(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053571
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ギヤシャフト及びトランスミッション
(51)【国際特許分類】
F16H 55/17 20060101AFI20240409BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240409BHJP
B23K 15/00 20060101ALI20240409BHJP
B23K 9/16 20060101ALI20240409BHJP
B23K 10/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F16H55/17 B
B23K26/21 N
B23K15/00 501D
B23K9/16 K
B23K10/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159862
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】宮城 雅徳
(72)【発明者】
【氏名】清水 政男
(72)【発明者】
【氏名】藤永 晃
(72)【発明者】
【氏名】高橋 毅
【テーマコード(参考)】
3J030
4E001
4E066
4E168
【Fターム(参考)】
3J030BC03
3J030BD07
4E001AA03
4E001CA00
4E001DA01
4E001DA02
4E001DD02
4E066BD03
4E066CA08
4E066CA14
4E168BA54
4E168BA83
4E168CB07
4E168DA02
4E168DA28
4E168EA17
4E168FB03
(57)【要約】
【課題】表面硬化処理による高強度を備えつつ、ギヤとシャフトが割れなく溶接されて小型化に貢献することができる建設機械用のギヤシャフト及びこれを用いたトランスミッションを提供する。
【解決手段】鉄を主成分とする素材からなるギヤ及びシャフトが溶接で接合されたギヤシャフトにおいて、上記ギヤ及び上記シャフトの表面は、上記素材よりも高硬度な表面硬化層で被覆されており、上記ギヤ及び上記シャフトを接合する溶接部は、リング状であり、上記ギヤ及び上記シャフトの上記溶接部は、上記ギヤ及び上記シャフトの上記表面硬化層からリング状に露出した上記素材の露出部に設けられており、上記溶接部は、上記表面硬化層よりも炭素含有量が低く、上記溶接部について、ビッカース硬さx[Hv]と、溶け込み深さD及びビード幅Wのアスペクト比y(D/W)との間に、y≧0.0298x-10.98の関係が成立するギヤシャフトを提供する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄を主成分とする素材からなるギヤ及びシャフトが溶接で接合されたギヤシャフトにおいて、
前記ギヤ及び前記シャフトの表面は、前記素材よりも高硬度な表面硬化層で被覆されており、
前記ギヤ及び前記シャフトを接合する溶接部は、リング状であり、
前記ギヤ及び前記シャフトの前記溶接部は、前記ギヤ及び前記シャフトの前記表面硬化層からリング状に露出した前記素材の露出部に設けられており、
前記溶接部は、前記表面硬化層よりも炭素含有量が低く、
前記溶接部について、ビッカース硬さx[Hv]と、溶け込み深さD及びビード幅Wのアスペクト比y(D/W)との間に、y≧0.0298x-10.98の関係が成立する
ことを特徴とするギヤシャフト。
【請求項2】
請求項1に記載のギヤシャフトにおいて、
前記溶接部は、前記ギヤ及び前記シャフトの前記素材の前記露出部において表面の素材部分が溶融し凝固した部分であることを特徴とするギヤシャフト。
【請求項3】
請求項1に記載のギヤシャフトにおいて、
前記溶接部の炭素含有量は、0.28mass%以下であることを特徴とするギヤシャフト。
【請求項4】
請求項1に記載のギヤシャフトにおいて、
前記溶接部の炭素含有量は、0.23mass%以下であることを特徴とするギヤシャフト。
【請求項5】
請求項1に記載のギヤシャフトにおいて、
前記アスペクト比yは、y≧0.0245x-7.33関係が成立することを特徴とするギヤシャフト。
【請求項6】
請求項1に記載のギヤシャフトにおいて、
前記溶接部の溶け込み深さDが、6mm以上16mm以下であることを特徴とするギヤシャフト。
【請求項7】
請求項2に記載のギヤシャフトにおいて、
前記素材の前記露出部は、前記溶接部のビード幅よりも幅広であることを特徴とするギヤシャフト。
【請求項8】
請求項2に記載のギヤシャフトにおいて、
