(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089605
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 63/00 20230101AFI20240626BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20240626BHJP
H10B 61/00 20230101ALI20240626BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240626BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20240626BHJP
【FI】
H10B63/00
H10B63/10
H10B61/00
H10N50/10 Z
H10N70/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】46
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116214
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2022204150
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 剛之
(72)【発明者】
【氏名】松島 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鬼嵜 誠
(72)【発明者】
【氏名】小松 克伊
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】河合 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】野本 梨菜
(72)【発明者】
【氏名】長川 健太
(72)【発明者】
【氏名】祝 祺
(72)【発明者】
【氏名】大坊 忠臣
【テーマコード(参考)】
4M119
5F083
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA02
4M119AA05
4M119BB01
4M119CC05
4M119DD37
4M119DD45
4M119GG01
4M119JJ03
5F083FZ10
5F083JA31
5F083JA36
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA60
5F092AA03
5F092AA04
5F092AA07
5F092AC12
5F092AC25
5F092BB21
5F092BB29
5F092BB41
5F092CA02
5F092CA03
5F092EA05
(57)【要約】
【課題】特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、第3の導電層と第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備える。スイッチング層は、ジルコニウム、イットリウム、タンタル、ランタン、セリウム、チタン、ハフニウム、及びマグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、亜鉛、スズ、ガリウム、インジウム、及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル、硫黄、及びセレンからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、
前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、
前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備え、
前記スイッチング層は、
ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、
亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、
を含む、記憶装置。
【請求項2】
前記第3の元素は、テルル(Te)である、請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
前記スイッチング層は、炭素(C)、ボロン(B)、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、及びアルミニウム(Al)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第4の元素を、更に含む、請求項1記載の記憶装置。
【請求項4】
前記スイッチング層における、前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、3%以上97%以下である、請求項1記載の記憶装置。
【請求項5】
前記スイッチング層における、前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第3の元素の原子濃度と前記第2の元素の原子濃度の差の絶対値の比率が20%以下である、請求項1記載の記憶装置。
【請求項6】
前記スイッチング層における、前記第3の元素の原子濃度が前記第2の元素の原子濃度より高く、
前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第3の元素の原子濃度と前記第2の元素の原子濃度の差の比率が5%以上20%以下である、請求項1記載の記憶装置。
【請求項7】
前記スイッチング層における、前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
前記スイッチング層における、前記第3の元素の原子濃度が前記第2の元素の原子濃度より高い、請求項1記載の記憶装置。
【請求項8】
前記スイッチング層における、前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第3の元素の原子濃度と前記第2の元素の原子濃度の差の絶対値の比率が5%以下である、請求項1記載の記憶装置。
【請求項9】
前記スイッチング層における、前記第1の元素、前記第2の元素、前記第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和が90%以上である、請求項1記載の記憶装置。
【請求項10】
前記酸化物の少なくとも一部は結晶質である、請求項1記載の記憶装置。
【請求項11】
前記スイッチング層は、前記酸化物と前記化合物の混合物を含む、請求項1記載の記憶装置。
【請求項12】
前記第1の導電層、前記第2の導電層、又は前記第3の導電層は、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む、請求項1記載の記憶装置。
【請求項13】
前記第1の導電層、前記第2の導電層、又は前記第3の導電層は、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む、請求項1記載の記憶装置。
【請求項14】
前記抵抗変化層は磁気トンネル接合を含む、請求項1記載の記憶装置。
【請求項15】
前記抵抗変化層は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化し、
前記スイッチング層は、特定の閾値電圧で電流が立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する、請求項1記載の記憶装置。
【請求項16】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備え、
前記複数の第1の配線の一つと、前記複数の第2の配線の一つが交差する領域に前記メモリセルが設けられる、請求項1記載の記憶装置。
【請求項17】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられたメモリ層と、を含むメモリセルを備え、
前記メモリ層は、
ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、
亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、
を含む、記憶装置。
【請求項18】
前記第3の元素は、テルル(Te)である、請求項17記載の記憶装置。
【請求項19】
前記メモリ層は、特定の閾値電圧で電流が立ち上がる非線形な電流電圧特性を有し、所定の電圧の印加により前記閾値電圧が変化する、請求項17記載の記憶装置。
【請求項20】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備え、
前記複数の第1の配線の一つと、前記複数の第2の配線の一つが交差する領域に前記メモリセルが設けられる、請求項17記載の記憶装置。
【請求項21】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、
前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、
前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備え、
前記スイッチング層は、
アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、
亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素との化合物と、
を含む、記憶装置。
【請求項22】
前記スイッチング層は、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、及びニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素の酸化物又は前記第3の元素の酸窒化物を、更に含む、請求項21記載の記憶装置。
【請求項23】
前記第2の元素は、テルル(Te)である、請求項21記載の記憶装置。
【請求項24】
前記スイッチング層における、アルミニウム(Al)の原子濃度は1%より大きい、請求項21記載の記憶装置。
【請求項25】
前記スイッチング層は、炭素(C)、ボロン(B)、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)、及びシリコン(Si)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第4の元素を、更に含む、請求項21記載の記憶装置。
【請求項26】
前記スイッチング層における、アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、3%以上97%以下である、請求項21記載の記憶装置。
【請求項27】
前記スイッチング層における、アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対するアルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第2の元素の原子濃度と前記第1の元素の原子濃度の差の絶対値の比率が20%以下である、請求項21記載の記憶装置。
【請求項28】
前記スイッチング層における、前記第2の元素の原子濃度が前記第1の元素の原子濃度より高く、
アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第2の元素の原子濃度と前記第1の元素の原子濃度の差の比率が5%以上20%以下である、請求項21記載の記憶装置。
【請求項29】
前記スイッチング層における、アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
前記スイッチング層における、前記第2の元素の原子濃度が前記第1の元素の原子濃度より高い、請求項21記載の記憶装置。
【請求項30】
前記スイッチング層における、アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、5%以上80%未満であり、
アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、前記第2の元素の原子濃度と前記第1の元素の原子濃度の差の絶対値の比率が5%以下である、請求項21記載の記憶装置。
【請求項31】
前記スイッチング層における、アルミニウム(Al)、前記第1の元素、前記第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和が90%以上である、請求項21記載の記憶装置。
【請求項32】
前記酸化物の少なくとも一部は結晶質である、請求項21記載の記憶装置。
【請求項33】
前記スイッチング層は、前記酸化物又は前記酸窒化物と、前記化合物の混合物を含む、請求項21記載の記憶装置。
【請求項34】
前記スイッチング層は、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第5の元素を、更に含む、請求項21記載の記憶装置。
【請求項35】
前記第1の導電層、前記第2の導電層、又は前記第3の導電層は、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む、請求項21記載の記憶装置。
【請求項36】
前記第1の導電層、前記第2の導電層、又は前記第3の導電層は、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む、請求項21記載の記憶装置。
【請求項37】
前記抵抗変化層は磁気トンネル接合を含む、請求項21記載の記憶装置。
【請求項38】
前記抵抗変化層は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化し、
前記スイッチング層は、特定の閾値電圧で電流が立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する、請求項21記載の記憶装置。
【請求項39】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備え、
前記複数の第1の配線の一つと、前記複数の第2の配線の一つが交差する領域に前記メモリセルが設けられる、請求項21記載の記憶装置。
【請求項40】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられたメモリ層と、を含むメモリセルを備え、
前記メモリ層は、
アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、
亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素との化合物と、
を含む、記憶装置。
【請求項41】
前記メモリ層は、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、及びニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素の酸化物又は前記第3の元素の酸窒化物を、更に含む、請求項40記載の記憶装置。
【請求項42】
前記第2の元素は、テルル(Te)である、請求項40記載の記憶装置。
【請求項43】
前記メモリ層は、特定の閾値電圧で電流が立ち上がる非線形な電流電圧特性を有し、所定の電圧の印加により前記閾値電圧が変化する、請求項40記載の記憶装置。
【請求項44】
複数の第1の配線と、
前記複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備え、
前記複数の第1の配線の一つと、前記複数の第2の配線の一つが交差する領域に前記メモリセルが設けられる、請求項40記載の記憶装置。
【請求項45】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、
前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、
前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備え、
前記スイッチング層は、
ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、及びニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、
亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、
を含む、記憶装置。
【請求項46】
第1の導電層と、
第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられたメモリ層と、を含むメモリセルを備え、
前記メモリ層は、
ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、及びニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、
亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、
を含む、記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の不揮発性記憶装置として、クロスポイント型の2端子の記憶装置がある。クロスポイント型の2端子の記憶装置は、メモリセルの微細化・高集積化が容易である。
【0003】
クロスポイント型の2端子の記憶装置のメモリセルは、例えば、抵抗変化素子とスイッチング素子を有する。メモリセルがスイッチング素子を有することで、選択メモリセル以外のメモリセルに流れる電流が抑制される。
【0004】
スイッチング素子には、低いリーク電流、高いオン電流、及び高い信頼性など、優れた特性を備えることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第10177308号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0352807号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、前記第3の導電層と前記第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備え、前記スイッチング層は、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図3】第1の実施形態の記憶装置の分析結果を示す図。
【
図4】第1の実施形態の記憶装置の分析結果を示す図。
【
図5】第1の実施形態の記憶装置のスイッチング層の化学組成の一例を示す図。
【
図7】第1の実施形態のスイッチング素子の電流電圧特性の説明図。
【
図8】第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図。
【
図9】第1の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図10】第1の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図11】第1の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図12】第2の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図13】第3の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図14】第3の実施形態のメモリ素子の電流電圧特性の説明図。
【
図15】第3の実施形態の記憶装置のメモリ動作の第1の動作例の説明図。
【
図16】第3の実施形態の記憶装置のメモリ動作の第2の動作例の説明図。
【
図17】第3の実施形態の第1の変形例のメモリ素子の電流電圧特性の説明図。
【
図18】第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリ動作の第3の動作例の説明図。
【
図19】第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリ動作の第4の動作例の説明図。
【
図20】第3の実施形態の第2の変形例のメモリ素子の電流電圧特性の説明図。
【
図21】第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリ動作の第5の動作例の説明図。
【
図22】第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリ動作の第6の動作例の説明図。
【
図23】第3の実施形態の第3の変形例のメモリ素子の電流電圧特性の説明図。
【
図24】第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリ動作の第7の動作例の説明図。
【
図25】第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリ動作の第8の動作例の説明図。
【
