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特開2024-86206アンカーボルト及びアンカーボルト用調整部材
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  • 特開-アンカーボルト及びアンカーボルト用調整部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086206
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】アンカーボルト及びアンカーボルト用調整部材
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
E02D27/00 B
E02D27/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201225
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】516152952
【氏名又は名称】構法開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507011611
【氏名又は名称】株式会社進富
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】大西 克則
(72)【発明者】
【氏名】依田 佳幸
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA03
(57)【要約】
【課題】 接合部材をストレスなく容易に挿入することができ、剪断力と軸力ともに必要強度を確保することができるアンカーボルト及びアンカーボルト用部材を提供する。
【解決手段】 構造物の基礎に埋設される軸部と、前記基礎から突出する突出部とを備え、該突出部を接合部材に挿通して固定するアンカーボルトであって、前記突出部の前記軸部側に調整部が設けられるとともに先端側にねじ部が設けられ、前記調整部の前記ねじ部側の端部にテーパー部が設けられ、前記調整部の軸径は前記ねじ部の軸径より大きく、前記基礎から突出する前記調整部の軸方向の軸径が、前記接合部材に設けられたボルト挿通孔の直径から許容クリアランスを差し引いた寸法以上、前記ボルト挿通孔の直径未満であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の基礎に埋設される軸部と、前記基礎から突出する突出部とを備え、該突出部を接合部材に挿通して固定するアンカーボルトであって、
前記突出部の前記軸部側に調整部が設けられるとともに先端側にねじ部が設けられ、
前記調整部の前記ねじ部側の端部にテーパー部が設けられ、
前記調整部の軸径は前記ねじ部の軸径より大きく、前記基礎から突出する前記調整部の軸方向の軸径が、前記接合部材に設けられたボルト挿通孔の直径から許容クリアランスを差し引いた寸法以上、前記ボルト挿通孔の直径未満であることを特徴とするアンカーボルト。
【請求項2】
前記許容クリアランスが5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト。
【請求項3】
前記軸部が異形鉄筋であることを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト。
【請求項4】
軸部が構造物の基礎に埋め込まれ、該基礎からの突出するねじ部で接合部材を固定するアンカーボルトに接続する調整部材であって、
前記アンカーボルトのねじ部に螺合する雌ネジ部、又は前記アンカーボルトの前記ねじ部又は前記軸部に嵌合する貫通部を有する調整部本体と、該調整部本体の端部に設けられたテーパー部を備え、
前記調整部材の直径が、前記接合部材に設けられたボルト挿通孔の直径から許容クリアランスを差し引いた寸法以上、ボルト挿通孔の直径未満であることを特徴とするアンカーボルト用調整部材。
【請求項5】
前記許容クリアランスが5mm以下であることを特徴とする請求項4に記載のアンカーボルト用調整部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボルト及びアンカーボルト用調整部材に関し、詳しくは、建造物の基礎に接合部材を固定するために用いるアンカーボルト及びアンカーボルト用調整部材に関する。
【背景技術】
【0002】
低層鉄骨建築物の基礎施工おける部材の固定は、一般的にコンクリートの基礎に埋め込まれたアンカーボルトにナット等で固定することにより行われる。
【0003】
このアンカーボルトにおいて、ボルト軸方向力(軸力)はボルトねじ部の有効断面積の強度で計算し、剪断方向力(剪断力)はボルト軸断面積の剪断強度及び孔側面の支圧強度で計算する。このとき、接合部材に設けるアンカーボルトを挿通するためのボルト挿通孔の直径は、建築基準法(建築基準法告示1456号)の規定で孔クリアランスはボルト径+5mmまでと定められている。しかしながら、コンクリートとの摩擦力が不足するような場合にはクリアランスの滑り防止のために、孔クリアランスの小さい座金プレート等を溶接する必要がある。
【0004】