前記溶接部は、前記素材が、レーザ溶接、電子ビーム溶接、レーザ・アークハイブリット溶接、又はプラズマ溶接により溶融して凝固した部分であることを特徴とするギヤシャフト。
【請求項9】
請求項1に記載のギヤシャフトを含むトランスミッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤシャフト及びトランスミッションに関する。
【背景技術】
【0002】
Ni基超合金と鉄鋼材料とを溶接する際、Ni基超合金及び鉄鋼材料の突合せ部に電子ビームを周期的に偏向させながら照射することで、溶接部の割れを抑制する技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トランスミッションのギヤシャフトは、ギヤとシャフトを含んで構成され、動力源の動力をトルクや回転数、回転方向を変えて活軸に伝達する部品である。建設機械におけるトランスミッションでは、焼き嵌め構造や一体成形構造が多く用いられる。昨今の省エネルギー化の観点からトランスミッションの小型化が求められているが、焼き嵌め構造や一体成形構造では組立や加工に関する構造上の制約から小型化が難しい場合がある。それに対し、溶接構造は小型化に有利であり、電子ビーム溶接やレーザ溶接による溶接構造がギヤシャフトに採用される場合がある。
【0005】
但し、溶接構造でギヤシャフトを小型化するためには深い溶込み深さを要するところ、トランスミッションに用いられるSCM415等の材料は割れ感受性が高い。そのため、トランスミッションに用いるギヤシャフトにおいて、6mmを超えるような深い溶込み深さを確保しつつ、それでいて溶接割れのない溶接部を形成することは困難であった。
【0006】
前述した特許文献1では、Ni基超合金と鉄鋼材料の異種金属の接合において、突合せ部に照射する電子ビームを周期的に偏光させることで、溶融池を攪拌して偏析を抑制し、割れのない溶接部を形成する。しかし、建設機械に用いるトランスミッションの部品は、浸炭、窒化、浸窒等の表面硬化処理がされており、割れ感受性の高さから、電子ビームを周期的に偏光させても溶接割れを回避することは難しいのが実情である。
【0007】
本発明の目的は、表面硬化処理による高強度を備えつつ、ギヤとシャフトが割れなく溶接されて小型化に貢献することができる建設機械用のギヤシャフト及びこれを用いたトランスミッションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、鉄を主成分とする素材からなるギヤ及びシャフトが溶接で接合されたギヤシャフトにおいて、上記ギヤ及び上記シャフトの表面は、上記素材よりも高硬度な表面硬化層で被覆されており、上記ギヤ及び上記シャフトを接合する溶接部は、リング状であり、上記ギヤ及び上記シャフトの上記溶接部は、上記ギヤ及び上記シャフトの上記表面硬化層からリング状に露出した上記素材の露出部に設けられており、上記溶接部は、上記表面硬化層よりも炭素含有量が低く、上記溶接部について、ビッカース硬さx[Hv]と、溶け込み深さD及びビード幅Wのアスペクト比y(D/W)との間に、y≧0.0298x-10.98の関係が成立するギヤシャフトを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表面硬化処理による高強度を備えつつ、ギヤとシャフトが割れなく溶接されて小型化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトランスミッションを適用する建設機械の一例であるホイールローダの側面図
【
図2】
図1に示したホイールローダに備わった動力伝達装置の右前方から見た斜視図
【
図3】
図2に示した動力伝達装置の一部破断右側面図
【
図5】本発明の一実施形態に係るギヤシャフトの模式的な斜視図
【
図7】本発明の一実施形態に係るギヤシャフトに備わった溶接部の模式的な断面図
【
図8】様々な条件で形成した溶接部についてアスペクト比と硬さの関係に注目して高温割れの発生の有無を調査した結果を表す図
【
図9】ギヤとシャフトとを溶接する溶接設備の一例を示す模式図
【
図10】本発明の一実施形態に係るギヤシャフトの製造工程(表面硬化処理前)の説明図
【
図11】本発明の一実施形態に係るギヤシャフトの製造工程(機械加工後)の説明図
【
図12】本発明の一実施形態に係るギヤシャフトの製造工程(溶接前)の説明図
【
図13】本発明の一実施形態に係るギヤシャフトの製造工程(溶接後)の説明図
【
図14】溶接部について表面硬化層を形成して溶接した場合と表面硬化層の形成を抑制して溶接した場合とで溶接品質について検証した結果をまとめた表
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
-建設機械-
図1は本発明の一実施形態に係るトランスミッションを適用する建設機械の一例であるホイールローダの側面図である。
