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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054704
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】在庫配置案決定装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240410BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240410BHJP
   G06Q 10/087 20230101ALI20240410BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/04
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161113
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 雄平
(72)【発明者】
【氏名】宮本 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正人
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA04
5L010AA16
5L049AA04
5L049CC07
5L049CC52
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】保守部品の需要が発生するタイミングを的確に予測し、そのタイミングに合わせた在庫管理を可能とする。
【解決手段】この在庫配置案決定装置は、各種情報を記憶する記憶部を含む記憶装置と、記憶部に記憶される情報に基づいて部品の在庫の配置に関する各種演算を実行する演算部を含む制御装置を備える。記憶部は、部品の需要に関する需要情報、部品に関する検索の履歴に関する検索履歴情報を少なくとも記憶する。演算部は、少なくとも需要情報と検索履歴情報とに基づいて、将来において当該部品の需要が発生するタイミングを予測する需要発生タイミング予測部と、需要発生タイミング予測部での予測結果に基づいて、物流拠点における部品の在庫についての在庫配置案を生成する在庫配置案生成部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と記憶装置とを有し、物流拠点における部品の在庫の配置を決定する在庫配置案決定装置において、
前記記憶装置は、
各種情報を記憶する記憶部を備え、
前記制御装置は、
前記記憶部に記憶される情報に基づいて前記部品の在庫の配置に関する各種演算を実行する演算部を備え、
前記記憶部は、前記部品の需要に関する需要情報、前記部品に関する検索の履歴に関する検索履歴情報を少なくとも記憶し、
前記演算部は、
少なくとも前記需要情報と前記検索履歴情報とに基づいて、将来において当該部品の需要が発生するタイミングを予測する需要発生タイミング予測部と、
前記需要発生タイミング予測部での予測結果に基づいて、前記物流拠点における部品の在庫についての在庫配置案を生成する在庫配置案生成部と
を備えることを特徴とする在庫配置案決定装置。
【請求項2】
前記在庫配置案生成部が生成した前記在庫配置案と、前記需要発生タイミング予測部が予測した前記部品の需要が発生する前記タイミングに基づいて、前記物流拠点のサービス率と在庫金額を計算する評価指標演算部を更に備える、請求項1に記載の在庫配置案決定装置。
【請求項3】
前記需要発生タイミング予測部は、前記部品が利用される機械の稼働情報と前記検索履歴情報の因果関係を用いて前記部品の需要が発生する前記タイミングを予測する、請求項1に記載の在庫配置案決定装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記部品の特性を示す部品特性情報を更に記憶し、
前記需要発生タイミング予測部は、前記需要情報、前記検索履歴情報、及び前記部品特性情報に基づき前記タイミングを予測する、請求項1に記載の在庫配置案決定装置。
【請求項5】
前記需要発生タイミング予測部は、前記部品の特性に従い、前記タイミングの予測を停止し、前記在庫配置案生成部が前記在庫配置案の生成を停止する、請求項4に記載の在庫配置案決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、在庫配置案決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の運転においては、保守部品の寿命の到来、故障、消耗が定期的又は不定期に発生するため、建設機械メーカや代理店においては、そのような保守部品を迅速に顧客に供給することが求められている。
【0003】
保守部品の中には、比較的短い周期で寿命が到来して頻繁に交換の対象となる部品もある一方で、数年に1度程度しか需要が発生しない部品も多数存在する。そのような数年に一度しか需要が発生しない部品は、概して高額である。そのような需要が少ないが高額な保守部品を常にエンドユーザ(顧客)の拠点の近隣の倉庫(地域デポ)に保有する場合、数年間に亘りそれらの保守部品が倉庫を占有し、その保管管理業務が発生し、在庫回転率が減少し、棚卸資産の増加に繋がるという問題が生じる。このため、そのような低需要及び高額の保守部品をできるだけ在庫として保有しないような管理が求められる。
