(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024062630
(43)【公開日】2024-05-10
(54)【発明の名称】建物ユニットの上面仮雨仕舞部材
(51)【国際特許分類】
E04G 21/28 20060101AFI20240501BHJP
E04B 1/348 20060101ALI20240501BHJP
【FI】
E04G21/28 B
E04B1/348 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022170605
(22)【出願日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 将之
(57)【要約】 (修正有)
【課題】主に、仮雨仕舞シートを小型にしても、端部の幕板状防水シートによって、建物ユニットの内部への雨水の入り込みを抑制または防止し得るようにする。
【解決手段】建物ユニット3の上面仮雨仕舞部材5は、建物ユニット3の上辺部11を覆う仮雨仕舞シート12を備えている。仮雨仕舞シート12は、端部13に、下方へ垂れて建物ユニット3の側面6の上部を覆う幕板状防水シート14を有している。幕板状防水シート14は、建物ユニット3に隣接して設置された別の建物ユニット3Aの側面6の上部を覆う横幅を有しても良い。幕板状防水シート14は、固縛用の紐部を備えても良い。仮雨仕舞シート12は、幕板状防水シート14が取付けられた端部13に、端部13と幕板状防水シート14との隙間を覆う立下防水カバーを有しても良い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物ユニットの上辺部を覆う仮雨仕舞シートを備え、
前記仮雨仕舞シートは、端部に、下方へ垂れて前記建物ユニットの側面の上部を覆う幕板状防水シートを有することを特徴とする建物ユニットの上面仮雨仕舞部材。
【請求項2】
請求項1に記載の建物ユニットの上面仮雨仕舞部材であって、
前記幕板状防水シートは、前記建物ユニットに隣接して設置された別の建物ユニットの側面の上部を覆う横幅を有していることを特徴とする建物ユニットの上面仮雨仕舞部材。
【請求項3】
請求項2に記載の建物ユニットの上面仮雨仕舞部材であって、
前記幕板状防水シートは、固縛用の紐部を備えていることを特徴とする建物ユニットの上面仮雨仕舞部材。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の建物ユニットの上面仮雨仕舞部材であって、
前記仮雨仕舞シートは、前記幕板状防水シートが取付けられた前記端部に、前記端部と前記幕板状防水シートとの隙間を覆う立下防水カバーを有していることを特徴とする建物ユニットの上面仮雨仕舞部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物ユニットの上面仮雨仕舞部材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などの建物には、ユニット建物によって構成されたものがある。ユニット建物は、予め工場で製造された直方体状の建物ユニットを建築現場へ搬送して、建築現場で組み合わせて設置することにより、短期間のうちに構築できるようにした建物である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような建物ユニットでは、建物ユニットの(工場などから建築現場への)出荷から、建築現場でのユニット建物の据え付けや建物完成までの間に、建物ユニットの内部に雨水が入り込まないように仮雨仕舞する必要がある。
【0004】
そのために、特許文献1では、例えば、降雨時に、建物ユニットに、建物ユニットの上面および側面全体を覆う大きさおよび形状をした防水シートを被せて、建物ユニットを出荷するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、降雨時に建物ユニットに、建物ユニットの上面および側面の全体を覆う大きさおよび形状の防水シートを被せて出荷するようにしている。しかし、建物ユニットは大型の箱体であるため、防水シートを建物ユニットの上面および側面の全体に合わせた大きさおよび形にすると、防水シートが大型化し、防水シートの製造に手間とコストがかかる。また、上記したような大きさおよび形状の防水シートは、取扱性が悪く、例えば、防水シートを建物ユニットに着脱するときなどに手間がかかる。
【0007】
そこで、防水シートを小型化することが望まれているが、防水シートを小型化すると、建物ユニットの内部に雨水が入り込み易くなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に対して、本発明は、
建物ユニットの上辺部を覆う仮雨仕舞シートを備え、