一方、接合部材に設けられるボルト挿通孔は、その精度をかなり高くしても、現場でボルト挿通孔がずれることがあり、アンカーボルトにボルト挿通孔が入り難い場合がある。特に、距離が離れた複数のアンカーボルトに対して1つの接合部材を接合する場合には、ボルト挿通孔のズレは大きくなり、その調整には多くの時間や労力を消費することがある。
【0005】
このような問題に対して、これまでいくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、ボルト挿通孔のずれを修正するためのスペーサーとして、上側となる大円柱部と下側となる小円柱部とが同一の円中心を有して一体に形成された金属部材に、円中心から偏心した位置にアンカーボルト挿通用の貫通孔を形成した偏心スペーサーが提案されている。そして、この偏心スペーサーを用いることにより、建物基礎に設けられたアンカーボルトの位置のずれを吸収し、接合部材を所定の位置に安定に固定することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-114231号公報
【特許文献2】特開2021-188670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の提案の偏心スペーサーの使用に際しては、接合部材に設けられた貫通孔とアンカーボルトの軸位置がずれていることが前提であり、例えば、軸位置のずれがない場合には却って調整が難しくなることが考えられる。また、クリアランスの許容範囲を大きく設定しているため、建築基準法(建築基準法施行令第68条4)の規定を考慮した場合には使用できないことも考えられる。
【0008】
なお、本発明者は、複数の被接合部材を重ねた状態で接合するために用いるボルトとして、特許文献2の接合ボルトを提案しているが、この接合ボルトを長尺の軸部を有し、該軸部を基礎に埋設して用いるアンカーボルトに適用することは困難であった。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、接合部材をストレスなく容易に挿入し、固定することができ、剪断力と軸力ともに必要強度を確保することができるアンカーボルト及びアンカーボルト用部材を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアンカーボルト及びアンカーボルト用部材は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、以下のことを特徴としている。
【0011】
第1に、本発明のアンカーボルトは、構造物の基礎に埋設される軸部と、前記基礎から突出する突出部とを備え、該突出部を接合部材に挿通して固定するアンカーボルトであって、
前記突出部の前記軸部側に調整部が設けられるとともに先端側にねじ部が設けられ、
前記調整部の前記ねじ部側の端部にテーパー部が設けられ、
前記調整部の軸径は前記ねじ部の軸径より大きく、前記基礎から突出する前記調整部の軸径が、前記接合部材に設けられたボルト挿通孔の直径から許容クリアランスを差し引いた寸法以上、前記ボルト挿通孔の直径未満であることを特徴とする。
第2に、上記第1の発明のアンカーボルトにおいて、前記許容クリアランスが5mm以下であることが好ましい。
第3に、上記第1又は第2の発明のアンカーボルトにおいて、前記軸部が異形鉄筋であることが好ましい。
第4に、本発明のアンカーボルトは、軸部が構造物の基礎に埋め込まれ、該基礎からの突出するねじ部で接合部材を固定するアンカーボルトに接続する調整部材であって、
前記アンカーボルトのねじ部に螺合する雌ネジ部、又は前記アンカーボルトの前記ねじ部又は前記軸部に嵌合する貫通部を有する調整部本体と、該調整部本体の端部に設けられたテーパー部を備え、
前記調整部材の軸方向の長さが、前記接合部材の厚みと同等であり、直径が前記接合部材に設けられたボルト挿通孔の直径から許容クリアランスを差し引いた寸法以上、ボルト挿通孔の直径未満であることを特徴とする。
第5に、上記第4の発明のアンカーボルト用調整部材において、前記許容クリアランスが5mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のアンカーボルトによれば、接合部材をストレスなく容易に挿入し、固定することができ、剪断力と軸力ともに必要強度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のアンカーボルトの一実施形態を示す概略図である。
図2】(A)、(B)は、本発明のアンカーボルトの他の実施形態を示す概略図である。
図3】本発明のアンカーボルト用調整部材の一実施形態を示す概略図であり、(A)は側面図、(B)は上面図、(C)はアンカーボルトに接続した状態を示す概略図である。
図4】本発明のアンカーボルト用調整部材の他の実施形態を示す概略図であり、(A)は側面図、(B)は上面図、(C)はアンカーボルトに接続した状態を示す概略図である。
図5】(A)~(C)は、本発明のアンカーボルトを用いた接合部材の接合工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明のアンカーボルトについて図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のアンカーボルトの一実施形態を示す概略図である。
【0015】
