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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053762
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電動式作業機械の制御装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240409BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160165
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠晴
(72)【発明者】
【氏名】山川 孝行
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB05
2D003BA06
2D003BA07
2D003BB08
2D003CA03
2D003DA02
2D003DA04
2D003DB06
2D003DC02
2D015BA04
2D015HA02
2D015HA03
2D015HB07
(57)【要約】
【課題】三相誘導電動機が過度に高温になることと三相誘導電動機に過度な電流が流れることを防止し、生産性への影響を最小限に抑えることができる電動式作業機械の制御装置を得ること。
【解決手段】本発明は、三相誘導電動機(201)と可変容量型油圧ポンプ(211)を搭載した電動式作業機械(100)の制御装置(281)であって、三相誘導電動機に流れる電流の検出値を取得して、一定以上の電流が一定時間流れた場合に、目標とするポンプ吸収トルクが制限値に制限されるように、可変容量型油圧ポンプの押しのけ容積を制御することを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相誘導電動機と可変容量型油圧ポンプを搭載した電動式作業機械の制御装置であって、
前記三相誘導電動機に流れる電流、または、前記三相誘導電動機の温度の検出値を取得し、
前記三相誘導電動機に所定値以上の電流が所定時間以上流れた場合、または、前記三相誘導電動機の温度が所定温度以上の場合に、前記可変容量型油圧ポンプの目標とするポンプ吸収トルクが制限値に制限されるように、前記可変容量型油圧ポンプの押しのけ容積を制御することを特徴とする電動式作業機械の制御装置。
【請求項2】
前記可変容量型油圧ポンプのポンプ吐出圧力に基づいて目標ポンプ押しのけ容積を決定する複数の制御特性であって、トルク制限なしの制御特性と、該トルク制限なしの制御特性よりも前記目標ポンプ押しのけ容積を低い値に決定するトルク制限モードの制御特性と、を有する制御テーブルを備えており、
前記三相誘導電動機に所定値以上の電流が所定時間以上流れた場合、または、前記三相誘導電動機の温度が所定温度以上の場合に、前記制御テーブルの前記トルク制限モードの制御特性を用いて前記ポンプ吸収トルクが制限値になるような前記目標ポンプ押しのけ容積を算出し、
前記可変容量型油圧ポンプの制御により前記可変容量型油圧ポンプのポンプ押しのけ容積を前記目標ポンプ押しのけ容積に調整することを特徴とする請求項1に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項3】
前記制御テーブルでは、
前記トルク制限なしの制御特性は、前記ポンプ吐出圧力が増加するにしたがって前記ポンプ押しのけ容積が低減して、前記ポンプ吐出圧力が最大値のときに前記ポンプ押しのけ容積が最小値となり、前記ポンプ吐出圧力が最小値のときに最大値となるように設定され、
前記トルク制限モードの制御特性は、前記ポンプ吐出圧力が増加するにしたがって前記ポンプ押しのけ容積が低減して、前記トルク制限なしの制御特性における前記ポンプ吐出圧力の最大値よりも低い値で前記目標ポンプ押しのけ容積が最小値となり、前記トルク制限なしの制御特性における前記ポンプ吐出圧力の最小値よりも低い値で前記目標ポンプ押しのけ容積が最大値となるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項4】
前記トルク制限モードの制御特性は、前記ポンプ吐出圧力が前記最大値よりも小さくかつ予め設定されたしきい値以上のときは、前記目標ポンプ押しのけ容積を前記最小値とすることを特徴とする請求項3に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項5】
前記ポンプ吸収トルクを制限値に制限するときの前記三相誘導電動機に流れる電流と該電流が流れた経過時間は、前記三相誘導電動機の保護回路が作動するときに前記三相誘導電動機に流れる電流と該電流が流れた経過時間よりも、前記電流が小さくかつ前記経過時間が短いことを特徴とする請求項1に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項6】