前記仮雨仕舞シートは、端部に、下方へ垂れて前記建物ユニットの側面の上部を覆う幕板状防水シートを有する建物ユニットの上面仮雨仕舞部材を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、仮雨仕舞シートを小型にしても、端部の幕板状防水シートによって、建物ユニットの内部への雨水の入り込みを抑制または防止することなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態にかかる上面仮雨仕舞部材を備えた建物ユニットによって構成されたユニット建物の全体斜視図である。
【
図2】
図1の上面仮雨仕舞部材を備えた建物ユニットと、隣接する別の建物ユニットとの合わせ部を示す部分的な斜視図である。
【
図3】仮雨仕舞シートの端部の周辺を示す、
図2の部分拡大斜視図である。
【
図4】
図2のA-A線に沿った、仮雨仕舞シートの中間部の縦断面図である。
【
図5】立下防水カバーを備えた仮雨仕舞シートの、
図3と同様の部分拡大斜視図である。
【
図6】
図5を部分的に拡大して別の方向から見た部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態は、
図1~
図6を用いて詳細に説明される。
【実施例0013】
<構成>この実施例の構成は、以下の通りである。
【0014】
例えば、
図1に示すような建物1を設ける。この建物1を、ユニット建物によって構成する。
【0015】
ユニット建物は、予め工場で製造された直方体状の建物ユニット2,3を建築現場へ搬送して、建築現場で組み合わせて設置することにより、短期間のうちに構築できるようにした建物1である。
【0016】
建物ユニット2,3は、ユニット建物を構成する単位構造物である。ユニット建物は、下階Lの建物ユニット2の上に上階Hの建物ユニット3を積み重ねて設置することで多層階の建物1になる。
【0017】
なお、図中の矢印は、建物ユニット2,3の短辺方向X、建物ユニット2,3の長辺方向Y、および、上下方向Zを示している。短辺方向X、長辺方向Y、上下方向Zは、互いに直交する三方向である。
【0018】
図のユニット建物は、建物ユニット2,3が短辺方向Xに並べて設置されることで、短辺方向Xが建物ユニット2,3の隣接方向となっている。ただし、建物ユニット2,3の隣接方向は、長辺方向Yとしても良い。この実施例では、隣接方向が短辺方向Xであるとして説明する。
【0019】
このような建物ユニット2,3では、建物ユニット2,3の出荷から、建築現場でのユニット建物の据え付けや建物1の完成までの間に、建物ユニット2,3の内部に雨水が入り込まないように仮雨仕舞する必要がある。
【0020】
そのために、少なくとも降雨時に、建物ユニット2,3は、その上面4に上面仮雨仕舞部材5を取付けて、建物ユニット2,3を雨水から保護した状態で出荷する。上面仮雨仕舞部材5は、工場で建物ユニット2,3を製造してから、建物ユニット2,3を建築現場へ出荷するまでの間に、建物ユニット2,3に取付けられる。
【0021】
後述するように、上面仮雨仕舞部材5は、主に、上階Hの建物ユニット3に取付けられる。下階Lの建物ユニット2には、形状の異なる不図示の別の上面仮雨仕舞部材が取付けられる。なお、上面仮雨仕舞部材5は、降雨時以外であっても、雨天仕様として建物ユニット2,3に予め取付けておいても良い。
【0022】
そして、直方体状の建物ユニット2,3は、周囲に4つの側面6,7を有している。側面6,7は、直方体状の建物ユニット2,3の外周部分を構成する縦の面である。このうち、側面6が、建物ユニット2,3の短辺方向Xの面である。また、側面7が、建物ユニット2,3の長辺方向Yの面である。
【0023】
建物ユニット2,3の屋外側となる側面6,7には外壁9などが取付けられて、外壁9によって本雨仕舞される。また、建物ユニット2,3の室内側となる側面6,7には、外壁9の代わりに、側面用仮雨仕舞部材(不図示)が取付けられる。
【0024】
屋外側となる側面6,7は、隣接する建物ユニット2,3がない面である。この実施例では、主に、側面6が屋外側になる。また、室内側となる側面6,7は、隣接する建物ユニット2,3によって隠される面である。この実施例では、主に、側面7が室内側になる。
【0025】
上記のような構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えても良い。
【0026】
(1)
図2に示すように、建物ユニット3の上面仮雨仕舞部材5は、
建物ユニット3の上辺部10,11を覆う仮雨仕舞シート12を備えても良い。
そして、
図3の部分拡大図に示すように、仮雨仕舞シート12は、端部13に、下方へ垂れて建物ユニット3の側面6,7の上部を覆う幕板状防水シート14を有しても良い。
【0027】
ここで、建物ユニット3の上面仮雨仕舞部材5は、建物ユニット3の上面4の少なくとも一部を覆って、建物ユニット3の上面4に対する部分的な仮雨仕舞を行わせる部材である。仮雨仕舞は、建物ユニット3の出荷から建築現場での建物1の完成までの間の、一時的な雨仕舞のことである。なお、建物1の完成後の本雨仕舞は、仮雨仕舞とは別に行われる。
【0028】