【0004】
一方で、サービス性の向上の観点からは、建設機械の稼働停止によるエンドユーザの業務の停止の可能性をできるだけ抑制することが望ましい。そのためには、低需要で高額な保守部品も、できるだけエンドユーザの拠点に近い物流拠点(地域デポ)に保有し、受注即日出荷を実現して、納期リードタイムを短縮することが求められる。
【0005】
保守部品の在庫を縮減しつつも、サービス性の向上を図るため、保守部品の需要を予測して在庫管理に利用する技術が、例えば特許文献1により知られている。特許文献1の技術は、品目の特性や過去の需要実績、機械の過去の稼働実績などの情報を用いて未来の需要を予測し、その予測結果に従って在庫を管理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-85645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の技術では、過去の需要実績と機械の過去の稼働実績との間に相関関係が認められない場合が多く、このため予測の精度が十分でないという問題がある。
【0008】
本開示は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、保守部品の需要が発生するタイミングを的確に予測し、そのタイミングに合わせた在庫管理を可能とする在庫配置案決定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本開示に係る在庫配置案決定装置は、制御装置と記憶装置とを有し、物流拠点における部品の在庫の配置を決定する在庫配置案決定装置において、前記記憶装置は、各種情報を記憶する記憶部を備え、前記制御装置は、前記記憶部に記憶される情報に基づいて前記部品の在庫の配置に関する各種演算を実行する演算部を備える。前記記憶部は、前記部品の需要に関する需要情報、前記部品に関する検索の履歴に関する検索履歴情報を少なくとも記憶する。前記演算部は、少なくとも前記需要情報と前記検索履歴情報とに基づいて、将来において当該部品の需要が発生するタイミングを予測する需要発生タイミング予測部と、前記需要発生タイミング予測部での予測結果に基づいて、前記物流拠点における部品の在庫についての在庫配置案を生成する在庫配置案生成部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、保守部品の需要が発生するタイミングを的確に予測し、そのタイミングに合わせた在庫管理を可能とする在庫配置案決定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係る在庫配置案決定装置100を説明する概略図である。
図2】品目マスタ情報格納部111のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図3】需要情報格納部112のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図4】在庫情報格納部113のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図5】在庫配置案情報格納部114のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図6】検索履歴情報格納部115のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図7】機械稼働情報格納部116のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図8】予測結果情報格納部117のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図9】評価指標演算結果情報格納部118のデータ構造の一例を示すデータ構造図である。
図10】第1の実施の形態に係る在庫配置案決定装置100が実行する処理手順の一例について説明するフローチャートである。
図11】出力画面1400の一例を示す。
図12】第2の実施の形態に係る在庫配置案決定装置100の動作を説明するフローチャートである。
図13】在庫配置案決定装置100の基本原理を説明する概略図である。
図14】在庫配置案決定装置100の基本原理を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0013】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、図1等を参照して、第1の実施の形態に係る在庫配置案決定装置100を説明する。具体的な装置の構成の説明に入る前に、図13及び図14を参照して、この在庫配置案決定装置100の前提を説明する。
【0015】