図26】第4の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図27】第4の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図28】第4の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図29】第4の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図30】第5の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図31】第6の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図32】第7の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図33】第8の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【
図34】第9の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0010】
本明細書中の記憶装置を構成する化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、ラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectroscopy:RBS)、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)や電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)などにより行うことが可能である。また、記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。また、記憶装置を構成する部材の構成物質の同定、存在割合、結合状態、局所構造(原子間距離、配位数)、化学状態の計測には、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)、X線吸収微細構造解析(X-ray Absorption Fine Structure:XAFS)、ラマン分光法(Raman Spectroscopy:Raman)、又はEELSを用いることが可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、第3の導電層と第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備える。そして、スイッチング層は、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。
【0012】
また、第1の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0013】
図1は、第1の実施形態の記憶装置のブロック図である。
【0014】
第1の実施形態の記憶装置のメモリセルアレイ100は、例えば、半導体基板101上に絶縁層を介して、複数のワード線102と、ワード線102と交差する複数のビット線103とを備える。ビット線103は、例えば、ワード線102の上層に設けられる。また、メモリセルアレイ100の周囲には、周辺回路として、第1の制御回路104、第2の制御回路105、センス回路106が設けられる。
【0015】
ワード線102は第1の配線の一例である。また、ビット線103は、第2の配線の一例である。
【0016】
ワード線102と、ビット線103が交差する領域に、複数のメモリセルMCが設けられる。第1の実施形態の記憶装置は、クロスポイント構造を備える二端子の磁気抵抗メモリである。
【0017】
複数のワード線102は、それぞれ、第1の制御回路104に接続される。また、複数のビット線103は、それぞれ、第2の制御回路105に接続される。センス回路106は、第1の制御回路104及び第2の制御回路105に接続される。
【0018】
第1の制御回路104及び第2の制御回路105は、例えば、所望のメモリセルMCを選択し、そのメモリセルMCへのデータの書き込み、メモリセルMCのデータの読み出し、メモリセルMCのデータの消去等を行う機能を備える。データの読み出し時に、メモリセルMCのデータは、ワード線102と、ビット線103との間に流れる電流量として、又はビット線103の電位変化として読み出される。センス回路106は、その電流量を判定して、データの極性を判断する機能を備える。例えば、データの“0”、“1”を判定する。
【0019】
第1の制御回路104、第2の制御回路105、及び、センス回路106は、例えば、半導体基板101上に形成される半導体デバイスを用いた電子回路で構成される。
【0020】
図2は、第1の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図2は、
図1のメモリセルアレイ100中の、例えば点線の円で示される一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0021】
メモリセルMCは、
図2に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0022】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。
【0023】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0024】
下部電極10はワード線102に接続される。下部電極10は、例えば金属である。下部電極10は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10はワード線102の一部であっても構わない。
【0025】
上部電極20はビット線103に接続される。上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。上部電極20はビット線103の一部であっても構わない。
【0026】
中間電極30は、下部電極10と上部電極20との間に設けられる。中間電極30は、例えば金属である。中間電極30は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0027】
スイッチング層40は、下部電極10と中間電極30との間に設けられる。スイッチング層40の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下である。スイッチング層40の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上20nm以下であることがより好ましい。
【0028】
スイッチング層40は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。スイッチング層40は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0029】
スイッチング層40は、酸化物とカルコゲン化物を含む。カルコゲン化物(chalcogenide)は、カルコゲン元素であるテルル(Te)、硫黄(S)、又はセレン(Se)と、他の元素とが結合した化合物である。
【0030】
スイッチング層40は、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物を含む。スイッチング層40は、例えば、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化タンタル、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、及び酸化マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含む。スイッチング層40は、より好ましくは、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、及びセリウム(Ce)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物を含む。スイッチング層40は、より好ましくは、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、及び酸化セリウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含む。
【0031】
スイッチング層40が第1の元素の酸化物を含むか否かは、例えば、X線光電子分光法(XPS)又は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて判定することが可能である。
【0032】
スイッチング層40における、第1の元素の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、例えば、0.5以上4.0以下である。スイッチング層40における、第1の元素の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、より好ましくは0.5以上3.0以下である。
【0033】
スイッチング層40は、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物であるカルコゲン化物を含む。スイッチング層40は、第2の元素のカルコゲン化物を含む。スイッチング層40は、例えば、テルル化亜鉛、テルル化スズ、テルル化ガリウム、テルル化インジウム、テルル化ビスマス、硫化亜鉛、硫化スズ、硫化ガリウム、硫化インジウム、硫化ビスマス、セレン化亜鉛、セレン化スズ、セレン化ガリウム、セレン化インジウム、及びセレン化ビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一つのカルコゲン化物を含む。第3の元素としてより好ましくはテルル(Te)であり、スイッチング層40は、より好ましくは、テルル化亜鉛、テルル化スズ、テルル化ガリウム、テルル化インジウム、及びテルル化ビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一つのカルコゲン化物を含む。テルル化物は、硫化物、セレン化物と比べて、バンドギャップが小さいため、書き込み電圧を相対的に小さくすることができ、書き込みを繰り返した場合の、半選択リーク電流の変動や、オン電流の変動などの特性変動を抑制することができるという利点を持つ。
【0034】
スイッチング層40が第2の元素のカルコゲン化物を含むか否かは、例えば、X線吸収微細構造解析(XAFS)、ラマン分光法(Raman)、又は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて判定することが可能である。
【0035】
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)、及び
図4(b)は、第1の実施形態の記憶装置の分析結果を示す図である。
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)、及び
図4(b)は、第1の元素がジルコニウム(Zr)、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合のスイッチング層40のXAFSによる分析結果を示す。
【0036】
図3(a)、
図3(b)は、亜鉛(Zn)に着目した原子間距離の測定結果である。
図3(a)及び
図3(b)の横軸は原子間距離、縦軸は信号強度である。
図3(a)は標準試料の波形、
図3(b)はスイッチング層40の実測の波形である。
【0037】
図3(a)の波形と
図3(b)の波形の比較から、実測された波形は、テルル化亜鉛(ZnTe)に対応する波形であることが分かる。例えば、
図3(b)では、約2.5Å(オングストローム)にピークがあり、これは
図3(a)のテルル化亜鉛(ZnTe)のピークに対応する。したがって、スイッチング層40にテルル化亜鉛が含まれることが確認できる。
【0038】
図4(a)、
図4(b)は、亜鉛(Zn)に着目した吸収スペクトルの測定結果である。
図4(a)及び
図4(b)の横軸はエネルギー、縦軸は信号強度である。
図4(a)は標準試料の波形、
図4(b)はスイッチング層40の実測の波形である。
【0039】
図4(a)の波形と
図4(b)の波形の比較から、実測された波形は、テルル化亜鉛(ZnTe)に対応する波形であることが分かる。例えば、
図4(b)では、約9663eVにピークがあり、これは
図4(a)のテルル化亜鉛(ZnTe)のピークに対応する。したがって、スイッチング層40にテルル化亜鉛が含まれることが確認できる。また、例えば、約1020eVから約1050eVに現れるピークから、テルル化亜鉛(ZnTe)が含まれていることを確認しても良い。なお、約9663eVのピークは亜鉛(Zn)のK端に相当し、約1020eVから約1050eVのピークは亜鉛(Zn)のL端に相当する。
【0040】
なお、
図3(a)、
図3(b)、
図4(a)、及び
図4(b)は、入射光としてX線を用いたXAFSによる測定の例を示したが、XAFSと同様の測定原理に基づく、入射光として電子線を用いたEELSを用いても、XAFSと同様の測定が可能である。
【0041】
上記酸化物及び上記カルコゲン化物は、例えば、スイッチング層40の主成分である。上記酸化物及び上記カルコゲン化物がスイッチング層40の主成分であるとは、スイッチング層40に含まれる物質の中で、上記酸化物又は上記カルコゲン化物よりもモル分率の高い物質が存在しないことを意味する。
【0042】
スイッチング層40における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和は、例えば、90%以上である。
【0043】
スイッチング層40は、例えば、上記酸化物及び上記カルコゲン化物の混合物を含む。上記酸化物及び上記カルコゲン化物は、例えば、混合した状態で、スイッチング層40の中に存在する。
【0044】
スイッチング層40における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、3%以上97%以下である。例えば、第1の元素がジルコニウム(Zr)、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層40における、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、ジルコニウム(Zr)と酸素(O)の原子濃度の和の比率((Zr+O)/(Zr+Zn+Te+O))は、例えば、3%以上97%以下である。
【0045】
図5は、第1の実施形態の記憶装置のスイッチング層の化学組成の一例を示す図である。
図5は、第1の元素がジルコニウム(Zr)、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合の化学組成を三角ダイアグラム上で例示している。三角ダイアグラムは、スイッチング層40の「ジルコニウム(Zr)と酸素(O)の和」、「亜鉛(Zn)」、「テルル(Te)」を頂点とする。
【0046】
スイッチング層40における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、5%以上80%未満である。また、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第3の元素の原子濃度と第2の元素の原子濃度の差の絶対値の比率は、例えば、20%以下である。第1の元素がジルコニウム(Zr)、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合の上記組成範囲は、
図5の三角ダイアグラム上でハッチングされた領域の組成範囲である。
【0047】
ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、ジルコニウム(Zr)と酸素(O)の原子濃度の和の比率(Zr+O)/(Zr+Zn+Te+O)が、例えば、5%以上80%未満である。そして、例えば、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、テルル(Te)の原子濃度と亜鉛(Zn)の原子濃度の差の絶対値の比率(|Te-Zn|)/(Zr+Zn+Te+O)が、例えば、20%以下である。
【0048】
スイッチング層40における、第3の元素の原子濃度は、例えば、第2の元素の原子濃度より高い。例えば、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層40における、テルル(Te)の原子濃度は、例えば、亜鉛(Zn)の原子濃度よりも高い。
【0049】
スイッチング層40には、例えば、第2の元素と第3の元素が結合して形成されるカルコゲン化物と、カルコゲン化物を形成しない余剰の第3の元素が存在する。例えば、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層40に、テルル化亜鉛と余剰のテルル(Te)が共存する。
【0050】
例えば、スイッチング層40に含まれる酸化物の少なくとも一部は結晶質である。スイッチング層40に含まれる酸化物の少なくとも一部が結晶質であるか否かは、例えば、電子線回折法を用いて判定することが可能である。なお、スイッチング層40に含まれるカルコゲン化物の一部が結晶質であっても構わない。
【0051】
スイッチング層40は、例えば、炭素(C)、ボロン(B)、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、及びアルミニウム(Al)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第4の元素を含む。スイッチング層40に含まれる第4の元素の原子濃度は、例えば、5%以上20%以下である。
【0052】
スイッチング層40は、例えば、スパッタリング法により形成することが可能である。第1の元素の酸化物と、第2の元素のカルコゲン化物を含むスイッチング層40は、例えば、第1の元素の酸化物から成るターゲットと、第2の元素のカルコゲン化物から成るターゲットを用いたコ・スパッタリング法(co-sputtering法)により形成することが可能である。また、スイッチング層40は、例えば、第1の元素の酸化物と、第2の元素のカルコゲン化物との混合物からなるターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが可能である。
【0053】
抵抗変化層50は、中間電極30と上部電極20との間に設けられる。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を有する。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53で構成される磁気トンネル接合を含む。
【0054】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0055】
固定層51は、強磁性体である。固定層51では、所定の書き込み電圧に対して磁化方向が変化せず、磁化方向が特定の方向に固定される。
【0056】
トンネル層52は、絶縁体である。トンネル層52では、電子がトンネル効果によって通過する。
【0057】
自由層53は、強磁性体である。自由層53では、所定の書き込み電圧に対して磁化方向が変化する。自由層53の磁化方向は、固定層51の磁化方向と平行な状態、及び、固定層51の磁化方向と反平行な状態のどちらの状態もとることが可能である。例えば、中間電極30と上部電極20との間に、電圧を印加し電流を流すことにより、自由層53の磁化方向を変化させることが可能となる。
【0058】
自由層53の磁化方向を変化させることで、抵抗変化層50の電気抵抗が変化する。自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と反平行な状態になる場合、電流が流れにくい高抵抗状態となる。一方、自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と平行な状態になる場合、電流が流れやすい低抵抗状態となる。なお、固定層51と自由層53の配置は逆でも良い。つまり、中間電極30、自由層53、トンネル層52、固定層51、上部電極20の順に積層されていても良い。
【0059】
次に、第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0060】
第1の実施形態の記憶装置は、上述のように、自由層53の磁化方向を変化させることで、抵抗変化層50の抵抗が変化する。自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と反平行な状態になる場合、電流が流れにくい高抵抗状態となる。一方、自由層53の磁化方向が固定層51の磁化方向と平行な状態になる場合、電流が流れやすい低抵抗状態となる。
【0061】
例えば、抵抗変化層50の高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは異なる抵抗状態を維持できることで、“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。1つのメモリセルMCの書き込みは、そのメモリセルMCに接続されたビット線103とワード線102との間に電圧を印加し電流を流すことで行う。
【0062】
図6は、第1の実施形態の記憶装置の課題の説明図である。
図6は、メモリセルアレイ内の1個のメモリセルMCを書き込み動作のために選択した際に、メモリセルMCに印加される電圧を示している。ワード線とビット線の交点が、各メモリセルMCを表している。
【0063】
選択されたメモリセルMCはメモリセルA(選択セル)である。メモリセルAにつながるワード線には書き込み電圧Vwriteが印加される。また、メモリセルAにつながるビット線には、0Vが印加される。
【0064】
以下、メモリセルAと接続されないワード線及びビット線には、書き込み電圧の半分の電圧(Vwrite/2)が印加される場合を例に説明する。
