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特開2024-7456電界エミッタ及びアーク保護を備えたX線システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007456
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電界エミッタ及びアーク保護を備えたX線システム
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/14 20060101AFI20240110BHJP
   H05G 1/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01J35/14
H05G1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106567
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/855,739
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ カーカム
(72)【発明者】
【氏名】コルトン ビー. ウッドマン
【テーマコード(参考)】
4C092
【Fターム(参考)】
4C092AA01
4C092AB19
4C092AC08
4C092BD04
4C092BD09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】X線管における、アーク放電による電界エミッタの劣化、破壊などを抑制する。
【解決手段】x線管は、放出面を有する電界エミッタ、アノード、及び電界エミッタとアノードとの間に配置される集束電極を含み、集束電極は、電界エミッタの放出面に実質的に垂直であり、電界エミッタに最も近い第一表面と、軸方向でアノードに最も近い第二表面であって、電界エミッタ及びアノードが軸を形成する、第二表面と、第一表面と第二表面との間に延在する第三表面と、第一表面と第三表面との間の集束電極上の第一位置であって、第三表面と第二表面との間の集束電極上の第二位置よりもアノードから遠い、第一位置とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出面を有する電界エミッタと、
アノードと、
前記電界エミッタと前記アノードとの間に配置された集束電極と、
を含む、x線管であって、
前記集束電極は、
前記電界エミッタの前記放出面に対して実質的に垂直であり、前記電界エミッタに最も近い第一表面と、
前記アノードに軸方向で最も近い第二表面であって、前記電界エミッタ及び前記アノードは軸を形成する、前記第二表面と、
前記第一表面と前記第二表面との間に延在する第三表面と、
前記第一表面と前記第三表面との間の前記集束電極上の第一位置であって、前記第三表面と前記第二表面との間の前記集束電極上の第二位置よりも前記アノードから遠くにある、前記第一位置と、
を含む、前記x線管。
【請求項2】
前記集束電極上の前記第二位置は、前記集束電極の別の部分よりも前記電界エミッタの中心から遠くにある、請求項1に記載のx線管。
【請求項3】
前記集束電極は接地する、請求項1に記載のx線管。
【請求項4】
前記第二表面にわたる点は、前記アノードから実質的に等距離にある、請求項1に記載のx線管。
【請求項5】
前記集束電極は、操作中に、電界強度の最高点が前記第二位置に配置されるような形状に作られる、請求項1に記載のx線管。
【請求項6】
前記第二表面は、前記軸に対して前記第一表面から離れて半径方向及び軸方向に延出する、請求項1に記載のx線管。
【請求項7】
前記集束電極は、前記アノードに向かい延出する突出部をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のx線管。
【請求項8】
前記突出部は、前記集束電極上の前記第一位置よりも、前記集束電極の上の前記第二位置及び前記アノードに近い、請求項7に記載のx線管。
【請求項9】
前記電界エミッタが基板上に配置される前記基板と、
前記電界エミッタ上の前記基板上に配置されたフレームと、
前記集束電極が前記フレーム上に配置される前記集束電極と、
を有するカソード構造体をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のx線管。
【請求項10】
前記電界エミッタは、前記基板上に配置された複数の電界エミッタの1つであり、
前記フレームは、複数の開口部を含み、各開口部は前記複数の電界エミッタの1つに対応し、
前記集束電極は、第一部分及び第二部分を含み、
前記フレームの前記開口部は、前記第一部分と前記第二部分との間に配置される、請求項9に記載のx線管。
【請求項11】
電界エミッタを有するカソード構造体と、
アノードと、
前記電界エミッタと前記アノードとの間に配置された集束電極と、
を含む、x線管であって、
前記集束電極は、前記電界エミッタ及び前記アノードに対して配置され、前記集束電極は、操作中に、前記カソード構造体上の電界強度の最高点が前記電界エミッタよりも前記集束電極に近くなるような形状に作られる、前記x線管。
【請求項12】
前記電界強度の最高点は、前記集束電極の別の部分よりも前記電界エミッタの中心から遠くにある、請求項11に記載のx線管。
【請求項13】
前記集束電極は接地する、請求項11に記載のx線管。
【請求項14】
前記電界エミッタ及び前記アノードは軸を形成し、
前記集束電極は、
前記軸に対して実質的に平行に延在する第一表面と、
前記軸に対して前記第一表面から離れて半径方向に延出する第二表面と、
を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のx線管。
