(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008281
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】整髪剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240112BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240112BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q5/06
C11D3/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110018
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】菊地 隆誠
(72)【発明者】
【氏名】井口 顕策
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC392
4C083AC532
4C083AC541
4C083AC542
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD332
4C083AD412
4C083AD442
4C083CC32
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE05
4C083EE07
4H003BA15
4H003DA02
4H003EB04
4H003EB14
4H003EB16
4H003EB28
4H003EB30
4H003ED02
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】整髪時には、毛髪のくせ付けのしやすさ(アレンジ力)に優れ、さらに、整髪後には、髪型の持続性(整髪保持力)にも優れた整髪剤組成物を提供する。また、容器から指ですくい取り易い整髪剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の整髪剤組成物は、成分A:カルボマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が60000mPa・s以上300000mPa・s以下であるポリマー;成分B:(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が40000mPa・s以上60000mPa・s未満であるポリマー;成分C:アニオン性皮膜形成ポリマー;及び成分D:水を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び下記成分Dを含有する整髪剤組成物。
成分A:カルボマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が60000mPa・s以上300000mPa・s以下であるポリマー
成分B:(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が40000mPa・s以上60000mPa・s未満であるポリマー
成分C:アニオン性皮膜形成ポリマー
成分D:水
【請求項2】
成分Bの含有量に対する成分Aの含有量の質量比が0.4~10.0である請求項1に記載の整髪剤組成物。
【請求項3】
成分Cが下記成分C1を含む、請求項1又は2に記載の整髪剤組成物。
成分C1:アクリル樹脂アルカノールアミン、及び/又は、アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドを必須のモノマー成分として用いて得られるアクリルポリマー
【請求項4】
さらに、下記成分Eを含む、請求項1又は2に記載の整髪剤組成物。
成分E:多価アルコール
【請求項5】
ジェル状の整髪剤組成物である、請求項1又は2に記載の整髪剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を整えるために、液状、ジェル状、クリーム状などの種々の性状の整髪剤組成物が用いられている。整髪剤組成物の中には、増粘の目的で、カルボマー等の増粘剤が配合されたものが広く知られている。また、整髪後の髪型の持続力を向上する目的で、ポリビニルピロリドンなどの皮膜形成ポリマーが配合されたものが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、増粘剤と皮膜形成ポリマーが配合された、従来の液状やジェル状等の整髪剤組成物は、塗布時ののびは優れるものの、毛髪のくせ付け(アレンジ)ができず、乾燥後には固まり可塑性がなくなることが特徴であった。これに対して、このような整髪剤組成物であっても、整髪時の毛髪のくせ付けのしやすさ(アレンジ力)に優れた整髪剤組成物が求められているのが現状である。
【0005】
本発明の目的は、整髪時には、毛髪のくせ付けのしやすさ(アレンジ力)に優れ、さらに、整髪後には、髪型の持続性(整髪保持力)にも優れた整髪剤組成物を提供することである。また、容器から指ですくい取り易い整髪剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、及び下記成分(D)を含有する整髪剤組成物を提供する。
成分(A):カルボマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が60000mPa・s以上300000mPa・s以下であるポリマー
成分(B):(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が40000mPa・s以上60000mPa・s未満であるポリマー
成分(C):アニオン性皮膜形成ポリマー
成分(D):水
【0007】
成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の質量比は0.4~10.0が好ましい。
【0008】
成分(C)は下記成分(C1)を含むことが好ましい。
成分(C1):アクリル樹脂アルカノールアミン、及び/又は、アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドを必須のモノマー成分として用いて得られるアクリルポリマー
【0009】
