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特開2024-95992スキンケアに有用な微小電流及び/又は運動学的スカルプティングを送達するためのハンドヘルド装置を含むシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024095992
(43)【公開日】2024-07-11
(54)【発明の名称】スキンケアに有用な微小電流及び/又は運動学的スカルプティングを送達するためのハンドヘルド装置を含むシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240704BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20240704BHJP
【FI】
A61N1/36
A61H7/00 323S
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023201245
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】63/576,441
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/470,342
(32)【優先日】2023-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/379,303
(32)【優先日】2023-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523172589
【氏名又は名称】マイクロカレント テクノロジー,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MICRO CURRENT TECHNOLOGY, INC.
【住所又は居所原語表記】2244 1st Ave S, seattle, Washington 98134 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】スズキ,デービッド エス
【テーマコード(参考)】
4C053
4C100
【Fターム(参考)】
4C053JJ11
4C053JJ14
4C053JJ24
4C053JJ36
4C100CA01
4C100CA20
4C100DA02
4C100EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スキンケア及び美容処置のためのハンドヘルド装置及び処置を含むシステムを提供する。
【解決手段】システムは2対の電極を有する本体を有するハンドヘルド装置を含み、1対のアームは他の対のアームに対して移動可能(例えば、旋回可能、回転可能)である。可動アームは回転されていない位置又は向きに向かって付勢されることができ、回転されていない位置又は向きから回転されたとき、可動アームを介して身体組織に張力を加える。システムは任意選択的に、ハンドヘルド装置に一体化された、又はハンドヘルド装置が結合されるコンソールに一体化された回路を含み、装置は2つの別個のチャネルを介して、及び2つの別個のチャネル間の干渉信号を介して、微小電流信号を送達するように動作可能であり、美容用途で使用され得る微小電流信号の送達と併せて、運動学的フェイシャルスカルプティング利用を容易にする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部及び第二端部を有する本体であって、第二端部は前記本体の長さに沿って前記第一端部から離間している、該本体と、
前記本体の前記第一端部から外向きに延在する第一対のアームであって、前記第一対のアームのアームは互いから横方向に離間しており、前記第一対のアームの前記アームの各々は、前記アームの遠位端にそれぞれの終端を有し、前記第一対のアームの前記アームの各々は、前記アームの前記それぞれの終端に少なくとも近接して配置されたそれぞれの電極を保持して有する、該第一対のアームと、
前記本体の前記第一端部から外向きに延在する第二対のアームであって、前記第二対のアームのアームは互いから横方向に離間しており、前記第二対のアームの前記アームの各々は、前記アームの遠位端にそれぞれの終端を有し、前記第二対のアームの前記アームの各々は、前記アームの前記それぞれの終端に少なくとも近接して配置されたそれぞれの電極を保持する、該第二対のアームと、を備え、
前記第二対の前記アームによって保持される前記電極と前記第一対のアームの前記アームによって保持される前記電極との間の間隔を変化させるように、前記第二対のアームの前記アームは、前記第一対のアームの前記アームに対して移動可能である、システム。
【請求項2】
前記第二対のアームは、前記本体に旋回可能に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記本体によって収容された少なくとも1つの付勢機構であって、前記第二対のアームの前記アームの前記それぞれの終端を前記第一対の前記アームの前記それぞれの終端に向かって付勢するように結合される該少なくとも1つの付勢機構をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つの付勢機構が、少なくとも1つのバネを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの付勢機構が、前記第二対のアームの前記アームの前記それぞれの終端を、前記第二対のアームの前記アームの前記それぞれの終端が前記第一対のアームの前記アームの前記それぞれの終端に対して最小の許容距離にある回転されていない向きに向かって付勢する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第二対のアームの前記アームの前記それぞれの終端が前記第一対のアームの前記アームの前記それぞれの終端に対して最大の許容距離にある完全に回転された向きを設定するために、回転されていない向きから離れるときの前記第二対のアームの移動を制限する停止部をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記電極の各々がそれぞれの幾何学的中心を有し、前記第二対の電極の前記電極の前記幾何学的中心と前記第一対の電極の前記電極の対応するものとの間の距離が、回転されていない向きにおいて約34.8ミリメートルプラス又はマイナス0.5ミリメートルであり、完全に回転された向きにおいて約45.0ミリメートルプラス又はマイナス0.5ミリメートルである、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記第一対のアームによって保持される前記電極と、前記第二対のアームによって保持される前記電極は、それぞれ、粗い露出表面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第一対のアームによって保持される前記電極と、前記第二対のアームによって保持される前記電極とに通信可能に結合された回路をさらに備え、前記回路は前記第一対のアーム及び前記第二対のアームによって保持される前記電極を介して微小電流を送達するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記回路が、i)前記第一電極対の前記電極のうちの第一のものと前記第二電極対の前記電極のうちの第一のものとの間の第一微小電流信号、ii)前記第一電極対の前記電極のうちの第二のものと前記第二電極対の前記電極のうちの第二のものとの間の第二微小電流信号、iii)前記第一電極対の前記電極のうちの前記第一のものと前記第二電極対の前記電極のうちの前記第二のものとの間の第三微小電流信号、及び、iv)前記第一電極対の前記電極のうちの前記第二のものと前記第二電極対の前記電極のうちの前記第二のものとの間の第四微小電流信号を送達するように動作可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記回路は、前記第一微小電流信号、前記第二微小電流信号、前記第三微小電流信号、及び前記第四微小電流信号を互いと同時に送達するように動作可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記回路は、前記第一微小電流信号を第一組の周波数で送達し、前記第二微小電流信号、前記第三微小電流信号、又は前記第四微小電流信号のうちの少なくとも1つを第二組の周波数で送達するように動作可能であり、前記第二組の周波数は、前記第一組の周波数とは異なる、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記回路は、前記第一微小電流信号を第一組の周波数で送達し、前記第二微小電流信号を第二組の周波数で送達し、前記第三微小電流信号を第三組の周波数で送達し、前記第四微小電流信号を第四組の周波数で送達するように動作可能であり、前記第二組の周波数は前記第一組の周波数とは異なり、前記第三組の周波数は前記第一及び前記第二組の周波数とは異なり、前記第四組の周波数は前記第一、前記第二、及び前記第三組の周波数とは異なる、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記本体、前記第一対のアーム、及び前記第二対のアームはハンドヘルド装置を備え、前記回路は前記ハンドヘルド装置の前記本体によって収容される、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記本体、前記第一対のアーム、及び前記第二対のアームはハンドヘルド装置を備え、さらに、前記本体が通信可能に結合されるコンソールを備え、前記回路が前記コンソールによって収容される、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記本体は、平均的な大きさの手を有するユーザの片手で把持される大きさの寸法を有するハンドル部分と、前記本体の外部からアクセス可能なユーザインターフェースとを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