【請求項15】
前記集束電極上の第一位置は、前記第一表面と前記第二表面との間にあり、
前記集束電極は、操作中に、電界強度の最高点が前記第一位置に配置されるような形状に作られる、請求項14に記載のx線管。
【請求項16】
前記第二表面にわたる点は、前記アノードから実質的に等距離にある、請求項14に記載のx線管。
【請求項17】
前記電界エミッタ及び前記アノードは軸を形成し、
前記集束電極は、
前記軸に対して実質的に平行に延在する第一表面と、
前記軸に対して前記第一表面から離れて半径方向に延出する第二表面と、
前記軸に対して前記第一表面から離れて前記第二表面に向かい半径方向及び軸方向に延出する第三表面と、
前記第一表面と前記第三表面との間にある前記集束電極上の第一位置と、
前記第三表面と前記第二表面との間にある前記集束電極上の第二位置と、
を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のx線管。
【請求項18】
前記集束電極は、操作中に、電界強度の最高点が前記第二位置に配置されるような形状に作られる、請求項17に記載のx線管。
【請求項19】
アノードに向けて電子を放出するための手段と、
前記アノードに向けて前記電子を放出するための前記手段から放出された前記電子を集束させるための手段であって、
前記電子を集束させるための前記手段における電界強度を、前記電子を放出するための前記手段における電界強度を超えて高めるための手段、
を含む、前記電子を収束させるための前記手段と、
を含む、x線管。
【請求項20】
前記電子を集束させるための前記手段は、前記電子を放出するための前記手段に対して前記電子を集束させるための前記手段の最も近い部分よりも、前記電子を放出するための前記手段からさらに遠い前記電子を集束させるための前記手段上に電界強度の最大点を位置決めするための手段をさらに含む、請求項19に記載のx線管。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
x線システム内で使用されるX線管には、電界エミッタが含まれる場合がある。電界エミッタは、電界エミッタの構造により、特にアーク放電の影響を受けやすい場合がある。電界エミッタに影響するアークは、構造を劣化させ、または破壊し、最終的にはx線管を操作不能にする可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】いくつかの実施形態によるx線管のブロック図である。
図2】いくつかの実施形態によるx線システムのブロック図である。
図3】いくつかの実施形態による2つの表面の電極を備えたx線管のブロック図である。
図4】いくつかの実施形態による3つの表面の電極を備えたx線管のブロック図である。
図5】いくつかの実施形態による、突出部を有する集束電極を備えたx線管のブロック図である。
図6】いくつかの実施形態による集束電極の切り欠き図である。
図7】いくつかの実施形態による複数の電界エミッタ用の集束電極の切り欠き図である。
図8】いくつかの実施形態による集束電極を含むカソード組立体の断面図である。
図9】いくつかの実施形態によるx線撮影システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
いくつかの実施形態は、電界エミッタ及びアーク保護を備えたx線システム及びx線管に関する。電界エミッタは、構造上、特にアーク放電及び損傷を受けやすい場合がある。電界エミッタの相対的なサイズにより、通常であれば電界エミッタにおける電界強度が高まる可能性がある。電界強度が高まると、アークが発生し得る確率が高まる可能性があり、電界エミッタ上でアークが発生する確率が高まる可能性がある。以下にさらに詳細に説明されるように、集束電極の位置及び構造により、電界エミッタ上でアークが発生して損傷を引き起こし得る確率が低下し得る。さらに、アークが発生した場合、アークが発生する可能性が高い位置は、電界エミッタから遠くなるように制御され得る。その結果、アーク発生後もx線管が操作可能な状態を維持し得る確率が高くなり得る。
【0004】
図1は、いくつかの実施形態によるx線管のブロック図である。x線管100aは、アノード102、電界エミッタ104、及び集束電極106aを含む。アノード102は、入射電子に応答してx線を発生するように構成された構造体を含む。電界エミッタ104は、アノード102の方に向けられ得る電子ビームを発生するように構成される。電界エミッタ104は、様々なタイプのエミッタを含み得る。例えば、電界エミッタ104は、ナノチューブエミッタ、ナノワイヤエミッタ、Spindtアレイなどを含み得る。従来、ナノチューブは中空の中心を有する構造体の少なくとも一部を有し、ナノワイヤまたはナノロッドは実質的に中実のコアを有する。用語の使用を簡単にするために、本明細書で使用する場合、ナノチューブは、ナノワイヤ及びナノロッドも指す。ナノチューブは、アスペクト比が少なくとも100:1(長さ:幅または直径)のナノメートルスケール(nmスケール)の管状構造を示す。Spindtアレイは、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)などの電子発生材料を使用する小さな鋭い円錐形を有する個々の電界エミッタを含み得る。いくつかの実施形態では、電界エミッタ104は、純粋またはドープされた形態などで、炭素、金属酸化物(例えば、Al、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化マンガン(Mn、式中x及びyは整数である)、金属、硫化物、窒化物、及び炭化物のような引張強さが高く、熱伝導率が高い、導電性または半導電性材料から形成される。
【0005】