上記整髪剤組成物は、さらに、下記成分(E)を含むことが好ましい。
成分(E):多価アルコール
【0010】
上記整髪剤組成物は、ジェル状の整髪剤組成物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の整髪剤組成物は、整髪時には、毛髪のくせ付けのしやすさ(アレンジ力)に優れ、さらに、整髪後には、髪型の保持性(整髪保持力)にも優れる。特に、高湿度下でも整髪保持力に優れる。また、本発明の整髪剤組成物は、ジャー容器などから指ですくい取る際に、容器からの組成物がとれやすく、操作性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の整髪剤組成物は、カルボマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が60000mPa・s以上300000mPa・s以下であるポリマー;(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が40000mPa・s以上60000mPa・s未満であるポリマー;アニオン性皮膜形成ポリマー;及び水を少なくとも含む。本発明の整髪剤組成物は、さらに、多価アルコールを含むことが好ましい。また、本発明の整髪剤組成物は、エタノールを含むことが好ましい。上記アニオン性皮膜形成ポリマーは、アクリル樹脂アルカノールアミン、及び/又は、アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドを必須のモノマー成分として用いて得られるアクリルポリマーを含むことが好ましい。
【0014】
なお、本明細書においては、上記「カルボマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が60000mPa・s以上300000mPa・s以下であるポリマー」を「成分(A)」;上記「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が40000mPa・s以上60000mPa・s未満であるポリマー」を「成分(B)」;上記「アニオン性皮膜形成ポリマー」を「成分(C)」;上記「水」を「成分(D)」;上記「多価アルコール」を「成分(E)」;上記「エタノール」を「成分(F)」;上記「アクリル樹脂アルカノールアミン、及び/又は、アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドを必須のモノマー成分として用いて得られるアクリルポリマー」を「成分(C1)」とそれぞれ称する場合がある。
【0015】
本発明の整髪剤組成物は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、及び成分(D)を含む。本発明の整髪剤組成物は、成分(E)を含むことが好ましい。本発明の整髪剤組成物は、成分(F)を含むことが好ましい。成分(C)は、成分(C1)を含むことが好ましい。本発明の整髪剤組成物は、上記成分(A)~成分(F)以外の成分(その他の成分)を含んでもよい。また、本発明の整髪剤組成物に含まれる成分(例えば、成分(A)~成分(F)やその他の成分)は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0016】
[成分(A):カルボマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が60000mPa・s以上300000mPa・s以下であるポリマー]
成分(A)は、カルボマー及び/又は(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が60000mPa・s以上300000mPa・s以下であるポリマーである。成分(A)は、整髪剤組成物を増粘する成分として機能する。成分(A)を用いることで、ぬるつきなく、使用性のよい整髪剤組成物を実現することができる。成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0017】
カルボマーは、INCI(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)名で、「Carbomer」と表記される。(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーは、INCI名で、「Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer」と表記される。
【0018】
成分(A)の1%水溶液粘度は、60000mPa・s以上であり、70000mPa・s以上が好ましく、300000mPa・s以下であり、150000mPa・s以下が好ましい。なお、上記「成分(A)の1%水溶液粘度」は、成分(A)の濃度が1質量%である水溶液の粘度である。
【0019】
成分(A)の市販品としては、例えば、カルボマーである、LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol Ultrez10 Polymer」、商品名「Carbopol Ultrez30 Polymer」、商品名「Carbopol 980 Polymer」;(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーである、LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol Ultrez21 Polymer」等が挙げられる。
【0020】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(A)の含有量は、整髪剤組成物に必要な粘度を付与し、毛髪に塗布し易くする観点から、0.4質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、べたつきを抑え、使用性を向上させる観点から、3.0質量%以下が好ましく、より好ましくは2.0質量%以下である。上記成分(A)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(A)の含有量の合計量である。
【0021】
[成分(B):(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が40000mPa・s以上60000mPa・s未満であるポリマー]
