(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024068823
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】積乱雲予測情報信頼度演算装置及び積乱雲予測情報信頼度演算方法
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20240514BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
G01W1/10 E
G01W1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179417
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】501138231
【氏名又は名称】国立研究開発法人防災科学技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】599105850
【氏名又は名称】株式会社中電シーティーアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】清水 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 南海子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 亮平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃一
(72)【発明者】
【氏名】内藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】紀平 旭範
(57)【要約】
【課題】
将来の積乱雲の予測情報の信頼度を演算することが可能な積乱雲予測情報信頼度演算装置及び積乱雲予測情報信頼度演算方法を提供する。
【解決手段】
積乱雲予測情報信頼度演算装置3は、積乱雲の予測情報信頼度演算装置3は、検出された積乱雲の情報を取得する検出情報取得部3aと、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報及び予め定めた条件を記憶する記憶部3bと、記憶部3bが記憶した積乱雲の情報及び予め定めた条件を用いて、積乱雲の情報の信頼度を演算し、演算した積乱雲の情報の信頼度を積乱雲の予測情報の信頼度と見做す信頼度演算部3cと、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された積乱雲の情報を取得する検出情報取得部と、
前記検出情報取得部が取得した前記積乱雲の情報及び予め定めた条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶した前記積乱雲の情報及び前記予め定めた条件を用いて、前記積乱雲の情報の信頼度を演算し、演算した前記積乱雲の情報の信頼度を前記積乱雲の予測情報の信頼度と見做す信頼度演算部と、
を備える
ことを特徴とする積乱雲予測情報信頼度演算装置。
【請求項2】
前記積乱雲の情報は、前記積乱雲の位置を示す情報であって、
前記信頼度演算部は、
前記記憶部が記憶した前記積乱雲の位置を示す情報及び前記予め定めた条件を用いて、将来の前記積乱雲の位置を示す情報の信頼度を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の積乱雲予測情報信頼度演算装置。
【請求項3】
前記積乱雲の情報は、前記積乱雲の危険度を示す情報であって、
前記信頼度演算部は、
前記記憶部が記憶した前記積乱雲の危険度を示す情報及び前記予め定めた条件を用いて、将来の前記積乱雲の危険度を示す情報の信頼度を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の積乱雲予測情報信頼度演算装置。
【請求項4】
前記積乱雲の情報は、前記積乱雲の盛衰状態を示す情報であって、
前記信頼度演算部は、
前記記憶部が記憶した前記積乱雲の盛衰状態を示す情報及び前記予め定めた条件を用いて、将来の前記積乱雲の盛衰状態を示す情報の信頼度を演算する
ことを特徴とする請求項1に記載の積乱雲予測情報信頼度演算装置。
【請求項5】
前記信頼度演算部は、代替情報の信頼度を取得し、前記検出情報取得部が取得した前記積乱雲の情報から求めた信頼度と所定の閾値とを比較して、前記閾値が前記積乱雲の情報から求めた信頼度より高い場合、前記代替情報の信頼度を予測情報の信頼度とする
ことを特徴とする請求項1に記載の積乱雲予測情報信頼度演算装置。
【請求項6】
前記記憶部が記憶した前記積乱雲の情報及び前記予め定めた条件を用いて前記積乱雲の予測情報を演算する予測情報演算部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の積乱雲予測情報信頼度演算装置。
【請求項7】
検出された積乱雲の情報を取得するステップと、
取得した前記積乱雲の情報及び予め定めた条件を記憶するステップと、
記憶した前記積乱雲の情報及び前記予め定めた条件を用いて、前記積乱雲の情報の信頼度を演算するステップと、
前記積乱雲の情報の信頼度を前記積乱雲の予測情報の信頼度と見做すステップと、
を有する
ことを特徴とする積乱雲予測情報信頼度演算方法。
【請求項8】
前記積乱雲の情報及び前記予め定めた条件を用いて前記積乱雲の予測情報を演算するステップをさらに有する
ことを特徴とする請求項7に記載の積乱雲予測情報信頼度演算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、将来の積乱雲の予測情報の信頼度を演算する積乱雲予測情報信頼度演算装置及び積乱雲予測情報信頼度演算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高精度に積乱雲を予測する技術が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術は、積乱雲を高精度に予測し、受信者に的確に積乱雲の情報を知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Singo SHIMIZU, Hiroshi UYEDA, “Algorithm for the Identification and Tracking of Convective Cells Based on Constant and Adaptive Threshold Methods Using a New Cell-Merging and -Splitting Scheme”Journal of the Meteorological Society of Japan, Vol.90, No.6, pp.869-889, 2012,(URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmsj/90/6/90_2012-602/_pdf )
【非特許文献2】Singo SHIMIZU, “The AITCC User Guide” Technical Note of the National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention, No.386, March, 2014(URL:https://nied-ir.bosai.go.jp/?action=repository_uri&item_id=2000&file_id=22&file_no=1 )
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、積乱雲の予測情報の信頼度は不明であった。
【0006】
本発明は、将来の積乱雲の予測情報の信頼度を演算することが可能な積乱雲予測情報信頼度演算装置及び積乱雲予測情報信頼度演算方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる積乱雲予測情報信頼度演算装置は、
検出された積乱雲の情報を取得する検出情報取得部と、
前記検出情報取得部が取得した前記積乱雲の情報及び予め定めた条件を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶した前記積乱雲の情報及び前記予め定めた条件を用いて、積乱雲の予測情報の信頼度を演算し、演算した積乱雲の情報の信頼度を積乱雲の予測情報の信頼度と見做す信頼度演算部と、
を備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような積乱雲予測情報信頼度演算装置及び積乱雲の予測情報信頼度演算方法によれば、現在の積乱雲の情報の信頼度を演算することができ、この現在の積乱雲の情報の信頼度を将来の積乱雲の予測情報の信頼度と見做すので、その信頼度に応じた将来の積乱雲の予測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の積乱雲予測システムのブロック図を示す。
【
図2】第1実施形態の積乱雲予測システムの予測情報信頼度演算装置の演算表の一例を示す。
【
図3】第1実施形態の積乱雲予測システムの積乱雲予測情報の表示形態の一例を示す。
【
図4】第1実施形態の積乱雲予測システムの積乱雲予測情報を地図上で出力した表示形態の一例を示す。
【
図5】第1実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの一例を示す。
【
図6】第1実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの他の例を示す。
【
図7】第1実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの一例を示す。
【
図8】第1実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの他の例を示す。
【
図9】第2実施形態の積乱雲予測システムの予測情報信頼度演算装置の危険度の演算表の一例を示す。
