(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024069094
(43)【公開日】2024-05-21
(54)【発明の名称】廃プラスチック成形物の製造装置及び廃プラスチック成形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/92 20190101AFI20240514BHJP
B29C 48/395 20190101ALI20240514BHJP
B29C 48/345 20190101ALI20240514BHJP
B29B 7/46 20060101ALI20240514BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20240514BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20240514BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/395
B29C48/345
B29B7/46
B29B9/06
B09B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022179890
(22)【出願日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小水流 広行
(72)【発明者】
【氏名】関屋 政洋
【テーマコード(参考)】
4D004
4F201
4F207
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004CA03
4D004CB16
4D004CB31
4D004DA06
4F201AA50
4F201AJ08
4F201AP05
4F201AR12
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
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4F201BC25
4F201BD05
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4F201BK13
4F201BK26
4F201BK74
4F201BL09
4F201BL25
4F201BL30
4F201BL33
4F201BL37
4F207AA50
4F207AG14
4F207AJ08
4F207AP05
4F207AR12
4F207KA01
4F207KA17
4F207KL64
4F207KM04
4F207KM14
(57)【要約】
【課題】容器の内部における成形側壁付近の温度を正確に把握することを可能とする。
【解決手段】廃プラスチック成形物の製造装置100は、容器10と、移送部20と、押出成形部30と、成形側壁16における容器内部側の面16Bの温度を測定するための測温部80を備える。測温部80は、温度計81と測温対象壁83とを有する。測温対象壁83の容器内部側の面83Bは、成形側壁16の容器内部側の面16Bの一部を構成すると共に、温度計81が測温対象壁83の温度を測定するように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に廃プラスチック原料が投入される容器と、
前記容器の内部に投入された廃プラスチック原料を前記容器の一部を構成する壁である成形側壁へ向けて移送する移送部と、
前記成形側壁を介して前記容器の内部と外部とを連通し、廃プラスチック成形物を成形する押出成形部と、
前記成形側壁における容器内部側の面の温度を測定するための測温部であって、温度計と測温対象壁とを有し、前記測温対象壁の容器内部側の面が前記成形側壁の容器内部側の面の一部を構成すると共に、前記温度計が前記測温対象壁の温度を測定するように配置されている前記測温部と、
を備える廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項2】
前記成形側壁は、壁本体を有し、
前記温度計の測温接点と前記測温対象壁の容器内部側の面との間の距離は、前記壁本体の厚みの1/3以下である、
請求項1に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項3】
前記温度計の測温接点と前記測温対象壁の容器内部側の面との間の距離は、40mm以下である、
請求項1又は請求項2に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項4】
前記測温部は、容器外部側に開口する外側開口孔を有し、
前記温度計の配線は、前記外側開口孔の容器外部側の開口から引き出されている、
請求項1又は請求項2に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項5】
前記成形側壁は、壁本体と、前記壁本体に取り付けられた追加部材と、を備え、
前記追加部材は、前記測温対象壁を有する、
請求項1又は請求項2に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項6】
前記成形側壁は、壁本体と、前記壁本体に取り付けられた追加部材と、を備え、
前記壁本体には、前記容器の内部と外部とを繋ぐ貫通孔である測温用孔が形成され、
前記追加部材は、前記測温用孔を閉塞すると共に前記測温対象壁として機能する底壁と、前記測温用孔に挿入される周壁と、を有し、
