(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024081807
(43)【公開日】2024-06-19
(54)【発明の名称】制御システム、制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/37 20160101AFI20240612BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
A61B34/37
B25J3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058544
(22)【出願日】2021-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(71)【出願人】
【識別番号】516331889
【氏名又は名称】モーションリブ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】大西 公平
(72)【発明者】
【氏名】溝口 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】牧 伸
(72)【発明者】
【氏名】羽生 能行
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊弘
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707HS27
3C707JT05
3C707JU12
3C707KS16
3C707KS20
3C707KS31
3C707KS36
3C707KT02
3C707KT04
3C707LU01
3C707LU02
3C707LU06
(57)【要約】
【課題】マスタ装置を操作するユーザの負荷を低減しつつ、スレーブ装置の状態変化を知覚させ易くする。
【解決手段】制御システム1は、マスタ装置10と、スレーブ装置20と、制御装置30と、を備える。また、制御装置30は、伝達条件設定部351と、力触覚伝達部353と、を備える。力触覚伝達部353は、マスタ装置10及びスレーブ装置20における力触覚の伝達を制御する。伝達条件設定部351は、スレーブ装置20に入力する力に対して、設定された増幅率で力を増幅すると共に、増幅した力から、増幅率に基づいて設定された力のオフセット量を減じて、マスタ装置10に伝達させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて動作するスレーブ装置と、を含む制御システムであって、
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置における力触覚の伝達を制御する制御手段と、
前記スレーブ装置に入力する力に対して、設定された増幅率で力を増幅すると共に、増幅した力から、前記増幅率に基づいて設定された力のオフセット量を減じて、前記マスタ装置に伝達させる伝達条件設定手段と、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記伝達条件設定手段は、設定された前記増幅率で前記スレーブ装置に入力する力を増幅した場合に、前記スレーブ装置に入力する定常的な力の成分が増幅されることによる力の変化量に基づいて、前記オフセット量を設定することを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記伝達条件設定手段は、前記スレーブ装置に入力する力に基づいて、前記増幅率を設定すると共に、設定された前記増幅率に基づいて、前記オフセット量を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記スレーブ装置に入力する力は、前記マスタ装置及び前記スレーブ装置における力触覚の伝達を制御するための制御パラメータに基づいて算出されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて動作するスレーブ装置とにおける力触覚の伝達を制御する制御装置であって、
前記スレーブ装置に入力する力に対して、設定された増幅率で力を増幅すると共に、増幅した力から、前記増幅率に基づいて設定された力のオフセット量を減じて、前記マスタ装置に伝達させる伝達条件設定手段を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項6】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて動作するスレーブ装置と、を含む制御システムで実行される制御方法であって、
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置における力触覚の伝達を制御する制御ステップと、
前記スレーブ装置に入力する力に対して、設定された増幅率で力を増幅すると共に、増幅した力から、前記増幅率に基づいて設定された力のオフセット量を減じて、前記マスタ装置に伝達させる伝達条件設定ステップを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項7】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて動作するスレーブ装置とにおける力触覚の伝達を制御する制御するコンピュータに、
前記スレーブ装置に入力する力に対して、設定された増幅率で力を増幅すると共に、増幅した力から、前記増幅率に基づいて設定された力のオフセット量を減じて、前記マスタ装置に伝達させる伝達条件設定機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスタスレーブマニピュレータにおいて、摩擦力を補償する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スレーブ装置に作用する摩擦力は、スレーブ装置の状態変化に基づいて変化し得る。スレーブ装置に作用する摩擦力を単純に無くすように補償する場合、ユーザは、マスタ装置を通じてスレーブ装置の状態変化を知覚し難くなる。
【0005】
本発明の課題は、マスタ装置を操作するユーザの負荷を低減しつつ、スレーブ装置の状態変化を知覚させ易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る制御システムは、
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて動作するスレーブ装置と、を含む制御システムであって、
前記マスタ装置及び前記スレーブ装置における力触覚の伝達を制御する制御手段と、
前記スレーブ装置に入力する力に対して、設定された増幅率で力を増幅すると共に、増幅した力から、前記増幅率に基づいて設定された力のオフセット量を減じて、前記マスタ装置に伝達させる伝達条件設定手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マスタ装置を操作するユーザの負荷を低減しつつ、スレーブ装置の状態変化を知覚させ易くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制御システム1の全体構成を示す模式図である。
【
図2】制御装置30で実行される力触覚伝達制御の基本的原理を示す模式図である。
【
図3】制御システム1における制御系統のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】制御装置30を構成する情報処理装置のハードウェア構成を示す模式図である。
【
図5】制御システム1の機能的構成を示すブロック図である。
【
図6】制御装置30が実行する力触覚伝達処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】スレーブ装置20に入力する外力の増幅のみを行った場合に、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力の大きさの時間変化を示す模式図である。
