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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057051
(43)【公開日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ステント及びステント留置システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/954 20130101AFI20240416BHJP
   A61F 2/966 20130101ALI20240416BHJP
【FI】
A61F2/954
A61F2/966
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024027526
(22)【出願日】2024-02-27
(62)【分割の表示】P 2021504061の分割
【原出願日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019040638
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】留置目標部位に精度良く留置させることができるステント及びステント留置システムを提供する。
【解決手段】ステント(1)は、生体管腔内に留置されるステントであって、筒形状を有し、軸方向に略直交する径方向に拡縮可能なステント部(20A、20B)と、ステント部を縮径状態から拡径状態に変換可能な変換手段(30A、30B)と、を備える。変換手段は、ステント部の外周面に巻回される第1の線状部材(31A、31B)と、第1の線状部材をステント部から脱落不能に保持する保持部材(32A、32B)と、を有し、第1の線状部材と保持部材が係合されることでステント部の縮径状態を保持するとともに、係合が解除されることで縮径状態から拡径状態に変換する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔内に留置されるステントであって、
いずれも筒形状を有し軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、径方向に拡縮可能であり、縮径状態でシースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1ステント部が前記シースに収容されたまま前記第2ステント部が前記シースから放出された状態で、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を、前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記第2ステント部を縮径状態から拡径状態に変換する、
ステント。
【請求項2】
前記変換手段は、前記係合により、前記第1の線状部材の巻回状態を保持して前記第2ステント部の縮径状態を保持し、前記係合の解除により、前記巻回状態を保持せず前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落させて前記第2ステント部を縮径状態から拡径状態に変換する、
請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記第1ステント部が前記シースに収容されている間、前記第1ステント部の縮径状態から拡径状態への遷移が不可能とされる、
請求項1に記載のステント。
【請求項4】
生体管腔内に留置されるステントであって、
いずれも筒形状を有し、径方向に拡縮可能且つ自己拡張性によって拡径可能であり、軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、前記第2ステント部が前記第1ステント部より先にシースから放出されるよう前記シースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有し、前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を保持する変換手段と、を備え、
前記第1ステント部及び前記第2ステント部はいずれも、前記シースに収容されている間、縮径状態であり、
前記第2ステント部は、前記シースから放出された際に、前記係合が解除されるまで、縮径状態を保持され、前記係合が解除された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移し、
前記第1ステント部は、前記シースから放出された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移する、
ステント。
【請求項5】
前記第2ステント部は、前記第1ステント部の軸方向先端部から分枝した複数の分枝ステント部を含み、
前記複数の分枝ステント部はいずれも、前記第1ステント部より先に前記シースから放出される、
請求項1又は4に記載のステント。
【請求項6】
前記複数の分枝ステント部はそれぞれ、前記第1ステント部よりも細径である、
請求項5に記載のステント。
【請求項7】
前記保持部材は、前記軸方向に沿うように配置され、前記第1の線状部材に形成された屈曲部に挿通される第2の線状部材で構成され、
前記変換手段は、前記第1の線状部材により前記第2の線状部材とともに縛られ縮径状態とされた前記第2ステント部を、前記屈曲部から前記第2の線状部材が引き抜かれることで拡径状態に変換する、請求項1又は4に記載のステント。
【請求項8】
前記第2の線状部材に沿って複数の前記屈曲部が並んで配置され、