第一端部及び第二端部を有する本体であって、前記第二端部は前記本体の長さに沿って前記第一端部から離間している、該本体と、
前記本体の前記第一端部から外向きに延在する第一対のアームであって、前記第一対のアームのアームは互いから横方向に離間しており、前記第一対のアームの前記アームの各々は前記アームの遠位端にそれぞれの終端を有し、前記第一対のアームの前記アームの各々は前記アームの前記それぞれの終端に少なくとも近接して配置されたそれぞれの電極を有する、該第一対のアームと、
前記本体の前記第一端部から外向きに延在する第二対のアームであって、前記第二対のアームのアームは互いから横方向に離間しており、前記第二対のアームの前記アームの各々は前記アームの遠位端にそれぞれの終端を有し、前記第二対のアームの前記アームの各々は前記アームの前記それぞれの終端に少なくとも近接して配置されたそれぞれの電極を有する、該第二対のアームであって、前記第二対のアームの前記アームは、前記第一対のアームの前記アームに対して旋回可能であることで前記第二対のアームの前記アームの前記電極と前記第一対のアームの前記アームの前記電極との間の角度を変化させる、該第二対のアームと、
前記第二対のアームの前記アームを、前記第二対のアームの前記アームと前記第一対のアームの前記アームの対応するものとの間の角度が、それらの間で達成可能な最小の角度である回転されていない向きに向かって付勢するように結合された少なくとも1つの付勢機構と、を備えるシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの付勢機構が、少なくとも1つのバネを備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも1つの付勢機構が、前記第一及び第二対のアームの前記電極が皮膚組織に適用されて運動学的効果を達成するときに、身体組織に張力を印加する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第一対のアームに対する前記第二対のアームの、前記第二対のアームの前記アームと前記第一対のアームの対応するアームとの間の角度が達成可能な最大の角度である完全に回転された向きへの回転を制限する停止部をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記電極の各々がそれぞれの幾何学的中心を有し、前記第二対の前記電極と前記第一対の前記電極の対応するものとの間の角度が回転されていない向きにおいて約63.4度プラス又はマイナス0.5度であり、完全に回転された向きにおいて約88.5度プラス又はマイナス0.5度である、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記第一対のアームによって保持される前記電極と、前記第二対のアームによって支持される前記電極は、それぞれ、粗い露出表面を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
前記第一対のアームによって保持される前記電極と、前記第二対のアームによって保持される前記電極とに通信可能に結合された回路をさらに備え、前記回路は、前記第一対のアーム及び前記第二対のアームによって保持される前記電極を介して微小電流を送達するように動作可能であり、前記回路が、i)前記第一電極対の前記電極のうちの第一のものと、前記第二電極対の前記電極のうちの第一のものとの間の第一微小電流信号、ii)前記第一電極対の前記電極のうちの第二のものと前記第二電極対の前記電極のうちの第二のものとの間の第二微小電流信号、iii)前記第一電極対の前記電極のうちの前記第一のものと前記第二電極対の前記電極のうちの前記第二のものとの間の第三微小電流信号、及び、iv)前記第一電極対の前記電極のうちの前記第二のものと前記第二電極対の前記電極のうちの前記第二のものとの間の第四微小電流信号を送達するように動作可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記回路は、前記第一微小電流信号、前記第二微小電流信号、前記第三微小電流信号、及び前記第四微小電流信号を互いと同時に送達するように動作可能であり、前記第一微小電流信号は第一組の周波数を有し、前記第二微小電流信号は第二組の周波数を有し、前記第三微小電流信号は第三組の周波数を有し、前記第四微小電流信号は第四組の周波数を有し、前記第二組の周波数は前記第一組の周波数とは異なり、前記第三組の周波数は前記第一及び前記第二組の周波数とは異なり、前記第四組の周波数は前記第一、前記第二、及び前記第三組の周波数とは異なる、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記本体、前記第一対のアーム、及び前記第二対のアームはハンドヘルド装置を備え、前記回路は前記ハンドヘルド装置の前記本体によって収容される、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記本体、前記第一対のアーム、及び前記第二対のアームはハンドヘルド装置を備え、さらに、前記本体が通信可能に結合されるコンソールを備え、前記回路が前記コンソールによって収容される、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記本体は、平均的なサイズの手を有するユーザの片手で把持されるサイズの寸法を有するハンドル本体と、前記本体の外部からアクセス可能なユーザインターフェースである、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、スキンケア及び美容処置に関し、特に、皮膚組織及び筋肉を介して微小電流(又は、マイクロカレント)を送達する、及び/又は、身体組織(例えば、腱を含む筋肉及び皮膚)を、例えば、身体組織を伸張及び/又は短縮することによって、伸張又は張力をかけること及び/又は圧迫又は挟むことによって、運動学的スカルプティング(又は、運動学的彫刻/kinesiological sculpting)を提供することもできる、ハンドヘルド装置及び処置を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
<関連技術の説明>
美容的使用のためのマイクロカレント技術は、ミトコンドリアの刺激によってアデノシン三リン酸(ATP)の大量の上昇を引き起こす、医学的マイクロカレントと同じ作用機構に基づいている。医学的マイクロカレントと同様に、最大500%のATPの利用可能性は創傷又は損傷した組織及び筋肉の治癒特性を促進し、また、既存の組織及び筋肉の状態を最大化するのに役立つ。加齢に伴い、コラーゲン及びエラスチンが著しく減少し、特に顔及び頸部では、細かい線、しわ、及び皮膚のたるみにつながる。人々はまた、筋肉の萎縮を経験し、それは、美的な視覚的外観をさらに悪化させる。この加齢のプロセスはミトコンドリア活性の低下に直接関連し、これは、最終的に、皮膚及び筋肉、例えば顔及び頸部へのATPの利用可能性を低下させる。年齢は典型的にはATPの欠如のために、身体のメンテナンス要件にリアルタイムで追いつくことができない状態にする。凝集する損傷は、加齢の視覚効果として認識されるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願人は、美容サービスを提供するために使用され、商標名Bio-Therapeuticで提供されるマイクロカレント技術を開拓した。例えば、Bio-Therapeuticは、2つのマイクロカレントフェイシャルトーニングシステム、すなわちBio-Ultimate(登録商標)Platinumマイクロカレントフェイシャルトーニングシステム及びbt-nano(登録商標)マイクロカレントフェイシャルトーニングシステムを提供する。マイクロカレントフェイシャルトーニングシステムの各々はコンソールと、2つの人間工学的なハンドヘルドプローブ(すなわち、Azul(商標)人間工学的なハンドヘルドプローブ)とを含む。使用時に、ハンドヘルドプローブの1つは、サービス提供者の各手に保持され、美容サービスを行う際に身体組織(例えば、顔の皮膚組織)に微小電流を印加するために使用される。美容サービスは、典型的には2つの別個の施術を含む。第一施術はスカルプティングと呼ばれ、第二施術はスキンワークと呼ばれる。
【0004】
指定されたマイクロアンペア数、周波数、及び波形を身体の一部(例えば、顔)に適用することは、ミトコンドリアを有利に刺激し、それによってATPを増加させ得る。出願人は身体組織(例えば、顔の皮膚組織及び/又は下にある筋肉及び/又は腱)上でのハンドヘルドプローブ又はその電極の様々な動き(例えば、スカルプティング動作)が筋緊張度(例えば、皮膚組織の下にある筋肉及び/又は腱の緊張度)を有利に変化又は改善することができ、これにより、美容サービスを受ける身体(例えば、顔)の特定の部分の視覚的外観及び輪郭を変化させると判定した。この差異は、良好な身体的運動の後に身体上で見られる効果と比較し得る。ウェイトリフティングでは、身体の筋肉がひずみ、最終的に筋肉に微小な裂け目を生じさせる。防御として筋肉が収縮する。筋肉が治癒するにつれて、筋肉は健康になり、より強くなる。ウェイトリフティングが一貫して継続される場合、身体は引き裂き、収縮、治癒、及びより強くなるという、連続的な進化の輪の上にある。微小な裂け目は定義上、損傷であるが、ミトコンドリア活性又はクレブスサイクルの破壊はない。
【0005】