【
図8】スレーブ装置20に入力する力を増幅すると共に、オフセット量を減じた場合に、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力の大きさの時間変化を示す模式図である。
【
図9】スレーブ装置20のカテーテルを操作者が手動で挿入した後、力のフィードバックを行う制御システム1の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システム1の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、機械的に分離したマスタ装置10とスレーブ装置20とを含むマスタ・スレーブシステムとして構成される。一例として、本実施形態における制御システム1は、マスタ装置10がユーザにより操作されるマニピュレータを構成し、スレーブ装置20が被検体に挿入されるエンドエフェクタを備えたカテーテルシステムを構成するものとする。
図1において、制御システム1は、マスタ装置10と、スレーブ装置20と、制御装置30と、を含んで構成され、マスタ装置10及びスレーブ装置20と、制御装置30とは、ネットワーク40を介して有線または無線通信可能に構成されている。なお、制御システム1は、ディスプレイLと、複数のカメラCとを適宜備えることが可能である。カメラCとして、スレーブ装置20が挿入される被検体の外観を撮影するビデオカメラ、あるいは、X線により被検体の内部を撮影するX線カメラ等の種々の撮影装置を用いることができる。また、複数のカメラCによって各種画像を撮影し、これらの画像を表示する複数のディスプレイLを備えることもできる。
【0011】
マスタ装置10は、機械的に構成された従来のカテーテルに対する操作と同様の操作を受け付け、入力された操作により移動する可動部(マニピュレータの可動部材等)の位置を検出する。マスタ装置10は、検出した可動部の位置を表す情報を制御装置30に送信する。また、マスタ装置10は、入力される操作に対し、制御装置30の指示に従って、アクチュエータにより反力を出力する。
具体的には、マスタ装置10は、カテーテルを進退させる操作(例えば、血管内に挿入していく操作または病変付近で力触覚を検知するために微動させる操作等)、カテーテルを軸回りに回転させる操作(例えば、エンドエフェクタの向きを変化させる操作等)、及び、エンドエフェクタを動作させる操作(例えば、エンドエフェクタがバルーンである場合、これを拡張、収縮させる操作、またエンドエフェクタが鉗子等の場合、これを開閉する操作等)を受け付け、これらの操作に対する反力を付与すると共に、それぞれの操作により移動される可動部の位置を表す情報を制御装置30に送信する。
【0012】
スレーブ装置20は、制御装置30の指示に従って、アクチュエータを駆動することにより、マスタ装置10に入力された操作に対応する動作を行い、動作により移動する可動部(アクチュエータの可動子あるいはアクチュエータによって移動されるカテーテル等)の位置を検出する。スレーブ装置20が動作することにより、スレーブ装置20に対して環境から各種外力が入力する。この結果、スレーブ装置20における可動部の位置は、アクチュエータの出力に対して各種外力が作用した結果を示すものとなる。そして、スレーブ装置20は、検出した可動部の位置を表す情報を制御装置30に送信する。ここで、スレーブ装置20に対して環境から入力する各種外力には、カテーテルが血管から受けるスラスト方向の抵抗力が含まれる。スレーブ装置20におけるスラスト方向の抵抗力が大きい場合、カテーテルに入力する他の外力(病変や器官に接触した場合の当接力等)を知覚し難くなる可能性がある。本実施形態においては、後述するように、スレーブ装置20において検出される力を所定の増幅率で増幅した上で、抵抗力の増幅分に相当する力を減じてマスタ装置10に伝達する。これにより、マスタ装置10を操作するユーザの負荷を低減しつつ、スレーブ装置20の状態変化を知覚させ易くしている。
【0013】
制御装置30は、例えば、PC(Personal Computer)あるいはサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、マスタ装置10、スレーブ装置20、ディスプレイL及びカメラCを制御する。例えば、制御装置30は、マスタ装置10及びスレーブ装置20の可動部の位置(ロータリーエンコーダによって検出されるアクチュエータの回転角度あるいはリニアエンコーダによって検出される可動部の進退位置等)を取得し、マスタ装置10及びスレーブ装置20の間で力触覚を伝達するための制御を実行する。
【0014】
本実施形態における制御装置30は、マスタ装置10とスレーブ装置20とをマスタ・スレーブシステムとして動作させる際に、可動部の位置を表す情報(アクチュエータの可動子の位置あるいはアクチュエータによって移動される部材の位置等を表す情報)を基に算出した実空間のパラメータ(入力ベクトル)を、位置と力とを独立して取り扱うことが可能な仮想空間に座標変換(変換行列によって変換)する。即ち、入力ベクトルが、位置と力とが互いに関連する斜交座標系の実空間から、位置と力とが互いに独立した直交座標系の仮想空間に座標変換される。座標変換によって算出されたパラメータは、仮想空間において、入力ベクトルに対応する位置及び力の状態値を表すものとなる。そして、制御装置30は、座標変換後の仮想空間において、入力ベクトルから算出された位置及び力の状態値を、位置及び力の制御(ここでは力触覚の伝達)を行うための位置及び力それぞれの目標値に追従させる演算を行い、演算結果を実空間に戻すための逆変換(変換行列の逆行列による変換)を行う。さらに、制御装置30は、逆変換によって取得された実空間のパラメータ(電流指令値等)に基づいて、各アクチュエータを駆動することにより、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚を伝達するマスタ・スレーブシステムを実現する。
【0015】
また、本実施形態における制御装置30は、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達を行う際に、スレーブ装置20からマスタ装置10に伝達する力を増幅した上で、抵抗力の増幅分に相当する力を減じてマスタ装置10に伝達し、マスタ装置10を操作するユーザの負荷を低減しつつ、スレーブ装置20の状態変化を知覚させ易くしている。ここで、スレーブ装置20からマスタ装置10に伝達する力を1より大きい増幅率で増幅(即ち、拡大)した場合、マスタ装置10からスレーブ装置20に伝達する力は、1より小さい増幅率で増幅(即ち、縮小)することとしてもよい。これにより、制御が発散することを抑制できる。また、本実施形態において、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達を行う際に、位置に関する情報については、増幅して伝達することや、増幅することなく直接伝達することのいずれも可能である。
【0016】
なお、位置と速度(または加速度)あるいは角度と角速度(または角加速度)は、微積分演算により置換可能なパラメータであるため、位置あるいは角度に関する処理を行う場合、適宜、速度あるいは角速度等に置換することが可能である。
【0017】
図2は、制御装置30で実行される力触覚伝達制御の基本的原理を示す模式図である。
図2に示す基本的原理は、可動部の位置を表す情報(可動部の現在位置)を入力として、速度あるいは力の少なくとも一方の領域における演算を行うことにより、アクチュエータの動作を決定するものである。
即ち、本発明の基本的原理は、制御対象システムSと、機能別力・速度割当変換ブロックFTと、理想力源ブロックFCあるいは理想速度源ブロックPCの少なくとも1つと、逆変換ブロックIFTとを含む制御則として表される。
【0018】
制御対象システムSは、アクチュエータを備えるマスタ装置10あるいはスレーブ装置20であり、加速度等に基づいてアクチュエータの制御を行う。ここで、上述したように、加速度、速度及び位置は、微積分によって相互に換算可能な物理量であるため、加速度、速度及び位置のいずれを用いて制御することとしてもよい。ここでは、主として、位置から算出される速度を用いて制御則を表現するものとする。
