材に対する回動中心となる回動支点と、前記連結ピンに押圧される押圧部と、前記所定位置となったときに前記第1部材および前記第2部材よりも上側に突出する目印部とを有することが好ましい。
【0015】
この構成により、連結ピンに押圧される押圧部とは別に目印部を設けるため、目印部材が所定位置となったときに、目印部が第1部材および前記第2部材よりも上側に突出する形状を容易に得ることができる。
【0016】
また、前記目印部材は、3つの角部を有する三角形状部材であり、前記3つの角部が前記回動支点、前記押圧部および前記目印部であることが好ましい。
【0017】
この構成により、回動支点、押圧部および目印部を有する目印部材を簡易な構成とすることができる。
【0018】
また、前記目印部材は、前記回動支点と前記目印部とを結ぶ辺の中途部に、前記所定位置となったときに前記連結ピンの外面に嵌り込む凹部が形成されており、前記凹部で前記連結ピンによって下側から支持されることが好ましい。
【0019】
この構成により、芯出し部材と連結ピンとが係合すると、目印部材も凹部において連結ピンの外面に嵌り込むため、目印部材を連結ピンによって下側から安定的に支持することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の作業機械によれば、作業機械のブームおよびアームのいずれか一方の構成要素である第1部材および第2部材を、より容易に連結可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態にかかる作業機械としての油圧ショベルを示す概略構成図である。
【
図2】ブームの構成要素を互いに連結する連結作業の様子を示す説明図である。
【
図3】第1部材の先端部に設けられた2部材連結装置の一部を示す斜視図である。
【
図4】第1部材の先端部に設けられた2部材連結装置の一部を
図2中の矢示A-A方向から視た断面図である。
【
図5】第2部材の基端部に設けられた2部材連結装置の一部を示す斜視図である。
【
図6】第2部材の基端部に設けられた2部材連結装置の一部を第1部材側から視た正面図である。
【
図7】第2ブラケットを第1ブラケットに挿入した状態で2部材連結装置を
図2中の矢示B-B方向から視た断面図である。
【
図8】
図7に示す状態から一対の上連結ピンおよび一対の下連結ピンを連結ピン駆動装置により移動させた状態を示す断面図である。
【
図9】第2部材を
図6の矢示C-C方向から視た断面図である。
【
図10】第1部材と第2部材とを連結させる際の様子をステップS10、S20として示した説明図である。
【
図11】第1部材と第2部材とを連結させる際の様子をステップS30、S40として示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。以下の説明では、作業機械としての油圧ショベル1に搭乗した運転者を基準として、作業機械の機体前後方向、左右方向、上下方向を規定する。
【0023】
図1は、実施形態にかかる作業機械としての油圧ショベル1を示す概略構成図である。
図1に示す油圧ショベル1は、例えば、高層建築物などの地上からの高さが比較的に大きな構造物の解体作業などに用いられる作業機械である。油圧ショベル1は、
図1に示すように、作業機本体10と、作業装置20とを備えている。
【0024】
(作業機本体)
作業機本体10は、下部走行体11と、上部旋回体12とを備える。下部走行体11は、油圧ショベル1を走行させるための駆動装置としてクローラ11aを含む。クローラ11aは、図示しない走行用油圧モータにより駆動される。上部旋回体12は、下部走行体11上に旋回可能に設けられる。上部旋回体12は、図示しない旋回用油圧モータにより駆動されて旋回する。上部旋回体12の前部には、オペレータが搭乗する運転室13が設けられている。また、上部旋回体12の運転室13の後方には、燃料タンク14、機械室15およびカウンタウェイト16などが設けられている。機械室15には、図示しないエンジンや、当該エンジンにより駆動される図示しない油圧ポンプなどが搭載される。図示しない油圧ポンプは、上記走行用油圧モータ、上記旋回用油圧モータおよび後述する作業装置20の各構成要素へと供給される作動油を圧送し、それにより各油圧機器が作動する。
【0025】
(作業装置)
作業装置20は、多関節型の作業装置(フロントアタッチメント)であり、上部旋回体12に取り付けられている。作業装置20は、ブーム21と、アーム22と、圧砕機23と、複数の油圧シリンダ24、25、26とを備える。
【0026】