前記周壁の内側に前記外側開口孔が形成される、
請求項4に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項7】
前記追加部材は、前記測温用孔に対して容器内部側から取り付けられており、
前記追加部材は、当該追加部材が容器外部側に抜けることを抑制する突出部を有する、
請求項6に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項8】
前記測温対象壁の容器内部側の面は、前記壁本体の容器内部側の面と同一平面上に位置する、
請求項5に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項9】
前記壁本体には、前記容器の内部と外部とを繋ぐ貫通孔であるノズル配置用孔が形成され、
前記押出成形部は、筒状に形成された成形ノズルを有し、
前記成形ノズルが前記ノズル配置用孔に配置され、
前記測温用孔と前記ノズル配置用孔とは、同一の構造を有する、
請求項6又は請求項7に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項10】
前記移送部は、一対のシャフトを有し、
前記一対のシャフトの延長線上を取り囲む2つの円環領域を合体させた領域が、前記成形ノズルが配置される領域であるノズル配置領域となっており、
前記ノズル配置領域のうち、前記2つの円環領域が重なる領域と重ならない領域との両方の領域に対応する温度を測定するように前記測温部が配置されている、
請求項9に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項11】
廃プラスチック成形物の製造方法であって、
請求項1又は請求項2に記載の廃プラスチック成形物の製造装置を用いて行う、
廃プラスチック成形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃プラスチック成形物の製造装置及び廃プラスチック成形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭ごみ等に含まれる廃プラスチックをリサイクルするために、コークス炉を使用して廃プラスチックを化学原料化する技術がある。コークス炉内に廃プラスチックを投入するためには、当該廃プラスチックを所定形状の成形物に成形する必要がある。特許文献1には、廃プラスチック成形物の製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の廃プラスチック成形物の製造装置が備える押出成形部は、容器の一部を構成する壁(成形側壁)を介して容器の内部と外部とを連通している。
【0005】
発明者らは、容器の内部における成形側壁付近の原料の温度によっては、原料の未融解により押出成形部に原料が詰まったり、原料の過剰融解により原料が溶融したままで押出成形部から出てきたりする問題があることに着目し、容器の内部における成形側壁付近の温度を正確に把握することが重要であると考えた。
【0006】
本開示の一つの目的は、容器の内部における成形側壁付近の温度を正確に把握することを可能とする、廃プラスチック成形物の製造装置を提供することである。
また、本開示の他の目的は、製造時において上記のような問題が発生することを抑制できる、廃プラスチック成型物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は、以下のとおりである。
【0008】
<1>
内部に廃プラスチック原料が投入される容器と、
前記容器の内部に投入された廃プラスチック原料を前記容器の一部を構成する壁である成形側壁へ向けて移送する移送部と、
前記成形側壁を介して前記容器の内部と外部とを連通し、廃プラスチック成形物を成形する押出成形部と、
前記成形側壁における容器内部側の面の温度を測定するための測温部であって、温度計と測温対象壁とを有し、前記測温対象壁の容器内部側の面が前記成形側壁の容器内部側の面の一部を構成すると共に、前記温度計が前記測温対象壁の温度を測定するように配置されている前記測温部と、
を備える廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様の廃プラスチック成形物の製造装置(以下、単に製造装置ということがある。)は、容器と、移送部と、押出成形部と、を備える。容器の内部には、廃プラスチック原料が投入される。移送部は、容器の内部に投入された廃プラスチック原料を容器の一部を構成する壁である成形側壁へ向けて移送する。押出成形部は、成形側壁を介して容器の内部と外部とを連通し、廃プラスチック成形物を成形する。
ここで、製造装置は、成形側壁における容器内部側の面の温度を測定するための測温部を備える。具体的には、測温部は、温度計と測温対象壁とを有する。そして、測温対象壁の容器内部側の面は、成形側壁の容器内部側の面の一部を構成すると共に、温度計が測温対象壁の温度を測定するように配置されている。
このため、容器の内部における成形側壁付近の温度を正確に把握することが可能となる。
【0009】
<2>
前記成形側壁は、壁本体を有し、
前記温度計の測温接点と前記測温対象壁の容器内部側の面との間の距離は、前記壁本体の厚みの1/3以下(より好ましくは1/5以下、更に好ましくは1/10以下)である、
<1>に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、温度計の測温接点と測温対象壁の容器内部側の面との間の距離が小さいので、容器の内部における成形側壁付近の温度をより正確に把握することが可能となる。