【0019】
機能別力・速度割当変換ブロックFTは、制御対象システムSの機能に応じて設定される速度及び力の領域への制御エネルギーの変換を定義するブロックである。具体的には、機能別力・速度割当変換ブロックFTでは、制御対象システムSの機能の基準となる値(基準値)と、可動部の現在位置とを入力とする座標変換が定義されている。この座標変換は、一般に、基準値及び現在速度を要素とする入力ベクトルを速度の制御目標値を算出するための速度からなる出力ベクトルに変換すると共に、基準値及び現在の力を要素とする入力ベクトルを力の制御目標値を算出するための力からなる出力ベクトルに変換するものである。具体的には、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、次式(1)及び(2)のように一般化して表される。
【0020】
【0021】
ただし、式(1)において、x’1~x’n(nは1以上の整数)は速度の状態値を導出するための速度ベクトルであり、x’a~x’m(mは1以上の整数)は、基準値及びアクチュエータの作用に基づく速度(アクチュエータの可動子の速度またはアクチュエータが移動させる部材の速度)を要素とするベクトル、h1a~hnmは機能を表す変換行列の要素である。また、式(2)において、f’’1~f’’n(nは1以上の整数)は力の状態値を導出するための力ベクトルであり、f’’a~f’’m(mは1以上の整数)は、基準値及びアクチュエータの作用に基づく力(アクチュエータの可動子の力またはアクチュエータが移動させる部材の力)を要素とするベクトルである。
【0022】
機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換を、実現する機能に応じて設定することにより、各種動作を実現したり、スケーリングを行ったりすることができる。
即ち、本発明の基本的原理では、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて、アクチュエータ単体の変数(実空間上の変数)を、実現する機能を表現するシステム全体の変数群(仮想空間上の変数)に“変換”し、速度の制御エネルギーと力の制御エネルギーとに制御エネルギーを割り当てる。換言すると、本発明の基本的原理では、速度と力とが互いに関連する座標空間から、速度と力とが互いに独立した座標空間に変換した上で、速度及び力の制御に関する演算を行う。そのため、アクチュエータ単体の変数(実空間上の変数)のまま制御を行う場合と比較して、速度の制御エネルギーと力の制御エネルギーとを独立に与えることが可能となっている。
【0023】
理想力源ブロックFCは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に従って、力の領域における演算を行うブロックである。理想力源ブロックFCにおいては、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に基づく演算を行う際の力に関する目標値が設定されている。この目標値は、実現される機能に応じて固定値または可変値として設定される。例えば、基準値が示す機能と同様の機能を実現する場合には、目標値としてゼロを設定したり、スケーリングを行う場合には、実現する機能を示す情報を拡大・縮小した値を設定したりできる。
【0024】
理想速度源ブロックPCは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に従って、速度の領域における演算を行うブロックである。理想速度源ブロックPCにおいては、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に基づく演算を行う際の速度に関する目標値が設定されている。この目標値は、実現される機能に応じて固定値または可変値として設定される。例えば、基準値が示す機能と同様の機能を実現する場合には、目標値としてゼロを設定したり、スケーリングを行う場合には、実現する機能を示す情報を拡大・縮小した値を設定したりできる。
【0025】
逆変換ブロックIFTは、速度及び力の領域の値を制御対象システムSへの入力の領域の値(例えば電圧値または電流値等)に変換するブロックである。
このような基本的原理により、制御対象システムSのアクチュエータにおける位置の情報が機能別力・速度割当変換ブロックFTに入力されると、位置の情報に基づいて得られる速度及び力の情報を用いて、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて、機能に応じた位置及び力の領域それぞれの制御則が適用される。そして、理想力源ブロックFCにおいて、機能に応じた力の演算が行われ、理想速度源ブロックPCにおいて、機能に応じた速度の演算が行われ、力及び速度それぞれに制御エネルギーが分配される。
【0026】
理想力源ブロックFC及び理想速度源ブロックPCにおける演算結果は、制御対象システムSの制御目標を示す情報となり、これらの演算結果が逆変換ブロックIFTにおいてアクチュエータの入力値とされて、制御対象システムSに入力される。
その結果、制御対象システムSのアクチュエータは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された機能に従う動作を実行し、目的とする装置の動作が実現される。
【0027】
また、スケーリング(力あるいは位置の増幅)を伴う力触覚伝達機能が実現される場合、
図2における機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、次式(3)及び(4)として表される。
【0028】
【0029】
ただし、式(3)において、x’pは速度の状態値を導出するための速度、x’fは力の状態値に関する速度である。また、x’mは基準値(マスタ装置10からの入力)の速度(マスタ装置10の現在位置の微分値)、x’sはスレーブ装置20の現在の速度(現在位置の微分値)である。また、式(4)において、fpは速度の状態値に関する力、ffは力の状態値を導出するための力である。また、fmは基準値(マスタ装置10からの入力)の力、fsはスレーブ装置20の現在の力である。
【0030】
式(3)及び式(4)に示す座標変換とした場合、スレーブ装置20の位置がα倍(αは正数)、スレーブ装置20の力がβ倍(βは正数)されて、マスタ装置10に伝達されることとなる。スレーブ装置20からマスタ装置10に伝達される力のみを増幅する場合には、α=1とすると共に、βの値を目的に応じて設定すればよい。
【0031】
[ハードウェア構成]
次に、制御システム1における制御系統のハードウェア構成について説明する。
図3は、制御システム1における制御系統のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、制御システム1は、制御系統のハードウェア構成として、PCあるいはサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成される制御装置30と、マスタ装置10の制御ユニット101と、通信ユニット102と、挿入用アクチュエータ103と、検知用アクチュエータ104と、回転用アクチュエータ105と、操作用アクチュエータ106と、リニアエンコーダ107,108と、ロータリーエンコーダ109,110と、ドライバ111~114と、スレーブ装置20の制御ユニット201と、通信ユニット202と、挿入用アクチュエータ203と、検知用アクチュエータ204と、回転用アクチュエータ205と、操作用アクチュエータ206と、リニアエンコーダ207,208と、ロータリーエンコーダ209,210と、ドライバ211~214と、ディスプレイLと、カメラCと、を備えている。
【0032】
