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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086333
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】滅菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/07 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61L2/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201407
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大崎 崇嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤井 慎二
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB05
4C058CC05
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD12
4C058EE26
(57)【要約】
【課題】封水の使用量を抑制しつつ、水封式真空ポンプの性能の低下を抑制すること。
【解決手段】滅菌装置は、滅菌対象が配置される内部空間を有するチャンバと、内部空間に蒸気を供給する蒸気供給装置と、内部空間に空気を供給する空気供給装置と、内部空間に接続される水封式真空ポンプと、水封式真空ポンプに封水を供給する封水供給装置と、を備える。封水供給装置は、水封式真空ポンプが内部空間から空気を吸引する空気排出期間の少なくとも一部において、水封式真空ポンプに第1流量で封水を供給し、水封式真空ポンプが内部空間から蒸気を吸引する蒸気排出期間において、水封式真空ポンプに第1流量よりも多い第2流量で封水を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌対象が配置される内部空間を有するチャンバと、
前記内部空間に蒸気を供給する蒸気供給装置と、
前記内部空間に空気を供給する空気供給装置と、
前記内部空間に接続される水封式真空ポンプと、
前記水封式真空ポンプに封水を供給する封水供給装置と、を備え、
前記封水供給装置は、前記水封式真空ポンプが前記内部空間から空気を吸引する空気排出期間の少なくとも一部において、前記水封式真空ポンプに第1流量で封水を供給し、前記水封式真空ポンプが前記内部空間から蒸気を吸引する蒸気排出期間において、前記水封式真空ポンプに前記第1流量よりも多い第2流量で封水を供給する、
滅菌装置。
【請求項2】
前記封水供給装置は、前記空気排出期間において、前記水封式真空ポンプに第1流量で封水を供給する第1供給動作と、前記水封式真空ポンプに前記第2流量で封水を供給する第2供給動作とを切り換える、
請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項3】
前記封水供給装置は、前記空気排出期間において、前記内部空間の圧力が閾値以上の場合、前記第1供給動作を実施し、前記内部空間の圧力が閾値未満の場合、前記第2供給動作を実施する、
請求項2に記載の滅菌装置。
【請求項4】
前記内部空間の圧力を検出する圧力センサを備え、
前記封水供給装置は、前記圧力センサの検出値と前記閾値とに基づいて、空気排出期間において、前記第1供給動作と前記第2供給動作とを切り換える、
請求項3に記載の滅菌装置。
【請求項5】
前記滅菌対象を蒸気で滅菌する前に、前記内部空間から空気が排出されるように、前記水封式真空ポンプで前記内部空間を減圧する減圧動作と前記蒸気供給装置で前記内部空間に蒸気を供給する給蒸動作とを繰り返す制御装置を備え、
前記空気排出期間は、第1回目の前記減圧動作が実施される期間であり、
前記蒸気排出期間は、第2回目以降の前記減圧動作が実施される期間である、
請求項2に記載の滅菌装置。
【請求項6】
前記滅菌対象を蒸気で滅菌した後に、前記内部空間から蒸気が排出されるように、前記水封式真空ポンプで前記内部空間を減圧する減圧動作と前記空気供給装置で前記内部空間に空気を供給する給気動作とを繰り返す制御装置を備え、
