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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075793
(43)【公開日】2024-06-04
(54)【発明の名称】集合管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/02 20060101AFI20240528BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20240528BHJP
   F16L 41/08 20060101ALI20240528BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240528BHJP
   F16L 55/033 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
F16L41/02
E03C1/12 E
F16L41/08
F16L5/00 H
F16L55/033
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060812
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2022053401の分割
【原出願日】2017-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】木村 英治
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 総
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 武司
(57)【要約】
【課題】生産性を確保することができるとともに、集合管継手に容易に取付けることができる遮音カバーを提供する。
【解決手段】縦管に接続可能な縦管接続部13と、縦管接続部13の側面に突設されて横管を接続可能な横管接続部14と、を有する上部接続管11と、上部接続管11の下方に接続された下部接続管12と、を備えた集合管継手10を覆う遮音カバー20であって、可撓性を有し、上部接続管11に径方向の外側から巻きつけられる上部遮音カバー21と、管状をなし、下部接続管12が挿通される下部遮音カバー22と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮音カバーと、縦管に接続可能な縦管接続部と、前記縦管接続部の側面に突設されて横管を接続可能な横管接続部と、を有する上部接続管と、前記上部接続管の下方に接続された下部接続管と、を備えた集合管継手であって、
前記遮音カバーは、可撓性を有し、前記上部接続管に径方向の外側から巻きつけられた上部遮音カバーと、前記下部接続管を覆う下部遮音カバーと、を備え、
前記上部遮音カバーは、前記横管接続部が突設されていない前記上部接続管の側面において、横方向の両端部同士が径方向に重ね合わされた状態で接続され、
前記上部遮音カバーの横方向の両端部は、前記両端部に設けられた面ファスナーにより接続されている、
集合管継手。
【請求項2】
遮音カバーと、縦管に接続可能な縦管接続部と、前記縦管接続部の側面に突設されて横管を接続可能な横管接続部と、を有する上部接続管と、前記上部接続管の下方に接続された下部接続管と、を備えた集合管継手であって、
前記遮音カバーは、可撓性を有し、前記上部接続管に径方向の外側から巻きつけられた上部遮音カバーと、前記下部接続管が挿通された下部遮音カバーと、を備え、
前記下部遮音カバーは、上側が軸方向に同等の外径とされ、下側が下方に向かうに従い縮径した管状をなし、
前記下部遮音カバーの上端は、前記横管接続部より下において前記上部接続管の下端部を覆い、
前記下部遮音カバーの上端部は、前記横管接続部より下において前記上部遮音カバーにより被覆されている、
集合管継手。
【請求項3】
前記上部遮音カバーの下端は、前記上部接続管の下端よりも上方にある、請求項1または2に記載の集合管継手。
【請求項4】
前記下部接続管は、前記上部接続管の下方に接続された接続管部と、前記接続管部の下方に接続され、下方に向かうに従い縮径した傾斜管部を備え、
前記接続管部は、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の集合管継手。
【請求項5】