前記変換手段は、前記第2の線状部材及び前記第2ステント部のうち、少なくとも一方を前記軸方向に相対的に移動させることで、前記複数の屈曲部から前記第2の線状部材が順次引き抜かれて、前記第2ステント部を拡径状態に変換する、請求項7に記載のステント。
【請求項9】
シースと、
いずれも筒形状を有し軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、径方向に拡縮可能であり、縮径状態で前記シースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1ステント部が前記シースに収容されたまま前記第2ステント部が前記シースから放出された状態で、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を、前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記第2ステント部を縮径状態から拡径状態に変換する、
ステント留置システム。
【請求項10】
シースと、
いずれも筒形状を有し、径方向に拡縮可能且つ自己拡張性によって拡径可能であり、軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、前記第2ステント部が前記第1ステント部より先に前記シースから放出されるよう前記シースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有し、前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を保持する変換手段と、を備え、
前記第1ステント部及び前記第2ステント部はいずれも、前記シースに収容されている間、縮径状態であり、
前記第2ステント部は、前記シースから放出された際に、前記係合が解除されるまで、縮径状態を保持され、前記係合が解除された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移し、
前記第1ステント部は、前記シースから放出された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移する、
ステント留置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステント及びステント留置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血管、食道、胆管、気管、尿管などの生体管腔に生じた狭窄部又は閉塞部に留置され、病変部位を拡径して生体管腔の開存状態を維持するステントが知られている。ステント留置術において、例えば、肝門近傍に生じた病変部位に対しては、総肝管から右肝管及び左肝管(肝臓内の胆管)に分枝しているので、総肝管、右肝管及び左肝管のそれぞれにステントを留置する必要がある。
【0003】
このような場合、従来は、主管腔(例えば、総肝管)用のステントと分枝管腔(例えば、右肝管及び左肝管)用のステントというように複数のステントを用意して、一のステントの開口(例えば、骨格部の網目)に他のステントを挿入して、ステント同士を部分的に重複させて接続している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-138851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1等の場合、ステントごとに留置システムが必要となり、また、ステントを留置する際の手技も煩雑であり、ステントの変形や破損、肝門部の閉塞の虞がある。一方、Y字状に形成したステントを用いて、生体管腔の分枝部分に一回の手技でステントを留置する場合、主管腔及び分枝管腔に留置される各ステント部の放出や拡径のタイミングを制御することが困難であり、各ステント部を留置目標部位に精度良く留置できない虞がある。
また、生体管腔の分枝部分に留置されるY字状のステントに限らず、一般的な直線状のステントに対しても、留置目標部位に精度良く留置できることが要望されている。
【0006】
本発明の目的は、留置目標部位に精度良く留置させることができるステント及びステント留置システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るステントの一態様は、
生体管腔内に留置されるステントであって、
いずれも筒形状を有し軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、径方向に拡縮可能であり、縮径状態でシースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1ステント部が前記シースに収容されたまま前記第2ステント部が前記シースから放出された状態で、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を、前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記第2ステント部を縮径状態から拡径状態に変換する。
本発明に係るステントの他の態様は、
生体管腔内に留置されるステントであって、
いずれも筒形状を有し、径方向に拡縮可能且つ自己拡張性によって拡径可能であり、軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、前記第2ステント部が前記第1ステント部より先にシースから放出されるよう前記シースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有し、前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を保持する変換手段と、を備え、
