(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075218
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】給水加温システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20220101AFI20240527BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20240527BHJP
F24H 15/248 20220101ALI20240527BHJP
F24H 15/325 20220101ALI20240527BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240527BHJP
【FI】
F24H1/00 631A
F24H4/02 A
F24H15/248
F24H15/325
F24H1/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186493
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】井上 陽貴
(72)【発明者】
【氏名】小栗 司
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛史
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA26
3L122AA74
3L122AB22
3L122BB06
3L122DA15
3L122EA05
(57)【要約】
【課題】脱酸素装置の処理流量が多い場合であっても、脱酸素装置の後段に設置するバッファタンクの容量を抑制することができる給水加温システムを提供すること。
【解決手段】給水加温システム1は、給水タンク30にボイラ給水W2を供給する給水ラインL10,L20と、バッファタンク40bにボイラ給水W1を供給する給水ラインL40と、第1給水ラインL10を流通するボイラ給水W2を加熱する加熱装置61と、給水ラインL40を流通するボイラ給水W1から溶存酸素を除去する第1脱酸素装置81と、第1脱酸素装置81の上流側と、給水タンク30とを接続するバイパスラインL50と、バイパスラインL50を流通するボイラ給水W1から溶存酸素を除去する第2脱酸素装置82と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気ボイラ装置で使用するボイラ給水を温水化する給水加温システムであって、
ボイラ給水を貯留する給水タンクと、
前記給水タンクにボイラ給水を供給する第1給水ラインと、
前記給水タンクにボイラ給水を供給する第2給水ラインと、
前記第1給水ライン及び前記第2給水ラインのそれぞれの始端部が接続されるバッファタンクと、
前記バッファタンクにボイラ給水を供給する第3給水ラインと、
前記第1給水ラインを流通するボイラ給水を加熱する加熱装置と、
前記第3給水ラインを流通するボイラ給水から溶存酸素を除去する第1脱酸素装置と、
前記第1脱酸素装置の上流側の前記第3給水ラインと、前記給水タンクとを接続するバイパスラインと、
前記バイパスラインを流通するボイラ給水から溶存酸素を除去する第2脱酸素装置と、を備える給水加温システム。
【請求項2】
前記第1給水ラインの給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第1給水状態切替手段と、
前記第2給水ラインの給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第2給水状態切替手段と、
前記第3給水ラインの給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第3給水状態切替手段と、
前記バイパスラインの通水実行状態と通水停止状態とを切り替えるバイパス状態切替手段と、
前記給水タンク内の水位を検知する第1水位検知手段と、
前記バッファタンク内の水位を検知する第2水位検知手段と、
前記第1水位検知手段の検知水位に基づいて、前記第1給水状態切替手段、前記第2給水状態切替手段及び前記バイパス状態切替手段を制御すると共に、前記第2水位検知手段の検知水位に基づいて、前記第3給水状態切替手段を制御する制御手段と、を備える請求項1に記載の給水加温システム。
【請求項3】
前記第1脱酸素装置は、前記蒸気ボイラ装置の部分負荷運転時に必要な給水流量のボイラ給水を処理可能な能力を有する請求項1又は2に記載の給水加温システム。
【請求項4】
前記加熱装置は、電動式エアコンプレッサの熱回収により、前記第1給水ラインを流通するボイラ給水を加熱する請求項1又は2に記載の給水加温システム。
【請求項5】