【0065】
メモリセルAと接続されないワード線及びビット線に接続されたメモリセルC(非選択セル)に印加される電圧は0Vである。すなわち、電圧は印加されない。
【0066】
一方、メモリセルAと接続されたワード線又はビット線に接続されたメモリセルB(半選択セル)には、書き込み電圧Vwriteの半分の電圧(Vwrite/2)が印加される。したがって、メモリセルB(半選択セル)には、半選択リーク電流が流れることになる。
【0067】
なお、上記以外の印加方式として、メモリセルAにつながるワード線に書き込み電圧の半分の電圧(Vwrite/2)を、ビット線に書き込み電圧の半分の負電圧(-Vwrite/2)を、メモリセルAにつながらないワード線及びビット線に0Vを印加する方式を使用しても良い。
【0068】
図7は、第1の実施形態のスイッチング素子の電流電圧特性の説明図である。横軸がスイッチング素子に印加される電圧、縦軸がスイッチング素子に流れる電流である。
【0069】
スイッチング素子は閾値電圧Vthで電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。閾値電圧Vthは、例えば、0.5V以上3V以下である。
【0070】
書き込み電圧Vwriteが閾値電圧Vthより高く、書き込み電圧Vwriteの半分の電圧(Vwrite/2)が閾値電圧より低くなるように、書き込み電圧Vwriteは設定される。書き込み電圧Vwriteを印加した時にスイッチング素子に流れる電流がオン電流(
図7中のIon)である。書き込み電圧Vwriteの半分の電圧(Vwrite/2)を印加した時にスイッチング素子に流れる電流が半選択リーク電流(
図7中のIhalf)である。
【0071】
なお、メモリセルMCの読み出し電圧Vreadは、例えば、
図7に示すように、閾値電圧Vthより高く、書き込み電圧Vwriteより低い電圧に設定される。したがって、メモリセルMCの読み出しの際に、半選択セルに流れる半選択リーク電流も抑制できる。
【0072】
半選択リーク電流が大きいと、例えば、チップの消費電力の増大を招く。また、例えば、配線での電圧降下が増加して選択セルに十分高い電圧が印加されなくなり、メモリセルMCへの書き込み動作が不安定となる。また、オン電流が小さいと、例えば、選択セルに流れる電流が不足し、メモリセルMCへの書き込み不足が生じる。したがって、スイッチング素子の電流電圧特性には、低い半選択リーク電流と高いオン電流を両立することが要求される。
【0073】
さらに、スイッチング素子の電流電圧特性には、高い信頼性も要求される。すなわち、メモリセルMCへのデータの書き込みを繰り返した場合の、半選択リーク電流の変動や、オン電流の変動などの特性変動を抑制し、高い信頼性を実現することが要求される。
【0074】
例えば、第1の比較例のスイッチング素子として、スイッチング層が第2の元素のカルコゲン化物のみで形成され、第1の元素の酸化物を含まないスイッチング素子を考える。第1の比較例のスイッチング素子では、高い半選択リーク電流や、メモリセルMCへのデータの書き込みを繰り返した場合の特性変動が大きい、という問題がある。
【0075】
第1の比較例のスイッチング素子で生じる上記問題の原因の一つは、非晶質のカルコゲン化物が結晶化することであると考えられる。例えば、カルコゲン化物が結晶化することにより、密度の増大とともに原子間距離が小さくなり、リーク電流が増大することが原因であると考えられる。また、例えば、カルコゲン化物の結晶粒界がリーク電流を増大させることが原因であると考えられる。また、例えば、カルコゲン化物が結晶化することにより生ずる応力で、スイッチング層と電極との膜はがれが生じることが原因であると考えられる。
【0076】
例えば、第2の比較例のスイッチング素子として、スイッチング層が第1の元素の酸化物と第2の元素のみで形成され、第2の元素のカルコゲン化物を含まないスイッチング素子を考える。第2の比較例のスイッチング素子では、メモリセルMCへのデータの書き込みを繰り返した場合の特性変動が大きいという問題がある。
【0077】
第2の比較例のスイッチング素子で生じる上記問題の原因の一つは、書き込みを繰り返した際に、スイッチング層の中で第2の元素が凝集することであると考えられる。例えば、第2の元素が凝集することでリーク電流の経路が形成されることが原因であると考えられる。
【0078】
第1の実施形態のスイッチング素子のスイッチング層40は、第1の元素の酸化物と第2の元素のカルコゲン化物を含む。スイッチング層40が第1の元素の酸化物と第2の元素のカルコゲン化物を含むことにより、低い半選択リーク電流、及び、特性変動の抑制、が実現できる。
【0079】
第1の実施形態において、スイッチング素子の低い半選択リーク電流、及び、特性変動の抑制、が実現できるのは、スイッチング層40が第1の元素の酸化物と第2の元素のカルコゲン化物を含むことで、第2の元素のカルコゲン化物の結晶化が抑制できるためであると考えられる。すなわち、第2の元素のカルコゲン化物の非晶質状態が安定化するためであると考えられる。特に、スイッチング層40の中で第2の元素のカルコゲン化物の占める割合が大きい領域では、第2の元素のカルコゲン化物の結晶化の抑制が支配要因となり、スイッチング素子の優れた特性が実現できると考えられる。
【0080】
また、第1の実施形態において、スイッチング素子の低い半選択リーク電流、及び、特性変動の抑制、が実現できるのは、スイッチング層40が第1の元素の酸化物と第2の元素のカルコゲン化物を含むことで、第2の元素の凝集が抑制できるためであると考えられる。すなわち、スイッチング層40の中で、第2の元素が、第2の元素単体よりも融点の高い第2の元素のカルコゲン化物として含まれることで、第2の元素の拡散が抑制され、第2の元素の凝集が抑制できると考えられる。特に、スイッチング層40の中で第1の元素の酸化物の占める割合が大きい領域では、第2の元素の凝集の抑制が支配要因となり、スイッチング素子の優れた特性が実現できると考えられる。
【0081】
スイッチング層40における、第1の元素の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、0.5以上4.0以下であることが好ましく、0.5以上3.0以下であることがより好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0082】
スイッチング層40における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、3%以上97%以下であることが好ましく、5%以上80%未満であることがより好ましく、10%以上60%未満であることが更に好ましく、20%以上50%未満であることが最も好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0083】
また、スイッチング層40における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、例えば、5%以上80%未満であることが好ましい。加えて、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第3の元素の原子濃度と第2の元素の原子濃度の差の絶対値の比率が、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0084】
図8は、第1の実施形態の記憶装置の作用及び効果の説明図である。
図8は、スイッチング層40の化学組成と半選択リーク電流との関係を示す図である。
図8は、第1の元素がジルコニウム(Zr)、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)である場合の測定データを三角ダイアグラム上に示している。三角ダイアグラムは、スイッチング層40の「ジルコニウム(Zr)と酸素(O)の和」、「亜鉛(Zn)」、「テルル(Te)」を頂点とする。
【0085】
測定点A、測定点B、測定点C、及び測定点Dは、測定された半選択リーク電流の量で区分けされている。測定点Aの半選択リーク電流が最も小さく、測定点Dの半選択リーク電流が最も大きい。
【0086】
図8に示す結果より、半選択リーク電流を低減する観点から、スイッチング層40は、三角ダイアグラム上でハッチングされた領域の化学組成を有することが好ましい。すなわち、スイッチング層40における、テルル(Te)の原子濃度は亜鉛(Zn)の原子濃度より高く、かつ、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対するジルコニウム(Zr)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が5%以上80%未満であり、かつ、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、テルル(Te)の原子濃度と亜鉛(Zn)の原子濃度の差の比率が5%以上20%以下であることが好ましい。
【0087】
上記知見を一般化すると、スイッチング層40における、第3の元素の原子濃度は第2の元素の原子濃度より高く、かつ、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する第1の元素と酸素の原子濃度の和の比率が5%以上80%未満であり、かつ、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第3の元素の原子濃度と第2の元素の原子濃度の差の比率が5%以上20%以下であることが好ましい。第1の元素、第2の元素、及び第3の元素は、それぞれ、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)と近い性質を有する元素であるため、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)関する上記知見を一般化できると考えられる。
【0088】
スイッチング層40における、第3の元素の原子濃度は、第2の元素の原子濃度より高いことが好ましい。第3の元素の原子濃度が第2の元素の原子濃度より高いことで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0089】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層40は、炭素(C)、ボロン(B)、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン(Si)、及びアルミニウム(Al)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第4の元素を含むことが好ましい。スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層40に含まれる第4の元素の原子濃度は、5%以上20%以下であることが好ましい。
【0090】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層40に含まれる第1の元素の酸化物の少なくとも一部は結晶質であることが好ましい。第1の元素の酸化物の少なくとも一部が結晶質となることで第1の元素の拡散が抑えられ、分離した第1の元素に起因するリーク電流の増大を抑制できると考えられる。
【0091】
(第1の変形例)
第1の実施形態の第1の変形例の記憶装置は、第1の導電層は、第1の部分と第2の部分を含み、第1の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。
【0092】
図9は、第1の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図9は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
【0093】
下部電極10は、第1の部分11と第2の部分12とを含む。第2の部分12は、第1の部分11とスイッチング層40との間に設けられる。
【0094】
第1の部分11は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第1の部分11は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第1の部分11は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0095】
第2の部分12は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0096】
第1の実施形態の第1の変形例の記憶装置は、下部電極10の第1の部分11が、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことで、抵抗変化素子の特性の劣化が抑制される。また、第1の部分11がスイッチング層40に接しないことで、スイッチング層40からの酸素(O)の脱離が抑制され、スイッチング素子の特性の劣化が抑制される。
【0097】
以上、第1の実施形態の第1の変形例によれば、第1の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。
【0098】
(第2の変形例)
第1の実施形態の第2の変形例の記憶装置は、第1の導電層は、第1の部分と第2の部分を含み、第1の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、第2の導電層は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる一つの元素を含み、第3の導電層は、第3の部分と第4の部分を含み、第4の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。
【0099】
図10は、第1の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図10は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
【0100】
下部電極10は、第1の部分11と第2の部分12とを含む。第2の部分12は、第1の部分11とスイッチング層40との間に設けられる。
【0101】
第1の部分11は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第1の部分11は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第1の部分11は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0102】
第2の部分12は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0103】
上部電極20は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。上部電極20は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。上部電極20は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0104】
中間電極30は、第3の部分31と第4の部分32とを含む。第3の部分31は、第4の部分32とスイッチング層40との間に設けられる。
【0105】
第3の部分31は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0106】
第4の部分32は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第4の部分32は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第4の部分32は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0107】
第1の実施形態の第2の変形例の記憶装置は、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことで、抵抗変化素子の特性の劣化が抑制される。また、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、スイッチング層40に接しないことで、スイッチング層40からの酸素(O)の脱離が抑制され、スイッチング素子の特性の劣化が抑制される。
【0108】
以上、第1の実施形態の第2の変形例によれば、第1の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。
【0109】
(第3の変形例)
第1の実施形態の第3の変形例の記憶装置は、第1の導電層は、第1の部分と第2の部分と第5の部分を含み、第1の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、第2の導電層は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、第3の導電層は、第3の部分と第4の部分を含み、第4の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。
【0110】
図11は、第1の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図11は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
【0111】
下部電極10は、第1の部分11と第2の部分12と第5の部分13を含む。第2の部分12は、第1の部分11とスイッチング層40との間に設けられる。第1の部分11は、第5の部分13と第2の部分12との間に設けられる。
【0112】
第1の部分11は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第1の部分11は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第1の部分11は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0113】
第2の部分12及び第5の部分13は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0114】
上部電極20は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。上部電極20は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。上部電極20は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0115】
中間電極30は、第3の部分31と第4の部分32とを含む。第3の部分31は、第4の部分32とスイッチング層40との間に設けられる。
【0116】
第3の部分31は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0117】
第4の部分32は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第4の部分32は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第4の部分32は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0118】
第1の実施形態の第3の変形例の記憶装置は、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことで、抵抗変化素子の特性の劣化が抑制される。また、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、スイッチング層40に接しないことで、スイッチング層40からの酸素(O)の脱離が抑制され、スイッチング素子の特性の劣化が抑制される。
【0119】
以上、第1の実施形態の第3の変形例によれば、第1の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。
【0120】
第1の実施形態及び変形例によれば、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。よって、第1の実施形態及び変形例によれば、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を実現できる。
【0121】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の記憶装置は、抵抗変化型メモリ(ReRAM)である点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する。
【0122】
図12は、第2の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図12は、
図1のメモリセルアレイ100中の、例えば点線の円で示される一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0123】
メモリセルMCは、
図12に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層40、及び、抵抗変化層50を備える。抵抗変化層50は、高抵抗層50x及び低抵抗層50yを含む。
【0124】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。
【0125】