なお、測温対象壁における容器内部側の面とは反対の面に温度計の測温接点が接触している場合は、温度計の測温接点と測温対象壁の容器内部側の面との間の距離は、測温対象壁の厚みと一致する。
また、正確な温度を把握する観点からは、温度計の測温接点と測温対象壁の容器内部側の面との間の距離が小さいほど好ましいが、耐久性の観点からはある程度の距離(例えば測温対象壁の厚み)が必要である。但し、熱は放射状に伝わるので、この点を考慮して距離(例えば測温対象壁の厚み)の設定することが好ましい。
【0010】
<3>
前記温度計の測温接点と前記測温対象壁の容器内部側の面との間の距離は、40mm以下である、
請求項1又は請求項2に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、温度計の測温接点と測温対象壁の容器内部側の面との間の距離が小さいので、容器の内部における成形側壁付近の温度をより正確に把握することが可能となる。
なお、温度計の測温接点と測温対象壁の容器内部側の面との間の距離は、正確な温度を把握する観点から30mm以下がより好ましく、15mm以下が更に好ましい。
また、温度計の測温接点と測温対象壁の容器内部側の面との間の距離は、耐久性の観点から5mm以上がより好ましく、8mm以上が更に好ましい。
【0011】
<4>
前記測温部は、容器外部側に開口する外側開口孔を有し、
前記温度計の配線は、前記外側開口孔の容器外部側の開口から引き出されている、
<1>~<3>の何れかに記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、温度計の配置が容易である。
【0012】
<5>
前記成形側壁は、壁本体と、前記壁本体に取り付けられた追加部材と、を備え、
前記追加部材は、前記測温対象壁を有する、
<1>~<4>の何れかに記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、測温対象壁の温度が壁本体の温度の影響を受けにくくなり、容器の内部の温度をより正確に把握できる。
【0013】
<6>
前記成形側壁は、壁本体と、前記壁本体に取り付けられた追加部材と、を備え、
前記壁本体には、前記容器の内部と外部とを繋ぐ貫通孔である測温用孔が形成され、
前記追加部材は、前記測温用孔を閉塞すると共に前記測温対象壁として機能する底壁と、前記測温用孔に挿入される周壁と、を有し、
前記周壁の内側に前記外側開口孔が形成される、
<4>に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、追加部材を測温用孔に配置することで、外側開口孔を有する測温部を簡単に形成することができる。
【0014】
<7>
前記追加部材は、前記測温用孔に対して容器内部側から取り付けられており、
前記追加部材は、当該追加部材が容器外部側に抜けることを抑制する突出部を有する、
<6>に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、追加部材を壁本体に適切に保持させることができる。
【0015】
<8>
前記測温対象壁の容器内部側の面は、前記壁本体の容器内部側の面と同一平面上に位置する、
<5>~<7>の何れかに記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、より正確な温度を把握することができる。
なお、ここでいう「同一平面上に位置する」とは、厳密な意味ではなく、測温対象壁が壁本体の容器内部側の面に対して突出している場合又は窪んでいる場合において、その突出量又は窪み量が2mm以下である構造も含まれる。
【0016】
<9>
前記壁本体には、前記容器の内部と外部とを繋ぐ貫通孔であるノズル配置用孔が形成され、
前記押出成形部は、筒状に形成された成形ノズルを有し、
前記成形ノズルが前記ノズル配置用孔に配置され、
前記測温用孔と前記ノズル配置用孔とは、同一の構造を有する、
<6>又は<7>に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
(作用効果)
この態様によれば、成形ノズルを配置するための貫通孔を利用して追加部材を取り付けることができる。
【0017】
<10>
前記移送部は、一対のシャフトを有し、
前記一対のシャフトの延長線上を取り囲む2つの円環領域を合体させた領域が、前記成形ノズルが配置される領域であるノズル配置領域となっており、
前記ノズル配置領域のうち、前記2つの円環領域が重なる領域と重ならない領域との両方の領域に対応する温度を測定するように前記測温部が配置されている、
<9>に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【0018】
<11>
廃プラスチック成形物の製造方法であって、
<1>~<9>の何れかに記載の廃プラスチック成形物の製造装置を用いて行う、
廃プラスチック成形物の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る廃プラスチック成形物の製造装置の全体構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る測温部及び押出成形部の構成を説明するための拡大断面図である。
【
図3】実施形態に係る測温部及び押出成形部を示す容器外側から見た図である。
【