本発明のアンカーボルト1は、構造物の基礎6に埋設される軸部10と、前記基礎6から突出する突出部11とを備え、該突出部11を接合部材3に挿通して固定するアンカーボルトであり、突出部11の軸部10側に調整部13が設けられるとともに先端側にねじ部12が設けられており、調整部13のねじ部12側の端部にはテーパー部14が設けられている。
【0016】
軸部10は、本実施形態のアンカーボルト1を構造物の基礎6に施工した場合に、基礎6内に埋設される部分であり、その長さや太さは特に限定されるものではなく、基礎6の設計に応じて適宜決定することができる。また、軸部10の一端部には基礎6からの抜けを防止するために、図2(A)、(B)に示すように、軸部10の直径より大きい頭部15を設けたり、先端をL字形等の形状とすることができる。また、軸部10を図2(B)に示すような異形鉄筋とすることにより抜けを防止することもできる。
【0017】
突出部11は、アンカーボルト1を基礎6に配設施工した状態において基礎6表面から突出する部分であり、この突出部11を接合部材3に設けられたボルト挿通孔30に挿通して、ナット4等により固定する。本発明のアンカーボルト1における突出部11には、調整部13及びねじ部12が設けられ、調整部13のねじ部12側の端部にテーパー部14が設けられている。また、調整部13の軸径はねじ部12の軸径より大きい寸法である。
【0018】
調整部13は、図5(C)に示すような接合部材3の接合完了時に、接合部材3のボルト挿通孔30の内壁面に位置する部分である。本発明のアンカーボルト1における調整部13の軸方向の長さは、接合部材3の厚みと同等の寸法であり、調整部13の径が接合部材3に設けられたボルト挿通孔30の直径から許容クリアランスを差し引いた寸法以上、前記ボルト挿通孔30の直径未満に設定される。ここで、接合部材3の厚みと同等の寸法とは、設計上必要な支持寸法があればよく、テーパー部14や調整部13が接合部材3から突出する場合には、スペーサー5を挿入して調整する。
【0019】
なお、接合部材3にかかる剪断力に対して、調整部13と接合部材3のボルト挿通孔30の支圧部の厚さ(支圧必要厚さ)が必要なので、接合部材3の厚みは、支圧必要厚さ以上あればよく、曲げ力など他の条件でさらに厚くすることもある。
【0020】
しかし、調整部13の軸方向の長さ(支圧部の厚さ)は支圧必要厚さであればよいので、接合部材3の厚みより小さくなることがあるが、大きくなることは無駄になる。即ち、接合部材3の厚みより小さい場合、テーパー部14が接合部材3の厚みの以下であればスペーサー5を省略できる。
【0021】
また、本発明における許容クリアランスとは、アンカーボルト1を接合部材3のボルト挿通孔30に挿入した状態において、ボルト挿通孔30の直径と調整部13の直径との差の寸法を意味する。なお、本実施形態における許容クリアランスは、建築基準法(建築基準法告示1456号)の規定に準拠する場合には5mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下である。また、許容クリアランスの下限は0.5~0.2mmが好ましい。
【0022】
ねじ部12は、ナット4の螺合により接合部材3を固定するとともに、該接合部材3の本締め付けの前段階で、一時的に接合部材3をねじ部12の位置で保持し、ボルト挿通孔30に対する遊びを確保するために設けられている。これにより、例えば、接合部材3に設けられた複数のボルト挿通孔30の全てに対してねじ部12の部分まで挿入しておくことが可能となる。また、ねじ部12のねじ径は、調整部13の直径よりも細ければ特に制限はなく、ねじピッチ等も接合部材3を固定するナット4に合わせて決定することができる。
【0023】
さらに、調整部13とねじ部12の境界に設けられるテーパー部14は、アンカーボルト1のねじ部12を接合部材3の厚み部分の位置まで挿通した後、本締めの締め付け工程で、ねじ部12から調整部13へのボルト挿通孔30内の移行を容易にするために設けられるものである。例えば、テーパー部14を設けない場合には段差が生じ、ねじ部12から調整部13へのスムーズな移行を行うことができない。
【0024】
なお、テーパー部14は、上記観点から可能な限り軸長手方向に対してなだらかな斜面に設定することが望ましいが、テーパー部14の軸方向の長さは調整部13の長さに含まれるため、挿入するスペーサー5やワッシャ41等の高さを考慮して設定する必要がある。また、テーパー部14の角度は、ボルト挿通孔30の内壁とテーパー部14との摩擦や抗力等を考慮して、軸に対して30°程度が望ましい。
【0025】
本発明のアンカーボルト1によれば、上記構成の突出部11を設けることにより、例えば、基礎6に複数の本実施形態のアンカーボルト1を配設し、これら複数のアンカーボルト1を1つの接合部材3に設けられた挿通孔に各々挿通して固定する場合において、アンカーボルト1の設置ずれや接合部材3に設けられたボルト挿通孔30の位置ずれ等により挿通にストレスがかかる場合であっても、高精度に設置したアンカーボルトに対して、大きさやボルト挿通孔30の数がまちまちな接合部材3を強制してアンカーボルト1に合わせることが可能となる。
【0026】
