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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024096158
(43)【公開日】2024-07-12
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20240705BHJP
   H04N 25/53 20230101ALI20240705BHJP
   H04N 25/589 20230101ALI20240705BHJP
   H04N 25/704 20230101ALI20240705BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/53
H04N25/589
H04N25/704
H01L27/146 D
H01L27/146 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066068
(22)【出願日】2024-04-16
(62)【分割の表示】P 2023035411の分割
【原出願日】2015-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
(57)【要約】
【課題】1つの画素にある2つの光電変換部の蓄積時間をそれぞれ変更して撮像を行うことは困難である。
【解決手段】マイクロレンズを透過した光を電荷に変換して蓄積する第1光電変換部および第2光電変換部と、第1光電変換部から電荷を転送する第1転送部と、第1転送部に制御信号を伝える第1転送制御線と、第2光電変換部から電荷を転送する第2転送部と、第1転送制御線と別に設けられ、第2転送部に制御信号を伝える第2転送制御線と、を備え、第1転送制御線および第2転送制御線は、第1光電変換部および第2光電変換部に対してマイクロレンズを透過した光の入射側と反対側に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射される複数のマイクロレンズと、
前記複数のマイクロレンズのうち第1マイクロレンズからの光を電荷に変換する第1光電変換部と、
前記第1マイクロレンズからの光を電荷に変換する第2光電変換部と、
前記第1光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間と、前記第2光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間とが異なる蓄積時間になるように制御する走査回路部と
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記複数のマイクロレンズのうち、前記第1マイクロレンズの隣に配置される第2マイクロレンズからの光を電荷に変換する第3光電変換部と、
前記第2マイクロレンズからの光を電荷に変換する第4光電変換部と
を備え、
前記走査回路部は、前記第3光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間と、前記第4光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間とが異なる蓄積時間になるように制御する、
撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1マイクロレンズからの光が入射されるフィルタであって、第1分光特性を有する第1フィルタと、
前記第2マイクロレンズからの光が入射されるフィルタであって、前記第1分光特性とは異なる第2分光特性を有する第2フィルタと
を備える撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
光を遮る部材であって、前記第1フィルタと前記第2フィルタとの間に配置される遮光部を備える撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷を転送する第1転送部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷を転送する第2転送部と
を備え、
前記走査回路部は、前記第1光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間と、前記第2光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間とが異なる蓄積時間になるように前記第1転送部と前記第2転送部とを制御する、
撮像素子。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子において、
前記走査回路部と前記第1転送部とを電気的に接続する配線であって、前記第1転送部を制御する制御信号が出力される第1転送制御線と、
前記走査回路部と前記第2転送部とを電気的に接続する配線であって、前記第2転送部を制御する制御信号が出力される第2転送制御線と
を備える撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは、前記第1マイクロレンズからの光が入射する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有する受光層に配置され、
前記第1転送制御線と前記第2転送制御線とは、前記受光層の前記第2面側に配置される、
撮像素子。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像素子において、
前記第1転送部と前記第2転送部とは、前記受光層の前記第2面側に配置される、
撮像素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で変換された電荷が転送される第1電荷電圧変換部と、
前記第2光電変換部で変換された電荷が転送される第2電荷電圧変換部と
を備える撮像素子。
【請求項10】
請求項9に記載の撮像素子において、
前記第1電荷電圧変換部の電位をリセットする第1リセット部と、
前記第2電荷電圧変換部の電位をリセットする第2リセット部と
を備える撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2光電変換部の受光面積は、前記第1光電変換部の受光面積とは異なる、
撮像素子。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【請求項13】
請求項12に記載の撮像装置において、
前記第1光電変換部で変換された電荷に基づく第1信号と、前記第2光電変換部で変換された電荷に基づく第2信号とを用いて画像データを生成する画像処理部と
を備える撮像装置。
【請求項14】
請求項13に記載の撮像装置において、
前記画像データを記憶媒体に記憶する記憶部を備える撮像装置。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の撮像装置において、
前記画像データの画像を表示する表示部を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの画素に複数の光電変換部を有するCMOSイメージセンサが知られている。(例えば、特許文献1参照)。1つの画素にある2つの光電変換部の蓄積時間をそれぞれ変更して撮像を行うことは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-250931号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、撮像素子である。撮像素子は、光が入射される複数のマイクロレンズを備える。撮像素子は、複数のマイクロレンズのうち第1マイクロレンズからの光を電荷に変換する第1光電変換部を備える。撮像素子は、第1マイクロレンズからの光を電荷に変換する第2光電変換部を備える。撮像素子は、第1光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間と、第2光電変換部で変換された電荷を蓄積する蓄積時間とが異なる蓄積時間になるように制御する走査回路部を備える。
【0005】
本発明の一態様は、撮像装置である。撮像装置は、上記態様の撮像素子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る撮像素子を示す図である。
図2】実施形態に係る撮像素子の回路構成を示す図である。
図3】実施形態に係る撮像素子の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4】実施形態に係る撮像素子の動作の他の例を示すタイミングチャートである。
図5】実施形態に係る撮像素子の複数の光電変換部の他の例を示す図である。
図6】実施形態に係る撮像素子の回路構成を示す図である。
図7】実施形態に係る撮像素子の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8】実施形態に係る撮像装置を示すブロック図である。
図9】実施形態に係る撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
図1(A)は、本実施形態に係る撮像素子1を示す平面図、図1(B)は、画素を拡大して示す平面図、図1(C)は図1(B)のA-A線断面図である。図1(A)に示すように、撮像素子1は、画素領域1aに配列された複数の画素Pを有する。複数の画素Pは、格子状に二次元的に配列されている。画素Pの配列方向うち、一方は水平走査方向と呼ばれ、他方は垂直走査方向と呼ばれる。本実施形態において、水平走査方向と垂直走査方向のそれぞれに垂直な方向を、適宜、画素領域1a(撮像素子1)の法線方向という。撮像素子1は概ね板状であり、画素領域1aの法線方向は、撮像素子1の厚み方向に相当する。
【0008】
図1(B)に示すように、画素領域1aには、光を遮る遮光部2が設けられている。遮光部2は、例えばブラックマトリクスである。遮光部2は、格子状に形成されており、水平走査方向および垂直走査方向のそれぞれに延びている。遮光部2に囲まれる領域は、光が通る画素開口Paになっている。本実施形態において、画素Pは、図1の画素領域1aの法線方向から見た場合に遮光部2の中心線に囲まれる領域であり、画素開口Paとその周囲の遮光部2を含む。
【0009】
複数の画素Pのそれぞれには、光電変換部3および光電変換部4が設けられている。画素領域1aの法線方向から見た場合に、1つの画素開口Paの内側には、光電変換部3の少なくとも一部および光電変換部4の少なくとも一部が配置される。光電変換部3および光電変換部4は、それぞれ、画素開口Paを通った光を電荷に変換する。
【0010】