図4】変形例に係る測温部の構成を説明するための拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<廃プラスチック成形物の製造装置>
まず、本発明の実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100(以下、単に製造装置100という。)について説明する。
【0022】
図1は、製造装置100の全体構成を示す模式図である。
【0023】
製造装置100は、廃プラスチック原料M(以下、単に原料Mという。)に対して、破砕、混練及び加熱等の処理を行った後、押出成形することで、所定の形状を有する廃プラスチック成形物P(以下、単に成形物Pという。)を成形するための装置である。成形物Pは、例えば、石炭とともにコークス炉内へ挿入され、化学原料としてリサイクルされる。
【0024】
原料Mには、使用済みプラスチック容器をはじめとするプラスチックごみが含まれる。具体的には、原料Mには、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料を主成分とするプラスチックごみが含まれる。
【0025】
原料Mは、成形物Pの製造装置100に投入される前の段階で、ある程度破砕された状態であってもよい。また、原料Mは、成形物Pの製造装置100に投入される前の段階で、ある程度、混練され、加熱された状態であってもよい。この場合、容器10内での原料Mに対する混練、加熱を省略又は簡易的に行うようにしてもよい。
【0026】
製造装置100は、容器10と、移送部20と、押出成形部30と、切断部70と、を有する。
まず、ホッパ13を介して容器10内に原料Mが投入される。投入された原料Mは、混練、加熱されながら移送部20によって容器10の一端部11から他端部15へ移送される。そして、押出成形部30を介して原料Mが所定の形状に押出成形されるとともに、押出成形部30での冷却によって原料Mの表面が十分に固化される。その後、切断部70によって原料Mが切断される結果、最終的に成形物Pが形成される。
【0027】
(容器)
容器10は、原料Mを収容することが可能な筐体部分である。容器10は、
図1におけるY方向の一端部11側に、Z方向に向かって開口されたホッパ13を有する。ホッパ13を介して、容器10内に原料Mが投入される。原料Mは、容器10の内部において、混練されるとともに、加熱される。このとき、原料Mは、一例として容器10内で140℃程度以上に加熱されてもよい。
【0028】
容器10内での加熱温度が140℃程度未満であると、原料Mの溶融が十分でなく、成形物Pの成形過程において表面側の固化が十分に行われない。つまり、容器10内の温度を140℃程度以上とすることで、成形物Pの成形過程における固化が十分に行われるようにすることができる。
【0029】
容器10内で原料Mが140℃程度以上に加熱されるとは、容器10内の全ての領域において、140℃以上に加熱されていることを意味するものではなく、容器10内の押出成形部30の近傍の原料Mが、140℃以上に加熱されていれば足りる。
【0030】
容器10内には移送部20の一部が設けられ、移送部20によって、容器10のY方向の他端部15へ向かって原料Mが移送される。容器10の他端部15には、面板17が設けられている。面板17は、容器10の他端部15に設けられた板状部材であり、面板17には、押出成形部30が設けられている。面板17の板厚、形状等は、押出成形における押圧力等を考慮して、適宜設定され得る。面板17は、容器10の他端部15に位置する成形側壁16を構成する。
【0031】
また、容器10には、容器冷却部40が設けられている。具体的には、
図1に示すように、容器10の構成する外周壁19の内部に流路41が形成されている。流路41内を冷媒Cが流通することで、容器10内の原料Mが抜熱されて、冷却される。
【0032】
(移送部)
移送部20は、容器10内の原料Mを容器10の他端部15へ向かって移送する。具体的には、移送部20は、いわゆる2軸押出し機構を有する。移送部20は、軸方向がY方向に沿って設けられた一対のシャフト21と、シャフト21の軸方向端部と連結された減速機構23と、減速機構23を介してシャフト21に回転力を付与する駆動源25と、を有する。なお、一対のシャフト21は、X方向に並んで配置されているので、
図1では一方のシャフト21のみが示されている。一対のシャフト21の回転方向は、同じ方向であってもよいし、逆方向であってもよく、容器10内の原料Mの混練、加熱状態等に応じて適宜設定される。
【0033】
一対のシャフト21の外周面には、らせん状に設けられた刃状部分を有するスクリュー部27が設けられている。かかるスクリュー部27によって、シャフト21の回転に伴い、原料Mが容器10の一端部11側から他端部15側へ移送される。また、一対のシャフト21に設けられたスクリュー部27同士の回転によって、原料Mが混練されるとともに、摩擦によって加熱される。
【0034】
さらに、一対のシャフト21には、図示しないニーディングディスク部が設けられてもよい。ニーディングディスク部は、シャフト21の軸方向中間に設けられている。一対のシャフト21に設けられたニーディングディスク部同士の回転によって、原料Mがより混練されるとともに、摩擦によって加熱される。
【0035】
(押出成形部)
押出成形部30は、成形側壁16を介して容器10の内部と外部とを連通する部分であり、成形物Pを成形する部分である。
【0036】
具体的には、押出成形部30は、複数の成形ノズル31を備える。成形ノズル31は、筒状(具体的には円筒状)である。面板17には当該面板17を貫通する貫通孔(ノズル配置用孔17D、