この際、上階H(または最上階)の建物ユニット3は、上面4に工場で予め防水性を有する屋根パネル15を取付けて屋根付きの建物ユニット3としても良い。これにより、下階Lの建物ユニット2の上に上階Hの建物ユニット3を積み重ねるだけで、屋根の大部分を有する多層階のユニット建物ができる。なお、屋根の残りの部分は、上階Hの建物ユニット3を全て設置した後に、建築現場で仕上げられる。下階Lの建物ユニット2については、上面4に屋根パネル15は取付けられない。
【0029】
この実施例の建物ユニット3の上面仮雨仕舞部材5は、主に、ユニット建物の上階Hに設置される建物ユニット3に取付けられて、例えば、上階Hの建物ユニット3の上面4における、屋根パネル15のない部分を仮雨仕舞する。
【0030】
なお、上面仮雨仕舞部材5は、上階Hまたは下階Lの建物ユニット2,3の上面4に、何らかの目的で屋根パネル15とは別の防水パネル(不図示)などが取付けられている場合に、防水パネルなどのない部分を仮雨仕舞するのに使用しても良い。また、上記したように、下階Lの建物ユニット2の上面4には、この実施例とは異なる形状の別の上面仮雨仕舞部材(不図示)が設置される。
【0031】
上記の詳細は、以下の通りである。
【0032】
上階Hの建物ユニット3の上面4に設置される屋根パネル15は、平面視ほぼ矩形状とされる。屋根パネル15は、例えば、建物ユニット3のほぼ矩形状をした上面4よりもほぼ一回り程度小さく形成されて、建物ユニット3の上面4と向きを揃えて、上面4のほぼ中央部に設置される。
【0033】
これにより、建物ユニット3の上面4の中央部分(上面中央部)は、防水性の屋根パネル15によって防水ゾーン16になる。そして、建物ユニット3の上面4の、屋根パネル15のない周縁部分(上面周縁部)は、非防水ゾーン17になる。非防水ゾーン17は、建物ユニット3の上面周縁部に沿って、例えば、矩形枠状などに形成される。
【0034】
建物ユニット3は、建築現場などでクレーンによって吊り上げるのに、上面4の4つの角部Rに、クレーンのフックを引っ掛けるための吊具を取付けるスペースが必要となる。
【0035】
そのために、屋根パネル15は、吊具の邪魔にならないように、また、吊り上げ時に損傷しないように、建物ユニット3の上面4よりも小さく形成される。そして、建物ユニット3の上面4に、屋根パネル15を設置したときに、建物ユニット3の上面4の4つの角部Rが外部に露出されるようにする。建物ユニット3の上面4の、屋根パネル15がないことで、外部に露出した部分が吊具を取付けるスペースとなり、非防水ゾーン17になる。
【0036】
上辺部10,11は、直方体状をした建物ユニット3における、矩形状の上面4の周縁部分を形成する、直線状の各辺4a(
図4)とその周辺の部分であり、上面4に4箇所存在する。このうち、上辺部10は、建物ユニット2,3の短辺方向Xの辺4aの周辺である。また、上辺部11は、建物ユニット3の長辺方向Yの辺4aの周辺である。
【0037】
上記したように小さめの屋根パネル15を、建物ユニット3の上面中央部に設置した場合には、4箇所の上辺部10,11は、基本的に、全て非防水ゾーン17になる。この場合、上面仮雨仕舞部材5は、非防水ゾーン17となる上辺部10,11の一部または全部に対して取付けられる。
【0038】
この実施例では、少なくとも建物ユニット3どうしが隣接する室内側の位置にある辺4aおよびその周辺となる上辺部11は、非防水ゾーン17になっているものとする。また、反対側の屋外側となる上辺部11も、非防水ゾーン17になっているものとする。そして、上面仮雨仕舞部材5は、上記した上辺部11の少なくとも一方に取付けるものとする。この実施例では、上面仮雨仕舞部材5は、少なくとも、隣接する建物ユニット3がある上辺部11に対して取付けられている。
【0039】
ただし、屋根パネル15の形状や、建物ユニット3の上面4への屋根パネル15の設置の仕方によっては、上辺部10,11のいくつかを、屋根パネル15で直接覆って防水ゾーン16にすることも可能である。例えば、上記した屋根パネル15を上面4のいずれかの辺4aに達するか、辺4aを越える長さにまで延ばすことで、その辺4aは、屋根パネル15の延ばした部分で覆われて防水ゾーン16になる。
【0040】
例えば、屋根パネル15を長辺方向Yに延ばすことで、上辺部10は、防水ゾーン16となる。これにより、上辺部10は、上面仮雨仕舞部材5を取付けても、取付けなくても良い状態になる。そのため、この実施例では、上辺部10は、上面仮雨仕舞部材5が取付けられていない。
【0041】
そして、建物ユニット3どうしが隣接される位置の上辺部11の下側となる建物ユニット3の側面6,7(この実施例では側面7)は、室内側となって外部から隠される。また、上辺部11と直交する(または隣接する)上辺部10の下側となる建物ユニット3の側面6,7(この実施例では側面6)は、屋外側となって外壁9が取付けられている。
【0042】
仮雨仕舞シート12は、防水性を有する樹脂製のシートである。仮雨仕舞シート12は、建物ユニット3の非防水ゾーン17となった上辺部10,11(この実施例では、上辺部11)に取付けて、非防水ゾーン17を仮雨仕舞いする防水シートである。これにより、仮雨仕舞シート12は、建物ユニット3の上面4の一部に対して設置する小型のものとなる。
