(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057742
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】入力支援装置、入力支援システム、及び入力支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240418BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164603
(22)【出願日】2022-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】505194686
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ西日本
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 明宏
(72)【発明者】
【氏名】宮地 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】片山 俊明
(72)【発明者】
【氏名】中谷 紳一
(72)【発明者】
【氏名】大畑 祐康
(72)【発明者】
【氏名】有川 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】川上 聡
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】入力者の入力項目への入力ミスを効果的に防ぐ入力支援装置、入力支援システム及び入力支援プログラムを提供する。
【解決手段】入力支援システムは、所定の申請業務を行う申請者が使用する複数の申請者端末と、所定の入力項目を有する帳票の画面を表示して申請者から申請に必要なデータ入力を受け付けるワークフローシステムと、申請者が行うワークフローシステムへのデータ入力を支援する入力支援装置と、入力支援装置を管理する管理者が使用する情報処理装置である管理者端末と、を含む。入力支援装置は、入力支援情報の申請履歴情報テーブルを取得し、取得した申請履歴情報テーブルに基づき、各帳票の各入力項目に対する入力ミスに関する傾向を分析して傾向分析結果情報及び入力ミス相関情報を作成し、入力支援情報の年別観点別入力ミス傾向情報テーブル及び入力ミス相関情報テーブルにそれらの情報を保存する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のカテゴリに属する入力者による所定の入力項目への入力の履歴を記憶する記憶装置、及び、
前記入力の履歴に基づき、前記カテゴリに属する入力者による前記入力項目への入力ミスの傾向を分析する傾向分析処理と、
前記分析した入力ミスの傾向に基づき、前記入力項目を、前記カテゴリに属する入力者に対する入力支援処理の対象とするか否かを判定する支援対象項目判定処理と、
前記入力支援処理の対象にすると判定した入力項目及び前記カテゴリに関する情報を、当該入力項目への入力を受け付ける情報処理装置に送信する判定結果通知処理とを実行する処理装置
を備える入力支援装置。
【請求項2】
前記処理装置は、
前記傾向分析処理において、前記入力の履歴に基づき、前記カテゴリに属する入力者による前記入力項目への入力ミスの回数又は頻度の時間変化を算出し、
前記支援対象項目判定処理において、前記算出した時間変化が所定の条件を満たす場合に、前記入力項目を前記入力支援処理の対象とすると判定する
請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項3】
前記処理装置は、
前記支援対象項目判定処理において、前記傾向分析処理で算出した時間変化に基づき、前記入力ミスの回数又は頻度が直近の所定期間において増加し又は所定の閾値を超えているか否かを判定し、前記入力ミスの回数又は頻度が前記直近の所定期間において増加し又は所定の閾値を超えている場合に、前記入力項目を前記入力支援処理の対象とすると判定する
請求項2に記載の入力支援装置。
【請求項4】
前記処理装置は、
前記支援対象項目判定処理において、前記入力項目を前記カテゴリに属する入力者に対する入力支援処理の対象とするか否かを、複数のカテゴリについてそれぞれ判定し、前記複数のカテゴリのうち前記入力支援処理の対象とする複数のカテゴリの組み合わせが存在すると判定した場合に、当該複数のカテゴリの組み合わせに関する情報を所定の情報処理装置に送信する、
請求項1に記載の入力支援装置。
【請求項5】
所定のカテゴリに属する入力者による所定の入力項目への入力の履歴を記憶する記憶装置、及び、
前記入力の履歴に基づき、前記カテゴリに属する入力者による前記入力項目への入力ミスの傾向を分析する傾向分析処理と、
前記分析した入力ミスの傾向に基づき、前記入力項目を、前記カテゴリに属する入力者に対する入力支援処理の対象とするか否かを判定する支援対象項目判定処理と、
前記入力支援処理の対象にすると判定した入力項目及び前記カテゴリに関する情報を送信する判定結果通知処理とを実行する処理装置
を備える入力支援装置と、
前記情報を受信し、受信した前記情報が示す、前記入力支援処理の対象にすると判定した入力項目への入力を受け付ける際に、当該入力項目への入力を行う入力者が属するカテゴリが前記所定のカテゴリと一致する場合に、前記入力支援処理として、当該入力項目への入力ミスを防ぐための情報を出力する処理装置を備える情報処理装置と、
を含んで構成される入力支援システム。
【請求項6】
情報処理装置に、
所定のカテゴリに属する入力者による所定の入力項目への入力の履歴を記憶させ、
前記入力の履歴に基づき、前記カテゴリに属する入力者による前記入力項目への入力ミスの傾向を分析する傾向分析処理と、
前記分析した入力ミスの傾向に基づき、前記入力項目を、前記カテゴリに属する入力者に対する入力支援処理の対象とするか否かを判定する支援対象項目判定処理と、
前記入力支援処理の対象にすると判定した入力項目及び前記カテゴリに関する情報を、当該入力項目への入力を受け付ける情報処理装置に送信する判定結果通知処理とを実行させる、
入力支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力支援装置、入力支援システム、及び入力支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークフローシステムを導入して業務を行っている組織において、その従業員は、ワークフローシステムに対して各種の書類(例えば帳票)を提出(登録)する必要がある。そして、そのような書類には様々な入力項目が設定されており、従業員は、これらに正しくデータを入力する必要がある。
【0003】
しかしながら、従業員は必ずしも全ての種類の書類の作成に熟達しているとは限らず、例えば初めて作成する種類の書類の場合、従業員は入力方法が不明なまま誤った内容の入力をしてしまったり、入力が必須である項目への入力を見落としたりすることがある。
【0004】
