IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社竹中工務店の特許一覧 ▶ 新日鉄住金エンジニアリング株式会社の特許一覧

特開2024-53827耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法
<>
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図1
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図2
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図3
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図4
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図5
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図6
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図7
  • 特開-耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024053827
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
E04B1/94 F
E04B1/94 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160274
(22)【出願日】2022-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祐一
(72)【発明者】
【氏名】林 賢一
(72)【発明者】
【氏名】青木 慧
(72)【発明者】
【氏名】蛇石 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】花井 厚周
(72)【発明者】
【氏名】武藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】飯田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮太
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DE01
2E001EA05
2E001FA01
2E001FA34
2E001GA12
2E001GA24
2E001GA29
2E001HA03
2E001HA32
2E001HB01
2E001HC01
2E001KA05
2E001MA08
(57)【要約】
【課題】美感を向上させた耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法を提供する。
【解決手段】短手方向が所定方向に沿う鋼製梁10と、長手方向が所定方向に沿うスリーブ20であって、鋼製梁10に形成された穴に配置されるスリーブ20と、所定方向に沿って見て、鋼製梁10及びスリーブ20と重なる耐火被覆層30と、を備える耐火被覆構造物100であって、耐火被覆層30は、鋼製梁10及びスリーブ20の外側に配置されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
短手方向が所定方向に沿う鋼製梁と、
長手方向が前記所定方向に沿うスリーブであって、前記鋼製梁に形成された穴に配置されるスリーブと、
前記所定方向に沿って見て、前記鋼製梁及び前記スリーブと重なる耐火被覆層と、
を備える耐火被覆構造物であって、
前記耐火被覆層は、前記鋼製梁及び前記スリーブの外側に配置される、
ことを特徴とする耐火被覆構造物。
【請求項2】
前記スリーブの内側に配置される挿入管、
を更に備え、
前記挿入管は、前記鋼製梁の長手方向及び前記鋼製梁の短手方向それぞれと直交する方向に沿って見て、前記スリーブ及び前記耐火被覆層と重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆構造物。
【請求項3】
前記挿入管の軸方向のうち、一方の側を前方とし、他方の側を後方とし、
前記スリーブ及び前記挿入管は、前記耐火被覆層より前記後方に突出していない、
ことを特徴とする請求項2に記載の耐火被覆構造物。
【請求項4】
前記耐火被覆層は、燃え代層及び燃え止まり層を含み、
前記挿入管は、前記挿入管の径方向外側に延びるフランジ部を備え、
前記フランジ部は、前記燃え代層及び前記燃え止まり層に挟まれる、
ことを特徴とする請求項3に記載の耐火被覆構造物。
【請求項5】
前記フランジ部は、発泡材が塗布される、
ことを特徴とする請求項4に記載の耐火被覆構造物。
【請求項6】
前記燃え止まり層は、石膏ボードであり、