前記上部遮音カバーおよび前記下部遮音カバーのうちの少なくとも一方は、金属シートを含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の集合管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示すような遮音カバーが知られている。この遮音カバーは集合管継手を覆っている。集合管継手は、縦管に接続可能な縦管接続部と、縦管接続部の側面から突設されて横管を接続可能な横管接続部と、を備えている。また遮音カバーは、横管接続部の上下方向の中央部で分割されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5771514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の遮音カバーは、横管接続部における上下方向の中央部で分割されているので、横管接続部の口径や口数に応じて、製造するのに必要な金型を複数用意する必要があった。このため、金型投資費用がかかるとともに、テープ等を用いて分割部同士を接続するための作業が必要になり、生産性が劣るという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、生産性を確保することができるとともに、集合管継手に容易に取付けることができる遮音カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る遮音カバーは、縦管に接続可能な縦管接続部と、前記縦管接続部の側面に突設されて横管を接続可能な横管接続部と、を有する上部接続管と、前記上部接続管の下方に接続された下部接続管と、を備えた集合管継手を覆う遮音カバーであって、可撓性を有し、前記上部接続管に径方向の外側から巻きつけられる上部遮音カバーと、管状をなし、前記下部接続管が挿通される下部遮音カバーと、を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、遮音カバーが、上部接続管に径方向の外側から巻きつけられる上部遮音カバーを備えているので、縦管接続部と横管接続部とを有し、構造が複雑になりやすい上部接続管の外面を、簡易な構成で覆うことができる。また、遮音カバーが、下部接続管が挿通される下部遮音カバーを備えているので、下部接続管の外面を、遮音カバーにより覆う作業を容易に行うことができる。これらにより、遮音カバーの生産性を確保することができるとともに、集合管継手に容易に取付けることができる。
【0008】
また、本発明に係るカバー付き集合管継手は、前述した遮音カバーと、前記集合管継手と、を備えたカバー付き集合管継手であって、前記下部接続管には、第1係合部が形成され、前記下部遮音カバーには、前記第1係合部と軸方向に係合して、前記下部遮音カバーが下方に向けて抜けるのを防止する第2係合部が形成され、前記第1係合部および前記第2係合部は、周方向の位置が互いに合う状態で軸方向に係合するとともに、周方向の位置が互いに異なる状態で係合が解除されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、下部接続管に第1係合部が形成され、下部遮音カバーに第1係合部と軸方向に係合することで、下部遮音カバーが下方に向けて抜けるのを防止する第2係合部が形成されている。このため、第1係合部および第2係合部それぞれの周方向の位置を互いに異ならせることで、下部接続管の第1係合部に、遮音カバーの内側を、上方から下方に向けて通過させることができる。
また、第1係合部および第2係合部それぞれの周方向の位置を互いに合わせることで、下部遮音カバーが下部接続管から下方に向けて抜けるのを防ぐことができる。
【0010】
また、前記第1係合部のうち、前記第2係合部との当接部分には、前記下部接続管より硬度が低い緩衝材が配置されてもよい。
【0011】
この場合、第1係合部に緩衝材が配置されているので、集合管継手が内側の流水の影響等により振動した際に、その振動を緩衝材により吸収することができる。これにより、下部接続管に対する下部遮音カバーの位置がずれるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、生産性を確保することができるとともに、集合管継手に容易に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る集合管継手の正面図である。
図2図1に示す集合管継手を備えたカバー付き集合管継手を示す正面図である。
図3図2に示すカバー付き集合管継手の上面図である。
図4図2に示すカバー付き集合管継手のうち、上部接続管の背面図である。
図5図2に示す遮音カバーにおける上部遮音カバーの取付け前の状態を示す斜視図である。
図6図5に示す上部遮音カバーの正面図である。
図7図5に示す上部遮音カバーの上面図である。
図8図5に示す上部遮音カバーの側面図である。
図9図1に示す集合管継手のうち、上部接続管と下部接続管とを分離した状態を示す正面図である。
図10図9に示す集合管継手のうち、下部接続管を下部遮音カバーに挿通した状態を示す図である。
図11図10に示す集合管継手のうち、下部接続管と上部接続管とを連結した状態を示す図である。
図12図11に示す集合管継手のうち、上部接続管に上部遮音カバーを取付けた状態を示す図である。
図13図5に示す上部遮音カバーの変形例を示す横方向に沿う横断面図である。
図14図13に示す上部遮音カバーを集合管継手に取付けた状態の上面図である。
図15】本発明の第2実施形態に係るカバー付き集合管継手の一部正面図である。
