(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024071776
(43)【公開日】2024-05-24
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20240517BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20240517BHJP
F16L 41/08 20060101ALI20240517BHJP
F16L 47/26 20060101ALI20240517BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F16L41/02
E03C1/12 E
F16L41/08
F16L47/26
F16L55/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061021
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2020031844の分割
【原出願日】2020-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2019169593
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 総
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
(57)【要約】
【課題】本発明は、逆流防止部を備えた管継手の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の管継手は、筒状に形成された継手本体10と、端部が前記継手本体10の側面に接続され、前記端部に形成された開口が前記継手本体内に連通する横管接続部14と、前記横管接続部14に嵌合され、前記横管が接続されるブッシュ25と、前記継手本体10の内周面から前記継手本体10の内部側に突出し、前記ブッシュ25に形成された逆流防止部29とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された継手本体と、
端部が前記継手本体の側面に接続され、前記端部に形成された開口が前記継手本体内に連通する横管接続部と、
前記横管接続部に嵌合され、前記横管が接続されるブッシュと、
前記継手本体の内周面から前記継手本体の内部側に突出し、前記ブッシュに形成された逆流防止部とを有する管継手。
【請求項2】
前記ブッシュの先端側に小径突出部が形成され、前記横管接続部に前記小径突出部を嵌合して前記ブッシュが位置決めされた請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記横管を挿通する挿通孔が前記ブッシュに形成され、前記ブッシュの先端側に位置する前記挿通孔の開口部に、前記横管挿入深さ規制用の係止突部が形成された請求項1または請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
筒状に形成された継手本体と、
端部が前記継手本体の側面に接続され、前記端部に形成された開口が前記継手本体内に連通し、横管を接続可能とする横管接続部と、
前記横管接続部の開口に嵌合され、前記横管接続部を閉じる枝栓部材とを有し、
前記継手本体の内周面から前記継手本体の内部側に突出する逆流防止部が前記枝栓部材に形成された管継手。
【請求項5】
前記逆流防止部が前記継手本体の内周面から前記継手本体の軸心側に突出し前記継手本体の軸線方向に伸びる逆流防止リブである請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の管継手。
【請求項6】
前記横管接続部が前記継手本体の周方向に複数形成された請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項7】
前記継手本体の軸線方向に沿って離間した位置であって前記継手本体の軸線を挟んで互い違いに対向する位置にそれぞれ前記横管接続部が形成され、前記軸線を挟んで対向する一対の横管接続部のうち、下方に設置される横管接続部に前記逆流防止部が設けられた請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の管継手。
【請求項8】
前記継手本体内に前記継手本体内を通過する水の流れを旋回させる旋回羽根が設けられた請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流防止部を設けた管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、以下の特許文献1~3に記載されたような樹脂製の排水集合管が知られている。
特許文献1に記載された排水集合管は、縦管本体に複数の横枝管を接続し、縦管本体の内側に管軸方向に張り出す逆流防止用の縦リブを複数設け、縦管本体の内側に流体旋回用の旋回羽根を設けた構造が採用されている。
特許文献2には、縦管に複数の横排水管を段違いに接続した排水集合管において、上方の横排水管から縦管に排水が流入された場合、下方の横配水管に排水の一部が逆流することを防ぐ逆流防止部を設けた構造が知られている。この逆流防止部は、縦管の管壁に下方の横排水管が接続された排水口の部分において、排水口の上部側に位置するように庇状に設けられている。
特許文献3には、縦管に横枝管を複数接続して構成した集合継手において、縦管の内周壁に複数の縦リブを設け、これらの縦リブにより横枝管への逆流を防止した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-085014号公報
【特許文献2】特開平9-273197号公報
【特許文献3】特開2011-106157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
横枝管を複数接続した樹脂製の排水集合管において、内部に庇や縦リブを一体的に設けた構造を採用すると、排水集合管を成形するための金型の構造が複雑になる問題がある。 例えば、縦リブを一体化した排水集合管を成形する場合、肉厚な縦リブの部分に樹脂収縮に起因するヒケを生じるおそれがあり、ヒケの発生が原因となって排水集合管が変形するおそれがある。このため、排水集合管に形成可能な庇や縦リブの形状には一定の制限を生じる問題がある。
なお、金型による成型時に型を抜く方向と平行な方向に沿ってのみ縦リブを形成することが可能となるが、このため、縦リブの形状に制約を生じる問題がある。
【0005】
また、排水集合管の内部には水流調節のための羽根部材が設けられるが、羽根部材を設ける位置が縦リブと干渉しない位置に制限される問題がある。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑み、逆流防止部を設けた排水集合管を備える管継手であっても、金型構造を複雑にすることなく、逆流防止部にヒケなどの成形欠陥を生じることなく成形が可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の形態を提案する。
「1」本形態に係る管継手は、筒状に形成された継手本体と、端部が前記継手本体の側面に接続され、前記端部に形成された開口が前記継手本体内に連通する横管接続部と、前記横管接続部に嵌合され、前記横管が接続されるブッシュと、前記継手本体の内周面から前記継手本体の内部側に突出し、前記ブッシュに形成された逆流防止部とを有することを特徴とする。
【0008】
ブッシュに逆流防止部を設けたので、継手本体の横管接続部にブッシュを接合することにより継手本体の内周面から継手本体の内部側に突出する逆流防止部を形成できる。この逆流防止部は横管接続部の近傍に配置されるため、継手本体の内部を流れる水が横管側に逆流することを防止する。
