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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006710
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20210101AFI20240110BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240110BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240110BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20240110BHJP
【FI】
G02B7/00 F
G02B3/00 Z
G02B5/18
B23K26/064 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107861
(22)【出願日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】507407777
【氏名又は名称】古河電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】竹内 正明
(72)【発明者】
【氏名】小山 勇太
【テーマコード(参考)】
2H043
2H249
4E168
【Fターム(参考)】
2H043AE09
2H043AE10
2H249AA02
2H249AA55
4E168DA28
4E168EA05
4E168KA17
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、光学素子の損傷を抑制できる光学装置を提供することにある。
【解決手段】光学装置1は、回折光学素子10と、第1透光部材20と、ホルダ30とを備えている。第1透光部材20は、回折光学素子10の一面11側に設けられている。ホルダ30は、回折光学素子10及び第1透光部材20を保持する。第1透光部材20は、回折光学素子10の一面11を密閉する密閉構造の少なくとも一部となっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折光学素子と、
前記回折光学素子の一面側に設けられた第1透光部材と、
前記回折光学素子及び前記第1透光部材を保持するホルダと、を備え、
前記第1透光部材は、前記回折光学素子の前記一面を密閉する密閉構造の少なくとも一部となっている、光学装置。
【請求項2】
前記ホルダには、前記回折光学素子及び前記第1透光部材を保持する保持部が形成されており、
前記保持部には、筒状の内径部と、前記内径部よりも小さい内径を有する貫通孔と、前記内径部と前記貫通孔との間に設けられる段付面と、が形成されており、
前記内径部には前記回折光学素子が配置されており、
前記第1透光部材を、前記段付面に向けて押圧する押圧部をさらに備える、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
回折光学素子と、
前記回折光学素子の一面側に設けられた第1透光部材と、
前記回折光学素子及び前記第1透光部材を保持するホルダと、を備え、
前記ホルダには、前記回折光学素子及び前記第1透光部材を保持する保持部が形成されており、
前記保持部には、筒状の内径部と、前記内径部よりも小さい内径を有する貫通孔と、前記内径部と前記貫通孔との間に設けられる段付面と、が形成されており、
前記内径部には前記回折光学素子が配置されており、
前記第1透光部材を、前記段付面に向けて押圧する押圧部をさらに備える、光学装置。
【請求項4】
前記押圧部は、前記保持部を覆うように配置されるカバー部を含む、請求項2または3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記押圧部は、前記カバー部と前記第1透光部材との間に設けられる弾性部材をさらに含む、請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記押圧部は、前記弾性部材と前記第1透光部材との間に設けられる板状部材をさらに含む、請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第1透光部材は反射防止層を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記回折光学素子は、円盤状の形状を有している、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項9】
前記回折光学素子と前記第1透光部材との間に設けられた第1スペーサーをさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項10】
前記第1スペーサーは金属である、請求項9に記載の光学装置。
【請求項11】
前記回折光学素子の前記一面の反対側である他面側に設けられた第2透光部材をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項12】
前記第2透光部材は、反射防止層を含む、請求項11に記載の光学装置。
【請求項13】