前記蒸気排出期間は、第1回目の前記減圧動作が実施される期間であり、
前記空気排出期間は、第2回目以降の前記減圧動作が実施される期間である、
請求項2に記載の滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
滅菌装置は、滅菌対象が配置される内部空間を有するチャンバを備える。チャンバの内部空間から気体を排出するために、水封式真空ポンプが使用される場合がある。水封式真空ポンプの運転において封水温度が上昇すると、低い真空度でも封水が沸騰してしまい、水封式真空ポンプの性能が低下する。封水温度の上昇を抑制するための従来技術として、水封式真空ポンプに新しい封水を供給し続ける第1の従来技術、水封式真空ポンプから排出された封水の一部を新しい封水と一緒に水封式ポンプに供給する第2の従来技術、及び水封式真空ポンプから排出された封水を冷却した後に水封式ポンプに供給する第3の従来技術が知られている。また、特許文献1には、水封式真空ポンプの運転方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-166413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術では、封水を多量に使用しなければならない可能性がある。第2の従来技術では、封水温度の上昇を十分に抑制することができない可能性がある。第3の従来技術では、封水を冷却するための設備が必要になる。
【0005】
本開示は、封水の使用量を抑制しつつ、水封式真空ポンプの性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、滅菌対象が配置される内部空間を有するチャンバと、内部空間に蒸気を供給する蒸気供給装置と、内部空間に空気を供給する空気供給装置と、内部空間に接続される水封式真空ポンプと、水封式真空ポンプに封水を供給する封水供給装置と、を備える滅菌装置が提供される。封水供給装置は、水封式真空ポンプが内部空間から空気を吸引する空気排出期間の少なくとも一部において、水封式真空ポンプに第1流量で封水を供給し、水封式真空ポンプが内部空間から蒸気を吸引する蒸気排出期間において、水封式真空ポンプに第1流量よりも多い第2流量で封水を供給する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、封水の使用量が抑制されつつ、水封式真空ポンプの性能の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る滅菌装置を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る滅菌装置の動作を示すフローチャートである。
図3図3は、実施形態に係る空気排出処理を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る蒸気排出処理を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る空気排出期間における封水の流量を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[滅菌装置]
図1は、実施形態に係る滅菌装置1を模式的に示す図である。実施形態において、滅菌装置1は、蒸気を使用して滅菌対象を滅菌する蒸気滅菌装置である。
【0011】
図1に示すように、滅菌装置1は、チャンバ2と、ジャケット3と、蒸気供給装置4と、空気供給装置5と、排出装置6と、封水供給装置7と、圧力センサ8と、圧力センサ9と、制御装置10とを備える。
【0012】
チャンバ2は、滅菌対象が配置される内部空間20を有する。チャンバ2の一部に出入口が設けられる。チャンバ2の出入口は、ドア(不図示)により開閉される。滅菌装置1の使用者は、ドアを開けることにより、チャンバ2の出入口を介して、内部空間20に滅菌対象を搬入したり、内部空間20から滅菌対象を搬出したりすることができる。
【0013】
ジャケット3は、チャンバ2の周囲に配置される。ジャケット3は、チャンバ2との間にジャケット空間30を形成する。
