(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009621
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】回転体のバランス方法
(51)【国際特許分類】
G01M 1/32 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G01M1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111289
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 智美
【テーマコード(参考)】
2G021
【Fターム(参考)】
2G021AB06
2G021AC03
2G021AC11
2G021AE01
2G021AM08
(57)【要約】
【課題】回転体のバランス方法において、コストの増加を抑制しつつ修正効果を向上させること。
【解決手段】少なくとも二つの軸受と、ロータと、ロータに取り付ける重量物とを有して構成される回転体のバランス方法であって、並進モード成分、コニカルモード成分、曲げ一次モード成分、および曲げ二次モード成分を有するモードが生じるまでの高回転数域によって単体状態のロータに対してバランス処理を行う第1ステップと、ロータに対して重量物を取り付けた組立状態において、第1ステップの回転速度よりも低い回転数域でロータに対して低速バランス処理を行う第2ステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの軸受部と、ロータと、前記ロータに取り付ける重量物とを有して構成される回転体のバランス方法であって、
並進モード成分、コニカルモード成分、曲げ一次モード成分、および曲げ二次モード成分を有するモードが生じるまでの高回転数域によって単体状態の前記ロータに対してバランス処理を行う第1ステップと、
前記ロータに対して前記重量物を取り付けた組立状態において、前記第1ステップの回転速度よりも低い回転数域で前記ロータに対して低速バランス処理を行う第2ステップと、を含む
回転体のバランス方法。
【請求項2】
前記第2ステップの前記回転数域は、前記並進モード成分および前記コニカルモード成分を有する回転数域である
請求項1に記載の回転体のバランス方法。
【請求項3】
前記回転体は、前記軸受部の剛性が低下された構造が付加されて危険速度が低減された構造を有する
請求項1に記載の回転体のバランス方法。
【請求項4】
前記並進モード成分、前記コニカルモード成分、前記曲げ一次モード成分、および前記曲げ二次モード成分を有するモードを、実運転回転数以下において生じさせる
請求項3に記載の回転体のバランス方法。
【請求項5】
前記軸受部に弾性体が設けられている
請求項3に記載の回転体のバランス方法。
【請求項6】
前記軸受部に直列で取り付ける前記弾性体の剛性は、前記軸受部の剛性の50%以下とする
請求項5に記載の回転体のバランス方法。
【請求項7】
前記並進モード成分と、前記コニカルモード成分と、前記曲げ一次モード成分および前記曲げ二次モード成分とに対応する、(N+2)個の修正面を用いる
請求項1に記載の回転体のバランス方法。
【請求項8】
前記第2ステップにおいて、前記重量物の取り付けと前記低速バランス処理とを、複数回実行する
請求項1に記載の回転体のバランス方法。
【請求項9】
前記第1ステップにおいて、前記重量物の少なくとも一部を取り付けた状態で、前記高回転数域でのバランス処理を実行する
請求項1に記載の回転体のバランス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体のバランス方法に関し、特に、蒸気タービンなどの弾性または準弾性のロータに適用可能なバランス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に蒸気タービンのロータは、ロータ軸に複数のディスクを備え、それぞれにタービン動翼の翼列が組み込まれている。翼列の仕様が性能面によって決定されることにより、ディスクの仕様もほぼ一様に決定される。この際、翼列数の増加やロータ軸長の増大、ディスク径の低下は、ロータの剛性を低下させる要因になり、定格回転数以下に曲げ成分を含む危険速度が存在する。このようなロータを弾性ロータという。ここで、危険速度とは、回転体と軸受系の質量、材料からくる剛性により決る共振周波数に対応する、回転体の回転速度をいう。なお、ロータの曲げ成分を含む危険速度が実運転回転数より大きい場合でも、危険速度が実運転回転数の近傍にあると、実運転回転数での振動変位が増大し、ロータの信頼性を低下させることがある。そこで、以上のようなロータにおいて、実運転回転数より十分低い低回転数域において実行される低速バランスと、実運転回転数と同等の高回転数域において実行される高速バランスとの、2つのバランスを実行することにより、振動変位を低減している。
【0003】
回転体のバランス方法としては、特許文献1,2において提案されている。すなわち、特許文献1に記載されたバランス方法においては、軸端において便宜的に発見したバランスウエイトの情報に基づいて、ロータの端部以外のインペラ部において、(N+2)面バランスを達成できるバランスウエイトに等価変換して、インペラを削ることによってアンバランスを改善している。特許文献2に記載されたバランス方法においては、低回転数域のみのバランス作業によって、曲げ成分を多く含むモードの振動変位を低減している。バランスウエイト取付修正面は、ロータの両軸端部分と中央部分との合計3面であり、低回転数域における測定結果に、過去の実測や計算結果を反映させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-273254号公報