成分(B)は、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーであり、1%水溶液粘度が40000mPa・s以上60000mPa・s未満であるポリマーである。成分(B)は、整髪剤組成物の弾力性が高くなり過ぎることを抑え、整髪剤組成物に適度な粘性を与え、使用性を高める成分として機能する。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0022】
成分(B)の1%水溶液粘度は、40000mPa・s以上であり、60000mPa・s未満であり、55000mPa・s以下が好ましい。なお、上記「成分(B)の1%水溶液粘度」は、成分(B)の濃度が1質量%である水溶液の粘度である。
【0023】
成分(B)の市販品としては、例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーである、LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol Ultrez20 Polymer」、商品名「Carbopol ETD2020 Polymer」、商品名「Carbopol 1382 Polymer」等が挙げられる。
【0024】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(B)の含有量は、整髪剤組成物の粘度を高め、毛髪に塗布し易くする観点から、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.3質量%以上、べたつきを抑え、使用性を向上させる観点から、1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.7質量%以下である。上記成分(B)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(B)の含有量の合計量である。
【0025】
本発明の整髪剤組成物において、成分(B)の含有量に対する成分(A)含有量の質量比[成分(A)/成分(B)]は、0.4~10.0が好ましく、より好ましくは0.7~7.0であり、さらに好ましくは1.0~5.0である。成分(A)/成分(B)が上記範囲内であると、容器中の整髪剤組成物を指ですくい取る際に、所望の量の整髪剤組成物を取りやすく、使用性により一層優れる。
【0026】
[成分(C):アニオン性皮膜形成ポリマー]
成分(C)は、アニオン性皮膜形成ポリマーである。成分(C)は、毛髪表面に皮膜を形成する。また、成分(C)は、耐湿性を有している。このため、成分(C)により、本発明の整髪剤組成物を整髪保持力(特に、高湿度下での整髪保持力)に優れたものとできる。本発明においては、成分(A)及び成分(B)と併用することにより、成分(C)による皮膜がある程度可塑化されるためと推定されるが、粘着性と強靭性を有する。これにより、本発明の整髪剤組成物にアレンジ力を発揮させ、さらに整髪保持力を向上させる効果を発揮する。加えて、成分(A)と成分(C)を併用することにより、整髪剤組成物の弾性(弾力性)が高まり、成分(B)と成分(C)を併用することにより、整髪剤組成物に曳糸性を付与する。このため、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を併用することにより、適度な取れやすさを発現することができる。成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0027】
成分(C)としては、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロリルアクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体、(スチレン/アクリル酸アミド)共重合体、ウレタン-アクリル系共重合体、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」との双方を意味する。
【0028】
成分(C)は、アレンジ力および整髪保持力(特に、高湿度下での整髪保持力)をより一層向上する観点から、成分(C1)を含むことが好ましい。成分(C1)は、アクリル樹脂アルカノールアミン、及び/又は、アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドを必須のモノマー成分として用いて得られるアクリルポリマーである。なお、本明細書においては、上記「アクリル樹脂アルカノールアミン」を「成分(C1a)」;上記「アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドを必須のモノマー成分として用いて得られるアクリルポリマー」を「成分(C1b)」とそれぞれ称する場合がある。成分(C1a)は、アクリル樹脂を2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール,2-アミノ-2-メチルプロパノール,トリエタノールアミン又はトリイソプロパノールアミンで中和したものであることが好ましい。成分(C1b)は、アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドと、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを必須のモノマー成分として用いて得られるアクリルポリマーであることが好ましい。すなわち、成分(C1b)は、アルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドに由来する構成単位を含むポリマーであり、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位、並びにアルキルアクリルアミド及び/又はジアセトンアクリルアミドに由来する構成単位を含むポリマーである。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の内、一方又は両方を意味する。成分(C1b)は、成分(C1b)のナトリウム塩(以下、Naと略す)、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール塩(以下、AMPと略す)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール塩(以下、AMPDと略す)であってもよい。また、成分(C1)は、成分(C1a)であり、かつ、成分(C1b)であるものであってもよい。