下部電極10、スイッチング層40、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0126】
スイッチング層40の構成は、第1の実施形態の記憶装置と同様である。
【0127】
抵抗変化層50は、高抵抗層50xと低抵抗層50yを含む。
【0128】
高抵抗層50xは、例えば、金属酸化物である。高抵抗層50xは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、又は、酸化ニオブである。
【0129】
低抵抗層50yは、例えば、金属酸化物である。低抵抗層50yは、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、又は、酸化タングステンである。
【0130】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0131】
抵抗変化層50に電圧を印加することで、抵抗変化層50が高抵抗状態から低抵抗状態へ、或いは、低抵抗状態から高抵抗状態へと変化する。抵抗変化層50への電圧の印加により、高抵抗層50xと低抵抗層50yとの間で、酸素イオンが移動し、低抵抗層50yの中の酸素欠損量(酸素空孔量)が変化する。低抵抗層50yの中の酸素欠損量に伴い抵抗変化層50の導電性が変化する。低抵抗層50yは、いわゆる、空孔変調伝導性酸化物(Vacancy Modulated Conductive Oxide)である。
【0132】
例えば、高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0133】
以上、第2の実施形態の記憶装置によれば、第1の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。よって、第2の実施形態によれば、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を実現できる。
【0134】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられたメモリ層と、を含むメモリセルを備える。そして、メモリ層は、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。
【0135】
また、第3の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0136】
第3の実施形態の記憶装置は、メモリセルが第3の導電層と抵抗変化層を含まず、第1の実施形態及び第2の実施形態のスイッチング層と同様の構成を、メモリ層として含む点で、第1の実施形態及び第2の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態又は第2の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する。
【0137】
図13は、第3の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図13は、
図1のメモリセルアレイ100中の、例えば点線の円で示される一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0138】
メモリセルMCは、
図13に示すように、下部電極10、上部電極20、及び、メモリ層60を備える。
【0139】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。
【0140】
下部電極10、メモリ層60、及び上部電極20が、メモリセルMCのメモリ素子を構成する。メモリセルMCのメモリ素子は、スイッチング機能を有し、かつ、情報を記憶する機能を有している。
【0141】
メモリ層60は、第1の実施形態及び第2の実施形態のスイッチング層40と同様の構成を備える。すなわち、メモリ層60は、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。
【0142】
メモリ層60は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。また、メモリ層60は、所定の電圧の印加により閾値電圧が変化する特性を有する。メモリ層60は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。第3の実施形態において、高抵抗状態とは、読み出し電圧におけるメモリ層60の抵抗が相対的に高い状態である。また、第3の実施形態において、低抵抗状態とは、読み出し電圧におけるメモリ層60の抵抗が相対的に低い状態である。
【0143】
メモリ層60は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。また、メモリ層60は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。メモリ層60は、単層で、第1の実施形態及び第2の実施形態のスイッチング層40の機能と抵抗変化層50の機能を実現する。
【0144】
図14は、第3の実施形態のメモリ素子の電流電圧特性の説明図である。横軸がメモリ素子に印加される電圧、縦軸がメモリ素子に流れる電流である。
図14では、下部電極10の電位を基準として上部電極20に与えられる電圧を横軸に示す。
図14は、第3の実施形態のメモリ層60の電流電圧特性である。
図14は、第3の実施形態のメモリセルMCの電流電圧特性である。
【0145】
第3の実施形態のメモリ素子は、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合と、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合で、異なる電流電圧特性を示す。
図14において、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合の電流電圧特性を実線で、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合の電流電圧特性を点線で示す。
【0146】
上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側では第1の正電圧側閾値電圧Vtppで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、負電圧側では第1の負電圧側閾値電圧Vtpnで電流が急峻に立ち上がる。
【0147】
一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側では第2の正電圧側閾値電圧Vtnpで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、負電圧側では第2の負電圧側閾値電圧Vtnnで電流が急峻に立ち上がる。
【0148】
第1の正電圧側閾値電圧Vtppは第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより高い。また、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより低い。
【0149】
第3の実施形態のメモリ素子は、正電圧側においても負電圧側においても、高抵抗状態と低抵抗状態を取り得る。上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側においても負電圧側においても高抵抗状態となる。一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側においても負電圧側においても低抵抗状態となる。以下、高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0150】
図15は、第3の実施形態の記憶装置のメモリ動作の第1の動作例の説明図である。
図15には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、負側読み出し電圧Vrnを示す。
【0151】
第1の動作例では、負電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第1の動作例では、負側読み出し電圧Vrnを読み出し電圧として用いる。
【0152】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第1の正電圧側閾値電圧Vtppよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、負電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0153】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、負電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0154】
第1の動作例では、選択セルにデータ“1”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“0”であると、正側書き込み電圧Vwpが第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低くても、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高ければ、電流が流れる。このため、データ“1”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、正側書き込み電圧Vwpを第2の正電圧側閾値電圧Vtnpと第1の正電圧側閾値電圧Vtppとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0155】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより低い。また、電圧Vwn/2は第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高い。
【0156】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0157】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに負側読み出し電圧Vrnを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0158】
なお、第1の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、負側読み出し電圧Vrnを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第1の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、非破壊読み出しが可能となる。
【0159】
図16は、第3の実施形態の記憶装置のメモリ動作の第2の動作例の説明図である。
図16には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、正側読み出し電圧Vrpを示す。
【0160】
第2の動作例では、正電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第2の動作例では、正側読み出し電圧Vrpを読み出し電圧として用いる。
【0161】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第1の正電圧側閾値電圧Vtppよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、正電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0162】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、正電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0163】
第2の動作例では、選択セルにデータ“1”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“0”であると、正側書き込み電圧Vwpが第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低くても、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高ければ、電流が流れる。このため、データ“1”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、正側書き込み電圧Vwpを第2の正電圧側閾値電圧Vtnpと第1の正電圧側閾値電圧Vtppとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0164】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより低い。また、電圧Vwn/2は第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高い。
【0165】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0166】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに正側読み出し電圧Vrpを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0167】
なお、第2の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”の場合、正側読み出し電圧Vrpを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第2の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であれば、非破壊読み出しが可能となる。
【0168】
一方、選択セルのデータがデータ“0”の場合、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりより高い正側読み出し電圧Vrpを印加することで、電流が流れ、選択セルのデータがデータ“1”に変化するおそれがある。言い換えれば、第2の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“0”の場合、破壊読み出しとなる可能性がある。したがって、選択セルのデータがデータ“0”の場合、選択セルのデータの読み出し後に、選択セルのデータを維持するためには、データ“0”の再書き込みが必要となる可能性がある。
【0169】
(第1の変形例)
第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置は、メモリ素子の電流電圧特性が異なる点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。
【0170】
図17は、第3の実施形態の第1の変形例のメモリ素子の電流電圧特性の説明図である。横軸がメモリ素子に印加される電圧、縦軸がメモリ素子に流れる電流である。
図17では、下部電極10の電位を基準として上部電極20に与えられる電圧を横軸に示す。
図17は、第3の実施形態の第1の変形例のメモリ層60の電流電圧特性である。
図17は、第3の実施形態の第1の変形例のメモリセルMCの電流電圧特性である。
【0171】
第3の実施形態の第1の変形例のメモリ素子は、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合と、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合で、異なる電流電圧特性を示す。
図17において、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合の電流電圧特性を実線で、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合の電流電圧特性を点線で示す。
【0172】
上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側では第1の正電圧側閾値電圧Vtppで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、負電圧側では第1の負電圧側閾値電圧Vtpnで電流が急峻に立ち上がる。
【0173】
一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側では第2の正電圧側閾値電圧Vtnpで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、負電圧側では第2の負電圧側閾値電圧Vtnnで電流が急峻に立ち上がる。
【0174】
第1の正電圧側閾値電圧Vtppは第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより低い。また、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高い。
【0175】
第3の実施形態の第1の変形例のメモリ素子は、正電圧側においても負電圧側においても、高抵抗状態と低抵抗状態を取り得る。上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側においても負電圧側においても低抵抗状態となる。一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側においても負電圧側においても高抵抗状態となる。以下、高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0176】
図18は、第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリ動作の第3の動作例の説明図である。
図18には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、負側読み出し電圧Vrnを示す。
【0177】
第3の動作例では、負電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第3の動作例では、負側読み出し電圧Vrnを読み出し電圧として用いる。
【0178】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、負電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0179】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、負電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0180】
第3の動作例では、選択セルにデータ“1”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“0”であると、負側書き込み電圧Vwnが第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高くても、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低ければ、電流が流れる。このため、データ“1”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、負側書き込み電圧Vwnを第2の負電圧側閾値電圧Vtnnと第1の負電圧側閾値電圧Vtpnとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0181】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低い。また、電圧Vwn/2は第1の負電圧側閾値電圧Vtpnより高い。
【0182】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0183】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに負側読み出し電圧Vrnを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0184】
なお、第3の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”の場合、負側読み出し電圧Vrnを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第3の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であれば、非破壊読み出しが可能となる。
【0185】
一方、選択セルのデータがデータ“0”の場合、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりより低い負側読み出し電圧Vrnを印加することで、電流が流れ、選択セルのデータがデータ“1”に変化するおそれがある。言い換えれば、第3の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“0”の場合、破壊読み出しとなる可能性がある。したがって、選択セルのデータがデータ“0”の場合、選択セルのデータの読み出し後に、選択セルのデータを維持するためには、データ“0”の再書き込みが必要となる可能性がある。