ブーム21は、上部旋回体12に回動可能に連結された下ブーム21Aと、下ブーム21Aに連結された継ぎブーム21Bと、継ぎブーム21Bに連結された上ブーム21Cとを有するマルチブーム式のブームである。アーム22は、上ブーム21Cの先端側に回動可能に連結されたミドルアーム22Aと、ミドルアーム22Aの先端側に回動可能に取付けられた下アーム22Bと、下アーム22Bに連結された上アーム22Cとを有する。圧砕機23は、例えばコンクリートなどの破砕などに用いられる油圧作業具であり、上アーム22Cに回動可能に連結される。なお、圧砕機23は、油圧バケットや油圧ブレーカに交換された場合には、交換後の機器が油圧作業具として機能する。
【0027】
油圧シリンダ24は、上部旋回体12と下ブーム21Aとの間に接続され、油圧により伸縮することでブーム21の角度を調整する。油圧シリンダ25は、上ブーム21Cとミドルアーム22Aとの間およびミドルアーム22Aと下アーム22Bとの間に接続され、油圧により伸縮することでアーム22の角度を調整する。油圧シリンダ26は、上アーム22Cと圧砕機23との間に接続され、油圧により伸縮することで圧砕機23の角度を調整する。複数の油圧シリンダ24、25、26には、機械室15に設けられた図示しない油圧ポンプからの作動油が図示しない油圧ホースを介して供給される。
【0028】
図2は、ブーム21の構成要素を互いに連結する連結作業の様子を示す説明図である。上述のように構成された油圧ショベル1において、ブーム21の構成要素を互いに連結する際には、上部旋回体12に連結された下ブーム21Aに対して、クレーン装置5により継ぎブーム21Bを吊り下げながら近づけ、実施形態にかかる2部材連結装置100によって双方を連結する。
【0029】
(2部材連結装置)
油圧ショベル1は、上記下ブーム21Aおよび継ぎブーム21Bを連結するために、2部材連結装置100を備えている。以下の説明では、下ブーム21Aを2部材連結装置100により連結される「第1部材21A」と称し、継ぎブーム21Bを2部材連結装置100により連結される「第2部材21B」と称する。また、
図2に示すように、第1部材21Aの上部旋回体12側の端部を「基端部211A」と称し、基端部211Aとは反対側の端部を「先端部212A」と称する。また、第1部材21Aの先端部212Aと対向する第2部材21Bの端部を「基端部211B」と称し、第2部材21Bの基端部211Bとは反対側の端部を「先端部212B」と称する。また、第1部材21Aの先端部212Aが機体前後方向の前側を向き、第2部材21Bの基端部211Bが機体前後方向の後側を向いている状態を基準として各部材の方向を説明する。
【0030】
図3は、第1部材21Aの先端部212Aに設けられた2部材連結装置100の一部を示す斜視図である。
図4は、第1部材21Aの先端部212Aに設けられた2部材連結装置100の一部を
図2中の矢示A-A方向から視た断面図である。なお、
図4では、第1部材21Aの記載を省略している。
図5は、第2部材21Bの基端部211Bに設けられた2部材連結装置100の一部を示す斜視図である。
図6は、第2部材21Bの基端部211Bに設けられた2部材連結装置100の一部を第1部材21A側から視た正面図である。
【0031】
2部材連結装置100は、一対の第1ブラケット110と、一対の第2ブラケット120と、一対の上芯出し部材(芯出し部材)140と、一対の下芯出し部材150と、一対の上連結ピン(連結ピン)160Uおよび一対の下連結ピン160Dと、一対の上連結ピン160Uおよび一対の下連結ピン160Dを駆動する連結ピン駆動装置170と、目印部材180とを備えている。
【0032】
(一対の第1ブラケット)
一対の第1ブラケット110は、
図3および
図4に示すように、左右方向で互いに間隔を空けて、第1部材21Aの先端部212Aの左右両端に1つずつ設けられる。各第1ブラケット110は、例えば溶接により先端部212Aに固定され、先端部212Aから機体前後方向に張り出す。
【0033】
一対の第1ブラケット110は、右第1ブラケット110Rと左第1ブラケット110Lとを有している。右第1ブラケット110Rは、左右方向で互いに間隔を空けて設けられ、互いに対向する右外側第1ブラケット110Roおよび右内側第1ブラケット110Riを有する。同様に、左第1ブラケット110Lは、左右方向で互いに間隔を空けて設けられ、互いに対向する左外側第1ブラケット110Loおよび左内側第1ブラケット110Liを有する。
【0034】
(第1上通孔および第1下挿通孔)
また、一対の第1ブラケット110には、一対の上連結ピン160Uが挿通される一対の第1上挿通孔(第1ピン挿通孔)131Uと、一対の下連結ピン160Dが挿通される一対の第1下挿通孔131Dとが形成されている。第1上挿通孔131Uは、右第1ブラケット110Rおよび左第1ブラケット110Lにそれぞれ形成される。より詳細には、第1上挿通孔131Uは、右外側第1ブラケット110Ro、右内側第1ブラケット110Ri、左外側第1ブラケット110Loおよび左内側第1ブラケット110Liの上部に、左右方向に延びる同軸上に並ぶように(すなわち、孔軸線が重なるように)1つずつ形成される。第1下挿通孔131Dは、右第1ブラケット110Rおよび左第1ブラケット110Lにそれぞれ形成される。より詳細には、第1下挿通孔131Dは、右外側第1ブラケット110Ro、右内側第1ブラケット110Ri、左外側第1ブラケット110Loおよび左内側第1ブラケット110Liの下部に、左右方向に延びる同軸上に並ぶように1つずつ形成される。