図13に示すように、建設機械の保守部品は、サプライヤ(例えば建設機械メーカ)により製造され、中央物流拠点(CPD)、地域物流拠点(地域デポ)、代理店等を介してエンドユーザ(建設会社等)に供給される。地域デポは、エンドユーザの活動拠点の近く、又は代理店の近くに位置し、エンドユーザに迅速に保守部品を供給する。CPDは、複数の地域デポを統括し、サプライヤから保守部品の供給を受け、複数の地域デポに適宜保守部品を供給し、保管させる。
【0016】
そうした保守部品の中には、数年に一度しか需要が無い低需要の保守部品も多く存在し、さらにそのような品目は高額である傾向にある。このような低需要・高額の保守部品を常に前線の地域デポに在庫として保持すると、数年間に亘りそのような保守部品が倉庫を占有するため、保管管理業務が発生し、在庫回転率の減少、棚卸資産の増加に繋がる問題がある。このため、こうした低需要・高額な保守部品を、できるだけ在庫として保有しないことが望まれる。
【0017】
しかし、その一方で、サービス性の向上の観点からは、FMCなどの包括的な保守契約条件や、マシンダウンによるエンドユーザ業務の停止を最低限に抑制する必要があり、そのためには、前線の地域デポでそのような低需要・高額の保守部品も在庫として保有し、受注があれば即日出荷を実現し、納期を最短にすることが望ましい。
【0018】
このため、このような低需要で高額な保守部品に関しては、一例として、図14に示すように、前線の地域デポでの在庫を多くする状態(前線通常)と、前線の地域デポでの在庫は少なくし、後方のCPDでの在庫の割合を増やす状態(前線削減)と、前線の地域デポには在庫を置かず、後方のCPDにおいてのみ在庫として保持する状態(中央集約)とを適宜切り替えて対応することが好ましい。低需要・高額な保守部品の需要の見通しに基づき、この3つの状態を適宜調整することで、在庫の管理費用を抑制しつつも、サービス性の向上を図ることができる。しかし、保守部品の需要の発生を的確に予想して、このような調整を部品不足や過剰在庫を回避しつつ実行することは困難であった。第1の実施の形態の在庫配置案決定装置100は、需要の予想を以下に詳細する方法により的確に実行し、これによりCPD及び地域デポにおける在庫配置案を生成する。
【0019】
図1を参照して、第1の実施の形態に係る在庫配置案決定装置100を説明する。第1の実施の形態の在庫配置案決定装置100は、ネットワークNWを介して、ユーザが使用するユーザ端末200、及び各種データが保存されたデータベース300に接続されている。
【0020】
在庫配置案決定装置100は、パーソナルコンピュータ、またはサーバーコンピュータ等の情報処理装置であり、一例として、記憶部110と、演算部120と、入力部130と、出力部140を備える。具体的なハードウェア構成として、在庫配置案決定装置100を構成するコンピュータは、一例として、CPU(Central Processing Unit)101、GPU(Graphics Processing Unit)102、ROM103、RAM104、ハードディスクドライブ(HDD)105、表示制御部106、入出力制御部107、通信制御部108を有し、これに加え、ディスプレイ、キーボード、マウス等を備えて構成される。CPU101は、在庫配置案決定装置の動作の全体を司る中央制御装置である。GPU102は、一例として、及び画像データの画像処理を実行するための制御装置である。
【0021】
ROM103は、各種プログラムを実行するのに必要な各種データを格納する記憶装置である。RAM104は、同プログラムの演算結果等を一時的に記憶する記憶装置である。ROM103に記憶されるプログラムには、例えば分類器の学習処理を実行するための学習プログラムも含まれる。またハードディスクドライブ105は記憶装置であり、機械学習処理によって構築された学習済みモデルも記憶され得る。ROM103、RAM104、ハードディスクドライブ105は、一体として記憶部110を構成する。なお、各種プログラムは、コンピュータにより読取可能とされる可搬型の記憶媒体(例えばCD-ROM)109に格納されていてもよい。
【0022】
表示制御部106は、前述のプログラムの実行画面等をディスプレイ(図示せず)に表示させる場合の表示制御を担当する制御部であり、制御装置である。入出力制御部107は、各種入力デバイスからのデータや命令の入力、及びCPU101又はGPU102から出力される各種データの出力を制御する制御部であり、制御装置である。また、通信制御部108は、外部のコンピュータとの間でのデータ通信を司る制御部であり、制御装置である。
【0023】
ユーザ端末200は、パーソナルコンピュータ(Personal Computer)やタブレット等の情報処理装置である。ユーザは、ユーザ端末200を通して在庫配置案決定装置100に処理の実行指示を出す。また、ユーザ端末200は、在庫配置案決定装置100が出力する情報を、図示しないディスプレイやプリンタ等によりユーザへ表示する機能を有する。
【0024】
データベース300は、例えばERP(Enterprise Resources Planning)等のシステム、またはそれに準じるデータを蓄積したデータベース、または記憶装置である。ネットワークNWは、ユーザ端末200と、データベース300と、在庫配置案決定装置100を通信可能に接続する。ネットワークNWは、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、インターネット等の一般公衆回線を一部または全部に用いた通信網のいずれかである。