【0014】
蒸気供給装置4は、チャンバ2の内部空間20及びジャケット3のジャケット空間30に蒸気を供給する。蒸気供給装置4は、給蒸ライン40と、チャンバ給蒸ライン41と、ジャケット給蒸ライン42と、チャンバ給蒸弁43と、ジャケット給蒸弁44とを有する。
【0015】
給蒸ライン40は、不図示の蒸気供給源に接続される。チャンバ給蒸ライン41は、給蒸ライン40とチャンバ2の内部空間20とを接続する。ジャケット給蒸ライン42は、給蒸ライン40とジャケット3のジャケット空間30とを接続する。チャンバ給蒸弁43は、チャンバ給蒸ライン41に配置される。ジャケット給蒸弁44は、ジャケット給蒸ライン42に配置される。
【0016】
蒸気供給源からの蒸気は、給蒸ライン40及びチャンバ給蒸ライン41を介してチャンバ2の内部空間20に供給される。蒸気供給源からの蒸気は、給蒸ライン40及びジャケット給蒸ライン42を介してジャケット3のジャケット空間30に供給される。チャンバ給蒸弁43は、チャンバ2の内部空間20に供給される蒸気の流量を制御する。ジャケット給蒸弁44は、ジャケット3のジャケット空間30に供給される蒸気の流量を制御する。
【0017】
制御装置10は、チャンバ給蒸弁43を制御することにより、チャンバ2の内部空間20に供給される蒸気の流量を調整する。制御装置10は、ジャケット給蒸弁44を制御することにより、ジャケット3のジャケット空間30に供給される蒸気の流量を調整する。制御装置10は、チャンバ給蒸弁43を制御することにより、内部空間20に対する蒸気の供給と供給停止とを切り換えることができる。制御装置10は、ジャケット給蒸弁44を制御することにより、ジャケット空間30に対する蒸気の供給と供給停止とを切り換えることができる。
【0018】
空気供給装置5は、チャンバ2の内部空間20に空気を供給する。空気供給装置5は、減圧されたチャンバ2の内部空間20に空気を供給して内部空間20を復圧する。空気供給装置5は、給気ライン50と、無菌フィルタ51と、給気弁52とを有する。
【0019】
給気ライン50は、大気空間とチャンバ2の内部空間20とを接続する。実施形態において、給気ライン50は、チャンバ2とチャンバ給蒸弁43との間のチャンバ給蒸ライン41に接続される。無菌フィルタ51は、大気空間から給気ライン50に流入する空気から異物を回収する。給気弁52は、給気ライン50に配置される。
【0020】
大気空間の空気は、給気ライン50及びチャンバ給蒸ライン41の一部を介してチャンバ2の内部空間20に供給される。給気弁52は、チャンバ2の内部空間20に供給される空気の流量を制御する。
【0021】
制御装置10は、給気弁52を制御することにより、チャンバ2の内部空間20に供給される空気の流量を調整する。内部空間20が減圧された状態で給気弁52が開くことにより、大気空間の空気が給気ライン50及びチャンバ給蒸ライン41の一部を介してチャンバ2の内部空間20に供給される。空気が内部空間20に供給されることにより、内部空間20が復圧される。
【0022】
排出装置6は、内部空間20から気体を排出する。内部空間20に蒸気が存在する場合、排出装置6は、内部空間20から蒸気を排出する。内部空間20に空気が存在する場合、排出装置6は、内部空間20から空気を排出する。
【0023】
排出装置6は、ジャケット空間30から気体を排出する。ジャケット空間30に蒸気が存在する場合、排出装置6は、ジャケット空間30から蒸気を排出する。ジャケット空間30に空気が存在する場合、排出装置6は、ジャケット空間30から空気を排出する。
【0024】
ジャケット空間30においてドレンが生成された場合、排出装置6は、ジャケット空間30からドレンを排出する。
【0025】
排出装置6は、排出ライン60と、バイパスライン61と、水封式真空ポンプ63と、第1排出弁64と、第2排出弁65とを有する。
【0026】
排出ライン60は、チャンバ2に接続される。排出ライン60は、水封式真空ポンプ63とチャンバ2の内部空間20とを接続する。バイパスライン61は、排出ライン60の接続部66とジャケット3のジャケット空間30とを接続する。
【0027】