【0043】
そして、仮雨仕舞シート12は、上記したように、上階Hの建物ユニット3に対して、少なくとも1つ以上の上辺部10,11に設置される。仮雨仕舞シート12は、設置する上辺部10,11の非防水ゾーン17となっている領域全体を覆うことができるように、少なくとも設置する上辺部10,11の非防水ゾーン17と同じかそれ以上の、幅および長さを有する細長い帯状とされる。
【0044】
以下は、説明の簡略化のために、上辺部11に対して仮雨仕舞シート12を設置するものとして説明する。なお、上辺部10に仮雨仕舞シート12を設置する場合、以下の上辺部11は上辺部10とし、その他にも必要となる読み替えを適宜行うものとする。
【0045】
非防水ゾーン17の幅は、建物ユニット3の上面4の辺4aから、屋根パネル15の同じ側の辺部15a(
図4)までの距離となり、非防水ゾーン17の全長に亘ってほぼ一定となる。非防水ゾーン17の長さは、建物ユニット3の上面4の辺4aと同じ寸法となる。
【0046】
図4に示すように、仮雨仕舞シート12は、幅方向の一側部12aが屋根パネル15の辺部15aにビスなどの固定具18で上から固定され、上辺部11の上に拡げられることにより、上辺部11の非防水ゾーン17の全体を覆う。仮雨仕舞シート12は、上辺部11を覆う本体部分の他に、一側部12aに折返形状となるビスカバー12bを有しても良い。
【0047】
仮雨仕舞シート12の一側部12aを屋根パネル15の辺部15aにビス(固定具18)で固定した後に、ビスカバー12bは上に折り返す。そして、上に折り返したビスカバー12bは、一側部12aの上に重ね、仮雨仕舞シート12の一側部12aや本体部分の少なくとも一部の上を覆う。これにより、ビスカバー12bは、一側部12aのビスによる固定部分などを上から保護して防水する。ビスカバー12bは、最低限、一側部12aのビスによる固定部分を覆い得る幅があれば、主な機能は果たせるが、ビスカバー12bは、それよりも、十分に広い幅にしても良い。ビスカバー12bは、折り返し後に、バタ付かないように、ホックなどの着脱手段を用いて仮雨仕舞シート12の本体部分などの適宜の位置(例えば、端部13など)に着脱可能に止めても良い。
【0048】
仮雨仕舞シート12は、好ましくは、幅方向の他側部12cが、建物ユニット3の上面4における、上辺部11を形成する辺4aの位置に達するか、または、辺4aを越える幅に形成される。仮雨仕舞シート12の他側部12cにおける、建物ユニット3の上面4の辺4aを越える部分は、建物ユニット3の搬送時などには、例えば、建物ユニット3の上辺部11の下側の側面6,7(この実施例では、側面7となる。以下、側面7として説明する)の上部に垂らして、建物ユニット3の側面7の上部を覆っても良い。
【0049】
図3に示すように、仮雨仕舞シート12の端部13は、仮雨仕舞シート12の長手方向(この実施例では長辺方向Y)の両端に位置する部分である。端部13は、建物ユニット3の上面4の角部Rの上に達するか、または、角部Rを越えて延び、角部Rを覆う。仮雨仕舞シート12は、端部13に、仮雨仕舞シート12の端部13を外部の足場などに固縛するための紐部材13aなどを備えても良い。
【0050】
下方へ垂れては、仮雨仕舞シート12(の端部13)に幕板状防水シート14が取付けられた状態で、幕板状防水シート14が、自重などによって下へて垂れ下がって、面が縦向きになることである。
【0051】
建物ユニット3の側面6,7(この実施例では、側面6となる。以下、側面6として説明する)は、仮雨仕舞シート12を設置した上辺部11と直交する(または隣接する)別の上辺部10の下側の面とされる。なお、側面7に対して幕板状防水シート14を設置する場合には、側面6は側面7とし、その他にも必要となる読み替えを適宜行うものとする。
【0052】
側面6の上部は、上辺部10の下側の側面6における、仮雨仕舞シート12の端部13の直下の非防水ゾーン17およびその周辺部分とされる。なお、側面6には、外壁9が取付けられているため、側面6の上部は、外壁9の上縁部の角部分になる。
【0053】
幕板状防水シート14は、建物ユニット3の側面6の上部の外側に設けられた、側面6の上部に沿って横に延びる幕板状の防水シートである。幕板状防水シート14は、側面6の上部を、側面6の上縁に沿って部分的に横に覆う。これにより、幕板状防水シート14は、外壁9の外側に設置されて、外壁9の上縁部の角部分を覆うことになる。幕板状防水シート14は、仮雨仕舞シート12と同様の素材のものを使用しても良い。
【0054】
幕板状防水シート14は、仮雨仕舞シート12の長手方向の片側または両側の端部13に対して取付けられる。幕板状防水シート14は、例えば、仮雨仕舞シート12の端部13に繋がる脚部14aと、建物ユニット3の側面6の上部を覆うように横に延びる腕部14bとを有しても良い。
【0055】
幕板状防水シート14は、仮雨仕舞シート12の端部13に対して一体に延設形成しても良いし、別体の部材で形成して、仮雨仕舞シート12の端部13に取付けても良い。幕板状防水シート14を別体とする場合、幕板状防水シート14は、脚部14aを、仮雨仕舞シート12の端部13の下面に取付けても良い。