【0025】
記憶部110は、保守部品の在庫配置案を決定するのに用いられる各種データを記憶する記憶部であり、一例として、以下の格納部を含む。各格納部の詳細については後述する。
・保守部品の特性に関する情報が格納されている品目マスタ情報格納部111
・品目マスタ情報格納部111に登録されている保守部品の需要に関する情報が格納されている需要情報格納部112
・各物流拠点における特定の保守部品の過去の在庫量の実績に関する情報が格納されている在庫情報格納部113
・保守部品に関するエンドユーザ(顧客)による通信販売サイトでの検索履歴が格納されている検索履歴情報格納部115
・建設機械の累積の稼働時間の情報が格納されている機械稼働情報格納部116
・需要発生タイミング予測部121による予測結果を格納する予測結果情報格納部117
・評価指標演算部123による演算結果を格納する評価指標演算結果情報格納部118
【0026】
演算部120は、保守部品の需要の発生のタイミング、それに基づく在庫配置案の生成、及び評価指標に関する演算するための演算部であり、一例として、需要発生タイミング予測部121と、在庫配置案生成部122と、評価指標演算部123を有する。
【0027】
需要発生タイミング予測部121は、各保守部品の将来の需要が発生するタイミングを、需要の実績の情報、保守部品の検索の履歴の情報等に基づいて予測し、その予測結果を予測結果情報格納部117に格納する。在庫配置案生成部122は、予測結果情報格納部117に格納された予測結果(各保守部品の将来の需要が発生するタイミング)に基づき、当該予測に係る保守部品についての在庫配置案を生成し、生成された結果を在庫配置案情報格納部114に格納する。評価指標演算部123は、需要情報格納部112と在庫情報格納部113と在庫配置案情報格納部114と予測結果情報格納部117とから各種情報を読み出し、各拠点、各保守部品の組合せ毎のサービス率、在庫金額、及び想定受注件数を評価指標として算出し、算出結果を評価指標演算結果情報格納部118に格納する。
【0028】
図2は、品目マスタ情報格納部111のデータ構造の一例である。品目マスタ情報格納部111には、保守部品の特性に関する情報が格納されており、一例として、部品番号、特性区分、重量、サイズ、対応機種、使用数量等のデータ項目から構成され得る。部品番号は、保守部品を識別するための部品番号(識別番号)の情報である。特性区分は、当該保守部品の特性を示す区分情報(例えば、油圧系の部品、電装系の部品、消耗する部品など)である。重量は、保守部品の重量を示す。サイズは、保守部品のサイズ(大きさを示す指標や部品が占有する容積など)を示す。対応機種は、その保守部品が使用される建設機械の機種に関する情報である。使用数量は、その保守部品を前記対応機種において使用する場合における数量を示す。図2の1行目の情報は、部品番号001の油圧系の保守部品が重量は5kg、サイズが0.01であり、対応機種はAであり、使用数量は1であることを示している。
【0029】
図3は、需要情報格納部112のデータ構造の一例を示している。需要情報格納部112には、品目マスタ情報格納部111に登録されている保守部品の需要に関する情報が格納されており、需要が発生した日付、部品番号、数量、受注拠点等のデータ項目から構成される。例えば図3の1行目の情報は、2019年1月1日に部品番号001の保守部品について、拠点1から1個の受注があった(需要が発生した)ことを示している。
【0030】
図4は、在庫情報格納部113のデータ構造の一例を示している。在庫情報格納部113には、各物流拠点における、特定の保守部品の過去の在庫量の実績に関する情報が格納されており、一例として、拠点名、部品番号、日付、在庫数、在庫単価をデータ項目として含み得る。拠点名は、在庫を保有している物流拠点(地域デポ)の名称を示す。部品番号は、在庫として保有されていた保守部品の識別番号を示す。日付は、在庫を確認した日付を示す。在庫数は、保守部品の当該物流拠点(地域デポ)での在庫数を示す。在庫単価は、当該物流拠点における対象の保守部品の在庫単価を示している。
【0031】
図5は、在庫配置案情報格納部114のデータ構造の一例を示している。在庫配置案情報格納部114には、各物流拠点における在庫配置のルール(配置案)に関する情報が格納されており、拠点名と、部品番号と、予測スコアと、配置ルールとをデータ項目として含み得る。拠点名は在庫配置案を適用する対象の地域デポの名称を示している。部品番号は在庫配置案を適用する対象の保守部品の識別番号を示す。予測スコアは、在庫配置案を決定するためのスコアであり、過去の需要実績に加え、当該保守部品に関する検索の履歴等に基づいて算出されるスコアである。配置ルールは、在庫配置のルールを示しており、例えば前述の「前線通常」、「前線削減」、「中央集約」等に分類され得る。
【0032】
