(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088887
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】床パネル、床パネル支持構造及び床パネル支持具
(51)【国際特許分類】
E04F 15/024 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
E04F15/024 601F
E04F15/024 603F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203903
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000110804
【氏名又は名称】ニチアス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平岩 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】太田 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】幸長 浩気
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA25
2E220AB08
2E220AC03
2E220BA04
2E220BA28
2E220BB14
2E220BC04
2E220CA17
2E220CA22
2E220CA64
2E220EA01
2E220FA01
2E220FA09
2E220GA25X
2E220GA25Y
2E220GB01Y
2E220GB02X
2E220GB32Y
2E220GB46X
(57)【要約】
【課題】強靭であり、上板と下板との接合強度も高く、下板の歪みを抑制できる床パネルを提供すること。
【解決手段】芯材2は、上面2a、下面2b及び側面2cを有し、下板4は、芯材2の下面2bを被覆する下面被覆部4aを有し、上板3は、芯材2の上面2aを被覆する上面被覆部3aと、上面被覆部3aから連続して折り曲げられて側面2cを被覆する上板側面被覆部3bと、上板側面被覆部3bから連続して下方に延長する上板側面延長部3cと、上板側面延長部3cから連続して折り返された上板側面折り返し部3dと、上板側面折り返し部3dから連続して下面被覆部4aに沿って折り曲げられて下板4の下面に重ねて接合される接合部30とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材と、該芯材の上面を被覆する上板と、前記芯材の下面を被覆する下板と、を備えた床パネルであって、
前記芯材は、前記下面から垂直に立ち上がる側面を有し、
前記下板は、前記芯材の下面を被覆する下面被覆部を有し、
前記上板は、前記芯材の上面を被覆する上面被覆部と、前記上面被覆部から連続して前記側面に沿って折り曲げ加工がされて前記側面を被覆する上板側面被覆部と、前記上板側面被覆部から連続して下方に延長する上板側面延長部と、前記上板側面延長部から連続して前記上板側面延長部に沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部と、前記上板側面折り返し部から連続して前記下面被覆部に沿って折り曲げ加工がされて前記下板の下面に重ねて接合される接合部と、を備えた
ことを特徴とする床パネル。
【請求項2】
前記上板は、前記上板の上面に形成された規制凹部を有し、
前記下板は、前記規制凹部と係合可能な規制凸部を前記下板の下面に有しており、
前記規制凸部の突出長さは、上板側面延長部と上板側面折り返し部とで形成される補強リブの高さより長い
ことを特徴とする請求項1に記載の床パネル。
【請求項3】
前記規制凸部の突出長さは、前記補強リブの高さと前記規制凹部の深さの合計より長い
ことを特徴とする請求項2に記載の床パネル。
【請求項4】
前記接合部は、下方から前記上板及び前記下板を押圧具によって押圧されることで変形され前記下板と接合されている変形接合部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の床パネル。
【請求項5】
前記接合部は、下方から前記上板及び前記下板を押圧具によって押圧されることで変形されて前記芯材の下部に食い込んで前記下板と接合されている変形接合部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の床パネル。
【請求項6】
前記接合部は、貫通孔を備えており、前記貫通孔の下方から前記上板及び前記下板を押圧具によって押圧されることで変形されて前記芯材の下部に食い込んで前記下板と接合されている変形接合部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の床パネル。
【請求項7】
芯材と、該芯材の上面を被覆する上板と、前記芯材の下面を被覆する下板と、を備えた床パネルを床パネル支持具で支持する床パネル支持構造であって、
前記床パネルは、
前記芯材は、前記下面から垂直に立ち上がる側面を有し、
前記下板は、前記芯材の下面を被覆する下面被覆部を有し、
前記上板は、前記芯材の上面を被覆する上面被覆部と、前記上面被覆部から連続して前記側面に沿って折り曲げ加工がされて前記側面を被覆する上板側面被覆部と、前記上板側面被覆部から連続して下方に延長する上板側面延長部と、前記上板側面延長部から連続して前記上板側面延長部に沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部と、前記上板側面折り返し部から連続して前記下面被覆部に沿って折り曲げ加工がされて前記下板の下面に重ねて接合される接合部と、を備えており、
前記床パネル支持具は、
前記床パネルが載置される受け台を有し、
前記受け台は、収容溝を備えており、
前記上板側面延長部と前記上板側面折り返し部とは、前記収容溝に収容されている
ことを特徴とする床パネル支持構造。
【請求項8】
前記接合部は、前記収容溝に収容されている
ことを特徴とする請求項7に記載の床パネル支持構造。
【請求項9】
芯材と、該芯材の上面を被覆する上板と、前記芯材の下面を被覆する下板と、を備えた床パネルを支持する床パネル支持具であって、
前記床パネルは、
前記芯材は、前記下面から垂直に立ち上がる側面を有し、
前記下板は、前記芯材の下面を被覆する下面被覆部を有し、