【0186】
図19は、第3の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリ動作の第4の動作例の説明図である。
図19には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、正側読み出し電圧Vrpを示す。
【0187】
第4の動作例では、正電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第4の動作例では、正側読み出し電圧Vrpを読み出し電圧として用いる。
【0188】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、正電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0189】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、正電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0190】
第4の動作例では、選択セルにデータ“1”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“0”あると、負側書き込み電圧Vwnが第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高くても、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低ければ、電流が流れる。このため、データ“1”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、負側書き込み電圧Vwnを第2の負電圧側閾値電圧Vtnnと第1の負電圧側閾値電圧Vtpnとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0191】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低い。また、電圧Vwn/2は第1の負電圧側閾値電圧Vtpnより高い。
【0192】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0193】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに正側読み出し電圧Vrpを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0194】
なお、第4の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、正側読み出し電圧Vrpを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第4の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、非破壊読み出しが可能となる。
【0195】
(第2の変形例)
第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置は、メモリ素子の電流電圧特性が異なる点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。
【0196】
図20は、第3の実施形態の第2の変形例のメモリ素子の電流電圧特性の説明図である。横軸がメモリ素子に印加される電圧、縦軸がメモリ素子に流れる電流である。
図20では、下部電極10の電位を基準として上部電極20に与えられる電圧を横軸に示す。
図20は、第3の実施形態の第2の変形例のメモリ層60の電流電圧特性である。
図20は、第3の実施形態の第2の変形例のメモリセルMCの電流電圧特性である。
【0197】
第3の実施形態の第2の変形例のメモリ素子は、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合と、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合で、異なる電流電圧特性を示す。
図20において、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合の電流電圧特性を実線で、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合の電流電圧特性を点線で示す。
【0198】
上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側では第1の正電圧側閾値電圧Vtppで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、負電圧側では第1の負電圧側閾値電圧Vtpnで電流が急峻に立ち上がる。
【0199】
一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側では第2の正電圧側閾値電圧Vtnpで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、負電圧側では第2の負電圧側閾値電圧Vtnnで電流が急峻に立ち上がる。
【0200】
第1の正電圧側閾値電圧Vtppは第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより低い。また、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより低い。
【0201】
第3の実施形態の第2の変形例のメモリ素子は、正電圧側においても負電圧側においても、高抵抗状態と低抵抗状態を取り得る。上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側においては低抵抗状態となり、負電圧側においては高抵抗状態となる。一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側においては高抵抗状態となり、負電圧側においては低抵抗状態とる。以下、高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0202】
図21は、第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリ動作の第5の動作例の説明図である。
図21には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、負側読み出し電圧Vrnを示す。
【0203】
第5の動作例では、負電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第5の動作例では、負側読み出し電圧Vrnを読み出し電圧として用いる。
【0204】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、負電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0205】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、負電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0206】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低い。また、電圧Vwn/2は第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高い。
【0207】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0208】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに負側読み出し電圧Vrnを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0209】
なお、第5の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、負側読み出し電圧Vrnを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第5の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、非破壊読み出しが可能となる。
【0210】
図22は、第3の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリ動作の第6の動作例の説明図である。
図22には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、正側読み出し電圧Vrpを示す。
【0211】
第6の動作例では、正電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第6の動作例では、正側読み出し電圧Vrpを読み出し電圧として用いる。
【0212】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、正電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0213】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、正電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0214】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低い。また、電圧Vwn/2は第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高い。
【0215】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0216】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに正側読み出し電圧Vrpを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0217】
なお、第6の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、正側読み出し電圧Vrpを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第6の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であってもデータ“0”であっても、非破壊読み出しが可能となる。
【0218】
(第3の変形例)
第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置は、メモリ素子の電流電圧特性が異なる点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。
【0219】
図23は、第3の実施形態の第3の変形例のメモリ素子の電流電圧特性の説明図である。横軸がメモリ素子に印加される電圧、縦軸がメモリ素子に流れる電流である。
図23では、下部電極10の電位を基準として上部電極20に与えられる電圧を横軸に示す。
図23は、第3の実施形態の第3の変形例のメモリ層60の電流電圧特性である。
図23は、第3の実施形態の第3の変形例のメモリセルMCの電流電圧特性である。
【0220】
第3の実施形態の第3の変形例のメモリ素子は、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合と、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合で、異なる電流電圧特性を示す。
図23において、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合の電流電圧特性を実線で、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合の電流電圧特性を点線で示す。
【0221】
上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側では第1の正電圧側閾値電圧Vtppで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、負電圧側では第1の負電圧側閾値電圧Vtpnで電流が急峻に立ち上がる。
【0222】
一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側では第2の正電圧側閾値電圧Vtnpで電流が急峻に立ち上がる。また、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、負電圧側では第2の負電圧側閾値電圧Vtnnで電流が急峻に立ち上がる。
【0223】
第1の正電圧側閾値電圧Vtppは第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより高い。また、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高い。
【0224】
第3の実施形態の第3の変形例のメモリ素子は、正電圧側においても負電圧側においても、高抵抗状態と低抵抗状態を取り得る。上部電極20に所定の正電圧を印加した場合、正電圧側においては高抵抗状態となり、負電圧側においては低抵抗状態となる。一方、上部電極20に所定の負電圧を印加した場合、正電圧側においては低抵抗状態となり、負電圧側においては高抵抗状態とる。以下、高抵抗状態をデータ“1”、低抵抗状態をデータ“0”と定義する。メモリセルMCは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0225】
図24は、第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリ動作の第7の動作例の説明図である。
図24には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、負側読み出し電圧Vrnを示す。
【0226】
第7の動作例では、負電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第7の動作例では、負側読み出し電圧Vrnを読み出し電圧として用いる。
【0227】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、負電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0228】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第1の正電圧側閾値電圧Vtppよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、負電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0229】
第7の動作例では、選択セルにデータ“1”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“0”であると、負側書き込み電圧Vwnが第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高くても、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低ければ、電流が流れる。このため、データ“1”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、負側書き込み電圧Vwnを第2の負電圧側閾値電圧Vtnnと第1の負電圧側閾値電圧Vtpnとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0230】
また、第7の動作例では、選択セルにデータ“0”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“1”であると、正側書き込み電圧Vwpが第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低くても、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高ければ、電流が流れる。このため、データ“0”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、正側書き込み電圧Vwpを第2の正電圧側閾値電圧Vtnpと第1の正電圧側閾値電圧Vtppとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0231】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより低い。また、電圧Vwn/2は第1の負電圧側閾値電圧Vtpnより高い。
【0232】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0233】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに負側読み出し電圧Vrnを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0234】
なお、第7の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”の場合、負側読み出し電圧Vrnを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第7の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であれば、非破壊読み出しが可能となる。
【0235】
一方、選択セルのデータがデータ“0”の場合、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnより低い負側読み出し電圧Vrnを印加することで、電流が流れ、選択セルのデータがデータ“1”に変化するおそれがある。言い換えれば、第7の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“0”の場合、破壊読み出しとなる可能性がある。したがって、選択セルのデータがデータ“0”の場合、選択セルのデータの読み出し後に、選択セルのデータを維持するためには、データ“0”の再書き込みが必要となる可能性がある。
【0236】
図25は、第3の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリ動作の第8の動作例の説明図である。
図25には、メモリ動作を行う際の、正側書き込み電圧Vwp、正側書き込み電圧Vwpの半分の電圧(Vwp/2)、負側書き込み電圧Vwn、負側書き込み電圧Vwnの半分の電圧(Vwn/2)、正側読み出し電圧Vrpを示す。
【0237】
第8の動作例では、正電圧側の高抵抗状態と低抵抗状態をメモリ動作に利用する。第8の動作例では、正側読み出し電圧Vrpを読み出し電圧として用いる。
【0238】
選択セルにデータ“1”を書き込む際、上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加する。正側書き込み電圧Vwpは、第1の正電圧側閾値電圧Vtppよりも高い電圧である。上部電極20に正側書き込み電圧Vwpを印加することで、正電圧側で高抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“1”が書き込まれる。
【0239】
選択セルにデータ“0”を書き込む際、上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加する。負側書き込み電圧Vwnは、第2の負電圧側閾値電圧Vtnnよりも低い電圧である。上部電極20に負側書き込み電圧Vwnを印加することで、正電圧側で低抵抗状態が実現し、選択セルにデータ“0”が書き込まれる。
【0240】
第8の動作例では、選択セルにデータ“1”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“0”であると、正側書き込み電圧Vwpが第1の正電圧側閾値電圧Vtppより低くても、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpよりも高ければ、電流が流れる。このため、データ“1”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、正側書き込み電圧Vwpを第2の正電圧側閾値電圧Vtnpと第1の正電圧側閾値電圧Vtppとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0241】
また、第8の動作例では、選択セルにデータ“0”を書き込む際、選択セルに記憶されたデータがデータ“1”であると、負側書き込み電圧Vwnが第2の負電圧側閾値電圧Vtnnより高くても、第1の負電圧側閾値電圧Vtpnよりも低くければ、電流が流れる。このため、データ“0”が書き込める可能性がある。したがって、例えば、負側書き込み電圧Vwnを第2の負電圧側閾値電圧Vtnnと第1の負電圧側閾値電圧Vtpnとの間の電圧に設定することで、記憶装置の低消費電力化、又は高信頼性化が実現できる。
【0242】