本実施形態において、撮像素子1はフルカラー画像を撮像可能である。複数の画素Pは、赤色画素R、緑色画素Gr、緑色画素Gb、及び青色画素Bを含む。図1(B)では画素Pの配列がベイヤー配列であり、水平走査方向において、赤色画素Rと緑色画素Grとが交互に並び、緑色画素Gbと青色画素Bとが交互に並んでいる。また、垂直走査方向において、赤色画素Rと緑色画素Gbとが交互に並び、緑色画素Grと青色画素Bとが交互に並んでいる。本実施形態において、各色画素内に光電変換部3および光電変換部4が設けられている。
【0011】
撮像素子1は、互いに積層された撮像部5、信号処理部6、及び記憶部7を備える。信号処理部6は、記憶部7に積層され、図示しない導電性のバンプ等により記憶部7と電気的に接続される。撮像部5は、信号処理部6に積層され、図示しない導電性のバンプ等により信号処理部6と電気的に接続される。
【0012】
撮像部5は、例えば裏面照射型のCMOSイメージセンサである。撮像部5は、素子層11、受光層12、カラーフィルタ層13、及びレンズ層14を含む。これら各層の間には、図示しないパシベーション膜、平坦化膜、反射防止膜などが設けられる場合がある。撮像部5は、撮像を行う際に、レンズ層14を撮像対象に向けて配置される。撮像対象からの光は、レンズ層14およびカラーフィルタ層13を介して、受光層12に入射する。
【0013】
レンズ層14は、カラーフィルタ層13に積層されている。レンズ層14は、例えばマイクロレンズアレイであり、複数のレンズ要素14aを含む。レンズ要素14aは、例えば、画素Pと1対1で対応しており、画素Pごとに設けられる。レンズ要素14aの光軸14bは、例えば、画素開口Pa(画素P)の中心を通るように設定される。複数のレンズ要素14aのそれぞれは、その外部から入射した光を、このレンズ要素14aが設けられている画素Pの受光層12に集光する。
【0014】
カラーフィルタ層13は、受光層12に積層されている。カラーフィルタ層13は、第1フィルタ15、第2フィルタ16、及び遮光部2を含む。第1フィルタ15は、赤色画素Rの画素開口Paに設けられている。第1フィルタ15は、赤の波長帯の光が透過し、赤の波長帯以外の光を吸収する。赤の波長帯は、例えば、700nmを含み、620nm以上750nm以下の波長帯である。第2フィルタ16は、緑色画素Grの画素開口Paに設けられている。第2フィルタ16は、緑の波長帯の光が透過し、緑の波長帯以外の光を吸収する。緑の波長帯は、例えば、546.1nmを含み、495nm以上570nm以下の波長帯である。
【0015】
なお、図1(C)には図示しないが、緑色画素Gbの画素開口Paには、第2フィルタ16が設けられ、青色画素Bの画素開口Paには第3フィルタが設けられる。第3フィルタは、青の波長帯の光が透過し、青の波長帯以外の光を吸収する。青の波長帯は、例えば、435.8nmを含み、450nm以上495nm以下の波長帯である。
【0016】
遮光部2は、光電変換部3および光電変換部4が感度を有する波長帯の光を吸収する。例えば、可視光カメラなどに用いられる撮像素子1の場合、遮光部2は、380nm以上780nm以下の波長帯の光を吸収する材料で形成される。遮光部2は、例えば、隣り合う2画素間のクロストークを抑制するように、設けられる。例えば、遮光部2は、画素Pの画素開口Paを通った光のうち、別の画素Pの受光層12へ向かう光を遮光するように厚みなどが設定される。
【0017】
受光層12は、素子層11に積層されている。受光層12は、光電変換部3および光電変換部4を含む。光電変換部3および光電変換部4は、例えばフォトダイオードを含むが、光を電荷に変換するものであればよく、例えばフォトトランジスタを含んでいてもよい。図1(C)において、光電変換部4は、レンズ要素14aの光軸および垂直走査方向に平行な面(水平走査方向に垂直な面)に関して、光電変換部3と対称的に設けられている。
【0018】
光電変換部4は、同一の画素Pの光電変換部3の近傍に設けられている。例えば、同一の画素Pにおける光電変換部3と光電変換部4との間隔d1は、光電変換部3と隣の画素Pの光電変換部4との間隔d2よりも狭く設定されるが、間隔d2と同じに設定されていてもよいし、間隔d2よりも長く設定されていてもよい。
【0019】
光電変換部3と光電変換部4は、互いに絶縁とされている。例えば、同一の画素Pにおける光電変換部3と光電変換部4との間では、例えば、PN接合により電荷の移動が抑制されている。また、光電変換部3と隣の画素Pの光電変換部4との間には、例えば、LOCOS法などで形成される酸化膜、トレンチ構造などの絶縁部が設けられる。なお、同一の画素Pにおける光電変換部3と光電変換部4との間の構造と、光電変換部3と隣の画素Pの光電変換部4との間の構造とが同じであってもよい。
【0020】
素子層11は、受光層12に対する光の入射側と反対側に設けられている。素子層11には、光電変換部3および光電変換部4のそれぞれから電荷を読み出すための回路(後に図2などに示す)が設けられる。また、素子層11には、光電変換部3と光電変換部4の少なくとも一方から読み出された電荷を元に信号を生成する回路が設けられる場合がある。これら回路は、例えば、トランジスタなどのスイッチング素子、各種配線、容量、及び端子の電子部品の少なくとも一つを含む。これら回路は、例えば、層間絶縁膜およびビアを利用した多層構造に形成される。なお、これら回路を構成する電子部品の少なくとも一部は、受光層12に設けられていてもよいし、受光層12とレンズ層14との間に設けられていてもよい。
【0021】
信号処理部6は、撮像部5を向く第1面6a、及び記憶部7を向く第2面6bを有する。第1面6aおよび第2面6bの少なくとも一方には、撮像部5から出力された信号を処理する回路(図示略)が設けられる。また、第1面6aおよび第2面6bの少なくとも一方には、再配線などに用いられる引き回し配線が設けられる場合がある。信号処理部6には、第1面6a側と第2面6b側とを電気的に接続する導電部が設けられる。この導電部は、例えばTSV(Through-Silicon Via;シリコン貫通電極)を含み、第1面6aと第2面6bとの間で信号を伝達可能である。記憶部7は、例えば、不揮発性メモリと揮発性メモリの少なくとも一方を含み、信号処理部6が処理した信号を記憶する。
【0022】
なお、信号処理部6は、撮像部5と積層される代わりに、例えば図1に示した画素領域1aの周囲などに設けられていてもよい。また、撮像素子1は、信号処理部6と記憶部7の少なくとも一部を含んでいなくてもよい。信号処理部6と記憶部7の少なくとも一部は、撮像素子1の外部の装置に設けられていてもよい。この外部の装置は、例えば、撮像素子1が実装されるカメラ、測定装置などの装置に設けられていてもよい。
【0023】
図2は、本実施形態に係る撮像素子1の回路構成を示す図である。図2には、1画素分の等価回路図を示した。撮像素子1は、画素Pの光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号を読み出す第1回路系、及び画素Pの光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号を読み出す第2回路系を含む。
【0024】
まず、第1回路系について説明する。第1回路系は、転送部21、転送制御線22、電荷電圧変換部23、リセット部24、リセット制御線25、選択部26、選択制御線27、増幅部28、電源線29、及び垂直信号線30を含む。転送部21、リセット部24、選択部26、及び増幅部28は、それぞれ、n型MOSトランジスタなどのスイッチング素子を含む。
【0025】
光電変換部3は、そのアノードが接地され、そのカソードが転送部21のソースに接続されている。転送部21は、光電変換部3から電荷を転送することに使われる。転送部21のドレインは、ノード31と電気的に接続されている。転送部21のゲートは、転送制御線22に接続されている。転送制御線22は、転送部21のゲートに制御信号TX1を伝えることが可能である。
【0026】
電荷電圧変換部23は、例えばフローティングディフュージョンであり、転送部21からの電荷を電圧に変換する。電荷電圧変換部23は、容量32を含む。容量32は、その第1電極が接地され、その第2電極がノード31に接続されている。なお、容量32は、ノード31に接続される容量の少なくとも一部を含んでいてもよい。ノード31に接続される容量は、例えば、転送部21のドレインの容量、ノード31に接続される配線と他の配線とのカップリング容量、及びリセット部24のソースの容量を含む。
【0027】
リセット部24は、電荷電圧変換部23が変換した電圧をリセットする。リセット部24のソースは、ノード31に接続されている。リセット部24のドレインは、基準電位(接地電位)に対して所定の電位が供給される電源線29と接続されている。リセット部24のゲートは、リセット制御線25に接続されている。リセット制御線25は、リセット部24のゲートに制御信号RST1を伝えることが可能である。
【0028】
選択部26は、図1に示した垂直走査線方向に並ぶ複数の画素Pのうち信号を読み出す画素Pを選択することに使われる。選択部26のソースは、電源線29に接続されている。選択部26のドレインは、増幅部28のソースに接続されている。選択部26のゲートは、選択制御線27に接続されている。選択制御線27は、選択部26のゲートに制御信号SELを伝えることができる。
【0029】
増幅部28は、電荷電圧変換部23が変換した電圧を増幅する。増幅部28のソースは、選択部26を介して電源線29と接続されている。増幅部28のソースには、選択部26および電源線29を介して、電源電圧VDDを供給可能である。増幅部28のドレインは、垂直信号線30と接続されている。増幅部28のゲートは、ノード31に接続されている。
【0030】
次に、画素Pの光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号を読み出す第2回路系について説明する。第2回路系は、転送部41、転送制御線42、電荷電圧変換部43、リセット部44、リセット制御線45、選択部46、増幅部47、選択制御線27、電源線29、及び垂直信号線48を含む。転送部41、リセット部44、選択部46、及び増幅部47は、それぞれ、n型MOSトランジスタなどのスイッチング素子を含む。
【0031】
光電変換部4は、そのアノードが接地され、そのカソードが転送部41のソースに接続されている。転送部41は、光電変換部4から電荷を転送することに使われる。転送部41のドレインは、ノード50と電気的に接続されている。転送部41のゲートは、転送制御線42に接続されている。転送制御線42は、転送制御線22と別に設けられており、転送制御線22と絶縁されている。転送制御線42は、転送部41のゲートに制御信号TX2を伝えることが可能である。
【0032】
電荷電圧変換部43は、例えばフローティングディフュージョンであり、転送部41からの電荷を電圧に変換する。電荷電圧変換部43は、容量49を含む。容量49は、その第1電極が接地され、その第2電極がノード50に接続されている。なお、容量49は、ノード50に接続される容量の少なくとも一部を含んでいてもよい。ノード50に接続される容量は、例えば、転送部41のドレインの容量、ノード50に接続される配線と他の配線とのカップリング容量、及びリセット部44のソースの容量を含む。