前記上板は、前記芯材の上面を被覆する上面被覆部と、前記上面被覆部から連続して前記側面に沿って折り曲げ加工がされて前記側面を被覆する上板側面被覆部と、前記上板側面被覆部から連続して下方に延長する上板側面延長部と、前記上板側面延長部から連続して前記上板側面延長部に沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部と、前記上板側面折り返し部から連続して前記下面被覆部に沿って折り曲げ加工がされて前記下板の下面に重ねて接合される接合部と、を備えており、
前記床パネル支持具は、
前記床パネルが載置される受け台を有し、
前記受け台は、前記上板側面延長部と前記上板側面折り返し部とを収容可能な収容溝を備えたことを特徴とする床パネル支持具。
【請求項10】
前記収容溝は、さらに、前記接合部を収容可能であることを特徴とする請求項9に記載の床パネル支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床スラブの上方に設置して二重床を形成するのに好適な床パネル、床パネル支持構造及び床パネル支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のOA機器を使用する事務所等の床は二重床とすることが多い。
このような二重床は、床スラブの上に多数の支持脚を立設し、支持脚で床パネルの角部を支持して、床スラブと床パネルとの間に配線空間を形成し、この配線空間にケーブルを配線している。
【0003】
本出願人は、先に、二重床に使用される床パネルとして、芯材と、芯材の上面を被覆する上板と、芯材の下面を被覆する下板とを備え、芯材は、下面から垂直に立ち上がる側面を有し、下板は、芯材の下面を被覆する下面被覆部と、下面被覆部から連続して側面に沿って折り曲げ加工がされて側面の少なくとも一部を被覆する下板側面被覆部とを有し、上板は、芯材の上面を被覆する上面被覆部と、上面被覆部から連続して側面に沿って折り曲げ加工がされて側面を被覆する上板側面被覆部と、上板側面被覆部から連続して下面被覆部に沿って折り曲げ加工がされて下板の下面に重ねて接合される接合部とを有し、接合部は、下方から上板及び下板が押圧具によって押圧されることで変形されて下板あるいは芯材と接合されている床パネルを提案した。
【0004】
このような床パネルは、芯材を被覆する上板及び下板について、絞り加工をせずに、折り曲げ加工をして形成したため、展開図があれば折り紙のように簡単に製造することができ、加工後に無駄になり廃棄する部分が低く歩留まり効率が改善される。また、絞り加工に比して、折り曲げ加工は曲げた部分の内側のアールを小さくすることができるので、下板の凹部内に予め成形された例えばパーチクルボードなどの芯材を配置する場合に、隙間が生じづらくなるので、充填率が向上し、強度が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のような床パネルは、上板及び下板を押圧して接合部を下板あるいは芯材と変形させて接合する、例えばバーリング加工を行う場合には、下板に歪みが発生することがある。
特に、製造効率を向上させるために、床パネルの周縁(例えば、正方形の場合、各四辺)を全て同時に接合しようと加工すると、下板の全ての周縁から内側に歪みが集まり、下板が下方へ膨らんで芯材から浮き上がる恐れがある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、強靭であり、上板と下板との接合強度も確保し、下板の歪みを抑制できる床パネル、床パネル支持構造及び床パネル支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に係る発明は、芯材と、該芯材の上面を被覆する上板と、前記芯材の下面を被覆する下板と、を備えた床パネルであって、前記芯材は、前記下面から垂直に立ち上がる側面を有し、前記下板は、前記芯材の下面を被覆する下面被覆部を有し、前記上板は、前記芯材の上面を被覆する上面被覆部と、前記上面被覆部から連続して前記側面に沿って折り曲げ加工がされて前記側面を被覆する上板側面被覆部と、前記上板側面被覆部から連続して下方に延長する上板側面延長部と、前記上板側面延長部から連続して前記上板側面延長部に沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部と、前記上板側面折り返し部から連続して前記下面被覆部に沿って折り曲げ加工がされて前記下板の下面に重ねて接合される接合部と、を備えたことを特徴とする床パネルである。
【0009】
本願請求項2に係る発明は、前記上板は、前記上板の上面に形成された規制凹部を有し、前記下板は、前記規制凹部と係合可能な規制凸部を前記下板の下面に有しており、前記規制凸部の突出長さは、上板側面延長部と上板側面折り返し部とで形成される補強リブの高さより長いことを特徴とする請求項1に記載の床パネルである。
【0010】
本願請求項3に係る発明は、前記規制凸部の突出長さは、前記補強リブの高さと前記規制凹部の深さの合計より長いことを特徴とする請求項2に記載の床パネルである。
【0011】
本願請求項4に係る発明は、前記接合部は、下方から前記上板及び前記下板を押圧具によって押圧されることで変形され前記下板と接合されている変形接合部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の床パネルである。
【0012】
本願請求項5に係る発明は、前記接合部は、下方から前記上板及び前記下板を押圧具によって押圧されることで変形されて前記芯材の下部に食い込んで前記下板と接合されている変形接合部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の床パネルである。
【0013】
本願請求項6に係る発明は、前記接合部は、貫通孔を備えており、前記貫通孔の下方から前記上板及び前記下板を押圧具によって押圧されることで変形されて前記芯材の下部に食い込んで前記下板と接合されている変形接合部を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の床パネルである。
【0014】