【0056】
脚部14aは、仮雨仕舞シート12の端部13の下面に対し、例えば、縫製や接着剤や粘着テープなどの一体化手段で一体となるように固定しても良いし、面ファスナーや、ホックなどの着脱手段を用いて着脱可能に取付けても良い。
【0057】
(2)幕板状防水シート14は、建物ユニット3に隣接して設置された別の建物ユニット3Aの側面6,7(この場合には、側面6)の上部を覆う横幅21を有しても良い。
【0058】
ここで、別の建物ユニット3Aは、建物1の上階Hに対し、先に取付けられた建物ユニット3(先行ユニットまたは第一建物ユニット)の次に、その建物ユニット3の横に並べて設置される後続の建物ユニット3(後続ユニットまたは第二建物ユニット)である。なお、建物ユニット3が3つ以上並べて設置される場合には、先行ユニットと後続ユニットとは、相対的なものとなる。
【0059】
別の建物ユニット3A(後続ユニット)は、建物ユニット3(先行ユニット)とほぼ同様の基本構造を有するものであり、ほぼ同じ大きさおよび形状の直方体状をしている。なお、以下の説明で紛らわしい場合には、先行ユニットと区別するために、後続ユニットは、符号にAを付して示す場合がある。
【0060】
先行して設置された建物ユニット3と別の建物ユニット3Aとは、対向する側面7どうしが僅少な合わせ隙間22を有して隣接配置される。対向する側面7は、室内側となって、建物1の内側に隠される。
【0061】
建物ユニット3と隣接する別の建物ユニット3Aとは、互いに近接する上辺部11,11Aの間にも合わせ隙間22が形成される。合わせ隙間22は、建物ユニット3と別の建物ユニット3Aとの隣接方向(この実施例では短辺方向X)と直交する水平方向(この実施例では長辺方向Y)へ延びる。なお、幕板状防水シート14の脚部14aは、合わせ隙間22の部分を十分に覆い隠せるように、合わせ隙間22の位置またはその周辺に設けるのが好ましい。
【0062】
そして、建物ユニット3は、少なくとも、別の建物ユニット3Aと隣接する側の上辺部11に、上辺部11を上から覆うように仮雨仕舞シート12が設置される。
【0063】
また、別の建物ユニット3Aは、少なくとも、建物ユニット3と隣接する側の上辺部11Aに、上辺部11Aを上から覆う別の仮雨仕舞シート12A(または第二仮雨仕舞シート)が設置される。別の建物ユニット3Aの上記した上辺部11Aは、建物ユニット3の上辺部11と左右反対勝手の形状や構造や位置関係になっている。そのため、別の仮雨仕舞シート12Aは、仮雨仕舞シート12と同様の形状や構造のものを左右反対勝手にして使用することができる。別の仮雨仕舞シート12Aは、細長い帯状とされて上辺部11Aにほぼ沿って(長辺方向Yへ)延びる。
【0064】
また、別の仮雨仕舞シート12Aは、仮雨仕舞シート12とは、形状や構造を、若干異ならせることができる。例えば、この実施例では、仮雨仕舞シート12と別の仮雨仕舞シート12Aとは、他側部12cどうしをファスナーなどの連結具23で連結分離可能に構成している。ファスナーは、他側部12cのほぼ全長に亘って延びるように、仮雨仕舞シート12および別の仮雨仕舞シート12Aの他側部12cに取付けられる。ファスナーは、紐23a(
図2)を取付けて、反対の端部13の側から遠隔で、手動操作できるようにしても良い。
【0065】
このように、仮雨仕舞シート12と別の仮雨仕舞シート12Aとを連結具23で連結して一体化することで、建物ユニット3と別の建物ユニット3Aとの間(の合わせ隙間22)を、有効に防水することができる。
【0066】
この場合、仮雨仕舞シート12および別の仮雨仕舞シート12Aは、連結した状態で、建物ユニット3と別の建物ユニット3Aとの間を有効に覆い得るだけの幅を有していれば良い。そのために、仮雨仕舞シート12と別の仮雨仕舞シート12Aとは、互いに若干、形状や構造を異ならせている。
【0067】
即ち、ファスナーなどの連結具23は、高い位置に設置することで、ファスナーの部分に雨水が滞留し難くなるので、ファスナーの部分からの雨水の漏れを防止し易くなる。そのために、ファスナーは、例えば、別の建物ユニット3Aの屋根パネル15に近い位置に設けている。
【0068】
よって、仮雨仕舞シート12は、他側部12cが別の建物ユニット3Aの屋根パネル15に近い位置まで達する広い幅とされている。反対に、別の仮雨仕舞シート12Aは、他側部12cが別の建物ユニット3Aの屋根パネル15に近い位置までの狭い幅とされている。そして、別の仮雨仕舞シート12Aは、ビスカバー12bがファスナーの位置を越える幅とされ、ファスナーを上から覆い得るようにして、ファスナーを雨水から保護している。
【0069】
なお、非防水ゾーン17には、仮雨仕舞シート12および別の仮雨仕舞シート12Aの下側に、補助的な防水シート24が設置される。この補助的な防水シート24は、単独でも仮雨仕舞いを行うものとされる。
【0070】