図1において図中の左側を前方とする。本実施形態では、本発明に係るトランスミッションの適用対象の一例としてホイールローダを例示するが、トランスミッションを搭載するホイールショベル等の他の建設機械にも本発明は適用可能である。
【0013】
図1に示したホイールローダ1は、ホイール式の作業車両の代表例であり、左右の前車輪2が設けられた前部車体3と左右の後車輪4が設けられた後部車体5とが、センタヒンジ6を介して左右方向に屈曲可能に連結されたアーティキュレート式の車両である。前部車体3の下側には、左右方向に延びるフロントアクスル(前車軸)11が設けられ、フロントアクスル11の両端に左右の前車輪2が取り付けられている。後部車体5の下側には、左右方向に延びるリヤアクスル(後車軸)12が設けられ、リヤアクスル12の両端には左右の後車輪4が取り付けられている。
【0014】
前部車体3には、ローダバケット8aを備えた作業機8が俯仰動可能に設けられている。後部車体5には、キャブ(運転室)9、原動機(エンジン)10、油圧ポンプ15、動力伝達装置20等が搭載されている。動力伝達装置20の入力軸には原動機10の出力軸が連結され、油圧ポンプ15の回転軸は動力伝達装置20の第1の出力軸(内軸41)に連結されている。動力伝達装置20の第2の出力軸62(
図3)には、前側のプロペラシャフト13を介してフロントアクスル11が、後側のプロペラシャフト14を介してリヤアクスル12がそれぞれ連結されており、出力軸62の出力により前車輪2及び後車輪4が回転する。前部車体3と後部車体5との間にはステアリングシリンダ7が設けられており、このステアリングシリンダ7を伸縮させることにより、前部車体3と後部車体5とが左右方向に屈曲してホイールローダ1が操舵される。
【0015】
-動力伝達装置-
図2は動力伝達装置20の右前方から見た斜視図、
図3は一部破断側面図、
図4は部分断面図である。動力伝達装置20は原動機10の回転出力を油圧ポンプ15や前車輪2及び後車輪4に伝達する役割を果たし、
図4に示すように、ケーシング30、伝達軸40、トルクコンバータ50、トランスミッション60、及びロックアップ装置70を含んで構成されている。
【0016】
・ケーシング
ケーシング30は、動力伝達装置20の外殻を構成する部材であり、フロントケーシング30a、中間ケーシング30b、リヤケーシング30c及びカバー30dといった複数の分割パーツを連結して構成されている。フロントケーシング30aは椀型に形成されたケーシング30の前部パーツである。フロントケーシング30aの上部には、外部に油圧ポンプ15が取り付けられている。また、フロントケーシング30aの下部からは、出力軸62が前後に突出している。リヤケーシング30cは、筒状に形成されたケーシング30の後部パーツである。トルクコンバータ50やロックアップ装置70は、リヤケーシング30cの内部に配置されている。中間ケーシング30bは、筒状に形成されたケーシング30の前後方向の中間部のパーツであり、フロントケーシング30aとリヤケーシング30cとの間に介在し、フロントケーシング30aとリヤケーシング30cとを連結している。トランスミッション60は、中間ケーシング30bの内部に配置されている。カバー30dは、リヤケーシング30cの後端部を塞ぐプレート状の部材である。カバー30dからは、動力伝達装置20の入力軸としての継手45が後方に突出している。
【0017】
図4に示したように、フロントケーシング30aの内部には、軸受31が取り付けられている。カバー30dには、軸受32が取り付けられている。また、中間ケーシング30bには軸受33が取り付けられている。これら軸受31~33は前後に間隔を空けて配置されており、互いの中心軸が一致するように同軸上に配置されている。また、リヤケーシング30cの上部の外壁には、潤滑油を循環させる循環ポンプ80(
図2)が取り付けられている。リヤケーシング30cの内部空間における上部には循環ポンプ80に動力を伝達するポンプ駆動歯車(不図示)が収容されている。
【0018】
・伝達軸
伝達軸40は前後方向に水平に延び、内軸41とこれを包囲する外軸42とを含んで構成されている。内軸41と外軸42は同心であり、互いに独立して回転可能な内軸41と外軸42とで二重構造とすることにより、伝達軸40を介して原動機10の動力を油圧ポンプ15及び走行系の2系統に分配して伝達できるように構成されている。また、外軸42の内部に内軸41を収めた構成とすることで、動力伝達装置20の小型化にも貢献する。
【0019】
内軸41は、一端が継手43を介して油圧ポンプ15の回転軸15aに連結され、他端が回転筒体44及び継手45を介して作業車両に搭載された原動機10(