本願請求項7に係る発明は、芯材と、該芯材の上面を被覆する上板と、前記芯材の下面を被覆する下板と、を備えた床パネルを床パネル支持具で支持する床パネル支持構造であって、前記床パネルは、前記芯材は、前記下面から垂直に立ち上がる側面を有し、前記下板は、前記芯材の下面を被覆する下面被覆部を有し、前記上板は、前記芯材の上面を被覆する上面被覆部と、前記上面被覆部から連続して前記側面に沿って折り曲げ加工がされて前記側面を被覆する上板側面被覆部と、前記上板側面被覆部から連続して下方に延長する上板側面延長部と、前記上板側面延長部から連続して前記上板側面延長部に沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部と、前記上板側面折り返し部から連続して前記下面被覆部に沿って折り曲げ加工がされて前記下板の下面に重ねて接合される接合部と、を備えており、前記床パネル支持具は、前記床パネルが載置される受け台を有し、前記受け台は、収容溝を備えており、前記上板側面延長部と前記上板側面折り返し部とは、前記収容溝に収容されていることを特徴とする床パネル支持構造である。
【0015】
本願請求項8に係る発明は、前記接合部は、前記収容溝に収容されていることを特徴とする請求項7に記載の床パネル支持構造である。
【0016】
本願請求項9に係る発明は、芯材と、該芯材の上面を被覆する上板と、前記芯材の下面を被覆する下板と、を備えた床パネルを支持する床パネル支持具であって、前記床パネルは、前記芯材は、前記下面から垂直に立ち上がる側面を有し、前記下板は、前記芯材の下面を被覆する下面被覆部を有し、前記上板は、前記芯材の上面を被覆する上面被覆部と、前記上面被覆部から連続して前記側面に沿って折り曲げ加工がされて前記側面を被覆する上板側面被覆部と、前記上板側面被覆部から連続して下方に延長する上板側面延長部と、前記上板側面延長部から連続して前記上板側面延長部に沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部と、前記上板側面折り返し部から連続して前記下面被覆部に沿って折り曲げ加工がされて前記下板の下面に重ねて接合される接合部と、を備えており、前記床パネル支持具は、前記床パネルが載置される受け台を有し、前記受け台は、前記上板側面延長部と前記上板側面折り返し部とを収容可能な収容溝を備えたことを特徴とする床パネル支持具である。
【0017】
本願請求項10に係る発明は、前記収容溝は、さらに、前記接合部を収容可能であることを特徴とする請求項9に記載の床パネル支持具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の床パネルは、上板には、上板側面被覆部から連続して下方に延長する上板側面延長部と、上板側面延長部から連続して上板側面延長部に沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部とからなる補強リブが形成されるので、床パネルの周縁部の強度が高まる。
また、補強リブの上板側面折り返し部によって接合部が下方から押圧支持されることにより、補強リブを設けないで単に折り曲げ加工したものに比して、下板の歪みを抑制することができるとともに上板と下板との接合強度も高めることができる。
さらに、接合部を押圧変形させて芯材或いは下板に接合するバーリング加工等を施す箇所を省略あるいは減らすことが可能であり、下板の歪みをさらに抑制することができる。
【0019】
加えて、上板の上面に規制凹部を形成し、規制凹部と係合可能な規制凸部を下板の下面に形成し、規制凸部の突出長さを、上板側面延長部と上板側面折り返し部とで形成される補強リブの高さより長くすれば、規制凸部と規制凹部とを係合させないで積み重ねるときがあったとしても、補強リブを下側の床パネルの上面に接触させることがなく、接合部や補強リブの破損を防止できる。
【0020】
加えて、規制凸部の突出長さを、補強リブの高さと規制凹部の深さの合計より長くすれば、規制凸部と規制凹部とを係合させて積み重ねた際に、補強リブを下側の床パネルの上面に接触させることがなく、補強リブや接合部の破損を防止できる。
【0021】
加えて、上板の折り曲げ加工された接合部は、下方から上板及び下板を押圧具によって押圧されることで変形されて下板と接合されているので、接合部の下面に下方に突出する部分が発生しないので重なった床パネルがズレたしてもひっかからず接合部が破損しない。また、接合具を別途必要とせず、簡単に接合することができる。
【0022】
加えて、上板の折り曲げ加工された接合部は、下方から上板及び下板を押圧具によって押圧されることで変形されて芯材の下部に食い込んで下板と接合されているので、上板及び下板が剥がれにくくなり強固な構造とすることができる。
【0023】
加えて、上板の折り曲げ加工された接合部は、貫通孔を備えており、貫通孔の下方から上板及び下板を押圧具によって押圧されることで変形されて芯材の下部に食い込んで下板と接合されているので、押圧具の位置決めがしやすく、また、効率的に変形、接合をしやすくできる。
【0024】
本発明の床パネル支持構造及び床パネル支持具によれば、床パネルが載置される受け台は、収容溝を備えており、床パネルの上板側面延長部及び上板側面折り返し部は、収容溝に収容されるので、床パネルが受け台上でがたつかず、下方に突出する上板側面延長部及び上板側面折り返し部の突出長さを吸収するクッション材等を受け台の上面に設置する必要がない。
【0025】
加えて、接合部は収容溝に収容されるので、下板よりも下方に重なる接合部によって床パネルががたつくのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る床パネルの平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る床パネルの下面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る床パネルの製作時における要部断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る床パネル支持構造の要部断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る床パネル支持構造の要部平面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る受け台の斜視図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る受け台の平面図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る床パネルの平面図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る床パネルの要部拡大平面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係る床パネルの平面図である。