逆流防止部を備えたブッシュは継手本体と別体構成が可能であり、継手本体を成形する場合に逆流防止部を含めた構成としての成形性は考慮する必要が無い。このため、逆流防止部を備えた管継手の構成であっても、継手本体の成形性を難しくすることがない。
【0009】
「2」本形態に係る管継手は、前記ブッシュの先端側に小径突出部が形成され、前記横管接続部に前記小径突出部を嵌合して前記ブッシュが位置決めされた構成を採用できる。
【0010】
ブッシュの小径突出部を横管接続部の開口に嵌合することで、横管接続部に対するブッシュの位置決めができ、この位置決めによって、ブッシュに設けた逆流防止部を継手本体内の目的の位置に設置できる。目的の位置に逆流防止部を設けることで目的とする逆流防止効果を得ることができる。
【0011】
「3」本形態に係る管継手において、前記横管を挿通する挿通孔が前記ブッシュに形成され、前記ブッシュの先端側に位置する前記挿通孔の開口部に、前記横管挿入深さ規制用の係止突部が形成された構成を採用できる。
【0012】
継手本体の挿通孔の開口部に係止突部を設けておくと、ブッシュの挿通孔に横管を挿入した場合、係止突部が横管の挿入位置を決めるストッパとなる。
【0013】
「4」本形態に係る管継手は、筒状に形成された継手本体と、端部が前記継手本体の側面に接続され、前記端部に形成された開口が前記継手本体内に連通し、横管を接続可能とする横管接続部と、前記横管接続部の開口に嵌合され、前記横管接続部を閉じる枝栓部材とを有し、前記継手本体の内周面から前記継手本体の内部側に突出する逆流防止部が前記枝栓部材に形成されたことを特徴とする。
【0014】
枝栓部材に逆流防止部を設けたので、継手本体の横管接続部に枝栓部材を接合することにより継手本体の内周面から継手本体の内部側に突出する逆流防止部を形成できる。この逆流防止部は横管接続部の近傍に配置されるため、継手本体の内部を流れる水が枝栓部材近傍の横管側に逆流することを防止する。
逆流防止部を備えた枝栓部材は継手本体と別体構成が可能であり、継手本体を成形する場合に逆流防止部を含めた構成としての成形性は考慮する必要が無い。このため、逆流防止部を備えた管継手の構成であっても、継手本体の成形性を難しくすることがない。
【0015】
「5」本形態に係る管継手において、前記継手本体の軸線方向に沿って離間した位置であって前記継手本体の軸線を挟んで互い違いに対向する位置にそれぞれ前記横管接続部が形成され、前記軸線を挟んで対向する一対の横管接続部のうち、下方に設置される横管接続部に前記逆流防止部が設けられた構成を採用できる。
【0016】
逆流防止部として、継手本体の内周面からその軸心側に突出し、軸線方向に伸びる逆流防止リブであるならば、継手本体の内部を流れる水が横管側に流れ込もうとする流路を効率良く遮ることができ、目的の逆流防止効果を得やすい。
【0017】
「6」本形態に係る管継手において、前記横管接続部が前記継手本体の周方向に複数形成された構成を採用できる。
【0018】
継手本体の周方向に複数の横管接続部を有する管継手であるならば、逆流防止部による逆流防止効果を得やすい構造となる。例えば、隣接する横管接続部が複数形成されている場合、特定の横管接続部に設けたブッシュの逆流防止部が、隣接する他の横管接続部に対し逆流防止効果を発揮する。
【0019】
「7」本形態に係る管継手において、前記継手本体の軸線方向に沿って離間した位置であって前記継手本体の軸線を挟んで互い違いに対向する位置にそれぞれ前記横管接続部が形成され、前記軸線を挟んで対向する一対の横管接続部のうち、下方に設置される横管接続部に前記逆流防止部が設けられた構成を採用できる。
【0020】
継手本体において互い違いに対向する位置に横管接続部が形成されている場合、上方の横管接続部から下方の横管接続部側に向かう水の流れが生じることがある。この構造であっても逆流防止部を備えることで、横管に対し逆流の生じ難い構造とすることができる。
【0021】
「8」本形態に係る管継手おいて、前記継手本体内に前記継手本体内を通過する水の流れを旋回させる旋回羽根が設けられた構成を採用できる。
【0022】
継手本体内に旋回羽根を設けておくと、水を旋回流とした状態で継手本体内に流すことができる。継手本体内を流れる旋回流により、横管接続部を介し横管側に旋回流の一部が到達して逆流を生じる可能性を有するが、この旋回流の一部を逆流防止部が堰き止めるため、逆流防止効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本形態の管継手によれば、ブッシュに逆流防止部を設けたので、継手本体の横管接続部にブッシュを接合することにより継手本体の内周面から継手本体の内部側に突出する逆流防止部を形成できる。この逆流防止部は横管接続部の近傍に配置できるため、継手本体の内部を流れる水が横管側に逆流することを防止できる。
逆流防止部を備えたブッシュは継手本体と別体構成が可能であり、継手本体を成形する場合に逆流防止部を含めた構成としての成形性は考慮する必要が無い。このため、逆流防止部を備えた管継手の構成であっても、継手本体の成形性を難しくすることなく成形ができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る管継手を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す管継手の部品構成を示す展開図である。
【
図3】第1実施形態に係る管継手の上部接続管を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係る管継手のブッシュにおける接続部の構造を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る管継手に設けられるブッシュを後端側から見た斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る管継手に設けられるブッシュを先端側から見た斜視図である。
【
図7】第1実施形態の第1変形例に係る管継手のブッシュにおける接続部の構造を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態の第1変形例に係る管継手に設けられるブッシュを先端側から見た斜視図である。
【
図9】第1実施形態の第2変形例に係る管継手のブッシュにおける接続部の構造を示す断面図である。
【
図10】第1実施形態の第2変形例に係る管継手に設けられるブッシュを先端側から見た斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る管継手を示す縦断面図である。
【
図12】前記管継手に設けられる逆流防止部材の変形例を示す斜視図である。
【
図13】前記管継手に設けられる逆流防止部材の他の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る管継手を備えた継手構造について説明する。管継手1は、例えば、建物排水用として用いられ、床スラブに形成されたスラブ貫通孔の部分に配置される。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る管継手1は、継手本体(管継手)10を備えている。継手本体10は、上部接続管11と、下部接続管12と、上部接続管11と下部接続管12とを接続する中間管15と、を備えている。上部接続管11は、第1の縦管P1に接続可能な縦管接続部13と、縦管接続部13の側面に突設されて横管P3を接続可能な横管接続部14と、を有している。
【0026】
本実施形態の管継手1は、例えば、
図1に示すように床スラブ8に設置されている。
中間管15の上端部が、上部接続管11の下端部内に挿入され、上部接続管11に接着等により固定されるとともに、中間管15の上部側と上部接続管11の下部側の接続部分が床スラブ8の貫通孔8aに挿入されている。そして、中間管15と上部接続管11の接続部の外側であって、床スラブ8の貫通孔8aの内側部分には、モルタル等の充填材9が充填され、この充填材9により継手本体10の外側の貫通孔8aが塞がれている。
【0027】