図2参照)が複数形成されており、これら複数のノズル配置用孔17Dに複数の成形ノズル31が挿入された状態で配置されている。
【0037】
より具体的には、成形ノズル31は、基端側の部分が面板17の貫通孔の内部に配置されており、先端側の部分が面板17の外部側の面17Aから突出している。成形ノズル31の先端側の部分が面板17の外部側の面17Aから突出していることにより、原料Mが押出成形部30の内周面31Bと接触する時間が長くなる。これにより、原料Mの溶融表面が充分に固化される。
【0038】
図3は、面板17に対向する方向(+Y方向)から押出成形部30を見た図である。
図3に示すように、押出成形部30を構成する複数の成形ノズル31は、シャフト21の延長線上を取り囲む領域R(以下、ノズル配置領域Rという。)に配置されている。具体的には、シャフト21は一対設けられているため、一方のシャフト21の延長線上を取り囲む円環領域rと、他方のシャフト21の延長線上を取り囲む円環領域rと、が存在する。そして、2つの円環領域rは、一部が重なる状態となっている。これにより、ノズル配置領域Rは、2つの円環領域rを合体させた領域となり、8の字状となっている。
【0039】
なお、
図3では、円環領域rに成形ノズル31が1重の円環状に配置されている。しかし、成形ノズル31は、2重や3重の円環状に配置されてもよい。
また、
図3の例では、面板17に形成された全て(18個)の貫通孔のうち、一部(16個)の貫通孔に成形ノズル31が配置されており、残り2個の貫通孔には、後述する測温装置80A(
図2参照)が配置されている。
【0040】
(切断部)
切断部70は、押出成形部30において押し出し成形された原料Mを切断する。
押出成形部30において押し出された原料Mの外周面は固化しており、原料Mの外形が維持された状態となるので、切断が容易となる。切断部70により切断することで、原料Mが自重により折れる場合と比較して、切断箇所を制御できる。
【0041】
切断部70は、一例として、回転刃71と、駆動源73と、切断部シャフト75と有する。回転刃71は、放射状に延びたアームの先端に刃がついた部位である。回転刃71のアームの放射方向の中心には、切断部シャフト75の一端が設けられる。切断部シャフト75の他端には、駆動源73が取り付けられる。駆動源73は、切断部シャフト75を介して、回転刃71に対して回転力を付与する。回転刃71の当接によって、押出成形部30から押し出された原料Mが切断され、成形物Pとされる。
【0042】
(容器冷却部)
また、製造装置100は、容器冷却部40を有する。
容器冷却部40は、容器10に設けられた流路41内に冷媒Cを流通することにより、容器10内の原料Mを抜熱する。この結果、容器10内の原料Mが冷却される。
【0043】
具体的には、
図1に示すように、容器10の外周壁19内に流路41が形成されている。かかる流路41は、一例として、断面円形状の管状とされている。また、流路41は、容器10において、らせん状に形成されている。すなわち、原料Mが移送される方向(Y方向)に沿って所定の間隔のピッチを有しながら、容器10の外周壁19の面内方向に沿って周回状に形成されている。
【0044】
流路41の一端部41A及び他端部41Bを介して、冷媒Cが流路41内に導入され、又は排出される。
【0045】
図1に示すように、容器冷却部40は、循環機構43を有してもよい。循環機構43は、冷媒Cを循環させて、容器10内の流路41に冷媒Cを繰り返し導入、排出させる。具体的には、循環機構43は、
図1に示すように、チラー43Aと、ポンプ43Bとを有する。チラー43Aは、流路41から排出された冷媒Cが所定の温度となるように冷却する。具体的には、チラー43Aは、冷媒Cが5℃以上80℃程度以下となるように冷却する。チラー43Aにおける冷却技術には、公知の循環用冷媒に対する冷却手法が適宜採用され得る。ポンプ43Bは、冷媒Cを所定の圧力で循環させる。ポンプ43Bには、冷媒Cの種類、求められる圧力に応じて、公知の圧送手法が適宜採用され得る。
【0046】
(加熱部)
また、製造装置100は、面板17の温度を調節可能な加熱部50を有する。
加熱部50は、一例として、面板17内に設けられた抵抗加熱式のヒータ51である。ヒータ51は、加熱用電源53と接続され、面板17内部での発熱によって、面板17及び、その近傍を加熱する。容器10の他端部15の面板17に設けられた加熱部50による加熱によって、原料Mの温度低下が抑制される。つまり、押出成形部30内における原料Mの溶融状態が維持される。
【0047】
(ノズル冷却部)
また、製造装置100は、ノズル冷却部60を有する。
ノズル冷却部60は、成形ノズル31の外周面31Aへ向けて冷却液W(冷却水)を噴出することで、成形ノズル31を冷却する。成形ノズル31が冷却されることにより、原料Mの溶融表面の固化を促進される。これにより、成形後の成形物Pの膨張が抑制され、成形物Pの高密度化が実現される。また、成形物Pが所定の剛性を有することにより、後述する切断部70による切断が容易になる。
【0048】
ノズル冷却部60による冷却では、一例として、成形ノズル31を約100℃以下に冷却する。ノズル冷却部60による冷却によっても成形ノズル31の温度が約100℃より高い温度であると、溶融した原料Mの表面が、十分に固化されない。この結果、成形物Pの高密度化が実現されない。
【0049】
図1に示すように、ノズル冷却部60は、冷却液Wが噴出する噴出口61と、噴出口61へ冷却液Wを供給するポンプ63と、を有する。