前記加熱装置は、電気式ヒートポンプの熱出力により、前記第1給水ラインを流通するボイラ給水を加熱する請求項1又は2に記載の給水加温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水加温システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蒸気ボイラ装置の二酸化炭素排出量を削減する観点から、ボイラ給水を排熱により加温する給水加温システムが提案されている。ボイラ給水を温水化することで、化石燃料の消費量を減らそうというものである。例えば、特許文献1には、給油式エアコンプレッサで生成される圧縮熱含有流体(潤滑油及び圧縮空気)との熱交換により、ボイラ給水を加温するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、小型貫流式のボイラ装置では、水管の伝熱面にスケールが付着するのを防止するため、ボイラ給水として、水中の硬度成分を除去した軟化水が用いられる。さらに、水管の伝熱面が腐食するのを抑制するため、軟化水から溶存酸素を除去する脱酸素処理が行われることもある。軟化水の脱酸素処理には、中空繊維状の気体分離膜(中空糸膜)モジュールが使用されるが、内部灌流式の中空糸膜は、処理水側に過剰な背圧が掛かると破断しやすいという弱点がある。
【0005】
脱酸素処理された軟化水を圧縮熱含有流体で加熱し、所要温度の温水とするためには、熱回収用熱交換器に流通させる軟化水の流量調整が必要となる。例えば、脱酸素装置と熱回収用熱交換器を直結し、脱酸素装置の二次側に流量調整バルブを設置すると気体分離膜モジュールに背圧が生じるおそれがある。そこで、脱酸素装置の後段に大気開放されたバッファタンクを設置し、脱酸素処理された軟化水を一旦受水した後、バッファタンクから熱回収用熱交換器に軟化水を供給する構成が採用されている。この構成では、バッファタンクの二次側に流量調整バルブを設置するので、気体分離膜モジュールに背圧が掛かることはない。
【0006】
また、脱酸素装置は、蒸気ボイラ装置の全負荷運転時に必要な給水流量に見合う処理流量が得られるように能力選定されるため、蒸気ボイラ装置の設備容量が大きくなるほど、大型のバッファタンクの設置が必要になる。しかしながら、蒸気ボイラ装置は、稼働時間の大半で部分負荷運転(例えば、負荷率30~40%)されていることが多いため、大型バッファタンクの設置により、設置スペースの増大や、設備コストの上昇を招いている。
【0007】
そこで、本発明は、脱酸素装置の処理流量が多い場合であっても、脱酸素装置の後段に設置するバッファタンクの容量を抑制することができる給水加温システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、蒸気ボイラ装置で使用するボイラ給水を温水化する給水加温システムであって、ボイラ給水を貯留する給水タンクと、前記給水タンクにボイラ給水を供給する第1給水ラインと、前記給水タンクにボイラ給水を供給する第2給水ラインと、前記第1給水ライン及び前記第2給水ラインのそれぞれの始端部が接続されるバッファタンクと、前記バッファタンクにボイラ給水を供給する第3給水ラインと、前記第1給水ラインを流通するボイラ給水を加熱する加熱装置と、前記第3給水ラインを流通するボイラ給水から溶存酸素を除去する第1脱酸素装置と、前記第1脱酸素装置の上流側の前記第3給水ラインと、前記給水タンクとを接続するバイパスラインと、前記バイパスラインを流通するボイラ給水から溶存酸素を除去する第2脱酸素装置と、を備える給水加温システムである。
【0009】
また、給水加温システムは、前記第1給水ラインの給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第1給水状態切替手段と、前記第2給水ラインの給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第2給水状態切替手段と、前記第3給水ラインの給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第3給水状態切替手段と、前記バイパスラインの通水実行状態と通水停止状態とを切り替えるバイパス状態切替手段と、前記給水タンク内の水位を検知する第1水位検知手段と、前記バッファタンク内の水位を検知する第2水位検知手段と、前記第1水位検知手段の検知水位に基づいて、前記第1給水状態切替手段、前記第2給水状態切替手段及び前記バイパス状態切替手段を制御すると共に、前記第2水位検知手段の検知水位に基づいて、前記第3給水状態切替手段を制御する制御手段と、を備える。
【0010】
また、前記第1脱酸素装置は、前記蒸気ボイラ装置の部分負荷運転時に必要な給水流量のボイラ給水を処理可能な能力を有することが好ましい。
【0011】
また、前記加熱装置は、電動式エアコンプレッサの熱回収により、前記第1給水ラインを流通するボイラ給水を加熱する構成でもよい。
【0012】
また、前記加熱装置は、電気式ヒートポンプの熱出力により、前記第1給水ラインを流通するボイラ給水を加熱する構成でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、脱酸素装置の処理流量が多い場合であっても、脱酸素装置の後段に設置するバッファタンクの容量を抑制することができる給水加温システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る給水加温システムの構成を示す概略図である。