【0033】
リセット部44は、電荷電圧変換部43が変換した電圧をリセットする。リセット部44のソースは、ノード50に接続されている。リセット部44のドレインは、電源線29と接続されている。リセット部44のゲートは、リセット制御線45に接続されている。リセット制御線45は、リセット部44のゲートに制御信号RST2を伝えることが可能である。
【0034】
選択部46のソースは、電源線29に接続されている。選択部46のドレインは、増幅部47のソースに接続されている。選択部46のゲートは、選択制御線27に接続されている。選択制御線27は、選択部46のゲートに制御信号SELを伝えることができる。
【0035】
増幅部47は、電荷電圧変換部43が変換した電圧を増幅する。増幅部47のソースは、選択部46を介して電源線29と接続されている。増幅部47のソースには、選択部46および電源線29を介して、電源電圧VDDを供給可能である。増幅部47のドレインは、垂直信号線30と接続されている。増幅部47のゲートは、ノード50に接続されている。
【0036】
ここでは、図1に示した複数の画素Pのうち1画素分の回路構成について説明したが、複数の画素Pはいずれも同様の回路構成である。例えば、転送制御線22は、概ね水平走査方向に延びており、垂直走査方向に周期的に並んでいる。複数の転送制御線22は、それぞれ、水平走査方向に並ぶ2つ以上の画素Pのそれぞれの転送部21のゲートと接続されている。また、転送制御線42は、概ね水平走査方向に延びており、垂直走査方向に周期的に並んでいる。複数の転送制御線42は、それぞれ、水平走査方向に並ぶ2つ以上の画素Pのそれぞれの転送部41のゲートと接続されている。
【0037】
また、リセット制御線25は、概ね水平走査方向に延びており、垂直走査方向に周期的に並んでいる。複数のリセット制御線25は、それぞれ、水平走査方向に並ぶ2つ以上の画素Pのそれぞれのリセット部24のゲートと接続されている。また、リセット制御線45は、概ね水平走査方向に延びており、垂直走査方向に周期的に並んでいる。複数のリセット制御線45は、それぞれ、水平走査方向に並ぶ2つ以上の画素Pのそれぞれのリセット部44のゲートと接続されている。
【0038】
また、選択制御線27は、概ね水平走査方向に延びており、垂直走査方向に周期的に並んでいる。複数の選択制御線27は、それぞれ、水平走査方向に並ぶ2つ以上の画素Pのそれぞれの選択部26のゲート及び選択部46のゲートと接続されている。また、電源線29は、2つ以上の画素Pのそれぞれの、選択部26のソース、選択部46のソース、リセット部24のソース、リセット部44のソースと接続されている。また、垂直信号線30は、概ね垂直走査方向に延びており、水平走査方向に周期的に並んでいる。複数の垂直信号線30は、それぞれ、垂直走査方向に並ぶ2つ以上の画素Pのそれぞれの増幅部47のドレインと接続されている。
【0039】
本実施形態において、転送制御線22および転送制御線42は、図1(C)に示した素子層11に設けられている。すなわち、転送制御線22および転送制御線42は、光電変換部3および光電変換部4に対して光の入射側と反対側に配置されている。また、リセット制御線25、リセット制御線45、選択制御線27、電源線29、及び垂直信号線30も同様に、光電変換部3および光電変換部4に対して光の入射側と反対側に配置されている。
【0040】
なお、転送制御線22、転送制御線42、リセット制御線25、リセット制御線45、選択制御線27、電源線29、及び垂直信号線30の少なくとも一部は、光電変換部3および光電変換部4に対して光の入射側と同じ側に配置されていてもよい。これら配線の少なくとも一部は、図1(C)に示した受光層12に設けられていてもよいし、受光層12とレンズ層14との間に設けられていてもよい。
【0041】
撮像素子1には、垂直走査回路51、水平走査回路52、定電流源53、及び定電流源54が設けられている。垂直走査回路51は、複数の画素Pのそれぞれから電荷に基づく信号を読み出すための制御信号を供給する。
【0042】
まず、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号を読み出す動作の一例について説明する。垂直走査回路51は、選択制御線27に制御信号SELを供給する。垂直走査回路51が、選択制御線27に対する制御信号SELをHレベル(ハイレベル)にすると、この選択制御線27に接続されている選択部26のソースとドレインの間および選択部46のソースとドレインの間が通電可能な状態(以下、オン状態という)になる。これにより、増幅部28のソースには、電源線29および選択部26を介して電源電圧VDDが供給される。
【0043】
なお、選択部26は、他の行の画素Pからの電荷を読み出す際には、選択制御線27に対する制御信号SELがLレベル(ローレベル)に設定されることにより、選択部26のソースとドレインの間が通電不能な状態(以下、オフ状態という)になる。また、垂直走査回路51は、垂直信号線30よりも信号伝達の下流側に配置される回路(例、後述するアンプ55)の動作中などに、選択部26をオフ状態にすることもできる。この場合には、垂直信号線30から増幅部28へのノイズの伝達を抑制できる。
【0044】
また、垂直走査回路51は、転送制御線22に制御信号TX1を供給する。垂直走査回路51が、転送制御線22に対する制御信号TX1をHレベルにすると、この転送制御線22に接続されている転送部21がオン状態になり、光電変換部3に蓄積された電荷が電荷電圧変換部23へ転送される。容量32は、光電変換部3から転送部21を介して転送される電荷により充電され、その第1電極と第2電極との間の電圧が電荷に応じた電圧になる。この電圧がノード31を介して増幅部28のゲートに印加され、増幅部28のソースとドレインとの間の抵抗値が、増幅部28のゲートに印加される電圧に応じた値になる。また、増幅部28のソースとドレインとの間には、そのソースに電源線29および選択部26を介して印加される所定電圧、及び増幅部28のソースとドレインとの間の抵抗値に応じた電流(信号)が流れる。この信号は、垂直信号線30を介して、垂直走査回路51に出力される。
【0045】
また、垂直走査回路51は、リセット制御線25に制御信号RST1を供給する。垂直走査回路51が、リセット制御線25に対する制御信号RST1をHレベルにすると、このリセット制御線25に接続されているリセット部24がオン状態になり、電荷電圧変換部23の容量32に蓄積された電荷が、リセット部24および電源線29を介して放電される。
【0046】
次に、光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号を読み出す動作の一例について説明する。垂直走査回路51が、転送制御線22に対する制御信号TX1をHレベルにすると、増幅部47のソースには、電源線29および選択部46を介して電源電圧VDDが供給される。垂直走査回路51は、転送制御線42に制御信号TX2を供給する。垂直走査回路51が、転送制御線42に対する制御信号TX2をHレベルにすると、この転送制御線42に接続されている転送部41がオン状態になり、光電変換部4に蓄積された電荷が電荷電圧変換部43へ転送される。
【0047】
容量49は、光電変換部4から転送部41を介して転送される電荷により充電され、その第1電極と第2電極との間の電圧が電荷に応じた電圧になる。この電圧がノード50を介して増幅部47のゲートに印加され、増幅部47のソースとドレインとの間の抵抗値が、増幅部47のゲートに印加される電圧に応じた値になる。また、増幅部47のソースとドレインとの間には、そのソースに電源線29および選択部46を介して印加される所定電圧、及び増幅部47のソースとドレインとの間の抵抗値に応じた電流(信号)が流れる。この信号は、垂直信号線48を介して、垂直走査回路51に出力される。
【0048】
また、垂直走査回路51は、リセット制御線45に制御信号RST2を供給する。垂直走査回路51が、リセット制御線45に対する制御信号RST2をHレベルにすると、このリセット制御線45に接続されているリセット部44がオン状態になり、電荷電圧変換部43の容量49に蓄積された電荷が、リセット部44および電源線29を介して放電される。
【0049】
本実施形態において、垂直信号線30には定電流源53が接続されており、垂直信号線48には定電流源54が接続されている。選択部26がオン状態である場合に、増幅部28と、選択部26と、垂直信号線30に接続された定電流源53とにより、ソースフォロア回路が構成される。この場合、垂直信号線30には、選択部26により選択された行に属する画素Pの信号が出力される。同様に、選択部46がオン状態である場合に、増幅部47と、選択部46と、垂直信号線48に接続された定電流源54とにより、ソースフォロア回路が構成される。
【0050】
水平走査回路52は、複数の画素Pのそれぞれから出力された信号を所定形式の画像データに変換する。水平走査回路52は、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)により、画素Pから出力される信号のノイズを低減する。
【0051】
水平走査回路52は、アンプ55、アンプ56、及び図示しないアナログデジタル変換器を含む。アンプ55は、光電変換部3からの出力に応じた信号を増幅する増幅部である。アンプ55は、例えばカラムアンプなどであり、垂直信号線30ごとに設けられる。アンプ55は、垂直信号線30を介して出力される信号を増幅する。アンプ56は、光電変換部4からの出力に応じた信号を増幅する増幅部である。アンプ56は、例えばカラムアンプなどであり、垂直信号線48ごとに設けられる。アンプ56は、垂直信号線48を介して出力される信号を増幅する。
【0052】
本実施形態において、アンプ55の増幅率(ゲイン)およびアンプ56の増幅率は、それぞれ可変である。アンプ55の増幅率は、アンプ56の増幅率と同じ値または異なる値に設定できる。アンプ55およびアンプ56のそれぞれの増幅率は、例えば数十分の1から数十倍程度に設定できる。アンプ55およびアンプ56のそれぞれの増幅率を調整する場合に、アンプ55の増幅率とアンプ56の増幅率を連動させて調整してもよいし、アンプ55の増幅率とアンプ56の増幅率とを独立に調整してもよい。例えば、アンプ55の増幅率とアンプ56の増幅率の比は、一定であってもよいし、固定であってもよい。
【0053】
水平走査回路52のアナログデジタル変換器は、アンプ55およびアンプ56のそれぞれから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。このデジタル信号は、例えば各画素Pの出力を8ビットで表した階調値(画素値)を含む。水平走査回路52は、各画素Pの出力を表す画素値を画素配列に応じて配列し、所定のデータ形式で出力する。なお、水平走査回路52は、定電流源53および定電流源54の少なくとも一部を含んでいてもよい。
