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特開2024-54073物体のハンドリング方法、ハンドリングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054073
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】物体のハンドリング方法、ハンドリングシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20240409BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240409BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20240409BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B25J9/06 E
B25J13/00 Z
B25J13/08 A
B65G47/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135368
(22)【出願日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】10 2022 125 564.6
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】517273548
【氏名又は名称】イョット.シュマルツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティアス フレイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミア シプル
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS03
3C707AS04
3C707BS15
3C707BT06
3C707BT12
3C707CV07
3C707CV09
3C707CV10
3C707CW07
3C707CW09
3C707CW10
3C707CY40
3C707DS01
3C707FS01
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS07
3C707KS08
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT06
3C707KX19
3C707LV02
3C707LV07
3F072AA06
3F072GA10
3F072GD01
3F072GD03
3F072KD03
3F072KD09
3F072KD12
3F072KD24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、ロボットと、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームと、ソースコンテナと、ターゲットコンテナと、ソースコンテナ及びターゲットコンテナを識別する識別装置とを備えるハンドリングシステムによって物体をハンドリングする方法及びハンドリングシステムに関する。
【解決手段】ロボットアームは、各ロボットアームがソースコンテナ及びターゲットコンテナに交互に近づくように、メイン軸を中心として旋回され、ここで、ロボットアームは、ソースコンテナとターゲットコンテナとの間のそれらの移動中に、ロボットアームがソースコンテナにもターゲットコンテナにも位置していないゼロ位置を通過し、ロボットアームがゼロ位置にあるとき、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナは、識別装置によって、特に視覚的に検出されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドリングシステム(10)によって物体(54)をハンドリングする方法であって、前記ハンドリングシステム(10)が、
各々に前記物体(54)を把持するためのエンドエフェクタ(14-1,14-2)が配置された、第1のロボットアーム(20-1)及び第2のロボットアーム(20-2)を備えたロボット(12)であって、ロボットアーム(20-1,20-2)が、共通の主軸(29)を中心に旋回可能であり、前記ロボットアーム(20-1,20-2)が、各々、スカラキネマティクスを有する、ロボット(12)と、
前記物体(54)を収容するためのソースコンテナ(52)及びターゲットコンテナ(56)であって、前記ロボットアーム(20-1、20-2)が前記ソースコンテナ(52)から前記ターゲットコンテナ(56)に前記物体(54)を移送でき、前記ロボットアーム(20-1、20-2)が前記ソースコンテナ(52)及び前記ターゲットコンテナ(56)を横切って旋回可能であり、前記ロボットアーム(20-1、20-2)がソースコンテナの上方にもターゲットコンテナの上方にも位置しないゼロ位置をとる、ことができるように、前記ソースコンテナ(52)及び前記ターゲットコンテナ(56)が前記主軸(29)の周りに分散して配置される、ソースコンテナ(52)及びターゲットコンテナ(56)と、
識別装置(58)であって、特に視覚的に、前記ソースコンテナ(52)を検出するように設計されたソースコンテナ検出ユニット(60)、特に第1のカメラと、特に視覚的に、前記ターゲットコンテナ(56)を検出するように設計されたターゲットコンテナ検出ユニット(62)、特に第2のカメラと、を含む、識別装置(58)と、
を備え、
各々の前記ロボットアーム(20-1、20-2)が交互に前記ソースコンテナ(52)及び前記ターゲットコンテナ(56)に近づくように、前記ロボットアーム(20-1,20-2)が前記主軸(29)を中心に旋回され、
前記第1のロボットアーム(20-1)が前記ソースコンテナ(52)に近づくと、前記第2のロボットアーム(20-2)が前記ターゲットコンテナ(56)に近づき、その逆も同様であるように、前記ロボットアーム(20-1、20-2)の動きが同期され、前記ロボットアーム(20-1、20-2)は、前記ソースコンテナ(52)と前記ターゲットコンテナ(56)との間を移動中に前記ゼロ位置を通過し、前記ロボットアーム(20-1、20-2)が前記ゼロ位置にあると、前記ソースコンテナ(52)及び/又は前記ターゲットコンテナ(56)は、前記識別装置(58)によって、特に視覚的に、検出される、方法。
【請求項2】
a)特に前記ロボットアーム(20-1、20-2)を前記主軸(29)を中心に旋回させて、ロボットアームを前記ゼロ位置に移送させ、
b)前記識別装置(58)によって前記ソースコンテナ(52)及び/又は前記ターゲットコンテナ(56)を識別し、特に前記ソースコンテナ(52)の少なくとも1つの画像を取得し、及び/又は前記識別装置(58)によって前記ターゲットコンテナ(56)の少なくとも1つの画像を取得し、
c)前記第1のロボットアーム(20-1)が前記ソースコンテナ(52)に近づき、前記第2のロボットアーム(20-2)が前記ターゲットコンテナ(56)に近づくように、前記主軸(29)を中心として第1の方向(70)に前記ロボットアーム(20-1、20-2)を旋回させ、
d)前記第1のロボットアーム(20-1)のエンドエフェクタ(14-1)によって前記物体(54)を前記ソースコンテナ(52)から把持し、前記物体(54)が前記第2のロボットアーム(20-2)のエンドエフェクタ(14-2)に保持される場合、前記物体(54)を前記ターゲットコンテナ(56)に積載させ、
e)特に前記第1の方向(70)とは反対の第2の方向(72)に前記ロボットアーム(20-1、20-2)を前記主軸(29)を中心に旋回させることによって、前記ロボットアーム(20-1、20-2)を前記ゼロ位置に移送し、
f)前記識別装置(58)により前記ソースコンテナ(52)及び/又は前記ターゲットコンテナ(56)を識別し、特に前記識別装置(58)により前記ソースコンテナ(52)の少なくとも1つの画像及び/又は前記ターゲットコンテナ(56)の少なくとも1つの画像を取得し、
g)前記第1のロボットアーム(20-1)が前記ターゲットコンテナ(56)に近づき、前記第2のロボットアーム(20-2)が前記ソースコンテナ(52)に近づくように、前記ロボットアーム(20-1,20-2)を、前記主軸(29)を中心に、第1の方向(70)に、又は第1の方向(70)と反対の第2の方向(72)に旋回させ、
h)前記第2のロボットアーム(20-2)の前記エンドエフェクタ(14-2)によって前記物体(54)を前記ソースコンテナ(52)から把持し、前記物体(54)が前記第1のロボットアーム(20-1)の前記エンドエフェクタ(14-1)に保持されている場合には、前記物体(54)を前記ターゲットコンテナ(56)に積載させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロボットアーム(20-1、20-2)が前記ソースコンテナ(52)又は前記ターゲットコンテナ(56)に近づき、前記物体(54)が前記ソースコンテナ(52)から把持され、及び/又は、前記識別装置(58)による前記ソースコンテナ(52)又は前記ターゲットコンテナ(56)の識別の結果の機能として、前記物体(54)が前記ターゲットコンテナ(56)に積載される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別装置(58)、特にソースコンテナ検出ユニット(60)は、前記ソースコンテナ(52)に配置された1つ又は複数の前記物体(54)に関する物体情報を、特に幾何学的形状及び/又は位置及び向きを、確認するように設計され、