【
図2】温水タンクにおいて設定水位を示す模式図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る給水加温システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、本発明の給水加温システム1の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る給水加温システム1の構成を示す概略図である。給水加温システム1は、電動式エアコンプレッサ60から圧縮熱を回収することでボイラ給水W2を加熱して温水化し、その温水W3を蒸気ボイラ装置100に供給するシステムである。
【0016】
1.1 電動式エアコンプレッサの構成
本実施形態では、エアコンプレッサ60は、給油式のエアコンプレッサとして構成されており、外部から吸込んだ空気を圧縮機本体により圧縮して圧縮空気とし、これを各種の空圧機器などへ吐出することが可能である。圧縮機本体は、例えばツインスクリュ式の圧縮機構を有する。
【0017】
エアコンプレッサ60は、圧縮空気及び潤滑油(圧縮熱含有流体)から排熱を回収するための水冷式熱交換器62と、圧縮空気及び潤滑油(圧縮熱含有流体)から排熱を大気中に放出するための空冷式熱交換器63を備えている。水冷式熱交換器62は、水冷オイルクーラと水冷アフタークーラの2つの熱交換器から構成されている。水冷オイルクーラは、潤滑油と冷却水(ボイラ給水W2)との熱交換によって潤滑油を冷却しつつ、冷却水を温水化する。水冷アフタークーラは、圧縮空気と冷却水(ボイラ給水W2)との熱交換によって圧縮空気を冷却しつつ、冷却水を温水化する。水冷式熱交換器62は、後述する加熱装置61として機能する。一方、空冷式熱交換器63は、空冷オイルクーラと空冷アフタークーラの2つの熱交換器から構成されている。空冷式熱交換器63は、水冷式熱交換器62で熱回収できない場合に、潤滑油及び圧縮空気を冷却用空気との熱交換により冷却する。
【0018】
1.2 温水製造システムの構成
温水製造システム1は、給水タンク30、バッファタンク40a、第1給水ラインL10、第2給水ラインL20、第3給水ラインL40、バイパスラインL50、第1給水状態切替手段10、第2給水状態切替手段20、第3給水状態切替手段40、バイパス状態切替手段50、加熱装置61、第1水位検知手段31、第2水位検知手段43及び制御手段90を主に備えている。給水タンク30には、蒸気ボイラ装置100のボイラ給水として使用される温水W3が蓄えられる。この温水W3は、給水タンク50から蒸気ボイラ装置100に配水ラインL30を介して供給される。
【0019】
給水タンク50へのボイラ給水W2の供給は、第1給水ラインL10及び第2給水ラインL20を介して行われる。このボイラ給水W2は、後述するように原水W0を軟化処理したボイラ給水W1を更に脱酸素処理した水である。第1給水ラインL10の始端部は、給水設備(後述するバッファタンク40a等)に接続されており、終端部が給水タンク30に接続されている。第2給水ラインL20の始端部は、分岐点P1で第1給水ラインL10に接続され、終端部が合流点P2で第1給水ラインL10に接続されている。すなわち、第2給水ラインL20は、始端部が給水設備に接続され、終端部が給水タンク30に接続されていると見做すことができる。
【0020】
第1給水ラインL10には、給水タンク30に対する給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第1給水状態切替手段10が備えられている。第1給水状態切替手段10は、第1給水ラインL10の下流側に配置された第1給水弁11、及び上流側に配置され給水ポンプ12により構成されている。給水ポンプ12の吐出側には、アキュムレータ13が接続されている。
【0021】
第1給水弁11の下流側には、温水化された用水W2(温水W3)の温度を検知する温度検知手段14が設けられている。温度検知手段14は、例えば熱電対やサーミスタ等を利用した温度センサである。以下においては、温度検知手段14を温度センサ14と称する。なお、第1給水弁11及び温度センサ14は、水冷式熱交換器62と共に筐体内に収容し、電動式エアコンプレッサ60の熱回収ユニットとして構成されていてもよい。
【0022】
第2給水ラインL20には、給水タンク30に対する給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第2給水状態切替手段20が備えられている。第2給水状態切替手段20は、第2給水ラインL20に配置された第2給水弁21により構成されている。なお、給水ポンプ12は、第2給水ライン20に対してもボイラ給水W2を流通させるので、第2給水状態切替手段20の一部を構成している。
【0023】
第1給水ラインL10には、第1給水弁11とアキュムレータ13の間に加熱装置61が備えられている。加熱装置61は、電動式エアコンプレッサ60に付設されている水冷式熱交換器62である。加熱装置61は、電動式エアコンプレッサ60からの熱回収により、第1給水ラインL10を流通するボイラ給水W2を加熱する。