【
図10】第2実施形態の積乱雲予測システムの予測情報信頼度演算装置の盛衰状態の演算表の一例を示す。
【
図11】第2実施形態の積乱雲予測システムの予測情報信頼度演算装置の盛衰状態の演算表の他の例を示す。
【
図12】第2実施形態の積乱雲予測システムの積乱雲予測情報の表示形態の一例を示す。
【
図13】第2実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの一例を示す。
【
図14】第2実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの他の例を示す。
【
図15】第2実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの一例を示す。
【
図16】第2実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明にかかる実施の形態を図により説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の積乱雲予測システムのブロック図を示す。
【0012】
積乱雲予測システム1は、積乱雲の情報を検出する積乱雲検出装置2と、積乱雲検出装置2が検出した積乱雲の情報と予め定めた条件から将来の積乱雲の予測情報及び積乱雲の予測情報の信頼度を演算する予測情報信頼度演算装置3と、予測情報信頼度演算装置3が演算した積乱雲の予測情報の信頼度に応じて積乱雲の予測情報の内容及び表示形態のうち少なくとも1つを変更する予測情報変更装置4と、予測情報変更装置4が決定した予測結果を出力する出力装置5と、を備える。
【0013】
積乱雲検出装置2は、XRAIN(eXtended RAdar Information Network:高性能レーダ雨量計ネットワーク)のデータを用いればよい。XRAINは、雨雲に電波を発射し、その反射波を観測するマルチパラメータレーダ(MPレーダ)を用いることで、250m間隔の高分解能な雨量観測、1分単位での観測、及び、リアルタイム性の高い観測を実現することができるものである。マルチパラメータレーダは、二重偏波ドップラーレーダとも呼ばれ、水平及び垂直偏波を送受信することでより多くの情報を取得し、高精度な観測が可能である。なお、システムを簡素化するために高解像度降水ナウキャストを用いてもよい。
【0014】
XRAINデータは、例えば、非特許文献1又は非特許文献2に示した技術を用いて積乱雲として検出される。
【0015】
非特許文献1に示された技術は、以下のように積乱雲を検出する。まず、積乱雲群をある閾値以上のレーダ反射強度の等値線で定義する。続いて、等値線内にある極値を複数検出し、1つ1つの極値が個々の積乱雲のピークと考える。次に、この極値が1つだけ含まれるように積乱雲群を個々の積乱雲に分割して検出する。
【0016】
次に、2つの連続する時刻で検出された積乱雲について、全ての組み合わせに対して、同一判定を行う。同一判定は、2つの連続する時刻で検出された積乱雲を、維持(1対1対応)、併合(複数対1対応)、分離(1対複数対応)、発生(0対1対応)、消滅(1対0対応)の5つのカテゴリーに分ける。この連続した2つの時間を時間方向にずらしていくことで、分離や併合を含めた積乱雲の発生から消滅までの一生を追跡することができる。
【0017】
非特許文献2には、非特許文献1に示されていないプログラミング技術や利用方法等が示されている。非特許文献2に示されたAITCC(Algorithm for the Identification and Tracking of Convective Cells)は、レーダ観測だけでなく、数値シミュレーションの結果も利用することが可能である。
【0018】
予測情報信頼度演算装置3は、積乱雲の情報を取得する検出情報取得部3aと、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報を記憶する記憶部3bと、記憶部3bが記憶した積乱雲の情報及び予め定めた条件を用いて、積乱雲の予測情報の信頼度を演算する信頼度演算部3cと、記憶部3bが記憶した積乱雲の情報及び予め定めた条件を用いて、積乱雲の予測情報を演算する予測情報演算部3dと、を有する。
【0019】
本実施形態の検出情報取得部3aは、積乱雲検出装置2が検出した積乱雲の情報を取得する。検出情報は、位置、雨量等を含み、予め定めた時間単位で取得することが好ましい。本実施形態の検出情報は、少なくとも1分単位で取得することが好ましい。また、検出情報取得部3aは、1分単位で取得せず、数秒、数十秒又は数分単位でもよい。
【0020】
記憶部3bは、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報を記憶する。本実施形態の記憶部3bは、少なくとも予め定めた過去から現在までの期間の積乱雲の情報を予め定めた時間単位で記憶することが好ましい。本実施形態の記憶部3bは、少なくとも現在から過去10分間の積乱雲の情報を1分単位で記憶することが好ましい。なお、記憶部3bが記憶する時間は、過去10分に限らず、数分又は数十分でもよい。また、記憶部3bは、1分単位で記憶せず、数秒、数十秒又は数分単位でもよい。
【0021】
信頼度演算部3cは、積乱雲の情報の信頼度を演算する。また、信頼度演算部3cは、積乱雲の情報の信頼度を予測情報の信頼度と見做す。積乱雲の情報は、積乱雲の移動ベクトル、最大反射強度、又は、雨量等でよい。積乱雲の情報の信頼度は、それらの標準偏差等でよい。例えば、本実施形態の信頼度演算部3cは、記憶部3bが記憶した少なくとも2つの時刻の積乱雲の情報の組み合わせから、過去10分間の1分毎の積乱雲情報のうち、5分以上離れた2つの時刻の第1積乱雲情報と第2積乱雲情報を用いて移動ベクトルを求め、移動ベクトルから信頼度の指標となる標準偏差を求める。
【0022】
信頼度演算部3cは、GPV(Grid Point Value)データ等の代替可能な情報を用いて信頼度を求めてもよい。信頼度演算部3cは、積乱雲の情報から求めた信頼度と代替情報から求めた信頼度とを比較して、信頼度の高い方の情報を予測情報の演算に用いてもよい。
【0023】
予測情報演算部3dは、積乱雲の予測情報を演算する。積乱雲の予測情報は、積乱雲の位置、危険度、盛衰状態等でよい。例えば、信頼度演算部3cで演算した移動ベクトルを用いて、将来も同じ移動ベクトルで進むとみなし、現在の積乱雲の位置から将来の積乱雲の位置を求める。
【0024】
図2は、第1実施形態の積乱雲予測システムの予測情報信頼度演算装置3の演算表の一例を示す。
【0025】
例えば、第1実施形態の予測情報信頼度演算装置3は、将来の積乱雲の位置を予測するための移動ベクトルを求める方法によって、予測情報の信頼度を演算する。予測情報信頼度演算装置3は、第1積乱雲情報と第2積乱雲情報を比較して移動ベクトルを求める。
【0026】
第1積乱雲情報として第1時刻のデータを用いる場合には、第2積乱雲情報として第1時刻より予め定めた過去の時間の少なくとも1つの過去時刻データを用いて移動ベクトルを求める。同様に、第1積乱雲情報として第1時刻より過去の第2時刻のデータを用いる場合には、第2積乱雲情報として第2時刻より予め定めた過去の時間の少なくとも1つの過去時刻データを用いて移動ベクトルを求める。第2時刻データから求める移動ベクトルは、第1時刻データから求める移動ベクトルより1つ少ない。
【0027】
このようなデータ取得を、データが1つしか取得できない第n時刻データまで続け、複数パターンの移動ベクトルを求める。移動ベクトルのパターンの数は、データの時間幅Δt、2つの時刻間の最小時間幅ΔTintv、過去に遡る時間Tpで決まる。予測情報信頼度演算装置3は、これらの移動ベクトルから代表となる移動ベクトルを演算する。
【0028】
また、予測情報信頼度演算装置3は、これらの移動ベクトルから標準偏差を求める。予測情報信頼度演算装置3は、予め設定された少なくとも1つの信頼閾値と移動ベクトルから求めた標準偏差とを比較する。そして、少なくとも1つの信頼閾値と移動ベクトルから求めた標準偏差の値を比較することによって、予測位置の信頼度のレベルを求める。信頼閾値が1つの場合には信頼度は2つのレベル、信頼閾値が2つの場合には信頼度は3つのレベル、信頼閾値がm-1個の場合には信頼度はm個のレベルに分けられる。
【0029】
図2に示す例では、データの時間幅Δtを1分、2つの時刻間の最小時間幅ΔTintvを5分、過去に遡る時間Tpを10分とした。第1積乱雲情報の第1時刻データが現在時刻のデータの場合には、第2積乱雲情報として丸印を付与した5分過去、6分過去、7分過去、8分過去、9分過去、及び、10分過去の6通りのデータを用いて移動ベクトルを求める。同様に、第1積乱雲情報の第2時刻データが1分過去のデータの場合には、第2積乱雲情報として丸印を付与した6分過去、7分過去、8分過去、9分過去、及び、10分過去の5通り、第1積乱雲情報の第3時刻データが2分過去のデータの場合には、第2積乱雲情報として丸印を付与した7分過去、8分過去、9分過去、及び、10分過去の4通り、第1積乱雲情報の第4時刻データが3分過去のデータの場合には第2積乱雲情報として丸印を付与した8分過去、9分過去、及び、10分過去の3通り、第1積乱雲情報の第5時刻データが4分過去のデータの場合には第2積乱雲情報として丸印を付与した9分過去、及び、10分過去の2通り、第1積乱雲情報の第6時刻データが5分過去のデータの場合には第2積乱雲情報として丸印を付与した10分過去の1通り、を用いて、全部で21パターンの移動ベクトルを求める。なお、パターン数は、21に限らず、適宜決定すればよい。
【0030】
図2に示す例の予測情報信頼度演算装置3は、これら21パターンの移動ベクトルから標準偏差を求める。予測情報信頼度演算装置3は、予め設定された信頼閾値0.1km/分と、移動ベクトルから求めた標準偏差と比較する。信頼度は、標準偏差が信頼閾値0.1km/分より大きい時に高信頼度、標準偏差が信頼閾値0.1km/分より小さい時に低信頼度の2つのレベルに分けられる。なお、レベルは2つに限らず、閾値を増やすことで、より多くのレベルに分けてもよい。
【0031】