【特許文献2】特開2007-327369号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ターボ機械協会第47巻第7号pp.393-403
【非特許文献2】W.Kellenberger, “Should a Flexible Rotor Be Balanced in N or (N+2) Planes?”, Trans.ASME, J of Eng. For Ind., Vol.94, No.2, pp548-559(1972)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、(N+2)面バランスによって振動変位を効果的に低減できる一方、タービンなどにおいては、バランスをとるための翼列やディスクの研削は行われない。研削する場合であっても、作業時間が増加し、かつ研削後のやり直しが困難になり、実際にはコストが増加する可能性がある。さらに、曲げ成分を多く含むモードに効果的な位置であるロータの中央部の近傍において、バランスウエイトを取り付けられない場合には修正効果が得られない可能性がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術においては、回転機械の有するアンバランス量やその位置は回転体ごとに異なり、さらに低回転数域においては曲げ成分を多く含むモードは生じない。そのため、曲げ成分を多く含むモードを実際に生じさせるバランス方法に比して、バランス効果が得られる可能性が低く、修正効果が十分に得られないという問題が残る。また、バランスウエイト取付修正面が3面であることから、2次以降の曲げモードの振動変位を低減できないという問題も残存する。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、回転体のバランスを取る際の、コストの増加を抑制しつつ修正効果を向上させることができる回転体のバランス方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る回転体のバランス方法は、少なくとも二つの軸受部と、ロータと、前記ロータに取り付ける重量物とを有して構成される回転体のバランス方法であって、並進モード成分、コニカルモード成分、曲げ一次モード成分、および曲げ二次モード成分を有するモードが生じるまでの高回転数域によって単体状態の前記ロータに対してバランス処理を行う第1ステップと、前記ロータに対して前記重量物を取り付けた組立状態において、前記第1ステップの回転速度よりも低い回転数域で前記ロータに対して低速バランス処理を行う第2ステップと、を含む。
【0010】
本発明の第2の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第1の態様において、前記第2ステップの前記回転数域は、前記並進モード成分および前記コニカルモード成分を有する回転数域である。
【0011】
本発明の第3の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第1または第2の態様において、前記回転体は、前記軸受部の剛性が低下された構造が付加されて危険速度が低減された構造を有する。
【0012】
本発明の第4の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第3の態様において、前記並進モード成分、前記コニカルモード成分、前記曲げ一次モード成分、および前記曲げ二次モード成分を有するモードを、実運転回転数以下において生じさせる。
【0013】
本発明の第5の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第3または第4の態様において、前記軸受部に弾性体が設けられている。
【0014】
本発明の第6の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第1~第5の態様のいずれか1つの態様において、前記軸受部に直列で取り付ける前記弾性体の剛性は、前記軸受部の剛性の50%以下とする。
【0015】
本発明の第7の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第1~第6の態様のいずれか1つの態様において、前記並進モード成分と、前記コニカルモード成分と、前記曲げ一次モード成分および前記曲げ二次モード成分とに対応する、(N+2)個の修正面を用いる。
【0016】
本発明の第8の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第1~第7の態様のいずれか1つの態様において、前記第2ステップにおいて、前記重量物の取り付けと前記低速バランス処理とを、複数回実行する。
【0017】
本発明の第9の態様に係る回転体のバランス方法は、上記の第1~第8の態様のいずれか1つの態様において、前記第1ステップにおいて、前記重量物の少なくとも一部を取り付けた状態で、前記高回転数域でのバランス処理を実行する。
【発明の効果】
【0018】