前記第1ステント部及び前記第2ステント部はいずれも、前記シースに収容されている間、縮径状態であり、
前記第2ステント部は、前記シースから放出された際に、前記係合が解除されるまで、縮径状態を保持され、前記係合が解除された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移し、
前記第1ステント部は、前記シースから放出された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移する。
本発明に係るステント留置システムの一態様は、
シースと、
いずれも筒形状を有し軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、径方向に拡縮可能であり、縮径状態で前記シースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1ステント部が前記シースに収容されたまま前記第2ステント部が前記シースから放出された状態で、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を、前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記第2ステント部を縮径状態から拡径状態に変換する。
本発明に係るステント留置システムの他の態様は、
シースと、
いずれも筒形状を有し、径方向に拡縮可能且つ自己拡張性によって拡径可能であり、軸方向で連設された第1ステント部及び第2ステント部を含み、前記第2ステント部が前記第1ステント部より先に前記シースから放出されるよう前記シースに収容されるステント部と、
前記第2ステント部の外周面に巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記第2ステント部から脱落不能に保持する保持部材と、を有し、前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記第2ステント部の縮径状態を保持する変換手段と、を備え、
前記第1ステント部及び前記第2ステント部はいずれも、前記シースに収容されている間、縮径状態であり、
前記第2ステント部は、前記シースから放出された際に、前記係合が解除されるまで、縮径状態を保持され、前記係合が解除された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移し、
前記第1ステント部は、前記シースから放出された際に、前記自己拡張性によって縮径状態から拡径状態に遷移する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ステントを留置目標部位に精度良く留置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1A図1Bは、一実施形態のステント留置システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る胆管ステントの外観を示す図である。
図3図3A図3Bは、胆管ステントの留置態様の一例を示す図である。
図4図4A図4Bは、変換手段における係合態様の一例を示す図である。
図5図5A図5Cは、胆管ステントの留置時の状態変化を示す図である。
図6図6A図6Cは、胆管ステントの留置時の状態変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、本発明の一例として、肝門部HP(図3A等参照)の病変部位(例えば、肝門部HPの閉塞部又は狭窄部)を径方向外側に押し拡げて閉塞(狭窄)の治療を行うべく、総肝管H1、右肝管H2及び左肝管H3内に留置されて使用される胆管ステント1について説明する。
【0011】
図1Aは、ステント留置システム100を分解した状態を示し、図1Bは、ステント留置システム100を組み立てた状態を示す。なお、図1A図1Bでは、発明の理解を容易にするため、ステント留置システム100を構成する各部材の大きさ(長さ、径寸法など)や形状などを模式的に図示している。
【0012】
ステント留置システム100は、胆管ステント1を肝門部HPに留置させる際に、例えば、内視鏡の鉗子孔に挿入して使用される。図1A等に示すように、ステント留置システム100は、管状のシース110と、シース110の内側に配置され、シース110の軸方向に沿ってシース110内を進退可能に構成されたインナーロッド120と、シース110内に径方向に拡張可能な縮径状態で収容される胆管ステント1とを備える。
【0013】
シース110は、例えば、可撓性を有する材料で形成された管状のシース本体部111と、シース本体部111の基端側(図1A等では右側)に設けられたハブ112とを有する。
【0014】
インナーロッド120は、例えば、棒状のロッド本体部121を有し、その先端部に先端チップ123が設けられ、先端チップ123よりもわずかに基端側に、縮径状態にある胆管ステント1を保持する保持部122が設けられている。
なお、図示を省略するが、ロッド本体部121、保持部122及び先端チップ123には、例えば、ガイドワイヤーを通すためのガイドワイヤー用ルーメンや、縮径状態にある胆管ステント1を患部で拡張させるためのトリガーワイヤーを通すためのトリガーワイヤー用ルーメン等が、インナーロッド120の軸方向に沿って形成されている。
ロッド本体部121、保持部122及び先端チップ123は、例えば、樹脂や金属等の適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料から形成されるが、詳細な説明は省略する。