明らかに、微小電流の適用は、電気筋刺激(EMS)技術とは著しく異なる。EMSは、典型的には500μA~5,000μAの範囲の電流の送達を伴う。対照的に、Bio-Therapeutic(登録商標)技術で使用される微小電流は、典型的には400μA以下である。EMSに関連する比較的高いアンペア数はミトコンドリア及びクレブス回路に有害であり、ATPの産生を停止させる傾向がある。EMSは、典型的には電流の印加から生じる筋肉の視覚的及び物理的収縮を引き起こすのに十分なエネルギーを伴う。要するに、アンペア数は、筋肉をジャンプさせ、収縮させるのに十分である。身体はこのエネルギーを損傷として即座に認識し、筋肉を収縮させて筋肉の痙攣を停止させる。EMSに関連する高レベルのエネルギーはミトコンドリア(クレブスサイクル)及び筋肉を混乱させ、組織に、筋肉を収縮させることによって身体を防御するために残されたエネルギーを使用させる。消費者は最初に、収縮を良好な結果として知覚し得る。しかし、ATP貯蔵が数日後に枯渇すると、筋肉は弛緩する。それに応じて、消費者はしばしば、筋肉に再びショックを与えて、筋肉を収縮に戻す。筋肉の弛緩は、今や、より迅速に戻る。筋肉がショックを受ける3回目又は4回目までに、筋肉はATPを完全に欠き、動く(例えば、収縮する)能力を有しない。筋肉は現在弛緩している。筋肉がATPを枯渇させられることに加えて、他の身体組織もATPを枯渇させられている。これは、皮膚組織中のコラーゲン及びエラスチンが分解することにつれて、知覚される老化プロセスを迅速に促進する。
【0006】
真の微小電流信号(≦400μA)は、有利には電流による筋肉の視覚的又は物理的収縮を引き起こすのに十分なエネルギーを有さない。微小電流は、筋収縮を誘発することなく、500%を超えるATP細胞エネルギーを産生する、ミトコンドリア活性に有益な十分なエネルギーを有利に提供する。
【0007】
第一施術(すなわち、スカルプティング)は動作のメカニズム(運動学)として筋肉を物理的に伸ばし、縮めるために、顔のスカルプティング運動を実行することを含み得る。マッサージに関していくつかの点で同様に、身体組織は筋肉を縮まった又は伸びた位置又は状態に動かすように物理的に操作することができ、筋肉は即座に反応する。これが、45分間のマッサージが筋肉を弛緩させ(伸ばし)、驚くべき安心感、運動範囲の増加、及び柔軟性の増加を提供する理由である。出願人は類似の技術が例えば、顔面に適用され得るが、しかし、それらの筋肉が典型的には経時的に伸長されてしまっているので、ほとんどの筋肉(例えば、顔面筋肉、腱)を短縮することに焦点を当てることができることを認識した。筋肉(腱を含む)は操作に反応し、微小電流信号の送達によって誘導されるATPのレベルの増加は筋肉に、この新しい位置又は状態に長時間-微小電流刺激なしで達成され得るものよりも長時間留まる持久力を与える。2~3日後に、微小電流信号の送達を伴う運動を繰り返すことは、筋肉の新しい輪郭を強化し、ATPレベルを増強し続け、新しい輪郭を強く奨励し、同時にコラーゲン及びエラスチン合成を活性化する。
【0008】
第二施術(すなわち、スキンワーク)はミトコンドリアの刺激及び循環の利益、例えば、顔及び首の周りの電極の滑動に焦点を当てる。
【0009】
身体組織は、特定の周波数又は周波数の範囲、したがって、特定のシグナル伝達機構に反応する。出願人は腱を含む筋肉及び他の身体組織(例えば、皮膚)の異なる深さへの特定の周波数の送達機構として作用する特定の波形を有する微小電流信号を使用する技術を開発した。特定の周波数は、細胞活性化に特に有効である。
【0010】
出願人は長年の経験を通して成功した周波数のロバストなカタログを確立しているが、そのようなことは全ての人が周波数固有であるという事実を変えるものではない。したがって、本出願人は、使用中に送達される異なる微小電流信号の総数を増加させる技術を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人の2つのマイクロカレントフェイシャルトーニングシステムは、2つの別個のハンドヘルドプローブを含む。ハンドヘルドプローブのうちの1つは、チャネル1及びチャネル2+を表す。もう一方のハンドヘルドプローブは、チャネル1及びチャネル2-を表す。微小電流信号は、変調された二相性方形波を採用する。
【0012】
したがって、完全に独立した2つのチャネルがあり、それぞれが独自の周波数を有する。本出願人の独自のアプローチはまた、干渉チャネルを使用し、これにより2つの独立したチャネルがプライマリチャネルとは全く異なる周波数で動作できる。この2つの周波数は互いに並列に動作するときに協働し、合計4つの周波数のために2つの追加の周波数を生成する。このアプローチは所望の結果を達成する能力の4倍を提供し(又は、4倍の能力を提供して所望の結果を達成し)(例えば、任意の所与の人の周波数に少なくともほぼ一致する可能性を増加させることによって)、このより広い範囲のカバレッジのために、出願人の技術を一貫してより成功させる。
【0013】
市場に出回っているハンドヘルド技術のほとんどはEMSである。EMSは、神経運動点(又は、神経モーターポイント/nerve motor point)に衝撃を与えることによって、それが達成し得る限られた結果を得る。これらのEMSデバイスは典型的には互いに対して空間的に固定された2つの電極を用いて動作し、筋肉に衝撃を与えて収縮させる以外に何も実行する能力を有さない。これらのEMSデバイスは一般に、運動学的運動(kinesiological movement)を実現することができない。
【0014】
前述のように、本出願人自身のマイクロカレントシステムは美容処置中に微小電流を印加するために、コンソール及び2つの別個のハンドヘルドプローブを使用する。
【0015】
施術中、微小電流は一方のプローブ上の電極から皮膚に流れ込み、皮膚及び筋肉(腱を含む)においてその作用を行い、次いで、他方のプローブ上の電極を介して戻る。出願人は、2つのハンドヘルドプローブの電極を互いに約1インチ~約2(1~2)インチの範囲内に保つことができることが有利であることを認識した。そうするために、両方の電極を単一のハンドヘルドプローブ上に配置しようと試みることができる。しかしながら、単一のハンドルプローブは、所望のスカルプティング運動を実行することを、不可能ではないにしても困難にする。
【0016】
本明細書では、2つの独立したチャネル及び干渉技術を維持しながら、2対の電極を1つのハンドヘルド装置に組み合わせるシステムについて説明する。電極の対のうちの少なくとも1つは、ハンドヘルド装置の本体に対して、及び他の電極の対に対して移動可能であり、完全な運動学的スカルプティング(例えば、フェイシャルスカルプティング)のための使用を容易にし、例えば、規定された運動範囲(例えば、規定された回転範囲又は間隔範囲)内で移動可能である。そのようなものは、一方の対の電極を他方の対の電極から規定された距離の範囲内に維持しながら、一方の対の電極(例えば、下側の電極対)で筋肉(腱を含む)をすくい(scooping)、つかみ(grabbing)、次いで、他方の対の電極(例えば、上側の電極対)で組織を保持することを可能にする。これは片手操作を可能にするだけでなく、他の利点を達成し得る。例えば、張力又は力の量を、付勢機構(例えば、バネ)を介して制御できる。電極間の間隔又は角度の範囲は例えば、最小の間隔もしくは角度及び/又は最大の間隔又は角度を有するように制御し得る。そのようなものは、有利には微小電流信号の所望の又は指定された送達を確実にするために、電極が互いに指定された距離又は角度内にあることを確実にし得る。
【0017】
電極は導電性である。電極は有利には比較的少量のニッケルを有することができ、又はニッケルを含まない(例えば、420ステンレス鋼)材料(例えば、ステンレス鋼)を含み得る。電極は、有利には粗い外面を有し得る。
【0018】
電極は、それぞれのアームによって支持し得る。アームの1つの対、又はアームの両方の対は、デフォルトの形状に向かって付勢され得る。例えば、アームは、それぞれのレバーの有無にかかわらず、1つ又は複数の引張バネを介して付勢され得る。ハンドヘルド装置は可動アームの移動量、ひいてはそれらの可動アームによって担持される電極の移動量を有利に制限するために、1つ又は複数の停止部を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面において、同一の参照番号は、同様の要素又は作用を示す。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれてはいない。例えば、様々な要素の形状及び角度は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、これらの要素のいくつかは図面の見やすさを改善するために任意に拡大され、配置され得る。さらに、描かれた要素の特定の形状は、必ずしも特定の要素の実際の形状に関するいかなる情報も伝えることを意図するものではなく、図面における認識を容易にするためにのみ選択されていてもよい。
図1A図1Aは一体型回路を有するハンドヘルド装置を備えるシステムの上面図であり、システムは例示される一実施形態によれば、腱を含む筋肉及び皮膚組織を介して微小電流を送達するように、及び/又は運動学的スカルプティングを提供するように動作可能である。
図1B図1Bは、図1Aのハンドヘルド装置の正面図である。
図1C図1Cは、図1Aのハンドヘルド装置の背面図である。
図1D図1Dは、図1Aのハンドヘルド装置の等角図である。
図1E図1E図1Aのハンドヘルド装置の右側面図であり、第一アーム対に対して回転されていない向き(又は、配向/orientation)又は構成にある第二アーム対を示す。
図1F図1F図1Aのハンドヘルド装置の左側面図であり、第一アーム対に対して回転されていない向き又は構成にある第二アーム対を示す。
図1G図1G図1Aのハンドヘルド装置の左側面図であり、第一アーム対に対して完全に回転された向き又は構成にある第二アーム対を示す。