そのような入力ミスへの対策としては、まず、正しい入力方法を周知すべくワークフローシステムの手順書を改善することが考えられる。しかし、手順書の改善には手間がかかるうえ、手順書の改善を行ったとしてもそれを従業員に周知するための時間も必要となる。
【0005】
また、ワークフローシステム上の入力フォームに対してポップアップやツールチップ等のガイド機能を設けることも考えられる。例えば、特許文献1には、入力帳票データを取得し、所定のガイド条件に従い、個人属性情報および入力履歴情報に基づいてチェック項目ごとにガイダンスレベルを決定し、チェック項目IDおよびガイダンスレベルに基づいてガイダンスデータを取得し、入力項目にガイダンスデータを付加した入力画面データを構成するガイダンス表示システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ガイド処理が頻繁に行われると入力者はそれを鬱陶しく感じるようになり、その結果注意喚起の効果が薄れ、かえって逆効果となる場合もある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力者の入力項目への入力ミスを効果的に防ぐことが可能な入力支援装置、入力支援システム、及び入力支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一つは、所定のカテゴリに属する入力者による所定の入力項目への入力の履歴を記憶する記憶装置、及び、前記入力の履歴に基づき、前記カテゴリに属する入力者による前記入力項目への入力ミスの傾向を分析する傾向分析処理と、前記分析した入力ミスの傾向に基づき、前記入力項目を、前記カテゴリに属する入力者に対する入力支援処理の対象とするか否かを判定する支援対象項目判定処理と、前記入力支援処理の対象にすると判定した入力項目及び前記カテゴリに関する情報を、当該入力項目への入力を受け付ける情報処理装置に送信する判定結果通知処理とを実行する処理装置を備える入力支援装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力者の入力項目への入力ミスを効果的に防ぐことができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る入力支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】ワークフローシステムが備える機能の一例を説明する図である。
【
図3】入力支援装置が備える機能の一例を説明する図である。
【
図5】申請履歴情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】申請履歴情報テーブルのデータ例を示す図である。
【
図7】年別誤入力情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図8】年別入力漏れ情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図9】年別部署別誤入力傾向情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図10】年別部署別入力漏れ傾向情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図11】誤入力相関情報テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図12】入力支援システムにおける各情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。
【
図13】入力支援システムで行われる処理の概要を説明する図である。
【
図14】傾向分析処理の一例を説明するフロー図である。
【
図15】本実施形態において作成される年別誤入力情報テーブルの一例を示す図である。
【
図16】本実施形態において作成される年別部署別誤入力傾向情報テーブルにおける年別部署別誤入力傾向情報テーブルの一例を示す図である。
【
図17】支援対象項目判定処理の一例を説明するフロー図である。
【
図18】支援対象項目判定処理の一例を説明するフロー図である。
【
図19】入力支援処理が行われた入力画面の一例を示す図である。
【
図20】本実施形態において作成される誤入力相関情報テーブルの一例を示す図である。
【
図21】傾向情報通知処理の一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る入力支援システム1の構成の一例を示す図である。入力支援システム1は、所定の申請業務を行う申請者が使用する情報処理装置である複数の申請者端末10と、所定の入力項目を有する帳票の画面を表示して申請者(申請者端末10)から申請に必要なデータ入力を受け付ける情報処理装置であるワークフローシステム20と、申請者が行うワークフローシステム20へのデータ入力を支援する情報処理装置である入力支援装置30と、入力支援装置30を管理する管理者が使用する情報処理装置である管理者端末40とを含んで構成される。
【0014】
申請者端末10、ワークフローシステム20、入力支援装置30、及び管理者端末40の間は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、又は専用線等の有線又は無線の通信ネットワーク5により接続される。
【0015】
ワークフローシステム20は、申請業務を行うための各種書類(例えば、帳票、請求書、申請書。以下、単に帳票という。)のデータ(ブランクフォーマット等)を記憶してい
る。この帳票は、入力者たる申請者(申請者端末10)によって入力される1又は複数のデータ入力項目(以下、単に入力項目という)を有している。
【0016】
ワークフローシステム20は、各入力項目のデータ入力を行うための入力画面を申請者(申請者端末10)に表示し、入力者からの、各入力項目へのデータの入力を受け付ける。なお、各申請者(申請者端末10)は、自身に予め割り当てられたID及び所定のパスワード等を入力することでワークフローシステム20にログインした上で、各帳票の各入力項目へのデータ入力を行う。
【0017】
なお、各申請者には様々な属性を有する者がいる。具体的には、各申請者は、業務又は業務以外に関する1又は複数のカテゴリ(例えば、部署、職位、勤務年数、勤務形態、雇用形態、年齢)に属する。ワークフローシステム20は、各申請者のID及びパスワードと共に、これらのカテゴリも記憶している。このようなカテゴリは、本実施形態では、申請者の属性を分類する観点として把握される。なお、本実施形態で説明するカテゴリは一例であり、これに限定する趣旨ではない。
【0018】
ここで、本実施形態の入力支援システム1においては、まず、入力支援装置30が、申請者のカテゴリと各入力項目に対する入力ミスの多寡との間の関係を示す情報(以下、傾向分析結果情報という。詳細は後述する。)を作成し、この傾向分析結果情報に基づき、各帳票の入力項目のうち、ワークフローシステム20において申請者のデータ入力を支援する入力支援処理が必要な入力項目(入力支援項目)を特定する。詳細は後述するが、入力支援処理は、例えば、入力中の申請者(申請者端末10)に対して補助メッセージを表示する等、入力項目への入力ミスを防ぐための情報を出力する処理である。
