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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024067777
(43)【公開日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ラベル装着装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/04 20060101AFI20240510BHJP
   B65B 53/00 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B65B53/04 B
B65B53/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178102
(22)【出願日】2022-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】518178305
【氏名又は名称】フジヤマパックシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隆
(72)【発明者】
【氏名】松尾 一
(57)【要約】
【課題】被装着物にラベルをより短時間で装着できるようにすることで、蒸気トンネルのコンパクト化を図りつつ、蒸気の使用効率を向上させる。
【解決手段】ラベルLを被覆させた被装着物Xが通過する蒸気トンネル20を具備し、ラベルLを蒸気トンネル20内に供給した蒸気により加熱して被装着物Xに装着させるラベル装着装置であって、蒸気トンネル20が、蒸気を吐出する複数本の蒸気吐出管22を有し、蒸気吐出管22が、管軸方向に離間した複数箇所に設けられたスリットSを有し、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSの延びる方向と、他方に設けられたスリットSの延びる方向とが交わらないようにした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを被覆させた被装着物が通過する蒸気トンネルを具備し、前記ラベルを前記蒸気トンネル内に供給した蒸気により加熱して前記被装着物に装着させるラベル装着装置であって、
前記蒸気トンネルが、蒸気を吐出する複数本の蒸気吐出管を有し、
前記蒸気吐出管が、管軸方向に離間した複数箇所に設けられたスリットを有し、
互いに隣り合う前記蒸気吐出管の一方に設けられた前記スリットの延びる方向と、他方に設けられた前記スリットの延びる方向とが交わらないことを特徴とするラベル装着装置。
【請求項2】
互いに隣り合う前記蒸気吐出管の一方に設けられた前記スリットそれぞれが、他方に設けられた前記スリットそれぞれに対して、前記被装着物の搬送方向にずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のラベル装着装置。
【請求項3】
前記複数本の蒸気吐出管が上下多段に設けられており、
前記複数本の蒸気吐出管それぞれに設けられたスリットが、上下方向及び前記搬送方向のそれぞれに対して傾斜する仮想傾斜線上に配列されていることを特徴とする請求項1記載のラベル装着装置。
【請求項4】
前記蒸気トンネルを通過する前記被装着物の両側それぞれに前記複数本の蒸気吐出管が設けられており、
一方側に設けられた前記複数本の蒸気吐出管それぞれの前記スリットが配列されている前記仮想傾斜線と、他方側に設けられた前記複数本の蒸気吐出管それぞれの前記スリットが配列されている前記仮想傾斜線とが交差することを特徴とする請求項3記載のラベル装着装置。
【請求項5】
前記蒸気吐出管が、前記複数箇所に形成された取付穴に取り付けられたアタッチメントを有し、
前記アタッチメントが、前記スリットを有していることを特徴とする請求項1記載のラベル装着装置。
【請求項6】
ラベルを被覆させた被装着物が通過する蒸気トンネルを具備し、前記ラベルを前記蒸気トンネル内に供給した蒸気により加熱して前記被装着物に装着させるラベル装着装置であって、
前記蒸気トンネルが、蒸気を吐出する複数本の蒸気吐出管を有し、
前記蒸気吐出管が、管軸方向に離間した複数箇所において所定方向に沿って配列した複数の小穴を有し、
互いに隣り合う前記蒸気吐出管の一方に設けられた前記小穴の配列方向と、他方に設けられた前記小穴の配列方向とが交わらないことを特徴とするラベル装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュリンクラベル等のラベルを加熱して被装着物に装着させるラベル装着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のラベル装着装置としては、特許文献1に示すように、ラベルが被覆された容器を蒸気トンネルに搬入するとともに、この蒸気トンネルに高温の蒸気を供給することで、ラベルを熱収縮させて容器に装着させるものがある。