水封式真空ポンプ63は、排出ライン60に配置される。水封式真空ポンプ63は、排出ライン60を介してチャンバ2の内部空間20に接続される。水封式真空ポンプ63は、排出ライン60の一部及びバイパスライン61を介してジャケット3のジャケット空間30に接続される。水封式真空ポンプ63は、チャンバ2の内部空間20及びジャケット3のジャケット空間30のそれぞれに接続される。
【0028】
第1排出弁64は、チャンバ2と水封式真空ポンプ63との間の排出ライン60に配置される。第1排出弁64は、排出ライン60のうちバイパスライン61との接続部66とチャンバ2との間に配置される。第2排出弁65は、バイパスライン61に配置される。
【0029】
制御装置10は、内部空間20に存在する気体を水封式真空ポンプ63で内部空間20から排出するときに第1排出弁64を開いて第2排出弁65を閉じる。第1排出弁64が開き第2排出弁65が閉じた状態で水封式真空ポンプ63が作動することにより、内部空間20に存在する気体が排出ライン60を介して排出される。
【0030】
制御装置10は、ジャケット空間30に存在するドレン及び空気の少なくとも一方を水封式真空ポンプ63でジャケット空間30から排出するときに第2排出弁65を開いて第1排出弁64を閉じる。第2排出弁65が開き第1排出弁64が閉じた状態で水封式真空ポンプ63が作動することにより、ジャケット空間30に存在するドレン又は空気がバイパスライン61及び排出ライン60を介して排出される。
【0031】
封水供給装置7は、水封式真空ポンプ63に封水を供給する。封水供給装置7は、第1封水ライン71と、第2封水ライン72と、第1封水弁73と、第2封水弁74とを有する。
【0032】
第1封水ライン71は、不図示の封水供給源に接続される。第1封水ライン71は、封水供給源と水封式真空ポンプ63とを接続する。第2封水ライン72は、第1封水ライン71の一部に並列に配置される。第1封水弁73は、第1封水ライン71に配置される。第2封水ライン72の一端部は、第1封水弁73と封水供給源との間の第1封水ライン71に接続される。第2封水ライン72の他端部は、第1封水弁73と水封式真空ポンプ63との間の第1封水ライン71に接続される。第2封水弁74は、第2封水ライン72に配置される。
【0033】
封水供給源からの封水は、第1封水ライン71及び第2封水ライン72の少なくとも一方を介して水封式真空ポンプ63に供給される。第1封水弁73は、第1封水ライン71を介して水封式真空ポンプ63に供給される封水の流量を制御する。第2封水弁74は、第2封水ライン72を介して水封式真空ポンプ63に供給される封水の流量を制御する。
【0034】
制御装置10は、第1封水弁73及び第2封水弁74を制御することにより、水封式真空ポンプ63に供給される封水の流量を調整する。制御装置10は、第1封水弁73を開き第2封水弁74を閉じることにより、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給することができる。制御装置10は、第1封水弁73及び第2封水弁74の両方を開くことにより、水封式真空ポンプ63に第1流量F1よりも多い第2流量F2で封水を供給することができる。
【0035】
圧力センサ8は、チャンバ2の内部空間20の圧力を検出する。圧力センサ8の検出データは、制御装置10に送信される。圧力センサ9は、ジャケット3のジャケット空間30の圧力を検出する。圧力センサ9の検出データは、制御装置10に送信される。
【0036】
[滅菌装置の動作]
図2は、実施形態に係る滅菌装置1の動作を示すフローチャートである。滅菌装置1は、滅菌装置1を起動させるために操作される起動スイッチを有する。起動スイッチは、滅菌装置1の使用者に操作される。起動スイッチが操作されると、滅菌装置1が起動され、滅菌装置1の運転が開始される。
【0037】
滅菌装置1は、空気排出処理(ステップS1)と、滅菌処理(ステップS2)と、蒸気排出処理(ステップS3)とを実施する。空気排出処理(ステップS1)は、滅菌処理(ステップS2)の前に実施される。蒸気排出処理(ステップS3)は、滅菌処理(ステップS2)の後に実施される。
【0038】