いくつかの実施形態では、電界エミッタ104は複数の電界エミッタを含み得る。例えば、電界エミッタ104は、数十から数百個、またはそれ以上の個別の電界エミッタ104を含んでもよい。各電界エミッタ104は、アノード102の方に向けられる電子ビームを発生するように構成され得る。各電界エミッタ104は、図1に示される集束電極対106a、106などの対応する集束電極106、またはユニタリ集束電極106の対応する開口部に関連付けられ得る。
【0006】
電界エミッタ104は、他のタイプのエミッタと比べてより大きい面積を有し得る。例えば、電界エミッタ104は、約10ミリメートル(mm)から約30mmの長さ、及び約2mmから約6mmの幅を有し得る。一例では、電界エミッタ104の長さは幅よりも少なくとも5倍大きい。相対的に面積が大きくなると、アノード102上の焦点スポットのサイズが大きくなる場合がある。焦点スポット上の入射電子によるアノード102の加熱がそのより大きい面積に広がり得ることで、アノード102の上の熱応力が低減するため、電子フラックスが高くなることなどが可能になる。さらに、電界エミッタ104は、他のエミッタと比較して、比較的低い電流フラックスを有し得る。より低いフラックスを補償するために、電界エミッタ104の面積を増大させてもよい。これらの態様により、電界エミッタ104の相対的な面積が大きくなる。相対的な面積が大きくなるということは、電界エミッタ104の周囲の局所的な電界強度がアノード102または管電圧により感受性があることを意味する。
【0007】
電界エミッタ104の相対的な面積が大きくなると、アークが発生する確率が高くなる可能性がある。電界エミッタ104の面積が増大するにつれて、アークを受ける可能性のある別の構造体の相対的な位置がアノード102からさらに離れることで、それら構造体上の電界強度が電界エミッタ104での電界強度と比較して低下する。その結果、電界エミッタ104でアークが発生し得る確率を高める可能性がある。電界エミッタ104は、それらの構造上、熱電子エミッタなどの他のタイプのエミッタよりもアーク放電により感受性がある場合がある。例えば、電界エミッタ104は、アークによって損傷を受ける可能性のある、薄層などの比較的小さい構造体を含む場合がある。
【0008】
したがって、電界エミッタは相反する設計上の問題を有する。電界エミッタ104は、その性質により、そして加熱の分散のために焦点スポットが大きいことが望ましいことにより、面積が大きくなり得る。しかしながら、その面積が増大すると、電界エミッタ104上でアーク放電が発生する確率が高まる。
【0009】
集束電極106aは、電界エミッタ104上でアーク放電が発生する確率を高めることを緩和し得る。その結果、アーク放電による電界エミッタ104への損傷の確率が低下しながら、電界エミッタ104の面積が大きくなることの利点を実現し得る。集束電極106aは、アノード102と電界エミッタ104との間に配置される。集束電極106aは、アノード102上の焦点スポットのサイズ及び/または形状を調整するように構成される。集束電極106aの少なくとも部分は、電界エミッタ104のどの部分よりもアノード102に近い。例えば、電界エミッタ104の任意の部分とアノード102の任意の部分との間の最短距離は、距離108であり得る。集束電極106aの部分からアノード102までの最短距離は、距離110であり得る。距離110は距離108よりも短い。
【0010】
集束電極106aまでの距離110が電界エミッタ104までの距離108よりも短いため、集束電極106aにおける電界強度は電界エミッタ104における電界強度よりも高くなり得る。その結果、電界エミッタ104上でアークが発生する確率は低下し得るが、集束電極106a上でアークが発生する確率は高まり得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、集束電極106aは、電界エミッタ104及びアノード102に対して配置され、操作中、カソード構造体上の電界強度の最高点が電界エミッタ104よりも集束電極106aに近くなるような形状に作られる。カソード構造体は、電界エミッタ104の電位である、またはその電位に近い構造体を含んでもよい。例えば、アノード102は(カソード構造体または接地に対して)約10~50キロボルト(kV)、約50~150kV、約50~450kVなどであってもよい。いくつかの実施形態では、これらの電圧は、マンモグラフィ、医用画像診断、産業用イメージング、爆発物検出、非破壊検査(NDT)などの特定の用途に関連付けられ得る。電界エミッタ104、集束電極106a、グリッド(図示せず)などのカソード構造体は、約-3kVから約1kVの電圧であってもよい。一般に、電界強度が高くなると、アークの確率が高くなり得る。その結果、x線管100aの設計は、局所的な電界強度の最大値を最小にすることを含む場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、電界強度の最高点は、設計によって生じることができ、特に、電界エミッタ104から離れて、オフセット、またはシフトすることができる。いくつかの実施形態では、電界強度の最高点での電界強度は、電界エミッタ104の上の最も高い電界強度の約8倍より大きくなり得る。いくつかの実施形態では、集束電極106aの構造により、電界強度の最高点での電界強度が、電界エミッタ104に最も近い集束電極106aの一部での電界強度よりも少なくとも約25%高くなり得る。
【0012】
図2は、いくつかの実施形態によるx線システムのブロック図である。x線システム200は、上述のx線管100aと同様のx線管100bを含み得る。x線管100bは、真空筐体212を含んでもよく、アノード102、電界エミッタ104、及び集束電極106bは真空筐体212の内部202a内に配置される。