【0003】
より具体的に説明すると、この蒸気トンネルは、トンネル内を蒸気で充満させて、その雰囲気でラベルを熱収縮させるといった設計思想であり、その雰囲気に容器を晒しておく時間を稼ぐべく、蒸気吐出管が被装着物の搬送方向に沿って延びるように設けられている。
【0004】
しかしながら、このような構成であると、例えばラベルを装着するのに要する時間を短くする、言い換えれば、蒸気トンネルの長さを短くするには限界があり、装置のコンパクト化が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4530457号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような中で、本願発明者は、図12に示すように、蒸気吐出管の管軸方向に沿って離間した複数個所に、周方向に沿ったスリットを形成することで、このスリットから吐出される蒸気が拡散されることを見出した。なお、こうした蒸気を拡散させる作用効果は、スリットの形成に限らず、上述した複数個所に複数の小穴を周方向に沿って形成しても得られる。
【0007】
このように蒸気吐出管の複数箇所それぞれから蒸気を拡散させることにより、これらの複数個所それぞれにおいて被装着物を全体的に蒸気で包み込むことができ、被装着物にラベルをより短時間で装着することが可能となり、蒸気トンネルをよりコンパクトにすることが可能となる。
【0008】
しかしながら、このような構成であると、ある蒸気吐出管のスリットや小穴から拡散される蒸気が、その隣の蒸気吐出管のスリットや小穴から吐出される蒸気と干渉してしまい、蒸気の使用効率が低下するといった新たな課題が生じる。
【0009】
そこで、本願発明は、上述した問題を一挙に解決すべくなされたものであり、被装着物にラベルをより短時間で装着できるようにすることで、蒸気トンネルのコンパクト化を図りつつ、蒸気の使用効率を向上させることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係るラベル装着装置は、ラベルを被覆させた被装着物が通過する蒸気トンネルを具備し、前記ラベルを前記蒸気トンネル内に供給した蒸気により加熱して前記被装着物に装着させるラベル装着装置であって、前記蒸気トンネルが、蒸気を吐出する複数本の蒸気吐出管を有し、前記蒸気吐出管が、管軸方向に離間した複数箇所に設けられたスリットを有し、互いに隣り合う前記蒸気吐出管の一方に設けられた前記スリットの延びる方向と、他方に設けられた前記スリットの延びる方向とが交わらないことを特徴とするものである。
【0011】
このように構成されたラベル装着装置によれば、互いに隣り合う蒸気吐出管の一方に設けられたスリットの延びる方向と、他方に設けられたスリットの延びる方向とが交わらないので、これらのスリットから拡散される蒸気の干渉を抑えることができる。
これにより、被装着物にラベルをより短時間で装着できるようにすることで、蒸気トンネルのコンパクト化を図りつつ、蒸気の使用効率を向上させることが可能となる。
【0012】
互いに隣り合う前記蒸気吐出管の一方に設けられた前記スリットそれぞれが、他方に設けられた前記スリットそれぞれに対して、前記被装着物の搬送方向にずれた位置に設けられていることが好ましい。
このような構成であれば、一方の蒸気吐出管に設けられたスリットそれぞれから拡散される蒸気と、他方の蒸気吐出管に設けられたスリットそれぞれから拡散される蒸気との干渉を抑えることができ、蒸気の使用効率のさらなる向上を図れる。
【0013】
前記複数本の蒸気吐出管が上下多段に設けられており、前記複数本の蒸気吐出管それぞれに設けられたスリットが、上下方向及び前記搬送方向のそれぞれに対して傾斜する仮想傾斜線上に配列されていることが好ましい。
このような構成であれば、複数本の蒸気吐出管それぞれに設けられたスリットが仮想傾斜線上に配列されるので、スリットが不規則に配列されている構成に比べて、加熱トンネル内の雰囲気を均等に加熱することができる。
【0014】
前記蒸気トンネルを通過する前記被装着物の両側それぞれに前記複数本の蒸気吐出管が設けられており、一方側に設けられた前記複数本の蒸気吐出管それぞれの前記スリットが配列されている前記仮想傾斜線と、他方側に設けられた前記複数本の蒸気吐出管それぞれの前記スリットが配列されている前記仮想傾斜線とが交差することが好ましい。