前記ポンプ吸収トルクを制限値に制限するときの前記三相誘導電動機の温度は、前記三相誘導電動機の保護回路が作動するときの前記三相誘導電動機の温度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項7】
操作装置の操作量に基づいて前記目標ポンプ押しのけ容積を算出する第一制御テーブルと、前記制御テーブルである第二制御テーブルとを有し、
前記第一制御テーブルにより決定した前記目標ポンプ押しのけ容積の方が前記第二制御テーブルにより決定した前記目標ポンプ押しのけ容積よりも小さい場合に、前記第一制御テーブルを用いて前記目標ポンプ押しのけ容積を決定し、
前記第一制御テーブルにより決定した前記目標ポンプ押しのけ容積が前記第二制御テーブルにより決定した前記目標ポンプ押しのけ容積以上の場合に、前記第二制御テーブルを用いて前記目標ポンプ押しのけ容積を決定することを特徴とする請求項2に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項8】
前記ポンプ吸収トルクを制限していることを表示モニタに表示させる処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項9】
前記三相誘導電動機の電源電圧が予め設定されたしきい値以下の場合に前記電源電圧が異常であると判断することを特徴とする請求項1に記載の電動式作業機械の制御装置。
【請求項10】
前記電源電圧が異常であることを表示モニタに表示させる処理を行うことを特徴とする請求項9に記載の電動式作業機械の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式作業機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原動機に内燃機関であるエンジンを用いたエンジン式油圧ショベルの場合、エンジンの冷却水が高温であるときにフロント操作等で高負荷運転をすると、エンジンが破損する恐れがある。そのためエンジンの冷却水温度を計測して、高温であるときはポンプ吸収トルクを低減することでエンジンが過度に高温になることを防いでいる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平05-069332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、三相誘導電動機によって油圧ポンプを駆動する電動式油圧ショベルには、エンジン式油圧ショベルのような冷却水はない。電動式油圧ショベルの場合、三相誘導電動機を始動するとすぐに定格回転数で回転するようになっており、三相誘導電動機に流れる電流は負荷によって決まる。したがって、電動機の回転数や電流値を直接低減することはできず、これらを制御して三相誘導電動機が高温になるのを抑制することはできない。
【0005】
さらに電動式油圧ショベルでは、三相誘導電動機の温度が過度に高温になったときや、過度な電流が一定時間流れたときに、三相誘導電動機の保護機能が働き、運転を停止するように構成されている。しかしながら、電動式油圧ショベルの運転が完全に停止することは、生産性を落とすことになる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、三相誘導電動機に過度な電流が流れることと三相誘導電動機が過度に高温になることを防止し、生産性への影響を最小限に抑えることができる電動式作業機械の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の電動式作業機械の制御装置は、三相誘導電動機に流れる電流、または、三相誘導電動機の温度の検出値を取得し、三相誘導電動機に所定値以上の電流が所定時間以上流れた場合、または、三相誘導電動機の温度が所定温度以上の場合に、可変容量型油圧ポンプの目標とするポンプ吸収トルクが制限値に制限されるように可変容量型油圧ポンプの押しのけ容積を制御することを特徴とする。この制限されたポンプ吸収トルクに合わせて、可変容量型ポンプの傾転制御を行う装置の構成としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、三相誘導電動機が高温になることと三相誘導電動機に過度な電流が流れることを防止できる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電動式油圧ショベルを側面から見た図。
図2】運転室内部を示す概略図。
図3】本実施形態の油圧ショベルの油圧アクチュエータを駆動する電気油圧回路図。
図4】制御装置の機能ブロック図。