【0050】
図3に示すように、ノズル冷却部60は、複数の噴出口61A,61Bを有する。
各噴出口の噴射角度は、複数の成形ノズル31を適切に冷却できるように適宜設定される。噴射角度は、例えば約90度である。噴射角度とは、噴出口から噴射される冷却液Wの広がり角度を意味する。
【0051】
ノズル冷却部60は、複数の下方噴出口61Aと、複数の側方噴出口61Bと、を有する。下方噴出口61Aは、噴出方向を下方向に向けた噴出口であり、側方噴出口61Bは、噴出方向を側方(水平方向、±X方向)に向けた噴出口である。側方噴出口61Bには、噴出方向を+X方向に向けた側方噴出口61Bと、噴出方向を-X方向に向けた側方噴出口61Bと、がある。下方噴出口61Aの数と側方噴出口61Bの数とは同数であり、
図2に示す例では4つずつである。下方噴出口61Aは、ノズル配置領域Rの上側に位置し、側方噴出口61Bは、ノズル配置領域Rの側方に位置する。
【0052】
(温度センサ)
また、製造装置100は、成形ノズル31の温度を測定するための温度センサ31Cを有する。温度センサ31Cは、押出成形部30の肉厚の径方向の中間部分の温度を測定可能な位置に設けられてもよい。温度センサ31Cは、例えば熱電対である。
また、製造装置100は、面板17の温度を検出可能な温度センサ17Cを有する。
温度センサ17Cは、一例として、面板17内に挿入された状態で使用される熱電対である。温度センサ17Cは、面板17内に設けられたヒータ51の加熱温度を検出可能な範囲内に設けられる。
【0053】
(測温部)
図2、
図3に示すように、製造装置100は、成形側壁16における容器内部側の面16Bの温度を測定するための測温部80を有する。本実施形態の測温部80は、面板17とは別体である測温装置80Aとして実現されている。
【0054】
測温装置80Aは、面板17に形成されたノズル配置用孔17Dに配置される。
図2に示す例では、合計18個の貫通孔のうち2個のノズル配置用孔17Dのそれぞれに測温装置80Aが配置されている。すなわち、本実施形態では、成形ノズル31を配置するために形成されたノズル配置用孔17Dは、測温装置80Aを配置するための測温用孔17Dでもある。
【0055】
測温装置80Aは、温度計81と、追加部材82と、を有する。
【0056】
温度計81は、例えば熱電対である。
【0057】
追加部材82は、「測温対象壁」としての底壁83と、周壁84と、を有する。本実施形態では、底壁83は円板形状であり、周壁84は円筒形状である。但し、底壁及び周壁の形状はこれに限定されず、例えば、周壁は角筒形状であってもよい。
【0058】
追加部材82を構成する材料は、耐久性及び熱伝導性を有する材料であり、例えば鉄や銅である。耐久性の観点では鉄が好ましく、熱伝導性の観点では銅が好ましい。
底壁83及び周壁84は、
図2に示すように、一体的に形成されることが製造上好ましい。但し、底壁83と周壁84とが別体として形成された上で、周壁84に対し底壁83を取付可能に構成してもよい。
【0059】
底壁83の容器内部側の面83Bは、成形側壁16の容器内部側の面16Bの一部を構成する。
具体的には、追加部材82は、面板17に形成されたノズル配置用孔17Dに容器内部側から挿入されている。これにより、底壁83の容器内部側の面83Bは、容器10の内部に露出しており、容器10の内部の原料Mに接触しうる。また、周壁84は、ノズル配置用孔17Dの内部に配置される。
また、底壁83の容器内部側の面83Bは、面板17の容器内部側の面17Bと同一平面上に位置するように配置される。このように配置することで、摩擦熱の影響を低減でき、容器10の内部の原料Mの温度をより正確に把握することができる。
【0060】
温度計81は、測温対象壁としての底壁83の温度を測定するように配置されている。
本実施形態では、温度計81としての熱電対の測温接点81Aが、底壁83の容器内部側の面83Bとは反対の面83Aに接触している。具体的には、測温装置80Aは、温度計81の配線81Bを保持するための保持部材85を有する。保持部材85は、温度計81の配線81Bを保持すると共に、追加部材82の周壁84に取付可能に構成される。追加部材82の周壁84の内面に雌ネジが形成される共に、保持部材85の外面に雄ネジが形成されて、両者が螺合するように構成してもよい。また、測温装置80Aは、温度計81の測温接点81Aを底壁83に押し付ける弾性部材(図示省略)を有してもよい。
【0061】
底壁83の厚みD2は、特に限定されないが、例えば40mm以下である。
【0062】
追加部材82は、追加部材82が容器外部側に抜けることを抑制する突出部87を有する。突出部87は、追加部材82の基端部分から径方向外側に突出するように周状に形成される。突出部87は、面板17のノズル配置用孔17D内に配置される。したがって、面板17のノズル配置用孔17Dは、突出部87を有する追加部材82に対応した形状になっている。なお、成形ノズル31も、追加部材82の突出部87に相当する突出部31Eを有している(
図2参照)。
【0063】
図3に示すように、測温装置80Aは2つ設けられる。2つの測温装置80Aのうち一つは、ノズル配置領域Rのうち2つの円環領域rが重なる領域に配置され、もう一つは、ノズル配置領域Rのうち2つの円環領域rが重ならない領域に配置されている。これにより、ノズル配置領域Rのうち、2つの円環領域rが重なる領域と重ならない領域との両方の領域に対応する温度を測定するように、測温装置80Aが配置されている。このため、容器10の内部の温度をより正確に把握できる。なぜなら、2つの円環領域rが重なる領域に対応する容器10の内部では、一対のシャフト21の両方の影響を受けて温度が高くなりやすい。そのため、2つの円環領域rが重なる領域と重ならない領域の両方に測温部80(測温装置80A)を配置することで、容器10の内部の状況をより正確に把握することができる。