補助的な防水シート24は、一側部が、仮雨仕舞シート12の一側部12aと共に、ビスなどの固定具18で屋根パネル15の辺部15aに共締めされると共に、他側部が合わせ隙間22を構成する室内側の側面7の上部に垂らされる。そして、補助的な防水シート24は、他側部が室内側の側面7の上部を雨水から保護する。補助的な防水シート24は、仮雨仕舞後もそのまま残しておくことで、本雨仕舞に使用することが可能である。なお、補助的な防水シート24は、上辺部11からハミ出した端の部分を上辺部10の側へ折り返して、上辺部10と幕板状防水シート14との間に挟まれるようにしても良い。
【0071】
別の建物ユニット3Aの側面6Aは、建物ユニット3の幕板状防水シート14によって覆われる側面6と隣接方向(この実施例では短辺方向X)に並んで、建物ユニット3の側面6とほぼ面一に連なる面である。別の建物ユニット3Aの側面6Aは、建物ユニット3の側面6と、長辺方向Yに対し、位置を揃えて設置される。なお、建物ユニット3の側面6と、別の建物ユニット3Aの側面6Aとの間の合わせ隙間22は、外壁9の対向する側縁部の間に形成される目地部分を、ガスケットや現場施工用の充填剤などで塞がれてシールされる。
【0072】
側面6Aの上部は、別の建物ユニット3Aの側面6Aの上側における、建物ユニット3の側面6と隣接する、非防水ゾーン17およびその周辺部分である。なお、側面6Aには、外壁9が取付けられているため、外壁9の上縁部の角部分が、側面6Aの上部となる。幕板状防水シート14は、外壁9の外側に設置されて、外壁9の上縁部の角部分を横に覆う。
【0073】
横幅21は、幕板状防水シート14の腕部14bの横方向(隣接方向)の寸法である。幕板状防水シート14の横幅21は、少なくとも、両側の非防水ゾーン17を越えるようにする。幕板状防水シート14の横幅21は、建物ユニット3および別の建物ユニット3Aの上部にそれぞれ設けられた、複数のブラケット25のうち、合わせ隙間22に最も近いブラケット25に近接するまたはほぼ達する程度の長さとしても良い。ブラケット25は、雨樋を保持するもの(樋保持部材)などとしても良い。雨樋を保持するブラケット25は、建物ユニット3および別の建物ユニット3Aの上部に沿い、所要の間隔を有して多数設置される。
【0074】
上記により、幕板状防水シート14は、脚部14a、および、別の建物ユニット3Aと別の建物ユニット3Aとの間に跨った横幅21の腕部14bを有するほぼ逆T字状になる。
【0075】
なお、幕板状防水シート14が別の建物ユニット3Aの側面6Aの上部を覆わない場合には、幕板状防水シート14は、L字状またはI字状にしても良い。
【0076】
幕板状防水シート14は、仮雨仕舞シート12と別の仮雨仕舞シート12Aのどちらか一方の端部13に設ければ良い。この実施例では、幕板状防水シート14は、幅を広くした仮雨仕舞シート12の側の端部13に取付けられている。
【0077】
また、幕板状防水シート14は、別の仮雨仕舞シート12Aに設けることもできる。この場合、幕板状防水シート14は、別の仮雨仕舞シート12Aの端部13に対して一体に延設形成しても良いし、別体の部材で形成して、別の仮雨仕舞シート12Aの端部13に取付けても良い。別体とする場合、幕板状防水シート14は、脚部14aを、別の仮雨仕舞シート12Aの端部13の下面に取付けても良い。
【0078】
脚部14aは、別の仮雨仕舞シート12Aの端部13の下面に対し、例えば、縫製や接着剤や粘着テープなどの一体化手段で一体となるように固定しても良いし、面ファスナーや、ホックなどの着脱手段を用いて着脱可能に取付けても良い。
【0079】
(3)幕板状防水シート14は、固縛用の紐部31を備えても良い。
【0080】
ここで、紐部31は、細長く柔軟な索状の部材である。幕板状防水シート14は、少なくとも、腕部14bの幅方向の両端部分(の例えば、上側の位置)に紐通し穴32を有している。紐部31は、紐通し穴32や、紐通し穴32に取付けたリング状部材33などに通して幕板状防水シート14に結び付けられる。紐通し穴32は、縁部分に保護用のハトメなどを取付けても良い。
【0081】
紐部31は、少なくとも、幕板状防水シート14の腕部14bの両端部分を、例えば、ブラケット25に結び付けるのに十分な適度の長さを有しても良い。
【0082】
紐部31は、例えば、雨樋を保持するブラケット25以外にも、建物ユニット3および別の建物ユニット3Aの別の部分や、外部の足場などに対して結び付けても良い。
【0083】
なお、仮雨仕舞シート12の端部13の紐部材13aは、紐部31の紐通し穴32やリング状部材33と同様の構成を備えても良い。
【0084】
(4)
図5に示すように、仮雨仕舞シート12は、幕板状防水シート14が取付けられた端部13に、端部13と幕板状防水シート14との隙間41を覆う立下防水カバー42を有しても良い。
【0085】
ここで、隙間41は、
図4に示すように、主に、建物ユニット3の上面中央部の屋根パネル15と、建物ユニット3の上面4との高低差43によって、上辺部11に形成される。
【0086】
即ち、屋根パネル15は、厚みを有しているので、建物ユニット3の上面中央部に屋根パネル15を取付けることで、建物ユニット3の上面中央部と、上面4の高さのままの上辺部11との間に、屋根パネル15の厚み分の高低差43が発生する。そして、仮雨仕舞シート12の幅方向の一側部12aを屋根パネル15の高くなっている辺部15aに固定することで、上記高低差43が上辺部11を覆う仮雨仕舞シート12にも影響する。