図5】制御装置による制御の内容を説明するフローチャート。
図6】トルク制御のフローチャート。
図7】トルク制御時、ポンプ押しのけ容積の決定に用いるフローチャート。
図8】レバー操作量とポンプ押しのけ容積の関係を示すデータテーブルの図。
図9】ポンプ吐出圧力とポンプ押しのけ容積の関係を示すデータテーブルの図。
図10】ポンプ押しのけ容積-指令電流の特性を示すグラフ。
図11】電流-時間特性を示すグラフ。
図12】電流×時間によるトルク制御のタイミングチャート。
図13】電流×時間によるトルク制御のON/OFFヒステリシス。
図14】モータ温度によるトルク制御のタイミングチャート。
図15】モータ温度によるトルク制御のON/OFFヒステリシス。
図16】表示モニタに示される表示の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の電動式作業機械の制御装置の一実施形態について図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本実施形態では、電動式作業機械が電動式油圧ショベルの場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、三相誘導電動機によって油圧ポンプを駆動し、その油圧ポンプで発生させた油圧により駆動される他の作業機械も含まれる。
【0011】
図1は、電動式油圧ショベルを側面から見た図、図2は、運転室内部を示す概略図、図3は、本実施形態の油圧ショベルの油圧アクチュエータを駆動する電気油圧回路図である。
【0012】
電動式油圧ショベル100は、上部旋回体110と、下部走行体120と、フロント装置130とを備える。上部旋回体110は、原動機としての三相誘導電動機201と、三相誘導電動機201によって駆動される主油圧ポンプ211とを備える(図3を参照)。主油圧ポンプ211によって送られる作動油により、上部旋回体110、下部走行体120及びフロント装置130が、それぞれ独立して動作される。上部旋回体110は、不図示の旋回油圧モータを軸として、下部走行体120に接続されている。上部旋回体110は、旋回油圧モータの駆動により旋回する。
【0013】
下部走行体120は、一対のクローラ(図1では片側のみを示す)121と、不図示の走行油圧モータとを備える。一対のクローラ121は、不図示の走行油圧モータの駆動により作動する。
【0014】
フロント装置130は、上部旋回体110に搭載されている。フロント装置130は、ブーム131と、ブーム131を駆動するためのブームシリンダ132と、アーム133と、アーム133を駆動させるためのアームシリンダ134と、バケット135と、バケット135を駆動させるためのバケットシリンダ136とを備える。各シリンダ(132、134、136)は、油圧アクチュエータ137を構成し、メインポンプ2から送られる作動油によって伸縮し、ブーム131、アーム133及びバケット135を回動させる。フロント装置130は、ブーム131、アーム133及びバケット135をそれぞれ独立して回動させることにより、掘削及び整地等の作業を行うことができる。
【0015】
上部旋回体110には、運転室140が設けられている。図2は、運転室の内部を上から見た図である。運転室140の内部には、座席141と、座席141の左右両側に操作装置である左操作レバー142と右操作レバー143が配置され、座席141の正面下部には、走行操作レバー144とブレーキ操作レバー145がそれぞれ左右に配置されている。そして、座席141の左斜め前方には、種々の情報を表示する表示モニタ146が配置されている。また、座席141の右側方のコンソールには、キースイッチ147が配置されている。左操作レバー142は、旋回及びアーム操作を行うために操作され、右操作レバー143は、バケット及びブーム操作を行うために操作される。
【0016】
電動式油圧ショベル100は、図3に示すように、三相誘導電動機201と、主油圧ポンプ211と、パイロットポンプ221と、コントロール弁231と、第一電磁弁241と、第二電磁弁251と、第三電磁弁261と、吐出流量調整装置271と、制御装置281とを備えている。
【0017】
三相誘導電動機201は、固定周波数の電源により駆動されるものである。三相誘導電動機201は、主油圧ポンプ211及びパイロットポンプ221を駆動する。三相誘導電動機201には、三相誘導電動機201の温度を検出する温度検出装置202と、三相誘導電動機201の電流を検出する電流検出装置203と、三相誘導電動機201の回転の有無を検出する回転検出装置204と、三相誘導電動機201の電源電圧Voを検出する電源電圧検出装置205が接続されている。
【0018】