空気排出処理(ステップS1)とは、滅菌対象を蒸気で滅菌する前に、チャンバ2の内部空間20から空気を排出する処理をいう。滅菌処理(ステップS2)とは、蒸気を使用してチャンバ2の内部空間20に配置されている滅菌対象を滅菌する処理をいう。蒸気排出処理(ステップS3)とは、滅菌対象を蒸気で滅菌した後に、チャンバ2の内部空間20から蒸気を排出する処理をいう。
【0039】
図3は、実施形態に係る空気排出処理を示すフローチャートである。空気排出処理において、制御装置10は、チャンバ2の内部空間20から空気が排出されるように、水封式真空ポンプ63で内部空間20を減圧する減圧動作と蒸気供給装置4で内部空間20に蒸気を供給する給蒸動作とを繰り返す。
【0040】
滅菌装置1の運転が開始される前において、チャンバ2の内部空間20は、空気で満たされている。起動スイッチが操作されると、制御装置10は、第1排出弁64を開き、第2排出弁65を閉じた状態で、水封式真空ポンプ63を作動させる。水封式真空ポンプ63が作動することにより、内部空間20から空気が排出され、内部空間20が減圧される(ステップS11)。
【0041】
内部空間20から空気が排出された後、制御装置10は、水封式真空ポンプ63を停止させた状態で、蒸気供給装置4で内部空間20に蒸気を供給する(ステップS12)。ジャケット給蒸弁44が閉じた状態でチャンバ給蒸弁43が開くことにより、内部空間20に蒸気が供給される。内部空間20が大気圧になるまで蒸気供給装置4により内部空間20に蒸気が供給される。内部空間20に供給された蒸気の少なくとも一部は、不図示の排気ラインを介して内部空間20から排出されてもよい。
【0042】
内部空間20に蒸気が供給された後、制御装置10は、第1排出弁64を開き、第2排出弁65を閉じた状態で、水封式真空ポンプ63を作動させる。水封式真空ポンプ63が作動することにより、内部空間20から蒸気が排出され、内部空間20が減圧される(ステップS13)。
【0043】
内部空間20から蒸気が排出された後、制御装置10は、水封式真空ポンプ63を停止させた状態で、蒸気供給装置4で内部空間20に蒸気を供給する(ステップS14)。内部空間20が大気圧になるまで蒸気供給装置4により内部空間20に蒸気が供給される。
【0044】
以下、水封式真空ポンプ63で内部空間20から蒸気を排出する減圧動作と蒸気供給装置4で内部空間20に蒸気を供給する給蒸動作とが所定回数繰り返される(ステップS15,S16,S17)。1回の減圧動作では、内部空間20に空気が残ってしまう可能性がある。減圧動作と給蒸動作とが複数回繰り返されることにより、内部空間20に空気が残ることが抑制される。なお、空気排出処理において減圧動作と給蒸動作とが繰り返される回数は、図3に示した例に限定されない。減圧動作と給蒸動作とが繰り返される回数は、2回でもよいし、3回以上の任意の複数回でもよい。
【0045】
上述のように、減圧動作(ステップS11,S13,S15,S17)においては、水封式真空ポンプ63が作動し、封水供給装置7から水封式真空ポンプ63に封水が供給される。封水供給装置7は、水封式真空ポンプ63が内部空間20から空気を吸引する空気排出期間(ステップS11)の少なくとも一部において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給する。封水供給装置7は、水封式真空ポンプ63が内部空間20から蒸気を吸引する蒸気排出期間(ステップS13,S15,S17)において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1よりも多い第2流量F2で封水を供給する。なお、蒸気排出期間(ステップS13,S15,S17)において内部空間20に空気が存在する可能性がある場合、水封式真空ポンプ63は、内部空間20から専ら蒸気を吸引するものの、空気を吸引する可能性がある。
【0046】
空気排出処理において、空気排出期間は、第1回目の減圧動作が実施される期間(ステップS11)であり、蒸気排出期間は、第2回目以降の減圧動作が実施される期間(ステップS13,S15,S17)である。
【0047】
空気排出処理が終了した後、滅菌処理が実施される。滅菌処理において、蒸気供給装置4からチャンバ2の内部空間20に蒸気が供給される。滅菌処理が終了した後、蒸気排出処理が実施される。
【0048】