【0035】
(一対の第2ブラケット)
一対の第2ブラケット120は、
図5および
図6に示すように、左右方向で互いに間隔を空けて、第2部材21Bの基端部211Bの左右両端に1つずつ設けられている。各第2ブラケット120は、例えば溶接により基端部211Bに固定され、基端部211Bから機体前後方向に張り出す。
【0036】
一対の第2ブラケット120は、右第2ブラケット120Rと、左第2ブラケット120Lとを有している。ここで、
図7は、第2ブラケット120を第1ブラケット110に挿入した状態で2部材連結装置100を
図2中の矢示B-B方向から視た断面図である。なお、
図7および後述する
図8では、第2部材21Bおよび一対の下芯出し部材150を省略している。図示するように、右第2ブラケット120Rは、上述した右外側第1ブラケット110Roと右内側第1ブラケット110Riとの間に挿入可能とされており、右外側第1ブラケット110Roと右内側第1ブラケット110Riと左右方向で対向する。同様に、左第2ブラケット120Lは、上述した左外側第1ブラケット110Loと左内側第1ブラケット110Liとの間に挿入可能されており、左外側第1ブラケット110Loと左内側第1ブラケット110Liと左右方向で対向する。
【0037】
(第2上通孔および第2下挿通孔)
また、一対の第2ブラケット120には、一対の上連結ピン160Uが挿通される一対の第2上挿通孔(第2ピン挿通孔)132Uと、一対の下連結ピン160Dが挿通される一対の第2下挿通孔132Dとが形成されている。第2上挿通孔132Uは、右第2ブラケット120Rおよび左第2ブラケット120Lの上部に、左右方向に延びる同軸上に並ぶように1つずつ形成される。したがって、第2上挿通孔132Uは、
図7に示すように、上述した一対の第1上挿通孔131Uと同軸上に配置可能に形成される。また、第2下挿通孔132Dは、各第2ブラケット120の下部に、左右方向に延びる同軸上に並ぶように1つずつ形成される。したがって、第2下挿通孔132Dは、
図7に示すように、上述した一対の第1下挿通孔131Dと同軸上に配置可能に形成される。
【0038】
(一対の上芯出し部材)
一対の上芯出し部材140は、
図4および
図5に示すように、左右方向で互いに間隔を空けて、第2部材21Bの基端部211Bの上部に1つずつ設けられている。各上芯出し部材140は、例えば溶接により基端部211Bに固定され、基端部211Bから機体前後方向に鉤状に張り出す。
【0039】
一対の上芯出し部材140は、右第2ブラケット120Rの近傍に設けられた右上芯出し部材140Rと、左第2ブラケット120Lの近傍に設けられた左上芯出し部材(芯出し部材)140Lとを有している。右上芯出し部材140Rは、
図7に示すように、第2ブラケット120が第1ブラケット110に挿入された状態で、右内側第1ブラケット110Riを挟んで右第2ブラケット120Rと左右方向で対向する。同様に、左上芯出し部材140Lは、第2ブラケット120が第1ブラケット110に挿入された状態で、左内側第1ブラケット110Liを挟んで左第2ブラケット120Rと左右方向で対向する。
【0040】
各上芯出し部材140は、上述したように鉤状に形成され、近傍に対応して配置される上連結ピン160Uと係合可能とされている。より詳細には、上芯出し部材140は、第2ブラケット120の第2上挿通孔132Uに沿って、上方側に凸型を描くように形成された円弧状の係合溝部145を有している。上芯出し部材140は、係合溝部145により上方から上連結ピン160Uに係合することで、上連結ピン160Uと第1上挿通孔131Uおよび第2上挿通孔132Uとの軸心を合わせ、上連結ピン160Uを第1上挿通孔131Uおよび第2上挿通孔132Uへとガイドするガイド部材となる。
【0041】
(下芯出し部材)
一対の下芯出し部材150は、
図4および
図5に示すように、左右方向で互いに間隔を空けて、第2部材21Bの基端部211Bの下部に1つずつ設けられている。各下芯出し部材150は、例えば溶接により基端部211Bに固定され、基端部211Bから機体前後方向に張り出す。
【0042】
一対の下芯出し部材150は、右第2ブラケット120Rの近傍に設けられた右下芯出し部材150Rと、左第2ブラケット120Lの近傍に設けられた左下芯出し部材150Lとを有している。右下芯出し部材150Rは、