図16図15に示す下部遮音カバーの横断面図である。
図17図15に示す下部接続管の横断面図である。
図18】本発明の第3実施形態に係る下部遮音カバーの斜視図である。
図19】本発明の第3実施形態に係る下部集合管の正面図である。
図20】本発明の第3実施形態に係るカバー付き集合管継手における一部縦断面図である。
図21】本発明の第4実施形態に係る下部集合管の正面図である。
図22】本発明の第4実施形態に係るカバー付き集合管継手における一部縦断面図である。
図23】本発明の第5実施形態に係るカバー付き集合管継手における一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図1から図14を参照し、本発明の第1実施形態に係るカバー付き集合管継手1について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、および厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0015】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るカバー付き集合管継手1は、集合管継手10と、この集合管継手10を覆う遮音カバー20と、を備えている。
集合管継手10は、上部接続管11と、上部接続管11に接続された下部接続管12と、を備えている。上部接続管11は、第1の縦管P1に接続可能な縦管接続部13と、縦管接続部13の側面に突設されて横管P3を接続可能な横管接続部14と、を有している。上部接続管11の上端部に第1の縦管P1が接続される。
【0016】
以下の説明において、縦管接続部13の中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、軸方向に沿う縦管接続部13の上部接続管11側を上方、下部接続管12側を下方という。また、軸方向から見た平面視で、中心軸線Oと直交する方向を径方向といい、軸方向から見た平面視で中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
横管接続部14は、図3に示すように、縦管接続部13の周壁から径方向の外側に向けて延びている。図示の例では横管接続部14は3つ配置されている。
3つの横管接続部14のうちの2つが中心軸線Oを径方向に挟む位置に各別に配置されている。残りの横管接続部14は、径方向のうち、前記2つの横管接続部14それぞれが延びる方向と、上面視で90°をなす方向に延びている。なお、このような態様に限られず、横管接続部14の数量および延びる方向は、任意に変更することができる。
図1に示すように、横管接続部14における径方向の外端部には、横管P3が各別に接続される接続環15が取付けられている。接続環15の外径は、横管接続部14の外径よりも大きくなっている。
【0018】
集合管継手10における上部接続管11および下部接続管12を、透明にしてもよい。これにより、上部接続管11および下部接続管12の接続状態を視認することができる。また、非熱膨張黒鉛や水酸化マグネシウムなどの難燃剤を配合しても良い。
【0019】
下部接続管12は、上方よりも下方が縮径された管状をなしている。下部接続管12は、上端部に位置し、上部接続管11の下方に接続される接続管部16と、接続管部16の下方に接続されるとともに、下方に向かうに従い漸次、縮径する傾斜管部17と、傾斜管部17の下端部に接続されるとともに、第2の縦管P2が接続される下側管部18と、を備えている。接続管部16、傾斜管部17、および下側管部18は、例えば合成樹脂材料の射出成形により一体に形成されている。
【0020】
接続管部16の外径は、上部接続管11における縦管接続部13の外径よりも小さくなっている。接続管部16の周壁が、縦管接続部13の内側に嵌合されている。傾斜管部17の上端部における外径は、接続管部16の外径よりも大きくなっている。
傾斜管部17の下端部における外径は、接続管部16の外径よりも小さくなっている。傾斜管部17の軸方向の大きさは、接続管部16の軸方向の大きさよりも大きくなっている。
【0021】
接続管部16は、ポリ塩化ビニル系樹脂と熱膨張性黒鉛とを含有する樹脂組成物を含有する。すなわち、接続管部16は、樹脂組成物を成形することによって作製される。通常、接続管部16は、樹脂組成物を押出成形することによって作製される。
接続管部16は、接続管部16の全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成されていればよい。例えば、接続管部16が、表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合には、中間層が樹脂組成物から形成されたものが挙げられ、表層、中間層、内層は前記吸熱剤を含有していてもよい。
【0022】
中間層は熱膨張性黒鉛を含有するため黒色を呈する。そのため、表層と内層は黒色以外の着色剤を含有させ、中間層と区別可能にしておくことが好ましい。