【
図14】本発明の第4の実施形態に係る床パネルの平面図である。
【
図15】本発明の第5の実施形態に係る床パネルの平面図である。
【
図16】本発明の第6の実施形態に係る床パネルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照する等して説明する。
なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0028】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を
図1乃至
図9と共に説明する。
【0029】
図1は第1の実施形態に係る床パネルの平面図、
図2は床パネルの下面図、
図3は
図1のA-A断面図、
図4は
図1のB-B断面図、
図5は床パネルの製作時における要部断面図、
図6は床パネル支持構造の要部断面図、
図7は床パネル支持構造の要部平面図、
図8は受け台の斜視図、
図9は受け台の平面図である。
【0030】
図1~
図4に示すように、本実施形態の床パネル1は、縦横500mm程度の辺部1aを有する略正方形であって、芯材2と、芯材2の上面を被覆する上板3と、芯材2の下面を被覆する下板4とを備える。
【0031】
床パネル1の四つの角部1bには三角形に角取りがされた角取り部20が形成されており、各角部1bの上面には段部21が形成されている。
段部21は、床パネル1の踏み面である上面から4~5mm程度低く形成されている。
床パネル1の上面から段部21に連続する立ち上がり部22が形成されている。
【0032】
立ち上がり部22は、平面視で角取り部20の端面と平行な直線状となっている。
また、立ち上がり部22は、下方に向かって次第に角取り部20の端面に近づくよう少し傾斜している。
【0033】
芯材2は、木質素材の例えばパーチクルボードより成り、例えば約20mmの厚さを有する。
特に芯材2として採用するパーチクルボードは、表面裏面を密な硬い層と内部を比較的粗い柔らかい層の3層構造とすることもでき、効率的に曲げ強度を確保することができ、特にオフィス向けフロアのような載荷重が比較的大きいことが想定される床パネルにおいては、曲げ強度が要求されることからも有用である。
また、パーチクルボードのような木質素材の芯材は、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の成立や、みなとモデル二酸化炭素固定認証制度などの取り組みを背景にして国産木材の積極的な利用に十分貢献できるものである。
【0034】
芯材2は、直方体であって、上面2aと下面2bとを有し、下面2bから垂直に立ち上がる側面2cを有する。
【0035】
芯材2は、四つの角部1bに、三角形に角取りがされ直線状となった角取り芯部2dと、角取り芯部2dから連続して形成される段芯部2eと、段芯部2eから連続して上面2aに角取り芯部2dと平行な直線状に立ち上がる立ち上がり芯部2fとを備える。
【0036】
上板3及び下板4は、亜鉛メッキ鋼板等の金属板であり、その厚さは、芯材2の厚さよりも薄い0.3mm程度である。
【0037】
下板4は、芯材2の下面2bを被覆する下面被覆部4aと、下面被覆部4aから連続して側面2cに沿って折り曲げ加工がされて側面2cの少なくとも一部を被覆する下板側面被覆部4bとを有する。本実施形態では、下板側面被覆部4bを有するものであるが、無くても良い。
床パネル1の角部1bにおいて、下板4は、芯材2の下面2bよりはみ出る寸法ではなく、芯材2の角取り芯部2dに沿って折り曲げ加工はされない。
【0038】
上板3の1辺の長さは、芯材2の1辺の長さと、芯材2の厚さの2倍との合計よりも長い。
上板3は、芯材2の上面2aを被覆する上面被覆部3aと、上面被覆部3aから連続して側面に沿って折り曲げ加工がされて側面2cを被覆する上板側面被覆部3bと、上板側面被覆部3bから連続して下方に延長する上板側面延長部3cと、上板側面延長部3cから連続して上板側面延長部3cに沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部3dと、上板側面折り返し部3dから連続して下面被覆部4aに沿って折り曲げ加工がされて下板4の下面に重ねて接合される接合部30とを備える。
【0039】
二重に折り返された上板側面延長部3cと上板側面折り返し部3dとによって、床パネル1の下面外周から下方へ突出する補強リブ32が形成される。
【0040】
上板側面延長部3cに沿って折り返し加工がされた上板側面折り返し部3dによって、接合部30が下板4の下面に押圧されて支持されることで接合される。
このため、単に上板側面被覆部3bから折り曲げ加工して接合部を下板に接合したものに比して、接合強度も高めることができる。
【0041】
また、接合部を下板に接合する際に、単に上板側面被覆部3bから折り曲げ加工した場合には、下板4の下面には横方向(パネルの周縁から中心に向かう方向)に力が作用しやすく下板が歪み下方に膨らみやすくなるが、補強リブ32から接合部30が形成されるため、下板4の下面には横方向に力が作用せず、下方からの押圧力だけが作用することになり、下板4が歪みにくく下方に膨らみが発生しない。特に、下板4に下板側面被覆部4bを設けないような場合には、効果的である。
【0042】
さらに接合部30を押圧変形させて芯材2或いは下板4に接合するバーリング加工等を施す箇所を省略あるいは減らすことが可能であり、下板4の歪みをさらに抑制することができる。
補強リブ32が設けられることで、床パネルの周縁部の強度、特に撓みへの抵抗力が高まる。
【0043】
接合部30は、床パネル1の外側に向けてさらに上面側に折り返し片30aが折り込まれる折り返し加工(所謂ヘミング加工)がされている。
【0044】
床パネル1の角部1bにおいて、上板3は、上面被覆部3aから連続して芯材2の立ち上がり芯部2fに沿って折り曲げ加工がされて立ち上がり芯部2fを被覆する立ち上がり被覆部3fと、立ち上がり被覆部3fから連続して段芯部2eに沿って折り曲げ加工がされて段芯部2eを被覆する段被覆部3eと、段被覆部3eから連続して角取り芯部2dに沿って折り曲げ加工がされて角取り芯部2dを被覆する角取り被覆部3gと、角取り被覆部3gから連続して下板4の下面に沿って折り曲げ加工がされて下板4の下面に重ねられて接合されている角部接合部31とを備える。
【0045】