このように、予測情報信頼度演算装置3は、検出した積乱雲の情報等を用いて、積乱雲の情報の信頼度を求める。積乱雲の予測情報は、検出した積乱雲の情報等の基づくことから、この信頼度を積乱雲の予測情報の信頼度と見做すことで、使用者は積乱雲の予測情報の信頼度を容易に把握することができる。
【0032】
予測情報変更装置4は、積乱雲の予測情報の信頼度に応じて予測情報を変更する。本実施形態の予測情報変更装置4は、予測情報信頼度演算装置3が求めた予測情報の信頼度に応じて予測情報を変更する。予測情報変更装置4は、積乱雲の予測情報を取得する予測情報取得部4aと、積乱雲の予測情報の信頼度を取得する予測情報信頼度取得部4bと、予測情報信頼度取得部4bが取得した信頼度に応じて予測情報の内容を変更する予測内容変更部4cと、予測情報信頼度取得部4bが取得した信頼度に応じて予測情報の表示形態を決定する表示形態変更部4dと、を有する。
【0033】
予測情報取得部4aは、積乱雲の予測情報を取得する。例えば、本実施形態では、予測情報信頼度演算装置3の予測情報演算部3dで演算された積乱雲の情報から求めた予測情報又は代替情報から求めた予測情報を取得すればよい。
【0034】
予測情報信頼度取得部4bは、積乱雲の予測情報の信頼度を取得する。例えば、本実施形態では、予測情報信頼度演算装置3の信頼度演算部3cで演算された積乱雲の情報から求めた信頼度又は代替情報から求めた信頼度を、積乱雲の予測情報の信頼度として取得すればよい。なお、代替情報に含まれる積乱雲の予測情報の信頼度を取得してもよい。
【0035】
予測内容変更部4cは、予測情報信頼度取得部4bが取得した信頼度に応じて、積乱雲の予測情報の内容を変更する。例えば、本実施形態の予測内容変更部4cは、信頼度が第1レベルの場合、積乱雲の位置・範囲・方向等の予測情報を変更せず、信頼度が第2レベル以下の場合、積乱雲の位置・範囲・方向等の予測情報を変更する。なお、予測情報を変更する信頼度のレベルは、第2レベルに限らず、適宜決定すればよい。
【0036】
表示形態変更部4dは、予測情報信頼度取得部4bが取得した信頼度に応じて、積乱雲の予測情報の表示形態を変更する。表示形態変更部4dは、予測内容変更部4cが変更した内容に応じて表示形態を変更してもよい。
【0037】
このように、予測情報変更装置4は、信頼度に応じて積乱雲の予測情報の内容及び表示形態のうち少なくとも1つを変更するので、使用者は一目で適切に将来の積乱雲の予測情報を把握することができる。
【0038】
図3は、第1実施形態の積乱雲予測システムの積乱雲予測情報の表示形態の一例を示す。
図3(a)は信頼度が高い第1レベルの場合の表示形態、
図3(b)は信頼度が中程度の第2レベルの場合の表示形態、
図3(c)は信頼度が低い第3レベルの場合の表示形態を示す。
【0039】
予測情報変更装置4は、信頼度に応じて積乱雲の予測内容を決定し、積乱雲の予測情報の表示形態を変更する。本実施形態の予測内容変更部4cは、一例として、
図3に示すように、積乱雲の予測位置を丸及び矢印等で表示する。また、危険、安全等の文字、記号等を表示してもよい。
【0040】
例えば、積乱雲の予測情報の信頼度が第1レベルの場合、
図3(a)に示すように、現在の積乱雲の位置を黒丸で表し、将来に積乱雲の位置が入る可能性のある範囲を円で表すとよい。積乱雲の予測情報の信頼度が第2レベルの場合、
図3(b)に示すように、現在の積乱雲の位置を黒丸で表し、将来の積乱雲の移動方向を矢印で表すとよい。積乱雲の予測情報の信頼度が第3レベルの場合、
図3(c)に示すように、現在の積乱雲の位置又は範囲を表すとよい。なお、表示形態は、色、形状、及び、図柄等の少なくとも1つを異ならせることによって表してもよい。
【0041】
図4は、本実施形態の積乱雲予測システムの積乱雲予測情報を地図上で出力した表示形態の一例を示す。
【0042】
出力装置5は、予測情報変更装置4が決定した積乱雲予測情報を出力する。本実施形態の出力装置5は、ディスプレイ等の画像表示又は音声等で出力する。地図上の第1積乱雲aは、予測情報の信頼度が中程度であり、将来の積乱雲の予測移動方向を矢印で表している。地図上の第2積乱雲bは、予測情報の信頼度が高く、将来の積乱雲の予測位置を黒丸で表し、今後の積乱雲の予測範囲を円で表している。
【0043】
このように、予測情報変更装置4は、信頼度に応じて積乱雲の予測内容とその表示形態を切り替えて表示させるので、使用者は一目で積乱雲の予測情報を信頼度と共に把握することができる。なお、出力装置5は、積乱雲予測システム1とは別の出力装置を用いてもよい。
【0044】
以上、積乱雲予測システム1によれば、積乱雲の予測情報の信頼度に応じて予測内容及び表示形態の少なくとも1つを変更することができ、使用者は一目で適切に積乱雲の予測情報を把握することができる。
【0045】
図5は、第1実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの一例を示す。
【0046】
第1実施形態の積乱雲予測システム1は、
図1に示した積乱雲検出装置2及び予測情報信頼度演算装置3を用いて、
図5に示すような手順で積乱雲の予測情報及び予測情報の信頼度を演算する。
【0047】
まず、ステップ111で、積乱雲検出装置2が積乱雲を検出する(ST111)。ステップ111における積乱雲の検出は、マルチパラメータレーダによって取得される二重偏波情報又は気象庁レーダによって取得される単偏波情報等を用いてもよい。また、非特許文献1又は非特許文献2に示した技術を用いてもよい。
【0048】
次に、ステップ112で、予測情報信頼度演算装置3の検出情報取得部3aは、検出された積乱雲の情報を取得する(ST112)。続いて、ステップ113で、記憶部3bは、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報を予め定めた時間記憶する(ST113)。
【0049】
次に、ステップ114で、信頼度演算部3cは、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報から信頼度を演算する(ST114)。本実施形態の信頼度演算部3cは、記憶部3bが記憶した過去10分間の1分毎の積乱雲情報のうち、5分以上離れた2つの時刻の組み合わせを用いて移動ベクトル等の積乱雲の状態を示す情報を求め、それらの標準偏差を演算し、予め定めた信頼閾値を比較して信頼度のレベルを求める。
【0050】
次に、ステップ115で、予測情報演算部3dは、積乱雲の情報から予測情報を演算する(ST115)。次に、ステップ116で、信頼度演算部3c及び予測情報演算部3dは、予測情報及び予測情報の信頼度を決定する(ST116)。予測情報の信頼度は、信頼度演算部3cが演算で求めた積乱雲の情報の信頼度を予測情報の信頼度と見做し、決定すればよい。なお、予測情報の信頼度は、出力装置5によって出力されてもよい。
【0051】
このような積乱雲の予測情報信頼度演算方法によれば、現在の積乱雲の情報の信頼度を演算することができ、この現在の積乱雲の情報の信頼度を将来の積乱雲の予測情報の信頼度と見做すので、その信頼度に応じた将来の積乱雲の予測を行うことができる。
【0052】
図6は、第1実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの他の例を示す。この例は、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報を利用可能な場合に用いることができる。
【0053】
ステップ121~ステップ124は、
図5に示したステップ111~ステップ114と同じ内容なので、説明を省略する。
【0054】
次に、ステップ125で、予測情報演算部3dは、積乱雲の情報に対して、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報の有無を判定する(ST125)。代替情報が存在する場合ステップ126に進み、代替情報が存在しない場合ステップ129に進む。
【0055】
ステップ126では、予測情報演算部3dは、代替情報を取得する(ST126)。続いて、ステップ127で、積乱雲の情報の信頼度が所定の閾値より低いか否かを判定する(ST127)。ステップ127において、積乱雲の情報の信頼度が閾値よりも低い場合ステップ128に進み、積乱雲の情報の信頼度が閾値よりも高い場合ステップ129に進む。
【0056】
ステップ128では、代替情報から予測情報を演算する(ST128)。ステップ129では、積乱雲の情報から予測情報を演算する(ST129)。次に、ステップ130で、信頼度演算部3c及び予測情報演算部3dは、予測情報及び予測情報の信頼度を決定する(ST130)。
【0057】
ステップ130では、ステップ128において代替情報から予測情報を演算した場合、代替情報の信頼度を予測情報の信頼度に決定すればよい。また、ステップ129において積乱雲の情報から予測情報を演算した場合、ステップ124において演算で求めた積乱雲の情報の信頼度を予測情報の信頼度に決定すればよい。なお、信頼度は、出力装置5によって出力されてもよい。
【0058】
第1実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法の閾値は、例えば、代替情報の信頼度、又は、予め定めた値等でよい。例えば、閾値を代替情報の信頼度に設定すれば、積乱雲の情報と代替情報のうち、より信頼度の高い情報から予測情報を演算することになり、演算した信頼度も高くなる。
【0059】
このような積乱雲の予測情報信頼度演算方法によれば、現在の積乱雲の情報の信頼度を演算することができ、この現在の積乱雲の情報の信頼度を将来の積乱雲の予測情報の信頼度と見做すので、その信頼度に応じた将来の積乱雲の予測を行うことができる。
【0060】
図7は、第1実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの一例を示す。
【0061】
第1実施形態の一例の積乱雲予測システム1は、
図1に示した積乱雲検出装置2、予測情報信頼度演算装置3、予測情報変更装置4、及び、出力装置5を用いて、
図7に示すような手順で積乱雲の予測情報の内容及び表示形態を変更する。