前記石膏ボードと前記挿入管との間には、隙間が設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の耐火被覆構造物。
【請求項7】
前記隙間は、不燃材が充填される、
ことを特徴とする請求項6に記載の耐火被覆構造物。
【請求項8】
前記フランジ部の外径は、前記スリーブの外径より大きい、
ことを特徴とする請求項7に記載の耐火被覆構造物。
【請求項9】
前記スリーブの長さであって前記所定方向に沿った長さは、
前記鋼製梁の長さであって前記所定方向に沿った長さ以上であり、且つ、
前記鋼製梁の長さであって前記所定方向に沿った長さと前記燃え止まり層の長さであって前記所定方向に沿った長さとの合計以下である、
ことを特徴とする請求項8に記載の耐火被覆構造物。
【請求項10】
短手方向が所定方向に沿う鋼製梁と、スリーブと、耐火被覆層と、を備える耐火被覆構造物の製造方法であって、
前記スリーブの長手方向が前記所定方向に沿うよう、前記鋼製梁に形成された穴に前記スリーブを挿通する挿通ステップと、
前記鋼製梁と、前記挿通ステップで前記鋼製梁に挿通された前記スリーブと、が前記耐火被覆層で挟まれるよう、前記耐火被覆層を設置する第1設置ステップと、
を備えることを特徴とする耐火被覆構造物の製造方法。
【請求項11】
挿入管を前記スリーブに挿入する挿入ステップ、
を更に含み、
前記第1設置ステップで設置される前記耐火被覆層は、燃え代層と燃え止まり層とを含み、
前記挿入管は、前記燃え代層及び前記燃え止まり層に挟まれるフランジ部を含み、
前記第1設置ステップは、
前記鋼製梁と、前記挿通ステップで挿通された前記スリーブと、が前記燃え止まり層で挟まれるよう、前記燃え止まり層を設置する第2設置ステップと、
前記燃え止まり層が前記燃え代層で挟まれるよう、前記燃え代層を設置する第3設置ステップと、
を含み、
前記挿入ステップは、前記第2設置ステップの後、且つ、前記第3設置ステップの前に実行される、
ことを特徴とする請求項10に記載の耐火被覆構造物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物において、梁を施工することがある。
特許文献1では、鉄骨部材への装着作業を容易とし、耐火被覆層の剥離を確実に防止することが可能な耐火被覆鉄骨部材のダクト挿通用スリーブが開示されている。
特許文献2では、鋼製梁貫通孔に装着するための有効適切な耐火被覆部材が開示されている。
特許文献3では、鋼製梁貫通孔へダクト及び耐火被覆部材を固定した構造が開示されている。
特許文献4では、鋼製梁に形成するダクト貫通孔の内径を小さくすることができる鋼製梁のダクト貫通部の耐火被覆構造が開示されている。
特許文献5では、鋼製梁のウェブに形成された貫通孔部に対する鋼製梁の耐火被覆工法であって、一面に金網または金属板を備えた、シート状またはブランケット状の耐火材を平板状態で建築現場に搬入し、前記耐火材を円筒状にして貫通スリーブ材を形成し、前記貫通スリーブ材を貫通孔部に貫通した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-242214号公報
【特許文献2】特開2009-150210号公報
【特許文献3】特開2010-37760号公報
【特許文献4】特開2013-28982号公報
【特許文献5】国際公開第2015/060389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の耐火被覆構造物においては、美感の向上に課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、美感を向上させた耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係る耐火被覆構造物は、短手方向が所定方向に沿う鋼製梁と、長手方向が前記所定方向に沿うスリーブであって、前記鋼製梁に形成された穴に配置されるスリーブと、前記所定方向に沿って見て、前記鋼製梁及び前記スリーブと重なる耐火被覆層と、を備える耐火被覆構造物であって、前記耐火被覆層は、前記鋼製梁及び前記スリーブの外側に配置されることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、耐火被覆層は、鋼製梁及びスリーブの外側に配置される。これにより、耐火被覆層によってスリーブを覆い、耐火被覆構造物の外側からスリーブが見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物の美感を向上させることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係る耐火被覆構造物は、態様1に係る耐火被覆構造物において、前記スリーブの内側に配置される挿入管、を更に備え、前記挿入管は、前記鋼製梁の長手方向及び前記鋼製梁の短手方向それぞれと直交する方向に沿って見て、前記スリーブ及び前記耐火被覆層と重なることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、挿入管は、鋼製梁の長手方向及び鋼製梁の短手方向それぞれと直交する方向に沿って見て、スリーブ及び耐火被覆層と重なる。