前記ソースコンテナ(52)を識別することは、前記ソースコンテナ(52)に配置された1つ又は複数の前記物体(54)に関する物体情報を確認することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ロボットアーム(20-1,20-2)は、c)及びg)で前記ソースコンテナに近づき、及び/又は、前記物体(54)は、d)及びh)で前記識別装置(58)によって確認された物体情報の機能として把持される、請求項2を引用する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記物体情報を確認することは、
幾何学的形状、特に外形、及び/又は前記ソースコンテナ(52)に配置された1つ又は複数の前記物体(54)の位置及び向きを確認すること、
前記ソースコンテナ(52)に配置された1つ又は複数の前記物体(54)の把持点を確認すること、
のうち少なくとも一つを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記識別装置(58)、特に前記ターゲットコンテナ検出ユニット(62)は、前記ターゲットコンテナ(56)における積載位置を確認するように設計され、前記ターゲットコンテナ(56)の識別は、前記ターゲットコンテナ(56)の1つ又は複数の積載位置、特に前記ロボット(12)によって把持された前記物体(54)のための1つ又は複数の積載位置を確認することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ロボットアーム(20-1,20-2)は、c)及びg)で前記ターゲットコンテナ(56)に近づき、及び/又は前記物体(54)は、ステップd)及びh)で前記ターゲットコンテナ(56)の前記識別装置(58)によって確認される積載位置の機能として積載される、請求項2を引用する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記積載位置を確認することは、複数の識別された前記積載位置から積載位置を選択することを含み、特に境界条件の機能として、
現時点で前記ロボット(12)によって保持される前記物体(54)の性質及び/又は幾何学的形状、特にサイズ及び/又は外形、
現時点で既に前記ターゲットコンテナ(56)に配置されている前記物体(54)の性質、幾何学的形状及び/又は位置及び向き、
のうち少なくとも一つを選択することを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
各々の前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)が、前記ロボットアーム(20-1、20-2)に対して各々の旋回軸(44-1、44-2)を中心として旋回可能であるように、前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)が、カップリング装置(42-1、42-2)を介して、対応する前記ロボットアーム(20-1、20-2)に枢着され、
前記物体(54)が前記ソースコンテナ(52)から把持される前に、及び/又は前記物体(54)が前記ターゲットコンテナ(56)に積載される前に、対応する前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)は、特に物体情報の機能として、又は以前に前記識別装置(58)によって確認された積載物位置として、前記旋回軸(44-1、44-2)を中心に旋回される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ロボットアーム(20-1、20-2)は、それぞれ、3つの連続的に配置された腕(22-1、22-2、24-1、24-2、26-1、26-2)を有し、各々の第1の腕(22-1、22-2)は、前記主軸(29)を中心として旋回可能であり、第1ロボットアーム(20-1)の第1の腕(22-1)と第2ロボットアーム(20-2-2)の第1の腕(22-2)の角度(α)が、120°より小さくない、特に140°より小さくない、より好ましくは160°より小さくない、より好ましくは170°より小さくない、より好ましくは175°より小さくない、角度で、前記主軸(29)を中心とする前記第1の腕(22-1、22-2)の旋回運動が、前記主軸(29)を中心として同期される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記識別装置(58)は、さらなる検出ユニット(64-1、64-2)、特にさらなるカメラを含み、特に、前記さらなる検出ユニット(64-1、64-2)のうちの一部が各々の前記ロボットアーム(20-1、20-2)に配置され、前記物体(54)が前記ロボットアーム(20-1、20-2)の前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)に保持される場合、前記物体(54)が、特に前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)の位置及び向きが、前記ロボットアーム(20-1、20-2)に配置された前記さらなる検出ユニット(64-1、64-2)により監視される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ハンドリングシステム(10)であって、
各々に前記物体(54)を把持するためのエンドエフェクタ(14-1,14-2)が配置された、第1のロボットアーム(20-1)及び第2のロボットアーム(20-2)を備えたロボット(12)であって、前記ロボットアーム(20-1,20-2)が、共通の主軸(29)を中心に旋回可能であり、前記ロボットアーム(20-1,20-2)が、各々、スカラキネマティクスを有する、ロボット(12)と、
物体(54)を収容するためのソースコンテナ(52)及びターゲットコンテナ(56)であって、前記ロボットアーム(20-1、20-2)が前記ソースコンテナ(52)から前記ターゲットコンテナ(56)に前記物体(54)を移送できるように、ソースコンテナ(52)及びターゲットコンテナ(56)を収容するためのソースコンテナ(52)であって、前記ロボットアーム(20-1、20-2)が前記ソースコンテナ(52)及び前記ターゲットコンテナ(56)を横切って旋回可能であり、前記ロボットアーム(20-1、20-2)が、ソースコンテナの上方にもターゲットコンテナの上方にも位置しないゼロ位置をとる、ことができるように、前記ソースコンテナ(52)及び前記ターゲットコンテナ(56)が前記主軸(29)の周りに分散して配置される、ソースコンテナ(52)及びターゲットコンテナ(56)と、
識別装置(58)であって、
特に視覚的に、前記ソースコンテナ(52)を検出するように設計されたソースコンテナ検出ユニット(60)、特に第1のカメラと、
特に視覚的に、前記ターゲットコンテナ(56)を検出するように設計されたターゲットコンテナ検出ユニット(62)、特に第2のカメラと、を含む、識別装置(58)と、
前記ハンドリングシステム(10)を制御する制御装置であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される制御装置と、
を備える、ハンドリングシステム(10)。
【請求項14】
前記ロボット(12)が、前記第1のロボットアーム(20-1)を提供する第1のスカラロボットユニット(66-1)を備え、前記ロボット(12)が、前記第2のロボットアーム(20-2)を提供する第2のスカラロボットユニット(66-2)を備える、請求項13に記載のハンドリングシステム。
【請求項15】
前記ロボット(12)がロボット基部(18)を有し、前記第1のロボットアーム(20-1)及び前記第2のロボットアーム(20-2)が前記主軸(29)を中心に旋回するように前記ロボット基部(18)に枢着される、請求項13に記載のハンドリングシステム。
【請求項16】
前記ロボットアーム(20-1、20-2)が、それぞれ、スピンドル(34-1、34-2)を有し、各々の前記ロボットアーム(20-1、20-2)の前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)が、前記ロボットアーム(20-1、20-2)の前記スピンドル(34-1、34-2)に配置され、特に、各々のスピンドル(34-1、34-2)が、前記主軸(29)に平行な各々のスピンドル軸(36-1、36-2)に対して並進運動及び/又は回転運動を駆動するように設計される、請求項13~15のいずれか一項に記載のハンドリングシステム。
【請求項17】
前記ロボットアーム(20-1、20-2)は、それぞれ、3つの連続的に配置された腕(22-1、22-2、24-1、26-2)を有し、各々の第1の腕(22-1、26-2)は、前記主軸(29)に対応する第1の軸(28)を中心として旋回可能であり、特に、ロボット基部に枢着され、各々の第2の腕(24-1、24-2)は、各々の第2の軸(32-1、32-2)を中心として旋回するように、前記第1の腕(22-1、22-2)に枢着され、各々の前記第2の軸(32-1、32-2)を中心として旋回するように、前記第1の腕(22-1、24-2)に枢着され、各々の第3の腕(26-1、2 36-2)は、各々のスピンドル(34-1、34-2)により形成され、前記スピンドル(34-1、34-2)は、スピンドル軸(36-1、36-2)を中心に旋回するように前記第2の腕(24-1、24-2)に枢着される、請求項13~16のいずれか一項に記載のハンドリングシステム。