【0019】
次に、
図2は、ワークフローシステム20が備える機能の一例を説明する図である。ワークフローシステム20は、データ取得部211及び判定部212の各機能部を含む支援対象項目判定部21を備える。
【0020】
データ取得部211は、申請者端末10又は入力支援装置30から各種のデータの入力を受け付け、また各種のデータを取得する。
【0021】
判定部22は、各帳票の入力項目のうち、入力支援処理を行う入力項目を特定する。判定部22は、特定した入力項目に対して、入力支援処理を行う。
【0022】
図3は、入力支援装置30が備える機能の一例を説明する図である。入力支援装置30は、傾向分析部31、及び傾向情報通知部32の各機能部を備える。
【0023】
傾向分析部31は、データ取得部311及び分析部312を有する。データ取得部311は、ワークフローシステム20から各種のデータ、例えば各申請者の各帳票の各入力項目への入力の履歴の情報(後述する申請履歴情報テーブル100)を取得する。
【0024】
分析部312は、データ取得部311が取得した入力の履歴に基づき、複数の各カテゴリについて、当該カテゴリに属する入力者による入力項目への入力ミス)の傾向をそれぞれ分析することで、傾向分析結果情報(具体的には、年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300)を作成する。なお、本実施形態では、入力ミスには、入力項目にデータの何らかの入力がなされているがそれが誤りである誤入力と、データ入力をすべき入力項目にデータが全く入力されていない入力漏れの2種類があるものとするが、その他の種類の入力ミスを考慮してもよい。例えば、入力値の範囲の逸脱、文字種類の違反等をさらに設定するようにしてもよい。傾向分析結果情報は、このような入力ミスの種類ごとに作成される。
【0025】
本実施形態では、分析部312は、各カテゴリに属する入力者による入力項目への入力ミスの回数又は頻度の時間変化をそれぞれ算出することで、傾向分析結果情報を作成する。そして、分析部312は、算出した時間変化に基づき、入力ミスの回数又は頻度が直近の所定期間において増加し又は所定の閾値を超えているか否かを判定し、入力ミスの回数又は頻度が直近の所定期間において増加し又は所定の閾値を超えている場合に、その入力項目を入力支援処理の対象とすると判定する。
【0026】
さらに、分析部312は、傾向分析結果情報に基づき、申請者のカテゴリと入力項目への入力ミス(誤入力及び記入漏れ)との関係を示した情報である入力ミス相関情報(具体的には、入力ミス相関情報テーブル400)を作成する。後述する入力ミス相関情報テーブル400は、入力ミスの種類ごとに作成される。
【0027】
次に、傾向情報通知部32は、データ取得部321及び送信部322を備える。データ取得部321は、入力ミス相関情報を取得する。送信部322は、取得した入力ミス相関情報(入力ミス相関情報テーブル400)に基づき、入力支援処理の対象となっている複数のカテゴリの組み合わせが存在すると判定した場合に、その複数のカテゴリの組み合わせに関する情報(以下、警告情報という)を申請者端末10又はワークフローシステム20に送信する。
【0028】
次に、入力支援装置30は、ユーザ情報33及び入力支援情報34を記憶している。
【0029】
ユーザ情報33は、各申請者のID、パスワード、及びカテゴリ等の、ユーザに関する情報を記憶している。
【0030】
次に、
図4は、入力支援情報34の構成の一例を示す図である。入力支援情報34は、申請履歴情報テーブル100、年別入力ミス情報テーブル200、年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300、及び入力ミス相関情報テーブル400の各データベースを備える。
【0031】
申請履歴情報テーブル100は、各申請者によって行われた、各帳票の各入力項目へのデータの入力の履歴を記憶したテーブルである。
【0032】
年別入力ミス情報テーブル200は、各申請者によって行われた各帳票の各入力項目へのデータ入力における各種類の入力ミスの履歴を年毎に記憶している。年別入力ミス情報テーブル200は、入力ミスの種類ごとの、1又は複数のテーブルからなる年別入力ミス情報テーブル200は、申請履歴情報テーブル100に基づき作成される。本実施形態では、年別入力ミス情報テーブル200は、入力ミスのうち誤入力の履歴を記憶した年別誤入力情報テーブル210、及び、入力ミスのうち入力漏れの履歴を記憶した年別入力漏れ情報テーブル230を含むものとする。
【0033】
年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300は、申請者によって行われた、各帳票の各入力項目への入力ミスの傾向を、年ごと及び申請者のカテゴリごとに記憶している。年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300は、年別入力ミス情報テーブル200に基づき作成される。年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300は、カテゴリの種類ごとの、1又は複数のテーブルからなる。
【0034】
本実施形態では、年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300は、カテゴリとして申請者の部署ごとの入力ミスの傾向の情報を記憶した年別部署別入力ミス傾向情報テーブル310、及び、カテゴリとして申請者の雇用形態ごとの入力ミスの傾向の情報を記憶した年
別雇用形態別入力ミス傾向情報テーブル330を含むものとする。
【0035】
さらに、この年別部署別入力ミス傾向情報テーブル310は、入力ミスの種類ごとのテーブルを備える。すなわち、年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300は、申請者の部署ごとの誤入力の傾向の情報を記憶した年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110、及び、申請者の部署ごとの入力漏れの傾向の情報を記憶した年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130を含む。
【0036】
同様に、年別雇用形態別入力ミス傾向情報テーブル330も、入力ミスの種類ごとのテーブルを備える。すなわち、年別雇用形態別入力ミス傾向情報テーブル330は、申請者の雇用形態ごとの誤入力の傾向の情報を記憶した年別雇用形態別誤入力傾向情報テーブル3310、及び、申請者の雇用形態ごとの入力漏れの傾向の情報を記憶した年別雇用形態別入力漏れ傾向情報テーブル3330を含む。
【0037】