【0024】
給水タンク30には、第1水位検知手段31が備えられている。本実施形態では、第1水位検知手段31は、水位センサ31A及び水位センサ31Bにより構成されている。これらの水位センサ31A,31Bは、温水W3の圧力水頭をダイヤフラムおよび内部に充填されたシリコンオイルを介して、ダイヤフラム上に形成されたストレインゲージにより電気信号に変換し、この電気信号に基づいて水位を検知する。水位センサ31Aは、
図2に示す第1設定水位H1及び第2設定水位H2を検知する。水位センサ31Bは、
図2に示す第3設定水位H2及び第4設定水位H4を検知する。なお、圧力水頭の測定レンジが十分に大きい場合には、単一の圧力センサを第1水位検知手段31としてもよい。また、第1水位検知手段31は、上述の圧力式の水位センサに替えて、電極式、静電容量式、超音波式などの水位センサを使用することもできる。
【0025】
さらに、給水加温システム1には、給水設備として、蒸気ボイラ装置100に対するボイラ給水の水質調整及びバックアップ供給のため、バッファタンク40a、第4給水ラインL40及びバイパスラインL50が備えられている。バッファタンク40aには、第1給水ラインL10及び第2給水ラインL20の始端部が接続されている。
【0026】
バッファタンク40aには、給水源から延設された第3給水ラインL40が接続されている。給水源からは、水道水や工業用水等の原水W0が供給され、第3給水ラインL40を流通する過程で水処理が施される。また、第3給水ラインL40には、バッファタンク40aに対する給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第3給水状態切替手段41が備えられている。第3給水状態切替手段31は、第3給水ラインL40に配置された原水ポンプ42及び第3給水弁により構成されている。なお、第3給水弁は、後述する脱酸素ユニット80A~80Cのそれぞれに内蔵された流量調整弁である。原水ポンプ42は、脱酸素ユニット80A~80Cの親機のローカルコントローラにより駆動される。
【0027】
第3給水ラインL40には、水処理材を用いて原水W0の水質を調整する複数の水処理装置が備えられている。水処理装置は、上流側から順に、硬水軟化装置70、プレフィルタ装置71及び脱酸素装置80が配置されている。硬水軟化装置70は、陽イオン交換樹脂を用いて原水W0に含まれる硬度成分を除去し、軟化処理されたボイラ給水W1(軟化水)を得る装置である。プレフィルタ装置71は、糸巻きフィルタエレメント又は不織布フィルタエレメントを用いてボイラ給水W1に含まれる濁度成分をろ過する装置である。脱酸素装置80は、中空繊維状の気体分離膜(中空糸膜)モジュールを用いてボイラ給水W1に含まれる溶存酸素を除去し、脱酸素処理されたボイラ給水W2(脱酸素水)を得る装置である。
【0028】
本実施形態において、脱酸素装置80は、3基の脱酸素ユニット80A~80Cを設置して構成されている。脱酸素装置80は、蒸気ボイラ装置100の全負荷運転時に必要な給水流量のボイラ給水W1(軟化水)を脱酸素処理できる能力を有する。
【0029】
プレフィルタ装置71の下流において、第3給水ラインL40は、3本の入口ラインに分岐しており、この入口ラインのそれぞれに脱酸素ユニットの入水口が接続されている。また、各脱酸素ユニットの出水部には出口ラインが接続されており、3本の出口ラインが合流して第3給水ラインL40を形成している。
【0030】
脱酸素ユニット80A~80Cのそれぞれには、気体分離膜モジュールと流量調整弁が内蔵されている(符号省略)。さらには、気体分離膜のガス透過側を負圧にするための真空ポンプも搭載されている。中空糸膜モジュールは、概して背圧に弱く、二次側(出口ライン側)から背圧がかかると、中空糸膜が破断するおそれがある。そのため、バッファタンク40aは、気体分離膜モジュールの下流側に配置され、流量調整弁(第3給水弁)は、気体分離膜モジュールの上流側に配置されている。
【0031】
脱酸素ユニット80A~80Cは、1基(80A)が親機に設定される一方、残りの2基(80B,80C)が子機に設定されている。子機は、親機と同期・同調した動作を行う。すなわち、親機の流量調整弁が開放されるときには、子機の流量調整弁も開放され、親機の流量調整弁が閉鎖されるときには、子機の流量調整弁も閉鎖される。
【0032】
バッファタンク40aには、第2水位検知手段43及び第2圧力検知手段44が備えられている。第2水位検知手段43は、給水開始水位H1′及びこれよりも上位の給水停止水位H2′を検知する水位センサであり、前述の水位センサ31A,31Bと同様のものである。第2圧力検知手段44は、貯留水の低水位(渇水状態)を検知する圧力スイッチである。圧力スイッチは、例えば上位設定圧力の検知でオン動作し、下位設定圧力の検知でオフ動作する。以下においては、第2水位検知手段43を水位センサ43、第2圧力検知手段44を圧力スイッチ44と称する。水位センサ43の検知信号は、脱酸素ユニット80Aのローカルコントローラ(以下、ローカルコントローラAという)に入力される。圧力スイッチ44の検知信号は、制御手段90に入力される。また、ローカルコントローラAからは、原水ポンプ42に対して駆動信号が出力される。