図6は検索履歴情報格納部115のデータ構造の一例である。検索履歴情報格納部115には、品目マスタ情報格納部111に登録された保守部品を、エンドユーザ(顧客)が建設機械メーカから購入する際に利用する通信販売サイトの検索履歴が格納されている。なお、通信販売サイトは、建設機械メーカにより直接運営されるものであってもよいし、建設機械メーカと提携する中間業者、販売代行業者、運送業者等によって運営されるものであってもよい。保守部品を購入するエンドユーザは、前述の通信販売サイトで購入を希望する保守部品を検索し、納期や価格などを調査してから購入数量を入力し、発注する。そのため、保守部品の需要の発生のタイミングを、通信販売サイトでの検索の履歴に従って推定することができる。
【0033】
検索履歴情報格納部115は、一例として、拠点名、部品番号、日時をデータ項目として含み得る。拠点名は、顧客からの注文を受け、注文された保守部品を出荷する地域デポの名称を示す。部品番号は、前述の通信販売サイト上で検索された保守部品の部品番号を示す。日時は、前述の通信販売サイト上で、当該保守部品の検索が実施された時刻情報を示す。
【0034】
図7は、機械稼働情報格納部116のデータ構造の一例である。機械稼働情報格納部116には、建設機械の機種、号機毎の累積の稼働時間の情報が格納されており、具体的には、一例として、機種名、号機名(番号)、活動拠点名、日付、累積稼働時間等のデータ項目を含み得る。機種名は、当該建設機械の機種の名称を示す。号機名は、同種の複数台の建設機械を識別するために付与される識別番号を示す。活動拠点名は、各建設機械が稼働している活動地域(建設現場等)を示しており、図7の例では、当該活動地域へ保守部品を供給する地域デポの名称により、活動拠点名が示されている。日付は、当該建設機械の累積の稼働時間が、累積稼働時間に示されている数値に達した日付を示している。また、累積稼働時間は、当該建設機械の累積の稼働時間を示す数値である。
【0035】
図8は、予測結果情報格納部117のデータ構造の一例である。予測結果情報格納部117は、需要発生タイミング予測部121が過去に算出した需要発生タイミング予測の結果を示す情報が格納されており、具体的には、一例として、拠点名と、部品番号と、予測日付と、2年間需要発生確率とをデータ項目として含み得る。拠点名は、需要を予測する対象となった地域デポを示す。部品番号は、需要を予測する対象となった保守部品を示す。予測日付は、需要発生タイミング予測部121が需要予測を実行した日付を示す。2年間需要発生確率は、需要発生タイミング予測部121が予測した、需要が予測日付から2年の間に発生するか否かを数値「1」又は「0」により示している。「0」は2年間に需要は発生しないと予測することを意味し、「1」は2年以内に需要が発生しないと予測することを意味する。例えば図8の1行目の情報は、「拠点A」における「保守部品001」についての予測日付(2020年1月1日)から2年の間の需要発生確率は「1」、すなわち需要が発生すると予測したことを示している。
【0036】
図9は、評価指標演算結果情報格納部118のデータ構造の一例である。評価指標演算結果情報格納部118は、評価指標演算部123で算出された評価指標の演算結果の情報が格納されており、具体的には、一例として、拠点名、部品番号、日付、サービス率、在庫金額、想定受注件数をデータ項目として含み得る。拠点名は、評価指標を演算する対象となった地域デポの名称を示す。部品番号は、評価指標を演算する対象となった保守部品の部品番号を示す。日付は、評価指標を演算した日付を示す。サービス率は、該当する拠点(地域デポ)における該当保守部品のサービス率(注文等があった後、所定の期間内に納品が可能である程度)の試算結果を示す。在庫金額は、該当する拠点(地域デポ)の当該保守部品の在庫金額の試算結果を示す。想定受注件数は、該当する拠点(地域デポ)においての当該保守部品の受注が何回発生するかの予測を示す。
【0037】
次に、図10のフローチャートを参照して、第1の実施の形態における在庫配置案決定装置100が実行する処理手順の一例について説明する。以下に説明する処理手順は、データベース300等に所定数の品目マスタ情報と、需要情報と、在庫情報と、検索履歴情報と、機械稼働情報が記録されていることを前提とし、例えば、ユーザ端末200へのユーザからの開始コマンドに応じて開始される。
【0038】
まず、ステップS1において、入力部130が、ネットワークNWを介して、データベース300から、品目マスタ情報と、需要情報と、在庫情報と、検索履歴情報と、機械稼働情報を取得し記憶部110へ格納(転送)する。
【0039】
次に、ステップS2において、需要発生タイミング予測部121は、品目マスタ情報と、需要情報と、検索履歴情報と、機械稼働情報とを記憶部110から読み込み、当該保守部品についての需要の発生タイミングを予測する。そして、ステップS3において、在庫配置案生成部122は、この予測結果に従い、在庫配置案を生成する。
【0040】