【0029】
成分(C1)としては、例えば、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー[INCI名:ACRYLATES/DIACETONEACRYLAMIDE COPOLYMER]、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP[INCI名:AMP-ACRYLATES/C1-18 ALKYL ACRYLATE/C1-8 ALKYL ACRYLAMIDE COPOLYMER]、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP[INCI名:AMP-ACRYLATES/DIACETONEACRYLAMIDE COPOLYMER]、アクリレーツコポリマーAMP[INCI名:AMP-ACRYLATES COPOLYMER]等が挙げられる。
【0030】
成分(C1)は、市販品を用いることもできる。(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーの市販品としては、例えば、商品名「プラスサイズL-53」、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMPの市販品としては、例えば、「プラスサイズL-9909B」、商品名「プラスサイズL-9716」、商品名「プラスサイズL-6740B」、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPの市販品としては、例えば、商品名「プラスサイズL-6330」、商品名「プラスサイズL-6466」(いずれも互応化学工業株式会社製)等が挙げられる。(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーの市販品としては、例えば、商品名「AMPHOMER 28-4910」、「AMPHOMER LV-71」、「AMPHOMER SH30」(いずれもヌーリオン・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は、アレンジ力、及び整髪保持力を高める観点から、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは1.5質量%以上、製剤安定性およびべたつき軽減の観点から、7.0質量%以下が好ましく、より好ましくは5.0質量%以下である。上記成分(C)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(C)の含有量の合計量である。
【0032】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(C1)の含有量は、アレンジ力、及び整髪保持力を高める観点から、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは1.5質量%以上、製剤安定性およびべたつき軽減の観点から、7.0質量%以下が好ましく、より好ましくは5.0質量%以下である。上記成分(C1)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(C1)の含有量の合計量である。
【0033】
成分(C)100質量%中、成分(C1)の含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは100質量%(即ち、成分(C)は成分(C1)である)。
【0034】
[成分(D):水]
成分(D)は、水であり、好ましくは精製水である。成分(D)は、本発明の整髪剤組成物における基材の役割を発揮する。本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、特に限定されないが、30質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、90質量%以下が好ましく、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
【0035】
[成分(E):多価アルコール]
成分(E)は、多価アルコールである。成分(E)は、本発明の整髪剤組成物のフレーキングを抑え、また、塗布時ののびをより一層高める効果を発揮する。成分(E)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0036】
成分(E)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、糖アルコールなどが挙げられる。上記糖アルコールとしては、例えば、グルコース、マルトース、ソルビトール、マルチトール、トレハロース、エリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ガラクチトール、マンニトール、スクロース等が挙げられる。中でも、塗布時ののびをより一層高める観点から、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールが好ましい。即ち、成分(E)は、プロピレングリコール及び/又は1,3-ブチレングリコールを含むことが好ましい。
【0037】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(E)の含有量は、フレーキングを抑制し、塗布時ののびをより一層高める観点から、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上、べたつきを抑え整髪保持力をより一層高める観点から、25.0質量%以下が好ましく、より好ましくは20.0質量%以下である。上記成分(E)の含有量は、本発明の整髪剤組成物中の全ての成分(E)の含有量の合計量である。
【0038】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、プロピレングリコール及び1,3-ブチレングリコールの含有量の合計量は、塗布時ののびを良好にしつつ、べたつきを軽減する観点から、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上が好ましく、25.0質量%以下が好ましく、より好ましくは20.0質量%以下である。