次に、入力ミス相関情報テーブル400は、複数のカテゴリの組み合わせと、それらのカテゴリに属する申請者の入力ミスとの相関関係を記憶している。入力ミス相関情報テーブル400は、入力ミスの種類ごとの、1又は複数のテーブルからなる。すなわち、入力ミス相関情報テーブル400は、複数のカテゴリの組み合わせと誤入力との相関関係を記憶した誤入力相関情報テーブル410、及び、複数のカテゴリの組み合わせと入力漏れとの相関関係を記憶した入力漏れ相関情報テーブル430を含む。
【0038】
次に、これらの入力支援情報34の詳細を説明する。
(申請履歴情報テーブル)
図5は、申請履歴情報テーブル100のデータ構成の一例を示す図である。申請履歴情報テーブル100は、ワークフローの番号(識別情報)が設定されるワークフロー番号101、そのワークフローにおける帳票の番号(識別情報)が設定される帳票番号102、及び、申請者によるワークフローシステム20の帳票へのデータ入力の内容が設定される入力項目103の各データ項目を有する。
【0039】
入力項目103は、帳票の各入力項目について、その入力項目に入力されたデータの内容が設定される入力内容104、及びその入力されたデータの入力ミスの種別(以下、誤り種別という)が設定される誤り種別105の各データ小項目を有する。
【0040】
なお、
図5には示していないが、申請履歴情報テーブル100の各レコードには、各入力項目への入力を行ったユーザを特定する情報(ID等)がそれぞれ設定されている。
【0041】
ここで、
図6は、申請履歴情報テーブル100のデータ例を示す図である。この申請履歴情報テーブル100では、帳票の入力項目として、取引先会社、取引先住所、品名、及び金額を含むものとする。
【0042】
なお、申請履歴情報テーブル100は、ワークフローシステム20が各申請者からのデータ入力を受け付けるごとに、自動的に又はワークフローシステム20の管理者等によって作成又は更新されるものとする。なお、誤り種別105には、誤入力の場合は0、入力漏れの場合は1がそれぞれ設定されるものとする。
【0043】
(年別誤入力情報テーブル)
図7は、年別誤入力情報テーブル210のデータ構成の一例を示す図である。年別誤入力情報テーブル210は、帳票の番号(識別情報)が設定される帳票番号215、その帳票における入力項目を示す情報が設定される項目名216、及びその入力項目に対するデータ入力における誤入力の数の情報が設定される誤入力数217の各データ項目を有する
。誤入力数217は、過去所定年数前から本年までの期間の各年における誤入力の回数である誤入力回数218、及び、当該期間における誤入力の年間平均の数である年間平均219の各データ小項目を有する。なお、本実施形態では、年別誤入力情報テーブル210では、誤入力回数218に対して誤入力の回数の情報が設定されるものとするが、誤入力の頻度(例えば、全入力回数に対する誤入力の回数の割合)の情報が設定されてもよい。
【0044】
(年別入力漏れ情報テーブル)
図8は、年別入力漏れ情報テーブル230のデータ構成の一例を示す図である。年別入力漏れ情報テーブル230は、帳票の番号(識別情報)が設定される帳票番号231、その帳票における入力項目を示す情報が設定される項目名232、及びその入力項目に対するデータ入力における入力漏れの数の情報が設定される入力漏れ数233の各データ項目を有する。入力漏れ数233は、過去所定年数前から本年までの期間の各年における入力漏れの回数が設定される入力漏れ回数234、及び、当該期間における入力漏れの年間平均の数である年間平均235のデータ小項目を有する。なお、本実施形態では、年別入力漏れ情報テーブル230では、入力漏れ数に対して入力漏れの回数の情報が設定されるものとするが、入力漏れの頻度(例えば、全入力回数に対する入力漏れの回数の割合)の情報が設定されてもよい。
【0045】
(年別部署別誤入力傾向情報テーブル)
図9は、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110のデータ構成の一例を示す図である。年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110は、帳票の番号(識別情報)が設定される帳票番号3111、その帳票における入力項目を示す情報が設定される項目名3112、各部署における誤入力の情報が設定される部署別誤入力3113、入力ミス(ここでは誤入力)の標準的な回数を示す値である基準値(詳細は後述)が設定される基準値3114、及び、誤入力の数の年間平均が設定される誤入力年間平均3115の各データ項目を有する。
【0046】
部署別誤入力3113は、過去所定年数前から本年までの期間の各年(区間)における誤入力の回数が設定される誤入力数3116、その誤入力の回数の基準値からの偏差が設定される偏差3117、その部署における誤入力の傾向を示す情報(以下、誤入力傾向値という)が設定される誤入力傾向3118、及び、入力項目が支援対象項目であるか否かを示す情報(以下、支援対象項目フラグという)が設定される支援対象項目3119の各データ小項目を有する。
【0047】
誤入力傾向3118には、本実施形態では、誤入力傾向値として、入力ミスの回数(又は頻度)が直近の期間で増加し又は高い値であるほど、その値が大きくなるようなパラメータを設定する。
【0048】
具体的には、期間中の各区間の全てで誤入力の回数が基準値以上の場合、誤入力傾向値は1とし、直近の区間とその他の区間の半数以上とにおいて誤入力の回数が基準値未満の場合、誤入力傾向値は2とし、直近の区間のみにおいて誤入力の回数が基準値未満の場合、誤入力傾向値は3とし、直近の区間のみにおいて誤入力の回数が基準値以上の場合、誤入力傾向値は4とし、直近の区間とその他の区間の半数以上とにおいて誤入力の回数が基準値未満の場合、誤入力傾向値は5とし、期間中の各区間の全てで誤入力の回数が基準値以上の場合、誤入力傾向値は6とする。ただし、ここで説明したパラメータの設定方法は一例である。
【0049】
(年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル)
図10は、年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130のデータ構成の一例を示す図である。年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130は、帳票の番号等の識別情報が設
定される帳票番号3131、その帳票における入力項目を示す情報が設定される項目名3132、各部署における入力漏れの情報が設定される部署別入力漏れ3133、基準値が設定される基準値3134、及び、入力漏れの数の年間平均が設定される入力漏れ年間平均3135の各データ項目を有する。
【0050】
部署別入力漏れ3133は、過去所定年数前から本年までの期間の各年(区間)における入力漏れの回数が設定される入力漏れ数3136、その入力漏れの回数の基準値からの偏差が設定される偏差3137、その部署における入力漏れの傾向を示す情報(以下、入力漏れ傾向値という)が設定される入力漏れ傾向3138、及び、入力項目が支援対象項目であるか否かを示す情報(支援対象項目フラグ)が設定される支援対象項目3139の各データ小項目を有する。