【0062】
まず、ステップ131で、予測情報変更装置4の予測情報取得部4aは、積乱雲の予測情報を取得する(ST131)。続いて、ステップ132で、予測情報変更装置4の予測情報信頼度取得部4bは、積乱雲の予測情報の信頼度を取得する(ST132)。この予測情報及び予測情報の信頼度は、
図5又は
図6に示した積乱雲予測情報信頼度演算方法で求めたものを利用してもよいし、他の方法で求めたものを利用してもよい。
【0063】
次に、ステップ133で、予測内容変更部4cは、取得した予測情報の信頼度が第1レベルか否かを判定する(ST133)。ステップ133において、予測内容変更部4cが信頼度は第1レベルであると判定した場合、ステップ134で、予測内容変更部4cは、予測内容を積乱雲の位置・範囲・方向のまま変更せず(ST134)、ステップ135で、表示形態変更部4dは、積乱雲の位置・範囲・方向の表示形態のままとする(ST135)。
【0064】
ステップ133において、予測内容変更部4cが信頼度は第1レベルでないと判定した場合、ステップ136で、予測内容変更部4cは、信頼度が第2レベルか否かを判定する(ST136)。ステップ136において、予測内容変更部4cが信頼度は第2レベルであると判定した場合、ステップ137で、予測内容変更部4cは、予測内容を積乱雲の位置・方向に変更し(ST137)、ステップ138で、表示形態変更部4dは、積乱雲の位置・方向の表示形態に変更する(ST138)。
【0065】
ステップ136において、予測内容変更部4cが信頼度は第2レベルでないと判定した場合、ステップ139で、第3レベルとして、予測内容変更部4cは、予測内容を積乱雲の位置に変更し(ST139)、ステップ140で、表示形態変更部4dは、積乱雲の位置の表示形態に変更する(ST140)。
【0066】
次に、ステップ141で、出力装置5が、積乱雲の予測結果を出力する(ST141)。出力装置5は、位置、範囲、及び、方向等のうち少なくとも1つを出力すればよい。
【0067】
このように、
図7に示す積乱雲予測情報変更方法によれば、積乱雲の予測情報の信頼度のレベルに応じて予測内容及び表示形態を変更することができ、使用者は一目で適切に積乱雲の状況と予測情報の信頼度を同時に把握することができる。
【0068】
なお、
図7に示す積乱雲予測情報変更方法の例では、予測情報の信頼度を3つのレベルに分けて位置・範囲・方向を表示したが、これに限らず信頼度を少なくとも2つに分け、積乱雲を表示すればよい。また、積乱雲の表示形態は、色、形状、及び、図柄等の少なくとも1つを異ならせることによって表せばよい。
【0069】
また、表示形態変更部4dは、予測内容変更部4cが変更した内容に応じて表示形態を変更してもよいし、予測情報信頼度取得部4bが取得した信頼度に応じて、積乱雲の予測情報の表示形態を変更してもよい。さらに、表示形態変更部4dは、予測内容変更部4cが予測内容を変更しない場合であっても、表示形態を変更してもよい。
【0070】
図8は、第1実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの他の例を示す。この例は、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報を利用可能な場合に用いることができる。
【0071】
まず、ステップ151で、予測情報変更装置4の予測情報取得部4aは、積乱雲の予測情報を取得する(ST151)。続いて、ステップ152で、予測情報変更装置4の予測情報信頼度取得部4bは、積乱雲の予測情報の信頼度を取得する(ST152)。この予測情報及び予測情報の信頼度は、
図5又は
図6に示した積乱雲予測情報信頼度演算方法で求めたものを利用してもよいし、他の方法で求めたものを利用してもよい。
【0072】
次に、ステップ153で、予測情報演算部3dは、積乱雲の情報に対して、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報の有無を判定する(ST153)。代替情報が存在する場合ステップ154に進み、代替情報が存在しない場合ステップ156に進む。
【0073】
ステップ154では、予測情報演算部3dは、代替情報を取得する(ST154)。続いて、ステップ155で、ステップ152において予測情報の信頼度が所定の閾値より低いか否かを判定する(ST155)。
【0074】
ステップ155において、ステップ152において取得した予測情報の信頼度が閾値よりも低い場合ステップ156に進み、ステップ152において取得した予測情報の信頼度が代替情報の信頼度よりも高い場合ステップ157に進む。
【0075】
ステップ156では、ステップ151において取得した予測情報を代替情報に変更する(ST156)。ステップ157では、ステップ151において取得した予測情報を変更しない(ST157)。
【0076】
次に、ステップ158で、予測内容変更部4cは、取得した予測情報の信頼度が第1レベルか否かを判定する(ST158)。ステップ158において、予測内容変更部4cが信頼度は第1レベルであると判定した場合、ステップ159で、予測内容変更部4cは、予測内容を積乱雲の位置・範囲・方向のまま変更せず(ST159)、ステップ160で、表示形態変更部4dは、積乱雲の位置・範囲・方向の表示形態のままとする(ST160)。
【0077】
ステップ158において、予測内容変更部4cが信頼度は第1レベルでないと判定した場合、ステップ161で、予測内容変更部4cは、信頼度が第2レベルか否かを判定する(ST161)。ステップ161において、予測内容変更部4cが信頼度は第2レベルであると判定した場合、ステップ162で、予測内容変更部4cは、予測内容を積乱雲の位置・方向に変更し(ST162)、ステップ163で、表示形態変更部4dは、積乱雲の位置・方向の表示形態に変更する(ST163)。
【0078】
ステップ161において、予測内容変更部4cが信頼度は第2レベルでないと判定した場合、ステップ164で、信頼度が第3レベル以下として、予測内容変更部4cは、予測内容を積乱雲の位置に変更し(ST164)、ステップ165で、表示形態変更部4dは、積乱雲の位置の表示形態に変更する(ST165)。
【0079】
次に、ステップ166で、出力装置5が、積乱雲の予測結果を出力する(ST166)。出力装置5は、位置、範囲、及び、方向等のうち少なくとも1つを出力すればよい。
【0080】
第1実施形態の積乱雲予測情報変更方法の閾値は、例えば、代替情報の信頼度、第1レベルと第2レベルの境界値、第2レベルと第3レベルの境界値、又は、予め定めた値等でよい。
図8に示す例では、代替情報の信頼度が高いと推測し、閾値を第1レベルと第2レベルの境界値に設定している。したがって、ステップ156において予測情報を代替情報に変更した場合、代替情報の信頼度が高いと推測したためステップ159に進み、予測内容を変更しない。
【0081】
しかしながら、代替情報の信頼度が少し低いと推測し、
図8に示す例の閾値を第2レベルと第3レベルの境界値に設定した場合、ステップ156において予測情報を代替情報に変更しても信頼度が第1レベルに到達していないため、ステップ162に進むように設定することが好ましい。
【0082】
なお、ステップ151及びステップ152において利用する予測情報及び予測情報の信頼度が、
図6に示した積乱雲予測情報信頼度演算方法において代替情報から求めた予測情報及び予測情報の信頼度の場合、
図8に示すフローチャートにおいて、ステップ152からステップ159に進んでもよい。
【0083】
このように、第1実施形態の積乱雲予測方法によれば、積乱雲の予測情報の信頼度のレベルに応じて予測内容及び表示形態を変更することができ、使用者は一目で適切に積乱雲の状況と予測情報の信頼度を同時に把握することができる。
【0084】
なお、第1実施形態の積乱雲予測方法の例では、予測情報の信頼度を3つのレベルに分けて位置・範囲・方向を表示したが、これに限らず信頼度を少なくとも2つに分け、積乱雲を表示すればよい。また、積乱雲の表示形態は、色、形状、及び、図柄等の少なくとも1つを異ならせることによって表せばよい。
【0085】
また、表示形態変更部4dは、予測内容変更部4cが変更した内容に応じて表示形態を変更してもよいし、予測情報信頼度取得部4bが取得した信頼度に応じて、積乱雲の予測情報の表示形態を変更してもよい。さらに、表示形態変更部4dは、予測内容変更部4cが予測内容を変更しない場合であっても、表示形態を変更してもよい。
【0086】
次に、第2実施形態の予測情報信頼度演算装置3について説明する。
【0087】
図9は、第2実施形態の積乱雲予測システム1の予測情報信頼度演算装置3の危険度の演算表の一例を示す。
【0088】
第2実施形態の予測情報信頼度演算装置3は、少なくとも1つの積乱雲情報の推定方法を用いて危険度及びその信頼度を求める。例えば、第2実施形態の推定方法はそれぞれ予め定めた推定閾値を有し、予測情報信頼度演算装置3が推定方法から求めた推定値と推定閾値を比較して危険値を求める。そして、危険値を用いて少なくとも1つの危険度判定値を求め、危険度判定値を危険度判定閾値と比較して積乱雲の危険度あり、積乱雲の危険度なしを判定すればよい。なお、推定値には予め重み係数を付与してもよい。
【0089】
図9に示す例では、第1推定方法は、検出情報取得部3aが雷観測データから取得する積乱雲内の雷の数を第1推定値とし、第1推定閾値を1とする。積乱雲内の雷の数は、落雷位置標定システム(LLS:Lightning Location System)、雷放電経路3次元観測システム(LMA:Lightning Mapping Array)等の雷観測機器から求める。格子データの場合には格子数、フラッシュ及びストロークデータの場合にはフラッシュ数又はストローク数から求める。
【0090】