これにより、挿入管によって、スリーブと耐火被覆層との間の隙間を覆うことができる。したがって、例えば、火災によって耐火被覆層が収縮し、スリーブと耐火被覆層との間の隙間が大きくなった場合に、熱気が鋼製梁に到達することを遅らせることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係る耐火被覆構造物は、態様2に係る耐火被覆構造物において、前記挿入管の軸方向のうち、一方の側を前方とし、他方の側を後方とし、前記スリーブ及び前記挿入管は、前記耐火被覆層より前記後方に突出していないことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、スリーブ及び挿入管は、耐火被覆層より後方に突出していない。これにより、耐火被覆層によってスリーブ及び挿入管を覆い、耐火被覆構造物の外側からスリーブ及び挿入管が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物の美感を向上させることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係る耐火被覆構造物は、態様2又は態様3に係る耐火被覆構造物において、前記耐火被覆層は、燃え代層及び燃え止まり層を含み、前記挿入管は、前記挿入管の径方向外側に延びるフランジ部を備え、前記フランジ部は、前記燃え代層及び前記燃え止まり層に挟まれることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、挿入管は、挿入管の径方向外側に延びるフランジ部を備える。これにより、例えば、火災によって燃え止まり層が収縮し、挿入管の径方向において燃え止まり層と挿入管との間の隙間が大きくなった場合に、燃え止まり層と挿入管との間の隙間をフランジ部によって覆うことができる。したがって、熱気が燃え止まり層と挿入管との間に侵入することを抑えることができる。よって、鋼製梁に熱気が到達することを遅らせることができる。また、フランジ部は、燃え代層及び燃え止まり層に挟まれる。これにより、燃え代層によってフランジ部を覆い、耐火被覆構造物の外側からフランジ部が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物の美感を向上させることができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係る耐火被覆構造物は、態様4に係る耐火被覆構造物において、前記フランジ部は、発泡材が塗布されることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、フランジ部は、発泡材が塗布される。発泡材は、火災の熱によって膨張する。これにより、火災によって燃え止まり層が収縮し、燃え止まり層と挿入管との間の隙間が大きくなった場合に、燃え止まり層と挿入管との間の隙間を、膨張した発泡材によって埋めることができる。よって、熱気が燃え止まり層と挿入管との間に侵入することをより抑えることができる。よって、鋼製梁に熱気が到達することをより遅らせることができる。
【0016】
<6>本発明の態様6に係る耐火被覆構造物は、態様4又は態様5に係る耐火被覆構造物において、前記燃え止まり層は、石膏ボードであり、前記石膏ボードと前記挿入管との間には、隙間が設けられることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、燃え止まり層は、石膏ボードであり、石膏ボードと挿入管との間には、隙間が設けられる。これにより、燃え止まり層と挿入管とを組み合わせる際の施工性を向上することができる。また、通常の使用時に気温変化等によって挿入管が膨張した際、燃え止まり層に干渉することを抑えることができる。
【0018】
<7>本発明の態様7に係る耐火被覆構造物は、態様6に係る耐火被覆構造物において、前記隙間は、不燃材が充填されることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、石膏ボード(燃え止まり層)と挿入管との間の隙間には、不燃材が充填される。これにより、石膏ボード(燃え止まり層)と挿入管との間から熱気が侵入することを抑えることができる。よって、鋼製梁に熱気が到達することを遅らせることができる。
【0020】
<8>本発明の態様8に係る耐火被覆構造物は、態様4から態様7のいずれか1つに係る耐火被覆構造物において、前記フランジ部の外径は、前記スリーブの外径より大きいことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、フランジ部の外径は、スリーブの外径より大きい。これにより、フランジ部の外径を十分な大きさとすることができる。よって、例えば、火災によって燃え止まり層が収縮し、挿入管の径方向において燃え止まり層と挿入管との間の隙間が大きくなった場合に、燃え止まり層と挿入管との間の隙間をフランジ部によってより確実に覆うことができる。したがって、熱気が燃え止まり層と挿入管との間に侵入することをより確実に抑えることができる。よって、鋼製梁に熱気が到達することを更に遅らせることができる。