【0015】
図2は、実施形態に係る胆管ステント1の外観を示す図である。図3A図3Bは、胆管ステント1の留置状態を示す図である。図3Bは、図3Aにおける肝門部HPを拡大して示している。
【0016】
胆管ステント1は、いわゆるカバードステントである。また、胆管ステント1は、第1ステント部10と、第1ステント部10から分枝する第2ステント部20A、20Bとを有する。図3A等に示すように、第1ステント部10は、総肝管H1に留置され、第2ステント部20A、20Bは、右肝管H2及び左肝管H3に留置される。
【0017】
第1ステント部10及び第2ステント部20A、20Bは、胆汁の流路を画成する筒形状を有する。本実施形態では、第2ステント部20A、20Bは、第1ステント部10よりも管径が細く、第1ステント部10の一方の端部から二股に分枝するように連設されている。すなわち、胆管ステント1は、全体としてY字形状を有している。第2ステント部20A、20Bが分枝した股部1aの角度は、胆管ステント1が留置される肝門部HPの形状に応じて設定される。また、第1ステント部10は、直筒形状を有していてもよいし、留置部位に応じて湾曲した形状を有していてもよい。さらには、第1ステント部10は、留置後に総肝管H1に沿った湾曲形状を有することになってもよい。
【0018】
第1ステント部10には、第1骨格部11が配置され、第2ステント部20A、20Bには、それぞれ第2骨格部21A、21Bが配置されている。
第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、第1ステント部10及び第2ステント部20A、20Bの拡径状態を保持するための補強部材であり、例えば、金属線材を螺旋状に巻回して編み込むことにより形成されている。また、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、拡径状態の形状が記憶されており、いわゆる自己拡張性を有している。すなわち、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、それぞれの軸方向に略直交する径方向において、内側に収縮した縮径状態から、外側に拡張して筒状流路を画成する拡径状態へと自己拡張可能に構成されている。
【0019】
なお、第1骨格部11と第2骨格部21A、21Bは、股部1aにおいて接続されていてもよいし、分離されていてもよい。
また、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、山部と谷部とが交互に形成されるように金属線材を屈曲しながら円環状に形成した複数の骨格を、それぞれの軸方向に所定の間隔で配置した構成であってもよい。また、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、1又は複数の金属線材を山部と谷部とが交互に形成されるように屈曲しながら、それぞれの軸方向に螺旋状に巻回した構成であってもよい。また、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、線材がジグザグに折り返されることで屈曲部(山部と谷部)を交互に形成し、屈曲部(一方の山部(軸方向一端側に凸の部分)と他方の谷部(軸方向他端側に凸の部分))が互いに噛み合うようにひし形金網状(フェンス状)に編み込んで形成されてもよい。さらには、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、金属製の筒部材にレーザー加工が施されてなるレーザーカット型であってもよい。
【0020】
第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bを形成する金属線材の材料としては、例えば、ステンレス鋼、Ni-Ti合金(ニチノール)、チタン合金等に代表される公知の金属又は金属合金が挙げられる。また、X線造影性を有する合金材料を用いてもよい。
なお、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bは、金属材料以外の材料(例えば、セラミックや樹脂等)で形成されてもよい。
【0021】
第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bを形成する線材の材料、線種(例えば、ワイヤー等の円形線材、又は、レーザーカットによる角状線材)、線径(断面積)、周方向における折り返し回数及び折り返し形状(山部の数及び山部の形状)、並びに、軸方向における線材間隔(単位長さ当たりの骨格量)等は、留置する生体管腔に応じて必要となる第1ステント部10及び第2ステント部20A、20Bの柔軟性を基準として適宜選択される。ここで、柔軟性とは、第1ステント部10及び第2ステント部20A、20Bの曲がり易さのことであり、特に、軸方向の曲げ剛性により規定される。
【0022】
第1ステント部10及び第2ステント部20A、20Bには、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの周面に沿うように皮膜部12が配置されている。本実施形態では、皮膜部12が一体的に形成されることで、第1ステント部10と第2ステント部20A、20Bが一体化されている。
【0023】
皮膜部12は、胆汁の流路を形成する膜体である。皮膜部12は、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bを挟み込むように、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの外周面と内周面に配置されてもよいし、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの外周面のみに配置されてもよいし、内周面のみに配置されてもよい。