第2推定方法は、検出情報取得部3aが気象数値モデル出力であるGPV(Grid Point Value)データから取得する積乱雲周辺のSSI(Showalter stability index)値を第2推定値とし、第2推定閾値を-3とする。第3推定方法は、検出情報取得部3aが3次元レーダ観測データから取得する積乱雲の積算水分量を第3推定値とし、第3推定閾値を90[mm/hr]とする。ここで、[mm/hr]は、1時間当たりの雨量を示し、1km毎の高度における降水強度を上空に積算して求める。第4推定方法は、検出情報取得部3aが3次元レーダ観測データ及びGPVデータから取得する40dBZのエコーが存在する最も高い高度であるエコー頂高度の気温を第4推定値とし、第4推定閾値を-10℃とする。
【0091】
続いて、予測情報信頼度演算装置3は、第1推定値乃至第4推定値をそれぞれ予め定めた記憶部3bに記憶した第1推定閾値乃至第4推定閾値とそれぞれ比較して、危険値を求める。
図9に示す例では、予測情報信頼度演算装置3は、第1推定値としての積乱雲内の雷の数が予め定めた第1推定閾値1以上の場合に危険値を1、第1推定閾値1より小さい場合に危険値を0とする。同様に、予測情報信頼度演算装置3は、第2推定値としてのSSI値が予め定めた第2推定閾値-3以下の場合に危険値を1、第2推定閾値-3より大きい場合に危険値を0とし、第3推定値としての積乱雲の積算水分量が予め定めた第3推定閾値90[mm/hr]以上の場合に危険値を1、第3推定閾値90[mm/hr]より小さい場合に危険値を0とし、第4推定値としてのエコー頂高度の気温が予め定めた第4推定閾値-10℃以上の場合に危険値を1、第4推定閾値-10℃より小さい場合に危険値を0とする。
【0092】
なお、
図9に示す例では、予測情報信頼度演算装置3は、4つの推定方法を用いたが、これに限らず、少なくとも1つの推定方法を用いればよい。また、推定閾値は、各推定方法に対して使用者が適宜決定すればよい。
【0093】
次に、予測情報信頼度演算装置3の信頼度演算部3cは、危険度の判定を実行する。
図9に示す例の最大値による危険度は、第1推定方法乃至第4推定方法によって求めた危険値の最大値が1の場合に危険度ありと判定し、最大値が0の場合に危険度なしと判定する。また、
図9に示す例の最頻値による危険度は、第1推定方法乃至第4推定方法によって求めた危険値の最頻値が1の場合に危険度ありと判定し、最頻値が0の場合に危険度なしと判定する。
【0094】
重み付き合計値による危険度は、第1推定方法乃至第4推定方法によって求めた危険値の重み付き合計値が、予め定めた重み付き合計閾値以上の場合に危険度ありと判定し、重み付き合計値が重み付き合計閾値未満の場合に危険度なしと判定する。
図9に示す例では、重み付き合計値による危険度は、第1推定方法乃至第4推定方法の危険値の重み付き合計値が重み付き合計閾値3以上の場合に危険度ありと判定し、重み付き合計値が重み付き合計閾値3未満の場合に危険度なしと判定する。なお、重み付き合計閾値は、この値に限らず、他の値を使用してもよい。
【0095】
図9に示す例では、第1推定方法の重み係数を2、第2推定方法の重み係数を0.5、第3推定方法の重み係数を1、第4推定方法の重み係数を1.5と設定する。積乱雲Aは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法、第2推定方法及び第4推定方法において危険値1なので、第1推定方法乃至第4推定方法の危険値の最大値は1、最頻値は1、重み付き合計値は4である。したがって、最大値は危険度あり、最頻値は危険度あり、重み付き合計値は4なので危険度ありとなる。危険度判定値が3つとも危険度ありなので、最終的に危険度ありと判定する。
【0096】
積乱雲Dは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第3推定方法のみが危険値1なので、第1推定方法乃至第4推定方法から求めた危険値の最大値は1、最頻値は0、重み付き合計値は1である。したがって、最大値は危険度あり、最頻値は危険度なし、重み付き合計値は1なので危険度なしとなる。最終的な危険度は、いずれか1つを選択して判定してもよいし、危険度判定値のうち過半数の2つが危険度なしなので危険度なしと判定してもよい。
【0097】
次に、積乱雲の危険度の予測情報の信頼度について説明する。第2実施形態の予測情報信頼度演算装置3は、各推定方法から求めた危険値から判定した予測情報の信頼度を求める。予測情報の信頼度は、危険値のバラツキ及び危険値1の占有率から求める。
【0098】
バラツキによって求める信頼度は、少なくとも1つの推定方法から求めた危険値の標準偏差が、予め定めた信頼閾値未満の場合に第1レベルとして信頼度ありと判定し、信頼閾値以上の場合に第2レベルとして信頼度なしと判定する。
図9に示す例では、信頼度は、第1推定方法乃至第4推定方法の危険値の標準偏差が信頼閾値0.5未満の場合に信頼度ありと判定し、標準偏差が信頼閾値0.5以上の場合に信頼度なしと判定する。なお、信頼閾値は、この値に限らず、他の値を使用してもよい。
【0099】
図9に示す例では、積乱雲Aは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法、第2推定方法及び第4推定方法が危険値1なので、バラツキ(標準偏差)が0.43となり、予め定めた信頼閾値0.5未満のため、第1レベルとして信頼度ありと判定される。また、積乱雲Cは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法及び第2推定方法が危険値1なので、バラツキ(標準偏差)が0.50となり、予め定めた信頼閾値0.5以上のため、第2レベルとして信頼度なしと判定される。
【0100】
占有率によって求める信頼度は、少なくとも1つの推定方法のうち危険値1の割合が、予め定めた信頼閾値より大きい場合に信頼度ありと判定し、信頼閾値以下の場合に信頼度なしと判定する。
図8に示す例では、信頼度は、第1推定方法乃至第4推定方法のうち危険値1の割合が信頼閾値50%より大きい場合に第1レベルとして信頼度ありと判定し、信頼閾値50%以下の場合に第2レベルとして信頼度なしと判定する。なお、信頼閾値は、この値に限らず、他の値を使用してもよい。
【0101】
図9に示す例では、積乱雲Aは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法、第2推定方法及び第4推定方法が危険値1なので、占有率が75%となり、予め定めた信頼閾値50%より大きいため、第1レベルとして信頼度ありと判定される。また、積乱雲Dは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第3推定方法のみが危険値1なので、占有率が25%となり、予め定めた信頼閾値50%以下のため、第2レベルとして信頼度なしと判定される。
【0102】
次に、本実施形態の予測情報信頼度演算装置3が求める積乱雲の盛衰状態及び盛衰状態の信頼度について説明する。本実施形態の予測情報信頼度演算装置3は、積乱雲の盛衰状態を求めることができ、その盛衰状態の信頼度を求めることができる。積乱雲の盛衰状態を表す指標は、発達、最盛、衰退等でよい。
【0103】
例えば、本実施形態の予測情報信頼度演算装置3は、積乱雲内の物理量の変化を求める方法で、盛衰状態を演算する。予測情報信頼度演算装置3は、第1積乱雲情報と第2積乱雲情報として物理量を求め、
図2に示した演算表を用いて、第1積乱雲情報と第2積乱雲情報を比較して積乱雲内の物理量変化を求める。
【0104】
第1積乱雲情報として第1時刻のデータを用いる場合には、第2積乱雲情報として第1時刻より予め定めた過去の時間の少なくとも1つの過去時刻データを用いて積乱雲内の物理量変化を求める。同様に、第1積乱雲情報として第1時刻より過去の第2時刻のデータを用いる場合には、第2積乱雲情報として第2時刻より予め定めた過去の時間の少なくとも1つの過去時刻データを用いて積乱雲内の物理量変化を求める。第2時刻データから求める物理量は、第1時刻データから求める物理量より1つ少ない。このようなデータ取得を、データが1つしか取得できない第n時刻データまで続け、複数パターンの積乱雲内の物理量変化を求める。積乱雲内の物理量変化のパターンの数は、データの時間幅Δt、2つの時刻間の最小時間幅ΔTintv、過去に遡る時間Tpできまる。予測情報信頼度演算装置3は、盛衰状態を算出するために、これらの積乱雲内の物理量変化の平均値を求める。
【0105】
予測情報信頼度演算装置3は、盛衰状態を算出するために、これらの積乱雲内の物理量変化の平均値を求める。予測情報信頼度演算装置3は、積乱雲内の物理量変化の平均値が、予め定めた第1の条件を満たす場合には発達傾向、予め定めた第2の条件を満たす場合には衰退傾向、その他の場合には維持傾向と判定すればよい。なお、盛衰状態は、発達、維持、衰退の3つのレベルだけでなく、最盛期、急発達、発達中、維持、衰退中、消滅等の6つのレベルに分けてもよい。また、盛衰状態は、少なくとも2つのレベルがあればより多くのレベルに分けてもよい。
【0106】
ここで、物理量は、例えば、降水量、降水域の面積、鉛直積算雨水量、偏波パラメータ等を利用すればよい。鉛直積算雨水量は、3次元レーダ観測データ等の降水の3次元分布がわかるデータが利用可能であれば取得できる。偏波パラメータは、偏波レーダで観測された3次元レーダ観測データが利用可能であれば取得できる。
【0107】
本実施形態では、物理量として積乱雲内の最大反射強度の時間変化量を用いる場合、平均値が+3dBZ/分以上を発達期、平均値が-1dBZ/分以下を衰退期、平均値が-1dBZ/分より大きく+3dBZ/分より小さい場合を最盛期とする。
【0108】
また、予測情報信頼度演算装置3は、盛衰状態の信頼度を求めることができる。予測情報信頼度演算装置3は、これらの積乱雲内の降水量変化から時間変化量の標準偏差を求める。予測情報信頼度演算装置3は、予め設定された少なくとも1つの信頼閾値と時間変化量から求めた標準偏差とを比較する。そして、少なくとも1つの信頼閾値と時間変化量から求めた標準偏差の値を比較することによって、積乱雲の盛衰状態の推定信頼度を求める。信頼閾値が1つの場合には信頼度は2レベル、信頼閾値が2つの場合には信頼度は3レベル、信頼閾値がm-1個の場合には信頼度はmレベルに分けられる。なお、積乱雲の盛衰状態の推定信頼度は、少なくとも2つのレベルに分ければよい。
【0109】
