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  • 特開-通信装置の支持構造 図1
  • 特開-通信装置の支持構造 図2
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  • 特開-通信装置の支持構造 図4
  • 特開-通信装置の支持構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024065280
(43)【公開日】2024-05-15
(54)【発明の名称】通信装置の支持構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/00 20200101AFI20240508BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240508BHJP
   B62K 19/40 20060101ALI20240508BHJP
【FI】
B62J11/00
B62J45/00
B62K19/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174052
(22)【出願日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】木津 陽
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BN03
(57)【要約】
【課題】鞍乗型車両の外観性を向上させる通信装置の支持構造を提供する。
【解決手段】通信装置(41)の支持構造は、鞍乗型車両に搭載される通信装置を支持している。通信装置の支持構造には、車両前方を照らすヘッドランプユニット(11)と、通信装置を支持する通信装置用支持部(37)と、が設けられている。通信装置用支持部がヘッドランプユニットの下方に位置している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両に搭載される通信装置の支持構造であって、
車両前方を照らすヘッドランプユニットと、
前記通信装置を支持する通信装置用支持部と、を備え、
前記通信装置用支持部が前記ヘッドランプユニットの下方に位置していることを特徴とする通信装置の支持構造。
【請求項2】
前記ヘッドランプユニットの前端から前記通信装置がはみ出す位置で、前記通信装置用支持部が前記通信装置を支持していることを特徴とする請求項1に記載の通信装置の支持構造。
【請求項3】
受信方向が前斜め上方を向く姿勢で、前記通信装置用支持部が前記通信装置を支持していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置の支持構造。
【請求項4】
受信方向が前記ヘッドランプユニットに遮られない範囲で、前記通信装置が前記ヘッドランプユニットの下方に収まっていることを特徴とする請求項3に記載の通信装置の支持構造。
【請求項5】
前記ヘッドランプユニットの周囲がフロントカバーに覆われており、
前記ヘッドランプユニットの下方から前記フロントカバーが前方に突き出しており、
前記フロントカバーの突出部には前記通信装置用支持部を上方から覆う上側カバーが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信装置の支持構造。
【請求項6】
前記通信装置用支持部が前記上側カバーに側方から覆われていることを特徴とする請求項5に記載の通信装置の支持構造。
【請求項7】
前記フロントカバーの突出部には前記上側カバーに対して着脱可能な下側カバーが設けられ、前記下側カバーに前記通信装置用支持部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の通信装置の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗型車両としてヘッドランプの上方で通信装置を支持したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の鞍乗型車両では、フロントフォークのアッパブラケットの前側にメータユニットが取り付けられており、メータユニットがヘッドランプの上方に位置付けられている。メータユニットの速度計の背面にはステーを介して通信装置が支持されており、メータユニットの計器カバーの内側に通信装置が収容されている。