【0024】
皮膜部12を形成する材料としては、例えば、シリコーン樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0025】
また、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの外周面には、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの各々の軸方向に沿って伸長規制部13が配置されている。
具体的には、伸長規制部13は、例えば、矩形状の長尺部材で形成され、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの軸方向の両端部に亘るように、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの外周面(例えば、皮膜部12の内側)に固定(例えば、接着等)されている。また、第1ステント部10及び第2ステント部20Aの図2における左側に配設された伸長規制部13は連続して一体的に形成され、また、第1ステント部10及び第2ステント部20Bの図2における右側に配設された伸長規制部13は連続して一体的に形成されている。
【0026】
伸長規制部13は、例えば、生体適合性を有する糸(例えば、ポリエステル糸等)又は布地(織物(布帛)や編物)によって形成され、少なくとも胆管ステント1の径方向への拡張性を損なわない範囲で、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bの軸方向への伸長を規制可能な強度を有する。
【0027】
伸長規制部13により、胆管ステント1を縮径してシース110内に収容する際の軸方向の伸長が抑制される。また、胆管ステント1がシース110から放出されて第1ステント部10及び第2ステント部20A、20Bが拡径状態となる際に、軸方向の短縮率が低減され、肝門部HPの留置目標部位に胆管ステント1を精度良く留置することができる。
【0028】
また、伸長規制部13は、例えば、皮膜部12の外側に設けられてもよい。この場合、肝門部HPに胆管ステント1を留置したときに胆管壁と伸長規制部13とが接触するので、伸長規制部13が胆管壁に食い込み、胆管ステント1が留置位置からずれるのを防止することができる。なお、伸長規制部13は、必ずしも配置される必要はない。
【0029】
また、第1ステント部10には、他方の端部(開放端部)に抜去補助部14が接続されている。抜去補助部14は、肝門部HPに留置した胆管ステント1を抜去する際に使用され、例えば、回収用カテーテルの先端に設けられた引掛け具(スネア:回収用部材、図示略)が係着されるループ状の係着部を有する。
なお、抜去補助部14を形成する線材には、例えば、第1骨格部11と同様のものを適用することができ、第1骨格部11と一体的に形成されていてもよい。また、抜去補助部14は、第1ステント部10の開放端部において、周方向に複数設けられてもよい。
【0030】
また、胆管ステント1において、第2ステント部20A、20Bのそれぞれの外周面には、第2ステント部20A、20Bを縮径状態から拡径状態に変換可能な変換手段30A、30Bが配置されている。
本実施形態では、変換手段30A、30Bは、第2ステント部20A、20Bの各外周面に巻回される第1の線状部材31A、31Bと、第1の線状部材31A、31Bの各々に係合する第2の線状部材32A、32Bとで構成されている。変換手段30A、30Bは、例えば、インナーロッド120に胆管ステント1を装着した状態で、第2ステント部20A、20Bに配置されるが、一例であってこれに限られるものではない。
【0031】
第1の線状部材31A、32B及び第2の線状部材32A、32Bは、例えば、所定の強度と剛性を有する材料で形成され、例えば、ナイロン繊維やフッ素繊維などの縫合糸、ニッケル-チタン合金やステンレス製の金属細線、樹脂製の紐状部材を適用できる。
なお、滑り性をよくして第2の線状部材32A、32Bを引き抜き易くするため、第1の線状部材31A、31Bと第2の線状部材32A、32Bは、異なる材料で形成されるのが好ましい。また、第1の線状部材31A、32Bは、幅広のテープ状に形成されていてもよい。
【0032】
第1の線状部材31A、31Bは、第2ステント部20A、20Bの外周面に、巻回されている。具体的には、第1の線状部材31A、31Bは、それ自体では巻回状態を保持できない態様で巻回されており、第2の線状部材32A、32Bと係合することによって脱落不能に保持さる。すなわち、本実施形態では、第2の線状部材32A、32Bが、第1の線状部材31A、31Bを第2ステント部20A、20Bから脱落不能に保持する保持部材として機能する。
【0033】
第1の線状部材31A、31Bの一端は、例えば、ハブ112に設けられた分岐口112aから引き出される(図1A等参照)。
第2の線状部材32A、32Bの一端は、例えば、図示は省略するが、分枝口112aとは別に設けられた開口から、2本まとめて引き出され、一のダイヤルの回動操作などにより、微調整しながら引き抜くことができるようになっている。なお、第2の線状部材32A、32Bは、個別に引き抜き可能に構成されてもよい。
【0034】
図4A図4Bは、変換手段30A、30Bにおける係合態様の一例を示す図である。なお、図4A等では、係合態様を理解し易いように、拡径状態の第2ステント部20A、20Bの外周面に、第1の線状部材31A、31B及び第2の線状部材32A、32Bを配置した場合について示すが、実際には、第1の線状部材31A、31Bを巻回しながら適宜張力をかけて、第2ステント部20A、20Bは縛られて縮径状態となっている。