【0064】
(制御部)
製造装置100は、制御部90を有する。制御部90は、製造装置100における成形物Pの成形工程を制御する。
【0065】
具体的には、制御部90は、温度センサ17Cからの出力に基づいて、加熱部50による面板17周辺の加熱を制御する。制御部90は、温度センサ31Cからの出力に基づいて、ノズル冷却部60による押出成形部30の冷却を制御する。すなわち、本実施形態では、加熱制御用の温度センサが、温度センサ17Cであると共に、冷却制御用の温度センサが、温度センサ31Cである。さらに、制御部90は、切断部70の駆動源73、移送部20の駆動源25の回転数等を制御する。
【0066】
また、制御部90は、容器冷却部40による冷却において、温度センサ17C及び/又は温度センサ31Cからの出力に基づいて、流路41に導入される冷媒Cの流量及び温度の少なくとも一方を制御する。具体的には、制御部90は、温度センサ31Cが検出する温度が所定の温度以下(例えば、100℃以下)になるように、チラー43A及び/又はポンプ43Bの動作を制御する。
【0067】
制御部90としての機能は、一例として、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及びストレージ等の協働によって実現される。すなわち、CPUは、ストレージに記憶された製造装置100の制御プログラムをメモリ上で実行することで、制御部90として機能する。
【0068】
<廃プラスチック成形物の製造方法>
次に、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造方法について説明する。
【0069】
まず、廃プラスチック原料Mが容器10へ投入される。続いて、容器10内で廃プラスチック原料Mが混練され、加熱される。
【0070】
さらに、容器10の端部に設けられて容器10内と外部とを連通する押出成形部30へ向かって、150℃以上に加熱された廃プラスチック原料Mが移送される。廃プラスチック原料Mが容器10の端部へ移送され、廃プラスチック原料Mは、押出成形部30内を押し出される。このとき、少なくとも廃プラスチック原料Mが押出成形部30内を押出される間、押出成形部30は100℃以下に冷却される。最終的に、廃プラスチック原料Mは押出成形部30から押出され、切断部70により切断されて、廃プラスチック成形物Pが成形される。
【0071】
<作用効果>
次に、本実施形態における作用効果について説明する。
【0072】
図1に示すように、本実施形態に係る製造装置100は、容器10と、移送部20と、押出成形部30と、を備える。容器10の内部には、廃プラスチック原料Mが投入される。移送部20は、容器10の内部に投入された廃プラスチック原料Mを容器10の一部を構成する壁である成形側壁16へ向けて移送する。押出成形部30は、成形側壁16を介して容器10の内部と外部とを連通し、廃プラスチック成形物Pを成形する。
ここで、
図2に示すように、製造装置100は、成形側壁16における容器内部側の面16Bの温度を測定するための測温部80を備える。具体的には、測温部80は、温度計81と測温対象壁83とを有する。そして、測温対象壁83の容器内部側の面83Bは、成形側壁16の容器内部側の面16Bの一部を構成すると共に、温度計81が測温対象壁83の温度を測定するように配置されている。
このため、容器10の内部における成形側壁16付近の温度を正確に把握することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、成形側壁16は、壁本体17を有する。そして、
図2に示すように、温度計81の測温接点81Aと測温対象壁83の容器内部側の面83Bとの間の距離D2は、壁本体の厚みD1の1/3以下(より好ましくは1/5以下、更に好ましくは1/10以下)である。
このため、温度計81の測温接点81Aと測温対象壁83の容器内部側の面83Bとの間の距離D2が小さいので、容器10の内部における成形側壁16付近の温度をより正確に把握することが可能となる。
なお、本実施形態では、測温対象壁83における容器内部側の面83Bとは反対の面83Aに温度計81の測温接点81Aが接触しているので、温度計81の測温接点81Aと測温対象壁83の容器内部側の面83Bとの間の距離D2は、測温対象壁83の厚みD2と一致する。
【0074】
また、本実施形態では、温度計81の測温接点81Aと測温対象壁83の容器内部側の面83Bとの間の距離は、40mm以下である。
このため、容器10の内部における成形側壁16付近の温度をより正確に把握することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、測温部80は、容器外部側に開口する外側開口孔89を有する。そして、温度計81の配線は、外側開口孔89の容器外部側の開口から引き出されている。なお、外側開口孔89の容器外部側の開口は、本実施形態のように、保持部材85等により閉塞されてもよいし(
図2参照)、閉塞されなくてもよい。
このため、温度計81の配置が容易である。
【0076】
また、本実施形態では、成形側壁16は、壁本体17と、壁本体17に取り付けられた追加部材82と、を備える。そして、追加部材82は、測温対象壁83を有する。