図1)の出力軸(不図示)に連結されている。これにより、原動機10の出力軸と油圧ポンプ15の回転軸15aとが内軸41を介して同軸に連結されている。また、内軸41の後端部は、回転筒体44が上記軸受32に支持されることにより、ケーシング30(カバー30d)に対して回転自在に支持されている。回転筒体44には、トルクコンバータ50のリング型のカバープレート54がボルト等で連結されている。
【0020】
外軸42は、原動機10の出力軸の回転をトランスミッション60に伝達する筒状の中空軸である。この外軸42は、筒状の第1分割軸42aと筒状の第2分割軸42bに分割されている。第1分割軸42aと第2分割軸42bとが同軸に連結されて長尺の1本の外軸42を構成している。外軸42の内側には内軸41が通されている。また、外軸42の後部(第1分割軸42aの後部)にはトルクコンバータ50の二次回転体53が、外軸42の前部(第2分割軸42bの前部)には出力ギヤ46が、それぞれ溶接で結合されている(後述)。
【0021】
外軸42は、長手方向の一端部(第2分割軸42bの前端部)が上記軸受31によりケーシング30(フロントケーシング30a)に対して回転自在に支持されている。外軸42の長手方向の他方部(第1分割軸42aの後端部)は、上記二次回転体53と上記カバープレート54との間に介在する軸受56で支持されることにより、内軸41に対して回転自在に支持されている。また、外軸42の長手方向の中間部は、ケーシング30(中間ケーシング30b)に対して上記軸受33を介して回転自在に支持されている。このように長手方向の両端部と中間部の3か所で第1の軸受31、第2の軸受56及び第3の軸受33により支持することで、前後方向に水平に伸びる長尺の外軸42の撓みを抑えている。なお、この外軸42に沿って、原動機10から油圧ポンプ15に向かって、ロックアップ装置70、トルクコンバータ50、トランスミッション60がこの順番でケーシング30の内部に配置されている。上記の出力ギヤ46は軸受31及び軸受33の間に、二次回転体53は軸受33及び軸受56の間に位置している。
【0022】
・トルクコンバータ
トルクコンバータ50は、流体継手の一種であり、
図4に示すように、固定軸51、一次回転体52、二次回転体53等を含んで構成されている。固定軸51はケーシング30に対してトルクコンバータ50を取り付けるフランジ管型の部品であり、内側に伝達軸40(内軸41及び外軸42)を通した状態で中間ケーシング30bの後端面にボルト(不図示)により固定されている。
【0023】
一次回転体52は、トルクコンバータ50の外郭を構成する部品であって中空のドーナツ型に形成されており、後部にボルトで装着したカバープレート54が回転筒体44にボルトで連結されることで、内軸41を介して原動機10の出力軸に連結している。一次回転体52は軸受55を介して固定軸51の外周面に回転自在に支持されている。回転筒体44がケーシング30のカバー30dに軸受32を介して回転自在に支持されているので、一次回転体52は軸受55,56を介してケーシング30に対して回転自在に支持されている。また一次回転体52には、内部にポンプインペラ52aが備えられている。一次回転体52の内部は循環ポンプ80から供給される潤滑油で満たされている。更に一次回転体52の前部にはギヤ57が固定されている。リヤケーシング30cに収容されたポンプ駆動歯車(不図示)にギヤ57を介して動力が伝達され、これによりエンジン駆動中は循環ポンプ80が常時駆動される。
【0024】
二次回転体は、タービンランナ53aを含んで構成されており、外軸42の後端部に結合されており、軸受56を介して一次回転体52(カバープレート54)に回転可能に支持されている。つまり原動機10の出力軸と一体に回転する一次回転体52に対して、外軸42と一体に回転する二次回転体53が相対回転する構造である。タービンランナ53aは一次回転体52の内部に収納されている。
【0025】
従って、原動機10の回転がトルクコンバータ50の一次回転体52に伝達されると、ポンプインペラ52aの回転に伴って一次回転体52の内部に潤滑油の流れが発生する。そして、一次回転体52の内部に発生した潤滑油の流れによってタービンランナ53aが回転し、二次回転体53を介して外軸42が回転する。このような原理により、トルクコンバータ50は、内軸41と外軸42とを流体を介して間接的に接続し原動機10の動力を外軸42に伝達する。
【0026】
・ロックアップ装置
ロックアップ装置70は、トルクコンバータ50の流体を介することなく、原動機10の回転をトランスミッション60に直接伝達する装置である。具体的には、ロックアップ装置70は油圧駆動式のクラッチを含んで構成されており、トルクコンバータ50のカバープレート54と一次回転体52との間に介在し原動機10の出力軸と一体に回転する。そして、二次回転体53と固定関係にあるディスクをクラッチで挟み込むことにより一次回転体52と二次回転体53とを摩擦力で連結する。こうして一次回転体52と二次回転体53とを連結することで、ロックアップ装置70はトルクコンバータ50の潤滑油の流れを介することなく原動機10の動力を外軸42ひいてはトランスミッション60に機械的に直接伝達する。ディスクとクラッチとの連結を解けば、トルクコンバータ50の潤滑油を介して原動機10の動力が外軸42に伝達される状態に復帰する。