上部接続管11と下部接続管12と中間管15は、例えば、塩化ビニル等の難燃性を有する樹脂で形成されている。
中間管15は、上部接続管11の下端部に接続されている。図示の例では、中間管15の上端部が、縦管接続部13の下端部内に嵌合されている。中間管15は、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有する。
【0028】
中間管15は、中間管15の全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成された構成を採用することができる。
例えば、中間管15が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合、中間層を樹脂組成物から形成した構成が挙げられる。
【0029】
さらに例えば、中間管15が3層構造である場合、表層、中間層、内層は吸熱剤を含有していてもよい。中間層は熱膨張性黒鉛を含有するため黒色を呈する構成を採用することができる。中間管15が熱膨張性黒鉛を含有しない場合には、熱膨張性黒鉛を含有するシート状の耐火材を中間管15の外面、または中間管15を覆って設ける遮音材の外面に巻きつけ、耐火材をスラブ貫通部に埋設してもよい。
なお、中間管15に適用する熱膨張黒鉛と耐火材については後に説明する。
【0030】
縦管接続部13は、管状に形成されている。縦管接続部13の第1の端部(上端部)に第1の縦管P1が接続され、第2の端部(下端部)には、中間管15を介して下部接続管12が接続されている。
以下の説明において、縦管接続部13の中心軸線Oに沿う第1の縦管P1側を上方、下部接続管12側を下方という。
【0031】
下部接続管12は、上方よりも下方が縮径された管状をなしている。下部接続管12は、中間管15に接続される接続管部16と、接続管部16から下方に延び、下方に向かうに従い漸次、縮径する傾斜管部17と、傾斜管部17の下端部に設けられ、第2の縦管P2が接続される下側管部18と、を備えている。接続管部16内には、中間管15が嵌合されている。下側管部18内には、第2の縦管P2が嵌合されている。接続管部16、傾斜管部17および下側管部18は、例えば合成樹脂材料により一体形成されている。
【0032】
上部接続管11の上端部(縦管接続部13の上端部)には、第1ブッシュ21と、第1パッキン22と、第1リング23と、が設けられている。
第1ブッシュ21は、嵌合部21aと、支持部21cと、第一旋回羽根21bと、を備えている。嵌合部21aは、縦管接続部13内に嵌合する管状に形成されている。支持部21cは、嵌合部21aから下方に延びている。第一旋回羽根21bは、支持部21cの下端部に設けられている。第一旋回羽根21bは、中心軸線O回りに延びている。
【0033】
第1パッキン22は、第1ブッシュ21内に嵌合されている。第1パッキン22の上端部には、第1の縦管P1の外周面に密着するリップ部22aが設けられている。第1パッキン22の下端部には、上方を向く段部22bが形成されている。この段部22bには、第1の縦管P1の下端部が突き当たる。
【0034】
第1リング23は、第1ブッシュ21の上端部に外側から嵌合される。第1リング23の上端部には、フランジ部23aが設けられている。フランジ部23aは第1ブッシュ21から第1パッキン22が離脱することを規制する。
第1ブッシュ21、第1パッキン22および第1リング23は、上部接続管11に組み付ける(接着する)前に、予め組み立てて一体化しておくことができる。
【0035】
横管接続部14は、円筒状をなし、縦管接続部13の外周面から縦管接続部13の中心軸線Oに対して略垂直に伸びる方向に突設されている。
図1~
図3に示す例では、横管接続部14が、中心軸線O回りに間隔をあけて2つ配置されている。2つの横管接続部14は上面視で中心軸線O回りに90°をなす方向に形成されているので、
図1では一方の横管接続部14のみが描かれている。なお、横管接続部14の数量および延びる方向は、このような態様に限られず、任意に変更することができる。
【0036】
図1、
図4に示すように横管接続部14には、以下に示すようなブッシュ25を介し横管P3が接続されている。本形態の横管P3は、横管接続部14の開口の内径より口径の小さい小径管である。
ブッシュ25は、横管継手本体部26とこの横管継手本体部26の一側(入側)に装着された環状の第2パッキン27とカバー部材28を備える。
横管継手本体部26は単筒状をなし、横管継手本体部26の第1端部26A側(先端側)が横管接続部14の開口に挿入され、横管継手本体部26の第2端部26B側(後端側)が横管接合部14の外側に突出される。
横管継手本体部26の内部には、その中心軸C1から径方向下方に若干ずれた中心軸C2を軸心とする小径円筒状の区画壁26aが形成され、この区画壁26aの内側に挿通孔26bが形成されている。この挿通孔26bには横管P3の端部が挿入される。
【0037】
横管継手本体部26において、第1端部26A側には横管接続部14を閉じる閉塞部26Dが形成され、第2端部26B側には大径部26Eが形成されている。
横管継手本体部26の挿通孔26bにおいて入り側(第2端部26B側)の内周に内周段部26cが形成され、この内周段部26cにリング状の第2パッキン27が内挿されている。第2パッキン27の内周側には横管P3の外周に接するリップ部27aが形成されている。挿通孔26bの第1端部26A側(出側)の開口部26dは閉塞部26Dの先端面26eに開口されている。
【0038】
横管継手本体部26において第1端部26A側に外周段部を形成して小径出突部26fが形成されている。この小径出突部26fを円筒状の横管接続部14の開口に挿入することで横管継手本体部26が横管接続部14に嵌合され、横管継手本体部26の差し込み深さが規定される。
この嵌合状態において、横管接続部14の先端部14aを小径出突部26fの基端側の角部26gに当接させることにより、横管継手本体部26の差し込み深さが上部接続管11に対し規定される。このため、角部26gは横管継手本体部26の差し込み深さを規定するストッパの機能を有する。
【0039】
また、横管接続部14の先端部14aを角部26gに当接させた状態において閉塞部26Dの先端面26eは、上部接続管11の内周壁に沿う位置に配置される。
また、小径出突部26fには、閉塞部26Dの先端面26eから第2端部26B側に向かってくぼむ凹部26Uが形成されている。
凹部26Uは、第1端部26A側(先端側)から見たときに、上側は小径出突部26fの上側面に対して所定肉厚をあけて内周側に位置された円弧状に形成され、下側は開口部26dの内周面に対して区画壁26aの肉厚をあけて上側に位置された円弧状に形成され、左右は後述する縦リブ291の内側面の内方に形成されている。
凹部26Uを第1端部26A側(先端側)から見たときの形状は、上記に限定されることなく任意に設定してもよい。
【0040】
そして、この凹部26Uには、キャップ26Sが嵌挿されている。その結果、凹部26Uに排水が侵入したり、凹部26Uに排水が貯まるのを抑制することができるようになっている。
なお、小径出突部26fに凹部26Uを形成するかどうか、凹部26Uが形成されている場合にキャップ26Sを嵌挿するかどうかは任意に設定することができる。
【0041】
また、挿通孔26bの開口部26dにおいて、上部内周側に下方に突出する係止突部26hが形成されている。この係止突部26hは挿通孔26bに横管P3の端部を挿入した場合に、横管P3のストッパとなり、挿入孔26bに対する横管P3の挿入深さを規定する。開口部26dの内側に突出する係止突部26hの高さや幅は横管P3の先端部に当接して横管P3の侵入を阻止できる程度の高さであれば特に制限はない。
【0042】
横管継手本体部26の閉塞部26Dにおいて先端面26eには、逆流防止部29が形成されている。
逆流防止部29は、この実施形態において、先端面26eから突出する左右一対の縦リブ(逆流防止リブ)291を備えている。