【0035】
図4A等に示すように、第1の線状部材31A、31Bは、第2ステント部20A、20Bの外周面に、周方向に巻回され一回転ごとに屈曲して逆方向に巻回されている。一方、第2の線状部材32A、32Bは、第2ステント部20A、20Bの軸方向に沿うように配置され、第1の線状部材31A、31Bに形成された屈曲部Bと係合している。
すなわち、第1の線状部材31A、31Bは、第2の線状部材32A、32Bとの係合によって巻回状態が保持されている。したがって、第1の線状部材31A、31Bと第2の線状部材32A、32Bとの係合が解除されると、第1の線状部材31A、31Bは、第2ステント部20A、20Bから自然に脱落する。
【0036】
具体的には、図4Aにおいて、第1の線状部材31A、31Bには、屈曲部Bが軸方向に並んで形成されている。そして、それぞれの屈曲部Bを縫うように第2の線状部材32A、32Bが挿通されている。例えば、第2ステント部20A、20Bの軸方向に沿って配置した第2の線状部材32A、32Bに、屈曲部Bを引っ掛けながら第1の線状部材31A、31Bを巻回することで、第1の線状部材31A、31Bと第2の線状部材32A、32Bを係合させる。この場合、第1の線状部材31A、31Bの両端を適宜引っ張って張力をかけることにより、第2ステント部20A、20Bが縮径する。
【0037】
また、図4Bにおいて、第1の線状部材31A、31Bには、軸方向に並んで形成された隣り合う屈曲部Bが交差することにより環状部Rが形成されている。そして、環状部Rに第2の線状部材32A、32Bが挿通されている。例えば、第1の線状部材31A、31Bによって形成された環状部Rに第2ステント部20A、20Bを挿通して、第2の線状部材32A、32Bの両端を引っ張って張力をかけることで、強固に縛って拘束位置を確定しながら、第2ステント部20A、20Bが縮径する。
【0038】
図4A等に示す係合態様の場合、第2の線状部材32A、32Bを引き抜くことで、第1の線状部材31A、31Bと第2の線状部材32A、32Bとの係合は簡単に解除され、第1の線状部材31A、31Bは、第2ステント部20A、20Bから脱落可能な状態となる。結果として、第2ステント部20A、20Bは、縮径状態から解放され、第2骨格部21A、21Bの拡張力により拡径する。
なお、図4A等で示した第1の線状部材31A、31Bの巻回態様は一例であり、その他の巻回態様を適用してもよい。
【0039】
胆管ステント1は、インナーロッド120に装着する際、軸方向に伸長しながら径方向に折り畳むことにより縮径状態とされ、シース110に収容される。このとき、第2ステント部20A、20Bは、変換手段30A、30Bによって縮径状態に保持される。第1の線状部材31A、31B及び第2の線状部材32A、32Bの一端は、シース110に設けられた開口(例えば、図1Aの分枝口112a)から外部に引き出される。
【0040】
図5A図5C及び図6A図6Cは、胆管ステント1の留置時の状態変化を示す図である。なお、これらの図面では、胆管ステント1を模式的に表しており、第1ステント部10及び第2ステント部20A、20Bの細部構成の図示は省略している。
【0041】
胆管ステント1を肝門部HPの留置目標部位に留置する場合、予め導入済のガイドワイヤー(図示略)に沿って、シース110及びインナーロッド120を口側から挿入し、胆管ステント1の先端が肝門部HPの手前に位置するように位置決めする(図5A参照)。
【0042】
次に、インナーロッド120とシース110を相対的に移動させ、第2ステント部20A、20Bをシース110から徐々に放出しつつ、それぞれ右肝管H2、左肝管H3に位置させる(図5B図5C参照)。このとき、第1ステント部10は、シース110に収納されたままである。本実施形態では、第2ステント部20A、20Bの外周面が変換手段30A、30Bによって拘束されているので、第2ステント部20A、20Bは、シース110から放出された後も縮径状態のまま維持される。
【0043】
次に、第2の線状部材32A、32Bの一端を引っ張り、第2の線状部材32A、32Bを徐々に引き抜く(図6A参照)。第2の線状部材32A、32Bが引き抜かれることに伴い、第1の線状部材31A、31Bの巻回が解かれ、第2ステント部20A、20Bは、第2骨格部21A、21Bの拡張力により徐々に拡径する。第2の線状部材32A、32Bを徐々に引き抜きながら第2ステント部20A、20Bの留置位置を精度良く調整することができる。
【0044】
そして、第2ステント部20A、20Bをそれぞれ右肝管H2及び左肝管H3に留置させた状態で、第1の線状部材31A、31Bを引き抜いて回収し(図6B参照)、シース110を引き抜いて胆管ステント1の第1ステント部10を放出する(図6C参照)。第1ステント部10は、第1骨格部11の拡張力により拡径し、総肝管H1に留置される。このとき、第1ステント部10が拡径状態となる際の軸方向の短縮率が伸長規制部13により低減され、第1ステント部10の留置位置を精度良く調整することができる。
このようにして、胆管ステント1は、第1ステント部10から第2ステント部20A、20Bにわたって完全に拡径状態となり、肝門部HPの開存状態が確保される。
その後、図示は省略するが、インナーロッド120を引き抜くことにより、胆管ステント1が肝門部HPに留置される。
【0045】