【0027】
-トランスミッション-
トランスミッション60は、入力ギヤ61に入力された回転を変速して出力軸62に出力する機構を含んで構成された装置である。入力ギヤ61は、ケーシング30(中間ケーシング30b)の内部において外軸42に取り付けられた出力ギヤ46と噛み合っている。出力軸62は、ケーシング30の下部においてケーシング30の前後に突出しており、前後のプロペラシャフト13,14に連結されている。これにより外軸42の回転がトランスミッション60を介して変速されて前車輪2及び後車輪4に伝達される。
【0028】
-動作-
ホイールローダ1の原動機10を始動させると、原動機10の回転出力が継手45を介して内軸41に伝達される。内軸41を介して伝達される動力により油圧ポンプ15と一次回転体52とが回転する。一次回転体52の回転はギヤ57を介して循環ポンプ80に伝達される。また、油圧ポンプ15から吐出される圧油は、オペレータの操作に応じて作業機用の油圧アクチュエータ(不図示)に供給され、これにより作業機8が駆動される。
【0029】
一方、一次回転体52が回転することでポンプインペラ52aにより一次回転体52の環状の内部空間に潤滑油の流れが発生し、タービンランナ53aが回転して二次回転体53と共に外軸42が回転する。外軸42の回転は出力ギヤ46を介してトランスミッション60に伝達され、オペレータによる走行操作に応じてトランスミッション60が動作して前車輪2及び後車輪4が回転しホイールローダ1が走行する。前述したロックアップ装置70は、例えばホイールローダ1の走行速度が設定速度以上になるとコントローラ(不図示)の指令により作動し、一次回転体52と二次回転体53を直結して原動機10の回転出力を外軸42に対して機械的に直接伝達する。
【0030】
-ギヤシャフト-
以上に説明した動力伝達装置20には、本発明に係るギヤシャフトが採用される。具体的には、例えば入力ギヤ61や出力ギヤ46、又はギヤ57等の各ギヤに本発明を適用することができる。以下、本発明に係るギヤシャフトについて説明する。
【0031】
図5は本発明の一実施形態に係るギヤシャフトの模式的な斜視図、
図6は
図5中のVI-VI線による矢視断面図である。
図5に示したギヤシャフト90は、例えば入力ギヤ61を模式化したものであるが、ギヤシャフト90について以下に説明する溶接に関する特徴は、出力ギヤ46やギヤ57等の他のギヤにも同様に適用可能である。ギヤシャフト90は、ギヤ91とシャフト92とを備え、これらギヤ91及びシャフト92を溶接で一体に接合したものである。ギヤ91及びシャフト92の互いの中心軸は一致している。ギヤ91及びシャフト92は、少なくとも1箇所(本実施形態では2箇所)が円周溶接されて接合されている。つまり、ギヤ91及びシャフト92を接合する溶接部(溶接金属)93a,93bは、ギヤシャフト90の中心線Cを中心とするリング状に形成されている。ギヤ91及びシャフト92の溶接部93a,93bを除く部分の大部分は、
図6においてハッチングで表示された素材部分Mよりも高硬度な表面硬化層(例えば浸炭層)Hで被覆されている。素材部分Mは、材質がギヤ91及びシャフト92を形成する素材そのままの部分である。すなわち、溶接部93a及び93bは、ギヤ91及びシャフト92における表面硬化層Hが設けられずに素材部分Mがリング状に露出した部分(表面硬化層Hから露出したギヤ91及びシャフト92の素材部分Mの露出部)に設けられている。素材部分Mの材質は、鉄を主成分とする材料であり、例えばSCM415、SCM420、S25C、STKM13A等の低炭素鋼である。これら4種のいずれかの材質を採用するとして、ギヤ91及びシャフト92の素材の炭素含有量は、0.28mass%以下、好ましくは0.23mass%以下である。
【0032】
溶接部93a,93bは、ギヤ91及びシャフト92の表面硬化層Hからリング状に露出した素材部分Mで形成される突合せ部分が溶融し凝固した部分である(後述)。そのため、溶接部93a,93bの炭素含有量は素材部分Mと実質的に変わらず、例えば0.28mass%以下、或いは0.23mass%以下である。対して表面硬化層Hは、浸炭、浸窒、又は窒化等といった表面硬化処理をギヤ91及びシャフト92に施して形成された表層の部位であり、ギヤ91及びシャフト92の素材部分Mに比べて炭素含有量が高い。そのため、表面硬化層Hよりも溶接部93a,93bは炭素含有量が低い。