【0022】
<9>本発明の態様9に係る耐火被覆構造物は、態様4から態様8のいずれか1つに係る耐火被覆構造物において、前記スリーブの長さであって前記所定方向に沿った長さは、前記鋼製梁の長さであって前記所定方向に沿った長さ以上であり、且つ、前記鋼製梁の長さであって前記所定方向に沿った長さと前記燃え止まり層の長さであって前記所定方向に沿った長さとの合計以下であることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、スリーブの長さであって所定方向に沿った長さは、鋼製梁の長さであって所定方向に沿った長さ以上であり、且つ、鋼製梁の長さであって所定方向に沿った長さと燃え止まり層の長さであって所定方向に沿った長さとの合計以下である。これにより、耐火被覆層によってスリーブ及び鋼製梁を覆うことを容易にすることができる。よって、耐火被覆構造物の美感を向上させることを容易にすることができる。
【0024】
<10>本発明の態様10に係る耐火被覆構造物の製造方法は、短手方向が所定方向に沿う鋼製梁と、スリーブと、耐火被覆層と、を備える耐火被覆構造物の製造方法であって、前記スリーブの長手方向が前記所定方向に沿うよう、前記鋼製梁に形成された穴に前記スリーブを挿通する挿通ステップと、前記鋼製梁と、前記挿通ステップで前記鋼製梁に挿通された前記スリーブと、が前記耐火被覆層で挟まれるよう、前記耐火被覆層を設置する第1設置ステップと、を備えることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、鋼製梁と、鋼製梁に挿通されたスリーブと、が耐火被覆層で挟まれるよう、耐火被覆層を設置する。これにより、耐火被覆層によってスリーブを覆い、耐火被覆構造物の外側からスリーブが見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物の美感を向上させることができる。
【0026】
<11>本発明の態様11に係る耐火被覆構造物は、態様10に係る耐火被覆構造物の製造方法において、挿入管を前記スリーブに挿入する挿入ステップ、を更に含み、前記第1設置ステップで設置される前記耐火被覆層は、燃え代層と燃え止まり層とを含み、前記挿入管は、前記燃え代層及び前記燃え止まり層に挟まれるフランジ部を含み、前記第1設置ステップは、前記鋼製梁と、前記挿通ステップで挿通された前記スリーブと、が前記燃え止まり層で挟まれるよう、前記燃え止まり層を設置する第2設置ステップと、前記燃え止まり層が前記燃え代層で挟まれるよう、前記燃え代層を設置する第3設置ステップと、を含み、前記挿入ステップは、前記第2設置ステップの後、且つ、前記第3設置ステップの前に実行されることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、挿入ステップは、第2設置ステップの後、且つ、第3設置ステップの前に実行される。つまり、第2設置ステップにおいて鋼製梁及びスリーブを燃え止まり層によって挟んだ後、挿入ステップにおいて挿入管をスリーブに挿入し、第3設置ステップにおいて燃え止まり層を燃え代層で挟む。これにより、挿入管のフランジ部を、確実に燃え代層と燃え止まり層との間に挟まれるようにすることができる。よって、燃え代層によってフランジ部を覆い、耐火被覆構造物の外側からフランジ部が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物の美感を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、美感を向上させた耐火被覆構造物及び耐火被覆構造物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る耐火被覆構造の斜視図である。
図2図1に示す耐火被覆構造の分解図である。
図3】耐火被覆構造の第1例の断面図である。
図4図3に示す耐火被覆構造の分解図である。
図5】耐火被覆構造の第2例の断面図である。
図6図5に示す耐火被覆構造の分解図である。
図7】耐火被覆構造の第3例の断面図である。
図8図7に示す耐火被覆構造の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る耐火被覆構造物100を説明する。図1に示すように、耐火被覆構造物100は、例えば、建造物の床スラブSに配置される。耐火被覆構造物100は、建造物の要件に合わせて、建造物における所定方向に交差する方向に延びている。所定方向は、図1に示す配管Pの軸方向である。
【0031】