図7に示すように、第2ブラケット120が第1ブラケット110に挿入された状態で、右内側第1ブラケット110Riを挟んで右第2ブラケット120Rと左右方向で対向する。同様に、左下芯出し部材150Lは、第2ブラケット120が第1ブラケット110に挿入された状態で、左内側第1ブラケット110Liを挟んで左第2ブラケット120Lと左右方向で対向する。
【0043】
各下芯出し部材150は、近傍に配置される対応する下連結ピン160Dと当接して下連結ピン160Dを位置決め可能に形成されている。より詳細には、下芯出し部材150は、第2ブラケット120の第2下挿通孔132Dに沿って、第2部材21Bに向けて凹型を描くように円弧状に形成された当接凹部155を有している。下芯出し部材150は、当接凹部155が下連結ピン160Dと当接し、下連結ピン160Dと一対の第1下挿通孔131Dと一対の第2下挿通孔132Dとの軸心を合わせる。それにより、下芯出し部材150は、下連結ピン160Dを第1下挿通孔131Dおよび第2下挿通孔132Dへとガイドするガイド部材となる。
【0044】
(一対の上連結ピンおよび一対の下連結ピン)
一対の上連結ピン160Uは、後述する連結ピン駆動装置170に取り付けられている。各上連結ピン160Uは、
図7に示すように、近傍に配置された第1上挿通孔131Uおよび第2上挿通孔132Uに対応して設けられる。上連結ピン160Uは、第1上挿通孔131Uおよび各第2上挿通孔132Uよりもわずかに小さい径で形成され、第1上挿通孔131Uおよび第2上挿通孔132Uと同軸上に並んで配置される。同様に、各下連結ピン160Dは、近傍に配置された第1下挿通孔131Dおよび第2下挿通孔132Dに対応して設けられる。下連結ピン160Dは、第1下挿通孔131Dおよび各第2下挿通孔132Dよりもわずかに小さい径で形成され、第1下挿通孔131Dおよび第2下挿通孔132Dと同軸下に並んで配置される。
【0045】
(連結ピン駆動装置)
連結ピン駆動装置170について、
図4、
図7および
図8を参照しながら説明する。
図8は、
図7に示す状態から一対の上連結ピン160Uおよび一対の下連結ピン160Dを連結ピン駆動装置170により移動させた状態を示す断面図である。連結ピン駆動装置170は、第1部材21Aに取り付けられ、油圧ショベル1に搭載された図示しない油圧供給源からの油圧により駆動されるものであり、油圧ショベル1に搭乗した作業者の指示に応じて、油圧ショベル1の図示しないコントローラにより駆動制御される。
【0046】
連結ピン駆動装置170は、一対の上連結ピン160Uを駆動させる上連結ピン駆動装置170Uと、一対の下連結ピン160Dを駆動させる下連結ピン駆動装置170Dとを有している。上連結ピン駆動装置170Uと下連結ピン駆動装置170Dとは、上下対象に配置されることを除き、同様の構成を有する。そのため、以下の説明では、上連結ピン駆動装置170Uを例として連結ピン駆動装置170の構成を説明する。
【0047】
上連結ピン駆動装置170Uは、第2部材21Bの上芯出し部材140が第1部材21Aの上連結ピン160Uに係合されている状態のとき、上連結ピン160Uを第1上挿通孔131Uと第2上挿通孔132Uとに挿通させて、第1部材21Aと第2部材21Bとを連結させる。上連結ピン駆動装置170Uは、
図4に示すように、シリンダ171と、第1レバー172Aと、第2レバー172Bと、リンク部材173とを有する。シリンダ171は、油圧シリンダであり、チューブ171Aと、チューブ171A内に配置された図示しないピストンと、ピストンに連結されたチューブ171Aから突出したロッド171Bとを有する。シリンダ171は、図示しない油圧供給源から供給される油圧によりピストンを駆動し、ロッド171Bを左右方向に移動させる。第1レバー172Aは、一端がロッド171Bの先端部に回動自在に連結されると共に、他端が上連結ピン160Uに連結される。また、第1レバー172Aは、中途部においてリンク部材173に回転自在に連結されている。第2レバー172Bは、一端がシリンダ171のロッド171Bとは反対側の端部に回転自在に連結されると共に、他端が上連結ピン160Uに連結される。また、第2レバー172Bは、中途部においてリンク部材173に回転自在に連結されている。リンク部材173は、第1部材21Aに固定され、シリンダ171、第1レバー172Aおよび第2レバー172Bを支持する。
【0048】
この構成により、
図7に示すように、シリンダ171を伸長させたときには、上連結ピン160Uは、右内側第1ブラケット110Riおよび左内側第1ブラケット110Liに形成された第1上挿通孔131Uにのみ挿通される。なお、右内側第1ブラケット110Riおよび左内側第1ブラケット110Liの間には、
図4に示すように、ストッパ174が取り付けられており、当該ストッパ174によって第1レバー172Aおよび第2レバー172Bが互いに接近する方向へと動くことが規制され、一対の上連結ピン160Uが上述した第1上挿通孔131Uから抜け落ちることが抑制される。