【請求項18】
前記ロボットアーム(20-1、20-2)の軸(29、32-1、32-2、36-1、36-2)は、互いに平行に、特に鉛直に、延在する、請求項13~17のいずれか一項に記載のハンドリングシステム。
【請求項19】
各々の前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)が、前記ロボットアーム(20-1、20-2)、特にスピンドル(34-1、34-2)に対して、各々の旋回軸(44-1、44-2)を中心として旋回可能であるように、前記エンドエフェクタ(14-1、14-2)が、カップリング装置(42-1、42-2)を介して、対応する前記ロボットアーム(20-1、20-2)に、特に各々のスピンドル(34-1、34-2)に枢着される、請求項13~18のいずれか一項に記載のハンドリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体をハンドリングする方法及びそのために設計されたハンドリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドリングシステムは、例えば、倉庫で商品をピッキングするときに使用され、そこで、特に、複数の商品を有する貯蔵コンテナから商品を把持し(いわゆる「ビン-ピッキング」)、それらを別の場所へ、例えば、輸送コンテナの中へ移動するために使用される。このようなハンドリングシステムは、通常、物体を把持するためのエンドエフェクタがその上に配置されるロボットアームを備えたロボットを含む。
【0003】
効率的に使用するためには、この文脈において、ハンドリングシステムの「ピック性能」又は「グリップ性能」として通常特徴付けられるハンドリングシステムによって、時間間隔あたり何個の物体を把持し、別の場所に移動することができるかが決定的に重要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、高い把持性能を有する物体をハンドリングすることができ、特に、2つの位置の間でそれらを移動させることができるタスクに関する。
【0005】
このタスクは、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。この方法は、物体をハンドリングする、例えば物体をピッキングするための方法である。
【0006】
この方法はハンドリングシステムによって行われる。この点において、本方法は、特に、ハンドリングシステムを操作するための方法でもある。
【0007】
ハンドリングシステムは、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームを備えたロボットを含む。また、ロボットが2本以上のロボットアームを有することも考えられる。各ロボットアームには、それぞれの場合に物体を把持するためのエンドエフェクタが配置されている。この点において、ロボットは、特に、いくつかの物体を、特に、同時に把持するように設計される。特に、ロボットは、エンドエフェクタ、及びオプションとして、相互に独立した移動経路に沿って、それと共に把持される物体を移動させるように設計される。該エンドエフェクタは、例えば、空気圧で作動可能なグリッパ、特に吸引グリッパであってよい。
【0008】
ロボットアームは、共通の、特に鉛直な主軸を中心に旋回可能である。例えば、ロボットアームは、主軸を中心に旋回するように共通のロボット基部に枢着されることが考えられる。また、各ロボットアームが別々のロボットユニットの一部であることも考えられる。次に、ロボットユニットは、特に、ロボットアームが共通軸(主軸)を中心に旋回可能であるように配置される。
【0009】
ロボットアームは、それぞれスカラキネマティクス、特に4軸スカラキネマティクスを有する。特に、ロボットアームはそれぞれ、スピンドルを有する。特に、それぞれのエンドエフェクタは、スピンドルに、好ましくはスピンドルの一端に配置される。スピンドルは、スピンドルドライブの一部であることが好ましい。スピンドルは、エンドエフェクタの並進運動及び/又は回転運動を駆動する、特に主軸に平行であることが好ましいスピンドル軸、特に鉛直なスピンドル軸に関して駆動するように設計されることが好ましい。
【0010】
又はンドリングシステムは、物体を収容するための少なくとも1つのソースコンテナを備える。特に、いくつかの物体をソースコンテナに設けることができ、特にその中に収容することができる。この点において、ハンドリングシステムは、複数の物体が配置されたソースコンテナを備えることができる。
【0011】
ハンドリングシステムは、物体を収容するための少なくとも1つのターゲットコンテナも備えている。ハンドリングプロセスの開始時にターゲットコンテナが空であることが考えられる。ハンドリングプロセスの開始時に、ターゲットコンテナがすでに部分的にたとえば物体で満たされていることも考えられる。特に、ソースコンテナは貯蔵コンテナとすることができ、ターゲットコンテナは輸送コンテナ、例えば小包箱とすることができる。
【0012】
少なくとも1つのソースコンテナと少なくとも1つのターゲットコンテナは、特にロボットアームがソースコンテナから物体を把持し、それらをターゲットコンテナに移送してそこに積載できるように、特に円周に沿って、主軸の周りに分散して配置される。また、少なくとも1つのソースコンテナ及び少なくとも1つのターゲットコンテナは、ロボットアームがソースコンテナ及びターゲットコンテナを横切る主軸に対して旋回可能であるように配置される。この点において、主軸を中心とするロボットアームのそれぞれの移動平面は、特にソースコンテナの上端及びターゲットコンテナの上端から、主軸に沿って離間されている。
【0013】
また、少なくとも1つのソースコンテナ及び少なくとも1つのターゲットコンテナは、ロボットアームが、主軸に沿った方向視でソースコンテナの上方にもターゲットコンテナの上方にも位置しないゼロ位置をとることができるように配置される。この点において、ロボットアームは、コンテナが配置されたコンテナ面への主軸に沿ったロボットアームの突部がコンテナと交差しないように、ゼロ位置に特に配置されている。このゼロ位置では、ソースコンテナとターゲットコンテナに、特に上から自由にアクセスできる。
【0014】
又はンドリングシステムは、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナ、及び任意で、その中に配置された物体を識別するように設計された識別装置を含む。識別装置は、特に、主軸に関連してソースコンテナに配置されたソースコンテナ検出ユニットを備える。ソースコンテナ検出ユニットは、特に、光学的又は視覚的に、ソースコンテナと、任意に、その中に提供又は収容された物体とを検出するように設計される。例えば、ソースコンテナ検出ユニットはカメラを備えることができる。
【0015】
また、識別装置は、特に、主軸に関連してターゲットコンテナの上方に配置されたターゲットコンテナ検出ユニットを備える。ターゲットコンテナ検出ユニットは、特に、光学的に又は視覚的に、ターゲットコンテナ、及びオプションとして、その中に設けられた又は収容された物体を検出するように設計される。例えば、ターゲットコンテナ検出ユニットは、カメラを備えることができる。
【0016】
ソースコンテナ検出ユニット及びターゲットコンテナ検出ユニットは、ロボットアームがソースコンテナとソースコンテナ検出ユニットとの間、及びターゲットコンテナとターゲットコンテナ検出ユニットとの間で旋回可能であるように配置されることが好ましい。この点、ロボットアーム、ソースコンテナ、ターゲットコンテナ、ソースコンテナ検出ユニット及びターゲットコンテナ検出ユニットは、コンテナが配置されたコンテナ平面と、検出部が配置された検出部平面との間に、主軸を中心としたロボットアームのそれぞれの移動平面が配置されるように互いに対して配置することができる。
【0017】
本方法によれば、ロボットアームは、各ロボットアームがソースコンテナ及びターゲットコンテナに交互に近づくように、主軸を中心に旋回される。例えば、ロボットアームがソースコンテナとターゲットコンテナとの間を往復することが考えられる。この点において、ロボットアームは、コンテナが近づいた後に、主軸を中心とするそれらの動きにおいて方向の変化を行うことができる。しかし、ロボットアームが主軸を中心として同じ方向に動くことも考えられ、特に、主軸を中心として円形の動きを行うことができ、これにより、方向の変化なしにソースコンテナとターゲットコンテナとの交互の近づきが可能になる。本文脈において、用語「近づき」は、特に、ロボットアームがソースコンテナ又はターゲットコンテナの上を移動することを意味し、特に、物体をソースコンテナから把持することができるか又は物体をターゲットコンテナに積載することができるようになっていることを意味する。好ましくは、ロボットアームがソースコンテナに近づいたときに、このロボットアームのエンドエフェクタによって、物体がソースコンテナから把持される。好ましくは、ロボットアームがターゲットコンテナに近づいたときに、このロボットアームのエンドエフェクタに物体が保持された場合に、この物体がターゲットコンテナに積載される。