このような構成であれば、被装着物の両側それぞれに設けられたスリットが、互いに逆向きに傾斜する仮想傾斜線上に配列されるので、それらのスリットから拡散される蒸気の干渉をより抑えることができる。
【0015】
前記蒸気吐出管が、前記複数箇所に形成された取付穴に取り付けられたアタッチメントを有し、前記アタッチメントが、前記スリットを有していることが好ましい。
このような構成であれば、例えばアタッチメントを変えることにより、スリットの向きや幅などを簡単に変更することができ、設計の自由度の向上を図れる。
【0016】
また、本発明に係るラベル装着装置は、ラベルを被覆させた被装着物が通過する蒸気トンネルを具備し、前記ラベルを前記蒸気トンネル内に供給した蒸気により加熱して前記被装着物に装着させるラベル装着装置であって、前記蒸気トンネルが、蒸気を吐出する複数本の蒸気吐出管を有し、前記蒸気吐出管が、管軸方向に離間した複数箇所において所定方向に沿って配列した複数の小穴を有し、互いに隣り合う前記蒸気吐出管の一方に設けられた前記小穴の配列方向と、他方に設けられた前記小穴の配列方向とが交わらないことを特徴とするものである。
このような構成であれば、互いに隣り合う蒸気吐出管の一方に設けられた小穴の配列と、他方に設けられた小穴の配列とが交わらないので、これらの小穴から拡散される蒸気の干渉を抑えることができる。
これにより、被装着物にラベルをより短時間で装着できるようにすることで、蒸気トンネルのコンパクト化を図りつつ、蒸気の使用効率を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、被装着物にラベルをより短時間で装着できるようにすることで、蒸気トンネルのコンパクト化を図りつつ、蒸気の使用効率を向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態のラベル装着装置を側方から視た模式図。
図2】本実施形態のラベル装着装置を上方から視た模式図。
図3】本実施形態のアタッチメントの構成を示す模式図。
図4】本実施形態のスリットの配置を示す模式図。
図5】本実施形態のスリットの配置を示す模式図。
図6】その他の実施形態におけるラベル装着装置の構成を示す模式図。
図7】その他の実施形態におけるラベル装着装置の構成を示す模式図。
図8】その他の実施形態におけるラベル装着装置の構成を示す模式図。
図9】その他の実施形態におけるラベル装着装置の構成を示す模式図。
図10】その他の実施形態におけるラベル装着装置の構成を示す模式図。
図11】その他の実施形態におけるラベル装着装置の構成を示す模式図。
図12】本願発明に到る前に中間的に検討したラベル装着装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るラベル装着装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<装置構成>
本実施形態のラベル装着装置100は、図1に示すように、被装着物Xに被覆された状態のシュリンクラベルL(以下、単にラベルLという)を加熱して、該ラベルLを被装着物Xに装着するために用いられるものである。なお、本実施形態のラベルLは、例えば樹脂製などの熱収縮性を有する円筒状のフィルムである。また、被装着物Xは、例えば樹脂製、ガラス製、或いは金属製の容器などである。
【0021】
ラベル装着装置100は、図1に示すように、被装着物Xを搬送する搬送機構10と、ラベルLを被覆させた被装着物Xが通過する蒸気トンネル20と、蒸気トンネル20に蒸気を供給する蒸気供給路30とを具備する。
【0022】
搬送機構10は、図1及び図2に示すように、被装着物Xを蒸気トンネル20に搬入及び搬出するものであり、具体的には、被装着物Xが載置される例えば無端ベルトなどの搬送路11と、搬送路11を動かすためのモータなどの駆動部12とを備えている。
【0023】
蒸気トンネル20は、図1及び図2に示すように、ラベルLを蒸気により加熱して熱収縮させるものであり、本実施形態のラベル装着装置100は、1つのみの蒸気トンネル20を備えている。ただし、ラベル装着装置100としては、搬送路11に沿って直列に設けられた複数の蒸気トンネル20を備えるものであっても良い。なお、蒸気トンネル20は、過熱蒸気を用いるものではなく、例えば150℃以下の蒸気、より好ましくは120℃以下の蒸気を用いるものである。
【0024】
この蒸気トンネル20は、図2に示すように、被装着物Xの搬入口21a及び搬出口21bが形成された筐体21と、この筐体21内に設けられた複数本の蒸気吐出管22とを有する。