【0054】
次に、光電変換部から電荷を読み出すタイミングについて説明する。図3は、撮像素子1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0055】
撮像素子1は、起動してから最初の撮像を行うまでに、ダミー読み出しを行う。垂直走査回路51は、図3に示すように、第1のフレームの期間よりも前の時刻t1に、リセット制御線25に対する制御信号RST1をHレベルに設定し、リセット制御線45に対する制御信号RST2をHレベルに設定する。これにより、電荷電圧変換部23の容量32における電極間の電圧と、電荷電圧変換部43の容量49における電極間の電圧とがリセットされる。垂直走査回路51は、時刻t2において制御信号RST1および制御信号RST2をLレベル(ローレベル)に設定する。垂直走査回路51は、時刻t3において、転送制御線22に対する制御信号TX1をHレベルに設定し、転送制御線42に対する制御信号TX2をHレベルにする。これにより、光電変換部3に電荷が蓄積されている場合には、この電荷が電荷電圧変換部23へ転送される。また、光電変換部4に電荷が蓄積されている場合には、この電荷が電荷電圧変換部43へ転送される。垂直走査回路51は、時刻t4において、制御信号TX1および制御信号TX2をLレベルに設定する。
【0056】
ここでは、光電変換部3からのダミー読み出しを、光電変換部4からのダミー読み出しと並行して行うが、光電変換部3からのダミー読み出しと光電変換部4からのダミー読み出しとを重複しない期間に行ってもよい。例えば、垂直走査回路51は、制御信号RST1をHレベルにする期間と、制御信号RST2をHレベルする期間とを、少なくとも一部が重複するように設定してもよいし、重複しないように設定してもよい。また、垂直走査回路51は、制御信号TX1をHレベルにする期間と、制御信号TX2をHレベルする期間とを、少なくとも一部が重複するように設定してもよいし、重複しないように設定してもよい。
【0057】
撮像素子1は、時刻t5において第1のフレームの撮像処理を開始する。垂直走査回路51は、選択部26に対する制御信号SELをHレベルに維持する。また、垂直走査回路51は、時刻t6から時刻t7までの期間に、光電変換部3に対するリセット動作を行う。この期間において、垂直走査回路51は、リセット制御線25に対する制御信号RST1をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。次に、垂直走査回路51は、転送部21に対する制御信号TX1をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。ここでは、垂直走査回路51は、制御信号RST1および制御信号TX1のそれぞれを、3つのパルス状に設定するが、パルスの数は1回、2回でもよいし、4回以上でもよい。時刻t7に制御信号TX1がLレベルに設定されてから、光電変換部3には露光量に応じた電荷が蓄積される。
【0058】
垂直走査回路51は、時刻t8から時刻t10までの期間に、光電変換部3からの電荷の読み出しを行う。垂直走査回路51は、時刻t8に制御信号RST1をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t8よりも後の時刻t9に制御信号TX1をHレベルに設定し、時刻t10に制御信号TX1をLレベルに設定する。第1のフレームの期間における光電変換部3に対する露光は、時刻t9に終了する。光電変換部3は、時刻t7から時刻t9までの露光期間に蓄積した電荷を、転送部21を介して電荷電圧変換部23に出力する。また、増幅部28は、電荷電圧変換部23が変換した電圧に応じた信号を垂直信号線30に出力する。
【0059】
本実施形態において、撮像素子1は、光電変換部3に対する露光期間の少なくとも一部と重複する期間に、光電変換部4に対する露光を行う。垂直走査回路51は、第1のフレームの期間のうち時刻t7よりも後の時刻t11から時刻t12の期間に、光電変換部4に対するリセット動作を行う。この期間において、垂直走査回路51は、リセット制御線45に対する制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。次に、垂直走査回路51は、転送部41に対する制御信号TX2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。ここでは、垂直走査回路51は、制御信号RST2および制御信号TX2のそれぞれを、3つのパルス状に設定するが、パルスの数は1回、2回でもよいし、4回以上でもよい。時刻t12に制御信号TX2がLレベルに設定されてから、光電変換部4には露光量に応じた電荷が蓄積される。
【0060】
垂直走査回路51は、光電変換部4の露光期間が終了する際に、光電変換部4からの電荷の読み出しを行う。ここでは、垂直走査回路51は、光電変換部3からの電荷の読み出しと並行して、光電変換部4からの電荷の読み出しを行う。垂直走査回路51は、時刻t8に制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t9に制御信号TX2をHレベルに設定し、時刻t10に制御信号TX2をLレベルに設定する。光電変換部4は、時刻t12から時刻t9までの露光期間に蓄積した電荷を、転送部41を介して電荷電圧変換部43に出力する。また、増幅部47は、電荷電圧変換部43が変換した電圧に応じた信号を垂直信号線48に出力する。
【0061】
以上のようにして、時刻t10において第1のフレームの期間が終了し、次の第2のフレームの期間が開始する。図3においては、第2のフレームの期間においても第1のフレームの期間と同様の動作が繰り返される。
【0062】
図3の例においては、第1のフレームの期間のうち、光電変換部3に電荷が蓄積される期間(時刻t7から時刻t9までの露光期間)は、光電変換部4に電荷が蓄積される期間(時刻t12から時刻t9までの露光期間)よりも長く設定されている。
【0063】
このように、撮像素子1は、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間の長さを異ならせて、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号と、光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号とを生成できる。このような第1出力信号および第2出力信号を利用すると、露光期間の異なる2つの画像を生成することできる。これにより、例えば、ダイナミックレンジが広い画像を生成することができる。例えば、第1出力信号の露光期間が第2出力信号の露光期間よりも長い場合、第1出力信号を使って撮像対象のうち相対的に暗い暗部の画像を生成し、第2出力信号を使って撮像対象のうち相対的に明るい明部の画像を生成する。これら画像を合成することにより、明部の飽和を抑制しつつ暗部を明るく表すことができる。
【0064】
ところで、ダイナミックレンジを広げるには、1画素に配置される光電変換部の数が1つである撮像素子を用いて、露光時間が長いフレームと露光時間が短いフレームとを交互に繰り返す手法がある。この手法では、1フレームの画像を得るために、2フレーム使うことになり、フレームレートが遅くなる。また、他の手法として、露光時間を短くした画からの信号と、露光時間を長く設定した信号とを用いる手法がある。この手法では、画像の1画素を構成するために、2画素の信号を使うことになり、解像度が低下する。
【0065】
本実施形態においては、1画素に複数の光電変換部(光電変換部3および光電変換部4)が配置されているので、撮像画像の解像度を下げることなくダイナミックレンジを広げることができる。また、光電変換部3から電荷を転送するための転送部21に制御信号TX1を伝える転送制御線22は、光電変換部4から電荷を転送するための転送部41に制御信号TX2を伝える転送制御線42と別に設けられているので、光電変換部3に対する露光と光電変換部4に対する露光とを並行して行うことができ、フレームレートの低下を抑制できる。このような場合に、転送制御線22および転送制御線42を、光電変換部3および光電変換部4に対して光入射側の反対側に配置すると、光電変換部3と光電変換部4の受光面積が狭くなることを回避できる。なお、アンプ55の増幅率とアンプ56の増幅率との比を調整することにより、ダイナミックレンジを広げることもできる。
【0066】
ところで、図3において、光電変換部4に対する露光を終了する時刻t9は、光電変換部3に対する露光を終了する時刻t9とほぼ同じに設定されている。そのため、画素Pから信号を読み出す制御が複雑になることを避けることができる。
【0067】
図4は、撮像素子1の動作の他の例を示すタイミングチャートである。図4(A)から図4(D)には、それぞれ、1フレームの期間分のタイミングチャートを示した。なお、図4(A)から図4(D)のそれぞれにおいて、ここでは、光電変換部3から電荷を読み出す動作については、図3に示した例と同様であるので、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0068】
図4(A)において、光電変換部4に対する露光期間が終了する時刻は、光電変換部3に対する露光期間が終了する時刻と異なる時刻に設定されている。垂直走査回路51は、時刻t6から時刻t7の期間に、光電変換部3のリセットと光電変換部4のリセットを並行して行う。時刻t7において、光電変換部3に対する露光が開始するとともに、光電変換部4に対する露光が開始する。
【0069】
時刻t15において、垂直走査回路51は、リセット部44に対する制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t16において、転送部41に対する制御信号TX2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。第1のフレームの期間における光電変換部4に対する露光期間(電荷の蓄積期間)は、時刻t7から時刻t16までの期間である。
【0070】
図4(B)において、光電変換部4に対する露光期間が開始する時刻は、光電変換部3に対する露光期間が開始する時刻と異なる時刻に設定されている。また、光電変換部4に対する露光期間が終了する時刻は、光電変換部3に対する露光期間が終了する時刻と異なる時刻に設定されている。垂直走査回路51は、光電変換部3に対するリセットを開始する時刻t6よりも後の時刻t17から時刻t18の期間に、光電変換部4のリセットを行う。光電変換部4に対する露光期間は、時刻t18に開始する。
【0071】