図2A図2A図1Aのハンドヘルド装置の断面図であり、第一アーム対に対して回転されていない向き又は構成にある第二アーム対を示す。
図2B図2B図1Aのハンドヘルド装置の断面図であり、第一アーム対に対して完全に回転された向き又は構成にある第二アーム対を示す。
図3A図3Aは、1つの例示的な実施形態による、図1Aのハンドヘルド装置の第一分解図である。
図3B図3Bは、1つの例示的な実施形態による、図1Aのハンドヘルド装置の第二分解図である。
図4A図4Aは、例示された一実施形態による、図1Aのハンドヘルド装置とともに使用され得る、腱を含む筋肉及び皮膚組織を介して送達するための微小電流を生成するように動作可能な回路の一部を示す概略図である。
図4B図4Bは、例示された一実施形態による、図1Aの回路の一部を示す概略図である。
図4C図4Cは、例示された一実施形態による、図1Aの回路の一部を示す概略図である。
図5図5はコンソールと、コンソールに通信可能に結合されたハンドヘルド装置とを備えるシステムを示す概略図であり、コンソールは、微小電流を生成するための回路を備え、ハンドヘルド装置は電極を有する2対のアームを備え、少なくとも1対のアームは他の対のアームに対して規定された動作範囲内で移動可能であり、システムは1つの図示された実装形態によれば、腱を含む筋肉及び皮膚組織を介して微小電流を送達するように、及び/又は運動学的スカルプティングを提供するように動作可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明では、様々な開示された実装形態の完全な理解を与えるために、いくつかの具体的な詳細が説明される。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細のうちの1つ又は複数がなくても、又は他の方法、構成要素、材料などを用いて、実装が実施され得ることを認識するであろう。他の事例では、電源、電極、回路、及びユーザインターフェースに関連する周知の構造は実装形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細に図示又は説明されていない。
【0021】
文脈上別段の要求がない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprising)」という用語は「含む(including)」と同義であり、包括的又は非限定的である(すなわち、追加の、引用されていない要素又は方法の動作を排除しない)。
【0022】
本明細書全体を通して、「1つの実装」又は「実装」という言及は、その実装に関連して説明される特定の機能、構成、又は特徴が少なくとも1つの実装に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「一実装形態では」又は「実装形態では」という表現の出現は、必ずしもすべてが同じ実装形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実装形態において任意の適切な方法で組み合わされ得る。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。用語「又は」は文脈が明らかに別異のことを示さない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用されることにも留意されたい。
【0024】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「筋肉」又は「筋肉(複数)」は拡張性であり、腱ならびに筋肉として厳密に定義される組織を含む。
【0025】
本明細書で提供される見出し及び開示の要約は、便宜上のものにすぎず、実装形態の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0026】
図1A、1B、1C、1D、1E、1F、及び1Gは少なくとも1つの図示された実装形態による、身体組織(例えば、腱を含む筋肉及び皮膚組織)を介して微小電流(例えば、約400μA以下のアンペア数の信号)を送達するように動作可能であり、かつ/又は身体組織(例えば、腱を含む下層の筋肉、皮膚)の伸張もしくは張力及び/又は圧迫もしくは挟み込みを介して運動学的スカルプティングを提供することも可能であるハンドヘルド装置100の形態のシステム101を示す。
【0027】
ハンドヘルド装置100は第一端部104及び第二端部106を有する本体102を備え、第二端部106は本体102の長さ108に沿って第一端部104から離間している。本体102は第一端部104にヘッド110を有し、第二端部106にテール112を有し、ヘッド110とテール112との中間にハンドル部分114を有し得る。ハンドル部分114は平均的な大きさの手を有するユーザの片手で把持される大きさを有し、したがって、ハンドヘルド装置100は、ハンドヘルド(又は、片手持ち/handheld)であると呼ばれる。本体102は上面116及び下面118を有することができ、下面118は、本体102の厚さ120を挟んで(又は、越えて/across)上面116から概ね対向する。本体102はその長さ108に沿って幾分弓形の輪郭を有することができ、これは、美容処置のために、身体組織に対するヘッド110の保持及び位置決めを容易にし得る。本体102は幅122を有し得、これは長さ108をほぼ横方向に横断する。幅122は、長さ108を横断するにつれて寸法が変化し得る。同様に、厚さ120は、長さ108を横断するにつれて寸法が変化し得る。
【0028】
ハンドヘルド装置100は、本体102の第一端部104においてヘッド110から外向きに延在する第一対のアーム124a、124bを含む。第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bは、本体102の幅122に関して互いから横方向に離間している。第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bの各々は、アーム124a、124bの遠位端128a、128bにそれぞれの終端126a、126bを有する。第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bの各々は、アーム124a、124bのそれぞれの終端126a、126bに少なくとも近接して配置されたそれぞれの電極130a、130bを有するか、又は保持する(bear)か、又はさもなければ担持する(carry)。電極130a、130bは、好ましくはそれぞれのアーム124a、124bに固定される。いくつかの実装形態では電極130a、130bはそれぞれのアーム124a、124bから交換可能に取り外し可能であり得る。
【0029】
ハンドヘルド装置100は、本体102の第一端部104においてヘッド110から外向きに延在する第二対のアーム132a、132bを含む。第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bは、本体102の幅122に関して互いから横方向に離間している。第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bの各々は、アーム132a、132bの遠位端136a、136bにそれぞれの終端134a、134bを有する。第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bの各々は、アーム132a、132bのそれぞれの終端134a、134bに少なくとも近接して配置されたそれぞれの電極138a、138bを有するか、又は保持するか、又はさもなければ担持する。電極138a、138bは、好ましくはそれぞれのアーム132a、132bに固定され、それと共に移動する。いくつかの実装形態では電極138a、138bはそれぞれのアーム132a、132bから交換可能に取り外し可能であり得る。
【0030】
第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bは、第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bに対して移動可能である。例えば、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bは第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bに対して移動可能であり、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bの、又は、アーム132a、132bによって保持される、もしくは担持される電極138a、138bと、第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bの、又は、アーム124a、124bによって保持される、もしくは担持される電極130a、130bとの間の間隔140(図1F及び1G及び2A及び2Bに最もよく見られる)を変化させる。また、例えば、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bは、第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bに対して旋回可能であり、第二対のアーム132a、132bの、又は、第二対のアーム132a、132bによって保持される、もしくは担持される電極138a、138bと、第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bの、又は、アーム124a、124bによって保持される、もしくは担持される電極130a、130bとの間の角度142(図1F及び1G及び2A及び2Bに最もよく見られる)を変化させる。
【0031】