マスタ装置10の制御ユニット101は、プロセッサ及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータによって構成され、マスタ装置10の動作を制御する。例えば、制御ユニット101は、制御装置30から送信される制御パラメータに従って、マスタ装置10の挿入用アクチュエータ103、検知用アクチュエータ104、回転用アクチュエータ105及び操作用アクチュエータ106の駆動を制御する。
通信ユニット102は、ネットワーク40を介してマスタ装置10が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0033】
挿入用アクチュエータ103は、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力する、カテーテルを血管内に挿入していくために進退させる操作に対して、反力を付与する。
検知用アクチュエータ104は、例えばボイスコイルモータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力する、カテーテルを病変付近で処置のために進退させる操作に対して、反力を付与する。
本実施形態においては、挿入用アクチュエータ103の方が検知用アクチュエータ104に比べて長いストロークを有する一方、検知用アクチュエータ104の方が挿入用アクチュエータ103に比べて高精度な位置及び力の制御を行うことが可能となっている。
回転用アクチュエータ105は、例えば回転型モータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がマスタ装置10を進退方向に沿う回転軸周りに回転させる操作に対して、反力を付与する。
操作用アクチュエータ106は、例えば回転型モータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がエンドエフェクタを動作させるためのレバー(把持部)等に入力した操作に対して、反力を付与する。
【0034】
リニアエンコーダ107は、挿入用アクチュエータ103の可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
リニアエンコーダ108は、検知用アクチュエータ104の可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
ロータリーエンコーダ109は、回転用アクチュエータ105の可動子の位置(回転角度)を検出する。
ロータリーエンコーダ110は、操作用アクチュエータ106の可動子の位置(回転角度)を検出する。
【0035】
ドライバ111は、制御ユニット101の指示に従って、挿入用アクチュエータ103に駆動電流を出力する。
ドライバ112は、制御ユニット101の指示に従って、検知用アクチュエータ104に駆動電流を出力する。
ドライバ113は、制御ユニット101の指示に従って、回転用アクチュエータ105に駆動電流を出力する。
ドライバ114は、制御ユニット101の指示に従って、操作用アクチュエータ106に駆動電流を出力する。
【0036】
スレーブ装置20の制御ユニット201は、プロセッサ及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータによって構成され、スレーブ装置20の動作を制御する。例えば、制御ユニット201は、制御装置30から送信される制御パラメータに従って、スレーブ装置20の挿入用アクチュエータ203、検知用アクチュエータ204、回転用アクチュエータ205及び操作用アクチュエータ206の駆動を制御する。
通信ユニット202は、ネットワーク40を介してスレーブ装置20が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0037】
挿入用アクチュエータ203は、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した、カテーテルを血管内に挿入していくために進退させる操作に応じて、スレーブ装置20のカテーテルを進退させる。
検知用アクチュエータ204は、例えばボイスコイルモータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した、カテーテルを病変付近で処置のために進退させる操作に応じて、スレーブ装置20のカテーテルを進退させる。
本実施形態においては、挿入用アクチュエータ203の方が検知用アクチュエータ204に比べて長いストロークを有する一方、検知用アクチュエータ204の方が挿入用アクチュエータ203に比べて高精度な位置及び力の制御を行うことが可能となっている。
回転用アクチュエータ205は、例えば回転型モータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した操作に応じて、スレーブ装置20のカテーテルを進退方向に沿う回転軸周りに回転させる。
操作用アクチュエータ206は、例えば回転型モータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した操作に応じて、エンドエフェクタを動作(拡張、収縮動作や開閉動作等)させる。
【0038】
リニアエンコーダ207は、挿入用アクチュエータ203の可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
リニアエンコーダ208は、検知用アクチュエータ204の可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
ロータリーエンコーダ209は、回転用アクチュエータ205の可動子の位置(回転角度)を検出する。
ロータリーエンコーダ210は、操作用アクチュエータ206の可動子の位置(回転角度)を検出する。
【0039】
ドライバ211は、制御ユニット201の指示に従って、挿入用アクチュエータ203に駆動電流を出力する。
ドライバ212は、制御ユニット201の指示に従って、検知用アクチュエータ204に駆動電流を出力する。
ドライバ213は、制御ユニット201の指示に従って、回転用アクチュエータ205に駆動電流を出力する。
ドライバ214は、制御ユニット201の指示に従って、操作用アクチュエータ206に駆動電流を出力する。
【0040】
ディスプレイLは、マスタ装置10の操作者が画面を視認できる場所に設置され、制御装置30によって表示を指示された画像(カメラCによって撮影された被検体の可視光画像あるいはX線画像等)を表示する。
カメラCは、スレーブ装置20がカテーテルを挿入する被検体を撮影可能な場所に設置され、被検体の画像(可視光画像あるいはX線画像等)を撮影し、撮影した画像を制御装置30に送信する。
【0041】
図4は、制御装置30を構成する情報処理装置のハードウェア構成を示す模式図である。
図4に示すように、制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)311と、ROM(Read Only Memory)312と、RAM(Random Access Memory)313と、バス314と、入力部315と、出力部316と、記憶部317と、通信部318と、ドライブ319と、を備えている。
【0042】
CPU311は、ROM312に記録されているプログラム、または、記憶部317からRAM313にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM313には、CPU311が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0043】
CPU311、ROM312及びRAM313は、バス314を介して相互に接続されている。バス314には、入力部315、出力部316、記憶部317、通信部318及びドライブ319が接続されている。
【0044】
入力部315は、各種ボタン等で構成され、指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部316は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