【0018】
ロボットアームの動き、特に主軸を中心とする動きは、第1のロボットアームがソースコンテナに近づくと、第2のロボットアームがターゲットコンテナに近づくように、またその逆になるように同期される。この点において、ロボットアームは、特に、ロボットアームが一緒になって同じコンテナに近づかない、すなわち、同時に同じコンテナに配置されないような方法で移動される。特に、ロボットアームは、それぞれの場合において、主軸を中心として同じ方向に旋回される。特に、ロボットは、物体がソースコンテナから把持され、この物体がそれぞれのエンドエフェクタによってターゲットコンテナに積載されるように制御される。
【0019】
提案した方法によれば、ロボットアームは、ソースコンテナからターゲットコンテナへ、又はターゲットコンテナからソースコンテナへのそれぞれの移動中に、上述のゼロ位置を通過する。特に、ロボットアームの動作は、ソースコンテナからターゲットコンテナへ、又はターゲットコンテナからソースコンテナへのそれぞれの移動中に、ロボットアームが、ソースコンテナ検出ユニットによってソースコンテナを自由に検出することができ、ターゲットコンテナ検出ユニットによってターゲットコンテナを自由に検出することができる構成、すなわち、ソースコンテナ検出ユニットからソースコンテナへの視界及びターゲットコンテナ検出ユニットからターゲットコンテナへの視界がロボットアームによって妨害されない構成をとるように、同期される。
【0020】
ロボットアームがゼロ位置にあるとき、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナは、識別装置による方法に従って、特に視覚的に検出されることを特徴とする。特に、ソースコンテナは、ソースコンテナ検出ユニットによって検出され、及び/又は、ターゲットコンテナは、ターゲットコンテナ検出ユニットによって検出される。例えば、ロボットアームがゼロ位置にあるとき、ソースコンテナの画像及び/又はターゲットコンテナの画像が取得される。好ましくは、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナに収容された物体もまた、任意に識別装置の手段によって識別される。
【0021】
提案した方法によれば、物体は、ソースコンテナからターゲットコンテナに効率的にかつ高い把持性能で移動でき、これは、例えば、商品をピッキングするときに、大きな利点となり得る。特に、比較的速く、正確に反復可能な動きを可能にする、スカラキネマティクス(「選択的なコンプライアンスアセンブリロボットアーム」の略)を有するロボットアームは、この点に貢献する。ロボットアームは主軸を中心に同一方向に旋回するため、ロボットアームの衝突を回避できる。ロボットアームは、ソースコンテナからターゲットコンテナへのそれらの移送中にゼロ位置を通過する、又はその逆であるので、識別装置によってソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナを検出し、このようにしてコンテナ及び/又はその内容を識別することが可能であり、これにより、簡単なプロセス監視が可能になる。
【0022】
特に有利な実施形態の範囲では、少なくとも1つのソースコンテナ及び少なくとも1つのターゲットコンテナは、主軸に関して互いに対向して配置され得る。ゼロ位置では、次にロボットアームをソースコンテナとターゲットコンテナとの間のピボット位置に配置することができる。この点において、そのような実施形態におけるゼロ位置は、ソースコンテナからターゲットコンテナへ、又はターゲットコンテナからソースコンテナへのロボットアームの旋回運動中に自動的に通過される。特に、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナが、主軸を中心としたロボット軸の旋回運動の過程において識別装置の手段によって識別されることが考えられる。特に、主軸を中心とするロボットアームの運動を停止する必要なく、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナを検出することが可能である。
【0023】
本方法の特に有利な実施形態によれば、ロボットアームは最初にゼロ位置に移される(ステップa)。特に、ロボットアームは、ロボットアームが、主軸に沿った視界においてソースコンテナの上方にもターゲットコンテナの上方にも位置しない位置をとるように、主軸を中心に旋回される。
【0024】
さらなるステップ(ステップb)では、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナは、識別装置の手段によって識別される。特に、ソースコンテナは、ソースコンテナ検出ユニットによって検出され、及び/又は、ターゲットコンテナは、ターゲットコンテナ検出ユニットによって検出される。例えば、ソースコンテナの少なくとも一つの画像が、特にソースコンテナ検出ユニットの手段によって取得されること、及び/又はターゲットコンテナの一つの画像が、特にターゲットコンテナ検出ユニットの手段によって取得されることが考えられる。
【0025】
さらなるステップ(ステップc)では、次に、ロボットアームは、第1のロボットアームがソースコンテナに近づき、第2のロボットアームがターゲットコンテナに近づくように、主軸を中心とする第1の方向(例えば、時計回り方向)に旋回される。この点で、ロボットアームはそれぞれ異なるコンテナに近づく。
【0026】
さらなるステップ(ステップd)では、把持動作又は積載動作が、エンドエフェクタによって実行される。具体的には、物体は、第1のロボットアーム(すなわち、ソースコンテナに近づいたロボットアーム)のエンドエフェクタによってソースコンテナから把持される。この目的のために、第1のロボットアームのエンドエフェクタが、主軸に平行な軸、特に鉛直軸に沿って、例えば前述のスピンドルによって移動されることが考えられる。第2のロボットアームのエンドエフェクタに物体が保持された場合、この物体はターゲットコンテナに積載される。この目的のために、第2のロボットアームのエンドエフェクタが、主軸に平行な軸、特に鉛直軸に沿って、例えば前述のスピンドルによって移動されることが考えられる。
【0027】
好ましくは、ロボットアームは、ステップc)において旋回され、及び/又は物体は、ステップb)の機能としてステップd)において把持又は積載される。
【0028】
さらなるステップ(ステップe)では、ロボットアームは、特に、主軸を中心として第1の方向に、又は第1の方向と反対の第2の方向に(例えば、反時計回りの方向に)旋回することによって、ゼロ位置に再び移される。
【0029】
さらなるステップ(ステップf)では、次いで、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナが、識別装置によって再度識別される。特に、ソースコンテナは、ソースコンテナ検出ユニットによって検出され、及び/又は、ターゲットコンテナは、ターゲットコンテナ検出ユニットによって検出される。ソースコンテナの少なくとも1つの画像が、特にソースコンテナ検出ユニットによって取得されること、及び/又はターゲットコンテナの1つの画像が、特にターゲットコンテナ検出ユニットによって取得されることが好ましい。
【0030】
さらにステップ(g)では、次に、ロボットアームは、第1のロボットアームがターゲットコンテナに近づき、第2のロボットアームがソースコンテナに近づくように、主軸を中心として、第1の方向に、又は第1の方向と反対の第2の方向(例えば、時計回り方向)に旋回される。
【0031】
さらなるステップ(ステップh)では、第2のロボットアーム(すなわち、ソースコンテナに近づいたロボットアーム)のエンドエフェクタによって、物体がソースコンテナから把持される。この目的のために、第2のロボットアームのエンドエフェクタが、主軸に平行な軸、特に鉛直軸に沿って、例えば前述のスピンドルによって移動されることが考えられる。さらに、第1のロボットアームのエンドエフェクタに物体が配置された場合、この物体はターゲットコンテナに積載される。ステップc)において、前記第1のロボットアームの前記エンドエフェクタによって把持された前記物体が、前記ターゲットコンテナに積載されることが好ましい。この目的のために、第1のロボットアームのエンドエフェクタが、主軸に平行な軸、特に鉛直軸に沿って、例えば前述のスピンドルによって移動されることが考えられる。
【0032】
好ましくは、ロボットアームは、ステップg)において旋回され、及び/又は物体は、ステップh)においてステップf)の機能として把持又は積載される。
【0033】
すでに述べたように、ソースコンテナとターゲットコンテナが識別されることにより、ハンドリングプロセスは、例えば、それぞれのコンテナにまだ何個の物体があるか、又はすでに配置されているかについて、簡単な方法で「すぐに」監視することができる。しかしながら、ロボット、特に主軸を中心とするロボットアームの旋回運動が、識別装置によって実行された、ソースコンテナ及び/又はターゲットコンテナの識別の結果の機能として制御されるならば、特に有利である。特に、ロボットアームは、ソースコンテナ又はターゲットコンテナ、好ましくはソースコンテナの上又はターゲットコンテナの上のロボットアームのターゲット位置に、ソースコンテナ又はターゲットコンテナの識別の結果の機能として近づけることができる。ソースコンテナからの物体の把持及び/又はターゲットコンテナへの物体の積載も、ソースコンテナ又はターゲットコンテナの識別の結果の機能として行われる場合に特に有利である。この点において、本方法の上述の実施形態において、ステップc)におけるロボットアームの旋回及び/又はステップd)における物体の把持又は積載は、ステップb)におけるロボットアームの旋回及びステップg)におけるロボットアームの旋回及び/又はステップh)における物体の把持又は積載の旋回の機能として行われ得る。このようにして、ハンドリングシステムは、不正確なグリップ又はターゲットコンテナの不適切な位置での積載を回避することができるので、特に効率的で乱されない方法で作動させることができる。