前記回折光学素子と前記第2透光部材の間に設けられた第2スペーサーをさらに備える、請求項11に記載の光学装置。
【請求項14】
前記第2スペーサーは金属である、請求項13に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学装置において、ホルダに固定された光学素子に関する技術が、たとえば特開1988-74003号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-74003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光学装置において、光学素子が大気に露出しているため、ほこり等が光学素子の表面に付着しやすくなっている。そして、そのほこり等の影響により、レーザーが光学素子に照射した際、光学素子の表面が損傷しやすくなるという事態が生じていた。
【0005】
本発明の目的は、光学素子の損傷を抑制できる光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
回折光学素子と、
前記回折光学素子の一面側に設けられた第1透光部材と、
前記回折光学素子及び前記第1透光部材を保持するホルダと、を備え、
前記第1透光部材は、前記回折光学素子の前記一面を密閉する密閉構造の少なくとも一部となっている、光学装置を提供できる。
【0007】
本発明の一態様によれば、
回折光学素子と、
前記回折光学素子の一面側に設けられた第1透光部材と、
前記回折光学素子及び前記第1透光部材を保持するホルダと、を備え、
前記ホルダには、前記回折光学素子及び前記第1透光部材を保持する保持部が形成されており、
前記保持部には、筒状の内径部と、前記内径部よりも小さい内径を有する貫通孔と、前記内径部と前記貫通孔との間に設けられる段付面と、が形成されており、
前記内径部には前記回折光学素子が配置されており、
前記第1透光部材を、前記段付面に向けて押圧する押圧部をさらに備える、光学装置を提供できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、光学素子の損傷を抑制できる光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】レーザー加工ヘッドの斜視図である。
図2】組み立て後における光学装置の斜視図である。
図3】組み立て前における光学装置の断面図である。
図4】組み立て後における光学装置の断面図である。
図5】組み立て後における光学装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
[実施形態]
図1は、レーザー加工ヘッド100の斜視図である。図2は、組み立て後における光学装置1の斜視図である。実施形態の一態様として、レーザー加工ヘッド100には、ファイバーレーザーが取付けられる。実施形態の一態様として、レーザー加工ヘッド100に光源は設けられていない。実施形態の一態様として、光学装置1は、レーザー加工ヘッド100(図1のA部分)に嵌め込まれている。実施形態の一態様として、光学装置1は、レーザー加工ヘッド100(図1のA部分)から取り外し可能なカートリッジ形状である。
【0012】
図3は、組み立て前における光学装置1の断面図である。図4は、組み立て後における光学装置1の断面図である。図5は、組み立て後における光学装置1の平面図である。図3から図5を用いて光学装置1について説明する。図3及び図4に示す入射方向DR1は、光源(図示しない)から発せられるレーザービームの入射方向を示している。
【0013】
図3に示すように、光学装置1は、回折光学素子10と、第1透光部材20と、ホルダ30と、押圧部40と、第1スペーサー50と、第2透光部材60と、第2スペーサー70とを備えている。
【0014】
(回折光学素子10)
実施形態において、回折光学素子10とは、DOE(Diffractive Optical Element)である。回折光学素子10は、レーザービームのビーム整形、分岐などで用いられる。レーザー加工時に、回折光学素子10を様々な種類に変えることで、レーザービームを様々なビームパターンに変更することができる。
【0015】
実施形態において、回折光学素子10は、円盤状の形状を有している。回折光学素子10は、一面11及び他面12を含んでいる。一面11及び他面12は対向している。実施形態の一態様として、一面11は、レーザーが入射してくる方向を向いている。他面12は、レーザーが出射していく方向(=入射方向DR1)を向いている。DR2は、回折光学素子10の径方向である。DR3は、回折光学素子10の厚み方向である。
【0016】
回折光学素子10は反射防止層14を含んでいる。反射防止層14は、回折光学素子10に当たるレーザービームが反射することを抑制する。反射防止層14は、一面11及び他面12に設けられている。
【0017】
(第1透光部材20)
実施形態において、第1透光部材20は、円盤状の形状を有している。第1透光部材20は、回折光学素子10の一面11側に設けられている。実施形態において、第1透光部材20は、例えばガラス部材である。第1透光部材20は、回折光学素子10の一面11を密閉する密閉構造の少なくとも一部となっている。第1透光部材20は、回折光学素子10の一面11が大気に暴露しないように、回折光学素子10の一面11を被覆するように配置されている。第1透光部材20は、第1スペーサー50と押圧部40の間に設けられている。