【0049】
一方、
図8に示すように、シリンダ171を収縮させたときには、第1レバー172Aおよび第2レバー172Bが互いに離れるように左右方向に移動する。それにより、一対の上連結ピン160Uも互いに離れるように左右方向に移動する。なお、右内側第1ブラケット110Riおよび左内側第1ブラケット110Liの第1上挿通孔131Uの下方には、
図8に示す状態から第1レバー172Aおよび第2レバー172Bが互いに離れる方向へと移動することを規制するストッパ175が設けられている。
【0050】
下連結ピン駆動装置170Dにおいても、上述の上連結ピン駆動装置170Uと同様にシリンダ171の伸長および収縮を切り替えることにより、各下連結ピン160Dを左右方向に移動させることができる。
【0051】
(目印部材)
図9は、第2部材21Bを
図6の矢示C-C方向から視た断面図である。目印部材180は、
図5、
図6および
図9に示すように、第2部材21Bの左上芯出し部材140Lの右側に位置し、左上芯出し部材140Lの先端部141にピン結合されている。それにより、目印部材180は、左上芯出し部材140Lに対して、左右方向に延びる回転軸周りに回転自在とされている。目印部材180は、上連結ピン160Uの挿入に伴って上連結ピン160Uに押圧されて回動し、左上芯出し部材140Lが対応する上連結ピン160Uと係合したときには、第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出した所定位置P1(
図11のステップS30参照)まで回動している部材である。なお、ここでの上側に突出するとは、少なくとも左右方向から視て目印部材180と重なり得る範囲(目印部材80の回転軌道上の場所)で、第1部材21Aの最上部213A(
図10および
図11参照)、第2部材21Bの最上部213Bよりも上側に突出するという意味である。目印部材180は、
図7に示すように、左上芯出し部材140Lと係合する上連結ピン160Uと当接可能な位置に配置される。
【0052】
本実施形態において、目印部材180は、3つの角部180a、180b、180cを有する三角形状部材である。角部180aは、上連結ピン160Uに押圧されて回動する際の回動支点181である。また、角部180bは、上連結ピン160Uに押圧される押圧部182である。また、角部180cは、所定位置P1となったときに第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出する目印部183である。
【0053】
回動支点181は、上述したように、左上芯出し部材140Lの先端部141に、左右方向に延びる回転軸周りに回転自在にピン結合される。目印部材180は、
図9に示すように、目印部材180が上連結ピン160Uに押圧されていない初期状態では、押圧部182が第2部材21Bとは反対側(第2部材21Bと連結される第1部材21A側:図中の左側)を向くように、左上芯出し部材140Lにぶら下がる。
図9に示す初期状態で、押圧部182は、回動支点181に対して第2部材21Bとは反対側に位置し、目印部183は、回動支点181よりも第2部材21B側に位置する。これにより、上連結ピン160Uによって容易に押圧部182を押圧することができ、目印部183を第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に容易に突出させることができる。また、押圧部182は、円弧状に形成されており、それにより、上連結ピン160Uとの接触による破損を抑制することができる。
【0054】
さらに、回動支点181と押圧部182とを結ぶ辺184上には、目印部183側に窪む凹部185が形成されている。凹部185は、上連結ピン160Uの外径よりもわずかに大きな円弧形状に形成される。凹部185は、目印部材180が所定位置P1となったとき、すなわち、左上芯出し部材140Lと上連結ピン160Uとが係合したときに、当該上連結ピン160Uの外面に上側から嵌り込むように設けられる。
【0055】
(第1部材および第2部材の連結動作)
2部材連結装置100により第1部材21Aと第2部材21Bとを連結させる際の動作について
図2、
図7、
図8、
図10および
図11を参照しながら説明する。
図10は、第1部材21Aと第2部材21Bとを連結させる際の様子をステップS10、S20として示した説明図であり、
図11は、第1部材21Aと第2部材21Bとを連結させる際の様子をステップS30、S40として示した説明図である。
【0056】
第1部材21Aと第2部材21Bとの連結作業は、三人の作業者により実行される。一人目の作業者は、油圧ショベル1に搭乗し、第1部材21A(下ブーム21A)や連結ピン駆動装置170を操作するショベル運転者である。二人の作業者は、