表層および内層の厚みとしては、それぞれ0.3mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.6mm以上1.5mm以下が好ましい。被覆層の厚みが0.3mm以上であれば、管としての機械的強度を充分に確保でき、3.0mm以下であれば、耐火性の低下を抑制できる。
また、接続管部16は、JIS K6741に記載の性能を満たすものであることが好ましい。
【0023】
下側管部18の外径は、接続管部16の外径よりも小さく、かつ傾斜管部17における下端部の外径よりも大きくなっている。下側管部18の軸方向の大きさは、接続管部16の軸方向の大きさよりも小さくなっている。下側管部18の内側に、第2の縦管P2が下方から嵌合されることにより、第2の縦管P2が下部接続管12に接続される。
【0024】
そして図2に示すように、本実施形態に係る遮音カバー20は、可撓性を有し、上部接続管11に径方向の外側から巻きつけられる上部遮音カバー21と、管状をなし、下部接続管12が挿通される下部遮音カバー22と、を備えている。
上部遮音カバー21および下部遮音カバー22は、例えば、改質アスファルトやエラストマー、ゴム、ポリオレフィン樹脂、軟質塩化ビニル樹脂等といった弾性を備えた材料をシート状に形成したものである。
【0025】
上部遮音カバー21および下部遮音カバー22は、炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の無機材料、鉄や鉛などの金属シート、金属粉などを含有していてもよい。また、厚さは1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上4.0mm以下がより好ましい。さらに、上部遮音カバー21および下部遮音カバー22の片面または両面に、合成繊維不織布やガラス繊維不織布等の表面材を積層してもよい。
【0026】
図5から図8に示すように、上部遮音カバー21は、正面視で縦方向よりも横方向に長い矩形帯状を呈する遮音カバー本体21Aを備えている。遮音カバー本体21Aは、縦方向が集合管継手10の軸方向と一致するように、上部接続管11に取付けられる。
上部遮音カバー21は、横管接続部14が嵌合される嵌合口24が形成された隆起部23を備えている。隆起部23は、遮音カバー本体21Aにおける軸方向の中央部に配置され、横方向に間隔をあけて複数配置されている。図示の例では、隆起部23は3つ配置されている。
【0027】
隆起部23は、上部遮音カバー21の表裏面が向く厚み方向の一方側に向けて隆起している。隆起部23は、遮音カバー本体21Aの表裏面のうち、集合管継手10の外周面と当接する面と反対側の表面から隆起している。複数の隆起部23はそれぞれ、平面視で略円形をなすとともに、横方向の中間部分が互いに接続されている。
隆起部23は、平面視における中央部に向かうに従い漸次、前記一方側に向けて延びている。嵌合口24は隆起部23における前記一方側の端部に形成されている。
【0028】
嵌合口24は、複数の隆起部23それぞれにおける横方向の中央部に各別に配置されている。嵌合口24は、正面視で楕円状をなし、長軸方向が縦方向と一致し、短軸方向が横方向と一致している。
そして嵌合口24は、横管接続部14が挿通されることにより、横方向に広げられて真円形状を呈する。嵌合口24の形状としてはこのような態様に限られず、例えば長円状や、ひし形状等であってもよい。
【0029】
図3および図4に示すように、上部遮音カバー21の横方向の両端部同士は、縦管接続部13の側面のうち、横管接続部14が突設されていない部分で互いに接続されている。上部遮音カバー21の横方向の両端部同士は、径方向に互いに重ね合わされた状態で、接着剤等により接続されている。なお、上部遮音カバー21の前記両端部同士は、接着剤に代えて、例えば接着性および止水性のあるブチルゴムテープ等の接着テープにより互いに接続されてもよい。また、両端部に設けられたファスナーや面ファスナー等により着脱可能に接続されてもよい。
【0030】
図3に示すように、上部遮音カバー21は、上部接続管11および横管接続部14の外径に沿って配置されている。隆起部23の内面と、集合管継手10の外面と、の間には、遮音層となる隙間CLが形成されている。
一方、上部遮音カバー21における嵌合口24周りには、隙間が生じていない。嵌合口24が拡がるように上部遮音カバー21を弾性変形させながら、横管接続部14が嵌合口24に挿通されているので、上部遮音カバー21の弾性復元力により、嵌合口24の内周縁部が、横管接続部14の外周面に密に当接するためである。
【0031】
図2に示すように、下部遮音カバー22の上側における外径は、軸方向の全域にわたって同等となっている。下部遮音カバー22の下側における外径は、下方に向かうに従い漸次、縮径している。下部遮音カバー22の上端部は、上部接続管11の下端部を覆っている。
【0032】