【0034】
有利な開発の範囲では、識別装置、特にソースコンテナ検出ユニットは、ソースコンテナで収容された1つ又は複数の物体に関する物体情報を確認するように設計することができる。例えば、識別装置、特にソースコンテナ検出ユニットは、特に、幾何学的形状、特に外形、及び/又はソースコンテナに収容された1つ以上の物体の位置及び向きを確認するように設計されていることが考えられる。この目的のために、識別装置は、データ処理システムを備えることができる。例えば、ソースコンテナ及びその中に配置された物体の画像が、ソースコンテナ検出ユニットの手段によって最初に取得され、続いて、1つ又は複数の物体に関する物体情報が、画像処理方法を用いて確認されることが考えられる。物体の特に確実なハンドリングを可能にするために、この点において、ソースコンテナを識別することは、特に、ソースコンテナに配置された1つ又は複数の物体に関する物体情報を確認することを含むことができる。このような実施形態は、ハンドリングシステムの正確な制御及び詳細なプロセス監視を可能にする。
【0035】
有利な開発によると、物体情報を確認することは、特に、幾何学的形状、特に外形、及び/又はソースコンテナに配置された物体の1つ又は複数の位置及び向きを確認することを含むことができる。この点において、物体情報は、幾何学的形状、特に外形、及び/又は1つ又は複数の物体の位置及び向きに関する情報を含むことができる。さらに、物体情報を確認することが、把持される物体又は把持される物体の把持点を確認することを含む場合には、確実かつ迅速な把持プロセスにとって有利であり得る。この点において、物体情報はまた、物体の可能な把持点に関する情報を含んでもよい。
【0036】
すでに述べたように、ロボットアームが旋回する場合、特に、ロボットアームが、識別装置によって確認された物体情報の機能として、ソースコンテナで把持される物体で、特に、物体の把持点の幾何学、位置及び向き及び/又は向きの機能として、ソースコンテナに近づく場合に特に有利である場合がある。
【0037】
また、物体を効率的かつターゲットとする方法で積載させることができるためには、識別装置、特にターゲットコンテナ検出ユニットが、ターゲットコンテナの適切な積載位置(積載物位置)の位置を確認するように設計される場合にも有利であり得る。この点において、識別装置によってターゲットコンテナを識別するステップは、特に現時点でロボットによって把持された物体に対して、ターゲットコンテナの適切な積載位置を確認又は識別することを含むことができる。前述のステップd)及びh)において、物体は、次に、確認された積載物位置で、有利には、ターゲットコンテナに積載させることができる。前記付着位置を確認することは、特に、前記ターゲットコンテナ検出ユニットの手段によって付着位置を特定することを含むことができる。付着位置を確かめることは、例えば、標的コンテナ検出ユニットによって標的コンテナの画像を取得し、続いてこの画像を画像処理方法によって分析することを含むことができる。
【0038】
次いで、有利には、ロボットアームは、ターゲットコンテナに近づくことができ、及び/又は物体は、ターゲットコンテナで、識別装置によって確認された、積載位置の機能として、ターゲットコンテナに積載することができる。特に、ソースコンテナに近づくロボットアームは、ソースコンテナで把持される物体の識別装置によって以前に確認された把持点の機能として旋回され、ターゲットコンテナに近づくロボットアームは、ターゲットコンテナの以前に確認された又は識別された積載位置の機能として旋回される。
【0039】
積載位置を確かめることは、例えば、識別装置によって確定されるか又は識別される複数の積載位置から積載位置を選択することを含むことができる。積載位置は、特に、1つ以上の境界条件の機能として選択することができる。そのような境界条件は、例えば、現時点でロボットによって保持される物体の性質又は幾何学、特にサイズ及び/又は外形を含み得る。代替として又は付加的に、性質、幾何学的形状、特に寸法及び/又は外形、及び/又は現時点で既にターゲットコンテナに配置されている1つ又は複数の物体の位置及び/又は向きも、そのような境界条件を形成することができる。このようにして、例えば、重い物体又は大きな物体が小さな又は例えば壊れやすい物体に積載することを回避することができる。
【0040】
一般的な態様の範囲では、エンドエフェクタ又は少なくともエンドエフェクタのサブセットは、各々、特に、対応するロボットアームへのカップリング装置を介して、取り外し可能に、特に前述のスピンドルに接続することができ、ここで、それぞれのエンドエフェクタは、エンドエフェクタがカップリング装置を介して連結されるロボットアーム/スピンドルに対して旋回軸を中心に旋回可能である。旋回軸は、特に主軸と直交して、好ましくは水平に配向される。次いで、本方法のさらなるステップによれば、ソースコンテナから物体を把持する前、及び/又は物体をターゲットコンテナに積載する前に(上記ステップd)及びh)参照)、上述のように、対応するエンドエフェクタは、旋回軸を中心に旋回することができる。特に、旋回軸を中心とするエンドエフェクタの旋回運動は、把持される物体の以前に確認された物体情報の機能として、又はターゲットコンテナの積載位置の機能として行われ得る。このようにして、異なる位置及び向きにある物体であっても確実に把持して積載させることができ、これは特に「ビン-ピッキング」の場合に有利である。このために、ハンドリングシステムは、それぞれの旋回軸を中心とするエンドエフェクタのそれぞれの旋回運動を駆動するための対応する駆動装置も備えることが好ましい。
【0041】
上記のように、ロボットアームはそれぞれスカラキネマティクスを有する。好ましくは、ロボットアームは、それぞれ、連続して配置された3つの腕を有する。次いで、それぞれの第1の腕は、主軸を中心に回動可能である。本方法の有利な開発の範囲で、次に、主軸を中心とするロボットアームの移動は、主軸を中心とする第1ロボットアームの第1の腕と第2ロボットアームの第1の腕との間の角度が、120°より小さくない、特に140°より小さくない、より詳細には160°より小さくない、より詳細には170°より小さくない、より詳細には175°より小さくない、という形で同期することができる。このようにして、ロボットアーム間の衝突、又はロボットアームに保持された物体間の衝突が発生するリスクを低減することができる。さらに、そのような実施形態では、主軸を中心とするロボットアームによってカバーされる角度範囲が制限されるので、ソースコンテナとターゲットコンテナとの間の中間空間を比較的狭くすることができ、それにもかかわらずゼロ位置をとることができる。
【0042】
さらなる一般的な態様によれば、識別装置が、さらに検出ユニット、特にさらに別のカメラを備える場合に有利である。これらのさらなる検出ユニットの1つが、各ロボットアームに配置され、したがって、ロボットアームと共に旋回可能である場合、特に有利である。さらなる検出ユニットは、特に、ロボットアームのエンドエフェクタに保持される物体を監視するように配置及び設計され得る。特に、本方法によれば、ロボットアームのエンドエフェクタに保持された物体、特にその位置及び/又は向きを、このロボットアームに配置された更なる検出ユニットによって検出することができ、特に監視することができる。さらなる検出ユニット又はそのサブセットが、物体のバーコードを識別するように設計されていることも考えられる。
【0043】
上述のタスクはまた、請求項13に記載のハンドリングシステムによって達成される。ハンドリングシステムは、上述の方法の1つを実施するように設計されている。
【0044】
ハンドリングシステムは、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームを備えたロボットを含む。また、ロボットが2本以上のロボットアームを有することも考えられる。各ロボットアームには、それぞれの場合に物体を把持するためのエンドエフェクタが配置されている。ロボットアームは、共通の、特に鉛直な主軸を中心に旋回可能である。ロボットアームは、それぞれスカラキネマティクス、特に4軸スカラキネマティクスを有する。又はンドリングシステムは、物体を収容するための少なくとも1つのソースコンテナを備える。特に、ハンドリングシステムは、複数の物体が配置されたソースコンテナを備えることができる。ハンドリングシステムは、物体を収容するための少なくとも1つのターゲットコンテナも備えている。少なくとも1つのソースコンテナと少なくとも1つのターゲットコンテナは、特にロボットアームがソースコンテナから物体を把持し、それらをターゲットコンテナに移送してそこに積載できるように、特に円周に沿って、主軸の周りに分散して配置される。また、少なくとも1つのソースコンテナ及び少なくとも1つのターゲットコンテナは、ロボットアームがソースコンテナ及びターゲットコンテナを横切る主軸に対して旋回可能であるように配置される。更に、少なくとも1つのソースコンテナ及び少なくとも1つのターゲットコンテナは、ロボットアームが、主軸に沿った上方から見て、ソースコンテナの上方にもターゲットコンテナの上方にもロボットアームが位置しないゼロ位置をとることができるように配置される。