ヘッドランプの上方に通信装置が支持されるため、ヘッドランプによって通信装置の通信が阻害されることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-095139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の鞍乗型車両では、通信装置が計器カバーに収容されるため、計器カバーを必要以上に膨らませなければならず外観が悪化するおそれがあった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、鞍乗型車両の外観性を向上させることができる通信装置の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の通信装置の支持構造は、鞍乗型車両に搭載される通信装置の支持構造であって、車両前方を照らすヘッドランプユニットと、前記通信装置を支持する通信装置用支持部と、を備え、前記通信装置用支持部が前記ヘッドランプユニットの下方に位置していることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の通信装置の支持構造によれば、ヘッドランプユニットの下方で通信装置が支持されるため、通信装置が目立ち難くなって鞍乗型車両の外観性が向上される。また、ヘッドランプユニットの下方は雨風の影響を受け難く通信装置の耐久性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の鞍乗型車両の車両前部を上方から見た斜視図である。
図2】本実施例の鞍乗型車両の車両前部の前面図である。
図3図2の鞍乗型車両をA-A線に沿って切断した断面図である。
図4図3の鞍乗型車両をB-B線に沿って切断した断面図である。
図5】本実施例の鞍乗型車両の車両前部を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の鞍乗型車両には通信装置が搭載されており、この通信装置の支持構造が車両前方を照らすヘッドランプユニットと、通信装置を支持する通信装置用支持部と、を備えている。通信装置用支持部がヘッドランプユニットの下方に位置し、この通信装置用支持部に通信装置が支持されるため、通信装置が目立ち難くなって鞍乗型車両の外観性が向上される。また、ヘッドランプユニットの下方は雨風の影響を受け難く通信装置の耐久性が向上される。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例の鞍乗型車両について説明する。図1は本実施例の鞍乗型車両の車両前部を上方から見た斜視図である。図2は本実施例の鞍乗型車両の車両前部の前面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1及び図2に示すように、鞍乗型車両1の前部中央には車両前方を照らす上下2つのヘッドランプユニット11が設置されており、これら2つのヘッドランプユニット11の周囲がフロントセンターカバー(上側カバー)21によって覆われている。フロントセンターカバー21には上下2つの開口が形成されており、各開口から各ヘッドランプユニット11のレンズ12が外部に露出されている。フロントセンターカバー21から左右側方に一対のターンシグナルランプ15が突き出しており、フロントセンターカバー21の上部には防風用のスクリーン17が取り付けられている。
【0012】
鞍乗型車両1の前部側方には一対のフロントサイドカバー22が設けられており、一対のフロントサイドカバー22の前部がフロントセンターカバー21の側方を覆っている。フロントセンターカバー21の下部はヘッドランプユニット11の下方から前方に突き出しており、各フロントサイドカバー22の前部はフロントセンターカバー21に沿って前方に突き出している。フロントセンターカバー21及び各フロントサイドカバー22は前方に向かって横幅及び縦幅が狭いクチバシ状に突き出しており、クチバシ形状の突出部31の先端外面が先端カバー25によって覆われている。
【0013】
フロントセンターカバー21の下方にはフロントロアカバー(下側カバー)23(図3参照)が設けられており、クチバシ形状の突出部31の底壁33がフロントロアカバー23によって形成されている。このように、フロントセンターカバー21、一対のフロントサイドカバー22、フロントロアカバー23、先端カバー25によって鞍乗型車両1のフロントカバー20が形成されている。フロントカバー20の突出部31はフロントフェンダ19の上方に位置しており、フロントフェンダ19と突出部31によって路面から跳ね上げられた飛び石等からヘッドランプユニット11が保護されている。
【0014】
ところで、鞍乗型車両1にはETC(Electronic Toll Collection)の車載アンテナ等の通信装置41(図3参照)が設置される場合がある。通信が阻害されないように通信装置41がヘッドランプユニット11の上部に設置されると、通信ケーブルを長くしたり、通信装置41の取付ブラケットを追加しなければならない。また、ヘッドランプユニット11の上部は目立ち易く、通信装置41の設置によって鞍乗型車両1の外観性が悪化するという問題もある。そこで、本実施例では、フロントカバー20のクチバシ形状の突出部31の内側スペースを有効利用して通信装置41を設置している。