主油圧ポンプ211は、傾転制御により斜板の傾転角を変えることで吐出流量を調整可能な可変容量型油圧ポンプであり、油圧アクチュエータ137を駆動する油圧をコントロール弁231に供給する。パイロットポンプ221は、コントロール弁231を操作するパイロット油圧を第一電磁弁241と第二電磁弁251に供給する。第一電磁弁241と、第二電磁弁251は、電磁比例弁であり、制御装置281の制御信号に基づいてコントロール弁231の操作室231a、231bにパイロット油圧を供給する。
【0019】
第三電磁弁261は、電磁比例減圧弁であり、制御装置281の制御信号に基づいて吐出流量調整装置271にパイロット油圧を供給する。吐出流量調整装置271は、第三電磁弁261から供給されるパイロット油圧によって主油圧ポンプ211の斜板の傾転角を制御し、主油圧ポンプ211の吐出流量であるポンプ押しのけ容積Vを調整する。
【0020】
例えば、右操作レバー143のレバー操作が行われた場合、レバー操作の操作量に応じて制御装置281が、第二電磁弁251の第二電磁弁ソレノイド251aに指令電流を流し、第二電磁弁251は、その電流に応じた開度に内部通路を開く。そして、この開度に応じたパイロット油圧が、コントロール弁231の操作室231bに加わり、コントロール弁231を切り替えるとともに、その開度に応じた流量が油圧アクチュエータ137に供給され、油圧アクチュエータ137が駆動される。
【0021】
また、レバー操作の操作量に応じて制御装置281が、第三電磁弁261の第三電磁弁ソレノイド261aに指令電流を流し、吐出流量調整装置271を駆動することで、主油圧ポンプ211を制御し、主油圧ポンプ211の吐出流量であるポンプ押しのけ容積Vが変化する。このポンプ押しのけ容積Vとポンプ吐出圧力検出装置212により得られるポンプ吐出圧力Pの関係により三相誘導電動機201への負荷が決定する。したがって、第三電磁弁261に通電される電流の大小に応じて主油圧ポンプ211の負荷が変化し、それに応じて三相誘導電動機201の負荷も変化する。
【0022】
図4は、本実施形態における油圧回路の機能ブロック図である。
制御装置281は、中央演算装置(CPU)と記憶装置(ROM、RAM)を有するマイクロコンピュータなどのハードウエアと、記憶装置にインストールされてハードウエアによって実行されるソフトウエアプログラムとの協働によって構成されている。
【0023】
制御装置281の入力側には、左操作レバー142と、右操作レバー143と、走行操作レバー144と、ブレーキ操作レバー145が接続されており、レバー操作量に応じたレバー操作信号が入力される。更に、入力側には、電源電圧検出装置205と、温度検出装置202と、回転検出装置204と、電流検出装置203と、ポンプ吐出圧力検出装置212と、ポンプ押しのけ容積検出装置213とが接続されており、これらの各装置により検出された検出信号が入力される。また、キースイッチ147も接続されており、キースイッチ信号が入力される。
【0024】
一方、制御装置281の出力側には、三相誘導電動機201と、第一電磁弁241と、第二電磁弁251と、第三電磁弁261と、表示モニタ146が接続されており、それぞれに制御信号が出力される。
【0025】
例えば操作レバー142~145が操作されると、その操作量に応じたレバー操作信号が制御装置281に入力される。制御装置281では、レバー操作信号に応じた指令信号を、第一電磁弁241と第二電磁弁251に出力し、油圧アクチュエータ137の動作を行う。また、制御装置281は、第三電磁弁261の第三電磁弁ソレノイド261aに指令電流を流し、吐出流量調整装置271を駆動することで、主油圧ポンプ211を制御し、主油圧ポンプ211のポンプ押しのけ容積Vを変化させ、目標ポンプ押しのけ容積に調整する。
【0026】
図5は、制御装置による制御の内容を説明するフローチャートである。
制御装置281における具体的な動作の一例を、図5を使用して説明する。本フローチャートは、予め設定されたプログラムサイクルで繰り返し実行される。
【0027】
まず、ステップS1では、キースイッチ147がオンであるか確認され、オンである場合に(ステップS1でYES)、ステップS2に移行する。ステップS2では、第一制御テーブルT1と第二制御テーブルT2の2つの制御テーブルの読み込みが行われる。第一制御テーブルT1と第二制御テーブルT2は、制御装置281のメモリに予め記憶されており、所定のタイミングで読み込まれる。
【0028】
第一制御テーブルT1は、ポジティブ制御特性を有するものであり、図8に示すように、レバー操作量とポンプ押しのけ容積V1との関係を示すデータテーブルである。第一制御テーブルT1は、操作レバーのレバー操作量(操作装置の操作量)に基づいてポンプ押しのけ容積V1を算出する。第二制御テーブルT2は、トルク制御特性を有するものであり、図9に示すように、ポンプ吐出圧力Pとポンプ押しのけ容積V2との関係を示すデータテーブルである。
【0029】