時刻t19において、垂直走査回路51は、リセット部44に対する制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t20において、転送部41に対する制御信号TX2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。第1のフレームの期間における光電変換部4に対する露光期間(電荷の蓄積期間)は、時刻t18から時刻t20までの期間である。ここでは、光電変換部4に対する露光期間は、その中心の時刻が光電変換部3に対する露光期間の中心の時刻と一致するように、設定されていている。
【0072】
図4(C)において、光電変換部4に対する露光期間が複数設定されている。垂直走査回路51は、時刻t6から時刻t7の期間に、光電変換部4のリセットを行う。光電変換部4に対する第1の露光期間は、時刻t7に開始する。また、時刻t21において、垂直走査回路51は、リセット部44に対する制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t22において、転送部41に対する制御信号TX2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。第1のフレームの期間における光電変換部4に対する第1の露光期間は、時刻t7から時刻t22までの期間である。次に、垂直走査回路51は、時刻t23から時刻t24の期間に、光電変換部4のリセットを行う。光電変換部4に対する第2の露光期間は、時刻t24に開始する。垂直走査回路51は、時刻t8において、リセット部44に対する制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t9において、転送部41に対する制御信号TX2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。第1のフレームの期間における光電変換部4に対する第2の露光期間は、時刻t24から時刻t9までの期間である。
【0073】
なお、1フレームにおける光電変換部4に対する第1の露光期間の長さは、第2の露光期間と同じ長さに設定されていてもよいし、第2の露光期間と異なる長さに設定されていてもよい。このように1フレームの期間に複数回数の露光を行う場合に、第1の露光期間において光電変換部4に蓄積された電荷に基づく信号と、第2の露光期間において光電変換部4に蓄積された電荷に基づく信号とを使って、例えばこれら信号の平均化などの演算を行ってもよい。また、光電変換部4に対する第1の露光期間の長さと第2の露光期間の長さが異なる場合、第1の露光期間において光電変換部4に蓄積された電荷に基づく信号と、第2の露光期間において光電変換部4に蓄積された電荷に基づく信号と、このフレームの期間に光電変換部3に蓄積された電荷に基づく信号とを使って、ダイナミックレンジをさらに広げることもできる。
【0074】
図4(D)において、光電変換部4に対する露光期間は、光電変換部3に対する露光期間と同じ長さに設定されている。ここでは、光電変換部4に対する露光期間が開始する時刻t7は、光電変換部3に対する露光期間が開始する時刻t7と同じに設定されている。また、光電変換部4に対する露光期間が終了する時刻t9は、光電変換部3に対する露光期間が終了する時刻t9と同じに設定されている。
【0075】
光電変換部3と光電変換部4とで露光期間が同じ長さに設定されている場合に、第1のフレームの期間に光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号と、第1のフレームの期間に光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号とを使って、撮像素子1における合焦に関する情報を検出してもよい。例えば、第1出力信号と第2出力信号のレベルが同等である場合には、撮像素子1の受光層12に焦点が合っていると判定してもよい。また、第1出力信号と第2出力信号の一方のレベルが他方のレベルよりも高い場合には、焦点が受光層12よりも物体面側にある(前ピン)であると判定してもよい。また、第1出力信号と第2出力信号の一方のレベルが他方のレベルよりも低い場合には、受光層12が焦点よりも物体面側にある(後ピン)であると判定してもよい。
【0076】
なお、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間が異なる長さに設定されている場合に、第1出力信号および第2出力信号を使って、撮像素子1における合焦に関する情報を検出してもよい。この場合には、露光期間の長さをそろえた場合の信号のレベルの推定値を使って、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間が同じ長さに設定されている場合と同様にして、合焦に関する情報を検出できる。露光期間の長さをそろえた場合の信号のレベルを推定値は、例えば、光電変換部4に対する露光期間の長さが光電変換部3に対する露光期間の半分である場合、第1出力信号のレベルを半分にすること、あるいは第2出力信号のレベルを2倍にすることで得られる。なお、第1出力信号のレベルを調整するには、図2に示したアンプ55の増幅率を調整してもよく、第2出力信号のレベルを調整するには、アンプ56の増幅率を調整してもよい。また、第1出力信号のレベルと第2出力信号のレベルの少なくとも一方を調整するには、図2に示した水平走査回路52または外部の装置によって演算処理を行ってもよい。
【0077】
ところで、本実施形態において、1画素内に複数の光電変換部(光電変換部3および光電変換部4)が配置されている場合、複数の光電変換部の総受光面積と等しい受光面積を有する1つの光電変換部を用いる場合と比較して、光電変換部あたりの出力が小さくなる。そこで、第1出力信号あるいは第2出力のレベルが不足する場合には、アンプ55あるいはアンプ56の増幅率を調整することにより、第1出力信号あるいは第2出力信号のレベルを調整してもよい。例えば、アンプ55の増幅率を2倍に設定すると、第1出力信号のレベルを、光電変換部3および光電変換部4の総受光面積と等しい受光面積を有する1つの光電変換部を用いた場合と同等のレベルにすることができる。
【0078】
なお、図3に示した例、図4(A)から図4(D)に示した例は、組み合わせることができる。例えば、撮像素子1は、光電変換部3の露光時間と光電変換部4の露光時間を同じ長さにする第1モード(図4(D)参照)と、光電変換部3の露光時間と光電変換部4の露光時間を異なる長さに第2モードとを切り替え可能である。第1モードにおいて、垂直走査回路51は、例えば、転送部21に対する制御信号TX1の波形と転送部41に対する制御信号TX2の波形を同じに設定する。また、第2モードにおいて、垂直走査回路51は、例えば、転送部21に対する制御信号TX1の波形と転送部41に対する制御信号TX2の波形とを異なる波形に設定する。第2モードは、図3に示した例、図4(A)から図4(C)に示した例のうち1種を含んでいてもよいし、2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。
【0079】
なお、上述の例においては、光電変換部3に対する露光期間の長さは、光電変換部4に対する露光期間の長さ以上に設定されているが、光電変換部4に対する露光期間の長さ未満に設定されていてもよい。光電変換部3の露光時間と光電変換部4の露光時間のうち、一方の露光時間は、他方の露光時間の1/10倍以上1倍以下に設定されていてもよいし、1/10倍未満に設定されていてもよい。
【0080】
次に、1画素内に配置される複数の光電変換部の他の例について説明する。図5は、複数の光電変換部の他の例を示す図である。
【0081】
図5(A)において、光電変換部3は、画素領域1aの法線方向から見た場合に、光電変換部4と非対称に設けられている。光電変換部3の受光面積は、光電変換部4の受光面積よりも大きく設定されている。光電変換部3と光電変換部4とで受光面積が異なる場合には、ダイナミックレンジをさらに広げることもできる。このように、光電変換部3は、光電変換部4と形状と寸法の少なくとも一方が異なっていてもよい。
【0082】
図5(B)において、1画素内に光電変換部3、光電変換部4、及び光電変換部60が設けられている。光電変換部3の受光面積は、光電変換部4の受光面積よりも大きく設定されている。光電変換部60の受光面積は、光電変換部4の受光面積とほぼ同じに設定されている。光電変換部60は、画素Pの中心線に関して、光電変換部4と対称的に設けられている。このように、1画素内に配置される光電変換部の数は3つでもよいし、4つ以上であってもよい。また、複数の光電変換部のうち、いずれかの光電変換部の形状と寸法の少なくとも一方は、他の光電変換部と同じであってもよいし、他の光電変換部と異なっていてもよい。
【0083】
このような撮像素子1を用いると、例えば、光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号と、光電変換部60に蓄積される電荷に基づく第3出力信号とを使って、撮像素子1における合焦に関する情報を検出することもできる。また、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号と、第2出力信号と、第3出力信号のうち少なくとも2つを使って、ダイナミックレンジを広げることもできる。
【0084】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態において、上述の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を簡略化あるいは省略する。
【0085】
図6は、本実施形態に係る撮像素子1の回路構成を示す図である。図6には、2画素分の等価回路図を示した。画素P1の回路構成については、上述の実施形態(図2参照)と同様である。画素P2は、画素P1の隣に配置されている画素である。例えば、画素Pが図1(B)の赤色画素Rであって、画素P2は緑色画素Gbである。
【0086】
画素P2内には、画素P2には、光電変換部61および光電変換部62が設けられている。光電変換部61および光電変換部62は、例えばフォトダイオードを含むが、光を電荷に変換するものであればよく、例えばフォトトランジスタを含んでいてもよい。撮像素子1は、画素P2の光電変換部61に蓄積される電荷に基づく出力信号を読み出す第3回路系、及び画素P2の光電変換部62に蓄積される電荷に基づく出力信号を読み出す第4回路系を含む。
【0087】
まず、第3回路系について説明する。第3回路系は、転送部63、転送制御線64、電荷電圧変換部23、リセット部24、リセット制御線25、選択部26、選択制御線27、増幅部28、電源線29、及び垂直信号線30を含む。すなわち、第3回路系は、転送部63および転送制御線64を除く部分については、第1回路系と共用である。転送部63は、例えば、n型MOSトランジスタなどのスイッチング素子を含む。
【0088】
光電変換部61は、そのアノードが接地され、そのカソードが転送部63のソースに接続されている。転送部63は、光電変換部61から電荷を転送することに使われる。転送部63のドレインは、ノード31と電気的に接続されている。転送部63のゲートは、転送制御線64に接続されている。転送制御線64は、転送部63のゲートに制御信号TX3を伝えることが可能である。電荷電圧変換部23は、転送部21からの電荷を電圧に変換し、かつ転送部63からの電荷を電圧に変換する。