少なくとも1つの実装形態では、1対のアーム(例えば、第一対のアーム124a、124b)は本体102に対して固定されるか、又はさもなければ移動可能ではなく、一方、他の対のアーム(例えば、第二対のアーム132a、132b)は本体102に対して移動可能であり、例えば、本体に対して旋回可能である。他の実装形態ではアームの両方の対124a、124b;132a、132bは本体102に対して、したがって互いに対して移動可能であり得る。少なくともいくつかの実装形態では、固定されるか又は旋回しないアーム124a、124bはそれぞれ、基部から電極130a、130bの幾何学的中心まで約28.4プラス又はマイナス0.5ミリメートルの長さを有し得る。少なくともいくつかの実装形態では、可動又は旋回可能であるアーム132a、132bはそれぞれ、基部から電極138a、138bの幾何学的中心まで約27.7プラス又はマイナス0.5ミリメートルの長さを有し得る。
【0032】
少なくともいくつかの実装形態では、電極130a、130b、138a、138bの各々は例えば、本体102の長さ108に対して主に横方向に延在する対称軸又は回転軸を有する、例えば、切頭放物面又はそうでなければ弾丸の外形を有する、概ね円錐台形状を有する。対称軸又は回転軸は任意選択で、ハンドヘルド装置100の前部から後部に向かう方向にわずかに角度を付けてもよく、例えば、電極130a、130b、138a、138bは、ハンドヘルド装置100の中心線に向かってトーイン(又は、内股/toe in)、又はわずかに角度を付けてもよい。少なくともいくつかの実装形態では、弾丸形電極130a、130b、138a、138bの各々は約20.76ミリメートルプラス又はマイナス0.5ミリメートルの幅(すなわち、横方向に測定される)を有する。少なくともいくつかの実装形態では、弾丸形電極130a、130b、138a、138bの各々は約13.85ミリメートルプラス又はマイナス0.5ミリメートルの直径を有する外側部分(本体102に対して横方向外向き)を有する。電極対130a、130b;138a、138bのそれぞれについて、電極対130a、130b;138a、138bの電極間の横方向分離(すなわち、内側エッジから内側エッジまで測定される)は例えば、約8.47プラス又はマイナス1.0ミリメートルであり得る。
【0033】
少なくともいくつかの実装形態では、電極130a、130b、138a、138bの各々はそれぞれの幾何学的中心を有し、第二対の電極の電極138a、138bの幾何学的中心と、第一対の電極の電極130a、130bの対応するものとの間の距離が、回転されていない向き(又は、非回転配向/un-rotated orientation)において約34.8ミリメートルプラス又はマイナス0.5ミリメートルであり、完全に回転された向き(又は、完全回転配向/fully rotated orientation)において約45.0ミリメートルプラス又はマイナス0.5ミリメートルである。少なくともいくつかの実装形態では、電極130a、130b、138a、138bの各々はそれぞれの幾何学的中心を有し、第二対の電極の電極138a、138bと第一対の電極の電極130a、130bの対応するものとの間の角度が、回転されていない向き(図1F図2A)において約63.4度プラス又はマイナス0.5度であり、完全に回転された向き(図1G図2B)において約88.5度プラス又はマイナス0.5度である。
【0034】
電極130a、130b、138a、138bは導電性である。例えば、電極130a、130b、138a、138bは、ニッケルを含まないか、又は他のステンレス鋼(例えば、オーステナイト系ステンレス鋼)と比較して低いニッケル含有量を有するステンレス鋼(例えば、420W)を有利に含み得る。少なくともいくつかの実装形態では、少なくとも1つの対のアーム124a、124b;132a、132bの電極130a、130b、138a、138b、及び好ましくは両方の対のアーム124a、124b、132a、132bの電極130a、130b、138a、138bはそれぞれ、有利には粗い露出表面を有する。電極130a、130b、138a、138bは例えば、粗い露出表面を作り出すために研磨材でサンドブラストされた外面を有し得る。電極130a、130b、138a、138bの表面粗さは、電極ごとに変化することができ、及び/又は所与の電極130a、130b、138a、138bの部分にわたって変化し得る。表面粗さのいくつかのサンプル測定は、約0.29ミクロン~約1.15ミクロン(両端を含む)の粗さ深さを含み得る。
【0035】
図1Aに最もよく示されるように、ハンドヘルド装置100は、本体102の外部152からアクセス可能なユーザインターフェース150を任意に含み得る。ユーザインターフェース150は例えば、本体102の上面116上に、又はその中に担持され得る。ユーザインターフェース150はハンドヘルド装置100を操作するために係合可能な、いくつかのユーザ選択可能な制御部(例えば、ボタン、キー、スイッチ)を含み得る。例えば、ユーザインターフェース150は例えば、ハンドヘルド装置100をオン状態又は電源入状態とオフ状態又は電源切状態との間で切り替えるための電源ボタン154を含み得る。また、例えば、ユーザインターフェース150は、例えば、ハンドヘルド装置100に、ハンドヘルド装置100を使用してフェイシャルスカルプティング運動が実行されて動作の機構(運動学)として筋肉を物理的に長くしたり短くしたりする第一動作モードに入らせるための第一モードボタン(LIFT)156を含むことができる。第一モードボタン(LIFT)156の連続的な作動は、第一モードで動作している間、電極130a、130b、138a、138bを介して送達される微小電流信号の振幅又は大きさを制御するために、微小電流振幅又は大きさのレベルのセットを通して連続的にトグル(toggle)し得る。また、例えば、ユーザインターフェース150は、例えば、ハンドヘルド装置100に、装置がミトコンドリアを刺激し、循環利益(circulatory benefit)を達成する第二動作モードに入らせるための第二モードボタン(SKIN)158を含むことができる。第一モードボタン(SKIN)158の連続的な作動は、第二モードで動作している間、電極130a、130b、138a、138bを介して送達される微小電流の振幅又は大きさを制御するために、微小電流信号の振幅又は大きさのレベルのセットを通して連続的にトグルし得る。
【0036】
ユーザインターフェース150は例えば、ユーザに視覚的及び/又は聴覚的指示を提供するために、いくつかの出力デバイス又は構成要素(例えば、ライト、LED、スピーカ)を含み得る。例えば、ユーザインターフェース150は、ハンドヘルド装置100が現在動作している動作モードを示す一対の動作モードインジケータ160a、160bを含み得る。動作モードインジケータ160a、160bは、第一及び第二モードボタン156、158のそれぞれのものに組み込むことができる。また、例えば、ユーザインターフェース150は、ハンドヘルド装置100の電源(例えば、二次電池)の充電状態を、例えば、1~5のスケールで示す充電レベルインジケータ162を含み得る。また、例えば、ユーザインターフェース150は皮膚と接触し、オン又は電源入動作状態にあるときに、電極130a、130b、138a、138b間の導通(又は、連続性/continuity)の有無を示す一対の導通インジケータ164a、164bを含み得る。そのようなことは、有利にはハンドヘルド装置100が皮膚に正しく適用され、2対の電極130a、130b、138a、138bを介して微小電流信号を送達するように動作可能であるという明確な指示をユーザに提供する。
【0037】
図2Aは、第一対のアーム124a、124bに対して回転されていない向き又は構成にある第二対のアーム132a、132bを示す、図1Aのハンドヘルド装置100を示す。図2Bは、第一対のアーム124a、124bに対して完全に回転された向き又は構成にある第二対のアーム132a、132bを示す、図1Aの装置を示す。
【0038】
図2A及び図2Bに最もよく示されるように、ハンドヘルド装置100は、本体102によって収容される少なくとも1つの付勢機構200をさらに備える。少なくとも1つの付勢機構200は、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bのそれぞれの終端134a、134bを、第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bのそれぞれの終端126a、126bに向かって付勢するように結合される。少なくともいくつかの実装形態では、少なくとも1つの付勢機構200が第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bの各々のためのそれぞれの付勢機構200を備える。あるいは、単一の付勢機構200を用いて、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bの両方を付勢し得る。
【0039】