【0045】
ハンドリングシステムは、識別装置も備えている。この識別装置は、ソースコンテナ検出ユニットを備え、この検出ユニットは、特に、ソースコンテナの上を主軸との関係で配列され、特に、光学的又は視覚的にソースコンテナと、任意に、その中に提供又は収容された物体とを検出するように設計されている。例えば、ソースコンテナ検出ユニットはカメラを備えることができる。また、識別装置は、ターゲットコンテナ検出ユニットを備え、このターゲットコンテナ検出ユニットは、特に、主軸に関してターゲットコンテナの上方に配置され、特に、光学的に又は視覚的に、ターゲットコンテナと、オプションとして、その中に設けられた又は収容された物体とを検出するように設計されている。例えば、ターゲットコンテナ検出ユニットは、カメラを備えることができる。
【0046】
又はンドリングシステムは、ハンドリングシステムを制御するための、特にロボット及び/又は識別装置を制御するための、制御装置を備える。制御装置は、上述の方法の1つを実行するように構成される。
【0047】
本方法に関連して上述されたハンドリングシステムの利点及び任意の特徴はまた、請求項13に記載されたハンドリングシステムを設計する役割を果たすことができ、その結果、繰返しを回避するために、この点に関して上記の開示を参照されたい。
【0048】
有利な実施形態の範囲では、ソースコンテナ及びターゲットコンテナは、主軸に関して互いに対向して配置される。
【0049】
各ロボットアームは、別個のロボットユニットの一部であることが考えられる。例えば、ロボットが、第1のロボットアームを提供する第1のスカラロボットユニットを備えることが可能であり、またロボットが、第1のスカラロボットユニットから特に空間的に分離され、第2のロボットアームを提供する第2のスカラロボットユニットを備えることが可能である。次いで、第1のスカラロボットユニット及び第2のスカラロボットユニットは、ロボットアームの旋回軸が同軸に延在するように配置され、その結果、ロボットアームが共通の主軸を中心として旋回可能であることが好ましい。
【0050】
第1及び第2のロボットアームが共通のロボット基部に搭載されることも考えられる。例えば、ロボットがロボット基部を有し、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームが主軸を中心に旋回するようにロボット基部に枢着されていることが考えられる。特に、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、共通のベアリングを介してロボット基部に取り付けることができる。
【0051】
すでに述べたように、ロボットアームにそれぞれスピンドルがあると有利な場合がある。スピンドルは、特に、主軸、特に鉛直なスピンドル軸に平行なスピンドル軸に対する並進運動及び/又は回転運動を駆動するように設計され得る。例えば、スピンドルはボールローラスピンドルとして設計することができる。特に、それぞれのエンドエフェクタは、スピンドル、特にスピンドルの一端に配置される。このようなスピンドルドライブは、高速で正確に反復可能な動きを可能にし、これは、把持性能にプラスの影響を与える。
【0052】
有利な実施形態の範囲では、ロボットアームは、それぞれ、連続して配置された3つの腕を有することができる。特に、ロボットアームのそれぞれの第1の腕は、主軸に対応する第1の軸を中心として旋回可能であり、特に回転可能である。2つのロボットユニットを備えた一実施形態では、第1の腕は、それぞれの場合において、第1の軸を中心に旋回するようにそれぞれのロボット基部に枢着することができる。次いで、ロボットユニットは、特に、第1の軸が同軸に延在し、したがって、共通の主軸を形成するような方法で配置され得る。それぞれの第2の腕は、それぞれの第2の軸を中心に旋回するように、特に回転するように、対応するロボットアームの第1の腕に枢着することができる。次いで、前述のスピンドルによって、それぞれの第3の腕を設けることができる。この点において、それぞれのロボットアームのスピンドルは、このロボットアームの第3の腕を形成することができる。好ましくは、ロボットアームのスピンドルは、それぞれのスピンドル軸(第3の軸)を中心として回転するように、このロボットアームの第2の腕に枢着され得る。スピンドルは、特に、スピンドル軸を中心とする純粋な回転運動と、スピンドル軸に沿った並進運動との両方を、特に互いに独立して行うことができるように、スピンドル軸を中心として回転可能に取り付けることができる。特に、それぞれのロボットアームのスピンドルは、それぞれのスピンドル軸に沿った主軸と共に延在することができる。
【0053】
ロボットは、それぞれの軸を中心とする腕の旋回運動を駆動するために、対応する駆動装置を備えることが好ましい。スピンドルの駆動装置及び/又は伝達装置は、ロボットアームのそれぞれの第2の腕に配置され得る。
【0054】
ロボットアーム、特に全てのロボットアームの第1の軸、第2の軸及びスピンドル軸は、有利には、互いに平行に、特に鉛直に延在することができる。そのような実施形態は、個々のロボットアームの平行移動を促進する。この点において、ロボットアームの第一及び第2の腕は、平行の、特に水平の、移動平面に沿って旋回可能であることができる。
【0055】
例えば建物のフロアに立っている複数のコンテナからの、共通の取り付け平面からの物体の把持を容易にするために、ロボットアームの第2の腕が、第2の腕のスピンドルのベアリングポイントが主軸に沿って同じ高さにあるように設計される場合、有利である場合もある。
【0056】
有利な開発の範囲では、エンドエフェクタは、各々、特に、対応するロボットアームへのカップリング装置を介して、特に、それぞれのスピンドルに、反復可能に脱着可能に接続することができる。例えば、エンドエフェクタが磁気接続を介してロボットアーム、特にスピンドルに接続されていることが考えられる。
【0057】
特に、カップリング装置は各々、エンドエフェクタがカップリング装置を介して連結されるロボットアーム/スピンドルに対してそれぞれのエンドエフェクタが旋回軸を中心に旋回可能であるように設計することができる。旋回軸は、特に、主軸又はスピンドル軸に対して垂直に、好ましくは水平に向けられる。そのような実施形態は、ロボットアームに対してエンドエフェクタを簡単かつ確実に調節することを可能にし、したがって、例えば、把持される物体の位置及び向きの機能として、エンドエフェクタの配向を適合させることが可能になる。
【0058】
この文脈において、ハンドリングシステムが、エンドエフェクタの旋回運動を第4の軸を中心として駆動するように設計された駆動装置、特に各ロボットアームのための駆動装置も備えている場合にも有利である場合がある。これにより、エンドエフェクタの向きを自動的に変えることができる。そして、上述の制御装置は、有利には、駆動装置を制御するようにも設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明を、図を参照して以下により詳細に説明する。
【0060】
図1図1は、側面図におけるハンドリングシステムの実施形態の簡略図を示す。
図2a図2aは、異なるロボット位置を有する平面図における、図1によるハンドリングシステムの簡略化した概略図を示す。
図2b図2bは、異なるロボット位置を有する平面図における、図1によるハンドリングシステムの簡略化した概略図を示す。
図3図3は、ハンドリングシステムのさらなる実施形態の簡略図を側面図で示す。
図4図4は、ハンドリングシステムによって物体をハンドリングするための例示的な方法を説明するための、ハンドリングシステムの簡略化した概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の説明及び図において、同一の参照符号は、それぞれの場合において、同一又は対応する特徴に使用される。
【0062】
図1は、全体を参照符号10で示すハンドリングシステムの一実施形態を、簡略化した概略図で示す。
【0063】
ハンドリングシステム10は、ロボット12と、図示の例では、ロボット12によって移動可能である2つのエンドエフェクタ14-1、14-2からなる(これについては、以下でさらに詳細に説明する)。
【0064】
図示の例では、エンドエフェクタ14-1、14-2は、物体を吸引する吸引グリッパ16として設計されている。しかし、図示しない実施形態では、エンドエフェクタ14-1、14-2又はそれらのサブセットが、機械的把持具として、例えば、空気圧作動式機械的把持具として設計されることも考えられる。
【0065】
図示の例では、ロボット12は、ロボット基部18と、図示の例では、2つのロボットアーム20-1、20-2を含む。
【0066】
ロボットアーム20-1、20-2 は、それぞれスカラキネマティクスを有する。具体的な例では、各ロボットアーム20-1、20-2は、3つの連続して配置された腕22-1、22-2、24-1、24-2、26-1、26-2を有し、第3の腕26-1、26-2は、スピンドル34-1、34-2によって形成される。しかし、他の実施形態も考えられる。