本発明による回転体のバランス方法によれば、コストの増加を抑制しつつ修正効果を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による回転体のバランス方法が適用されるタービンロータの概略を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、本発明の第1の実施形態による回転体のバランス方法を説明するための図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の第1の実施形態による回転体のバランス方法を説明するための図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の第1の実施形態による回転体のバランス方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施形態による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の第3の実施形態による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態によるタービンロータのクリティカルマップを説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の第4の実施形態による回転体のバランス方法が適用されるタービンロータの概略を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態の具体的な実施例によるタービンロータのアンバランスの例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、単体状態のロータの低速バランス修正前後の第1計測点の振動変位の計算結果を示すグラフである。
【
図9B】
図9Bは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、単体状態のロータの低速バランス修正前後の第2計測点の振動変位を示すグラフである。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、単体状態のロータの高速バランス修正後、重量物の取り付け後、およびばねを取り外した後の第1計測点の振動変位を示すグラフである。
【
図10B】
図10Bは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、単体状態のロータの高速バランス修正後、重量物の取り付け後、およびばねを取り外した後の第2計測点の振動変位を示すグラフである。
【
図11A】
図11Aは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、低速バランス処理前の振動変位中のモード成分を示すグラフである。
【
図11B】
図11Bは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、低速バランス処理後の振動変位中のモード成分を示すグラフである。
【
図11C】
図11Cは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、高速バランス処理前の振動変位中のモード成分を示すグラフである。
【
図11D】
図11Dは、本発明の実施形態によるタービンロータのアンバランスの例における、重量物を取り付けた後において低速バランス処理後の振動変位中のモード成分を示すグラフである。
【
図11E】
図11Eは、従来技術によるタービンロータのアンバランスの例における、低速バランス処理の実施後の振動変位中のモード成分を示すグラフである。
【
図12】
図12は、従来技術による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
【0021】
まず、本発明の理解を容易にするために、従来技術が有する問題、および従来技術が有する問題に関して本発明者が行った鋭意検討について説明する。
図12は、従来技術による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
図12に示すように、従来技術による回転体のバランス方法としては、ステップST101において、回転体としてのロータに重量物を取り付ける。次に、ステップST102に移行して、低速バランス処理を実行する。続けて、ステップST103に移行して、高速バランス処理を実行する。従来の回転体のバランス方法においては、ロータに重量物を取り付けた後に組立状態でバランスを行うステップST100のみから構成される。
【0022】
従来技術による回転体のバランス方法においては、ステップST100のように、ロータに対してタービン動翼などの重量物を取り付けた後の組立状態においてバランス処理を実行している。そのため、回転時に回転機械を格納するチャンバの大きさは、重量物の径を考慮した大きさにする必要がある。
【0023】
ここで、ステップST102における低速バランス処理においては通常、ロータの回転速度は実運転回転数よりも小さく、例えば毎分数100回程度である。そのため、低速バランス処理に用いる駆動モータやチャンバなどの処理装置に関しては、高速バランス処理に用いる駆動モータやチャンバなどの処理装置に比して安価で簡単な構成のものを使用できる。低速バランス処理を実行する際の条件によっては、チャンバ内の真空引きなどを実行することが不要な場合もあり、さらに、チャンバ自体が不要な場合もある。