このため、測温対象壁83の温度が壁本体17の温度の影響を受けにくくなり、容器10の内部における成形側壁16付近の温度をより正確に把握することができる。特に、本実施形態では、壁本体17を加熱する加熱部50が設けられるので、壁本体17の温度の影響を小さくすることが重要である。
【0077】
また、本実施形態では、壁本体17には、容器10の内部と外部とを繋ぐ貫通孔である測温用孔17Dが形成される。そして、追加部材82は、測温用孔17Dを閉塞すると共に測温対象壁83として機能する底壁83と、測温用孔17Dに挿入される周壁84と、を有する。周壁84の内側には、外側開口孔89が形成される。
このため、追加部材82を測温用孔17Dに配置することで、外側開口孔89を有する測温部80を簡単に形成することができる。
なお、上記実施形態では、底壁83と周壁84とは一体的に形成される例を説明したが、本開示の底壁及び周壁はこれに限定されない。底壁が周壁とは別体として形成されていてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、追加部材82は、測温用孔17Dに対して容器内部側から取り付けられている。そして、追加部材82は、当該追加部材82が容器外部側に抜けることを抑制する突出部87を有する。
このため、追加部材82を壁本体17に適切に保持させることができる。
【0079】
ところで、測温対象壁83が壁本体17の容器内部側の面17Bに対して突出していたり、窪んでいたりする場合は、原料Mとの摩擦熱により不正確な温度が測定されるおそれがある。
そこで、本実施形態では、測温対象壁83の容器内部側の面83Bは、壁本体17の容器内部側の面17Bと同一平面上に位置する。
このため、上記問題が解決され、より正確な温度を把握することができる。
【0080】
また、本実施形態では、壁本体17に、容器10の内部と外部とを繋ぐ貫通孔であるノズル配置用孔17Dが形成される。そして、押出成形部30は、筒状に形成された成形ノズル31を有し、成形ノズル31はノズル配置用孔17Dに配置される。
ここで、測温用孔17Dとノズル配置用孔17Dとは、同一の構造を有する。
このため、成形ノズル31を配置するための貫通孔を利用して追加部材82を取り付けることができる。
【0081】
<補足説明>
以上、好適な実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されない。以下で念のため補足する。
【0082】
上記実施形態では、測温部80が、面板17とは別体である測温装置80Aとして実現されている例を説明したが、本開示の測温部はこれに限定されない。
【0083】
図4に、変形例に係る測温部180を示す。
変形例では、面板17(壁本体)に、容器外部側に開口する外側開口孔89が形成されている。外側開口孔89は、容器内部側には開口していない。面板17における、外側開口孔89の底に対応する部分が、測温対象壁83として機能する。つまり、変形例では、面板17の一部が、測温部180の構成要素の1つである測温対象壁83となり、測温部180が追加部材を備えない。
【0084】
また、上記実施形態及び比較例では、温度計81の測温接点81Aが、測温対象壁(底壁83)の容器内部側の面83Bとは反対の面83Aに接触している例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、測温対象壁の内部に、温度計の測温接点が配置されてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、測温装置80Aを配置するための測温用孔17Dが、成形ノズル31を配置するための貫通孔(ノズル配置用孔17D)である例を説明したが、本開示の測温用孔はこれに限定されない。本開示の測温用孔は、測温装置を配置するための専用の貫通孔であってもよい。
また、上記実施形態では、測温部80(測温装置80A)が、ノズル配置領域に位置する例を説明したが、本開示の測温部はこれに限定されない。本開示の測温部は、ノズル配置領域の外に位置してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、測温対象壁83の容器内部側の面83Bが、壁本体17の容器内部側の面17Bと同一平面上に位置する例を説明したが、本開示の測温対象壁はこれに限定されない。本開示の測温対象壁は、当該測温対象壁が壁本体の容器内部側の面に対して突出している場合又は窪んでいる場合において、その突出量又は窪み量が2mmを超えていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 容器
16 成形側壁
16B 成形側壁の容器内部側の面
17 面板(壁本体)
17A 壁本体の容器外部側の面
17B 壁本体の容器内部側の面
17D ノズル配置用孔(測温用孔)
20 移送部
21 シャフト
30 押出成形部
31 成形ノズル
31A 外周面
60 ノズル冷却部
70 切断部
80 測温部
80A 測温装置
81 温度計
81A 測温接点
81B 配線
82 追加部材
83 底壁(測温対象壁)
83A 測温対象壁の容器内部側の面とは反対の面
83B 測温対象壁の容器内部側の面
84 周壁
87 突出部
89 外側開口孔
100 製造装置
180 測温部
D1 壁本体の厚み
D2 温度計の測温接点と測温対象壁の容器内部側の面との間の距離
M 廃プラスチック原料
P 廃プラスチック成形物
R ノズル配置領域
r 円環領域