なお、選択セルに正側書き込み電圧Vwpを印加した場合、半選択セルには電圧Vwp/2が印加されることになる。また、選択セルに負側書き込み電圧Vwnを印加した場合、半選択セルには電圧Vwn/2が印加されることになる。電圧Vwp/2は第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより低い。また、電圧Vwn/2は第1の負電圧側閾値電圧Vtpnより高い。
【0243】
したがって、半選択セルが低抵抗状態にある場合であっても、半選択セルに流れる半選択リーク電流を抑制できる。よって、メモリ素子はスイッチング素子としても機能する。
【0244】
選択セルのデータを読み出す場合、選択セルに正側読み出し電圧Vrpを印加する。データ“1”の場合とデータ“0”の場合での流れる電流の差によって生じる、電流変化又は電位変化を検知して、選択セルのデータが判定できる。
【0245】
なお、第8の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”の場合、正側読み出し電圧Vrpを印加することによるデータの破壊は生じない。言い換えれば、第8の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“1”であれば、非破壊読み出しが可能となる。
【0246】
一方、選択セルのデータがデータ“0”の場合、第2の正電圧側閾値電圧Vtnpより高い正側読み出し電圧Vrpを印加することで、電流が流れ、選択セルのデータがデータ“1”に変化するおそれがある。言い換えれば、第8の動作例の場合、選択セルのデータがデータ“0”の場合、破壊読み出しとなる可能性がある。したがって、選択セルのデータがデータ“0”の場合、選択セルのデータの読み出し後に、選択セルのデータを維持するためには、データ“0”の再書き込みが必要となる可能性がある。
【0247】
第3の実施形態及びその変形例の記憶装置では、メモリセルMCのメモリ素子は、スイッチング機能を有し、かつ、情報を記憶する機能を有している。メモリ層60は、単層で、第1の実施形態及び第2の実施形態のスイッチング層40の機能と抵抗変化層50の機能を実現する。第3の実施形態のメモリ層60が、単層で、スイッチング機能とメモリ機能を備えることで、メモリセルMCの構造を極めて単純な構造にできる。
【0248】
また、第3の実施形態及びその変形例の記憶装置のメモリ層60は、第1の実施形態及び第2の実施形態のスイッチング層40と同様の構成を備える。したがって、第3の実施形態及びその変形例によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れたスイッチング特性を有する記憶装置を実現できる。
【0249】
なお、第3の実施形態及びその変形例で示したメモリ素子の複数の電流電圧特性は、例えば、適切な化学組成を有するメモリ層60を採用することで実現できる。
【0250】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、第3の導電層と第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備え、スイッチング層は、アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素との化合物と、を含む。第4の実施形態の記憶装置は、スイッチング層がアルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物を含む点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0251】
また、第4の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0252】
図26は、第4の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図26は、
図1のメモリセルアレイ100と同様のメモリセルアレイの中の、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0253】
メモリセルMCは、
図26に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層140、及び、抵抗変化層50を備える。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0254】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。
【0255】
下部電極10、スイッチング層140、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0256】
下部電極10はワード線102に接続される。下部電極10は、例えば金属である。下部電極10は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10はワード線102の一部であっても構わない。
【0257】
上部電極20はビット線103に接続される。上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。上部電極20はビット線103の一部であっても構わない。
【0258】
中間電極30は、下部電極10と上部電極20との間に設けられる。中間電極30は、例えば金属である。中間電極30は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0259】
スイッチング層140は、下部電極10と中間電極30との間に設けられる。スイッチング層140の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下である。スイッチング層140の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上20nm以下であることがより好ましい。
【0260】
スイッチング層140は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。スイッチング層140は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0261】
スイッチング層140は、アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、カルコゲン化物を含む。カルコゲン化物(chalcogenide)は、カルコゲン元素であるテルル(Te)、硫黄(S)、又はセレン(Se)と、他の元素とが結合した化合物である。
【0262】
スイッチング層140は、アルミニウム(Al)の酸化物、又は、アルミニウム(Al)の酸窒化物を含む。スイッチング層140は、アルミニウム(Al)の酸化物とアルミニウム(Al)の酸窒化物の両方を含んでも構わない。スイッチング層140は、例えば、酸化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムを含む。
【0263】
スイッチング層140がアルミニウム(Al)の酸化物、又は、アルミニウム(Al)の酸窒化物を含むか否かは、例えば、X線光電子分光法(XPS)又は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて判定することが可能である。
【0264】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)の原子濃度は、例えば、1%より大きく40%より小さい。
【0265】
スイッチング層140は、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、及びニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素の酸化物又は第3の元素の酸窒化物を含んでも構わない。
【0266】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、例えば、0.5以上5.0以下である。スイッチング層140における、アルミニウム(Al)原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、より好ましくは0.5以上3.0以下である。
【0267】
スイッチング層140は、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素との化合物であるカルコゲン化物を含む。スイッチング層140は、第1の元素のカルコゲン化物を含む。スイッチング層140は、例えば、テルル化亜鉛、テルル化スズ、テルル化ガリウム、テルル化インジウム、テルル化ビスマス、硫化亜鉛、硫化スズ、硫化ガリウム、硫化インジウム、硫化ビスマス、セレン化亜鉛、セレン化スズ、セレン化ガリウム、セレン化インジウム、及びセレン化ビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一つのカルコゲン化物を含む。第2の元素としてより好ましくはテルル(Te)であり、スイッチング層140は、より好ましくは、テルル化亜鉛、テルル化スズ、テルル化ガリウム、テルル化インジウム、及びテルル化ビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一つのカルコゲン化物を含む。テルル化物は、硫化物、セレン化物と比べて、バンドギャップが小さいため、書き込み電圧を相対的に小さくすることができ、書き込みを繰り返した場合の、半選択リーク電流の変動や、オン電流の変動などの特性変動を抑制することができるという利点を持つ。
【0268】
スイッチング層140が第1の元素のカルコゲン化物を含むか否かは、例えば、X線吸収微細構造解析(XAFS)、ラマン分光法(Raman)、又は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて判定することが可能である。
【0269】
上記酸化物又は上記酸窒化物、及び、上記カルコゲン化物は、例えば、スイッチング層140の主成分である。上記酸化物又は上記酸窒化物、及び上記カルコゲン化物がスイッチング層140の主成分であるとは、スイッチング層140に含まれる物質の中で、上記酸化物又は上記酸窒化物、上記カルコゲン化物よりもモル分率の高い物質が存在しないことを意味する。
【0270】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)、第1の元素、第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和は、例えば、90%以上である。
【0271】
スイッチング層140は、例えば、上記酸化物又は上記酸窒化物、及び上記カルコゲン化物の混合物を含む。上記酸化物又は上記酸窒化物、及び上記カルコゲン化物は、例えば、混合した状態で、スイッチング層140の中に存在する。
【0272】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)、第1の元素、第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、3%以上97%以下である。例えば、第1の元素が亜鉛(Zn)、第2の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層140における、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率((Al+O)/(Al+Zn+Te+O))は、例えば、3%以上97%以下である。
【0273】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)、第1の元素、第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、5%以上80%未満である。また、アルミニウム(Al)、第1の元素、第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第2の元素の原子濃度と第1の元素の原子濃度の差の絶対値の比率は、例えば、20%以下である。
【0274】
アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率(Al+O)/(Al+Zn+Te+O)が、例えば、5%以上80%未満である。そして、例えば、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、テルル(Te)の原子濃度と亜鉛(Zn)の原子濃度の差の絶対値の比率(|Te-Zn|)/(Al+Zn+Te+O)が、例えば、20%以下である。
【0275】
スイッチング層140における、第2の元素の原子濃度は、例えば、第1の元素の原子濃度より高い。例えば、第1の元素が亜鉛(Zn)、第2の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層140における、テルル(Te)の原子濃度は、例えば、亜鉛(Zn)の原子濃度よりも高い。
【0276】
スイッチング層140には、例えば、第1の元素と第2の元素が結合して形成されるカルコゲン化物と、カルコゲン化物を形成しない余剰の第2の元素が存在する。例えば、第1の元素が亜鉛(Zn)、第2の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層140に、テルル化亜鉛と余剰のテルル(Te)が共存する。
【0277】
例えば、スイッチング層140に含まれるアルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物の少なくとも一部は結晶質である。スイッチング層140に含まれるアルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物の少なくとも一部が結晶質であるか否かは、例えば、電子線回折法を用いて判定することが可能である。なお、スイッチング層140に含まれるカルコゲン化物の一部が結晶質であっても構わない。
【0278】
スイッチング層140は、例えば、炭素(C)、ボロン(B)、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)、及びシリコン(Si)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第4の元素を含む。スイッチング層140に含まれる第4の元素の原子濃度は、例えば、5%以上20%以下である。
【0279】
スイッチング層140は、例えば、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第5の元素を含む。スイッチング層140に含まれる第5の元素の原子濃度は、例えば、1%以上10%以下である。
【0280】
スイッチング層140は、例えば、スパッタリング法により形成することが可能である。アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、第1の元素のカルコゲン化物を含むスイッチング層140は、例えば、アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物から成るターゲットと、第1の元素のカルコゲン化物から成るターゲットを用いたコ・スパッタリング法(co-sputtering法)により形成することが可能である。また、スイッチング層140は、例えば、アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、第1の元素のカルコゲン化物との混合物からなるターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが可能である。
【0281】
抵抗変化層50は、中間電極30と上部電極20との間に設けられる。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を有する。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53で構成される磁気トンネル接合を含む。
【0282】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0283】
次に、第4の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0284】
第4の実施形態のスイッチング素子のスイッチング層140は、アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、第1の元素のカルコゲン化物を含む。スイッチング層140がアルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、第1の元素のカルコゲン化物を含むことにより、第1の実施形態のスイッチング素子と同様、低い半選択リーク電流、及び、特性変動の抑制、が実現できる。なお、第4の実施形態のスイッチング素子における第1の元素、第2の元素、及び第3の元素は、それぞれ、第1の実施形態のスイッチング素子における第2の元素、第3の元素、及び第1の元素に対応する。
【0285】
第4の実施形態のスイッチング素子は、スイッチング層140がアルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物を含むことにより、第1の実施形態のスイッチング素子と比較して、スイッチング素子の面積を縮小した際の、半選択リーク電流の減少率が大きくなる。したがって、第4の実施形態のスイッチング素子は、第1の実施形態のスイッチング素子と比較して、更に半選択リーク電流が低減できる。
【0286】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)の原子濃度は1%より大きく40%より小さいことが好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0287】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、0.5以上5.0以下であることが好ましく、0.5以上3.0以下であることがより好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0288】
スイッチング層140における、アルミニウム(Al)、第1の元素、第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、3%以上97%以下であることが好ましく、5%以上80%未満であることがより好ましく、10%以上60%未満であることが更に好ましく、20%以上50%未満であることが最も好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0289】
また、スイッチング層140における、アルミニウム(Al)、第1の元素、第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、アルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、例えば、5%以上80%未満であることが好ましい。加えて、アルミニウム(Al)、第1の元素、第2の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第2の元素の原子濃度と第1の元素の原子濃度の差の絶対値の比率が、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0290】
スイッチング層140における、テルル(Te)の原子濃度は亜鉛(Zn)の原子濃度より高く、かつ、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対するアルミニウム(Al)と酸素(O)の原子濃度の和の比率が5%以上80%未満であり、かつ、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、テルル(Te)の原子濃度と亜鉛(Zn)の原子濃度の差の比率が5%以上20%以下であることが好ましい。
【0291】
スイッチング層140における、第2の元素の原子濃度は、第1の元素の原子濃度より高いことが好ましい。第2の元素の原子濃度が第1の元素の原子濃度より高いことで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0292】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層140は、炭素(C)、ボロン(B)、窒素(N)、ゲルマニウム(Ge)、及びシリコン(Si)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第4の元素を含むことが好ましい。スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層140に含まれる第4の元素の原子濃度は、5%以上20%以下であることが好ましい。
【0293】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層140は、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第5の元素を含むことが好ましい。スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層140に含まれる第5の元素の原子濃度は、1%以上10%以下であることが好ましい。スイッチング層140が第5の元素を含むことで、第1の元素のカルコゲン化物の凝集が抑制されると考えられる。
【0294】