【0067】
図1から分かるように、ロボットアーム20-1、20-2の第1の腕22-1、22-2は、第1の軸28を中心として旋回する、特に回転するようにロボット基部18に枢着されている。この点において、第1の軸28はロボット12の主軸29を形成している。好ましくは、第1の腕22-1、22-2は共通のベアリングを介してロボット基部18に取り付けられる。ロボット12は、特に、主軸29を中心とするロボットアーム20-1、20-2の第1の腕22-1、22-2の旋回運動を駆動するための対応する駆動装置(図示せず)を有する。
【0068】
ロボットアーム20-1、20-2のそれぞれの第2の腕24-1、24-2は、ピボットジョイント30-1、30-2を介して、このロボットアーム20-1、20-2の第1の腕22-1、22-2に枢着され、第1の腕22-1、22-2に対してそれぞれの第2の軸32-1、32-2を中心に旋回可能である。ロボット12は、第2の腕24-2、24-2のそれぞれの旋回運動をそれぞれの第2の軸32-1、32-2を中心として駆動するための対応する駆動装置(図示せず)を備えることが好ましい。
【0069】
ロボットアーム20-1、20-2のそれぞれの第3の腕26-1、26-2は、主軸軸36-1、36-2に沿ってその主軸と共に延在するスピンドル34-1、34-2によって形成される。スピンドル34-1、34-2は、それぞれのスピンドル軸36-1、36-2を中心に回転するように、それぞれのロボットアーム20-1、20-2の第2の腕24-1、24-2に取り付けられる。
【0070】
上述のように、スピンドル34-1、34-2は、特に、スピンドル軸36-1、36-2を中心とする回転運動と、スピンドル軸36-1、36-2に沿った並進運動の両方を行うことができるボールローラスピンドルとして設計することができる。次に、スピンドル34-1、34-2の動きを駆動するための、対応する駆動装置及び/又は伝達装置を、対応するロボットアーム20-1、20-2のそれぞれの第2の腕24-1、24-2に設けることができる。
【0071】
ロボット12の軸28、32-1、32-2、36-1、36-2は、例として、好ましくは、互いに平行に配向され、例において鉛直に延在する。
【0072】
図1から分かるように、第1の腕22-1、22-2は、一例として、第1の軸28に沿って互いに片寄って配置され、その結果、例における第1のロボットアーム20-1の第1の腕22-1は、第2のロボットアーム20-2の第1の腕22-2の下を通って旋回され得る。この軸方向のオフセットを補償するために、実施例における第2のロボットアーム20-2の第2の腕24-2は、第2の腕24-1、24-2のスピンドル34-1、34-2の対応するベアリング点38-1、38-2が、第1の軸28/主軸29に沿って同じ高さにあるように、任意にオフセット又は曲げられる。この点に関し、スピンドル34-1、34-2のベアリング点38-1、38-2は、第1の軸28に対して直交する方向を向いている共通平面に配置される。
【0073】
図1に示すように、エンドエフェクタ14-1、14-2は、図中のスピンドル34-1、34-2の下端40-1、40-2に配置される。この例では、エンドエフェクタ14-1、14-2は、それぞれ、オプションのカップリング装置42-1、42-2を介して、対応するスピンドル34-1、34-2に接続されている。
【0074】
例として、オプションのカップリング装置42-1、42-2は、それぞれ、対応するエンドエフェクタ14-1、14-2がスピンドル34-1、34-2に対してそれぞれの旋回軸44-1、44-2を中心に旋回可能であるように設計される。図1から分かるように、それぞれの旋回軸44-1、44-2は、一例として、好ましくは、スピンドル軸36-1、36-2に対して(したがって、主軸29及び第2の軸32-1、32-2に対しても)垂直に配向されている。
【0075】
具体的な例では、カップリング装置42-1、42-2は、それぞれ、回転可能にスピンドル34-1、34-2に枢着される接続部46-1、46-2と、旋回軸44-1、44-2を中心に旋回するように、接続部46-1、46-2のピボットジョイント50-1、50-2を介して取り付けられるピボット部48-1、48-2と、を有する。次に、エンドエフェクタ14-1、14-2をカップリングできるカップリング部分をピボット部48-1、48-2に配置することができる。例えば、カップリング部分は、エンドエフェクタ14-1、14-2の繰り返しカップリング及びデカップリングを可能にするクイックチェンジクラッチとして設計されることが考えられる。
【0076】
それぞれの旋回部48-1、48-2、したがってそれにカップリングされたエンドエフェクタ14-1、14-2を、旋回軸44-1、44-2を中心に旋回させるために、ハンドリングシステム10は駆動装置(図示せず)、特に各ロボットアーム20-1、20-2用の駆動装置も備えてよい。この文脈では、例えば、駆動装置が電動又は空気圧駆動装置を備えることが考えられる。
【0077】
ハンドリングシステム10は、物体54を収容するソースコンテナ52と、物体54を収容するターゲットコンテナ56も備えている。図1は、ハンドリングプロセスの開始時の代表的な適用状況におけるハンドリングシステム10を示しており、この場合、ソースコンテナ52に複数の物体54が配置され、一方ターゲットコンテナ56はまだ空である。物体54は、異なるサイズ及び形状を有することができ、ソースコンテナ52で順序付けされた方法及び順序付けされていない方法の両方で配置することができる。
【0078】
図1から分かるように、ロボットアーム20-1、20-2は、それらがソースコンテナ52及びターゲットコンテナ56を横切って主軸29に対して旋回可能であるように配置されている。
【0079】
一例として、及び好ましくは、ソースコンテナ52及びターゲットコンテナ56は、主軸29に対して互いに対向して配置される(図2a及び2b参照)。しかし、原理的には、ソースコンテナ52及びターゲットコンテナ56の他の配置も可能である。
【0080】
ソースコンテナ52及びターゲットコンテナ56は、エンドエフェクタ14-1、14-2の手段によって、ロボットアーム20-1、20-2がソースコンテナ52から物体54を把持し、それらをターゲットコンテナ56(以下、本方法を参照して詳細に説明する)に移送できるように配置される。
【0081】
図2aは、第1のロボットアーム20-1がソースコンテナ52に近づき、第2のロボットアーム20-2がターゲットコンテナ56に近づいた構成のハンドリングシステム10を示す。図2aから分かるように、このことは、第1のロボットアーム20-1が、主軸29に沿って上方から見て(すなわち、図面平面で見て)ソースコンテナ52の上方に配置され(その結果、ロボットアーム20-1は、エンドエフェクタ14-1によってソースコンテナ52から物体54を把持することができる)、第2のロボットアーム20-2は、ターゲットコンテナ56の上方に配置される(その結果、ロボットアーム20-2は、エンドエフェクタ14-2によって物体54をターゲットコンテナ56に積載することができる)ことを意味する。
【0082】
図2bに示すように、ソースコンテナ52及びターゲットコンテナ56は、ロボットアーム20-1、20-2が、ソースコンテナ52とターゲットコンテナ56との間にゼロ位置(図2bに示す)をとることができるように配置され、その位置では、ロボットアーム20-1、20-2は、ソースコンテナ52の上方にもターゲットコンテナ56の上方にも、主軸29に沿った視界(すなわち、図面平面に直交する視界)にも配置されない。
【0083】
これにより、ソースコンテナ52及び/又はターゲットコンテナ56、及び任意にその上から配置された物体54を、ロボットアーム20-1、20-2を通る破壊的な輪郭なしで上から検出することが可能になり、従って、コンテナ52、56に収容された物体54の幾何学及び/又は位置及び向きを例えば識別することが可能になる。
【0084】
この目的のために、ハンドリングシステム10は、ソースコンテナ52及びターゲットコンテナ56、及び任意にその上に配置された物体54を識別するように設計された識別装置58を備えている。
【0085】
図1に示すように、識別装置58は、ソースコンテナ52を検出するソースコンテナ検出ユニット60を備えている。ソースコンテナ検出ユニット60は、ロボットアーム20-1、20-2が、ソースコンテナ52とソースコンテナ検出ユニット60との間を旋回できるように、ソースコンテナ52の上方に主軸29に対して配置される。同様に、ハンドリングシステム10は、ターゲットコンテナ56を検出するためのターゲットコンテナ検出ユニット62も含む。図1に概略的に示すように、ソースコンテナ検出ユニット60及び/又はターゲットコンテナ検出ユニット62は、それぞれカメラを備えることができる。
【0086】
上述のように、ソースコンテナ検出ユニット60は、特に、ソースコンテナ52に配置された1つ又は複数の物体54の性質、幾何学形状、及び/又は位置及び向きを識別するように設計することができる。ターゲットコンテナ検出ユニット62は、ロボット2によって保持されている物体についてターゲットコンテナ56の積載位置を識別するように設計することができる。また、ターゲットコンテナ検出ユニット62は、ターゲットコンテナ56に配置された1つ又は複数の物体54の性質、幾何学形状、及び/又は位置、及び向きを識別するように設計することができる。
【0087】