【0025】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、上述した搬送路11を幅方向から挟み込む位置の両側それぞれに、複数本の蒸気吐出管22が上下多段に並び設けられている。
【0026】
そして、本発明に係るラベル装着装置100は、これらの蒸気吐出管22に特徴があるので、詳細は後述する。
【0027】
蒸気供給路30は、上流が蒸気を生成する例えば電気ボイラ等の蒸気生成装置Gに連通するとともに、下流が上述した蒸気吐出管22に連通するものであり、蒸気生成装置Gで生成された蒸気を蒸気吐出管22に導くものである。
【0028】
蒸気生成装置Gにより生成される生蒸気は、例えば100℃の蒸気であり、言い換えれば、蒸気供給路30には100℃の蒸気が流入する。なお、この蒸気供給路30には、蒸気を加圧する加圧手段40が設けられており、一方で、熱を加えることによって蒸気を加熱するヒータ等の加熱手段は設けられていない。
【0029】
続いて、上述した蒸気吐出管22について詳細を述べる。
【0030】
蒸気吐出管22は、上流側開口から蒸気が流入して、その蒸気を管軸方向に離間した複数箇所から吐出するものである。
【0031】
本実施形態の蒸気吐出管22は、管軸方向に離間した複数個所それぞれに設けられたアタッチメントAを有し、このアタッチメントAから蒸気を拡散させるように構成されている。
【0032】
なお、それぞれの蒸気吐出管22には、蒸気が供給される供給状態と、その供給を停止する停止状態とを切り替えるための開閉弁等の切替部(不図示)が設けられていても良い。
【0033】
本実施形態の蒸気吐出管22は、被装着物Xの搬送方向に沿って、言い換えれば、水平方向に沿って延びる長尺状のものであり、上述したアタッチメントAを取り付けるための取付穴Ah(図3左側参照)が長手方向に沿って例えば等間隔に形成されている。
【0034】
そして、このアタッチメントAは、図3の右側に示すように、蒸気を少なくとも上下方向に、言い換えれば、被処理物Xの高さ方向に拡散するように吐出させるものであり、具体的には、蒸気吐出管22の少なくとも周方向に沿って延びるスリットSを有している。
【0035】
より具体的に説明すると、アタッチメントAの先端面A1は、例えば球面などの湾曲した面であり、この先端面A1を貫通するように上述したスリットSが形成されている。
【0036】
これにより、本実施形態のスリットSは、上下方向に沿って、言い換えれば、被装着物Xの高さ方向に沿って延びるものであり、このスリットSから吐出される蒸気は、例えばスリットSの延びる方向に拡がるように放射状に拡散する。
【0037】
なお、アタッチメントAは、この実施形態では、取付穴Ahに対して回転可能に取り付けられており、具体的には、先端面A1の中心を当該先端面A1に対して垂直に通過する軸AL周りに回転可能である。
【0038】
然して、本実施形態のラベル装着装置100は、図4及び図5に示すように、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSの延びる方向Dと、他方に設けられたスリットSの延びる方向Dとが交わらないように構成されていることを特徴とするものである。
【0039】
より具体的に説明すると、蒸気吐出管22は、上述したように、搬送路11を幅方向から挟み込む位置の両側それぞれに、言い換えれば、蒸気トンネル20を通過する被装着物Xを挟み込む位置の両側それぞれに設けられている。
【0040】
かかる構成において、「互いに隣り合う蒸気吐出管22」とは、搬送路11の片側に着目して互いに隣り合う蒸気吐出管22のことであり、本実施形態では、上下多段に設けられた複数本の蒸気吐出管22のうち互いに隣り合うもののことである。
【0041】
そして、上述した特徴構成をより詳細に述べると、ある蒸気吐出管22に設けられた複数のスリットSのうちの1つに着目すると、この着目するスリットSの延びる方向Dと、その蒸気吐出管22と隣り合う蒸気吐出管22に設けられた複数のスリットSのうち、上述の着目しているスリットSから最も近いスリットSの延びる方向Dとが交わらないように構成されている。
【0042】
つまり、互いに隣り合う一方の蒸気吐出管22において上流からN番目に位置するスリットSの延びる方向Dと、他方の蒸気吐出管22において上流からN番目に位置するスリットSの延びる方向Dとが交差しない。なお、Nは、1以上、且つ、1つの蒸気吐出管22に設けられているスリットSの個数以下の自然数である。また、「上流」とは、被装着物Xの搬送方向における上流を意味する。
【0043】
本実施形態では、上述したように、それぞれのスリットSが、上下方向に沿って、言い換えれば、被装着物Xの高さ方向に沿って延びている。
【0044】