縦リブ(逆流防止リブ)291は、継手本体1(上部接続管11)の軸心側に突出し、継手本体1(上部接続管11)の軸線方向(上下方向)に伸びるように配置されている。 横管継手本体部26の先端面26eには挿通孔26bの開口部26dが形成されており、この開口部26dを左右から挟むように開口部26dの両側に前述の縦リブ(逆流防止リブ)291が形成されている。この形態において縦リブ(逆流防止リブ)291の上下方向の長さ(高さ)は開口部26dの内径に略等しくされている。
【0043】
なお、縦リブ(逆流防止リブ)291の高さを開口部26dの内径と略等しい高さに限定する必要は無く、開口部26dの内径より若干大きい高さであっても良いし、開口部26dの内径より若干低い高さであっても良い。横管継手本体部26の閉塞部26Dを横管接続部14の開口に嵌合する場合に、縦リブ291が横管接続部14の開口を通過できる程度の高さより低い高さであれば良い。逆流防止効果を十分に得るために、縦リブ291の高さは高い方が望ましいが、横管継手本体部26を横管接続部14の開口に嵌合する場合に縦リブ291が支障とならない程度とする。
縦リブ(逆流防止リブ)291の形状と横管継手本体部26との位置関係は
図5、
図6に示す斜視図にも示しておく。
【0044】
また、縦リブ(逆流防止リブ)291の張出し長さ、換言すると、上部接続管11の内周面から中心軸線O側に向けて突出する縦リブ291の幅は、以下に説明するように制限することが望ましい。
縦リブ(逆流防止リブ)291は、立管接続部13側から流れ落ちる排水との干渉を回避できるような中心軸線Oに向かった張り出し高さであることが好ましい。ここで言う立管接続部13側から流れ落ちる排水とは、立管接続部13に挿入される第1の立管P1から流れ落ちる排水のことを意味する。
例えば、立管接続部13から流れ落ちる排水との干渉を回避できる張出し長さとは、
図1に示すように縦断面視した場合に、第1ブッシュ21の下端に形成されている内向きフランジ部21dの内周端あるいはその上に配置されている第1パッキン22の下端の内向きフランジ部22dの内周端よりも中心軸線O側に突出しない張出し長さとする。
【0045】
本実施形態において縦リブ(逆流防止リブ)291は縦長の長方形板状としたが、逆流防止リブは湾曲板状であっても良く、例えば、閉塞部26Dの外周面に沿って湾曲する板状の逆流防止リブであっても良い。また、縦リブ291を設ける個数にも特に制限はなく、開口部26dの横に1つであっても良いし、例えば、閉塞部26Dの先端面26eから先方に突出する単筒状の逆流防止リブであっても良い。
縦リブ(逆流防止リブ)291を設ける場合、互いが平行である必要はなく、互いに異なる向きに形成されていても良いし、中心軸線O側ではない向きに形成されていても良い。縦リブ(逆流防止リブ)291はいずれの向きに向けられているとしても、開口部26dから横管P3の内部側に逆流しようとする排水の流れを阻止するか抑制できる位置に形成されていれば良い。
【0046】
更に、中間管15の内部に第二の旋回羽根30が設けられ、下部接続管12の内部に第三の旋回羽根31が設けられている。
第二旋回羽根30と第三旋回羽根31はともに、第一旋回羽根21bと同様、継手本体10内を流下する排水を旋回流とする作用を奏する。
第一旋回羽根21bと第二の旋回羽根30と第三の旋回羽根31は必須な構成ではなく何れかを略しても良く、全てを略してもよい。
【0047】
中間管15については、ポリ塩化ビニル系樹脂と吸熱剤とを含む樹脂組成物(A)、又は、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張開始温度が240℃以上である熱膨張性黒鉛とを含む樹脂組成物(B)を含有する熱膨張管を採用することができる。
中間管15は、縦リブ(逆流防止リブ)291の下端よりも下方に配置されていることが好ましい。
【0048】
樹脂組成物(A)に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体;塩化ビニルモノマーと、該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有する他のモノマーとの共重合体;ポリ塩化ビニル系樹脂以外の重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト共重合したグラフト共重合体等である。前記ポリ塩化ビニル系樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物(A)に含まれる吸熱剤は、加熱された際に吸熱作用を有して温度上昇を抑制する化合物である。例えば、加熱された際に脱水反応等の吸熱反応が生じる化合物を吸熱剤として使用できる。
【0049】
樹脂組成物(B)に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂としては、樹脂組成物(A)に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂と同様のものを使用できる。
樹脂組成物(B)に含まれる熱膨張性黒鉛は、熱膨張開始温度が240℃以上、好ましくは260℃以上のものである。
【0050】
次に、以上説明のように構成された管継手1の動作について、継手本体10を中心に説明する。
建築物において、上の階からの排水は第1の縦管P1を介して継手本体10内に流れ込む。継手本体10内に流れ込んだ排水は第一旋回羽根21b、第二旋回羽根30、第三旋回羽根31を介し旋回流とされて下方に向かって流れるように導かれる。
排水の旋回流が横管接続部14の付近を通過する際、排水の一部が開口部26dから横管P3の内部側に逆流するおそれがあるが、開口部26dの左右両側に設けた縦リブ(逆流防止リブ)291がこれら逆流を阻止するか抑制する。このため、上述の構造によれば、横管P3側への排水の逆流を防止できる構造を提供できる。
【0051】
本実施形態の管継手1によれば、縦リブ(逆流防止リブ)291は、縦管接続部13から下方に流れ落ちる排水が干渉しない程度の中心軸線Oに向かった張り出し高さである。このため、縦管接続部13から流れ落ちる排水が縦リブ291に直接当たることを抑制できる。
従って、排水が縦リブ(逆流防止リブ)291に直接当たりにくくなり、排水が縦リブ291に当たって生じる音(異音)の発生を抑えることができる。従って、管継手1の近くに建築物の使用者がいた場合であっても、騒音に関しクレーム発生のおそれを抑制できる。
【0052】
本実施形態の管継手1によれば、縦リブ(逆流防止リブ)291をブッシュ25とともに樹脂一体成形物として構成し、継手本体10(上部接続管11)と別体に構成できる。このため、継手本体10(上部接続管11)の成形を行う金型を複雑な構成とすることなく本実施形態の構成を実現できる。また、ブッシュ25に縦リブ291を設けた構成は複雑な構成ではないので、これらを成形する金型も複雑なものは必要がなく、容易に実現できる構成である。
【0053】
ブッシュ25に一体成形する縦リブ(逆流防止リブ)291は、ブッシュ25の閉塞部前面側の任意の位置に形成可能であり、それらの厚さや幅も自由に成形できるので、ブッシュ25の任意の位置に目的の形状の縦リブ(逆流防止リブ)291を設けることができる。
仮に、縦リブ(逆流防止リブ)291を継手本体10(上部接続管11)側に一体成形しようとすると、金型形状の制約、型抜き方向の制約、ゲート位置の制約、樹脂の収縮による制約等があって、縦リブ291を自由な形状や位置にすることができず、また、設置できる位置も狭い範囲に制約される。
この点において上述の構造であるならば、第一旋回羽根21bとの位置的干渉を避けることを考慮すると、横管継手本体部26の前面側に形成可能な大きさであれば、その他の制約は少なく、縦リブ(逆流防止リブ)291を設ける位置と形状の自由度を高くすることができる構造となる。
【0054】