また、本発明では、突出部にネジ部71を有する通常のアンカーボルト7に対して、後付けのアンカーボルト用調整部材2を取り付けて、上記本発明のアンカーボルト1と同様の構成とすることもできる。本発明のアンカーボルト用調整部材2は、図3(A)、(B)に示すような、通常のアンカーボルト7のねじ部71に螺合する雌ネジ部22、図4(A)、(B)に示すような、ねじ部71又は軸部72に勘合する貫通部23を有する調整部本体20と、該調整部本体20の端部に設けられたテーパー部21を備えており、アンカーボルト用調整部材2の軸方向の長さが、接合部材3の厚みと同等であり、直径が接合部材3に設けられたボルト挿通孔30の直径から許容クリアランスを、差し引いた寸法以上、ボルト挿通孔30の直径未満の構成である。
【0027】
図3(C)のように、通常のアンカーボルト7のネジ部71に螺合させたり、図4(C)のように、軸部72に勘合させたアンカーボルト用調整部材2は、溶接等によりアンカーボルトと一体にしてもよいが、アンカーボルト7設置後に、アンカーボルト7のねじ部71に螺合又は軸部72に嵌合させてもよい。上記構成のアンカーボルト用調整部材2を通常のアンカーボルト7に取り付けることにより、上記本発明の調整部13を有するアンカーボルト1と同様の効果を得ることができる。
【0028】
以下に、本発明のアンカーボルトの接合方法について、図面を用いて詳細に説明する。図5(A)~(C)は、本発明のアンカーボルトを用いた接合部材の接合工程説明図である。本接合工程の実施形態は、挿通保持工程と締め付け工程から構成されている。本実施形態では、2本のアンカーボルト1を間隔を置いて基礎6に埋め込み施工し、その2本のアンカーボルト1に1つの接合部材3を接合する場合を示している。
【0029】
(挿通保持工程)
挿通保持工程では、まず、図5(A)に示すように、2本のアンカーボルト1を基礎6に埋め込み施工した状態で、接合部材3に貫通して設けられた2つのボルト挿通孔30の各々に2本のアンカーボルト1各々のねじ部12を通してテーパー部14の位置まで挿入する。そして、この状態でねじ部12にスペーサー5及びワッシャ41を配設するとともに、ナット4を螺合して保持する。なお、挿通保持工程の状態では、ねじ部12のねじ径がボルト挿入孔の許容クリアランスより小さいため、クリアランスが拡大しており、接合部材3を2本のアンカーボルト1間でスライド調整することができ、各々のボルト挿通孔30にアンカーボルト1のねじ部12を容易に挿入することができる。本実施形態では、接合部材3に貫通して設けられた2つのボルト挿通孔30の間隔が、2本のアンカーボルト1の間隔より大きい場合を示しているので、接合部材3の孔間隔はアンカーボルト1の設置位置に従って伸び縮み調整(矯正)される。なお、接合部材3のボルト挿通孔30の間隔が小さい場合は、大きな矯正力が必要になるので高精度の孔間隔加工が必要になる。
【0030】
ここで、調整部13の長さは基本的に接合する接合部材3の厚さと同等であるが、例えば、接合部材3の厚さが調整部13の長さより薄い場合、即ち、接合後に調整部13やテーパー部14が接合部材3の上面から突出するような場合には、突出分以上の厚みのスペーサー5を介在させたり、適切な厚みの平ワッシャやスプリングワッシャ等のワッシャ41を挿入して調整する必要がある。本実施形態では、スペーサー5を挿入するとともにワッシャ41を挿入して高さの調整を行っている。
【0031】
(締め付け工程)
2本のアンカーボルト1の各々のねじ部12に対して、接合部材3のボルト挿通孔30の挿入が完了後、図5(B)に示すように、アンカーボルト1のねじ部12に螺合させたナット4を交互に締め付けて、接合部材3を調整部13に嵌合させる。この際の接合部材3のボルト挿通孔30のねじ部12から調整部13への移行は、調整部13の端部に設けられたテーパー部14によりスムーズに行われる。そして、これにより、図5(C)に示すように、本実施形態のアンカーボルト1に対する接合部材3の接合が完了する。なお、本発明のアンカーボルト用調整部材2を用いたアンカーボルトにおいても、実質的に本発明のアンカーボルト1と同様の構成とすることができるため、上記接合工程と同様の工程により接合することができる。
【0032】
以上、本発明のアンカーボルト1及びアンカーボルト用調整部材2について実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態では、アンカーボルト1に対して1枚の接合部材3を接合する構成を示しているが、2枚以上の接合部材3を重ねて接合する構成としてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、調整部13の軸径を軸部10の軸径よりも大きく設定しているが、軸部10の軸径は調整部の軸径と同等又はそれ以上であっても構わない。
【0035】
上記の構成を有する本発明のアンカーボルト1及び、本発明のアンカーボルト用調整部材2を取り付けたアンカーボルトによれば、剪断力と軸力ともに必要強度を確保することができるとともに、ストレスなく容易に挿入し、締め付け固定施工をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 アンカーボルト
10 軸部
11 突出部
12 ねじ部
13 調整部
14 テーパー部
15 頭部
2 アンカーボルト用調整部材
20 調整部本体
21 テーパー部
22 雌ネジ部
23 貫通部
3 接合部材
30 ボルト挿通孔
4 ナット
41 ワッシャ
5 スペーサー
6 基礎
7 アンカーボルト(通常)
71 ねじ部
72 軸部
図1
図2
図3
図4
図5