【0013】
x線システム200は、真空筐体212の外部202bの上に配置された電圧源204を含み得る。電圧源204は、x線システム200用の複数の電圧を発生するように構成され得る。例えば、電圧源204は、電界エミッタ104用の1つ以上の電圧206、アノード102用の高電圧208、集束電極106用の集束電極電圧210などを発生するように構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、集束電極106bは接地してもよい。すなわち、集束電極電圧210は0Vまたはほぼ0Vであってもよい。真空筐体212の一部、x線管100bのハウジングなどは接地してもよい。集束電極106bはその接地を共有してもよい。いくつかの実施形態では、電圧源204はその接地を共有してもよい。その結果、アークは、集束電極106bを通して放電すると、電荷を接地に向け得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、集束電極106bは接地とは異なる電圧210であってもよい。例えば、電圧源204は、可変電圧を集束電極106bに印加するように構成され得る。電圧源204は、集束電極電圧210での所望の可変性を許容するにもかかわらず、発生する可能性のあるアークに対応するためのスパークギャッププロテクタまたは他の回路を含んでもよい。
【0016】
図3は、いくつかの実施形態による2つの表面の電極を備えたx線管のブロック図であり、集束電極の2つの表面302、306は、アノードとは反対側を向いている他の2つの表面308、310よりも高い電界強度を有する。x線管100cは、x線管100a~bと同様であってもよい。しかしながら、集束電極106cは特定の構造を有していてもよい。
【0017】
集束電極106cは、軸300に対する構造を有してもよい。電界エミッタ104及びアノード102は軸300を形成し得る。軸300は、電界エミッタ104から放出されてアノード102の方に進行する電子の一般的な方向にアライメントされてもよい。この例では、軸300はY軸に沿って延在し得る。軸300に対して軸方向に延在する構成要素は、Y軸沿いに何らかの構成要素を有する場合がある。いくつかの実施形態では、軸方向に延在する構成要素は、軸方向のみまたはY軸沿いにのみ延在してもよいが、他の軸方向に延在する構成要素は、半径方向、すなわち、軸300、またはX-Z平面に平行なY軸に垂直に延在し、X軸沿いに延在し、Z軸沿いに延在するなど、何らかの部分を有し得る。
【0018】
集束電極106cは少なくとも2つの表面を含む。ここでは、2つの表面302及び304は一例として使用される。第一表面(または電界エミッタ垂直面またはビーム整形面)302は、軸300、または電界エミッタ104の放出面に対して実質的に平行に延在する。表面302は、操作時にアノード102上に焦点スポットを整形する構造体を備えたビーム整形面を含んでもよい。表面302は、電界エミッタ104からの電子をアノード102上に集束させるための電界の整形の大部分に寄与し得る。表面304などの他の表面も何らかの影響を与える可能性があるが、表面304の相対的な寄与は表面302のものよりも小さい。
【0019】
集束電極106cの第二表面(またはアノードに面する平行面)304は、第一表面302から離れて軸から半径方向に延出する。いくつかの実施形態では、第二表面304は、実質的に軸方向の構成要素のない、第一表面302からX-Z平面に平行に離れて半径方向にのみ延出するように形成される。その結果、第一表面302及び第二表面が接合する位置306は、約90度の角度であり得る。第二表面304は、アノード102に最も近い表面であってもよい。操作中、電界強度の最高点は、第一表面302が第二表面304に接合する位置に配置される。集束電極106cが同じ電位であり得るため、表面302沿いの電界強度は、第一表面302及び第二表面304が接合する位置306の電界強度よりも必然的に低くなり得る。さらに、位置306の比較的鋭い特徴により、電界が電界内の導体の角部または縁部の周囲に集中するため、局所的な電界強度が高まる可能性がある。その結果、発生する可能性のあるアークは、電界エミッタ104ではなく位置306で発生する確率が高くなり得る。
【0020】
一例として90度の角度が使用されているが、他の実施形態では、角度は異なってもよい。例えば、角度は、カソード構造体上の電界強度の極大値が位置306で発生するような範囲内で大きくてもよく、または小さくてもよい。
【0021】
図4は、いくつかの実施形態による3つの表面の電極を備えたx線管のブロック図であり、集束電極の3つの表面402、404、406は、アノードとは反対側を向いている他の表面414、416よりも高い電界強度を有する。x線管100dは、x線管100a~cと同様であってもよい。しかしながら、集束電極106は、より高い電界強度を有する少なくとも3つの表面を含んでもよい。第一表面(または電界エミッタ垂直面またはビーム整形面)402は、x線管100cの集束電極106cの第一表面302と同様であってもよい。第一表面402は、焦点スポットに影響するビーム整形面であってもよい。
【0022】
第三表面(またはアノード対向面)408は、第一表面402から離れてX-Z平面に平行な半径方向に延出し得、集束電極106cの第二表面304と同様の位置(または内側角部または内側隅部)406で第一表面402に接合される。しかしながら、第三表面408は、Y軸に沿った軸300に対して第一表面402から離れて軸方向にも延出する。この実施形態では、第三表面408の軸方向の延出は、アノードに向かう方向である。その結果、位置406における第一表面402及び第三表面408の角度は90度より大きくなり得る。位置406における角度がより大きい場合、位置406における電界強度は、90度の角度と比較して低下する可能性がある。第一表面402と同様に、第三表面408は、ビーム整形面であり、操作時にアノード102の焦点スポット上に所望の軌跡を有する所望の断面に電子ビームを整形するのに役立つ。