中間管15を上述の耐火材から構成した場合、所定の床スラブ8よりも下方の階で火災が発生した際に、火災の熱によって、中間管15が径方向内側に膨張し、継手本体10の内部空間を閉塞する。これにより、炎、煙等が中間管15の内部空間を通ってこの床スラブ8よりも上方の階に上昇することを防止することができる。従って、中間管15は耐火性を発揮することができる。
この際、縦リブ(逆流防止リブ)291の下端は中間管15の上端よりも上方に配置されているため、中間管15が膨張する際に縦リブ(逆流防止リブ)291が支障となることを抑えることができる。
樹脂組成物(B)における熱膨張性黒鉛の熱膨張開始温度である240℃は、管継手1を作製するときの成形温度(例えば、140℃以上240℃未満)よりも高い。そのため、管継手1を作製する際に、熱膨張性黒鉛が膨張することを防止できる。
【0055】
中間管15を多層構造とする場合は、熱膨張性黒鉛の膨張を阻止しないように、多層構造部分の強度を必要以上に高くしない構造が望ましい。例えば、管材による多層構造の場合2重構造を超えないようにすることが望ましい。
また、中間管15を熱膨張性黒鉛を含まない樹脂で構成し、その外周に熱膨張シートを備えてもよい。熱膨張シートは、樹脂組成物(A)、又は樹脂組成物(B)を含有する。 このように構成された中間管15によっても、火災の熱によって熱膨張シートが径方向内側に膨張し、継手管10の内部空間を閉塞できる。従って、上述の構成と同様の効果を奏することができる。
【0056】
〔第1変形例(第1実施形態)〕
以下、
図7、
図8を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。
図7は、第1実施形態の第1変形例に係る管継手のブッシュにおける接続部の構造を示す断面図であり、
図8はブッシュを先端側から見た斜視図である。
第1実施形態の第1変形例に係る横管接続部では、
図1に示すように、ブッシュ25に代えてブッシュ25Aを介し横管P3が接続される。
【0057】
ブッシュ25Aは、横管継手本体部261とこの横管継手本体部261の一側(入側)に装着された環状の第2パッキン27とカバー部材28を備える。第2パッキン27、カバー部材28については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0058】
第1実施形態の第1変形例に係る横管継手本体部261は、
図7、
図8に示すように、例えば、閉塞部26Dの先端面26eに逆流防止部(逆流防止リブ)29Aが形成されている。
また、閉塞部26Dの先端面26eは、接続部14の先端部14aと角部26gとを当接させた状態において、上部接続管11の内周壁に沿う位置に配置される。
【0059】
また、挿通孔26bの開口部26dにおいて、内周上部側に下方に突出するように係止突部26hが形成されている。
この係止突部26hは挿通孔26bに横管P3の端部を挿入した場合に、横管P3のストッパとなり、挿入孔26bに対する横管P3の挿入深さを規定する。開口部26dの内側に突出する係止突部26hの高さや幅は横管P3の先端部に当接して横管P3の侵入を阻止できる程度の高さであれば特に制限はない。
【0060】
また、小径出突部26fには、例えば、閉塞部26Dの先端面26eから第2端部26B側に向かってくぼむ凹部26Uが形成されている。
凹部26Uは、第1端部26A側(先端側)から見たときに、上側は小径出突部26fの上側面に対して所定肉厚をあけて内周側、具体的には後述する庇部194の下側面に沿った円弧状に形成され、下側は開口部26dの内周面に対して区画壁26aの肉厚をあけて上側に位置された円弧状に形成され、左右は後述する縦リブ293の内側面の内方に形成されている。
凹部26Uを第1端部26A側(先端側)から見たときの形状は、上記に限定されることなく任意に設定してもよい。
【0061】
そして、この凹部26Uには、キャップ26Sが嵌挿されている。その結果、凹部26Uに排水が侵入したり、凹部26Uに排水が貯まるのを抑制することができるようになっている。
なお、小径出突部26fに凹部26Uを形成するかどうか、凹部26Uが形成されている場合にキャップ26Sを嵌挿するかどうかは任意に設定することができる。
【0062】
逆流防止部(逆流防止リブ)29Aは、
図7、
図8に示すように、例えば、縦リブ(逆流防止リブ)293と、それらの上部側に配置された庇部(逆流防止リブ)294と、を備えている。
【0063】
縦リブ(逆流防止リブ)293は、横管継手本体部261の第1端部26A側の先端面26eから継手本体1(上部接続管11)の軸心側に突出し、継手本体1(上部接続管11)の軸線方向(上下方向)に伸びるように配置されている。そして、第1実施形態の逆流防止リブ29と同様に横管継手本体部26Aの先端面26eに開口されている開口部26dを挟むようにして、開口部26dの左右両側に突出する長方形板状の縦リブとされている。
【0064】
庇部(逆流防止リブ)294は、管継手本体部261の第1端部26A側の先端面26eから継手本体1(上部接続管11)の軸心側に突出し、例えば、左右の中央部が上方に膨らみ、具体的には上側面が小径出突部26fの上側面同じ形状の円弧状に形成されている。
また、庇部294の左右の両端部は、左右の縦リブ(逆流防止リブ)293、293の上端部に接続されている。
【0065】
ここで、逆流防止部(逆流防止リブ)29Aは、横管接続部14の開口部26dの左右両側に縦リブ293を有し、それらの上部側に庇部294を有するので、これらが落下する排水を受け、横管接続部14を介し横管P3へ排水が逆流するのを防止する。
また、上述の排水が旋回流となって上部接続管11から落下する場合、横管接続部14の左右両側の縦リブ293、293、庇部294が螺旋流となっている排水を受け、横管接続部14を介し横管P3側へ排水が逆流するのを防止する。
【0066】
なお、縦リブ(逆流防止リブ)293の高さは、開口部26dの内径よりも高く形成されている。また、横管継手本体部261の閉塞部26Dを横管接続部14の開口に嵌合する場合に、縦リブ293が横管接続部14の開口を通過できる程度であれば良い。
逆流防止効果を十分に得るために、縦リブ293の高さは高い方が望ましいが、横管継手本体部26を横管接続部14の開口に嵌合する場合に縦リブ293が支障とならない程度とする。
縦リブ(逆流防止リブ)293の形状と横管継手本体部261との位置関係は
図7に示す斜視図にも示しておく。
また、庇部294の両端部を左右の縦リブ(逆流防止リブ)293の上部と接続するかどうかは任意に設定することが可能であり、左右の縦リブ(逆流防止リブ)293の上部が、庇部(逆流防止リブ)294の両端部の下面と接続されずに間隙が形成されるように、縦リブ(逆流防止リブ)293の高さを設定してもよい。
【0067】
また、縦リブ(逆流防止リブ)293、庇部(逆流防止リブ)294の張出し長さ、換言すると、上部接続管11の内周面から中心軸線O側に向けて突出する縦リブ293の幅は、以下に説明するように制限することが望ましい。
縦リブ(逆流防止リブ)293、庇部(逆流防止リブ)294は、立管接続部13側から流れ落ちる排水との干渉を回避できるような中心軸線Oに向かった張り出し高さであることが好ましい。ここで言う立管接続部13側から流れ落ちる排水とは、立管接続部13に挿入される第1の立管P1から流れ落ちる排水のことを意味する。
例えば、立管接続部13から流れ落ちる排水との干渉を回避できる張出し長さとは、
図1に示すように縦断面視した場合に、第1ブッシュ21の下端に形成されている内向きフランジ部21dの内周端あるいはその上に配置されている第1パッキン22の下端の内向きフランジ部22dの内周端よりも中心軸線O側に突出しない張出し長さとする。
【0068】
本実施形態において縦リブ(逆流防止リブ)293は縦長の長方形板状としたが、逆流防止リブは湾曲板状であっても良く、例えば、閉塞部26Dの外周面に沿って湾曲する板状の逆流防止リブであっても良い。
また、縦リブ293を設ける個数にも特に制限はなく、開口部26dの横に1つであっても良いし、例えば、閉塞部26Dの先端面26eから先方に突出する単筒状の逆流防止リブであっても良い。
【0069】