なお、制御装置30がスマートフォンやタブレット端末として構成される場合には、入力部315と出力部316のディスプレイとを重ねて配置し、タッチパネルを構成することとしてもよい。
記憶部317は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部318は、ネットワークを介して制御装置30が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0045】
ドライブ319には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア331が適宜装着される。ドライブ319によってリムーバブルメディア331から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部317にインストールされる。
【0046】
[機能的構成]
次に、制御システム1の機能的構成について説明する。
図5は、制御システム1の機能的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、制御システム1では、制御装置30が各種処理を実行することにより、CPU311において、伝達条件設定部351と、センサ情報取得部352と、力触覚伝達部353と、物理量取得部354と、が機能する。また、記憶部317には、制御パラメータ記憶部371が形成される。
制御パラメータ記憶部371は、制御装置30がマスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚を伝達する制御において取得された制御パラメータを時系列に記憶する。本実施形態において、制御パラメータとして記憶される情報は、力触覚の伝達制御で取得される種々のパラメータとすることが可能であり、力触覚の伝達制御が再現可能な各種情報含むことができる。例えば、マスタ装置10及びスレーブ装置20において取得されるセンサ情報、これらのセンサ情報を座標変換した状態値、各アクチュエータへの電流指令値あるいは力触覚の伝達制御のために制御装置30に設定される各種設定値等を制御パラメータとして記憶することができる。
【0047】
伝達条件設定部351は、スレーブ装置20に入力された力をマスタ装置10に伝達する際の増幅率を設定する。
また、伝達条件設定部351は、物理量取得部354によって取得されるカテーテルの物理量が、挿入モードと検知モードとを切り替えるために設定された条件(以下、「モード切替条件」と称する。)に合致しているか否かを判定し、モード切替条件に合致していると判定した場合に、挿入モードと検知モードとを切り替える。
「挿入モード」は、スレーブ装置20においてカテーテルを進退させるために挿入用アクチュエータ203を用いると共に、マスタ装置10の挿入用アクチュエータ103との間で力触覚の伝達を行うモードである。「挿入モード」は、例えば、操作者が被検体にカテーテルを挿入し、カテーテルの先端が病変付近に到達するまでに設定されるモードである。
【0048】
「検知モード」は、スレーブ装置20においてカテーテルを進退させるために検知用アクチュエータ204を用いると共に、マスタ装置10の検知用アクチュエータ104との間で力触覚の伝達を行うモードである。「検知モード」は、例えば、操作者が被検体にカテーテルを挿入し、カテーテルの先端が病変付近に到達した後に設定されるモードである。
上述したように、本実施形態においては、挿入用アクチュエータ103,203の方が検知用アクチュエータ104,204に比べて長いストロークを有する一方、検知用アクチュエータ104,204の方が挿入用アクチュエータ103,203に比べて高精度な位置及び力の制御を行うことが可能となっている。したがって、「検知モード」は、「挿入モード」に対して、操作者がスレーブ装置20に入力される微細な外力を感じ取る必要がある状況で用いられる。
なお、以下、病変付近等、操作者がスレーブ装置20に入力される微細な外力を感じ取る必要があると判断される区間を適宜「特定の区間」と称する。
「挿入モード」及び「検知モード」で設定される増幅率は、例えば、カテーテルの構成、被検者の身体的特性(血管の太さ等)、カテーテルを挿入する長さ等に応じて、実測値、統計値またはシミュレーションにより得られる推定値等に基づいて設定することができる。
【0049】
ここで、モード切替条件としては、例えば、ユーザの操作によって手動でモードの切り替えが指示されたこと、あるいは、モード切替条件を判定するための物理量が設定された条件に合致したこと(カテーテルに入力する抵抗力が閾値以上変化したこと、あるいは、カテーテルの先端と病変との距離が閾値以内となったこと等)を設定することができる。一例として、挿入モードにおいて、スレーブ装置20のカテーテルの先端と病変との距離が閾値以内となったことを判別した場合、検知モードに切り替えることができる。また、検知モードにおいて、スレーブ装置20のカテーテルの先端と病変との距離が閾値以上となったことを判別した場合、挿入モードに切り替えることができる。
【0050】
センサ情報取得部352は、マスタ装置10及びスレーブ装置20に設置された各種センサによって検出された情報(センサ情報)を取得する。例えば、センサ情報取得部302は、リニアエンコーダ107,108,207,208及びロータリーエンコーダ109,110,209,210によって検出された各アクチュエータの可動子の位置(進退位置または回転角度)を示す情報を取得する。また、センサ情報取得部352は、取得したセンサ情報を時系列のデータとして、制御パラメータ記憶部371に記憶する。
【0051】
力触覚伝達部353は、
図2に示す制御アルゴリズムに従って、マスタ装置10及びスレーブ装置20における力触覚の伝達を制御する。例えば、力触覚伝達部353は、力触覚伝達処理において、マスタ装置10及びスレーブ装置20の対応する動作のためのアクチュエータ間で力触覚を伝達する制御を実行する。このとき、力触覚伝達部353は、伝達条件設定部351によって設定された増幅率で、スレーブ装置20において検出された外力を増幅してマスタ装置10に伝達する。なお、上述したように、位置に関する情報(位置あるいは速度等)については、スレーブ装置20からマスタ装置10に増幅して伝達することや、増幅することなく直接伝達することのいずれも可能である。
【0052】
物理量取得部354は、力触覚伝達処理におけるモードに関する条件(モード切替条件)を判定するための物理量(カテーテルに入力する抵抗力あるいはカテーテルの先端と病変との距離等)を取得する。
例えば、物理量取得部354は、制御パラメータ記憶部371に記憶された時系列の制御パラメータを読み出し、スレーブ装置20のカテーテルに外部から入力する抵抗力を算出する。カテーテルを被検体に挿入した場合、例えば、動脈内を進行させている状態と、狭窄している心臓等の病変部位に到達した状態とでは、抵抗力が変化する。物理量取得部354が、スレーブ装置20のカテーテルに外部から入力する抵抗力を算出することで、カテーテルの挿入状態を判定することが可能となる。なお、物理量取得部354は、物理量として、瞬時値を取得することや、移動平均等の算術演算で得られる値を取得すること等が可能である。また、物理量取得部354は、物理量の瞬時値の波形に対してフィルタ処理(帯域制限フィルタ)を施した上で、モード切替条件を判定するための物理量を取得することとしてもよい。
【0053】
また、物理量取得部354は、カメラCによって撮影された画像に基づいて、カテーテルの先端と病変との距離を算出する。カメラCによって撮影された画像からカテーテルの先端と病変との距離を算出することで、人間が視覚的に判断する場合と同様の基準で、カテーテルの病変に対する接近を判定することができる。なお、カテーテルの先端と病変との距離を取得する場合、各種センサを用いることが可能であり、例えば、カテーテルの先端に磁気検出用のマーカーを備え、被検体の外部から磁気センサによってカテーテルの位置を検出して、病変との距離を取得することとしてもよい。また、被検体の内部にカテーテルの先端位置を検出するためのセンサを予め設置しておき、このセンサによってカテーテルの先端位置を検出して、病変との距離を取得することとしてもよい。