【0039】
[成分(F):エタノール]
成分(F)は、エタノールである。成分(F)は、本発明の整髪剤組成物の速乾性を高める効果を発揮する。
【0040】
本発明の整髪剤組成物100質量%中、成分(F)の含有量は、速乾性をより一層向上する観点から、1.0質量%以上が好ましく、より好ましくは5.0質量%以上、塗布や整髪のしやすさの観点から、30.0質量%以下が好ましく、より好ましくは20.0質量%以下である。
【0041】
[他の成分]
本発明の整髪剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、成分(A)~(F)以外の成分を含んでいてもよい。上記成分(A)~(F)以外の成分は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0042】
上記成分(A)~(F)以外の成分としては、例えば、成分(F)以外の低級アルコール;界面活性剤;キサンタンガム、アクリル酸アルキルコポリマー(商品名「アキュリン33A」など)、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー(商品名「アキュリン22」など)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の成分(A)及び成分(B)以外の増粘剤;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、及びオレイルアルコール等の炭素数12~18の高級アルコール;シリコーン油;脂肪酸エステル油;金属イオン封鎖剤(エデト酸二ナトリウム塩等);酸化防止剤;植物抽出エキス;染料;顔料;pH調整剤(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミン等);香料;防腐剤(フェノキシエタノール、パラベン類等)等が挙げられる。
【0043】
(整髪剤組成物の他の詳細)
本発明の整髪剤組成物の性状は、特に限定されず、液状、ジェル状、クリーム状、及びワックス状のいずれであってもよい。本発明の整髪剤組成物は、ジェル状であることが好ましい。
【0044】
25℃の環境下で、本発明の整髪剤組成物に対して、速度60mm/分でアダプター(17mmφ、円柱状)を20mm押し込んだときの応力は、好ましくは5.0gf以上、より好ましくは10.0gf以上、好ましくは50.0gf以下、より好ましくは30.0gf以下である。上記応力は、例えば、サン科学社製「RHEO METER」で測定することができる。
【0045】
本発明の整髪剤組成物の製造方法は特に限定されず、本発明の整髪剤組成物の製造方法として、公知の整髪剤組成物の製造方法を用いることができる。本発明の整髪剤組成物の製造方法としては、例えば、各成分をディスパーミキサーで攪拌後、パドルミキサーに交換して攪拌しながら他の成分を配合及び均一化する方法が挙げられる。
【0046】
本発明の整髪剤組成物は、特に限定されないが、例えば、容器に充填された形態で用いることができる。上記容器としては、ボトル容器、ジャー容器及びチューブ容器等が挙げられる。上記容器は、ジャー容器であることが好ましい。
【実施例0047】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0048】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0049】
(成分(A))
カルボキシビニルポリマー1:LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol Ultrez10 Polymer」、1%水溶液粘度約68000mPa・s
カルボキシビニルポリマー2:LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol Ultrez30 Polymer」、1%水溶液粘度約84000mPa・s
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー1:LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol Ultrez21 Polymer」、1%水溶液粘度約79000mPa・s
(成分(B))
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー2:LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol Ultrez20 Polymer」、1%水溶液粘度約52000mPa・s
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー3:LUBRIZOL社製、商品名「Carbopol ETD2020 Polymer」、1%水溶液粘度約45000mPa・s
(成分(C))
アクリル樹脂アルカノールアミン液:互応化学工業社製、商品名「プラスサイズ L-6330」、AMP-ACRYLATES/DIACETONEACRYLAMIDE COPOLYMER
(成分(C)以外の皮膜形成ポリマー)
ポリビニルピロリドン:第一工業製薬社製、商品名「クリージャスK-90」
(成分(D))
精製水
(成分(E))
プロピレングリコール
(成分(F))
エタノール
(その他)
トリエタノールアミン(TEA)
香料
エデト酸2ナトリウム
【0050】
(実施例1~11及び比較例1~4)
下記の表に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、常法により、下記の表に示す組成を有する整髪剤組成物を調製した。表中の成分(C)の配合量は、商品の配合量(単位:質量%)で示し、その他の配合成分の配合量は、純分の配合量(単位:質量%)で示した。
【0051】
(評価)
以下のとおり評価を行った。評価は、いずれも専門パネル3名により行った。
【0052】
(評価1:製剤の取れやすさ)
得られた整髪剤組成物を、ジャー容器に充填し、指で約2.0g程度すくい取ったときの、取れやすさについて、下記の基準に従い評価した。
<製剤の取れやすさの評価基準>
◎(良好):剤を容易に指ですくい取ることが出来る。