【0033】
図7は溶接部93a,93bの模式的な断面図である。
図7に示した断面は、円周形の溶接部93a,93bの中心線Cを通る平面で切断した溶接部93a,93bの断面を表している。本実施形態の溶接部93a,93bは、溶け込み深さDとビード幅Wとのアスペクト比y(=D/W)と、硬さ(例えばビッカース硬さ)xとの間に、y≧0.0298x-10.98の関係が成立するように構成されている。より好ましくは、溶接部93a,93bは、y≧0.0245x-7.33関係が成立するように構成される。溶け込み深さD、ビード幅W、硬さxは、溶接部93a,93bについての値であることは言うまでもない。本実施形態において、溶接部93aの溶込み深さDは12mm程度、溶接部93bの溶込み深さDは6mm程度が、一例として想定される。
【0034】
-溶接部のアスペクト比と硬さの関係-
図8は様々な条件で形成した溶接部についてアスペクト比と硬さ(ビッカース硬さ)の関係に注目して高温割れの発生の有無を調査した結果を表す図である。
図8に示す各データは、
図9で後述する溶接設備100を用い、レーザ出力、溶接速度(回転ステージ107の回転速度)、焦点位置、ビーム形状等のパラメータを調整して形成した様々なアスペクト比yの溶接部93a,93bを評価したものである。また、建設機械のトランスミッション60への適用を考慮して、ギヤシャフト90に適用する溶接部93a,93bには強度面で6mm以上の溶け込み深さDが望まれる。小型化を想定したギヤシャフト90の設計寸法上、16mmを超える溶け込み深さDは不要である。そこで、溶け込み深さDを6mm以上16mm以下の範囲に設定し、溶接部93a,93bのアスペクト比yと硬さxのデータを種々収集した。
【0035】
実験の結果、各溶接部93a,93bの硬さxについては、いずれのデータもほぼ400Hv以上550Hv以下に収まっていた。そして、
図8に示されるように、溶接部93a,93bの溶込み形状のアスペクト比yが大きく硬さxが低いほど、高温割れが抑制される傾向が見出された。同図において右下に位置するデータでは高温割れが発生しているが、左上に位置するデータは6mm-16mmと溶け込み深さDが深いにも関わらず高温割れを起こしていない。アスペクト比yが大きい場合には、凝固時の熱ひずみが抑制されるため、高温割れが抑制されるものと考えられる。硬さxが低い場合には、凝固時の変形能が大きいため、高温割れに対する耐性があると考えられる。
【0036】
上記傾向から
図8において右上がりの直線を仮想し、高温割れが発生しなかったデータ群の下部に複数点で接する関係式として、y=0.0298x-10.98の関係式が得られた。
図8のデータにおいて、この関係式で規定される線から上側に位置する条件であれば、6-16mmの深い溶け込み深さDを持ちつつ、溶接割れを起こさない溶接部93a,93bが得られ得る。同じく右上がりの直線を仮想し、高温割れが発生したデータ群の上部に複数点で接する関係式として、y≧0.0245x-7.33の関係式が得られた。
図8のデータにおいて、この関係式で規定される線から上側に位置するデータは、いずれも6-16mmの深い溶け込み深さDを持ちつつ溶接割れを起こしていない。
【0037】
-ギヤシャフトの製造方法-
図9はギヤ91とシャフト92とを溶接する溶接設備の一例を示す模式図である。同図に示した溶接設備100は、レーザ発振器101、光ファイバ102、レーザ加工ヘッド103、シールドノズル104、高周波誘導加熱コイル105、高周波誘導加熱電源106、回転ステージ107等を備えている。レーザ発振器101が発振するレーザ108は、例えば波長1070nmのファイバレーザである。シールドノズル104から供給されるシールドガス109には、アルゴンガスを用いることができる。
【0038】
図9の溶接設備100において、レーザ発振器101から発振されるレーザ108は、光ファイバ102及びレーザ加工ヘッド103を通じて、回転ステージ107上にセットされたギヤシャフト90のギヤ91及びシャフト92の突合せ部に照射される。レーザ照射中に回転ステージ107を駆動してギヤシャフト90を中心線C周りに回転させることにより、円周溶接が行われる。溶接前にギヤシャフト90に設置した高周波誘導加熱コイル105に高周波誘導加熱電源106から給電し、ギヤシャフト90を250℃程度に予熱した状態で溶接を実施することが好ましい。但し、予熱方法や予熱温度は、この例に限定されない。ギヤシャフト90のギヤ91及びシャフト92の突合せ部にレーザ108を照射することにより、突合せ部においてギヤ91とシャフト92の一部が溶融し混ざり合い、ギヤ91及びシャフト92の突合せ部に溶接部93aが形成される。溶接部93bは、回転ステージ107の回転軸を水平にして、ギヤシャフト90を横向きに倒した状態で、同様の施工を行うことで形成することができる。