下部遮音カバー22の上端部は、上部遮音カバー21により径方向の外側から被覆されている。下部遮音カバー22の下端部の軸方向の位置は、下側管部18の軸方向における中間部の軸方向の位置と一致している。すなわち、下側管部18の下端部は、下部遮音カバー22により覆われることなく、外部に露出している。
【0033】
次に、集合管継手10への遮音カバー20の取付方法について説明する。
図9に示すように、集合管継手10は、上部接続管11と下部接続管12とが分離可能に形成されている。上部接続管11と下部接続管12とを分離した状態で、図10に示すように、下部接続管12を下部遮音カバー22に挿通する。この際、下部遮音カバー22の上方から、下部接続管12を下部遮音カバー22の内側に進入させる。
【0034】
次に、図11に示すように、上部接続管11における縦管接続部13の下端開口部に、下部接続管12における接続管部16を挿入して嵌合する。これにより、下部遮音カバー22の上端部が、上部接続管11の下端部を径方向の外側から覆う状態となる。またこの際、上部接続管11における横管接続部14には、接続環15が取付けられていない。
【0035】
次に、図12に示すように、上部接続管11に径方向の外側から上部遮音カバー21を巻きつける。この際、上部遮音カバー21の嵌合口24を横方向に広げて上部遮音カバー21を弾性変形させながら、横管接続部14を嵌合口24に各別に嵌合する。これにより、上部遮音カバー21が、上部接続管11に固定される。
最後に、横管接続部14における径方向の外端部に、接続環15を取付ける。接続環15の内側に横管接続部14を挿入して嵌合することで、横管接続部14に接続環15が固定される。
【0036】
次に、上部遮音カバー21の変形例について説明する。
図13に示すように、本変形に係る上部遮音カバー21の隆起部23には、厚み方向の一方側の端部に接続されるとともに、他方側に向けて窪む凹部27が形成されている。嵌合口24は、凹部27における横方向の中央部に各別に配置されている。
そして、図14に示すように、上部遮音カバー21における径方向の内側のうち、上面視で互いに隣り合う横管接続部14同士の間には、隙間CLが形成されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る遮音カバー20、およびカバー付き集合管継手1によれば、遮音カバー20が、上部接続管11に径方向の外側から巻きつけられる上部遮音カバー21を備えている。このため、縦管接続部13と横管接続部14とを有し、構造が複雑になりやすい上部接続管11の外面を、簡易な構成で覆うことができる。
【0038】
また、遮音カバー20が、下部接続管12が挿通される下部遮音カバー22を備えているので、下部接続管12の外面を、遮音カバー20により覆う作業を容易に行うことができる。これらにより、遮音カバー20の生産性を確保することができるとともに、集合管継手10に容易に取付けることができる。
【0039】
また、集合管継手10に径方向の外側から巻きつけられる遮音カバー20が、嵌合口24が形成された隆起部23を備えている。このため、集合管継手10を遮音カバー20で覆った際に、隆起部23の内面と、集合管継手10の外面と、の間に遮音層が形成される。これにより、遮音カバー20と集合管継手10との間に遮音層を容易に確保することができる。
また、可撓性を有する遮音カバー20の嵌合口24が、集合管継手10の横管接続部14に嵌合固定されるので、横管接続部14が挿通される嵌合口24周りに隙間が生じにくくすることができる。
【0040】
また、遮音カバー20の嵌合口24を変形させながら、嵌合口24に横管接続部14が挿通されるので、嵌合口24周りに隙間が生じるのを確実に抑えることができる。
また、遮音カバー20における横方向の両端部同士が、縦管接続部13の側面のうち、横管接続部14が突設されていない部分で互いに接続される。このため例えば、遮音カバー20における横方向の両端部同士が、横管接続部14回りで互いに接続されるような構成と比較して、遮音カバー20を集合管継手10に強固に取付けることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、図15から図17を参照し、本発明の第2実施形態に係るカバー付き集合管継手2について説明する。なお、以下の各実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0042】
図15に示すように、本実施形態に係る集合管継手10の下部接続管12には、第1係合部19が形成されている。第1係合部19は、下部接続管12における下側管部18の外周面に配置されている。
図17に示すように、第1係合部19は横断面視で三角形状をなし、径方向の外側に向けて突出している。第1係合部19は周方向に間隔をあけて複数配置されている。図示の例では、第1係合部19は3つ配置され、互いに周方向に等間隔をなしている。
【0043】
また、図15に示すように、本実施形態では、下部遮音カバー22には、第1係合部19と軸方向に係合して、下部遮音カバー22が下方に向けて抜けるのを防止する第2係合部28が形成されている。第2係合部28は、下部遮音カバー22の下端部に形成されている。