図2に示すクレーン装置5に搭乗し、クレーン装置5に吊り下げられた第2部材21B(継ぎブーム21B)を第1部材21Aに対して移動させるクレーン運転者である。三人目の作業者は、第1部材21Aと第2部材21Bとの連結部近傍に位置し、目視により2部材連結装置100による連結動作の進捗を確認しつつ、ショベル運転者およびクレーン運転者に操作のための指示を行う作業確認者である。なお、例えばクレーン運転者が以下に説明する目視確認を行うことができれば、作業確認者を省略してもよい。
【0057】
まず、上述した作業者三人の協調により、第2部材21Bを第1部材21Aへと接近させ、第2ブラケット120を第1ブラケット110に挿入する。具体的には、
図7に示すように、右第2ブラケット120Rを右外側第1ブラケット110Roと右内側第1ブラケット110Riとの間に挿入し、左第2ブラケット120Lを左外側第1ブラケット110Loと左内側第1ブラケット110Liとの間に挿入する。
【0058】
このとき、
図10のステップS10に示すように、まずは上連結ピン160Uと上芯出し部材140(図中では、左上芯出し部材140L)とを係合させるために、第1部材21Aと第2部材21Bとを接近させていく。それにより、左上芯出し部材140Lに取り付けられた目印部材180の押圧部182に、上連結ピン160Uが接触する。第2部材21Bを第1部材21Aへとより接近させていくと、ステップS20に示すように、上連結ピン160Uが目印部材180の押圧部182を押圧することで、目印部材180が回動支点181を中心に左上芯出し部材140Lに対して回動していく。その結果、目印部183が上方側に移動する。
【0059】
さらに第2部材21Bを第1部材21Aへと接近させると、
図11のステップS30に示すように、左上芯出し部材140Lの係合溝部145と上連結ピン160Uとが係合した状態となる。なお、図示省略するが、右上芯出し部材140Rの係合溝部145と上連結ピン160Uも同様に係合した状態となる。そして、ステップS30に示す状態で、目印部材180は、目印部183が第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出した所定位置P1となる。目印部材180は、所定位置P1において、上述した凹部185が上連結ピン160Uと係合すると共に、上連結ピン160Uによって下側から支持される。作業確認者は、目印部材180が所定位置P1となったことを地上から目視で確認する。なお、目印部183の第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側への突出高さは、作業確認者が地上から目視可能な高さとされる。
【0060】
目印部材180が回動している途中ではなく所定位置P1に到達したと判断する方法を説明する。上芯出し部材140の係合溝部145と上連結ピン160Uとが係合した後には、係合溝部145と上連結ピン160Uと係合させた状態を維持しながら、上連結ピン160Uを中心として第2部材21Bを第1部材21Aに対して回動させると、上連結ピン160Uによって下側から支持される目印部材180も、第2部材21Bと共に上連結ピン160Uを中心として第1部材21Aに対して回動する。つまり、目印部材180は、第2部材21Bに対しては相対移動しないものとなる。したがって、作業確認者は、目印部183を目視し、目印部材180が第2部材21Bに対して相対移動しない状態となったことを確認できれば、目印部材180が所定位置P1となったと判断することができる。言い換えると、目印部材180が所定位置P1となるとは、第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出し、かつ、第2部材21Bが上連結ピン160Uを中心として回動しても第2部材21Bに対して相対移動しない状態となることを意味する。これにより、作業確認者は、上芯出し部材140の係合溝部145と上連結ピン160Uとが係合し、上連結ピン160Uと第1上挿通孔131Uおよび第2上挿通孔132Uとの軸心が合わせられたことを把握して、その旨をショベル運転者およびクレーン運転者へと伝達する。
【0061】
上述のようにして上連結ピン160Uと第1上挿通孔131Uおよび第2上挿通孔132Uとの軸心が合わせられると、ショベル運転者は、上連結ピン駆動装置170Uを駆動させて、
図8に示すように、各上連結ピン160Uを左右方向に離れる方向へと移動させ、各上連結ピン160Uを第1上挿通孔131Uおよび第2上挿通孔132Uに挿入させる。これにより、第1ブラケット110と第2ブラケット120とが上連結ピン160Uで連結された状態となる。
【0062】
第1ブラケット110と第2ブラケット120とが上連結ピン160Uで連結されると、クレーン運転者がクレーン装置5を操作し、