【0054】
[力のオフセット量の設定]
上述したように、本実施形態においては、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達を行う際に、スレーブ装置20からマスタ装置10に伝達する力を増幅した上で、抵抗力の増幅分に相当する力を減じてマスタ装置10に伝達する。
このとき、スレーブ装置20に入力する力の変化は増幅してマスタ装置10に伝達することが望ましい一方、抵抗力が増幅された分の力は、マスタ装置10の操作者にとって余計な負荷となるため、伝達されないことが望ましい。
そこで、本実施形態においては、スレーブ装置20に入力した力を増幅すると共に、スレーブ装置20に入力した抵抗力が増幅された分の力をオフセット量(以下、適宜「摩擦補償量」と称する。)として、スレーブ装置20がマスタ装置10に伝達する力から減じることとする。
この場合、スレーブ装置20に実際に入力した抵抗力はマスタ装置10に伝達しつつ、スレーブ装置20に入力した力の変化は、増幅率に応じて拡大した状態で、マスタ装置10に伝達することができる。
一例として、伝達条件設定部351によって設定された増幅率をk1とし、スレーブ装置20に入力する抵抗力がFbであるとすると、オフセット量(摩擦補償量)として、(k1-1)×Fbを減じてスレーブ装置20からマスタ装置10に力を伝達することで、抵抗力が増幅された分の力をマスタ装置10に伝達しないように制御することができる。また、抵抗力Fbからの力の変化については、増幅率k1で増幅してマスタ装置10に伝達することができる。
なお、増幅率k1は、上述したように、例えば、カテーテルの構成、被検者の身体的特性(血管の太さ等)、カテーテルを挿入する長さ等に応じて、実測値、統計値またはシミュレーションにより得られる推定値等に基づいて設定することができる。
【0055】
[動作]
次に、制御システム1の動作を説明する。
【0056】
[力触覚伝達処理]
図6は、制御装置30が実行する力触覚伝達処理の流れを説明するフローチャートである。
力触覚伝達処理は、入力部315あるいは通信部318を介して力触覚伝達処理の実行が指示されることに対応して開始される。本実施形態において、力触覚伝達処理を開始する場合、スレーブ装置20の動作を補助する操作者が手動により、または、マスタ装置10からの遠隔的な操作により、カテーテルの先端が所定距離だけ被検体に挿入された状態(例えば、1~10[cm]程度挿入された状態)において開始するものとする。これにより、挿入初期の外力の変化が大きい状態において、制御装置30の制御が不安定化することを抑制できる。
【0057】
ステップS1において、伝達条件設定部351は、力触覚を伝達する際の増幅率及びモードを設定する。なお、ステップS1において、力触覚を伝達する際のモードは、挿入モードに設定される。
ステップS2において、伝達条件設定部351は、スレーブ装置20からマスタ装置10に伝達される力のオフセット量(摩擦補償量)を設定する。
ステップS3において、センサ情報取得部352は、マスタ装置10及びスレーブ装置20に設置された各種センサによって検出された情報(センサ情報)を取得する。ステップS3において取得されたセンサ情報は、時系列のデータとして制御パラメータ記憶部371に記憶される。
ステップS4において、力触覚伝達部353は、スレーブ装置20において検出された外力を設定された増幅率で増幅すると共に、オフセット量(摩擦補償量)を減じながら、センサ情報に基づいて力触覚の伝達制御を実行する。
ステップS5において、物理量取得部354は、モード切替条件を判定するための物理量(カテーテルに入力する抵抗力あるいはカテーテルの先端と病変との距離等)を取得する。
【0058】
ステップS6において、伝達条件設定部351は、取得された物理量が、挿入モードと検知モードとを切り替えるために設定されたモード切替条件に合致しているか否かの判定を行う。具体的には、伝達条件設定部351は、ユーザの操作によって手動によりモードの切り替えが指示されたか否か、あるいは、モード切替条件を判定するための物理量が設定された条件に合致したか否か(カテーテルに入力する抵抗力が閾値以上変化したか否か、あるいは、カテーテルの先端と病変との距離が閾値以内となったか否か等)の判定を行う。
取得された物理量が、挿入モードと検知モードとを切り替えるために設定されたモード切替条件に合致していない場合、ステップS6においてNOと判定されて、処理はステップS8に移行する。
一方、取得された物理量が、挿入モードと検知モードとを切り替えるために設定されたモード切替条件に合致している場合、ステップS6においてYESと判定されて、処理はステップS7に移行する。
【0059】
ステップS7において、伝達条件設定部351は、挿入モードと検知モードとを切り替える。即ち、伝達条件設定部351は、挿入モードに設定されていた場合、検知モードに切り替え、検知モードに設定されていた場合、挿入モードに切り替える。
ステップS8において、力触覚伝達部353は、力触覚伝達処理の終了が指示されたか否かの判定を行う。
力触覚伝達処理の終了が指示されていない場合、ステップS8において、NOと判定されて、処理はステップS3に移行する。
一方、力触覚伝達処理の終了が指示された場合、ステップS8において、YESと判定されて、力触覚制御処理は終了する。
【0060】
[効果の検証]
図7は、スレーブ装置20に入力する外力の増幅のみを行った場合に、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力の大きさの時間変化を示す模式図である。
なお、
図7においては、操作者がマスタ装置10を操作し、スレーブ装置20のカテーテルを被検体に挿入する場合に、スレーブ装置20に入力する外力(二点鎖線)を一定の増幅率で増幅して、マスタ装置10に力をフィードバックしたときの力の大きさ(実線)を示している。
図7において、スレーブ装置20において検出される外力(抵抗力)を増幅する増幅率はk1(一定)であるものとする。また、
図7において、横軸は時間を表し、縦軸は操作者にフィードバックされる力の大きさを表している。
【0061】
期間P1では、操作開始に伴いカテーテルが動き始め、スレーブ装置20において検出される外力(抵抗力)が増大している。
期間P2では、スレーブ装置20のカテーテルが被検体内の定常的な環境(動脈内等)を進行しており、血管の内壁等からの動摩擦力を含む抵抗力が、ほぼ一定の大きさFbで作用している。期間P2において、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力は、Fb×k1として表される。
期間P3では、スレーブ装置20のカテーテルが被検体内で病変等に接触することによって、加速度が生じている(抵抗力が増大している)。期間P3において、スレーブ装置20に入力する力の最大値はFpであり、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力の最大値は、Fp×k1として表される。
【0062】
ここで、
図7に示す例では、期間P2において、スレーブ装置20に入力する抵抗力は、ほぼ一定の大きさF
bであるのに対し、マスタ装置10にフィードバックされる力の大きさは、F
p×k1となっている。
この場合、ユーザは、期間P2において、スレーブ装置20に実際に入力する抵抗力よりも大きな抵抗力を感じることとなり、操作における負荷が大きくなる。一方、期間P3において、スレーブ装置20に実際に入力する力の変化は、F
p-F
bであり、比較的小さい差であるものの、マスタ装置10にフィードバックされる力の変化は、(F
p-F
b)×k1となっており、比較的大きい差となっている。
したがって、期間P2におけるユーザの負荷を軽減するために、増幅率を低く設定すると、期間P3においてマスタ装置10にフィードバックされる力の変化が小さくなり、ユーザは力触覚を感じ難くなる。