床パネル1の角取り部20は、芯材2の角取り芯部2dと上板3の角取り被覆部3gで構成され、段部21は芯材2の段芯部2eと上板3の段被覆部3eで構成され、立ち上がり部22は、芯材2の立ち上がり芯部2fと上板3の立ち上がり被覆部3fで構成される。
【0046】
上記のように芯材2の角が形成される部分について、上板3や下板4が折り曲げ加工により形成されて被覆されるため、上板3と下板4との間への芯材2の充填率を高くすることができ、パーチクルボードなどの既に形成された芯材2を被覆して床パネル1を製造する場合には特に効果的である。
【0047】
角部接合部31は、床パネル1の外側に向けてさらに上面側に折り返し片31aが折り込まれる折り返し加工(所謂ヘミング加工)がされる。
各角部1bの角部接合部31の両端部(
図2)において、折り返し加工された部分には、上板3に貫通孔12が形成され、下板4に貫通孔12と対応する貫通孔13が形成され、貫通孔12の下方からバーリングピンを打ち込むことにより上板3及び下板4を変形させ、芯材2の下部に食い込ませて角部接合部31を下板4と接合する(変形接合部の形成)(
図4)。
【0048】
角部接合部31は、下方から上板3及び下板4が押圧されて変形されて下板4と接合されているので、角部接合部31の下面に下方に突出する部分が発生せず、重ねた床パネル1の上のものがずれたとしてもひっかからず、角部接合部31が破損しない。また、接合具を別途必要とせず、簡単に接合することができる。
【0049】
また、角部接合部31は、下方から上板3及び下板4が押圧されることで変形されて芯材2の下部に食い込んで下板4と接合されているので、上板3及び下板4が剥がれにくくなり強固な構造とすることができる。
【0050】
さらに、角部接合部31は、貫通孔12を備えており、貫通孔12の下方から上板3及び下板4が押圧されることで変形され下板4と接合されるので、押圧具の位置決めがしやすく、また、効率的に変形、接合をしやすくできる。
【0051】
上板3は、上面に形成された規制凹部11を備える。
具体的には、床パネル1の上面であって、縦横中心線によって分割される4つの分割区域の中心位置には、それぞれ、床パネル1の下面に形成された規制凸部10と係合可能な規制凹部11が形成されている。規制凹部11の凹みの形状は、規制凸部10の一部を収容可能なものとなっている。
【0052】
規制凹部11の裏面110は、
図3に示すように、芯材2の上面に設けられる穴部111に密着させて形成されている。
具体的には、規制凸部10と対応する位置において、上板3の上方から図示しない押圧具で押圧されることによって、上板3の規制凹部11と芯材2の穴部111が形成され、規制凹部11の裏面110と芯材2の穴部111とが密着する。
【0053】
規制凹部11の裏面110が、芯材2の上面に設けられる穴部111に密着させて形成されているので、規制凹部11が変形しにくく、また、上板3の上方から押圧することにより規制凹部11と穴部111を同時に形成することができ、製造時に位置決めと穴部111とを位置合わせする必要もない。
【0054】
下板4は、規制凹部11と係合可能な規制凸部10を下板4の下面に有する。
具体的には、床パネル1の下面であって、規制凹部11に対応する位置である縦横中心線によって分割される4つの分割区域の中心位置に、それぞれ下板4を下方に突出させて規制凸部10が形成される。
【0055】
規制凸部10の突出長さは、上板側面延長部3cと上板側面折り返し部3dとで形成される補強リブ32の高さより長く、補強リブ32の高さと規制凹部11の深さの合計より長い。
具体的には、下板4の平坦部の下面からの規制凸部10の突出長さは、下板4の平坦部の下面から補強リブ32の下端までの距離より長く、さらに、補強リブ32の高さと上板3の平坦部の上面から規制凹部11の底部までの距離を加えたものよりも長く形成されている。
【0056】
規制凸部10の突出長さが、補強リブ32の高さより長くすれば、規制凸部10と規制凹部11とを係合させないで積み重ねるときがあったとしても、補強リブ32を下側の床パネルの上面に接触させることがなく、接合部30や補強リブ32の破損を防止できる。
【0057】
また、規制凸部10の突出長さが、補強リブ32の高さと規制凹部11の深さの合計より長くすれば、規制凸部10と規制凹部11とを係合させて積み重ねた際に、補強リブ32を下側の床パネル1の上面に接触させることがなく、補強リブ32や接合部30の破損を防止できる。
【0058】
敷設前や搬送中に床パネル1を複数積み重ねると、上下に重なった床パネル1の規制凸部10と規制凹部11とが係合して移動が規制されるので、ずれる心配がない。
【0059】
また、重なった床パネル1がずれても、上板3の接合部30や補強リブ32は下板4の下面に重なり、規制凸部10も下板4の下面に突出しているで、規制凸部10が上板3の接合部30の先端面にぶつかって剥がれる心配がない。移動する接合部30や補強リブ32は下側の床パネル1の規制凸部10がない上面を移動することになり、接合部30が規制凸部10に衝突することがないので、接合部30が破損して上板3が下板4から剥がれることを防止することができる。
【0060】
床パネル1を複数積み重ねた際にも、規制凹部11は、裏面110が穴部111の上面に密着して支持されているため、変形することもない。
規制凸部10及び規制凹部11を複数(本実施形態では各4つ)形成しているので、重なった床パネル1どうしの相対的な回転も防ぐことができる。
【0061】
床パネル1は、例えば以下のようにして製造される。
下板4に規制凸部10を図示しない押圧部材で押圧するなどして形成する。
【0062】
次に芯材2の下面2bを下板4の下面被覆部4aで覆う。芯材2の下面2bと下板4の下面被覆部4aとを接着剤などで接着しても良い。
下板4の下板側面被覆部4bを、芯材2の側面2cに沿って折り曲げ加工する。折り曲げ加工をするため角部分に芯材2が十分に存在する。
【0063】
次いで、芯材2の上面2aを上板3の上面被覆部3aで覆う。芯材2の上面2aと上板3の上面被覆部3aとを接着剤などで接着しても良い。
上板3の外周端部は裏面側へ折り返して折り返し片30a、31aを形成しておく。
【0064】
上板3の上面被覆部3aを上方から図示しない押圧具で押圧して、上板3の規制凹部11と芯材2の穴部111を形成する。
【0065】