特に、スイッチング層140がアルミニウム(Al)の酸窒化物を含む場合、スイッチング層140は、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第5の元素を含むことで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0295】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層140に含まれるアルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物の少なくとも一部は結晶質であることが好ましい。アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物の少なくとも一部が結晶質となることでアルミニウム(Al)の拡散が抑えられ、分離したアルミニウム(Al)に起因するリーク電流の増大を抑制できると考えられる。
【0296】
(第1の変形例)
第4の実施形態の第1の変形例の記憶装置は、第1の導電層は、第1の部分と第2の部分を含み、第1の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む点で、第4の実施形態の記憶装置と異なる。
【0297】
図27は、第4の実施形態の第1の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図27は、第4の実施形態の
図26に対応する図である。
【0298】
下部電極10は、第1の部分11と第2の部分12とを含む。第2の部分12は、第1の部分11とスイッチング層140との間に設けられる。
【0299】
第1の部分11は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第1の部分11は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第1の部分11は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0300】
第2の部分12は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0301】
第4の実施形態の第1の変形例の記憶装置は、下部電極10の第1の部分11が、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことで、抵抗変化素子の特性の劣化が抑制される。また、第1の部分11がスイッチング層140に接しないことで、スイッチング層140からの酸素(O)の脱離が抑制され、スイッチング素子の特性の劣化が抑制される。
【0302】
以上、第4の実施形態の第1の変形例によれば、第4の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。
【0303】
(第2の変形例)
第4の実施形態の第2の変形例の記憶装置は、第1の導電層は、第1の部分と第2の部分を含み、第1の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、第2の導電層は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる一つの元素を含み、第3の導電層は、第3の部分と第4の部分を含み、第4の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む点で、第4の実施形態の記憶装置と異なる。
【0304】
図28は、第4の実施形態の第2の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図28は、第4の実施形態の
図26に対応する図である。
【0305】
下部電極10は、第1の部分11と第2の部分12とを含む。第2の部分12は、第1の部分11とスイッチング層140との間に設けられる。
【0306】
第1の部分11は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第1の部分11は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第1の部分11は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0307】
第2の部分12は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0308】
上部電極20は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。上部電極20は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。上部電極20は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0309】
中間電極30は、第3の部分31と第4の部分32とを含む。第3の部分31は、第4の部分32とスイッチング層140との間に設けられる。
【0310】
第3の部分31は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0311】
第4の部分32は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第4の部分32は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第4の部分32は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0312】
第4の実施形態の第2の変形例の記憶装置は、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことで、抵抗変化素子の特性の劣化が抑制される。また、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、スイッチング層140に接しないことで、スイッチング層140からの酸素(O)の脱離が抑制され、スイッチング素子の特性の劣化が抑制される。
【0313】
以上、第4の実施形態の第2の変形例によれば、第4の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。
【0314】
(第3の変形例)
第4の実施形態の第3の変形例の記憶装置は、第1の導電層は、第1の部分と第2の部分と第5の部分を含み、第1の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、第2の導電層は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含み、第3の導電層は、第3の部分と第4の部分を含み、第4の部分は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む点で、第4の実施形態の記憶装置と異なる。
【0315】
図29は、第4の実施形態の第3の変形例の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図29は、第4の実施形態の
図26に対応する図である。
【0316】
下部電極10は、第1の部分11と第2の部分12と第5の部分13を含む。第2の部分12は、第1の部分11とスイッチング層140との間に設けられる。第1の部分11は、第5の部分13と第2の部分12との間に設けられる。
【0317】
第1の部分11は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第1の部分11は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第1の部分11は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0318】
第2の部分12及び第5の部分13は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0319】
上部電極20は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。上部電極20は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。上部電極20は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0320】
中間電極30は、第3の部分31と第4の部分32とを含む。第3の部分31は、第4の部分32とスイッチング層140との間に設けられる。
【0321】
第3の部分31は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0322】
第4の部分32は、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。第4の部分32は、例えば、上記元素のホウ化物を含む。第4の部分32は、例えば、ハフニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化アルミニウムマグネシウム、ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、及びホウ化チタンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0323】
第4の実施形態の第3の変形例の記憶装置は、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、及びチタン(Ti)の中から選ばれる少なくとも一つの元素を含むことで、抵抗変化素子の特性の劣化が抑制される。また、下部電極10の第1の部分11と、上部電極20と、中間電極30の第4の部分32が、スイッチング層140に接しないことで、スイッチング層140からの酸素(O)の脱離が抑制され、スイッチング素子の特性の劣化が抑制される。
【0324】
以上、第4の実施形態の第3の変形例によれば、第4の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。
【0325】
第4の実施形態及び変形例によれば、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。よって、第4の実施形態及び変形例によれば、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を実現できる。
【0326】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の記憶装置は、抵抗変化型メモリ(ReRAM)である点で、第4の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第4の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する。
【0327】
図30は、第5の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図30は、
図1のメモリセルアレイ100と同様のメモリセルアレイの中の、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0328】
メモリセルMCは、
図30に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層140、及び、抵抗変化層50を備える。抵抗変化層50は、高抵抗層50x及び低抵抗層50yを含む。
【0329】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。
【0330】
下部電極10、スイッチング層140、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0331】
スイッチング層140の構成は、第4の実施形態の記憶装置と同様である。
【0332】
抵抗変化層50は、高抵抗層50xと低抵抗層50yを含む。
【0333】
高抵抗層50xは、例えば、金属酸化物である。高抵抗層50xは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、又は、酸化ニオブである。
【0334】
低抵抗層50yは、例えば、金属酸化物である。低抵抗層50yは、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、又は、酸化タングステンである。
【0335】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0336】
以上、第5の実施形態の記憶装置によれば、第4の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。よって、第5の実施形態によれば、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を実現できる。
【0337】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられたメモリ層と、を含むメモリセルを備え、メモリ層は、アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素との化合物と、を含む。第6の実施形態の記憶装置は、メモリ層がアルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物を含む点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第3の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0338】
また、第6の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0339】
第6の実施形態の記憶装置は、メモリセルが第3の導電層と抵抗変化層を含まず、第4の実施形態及び第5の実施形態のスイッチング層と同様の構成を、メモリ層として含む点で、第4の実施形態及び第5の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第4の実施形態又は第5の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する。
【0340】
図31は、第6の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図31は、
図1のメモリセルアレイ100と同様のメモリセルアレイの中の、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0341】
メモリセルMCは、
図31に示すように、下部電極10、上部電極20、及び、メモリ層160を備える。
【0342】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。
【0343】
下部電極10、メモリ層160、及び上部電極20が、メモリセルMCのメモリ素子を構成する。メモリセルMCのメモリ素子は、スイッチング機能を有し、かつ、情報を記憶する機能を有している。
【0344】
メモリ層160は、第4の実施形態及び第5の実施形態のスイッチング層140と同様の構成を備える。すなわち、メモリ層160は、アルミニウム(Al)の酸化物又はアルミニウム(Al)の酸窒化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素との化合物と、を含む。
【0345】
メモリ層160は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。また、メモリ層160は、所定の電圧の印加により閾値電圧が変化する特性を有する。メモリ層160は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。第6の実施形態において、高抵抗状態とは、読み出し電圧におけるメモリ層160の抵抗が相対的に高い状態である。また、第6の実施形態において、低抵抗状態とは、読み出し電圧におけるメモリ層160の抵抗が相対的に低い状態である。
【0346】
メモリ層160は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。また、メモリ層160は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。メモリ層160は、単層で、第4の実施形態及び第5の実施形態のスイッチング層140の機能と抵抗変化層50の機能を両立させる。
【0347】
第6の実施形態では、メモリセルMCのメモリ素子は、スイッチング機能を有し、かつ、情報を記憶する機能を有している。メモリ層160は、単層で、第4の実施形態及び第5の実施形態のスイッチング層140の機能と抵抗変化層50の機能を実現する。第6の実施形態のメモリ層160が、単層で、スイッチング機能とメモリ機能を備えることで、メモリセルMCの構造を極めて単純な構造にできる。
【0348】
また、第6の実施形態のメモリ層160は、第4の実施形態及び第5の実施形態のスイッチング層140と同様の構成を備える。したがって、第6の実施形態によれば、第4の実施形態及び第5の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れたスイッチング特性を有する記憶装置を実現できる。
【0349】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられた第3の導電層と、第1の導電層と第3の導電層との間に設けられた抵抗変化層と、第3の導電層と第2の導電層との間に設けられたスイッチング層と、を含むメモリセルを備え、スイッチング層は、シリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は前記第1の元素の酸窒化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。第7の実施形態の記憶装置は、スイッチング層がシリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物を含む点で、第1の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0350】
また、第7の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0351】
図32は、第7の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図32は、
図1のメモリセルアレイ100と同様のメモリセルアレイの中の、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0352】
メモリセルMCは、
図32に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層240、及び、抵抗変化層50を備える。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を含む。
【0353】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。
【0354】
下部電極10、スイッチング層240、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0355】
下部電極10はワード線102に接続される。下部電極10は、例えば金属である。下部電極10は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。下部電極10はワード線102の一部であっても構わない。
【0356】
上部電極20はビット線103に接続される。上部電極20は、例えば金属である。上部電極20は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。上部電極20はビット線103の一部であっても構わない。
【0357】
中間電極30は、下部電極10と上部電極20との間に設けられる。中間電極30は、例えば金属である。中間電極30は、例えば、炭素、窒化炭素、タングステン、炭化タングステン、及び窒化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも一つの物質を含む。
【0358】
スイッチング層240は、下部電極10と中間電極30との間に設けられる。スイッチング層240の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上50nm以下である。スイッチング層240の下部電極10から上部電極20に向かう第1の方向の厚さは、例えば、5nm以上20nm以下であることがより好ましい。
【0359】
スイッチング層240は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。スイッチング層240は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。
【0360】
スイッチング層240は、酸化物又は酸窒化物と、カルコゲン化物を含む。カルコゲン化物(chalcogenide)は、カルコゲン元素であるテルル(Te)、硫黄(S)、又はセレン(Se)と、他の元素とが結合した化合物である。
【0361】