本実施形態に係る耐火被覆構造物100は、建造物の通常使用時に使用者が目視可能な位置に設けられる。例えば、耐火被覆構造物100は、床スラブSの下面に配置される。
【0032】
耐火被覆構造物100は、図1又は図2に示すように、鋼製梁10と、スリーブ20と、耐火被覆層30と、挿入管40と、を備える。
鋼製梁10は、耐火被覆構造物100の強度を担う部材である。本実施形態において、鋼製梁10は、図2に示すように、1つのウェブ11と、2つのフランジ12と、を備えるH型鋼である。
【0033】
本実施形態において、耐火被覆構造物100における各方向について説明する際、鋼製梁10の短手方向、すなわち、フランジ12の幅方向を、第1方向D1と呼称する。鋼製梁10の長手方向を、第2方向D2と呼称する。第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれと直交する方向、すなわち、ウェブ11の高さ方向を、第3方向D3と呼称する。
【0034】
鋼製梁10のフランジ12の一方は、床スラブSに取り付けられる。鋼製梁10は、第1方向D1(短手方向)が所定方向に沿う。図2に示すように、鋼製梁10のウェブ11には、第1方向D1に貫通するウェブ貫通孔11h(穴)が形成されている。ウェブ貫通孔11hには、スリーブ20が挿通される。
【0035】
スリーブ20は、図3に示すように、鋼製梁10のウェブ11に形成されたウェブ貫通孔11hに挿通される円筒状の部材である。スリーブ20の長手方向(軸方向)は、所定方向に沿う。つまり、スリーブ20の長手方向は、耐火被覆構造物100の第1方向D1に沿う。スリーブ20の内部には、配管Pが配置される。
【0036】
本実施形態において、スリーブ20の所定方向に沿った長さは、鋼製梁10の所定方向に沿った長さ(すなわち、フランジ12の幅)以上である。スリーブ20の所定方向に沿った長さは、鋼製梁10の所定方向に沿った長さと、後述する燃え止まり層32の所定方向に沿った長さ(すなわち、燃え止まり層32の厚さ)と、の合計以下である。つまり、スリーブ20の所定方向の両端部は、燃え止まり層32の厚さ方向の内部に位置してもよい。ここで、燃え止まり層32は、スリーブ20の所定方向の両側に配置される(詳細は後述する)。このため、前記合計に含まれる燃え止まり層32の所定方向に沿った長さとは、スリーブ20の両側に配置された燃え止まり層32の所定方向に沿った長さを合わせた長さである。
図3に示すように、スリーブ20の外周面には、耐火被覆20Cが設けられている。耐火被覆20Cには、例えば、ロックウールが好適に用いられる。これにより、スリーブ20の耐火性を担保する。
【0037】
耐火被覆層30は、鋼製梁10及びスリーブ20の外側に配置される。本実施形態において、外側とは、鋼製梁10のウェブ11を中心として、第1方向D1に向かってウェブ11の中心から離れる側、及び、床スラブSに取り付けられた鋼製梁10のフランジ12の一方を中心として、フランジ12の他方に向かう側をいう。耐火被覆層30は、鋼製梁10及びスリーブ20の耐火性を向上させる機能を有する。
【0038】
耐火被覆層30は、図2及び図3に示すように、鋼製梁10の第1方向D1の両側部に設けられる。これにより、耐火被覆層30は、所定方向に沿って見て、鋼製梁10及びスリーブ20と重なる。加えて、耐火被覆層30は、鋼製梁10のフランジ12の他方における、ウェブ11に面しない側の面に配置される。
【0039】
耐火被覆層30は、燃え代層31と、燃え止まり層32と、を含む。
燃え代層31は、耐火被覆層30のうち、外側に配置される。燃え代層31は、建造物に火災が発生した際に燃焼することで、耐火被覆層30の内側に位置する鋼製梁10に熱が伝わることを遅らせる機能を有する。燃え代層31には、例えば、スギをはじめとする木材が用いられる。燃え代層31には、防火性を有する木材を適宜選択の上用いられてもよい。具体的には、例えば、0.36g/cm以上の密度を有する木材が適宜選択の上用いられてもよい。燃え代層31には、鋼製梁10のウェブ貫通孔11h及びスリーブ20の位置に対応した燃え代貫通孔31hが形成されている。
【0040】
燃え止まり層32は、耐火被覆層30のうち、内側に配置される。燃え止まり層32は、難燃性を有する。燃え止まり層32は、燃え代層31が燃焼した後に、鋼製梁10が直接火に当たることを遅らせる機能を有する。本実施形態において、燃え止まり層32は、石膏ボードである。燃え止まり層32には、燃え代貫通孔31hの位置に対応した燃え止まり貫通孔32hが形成されている。
【0041】
挿入管40は、スリーブ20の内側に配置される。具体的には、挿入管40は、一方の端部がスリーブ20に挿入される。挿入管40は、スリーブ20の第1方向D1の両端から1つずつ挿入される。図4に示すように、挿入管40は、管本体41と、フランジ部42と、を備える。