縦リブ(逆流防止リブ)293を設ける場合、互いが平行である必要はなく、互いに異なる向きに形成されていても良いし、中心軸線O側ではない向きに形成されていても良い。縦リブ(逆流防止リブ)293はいずれの向きに向けられているとしても、開口部26dから横管P3の内部側に逆流しようとする排水の流れを阻止するか抑制できる位置に形成されていれば良い。
中間管15は、縦リブ(逆流防止リブ)293の下端よりも下方に配置されていることが好ましい。
【0070】
また、庇部(逆流防止リブ)294は、例えば、小径出突部26fの上面に沿った小径出突部26fと同径の円弧状に形成する必要はなく、小径出突部26fよりも小径の円弧状としたり、円弧状以外の湾曲形状としてもよい。また、左右が異なる形状とされていてもよい。
また、庇部(逆流防止リブ)294は、左右のいずれか一方の縦リブ(逆流防止リブ)293と接続せずに間隙が形成される構成としてもよく、旋回する排水が多く接触する側だけ、庇部(逆流防止リブ)294と縦リブ(逆流防止リブ)293とを接続してもよい。
【0071】
次に、第1実施形態の第1変形例に係る管継手1の動作について、継手本体10を中心に説明する。
【0072】
建築物において、継手本体10内に流れ込んだ上の階からの排水は、第一旋回羽根21b、第二旋回羽根30、第三旋回羽根31を介し導かれた下方に向かって流れる旋回流は、排水の旋回流が横管接続部14の付近を通過する際に、開口部26dの左右両側に設けた縦リブ(逆流防止リブ)293や庇部(逆流防止リブ)294により、横管P3へ排水の逆流が阻止又は抑制される。
【0073】
本実施形態の管継手1によれば、縦リブ(逆流防止リブ)293、庇部(逆流防止リブ)294が、縦管接続部13から下方に流れ落ちる排水が干渉しない程度の中心軸線Oに向かった張り出し高さであるので、縦管接続部13から流れ落ちる排水が縦リブ293、庇部294に直接当たることを抑制できる。
従って、排水が縦リブ(逆流防止リブ)293、庇部(逆流防止リブ)294に直接当たりにくくなり、排水が縦リブ293、庇部(逆流防止リブ)294に当たって生じる音(異音)の発生を抑えることができる。従って、騒音に関しクレーム発生のおそれを抑制できる。
【0074】
本実施形態の管継手1によれば、縦リブ(逆流防止リブ)293、庇部(逆流防止リブ)294をブッシュ25Aとともに樹脂一体成形物とすることで、継手本体10(上部接続管11)を効率的に製造することができる。また、ブッシュ25Aに縦リブ293、庇部(逆流防止リブ)294を設けた場合であっても、ブッシュ25Aを容易に製造することができる。
【0075】
ブッシュ25Aに一体成形する縦リブ293、庇部294は、ブッシュ25Aの閉塞部前面側の任意の位置に形成可能であり、それらの厚さや幅も自由に成形できるので、ブッシュ25Aの任意の位置に目的の形状の縦リブ293、庇部294を設けることができる。
仮に、縦リブ293、庇部294を継手本体10(上部接続管11)側に一体成形しようとすると、金型形状の制約、型抜き方向の制約、ゲート位置の制約、樹脂の収縮による制約等があって、縦リブ293を自由な形状や位置にすることができず、また、設置できる位置も狭い範囲に制約されるが、第1変形例に係る構成であればその他の制約は少なく、縦リブ293、庇部294を設ける位置と形状の自由度を高くすることができる構造となる。
【0076】
なお、縦リブ(逆流防止リブ)293の下端は中間管15の上端よりも上方に配置されているため、所定の床スラブ8よりも下方の階で火事が発生して、その熱により中間管15が膨張したとしても、縦リブ(逆流防止リブ)293が支障となるのを抑えることができる。
その他は、第1実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0077】
〔第2変形例(第1実施形態)〕
以下、
図9、
図10を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。
図9は、第1実施形態の第2変形例に係る管継手のブッシュにおける接続部の構造を示す断面図であり、
図10はブッシュを先端側から見た斜視図である。
第1実施形態の第2変形例に係る横管接続部では、
図1に示すように、ブッシュ25に代えてブッシュ25Bを介し横管P3が接続される。
【0078】
ブッシュ25Bは、横管継手本体部262とこの横管継手本体部262の一側(入側)に装着された環状の第2パッキン27とカバー部材28を備える。第2パッキン27、カバー部材28については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0079】
第1実施形態の第2変形例に係る横管継手本体部262は、
図9、
図10に示すように、例えば、閉塞部26Dの先端面26eに逆流防止部(逆流防止リブ)29Bが形成されている。
また、閉塞部26Dの先端面26eは、接続部14の先端部14aと角部26gとを当接させた状態において、上部接続管11の内周壁に沿う位置に配置される。
【0080】
また、小径出突部26fには、例えば、閉塞部26Dの先端面26eから第2端部26B側に向かってくぼむ凹部26Uが形成されている。
凹部26Uは、第1端部26A側(先端側)から見たときに、上側は小径出突部26fの上側面に対して所定肉厚をあけて内周側に沿った円弧状に形成され、下側は後述する庇部196の上側面に沿った円弧状に形成され、左右は後述する縦リブ295の内側面の内方に形成されている。
凹部26Uを第1端部26A側(先端側)から見たときの形状は、上記に限定されることなく任意に設定してもよい。
そして、この凹部26Uには、キャップ26Sが嵌挿されている。その結果、凹部26Uに排水が侵入したり、凹部26Uに排水が貯まるのを抑制することができるようになっている。
なお、小径出突部26fに凹部26Uを形成するかどうか、凹部26Uが形成されている場合にキャップ26Sを嵌挿するかどうかは任意に設定することができる。
【0081】
逆流防止部(逆流防止リブ)29Bは、
図9、
図10に示すように、例えば、縦リブ(逆流防止リブ)295と、それらの上部側に配置された庇部(逆流防止リブ)296と、を備えている。
【0082】
縦リブ(逆流防止リブ)295は、横管継手本体部262の第1端部26A側の先端面26eから継手本体1(上部接続管11)の軸心側に突出し、継手本体1(上部接続管11)の軸線方向(上下方向)に伸びるように配置されている。そして、第1実施形態の逆流防止リブ29と同様に横管継手本体部26Aの先端面26eに開口されている開口部26dを挟むようにして、開口部26dの左右両側に突出する長方形板状の縦リブとされている。
【0083】
庇部(逆流防止リブ)296は、管継手本体部262の第1端部26A側の先端面26eから継手本体1(上部接続管11)の軸心側に突出し、例えば、左右の中央部が上方に膨らみ、具体的には下側面が開口部26dの内周面沿って形成され、上側面が凹部26Uの下側の円弧形状に沿って形成された円弧状とされている。
また、庇部296の左右の両端部は、左右の縦リブ(逆流防止リブ)295、295の上端部に接続されている。
【0084】
また、庇部(逆流防止リブ)296は、継手本体1(上部接続管11)の軸心側に位置される先端部に、下方(開口部26d側)に向かって突出するに係止突部297が形成されている。
この係止突部297は挿通孔26bに横管P3の端部を挿入した場合に、横管P3のストッパとなり、挿入孔26bに対する横管P3の挿入深さを規定する。開口部26dの内側に突出する係止突部297の高さや幅は横管P3の先端部に当接して横管P3の侵入を阻止できる程度の高さであれば特に制限はない。
【0085】
ここで、逆流防止部(逆流防止リブ)29Bは、横管接続部14の開口部26dの左右両側に縦リブ295を有し、それらの上部側に庇部296を有するので、これらが落下する排水を受け、横管接続部14を介し横管P3へ排水が逆流することを防止する。
また、上述の排水が旋回流となって上部接続管11から落下する場合、横管接続部14の左右両側の縦リブ295、295が螺旋流となっている排水を受け、横管接続部14を介し横管P3側へ排水が逆流することを防止できる。