各付勢機構200はそれぞれ、少なくとも1つのバネ202(例えば、コイルバネ、板バネ、引張バネ)と、任意選択でレバー204とを含むことができ、バネ202は、それぞれのレバー204と本体102のアンカー機構206との間に結合される。少なくとも1つの付勢機構200は、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bのそれぞれの終端134a、134b及び電極138a、138bを、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bのそれぞれの終端134a、134b及び電極138a、138bが第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bのそれぞれの終端126a、126b及び電極130a、130bに対して最小の許容距離にある、回転されていない向き又は構成(図1F、2A)に向かって付勢する。少なくともいくつかの実装形態では、バネ202(例えば、引張バネ)は、例えば、約1.881.95kgf/mm~約1.95kgf/mmの比例定数又はK値を有し得る。そのようなものは、第二対の電極138a、138bが運動学的効果を誘発するために身体組織を伸張及び/又は圧迫するために、デフォルトの回転されていない位置又は向きから変位されるとき、使用中に、身体組織(例えば、皮膚組織、腱を含む皮膚組織の下にある筋肉)に張力を有利に適用する。少なくともいくつかの例では使用中に、第二対のアーム132a、132bは回転されていない向き又は構成(図1F、2A)と完全に回転された向き又は構成(図1G、2B)との間で部分的に回転され得ることに留意されたい。使用時には、第二対の電極138a、138bが筋肉と係合する(例えば、つかむ)と、ハンドヘルド装置100の本体102が上向きの間、バネ202は、第二対の電極138a、138bが組織と接触したままであることを可能にする(又は、使用時には、第二対の電極138a、138bが筋肉と係合する(例えば、つかむ)と、バネ202は、第二対の電極138a、138bが組織と接触したまま、ハンドヘルド装置100の本体102は上へ向かうことを可能にする)。第二対のアーム132a、132bの延長(例えば、完全な延長)に達すると、第一対のアーム124a、124bの電極130a、130bは組織(例えば、顔)と静かに接触する。第二対のアーム132a、132bの電極138a、138bは張力を受けているので、特定の(又は、指定された)力で筋肉を連続的に上方に押して、運動学的スカルプティングを促進する。
【0040】
図2A及び図2Bに最もよく示されるように、装置は、第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bのそれぞれの終端134a、134b及び電極138a、138bが第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124bのそれぞれの終端126a、126b及び電極130a、130bに対して最大の許容距離及び/又は最大の許容角度にある、完全に回転された向き又は構成(図1G)を設定するために、回転されていない向き又は構成(図1F)から離れるときの第二対のアーム132a、132bの移動(又は、移動距離/行程/travel)を制限する1つ又は複数の停止部208をさらに含むことができる。
【0041】
図3Aは、上側シェル300aをより良く示す第一分解図における図1Aの装置を示す。図3Bは、下側シェル300bをより良く示す第二分解図における図1Aの装置を示す。
【0042】
本体102はシェル、例えば、回路304を収容する内部302、電源306、電源306をぴったりとした位置に保持する弾性クッション305、再充電回路307などを有する、上側シェル300a、下側シェル300b、及び任意選択の中間シェル300cを備える、例えば多部品シェルとして形成し得る。いくつかの実装形態では、上側シェル300aが、中間シェル300cを間に配置した状態で、1つ又は複数の締結具309(1つのみをコールアウト、例えば、ねじ、ボルト)を介して下側シェル300bに結合される。他の実装形態では、中間シェル300cは省略され得る。本体102は、様々な回路構成要素との潜在的な接触からユーザを保護し、及び/又は回路構成要素(例えば、プリント回路基板(PCB)、電源(例えば、化学電池セル、燃料電池、スーパーキャパシタ又はウルトラキャパシタ)、配線、ライト、スピーカ、触覚エンジン)及び/又は機械構造のための環境保護を提供する電気絶縁エンクロージャを提供する部分を含み得る。例えば、本体102は電気絶縁材料、例えば、射出成形プラスチック(例えば、ABSプラスチック)シェルから形成された内側シェル308a、308b、308cを含み得る。本体102は任意選択で、外側シェル310a、310b、例えば、内側シェル308a、308b(例えば、内部プラスチックシェル)のそれぞれのものを覆う金属シェルを含み得る。そのようなものは、有利には制御された動きでハンドヘルド装置100を物理的に操作することをより容易にするために、耐摩耗性を増加させ、及び/又はいくらかの質量を提供し得る。したがって、少なくともいくつかの実装形態では上側シェル300aが外側シェル310a及び内側シェル308aから構成され、下側シェル300bは外側シェル310b及び内側シェル308bから構成される。ハンドヘルド装置100は、例えば、第一対のアーム124a、124b及び/又は第二対のアーム132a、132bが本体102に接合又は進入する各位置146に、いくつかのシール(例えば、ガスケット、Oリング)144を含んで環境保護を強化し得る。少なくとも第二対のアーム132a、132bが本体102に接合又は進入する位置に配置されるジョイント148があり、第二対のアーム132a、132bが本体102に対して、及び第一対のアーム124a、124bに対して移動(例えば、旋回、回転)することを可能にする。
【0043】
ハンドヘルド装置100は、任意選択で、第一対のアーム124a、124bの電極130a、130b、及び第二対のアーム132a、132bの電極138a、138bに通信可能に結合された回路304を含む。回路304は、第一及び第二対のアーム124a、124b;132a、132bによって保持される電極130a、130b;138a、138bを介して少なくとも1つの微小電流信号を送達するように動作可能である。回路304は、本体102によって収容し得る。前述のように、本体102の一部分は、様々な回路構成要素との潜在的な接触からユーザを保護し、及び/又は回路304のための環境保護を提供する電気絶縁エンクロージャ、例えば、電気絶縁材料、例えば、射出成形プラスチック(ABSプラスチック)シェルから形成された内側シェル308a、308b、308cを提供し得る。
【0044】
回路304は例えば、i)第一対の電極130a、130bの電極のうちの第一のものと、第二対の電極138a、138bの電極のうちの第一のものとの間の第一微小電流信号と、ii)第一対の電極130a、130bの電極のうちの第二のものと、第二対の電極138a、138bの電極のうちの第二(「第一」の誤記?)のものとの間の第二微小電流信号と、iii)第一対の電極130a、130bの電極のうちの第一のものと、第二対の電極138a、138bの電極のうちの第二のものとの間の第三微小電流信号と、iv)第一対の電極130a、130bの電極のうちの第二のものと、第二対の電極138a、138bの電極のうちの第二のものとの間の第四微小電流信号とを送達するように動作可能であり得る。少なくともいくつかの実装形態又は構成では、回路304が第一微小電流信号と、第二微小電流信号と、第三微小電流信号と、第四微小電流信号とを互いと同時に送達するように動作可能である。回路304は例えば、ユーザインターフェース150(図1A)を介して受信された入力に基づいて、微小電流の振幅又は大きさを調整するように動作可能であり得る。
【0045】
少なくともいくつかの実装形態又は構成では、回路304が第一微小電流信号を第一組の周波数で送達し、第二微小電流信号、第三微小電流信号、又は第四微小電流信号のうちの少なくとも1つを第二組の周波数で送達するように動作可能であり、第二組の周波数は第一組の周波数とは異なる。
【0046】
少なくともいくつかの実装形態又は構成では、回路304が第一微小電流信号を第一組の周波数で送達し、第二微小電流信号を第二組の周波数で送達し、第三微小電流信号を第三組の周波数で送達し、第四微小電流信号を第四組の周波数で送達し、第二組の周波数は第一組の周波数とは異なり、第三組の周波数は第一及び第二組の周波数とは異なり、第四組の周波数は第一、第二及び第三組の周波数とは異なる。
【0047】
回路304は、周波数発生器、パルス発生器、パルスエンベロープ発生器、及び300Hzまでで約20μAから約400μAまでの制御された電流を各チャネルに提供するためのコントローラを含み得る。回路304は、電源又は動力源に電気的に結合され、そこから電力を受け取る。2つ以上の周波数が使用されて、干渉波形を提供する。
【0048】
図4Aは、少なくとも1つの図示された実装形態による、システム101(図1A~1G)、501(図5)の回路400を示す。回路400は、回路304の一部を形成し得る(図3A)。
【0049】
回路400は、マイクロプロセッサ制御ユニット(「MCU」)402を含む。MCU402は例えば、キー、ボタン159、156、158、又はユーザインターフェース150(図1A)の他のユーザ入力デバイスを介して、様々なスイッチから入力を受信し、ユーザインターフェース150(図1A)の様々なインジケータ(例えば、LED、LCD、スピーカ)160a、160b、162、164a、164b、166、又は他の出力デバイスに信号を提供する。MCU402は様々なセンサー(例えば、導通センサー、電流センサー、電圧センサー)から入力を受信し、電源306から電力を受信する(図3A)。
【0050】
回路400は、以下に説明するように2つの別個の部分を有し得る駆動回路404を含む。使用中、MCU402はパルス幅変調信号(VOL PWM)を駆動回路404に提供し、これは、図4B及び図4Cにそれぞれより詳細に表されている。駆動回路404は電源から電力VCCを受け取り、微小電流信号(A/B;C/D)を電極406(例示を容易にするために集合的に示される)に供給する。駆動回路404はまた、微小電流信号A/Bを監視し、MCU402にステータス信号(EMS_STATUS-A;EMS_STATUS-B)を提供し得る。
【0051】
図4Bは、少なくとも1つの例示的な実施形態による、システム101(図1A~1G)、501(図5)の駆動回路404の第一部分404aを詳細に示す。駆動回路404の第一部分404aは、回路304の一部を形成し得る(図3A)。