【0023】
さらに、集束電極は、第二表面(またはアノードに面する平行面)404を含む。第二表面404は、位置(または外側角部または外側隅部)410で第三表面408に接合する。第二表面404は、軸300に対して第三表面408から離れて延出する。結果として得られた構造により、表面402を介した焦点スポットの制御だけでなく、位置406での角度、第三表面404の長さ、及び位置410での角度だけ電界エミッタ104からさらに離れた電界強度のより高い点の位置決めも可能になる。
【0024】
例えば、線412は、アノード102から等距離にある点である。第三表面408が第二表面404に接合する位置410は、等距離線412にあってもよい。しかしながら、位置406は、等距離線412よりもアノード102から遠くにあってもよい。結果として、位置406における電界強度は、位置410における電界強度よりも低くなり得る。電界強度の最高点は、第三表面408が第二表面404に接合する位置410に配置され得る。
【0025】
さらに、位置410における第三表面408に対する第二表面404の角度は、第二表面404に沿った他の点が点410よりもアノード102から遠くにあるように決定され得る。結果として、表面404に沿った電界強度は、位置410における電界強度よりも低くなる可能性がある。集束電極106dに沿った電界強度は、位置410では極大値であり得る。あらゆるアーク放電は、電界エミッタ104により近いものを含む集束電極106dに沿った他の位置ではなく、位置410で発生し得る。電界エミッタに対して位置306(図3)が非常に近いため、電界強度が最も高い位置306でのアーク放電は、依然として電界エミッタ104などの周囲の特徴に漏れ、または発生し、電界エミッタ104に損傷を与える可能性がある。最も高い電界強度を電界エミッタ104から離れた位置410(図4)に移動させると、電界強度が最も高い位置410でのアーク放電が電界エミッタ104に漏れるまたは発生する尤度が低下するため、アーク放電による電界エミッタ104の損傷の尤度が低下する。アノード102から離れた同様の距離にある同様のサイズの集束電極106c、106dの場合、角度が鋭角になっているまたは狭くなっている位置306(図3)は、角度が広い位置410(図4)よりも電界強度が高いアノード102に近くなり得る。そのため、集束電極106cは、改善されたビーム整形及び集束特性を有することができるが、アークと、アークによって引き起こされる電界エミッタ104などのカソード構造体への損傷との尤度が高くなる。
【0026】
いくつかの実施形態では、電界エミッタ104のどの部分よりもアノード102に近い(例えば、電界強度が最も高い)集束電極106dの部分または位置(例えば、410)は、集束電極106dの別の部分(例えば、402、406、408)よりも電界エミッタ104の中心から遠くなる。例えば、電子ビームに面する表面402など、集束電極106dのビーム整形面は(電界強度が最も高い)集束電極106dのその部分または位置(例えば、410)よりも電界エミッタ104の中心に近くなってもよい。集束電極106dが単一電位であってもよいため、電界強度は、ビーム整形面(例えば、402、404、408)よりもアノード102に近い集束電極106dの部分または位置(例えば、410)で高くなる。
【0027】
図5は、いくつかの実施形態による、突出部を有する集束電極を備えたx線管のブロック図である。x線管100eは、上述のx線管100a~dと同様であってもよい。集束電極106eは、表面402、404、及び408、ならびに位置406及び410と同様である、対応する位置506及び510を有する表面502、504、及び508を含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、集束電極106eは突出部514を含む。突出部は、第三表面508からアノード102に向かい延出する。突出部514は、電界エミッタ104のどの部分よりもアノード102に近い集束電極106eの部分を含む。突出部514の部分は、アノード102から等距離の線512にある。集束電極106eの他のすべての部分は、突出部514のその部分よりもアノード102から遠くにある。
【0029】
いくつかの実施形態では、突出部514は、局所の最小半径に関連付けられる。図5に示される、突出部514の角部での半径Rが小さくなるにつれて、特定の特徴はより鋭くなる。局所の半径Rは、ゼロに近づいてもよく、または鋭い角部に近づいてもよい。特徴が鋭くなったり、半径が小さくなったりなどすると、その領域に電界がさらに集中する可能性がある。突出部514は、電界エミッタ104に近い集束電極106eの部分からオフセットされてもよい。その結果、電界強度が高くなる位置は、電界エミッタ104からオフセットされる可能性がある。突出部514の位置は、電界強度が高くなる位置、したがってアークが発生する可能性のある位置の制御を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、突出部514は、位置506よりも位置510またはその近くに配置され得る。したがって、アークが発生しやすい突出部514は、電界エミッタ104からさらに離れている可能性がある。
【0031】
いくつかの実施形態では、突出部514以外の第三表面508にわたる点は、アノード102から実質的に等距離にある。結果として、これらの点に沿った電界強度は実質的に同じである可能性がある。しかしながら、突出部514は表面504と同じ電位であるため、突出部514における電界強度は必然的に高くなる可能性がある。