なお、これらのデータ項目の内容は、入力ミスの種類が誤入力ではなく入力漏れである以外は、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110と同様である。
【0051】
(誤入力相関情報テーブル)
図11は、誤入力相関情報テーブル410のデータ構成の一例を示す図である。誤入力相関情報テーブル410は、帳票の番号(識別情報)が設定される帳票番号411、その帳票における入力項目を示す情報が設定される入力項目412、その入力項目に対する、各テゴリに属する申請者の誤入力の回数が設定される観点413、その入力項目に対してこれまでに入力支援処理が行われた回数が設定される支援対象回数414、及び、その入力項目に係るカテゴリの組み合わせの情報(警告情報)を管理者に通知するために必要な、入力支援処理が行われた回数(以下、通知閾値という)が設定される閾値415の各データ項目を有する。
【0052】
なお、本実施形態の誤入力相関情報テーブル410では、観点(カテゴリ)として、申請者が所属する部署416、職位(主任、総合職、部長以上)、年次(勤務年数)、勤務形態(職場勤務又は在宅勤務)、及び雇用形態417(派遣又は正社員等)があるものとするが、観点(カテゴリ)の内容を限定する趣旨ではない。
【0053】
続いて、
図12は、入力支援システム1における各情報処理装置が備えるハードウェアの一例を示す図である。各情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)などの
処理装置91と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置92と、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置93と、ディスプレイ又はタッチパネル等の表示装置94と、キーボード、マウス、又はタッチパネル等の入力装置95と、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB (Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジュール等で構成される通信装置96とを備える。
【0054】
前記で説明した各情報処理装置の各機能部の機能は、処理装置91が、主記憶装置92又は補助記憶装置93から各機能部を実現する所定のプログラムを読み出すことにより実現される。また各プログラムは、例えば、可搬性の又は固定された記録媒体に記録して配布することができる。なお、これらのプログラムは、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、これらのプログラムの全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI (Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。
次に、入力支援システム1で行われる処理について説明する。
【0055】
図13は、入力支援システム1で行われる処理の概要を説明する図である。まず、入力
支援装置30は、傾向分析処理s10を実行する。具体的には、入力支援装置30は、(1)入力支援情報34の申請履歴情報テーブル100を取得し、(2)取得した申請履歴情報テーブル100に基づき、各帳票の各入力項目に対する入力ミスに関する傾向を分析することで傾向分析結果情報及び入力ミス相関情報を作成し、(3)入力支援情報34の年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300及び入力ミス相関情報テーブル400にそれらの情報を保存する。
【0056】
その後、ワークフローシステム20は、支援対象項目判定処理s30を実行する。具体的には、ワークフローシステム20は、(1)ある申請者が操作する申請者端末10からのログインを受け付けると、(2)入力支援装置30から、傾向分析処理s10で作成された傾向分析結果情報及びユーザ情報33を取得する。
【0057】
その後、ワークフローシステム20は、申請者から指定された各帳票の各入力項目へのデータ入力を受け付ける入力画面をそれぞれ申請者端末10に表示する。その際、ワークフローシステム20は、(3)前記取得した傾向分析結果情報及びユーザ情報33に基づき、申請者端末10が表示している入力画面の各入力項目のうち入力支援処理を行う入力項目(入力支援項目)を特定し、(4)特定した入力支援項目に対して入力支援処理を申請者端末10に行わせる(入力支援項目に関する判定結果通知(入力支援の処理の指示)を送信する)。
【0058】
また、入力支援装置30は、傾向情報通知処理s70を実行する。具体的には、入力支援装置30は、(1)傾向分析処理s10で作成した入力ミス相関情報(入力ミス相関情報テーブル400)に基づき、管理者端末40に通知を行うべき、入力者が属するカテゴリの組み合わせの情報(警告情報)を作成する。入力支援装置30は、作成した警告情報を管理者端末40に送信し、管理者端末40はこの警告情報を画面に表示する。管理者は表示された画面を参照することで、各申請者のカテゴリの組み合わせと入力ミスとの関係を把握して、必要に応じて各申請者(申請者端末10)に入力上の注意喚起の通知を行う。
次に、以上の各処理の詳細を説明する。
【0059】
<傾向分析処理>
図14は、傾向分析処理s10の一例を説明するフロー図である。傾向分析処理s10は、例えば、入力支援システム1が起動した際、申請履歴情報テーブル100が更新された際、又は、所定の時間間隔若しくは時刻に行われる。
【0060】
まず、傾向分析部31は、申請履歴情報テーブル100を取得する(s11)。そして、傾向分析部31は、取得した申請履歴情報テーブル100に基づき、年別入力ミス情報テーブル200(年別誤入力情報テーブル210及び年別入力漏れ情報テーブル230)を作成する(s13)。
【0061】
なお、
図15は、本実施形態において作成される年別誤入力情報テーブル210の一例を示す図である。傾向分析部31は、申請履歴情報テーブル100に登録されている各入力項目について、各年の誤入力数を算出すると共に、誤入力数の年間平均を算出し、これらを年別誤入力情報テーブル210に記憶する。同様に、傾向分析部31は、申請履歴情報テーブル100に登録されている各入力項目について、各年の入力漏れ数を算出すると共に、入力漏れ数の年間平均を算出し、これらを年別入力漏れ情報テーブル230に記憶する。
【0062】
次に、傾向分析部31は、これまでに全ての種類の観点について年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300(具体的には、年別部署別入力ミス傾向情報テーブル310及び年