【0039】
なお、
図9ではレーザ溶接装置を例示したが、溶接部93a,93bの形成には、電子ビーム溶接、レーザ・アークハイブリット溶接、プラズマ溶接等の他方式の溶接を適用することもできる。
【0040】
図10-
図13はギヤシャフト90の製造工程の説明図である。前述した通りギヤ91及びシャフト92の溶接部93a,93bを除く部分の大部分は、表面硬化層Hで被覆されている。それに対し、溶接部93a,93bは、ギヤ91及びシャフト92の素材部分Mが溶融し凝固したものである。表面硬化層Hは、前述した通りギヤ91及びシャフト92の素材部分Mに浸炭等の表面硬化処理を施して形成される。ギヤシャフト90の所要強度を確保する上で表面硬化層Hは必要であるが、表面硬化層Hに溶け込み深さDの大きな溶接部93a,93bを形成すると、溶接部93a,93bに割れが生じ易い。
【0041】
そこで、本実施形態のギヤシャフト90は、製造過程でギヤ91及びシャフト92をそれぞれ表面硬化処理する際に、局所的に表面硬化層Hのない部分を確保する。具体的には、溶接部93a,93bを形成する溶接予定部について、例えば防炭によって表面硬化処理の影響が及ばないようにする、又は機械加工により表面硬化層Hを除去することで、素材部分Mが表面に露出した状態とする。
図10-
図13においては、防炭処理と機械加工の双方を実施する例を説明する。
【0042】
図10は表面硬化処理前のギヤ91及びシャフト92の部分断面を模式的に表した図である。ギヤ91はリング状の部品であるが、同図では互いの溶接予定部付近の部分断面を並べて表示してある。表面硬化処理前の段階において、半製品としてのギヤ91及びシャフト92には、表面処理後に機械加工により削り落とす加工代94が備わっている。これら加工代94は、後の溶接工程で溶接部93a,93bを形成するギヤ91及びシャフト92の開先表面95、突合せ面96、開先底97の全面を覆う。この加工代94は、溶接工程においてギヤ91及びシャフト92の表面として露出する部位に対し、後に削り落とされる駄肉部分として突出して設けられている。加工代94の厚みは、少なくとも1mm、好ましくは2mm程度である。突合せ面96の寸法(開先表面95と開先底97の間隔)は、溶け込み深さD(6-16mm程度)に応じて適切な寸法に設定する。
【0043】
そして、
図10に示したギヤ91及びシャフト92の加工代94の表面全体に防炭材98を塗布し、ギヤ91及びシャフト92をそれぞれ表面硬化処理(例えば浸炭処理)し、表面硬化処理後に加工代94を機械加工により除去する。突合せ面96については、全面を防炭し表面硬化層Hの形成を回避することが好ましい。開先表面95、つまり表面硬化層Hで覆われずギヤ91及びシャフト92の表面に素材部分Mが露出する部位については、溶接部93a,93bのビード幅W以上の所定範囲(例えば突合せ面96の両側10mm程度)に形成する。すなわち、本実施形態においては、溶接部93a及び93bが設けられる素材部分Mの露出部である開先表面95は、溶接部93a及び93bのビード幅Wよりも幅広である。このように表面硬化層Hのない開先表面95が確保されるように、加工代94によるカバー範囲や防炭範囲を適切に設定する。防炭範囲を必要以上に広く設定しないようにして、後に溶接部93a,93bが形成される部位、及び溶接部93a,93bの形成に伴う温度変化の影響を強く受ける部位以外には、極力広く表面硬化層Hが形成されるようにする。開先底97については、開先表面95と同程度か、開先底97に到達する溶接部93a,93bの幅(裏ビード幅)よりも大きい程度に設定する。
【0044】
図11は機械加工後のギヤ91及びシャフト92の部分断面を模式的に表した図である。
図11に示した通り、浸炭処理によりギヤ91及びシャフト92の表面には表面硬化層Hが形成される。また、ギヤ91及びシャフト92の対向面(突合せ面96及び開先底97を含む)及び開先表面95には、防炭し加工代94を除去したことで素材部分Mが表面に露出している。
【0045】
図12はギヤ91及びシャフト92を嵌め合わせた状態(溶接前)を模式的に表した図である。ギヤ91はリング状であるため、
図12においてギヤ91に対して下からシャフト92を通し、ギヤ91及びシャフト92を嵌め合わせる。必要に応じて焼き嵌めを行っても良い。ギヤ91及びシャフト92を嵌め合わせ、互いの突合せ面96が密着し、ギヤ91及びシャフト92の互いの開先表面95が面一となる状態とする。これに伴ってギヤ91及びシャフト92の互いの開先底97も密着する。ギヤ91及びシャフト92を嵌め合わせると、溶接前の段階において、リング状に素材部分Mが露出する開先表面95を除き、ギヤシャフト90の表面は表面硬化層Hで被覆された状態となる。
【0046】