本実施形態では、物理量として積乱雲内の最大反射強度の時間変化量を用いる場合、標準偏差が1dBZ/分以下の場合を第1レベルとしての高信頼度、それ以外を第2レベルとしての低信頼度とすればよい。
【0110】
このように、予測情報信頼度演算装置3は、検出した積乱雲の情報等を用いて、予測情報の信頼度を求めるので、使用者は積乱雲の予測情報の信頼度を容易に把握することができる。
【0111】
図10は、第2実施形態の積乱雲予測システム1の予測情報信頼度演算装置3の盛衰状態の演算表の一例を示す。
【0112】
第2実施形態の予測情報信頼度演算装置3は、少なくとも1つの推定方法を用いて盛衰状態及びその信頼度を求める。例えば、第2実施形態の推定方法はそれぞれ予め定めた推定閾値を有し、予測情報信頼度演算装置3が推定方法から求めた推定値と推定閾値を比較して盛衰状態を求める。そして、盛衰状態を用いて少なくとも1つの盛衰状態判定値を求め、盛衰状態判定値を盛衰状態判定閾値と比較して積乱雲の盛衰状態を判定すればよい。なお、推定値には予め重み係数を付与してもよい。
【0113】
図10に示す例では、第1推定方法は積乱雲内の降水量の時間変化を第1推定値とし、第2推定方法は積乱雲内のエコー頂高度の時間変化を第2推定値とし、第3推定方法は積乱雲内のエコーコア高さの時間変化を第3推定値とし、第4推定方法は積乱雲の傾きを第4推定値とする。続いて、第1推定値乃至第4推定値をそれぞれ予め定めた第1推定閾値乃至第4推定閾値とそれぞれ比較して、盛衰傾向値を求める。
【0114】
次に、予測内容変更部4cは、盛衰状態の判定を実行する。
図10に示す例の最大値による盛衰状態は、第1推定方法乃至第4推定方法によって求めた盛衰傾向値の最大値が1の場合に発達と判定し、最大値が0の場合に維持と判定し、最大値が-1の場合に衰退と判定する。また、
図9に示す例の最頻値による盛衰状態は、第1推定方法乃至第4推定方法によって求めた盛衰傾向値の最頻値が1の場合に発達と判定し、最頻値が0の場合に維持と判定し、最頻値が-1の場合に衰退と判定する。
【0115】
重み付き合計値による盛衰状態は、第1推定方法乃至第4推定方法によって求めた危険値の重み付き合計値が、予め定めた第1重み付き合計閾値以上の場合に発達と判定し、重み付き合計値が第1重み付き合計閾値未満第2重み付き合計閾値以上の場合に維持と判定し、重み付き合計値が第2重み付き合計閾値未満の場合に衰退と判定する。
図10に示す例では、重み付き合計値による盛衰状態は、第1推定方法乃至第4推定方法の危険値の重み付き合計値が重み付き合計閾値+3以上の場合に発達と判定し、重み付き合計値が重み付き合計閾値-3より大きく+3未満の場合に維持と判定し、重み付き合計値が重み付き合計閾値-3以下の場合に衰退と判定する。なお、重み付き合計閾値は、この値に限らず、他の値を使用してもよい。
【0116】
図10に示す例では、第1推定方法の重み係数を2、第2推定方法の重み係数を1.5、第3推定方法の重み係数を1、第4推定方法の重み係数を0.5と設定する。積乱雲Aは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法、第2推定方法及び第4推定方法において盛衰状態が発達なので、第1推定方法乃至第4推定方法の危険値の最大値は1、最頻値は1、重み付き合計値は4である。したがって、最大値は発達、最頻値は発達、重み付き合計値は4なので発達となる。盛衰状態判定値が3つとも発達なので、最終的に発達と判定する。
【0117】
積乱雲Dは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第3推定方法のみが発達なので、第1推定方法乃至第4推定方法から求めた盛衰状態の最大値は1、最頻値は0、重み付き合計値は1である。したがって、最大値は発達、最頻値は維持、重み付き合計値は1なので維持となる。最終的な盛衰状態は、いずれか1つを選択して判定してもよいし、盛衰状態判定値のうち過半数の2つが維持なので維持と判定してもよい。
【0118】
次に、予測情報の信頼度について説明する。
図10に示す例では、各推定方法から求めた盛衰状態から判定した予測情報の信頼度を求める。信頼度は、盛衰状態のバラツキ及び盛衰状態の占有率から求める。
【0119】
バラツキによって求める信頼度は、少なくとも1つの推定方法から求めた盛衰状態の標準偏差が、予め定めた信頼閾値未満の場合に第1レベルとしての信頼度ありと判定し、信頼閾値以上の場合に第2レベルとしての信頼度なしと判定する。
図10に示す例では、信頼度は、第1推定方法乃至第4推定方法の盛衰状態の標準偏差が信頼閾値0.5未満の場合に信頼度ありと判定し、標準偏差が信頼閾値0.5以上の場合に信頼度なしと判定する。なお、信頼閾値は、この値に限らず、他の値を使用してもよい。
【0120】
図10に示す例では、積乱雲Aは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法、第2推定方法及び第4推定方法が発達1、第3推定方法が維持0なので、バラツキ(標準偏差)が0.43となり、予め定めた信頼閾値0.5未満のため、第1レベルとしての信頼度ありと判定される。また、積乱雲Cは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法及び第4推定方法が発達1、第2推定方法及び第3推定方法が維持0なので、バラツキ(標準偏差)が0.50となり、予め定めた信頼閾値0.5以上のため、第2レベルとしての信頼度なしと判定される。
【0121】
占有率によって求める信頼度は、少なくとも1つの推定方法のうち盛衰状態の割合が、予め定めた信頼閾値より大きい場合に第1レベルとしての信頼度ありと判定し、信頼閾値以下の場合に第2レベルとしての信頼度なしと判定する。
図10に示す例では、信頼度は、第1推定方法乃至第4推定方法のうち信頼閾値50%より大きい場合に信頼度ありと判定し、信頼閾値50%以下の場合に信頼度なしと判定する。なお、信頼閾値は、この値に限らず、他の値を使用してもよい。
【0122】
図10に示す例では、積乱雲Aは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第1推定方法、第2推定方法及び第4推定方法が発達1なので、占有率が75%となり、予め定めた信頼閾値50%より大きいため、信頼度ありと判定される。また、積乱雲Dは、第1推定方法乃至第4推定方法のうち第3推定方法のみが発達1なので、占有率が25%となり、予め定めた信頼閾値50%以下のため、信頼度なしと判定される。
【0123】
このように、予測情報信頼度演算装置3は、検出した積乱雲の情報等を用いて、予測情報の信頼度を求めるので、使用者は積乱雲の予測情報の信頼度を容易に把握することができる。
【0124】
図11は、第2実施形態の積乱雲予測システム1の予測情報信頼度演算装置3の盛衰状態の演算表の他の例を示す。
【0125】
予測情報信頼度演算装置3は、条件を設定する方法で、盛衰状態を演算してもよい。例えば、
図11に示すように、本実施形態の他の例の予測情報信頼度演算装置3は、「積乱雲の誕生から高度1kmにおける12dBZ以上の雨域の面積が初めて24km
2以上になった時」から、「12dBZのエコー頂が-40度高度以上」、「雲放電数の増加率が減少」、又は、「雨域面積の増加率の減少」のうち、少なくとも1つになるまでを発達期とする。
【0126】
続いて、「12dBZのエコー頂が-40度高度以上」、「雲放電数の増加率が減少」、又は、「雨域面積の増加率の減少」のうち、少なくとも1つになった時から、「12dBZのエコー頂が-40度高度より低い」、「雲放電数の減少」、又は、「雨域面積の減少」のうちの少なくとも1つになるまでを最盛期とする。続いて、「12dBZのエコー頂が-40度高度より低い」、「雲放電数の減少」、又は、「雨域面積の減少」のうちの少なくとも1つになった時以降を衰退期とする。
【0127】
このように、予測情報信頼度演算装置3は、検出した積乱雲の情報等を用いて、予測情報の信頼度を求めるので、使用者は積乱雲の予測情報の信頼度を容易に把握することができる。
【0128】
図12は、本実施形態の積乱雲予測システム1の積乱雲予測情報の表示形態の一例を示す。
図12(a)は危険度及び盛衰状態の信頼度が高く、積乱雲の盛衰状態が発達期の場合の予測情報、
図12(b)は危険度及び盛衰状態の信頼度が高く、積乱雲の盛衰状態が衰退期の場合の予測情報、
図12(c)は危険度又は盛衰状態の信頼度が低い場合、又は、積乱雲の盛衰状態が最盛期の場合の予測情報を示す。
【0129】
予測内容変更部4cは、積乱雲の危険度の信頼度、盛衰状態の信頼度、及び、盛衰状態に応じて積乱雲の予測情報の内容を変更する。本実施形態の予測内容変更部4cは、一例として、
図12に示すように、積乱雲の予測情報に危険、安全等の内容を入れる。
【0130】
表示形態変更部4dは、積乱雲の危険度の信頼度、盛衰状態の信頼度、及び、盛衰状態に応じて積乱雲の予測情報の表示形態を変更する。本実施形態の表示形態変更部4dは、一例として、
図12に示すように、積乱雲の予測情報を丸、線、矢印等の太さ、線種等を変更して表示する。表示形態変更部4dは、危険度及び盛衰状態の信頼度に応じて、線種、線の太さ、線の色、形状、及び、図柄等の少なくとも1つを異ならせることによって表してもよい。
【0131】
例えば、予測内容変更部4cは、積乱雲の危険度の信頼度及び盛衰状態の信頼度が第1レベルとしての信頼度があり、積乱雲が発達期の場合、将来の積乱雲の予測位置、将来の積乱雲の推定範囲、及び、将来の危険度を予測内容とする。表示形態変更部4dは、
図12(a)に示すように、将来の積乱雲の予測位置を黒丸で表し、将来の積乱雲の予測範囲を円で表し、「危険」と示すとよい。例えば、
図12(a)に示すように、危険度及び盛衰状態の信頼度が高く積乱雲が発達期の場合には太い破線で表示し、
図12(b)に示すように、危険度及び盛衰状態の信頼度が高く積乱雲が衰退期の場合には細い二点鎖線で表示し、危険度及び盛衰状態のいずれかの信頼度が低い場合には通常の実線で表示すればよい。
【0132】
このように、予測情報変更装置4は、信頼度に応じて積乱雲の予測内容とその表示形態を切り替えて表示させるので、使用者は一目で積乱雲の予測情報を信頼度と共に把握することができる。なお、出力装置5は、積乱雲予測システム1とは別の出力装置を用いてもよい。