【0033】
ここで、ローカルコントローラAは、水位センサ43の検知水位に基づいて第3給水状態切替手段41を制御する。
〔A1〕水位センサ43の検知水位が給水開始水位H1′まで下降した場合に、第3給水状態切替手段41を給水実行状態に切り替える。具体的には、第3給水弁(脱酸素ユニットの流量調整弁)を開放すると共に原水ポンプ42を駆動する。
〔A2〕水位センサ43の検知水位が給水停止水位H2′まで上昇した場合に、第3給水状態切替手段31を給水停止状態に切り替える。具体的には、第3給水弁(脱酸素ユニットの流量調整弁)を閉鎖すると共に原水ポンプ42を停止する。
【0034】
バイパスラインL50の始端部は、分岐点P3で第3給水ラインL40に接続され、終端部が合流点P4で第1給水ラインL10に接続されている。すなわち、バイパスラインL50は、始端部が脱酸素装置80の上流側に接続され、終端部が給水タンク30に接続されていると見做すことができる。さらに、バイパスラインL50には、給水タンク30に対する通水実行状態と通水停止状態とを切り替えるバイパス状態切替手段50が備えられている。バイパス状態切替手段50は、バイパスラインL50に配置された第4給水弁51により構成されている。
【0035】
給水加温システム1には、さらに制御手段90が備えられている。制御手段90は、第1水位検知手段31の検知水位に基づいて、第1給水状態切替手段10、第2給水状態切替手段20及びバイパス状態切替手段50を制御するシステムコントローラである。制御手段90には、第1水位センサ31A、第2水位センサ31B、温度センサ14及び圧力スイッチ44の検知信号が入力される。また、制御手段90からは、第1給水弁11、第2給水弁12及び第4給水弁51に対して駆動信号が出力される。
【0036】
前述のローカルコントローラAによるバッファタンク40aに対する給水制御は、制御手段90の機能としてもよい。この場合、水位センサ43の検知信号は、制御手段90に入力される。また、制御手段90からは、脱酸素装置80に運転信号が出力され、原水ポンプ42に駆動信号が出力される。制御手段90は、第3給水弁を開放するときは、脱酸素装置80に運転開始信号を送る一方、第3給水弁を閉鎖するときは、脱酸素装置80に運転停止信号を送る。
【0037】
1.3 温水製造システムのメイン給水制御
制御手段90による第1給水状態切替手段10及び第2給水状態切替手段20の制御について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、温水タンク30の設定水位を示す模式図である。
【0038】
第1給水状態切替手段10及び第2給水状態切替手段20の制御を切り替える基準水位として、温水タンク30に対して4段階の水位を設定する。各設定水位は、
図2に示す通り、第2設定水位H2>第4設定水位H4>第1設定水位H1>第3設定水位H3の関係となっている。第2設定水位H2と第4設定水位H4は、同じとしてもよい(H2=H4>L1>L3)。
【0039】
また、第4設定水位H4は、第1設定水位H1と同じ、又は第1設定水位H1よりも下位になるように設定してもよい。すなわち、第2設定水位H2>第1設定水位H1≧第4設定水位H4>第3設定水位H3の関係としてもよい。
【0040】
制御手段90は、第1水位検知手段31(第1水位センサ31A及び第2水位センサ31B)の検知水位に基づいて第1給水状態切替手段10及び第2給水状態切替手段20を制御する。
〔B1〕第1水位センサ31Aの検知水位が第1設定水位H1まで下降した場合に、第1給水状態切替手段10を給水実行状態に切り替える。具体的には、第1給水弁11を開放すると共に給水ポンプ12を駆動させる。
〔B2〕第1水位センサ31Aの検知水位が第1設定水位H1よりも上位の第2設定水位H2まで上昇した場合に、第1給水状態切替手段10を給水停止状態に切り替える。具体的には、第1給水弁11を閉鎖すると共に給水ポンプ12を停止させる。
〔B3〕第2水位センサ31Bの検知水位が第1設定水位H1よりも下位の第3設定水位H3まで下降した場合に、第2給水状態切替手段20を給水実行状態に切り替える。具体的には、給水ポンプ12の駆動を継続しつつ、第2給水弁21を開放する。
〔B4〕第2水位センサ31Bの検知水位が第3設定水位H3よりも上位の第4設定水位H4まで上昇した場合に、第2給水状態切替手段21を給水停止状態に切り替える。具体的には、給水ポンプ12の駆動を継続しつつ、第2給水弁21を閉鎖する。
【0041】
ここで、第1給水状態切替手段10を給水実行状態に切り替えることは、給水タンク30に加熱装置61で生成された温水W3を供給することを意味する。一方、第2給水状態切替手段20を給水実行状態に切り替えることは、給水タンク30に加熱されていないボイラ給水W2(冷水)を供給することを意味する。
【0042】
また、制御手段90は、第1給水状態切替手段10を給水実行状態に切替中、出湯温度一定制御を実行するのが好ましい。この出湯温度一定制御では、制御手段90は、温度センサ14の検知温度が目標温度(例えば70℃)になるように、第1給水弁11の開度を調整する。加熱装置61に流通させるボイラ給水W2の流量を調整することにより、給水タンク30に対して目標温度に調節された温水W3を供給することができる。