【0063】
図8は、スレーブ装置20に入力する力を増幅すると共に、オフセット量を減じた場合に、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力の大きさの時間変化を示す模式図である。
なお、
図8においては、操作者がマスタ装置10を操作し、スレーブ装置20のカテーテルを被検体に挿入する場合に、
図7における増幅率k1と同一の増幅率に設定し、抵抗力が増幅された分の力をオフセット量として減じて、マスタ装置10に力をフィードバックしたときの力の大きさ(二点鎖線)を示している。
図8においては、参考として、スレーブ装置20に入力する力を増幅率k1で増幅した場合の力の大きさを実線で示している。また、
図8において、横軸は時間を表し、縦軸は操作者にフィードバックされる力の大きさを表している。
【0064】
期間P1では、操作開始に伴いカテーテルが動き始め、スレーブ装置20において検出される外力(抵抗力)が増大している。
期間P2では、スレーブ装置20のカテーテルが被検体内の定常的な環境(動脈内等)を進行しており、血管の内壁等からの動摩擦力を含む抵抗力が、ほぼ一定の大きさFbで作用している。期間P2において、スレーブ装置20に入力する力は増幅率k1で増幅されると共に、抵抗力Fbが増幅された分の力は、オフセット量FOFF=Fb×(k1-1)として、マスタ装置10にフィードバックされる力から減じられる。即ち、期間P2において、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力は、スレーブ装置20に実際に入力している力Fbとなる。
【0065】
期間P3では、スレーブ装置20のカテーテルが被検体内で病変等に接触することによって、加速度が生じている(抵抗力が増大している)。
このとき、スレーブ装置20に実際に入力する力の変化は、Fp-Fbである一方、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる力の変化は、(Fp-Fb)×k1となる。
即ち、本実施形態において、スレーブ装置20に入力する力を増幅率k1で増幅すると共に、オフセット量FOFF=Fb×(k1-1)を減じてマスタ装置10に伝達することで、カテーテルの挿入において感じる抵抗力の増大を抑制しつつ、特定の区間(病変付近)等での力の変化を容易に知覚させることができる。
したがって、マスタ装置10を操作するユーザの負荷を低減しつつスレーブ装置20の状態変化を知覚させ易くすることができる。
【0066】
[変形例1]
上述の実施形態において、カテーテルを挿入した後、病変に到達するまでをアクチュエータで動作させる構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、病変付近までカテーテルを手動で挿入し、病変付近の特定の区間において、スレーブ装置20からマスタ装置10に力をフィードバックさせることとしてもよい。この場合、スレーブ装置20のカテーテルを操作者が病変付近まで手動で挿入し、病変付近において、スレーブ装置20に入力した力を増幅すると共に、スレーブ装置20に入力した抵抗力が増幅された分の力をオフセット量(摩擦補償量)として、スレーブ装置20がマスタ装置10に伝達する力から減じることができる。
【0067】
図9は、スレーブ装置20のカテーテルを操作者が手動で挿入した後、力のフィードバックを行う制御システム1の構成を示す模式図である。
図9に示すように、本変形例の制御システム1は、スレーブ装置20のカテーテルに操作用のレバー(把持部)等が設置され、操作者による手動操作が可能となっている。
また、本変形例の制御システム1は、
図1に示す第1実施形態の制御システム1が備える直動用のアクチュエータのうち、検知用アクチュエータ104,204のみを備え、挿入用アクチュエータ103,203は備えていない。
操作者がカテーテルを手動で挿入する場合、スレーブ装置20において、カテーテルが検知用アクチュエータ204及び回転用アクチュエータ205による移動制御からリリースされ、従来のカテーテルと同様に操作することが可能である。
このとき、操作者によって病変付近の手前の位置までカテーテルが挿入されるものとし、この状態を初期状態として、力触覚伝達処理が開始される。
【0068】
力触覚伝達処理が開始される場合、カテーテルが検知用アクチュエータ204及び回転用アクチュエータ205による移動制御のために保持され、マスタ装置10に対する操作に応じて、スレーブ装置20がカテーテルを移動させると共に、カテーテルに入力した外力が、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックされる。
本変形例の力触覚伝達処理においては、第1実施形態と同様に、スレーブ装置20に入力した力が所定の増幅率で増幅されると共に、スレーブ装置20に入力した抵抗力が増幅された分の力がオフセット量(摩擦補償量)として、スレーブ装置20がマスタ装置10に伝達する力から減じられる。
本変形例においては、アクチュエータによってカテーテルを移動させる距離が比較的短くなるため、ボイスコイルモータ等のストロークが短いアクチュエータを備えれば足りる。
【0069】
このように、本変形例の制御システム1によってカテーテルを被検体に挿入する場合にも、第1実施形態の制御システム1と同様に、スレーブ装置20に入力する力を所定の増幅率で増幅すると共に、オフセット量を減じてマスタ装置10に伝達することで、カテーテルの挿入において感じる抵抗力の増大を抑制しつつ、特定の区間(病変付近)等での力の変化を容易に知覚させることができる。
したがって、マスタ装置10を操作するユーザの負荷を低減しつつスレーブ装置20の状態変化を知覚させ易くすることができる。
【0070】
[他の変形例]
上述の実施形態において、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で、カテーテルのスラスト方向(進退方向)の力を力触覚伝達するものとして説明したが、これに限られない。例えば、進退方向に沿う回転軸周りの回転、あるいは、エンドエフェクタの操作に関する力をマスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚伝達してもよい。また、この場合に、スレーブ装置20に入力する力を所定の増幅率で増幅すると共に、オフセット量を減じてマスタ装置10に伝達することとしてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態において、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックする力の増幅率を一定の値に設定するものとして説明したが、これに限られない。即ち、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達を行う際に、増幅率を変化させる制御を行うことが可能である。
一例として、
図7及び
図8における期間P2の初期には、増幅率の初期値を設定してマスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達を行い、期間P2において、物理量取得部354がカテーテルに入力する定常的な抵抗力(定常摩擦力)を検出した場合に、定常摩擦力に合わせて増幅率を変化させると共に、マスタ装置10に伝達される力から減じるオフセット量(摩擦補償量)を設定することができる。例えば、定常摩擦力が大きい場合、他の外力が入力した場合の力の変化を感じ取り難くなるため、増幅率を高く設定し、これに応じて、オフセット量も増加させること等が可能である。
【0072】
また、上述の実施形態において、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックする力の増幅率は、
図7及び