【0015】
図3から図5を参照して、通信装置の支持構造について説明する。図3図2の鞍乗型車両をA-A線に沿って切断した断面図である。図4図3の鞍乗型車両をB-B線に沿って切断した断面図である。図5は本実施例の鞍乗型車両の車両前部を下方から見た斜視図である。
【0016】
図3及び図4に示すように、フロントカバー20の突出部31によってヘッドランプユニット11の下方に通信装置41の設置スペースが確保されている。突出部31は前斜め下方に向かって先細るように形成されている。突出部31の上壁32はフロントセンターカバー21によって形成されており、突出部31の底壁33はフロントロアカバー23によって形成されている。突出部31の両側壁は二重構造になっており、突出部31の内側壁34はフロントセンターカバー21によって形成され、突出部31の外側壁35はフロントサイドカバー22によって形成されている。
【0017】
突出部31にはカバー同士の境界を覆うように先端カバー25が取り付けられ、フロントセンターカバー21、フロントロアカバー23、フロントサイドカバー22が一体感を持ったデザインに形成されている。フロントロアカバー23の一部が上方に膨出して通信装置41の台座(通信装置用支持部)37が形成されている。台座37の支持面は前方に向かって斜め下方に傾斜しており、台座37の支持面には通信装置41が両面テープ等によって貼り付けられている。台座37によって通信装置41が傾けられた状態で支持されて、通信装置41の受信方向Dが前斜め上方に向けられている。
【0018】
このように、ヘッドランプユニット11の下方の突出部31の内側に台座37が設けられて通信装置41が支持されている。フロントセンターカバー21のデザインに影響を与えることなく、フロントセンターカバー21の裏側(下側)に通信装置41が隠されて鞍乗型車両1の外観性が向上されている。ヘッドランプユニット11の下方に通信装置41が位置付けられているため、ヘッドランプユニット11の上方に通信装置41が位置付けられる場合と比べて、通信装置41からシート側に延びる通信ケーブル42を短くできる。通信装置41の取付用の追加部品が不要である。
【0019】
ヘッドランプユニット11の前端、すなわちレンズ12の前面から通信装置41がはみ出す位置で台座37に通信装置41が支持されている。ヘッドランプユニット11には電波を通さない金属部品が用いられているが、フロントセンターカバー21等のフロントカバー20には電波を通す樹脂材料が用いられている。ヘッドランプユニット11等の金属部品の下方に通信装置41が支持されていても、ヘッドランプユニット11から通信装置41の送受信部が前方に突き出しているため、フロントセンターカバー21を介して通信装置41の通信性能が十分に確保されている。
【0020】
上記したように、フロントロアカバー23の台座37が前斜め下方に傾斜しており、台座37には受信方向Dが前斜め上方を向く姿勢で通信装置41が支持されている。これにより、斜め上方からの電波がヘッドランプユニット11に遮られ難くなって通信装置41による電波の受信感度が向上される。特に、通信装置41がETCの車載アンテナの場合には、出入口ゲートの上部に設けられたETCの路側アンテナからの電波を良好に受信することができる。このとき、受信方向Dがヘッドランプユニット11に遮られない範囲で、通信装置41がヘッドランプユニット11の下方に収まって鞍乗型車両1の外観性が向上されている。
【0021】
フロントロアカバー23の台座37は上壁32(フロントセンターカバー21)によって上方から覆われている。また、フロントロアカバー23の台座37は外側壁35(フロントサイドカバー22)及び内側壁34(フロントセンターカバー21)によって側方から覆われている。また、突出部31のカバー同士の隙間が先端カバー25に外側から覆われているため、カバー同士の隙間から突出部31の内側への埃等の侵入が抑えられている。これにより、台座37上の通信装置41に対して上方や側方からの埃等が付着し難くなって、通信装置41に対する掃除の手間が軽減される。
【0022】
図5に示すように、フロントセンターカバー21の先端の一対のスリットに、フロントロアカバー23の先端の一対の突起24が挿し込まれて、フロントセンターカバー21に対してフロントロアカバー23が掛け止めされている。また、一対のフロントサイドカバー22の前後4箇所にフロントロアカバー23がクリップ45によってクリップ止めされている。このように、一対のフロントサイドカバー22には通信装置41を支持したフロントロアカバー23が着脱可能に取り付けられている。フロントロアカバー23と共に通信装置41が鞍乗型車両1から容易に着脱されて通信装置41の整備性が向上されている。
【0023】