【0086】
なお、縦リブ(逆流防止リブ)295、庇部296の高さは、開口部26dの内径よりも高く形成されている。また、横管継手本体部262の閉塞部26Dを横管接続部14の開口に嵌合する場合に、縦リブ295、庇部296が横管接続部14の開口を通過できる程度であれば良い。
逆流防止効果を十分に得るために、縦リブ295、庇部296の高さは高い方が望ましいが、横管継手本体部26を横管接続部14の開口に嵌合する場合に縦リブ295、庇部296が支障とならない程度とする。
縦リブ(逆流防止リブ)295の形状と横管継手本体部262との位置関係は
図9に示す斜視図にも示しておく。
また、庇部296の両端部を左右の縦リブ(逆流防止リブ)295の上部と接続するかどうかは任意に設定することが可能であり、左右の縦リブ(逆流防止リブ)295の上部が、庇部(逆流防止リブ)296の両端部の下面と接続されずに間隙が形成されるように、縦リブ(逆流防止リブ)295の高さを設定してもよい。
【0087】
また、縦リブ(逆流防止リブ)295、庇部(逆流防止リブ)296の張出し長さ、換言すると、上部接続管11の内周面から中心軸線O側に向けて突出する縦リブ295の幅は、以下に説明するように制限することが望ましい。
縦リブ(逆流防止リブ)295、庇部(逆流防止リブ)296は、立管接続部13側から流れ落ちる排水との干渉を回避できるような中心軸線Oに向かった張り出し高さであることが好ましい。ここで言う立管接続部13側から流れ落ちる排水とは、立管接続部13に挿入される第1の立管P1から流れ落ちる排水のことを意味する。
例えば、立管接続部13から流れ落ちる排水との干渉を回避できる張出し長さとは、
図1に示すように縦断面視した場合に、第1ブッシュ21の下端に形成されている内向きフランジ部21dの内周端あるいはその上に配置されている第1パッキン22の下端の内向きフランジ部22dの内周端よりも中心軸線O側に突出しない張出し長さとする。
【0088】
本実施形態において縦リブ(逆流防止リブ)295は縦長の長方形板状としたが、逆流防止リブは湾曲板状であっても良く、例えば、閉塞部26Dの外周面に沿って湾曲する板状の逆流防止リブであっても良い。
また、縦リブ295を設ける個数にも特に制限はなく、開口部26dの横に1つであっても良いし、例えば、閉塞部26Dの先端面26eから先方に突出する単筒状の逆流防止リブであっても良い。
【0089】
縦リブ(逆流防止リブ)295を設ける場合、互いが平行である必要はなく、互いに異なる向きに形成されていても良いし、中心軸線O側ではない向きに形成されていても良い。縦リブ(逆流防止リブ)295はいずれの向きに向けられているとしても、開口部26dから横管P3の内部側に逆流しようとする排水の流れを阻止するか抑制できる位置に形成されていれば良い。
中間管15は、縦リブ(逆流防止リブ)295の下端よりも下方に配置されていることが好ましい。
【0090】
庇部(逆流防止リブ)296は、例えば、下側面が開口部26dの内周面沿って形成さ円弧状とされている必要はなく、小径出突部26fよりも大径の円弧状としたり、円弧状以外の湾曲形状としてもよい。また、左右が異なる形状とされていてもよい。
また、庇部(逆流防止リブ)296は、左右のいずれか一方の縦リブ(逆流防止リブ)295と接続せずに間隙が形成される構成としてもよく、旋回する排水が多く接触する側だけ、庇部(逆流防止リブ)296と縦リブ(逆流防止リブ)295とを接続してもよい。
【0091】
次に、第1実施形態の第2変形例に係る管継手1の動作について、継手本体10を中心に説明する。
建築物において、継手本体10内に流れ込んだ上の階からの排水は、第一旋回羽根21b、第二旋回羽根30、第三旋回羽根31を介し導かれた下方に向かって流れる旋回流は、排水の旋回流が横管接続部14の付近を通過する際に、開口部26dの左右両側に設けた縦リブ(逆流防止リブ)295や庇部(逆流防止リブ)296により、横管P3へ排水の逆流が阻止又は抑制される。
【0092】
本実施形態の管継手1によれば、縦リブ295、庇部(逆流防止リブ)296が、縦管接続部13から下方に流れ落ちる排水が干渉しない程度の中心軸線Oに向かった張り出し高さであるので、縦管接続部13から流れ落ちる排水が縦リブ295、庇部296に直接当たることを抑制できる。
従って、排水が縦リブ(逆流防止リブ)293、庇部(逆流防止リブ)296に直接当たりにくくなり、排水が縦リブ295、庇部(逆流防止リブ)296に当たって生じる音(異音)の発生を抑えることができる。従って、騒音に関しクレーム発生のおそれを抑制できる。
【0093】
本実施形態の管継手1によれば、縦リブ(逆流防止リブ)295、庇部(逆流防止リブ)296をブッシュ25Bとともに樹脂一体成形物とすることで、継手本体10(上部接続管11)を効率的に製造することができる。また、ブッシュ25Bに縦リブ295、庇部(逆流防止リブ)296を設けた場合であっても、ブッシュ25Bを容易に製造することができる。
【0094】
ブッシュ25Bに一体成形する縦リブ295、庇部296は、ブッシュ25Bの閉塞部前面側の任意の位置に形成可能であり、それらの厚さや幅も自由に成形できるので、ブッシュ25Bの任意の位置に目的の形状の縦リブ293、庇部296を設けることができる。
仮に、縦リブ295、庇部296を継手本体10(上部接続管11)側に一体成形しようとすると、金型形状の制約、型抜き方向の制約、ゲート位置の制約、樹脂の収縮による制約等があって、縦リブ295を自由な形状や位置にすることができず、また、設置できる位置も狭い範囲に制約されるが、第1変形例に係る構成であればその他の制約は少なく、縦リブ295、庇部296を設ける位置と形状の自由度を高くすることができる構造となる。
【0095】
なお、縦リブ(逆流防止リブ)295の下端は中間管15の上端よりも上方に配置されているため、所定の床スラブ8よりも下方の階で火事が発生して、その熱により中間管15が膨張したとしても、縦リブ(逆流防止リブ)295が支障となるのを抑えることができる。
その他は、第1実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0096】
〔第2実施形態〕
本発明の管継手は、以下に説明する各形態のようにその構成を様々に変形することができる。
例えば、
図11に示す管継手40に示すように上部接続管11と中間管15との間に、上部接続管11に設けた横管接続部14と同等構成の横管接続部14を単数あるいは複数設けた多段構成の管継手に本発明を適用することができる。
第2実施形態において、上部接続管11の下方に増設用の延長管37と継手管本体38が設けられ、継手管本体38の外周部に複数の横管継手部14が形成されている。継手管本体38の下端部に中間管15と下部接続管12が接合されている。
図11の継手管本体38には
図11に示す縦断面において左右に対向するように一対の横管接続部14が形成されている。
【0097】
図11に示す上部接続管11に設けられている横管接続部14には、横管継手本体部41と第3パッキン42とカバー部材43を備えたブッシュ45が接続されている。横管継手本体部41は、単筒状をなし、横管接続部14の開口に嵌合可能な形状を有し、横管継手本体部41の周壁は同一の肉厚とされている。このため、横管継手本体部41に形成されている挿通孔41bの内径は先の第1実施形態の挿通孔26bの内径よりも大きく形成され、この挿通孔41bには第1実施形態の横管P3よりも外径の大きな横管P4が接続される。
【0098】
横管継手本体部41の先端部外周に小径突出部41fを形成することで横管継手本体部41の第1端部41A側を上部接続管11の横管接続部14の開口に嵌合できる構造とされている点について、第1実施形態の横管継手本体部26と同等構造である。
横管継手本体部41の第2端部41B側に大径部41Eを設け、この大径部41Eに嵌合可能なカバー部材43を設け、第3パッキン42の抜け止めを行っている構造についても第1実施形態の横管継手本体部26と同様である。