在庫配置案生成部122は、記憶部110から予測結果情報を読み込み、拠点と部品番号の組み合わせ毎に、直近6回の予測結果の2年間需要発生確率の合計値である予測スコアを計算する。このとき、予測スコアが3以下であれば、拠点と部品番号の組み合わせに対して、在庫配置案として「中央集約」を選択する。また、予測スコアが4以上であれば、拠点と部品番号の組み合わせに対して、在庫配置案として「前線通常」を選択する(予測スコアの閾値を変更して、予測スコアが中間的な値の場合に「前線削減」を選択することもできる)。そして、拠点と部品番号の組合せ毎に計算し生成した予測スコアと在庫配置案の組み合わせを、在庫配置案情報格納部114に格納する。ここで述べた予測スコアのように、過去複数回の予測の結果を活用して在庫配置案を決定することで、例えば毎月予測をした場合に、毎月予測の結果が逆転して在庫配置案が毎月変更される、という事態を回避することができる。
【0041】
次に、ステップS4において、評価指標演算部123は、記憶部110からと需要情報格納部112と在庫情報格納部113と在庫配置案情報格納部114を読み込む。評価指標演算部123は、在庫配置案情報格納部114に基づいて、拠点と部品番号の組み合わせ毎に、配置案の値を参照し、以下の手順で在庫金額とサービス率の2つの評価指標の値を計算する。
【0042】
配置案の値が「中央集約」であった場合は、該当の拠点と部品番号の組み合わせでは今後2年間で需要が発生しないと予測されているため、該当拠点における該当の品目の在庫数は変化しない。そのため、評価指標演算部123は、在庫情報格納部113から該当の拠点と部品番号の組み合わせの最新の在庫数の値と在庫単価を取得し、これらの値を乗算することで在庫金額を計算する。また、サービス率に関しては、今後2年間で需要が発生しないと予測されているため、サービス率は0%または計算対象外とする。また、想定受注件数は、0とする。
【0043】
配置案の値が「前線通常」であった場合は、該当の拠点と部品番号の組み合わせでは今後2年間で需要は発生する可能性があると予測される。従って、評価指標演算部123は、需要情報格納部112に記載された該当の拠点と部品番号の組み合わせの過去の需要実績の値を用い、一般的な在庫理論に基づいた必要在庫数を計算し、その在庫数に応じた数の当該保守部品を地域デポに在庫として配置する。そして、評価指標演算部123は、在庫情報格納部113から当該拠点と部品番号の組み合わせの最新の在庫単価を取得し、この在庫単価と前述の必要在庫数との乗算により在庫金額を計算する。また、サービス率に関しては、計算された在庫数が即配備可能であれば、100%とする。また、需要情報格納部112に記載された該当の拠点と部品番号の組み合わせの過去の需要実績の値を用いて、たとえば直近1年間の需要件数の値を、想定受注件数の値とすることができる。以上のようにして計算された評価指標(サービス率、在庫金額、想定受注件数)は、出力部140を介してディスプレイ等に出力される(ステップS5)。
【0044】
ステップS2における需要発生タイミングの予測に関し、更に詳細に説明する。需要発生タイミング予測部121は、需要情報格納部112の需要情報に記載された、保守部品の過去の需要実績を品目毎に時系列に整列し、その需要の発生間隔の平均値を算出することができる。例えば、ある保守部品について発生間隔が2年であり、さらに直近の需要の発生が1年前であった場合、需要発生タイミング予測部121は、その保守部品についての次の需要は1年後に発生すると推測することができる。換言すれば、今後2年間の間に需要は少なくとも1回発生すると予測する。この予測の結果は、需要実績による予測結果として需要発生タイミング予測部121において記憶され得る。
【0045】
需要発生タイミング予測部121は、過去の需要の実績と、検索履歴情報とを紐づけて、両者の関係に従った需要発生タイミングの予測を行うこともできる。需要情報に記載された保守部品の過去の需要実績と、検索履歴情報に記載された通信販売サイトでの保守部品の過去の検索履歴との間には一定の因果関係がある。保守部品を購入するエンドユーザ(顧客)は、前述の通信販売サイトで購入を希望する保守部品を検索し、納期や価格などを調査してから購入数量を入力し、発注する。そのため、保守部品の需要が発生するときには、その直前に前述の通信販売サイトでの検索が実施され、その検索履歴情報が存在する場合が相当程度高い。このような紐づけにより、より高精度に保守部品の需要発生タイミングを正確に予測することができる。
【0046】
そこで、本実施の形態では、検索履歴情報格納部115に格納される過去の検索履歴と、需要情報格納部112に格納される過去の需要実績とを部品番号で関連付け(紐づけ)、ある需要が発生した日から次の需要が発生する日までの間の検索の回数を特定し、更にそれら複数の検索の間の時間的間隔の平均値を計算する。例えば、(1)ある需要が発生してから現時点までの間の検索回数が5回であり、(2)その5回の検索の間隔の平均値が30日であり、(3)直近の需要から現時点までの間に2回の検索が行われていた場合を想定する。この場合、次の需要が発生するまでの期間は、直近の需要から90日以内であると推測することができる。従って、2年間需要発生確率(図8)は、「1」に設定される。
【0047】