別雇用形態別入力ミス傾向情報テーブル330)を作成したか否かを判定する(s15)。全ての種類の観点について年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300を作成した場合は(s15:YES)、傾向分析部31はs21の処理を実行し、年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300を作成していない種類の観点がある場合は(s15:NO)、傾向分析部31は、その観点の一つを選択し(s17)、s19の処理を実行する。
【0063】
s19において傾向分析部31は、選択した種類の観点について年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300(例えば、観点が部署である場合は、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110及び年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130)を作成する。その後は、s15の処理が繰り返される。
【0064】
ここで、
図16は、本実施形態において作成される年別部署別入力ミス傾向情報テーブル310における年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110の一例を示す図である。以下、この年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110の作成処理の具体例を説明する。
【0065】
まず、傾向分析部31は、申請履歴情報テーブル100の入力者情報及びユーザ情報33に基づき、選択したある入力項目について、s17で選択した観点の各内容(部署A、部署B、・・・)と、観点の全内容の合計数(全部署数)とをそれぞれ特定する。傾向分析部31は、特定した観点の各内容及びs13で作成した年別誤入力情報テーブル210に基づき、s17で選択した種類の観点の各内容(部署A、部署B、・・・)に係る各年の誤入力数をそれぞれ算出し、算出した誤入力数を、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110の各レコードの誤入力数3116にそれぞれ格納する。
【0066】
そして、傾向分析部31は、s13で算出した誤入力の年間平均数(年別誤入力情報テーブル210の年間平均219)のうちs17で選択した種類の観点の各内容(部署A、観点B、・・・)に係る年間平均数のそれぞれについて、これを観点の全内容の合計数(全部署数)で除算することにより、s17で選択した種類の観点に係る基準値を算出し、算出した基準値を、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110の、選択中の入力項目に係るレコードの基準値3114に格納する。すなわち、基準値は、ある種類のカテゴリ(この場合は部署)における入力ミス(この場合は誤入力)の回数の年間平均であり、観点の種類ごと及び入力項目ごとに算出される。
【0067】
傾向分析部31は、算出した、観点の各内容(部署A、部署B、・・・)に係る偏差と、対応する基準値との偏差をそれぞれ算出し、算出した各偏差を、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110の、選択中の入力項目に係るレコードの偏差3117の各小データ項目に格納する。
【0068】
そして、傾向分析部31は、s17で選択した種類の観点における、誤入力数の偏差の時間変化(年変動)を分析することにより、この時間変化に対応する誤入力傾向値を特定し、特定した誤入力傾向値の値を、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110の各レコードの誤入力傾向3118に格納する。
【0069】
傾向分析部31は、以上の処理を各入力項目について繰り返すことで、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110を作成する。なお、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110のうち支援対象項目3119については、後述する支援対象項目判定処理s30で設定される。
【0070】
さらに、傾向分析部31は上記と同様の処理により、入力漏れに関して、入力漏れ数、偏差、基準値、入力漏れ傾向を算出し、それらの結果を、年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130の入力漏れ数3136、偏差3137、基準値3134、及び入力漏れ傾
向3138に設定することで、年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130を作成する。
【0071】
そして、
図14のs21に示すように傾向分析部31は、以上の処理の結果作成した年別観点別入力ミス傾向情報テーブル300(入力ミス傾向情報)を入力支援情報34に記憶する。以上で傾向分析処理s10は終了する。
【0072】
<支援対象項目判定処理>
次に、
図17、18は、支援対象項目判定処理s30の一例を説明するフロー図である(紙面の都合上2図に分けている)。支援対象項目判定処理s30は、例えば、所定のタイミング(所定の時刻、又は所定の時間間隔)、又は入力ミス傾向情報が更新された際に実行される。
まず、
図17に示すように、支援対象項目判定部21は、傾向分析処理s10で作成した入力ミス傾向情報を取得する(s31)。
【0073】
次に、支援対象項目判定部21は、これまでに全ての入力項目に対して入力支援対象であるか否かを判定したか否かを判定する(s33)。全ての入力項目に対して入力支援対象であるか否かを判定した場合は(s33:YES)、支援対象項目判定処理s30は終了し、入力支援対象であるか否かを判定していない入力項目がある場合は(s33:NO)、支援対象項目判定部21は、その入力項目の一つを選択し(s35)、s37の処理を実行する。
【0074】
s37において支援対象項目判定部21は、これまでに、s35で選択した入力項目が入力支援対象であるか否かを全ての観点について判定したか否かを判定する。s35で選択した入力項目が入力支援対象であるか否かを全ての種類の観点について判定した場合は(s37:YES)、後述するs43の処理を実行し、s35で選択した入力項目が入力支援対象であるか否かを判定していない種類の観点がある場合は(s37:NO)、支援対象項目判定部21は、その種類の観点の一つを選択し(s39)、s41の処理を実行する。
【0075】
s41において支援対象項目判定部21は、s33で選択した入力項目が、s39で選択した種類における各観点(例えば、部署A、部署B、・・・)において支援対象項目であるか否かを判定する。
【0076】
例えば、支援対象項目判定部21は、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110を参照し、s33で選択した入力項目に係るレコードにおける、s39で選択した種類における観点に係る誤入力傾向3118の値が予め定めた閾値(本実施形態では4とする)以上である場合には、当該誤入力傾向3118に対応する支援対象項目3119に「〇」を設定し、当該誤入力傾向3118の値が予め定めた閾値未満である場合には、当該誤入力傾向3118に対応する支援対象項目3119に「×」を設定する。なお、この閾値は、入力支援装置30の管理者等が予め設定しておく。