スイッチング層240は、シリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物を含む。スイッチング層240は、第1の元素の酸化物と第1の元素の酸窒化物の両方を含んでも構わない。スイッチング層240は、例えば、酸化シリコン、酸化ボロン、及び酸化ゲルマニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含む。スイッチング層240は、例えば、酸窒化シリコン、酸窒化ボロン、及び酸窒化ゲルマニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの酸窒化物を含む。
【0362】
スイッチング層240が第1の元素の酸化物、又は、第1の元素の酸窒化物を含むか否かは、例えば、X線光電子分光法(XPS)又は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて判定することが可能である。
【0363】
スイッチング層240における、第1の元素の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、例えば、0.5以上4.0以下である。スイッチング層240における、第1の元素の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、より好ましくは0.5以上3.0以下である。
【0364】
スイッチング層240は、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、及びニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物又は上記少なくとも一つの元素の酸窒化物を含んでも構わない。
【0365】
スイッチング層240は、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物であるカルコゲン化物を含む。スイッチング層240は、第2の元素のカルコゲン化物を含む。スイッチング層240は、例えば、テルル化亜鉛、テルル化スズ、テルル化ガリウム、テルル化インジウム、テルル化ビスマス、硫化亜鉛、硫化スズ、硫化ガリウム、硫化インジウム、硫化ビスマス、セレン化亜鉛、セレン化スズ、セレン化ガリウム、セレン化インジウム、及びセレン化ビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一つのカルコゲン化物を含む。第3の元素としてより好ましくはテルル(Te)であり、スイッチング層240は、より好ましくは、テルル化亜鉛、テルル化スズ、テルル化ガリウム、テルル化インジウム、及びテルル化ビスマスからなる群から選ばれる少なくとも一つのカルコゲン化物を含む。テルル化物は、硫化物、セレン化物と比べて、バンドギャップが小さいため、書き込み電圧を相対的に小さくすることができ、書き込みを繰り返した場合の、半選択リーク電流の変動や、オン電流の変動などの特性変動を抑制することができるという利点を持つ。
【0366】
スイッチング層240が第2の元素のカルコゲン化物を含むか否かは、例えば、X線吸収微細構造解析(XAFS)、ラマン分光法(Raman)、又は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて判定することが可能である。
【0367】
上記酸化物又は上記酸窒化物、及び、上記カルコゲン化物は、例えば、スイッチング層240の主成分である。上記酸化物又は上記酸窒化物、及び上記カルコゲン化物がスイッチング層240の主成分であるとは、スイッチング層240に含まれる物質の中で、上記酸化物又は上記カルコゲン化物よりもモル分率の高い物質が存在しないことを意味する。
【0368】
スイッチング層240における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和は、例えば、90%以上である。
【0369】
スイッチング層240は、例えば、上記酸化物又は上記酸窒化物、及び上記カルコゲン化物の混合物を含む。上記酸化物又は上記酸窒化物、及び上記カルコゲン化物は、例えば、混合した状態で、スイッチング層240の中に存在する。
【0370】
スイッチング層240における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、3%以上97%以下である。
【0371】
スイッチング層240における、第3の元素の原子濃度は、例えば、第2の元素の原子濃度より高い。例えば、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層240における、テルル(Te)の原子濃度は、例えば、亜鉛(Zn)の原子濃度よりも高い。
【0372】
スイッチング層240には、例えば、第2の元素と第3の元素が結合して形成されるカルコゲン化物と、カルコゲン化物を形成しない余剰の第3の元素が存在する。例えば、第2の元素が亜鉛(Zn)、第3の元素がテルル(Te)の場合、スイッチング層240に、テルル化亜鉛と余剰のテルル(Te)が共存する。
【0373】
例えば、スイッチング層240に含まれる上記酸化物又は上記酸窒化物の少なくとも一部は結晶質である。スイッチング層240に含まれる上記酸化物又は上記酸窒化物の少なくとも一部が結晶質であるか否かは、例えば、電子線回折法を用いて判定することが可能である。なお、スイッチング層240に含まれるカルコゲン化物の一部が結晶質であっても構わない。
【0374】
スイッチング層240は、例えば、炭素(C)を含む。スイッチング層240に含まれる炭素(C)の原子濃度は、例えば、5%以上20%以下である。
【0375】
スイッチング層240は、例えば、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第5の元素を含む。スイッチング層240に含まれる第5の元素の原子濃度は、例えば、1%以上10%以下である。
【0376】
スイッチング層240は、例えば、スパッタリング法により形成することが可能である。第1の元素の酸化物と、第2の元素のカルコゲン化物を含むスイッチング層240は、例えば、第1の元素の酸化物から成るターゲットと、第2の元素のカルコゲン化物から成るターゲットを用いたコ・スパッタリング法(co-sputtering法)により形成することが可能である。また、スイッチング層240は、例えば、第1の元素の酸化物と、第2の元素のカルコゲン化物との混合物からなるターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが可能である。
【0377】
抵抗変化層50は、中間電極30と上部電極20との間に設けられる。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53を有する。抵抗変化層50は、固定層51、トンネル層52、及び自由層53で構成される磁気トンネル接合を含む。
【0378】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0379】
次に、第7の実施形態の記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0380】
第7の実施形態のスイッチング素子のスイッチング層240は、シリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物と、第2の元素のカルコゲン化物を含む。スイッチング層240が第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物と、第2の元素のカルコゲン化物を含むことにより、第1の実施形態のスイッチング素子と同様、低い半選択リーク電流、及び、特性変動の抑制、が実現できる。
【0381】
第7の実施形態のスイッチング素子は、スイッチング層240が特にガラス形成能の高い、シリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物を含むことで、非晶質を維持しやすい。したがって、第7の実施形態のスイッチング素子は、第1の実施形態のスイッチング素子と比較して、更に低い半選択リーク電流、及び、更なる特性変動の抑制を実現できる。
【0382】
スイッチング層240における、第1の元素の原子濃度に対する酸素(O)の原子濃度の比率は、0.5以上4.0以下であることが好ましく、0.5以上3.0以下であることがより好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0383】
スイッチング層240における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率は、例えば、3%以上97%以下であることが好ましく、5%以上80%未満であることがより好ましく、10%以上60%未満であることが更に好ましく、20%以上50%未満であることが最も好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0384】
また、スイッチング層240における、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が、例えば、5%以上80%未満であることが好ましい。加えて、第1の元素、第2の元素、第3の元素、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、第3の元素の原子濃度と第2の元素の原子濃度の差の絶対値の比率が、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。上記範囲を充足することで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0385】
スイッチング層240における、テルル(Te)の原子濃度は亜鉛(Zn)の原子濃度より高く、かつ、第1の元素、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する第1の元素と酸素(O)の原子濃度の和の比率が5%以上80%未満であり、かつ、第1の元素、亜鉛(Zn)、テルル(Te)、及び酸素(O)の原子濃度の和に対する、テルル(Te)の原子濃度と亜鉛(Zn)の原子濃度の差の比率が5%以上20%以下であることが好ましい。
【0386】
スイッチング層240における、第3の元素の原子濃度は、第2の元素の原子濃度より高いことが好ましい。第3の元素の原子濃度が第2の元素の原子濃度より高いことで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0387】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層240は、炭素(C)を含むことが好ましい。スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層240に含まれる炭素(C)の原子濃度は、5%以上20%以下であることが好ましい。
【0388】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層240は、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第5の元素を含むことが好ましい。スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層240に含まれる第5の元素の原子濃度は、1%以上10%以下であることが好ましい。スイッチング層240が第5の元素を含むことで、第2の元素のカルコゲン化物の凝集が抑制されると考えられる。
【0389】
特に、スイッチング層240が第1の元素の酸窒化物を含む場合、スイッチング層240は、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第5の元素を含むことで、スイッチング素子の特性が更に向上する。
【0390】
スイッチング素子の特性を更に向上させる観点から、スイッチング層240に含まれる第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物の少なくとも一部は結晶質であることが好ましい。第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物の少なくとも一部が結晶質となることで第1の元素の拡散が抑えられ、分離した第1の元素に起因するリーク電流の増大を抑制できると考えられる。
【0391】
第7の実施形態によれば、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。よって、第7の実施形態によれば、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を実現できる。
【0392】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の記憶装置は、抵抗変化型メモリ(ReRAM)である点で、第7の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第7の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する。
【0393】
図33は、第8の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図33は、
図1のメモリセルアレイ100と同様のメモリセルアレイの中の、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0394】
メモリセルMCは、
図33に示すように、下部電極10、上部電極20、中間電極30、スイッチング層240、及び、抵抗変化層50を備える。抵抗変化層50は、高抵抗層50x及び低抵抗層50yを含む。
【0395】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。中間電極30は、第3の導電層の一例である。
【0396】
下部電極10、スイッチング層240、及び中間電極30が、メモリセルMCのスイッチング素子を構成する。中間電極30、抵抗変化層50、及び上部電極20が、メモリセルMCの抵抗変化素子を構成する。
【0397】
スイッチング層240の構成は、第7の実施形態の記憶装置と同様である。
【0398】
抵抗変化層50は、高抵抗層50xと低抵抗層50yを含む。
【0399】
高抵抗層50xは、例えば、金属酸化物である。高抵抗層50xは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、又は、酸化ニオブである。
【0400】
低抵抗層50yは、例えば、金属酸化物である。低抵抗層50yは、例えば、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、又は、酸化タングステンである。
【0401】
抵抗変化層50は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。抵抗変化層50は、例えば、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。
【0402】
以上、第8の実施形態の記憶装置によれば、第7の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れた特性を備えたスイッチング素子が実現できる。よって、第8の実施形態によれば、特性の優れたスイッチング素子を有する記憶装置を実現できる。
【0403】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の記憶装置は、第1の導電層と、第2の導電層と、第1の導電層と第2の導電層との間に設けられたメモリ層と、を含むメモリセルを備え、メモリ層は、シリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。第9の実施形態の記憶装置は、メモリ層がシリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物を含む点で、第3の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第3の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0404】
また、第9の実施形態の記憶装置は、複数の第1の配線と、複数の第1の配線と交差する複数の第2の配線と、を更に備える。そして、複数の第1の配線の一つと、複数の第2の配線の一つが交差する領域に上記メモリセルが設けられる。
【0405】
第9の実施形態の記憶装置は、メモリセルが第3の導電層と抵抗変化層を含まず、第7の実施形態及び第8の実施形態のスイッチング層と同様の構成を、メモリ層として含む点で、第7の実施形態及び第8の実施形態の記憶装置と異なる。以下、第7の実施形態又は第8の実施形態と重複する内容については記述を一部省略する。
【0406】
図34は、第9の実施形態の記憶装置のメモリセルの模式断面図である。
図34は、
図1のメモリセルアレイ100と同様のメモリセルアレイの中の、一個のメモリセルMCの断面を示す。
【0407】
メモリセルMCは、
図34に示すように、下部電極10、上部電極20、及び、メモリ層260を備える。
【0408】
下部電極10は、第1の導電層の一例である。上部電極20は、第2の導電層の一例である。
【0409】
下部電極10、メモリ層260、及び上部電極20が、メモリセルMCのメモリ素子を構成する。メモリセルMCのメモリ素子は、スイッチング機能を有し、かつ、情報を記憶する機能を有している。
【0410】
メモリ層260は、第7の実施形態及び第8の実施形態のスイッチング層240と同様の構成を備える。すなわち、メモリ層260は、シリコン(Si)、ボロン(B)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物又は第1の元素の酸窒化物と、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びビスマス(Bi)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第2の元素と、テルル(Te)、硫黄(S)、及びセレン(Se)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第3の元素との化合物と、を含む。
【0411】
メモリ層260は、特定の閾値電圧で電流が急峻に立ち上がる非線形な電流電圧特性を有する。また、メモリ層260は、所定の電圧の印加により閾値電圧が変化する特性を有する。メモリ層260は、所定の電圧の印加により電気抵抗が変化する特性を有する。第9の実施形態において、高抵抗状態とは、読み出し電圧におけるメモリ層260の抵抗が相対的に高い状態である。また、第9の実施形態において、低抵抗状態とは、読み出し電圧におけるメモリ層260の抵抗が相対的に低い状態である。
【0412】
メモリ層260は、半選択セルに流れる半選択リーク電流の増加を抑制する機能を有する。また、メモリ層260は、抵抗変化によりデータを記憶する機能を有する。メモリ層260は、単層で、第7の実施形態及び第8の実施形態のスイッチング層240の機能と抵抗変化層50の機能を両立させる。
【0413】
第9の実施形態では、メモリセルMCのメモリ素子は、スイッチング機能を有し、かつ、情報を記憶する機能を有している。メモリ層260は、単層で、第7の実施形態及び第8の実施形態のスイッチング層240の機能と抵抗変化層50の機能を実現する。第9の実施形態のメモリ層260が、単層で、スイッチング機能とメモリ機能を備えることで、メモリセルMCの構造を極めて単純な構造にできる。
【0414】
また、第9の実施形態のメモリ層260は、第7の実施形態及び第8の実施形態のスイッチング層240と同様の構成を備える。したがって、第9の実施形態によれば、第7の実施形態及び第8の実施形態と同様、低い半選択リーク電流、及び、高い信頼性という優れたスイッチング特性を有する記憶装置を実現できる。
【0415】
第1、第4、及び第7の実施形態では2端子の記憶装置として磁気抵抗メモリ、第2、第5、及び第8の実施形態では記憶装置として抵抗変化型メモリを例に説明したが、その他の2端子の記憶装置に本発明を適用することが可能である。例えば、相変化メモリ(Phase Change Memory:PCM)、又は、強誘電体メモリ(Ferroelectric Random Access Memory:FeRAM)に本発明を適用することが可能である。
【0416】
第1、第2、及び第3の実施形態では、スイッチング層又はメモリ層が、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、及びマグネシウム(Mg)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物を含む場合を例に説明したが、スイッチング層又はメモリ層は、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、タンタル(Ta)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)、及びニオブ(Nb)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である第1の元素の酸化物を含んでも構わない。
【0417】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0418】
10 下部電極(第1の導電層)
20 上部電極(第2の導電層)
30 中間電極(第3の導電層)
40 スイッチング層
50 抵抗変化層
60 メモリ層
102 ワード線(第1の配線)
103 ビット線(第2の配線)
140 スイッチング層
160 メモリ層
240 スイッチング層
260 メモリ層
MC メモリセル