そして、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSそれぞれが、他方に設けられたスリットSそれぞれに対して、被装着物Xの搬送方向にずれた位置に設けられている。
【0045】
これにより、上下多段に設けられている蒸気吐出管22の1つに設けられたスリットSの延びる方向Dの全てが、その他の蒸気吐出管22に設けられたスリットS延びる方向Dの何れとも交わらない。
【0046】
より具体的に説明すると、図4及び図5に示すように、上下多段に設けられた複数本の蒸気吐出管22それぞれに設けられたスリットSは、蒸気トンネル20の側面視において、被装着物Xの高さ方向及び搬送方向のそれぞれに対して傾斜する仮想傾斜線Z上に配列されている。
【0047】
仮想傾斜線Zは、直線であっても良いし曲線であっても良いが、本実施形態では、所定の傾きの直線である。
【0048】
本実施形態では、蒸気トンネル20の側面視において、複数本の仮想線が互いに平行に設定されており、これらの仮想傾斜線Z上それぞれに、複数のスリットSが等間隔に配置されている。
【0049】
ここで、蒸気吐出管22は、上述した通り、蒸気トンネル20を通過する被装着物Xの両側それぞれに設けられているところ、図4及び図5に示すように、蒸気トンネル20の同一側面視において、一方側(手前側)と他方側(奥側)とに設定されている仮想傾斜線Zが互いに逆向きの傾斜方向となるようにしてある。
【0050】
より具体的に説明すると、一方側の仮想傾斜線Zは、被装着物Xの搬送方向に向かって上方に傾斜しており、他方側の仮想傾斜線Zは、被装着物Xの搬送方向に向かって下方に傾斜しており、ここでは、蒸気トンネル20の同一側面視において、一方側の仮想傾斜線Z、及び、他方側の想傾斜線は交差している。
【0051】
より具体的に説明すると、一方側に設けられた複数本の蒸気吐出管22それぞれの上流からN番目のスリットSを結ぶ仮想傾斜線Zと、他方側に設けられた複数本の蒸気吐出管22それぞれの上流からN番目のスリットSを結ぶ仮想傾斜線Zとが、蒸気トンネル20の同一側面視において交差している。なお、Nは、1以上、且つ、1つの蒸気吐出管22に設けられているスリットSの個数以下の自然数である。また、「上流」とは、被装着物Xの搬送方向における上流を意味する。
【0052】
交差する仮想傾斜線Zのなす角度は特に限定されるものではないが、ここでは、一方側の仮想傾斜線Zと、他方側の仮想傾斜線Zとが、互いに鏡像の関係、言い換えれば、線対称な関係になるように設定されている。
【0053】
<作用効果>
このように構成されたラベル装着装置100によれば、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSの延びる方向Dと、他方に設けられたスリットSの延びる方向Dとが交わらないので、これらのスリットSから拡散される蒸気の干渉を抑えることができる。
これにより、被装着物XにラベルLをより短時間で装着できるようにすることで、蒸気トンネル20のコンパクト化を図りつつ、蒸気の使用効率を向上させることが可能となる。
【0054】
また、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSそれぞれが、他方に設けられたスリットSそれぞれに対して、搬送方向にずれた位置に設けられているので、一方の蒸気吐出管22に設けられたスリットSそれぞれから拡散される蒸気と、他方の蒸気吐出管22に設けられたスリットSそれぞれから拡散される蒸気との干渉を抑えることができ、蒸気の使用効率のさらなる向上を図れる。
【0055】
さらに、複数本の蒸気吐出管22それぞれに設けられたスリットSが、仮想傾斜線Z上に配列されているので、スリットSが不規則に配列されている構成に比べて、加熱トンネル内の雰囲気を均等に加熱することができる。
【0056】
そのうえ、被装着物Xの両側それぞれに設けられたスリットSが、互いに逆向きに傾斜する仮想傾斜線Z上に配列されるので、それらのスリットSから拡散される蒸気の干渉をより抑えることができる。
【0057】
加えて、アタッチメントAにスリットSが形成されているので、例えばアタッチメントAを取り替えることにより、スリットSの向きや幅などを簡単に変更することができ、設計の自由度の向上を図れる。
【0058】
<その他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0059】
例えば、前記実施形態では、アタッチメントAにスリットSが形成されていたが、図6に示すように、蒸気吐出管22にスリットSが形成されていても良い。
【0060】