識別装置58は、さらにユニット、例えば、画像データを分析するためのデータ処理ユニットを備えることができる。図示の例では、識別装置58はまた、任意選択のさらなる検出ユニット64-1、64-2を備え、これらのさらなる検出ユニット64-1、64-2のうちの1つは、各ロボットアーム20-1、20-2に配置される(図1参照)。さらなる検出ユニット64-1、64-2は、特に、エンドエフェクタ14-1、14-2に保持されている物体54を監視するように設計されている。
【0088】
ハンドリングシステム10はまた、ロボット12を制御するための制御装置(図示せず)を含み、制御装置は、任意に、旋回軸44-1、44-2を中心としてエンドエフェクタ14-1、14-2の旋回運動を駆動するための任意に設けられた駆動装置を制御するためのものである。
【0089】
図3はハンドリングシステム10の更なる実施形態を示しており、ここでロボットアーム20-1、20-2は共通のロボット基部18に搭載されておらず、独立したロボットユニット66-1、66-2の各部である。この点において、図2によるハンドリングシステム10は、第1のロボットアーム20-1を提供し、例においてスカラロボットユニットとして設計される第1のロボットユニット66-1と、第2のロボットアーム20-2を提供し、同様に例においてスカラロボットユニットとして設計される第2のロボットユニット66-2とを含む。
【0090】
一例として、第1のロボットユニット66-1は、ビルのフロアに配置された第1のスカラロボットによって提供することができ、第2のロボットユニット66-2は、キャリア、例えばビルの天井に配置された第2のスカラロボットによって提供することができる。
【0091】
図3に模式的に示すように、ロボットユニット66-1、66-2は、各々、対応するロボットアーム20-1、20-2のそれぞれの第1の腕22-1、22-2が、それぞれの第1の軸68-1、68-2を中心として旋回するように取り付けられたロボット基部18を有する。ロボットユニット68-1、68-2は、ロボットユニット66-1、66-2の2つのロボットアーム20-1、20-2が、最終的に共通の主軸29を中心として旋回可能であるように、第1の軸68-1、68-2が少なくとも実質的に同軸に延在するように配置されることが好ましい。
【0092】
さもなければ、図3に係るハンドリングシステム10の構造は、図1に係る実施形態に実質的に対応するので、繰返しを回避するために、この点に関する上記説明を参照されたい。同一の参照符号は、機能的に同一又は類似の構成要素を示す。
【0093】
図1に示す例から逸脱すると、図3による実施形態におけるエンドエフェクタ14-1、14-2は、例として、ピボットカップリングを伴わないスピンドル34-1、34-2に接続される。しかし、図1に示すカップリング装置42-1、42-2も、図3によるハンドリングシステム10に設けることも考えられる。
【0094】
ハンドリングシステム10によって物体54をハンドリングする方法の有利な実施形態を、図4を参照して以下に説明する。
【0095】
初期ステップ100において、ロボットアームはゼロ位置に移される(ステップa)。
【0096】
さらなるステップ102(ステップb)では、ソースコンテナ52及び/又はターゲットコンテナ56が、識別装置58によってこのロボット位置に識別される。特に、ソースコンテナ52は、ソースコンテナ検出ユニット60によって視覚的に検出され、及び/又は、ターゲットコンテナ56は、ターゲットコンテナ検出ユニット62によって視覚的に検出される。上述したように、ステップ102では、ソースコンテナ52に収容された物体54のうちの1つ又は複数の物体情報が確認され、及び/又はターゲットコンテナ56の積載位置が確認されることが特に考えられる。
【0097】
さらなるステップ104(ステップc)では、次に、ロボットアーム20-1、20-2が、第1の方向70(例では、参照符号70によって示される矢印)で主軸29を中心として旋回し、第1のロボットアーム20-1がソースコンテナ52に近づき、第2のロボットアーム20-2がターゲットコンテナ56に近づくようにする(又はその逆)。この点において、ロボットアーム20-1、20-2は各々、異なるコンテナ52、56に近づく。
【0098】
主軸29を中心とするロボットアーム20-1、20-2の運動は、主軸29を中心とする第1の腕20-1、20-2によって囲まれる角度αが120°より小さくない、特に140°より小さくないような方法で同期されることが好ましい。
【0099】
さらなるステップ106(ステップd)では、第1のロボットアーム20-1のエンドエフェクタ14-1(すなわち、ソースコンテナ52に近づいたロボットアーム20-1)によって、ソースコンテナ52から物体54が把持される。この目的のために、第1のロボットアーム20-2のエンドエフェクタ14-1が、スピンドル34-1によって、ソースコンテナ52の方向にスピンドル軸36-1に沿って移動することが考えられる。任意に、エンドエフェクタ14-1は、例えば、把持される物体54の位置及び向きにエンドエフェクタ14-1の配向を適合させるために、物体54が把持される前に旋回軸44-1を中心に旋回される。物体54が第2のロボットアーム20-2のエンドエフェクタ14-2に保持される場合、この物体54はステップ106でターゲットコンテナ56の積載位置に積載される。この目的のために、第2のロボットアーム20-2のエンドエフェクタ14-2が、スピンドル34-2によって、ターゲットコンテナの方向にスピンドル軸36-2に沿って移動することが考えられる。任意に、エンドエフェクタ14-2は、物体54が積載される前に、例えば、エンドエフェクタ14-2の向きをターゲットコンテナ56の積載位置に適合させるために、旋回軸44-2を中心に旋回される。
【0100】
上述のように、好ましくは、第1のロボットアーム20-1は、ソースコンテナ52に近づき(ステップ104)、物体54がソースコンテナ52から把持され、及び/又はエンドエフェクタ14-1が、ステップ102において前もって任意に確認された物体情報の機能として任意に旋回される(ステップ106)。同様に、好ましくは、第2のロボットアーム20-2がターゲットコンテナ56に近づき(ステップ104)、エンドエフェクタ14-2が旋回され、及び/又は物体54が、ターゲットコンテナ56で、ステップ102において前もって確認された、積載位置の機能としてターゲットコンテナに積載される(ステップ106)。
【0101】
さらなるステップ108(ステップe)では、ロボットアーム20-1、20-2が、ロボットアーム20-1、20-2が再びゼロ位置をとるまで、主軸29を中心として第1の方向70と反対の第2の方向72(例では反時計回り方向)に旋回される。しかし、実施形態(図示せず)では、ロボットアーム20-1、20-2が、第1の方向70にさらに旋回されることが可能であるため、方向の変更は必要とされない。
【0102】
さらなるステップ110(ステップf)では、次いでステップ102と同様に、識別装置58によって、ソースコンテナ52及び/又はターゲットコンテナ56が識別される。
【0103】
さらなるステップ112(ステップg)では、次に、ロボットアーム20-1、20-2は、第1のロボットアーム20-1がターゲットコンテナ56に近づき、第2のロボットアーム20-2がソースコンテナ52に近づくように、さらに第2の方向72に旋回する。
【0104】
さらなるステップ114(ステップh)では、ステップ106と類似して、ここでは、第2のロボットアーム20-2のエンドエフェクタ14-2(すなわち、ソースコンテナ52に近づいたロボットアーム20-2)によって、物体54がソースコンテナ52から把持される。任意に、エンドエフェクタ14-2は、例えば、把持される物体54の位置及び向きにエンドエフェクタ14-2の配向を適合させるために、物体54が把持される前に旋回軸44-2を中心に旋回される。さらに、ステップ106において、第1のロボットアーム20-1のエンドエフェクタ14-1によって把持された物体54は、ここでは、ターゲットコンテナ56に、特に、ステップ110において確認される積載位置において確認された、ターゲットコンテナ56に積載される。任意に、エンドエフェクタ14-1は、物体54が積載される前に、例えば、エンドエフェクタ14-2の向きをターゲットコンテナ56の積載位置に適合させるために、旋回軸44-1を中心に旋回される。
【0105】
好ましくは、ロボットアームは、ステップ112で旋回され、エンドエフェクタ14-2は随意に旋回され、及び/又は物体54はステップ110の機能として、特に任意に確定された物体情報の機能として、ステップ110で、ソースコンテナ52から把持される(ステップ114)。好ましくは、第1のロボットアーム20-1は、ターゲットコンテナ56に近づき(ステップ112)、エンドエフェクタ14-1が任意に旋回され、及び/又は物体54が、積載位置の機能としてターゲットコンテナに積載され(ステップ114)、以前ステップ110において任意に確認され、ターゲットコンテナ56にある。
【0106】
更なるステップ116において、ロボットアーム20-1、20-2は、ここで、主軸29を中心として第1の方向70のゼロ位置に再び移転される。次いで、この方法は、ステップ102から、特に、すべての物体54又は物体54の以前に定義されたサブセットがソースコンテナ52からターゲットコンテナ56に移送されるまで繰り返されることが好ましい。
図1
図2a
図2b
図3
図4