また、挿通孔41bの第1端部側41A側の先端面41eの開口部41dにおいて、内周上部側に下方に突出するように係止突部41hが形成されている。
この係止突部41hは挿通孔41bに横管P4の端部を挿入した場合に、横管P4のストッパとなり、挿入孔41bに対する横管P4の挿入深さを規定する構造についても同様である。
【0099】
第2実施形態の構造においては、継手管本体38の左右一対の横管接続部14にもそれぞれ横管継手本体部41と第3パッキン42とカバー部材43を備えたブッシュ45が接続されている。
そして、
図11に示すように上部接続管11に設けた横管接続部14に対向する側であって、継手管本体38の左側に設けた横管接続部14に逆流防止リブ(逆流防止部)50を備えたブッシュ45が嵌合されている。
【0100】
このブッシュ45は先に説明した上部接続管11に設けたブッシュ45に対比し、180°逆向きになっている点と逆流防止リブ50を備えている点のみが異なる。
図11に示す管継手40の構造では、逆流防止リブ50が
図12にも示すように横管継手本体部41の先端面に突設されている。
第2実施形態の逆流防止リブ50は、横管継手本体部41の先端面から突出され、第1実施形態の逆流防止リブ29と同様に横管継手本体部41の先端面に開口されている開口部41dの左右両側に突出された長方形板状の縦リブ50Aを備える。また、逆流防止リブ50は、左右の縦リブ50A、50Aの上端部どうしを接続する湾曲板からなる庇部50Bを備えている。
【0101】
図11に示す継手管40においては、
図11に示す縦断面において右上部側とその下方に横管接続部14が設けられ、右側下方の横管接続部14に対し中心軸線Oを挟んで対向する位置に横管接続部14が設けられている。このため、
図11に示す縦断面において右上部側とその下方に同等構造のブッシュ45が設けられ、右側下方のブッシュ45に中心軸線Oを挟んで対向する位置であって、継手管40の左下部側に逆流防止リブ50を備えたブッシュ45が設けられている。
換言すると、
図11に示す縦断面において、左下部側のブッシュ45は、右上部側のブッシュ45に対し、継手本体10の軸線方向に沿って離間した位置であって、継手本体10の中心軸線Oを挟んで互い違いに対向する位置に形成されている。
【0102】
図11の右側下方のブッシュ45には横管P5が接続され、左側下方のブッシュ45には横管P6が接続されている。
右側下方のブッシュ45の開口部41dにおいて、内周上部側に下方に突出するように係止突部41hが形成されている。この係止突部41hは挿通孔41bに横管P5の端部を挿入した場合に、横管P5のストッパとなり、挿入孔41bに対する横管P5の挿入深さを規定する。左側下方のブッシュ45の開口部41dにおいて、内周上部側に下方に突出するように係止突部41hが形成されている。この係止突部41hは挿通孔41bに横管P6の端部を挿入した場合に、横管P6のストッパとなり、挿入孔41bに対する横管P6の挿入深さを規定する。
【0103】
図11に示す構造の管継手40においては、右上部側の横管P4から上部接続管11に排水が流入すると、
図11の矢印Sに示すように排水が落下する場合がある。ここで、矢印Sの方向の下方には横管P5を接続した横管接続部14が設けられているので、場合によっては矢印S方向に落下する排水の一部が横管接続部14を介し横管P5に逆流するおそれがある。
ここで、逆流防止リブ50は、横管接続部14の開口部41dの左右両側に縦リブ50Aを有し、それらの上部側に庇部50Bを有するので、これらが落下する排水を受け、横管接続部14を介し横管P5へ排水が逆流することを防止する。
また、上述の排水が旋回流となって上部接続管11から落下する場合、横管接続部14の左右両側の縦リブ50A、50Aが螺旋流となっている排水を受け、横管接続部14を介し横管P5側へ排水が逆流することを防止できる。
【0104】
図13は継手本体10の周方向に90°間隔で横管接続部14A、14Bを設けた構造において、横管接続部14A、14Bに仮にブッシュ45を嵌合して逆流防止リブを設けた場合に想定される縦リブの配置例を示す。
図13に示すように横管接続部14A、14Bに対し1つずつ逆流防止リブ(逆流防止部)55を設ける構造を採用しても良い。また、
図13に示す逆流防止リブ55のように継手本体10の内周面にほぼ直角に、継手本体10の中心軸に向かうように逆流防止リブ55が延在するように配置しても良い。
【0105】
図13に示すように継手本体10の内部を流れる旋回流の流れ方向を矢印Rで示す方向と仮定すると、横管接続部14Aに対し旋回流の流れ方向Rの上流側に逆流防止リブ55を設けた構造が好ましい。横管接続部14Bに対し旋回流の流れ方向Rの上流側に逆流防止リブ55を設けた構造が好ましい。
この構造を採用することで1つの逆流防止リブ55で横管接続部14Aに対する逆流防止効果を得ることができ、他の1つの逆流防止リブ55で横管接続部14Bに対する逆流防止効果を得ることができる。
図1、
図11に示す構造にも記載した通り、継手本体10の内部には旋回羽根などの部材が設けられるので、1つの横管接続部に対し1つの逆流防止リブを設けた構造とする方が他の部材との干渉が少なく、実現しやすい構造となる。
【0106】
これまで説明した実施形態では、横管継手本体部26、41に逆流防止リブを設けた構造を例示したが、これまで説明した逆流防止リブ26、41に加えて縦リブを別途上部接続管11側に設ける構造を採用しても良い。
また、
図13に示す縦リブの形成位置を前述の逆流防止リブの形成位置として見立てると、上部接続管11の周方向に設けられている全ての横管接続部に各々逆流防止リブを設けなくても、旋回流の上流側に位置する横管接続部のみに逆流防止リブを設けた構造を適用しても、上述の実施形態と同様の逆流防止効果を得ることができる。
【0107】
このことから、例えば、
図13に示す構造において、横管接続部14Aに横管接続部14Aを閉口するのみの枝栓部材56を取り付ける場合、この枝栓部材56の
図13に示す右側のみに逆流防止リブ55を設け、横管を接続する横管接続部14B側には逆流防止リブを設けていない構造を採用しても良い。
この構造の場合、枝栓部材56に形成した逆流防止リブ55に関し、旋回流の流れる方向Rとすると、横管を接続する横管接続部14Bの上流側に配置されているので、上述の構成と同様の逆流防止効果を得ることができる。
【0108】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明の具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も本発明に含まれる。
例えば、先の実施形態において、逆流防止リブは長方形板状のものを用いたが、円筒状のパイプの周壁の一部を切り取った形状の湾曲板であっても良い。また、単筒状の環状壁からなる逆流防止リブを横管継手本体部26、41あるいは枝栓部材56の前面側に取り付けた構造を採用しても良い。
また、先の実施形態における横管継手本体部26、41は、逆流防止リブとして縦リブと庇部を備えていたが、縦リブまたは庇部のいずれか一方のみを備えていても良い。
【符号の説明】
【0109】
10…継手本体、11…上部接続管、12…下部接続管、13…縦管接続部、
14…横管接続部、15…中間管、21b…第一旋回羽根、25、25A、25B…ブッシュ、26、261、262…横管継手本体部、26b…挿通孔、26D…閉塞部、26e…先端面、26f…小径突出部、26h、297…係止突部、29、29A、29B…逆流防止部(逆流防止リブ)、291、293、295…縦リブ(逆流防止リブ)、294、296…庇部(逆流防止リブ)
30…第二旋回羽根、31…第三旋回羽根、
40…継手本体、41…横管継手本体部、41b…挿通孔、41d…開口部、
41e…先端面、41f…小径突出部、41h…係止突部、45…ブッシュ、
50、55…逆流防止部(逆流防止リブ)、
P1、P2、P3、P4、P5、P6…横管、C1、C2…中心軸、O…中心軸線。