需要発生タイミング予測部121はまた、過去の検索履歴と、建設機械の稼働情報とを紐づけて、両者の関係に従った需要発生タイミングの予測を行うこともできる。検索履歴情報格納部115に格納される過去の検索履歴と、機械稼働情報格納部116に格納される建設機械の稼働情報との間にも、検索履歴と需要情報の間と同様に一定の因果関係が認められる。エンドユーザにおいて建設機械を使用する頻度(稼働時間)が増加すると、その建設機械の保守部品の交換が必要であると考え、その購入、又は在庫の確認のため、前記の通信販売サイトで当該保守部品を検索する機会が増加するからである。そこで、本実施の形態においては、任意選択として、前述の検索履歴と需要情報との関連付けに基づく保守部品の需要発生タイミングの予測に加えて(又はこれに代えて)、検索履歴と建設機械の稼働情報との関連付けに基づく保守部品の需要発生タイミングの予測も実行することが可能である。
【0048】
具体的には、需要の発生タイミングを予測したい保守部品についての検索履歴情報を検索履歴情報格納部115中で特定し、その特定された検索履歴情報の部品番号のデータを用いて、品目マスタ情報格納部111を参照する。
【0049】
そして、その部品番号に対応する情報を品目マスタ情報格納部111中で検索し、その検索された情報中の対応機種の情報を元の検索履歴情報と紐づける。紐づけられた対応機種の情報と、検索履歴情報格納部115中の活動拠点名の情報を用いて、機械稼働情報格納部116を参照し、その対応機種についての累積稼働時間を特定し、特定された累積稼働時間を、元の検索履歴情報と紐づけする。すなわち、ある保守部品に関する検索履歴情報と、その保守部品が使用される建設機械の稼働情報とが紐づけられる。
【0050】
次に、号機毎の累積稼働時間を時系列に整列させ、紐付けられた検索履歴に従い、直近の検索と、それよりも前の検索との間の累積稼働時間の平均値を算出する。これにより、直近の検索とそれより前の検索との間の日数と、その日数における累積稼働時間とが計算される。この結果、前回の検索以後の累積の稼働時間が何時間に達すると、次の検索が実行されるかを推定することができる。例えば、直近の検索とそれより前の検索の間の累積稼働時間が1000時間であり、現時点で直近の検索以降の累積稼働時間が100時間であった場合、次の新たな検索は、累積稼働時間が更に900時間増加した頃であると予測することができる。
【0051】
ここで、直近の検索以降の累積稼働時間が更に900時間増加する頃における直近の検索からの日数が例えば300日であったとする。前述の例のように、需要と需要の間に5回の検索が発生し、直近の需要から現時点までの間に2回の検索が行われている場合には、次の需要までに残り3回の検索が発生する必要がある。この場合、上記の累積稼働時間の特定の結果も加味すると、3×300日で900日後(約2年5月後)に次の需要が発生すると予測することができる。すなわち、今後2年間の間に需要は発生しないと予測することができるので2年間需要発生確率は「0」とすることができる。以上の手順で拠点と品目の組み合わせ毎の2年間需要発生確率を計算し、現在の日付と計算の結果を予測結果情報格納部117に格納する。
【0052】
以上のように、本実施の形態の需要発生タイミング予測部121は、予測対象の保守部品の需要実績と、その保守部品の検索履歴とに基づいて需要発生タイミングを実行することにより、需要発生タイミングをより正確に予測することができ、的確な在庫配置案を生成することが可能になる。好適には、予測対象の保守部品が使用される建設機械の稼働情報に関する情報をも加味し、これを検索履歴情報と紐づけることで、当該保守部品の需要発生タイミングを更に正確に予測することができる。
【0053】
なお、検索履歴に基づく需要発生タイミングの予測、過去の需要情報に基づく需要発生タイミングの予測の2つの予測を独立して実行し、どちらの予測においても2年以内の需要ありとの予測結果が出た場合に、2年間需要発生確率=「1」と予測し、それ以外の場合には「0」と予測することも可能である。同様に、検索履歴に基づく需要発生タイミングの予測、過去の需要情報に基づく需要発生タイミングの予測、建設機械の稼働情報に基づく需要発生タイミングの予測の3つの予測を独立して実行し、3つの予測のうちの2つで需要ありとの予測がされた場合に、2年間需要発生確率=「1」とし、それ以外の場合に「0」とすることも可能である。また、3つの予測結果にそれぞれ0.2倍、0.2倍、0.6倍などの重みをつけて和をとり、四捨五入することで最終的な予測結果としても良い。
【0054】
図11に出力画面1400の一例を示す。出力画面1400は、一例として品目別結果表示欄1401と、拠点別結果表示欄1402から構成される。品目別結果表示欄1401には、拠点と部品番号の組み合わせ毎の、特性区分と、機種と、予測スコアと、在庫配置案と、想定受注件数と、サービス率と、在庫金額とが含まれ得る。ここで、特性区分は、品目マスタ情報格納部111に記載された該当の部品番号の特性区分である。機種は、品目マスタ情報格納部111に記載された該当の部品番号の対応機種である。予測スコアは、該当の拠点と部品番号の組み合わせにおける在庫配置案情報格納部114に記載された予測スコアである。在庫配置案は、該当の拠点と部品番号の組み合わせにおける在庫配置案情報格納部114に記載された在庫配置案である。想定受注件数は、該当の拠点と部品番号の組み合わせにおける評価指標演算結果情報格納部118に記載された想定受注件数である。サービス率は、該当の拠点と部品番号の組み合わせにおける評価指標演算結果情報格納部118に記載されたサービス率である。在庫金額は、該当の拠点と部品番号の組み合わせにおける評価指標演算結果情報格納部118に記載された在庫金額である。