図4は、実施形態に係る蒸気排出処理を示すフローチャートである。蒸気排出処理において、制御装置10は、チャンバ2の内部空間20から蒸気が排出されるように、水封式真空ポンプ63で内部空間20を減圧する減圧動作と空気供給装置5で内部空間20に空気を供給する給気動作とを繰り返す。
【0049】
滅菌処理が終了した直後において、チャンバ2の内部空間20は、蒸気で満たされている。滅菌処理が終了した後、制御装置10は、第1排出弁64を開き、第2排出弁65を閉じた状態で、水封式真空ポンプ63を作動させる。水封式真空ポンプ63が作動することにより、内部空間20から蒸気が排出され、内部空間20が減圧される(ステップS31)。
【0050】
内部空間20から蒸気が排出された後、制御装置10は、水封式真空ポンプ63を停止させた状態で、空気供給装置5で内部空間20に空気を供給する(ステップS32)。内部空間20が減圧された状態で給気弁52が開くことにより、内部空間20に空気が供給される。内部空間20が大気圧になるまで空気供給装置5により内部空間20に空気が供給される。
【0051】
内部空間20に空気が供給された後、制御装置10は、第1排出弁64を開き、第2排出弁65を閉じた状態で、水封式真空ポンプ63を作動させる。水封式真空ポンプ63が作動することにより、内部空間20から空気が排出され、内部空間20が減圧される(ステップS33)。
【0052】
内部空間20から空気が排出された後、制御装置10は、水封式真空ポンプ63を停止させた状態で、空気供給装置5で内部空間20に空気を供給する(ステップS34)。内部空間20が大気圧になるまで空気供給装置5により内部空間20に空気が供給される。
【0053】
以下、水封式真空ポンプ63で内部空間20から空気を排出する減圧動作と空気供給装置5で内部空間20に空気を供給する給気動作とが所定回数繰り返される(ステップS35,S36,S37)。1回の減圧動作では、内部空間20に蒸気が残ってしまう可能性がある。減圧動作と給気動作とが複数回繰り返されることにより、内部空間20に蒸気が残ることが抑制される。なお、蒸気排出処理において減圧動作と給気動作とが繰り返される回数は、図4に示した例に限定されない。減圧動作と給気動作とが繰り返される回数は、2回でもよいし、3回以上の任意の複数回でもよい。
【0054】
上述のように、減圧動作(ステップS31,S33,S35,S37)においては、水封式真空ポンプ63が作動し、封水供給装置7から水封式真空ポンプ63に封水が供給される。封水供給装置7は、水封式真空ポンプ63が内部空間20から空気を吸引する空気排出期間(ステップS33,S35,S37)の少なくとも一部において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給する。封水供給装置7は、水封式真空ポンプ63が内部空間20から蒸気を吸引する蒸気排出期間(ステップS31)において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1よりも多い第2流量F2で封水を供給する。なお、空気排出期間(ステップS33,S35,S37)において内部空間20に蒸気が存在する可能性がある場合、水封式真空ポンプ63は、内部空間20から専ら空気を吸引するものの、蒸気を吸引する可能性がある。
【0055】
蒸気排出処理において、蒸気排出期間は、第1回目の減圧動作が実施される期間(ステップS31)であり、空気排出期間は、第2回目以降の減圧動作が実施される期間(ステップS33,S35,S37)である。
【0056】
蒸気は、低温度の水に接触すると凝縮する。そのため、ステップS13,S15,S17,S31において、蒸気が水封式真空ポンプ63に吸引された場合、蒸気が封水に接触して凝縮する可能性がある。蒸気が封水に接触して凝縮したときに、蒸気の熱が封水に伝達される。すなわち、蒸気の熱は、空気の熱に比べて、封水に伝達され易い。そのため、蒸気が水封式真空ポンプ63に吸引された場合、封水温度が上昇する可能性が高い。また、上述のステップS13,S15,S17,S31において水封式真空ポンプ63に吸引される蒸気は、高温度である可能性が高い。実施形態においては、水封式真空ポンプ63が内部空間20から蒸気を吸引する蒸気排出期間において、水封式真空ポンプ63に第2流量F2で封水が供給される。水封式真空ポンプ63に多量の封水が供給されるので、封水温度の上昇が抑制される。そのため、水封式真空ポンプ63の性能の低下が抑制される。