図11のステップS40に示すように、上連結ピン160Uを中心として第2部材21Bを第1部材21Aに対して回動させる。それにより、各下芯出し部材150の当接凹部155に下連結ピン160Dが当接した状態となる。なお、第1ブラケット110と第2ブラケット120とが上連結ピン160Uで連結され、左右方向の位置決めができている状態であることから、上連結ピン160Uを中心として第2部材21Bを回動させるだけで、各下芯出し部材150の当接凹部155と下連結ピン160Dとを容易に当接させることができる。作業確認者は、各下芯出し部材150の当接凹部155に下連結ピン160Dが当接したことを確認し、その旨をショベル運転者およびクレーン運転者へと伝達する。これにより、下連結ピン160Dと第1下挿通孔131Dおよび第2下挿通孔132Dとの軸心が合わせられる。
【0063】
そして、ショベル運転者は、下連結ピン駆動装置170Dを駆動させて、
図8に示すように、各下連結ピン160Dを左右方向に離れる方向へと移動させ、各下連結ピン160Dを第1下挿通孔131Dおよび第2下挿通孔132Dに挿入させる。これにより、第1ブラケット110と第2ブラケット120とが上連結ピン160Uおよび下連結ピン160Dの双方で連結された状態となる。なお、各上連結ピン160Uおよび各下連結ピン160Dは、
図8に示す状態で、左右方向の外側から複数のボルト190により第1ブラケット110に締結される。これにより、第1部材21Aと第2部材21Bとが各上連結ピン160Uおよび各下連結ピン160Dにより互いに連結される。
【0064】
(実施形態の効果)
以上説明したように、実施形態にかかる油圧ショベル(作業機械)1は、第1上挿通孔(第1ピン挿通孔)131Uが形成された第1部材21A(下ブーム21A)と、第1上挿通孔(第2ピン挿通孔)132Uが形成された第2部材21B(継ぎブーム21B)と、第1部材21Aに移動可能な状態で設けられた上連結ピン(連結ピン)160Uと、第1部材21Aに設けられ、上連結ピン160Uを移動させる上連結ピン駆動装置(連結ピン駆動装置)170Uと、第2部材21Bに設けられた上芯出し部材(芯出し部材)140とを備え、連結ピン駆動装置170は、第2部材21Bの上芯出し部材140が第1部材21Aの上連結ピン160Uに係合されている状態のとき、連結ピン160Uを第1上挿通孔131Uと第2上挿通孔132Uとに挿通させて、第1部材21Aと第2部材21Bとを連結させる。油圧ショベル1は、第2部材21Bに移動可能な状態で取付けられた目印部材180を備え、目印部材180は、第2部材21Bの上芯出し部材140を第1部材21Aの上連結ピン160Uに対して係合させるときに、第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出した所定位置P1まで上連結ピン160Uにより押圧されて移動する。
【0065】
この構成により、第2部材21Bを第1部材21A側に移動させる過程において、第2部材21Bに設けられた目印部材180が上連結ピン160Uに押圧されて回動し、目印部材180が第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出した所定位置P1となったことで、上連結ピン160Uと上芯出し部材140とが係合したことを作業確認者が離れた位置、すなわち、地上から目視で確認することができる。したがって、実施形態にかかる油圧ショベル1によれば、油圧ショベル1のブーム21の構成要素である第1部材21Aおよび第2部材21Bを、より容易に連結可能となる。
【0066】
また、目印部材180は、第2部材21Bの上芯出し部材140を第1部材21Aの上連結ピン160Uに対して係合させるときに、所定位置P1まで回動して移動する。
【0067】
この構成により、目印部材180を回動させて容易に所定位置P1へと移動させることができる。
【0068】
また、目印部材180は、左上芯出し部材(芯出し部材)140Lが上連結ピン160Uと係合したときに、第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出し、かつ、上連結ピン160Uに下側から支持されて、上連結ピン160Uを中心として回動する第2部材21Bに対して相対移動しない所定位置P1となる。
【0069】
この構成により、目印部材180が第2部材に対して相対移動しない状態となったことを作業者が確認することで、上連結ピン160Uと左上芯出し部材140Lとが係合したことを容易に把握することができる。
【0070】
また、目印部材180は、左上芯出し部材140Lの先端部141に回動自在に取り付けられる。
【0071】
この構成により、左上芯出し部材140Lを上連結ピン160Uに接近させる過程で、上連結ピン160Uによって目印部材180を容易に押圧して回動させることができる。
【0072】
また、目印部材180は、第2部材21Bに対する回動中心となる回動支点181と、上連結ピン160Uに押圧される押圧部182と、所定位置P1となったときに第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出する目印部183とを有する。