角部1bの形成について、上板3の角部1bを形成する部分を上方から押圧して折り曲げ加工していき、芯材2の立ち上がり芯部2f、段芯部2e及び角取り芯部2dを上板3の立ち上がり被覆部3f、段被覆部3e及び角取り被覆部3gで覆う。芯材2の立ち上がり芯部2fと上板3の立ち上がり被覆部3f、段芯部2eと段被覆部3e、角取り芯部2dと角取り被覆部3gを接着剤などで接着しても良い。
【0066】
上板3の立ち上がり被覆部3fを、芯材2の立ち上がり芯部2fに沿って折り曲げ加工し、段被覆部3eを段芯部2eに沿って折り曲げ加工し、角取り被覆部3gを角取り芯部2dに沿って折り曲げ加工する。そして、折り返し片31aが折り込まれ折り返し加工がされた角部接合部31を、下面被覆部4aに沿って折り曲げ加工して下板4の下面に重ねる。折り曲げ加工をするため各角部分にも芯材2が十分に存在する。
【0067】
また、芯材2の側面2cと角取り芯部2dとが交差する部分や側面2cと立ち上がり芯部2fとが交差する部分などの床パネル1の平面視における角が形成される部分においても芯材が十分に存在することになる。
【0068】
角部接合部31を下方から図示しない押圧具によって押圧して変形させる、所謂バーリング加工をして、下板4に接合する。上板3の貫通孔12及び下板4の貫通孔13はバーリング加工と同時に設けても良いし、事前に設けても良い。
【0069】
なお、角部接合部31と下板4との接合工程と、上板3の規制凹部11の形成工程とは、重複して行っても良い。下方から押圧を行う角部接合部31と下板4との接合工程と、上方から押圧を行う上板3の規制凹部11の形成工程とを重複して行うことで、加工機械のスペースを有効に活用して、工数を削減できる。
【0070】
辺部1aの形成について、
図5に示すように、側部押圧具P1を芯材2の側面に接近させて上板3の芯材2から張り出した部分を押し曲げ、上板3の端部を下方へ折り曲げて、上板3の上板側面被覆部3bで下板側面被覆部4bの外から芯材2の側面2cを覆う。
【0071】
下部押圧具P2を下方から下板4に接近させて押圧し、上板側面被覆部3bから下方に延長された部分を床パネル1の内側に折り曲げる。
この際に、側部押圧具P1の内面P1aと下部押圧具P2の側面P2aとの間に間隙Lをあけておくことにより、上板側面被覆部3bから下方に延長された部分が間隙L内に進入して、上板側面被覆部3bから連続して下方に延長する上板側面延長部3cが形成され、下部押圧具P2で押し上げることにより、上板側面延長部3cから連続して上板側面延長部3cに沿って上板側面折り返し部3dが折り返されて、補強リブ32が形成され、さらに、上板側面折り返し部3dの上端から連続して下面被覆部4aに沿って折り曲げられ、接合部30が形成される。
【0072】
接合部30は、下部押圧具P2により強く押圧されることで下板4に密接し、上板側面折り返し部3dにより下方から押圧支持されることにより下板4と接合される。
下部押圧具P2の接合部30を押圧しない部分に接合部30の厚み分だけ盛り上げて形成した盛上部P2bを設ければ、盛上部P2bが下板4の下方への膨らみも抑えることができる。
【0073】
なお、接合部30と下板4との接合工程と、上板3の規制凹部11の形成工程とは、重複して行っても良い。下方から押圧を行う接合部30と下板4との接合工程と、上方から押圧を行う上板3の規制凹部11の形成工程とを重複して行うことで、加工機械のスペースを有効に活用して、工数を削減できる。
【0074】
なお、角部1bの形成工程と辺部1aの形成工程は、同時に行っても良いし、前後して行っても良い。また、角部1bの形成工程と辺部1aの形成工程とで一部の工程だけをラップして行うようにしても良い。
【0075】
図6及び
図7に示すように、床パネル1を支持する床支持構造は、床スラブ5の上方に複数の床パネル1を並べて床パネル支持具6で支持してある。
床スラブ5の上には多数の床パネル支持具6を立設し、4枚の床パネル1の角部1bを突き合わせて床パネル支持具6で支持してある。床スラブ5と敷設された床パネル1との間にはケーブルなどを配置する配線収容空間7が形成される。
【0076】
床パネル支持具6は、支持脚60と、支持台61と、押圧板62と、ロックビス63とを備える。
支持脚60は、ネジ軸600と、ネジ軸600の下端に向けられて床スラブ5に載置される基台602とを有する。
【0077】
支持台61は、ネジ軸600の上部に螺合される筒ナット610と、筒ナット610の外周囲から張り出して設けられる台座611と、台座611に取付けられる受け台612と、を備える。
【0078】
筒ナット610をネジ軸600に対して回転させることにより、床パネル支持具6の長さを調整し支持台61の高さの調整することができる。また、高さを調整後は、筒ナット610に設けられた止めネジ616で固定することができる。
【0079】
受け台612は、台座611に予め被せて取付けておく。受け台612は、例えば合成樹脂製であって、台座611より一回り大きい平面を有する。床パネル支持具6は、受け台612以外は例えば金属製である。
【0080】
図8及び
図9に示すように、受け台612の上面中心にはナット部614が突出し、ナット部614の外周面から4枚の隔壁615が放射状に形成され、受け台612の上面を4つの区画に分割している。
【0081】
受け台612の上面には、各隔壁615の両側面及びナット部614の外周面に沿って収容溝618が形成される。
収容溝618の深さは、下面被覆部4aの下面から補強リブ32の下端までの突出長さより大となっている。
【0082】
図6(b)は、床パネル支持構造の要部断面図でナット部614に沿って形成された収容溝618の部分を示したものであり、
図6(c)は、床パネル支持構造の要部断面図で隔壁615に沿って形成された収容溝618の部分を示したものである。
隔壁615の両側面に沿って形成された収容溝618の幅は、接合部30の幅と補強リブ32の幅の合計よりも広い(
図6(c))。
ナット部614の外周面に沿って形成された収容溝618の幅は、床パネル1の隣接する2つの周辺を延長した線の交点から角部接合部31の内側端までの距離より広く形成してある(
図6(b))。
【0083】
また、受け台612の下面外周縁に沿って周壁617が形成され、周壁617の内周面下端部には、複数(図に示す例では4個)の鉤部613が周方向に等間隔で設けられる。
受け台612を台座611の上面に被せ、受け台612の鉤部613を台座611の下面に係合することにより、受け台612が支持脚60の上部に配置される。
【0084】
押圧板62は、段部21の深さ(立ち上がり部22の高さ)とほぼ同じ厚さを有し、押圧板62の外形は、4枚の床パネル1の段部21が形成する外形よりも僅かに小さい四角形である。