【0057】
空気の熱は、蒸気の熱に比べて、水に伝達され難い。また、上述のステップS11,S33,S35,S37において水封式真空ポンプ63に吸引される空気は、蒸気よりも低温度である可能性が高い。そのため、空気が水封式真空ポンプ63に吸引されても、封水温度が上昇する可能性は低い。実施形態においては、水封式真空ポンプ63が内部空間20から空気を吸引する空気排出期間において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水が供給される。空気排出期間においては、水封式真空ポンプ63に供給される封水の流量が少なくても、封水温度の上昇が抑制される。空気排出期間においては、水封式真空ポンプ63に供給される封水の流量を抑制することができるので、封水の使用量が抑制される。
【0058】
[空気排出期間における封水の流量の調整]
図5は、実施形態に係る空気排出期間における封水の流量を説明するための図である。上述のように、封水供給装置7は、水封式真空ポンプ63が内部空間20から空気を吸引する空気排出期間(ステップS11,S33,S35,S37)の少なくとも一部において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給する。1つの空気排出期間において、水封式真空ポンプ63に供給される封水の流量が調整されてもよい。
【0059】
図5に示すように、封水供給装置7は、1つの空気排出期間において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給する第1供給動作と、水封式真空ポンプ63に第2流量F2で封水を供給する第2供給動作とを切り換えてもよい。
【0060】
封水供給装置7は、1つの空気排出期間において、内部空間20の圧力が予め定められている閾値以上の場合、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給する第1供給動作を実施し、内部空間20の圧力が閾値未満の場合、水封式真空ポンプ63に第2流量F2で封水を供給する第2供給動作を実施してもよい。
【0061】
上述のように、内部空間20の圧力を検出する圧力センサ8が設けられる。制御装置10は、圧力センサ8の検出値と予め定められている閾値とに基づいて、空気排出期間において、第1供給動作と第2供給動作とが切り換えられるように、封水供給装置7を制御してもよい。
【0062】
1つの空気排出期間において水封式真空ポンプ63の作動が開始されると、図5に示すように、内部空間20の圧力が徐々に低下し、水封式真空ポンプ63の真空度が徐々に高くなる。水封式真空ポンプ63の真空度が高い場合、封水温度の僅かな上昇でも、封水が沸騰してしまう可能性がある。水封式真空ポンプ63の真空度が高い場合、水封式真空ポンプ63に第2流量F2で封水が供給されることにより、封水温度の上昇が抑制される。封水温度の上昇が抑制されるので、水封式真空ポンプ63の真空度が高くなっても、封水の沸騰が抑制される。水封式真空ポンプ63の真空度が低い場合、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水が供給されても、封水の沸騰が抑制される。これにより、封水の使用量が抑制されつつ、水封式真空ポンプ63の性能の低下が抑制される。
【0063】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、滅菌装置1は、滅菌対象が配置される内部空間20を有するチャンバ2と、内部空間20に蒸気を供給する蒸気供給装置4と、内部空間20に空気を供給する空気供給装置5と、内部空間20に接続される水封式真空ポンプ63と、水封式真空ポンプ63に封水を供給する封水供給装置7と、を備える。封水供給装置7は、水封式真空ポンプ63が内部空間20から空気を吸引する空気排出期間の少なくとも一部において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給し、水封式真空ポンプ63が内部空間20から蒸気を吸引する蒸気排出期間において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1よりも多い第2流量F2で封水を供給する。