管本体41は、スリーブ20に挿入される部位である。つまり、管本体41は、挿入管40の一方の端部を含む。図2図3及び図4に示すように、管本体41は、燃え止まり貫通孔32hとスリーブ20に亘って位置する。これにより、挿入管40は、第3方向D3に沿って見て、スリーブ20及び耐火被覆層30の燃え止まり層32と重なる。このような構成とすることで、火災による熱が、燃え止まり層32とスリーブ20との間の隙間に侵入し、鋼製梁10が熱せられることを抑える。
【0042】
本実施形態において、石膏ボードである燃え止まり層32と挿入管40との間には、隙間が設けられる。具体的には、管本体41の外径を、燃え止まり貫通孔32hの内径よりも小さくすることで、管本体41の外周面と燃え止まり貫通孔32hの内周面との間に隙間を設ける。これにより、管本体41と燃え止まり層32とが干渉することを防ぐ。また、本実施形態において、燃え止まり層32と挿入管40との間の隙間には、不燃材が充填される。不燃材には、例えば、ロックウールが用いられる。
【0043】
フランジ部42は、挿入管40の他方の端部に設けられる。フランジ部42は、挿入管40の径方向外側に延びる部位である。フランジ部42は、燃え代層31及び燃え止まり層32に挟まれる。したがって、フランジ部42の燃え止まり層32に面する面は、燃え止まり層32に接した状態となる。フランジ部42の外径は、燃え止まり貫通孔32hの内径よりも大きい。このような構造とすることで、管本体41の外周面と燃え止まり貫通孔32hの内周面との間の隙間が、外側に面しないようにする。これにより、火災時に前記隙間から熱気が侵入しないようにする。本実施形態において、フランジ部42は、発泡材が塗布される。これにより、前記隙間からより確実に前記隙間から熱気が侵入しないようにする。
【0044】
本実施形態において、フランジ部42の外径は、スリーブ20の外径より大きい。フランジ部42の外径は、スリーブ20の耐火被覆20Cの外径よりも小さい。これにより、フランジ部42を必要以上に大きくすることなく、上述のフランジ部42による耐火性を担保する。
ここで、挿入管40の軸方向のうち、一方の側を前方とし、他方の側を後方とする。このとき、スリーブ20及び挿入管40は、耐火被覆層30より前方及び後方に突出していない。このようにすることで、耐火被覆構造物100の外側からスリーブ20及び挿入管40を見えにくくする。
【0045】
耐火被覆構造物100の施工性の向上に寄与するために、挿入管40は、例えば、円筒状であることが好ましい。挿入管40の外径は、スリーブ20の内径よりも小さいことが好ましい。言い換えれば、スリーブ20の内径は、挿入管40の外径より大きいことが好ましい。
耐火被覆構造物100の耐火性の向上に寄与するために、挿入管40は、鋼製であることが好ましい。
【0046】
(耐火被覆構造物100の製造方法)
次に、本実施形態に係る耐火被覆構造物100の製造方法について説明する。耐火被覆構造物100の製造方法は、挿通ステップと、第1設置ステップと、挿入ステップと、を備える。
挿通ステップは、スリーブ20の長手方向が所定方向(第1方向D1)に沿うよう、鋼製梁10に形成されたウェブ貫通孔11h(穴)にスリーブ20を挿通する工程である。ウェブ貫通孔11hとスリーブ20とは、例えば、振れ止め材によって固定される。スリーブ20の耐火被覆20Cは、例えば、挿通ステップによってウェブ貫通孔11hにスリーブ20が挿通された後に設けられることが好ましい。
【0047】
第1設置ステップは、鋼製梁10と、挿通ステップで鋼製梁10に挿通されたスリーブ20と、が耐火被覆層30で挟まれるよう、耐火被覆層30を設置する工程である。本実施形態において、第1設置ステップは、第2設置ステップと、第3設置ステップと、を含む。挿入ステップは、第2設置ステップの後、且つ、第3設置ステップの前に実行される。以下、各工程を施工の順番に沿って説明する。
【0048】
第2設置ステップは、鋼製梁10と、挿通ステップで挿通されたスリーブ20と、が第1方向D1の両側から燃え止まり層32で挟まれるよう、燃え止まり層32を設置する工程である。図3に示すように、第3方向D3における、第1方向D1の両側から配置される燃え止まり層32の一方の端部は、鋼製梁10のフランジ12の一方と面一になるように配置される。このことで、鋼製梁10と床スラブSとの取り付けに影響がないようにする。第3方向D3における、第1方向D1の両側から配置される燃え止まり層32の他方の端部は、例えば、鋼製梁10のフランジ12の他方よりも外側に位置する。燃え止まり層32の他方の端部は、鋼製梁10のフランジ12の他方と面一としてもよい。これにより、鋼製梁10の大きさに寄らず、耐火被覆構造物100の見かけの大きさを調整してもよい。
上述のように、燃え止まり層32によって鋼製梁10及びスリーブ20を第1方向D1の両側から挟むように配置した後、燃え止まり層32の他方の端部同士を接続するように、第3方向D3の外側から燃え止まり層32を配置する。これにより、鋼製梁10及びスリーブ20を、燃え止まり層32によって外側から覆う。
【0049】