【0032】
突出部514を含む集束電極106の一例として集束電極106dと同様の集束電極106eを使用したが、他の実施形態では、他の集束電極106が突出部514を含んでもよい。例えば、集束電極106eは、図3の集束電極106cと同様の構造体を含んでもよいが、集束電極106eの表面からアノード102に向かい延出する突出部514を有する。
【0033】
図6は、いくつかの実施形態による集束電極の切り欠き図である。上述のように、複数の電界エミッタ104が存在してもよい。集束電極106fは、複数の開口部620を含む。各開口部620は、複数の電界エミッタ104のうちの1つに関連付けられる。電界エミッタ104のそれぞれについて、集束電極106fのある点は、その電界エミッタ104よりもアノード102に近い。開口部620は、上述の第一表面302、402、502などと同様の第一表面602を有し得る。集束電極106fは、上述の第二表面304、404、及び504と同様の第二表面604を含み得る。
【0034】
開口部620が電界エミッタと1対1で関連付けられるものとして説明されているが、他の実施形態では、各開口部620は複数の電界エミッタに関連付けられてもよい。しかしながら、集束電極106fは、それにもかかわらず、それらの電界エミッタ104のいずれよりも、図1~5のアノード102などのアノードに近い点を有し得る。
【0035】
図7は、いくつかの実施形態による複数の電界エミッタ用の集束電極の切り欠き図である。集束電極106gは、部分106g-1と106g-2との間に形成された単一開口部702を含む。複数の電界エミッタ104が単一開口部702内に配置される。いくつかの実施形態では、フレーム704は電界エミッタ104の間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、フレーム704は接地してもよく、または集束電極106gと同じ電位であってもよい。集束電極106gは、上述の集束電極106と同様の断面を有してもよい。例えば、集束電極106gは、上述の集束電極106a~eと同様の、断面を有してもよく、突出部などを含んでもよい。
【0036】
図8は、いくつかの実施形態による集束電極を含むカソード組立体の断面図である。カソード組立体800は基板830を含む。基板830は、セラミック基板または他の絶縁基板を含み得る。銅層などの導電層836は基板830上に配置される。上述のようなカーボンナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッドなどのエミッタ844は導電層836上に配置され得る。1つのエミッタ844が示されているが、図7の電界エミッタ104と同様に複数のエミッタ844が存在してもよい。グリッド834は、エミッタ844の上に配置され得る。導電層836とグリッド834との間に電圧を印加して、エミッタ844から電子を発生させてもよい。グリッド834は、図示のように電子がメッシュなどのグリッドを通過する遮蔽タイプであることができ、または電子が開いたアパーチャを通過する非遮蔽タイプ(図示せず)であることができる。
【0037】
図7のフレーム704と同様のフレーム838は、基板830の上に配置され得る。フレーム838は、電子ビームの集束にも寄与し得る。フレーム838は、グリッド834などの他の構成要素に構造上の支持を与え得る。スペーサ(図示せず)は、フレーム838及びグリッド834を分離してもよく、スペーサは導電性または絶縁性であってもよい。フレーム838は、複数のエミッタ844に関連付けられた複数の開口部838'を含み得る。
【0038】
スペーサ840は、フレーム838及び基板830を分離してもよい。スペーサ840は、導電性であってもよく、または絶縁性であってもよい。フレーム838は、導電性材料を含み得る。第二スペーサ842はフレーム838の上に配置される。第二スペーサ842は、導電性であってもよく、または絶縁性であってもよい。集束電極106hは、第二スペーサ842の上に配置される。集束電極106hは、上述の集束電極106a~gと同様であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、集束電極は、図7の部分106g-1及び106g-2と同様の第一部分106h-1及び第二部分106h-2を含み得る。複数の開口部838'は、部分106h-1と106h-2との間に配置され得る。部分106h-1及び106h-2は、エミッタ844に沿って、例えばZ方向に平行に延在し得る。
【0040】
スペーサ842は絶縁性であってもよいが、いくつかの実施形態では、スペーサ842は導電性であってもよく、または省略されてもよい。したがって、集束電極106h及びフレーム838は同じ電位であってもよい。
【0041】
グリッド834またはフレーム838は、アークによる損傷からの何らかの保護をエミッタ844に提供してもよい。しかしながら、グリッド834及びフレーム838はエミッタ844に比較的近接しており、アークの電位が高いため、保護は最小限でよい。例えば、フレーム838は、エミッタ844から約200マイクロメートル(μm)離れていてもよい。エミッタ838に近接しているため、フレーム838または取り付けられたグリッドは、アークによって引き起こされるあらゆる溶融金属または金属蒸気による損傷を軽減することができなくなる。さらに、フレーム838の近くでアークが発生する場合、スペーサ842または他の構造体の材料が損傷する可能性がある。したがって、アークが発生する可能性のある位置を集束電極106h上のエミッタ844及びフレーム838からさらに遠ざけることにより、アークによってエミッタ844、フレーム838、スペーサ842、または他の同様の構造体に発生する可能性のある損傷を減少させ得る。