【0085】
押圧板62の中心には、ロックビス63を挿通するためのビス孔620が形成され、ビス孔620の周囲の上面にはロックビス63の頭部を嵌め込むための凹部621が形成されている。また、ロックビス63の首下部には、ビス孔620の下面に当接させて押圧板62と係合させる周方向に複数(例えば4個)の係合爪631が形成されている。
【0086】
床を構築するには、
図6(a)に示すように、床スラブ5の上に基台602を固定して多数の支持脚60を立設する。
支持脚60の中心軸間の距離は床パネル1の一辺の長さとほぼ等しくする。支持脚60の長さは、必要とする配線収容空間7の高さに応じて予め調整し支持台61の高さを調整しておく。
【0087】
次いで、
図7に示すように、受け台612の上面において、隔壁615で分割された4つの区画にそれぞれ床パネル1の角部1bを載せ、これら4枚の床パネル1の角部1bを付き合わせた状態で配置する。
図6(b)(c)に示すように、床パネル1の補強リブ32、接合部30及び角部接合部31は受け台612の収容溝618に収容される。
【0088】
4枚の床パネル1の角取り部20によって四角形状の透孔が形成され、この透孔にナット部614が配置される。突き合わせた4枚の床パネル1の段部21は外形が四角形状となる(
図7)。
【0089】
次に、
図6(a)及び
図7に示すように、外形が四角形状の段部21の上に押圧板62をはめ込む。
立ち上がり部22は、上方が段部21から遠ざかるように傾斜しているので、押圧板62は立ち上がり部22にガイドされて容易に段部21の上に嵌合される。
【0090】
その後に、嵌合された押圧板62のビス孔620を通してロックビス63をナット部614に螺合する。係合爪631がビス孔620を通過しロックビス63が押圧板62と係合し、押圧板62が段部21を押圧する。この結果、4枚の床パネル1の角部1bが支持台61と押圧板62とで挟持され、安定して敷設される。
なお、先に押圧板62のビス孔620にロックビス63の首下部を挿通し係合爪631をビス孔620に係合させてから、ナット部614に螺合させても良い。
【0091】
立ち上がり部22は、平面視で直線状であり、他の床パネル1の角部1bが突き合わされて並べられ段部21を押圧する押圧板62の一辺と嵌合されるので、ロックビス63の螺合の際に、押圧板62が規制されて空回りせず、床パネル1を確実に支持することができる。
【0092】
受け台612の収容溝618は、
図6(b)(c)に示すように、床パネル1の補強リブ32、接合部30及び角部接合部31を収容するのに十分な幅及び深さを有するので、床パネル1の平坦な下面被覆部4aが受け台612の収容溝618が形成されていない上面612aに載置されることになり、床パネル1ががたつくことはない。
【0093】
また、収容溝618と補強リブ32、接合部30及び角部接合部31とが係合することになるので、床パネル1の水平方向への移動が抑制される。
【0094】
また、段部21を構成する上板3の段被覆部3eの下方には芯材2の段芯部2eが存在し、さらにその下方には、上板3の角部接合部31や下板4が存在する、すなわち、押圧板62で押圧されて支持台61で支持され挟まれて保持される段部21の部分の上板3と下板4との間に芯材2が存在することになり、強度が増加し変形性能が向上する。換言すると、支持台61と押圧板62とで挟持される床パネル1の角部1b内には芯材2が内蔵されているので強度が高く、強い荷重が加わっても変形しにくい。
また、床パネル1の角部1bにおいて、上板3はバーリング加工によって下板4に接合されているので、せん断方向の力によってもはがれにくい。
【0095】
床パネル1は、角部1bを除いた適宜箇所において、床スラブ5上に立設された束により下から支持されるようにしても良い。
【0096】
また、押圧板62は段部21の立ち上がり部22とほぼ同じ厚さであり、押圧板62のビス孔620の周囲にはロックビス63の頭部を嵌め込むための凹部621が形成されているので、床の上面は平滑に仕上がる。
最後に、敷設された床パネル1の上面にカーペット等の仕上げ材を設置する。
【0097】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態を
図10乃至
図12と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0098】
本実施形態では、
図10及び
図11に示すように、床パネル1の対向する一対の側辺の中央部に、略四角形の切り欠き部14が形成されている。切り欠き部14は、配線収容空間7に配線されたケーブルを床パネル1の上方へ引き出すなどのために用いられる。
【0099】
切り欠き部14の周囲に沿う上面には切欠き段部15が形成されている。
切欠き段部15は、床パネル1の上面から4~5mm程度低く形成されている。
床パネル1の上面から切欠き段部15に連続する切欠き立ち上がり部16が形成されている。
【0100】
図12に示すように、芯材2には、切り欠き部14と対応して四角形に切り欠いた切欠き芯部2gと、切欠き芯部2gから連続して形成される切欠き段芯部2hと、切欠き段芯部2hから連続して上面2aに向け切欠き芯部2gと平行に立ち上がる切欠き立ち上がり芯部2iとを備える。
下板4の切り欠き部14と対応する部分は、切り欠き部14より一回り大きく切り欠かれており、切欠き芯部2gを覆わないように形成されている。
【0101】
上板3は、切り欠き部14に対応して、切り欠き部14より小さい四角形に切り欠かれている。
上板3の切り欠き部14よりも張り出した部分は、上面被覆部3aから連続して折り曲げ加工がされて芯材2の切欠き立ち上がり芯部2iを被覆する切欠き立ち上がり被覆部3hと、切欠き立ち上がり被覆部3hから連続して折り曲げ加工がされて切欠き段芯部2hを被覆する切欠き段被覆部3iと、切欠き段被覆部3iから連続して折り曲げ加工がされて切欠き芯部2gを被覆する切欠き被覆部3jと、切欠き被覆部3jから連続して下板4の下面に沿って折り曲げ加工がされて下板4の下面に重ねられて接合されている切欠き接合部33が形成されている。
【0102】
切欠き接合部33の先端部は、さらに上面側に折り返し片33aが折り込まれる折り返し加工(所謂ヘミング加工)がされる。
【0103】
切り欠き部14の各辺の両端部と、各辺の略中間の1カ所において、切欠き接合部33の折り返し加工された部分には、上板3に貫通孔12が形成され、下板4に貫通孔12と対応する貫通孔13が形成され、貫通孔12の下方からバーリングピンを打ち込むことにより上板3及び下板4を変形させ、芯材2の下部に食い込ませて角部接合部31を下板4と接合する。