【0133】
図13は、第2実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの一例を示す。
【0134】
第2実施形態の積乱雲予測システム1は、
図1に示した積乱雲検出装置2、予測情報信頼度演算装置3、予測情報変更装置4、及び、出力装置5と、を用いて、
図13に示すような積乱雲予測手順で積乱雲を予測する。
【0135】
まず、ステップ211で、積乱雲検出装置2が積乱雲を検出する(ST211)。ステップ211における積乱雲の検出は、マルチパラメータレーダによって取得される二重偏波情報又は気象庁レーダによって取得される単偏波情報等を用いてもよい。また、非特許文献1又は非特許文献2に示した技術を用いてもよい。
【0136】
次に、ステップ212で、予測情報信頼度演算装置3の検出情報取得部3aは、検出された積乱雲の情報を取得する(ST212)。本実施形態の検出情報取得部3aは、
図9乃至
図11に示した推定方法で用いる積乱雲の情報を取得する。
【0137】
続いて、ステップ213で、予測情報信頼度演算装置3の記憶部3bは、取得した積乱雲の情報を予め定めた時間記憶する(ST213)。
【0138】
次に、ステップ214で、予測情報信頼度演算装置3の信頼度演算部3cは、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報から危険度及び盛衰状態の信頼度を演算する(ST214)。
【0139】
次に、ステップ215で、予測情報演算部3dは、積乱雲の情報から危険度及び盛衰状態の予測情報を演算する(ST215)。次に、ステップ216で、信頼度演算部3c及び予測情報演算部3dは、危険度及び盛衰状態の予測情報及び予測情報の信頼度を決定する(ST216)。予測情報の信頼度は、演算で求めた積乱雲の情報の信頼度を予測情報の信頼度と見做し、決定すればよい。なお、予測情報の信頼度は、出力装置5によって出力されてもよい。
【0140】
このような積乱雲の予測情報信頼度演算方法によれば、現在の積乱雲の危険度及び盛衰状態の信頼度を演算することができ、この現在の積乱雲の危険度及び盛衰状態の信頼度を将来の積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報の信頼度と見做すので、その信頼度に応じた将来の積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測を行うことができる。
【0141】
図14は、第2実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法のフローチャートの他の例を示す。この例は、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報を利用可能な場合に用いることができる。
【0142】
ステップ221~ステップ224は、
図13に示したステップ211~ステップ214と同じ内容なので、説明を省略する。
【0143】
次に、ステップ225で、予測情報演算部3dは、積乱雲の情報に対して、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報の有無を判定する(ST225)。代替情報が存在する場合ステップ226に進み、代替情報が存在しない場合ステップ229に進む。
【0144】
ステップ226では、予測情報演算部3dは、代替情報を取得する(ST226)。続いて、ステップ227で、積乱雲の情報の信頼度が所定の閾値より低いか否かを判定する(ST227)。ステップ227において、積乱雲の情報の信頼度が閾値よりも低い場合ステップ228に進み、積乱雲の情報の信頼度が閾値よりも高い場合ステップ229に進む。
【0145】
ステップ228では、代替情報から危険度及び盛衰状態の予測情報を演算する(ST228)。ステップ229では、積乱雲の情報から危険度及び盛衰状態の予測情報を演算する(ST229)。次に、ステップ230で、信頼度演算部3c及び予測情報演算部3dは、危険度及び盛衰状態の予測情報及び予測情報の信頼度を決定する(ST230)。
【0146】
ステップ230では、ステップ228において代替情報から予測情報を演算した場合、代替情報の信頼度を予測情報の信頼度に決定すればよい。また、ステップ229において積乱雲の情報から危険度及び盛衰状態の予測情報を演算した場合、ステップ224において演算で求めた積乱雲の危険度及び盛衰状態の信頼度を予測情報の信頼度に決定すればよい。なお、信頼度は、出力装置5によって出力されてもよい。
【0147】
第2実施形態の積乱雲予測情報信頼度演算方法の閾値は、例えば、代替情報の信頼度、又は、予め定めた値等でよい。例えば、閾値を代替情報の信頼度に設定すれば、積乱雲の情報と代替情報のうちより信頼度の高い情報から予測情報を演算することになり、演算した信頼度も高くなる。
【0148】
このような積乱雲の予測情報信頼度演算方法によれば、現在の積乱雲の危険度及び盛衰状態の信頼度を演算することができ、この現在の積乱雲の危険度及び盛衰状態の信頼度を将来の積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報の信頼度と見做すので、その信頼度に応じた将来の積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測を行うことができる。
【0149】
図15は、第2実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの一例を示す。
【0150】
第2実施形態の積乱雲予測システム1は、
図1に示した積乱雲検出装置2、予測情報信頼度演算装置3、予測情報変更装置4、及び、出力装置5を用いて、
図15に示すような手順で積乱雲の予測情報の内容及び表示形態を変更する。
【0151】
まず、ステップ231で、予測情報変更装置4の予測情報取得部4aは、積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報を取得する(ST231)。続いて、ステップ232で、予測情報変更装置4の予測情報信頼度取得部4bは、積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報の信頼度を取得する(ST232)。
【0152】
次に、ステップ233で、予測内容変更部4cは、は、危険度及び盛衰状態の信頼度が予め定めた第1レベルか否かを判定する(ST233)。ステップ233において、予測内容変更部4cが危険度及び盛衰状態の信頼度は第1レベルであると判定した場合、ステップ234で、予測内容変更部4cは、予測対象となる積乱雲が発達期か否かを判定する(ST234)。ステップ233において、予測内容変更部4cが危険度及び盛衰状態の信頼度は予め定めた第1レベルではないと判定した場合、ステップ238に進む。
【0153】
ステップ234おいて、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲を発達期であると判定した場合、ステップ236で、表示形態変更部4dは、将来の危険度を現在よりも強めた表示形態に変更する(ST236)。将来の危険度が高くなることを表すには、太線等、予め定めた危険度の高いことを表す表示形態を決めておくとよい。
【0154】
ステップ234において、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲は発達期でないと判定した場合、ステップ235で、予測内容変更部4cは、予測対象となる積乱雲が衰退期か否かを判定する(ST235)。
【0155】
ステップ235において、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲は衰退期であると判定した場合、ステップ237で、表示形態変更部4dは、将来の危険度を現在よりも弱めた表示形態に変更する(ST237)。将来の危険度が低くなることを表すには、太線等、予め定めた危険度の低いことを表す表示形態を決めておくとよい。
【0156】
ステップ235において、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲は衰退期でなく、現状維持であると判定した場合、ステップ238で、第2レベルとして、表示形態変更部4dは、将来の危険度を現在と同等の表示形態に維持する(ST238)。なお、現状維持を表す予測内容及び表示形態を予め決めておき、現状維持を表す予測内容及び表示形態に変更してもよい。
【0157】
最後に、ステップ239で、ステップ236、ステップ237、ステップ238で決定した表示形態によって、出力装置5が、積乱雲の予測結果を出力する(ST239)。出力装置5は、将来の危険度を含む内容で、位置、範囲、及び、方向等のうち少なくとも1つを出力すればよい。
【0158】
このように、第2実施形態の積乱雲予測情報変更方法によれば、積乱雲の予測情報の信頼度に応じて予測情報及び表示形態を変更することができ、使用者は一目で適切に積乱雲の状況と予測情報の信頼度を同時に把握することができる。
【0159】
図16は、第2実施形態の積乱雲予測情報変更方法のフローチャートの他の例を示す。この例は、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報を利用可能な場合に用いることができる。
【0160】
第2実施形態の積乱雲予測システム1は、
図1に示した積乱雲検出装置2、予測情報信頼度演算装置3、予測情報変更装置4、及び、出力装置5を用いて、
図16に示すような手順で積乱雲の予測情報の内容及び表示形態を変更する。
【0161】
まず、ステップ241で、予測情報変更装置4の予測情報取得部4aは、積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報を取得する(ST241)。続いて、ステップ242で、予測情報変更装置4の予測情報信頼度取得部4bは、積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報の信頼度を取得する(ST242)。