【0087】
ここで、屋根パネル15について簡単に説明する。屋根パネル15は、平行な左右一対の屋根フレーム44の間を、屋根下地材45で連結して、上から防水性の屋根仕上材46を被せるように取付けた構造を有している。屋根下地材45は、上に太陽光パネル47などを設置しても良い。
【0088】
屋根フレーム44は、内向きC字状をした金属製の部材とされる。内向きC字状の屋根フレーム44は、縦向きのウェブ部と、ウェブ部の上端部に一体に形成された横向きの上フランジ部、および、ウェブ部の下端部に一体に形成された横向きの下フランジ部とを有する。
【0089】
防水ゾーン16と非防水ゾーン17との境界になる屋根パネル15の辺部15aは、屋根フレーム44のウェブとされる。仮雨仕舞シート12の一側部12aを取付ける屋根パネル15の辺部15aは、屋根フレーム44のほぼ水平な上フランジとされる。
【0090】
屋根下地材45は、ガイド桟部材48を介して屋根フレーム44に取付けられる。屋根フレーム44(のウェブ部)の外側面には、屋根の残りの部分を仕上げるために使われる野地板受梁49が取付けられる。
【0091】
そして、非防水ゾーン17に設置される仮雨仕舞シート12の本体部分は、幅方向に対し、一側部12aが屋根パネル15に取付けられることよって一番高くなり、他の部分が、それよりも低くなって、非防水ゾーン17を覆う。
【0092】
具体的には、仮雨仕舞シート12の本体部分は、一側部12aの屋根フレーム44の上フランジおよび野地板受梁49に乗っている部分が、ほぼ水平な最上部51となる。仮雨仕舞シート12の本体部分は、最上部51から下へ向かう急傾斜部52と、建物ユニット3の上面4の上辺部11の上を覆う底面部53とが、他側部12cへ向け順に形成されて、段差形状になる。
【0093】
更に、ファスナーなどの連結具23で連結する前の状態では、他側部12cは、建物ユニット3の側面6,7の上部に垂らされる。よって、仮雨仕舞シート12は、高低差43による変形を考慮した幅に形成される。なお、別の仮雨仕舞シート12Aは、仮雨仕舞シート12よりも幅が狭くなっており、急傾斜部52の一部までの幅となる。
【0094】
そして、仮雨仕舞シート12と、ほぼ左右反対形状になる別の仮雨仕舞シート12Aとを、連結具23で連結して合わせることより、凹溝状の排水路が形成される。この際、仮雨仕舞シート12の他側部12cは、底面部53から立ち上げて、反対側の急傾斜部52の下部となるようにして、別の仮雨仕舞シート12Aに連結する。雨水は、この凹溝状の排水路の底面部53を流れて端部13から排水される。端部13から排水された雨水は、屋外側の側面6の表面を流下する。
【0095】
図6に示すように、立下防水カバー42は、上記高低差43によって生じる上下方向Zの隙間41を塞ぐ補助部材である。立下防水カバー42は、仮雨仕舞シート12や別の仮雨仕舞シート12Aの端部13に対して一体に延設形成しても良いし、別体の部材で形成して、仮雨仕舞シート12や別の仮雨仕舞シート12Aの端部13に取付けても良い。
【0096】
立下防水カバー42を一体に形成する場合、立下防水カバー42は、例えば、ビスカバー12bの部分から延ばしても良い。立下防水カバー42は、例えば、仮雨仕舞シート12の本体の最上部51や急傾斜部52の全部または一部から延ばしても良い。
【0097】
立下防水カバー42を別体とする場合、立下防水カバー42は、仮雨仕舞シート12や別の仮雨仕舞シート12Aの端部13の下面にそれぞれ取付けても良い。この場合、立下防水カバー42の取付位置は、ビスカバー12bや、本体部分の最上部51や急傾斜部52の全部または一部などとなる。立下防水カバー42は、仮雨仕舞シート12や別の仮雨仕舞シート12Aの端部13の下面に対し、例えば、縫製や接着剤や粘着テープなどで一体的に固定しても良いし、面ファスナーや、ホックなどを用いて着脱可能に取付けても良い。
【0098】
そして、立下防水カバー42は、幕板状防水シート14の脚部14aの側部から、腕部14bの幅方向の端部分(先端)までの間の所要の部分を覆い得る幅に形成しても良い。この実施例では、立下防水カバー42は、脚部14aの側部から、ほぼ屋根パネル15の辺部15aの位置(仮雨仕舞シート12や別の仮雨仕舞シート12Aの端部13の一側部12aの位置)程度までの範囲を覆う幅などとなっている。
【0099】
立下防水カバー42は、幕板状防水シート14の腕部14bの下辺にほぼ達する長さまたはそれ以上の長さに延ばされて、腕部14bの外面側に重ねられる。立下防水カバー42は、幕板状防水シート14の腕部14bの下辺にホックなどの固定具56を用いて着脱可能に取付けることにより、風などでめくれなくなる。
【0100】
<作用>この実施例の作用は、以下の通りである。
【0101】