第二制御テーブルT2は、主油圧ポンプ211のポンプ吐出圧力に基づいてポンプ押しのけ容積V2を決定する複数の制御特性として、トルク制限なしの制御特性と、トルク制限モードの制御特性とを有する。トルク制限モードの制御特性は、トルク制限なしの制御特性よりもポンプ押しのけ容積V2を低い値に決定するように設定されている。
【0030】
トルク制限なしの制御特性は、ポンプ吐出圧力Pが増加するにしたがってポンプ押しのけ容積V2が低減して、ポンプ吐出圧力Pが最大値Pmaxのときにポンプ押しのけ容積V2が最小値Vminとなり、ポンプ吐出圧力Pが最小値Pminのときに最大値Vmaxとなるように設定されている。
【0031】
そして、トルク制限モードの制御特性は、ポンプ吐出圧力Pが増加するにしたがってポンプ押しのけ容積V2が低減する点ではトルク制限なしの制御特性と同じであるが、トルク制限なしの制御特性におけるポンプ吐出圧力Pの最大値Pmaxよりも低い値で目標ポンプ押しのけ容積V2が最小値Vminとなり、トルク制限なしの制御特性におけるポンプ吐出圧力Pの最小値Pmin_2よりも低い値Pmin_1で目標ポンプ押しのけ容積V2が最大値Vmaxとなるように設定されている。そして、トルク制限モードの制御特性は、ポンプ吐出圧力Pが最大値Pmaxよりも小さくかつ予め設定されたしきい値PLimit以上のときは、ポンプ押しのけ容積V2を最小値Vminとする。
【0032】
ステップS3では、ポンプ押しのけ容積V1とポンプ押しのけ容積V2を算出する。ポンプ押しのけ容積V1は、レバー操作量から算出される目標ポンプ押しのけ容積であり、第一制御テーブルT1を用いて算出される。ポンプ押しのけ容積V2は、主油圧ポンプ211のポンプ吐出圧力Pに基づいて決定される目標ポンプ押しのけ容積であり、例えば第二制御テーブルT2における算出時又はその前のタイミングで適用されていた制御特性に対応する押しのけ容積を用いて算出される。
【0033】
ステップS4では、ポンプ押しのけ容積V1とポンプ押しのけ容積V2との比較が行われ、ポンプ押しのけ容積V1がポンプ押しのけ容積V2よりも小さい場合には(ステップS4でYES)、ステップS5に移行して第一制御テーブルT1を適用する処理が行われる。また、ポンプ押しのけ容積V1がポンプ押しのけ容積V2以上の場合には(ステップS4でNO)、ステップS6に移行して制限モードの有無を切り替える制限モード切替処理が行われる。ステップS6では、第二制御テーブルを用いて制限モードに応じたポンプ押しのけ容積V2を決定する処理が行われる。
【0034】
そして、次にステップS7に移行し、ステップS5で得られたポンプ押しのけ容積V1、もしくはステップS6で得られたポンプ押しのけ容積V2を、目標ポンプ押しのけ容積として、図10に示すテーブルに基づき第三電磁弁指令電流を制御する。
【0035】
図6は、ステップS6の制限モード切替処理の内容を説明するフローチャートである。
【0036】
まず、ステップS8では、三相誘導電動機201に設置された温度検出装置202により、三相誘導電動機201の温度Tを検出する。そして、ステップS9に移行し、電源電圧検出装置205により電源電圧Voを検出し、ステップS10で電源電圧Voがしきい値よりも大きいか否かを判定する。そして、電源電圧Voがしきい値よりも大きい場合には(ステップS10でYES)、ステップS11に移行する。
【0037】
ステップS11では、電流検出装置203により三相誘導電動機201の電流Iを検出する。そして、ステップS12では、回転検出装置204により、三相誘導電動機201が回転中か否かを検出し、回転中であれば(ステップS12でYES)、ステップS13に移行する。
【0038】
ステップS13では、三相誘導電動機201に一定以上の電流が一定時間流れたか否か、つまり、所定値以上の電流が所定時間以上流れたか否かが判断される。具体的には、ステップS11で検出した三相誘導電動機201の電流Iと、その電流Iが流れた経過時間tとから算出した判断値Aが予め設定されたしきい値Aon以上か否かの判断が行われる。
【0039】
ここで、判断値Aが、しきい値Aon以上の場合(ステップS13でYES)、すなわち図11に示す斜線部分にある場合には、三相誘導電動機201に所定値以上の電流が所定時間以上流れたと判断して、ステップS14に移行する。一方、判断値Aがしきい値Aon未満である場合には(ステップS13でNO)、ステップS16に移行する。
【0040】
ステップS16では、三相誘導電動機201の温度Tが所定温度以上か否かが判断される。具体的には、ステップS8にて検出した三相誘導電動機201の温度Tが、図15に示す予め設定されたしきい値Tonよりも大きい場合には(ステップS16でYES)、三相誘導電動機201の温度が所定温度以上であると判断して、ステップS14に移行する。つまり、ステップS13、またはステップS16において、三相誘導電動機201に所定値以上の電流が所定時間以上流れたと判断された場合、または、三相誘導電動機201の温度が所定温度以上であると判断された場合には、主油圧ポンプ211のポンプ吸収トルクを制限値に制限するトルク制限を行うべく、ステップS14に移行する。