【0162】
次に、ステップ243で、予測情報演算部3dは、積乱雲の情報に対して、GPV(Grid Point Value)データ等の代替情報の有無を判定する(ST243)。代替情報が存在する場合ステップ244に進み、代替情報が存在しない場合ステップ247に進む。
【0163】
ステップ244では、予測情報演算部3dは、代替情報を取得する(ST244)。続いて、ステップ245で、ステップ242において取得した積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報の信頼度が所定の閾値より低いか否かを判定する(ST245)。
【0164】
ステップ245において、ステップ242において取得した積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報の信頼度が閾値よりも低い場合ステップ246に進み、ステップ242において取得した積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報の信頼度が代替情報の信頼度よりも高い場合ステップ247に進む。
【0165】
ステップ246では、ステップ241において取得した積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報を代替情報に変更する(ST246)。ステップ247では、ステップ241において取得した積乱雲の危険度及び盛衰状態の予測情報を変更しない(ST247)。
【0166】
次に、ステップ248で、予測内容変更部4cは、は、危険度及び盛衰状態の信頼度が予め定めた第1レベルか否かを判定する(ST248)。ステップ248において、予測内容変更部4cが危険度及び盛衰状態の信頼度は第1レベルであると判定した場合、ステップ249で、予測内容変更部4cは、予測対象となる積乱雲が発達期か否かを判定する(ST249)。ステップ248において、予測内容変更部4cが危険度及び盛衰状態の信頼度は予め定めた第1レベルではないと判定した場合、ステップ253に進む。
【0167】
ステップ249おいて、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲を発達期であると判定した場合、ステップ236で、表示形態変更部4dは、将来の危険度を現在よりも強めた表示形態に変更する(ST251)。将来の危険度が高くなることを表すには、太線等、予め定めた危険度の高いことを表す表示形態を決めておくとよい。
【0168】
ステップ249において、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲は発達期でないと判定した場合、ステップ250で、予測内容変更部4cは、予測対象となる積乱雲が衰退期か否かを判定する(ST250)。
【0169】
ステップ250において、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲は衰退期であると判定した場合、ステップ252で、表示形態変更部4dは、将来の危険度を現在よりも弱めた表示形態に変更する(ST252)。将来の危険度が低くなることを表すには、太線等、予め定めた危険度の低いことを表す表示形態を決めておくとよい。
【0170】
ステップ250において、予測内容変更部4cが予測対象となる積乱雲は衰退期でなく、現状維持であると判定した場合、ステップ253で、第2レベルとして、表示形態変更部4dは、将来の危険度を現在と同等の表示形態に維持する(ST253)。なお、現状維持を表す予測内容及び表示形態を予め決めておき、現状維持を表す予測内容及び表示形態に変更してもよい。
【0171】
最後に、ステップ254で、ステップ251、ステップ252、ステップ253で決定した表示形態によって、出力装置5が、積乱雲の予測結果を出力する(ST239)。出力装置5は、将来の危険度を含む内容で、位置、範囲、及び、方向等のうち少なくとも1つを出力すればよい。
【0172】
第2実施形態の積乱雲予測情報変更方法の閾値は、例えば、代替情報の信頼度、第1レベルと第2レベルの境界値、又は、予め定めた値等でよい。
図16に示す例では、代替情報の信頼度が高いと推測し、閾値を第1レベルと第2レベルの境界値に設定している。したがって、ステップ246において予測情報を代替情報に変更した場合、代替情報の信頼度が高いと推測したためステップ249に進み、予測内容を変更しない。
【0173】
しかしながら、代替情報の信頼度が少し低いと推測し、
図16に示す例の閾値を低い値に設定した場合、ステップ246において予測情報を変更しても信頼度が第1レベルに到達していないため、ステップ253に進むように設定することが好ましい。
【0174】
このように、第2実施形態の積乱雲予測情報変更方法によれば、積乱雲の予測情報の信頼度に応じて予測情報及び表示形態を変更することができ、使用者は一目で適切に積乱雲の状況と予測情報の信頼度を同時に把握することができる。
【0175】
以上、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算装置3は、検出された積乱雲の情報を取得する検出情報取得部3aと、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報及び予め定めた条件を記憶する記憶部3bと、記憶部3bが記憶した積乱雲の情報及び予め定めた条件を用いて、積乱雲の情報の信頼度を演算し、演算した積乱雲の情報の信頼度を積乱雲の予測情報の信頼度と見做す信頼度演算部3cと、を備える。したがって、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算装置3によれば、現在の積乱雲の情報の信頼度を演算することができ、この現在の積乱雲の情報の信頼度を将来の積乱雲の予測情報の信頼度と見做すので、その信頼度に応じた将来の積乱雲の予測を行うことができる。
【0176】
また、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算装置3では、積乱雲の情報は、積乱雲の位置を示す情報であって、信頼度演算部3cは、記憶部3bが記憶した積乱雲の位置を示す情報及び予め定めた条件を用いて、将来の積乱雲の位置を示す情報の信頼度を演算する。したがって、本実施形態の予測情報信頼度演算装置3によれば、使用者は将来の積乱雲の予測位置の信頼度を把握することができる。
【0177】
また、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算装置3では、積乱雲の情報は、積乱雲の危険度を示す情報であって、信頼度演算部3cは、記憶部3bが記憶した前記積乱雲の危険度を示す情報及び予め定めた条件を用いて、将来の積乱雲の危険度を示す情報の信頼度を演算する。したがって、本実施形態の予測情報信頼度演算装置3によれば、使用者は将来の積乱雲の予測危険度の信頼度を把握することができる。
【0178】
また、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算装置3では、積乱雲の情報は、積乱雲の盛衰状態を示す情報であって、信頼度演算部3cは、記憶部3bが記憶した積乱雲の盛衰状態を示す情報及び予め定めた条件を用いて、将来の積乱雲の盛衰状態を示す情報の信頼度を演算する。したがって、本実施形態の予測情報信頼度演算装置3によれば、使用者は将来の積乱雲の予測盛衰状態の信頼度を把握することができる。
【0179】
また、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算装置3では、信頼度演算部3cは、代替情報を用いて信頼度を取得し、検出情報取得部3aが取得した積乱雲の情報から求めた信頼度と所定の閾値とを比較して、閾値が積乱雲の情報から求めた信頼度より高い場合、代替情報の信頼度を予測情報の信頼度とする。したがって、本実施形態の予測情報信頼度演算装置3によれば、より適切な情報を用いることで、積乱雲の予測情報の信頼度を適切に把握することができる。
【0180】
また、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算装置3では、記憶部3bが記憶した積乱雲の情報及び予め定めた条件を用いて積乱雲の予測情報を演算する予測情報演算部3dをさらに備える。したがって、本実施形態の予測情報信頼度演算装置3によれば、使用者は将来の積乱雲の予測情報とその予測情報の信頼度を同時に把握することができる。
【0181】
さらに、積乱雲の予測情報信頼度演算方法は、検出された積乱雲の情報を取得するステップと、取得した積乱雲の情報及び予め定めた条件を記憶するステップと、記憶した積乱雲の情報及び前記予め定めた条件を用いて、積乱雲の情報の信頼度を演算するステップと、積乱雲の情報の信頼度を積乱雲の予測情報信頼度と見做すステップと、を有する。したがって、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算方法によれば、現在の積乱雲の情報の信頼度を演算することができ、この現在の積乱雲の情報の信頼度を将来の積乱雲の予測情報の信頼度と見做すので、その信頼度に応じた将来の積乱雲の予測を行うことができる。
【0182】
また、積乱雲の予測情報信頼度演算方法は、積乱雲の情報及び予め定めた条件を用いて積乱雲の予測情報を演算するステップをさらに有する。したがって、本実施形態の積乱雲の予測情報信頼度演算方法によれば、使用者は将来の積乱雲の予測情報とその予測情報の信頼度を同時に把握することができる。
【0183】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0184】
1…積乱雲予測システム、
2…積乱雲検出装置、
3…予測情報信頼度演算装置、3a…検出情報取得部、3b…記憶部、3c…信頼度演算部、3d…予測情報演算部、
4…予測情報変更装置、4a…予測情報取得部、4b…予測情報信頼度取得部、4c…予測内容変更部、4d…表示形態変更部、
5…出力装置