【0042】
図9は、いくつかの実施形態によるx線撮影システムのブロック図である。x線撮影システム900は、x線源902及び検出器910を含む。x線源902は、上記のようにx線管100a~eと同様であってもよい。x線源902は、x線920が検体922を通過するように発生し得、検出器910によって検出され得るように、検出器910に相対して配置される。いくつかの実施形態では、検出器910は、医用イメージングシステム、非破壊検査システムなどの一部である。他の実施形態では、x線撮影システム900は、貨物走査システムの一部として可搬式車両走査システムを含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態は、x線管を含み、このx線管は、放出面を有する電界エミッタ104、アノード102、及び電界エミッタ104とアノード102との間に配置された集束電極106、106a~hを含み、集束電極106、106a~hは、電界エミッタ104の放出面に実質的に垂直であり、電界エミッタ104に最も近い第一表面302、402、502、602と、アノード102に軸方向に最も近い第二表面304、404、504、604であって、電界エミッタ104及びアノード102は軸を形成する、第二表面304、404、504、604と、第一表面302、402、502、602と第二表面304、404、504、604との間に延在する第三表面308、408、508と、第一表面302、402、502、602と第三表面308、408、508との間の集束電極106、106a~hの上の第一位置406、506であって、第三表面308、408、508と第二表面304、404、504、604との間の集束電極106、106a~hの上の第二位置410、510よりもアノード102から遠くにある、第一位置406、506とを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、集束電極106、106a~hの上の第二位置410、510は、集束電極106、106a~hの別の部分よりも電界エミッタ104の中心から遠い。
【0045】
いくつかの実施形態では、集束電極106、106a~hは接地する。
【0046】
いくつかの実施形態では、集束電極106、106a~hは、アノード102に向かい延出する突出部514をさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、突出部514は、集束電極106、106a~hの上の第一位置406、506よりも集束電極106、106a~hの上の第二位置410、510及びアノード102に近い。
【0048】
いくつかの実施形態では、集束電極106、106a~hは、操作中、電界強度の最高点が第二位置410、510に配置されるような形状に作られる。
【0049】
いくつかの実施形態では、第二表面304、404、504、604は、軸に対して第一表面302、402、502、602から離れて半径方向及び軸方向に延出する。
【0050】
いくつかの実施形態では、x線管は、カソード構造体をさらに含み、このカソード構造体は、電界エミッタ104が基板上に配置される基板と、電界エミッタ104の上の基板の上に配置されるフレームと、集束電極106、106a~hであって、フレームの上に配置される、集束電極106、106a~hとを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、電界エミッタ104は、基板上に配置された複数の電界エミッタ104sの1つであり、フレームは複数の開口部を含み、各開口部は複数の電界エミッタ104sのうちの1つに対応し、集束電極106、106a~hは、第一部分及び第二部分を含み、フレームの開口部は、第一部分と第二部分との間に配置される。
【0052】
いくつかの実施形態では、第二表面304、404、504、604にわたる点は、アノード102から実質的に等距離にある。
【0053】
いくつかの実施形態は、x線管を含み、このx線管は、電界エミッタ104を有するカソード構造体800と、アノード102と、電界エミッタ104とアノード102との間に配置された集束電極106、106a~hとを含み、集束電極106、106a~hは、電界エミッタ104及びアノード102に対して配置され、集束電極106、106a~hは、操作中、カソード構造体上の電界強度の最高点が電界エミッタ104よりも集束電極106、106a~hに近くなるような形状に作られる。
【0054】
いくつかの実施形態では、電界強度の最高点は、集束電極106、106a~hの別の部分よりも電界エミッタ104の中心から遠い。
【0055】
いくつかの実施形態では、集束電極106、106a~hは接地する。
【0056】
いくつかの実施形態では、電界エミッタ104及びアノード102は軸を形成し、集束電極106、106a~hは、軸に実質的に平行に延在する第一表面302、402、502、602、軸に対して第一表面302、402、502、602から離れて半径方向に延出する第二表面304、404、504、604を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、集束電極106、106a~hの上の第一位置は、第一表面302、402、502、602と第二表面304、404、504、604との間にあり、集束電極106、106a~hは、操作中に、電界強度の最高点が第一位置に配置されるような形状に作られる。
【0058】