以上のように、本実施形態の胆管ステント1は、肝門部HP(生体管腔)内に留置されるステントであって、筒形状を有し、軸方向に略直交する径方向に拡縮可能な第2のステント部(ステント部)20A、20Bと、第2ステント部20A、20Bを縮径状態から拡径状態に変換可能な変換手段30A、30Bと、を備え、変換手段30A、30Bは、第2ステント部20A、20Bの外周面に巻回される第1の線状部材31A、31Bと、第1の線状部材31A、31Bを第2ステント部20A、20Bから脱落不能に保持する保持部材(第2の線状部材32A、32B)と、を有し、第1の線状部材31A、31Bと保持部材が係合されることで第2ステント部20A、20Bの縮径状態を保持するとともに、係合が解除されることで縮径状態から拡径状態に変換する。
これにより、第2ステント部20A、20Bは、シース110から放出された後も縮径状態を維持することができ、放出後に拡径状態とされるよりも肝門部HPの留置目標部位に対して第2ステント部20A、20Bの位置決めを精度良く行うことができる。また、第1の線状部材31A、31Bと保持部材として機能する第2の線状部材32A、32Bの係合を解除するだけで、第2ステント部20A、20Bを拡径状態にすることができる。したがって、胆管ステント1を肝門部HPの留置目標部位に精度よく留置させることができる。
【0046】
また、第1の線状部材31A、31Bは、第2ステント部20A、20Bの外周面に周方向に巻回され一回転ごとに屈曲して逆方向に巻回されている。これにより、保持部材として機能する第2の線状部材32A、32Bとの係合が解除されると、第2ステント部20A、20Bから自然に脱落して、第2ステント部20A、20B(第2骨格部21A、21B)の拡張力により容易に拡径状態へと移行させることができる。
【0047】
また、保持部材は、第2ステント部20A、20Bの軸方向に沿うように配置され、第1の線状部材31A、31Bに形成された屈曲部Bに挿通される第2の線状部材32A、32Bで構成され、変換手段30A、30Bは、第1の線状部材31A、31Bにより第2の線状部材32A、32Bとともに縛られ縮径状態とされた第2ステント部20A、20Bを、屈曲部Bから第2の線状部材32A、32Bが引き抜かれることで拡径状態に変換する。
具体的には、第2の線状部材32A、32Bに沿って複数の屈曲部Bが並んで配置され、変換手段30A、30Bは、第2の線状部材32A、32B及び第2ステント部20A、20Bのうち、少なくとも一方を軸方向に相対的に移動させることで、複数の屈曲部Bから第2の線状部材32A、32Bが順次引き抜かれて、第2ステント部20A、20Bを拡径状態に変換する。
これにより、第2の線状部材32A、32Bを引き抜くという簡単な操作で、第2ステント部20A、20Bを拡径状態に変換することができる。
【0048】
また、第2の線状部材32A、32Bは、隣り合う2つの屈曲部Bが交差することにより形成された環状部Rに挿通される。これにより、第1の線状部材31A、31Bと第2の線状部材32A、32Bとの係合位置を制御し易くなり、例えば、第2ステント部20A、20Bを軸方向に均等に縛って縮径させて所望の縮径状態を形成することができる。
【0049】
また、胆管ステント1は、第2ステント部20A、20Bが縮径状態でシース110に収容され、変換手段30A、30Bは、第2ステント部20A、20Bのシース110から放出された部分を、第1の線状部材31A、31Bと保持部材(第2の線状部材32A、32B)との係合が解除されるまで縮径状態に維持する。これにより、第2ステント部20A、20Bを拡径するタイミングを施術者が制御でき、第2ステント部20A、20Bを容易に留置目標部位に位置させることができることとなり、施術者の経験や技量に関わらず安定した手技が実現される。
【0050】
胆管ステント1を構成するステント部は、肝門部HP(生体管腔)の総肝管H1(第1管腔)内に留置される第1ステント部10と、総肝管H1から分枝した右肝管H2及び左肝管H3(第2管腔)内に留置される第2ステント部20A、20Bと、を含み、変換手段30A、30Bは、少なくとも第2ステント部20A、20Bに設けられている。これにより、生体管腔の分枝部分の一例である肝門部HPに一回の手技で容易に胆管ステント1を留置させることができる。
【0051】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0052】
例えば、実施形態では、第1の線状部材31A、31Bを保持する保持部材として、第2の線状部材32A、32Bを例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、他の形態であってもよい。例えば、第1の線状部材31A、31Bを巻回した状態で、第2ステント部20A、20Bの外周面に接着剤で固定して、第1の線状部材31A、31Bを脱落不能に保持するようにしてもよい。
【0053】
また、実施形態では、Y字形状を有する胆管ステント1について示したが、本発明は、T字状やπ字状などのY字状以外の分枝形状を有するステントに適用することもできるし、第2ステント部の数は3以上であってもよい。さらには、本発明は、分枝形状を有さない、直筒形状のステントに適用することもできる。
【0054】
また、実施形態では、第2ステント部20A、20Bをシース110から放出する際に、第1ステント部10をシース110内に収納しておくことで、第1ステント部10の縮径状態を維持しているが、第1ステント部10にも変換手段30A、30Bと同様の機構を設け、シース110から放出された後も第1ステント部10の縮径状態を維持し、その後拡径するようにしてもよい。この場合、第2ステント部20A、20Bとともに、第1ステント部10を放出して、その後で、胆管ステント1の位置合わせを行うことができる。なお、第1ステント部10に設ける変換手段は、保持部材を用いずに線状部材で縛っておくだけで縮径状態を維持でき、線状部材の引抜きにより拡径状態に変換可能としてもよい。