工場で、上階Hの建物ユニット3を製造する。この際、上階Hの建物ユニット3は、上面中央部に防水性を有する屋根パネル15が取付けられる。そして、建物ユニット3は、上辺部10,11のうちの必要な部分(例えば、少なくとも上辺部11)に仮雨仕舞シート12が取付けられる。これにより、建物ユニット3の上面4は、上面中央部が屋根パネル15によって防水され、屋根パネル15のない上辺部10,11が仮雨仕舞シート12によって仮雨仕舞される。
【0102】
そして、建築現場では、下階Lの建物ユニット2の上に、上階Hの建物ユニット3が設置される。上階Hの建物ユニット3は、上面4に屋根パネル15を有することで、建物ユニット3の設置によって、ユニット建物の屋根の大部分が直接形成される。
【0103】
次に、上階Hの建物ユニット3の隣に、上階Hの別の建物ユニット3Aが設置される。別の建物ユニット3Aは、上面中央部に屋根パネル15が取付けられると共に、少なくとも上辺部11Aに仮雨仕舞シート12が取付けられている。
【0104】
そして、上階Hの別の建物ユニット3Aの設置後に、建物ユニット3の仮雨仕舞シート12と別の建物ユニット3Aの別の仮雨仕舞シート12Aとは、ファスナーで連結して一体化する。これにより、建物ユニット3と別の建物ユニット3Aとの、互いに隣接する上辺部11,11Aの合わせ隙間22が、連結した仮雨仕舞シート12と別の仮雨仕舞シート12Aとによって防水される。
【0105】
そして、仮雨仕舞シート12の端部13に、下方へ垂れるように取付けられた幕板状防水シート14が、建物ユニット3および別の建物ユニット3Aの側面6,6Aの上部を外側から覆う。これにより、幕板状防水シート14は、建物ユニット3および別の建物ユニット3Aの側面6,6Aの上部から、建物ユニット3および別の建物ユニット3Aの内部への雨水の浸入を防止する。
【0106】
幕板状防水シート14は、固縛用の紐部31を用いて張ることで、横へ拡がった状態に保持させるようにする。固縛用の紐部31は、例えば、雨樋を保持するために、建物ユニット3および別の建物ユニット3Aの上部に沿って複数設置されたブラケット25のうちの、最も近いものなどに固縛する。
【0107】
また、仮雨仕舞シート12の端部13と、幕板状防水シート14との間に形成される上下方向Zの隙間41は、立下防水カバー42によって覆う。これにより、隙間41からの雨水の浸入が防止される。
【0108】
<効果>この実施例の効果は、以下の通りである。
【0109】
(効果 1)仮雨仕舞シート12は、建物ユニット3の上辺部11を覆って、上辺部11からの雨水の浸入を防止する。仮雨仕舞シート12を建物ユニット3の上辺部11を覆い得る程度の大きさにすることで、仮雨仕舞シート12は小型化が可能となり、建物ユニット3の上面4において非防水ゾーン17となる上辺部11を、重点的に雨水から保護することができる。
【0110】
この際、仮雨仕舞シート12を小型にすると、仮雨仕舞シート12だけではうまく覆いきれない部分が生じるおそれがある。そこで、仮雨仕舞シート12は、端部13に幕板状防水シート14を備えた。そのため、仮雨仕舞シート12を小型にしても、仮雨仕舞シート12が、端部13に、下方へ垂れる幕板状防水シート14を有することで、仮雨仕舞シート12だけではうまく覆えない部分を、幕板状防水シート14によって、覆うことができる。そして、幕板状防水シート14は、建物ユニット3の側面6の上部に対する側方からの雨水の浸入を防止する。
【0111】
(効果 2)幕板状防水シート14は、建物ユニット3に隣接して設置された別の建物ユニット3Aの側面6Aの上部を覆う横幅21を有しても良い。これにより、幕板状防水シート14は、建物ユニット3の側面6の上部と、隣接する別の建物ユニット3Aの側面6Aの上部とを一枚で同時に覆うことができる。そのため、建物ユニット3の側面6の上部と、別の建物ユニット3Aの側面6Aの上部と、これらの間への雨水の浸入を、幕板状防水シート14が効率的に防止する。
【0112】
(効果 3)幕板状防水シート14は、固縛用の紐部31を備えても良い。幕板状防水シート14は、紐部31を、例えば、建物ユニット3の上部に設置されたブラケット25に固縛することで、簡単確実に、正しく拡げた状態で保持させることができる。そのため、幕板状防水シート14は、建物ユニット3の側面6,7の上部への雨水の浸入をより確実に防止できる。また、幕板状防水シート14を紐部31で固縛することにより、幕板状防水シート14は、仮仕舞中に、風などでめくれ上がったり、バタ付かないようにできる(バタ付き防止)。
【0113】
(効果 4)仮雨仕舞シート12は、幕板状防水シート14が取付けられた端部13に、立下防水カバー42を有しても良い。立下防水カバー42は、仮雨仕舞シート12の端部13と幕板状防水シート14との上下方向Zの隙間41を覆うことで、隙間41からの雨水の浸入を防止できる。立下防水カバー42は、例えば、仮雨仕舞シート12の端部13に、仮雨仕舞シート12の形状が幅方向に変化する部分(例えば、段差部分など)が有る場合に、上記部分に設けるのが好ましい。これにより、立下防水カバー42は、仮雨仕舞シート12の形状が幅方向に変化した部分(例えば、段差部分など)にできる隙間41を有効に覆って、隙間41からの雨水の浸入を防止する。