いくつかの実施形態では、電界エミッタ104及びアノード102は軸を形成し、集束電極106、106a~hは、この軸に対して実質的に平行に延在する第一表面302、402、502、602と、軸に対して第一表面302、402、502、602から離れて半径方向に延出する第二表面304、404、504、604と、軸に対して第一表面302、402、502、602から離れて第二表面304、404、504、604に向かい半径方向及び軸方向に延出する第三表面308、408、508と、第一表面302、402、502、602と第三表面308、408、508との間の集束電極106、106a~hの上の第一位置306、406、506と、集束電極106、106a~hの上にあり、第三表面308、408、508と第二表面304、404、504、604との間にある第二位置410、510とを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、集束電極106、106a~hは、操作中、電界強度の最高点が第二位置410、510に配置されるような形状に作られる。
【0060】
いくつかの実施形態では、第二表面304、404、504、604にわたる点は、アノード102から実質的に等距離にある。
【0061】
いくつかの実施形態は、x線管を含み、このx線管は、電子をアノードに向けて放出するための手段、及び電子をアノードに向けて放出するための手段から放出された電子を集束させるための手段を含み、電子を集束させるための手段は、電子を集束させるための手段での電界強度を、電子を放出するための手段での電界強度を超えて高めるための手段を含む。
【0062】
アノードに向けて電子を放出するための手段の例には、カソード構造体800、電界エミッタ104、グリッド834などが含まれる。一例では、アノードに向けて電子を放出するための手段は、少なくとも3つの電界エミッタ104を含むことができる。
【0063】
電子をアノードに向けて放出するための手段から放出された電子を集束させるための手段の例には、集束電極106、106a~h、及びフレーム704、838が含まれる。
【0064】
電子を集束させるための手段での電界強度を、電子を放出するための手段での電界強度を超えて高めるための手段の例は、表面302、402、502、602,408、508、位置または縁部406、506、突出部514などを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、電子を集束させるための手段は、電子を放出するための手段に対して電子を集束させるための手段の最も近い部分よりも、電子を放出するための手段からさらに遠い電子を集束させるための手段の上に電界強度の最大点を位置決めするための手段をさらに含む。電子を放出するための手段に対して電子を集束させるための手段の最も近い部分よりも、電子を放出するための手段からさらに遠い電子を集束させるための手段の上に電界強度の最大点を位置決めするための手段の例は、位置410及び510、突出部514などを含む。
【0066】
いくつかの実施形態は、カソード800からアノード102に向けて電子を放出することと、放出された電子を集束電極106でアノード102に向けて集束させることと、集束電極106における電界強度を、カソード800における電界強度を超えて高めることとを含む、方法を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、電界強度の最大点は、カソード800に対して集束電極106の最も近い部分よりも、カソード800からさらに遠い集束電極106の上に位置決めされる。
【0068】
構造、デバイス、方法、及びシステムを特定の実施形態に従って説明しているが、当業者は、特定の実施形態に対する多くの変形が可能であることを容易に認識し、したがって、任意の変形は、本明細書で開示した趣旨及び範囲内にあると考えられるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更が行われ得る。
【0069】
この書面での開示に続く特許請求の範囲は、ここで本書面での開示に明確に組み込まれ、各請求項はそれ自体で個別の実施形態として成立する。この開示には、従属クレームを伴う独立クレームのすべての置換が含まれる。さらに、以下の独立請求項及び従属請求項から派生することが可能である追加の実施形態も、本書面での説明に明示的に組み込まれる。これらの追加の実施形態は、所与の従属請求項の依存関係を語句「請求項[x]で始まり、この請求項の直前の請求項で終わる請求項のいずれか」に置き換えることによって決定され、ここで、括弧付きの用語「[x]」は、直近に記載した独立請求項の番号に置き換えられる。例えば、独立請求項1で始まる第1の請求項の組について、請求項4は請求項1及び3のいずれかに従属し、これらの別々の従属関係によって2つの異なる実施形態を得ることができ、請求項5は請求項1、3または4のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって3つの異なる実施形態を得ることができ、請求項6は請求項1、3、4または5のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって4つの異なる実施形態を得ることができる、などである。
【0070】
特徴または要素に関する用語「第1」の請求項における記載は、第2の、または追加のそのような特徴または要素の存在を必ずしも示唆するものではない。存在する場合、ミ-ンズ・プラス・ファンクション形式で具体的に記載された要素は、米国特許法第112条(f)項に従って、本明細書で説明された対応する構造、材料または動作及びそれらの均等物を網羅するように解釈されることが意図される。排他的な所有または特権が請求される本発明の実施形態は、以下のように定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】