【0052】
駆動回路404の第一部分404aは4つのトランジスタQ102、Q103、Q104、Q105によって形成されるブリッジ408aを含み、これは、ゲート駆動信号A+、A-、B+、B-によって駆動されて、コンデンサC102、C111を介して接地に結合されるノード又は端子T7、T8を介して微小電流信号を提供する。追加のノード又は端子(例えば、T6)は、微小電流信号の追加のチャネルを提供するために任意選択で含まれ得る。ゲート駆動信号A+、A-、B+、Bは、微小電流信号の周波数変調を提供する。
【0053】
駆動回路404の第一部分404aは、抵抗器R122を介して接地に結合されるトランジスタQ001と、感知電流出力I_SENAを提供するコンデンサC115とからなる大きさ調整回路410aを含む。トランジスタQ001は、抵抗R105を介してトランジスタQ001のゲートに印加される電圧比較器U001の出力端子1を介して生成されるゲート駆動信号を介して駆動される。電圧比較器U001は、比較器U001の一方の入力端子3に供給されるパルス幅変調(PWM)信号VOL_PWMと、比較器U001の他方の入力端子4に供給される感知電流I_SENSAとを比較する。比較器U001は、標準VOL_PWMと比較される電圧サンプリング値I_SENSが反転端子に入力され、出力端子がトランジスタQ001のゲートを制御するように結合され、微小電流信号の電流レベルの正確な制御を達成する、演算増幅器を介して実装され得る。抵抗器R139、R140、R141、R112、R113及びコンデンサC118、C119のネットワークは、PWM信号VOL_PWM及び感知電流I_SENSAを比較器U001に結合する。
【0054】
駆動回路404の第一部分404aは、状態(又は、ステータス)信号(EMS_STATUS-A)をMCU402に提供する状態監視回路412aを含む(図4A)。状態監視回路412aは、比較器U007を用いて、主チャネル(A)の微小電流出力を監視する。
【0055】
図4Cは、少なくとも1つの例示的な実施形態による、システム101(図1A~1G)、501(図5)の駆動回路404の第二部分404bを詳細に示す。駆動回路404の第二部分404bは、回路304の一部を形成し得る(図3A)。
【0056】
駆動回路404の第二部分404bは4つのトランジスタQ107、Q109、Q110、Q111によって形成されるブリッジ408bを含み、これは、ゲート駆動信号C+、C-、D+、D-によって駆動され、コンデンサC112、C113を介して接地に結合されるノード又は端子T11、T12を介して微小電流信号を提供する。追加のノード又は端子(例えば、T9)は、微小電流信号の追加のチャネルを提供するために任意選択で含まれ得る。ゲート駆動信号C+、C-、D+、D-は、微小電流信号の周波数変調を提供する。
【0057】
駆動回路404の第二部分404bは、抵抗器R159を介して接地に結合されるトランジスタQ002と、感知電流出力I_SENBを提供するコンデンサC128とから構成される大きさ調整回路410bを含む。トランジスタQ002は、抵抗R160を介してトランジスタQ002のゲートに印加される電圧比較器U002の出力端子1を介して生成されるゲート駆動信号を介して駆動される。電圧比較器U002は、比較器U002の一方の入力端子3に供給されるパルス幅変調(PWM)信号VOL_PWMと、比較器U002の他方の入力端子4に供給される感知電流I_SENSBとを比較する。比較器U002は、標準VOL_PWMと比較される電圧サンプリング値I_SENSが反転端子に入力され、出力端子がトランジスタQ002のゲートを制御するように結合され、微小電流信号の電流レベルの正確な制御を達成する、演算増幅器を介して実装され得る。抵抗器R161、R162、R163、R164、R165及びコンデンサC130、C131のネットワークは、PWM信号VOL_PWM及び感知電流I_SENSBを比較器U002に結合する。
【0058】
駆動回路404の第二部分404bは、状態信号(EMS_STATUS-B)をMCU402に提供する状態監視回路412bを含む(図4A)。状態監視回路412bは、比較器U003を使用して、主チャネル(B)の微小電流出力を監視する。
【0059】
回路400は、被験者の身体組織内の流体の流れを助けてATP生成を高め、したがって組織の修復を促進するために、低周波数波形及び振幅波形を提供する。装置100は、パルス間の強制的な休止を伴う微小電流のパルスエネルギーエンベロープを提供する。波形は、好ましくは50パーセントのデューティサイクル方形波によって変調される。
【0060】
回路400は例えば、アナログ出力回路及び計装回路を制御するマイクロプロセッサ制御ユニット(「MCU」)と、電源と、ユーザインターフェース(例えば、ディスプレイ又は視覚インジケータ(例えば、LED)及びボタン又はキーを有する制御パネル)と、任意選択でオーディオスピーカとを含み得る。アナログ出力回路は、微小電流信号を電極に伝達するための多数の出力リード11を含む。MCUは、マイクロプロセッサ、揮発性メモリ、例えばランダムアクセスメモリ(「RAM」)、不揮発性メモリ、例えば読み出し専用メモリ(「ROM」)又はフラッシュメモリ、アナログデジタル変換(「ADC」)、デジタルアナログ変換(「DAC」)、計算、時間保持及び通信構成要素を含み得る。
【0061】
電源は、高電圧出力演算増幅器(図示せず)に対してプラス又はマイナス32ボルトを、計装演算増幅器に対してプラス又はマイナス9ボルトを、マイクロプロセッサに対して5ボルトを生成し得るスイッチング電源の形態をとり得る。電力は、12ボルトの公称作動電圧を有する電池によって、又は任意の他の供給源によって供給し得る。電源はボタンによってオンにされ、好ましくは波形が生成されていない場合、約6分後に自動的にオフにされる。マイクロプロセッサは、電源装置のオンオフ状態を制御することもできる。
【0062】
アナログ出力回路は、MCUの制御下で、チャネルにわたって電流を供給するために使用される。回路は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,817,138号又は欧州特許第1009478号に図示及び記載されているものと同様であり得る。出力段は、30ボルトで180μAの最大電流能力を有する電圧制御定電流構成における演算増幅器(オペアンプ)を備えることができる。
【0063】
MCUはオペアンプの出力電流を設定するために、オペアンプに接続されたDACを使用して電圧を制御する。DACは、電流のプログラム可能なランプアップを可能にする。インライン電圧乗算器は出力段のオン/オフ状態及び極性を制御する。出力電流の流れは、電圧が設定された後、オペアンプ回路でのみ制御される。
【0064】
ユーザインターフェース又は制御パネルは特定の処置のために予め決められたパラメータ群である所望のパラメータ及び予めプログラムされた処置設定の選択又は入力を可能にし、時間、電流、電圧などの様々な処置パラメータを表示できる。便利なボタンはデバイスの電源を入れたり、パラメータや設定を入力したりするために使用する。
【0065】
マイクロプロセッサは、選択されたエンベロープ、変調周波数、及び極性を有する波形を生成し得る。各チャンネルは個別に制御できる。各出力チャネルは別個の演算増幅器回路であり、信号配線は例えば、チャネル間で1Megオームを使用して、他のチャネルから物理的に絶縁される。
【0066】
微小電流デバイスの電気出力は、10kオーム抵抗の両端で測定された電流を表す波形である。波形は、典型的には複素波形である。一般に、全ての波形は選択可能な所定の波形エンベロープからなり、選択された周波数の50%デューティ(又は、50%のデューティ比の)の方形波で変調される。
【0067】
一実装形態では、(2つの完全なサイクルの)標準波形が0.5秒の休止を伴う2.0秒の負の方形波、次いで2.0秒の正の波形のエンベロープからなる。例えば、この波形エンベロープは、2.2Hzの周波数50%デューティサイクル信号によって変調し得る。2.2Hz及び1.3Hz信号の変調周波数は出力波形の周波数が選択可能ですなわち、他の変調周波数が選択可能であると称される。波形エンベロープは周波数によって変化せず、常に2.0秒の方形波、0.5秒の休止、さらに2.0秒の方形波、0.5秒の休止などに固定される。本明細書で使用される場合、パルスは1サイクル、例えば、負極性の波形エンベロープ又は正極性の波形エンベロープである。
【0068】
MCU10は、システム101(図1A)、501(図5)を実行するためのインテリジェンスを供給する。制御機能に加えて、MCUはユーザインターフェースから入力を受け取り、出力をユーザに提供する。
【0069】
MCUは、H-ブリッジ回路を設定して、ユーザが選択した電流量を供給する。電流は、H-ブリッジフィードバック回路によって一定モードで制御される。電流の振幅又は大きさは、例えば、制御電圧をH-ブリッジオペアンプに設定することによって、40μA、80μA、100μA、160μA、及び180μAの5つの離散ステップで選択し得る。これは、関連するオペアンプフィードバック回路を介して達成し得る。電流は安全を確保するために回路を使用するいかなる状況においても、選択された設定値又は指定された最大値(例えば、180μA)を超え得ない。
【0070】
波形エンベロープは、MCUパルス幅変調器「PWM」と、最大電流出力を設定するアナログスイッチを供給するフィルタ回路とによって制御される。これは、最大限の電流が選択された後(スイッチによって)、必要に応じて減少させて、マイクロプロセッサによってそのPWM出力を用いて波形を制御し得ることを意味する。
【0071】
MCUは、1つのAチャネルと1つのBチャネルの出力回路を介してH-ブリッジを制御する。装置は基本的に、図示されたA及びBチャネルの各々に従って、出力電流信号のための4つのチャネルを有する。「A」出力を持つすべてのチャンネルは同じで、「B」出力を持つすべてのチャンネルは同じである。