挿入ステップは、挿入管40をスリーブ20に挿入する工程である。挿入管40のフランジ部42に塗布される発泡材は、この挿入ステップの前に予めフランジ部42に塗布されることが好ましい。挿入ステップでは、挿入管40のフランジ部42が、第2設置ステップで配置された燃え止まり層32に接するように配置する。そして、挿入管40の管本体41の外周面と燃え止まり貫通孔32hとの間の隙間に、充填材を充填する。
【0050】
第3設置ステップは、第1方向D1の両側から燃え止まり層32が燃え代層31で挟まれるよう、燃え代層31を設置する工程である。これにより、挿入管40のフランジ部42が、燃え止まり層32と燃え代層31との間に挟まれる。図3に示すように、第3方向D3における、第1方向D1の両側から配置される燃え代層31の一方の端部は、鋼製梁10のフランジ12の一方及び燃え止まり層32の一方の端部と面一になるように配置される。このことで、鋼製梁10と床スラブSとの取り付けに影響がないようにする。第3方向D3における、第1方向D1の両側から配置される燃え止まり層32の他方の端部は、燃え止まり層32と面一になるように配置する。
上述のように、燃え代層31によって燃え止まり層32を第1方向D1の両側から挟むように配置した後、燃え代層31の他方の端部同士を接続するように、第3方向D3の外側から燃え代層31を配置する。これにより、燃え止まり層32を、燃え代層31によって外側から覆う。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る耐火被覆構造物100によれば、耐火被覆層30は、鋼製梁10及びスリーブ20の外側に配置される。これにより、耐火被覆層30によってスリーブ20を覆い、耐火被覆構造物100の外側からスリーブ20が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物100の美感を向上させることができる。
【0052】
また、挿入管40は、鋼製梁10の長手方向及び鋼製梁10の短手方向それぞれと直交する方向に沿って見て、スリーブ20及び耐火被覆層30と重なる。これにより、挿入管40によって、スリーブ20と耐火被覆層30との間の隙間を覆うことができる。したがって、例えば、火災によって耐火被覆層30が収縮し、スリーブ20と耐火被覆層30との間の隙間が大きくなった場合に、熱気が鋼製梁10に到達することを遅らせることができる。
【0053】
また、スリーブ20及び挿入管40は、耐火被覆層30より後方に突出していない。これにより、耐火被覆層30によってスリーブ20及び挿入管40を覆い、耐火被覆構造物100の外側からスリーブ20及び挿入管40が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物100の美感を向上させることができる。
【0054】
また、挿入管40は、挿入管40の径方向外側に延びるフランジ部42を備える。これにより、例えば、火災によって燃え止まり層32が収縮し、挿入管40の径方向において燃え止まり層32と挿入管40との間の隙間が大きくなった場合に、燃え止まり層32と挿入管40との間の隙間をフランジ部42によって覆うことができる。したがって、熱気が燃え止まり層32と挿入管40との間に侵入することを抑えることができる。よって、鋼製梁10に熱気が到達することを遅らせることができる。また、フランジ部42は、燃え代層31及び燃え止まり層32に挟まれる。これにより、燃え代層31によってフランジ部42を覆い、耐火被覆構造物100の外側からフランジ部42が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物100の美感を向上させることができる。
【0055】
また、フランジ部42は、発泡材が塗布される。発泡材は、火災の熱によって膨張する。これにより、火災によって燃え止まり層32が収縮し、燃え止まり層32と挿入管40との間の隙間が大きくなった場合に、燃え止まり層32と挿入管40との間の隙間を、膨張した発泡材によって埋めることができる。よって、熱気が燃え止まり層32と挿入管40との間に侵入することをより抑えることができる。よって、鋼製梁10に熱気が到達することをより遅らせることができる。
【0056】
また、燃え止まり層32は、石膏ボードであり、石膏ボードと挿入管40との間には、隙間が設けられる。これにより、燃え止まり層32と挿入管40とを組み合わせる際の施工性を向上することができる。また、通常の使用時に気温変化等によって挿入管40が膨張した際、燃え止まり層32に干渉することを抑えることができる。
【0057】
また、石膏ボード(燃え止まり層32)と挿入管40との間の隙間には、不燃材が充填される。これにより、石膏ボード(燃え止まり層32)と挿入管40との間から熱気が侵入することを抑えることができる。よって、鋼製梁10に熱気が到達することを遅らせることができる。
【0058】