【0041】
ステップS14では、トルク制限モードの制御特性を適用する処理が行われる。ここでは、図9の第二制御テーブルT2におけるトルク制限モード(トルク制限あり)の制御特性を用いて算出されたポンプ押しのけ容積V2が目標ポンプ押しのけ容積として決定される。そして、ステップS15では、図16の表示モニタ146のトルク制限表示部146bに、主油圧ポンプ211の制御モードがトルク制限モードであり、ポンプ吸収トルクを制限していることを表示させる処理が行われる。図16は、表示モニタ146の一例を示す図である。
【0042】
なお、ステップS10において、電源電圧Voがしきい値以下であると判断された場合には(ステップS10でNO)、電源電圧Voが異常であると判断し、ステップS17に移行して、表示モニタ146の電源電圧異常表示部146aに電源電圧が異常であることを表示させる処理を行う。また、ステップS12において三相誘導電動機201が回転中ではないと判断された場合(ステップS12でNO)、及び、ステップS16において、三相誘導電動機201の温度Tが、しきい値Ton以下の場合(ステップS16でNO)、ステップS18に移行する。
【0043】
ステップS18では、トルク制限なしの制御特性を適用する処理が行われる。ここでは、図9の第二制御テーブルT2におけるトルク制限なしの特性を用いて算出されたポンプ押しのけ容積V2が目標容積として設定される。
【0044】
図7は、制限モード切替処理において、ポンプ押しのけ容積の決定に用いるフローチャートである。
まず、ステップS19にて、ポンプ吐出圧力検出装置212により、ポンプ吐出圧力Pを検出する。そして、ステップS20に移行し、ポンプ吐出圧力Pが図9に示すしきい値PLimit以上か否かを判断する。
【0045】
そして、ポンプ吐出圧力Pがしきい値PLimit以上の場合は(S20でYES)、ステップS21に移行し、ポンプ押しのけ容積V2を最小値Vminに制限する。一方、ポンプ吐出圧力Pがしきい値PLimit未満の場合は、ステップS22に移行し、ポンプ押しのけ容積V2をトルク制限モードの特性曲線上の値に制限する。また、特に図示していないが、ステップS18においてトルク制限無しの特性を適用する場合には、ポンプ吐出圧力Pに応じて図9に示すトルク制限なしの特性曲線上の値にポンプ押しのけ容積V2を設定する。
【0046】
図8は、本実施形態における第一制御テーブルT1を示す図であり、レバー操作量とポンプ押しのけ容積の関係を示すデータテーブルを示す。第一制御テーブルT1は、レバー操作量が変化することによって、目標とするポンプ押しのけ容積V1が比例して変化する特性を有している。レバー無操作時(0%)は、ポンプ押しのけ容積V1が最小値Vminとなり、油圧アクチュエータ137は作動しない。レバー操作最大時(100%)は、ポンプ押しのけ容積V1も最大値Vmaxとなり、油圧アクチュエータ137は最速で作動する。
【0047】
図9は、本実施形態における第二制御テーブルT2を示す図であり、ポンプ吐出圧力とポンプ押しのけ容積の関係を示すデータテーブルである。図9において、実線はトルク制限なしの特性曲線を示し、破線はトルク制限モードの特性曲線を示す。トルク制限モードの特性曲線は、トルク制限なしの特性曲線よりも、ポンプ吐出圧力Pに対してポンプ押しのけ容積V2が小さい値となるように設定されている。
【0048】
第二制御テーブルT2は、ポンプ吐出圧力Pが変化することによって、目標とするポンプ押しのけ容積V2が従属して変化し、主油圧ポンプ211に入力する負荷が一定値を超えない制御を行うことを示している。主油圧ポンプ211に入力する負荷は、下記の式(1)で表される。ここで、Kは定数とする。
負荷=K×(ポンプ吐出圧力P×ポンプ押しのけ容積V) ・・・式(1)
【0049】
例えば、主油圧ポンプ211のポンプ吐出圧力Pが上昇している場合は、主油圧ポンプ211のポンプ押しのけ容積Vを低下させることにより負荷を一定に保つ。このように、ポンプ吐出圧力Pが増大した時に、ポンプ押しのけ容積Vを小さくすることで、油圧アクチュエータ137の動作速度を抑え、三相誘導電動機201に加わる負荷を低下させることが可能となる。
【0050】