【0018】
第1透光部材20は反射防止層22を含んでいる。反射防止層22は、第1透光部材20に当たるレーザービームが反射することを抑制する。実施形態において、反射防止層22は、第1透光部材20の両面に設けられている。
【0019】
第1スペーサー50は、回折光学素子10と第1透光部材20との間に設けられている。光学装置1の組み立て後において、第1スペーサー50は、回折光学素子10の一面11及び第1透光部材20と接触している。
【0020】
(第1スペーサー50)
実施形態において、第1スペーサー50は、円盤状の形状を有している。第1スペーサー50には、厚み方向DR3に貫通する貫通孔が形成されている。第1スペーサー50は、円環形状、すなわち円の縁に沿った形状を有している。ただし、第1スペーサー50は、多角形の縁に沿った形状を有していてもよい。実施形態において、第1スペーサー50は、回折光学素子10と第1透光部材20が接触しないようにする役割を果たしている。実施形態において、第1スペーサー50は金属である。第1スペーサー50は、例えば、SUS(Stainless Used Steel)やアルミである。
【0021】
(第2透光部材60)
実施形態において、第2透光部材60は、円盤状の形状を有している。第2透光部材60は、回折光学素子10の一面11の反対側である他面12側に設けられている。実施形態において、第2透光部材60は、例えばガラス部材である。第2透光部材60は、回折光学素子10の他面12を密閉する密閉構造の少なくとも一部となっている。第2透光部材60は、回折光学素子10の他面12が大気に暴露しないように、回折光学素子10の他面12を被覆するように配置されている。第2透光部材60は、第2スペーサー70とホルダ30(=段付面312a)の間に設けられている。
【0022】
第2透光部材60は反射防止層61を含んでいる。反射防止層61は、第2透光部材60に当たるレーザービームが反射することを抑制する。実施形態において、反射防止層61は、第2透光部材60の両面に設けられている。実施形態において、第2透光部材60は、第1透光部材20と同じ部品であってもよい。
【0023】
(第2スペーサー70)
第2スペーサー70は、回折光学素子10と第2透光部材60の間に設けられている。実施形態において、第2スペーサー70は、円盤状の形状を有している。第2スペーサー70には、厚み方向DR3に貫通する貫通孔が形成されている。第2スペーサー70は、円環形状、すなわち円の縁に沿った形状を有している。ただし、第2スペーサー70は、多角形の縁に沿った形状を有していてもよい。実施形態において、第2スペーサー70は、回折光学素子10と第2透光部材60が接触しないようにする役割を果たしている。実施形態において、第2スペーサー70は金属である。第2スペーサー70は、例えば、SUS(Stainless Used Steel)やアルミである。実施形態において、第2スペーサー70は、第1スペーサー50と同じ部品であってもよい。
【0024】
(ホルダ30)
ホルダ30は、回折光学素子10、第1透光部材20、第1スペーサー50、第2透光部材60、及び第2スペーサー70を保持している。実施形態において、ホルダ30は、金属製である。
【0025】
ホルダ30は、本体部31と前板部32とねじ部33とを含んでいる。本体部31(=ホルダ30)には、保持部312が形成されている。光学装置1の組み立て後において、保持部312には、回折光学素子10、第1透光部材20、第1スペーサー50、第2透光部材60、及び第2スペーサー70が保持(収容)されている。保持部312には、筒状の内径部312cと、内径部312cよりも小さい内径を有する貫通孔312bと、段付面312aと、が形成されている。
【0026】
実施形態において、内径部312cは円筒状の形状である。実施形態において、内径部312cには回折光学素子10、第1透光部材20、第1スペーサー50、第2透光部材60、及び第2スペーサー70が配置されている。貫通孔312bの内径は、内径部312cの内径よりも小さい。貫通孔312bの径方向DR2の外側には、回折光学素子10、第1透光部材20、第1スペーサー50、第2透光部材60、及び第2スペーサー70が配置されている。実施形態において、貫通孔312bの内径は、回折光学素子10、第1透光部材20、第1スペーサー50、第2透光部材60、及び第2スペーサー70の外径よりも小さい。貫通孔312bは、レーザーを通過させる。段付面312aは、内径部312cと貫通孔312bとの間に設けられている。内径部312cと段付面312aと貫通孔312bとは連続している。
【0027】
前板部32は、本体部31に設けられている。前板部32は、板状の形状を有している。厚み方向DR3における前板部32の長さは、厚み方向DR3における本体部31の長さよりも大きい。前板部32は、光学装置1をレーザー加工ヘッド100から取り外しやすくするための役割を果たしている。
【0028】
ねじ部33は、前板部32に取り付けられている。ねじ部33をレーザー加工ヘッド100の本体に取り付けることにより、光学装置1がレーザー加工ヘッド100の本体に固定されることになる。
【0029】
(押圧部40)
押圧部40は、第1透光部材20を、段付面312aに向けて押圧する。押圧部40は、カバー部41と、ボルト42と、弾性部材43と、板状部材44とを含んでいる。