【0044】
そして、第1係合部19および第2係合部28は、周方向の位置が互いに合う状態で軸方向に係合するとともに、周方向の位置が互いに異なる状態で係合が解除される。この点について、以下に詳述する。
下部遮音カバー22における下端部には、下部接続管12の第1係合部19を通過可能な逃げ部29が形成されている。逃げ部29は横断面視で三角形状をなし、径方向の外側に向けて突出している。
【0045】
横断面視での逃げ部29の形状は、第1係合部19の横断面視形状と同等となっている。横断面視における逃げ部29の大きさは、第1係合部19の大きさよりも大きくなっている。逃げ部29は周方向に間隔をあけて複数配置されている。図示の例では、逃げ部29は3つ配置され、互いに周方向に等間隔をなしている。
【0046】
逃げ部29は、下部遮音カバー22における軸方向の中間部から下方に向けて延びている。逃げ部29の下部遮音カバー22の外面からの径方向の外側に向けた突出量は、下部遮音カバー22の外径が下方に向けて縮径するのに従って、漸次大きくなっている。
【0047】
逃げ部29は、正面視で周方向よりも軸方向に長い三角形状を呈する。逃げ部29の周方向の大きさは、下方に向かうに従い漸次、大きくなっている。
すなわち、下部遮音カバー22の下端縁のうち、逃げ部29を除く部分が、第1係合部19と軸方向に係合する第2係合部28となっている。
【0048】
下部接続管12を下部遮音カバー22に挿通する際には、逃げ部29および第1係合部19それぞれの周方向の位置を合わせた状態で、下部接続管12を下部遮音カバー22の内側に挿通する。これにより、第1係合部19は、逃げ部29を通して遮音カバー20の下方に露出する。この際、第1係合部19の全体が、遮音カバー20の下方に露出する。
【0049】
そして、下部接続管12および下部遮音カバー22を周方向に相対回転させて、逃げ部29および第1係合部19それぞれの周方向の位置を互いに異ならせた状態で、下部遮音カバー22が下部接続管12の外面を覆っている。すなわち、第1係合部19および第2係合部28それぞれの周方向の位置が互いに合っている。
逃げ部29の上方に、下部遮音カバー22の第2係合部28が載置されている。このため、下部遮音カバー22が下部接続管12から下方に向けて抜けることが無い。
【0050】
また、第1係合部19のうち、第2係合部28との当接部分には、下部接続管12より硬度が低い緩衝材40が配置されている。緩衝材40は、例えば第1係合部19の上面に配置することができる。緩衝材40としては、例えばエラストマー材料やゴム材料等といった弾性を有する樹脂材料が好ましい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係るカバー付き集合管継手2によれば、下部接続管12に第1係合部19が形成され、下部遮音カバー22に第1係合部19と軸方向に係合することで、下部遮音カバー22が下方に向けて抜けるのを防止する第2係合部28が形成されている。このため、第1係合部19および第2係合部28それぞれの周方向の位置を互いに異ならせることで、下部接続管12の第1係合部19に、遮音カバー20の内側を、上方から下方に向けて通過させることができる。
【0052】
また、第1係合部19および第2係合部28それぞれの周方向の位置を互いに合わせることで、下部遮音カバー22が下部接続管12から下方に向けて抜けるのを防ぐことができる。
また、第1係合部19に緩衝材40が配置されているので、集合管継手10が内側の流水の影響等により振動した際に、その振動を緩衝材40により吸収することができる。これにより、下部接続管12に対する下部遮音カバー22の位置がずれるのを防ぐことができる。
【0053】
(第3実施形態)
次に、図18から図20を参照し、本発明の第3実施形態に係るカバー付き集合管継手3について説明する。なお、以下の各実施形態において、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0054】
図18に示すように、本実施形態に係る遮音カバー20の下部遮音カバー22では、第2係合部28Bの形状が第2実施形態と異なっている。すなわち、第2係合部28Bは下部遮音カバー22の内周面における下端部に配置され、径方向の内側に向けて突出している。
第2係合部28Bは、下部遮音カバー22の内周面のうち、中心軸線Oを径方向に挟む位置に各別に配置されている。第2係合部28Bは上面視で角形状を呈する。
【0055】
また、本実施形態に係る下部接続管12では、第1係合部19Bの形状が第2実施形態と異なっている。第1係合部19Bは下側管部18の外周面に形成され、径方向の内側に向けて窪む溝状をなしている。第1係合部19Bは、下側管部18の下端縁から下方に向けて開口するとともに、上方に向けて延びている。第1係合部19Bの上端部は周方向に沿って延びている。第1係合部19Bは、下側管部18の外周面のうち、中心軸線Oを径方向に挟む位置に各別に配置されている。
【0056】