図13はギヤ91及びシャフト92を溶接し完成したギヤシャフト90の部分断面を模式的に表した図である。溶接設備100(
図9)を用い、先に
図9で説明したように開先表面95に沿ってレーザ108を照射して円周溶接を実施し、溶接部93a,93bを順次形成する。これにより
図1及び
図2に示したギヤシャフト90が完成する。
【0047】
なお、本実施形態では、開先表面95等に防炭処理と機械加工(加工代94の設置)の双方を行って表面硬化層Hの形成を確実に抑制する例を説明したが、機械加工を行わず、部分的な防炭処理のみを行っても、表面硬化層Hの形成を抑制することはできる。この場合も、表面硬化層Hのない開先表面95等を形成し、表面硬化層Hよりも炭素含有量の低い溶接部93a,93bを形成することができる。反対に、防炭処理を行わず、機械加工で表面硬化層Hを部分的に除去することでも、表面硬化層Hのない開先表面95等を形成し、表面硬化層Hよりも炭素含有量が低い溶接部93a,93bを形成することができる。
【0048】
上記したように、本実施形態に係るギヤシャフト90は、鉄を主成分とする素材からなるギヤ91及びシャフト92が溶接で接合されて構成されている。ギヤ91及びシャフト92の表面は、素材部分Mよりも高硬度な表面硬化層Hで被覆されている。ギヤ91及びシャフト92を接合する溶接部93a,93bは、リング状である。このギヤ91及びシャフト92の溶接部93a,93bは、ギヤ91及びシャフト92の表面硬化層Hからリング状に露出した素材部分Mの露出部(開先表面95)に設けられている。溶接部93a,93bは、表面硬化層Hよりも炭素含有量が低い。また、溶接部93a,93bについて、ビッカース硬さx[Hv]と、溶け込み深さD及びビード幅Wのアスペクト比y(D/W)との間に、y≧0.0298x-10.98の関係が成立する。
【0049】
-効果-
(1)本実施形態によれば、ギヤシャフト90の表面は大部分が表面硬化層Hで被覆されており、建設機械のトランスミッション60に用いるギヤシャフトとして所要強度を備えている。そして、ギヤ91及びシャフト92を溶接で接合する構造であるため、ギヤシャフト90を小型に構成することができ、トランスミッション60の小型化にも貢献する。ギヤ91とシャフト92の溶接部93a,93bは、6-16mmの深い溶け込み深さDが確保され、強度も十分に確保される。このとき、ギヤ91とシャフト92は円周溶接され、溶接部93a,93bはリング状に繋がるため、6-16mmもの深い溶け込み深さDを持つ溶接部93a,93bを形成する場合、溶融した金属が凝固する際の力の逃げ場が制約されて割れ易い。
【0050】
それに対し、ギヤ91とシャフト92とを接合する溶接部93a,93bを、ギヤ91とシャフト92の素材部分Mで形成し、表面硬化層Hに比べて溶接部93a,93bの炭素含有量を低下させることで、割れ、特に低温割れを抑制できる。溶接部93a,93bの炭素含有量は素材部分Mと同程度であり、0.28mass%以下、或いは0.23mass%以下である。また、溶接部93a,93bについて、硬さxと、溶け込み深さD及びビード幅Wのアスペクト比yとの間に、y≧0.0298x-10.98の関係が成立するように構成したことで、
図8の検証結果の通り、割れ、特に高温割れの発生を抑制できる。溶接部93a,93bについて、y≧0.0245x-7.33関係が成立するように構成すれば、高温割れの発生をより効果的に抑制できる。
【0051】
以上の通り、本実施形態によれば、表面硬化処理による高強度を備えつつ、ギヤ91とシャフト92が割れなく溶接されて小型化に貢献することができる建設機械用のギヤシャフト90及びこれを用いたトランスミッション60を提供することができる。
【0052】
図14は溶接部93a,93bについて表面硬化層Hを形成して溶接した場合と表面硬化層Hの形成を抑制して溶接した場合とで溶接品質について検証した結果をまとめた表である。同図に示した通り、防炭処理等をせずに開先表面95に表面硬化層Hが形成された状態でギヤ91及びシャフト92を溶接した場合には、溶接部93a,93bに高温割れ及び低温割れが双方とも発生した(番号1)。それに対し、開先表面95を防炭処理した場合、或いは開先表面95の表面硬化層Hを除去した場合、防炭の範囲を変えて幾つか実施したテストにおいて高温割れも低温割れも抑制することができた(番号2-5)。表面硬化層(浸炭層)Hのない開先表面95を形成することで、割れ感受性を高める炭素が溶接部93a,93bに濃化することを抑制し、割れの発生を抑制できたものと考えられる。
【符号の説明】
【0053】
60…トランスミッション、90…ギヤシャフト、91…ギヤ、92…シャフト、93a,93b…溶接部、95…開先表面(露出部)、D…溶け込み深さ、H…表面硬化層、M…素材部分、W…ビード幅、x…硬さ、y…アスペクト比