【0030】
カバー部41は、保持部312(=内径部312c)を覆うように配置されている。カバー部41は、板状の形状を有している。カバー部41は、外形が四角状の形状を有している。カバー部41には、カバー部41を厚み方向DR3に貫通するカバー孔411が形成されている。実施形態において、カバー孔411の内径は、回折光学素子10、第1透光部材20、第1スペーサー50、第2透光部材60、及び第2スペーサー70の外径よりも小さい。カバー部41には、4箇所の穴が形成されている。ボルト42は、4か所に設けられている。4つのボルト42は、それぞれ4箇所の当該穴に挿入され、カバー部41をホルダ30に固定する。
【0031】
弾性部材43は、カバー部41と第1透光部材20との間に設けられている。弾性部材43は、カバー部41と板状部材44との間に設けられている。光学装置1の組み立て後において、弾性部材43は、カバー部41と板状部材44と接触している。
【0032】
弾性部材43は、厚み方向DR3に弾性力を生じさせる。実施形態において、弾性部材43には、厚み方向DR3に貫通する貫通孔が形成されている。弾性部材43は、例えば金属製である。実施形態において、弾性部材43は、円盤状の形状を有しているワッシャーである。
【0033】
板状部材44は、弾性部材43と第1透光部材20との間に設けられている。光学装置1の組み立て後において、板状部材44は、弾性部材43と第1透光部材20と接触している。板状部材44は、厚み方向DR3に貫通する貫通孔が形成されている。板状部材44は、例えば金属製である。実施形態において、板状部材44は、円盤状の形状を有しているシムである。光学装置1の組み立て後において、板状部材44、及び弾性部材43は、保持部312に保持(収容)されている。
【0034】
ボルト42を締付けることにより、カバー部41が弾性部材43を押圧し、弾性部材43が、板状部材44を押圧し、板状部材44が第1透光部材20を押圧することになる。また、ボルト42を締付けることにより、第1透光部材20(第1スペーサー50)に押圧された回折光学素子10が、第2スペーサー70を押圧し、第2スペーサー70が第2透光部材60を段付面312aに向けて押圧する。これにより、第2透光部材60が他面12側からも回折光学素子10をカバーする構造、すなわち密閉構造が形成される。そのため、回折光学素子10の両面に、第2透光部材60及び第1透光部材20による密閉構造が形成されることになる。
【0035】
板状部材44(=押圧部40)は、第1透光部材20を、ホルダ30の段付面312aに向けて押圧する。板状部材44(=押圧部40)は、第1透光部材20を、回折光学素子10(または第1スペーサー50)に向けて押圧する。
【0036】
光学装置1の組み立て後において、カバー部41、弾性部材43(ワッシャー)、板状部材44(シム)、第1透光部材20、第1スペーサー50、回折光学素子10、第2スペーサー70、第2透光部材60、及びホルダ30が、厚み方向DR3においてこの順で並んで配置されている。
【0037】
実施形態において、レーザービームは、カバー部41のカバー孔411、弾性部材43(ワッシャー)の貫通孔、板状部材44(シム)の貫通孔、第1透光部材20、第1スペーサー50の貫通孔、回折光学素子10、第2スペーサー70の貫通孔、第2透光部材60、及びホルダ30の貫通孔312bをこの順で通過する。
【0038】
(作用効果)
従来の光学装置において、レーザー加工ヘッドを含むレーザー装置は、工場内に設置されている。そして、レーザー加工ヘッドに設けられた光学装置に組み込まれた回折光学素子は、保護ガラスなどによりカバーされておらず、大気に暴露されている状態であった。そのため、ほこり・粉塵等が回折光学素子へ付着しやすい環境であった。
【0039】
ほこり・粉塵等が回折光学素子の表面に付着した状態で回折光学素子に向けてレーザービームを照射すると、熱集中により、回折光学素子の表面が損傷する事態が生じていた。
【0040】
回折光学素子の表面が損傷すると、回折光学素子の熱吸収量が大きくなり、熱レンズ効果が大きく生じ、レーザービームの透過率が下がるため、ワークへ照射される加工用レーザービームの出力が減少し、ワークに加工不良が発生する場合があった。
【0041】
本願の特徴として、回折光学素子10の一面11側に第1透光部材20が設けられており、第1透光部材20は、回折光学素子10の一面11を密閉する密閉構造の少なくとも一部となっている。
【0042】
第1透光部材20(ガラス部材)で回折光学素子10をカバーすることにより、光学装置1を工場内に設置しておいたとしても、回折光学素子10の表面へのほこり・粉塵等の付着を抑制することができる。これにより、回折光学素子10への熱集中を抑制することができる。したがって、回折光学素子10の損傷を抑制する事ができる。
【0043】
第1透光部材20は大気に暴露されているため、ほこり・粉塵等は第1透光部材20の表面に付着することになるが、表面パターンが形成されている回折光学素子10に比べ、第1透光部材20の表面の損傷は、目視で確認しやすい。第1透光部材20の表面の損傷を確認しやすくなるため、第1透光部材20の交換のタイミングを容易に把握することができる。したがって、加工不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0044】