図8における期間P1及び期間P2においてカテーテルに入力する抵抗力の変化を反映させた関数として設定することとしてもよい。また、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックする力から減じられるオフセット量(摩擦補償量)も、関数として設定される増幅率に応じて設定することとしてもよい。これにより、カテーテルに入力する抵抗力の変化を適応的に反映させて、スレーブ装置20からマスタ装置10に力をフィードバックしつつ、フィードバックする力からオフセット量(摩擦補償量)を減じることができる。
【0073】
また、上述の実施形態において、スレーブ装置20からマスタ装置10に伝達する力を増幅した上で、抵抗力の増幅分に相当する力を減じてマスタ装置10に伝達するものとして説明したが、これに限られない。即ち、抵抗力の増幅分に相当する力を全て減じることなく、一定の割合のみを減じる(例えば、90[%]を減じる等)こととしてもよい。
【0074】
また、上述の実施形態において、スレーブ装置20からマスタ装置10にフィードバックする力の増幅率は、力の変化率が設定された閾値以上となるように設定したり、力の変化量が設定された閾値以上となるように設定したりすることができる。
【0075】
また、上述の実施形態において、マスタ装置10に備えられたアクチュエータと、スレーブ装置20に備えられたアクチュエータとを1対1に対応付けて、力触覚の伝達を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、マスタ装置10の複数のアクチュエータをスレーブ装置20の1つのアクチュエータと対応付けて力触覚の伝達を行ったり、マスタ装置10の1つのアクチュエータをスレーブ装置20の複数のアクチュエータと対応付けて力触覚の伝達を行ったりすることが可能である。また、マスタ装置10の複数のアクチュエータをスレーブ装置20の複数のアクチュエータと対応付けて力触覚の伝達を行うことも可能である。一例として、
図3に示すスレーブ装置20の挿入用アクチュエータ203及び検知用アクチュエータ204を、マスタ装置10の挿入用アクチュエータ103を対応付けて力触覚の伝達を行うことが可能である。この場合、マスタ装置10の検知用アクチュエータ104を備える必要がなくなり、コストの削減及び装置の軽量化等を実現することができる。
【0076】
また、上述の実施形態において、スレーブ装置20のカテーテルを進退させるアクチュエータとして、挿入用アクチュエータ203及び検知用アクチュエータ204を備える構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、動作のストローク及び精度において、要求される性能を充足するアクチュエータであれば、1つのアクチュエータでスレーブ装置20のカテーテルを進退させることとしてもよい。
【0077】
以上のように、本実施形態に係る制御システム1は、マスタ装置10と、スレーブ装置20と、制御装置30と、を備える。また、制御装置30は、伝達条件設定部351と、力触覚伝達部353と、を備える。
力触覚伝達部353は、マスタ装置10及びスレーブ装置20における力触覚の伝達を制御する。
伝達条件設定部351は、スレーブ装置20に入力する力に対して、設定された増幅率で力を増幅すると共に、増幅した力から、増幅率に基づいて設定された力のオフセット量を減じて、マスタ装置10に伝達させる。
これにより、スレーブ装置20に入力する力を所定の増幅率で増幅すると共に、オフセット量を減じてマスタ装置10に伝達することで、カテーテルの挿入において感じる抵抗力の増大を抑制しつつ、力の変化を容易に知覚させることができる。
したがって、マスタ装置10を操作するユーザの負荷を低減しつつスレーブ装置20の状態変化を知覚させ易くすることができる。
【0078】
設定された増幅率で前記スレーブ装置20に入力する力を増幅した場合に、スレーブ装置20に入力する定常的な力の成分が増幅されることによる力の変化量に基づいて、オフセット量を設定する。
これにより、定常的な抵抗力等が増幅され、操作者の操作における負担が増大することを抑制できる。
【0079】
スレーブ装置20に入力する力に基づいて、増幅率を設定すると共に、設定された増幅率に基づいて、オフセット量を設定する。
これにより、スレーブ装置20に入力する抵抗力の変化を適応的に反映させて、スレーブ装置20からマスタ装置10に力をフィードバックしつつ、フィードバックする力からオフセット量(摩擦補償量)を減じることができる。
【0080】
スレーブ装置20に入力する力は、マスタ装置10及びスレーブ装置20における力触覚の伝達を制御するための制御パラメータに基づいて算出される
これにより、力触覚の伝達を行うことでスレーブ装置20に入力される力を検出することができるため、力センサ等により力を検出することなく、環境に応じた力触覚の伝達条件を設定することができる。
【0081】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明は、上述の実施形態における制御システム1として実現することの他、制御システム1を制御する制御装置、制御システム1において実行される各ステップによって構成される制御方法、あるいは、制御システム1の機能を実現するためにプロセッサによって実行されるプログラムとして実現することができる。
また、上述の実施形態では、制御装置30を独立した装置として実現する構成を例に挙げて説明したが、制御装置30の機能をマスタ装置10の制御ユニット101及びスレーブ装置20の制御ユニット201の一方に実装したり、これらの両方に分散して実装したりすることができる。
【0082】
また、上述の実施形態における処理は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれにより実行させることも可能である。
即ち、上述の処理を実行できる機能が制御システム1に備えられていればよく、この機能を実現するためにどのような機能構成及びハードウェア構成とするかは上述の例に限定されない。
上述の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにネットワークや記憶媒体からインストールされる。
【0083】
プログラムを記憶する記憶媒体は、装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア、あるいは、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disk等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体は、例えば、プログラムが記憶されているROM(Read Only Memory)やハードディスク、あるいは、半導体メモリ等で構成される。
【0084】
なお、上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。即ち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることができる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 制御システム、10 マスタ装置、20 スレーブ装置、30 制御装置、40 ネットワーク、L ディスプレイ、C カメラ、FT 機能別力・速度割当変換ブロック、FC 理想力源ブロック、PC 理想速度(位置)源ブロック、IFT 逆変換ブロック、S 制御対象システム、101,201 制御ユニット、102,202 通信ユニット、103,203 挿入用アクチュエータ、104,204 検知用アクチュエータ、105,205 回転用アクチュエータ、106,206 操作用アクチュエータ、107,108,207,208 リニアエンコーダ、109,110,209,210 ロータリーエンコーダ、111~114,211~214 ドライバ、311 プロセッサ、312 ROM、313 RAM、314 バス、315 入力部、316 出力部、317 記憶部、318 通信部、319 ドライブ、331 リムーバブルメディア、351 伝達条件設定部、352 センサ情報取得部、353 力触覚伝達部、354 物理量取得部、371 制御パラメータ記憶部