【0077】
同様に、支援対象項目判定部21は、年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130を参照し、s33で選択した入力項目に係るレコードにおける、s39で選択した種類における各観点に係る入力漏れ傾向3138の値が予め定めた閾値以上である場合には、当該入力漏れ傾向3138に対応する支援対象項目3139に「〇」を設定し、当該入力漏れ傾向3138の値が予め定めた閾値未満である場合には、当該入力漏れ傾向3138に対応する支援対象項目3139に「×」を設定する。
【0078】
一方、
図18のs43において支援対象項目判定部21は、少なくとも1種類以上の観
点について支援対象項目であると判定された入力項目があるか否かを判定する。例えば、支援対象項目判定部21は、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110及び年別部署別入力漏れ傾向情報テーブル3130を参照し、各部署別誤入力3113及び各部署別入力漏れ3133のいずれかの支援対象項目3119、3139に「〇」が設定されているレコードがあるか否かを判定する。
【0079】
少なくとも1種類以上の観点について支援対象項目であると判定された入力項目がある場合は(s43:YES)、支援対象項目判定部21は、s45の処理を実行し、1種類以上の観点について支援対象項目であると判定された入力項目がない場合は(s43:NO)、支援対象項目判定部21は、s33の処理を実行する。
【0080】
s45において支援対象項目判定部21は、s43で少なくとも1種類以上の観点について支援対象項目であると判定された入力項目を全て特定し、特定した入力項目に関する情報(入力項目が支援対象項目であることを示す情報、及びその入力項目に係る観点(カテゴリ)の情報)をワークフローシステム20に送信する(s47)。
【0081】
ワークフローシステム20は、上記情報を受信した後、入力支援処理を実行する(s101~s105)。
【0082】
すなわち、ワークフローシステム20は、申請者端末10からのログインを受け付けると、帳票の各入力項目のデータ入力を行うための入力画面を申請者端末10に表示すると共に各入力項目へのデータの入力を受け付ける(s101)。
【0083】
その際、ワークフローシステム20は、これまでに受信した上記情報に基づき、現在データ入力がなされている入力項目が支援対象項目であり、かつ、ログインした申請者が属するカテゴリがこれまでに受信した上記情報におけるカテゴリに一致するという条件を満たすか否かを判定する(s103)。本条件を満たさない場合は(s103:NO)、ワークフローシステム20は、入力支援処理を実行しない。一方、本条件を満たす場合は(s103:YES)、ワークフローシステム20は、その入力項目に対して入力支援処理を実行する(s105)。
【0084】
例えば、ワークフローシステム20は、申請者端末10が表示している、現在データ入力がなされている入力項目の近傍に、当該入力項目への入力ミスを防ぐための情報を、所定の書式(例えば、吹き出し、ツールチップ、赤字又は太字等の強調表示)にて表示させる。
【0085】
また、ワークフローシステム20は、現在入力中の入力項目における過去の入力例を取得(申請履歴情報テーブル100等から取得)してこれを正しいデータ入力例として表示してもよいし、予め管理者等が設定した所定のメッセージを取得してこれを表示してもよい。なお、ワークフローシステム20は、入力例として、正しい入力例又は入力ミス例のいずれを表示するかを設定できるようにしてもよい。
【0086】
ここで、
図19は、入力支援処理が行われた入力画面の一例を示す図である。同図に示すように、この入力画面500は複数の入力項目510、520、530、540、550を有しているが、これらの入力項目のうち入力支援装置30から受信した情報が示す入力項目530(入力支援項目)に対してのみ、正しい入力例560が、その入力項目の領域の近傍に表示される。そして、この正しい入力例560は、入力画面500が、上記入力項目530が入力支援項目であると判定されたカテゴリに属する申請者(申請者端末10)に対する入力画面である場合にのみ、表示される。
【0087】
なお、ワークフローシステム20は、このような入力支援情報を、支援対象項目へのデータ入力が行われているタイミング(入力項目530に入力フォーカスがされているタイミング)でのみ表示してもよいし、入力画面への入力中表示し続けてもよい。
【0088】
また、以上のs101~103の処理は、上記のようにワークフローシステム20が実行してもよいし、申請者端末10が実行してもよい。
【0089】
一方、
図18のs49において、入力支援装置30の支援対象項目判定部21は、少なくとも2種類以上の観点について支援対象項目であると判定された入力項目があるか否かを判定する。例えば、支援対象項目判定部21は、年別部署別誤入力傾向情報テーブル3110及び年別雇用形態別誤入力傾向情報テーブル3310を含む複数のテーブルを参照し、それらのうち2以上のテーブルの支援対象項目に「〇」が設定されている、共通の入力項目に係るレコードか否かを判定する。
【0090】
少なくとも2種類以上の観点について支援対象項目であると判定された入力項目がある場合は(s49:YES)、支援対象項目判定部21は、s51の処理を実行し、2種類以上の観点について支援対象項目であると判定された入力項目がない場合は(s49:NO)、支援対象項目判定部21は、s33の処理を実行する。
【0091】
s51において支援対象項目判定部21は、s49で特定された入力項目(対象支援項目)について入力ミス相関情報テーブル400(誤入力相関情報テーブル410及び入力漏れ相関情報テーブル430)を作成し、これを入力支援情報34に記憶する。その後は、s33の処理が行われる。
【0092】
図20は、本実施形態において作成される誤入力相関情報テーブル410の一例を示す図である。
【0093】
例えば、支援対象項目判定部21は、s49までの処理により、s35で選択した入力項目(「販売先会社」)を、複数種類の観点(部署、雇用形態)により支援対象項目と判定した場合には、誤入力相関情報テーブル410に新規レコード401を作成し、作成した新規レコード401の入力項目412及び帳票番号411に、s35で選択した入力項目及びこれに対応する帳票番号を設定し、観点413における上記複数の観点の小データ項目(部署416、雇用形態417)のそれぞれに、対応する具体的な観点内容(部署A、派遣)を設定し、支援対象回数414に1を設定し、閾値415に所定値(例えば、10)を設定する。なお、支援対象項目判定部21は、既に、帳票番号411、入力項目412、観点413、及び閾値415の設定内容が同じレコードを作成していた場合は、新規レコードは作成せず、その作成済みのレコードの支援対象回数414の値を1増加させる。