【0055】
拠点別結果表示欄1402には、拠点毎の想定受注件数、サービス率、在庫金額を集計した結果が表示される。拠点別結果表示欄1402は、拠点と、想定受注件数と、サービス率と、在庫金額から構成される。拠点は、拠点名を示す。想定受注件数は、該当の拠点における、評価指標演算結果情報格納部118に記載された想定受注件数の総和である。サービス率は、評価指標演算結果情報格納部118に記載された該当の拠点における品目毎のサービス率と品目毎の想定受注件数の乗算の結果をサービス件数とし、さらのこのサービス件数の総和をとることで拠点毎の総サービス件数とし、この総サービス件数を前述の想定受注件数の総和で除算した値である。一例を具体的に説明すると、図8の評価指標演算結果情報格納部118には、拠点Aの情報が2つ示されており、それぞれ部品番号は001と002である。ここで、拠点Aの部品番号001はサービス率100%で想定受注件数1であるので、サービス件数は100%×1で1となる。また、拠点Aの部品番号002はサービス率が0%であるのでサービス件数は0%×0で0である。以上、拠点Aのサービス件数の総和である総サービス件数は0+1で1となる。一方で、拠点Aの想定受注件数の総和は、1+0で1である。そのため、拠点Aのサービス率は1÷1で1、すなわち100%となる。
【0056】
以上説明したように、第1の実施の形態の在庫配置案決定装置によれば、需要の実績に加え、保守部品の検索の履歴を加味して需要発生のタイミングの予測が行われるため、需要発生タイミングを的確に予測し、そのタイミングに合わせた在庫管理を可能とすることができる。
【0057】
[第2の実施の形態]
次に、図12を参照して、第2の実施の形態に係る在庫配置案決定装置100を説明する。この第2の実施の形態の装置の全体構成は、第1の実施の形態と同様でよく(図1)、また、記憶部110のデータ構造も同様であってよい(図2図9)。また、需要発生タイミングの予測の手法や在庫配置案の生成に関しても、第1の実施の形態と同様であってよい。この第2の実施の形態は、保守部品の各種特性(需要発生頻度、重要度、保管コスト等)に従い、需要発生タイミングの予測、及び在庫配置案の生成(切替)の対象から除外するよう構成されている。
【0058】
図12のフローチャートを参照して、第2の実施の形態の動作を説明する。まず、演算部120は、品目マスタ情報格納部111に格納されている一の保守部品の部品番号を特定し、その需要情報を参照する(ステップS11)。
【0059】
そして、その需要情報を分析し、その需要発生の頻度を判定し、その頻度が所定の閾値よりも大きいか否かが判定される(ステップS12)。Yesの場合、その保守部品については、本件の在庫配置案の切替対象からは除外し、特定の在庫配置案(例えば前線通常)を固定的に適用する(ステップS15)。Noの場合、ステップS13に移行する。
【0060】
ステップS13では、その保守部品の重要度が判定され、重要度の指標が所定の閾値よりも第であるか否かが判定される。Yesの場合、その保守部品については、本件の在庫配置案の切替対象から除外し、例えば前線通常の在庫配置案が固定的に適用される(ステップS15)。すなわち、その保守部品については、需要発生タイミング予測部121による需要発生タイミングの予測は行われず、在庫配置案生成部122による在庫配置案の生成・更新も停止される。Noの場合、ステップS14に移行する。
【0061】
ステップS14では、その保守部品の保管コストが判定され、保管コストが所定の閾値以上であるか否かが判定される。Noの場合、その保守部品については、特定の在庫配置案(例えば前線通常)が固定的に適用される(ステップS15)。Yesの場合、ステップS16に移行し、第1の実施の形態と同様の、通常の在庫配置案生成処理(前線通常、前線削減、中央集約の切替)が適用される。
【0062】
このように、第2の実施の形態では、保守部品の特性に応じて、本開示の在庫配置案生成処理の適用の有無が判断される。従って、この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同一の効果が得られることに加え、一部の保守部品に関しては本件の在庫配置案生成処理の対象から除外されるので、より在庫配置案の適切な選択を行うことが可能になる。
【0063】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
100…在庫配置案決定装置、 NW…ネットワーク、 200…ユーザ端末、 300…データベース、 110…記憶部、 120…演算部、 130…入力部、 140…出力部、 111…品目マスタ情報格納部、 112…需要情報格納部、 113…在庫情報格納部、 114…在庫配置案情報格納部、 115…検索履歴情報格納部、 116…機械稼働情報格納部、 117…予測結果情報格納部、 118…評価指標演算結果情報格納部、 121…需要発生タイミング予測部、 122…在庫配置案生成部、 123…評価指標演算部、 1400…出力画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14