【0072】
出力電流の極性は、出力回路内のアナログスイッチとの出力トランジスタ接続を逆にすることによって、H-ブリッジ内で制御される。出力周波数は選択された周波数が必要とするように(又は、選択された周波数による必要性に応じて)、これら両方のスイッチをオンとオフで循環させることによって制御される。通常、電流の流れに対して、一方のスイッチはオンであり、他方のスイッチはオフである。
【0073】
指令された全てのH-ブリッジ回路は、ユーザによって選択されたものと同じ電流、例えば40~180マイクロアンペアを生成する。
【0074】
すべてのサイドAチャネルは同じ信号で駆動され、すべてのBチャネルは異なる同じ信号で駆動される。したがって、サイドA出力は、サイドB出力とは異なる出力周波数特性を生成する。各チャネルは必要に応じて、各チャネルが異なる出力周波数特性を有するように、個別にプログラムし得る。典型的には4つのチャネル(サイドA)が1つの出力周波数特性を有し、他の4つのチャネル(サイドB)は第二周波数特性を有する。
【0075】
図5はハンドヘルド装置500及びコンソール502を備えるシステム501を示し、ハンドヘルド装置500はコンソール502に通信可能に結合され、システム501は例示される一実装形態によれば、腱を含む筋肉及び皮膚組織を介して微小電流を送達するように、及び/又は運動学的スカルプティングを提供するように動作可能である。
【0076】
コンソール502は皮膚又は他の身体組織に適用するために、ハンドヘルド装置500の電極130a、130b、130c、130dに微小電流信号を生成して供給する回路及び/又は電子機器(例えば、回路304、図3A;回路400、図4A~4C)のすべて又はいくつかを含み得る。したがって、例えば、そのような回路及び/又は電子機器がコンソール502によって含まれるか又は収容される場合、ハンドヘルド装置500は、前述の実装形態から、回路及び/又は電子機器のすべて又は一部を省略することができる。ハンドヘルド装置500は本体102、ヘッド110、及び、電極130a、130b、130c、130dとともに、第一対のアーム124a、124bのアーム124a、124b及び第二対のアーム132a、132bのアーム132a、132bを含み、ここで、少なくとも1つの対のアーム124a、124b;132a、132bは図1A~1G、2A、2B、及び3Aの実装形態のものと同様に、他の対のアーム124a、124b;132a、132bに対して移動可能(例えば、旋回可能)である。特に、少なくとも1つの対のアーム132a、132bは、他の対のアーム124a、124bに対して、規定された運動範囲(例えば、規定された回転範囲又は間隔)内で移動可能である。
【0077】
コンソール502は例えば、MCU402(図4A)と同様又は同一のマイクロプロセッサ制御ユニット(「MCU」)を含み得る。コンソール502は例えば、駆動回路404(図4A)と同様又は同一の駆動回路を含み得る。コンソール502は例えば、ユーザインターフェース506の様々なスイッチ(例えば、キー、ボタン、トリガ)又は他のユーザ入力デバイス、例えば、電源スイッチ508、一時停止スイッチ510、レベル又は大きさ減少スイッチ512、レベル又は大きさ増加スイッチ514、モード選択スイッチ516、プログラム選択スイッチ518及びオプション選択スイッチ520を含み得る。コンソール502は例えば、ユーザインターフェース150の様々なインジケータ(例えば、LED、LCD、スピーカ)又は他の出力デバイス、例えば、ディスプレイパネル522及びスピーカ524を含み得る。あるいは、ハンドヘルド装置500がスイッチ及び/又はインジケータのうちの1つ、複数、又はすべてを担持することができる。コンソール502は例えば、様々なセンサー(例えば、導通センサー、電流センサー、電圧センサー)を含み得る。あるいは、ハンドヘルド装置500が1つ、複数、又はすべてのセンサー(例えば、導通センサー、電流センサー、電圧センサー)を含み得る。
【0078】
ハンドヘルド装置500は、1つ又は複数のワイヤ又はケーブル526を介してコンソール502に通信可能に結合され得る。例えば、コンソール502及び/又はハンドヘルド装置500は1つ又は複数のワイヤ又はケーブル526が取り外し可能又は永続的に結合される、1つ又は複数のポート528a、528b(例えば、有線ポート、例えば、USB-C準拠ポート又はコネクタ)を含み得る。ワイヤ又はケーブル526は例えば、コンソール502からハンドヘルド装置500の電極130a、130b、130c、130dに微小電流を供給し得る。ワイヤ又はケーブル526は例えば、任意選択で、ハンドヘルド装置500からコンソール502に信号、例えば、コンソール502によって収容されたセンサー又はハンドヘルド装置500によって収容されたセンサーのいずれかに、導通、電流、又は電圧を示す信号を供給し得る。追加又は代替として、無線機(又は、ラジオ)、送信機、受信機、及び/又はトランシーバは、ハンドヘルド装置500をコンソール502と通信可能に結合し得る。例えば、いくつかの実装形態では無線機、送信機、受信機、及び/又はトランシーバはハンドヘルド装置500とコンソール502との間で感知情報を送信するために使用され得る。
【0079】
本明細書に記載されるのは、有利にはハンドヘルド本体から延びるそれぞれのアームによって取り付けられ、又は担持される2対の電極を有するハンドヘルド本体の形態をとる装置の実装及び実施形態であり、少なくとも1対のアームは、ハンドヘルド本体に対して、したがって、2つの別個のチャネルを介して、及び2つの別個のチャネル間の干渉信号を介して微小電流信号を送達するように動作可能な他の対のアームに対して、移動可能(例えば、旋回可能、回転可能)であり、運動学的フェイシャルスカルプティング適用を容易にする。
【0080】
上述の方法は追加の行為を含むことができ、いくつかの行為を省略することができ、異なる順序で行為を実行し得ることは明らかである。
【0081】
前述の詳細な説明は、ブロック図、概略図、及び実施例を使用することによって、装置及び/又はプロセスの様々な実装形態を示している。これらのブロックダイヤグラム、概略図及び実施例は1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含んでいるが、当業者には明らかなように、これらのブロックダイヤグラム、流れ図及び実施例におけるそれぞれの機能及び/又は動作は個々に及び/又は一括して、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は事実上任意のこれらの組み合わせによって実装し得る。一実装形態では、本主題が特定用途向け集積回路(ASIC)を介して実装され得る。しかしながら、本明細書に開示される実装は全体的に又は部分的に、標準的な集積回路において、1つ又は複数のコンピュータ上で実行される1つ又は複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は複数のコンピュータシステム上で実行される1つ又は複数のプログラムとして)、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)上で実行される1つ又は複数のプログラムとして、ファームウェアとして、又はそれらの実質的に任意の組合せとして、等価的に実装されることができ、ソフトウェア及び/又はファームウェアのための回路を設計すること及び/又はコードを書き込むことは、本開示に照らして、十分に当業者の技術の範囲内であることを認識されたい。
【0082】
当業者は本明細書に記載された方法又はアルゴリズムの多くが、追加の行為を採用してもよく、いくつかの行為を省略してもよく、及び/又は指定されたものとは異なる順序で行為を実行してもよいことを認識するであろう。
【0083】
加えて、当業者は、本明細書で教示される機構が様々な形態でプログラム製品として配布されることが可能であり、例示的な実装形態が配布を実際に実行するために使用される特定のタイプの信号担持媒体にかかわらず等しく適用されることを理解するであろう。信号担持媒体の例としてはフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ、CDROM、デジタルテープ、及びコンピュータメモリなどの記録可能なタイプの媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
上述の様々な実装形態は、さらなる実装形態を提供するために組み合わせることができる。本明細書の特定の教示及び定義と矛盾しない限り、米国特許出願公開5,817,138、国際特許出願公開WO1998023326 A1、EP特許EP1009478 B1、及び米国特許出願18/148,140を含む、本明細書で言及される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願公開、外国特許、外国特許出願、及び、非特許公開のすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実装形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物のシステム、回路、及び概念を採用して、さらに別の実装形態を提供するように修正され得る。
【0085】
これら及び他の変更は、上記の詳細な説明に照らして、実装形態に対して行うことができる。概して、以下の特許請求の範囲では、使用される用語が特許請求の範囲を、本明細書及び特許請求の範囲で開示される特定の実装形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、すべての可能な実装形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
【外国語明細書】