【0104】
切り欠き部14の周方向両端部では、切欠き接合部33の端部と辺部1aの接合部30の切り欠き部14に臨む端部とを重ね、切欠き接合部33の貫通孔12と接合部30の貫通孔12を一致させてバーリング加工を行う(変形接合部の形成)。
【0105】
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態を
図13と共に説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0106】
本実施形態では、角部接合部31の両端部に加え、接合部30の長さ方向両端部にもバーリング加工を行う点が異なる。
接合部30の長さ方向両端部に貫通孔12を形成し、この貫通孔12及び下板の貫通孔13に下方からバーリングピンを打ち込んで変形させ、上板3の接合部30の両端部を下板4及び芯材2に接合する(変形接合部の形成)。
【0107】
バーリング加工する接合部30の長さ方向両端部は、補強リブ32を形成しないようにしても良いし、形成するようにしても良い。
【0108】
[第4の実施形態]
以下、本発明の第4の実施形態を
図14と共に説明する。なお、第1乃至第3の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0109】
本実施形態は、第2の実施形態とほぼ同様の構成を有するが、
図14に示すように、角部接合部31の両端部だけでなく、辺部1aの接合部30の両端部にもバーリング加工を施し、接合部30を変形させて下板4に接合してある点が異なっている(変形接合部の形成)。
【0110】
[第5の実施形態]
以下、本発明の第5の実施形態を
図15と共に説明する。なお、第1乃至第4の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0111】
本実施形態は、第3の実施形態とほぼ同様の構成を有するが、
図15に示すように、角部接合部31の両端部及び接合部30の両端部に加えて、辺部1aの接合部30の長さ方向中心部においてもバーリング加工する点が異なる。
辺部1aの接合部30の長さ方向中心部の接合部30の貫通孔12及び下板4の貫通孔13に下方からバーリングピンを打ち込み、貫通孔12,13の周囲を変形させて接合部30を下板4に接合する(変形接合部の形成)。
【0112】
[第6の実施形態]
以下、本発明の第6の実施形態を
図16と共に説明する。なお、第1乃至第5の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0113】
第6の実施形態は、第4の実施形態と類似しているが、
図16に示すように、床パネル1の切り欠き部14が形成されていない対向する一対の周辺において、接合部30の長さ方向中心部にバーリング加工を行い、上板3の接合部30を変形させて下板4に接合してある点が異なる(変形接合部の形成)。
【0114】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0115】
本実施形態では、芯材をパーチクルボード等の木質素材としてあるが、軽量コンクリート等であってもよい。
【0116】
本実施形態では、床パネルは四角形であるが、その他の角形とすることも可能であり、その形状に応じて、角部を突き合わせて敷設する枚数も変更する。
【0117】
突き合わせて配置された床パネルの角部を支持する床パネル支持具の構造も、本実施形態で説明したものに限定されない。
一例としては、押圧板を支持脚の上端に対してスナップ係合するようなものであってもよい。
【0118】
本実施形態では、上板の接合部、角部接合部或いは切欠き接合部に貫通孔、下板に貫通孔が設けられていたが、これに限られず、上板及び下板の双方に貫通孔を設けずに押圧具によって貫通孔を形成させながら変形させて接合させるもの、または、上板及び下板のいずれかに貫通孔を設けて変形させて接合させるものであっても良い。
【0119】
本実施形態では、規制凸部の突出長さが、接合部の厚さと規制凹部の深さの合計より長いものであったが、これに限られない。規制凸部の突出長さが、接合部の厚さより長いものであれば、接合部の厚さと規制凹部の深さの合計より短いものであっても良い。
【0120】
本実施形態では、角部接合部及び切欠き接合部は、バーリング加工を施して下板に接合しているが、バーリングピンを打ち込まずに、下部押圧具で押圧して変形させることにより、下板に接合することもできる。
この場合、角部接合部及び切欠き接合部に連続して、それぞれの外周側に辺部同様に補強リブを形成してもよい。
【0121】
本実施形態では、収容溝に補強リブ及び接合部並びに角部接合部が収容されているが、補強リブのみを収容するようなものであっても良い。
【0122】
本実施形態では、床パネルの角部において、補強リブを形成しないものであったが、バーリング加工などで上板及び下板を押圧変形させて接合するものと併用するようにしても良い。
【0123】
変形例を含むいずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0124】
1 床パネル
1a 辺部
1b 角部
10 規制凸部
11 規制凹部
110 裏面
111 穴部
12、13 貫通孔
14 切り欠き部
15 切欠き段部
16 切欠き立ち上がり部
2 芯材
2a 上面
2b 下面
2c 側面
2d 角取り芯部
2e 段芯部
2f 立ち上がり芯部
2g 切欠き芯部
2h 切欠き段芯部
2i 切欠き立ち上がり芯部
20 角取り部
21 段部
22 立ち上がり部
3 上板
3a 上面被覆部
3b 上板側面被覆部
3c 上板側面延長部
3d 上板側面折り返し部
3e 段被覆部
3f 立ち上がり被覆部
3g 角取り被覆部
3h 切欠き立ち上がり被覆部
3i 切欠き段被覆部
3j 切欠き被覆部
30 接合部
31 角部接合部
32 補強リブ
33 切欠き接合部
4 下板
4a 下面被覆部
4b 下板側面被覆部
5 床スラブ
6 床パネル支持具
60 支持脚
600 ネジ軸
602 基台
61 支持台
610 筒ナット
611 台座
612 受け台
613 鉤部
614 ナット部
615 隔壁
616 止めネジ
617 周壁
618 収容溝
62 押圧板
620 ビス孔
621 凹部
63 ロックビス
631 係合爪
7 配線収容空間
P1 側部押圧具
P2 下部押圧具