【0094】
<傾向情報通知処理>
次に、
図21は、傾向情報通知処理s70の一例を説明するフロー図である。傾向情報通知処理s70は、例えば、所定のタイミング(所定の時刻、又は所定の時間間隔)、又は入力ミス相関情報テーブル400が更新された際に実行される。
まず、傾向情報通知部32は、支援対象項目判定処理s30で作成した入力ミス相関情報テーブル400(誤入力相関情報テーブル410及び入力漏れ相関情報テーブル430)を取得する(s71)。
【0095】
傾向情報通知部32は、入力ミス相関情報テーブル400(誤入力相関情報テーブル410及び入力漏れ相関情報テーブル430)における全ての種類の観点の組み合わせについて、警告情報の対象(通知対象)であるか否かの判定を実施済みか否かを判定する(s
73)。
【0096】
全ての種類の観点の組み合わせについて通知対象であるか否かの判定を実施済みの場合は(s73:YES)、傾向情報通知部32は、s81の処理を実行し、通知対象であるか否かの判定を実施していない観点の種類の組み合わせがある場合は(s73:NO)、s75の処理を実行する。
【0097】
s75において傾向情報通知部32は、通知対象であるか否かの判定を未実施の観点の種類の組み合わせを選択する。例えば、傾向情報通知部32は、誤入力相関情報テーブル410のうち未選択のレコードを取得する。
【0098】
傾向情報通知部32は、選択した組み合わせに係る支援対象回数が通知閾値以上であるか否かを判定する(s77)。例えば、傾向情報通知部32は、取得したレコードの支援対象回数414の値が、閾値415の値以上であるか否かを判定する。
【0099】
選択した組み合わせに係る支援対象回数が通知閾値以上である場合は(s77:YES)、傾向情報通知部32は、選択した観点の組み合わせ(カテゴリの組み合わせ)を通知対象として記憶する(s79)。その後はs73の処理が繰り返される。一方、選択した組み合わせに係る支援対象回数が通知閾値未満である場合は(s77:NO)、傾向情報通知部32は、s73の処理を繰り返す。
【0100】
s81において傾向情報通知部32は、これまでの処理で通知対象として記憶した観点の組み合わせを示す情報(警告情報)を、管理者端末40に送信する。管理者端末40は、この警告情報の画面を表示する。管理者は表示された画面を参照することで、各申請者のカテゴリの組み合わせと入力ミスとの関係を把握して、必要に応じて各申請者(申請者端末10)に入力上の注意喚起の通知を行う。
以上で傾向情報通知処理s70は終了する。
【0101】
以上のように、本実施形態の入力支援装置30は、所定のカテゴリに属する入力者による所定の入力項目への入力の履歴(申請履歴情報テーブル100)に基づき、そのカテゴリに属する入力者による入力項目への入力ミスの傾向を分析することで、その入力項目をそのカテゴリに属する入力者に対する入力支援処理の対象とするか否かを判定し、入力支援処理の対象にすると判定した入力項目及びそのカテゴリに関する情報を、その入力項目への入力を受け付けるワークフローシステム20に送信する。
【0102】
このように、入力者のカテゴリ及び入力項目に基づいた入力ミスの傾向を特定し、この傾向に基づいて入力項目を入力支援処理の対象とするとした場合に、その情報をワークフローシステム20に送信することで、ワークフローシステム20に、入力者のカテゴリ及び入力項目に応じた適切な入力支援を行わせることができる。
【0103】
このように、本実施形態の入力支援装置30によれば、入力者の入力項目への入力ミスを効果的に防ぐことができる。
【0104】
また、本実施形態の入力支援装置30は、入力の履歴に基づき、あるカテゴリに属する入力者による入力項目への入力ミスの回数又は頻度の時間変化を算出し、算出した時間変化が所定の条件を満たす場合に、その入力項目を入力支援処理の対象とすると判定する。
【0105】
これにより、入力ミスが起きる可能性が高い入力項目を入力支援処理の対象とすることができ、入力者の入力項目への入力ミスを効果的に防ぐことができる。
【0106】
具体的には、本実施形態の入力支援装置30は、入力ミスの回数又は頻度が直近の所定期間において増加し又は所定の閾値を超えている場合に、入力項目を入力支援処理の対象とすると判定する。これにより、入力ミスが起きる可能性が現時点で高い入力項目を入力支援処理の対象とすることができる。
【0107】
また、本実施形態の入力支援装置30は、複数のカテゴリのそれぞれについて入力支援処理の対象とするか否かをそれぞれ判定し、入力支援処理の対象である複数のカテゴリの組み合わせが存在すると判定した場合に、その複数のカテゴリの組み合わせに関する情報を管理者端末40に送信する。
【0108】
これにより、管理者等は、入力ミスを起こす可能性が高いカテゴリの組み合わせを特定することができ(例えば、2以上のある属性を兼ね備える入力者が入力ミスを起こす可能性が高いと特定する)、これにより、そのような複数のカテゴリに属する入力者の入力項目への入力ミスを効果的に防ぐことができる。
【0109】
また、入力支援システム1におけるワークフローシステム20は、入力支援処理の対象にすると判定された入力項目への入力を受け付ける際に、当該入力項目への入力を行う入力者が属するカテゴリが、入力支援装置30が送信してきたカテゴリと一致する場合に、前記入力支援処理として、当該入力項目への入力ミスを防ぐための情報を出力する。
【0110】
これにより、入力者の入力項目への入力ミスを効果的に防ぐことができる。
【0111】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0112】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい。
【0113】
また、各装置の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合してもよい。
【0114】
また、本実施形態では、入力ミス相関情報が管理者端末40に送信されるものとしたが、入力ミス相関情報の内容をワークフローシステム20又は申請者端末10にフィードバックさせるようにしてもよい。例えば、ワークフローシステム20は、入力ミス相関情報に登録されている複数のカテゴリの組み合わせを備える入力者による入力が行われている場合に、注意喚起を促すメッセージをワークフローシステム20又は申請者端末10に表示してもよい。
【0115】
また、本実施形態では、各テーブルにおける入力ミスの時間の単位を年としたが、月又は日でもよい。また、本実施形態では、このような時間単位を観点とは異なるものとしたが、観点の一つとして取り扱ってもよい。
【0116】
また、本実施形態では、入力支援システム1が管理する業務は申請業務であるものとしたが、入力支援システム1は、入力者による入力を伴うその他の任意の種類の業務を管理することができる。
【符号の説明】
【0117】
1 データベース管理システム、701 データベース管理装置、703 データ格納部、712 メタデータ算出部、713 機密度算出部、714 グラフデータ構築部