【0089】
次に、第4回路系について説明する。第4回路系は、転送部65、転送制御線66、電荷電圧変換部43、リセット部44、リセット制御線45、選択部46、選択制御線27、増幅部47、電源線29、及び垂直信号線30を含む。すなわち、第4回路系は、転送部65および転送制御線66を除く部分については、第2回路系と共用である。転送部65は、例えば、n型MOSトランジスタなどのスイッチング素子を含む。
【0090】
光電変換部62は、そのアノードが接地され、そのカソードが転送部65のソースに接続されている。転送部65は、光電変換部62から電荷を転送することに使われる。転送部65のドレインは、ノード50と電気的に接続されている。転送部65のゲートは、転送制御線66に接続されている。転送制御線66は、転送部65のゲートに制御信号TX4を伝えることが可能である。電荷電圧変換部43は、転送部41からの電荷を電圧に変換し、かつ転送部65からの電荷を電圧に変換する。
【0091】
本実施形態において、転送制御線64および転送制御線66は、図1(C)に示した素子層11に設けられている。すなわち、転送制御線64および転送制御線66は、光電変換部61および光電変換部62に対して光の入射側と反対側に配置されている。なお、転送制御線64および転送制御線66の少なくとも一部は、光電変換部61および光電変換部62に対して光の入射側と同じ側に配置されていてもよい。これら配線の少なくとも一部は、図1(C)に示した受光層12に設けられていてもよいし、受光層12とレンズ層14との間に設けられていてもよい。
【0092】
次に、光電変換部から電荷を読み出すタイミングについて説明する。図7は、撮像素子1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0093】
撮像素子1は、起動してから最初の撮像を行うまでに、第1実施形態と同様にダミー読み出しを行う。また、撮像素子1は、第1のフレームの期間において、第1実施形態と同様に画素Pから信号の読み出しを行う。撮像素子1は、第1のフレームの期間に続く第2のフレームの期間において、画素P2から信号の読み出しを行う。
【0094】
撮像素子1は、時刻t10において第2のフレームの撮像処理を開始する。垂直走査回路51は、選択部26に対する制御信号SELをHレベルに維持する。また、垂直走査回路51は、時刻t30から時刻t31までの期間に、光電変換部61に対するリセット動作を行う。この期間において、垂直走査回路51は、リセット制御線25に対する制御信号RST1をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。次に、垂直走査回路51は、転送部21に対する制御信号TX3をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。時刻t31に制御信号TX3がLレベルに設定されてから、光電変換部61には露光量に応じた電荷が蓄積される。
【0095】
垂直走査回路51は、時刻t32から時刻t33までの期間に、光電変換部61からの電荷の読み出しを行う。垂直走査回路51は、時刻t32に制御信号RST1をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t32よりも後の時刻t33に制御信号TX3をHレベルに設定し、時刻t34に制御信号TX3をLレベルに設定する。第2のフレームの期間における光電変換部3に対する露光は、時刻t33に終了する。光電変換部61は、時刻t31から時刻t33までの露光期間に蓄積した電荷を、転送部63を介して電荷電圧変換部23に出力する。また、増幅部28は、電荷電圧変換部23が変換した電圧に応じた信号を垂直信号線30に出力する。
【0096】
本実施形態において、撮像素子1は、光電変換部61に対する露光期間の少なくとも一部と重複する期間に、光電変換部62に対する露光を行うことができる。垂直走査回路51は、第2のフレームの期間のうち時刻t31よりも後の時刻t35から時刻t36の期間に、光電変換部62に対するリセット動作を行う。この期間において、垂直走査回路51は、リセット制御線45に対する制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。次に、垂直走査回路51は、転送部65に対する制御信号TX4をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。時刻t36に制御信号TX4がLレベルに設定されてから、光電変換部62には露光量に応じた電荷が蓄積される。
【0097】
垂直走査回路51は、光電変換部62の露光期間が終了する際に、光電変換部62からの電荷の読み出しを行う。ここでは、垂直走査回路51は、光電変換部61からの電荷の読み出しと並行して、光電変換部62からの電荷の読み出しを行う。垂直走査回路51は、時刻t32に制御信号RST2をHレベルに設定した後にLレベルに設定する。また、垂直走査回路51は、時刻t33に制御信号TX4をHレベルに設定し、時刻t34に制御信号TX4をLレベルに設定する。光電変換部62は、時刻t36から時刻t33までの露光期間に蓄積した電荷を、転送部65を介して電荷電圧変換部43に出力する。また、増幅部47は、電荷電圧変換部43が変換した電圧に応じた信号を垂直信号線48に出力する。このようにして、時刻t34に第2のフレームの期間が終了し、次のフレームの期間が開始する。第2のフレームの期間の次のフレームの期間では、第1のフレームの期間と同様に、画素P1に対する露光と、画素P1からの信号の読み出しとが行われる。
【0098】
なお、上述の実施形態において、撮像素子1は、3つの波長帯の光を検出可能であるが、1つの波長帯の光(単色光)のみを検出するものであってもよいし、2つの波長帯の光のみ又は4つ以上の波長帯の光を検出するものであってもよい。また、画素配列は、ベイヤー配列でなくてもよく、任意に選択できる。また、撮像素子1は、不可視光領域に感度を有するものであってもよく、例えば赤外光と紫外光の少なくとも一方を検出するものであってもよい。
【0099】
なお、図2図6に示した選択部26および選択制御線27は、省略可能である。選択部26および選択制御線727が設けられていない場合には、転送部21、転送部41などをオン状態にするタイミングによって、画素Pから電荷を読み出すタイミングを制御できる。
【0100】
[第3実施形態]
次に、上述の実施形態で説明した撮像素子1を用いた撮像装置について説明する。図8は、本実施形態に係る撮像装置70の構成を示すブロック図である。図8に示す撮像装置70は、例えば、デジタルカメラ、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ、計測装置などの電子機器の少なくとも一部である。この撮像装置70は、レンズ部71、レンズ駆動部72、撮像素子1、制御部73、ワークメモリ74、表示部75、操作部76、及び記録部77を備える。
【0101】
レンズ部71は、例えば、複数のレンズを含む撮像光学系と、鏡筒とを備える。レンズ部71の撮像光学系は、被写体からの光を集光し、撮像素子1へ導く。レンズ部71の撮像光学系は、被写体の像を撮像素子1の受光層12(図1(C)参照)に形成する。レンズ部71は、撮像装置70のうち少なくとも制御部73を収容するボディと一体化されていてもよいし、このボディに対して着脱可能な交換式レンズであってもよい。レンズ部71は、フォーカスレンズを含んでいてもよく、またズームレンズを含んでいてもよい。レンズ駆動部72は、レンズ部71のレンズを駆動し、レンズ部71の焦点を調整する。
【0102】
制御部73は、撮像装置70の各部を制御する。制御部73は、撮像制御部80、画像処理部81、及び焦点検出部82を備える。
【0103】
撮像制御部80は、撮像素子1に指令を送ることにより、撮像素子1に撮像処理を実行させる。例えば、撮像制御部80は、図2などに示した撮像素子1の垂直走査回路51に指令を送ることにより、各光電変換部に対する露光を開始するタイミングおよび露光を終了するタイミングを制御する。また、撮像制御部80は、垂直走査回路51に指令を送ることにより、各画素から水平走査回路52へ信号を読み出すタイミングを制御する。また、撮像制御部80は、撮像素子1に指令を送ることにより、撮像結果を制御部73に出力(送信)させる。例えば、撮像制御部80は、水平走査回路52へ指令を送ることにより、水平走査回路52から制御部73へ撮像結果を出力させる。
【0104】
画像処理部81は、撮像素子1からの撮像結果を取得し、各種画像処理を実行する。画像処理部81は、ワークメモリ74をワークスペースとして、各画素の画素信号からなるRAWデータに対して画像処理を施し、画像データを生成する。ワークメモリ74は、画像処理部81による画像処理が行われる際に画像データなどを一時的に記憶する。
【0105】
本実施形態において、画像処理部81は、光電変換部3に電荷が蓄積される電荷に基づく第1出力信号と、光電変換部4に電荷が蓄積される電荷に基づく第2出力信号とを使って、ダイナミックレンジを広げるHDR処理を行う。この場合、撮像制御部80は、1フレームの期間のうち、光電変換部3に電荷が蓄積される期間(露光期間)と、光電変換部4に電荷が蓄積される期間(露光期間)とを、互いに異なる長さに設定する。
【0106】
例えば、撮像制御部80は、図3に示したように、光電変換部3に対する露光期間を光電変換部4に対する露光期間よりも長く設定する。そして、画像処理部81は、露光期間が長い(露光量が多い)第1出力信号を使って撮像対象のうち相対的に暗い暗部の画像を生成する。また、画像処理部81は、露光期間が短い(露光量が少ない)第2出力信号を使って撮像対象のうち相対的に明るい明部の画像を生成する。画像処理部81は、暗部の画像と明部の画像とを合成することにより、明部の飽和を抑えつつ暗部を明るく表した画像を生成する。
【0107】
なお、撮像装置70は、HDR処理を行って画像データを生成するモードと、HDR処理を行わないで画像データを生成するモードとを切り替え可能である。HDR処理を行わない場合、撮像制御部80は、撮像制御部80は、光電変換部3に電荷が蓄積される期間と、光電変換部4に電荷が蓄積される期間とを異なる長さに設定する。画像処理部81は、例えば、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号と、光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号とを足し合わせて、画像データを生成する。
【0108】