【0043】
また、制御手段90は、第1給水状態切替手段10又は第1給水状態切替手段20を給水実行状態に切替中、バッファタンク40aの渇水状態を検知して、給水ポンプ12の空運転を防止するのが望ましい。制御手段90は、給水ポンプ12の駆動中、圧力スイッチ44により低水位に相当する下位設定圧力が検知されると、給水ポンプ12を強制停止させると共に、第1給水弁11及び第2給水弁21を閉鎖する。
【0044】
1.4 温水製造システムのサブ給水制御
制御手段70によるバイパス状態切替手段50の制御について、
図2を参照しながら説明する。前述した通り、
図2は、給水タンク30において設定される水位を示している。
【0045】
バイパス状態切替手段50の制御を切り替える基準水位として、温水タンク30に対して2つの設定水位H5,H6を追加する。この設定水位は、
図2に示す通り、第3設定水位H3>第5設定水位H5、かつ第6設定水位H6>第5設定水位H5の関係となっている。第5設定水位H5及び第6設定水位H6は、第2水位センサ31Bにより検知される。
【0046】
制御手段90は、前述の〔B1〕から〔B4〕の制御に加えて、水位検知手段31(第2水位センサ31B)の検知水位に基づいてバイパス状態切替手段50及び第3給水状態切替手段41を制御する。なお、第3給水状態切替手段41の一部である第3給水弁(脱酸素ユニットの流量調整弁)は、ローカルコントローラAにより制御されることから、制御手段90は第3給水弁に対しては制御を行わず、原水ポンプ42のみに対して制御を行う。
〔B5〕第2水位センサ31Bの検知水位が第3設定値H3よりも下位の第5設定水位H5まで下降した場合に、バイパス状態切替手段50を通水実行状態に切り替えると共に、第3給水状態切替手段41を給水実行状態に切り替える。具体的には、第4給水弁51を開放すると共に原水ポンプ42を駆動する。
〔B6〕第2水位センサ31Bの検知水位が第5設定値H5よりも上位の第6設定水位H6まで上昇した場合に、バイパス状態切替手段50を通水停止状態に切り替えると共に、第3給水状態切替手段41を給水停止状態に切り替える。具体的には、第4給水弁51を閉鎖すると共に原水ポンプ42を停止する。
【0047】
1.5 加熱装置による熱回収制御
エアコンプレッサ60のローカルコントローラ(以下、ローカルコントローラBという)は、第1給水状態切替手段10の切替状態に応じて、加熱装置61(水冷式熱交換器62)による熱回収の有無を切り替える制御を実行する。具体的には、第1給水状態切替手段10を給水実行状態に切替中、圧縮空気及び潤滑油(圧縮熱含有流体)を水冷式熱交換器62(水冷オイルクーラ及び水冷アフタークーラ)に流通させる。また、第1給水状態切替手段10を給水停止状態に切替中、圧縮空気及び潤滑油(圧縮熱含有流体)を空冷式熱交換器63(空冷オイルクーラ及び空冷アフタークーラ)に流通させる。
【0048】
また、前述の〔B1〕及び〔B2〕の制御について、制御手段90に替えてローカルコントローラBに行わせるように構成してもよい。この場合、ローカルコントローラBに第1水位センサ31Aの検知信号が入力され、ローカルコントローラBから第1給水弁11及び給水ポンプ12に対して駆動信号が出力される。これにより、熱回収制御と給水制御を効果的に連携させることができる。
【0049】
また、ローカルコントローラBにより第1給水弁11を制御する場合、前述の出湯温度一定制御をローカルコントローラBに実行させてもよい。ローカルコントローラBを介して第1給水弁11の開閉操作(給水制御)と開度調節(出湯温度一定制御)を実行させると、制御機能の集約が可能になる。
【0050】
<第2実施形態>
以下、本発明の給水加温システム1の第2実施形態について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、第2実施形態に係る給水加温システム1の構成を示す概略図である。以下の説明では、第1実施形態と相違する点を中心に説明し、相違しない点についは、その説明を省略する。
【0051】
第2実施形態では、第1実施形態の脱酸素装置80に替えて、第1脱酸素装置81及び第2脱酸素装置82が備えられている。第1脱酸素装置81は、1基の脱酸素ユニット81Aから構成され、この脱酸素ユニット81Aは、第3給水ラインL40に配置されている。一方、第2脱酸素装置82は、2基の脱酸素ユニット82A,82Bから構成され、これらの脱酸素ユニット82A,82Bは、バイパスラインL50に配置されている。脱酸素ユニット82A,82Bは、それぞれ親機と子機に設定されており、両者は同期・同調した動作を行う。なお、脱酸素ユニット81A,82A,82Bは、第1実施形態の脱酸素ユニット80A~80Cと同じ機器構成である。
【0052】
第1脱酸素装置81は、蒸気ボイラ装置100の部分負荷運転時に必要な給水流量(例えば負荷率30~40%に相当する流量)のボイラ給水W1(軟化水)を脱酸素処理できる能力を有する。第2脱酸素装置82は、蒸気ボイラ装置の全負荷運転時に追加で必要な給水流量(例えば負荷率60~70%に相当する流量)のボイラ給水W1(軟化水)を脱酸素処理できる能力を有する。