ここで、トルク制限なしの特性曲線とトルク制限モードの特性曲線のいずれでも主油圧ポンプ211の物理的な押しのけ容積V2の最小値Vminは等しい。図9に示すトルク制限モードの特性曲線によれば、グラフの右側に向かって移行するにしたがって、ポンプ押しのけ容積V2が小さくなっていき、ポンプ押しのけ容積V2が最小値Vminに達した後は、一定値となる。また、押しのけ容積V2の最大値Vmaxも、トルク制限なしの特性曲線とトルク制限モードの特性曲線とで等しい。図9に示すトルク制限モードの特性曲線によれば、グラフの左側に向かって移行するにしたがってポンプ吐出圧力Pが小さくなっていき、ポンプ押しのけ容積V2がVmaxに達した時は、最小値Pmin_1となり、トルク制限なしの特性曲線による最小値Pmin_2よりも吐出圧力が低くなる。
【0051】
図10は、本実施形態におけるポンプ押しのけ容積V1(V2)-指令電流の特性を示すグラフである。
ポンプ押しのけ容積Vは、制御装置281が第三電磁弁261の第三電磁弁ソレノイド261aに第三電磁弁指令電流を供給し、吐出流量調整装置271を駆動することによって、図8又は図9に示すいずれかの制御テーブルを用いて得られた目標とするポンプ押しのけ容積V1(V2)に調整される。例えば、制御装置281は、図8又は図9に示すいずれかの制御テーブルを用いて得られたポンプ押しのけ容積V1(V2)に基づいて第三電磁弁指令電流を算出し、第三電磁弁261の第三電磁弁ソレノイド261aに供給する。第三電磁弁261は、第三電磁弁指令電流に応じたパイロット油圧を吐出流量調整装置271に供給する。吐出流量調整装置271は、第三電磁弁261から供給されるパイロット油圧によって主油圧ポンプ211の斜板の傾転角を制御し、主油圧ポンプ211のポンプ押しのけ容積Vを、目標とするポンプ押しのけ容積V1(V2)に調整する。
【0052】
図11は、本実施形態における三相誘導電動機電流I-時間tの特性を示すグラフである。図11のグラフ内における実線は、トルク制限を行うタイミングを示し、グラフ内における破線は、三相誘導電動機201の保護機能が働くタイミングを示している。
【0053】
図11に示すように、ポンプ吸収トルクを制限値に制限するときの三相誘導電動機201に流れる電流Iと電流Iが流れた経過時間tは、三相誘導電動機201の保護回路が作動するときに三相誘導電動機201に流れる電流Iと電流Iが流れた経過時間tよりも、電流が小さくかつ経過時間が短くなるように設定されている。
【0054】
三相誘導電動機201に流れる電流Iとその電流Iが流れた経過時間tとから求めた判断値Aがある一定の値を超えたとき、すなわち判断値Aが図11の実線よりもグラフ右側の車線領域内にあるときは、トルク制限モードの特性によってトルク制御が行われる。そして、判断値Aが、破線よりもグラフ右側の領域内にあるときは、三相誘導電動機201の保護機能である保護回路リレーが作動し、三相誘導電動機201の動作が停止する。
【0055】
図12は、トルク制御のタイミングチャート、図13は、判断値Aとトルク制限モードとの関係を示す図である。図12及び図13では、判断値Aによって制御テーブルが切り替わるタイミング、及び制限モード切り替えのヒステリシスを示している。
【0056】
図12に示すタイミングチャートでは、判断値Aがしきい値Aon未満の状態で、キースイッチ147のオンになった時点t1から、一定時間が経過して判断値Aがしきい値Aon以上になるまでの流れを示している。
【0057】
まず、ポンプ吐出圧力Pは、三相誘導電動機201の回転信号がオンになった時点t2で最小値であり、そこから徐々に増加する。この時点t2では、図8の第一制御テーブルにおいてはレバー操作量がなし(レバー操作量が0%)であるため、目標とするポンプ押しのけ容積V1は最小値Vminとなる。一方、図9の第二制御テーブルにおいてはポンプ吐出圧力Pが最小値Pmin付近であり、目標とするポンプ押しのけ容積V2は最大値Vmaxとなる。したがって、V1<V2であり(S4でYES)、第一制御テーブルが適用され(S5)、図8の第一制御テーブルの制御特性によって電動式油圧ショベル100の車体が稼働する。
【0058】
次に、時点t3でレバー操作が開始されて、時点t4でレバー操作量が最大(レバー操作量が100%)になると、ポンプ押しのけ容積V1は、図8に示す第一制御テーブルの制御特性により最大値Vmaxとなる。その後、ポンプ吐出圧力Pが上昇すると、ポンプ押しのけ容積V2は、図9に示す第二制御テーブルにおけるトルク制限無しの制御特性により、ポンプ押しのけ容積V1より小さくなる。したがって、V1>V2であり(S4でNO)、第二制御テーブルが適用され(S6)、図9の第二制御テーブルのトルク制限なしの制御特性によって電動式油圧ショベル100の車体が稼働する。
【0059】
更に時間が経過して時点t6において判断値Aが、図13に示すしきい値Aon以上になると、トルク制限モードに移行する。このとき、目標となるポンプ押しのけ容積V2は、図9のトルク制限モードの制御特性によって設定され、トルク制限無しの場合よりも小さな値が選択される。したがって、図9の第二制御テーブルのトルク制限モードの制御特性によって電動式油圧ショベル100の車体が稼働する。