下部接続管12を下部遮音カバー22に挿通する際には、下部遮音カバー22の第2係合部28Bを第1係合部19B内に進入させる。そして、下部接続管12および下部遮音カバー22を周方向に相対回転させることにより、第2係合部28Bと第1係合部19Bとを軸方向に係合させる。これにより、図20に示すように、下部遮音カバー22が下部接続管12から下方に向けて抜けるのを防ぐことができる。
【0057】
(第4実施形態)
次に、図21および図22を参照し、本発明の第4実施形態に係るカバー付き集合管継手4について説明する。なお、以下の各実施形態において、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0058】
図21に示すように、本実施形態に係るカバー付き集合管継手4における下部遮音カバー22の下端縁が、第2係合部28Cとされている。また、第1係合部19Cは、下部接続管12の下端縁に配置されている。第1係合部19Cは、下部接続管12における下側管部18の下端縁から、径方向の外側に向けて突出している。第1係合部19Cは、下側管部18の下端縁に、全周にわたって延びている。なお、第1係合部19Cは、下側管部18の下端縁に周方向に間隔をあけて間欠的に設けられてもよい。
【0059】
下部接続管12を下部遮音カバー22に挿通する際には、下部遮音カバー22の下端部を径方向の外側に向けて変形させながら、第1係合部19Cを下部遮音カバー22の下端縁から下方に向けて露出させる。これにより、図22に示すように、第2係合部28Cが第1係合部19Cと軸方向に係合し、下部遮音カバー22が下部接続管12から下方に向けて抜けるのを防ぐことができる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、図23を参照し、本発明の第5実施形態に係るカバー付き集合管継手5について説明する。なお、以下の各実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0061】
図23に示すように、本実施形態に係るカバー付き集合管継手5では、下部接続管12の下端部のうち、下部遮音カバー22の下方に位置する部分に発泡テープ30が巻き付けられている。これにより、下部遮音カバー22が下部接続管12から下方に向けて抜けるのを防止するとともに、下部遮音カバー22と下部接続管12の下端部との間の隙間から音漏れが生じるのを確実に抑えることができる。
また、下部遮音カバー22の下端部と、発泡テープ30と、の間にまたがって、接着テープ31が巻き付けられている。これにより、下部遮音カバー22と発泡テープ30との位置を強固に固定することができる。
【0062】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0063】
例えば、上記各実施形態においては、遮音カバー20は、正面視で縦方向よりも横方向に長い矩形帯状を呈している構成を示したが、このような態様に限られない。遮音カバー20の正面視形状は任意に変更可能である。
【0064】
また、上記各実施形態においては、嵌合口24は正面視で横方向よりも縦方向に長い構成を示したが、このような態様に限られない。嵌合口24の形状は任意に変更可能である。
また、嵌合口24は、横管接続部14が挿通されることにより、横方向に広げられて円形状を呈する構成を示したが、このような態様に限られない。嵌合口24は、横管接続部14が挿通される前から円形状を呈してもよい。
【0065】
また、上記各実施形態においては、遮音カバー20の横方向の両端部同士が、縦管接続部13の側面のうち、横管接続部14が突設されていない部分で互いに接続されている構成を示したが、このような態様に限られない。遮音カバー20の横方向の両端部同士は、縦管接続部13の側面のうち、横管接続部14の周囲で互いに接続されてもよい。
【0066】
また、上記各実施形態においては、集合管継手10への遮音カバー20の取付方法として、下部接続管12に対して下部遮音カバー22を取付け、その後に下部接続管12と連結した上部接続管11に対して、上部遮音カバー21を取付ける方法を示したが、このような態様に限られない。上部接続管11および下部接続管12を先に連結し、その後に下部遮音カバー22を下部接続管12に取付け、さらに上部遮音カバー21を上部接続管11に取付けてもよい。
また、例えば遮音カバー20と集合管継手10との間に吸音作用や振動吸収作用のあるグラスウールやロックウール等の無機繊維層を設けてもよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、2、3、4、5 カバー付き集合管継手
10 集合管継手
11 上部接続管
12 下部接続管
13 縦管接続部
14 横管接続部
19、19B、19C 第1係合部
20 遮音カバー
21 上部遮音カバー
22 下部遮音カバー
23 隆起部
24 嵌合口
28、28B、28C 第2係合部
40 緩衝材
図1
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