また、フランジ部42の外径は、スリーブ20の外径より大きい。これにより、フランジ部42の外径を十分な大きさとすることができる。よって、例えば、火災によって燃え止まり層32が収縮し、挿入管40の径方向において燃え止まり層32と挿入管40との間の隙間が大きくなった場合に、燃え止まり層32と挿入管40との間の隙間をフランジ部42によってより確実に覆うことができる。したがって、熱気が燃え止まり層32と挿入管40との間に侵入することをより確実に抑えることができる。よって、鋼製梁10に熱気が到達することを更に遅らせることができる。
【0059】
また、スリーブ20の長さであって所定方向に沿った長さは、鋼製梁10の長さであって所定方向に沿った長さ以上であり、且つ、鋼製梁10の長さであって所定方向に沿った長さと燃え止まり層32の長さであって所定方向に沿った長さとの合計以下である。これにより、耐火被覆層30によってスリーブ20及び鋼製梁10を覆うことを容易にすることができる。よって、耐火被覆構造物100の美感を向上させることを容易にすることができる。
【0060】
また、鋼製梁10と、鋼製梁10に挿通されたスリーブ20と、が耐火被覆層30で挟まれるよう、耐火被覆層30を設置する。これにより、耐火被覆層30によってスリーブ20を覆い、耐火被覆構造物100の外側からスリーブ20が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物100の美感を向上させることができる。
【0061】
また、挿入ステップは、第2設置ステップの後、且つ、第3設置ステップの前に実行される。つまり、第2設置ステップにおいて鋼製梁10及びスリーブ20を燃え止まり層32によって挟んだ後、挿入ステップにおいて挿入管40をスリーブ20に挿入し、第3設置ステップにおいて燃え止まり層32を燃え代層31で挟む。これにより、挿入管40のフランジ部42を、確実に燃え代層31と燃え止まり層32との間に挟まれるようにすることができる。よって、燃え代層31によってフランジ部42を覆い、耐火被覆構造物100の外側からフランジ部42が見えにくくすることができる。よって、耐火被覆構造物100の美感を向上させることができる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の第2耐火被覆構造物200を、図5及び図6を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0063】
第2耐火被覆構造物200は、図5及び図6に示すように、挿入管40に代えて差込継手240を備える点で、耐火被覆構造物100と相違する。
差込継手240は、円筒状の部材である。差込継手240は、長手方向(軸方向)の中央に突出部240pを備える。突出部240pは、挿入管40のフランジ部42に相当する機能を有する。突出部240pには、発泡材が塗布されることが好ましい。
差込継手240の一方の端部は、スリーブ20に挿入される。差込継手240の一方の端部と、スリーブ20及び燃え止まり層32との構造上の関係は、挿入管40の管本体41と同じである。差込継手240の一方の端部の外周面と、燃え止まり貫通孔32hの内周面との間の隙間には、充填材が充填されることが好ましい。
【0064】
突出部240p及び差込継手240の他方の端部は、図5に示すように、燃え代層31の内部に配置される。このため、図6に示すように、第2耐火被覆構造物200の燃え代層31には、突出部240pを配置可能な座繰穴31dが設けられることが好ましい。また、差込継手240の他方の端部は、ダクト配管Dと接続可能であることが好ましい。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の第3耐火被覆構造物300を、図7及び図8を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0066】
第3耐火被覆構造物300は、図7及び図8に示すように、挿入管40及び差込継手240を備えない点で、耐火被覆構造物100及び第2耐火被覆構造物200と相違する。
挿入管40及び差込継手240を備えないことに代えて、第3耐火被覆構造物300のスリーブ20は、図7及び図8に示すように、長手方向(軸方向)の両端部が、燃え止まり層32の内部に位置する。つまり、スリーブ20は、第3方向D3に沿ってみて、耐火被覆層30の燃え止まり層32と重なる。このような構成とすることで、火災による熱が、燃え止まり層32と耐火被覆20Cとの間の隙間に侵入し、鋼製梁10が熱せれられることを抑える。
【0067】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、燃え代層31には、不燃用薬材が含浸された木材を用いてもよい。
【0068】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 鋼製梁
20 スリーブ
20C 耐火被覆
30 耐火被覆層
31 燃え代層
32 燃え止まり層
40 挿入管
42 フランジ部
100 耐火被覆構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8