画像処理部81は、上述のHDR処理の他にも種々の画像処理を実行できる。例えば、画像処理部81は、ベイヤー配列で得られた信号に対して色信号処理(色調補正)を行うことによりRGB画像信号を生成する。また、画像処理部81は、RGB画像信号に対して、ホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、階調調整などの画像処理を行う。また、画像処理部81は、必要に応じて、所定の圧縮形式(JPEG形式、MPEG形式等)で圧縮する処理を行う。制御部73は、画像処理部81が生成した画像データを記録部77に出力可能である。また、制御部73は、画像処理部81が生成した画像データを表示部75に出力可能である。
【0109】
画像処理部81は、例えば特開2010-16621号公報(US2010/0002940号)に記載されているように、画像データから主要被写体を検出する処理を行う。ここで、「主要被写体」とは、撮像される対象物である被写体のうち、使用者(撮影者)に注目される被写体又は使用者に注目されると推定される被写体のことをいう。主要被写体は、画像データ中に1つだけ存在する場合に限らず、複数存在する場合もある。また、画像処理部81は、例えば特開2010-16621号公報(US2010/0002940号)に記載されているように、画像データに含まれる人体を主要被写体として検出する。
【0110】
画像処理部81が画像処理を行う際に参照されるパラメータは、制御パラメータ(撮像条件)に含まれる。例えば、色信号処理(色調補正)、ホワイトバランス調整、階調調整、圧縮率などのパラメータが制御パラメータに含まれる。電荷の蓄積時間などに応じて撮像素子1から読み出される信号が変化し、その信号の変化に応じて画像処理を行う際に参照されるパラメータも変化する。
【0111】
画像処理部81は、撮像素子1から時系列的に得られる複数のフレームのうち所定タイミングごとのフレームを抽出する。または、画像処理部81は、撮像素子1から時系列的に得られる複数のフレームのうち所定タイミングごとのフレームを廃棄する。これにより、データ量を減らすことができるため、後段処理の負荷を軽減することができる。また、画像処理部81は、撮像素子1から時系列的に得られる複数のフレームに基づいて、各フレーム間に補間する1又は複数のフレームを算出する。そして、画像処理部81は、算出した1又は複数のフレームを各フレーム間に追加する。これにより、動画再生時においてより滑らかな動きの動画を再生することができる。
【0112】
焦点検出部82は、撮像素子1から出力された信号を使って、レンズ部71の撮像光学系の焦点情報(合焦に関する情報)を検出する。焦点検出部82は、例えば、位相差方式の焦点検出を行う。焦点検出部82が焦点情報を検出する場合、撮像制御部80は、例えば、図4(D)に示したように光電変換部3に電荷が蓄積される期間と、光電変換部4に電荷が蓄積される期間とを同じ長さに設定する。焦点検出部82は、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号と、光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号とを比較し、焦点情報を検出する。
【0113】
例えば、焦点検出部82は、第1出力信号のレベルと第2出力信号のレベルの差が閾値以下である場合、撮像素子1の受光層12にレンズ部71の焦点が合っていると判定する。また、焦点検出部82は、第1出力信号のレベルと第2出力信号のレベルの差が閾値より大きく、かつ第1出力信号と第2出力信号の一方のレベルが他方のレベルよりも高い場合、焦点が受光層12よりも物体面側にある(前ピン)であると判定する。また、焦点検出部82は、第1出力信号のレベルと第2出力信号のレベルの差が閾値より大きく、かつ第1出力信号と第2出力信号の他方のレベルが一方のレベルよりも高い場合、焦点が受光層12よりも物体面側にある(前ピン)であると判定する。なお、焦点検出部82は、第1出力信号のレベルと第2出力信号のレベルの差に基づき、レンズ部71の焦点と光電変換部(受光層12)とのずれ量を焦点情報として検出してもよい。
【0114】
焦点検出部82は、検出した焦点情報を撮像制御部80に供給する。撮像制御部80は、例えば、焦点検出部82が検出した焦点情報を使って、光電変換部に焦点を合わせるために必要なレンズ駆動部72による駆動量を算出する。撮像制御部80は、算出した駆動量に基づきレンズ駆動部72に指令を送ることにより、レンズ部71の焦点を制御する。
【0115】
なお、焦点検出部82が焦点情報を検出する場合、撮像制御部80は、光電変換部3に電荷が蓄積される期間と、光電変換部4に電荷が蓄積される期間とを異なる長さに設定してもよい。この場合に、焦点検出部82は、露光期間の長さを光電変換部3と光電変換部4とで揃えた場合の出力信号のレベルの推定値に基づき、焦点情報を検出してもよい。
【0116】
例えば、撮像制御部80は、撮像素子1の水平走査回路52に指令を送ることにより、アンプ55の増幅率とアンプ56の増幅率の少なくとも一方を制御し、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間の長さが揃っている状態に相当する信号を出力させてもよい。例えば、光電変換部3に対する露光期間の長さが光電変換部4に対する露光期間の長さの2倍である場合、撮像制御部80は、アンプ55の増幅率をアンプ56の増幅率の半分に調整してもよい。また、制御部73(例、画像処理部81、焦点検出部82)は、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間の長さが揃っている状態に相当する信号のレベルを演算してもよい。
【0117】
表示部75は、例えば液晶表示パネルを含み、制御部73から供給される画像データに従って画像を表示する。制御部73から供給される画像データは、撮像素子1で撮像された画像(例、静止画、動画、ライブビュー画像)に基づく画像データ、撮像装置70の撮影条件などの設定を示す画像の画像データなどである。ライブビュー画像は、画像処理部81で生成された画像データを表示部75に順次出力して表示部75に表示される画像である。ライブビュー画像は、撮像素子1により撮像されている被写体の画像を使用者が確認するために用いられる。ライブビュー画像は、スルー画やプレビュー画像とも呼ばれる。表示部75は、タッチパネルなどの入力部を含んでいてもよい。
【0118】
操作部76は、例えば、撮像装置70がカメラである場合、使用者によって操作されるレリーズスイッチ、動画スイッチ、各種の操作スイッチなどである。操作部76は、使用者による操作に応じた信号を制御部73に出力する。例えば、制御部73は、操作部76の操作に応じて、撮像素子1に撮像処理を実行させる。また、制御部73は、撮影条件などを示す画像を表示部75に表示させ、操作部76は使用者からの入力を受け付けることができる。
【0119】
記録部77は、メモリカードなどの記憶媒体83を装着可能なカードスロットを有する。記録部77は、カードスロットに装着された記憶媒体83に画像処理部81において生成された画像データや各種データを記憶する。例えば、制御部73は、操作部76の操作に応じて撮像素子1に撮像させた画像に基づくデータを、記憶媒体83に記憶させる。制御部73は、例えば、HDR処理により生成された画像データと記憶媒体83に記憶させてもよいし、HDR処理を行わないで生成された画像データと記憶媒体83に記憶させてもよい。また、制御部73は、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号を元に生成された第1画像データと、光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号を元に生成された第2画像データとを分けて、記憶媒体83に記憶させてもよい。第1画像データは、第2出力信号を使わないで生成された画像データであってもよいし、第2画像データは、第1出力信号を使わないで生成された画像データであってもよい。
【0120】
次に、撮像装置70がカメラである場合の動作について説明する。図9は、撮像装置70の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS1において、撮像制御部80は、静止画モードに設定されているかを判定する。
【0121】
まず、静止画モードに設定されている場合について説明する。撮像制御部80は、ステップS1において静止画モードに設定されていると判定した場合(ステップS1;Yes)、ステップS2において、HDRモードに設定されているか否かを判定する。撮像制御部80は、ステップS2においてHDRモードに設定されていると判定した場合(ステップS2;Yes)、ステップS3において、露光期間を設定する。ここでは、初期状態において、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間が同じに設定されているものとする。撮像制御部80は、ステップS3において、光電変換部3に対する露光期間の長さを光電変換部4に対する露光期間と異なる長さに設定する。
【0122】
撮像制御部80は、ステップS2においてHDRモードに設定されていないと判定した場合(ステップS2;No)、又はステップS3の処理が終了した場合、ステップS4においてレリーズスイッチ(以下、レリーズSWと略記する)が操作されたか否かを判定する。ステップS4において、撮像制御部80は、レリーズSWが半押しされたと判定した場合(ステップS4;Yes)、ステップS5においてオート露出処理(AE処理)を行う。また、ステップS4において、撮像制御部80は、レリーズSWが操作されていないと判定した場合(ステップS4;No)、レリーズSWの操作のモニターを継続する。なお、ステップS4において、撮像制御部80は、レリーズSWが全押しされたと判定した場合、後に説明するステップS8の撮像処理を撮像素子1に実行させる。
【0123】
撮像制御部80は、ステップS5の処理が終了した後、ステップS6においてオートフォーカス処理(AF処理)を行う。ステップS5において、撮像制御部80は、撮像素子1に撮像処理を実行させる。また、焦点検出部82は、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号、及び光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号を使って、焦点情報を検出する。また。撮像制御部80は、焦点検出部82が検出した焦点情報に基づいて、レンズ駆動部72を制御し、レンズ部71の焦点を調整する。
【0124】
なお、HDRモードに設定されている場合に、撮像制御部80は、ステップS5の処理が終了した後、またはステップS6の処理が終了した後に、ライブビュー画像を表示部75に表示させてもよい。また、撮像制御部80は、光電変換部3に対する露光期間の長さと光電変換部4に対する露光期間の長さの少なくとも一方の変更を要求する入力を受け付けてもよい。例えば、使用者は、ライブビュー画像を見ながら、HDR処理における明るさの設定を変更できる。また、撮像制御部80は、例えばライブビュー画像における画素値の分布などに基づいて、光電変換部3に対する露光期間の長さと光電変換部4に対する露光期間の長さの少なくとも一方を自動で変更してもよい。また、撮像制御部80は、このような露光期間の変更処理を、例えばステップS4においてレリーズSWの操作をモニターしている間に実行してもよい。