以上、本実施例の通信装置41の支持構造によれば、ヘッドランプユニット11の下方で通信装置41が支持されるため、通信装置41が目立ち難くなって鞍乗型車両1の外観性が向上される。また、ヘッドランプユニット11の下方は雨風の影響を受け難く通信装置41の耐久性が向上される。
【0024】
なお、本実施例では、鞍乗型車両のフロントカバーにクチバシ形状の突出部が形成されているが、フロントカバーにはクチバシ形状の突出部が形成されていなくてもよい。フロントカバーにはヘッドランプユニットの下方に通信装置を支持可能な通信装置用支持部が形成されていればよい。
【0025】
また、本実施例では、フロントカバーの突出部の内側に通信装置が収容されているが、ヘッドランプユニットの下方であれば通信装置が外部に露出されていてもよい。
【0026】
また、本実施例では、フロントセンターカバーにフロントロアカバーが掛け止めされ、フロントサイドカバーにフロントロアカバーがクリップ止めされているが、フロントロアカバーの取付方法は特に限定されない。フロントロアカバーはフロントセンターカバーやフロントサイドカバーに着脱可能に取り付けられていればよい。
【0027】
また、本実施例では、通信装置用支持部がフロントロアカバーから膨出した台座によって形成されたが、通信装置の受信方向がヘッドランプユニットに遮られないように通信装置が支持可能であれば、通信装置用支持部の形状は特に限定されない。
【0028】
また、本実施例の通信装置はETCの車載アンテナに限定されず、鞍乗型車両よりも上方に位置する他の通信装置と通信可能なものであればよい。
【0029】
以上の通り、第1態様は、鞍乗型車両(1)に搭載される通信装置(41)の支持構造であって、車両前方を照らすヘッドランプユニット(11)と、通信装置を支持する通信装置用支持部(台座37)と、を備え、通信装置用支持部がヘッドランプユニットの下方に位置している。この構成によれば、ヘッドランプユニットの下方で通信装置が支持されるため、通信装置が目立ち難くなって鞍乗型車両の外観性が向上される。また、ヘッドランプユニットの下方は雨風の影響を受け難く通信装置の耐久性が向上される。
【0030】
第2態様は、第1態様において、ヘッドランプユニットの前端から通信装置がはみ出す位置で、通信装置用支持部が通信装置を支持している。この構成によれば、ヘッドランプユニットの下方で通信装置が支持されていても通信装置の通信性能が確保される。
【0031】
第3態様は、第1態様及び第2態様において、受信方向(D)が前斜め上方を向く姿勢で、通信装置用支持部が通信装置を支持している。この構成によれば、斜め上方からの電波がヘッドランプユニットに遮られ難くなって通信装置による電波の受信感度が向上される。
【0032】
第4態様は、第3態様において、受信方向がヘッドランプユニットに遮られない範囲で、通信装置がヘッドランプユニットの下方に収まっている。この構成によれば、通信装置がヘッドランプユニットの下方に収まって鞍乗型車両の外観性がより向上される。
【0033】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1態様において、ヘッドランプユニットの周囲がフロントカバー(20)に覆われており、ヘッドランプユニットの下方からフロントカバーが前方に突き出しており、フロントカバーの突出部(31)には通信装置用支持部を上方から覆う上側カバー(フロントセンターカバー21、フロントサイドカバー22)が設けられている。この構成によれば、フロントカバーの突出部によって飛び石等からヘッドランプユニットが保護され、このフロントカバーの突出部によって通信装置の設置スペースが確保される。フロントカバーの上側カバーによって上方から通信装置が覆われることで、通信装置に上方からの埃等が付着し難くなっている。
【0034】
第6態様は、第5態様において、通信装置用支持部が上側カバーに側方から覆われている。この構成によれば、通信装置に側方からの埃等が付着し難くなっている。
【0035】
第7態様は、第5態様又は第6態様において、フロントカバーの突出部には上側カバーに対して着脱可能な下側カバー(フロントロアカバー23)が設けられ、下側カバーに通信装置用支持部が形成されている。この構成によれば、下側カバーと共に通信装置が鞍乗型車両から容易に着脱されて通信装置の整備性が向上されている。
【0036】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0037】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0038】
1 :鞍乗型車両
11 :ヘッドランプユニット
19 :フロントフェンダ
20 :フロントカバー
21 :フロントセンターカバー(上側カバー)
22 :フロントサイドカバー(上側カバー)
23 :フロントロアカバー(下側カバー)
31 :フロントカバーの突出部
37 :台座(通信装置用支持部)
41 :通信装置
図1
図2
図3
図4
図5