【0060】
図14は、トルク制御のタイミングチャート、図15は、三相誘導電動機201の温度とトルク制限モードとの関係を示す図である。図14及び図15では、三相誘導電動機201の温度Tによって制御テーブルが切り替わるタイミング、及び制限モード切り替えのヒステリシスを示している。
【0061】
図14に示すタイミングチャートは、三相誘導電動機201の温度Tが、予め設定された温度であるしきい値Ton未満の状態で、キースイッチ147のオンになった時点t11から、一定時間が経過して温度Tがしきい値Ton以上になるまでの流れを示している。ポンプ吸収トルクを制限値に制限するときの三相誘導電動機の温度であるしきい値Tonは、三相誘導電動機201の保護回路が作動するときの三相誘導電動機201の温度Tよりも低い温度に設定されている。
【0062】
まず、ポンプ吐出圧力Pは、三相誘導電動機回転入力信号がオンになった時点t12で最小値であり、そこから徐々に増加する。この時点t12では、図8の第一制御テーブルにおいてはレバー操作量がなし(レバー操作量が0%)であるため、目標とするポンプ押しのけ容積V1は最小値Vminとなる。一方、図9の第二制御テーブルにおいてはポンプ吐出圧力Pが最小値Pmin付近であり、目標とするポンプ押しのけ容積V2は最大値Vmaxとなる。したがって、図8の第一制御テーブルの制御特性によって電動式油圧ショベル100の車体が稼働する。
【0063】
次に、レバー操作量が最大になると、ポンプ押しのけ容積V1は図8の制御特性により最大値となる。その後、ポンプ吐出圧力Pが上昇すると、ポンプ押しのけ容積V2は図9の「トルク制限無し」の制御特性により、ポンプ押しのけ容積V1より小さくなるため、図9による制御特性で車体が稼働する。
【0064】
更に時間が経過して時点t16において三相誘導電動機201の温度Tが図15に示すTon以上になると、トルク制限モードに移行する。このときポンプ押しのけ容積V2は図9のトルク制限モードの制御特性によって設定され、トルク制限無しの場合よりも小さな値が選択される。したがって、図9のトルク制限モードの制御特性によって電動式油圧ショベル100の車体が稼働する。
【0065】
図16は、表示モニタに示される表示の一例を示す図である。
表示モニタ146は、電動式油圧ショベル100の運転者が視認できるように、運転室の座席前方に配置されている。表示モニタ146には、電源電圧に異常があることを表示する電源電圧異常表示部146aと、トルク制限を行っていることを表示するトルク制限表示部146bが設けられている。
【0066】
本実施形態の構成によれば、三相誘導電動機201と可変容量型の主油圧ポンプ211とを搭載した電動式油圧ショベル100を制御する制御装置281は、三相誘導電動機201に流れる電流Iの検出値を取得して、一定以上の電流Iが一定時間流れた場合、目標とするポンプ吸収トルクTpが制限値Tsに制限されるように主油圧ポンプ211の押しのけ容積を制御することにより、三相誘導電動機201が過度に高温になることを防ぐことができる。
【0067】
さらに、三相誘導電動機201の保護機能が働いて三相誘導電動機201が停止する前に、ポンプ吸収トルクTpを低減することで、三相誘導電動機201に過度な電流が流れることを防止し、電動式油圧ショベル100が稼働できない状態を回避することができる。
【0068】
また、本実施形態の構成によれば、運転室140に表示モニタ146を設け、電源電圧Voに異常があることを示すメッセージと、ポンプ吸収トルクTpを制限しているメッセージを表示可能としている。したがって、電動式油圧ショベル100の運転者が電源電圧に異常があることやトルク制限中であることを容易に認識できる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
100・・・電動式油圧ショベル(電動式作業機械)、137・・・油圧アクチュエータ、142・・・左操作レバー、143・・・右操作レバー、144・・・走行操作レバー、145・・・ブレーキ操作レバー、146・・・表示モニタ、146a・・・電源電圧異常表示部、146b・・・トルク制限表示部、147・・・キースイッチ、201・・・三相誘導電動機、202・・・温度検出装置、203・・・電流検出装置、204・・・回転検出装置、205・・・電源電圧検出装置、211・・・主油圧ポンプ(可変容量型油圧ポンプ)、212・・・ポンプ吐出圧力検出装置、213・・・ポンプ押しのけ容積検出装置、221・・・パイロットポンプ、231・・・コントロール弁、241・・・第一電磁弁、251・・・第二電磁弁、261・・・第三電磁弁、271・・・吐出流量調整装置、281・・・制御装置
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図16