また、スリットSは、前記実施形態では上下方向に沿って、言い換えれば、被装着物Xの高さ方向に沿って延びるものであったが、図7に示すように、被装着物Xの高さ方向及び搬送方向に対して傾斜する方向に沿って延びるものであっても良い。
この場合、前記実施形態と同様に、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSが、他方に設けられたスリットSに対して、被装着物Xの搬送方向にずれた位置に設けられていても良いし、同図7に示すように、被装着物Xの搬送方向にはずれることなく設けられていても良い。
【0061】
さらに、前記実施形態では、一方側と他方側とで傾斜方向が交差するように仮想傾斜線Zが設定されていたが、一方側と他方側とで傾斜方向が交差しないように設定されていてもよく、言い換えれば、同じ向きに傾斜するように設定されていても良い。
【0062】
また、前記実施形態では蒸気吐出管22にスリットSが設けられていたが、図8及び図9に示すように、蒸気吐出管22が、管軸方向に離間した複数箇所において所定方向に沿って配列した複数の小穴hを有し、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられた小穴hの配列方向D’と、他方に設けられた小穴hの配列方向D’とが交わらないように構成されていても良い。
【0063】
より具体的に説明すると、図8の構成においては、複数の小穴hが上下方向に沿って、言い換えれば、被装着物Xの高さ方向に沿って設けられて、小穴群を形成している。
そして、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられた小穴群それぞれが、他方に設けられた小穴群それぞれに対して、被装着物Xの搬送方向にずれた位置に設けられている。
これにより、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられた小穴hの配列方向D’と、他方に設けられた小穴hの配列方向D’とが交わらない。
【0064】
一方、図9の構成においては、小穴群を構成する小穴hの配列方向D’が、被装着物Xの高さ方向及び搬送方向に対して傾斜する方向に沿っており、これにより、隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられた小穴hの配列方向D’と、他方に設けられた小穴hの配列方向D’とが交わらない。
【0065】
さらに、前記実施形態では、水平方向に延びる蒸気吐出管22が上下多段に設けられていたが、図10及び図11に示すように、複数本の蒸気吐出管22が、上下方向に沿って、言い換えれば、被装着物Xの高さ方向に沿って延びている。
【0066】
これらの蒸気吐出管22は、搬送路11の幅方向において互いに隣り合っており、この隣り合う蒸気吐出管22が、被装着物Xの搬送方向に沿って複数組(ここでは2組9設けられている。
【0067】
そして、搬送路11の幅方向において互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSの延びる方向Dと、他方に設けられたスリットSの延びる方向Dとが交わらないように構成されている。
【0068】
ここでは、スリットSの延びる方向Dが、被装着物Xの搬送方向に沿った方向であり、互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられたスリットSが、他方に設けられたスリットSに対して、被装着物Xの高さ方向にずれた位置に設けられている。
【0069】
なお、図10及び図11のように蒸気吐出管22が上下方向に延びる構成において、スリットSを被装着物Xの高さ方向及び搬送方向に対して傾斜させても良い。
また、この蒸気吐出管22に、前記実施形態と同様、アタッチメントAを取り付けて、このアタッチメントAにスリットSを形成しても良い。
【0070】
さらに、図10及び図11に示す蒸気吐出管22に設けられているスリットSを複数の小穴hとしても良く、搬送路11の幅方向において互いに隣り合う蒸気吐出管22の一方に設けられた小穴hの配列方向D’と、他方に設けられた小穴hの配列方向D’とが交わらないように構成されていても良い。
【0071】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
100・・・ラベル装着装置
X ・・・被装着物
L ・・・ラベル
10 ・・・搬送機構
11 ・・・搬送路
20 ・・・蒸気トンネル
22 ・・・蒸気吐出管
30 ・・・蒸気供給路
40 ・・・加圧手段
S ・・・スリット
Z ・・・仮想傾斜線
h ・・・小穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12