【0125】
また、撮像制御部80は、AE処理の結果を利用して、アンプ55の増幅率とアンプ56の増幅率の少なくとも一方を調整してもよい。例えば、撮像制御部80は、光電変換部3と光電変換部4のうち露光時間が長い方に合わせて、撮像対象のうち暗い暗部が検出できるように絞りを設定し、この条件で露光時間が短い方で出力が飽和しないように、増幅率を調整してもよい。
【0126】
撮像制御部80は、ステップS6の処理が終了した後、ステップS7においてレリーズSWが操作されたか否かを判定する。撮像制御部80は、ステップS7においてレリーズSWが全押しされたと判定した場合(ステップS7;Yes)、ステップS8において撮像素子1に撮像処理を実行させる。また、撮像制御部80は、ステップS7においてレリーズSWが操作されていないと判定した場合(ステップS7;No)、レリーズSWの操作のモニターを継続する。なお、ステップS7において、撮像制御部80は、レリーズSWが半押しされたと判定した場合、ステップS5のAE処理およびステップS6のAF処理を再度実行した後、レリーズSWの操作のモニターを継続する。
【0127】
HDRモードに設定されている場合に、撮像制御部80は、ステップS8において、垂直走査回路51から出力される各種制御信号を例えば図3に示した波形に設定する。また、HDRモードに設定されていない場合に、撮像制御部80は、ステップS8において、垂直走査回路51から出力される各種制御信号を例えば図4(D)に示した波形に設定する。撮像制御部80は、1フレームの期間が終了した後、水平走査回路52に撮像結果を出力させる。
【0128】
制御部73は、ステップS8の処理が終了した後に、ステップS9において、撮像結果に応じた画像データを画像処理部81に生成させる。HDRモードに設定されている場合に、画像処理部81は、ステップS9においてHDR処理を行って画像データを生成する。また、HDRモードに設定されていない場合に、画像処理部81は、ステップS9においてHDR処理を行わないで画像データを生成する。制御部73は、ステップS9の処理が終了した後に、ステップS8で生成された画像データを、ステップS10において記憶部7と表示部75の少なくとも一方に出力する。このようにして、一連の処理が終了する。
【0129】
次に、動画モードに設定されている場合(静止画モードに設定されていない場合)について説明する。動画モードに設定されている場合、撮像制御部80は、例えば、画角の中央または使用者が指定する位置にフォーカスを合わせる。撮像制御部80は、ステップS1において静止画モードに設定されていないと判定した場合(ステップS1;No)、ステップS11において、HDRモードに設定されているか否かを判定する。撮像制御部80は、ステップS11においてHDRモードに設定されていると判定した場合(ステップS11;Yes)、ステップS12において、露光期間を設定する。ここでは、初期状態において、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間が同じに設定されているものとする。撮像制御部80は、ステップS12において、光電変換部3に対する露光期間の長さを光電変換部4に対する露光期間と異なる長さに設定する。
【0130】
撮像制御部80は、ステップS11においてHDRモードに設定されていないと判定した場合(ステップS11;No)、又はステップS12の処理が終了した場合、ステップS13において、録画の開始を要求する動画スイッチ(以下、動画SWと略記する)の操作が行われたか否かを判定する。ステップS13において、撮像制御部80は、動画SWが操作されたと判定した場合(ステップS13;Yes)、ステップS14において撮像素子1に撮像処理を実行させる。また、ステップS13において、撮像制御部80は、動画SWが操作されていないと判定した場合(ステップS13;No)、動画SWの操作のモニターを継続する。
【0131】
HDRモードに設定されている場合に、撮像制御部80は、ステップS14において、垂直走査回路51から出力される各種制御信号を例えば図3に示した波形に設定する。また、HDRモードに設定されていない場合に、撮像制御部80は、ステップS14において、垂直走査回路51から出力される各種制御信号を例えば図4(D)に示した波形に設定する。撮像制御部80は、1フレームの期間が終了した後、水平走査回路52に撮像結果を出力させる。
【0132】
制御部73は、ステップS14の処理が終了した後に、撮像結果に応じた画像データを画像処理部81に生成させる。HDRモードに設定されている場合に、画像処理部81は、HDR処理を行って画像データを生成する。また、HDRモードに設定されていない場合に、画像処理部81は、HDR処理を行わないで画像データを生成する。制御部73は、画像処理部81が生成した画像データを、記憶部7と表示部75の少なくとも一方に出力する。
【0133】
撮像制御部80は、ステップS14の処理が終了した場合、ステップS15において、録画の終了を要求する動画SWの操作が行われたか否かを判定する。撮像制御部80は、ステップS15において動画SWが操作されたと判定した場合(ステップS15;Yes)、一連の処理を終了する。また、撮像制御部80は、ステップS15において動画SWが操作されていないと判定した場合(ステップS15;No)、ステップS16において所定のフレーム数の撮像が終了したか否かを判定する。撮像制御部80は、ステップS16において所定のフレーム数の撮像が終了していないと判定した場合(ステップS16;No)、ステップS14に戻り、次のフレームの撮像処理を撮像素子1に実行させる。
【0134】
撮像制御部80は、ステップS16において所定のフレーム数の撮像が終了したと判定した場合(ステップS15;Yes)、ステップS17においてAF処理を実行する。ステップS16において、撮像制御部80は、撮像素子1に撮像処理を実行させる。また、焦点検出部82は、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号、及び光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号を使って、焦点情報を検出する。また。撮像制御部80は、焦点検出部82が検出した焦点情報に基づいて、レンズ駆動部72を制御し、レンズ部71の焦点を調整する。
【0135】
ステップS17において、撮像制御部80は、出力される動画のフレーム間の期間に撮像処理を実行させ、その結果を使ってAF処理を実行してもよい。また、ステップS17において、撮像制御部80は、出力される動画のフレームの画像データを使ってAF処理を実行してもよい。また、撮像制御部80は、複数の画素Pのそれぞれの出力を使ってAF処理を実行してもよいし、複数の画素Pのうち一部の画素Pから出力される信号を使って、AF処理を実行してもよい。一部の画素Pから出力される信号を使ってAF処理を実行する場合に、一部の画素Pは、複数の画素Pのうち固定されていてもよいし、AF処理ごとに異なる画素に変更されてもよい。また、HDRモードに設定される場合に、AF処理に用いる一部の画素Pについては、光電変換部3と光電変換部4とで露光期間の長さを同じに設定してもよい。
【0136】
なお、所定のフレーム数は、レンズ駆動部72の応答速度などに応じて設定される。例えば、撮像制御部80が指定する駆動量をレンズ駆動部72が達成するのに必要な時間が1秒であり、フレームレートが30FPSである場合に、所定のフレーム数は、30フレームを下限値とする任意の値に設定される。所定のフレーム数は、例えばデフォルト値が設定されおり、使用者の指定により上記の下限値以上の値に変更可能である。
【0137】
撮像制御部80は、ステップS17の処理が終了した後に、ステップS13に戻り、次のフレームの撮像処理を撮像素子1に実行させる。このように、撮像制御部80は、ステップS14において録画の中止を要求する動画SWの操作が行われたと判定するまで、ステップS13の撮像処理を繰り返し実行させる。また、撮像制御部80は、所定のフレーム数の撮像処理が行われるたびに、ステップS17のAF処理を実行する。
【0138】
上述のような制御部73は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含み、このCPUが撮像制御プログラムに従って、少なくとも1つの処理を実行する態様であってもよい。この撮像制御プログラムは、制御部73に、第1画素に配置され光を電荷に変換する光電変換部3および光電変換部4のうち、光電変換部3から、1フレームの期間のうち第1期間に、電荷を転送させることと、光電変換部4から、1フレームの期間のうち第1期間と異なる第2期間に、電荷を転送させることとを実行させてもよい。また、制御部73は、ASICなどの演算回路を含んでいてもよい。例えば、画像処理部81は、演算回路を含み、この演算回路が少なくとも1つの処理を実行する態様でもよい。
【0139】
本実施形態に係る撮像装置70は、撮像素子1の1画素に複数の光電変換部が配置されているので、撮像画像の解像度を下げることなくダイナミックレンジを広げることができる。また、光電変換部3から電荷を転送するための転送部21と光電変換部4から電荷を転送するための転送部41とを独立して制御できるので、フレームレートの低下を抑制できる。また、撮像装置70は、光電変換部3に蓄積される電荷に基づく第1出力信号と、光電変換部4に蓄積される電荷に基づく第2出力信号とを使って、AF処理を行うこともできる。
【0140】
なお、本発明の技術範囲は、上記の実施形態あるいは変形例に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記の実施形態あるいは変形例で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0141】
1 撮像素子、3 光電変換部、4 光電変換部、P 画素、21 転送部、22 転送制御線、23 電荷電圧変換部、24 リセット部、25 リセット制御線、41 転送部、42 転送制御線、43 電荷電圧変換部、44 リセット部、45 リセット制御線、55 アンプ、56 アンプ、60 光電変換部、61 光電変換部、62 光電変換部、63 転送部、64 転送制御線、65 転送部、66 転送制御線、70 撮像装置、80 撮像制御部、81 画像処理部、82 焦点検出部、P 画素、P1 画素、P2 画素、TX1 制御信号、TX2 制御信号、TX3 制御信号、TX4 制御信号、RST1 制御信号、RST2 制御信号
図1
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図9