【0064】
蒸気の熱は、空気の熱に比べて、封水に伝達され易い。また、滅菌装置1において、水封式真空ポンプ63に吸引される蒸気の温度は、空気の温度よりも高い。実施形態においては、水封式真空ポンプ63が内部空間20から蒸気を吸引する蒸気排出期間において、水封式真空ポンプ63に第2流量F2で封水が供給される。蒸気排出期間においては、水封式真空ポンプ63に多量の封水が供給されるので、封水温度の上昇が抑制される。封水温度の上昇が抑制されるので、水封式真空ポンプ63の性能の低下が抑制される。
【0065】
空気の熱は、蒸気の熱に比べて、封水に伝達され難い。また、滅菌装置1において、水封式真空ポンプ63に吸引される空気の温度は、蒸気の温度よりも低い。実施形態においては、水封式真空ポンプ63が内部空間20から空気を吸引する空気排出期間において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水が供給される。空気排出期間においては、水封式真空ポンプ63に供給される封水が少量でも、封水温度の上昇が抑制される。したがって、封水の使用量が抑制されつつ、水封式真空ポンプ63の性能の低下が抑制される。
【0066】
実施形態において、封水供給装置7は、空気排出期間において、水封式真空ポンプ63に第1流量F1で封水を供給する第1供給動作と、水封式真空ポンプ63に第2流量F2で封水を供給する第2供給動作とを切り換える。空気排出期間において水封式真空ポンプ63の真空度が低い場合、水封式真空ポンプ63に供給される封水が少量でも、封水温度の上昇が抑制され、封水の沸騰が抑制される。空気排出期間において水封式真空ポンプ63の真空度が高くなった場合、水封式真空ポンプ63に多量の封水が供給され、封水温度の上昇が抑制されるので、封水の沸騰が抑制される。
【0067】
滅菌対象を蒸気で滅菌する前の空気排出処理(ステップS1)において、制御装置10は、内部空間20から空気が排出されるように、水封式真空ポンプ63で内部空間20を減圧する減圧動作(ステップS11,S13,S15,S17)と蒸気供給装置4で内部空間20に蒸気を供給する給蒸動作(ステップS12,S14,S16)とを繰り返す。空気排出処理における空気排出期間として、第1回目の減圧動作が実施される期間(ステップS11)が例示される。空気排出処理における蒸気排出期間として、第2回目以降の減圧動作が実施される期間(ステップS13,S15,S17)が例示される。これにより、滅菌装置1において、水封式真空ポンプ63の封水の使用量が抑制されつつ、水封式真空ポンプ63の性能の低下が抑制される。
【0068】
滅菌対象を蒸気で滅菌した後の蒸気排出処理(ステップS3)において、制御装置10は、内部空間20から蒸気が排出されるように、水封式真空ポンプ63で内部空間20を減圧する減圧動作(ステップS31,S33,S35,S37)と空気供給装置5で内部空間20に空気を供給する給気動作(ステップS32,S34,S36)とを繰り返す。蒸気排出処理における蒸気排出期間として、第1回目の減圧動作が実施される期間(ステップS31)が例示される。蒸気排出処理における空気排出期間として、第2回目以降の減圧動作が実施される期間(ステップS33,S35,S37)が例示される。これにより、滅菌装置1において、水封式真空ポンプ63の封水の使用量が抑制されつつ、水封式真空ポンプ63の性能の低下が抑制される。
【符号の説明】
【0069】
1…滅菌装置、2…チャンバ、3…ジャケット、4…蒸気供給装置、5…空気供給装置、6…排出装置、7…封水供給装置、8…圧力センサ、9…圧力センサ、10…制御装置、20…内部空間、30…ジャケット空間、40…給蒸ライン、41…チャンバ給蒸ライン、42…ジャケット給蒸ライン、43…チャンバ給蒸弁、44…ジャケット給蒸弁、50…給気ライン、51…無菌フィルタ、52…給気弁、60…排出ライン、61…バイパスライン、63…水封式真空ポンプ、64…第1排出弁、65…第2排出弁、66…接続部、71…第1封水ライン、72…第2封水ライン、73…第1封水弁、74…第2封水弁。
図1
図2
図3
図4
図5