○(実用可能):剤をやや容易に指ですくい取ることが出来る。
×(不良):剤が糸曳きし、うまくすくい取ることが出来ない、もしくは、剤の弾力性が高く指ですくい取るときに、剤が指から逃げてしまい、うまくすくい取ることが出来ない。
【0053】
(評価2:アレンジ力)
得られた整髪剤組成物約2gを掌上でのばした後、ショートヘアのヘアウィッグ(レッスンマネキン、ユーカリジャパン社製)の毛髪上に塗布し、毛髪を手を握るようにしてで毛髪全体にボリュームが出るように整髪した。
<アレンジのしやすさの評価基準>
◎(非常に良好):非常にボリュームのあるヘアスタイルを容易に作ることが出来る。
○(良好):ボリュームのあるヘアスタイルを容易に作ることが出来る
△(実用可能): ややボリュームのあるヘアスタイルを作ることが出来る
×(不良):ボリュームのあるヘアスタイルを作ることが出来ない。
【0054】
(評価3:整髪保持力)
評価2で作ったヘアスタイルのヘアウィッグを、温度35℃、湿度80%の恒温槽に3時間保管後、ヘアウィッグの整髪状態を観察し、下記の基準に従い評価した。
<キープ力の評価基準>
◎(良好):整髪した髪型が崩れることなく保たれている。
○(実用可能):整髪した髪型がほぼ保たれている。
×(不良):整髪した髪型が明らかに崩れている。
【0055】
結果を下記の表に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
実施例および比較例の整髪剤組成物は、いずれもジェル状の整髪剤組成物であり、ヘアウィッグの毛髪上に塗布する際の塗布性に優れていた。また、表に記載のとおり、本発明の整髪剤組成物(実施例)は、容器から指ですくい取り易く操作性に優れていた。さらに、整髪時のアレンジ力および整髪後の整髪保持力(特に高湿度下での整髪保持力)に優れた整髪剤組成物であった。一方、比較例1の整髪剤組成物は指ですくい取る際に組成物が切れやすく、比較例2の整髪剤組成物は指ですくい取る際に組成物が伸びすぎて(曳糸性が高すぎて)、いずれもすくい取りにくく操作性に劣るものであった。さらに、比較例3及び4の整髪剤組成物はアレンジ力および整髪保持力に劣るものであった。加えて、本発明の整髪剤組成物(実施例)は、フレーキングの発生は認められなかった。
【0059】
以下に、本発明の整髪剤組成物の処方例を示す。
【0060】
処方例1:ヘアジェル
カルボキシビニルポリマー(1%水溶液粘度約68000mPa・s)
0.6質量%
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約45000mPa・s) 0.6質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
2.0質量%
ジプロピレングリコール 4.0質量%
プロピレングリコール 4.0質量%
エタノール 10.0質量%
トリエタノールアミン 2.0質量%
エデト酸2ナトリウム 0.03質量%
加水分解ケラチン 0.1質量%
アロエエキス 0.1質量%
香料 適量
精製水 残量
合計 100質量%
【0061】
処方例2:ヘアジェル
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約79000mPa・s) 0.65質量%
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約45000mPa・s) 0.5質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
1.0質量%
グリセリン 2.0質量%
プロピレングリコール 8.0質量%
エタノール 8.0質量%
トリエタノールアミン 2.0質量%
エデト酸2ナトリウム 0.05質量%
加水分解コンキリオン 0.1質量%
加水分解ヒアルロン酸 0.1質量%
香料 適量
精製水 残量
合計 100質量%
【0062】
処方例3:ヘアジェル
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約79000mPa・s) 0.65質量%
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約45000mPa・s) 0.55質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
0.8質量%
グリセリン 5.0質量%
プロピレングリコール 4.0質量%
1,3-ブチレングリコール 4.0質量%
エタノール 8.0質量%
トリエタノールアミン 2.2質量%
エデト酸2ナトリウム 0.05質量%
珪藻土 2.0質量%
香料 適量
精製水 残量
合計 100質量%
【0063】
処方例4:ヘアクリーム(ヘアワックスジェル)
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約79000mPa・s) 0.85質量%
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約45000mPa・s) 0.5質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
0.7質量%
グリセリン 5.0質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 1.5質量%
スクワラン 2.0質量%
トリエタノールアミン 2.5質量%
エデト酸2ナトリウム 0.03質量%
香料 適量
精製水 残量
合計 100質量%
【0064】
処方例5:ヘアクリーム(ヘアワックスジェル)
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約79000mPa・s) 0.75質量%
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー(1%水溶液粘度約52000mPa・s) 0.5質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
0.8質量%
グリセリン 5.0質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 1.5質量%
トリエチルヘキサノイン 2.0質量%
トリエタノールアミン 2.5質量%
アルガンオイル 0.5質量%
香料 適量
精製水 残量
合計 100質量%