【0053】
なお、第1脱酸素装置81及び第2脱酸素装置82に含まれる脱酸素ユニットの基数は一例であって、第1脱酸素装置81を2基の脱酸素ユニット、第2脱酸素装置82を4基の脱酸素ユニットのように構成してもよい。また、脱酸素ユニットに搭載される気体分離膜モジュールの本数を調節することにより、各脱酸素装置81,82の処理能力を変更してもよい。
【0054】
ところで、第1実施形態のバッファタンク40aは、3基の脱酸素ユニット80A~80Cの処理水を受水しなくてはならないため、比較的大型のパネルタンク等を設置する必要が生じる。これに対して、第2実施形態のバッファタンク40bは、1基の脱酸素ユニット81Aの処理水を受水すればよいので、バッファタンク40aに比べて1/3程度の容量とすれば足りる。
【0055】
脱酸素ユニット82A,82Bの流量調整弁は、第1実施形態の第4給水弁51に替わり、バイパス状態切替手段50を構成する要素である。そして、制御手段90は、第1実施形態の〔B5〕及び〔B6〕の制御に替えて、次の制御を実行する。
〔B5′〕第2水位センサ31Bの検知水位が第3設定値H3よりも下位の第5設定水位H5まで下降した場合に、バイパス状態切替手段50を通水実行状態に切り替えると共に、第3給水状態切替手段41を給水実行状態に切り替える。具体的には、脱酸素装置82に運転開始信号を送って第3給水弁(脱酸素ユニット82A,82Bの流量調整弁)を開放させると共に、原水ポンプ42に駆動信号を送る。
〔B6′〕第2水位センサ31Bの検知水位が第5設定値H5よりも上位の第6設定水位H6まで上昇した場合には、バイパス状態切替手段50を通水停止状態に切り替えると共に、第3給水状態切替手段41を給水停止状態に切り替える。具体的には、脱酸素装置82に運転停止信号を送って第3給水弁(脱酸素ユニット82A,82Bの流量調整弁)を閉鎖させると共に、原水ポンプ42に停止信号を送る。
【0056】
以上説明した第2実施形態の給水加温システム1によれば、以下の効果を奏する。
【0057】
(1)給水加温システム1は、蒸気ボイラ装置100で使用するボイラ給水W2を温水化する給水加温システム1であって、ボイラ給水W2を貯留する給水タンク30と、給水タンク30にボイラ給水W2を供給する第1給水ラインL10と、給水タンク30にボイラ給水W2を供給する第2給水ラインL20と、第1給水ラインL10及び第2給水ラインL20のそれぞれの始端部が接続されるバッファタンク40bと、バッファタンク40bにボイラ給水W1を供給する第3給水ラインL40と、第1給水ラインL10を流通するボイラ給水W2を加熱する加熱装置61と、第3給水ラインL40を流通するボイラ給水W1から溶存酸素を除去する第1脱酸素装置81と、第1脱酸素装置81の上流側の第3給水ラインL40と、給水タンク30とを接続するバイパスラインL50と、バイパスラインL50を流通するボイラ給水W1から溶存酸素を除去する第2脱酸素装置82と、を備える。
【0058】
第1脱酸素装置81で処理されたボイラ給水W2は、バッファタンク40bに一旦貯留された後、給水タンク30に供給される。一方、第2脱酸素装置82で処理されたボイラ給水W2は、バッファタンク40bを経由することなく、給水タンク30に直接供給される。これにより、バッファタンク40bは、第1脱酸素装置81の処理流量に対応できる容量とすればよいので、第1実施形態のシステム構成例よりも設置スペースを削減し、かつ設備コストを抑制することができる。
【0059】
また、バッファタンク40bに貯留されたボイラ給水W2は、加熱装置61を経由して給水タンク30に供給できるだけでなく、加熱装置61を経由せずに給水タンク30に供給することも可能である。そのため、ボイラ給水W2を加熱装置61で優先的に温水化することで、蒸気ボイラ装置100の燃料消費量を削減することができる。
【0060】
(2)上記(1)の給水加温システム1において、第1給水ラインL10の給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第1給水状態切替手段10と、第2給水ラインL20の給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第2給水状態切替手段20と、第3給水ラインL40の給水実行状態と給水停止状態とを切り替える第3給水状態切替手段41と、バイパスラインL50の通水実行状態と通水停止状態とを切り替えるバイパス状態切替手段50と、給水タンク30内の水位を検知する第1水位検知手段31と、バッファタンク40b内の水位を検知する第2水位検知手段43と、第1水位検知手段31の検知水位に基づいて、第1給水状態切替手段10、第2給水状態切替手段20及びバイパス状態切替手50を制御すると共に、第2水位検知手段43の検知水位に基づいて、第3給水状態切替手段41を制御する制御手段90(ローカルコントローラA等も含む)と、を備える。
【0061】