【0055】
また、胆管ステント1において、第1ステント部10と第2ステント部20A、20Bは、個別に作製した後で、接続するようにしてもよいし、第1骨格部11及び第2骨格部21A、21Bを同一の線材によって形成してもよい。
【0056】
また、実施形態にて、例えば、右肝管H2及び左肝管H3に留置される第2ステント部20A、20Bに、他のステント部を組み合わせて延長できるようにしてもよい。
【0057】
本発明は、実施形態で説明した胆管ステント1に限らず、消化器系管腔や血管などの生体管腔の分枝部分に留置されるステントに適用することができる。
【0058】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0059】
2019年3月6日出願の特願2019-040638の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【符号の説明】
【0060】
1 胆管ステント(ステント)
10 第1ステント部
20A、20B 第2ステント部
30A、30B 変換手段
31A、31B 第1の線状部材
32A、32B 第2の線状部材(保持部材)
B 屈曲部
HP 肝門部(生体管腔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔内に留置されるステントであって、
形状を有し、径方向に拡縮可能であり、縮径状態でシースに収容されるステント部と、
記ステント部の、前記シースから先に放出される先端側部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記先端側部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記先端側部の縮径状態を前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記先端側部を縮径状態から拡径状態に変換する、
ステント。
【請求項2】
前記変換手段は、前記係合により、前記第1の線状部材の巻回状態を保持して前記先端側部の縮径状態を保持し、前記係合の解除により、前記巻回状態を保持せず前記第1の線状部材を前記先端側部から脱落させて前記先端側部を縮径状態から拡径状態に変換する、
請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記ステント部は、第1ステント部と、前記第1ステント部よりも軸方向の先端側に連設された、前記先端側部としての第2ステント部とを含み、
前記第2ステント部は、前記第1ステント部の軸方向先端部から分枝した複数の分枝ステント部を含む、
請求項1又はに記載のステント。
【請求項4】
前記保持部材は、前記軸方向に沿うように配置され、前記第1の線状部材に形成された屈曲部に挿通される第2の線状部材で構成され、
前記変換手段は、前記第1の線状部材により前記第2の線状部材とともに縛られ縮径状態とされた前記第2ステント部を、前記屈曲部から前記第2の線状部材が引き抜かれることで拡径状態に変換する、請求項に記載のステント。
【請求項5】
前記第2の線状部材に沿って複数の前記屈曲部が並んで配置され、
前記変換手段は、前記第2の線状部材及び前記第2ステント部のうち、少なくとも一方を前記軸方向に相対的に移動させることで、前記複数の屈曲部から前記第2の線状部材が順次引き抜かれて、前記第2ステント部を拡径状態に変換する、請求項に記載のステント。
【請求項6】
シースと、
形状を有し、径方向に拡縮可能であり、縮径状態で前記シースに収容されるステント部と、
記ステント部の、前記シースから先に放出される先端側部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記先端側部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記先端側部の縮径状態を前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記先端側部を縮径状態から拡径状態に変換する、
ステント留置システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係るステントの一態様は、
生体管腔内に留置されるステントであって、
形状を有し、径方向に拡縮可能であり、縮径状態でシースに収容されるステント部と、
記ステント部の、前記シースから先に放出される先端側部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記先端側部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記先端側部の縮径状態を前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記先端側部を縮径状態から拡径状態に変換する。
発明に係るステント留置システムの一態様は、
シースと、
形状を有し、径方向に拡縮可能であり、縮径状態で前記シースに収容されるステント部と、
記ステント部の、前記シースから先に放出される先端側部の外周面に、自然脱落可能な態様で巻回される第1の線状部材と、前記第1の線状部材を前記先端側部から脱落不能に保持する保持部材と、を有する変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1の線状部材と前記保持部材との係合により、前記先端側部の縮径状態を前記係合が解除されるまで保持し、
前記係合の解除により、前記先端側部を縮径状態から拡径状態に変換する。