【0073】
この構成により、上連結ピン160Uに押圧される押圧部182とは別に目印部183を設けるため、目印部材180が所定位置P1となったときに、目印部183が第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出する形状を容易に得ることができる。
【0074】
また、目印部材180は、3つの角部180a、180b、180cを有する三角形状部材であり、3つの角部180a、180b、180cが回動支点181、押圧部182および目印部183である。
【0075】
この構成により、回動支点181、押圧部182および目印部183を有する目印部材180を簡易な構成とすることができる。
【0076】
また、目印部材180は、回動支点181と目印部183とを結ぶ辺184の中途部に、所定位置P1となったときに上連結ピン160Uの外面に嵌り込む凹部185が形成されており、凹部185で上連結ピン160Uによって下側から支持される。
【0077】
この構成により、左上芯出し部材140Lと上連結ピン160Uとが係合すると、目印部材180も凹部185において上連結ピン160Uの外面に嵌り込んで下側から支持されるため、上連結ピン160Uによって目印部材180を安定的に支持することができる。例えば、
図11のステップS30に示す状態から、目印部材180がさらに反時計回りに回動し、目印部183が第1部材21Aおよび第2部材21Bよりも上側に突出しない状態となってしまうことを抑制可能となる。
【0078】
(変形例)
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、作業機械として油圧ショベル1を例示したが、2部材連結装置100は、ブーム21やアーム22を備えるものであれば、他の作業機械に適用されてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、ブーム21の下ブーム21Aを第1部材21Aとし、継ぎブーム21Bを第2部材21Bとしたが、2部材連結装置100により連結される第1部材および第2部材は、他の部材であってもよい。例えば、ブーム21の継ぎブーム21Bを第1部材とし、上ブーム21Cを第2部材としてもよい。また、例えば、アーム22の下アーム22Bを第1部材とし、上アーム22Cを第2部材としてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、目印部材180を左上芯出し部材140Lの先端部141に取り付けるものとした。ただし、上連結ピン160Uが目印部材180を押圧して回動させて所定位置P1とすることができ、かつ、他の部材と干渉しない位置であれば、目印部材180の取り付け位置は、これに限られない。例えば、第2部材21Bに目印部材180に取り付けるための部位を別途設けてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、目印部材180を三角形状部材としたが、目印部材180の構成は、これに限られない。目印部材180は、例えば、回動支点181、押圧部182および目印部183を有するL字形状部材などであってもよい。なお、目印部材180は、上連結ピン160Uに押圧されて所定位置P1に移動することができるものであれば、第2部材21Bに対して回動以外の動きで移動するものであってもよい。
【0082】
また、凹部185は、目印部材180から省略されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 油圧ショベル(作業機械)
5 クレーン装置
10 作業機本体
20 作業装置
21 ブーム
21A 下ブーム(第1部材)
21B 継ぎブーム(第2部材)
21C 上ブーム
211A、211B 基端部
212A、212B 先端部
22 アーム
22A ミドルアーム
22B 下アーム
22C 上アーム
23 圧砕機
100 2部材連結装置
110 第1ブラケット
120 第2ブラケット
131D 第1下挿通孔
131U 第1上挿通孔(第1ピン挿通孔)
132D 第2下挿通孔
132U 第2上挿通孔(第2ピン挿通孔)
140 上芯出し部材(芯出し部材)
140L 左上芯出し部材
140R 右上芯出し部材
141 先端部
145 係合溝部
150 下芯出し部材
150L左下芯出し部材
150R 右下芯出し部材
155 当接凹部
160D 下連結ピン
160U 上連結ピン(連結ピン)
170 連結ピン駆動装置
170D 下連結ピン駆動装置
170U 上連結ピン駆動装置
180 目印部材
180a、180b、180c 角部
181 回動支点
182 押圧部
183 目印部
184 辺
185 凹部
P1 所定位置