さらに、回折光学素子10の損傷を抑制することにより、回折光学素子10を長寿命化することができる。高価な回折光学素子10に比べ、第1透光部材20は安価なため、光学装置1のメンテナンスコストを低減する事ができる。
【0045】
また、第1透光部材20を、段付面312aに向けて押圧する押圧部40を備えることにより、第1透光部材20で回折光学素子10の一面11を効果的に密閉することができる。これにより、回折光学素子10の表面へのほこり・粉塵等の付着を効果的に抑制することができるため、回折光学素子10の損傷を効果的に抑制する事ができる。
【0046】
押圧部40がカバー部41を含むことにより、回折光学素子10及び第1透光部材20を効果的に保持部312に保持することができる。これにより、回折光学素子10及び第1透光部材20を安定的にホルダ30に保持することができる。
【0047】
押圧部40が弾性部材43を含むことにより、第1透光部材20を回折光学素子10に効果的に押圧することができる。これにより、第1透光部材20が回折光学素子10の一面11を効果的に密閉することができる。したがって、回折光学素子10の損傷を効果的に抑制することができる。
【0048】
さらに、押圧部40が弾性部材43を含むことにより、第1透光部材20が回折光学素子10を押圧する力を効果的に調整することができる。
【0049】
押圧部40が板状部材44を含むことにより、板状部材44(=押圧部40)が第1透光部材20に均等に面圧を加えることができる。したがって、板状部材44(=押圧部40)が第1透光部材20を回折光学素子10に効果的に押圧することができる。
【0050】
第1透光部材20が反射防止層22を含むことにより、レーザービームの反射を効果的に抑制することができる。
【0051】
回折光学素子10が円盤形状であることにより、光学装置1を構成するにあたって、ワッシャーやシムなどの汎用部品を使いやすくなるため、光学装置1のコストを抑制することができる。
【0052】
第1スペーサー50を備えることにより、回折光学素子10及び第1透光部材20が接触するのを抑制することができる。したがって、回折光学素子10及び第1透光部材20が互いに摩擦し合い、回折光学素子10及び第1透光部材20が損傷することを抑制することができる。
【0053】
第1スペーサー50が金属であることにより、レーザーが第1スペーサー50に当たることによるガスの発生を抑制することができる。
【0054】
第2透光部材60を備えることにより、他面12側からも回折光学素子10の損傷を抑制することができる。
【0055】
第2透光部材60が反射防止層を含むことにより、レーザービームの反射を効果的に抑制することができる。
【0056】
第2スペーサー70を備えることにより、回折光学素子10及び第2透光部材60が接触するのを抑制することができる。したがって、回折光学素子10及び第2透光部材60が互いに摩擦し合い、回折光学素子10及び第2透光部材60が損傷することを抑制することができる。
【0057】
第2スペーサー70が金属であることにより、レーザーが第2スペーサー70に当たることによるガスの発生を抑制することができる。
【0058】
(その他の実施態様)
押圧部40は、第1透光部材20を押圧する構成であればどのような構成でもよく、例えば、内径部312cの内側にめねじ部が形成されており、押圧部40に当該めねじ部と係合するおねじ部が形成されており、押圧部40を回転させることにより、押圧部40が入射方向DR1に進行し、押圧部40が第1透光部材20を押圧する構成であってもよい。
【0059】
実施形態の一態様として、光学装置1は、レーザー加工ヘッド100の一部分として記載しているが、実施形態の別の態様として、光学装置1が、レーザー加工ヘッド100を含んでいる構成であってもよい(光学装置1=レーザー加工ヘッド100であってもよい)。
【0060】
実施形態の一態様として、第1スペーサー50は無くてもよいが、この場合、回折光学素子10及び第1透光部材20が接触しないようにホルダ30内に配置されていることが好ましく、例えば、回折光学素子10及び第1透光部材20が離れて(=接触せずに)、内径部312cの内側に固定されている構成であってもよい。
【0061】
実施形態の別の態様として、回折光学素子10は、四角状の形状を有していてもよい。
【0062】
実施形態の別の態様として、一面11は、レーザーが出射していく方向(=入射方向DR1)を向いていてもよく、他面12は、レーザーが入射してくる方向を向いていてもよい。
【0063】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 光学装置
10 回折光学素子
11 一面
12 他面
14 反射防止層
20 第1透光部材
22 反射防止層
30 ホルダ
31 本体部
32 前板部
33 ねじ部
40 押圧部
41 カバー部
42 ボルト
43 弾性部材
44 板状部材
50 第1スペーサー
60 第2透光部材
61 反射防止層
70 第2スペーサー
100 レーザー加工ヘッド
312 保持部
312a 段付面
312b 貫通孔
312c 内径部
411 カバー孔
DR1 入射方向
DR2 径方向
DR3 厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5