給水タンク30の増減及びバッファタンク40bの増減に応じて、各切替手段10,20,40,50が制御されることで、蒸気ボイラ装置100の運転負荷状態に追従してボイラ給水W2の補給が行われる。個別に補給されるボイラ給水W2は、それぞれが脱酸素処理されているため、蒸気ボイラ装置100の水管に生じる腐食を確実に抑制することができる。
【0062】
(3)上記(1)又は(2)の給水加温システム1において、第1脱酸素装置81は、蒸気ボイラ装置100の部分負荷運転時に必要な給水流量のボイラ給水W2を処理可能な能力を有する。
【0063】
バッファタンク40bは、蒸気ボイラ装置100の部分負荷運転時に必要な給水流量に対応できる容量とすればよいので、更なる省スペースやコスト低減を図ることができる。
【0064】
(4)上記(1)から(3)の給水加温システム1において、加熱装置61は、電動式エアコンプレッサ60の熱回収により、第1給水ラインL10を流通するボイラ給水W2を加熱する。
【0065】
圧縮空気の製造過程で生じる排熱を回収して温水W3を生成することにより、電動式エアコンプレッサ60の比エネルギーを高め、ランニングコストを削減することができる。
【0066】
(5)上記(1)から(3)の給水加温システム1において、加熱装置61は、電気式ヒートポンプの熱出力により、第1給水ラインL10を流通するボイラ給水W2を加熱する。
【0067】
ボイラ給水W2を電気式ヒートポンプで加熱して温水W3を生成することにより、蒸気ボイラ装置100の燃料消費量を最小化し、工場等のCO2排出量の削減に貢献することができる。
【0068】
<加熱装置の変形例>
第1実施形態及び第2実施形態おいて、加熱装置61は、電動式エアコンプレッサ60の熱回収により、第1給水ラインL10を流通するボイラ給水W2を加熱ように構成した。これに替えて、加熱装置61は、電気式ヒートポンプの熱出力により、第1給水ラインL10を流通するボイラ給水W2を加熱するように構成されていてもよい。
【0069】
電気式ヒートポンプは、蒸発器、圧縮機、凝縮器及び膨張弁が冷媒循環回路により接続され、電動圧縮機の駆動により凝縮器で温熱を取り出して水加熱することのできる装置である。ヒートポンプは、空気熱源型、水熱源型(地下水、廃温水など)のいずれでもよい。また、冷温水同時取り出しが可能なヒートポンプチラーでもよい。
【0070】
<電動式エアコンプレッサの変形例>
エアコンプレッサ60は、給油式に替えてオイルフリー式としてもよい。オイルフリー式では、ツインスクリュ式の二段圧縮機構を有するエアコンプレッサが例示される。このタイプにおいては、水冷式熱交換器62は、水冷インタークーラと水冷アフタークーラの2つの熱交換器から構成されている。水冷インタークーラは、1段目の圧縮機構で生成された圧縮空気と冷却水(用水W2)との熱交換によって圧縮空気を冷却しつつ、冷却水を温水化する。水冷アフタークーラは、2段目の圧縮機構で生成された圧縮空気と冷却水(用水W2)との熱交換によって圧縮空気を冷却しつつ、冷却水を温水化する。水冷式熱交換器62は、加熱装置61として機能する。一方、空冷式熱交換器63は、空冷インタークーラと空冷アフタークーラの2つの熱交換器から構成されている。空冷式熱交換器63は、水冷式熱交換器62で熱回収できない場合に、1段目及び2段目の圧縮空気を冷却用空気との熱交換により冷却する。
【0071】
<第1給水状態切替手段の変形例>
第1給水状態切替手段10は、送水側の圧力に応じて、自立的に給水ポンプ12の駆動と停止が切り替えられるように構成することもできる。具体的には、給水ポンプ12とアキュムレータ13の間に、上位設定圧力の検知でオン動作し、下位設定圧力の検知でオフ動作する圧力スイッチを設けるようにする。この構成における給水ポンプ12は、次のように動作する。
〔C1〕給水ポンプ12の停止中、制御手段90により、第1給水弁11と第2給水弁21のいずれかが開放された状態になると、アキュムレータ13の内部圧力が下降する。この圧力下降により下位設定圧力を圧力スイッチが検知する。そして、圧力スイッチのオン動作により、給水ポンプ12が駆動される。
〔C2〕給水ポンプ12の駆動中、制御手段90により、第1給水弁11と第2給水弁21の両方が閉鎖された状態になると、アキュムレータ13の内部圧力が上昇する。この圧力上昇により上位設定圧力を圧力スイッチが検知する。そして、圧力スイッチのオフ動作により、給水ポンプ12が停止される。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の変更、変形及び組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 給水加温システム
10 第1給水状態切替手段
11 第1給水弁
12 給水ポンプ
20 第2給水状態切替手段
21 第2給水弁
30 給水タンク
31 第1水位検知手段
40b バッファタンク
41 第3給水状態切替手段
42 原水ポンプ
50 バイパス状態切替手段
51 第4給水弁
60 電動式エアコンプレッサ
61 加熱装置
62 水冷式熱交換器
63 空冷式熱交換器
80 脱酸素装置(水処理装置)
90 制御手段
100 負荷設備
L10 第1給水ライン
L20 第2給水ライン
L40 第3給水ライン
L50 バイパスライン
W1 ボイラ給水
W2 ボイラ給水
W3 温水(ボイラ給水)