【0024】
低速バランス処理においては、ロータの両端部の近傍に設けられたバランスウエイト取付修正面の2面が用いられる。ここで、低回転数域において抑制可能な振動モードは、並進モード(パラレルモード)および傾きモード(コニカルモード)の2つのモードである。いずれのモードもロータの両端部が振れるモードであることから、ロータの両端部の近傍に設けられたバランスウエイト取付修正面の2面を利用することにより、低速バランス処理が実行できる。
【0025】
一方、ステップST103における高速バランス処理においては通常、ロータの回転速度は実運転回転数程度、または実運転回転数と同等程度まで上昇させる。そのため、高速バランス処理の実行に際しては、運転上、回転機械をチャンバに格納して、チャンバ内を真空引きする必要がある。さらに、ロータを高回転数域まで到達させるために、駆動モータとしても低速バランス処理に用いる駆動モータに比して高価なモータが必要になる。
【0026】
高速バランスにおいては、曲げ成分を多く含むモード(N個)が振動抑制の対象に追加される。そのため、バランスウエイト取付修正面としては(N+2)面が用いられる。高速バランスのために追加されるN面のバランスウエイト取付修正面は、振動モードの腹となる部分、具体的な例としては、曲げ一次モードであればロータの中央に設置するとバランス効果が得やすくなる。
【0027】
また、高速バランス処理においても、ロータに重量物を取り付けた状態で実行される。そのため、高速バランス処理において追加されるバランスウエイト取付修正面のN面の取り付けは、低速バランス処理で用いた2面に比して困難になる。例えば、翼列間が狭い場合、取り付け済の翼列に阻害されてバランスウエイトを取り付けられないため、ロータの中央部分の近傍は修正面として採用できない場合がある。
【0028】
さらに、高速バランス処理は、実運転回転数と同等の高回転数域で運転する必要がある。タービン動翼などの重量物が取り付けられた組立状態では、回転機械の最外径はタービン翼列の最終段先端径によって決定される場合が多い。そのため、組立ロータは、単体のロータに比して大きなチャンバが必要になる。タービン動翼を取り付けた組立状態においてバランスを取る場合は、大気中での回転であっても、タービン動翼による回転負荷が大きくなる。そのため、組立ロータを駆動させようとすると、駆動モータなどを有する処理装置も組立ロータの大きさに比例して大型化させる必要が生じる。
【0029】
このように、組立ロータの方がロータ単体よりも最終段階に近く、実物にほぼ近いためバランス効果はより得られやすいと考えられる反面、取扱いの負担が増加するとともに、処理装置も大型化するという問題がある。さらに、ロータにタービン動翼などの重量物が取り付けられた状態では、振動変位を計測可能な位置や、バランスウエイト取付可能な位置が限定されるという問題が生じる。
【0030】
そこで本発明者は、少なくとも二つの軸受部と、ロータと、前記ロータに取り付ける重量物とを有して構成される回転体のバランス方法に関して、種々の実験および検討を行った。そして、本発明者は、ロータに重量物が取り付けられていない単体状態のロータに対して並進モード成分、コニカルモード成分、曲げ一次モード成分、および曲げ二次モード成分を有するモードが生じるまでの回転速度によってバランス処理を行う第1ステップと、ロータに対して重量物を取り付けた組立状態において、第1ステップの回転速度よりも低い回転数域でロータに対して低速バランス処理を行う第2ステップと、を含むバランス方法を案出した。本発明者の検討によれば、このような第1ステップと第2ステップとを含むことにより、第1ステップにおいては単体状態のロータが有する剛体成分と曲げ成分とのアンバランスを低減し、第2ステップにおいては組立状態とされる取り付けられる重量物によって生じる剛体成分のアンバランスを低減することが可能となる。以下に説明する実施形態は、本発明者による以上の検討に基づいて案出されたものである。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態による回転体のバランス方法が適用されるタービンロータを示す概略図である。なお、以下に説明する実施形態においては、回転体としてタービンロータを対象として説明するが、タービンロータに限定されるものではなく、本発明が適用可能なあらゆる回転機械を回転体とすることが可能である。また、以下の図においては、ロータの長手方向を軸方向とし、軸方向に垂直な方向を径方向とする。
【0032】
図1に示すように、タービンロータ1におけるロータ軸であるロータ11には軸方向に沿って、例えばタービン動翼などの重量物を取り付けるためのディスク12が少なくとも1つ、好適には複数設けられている。ロータ11の両軸端の近傍にはそれぞれ、軸受13および軸受13を固定する架台14が設けられている。架台14は、径方向に対してロータ11を支持する。ロータ11のディスク12には選択的にバランスウエイト取付溝15が形成されている。
図1に示す例では、ディスク12にバランスウエイト取付溝15を合計で3箇所に形成されている。
【0033】
バランスウエイト取付に用いる修正面の最小面数は、本実施形態において、低速バランス処理では2面、高速バランス処理では3面である。バランスウエイト取付溝15は、取り付け作業が可能な部分に設けられる。この場合、従来のバランス処理においては、取り付けたタービン動翼などの重量物が作業の制約になる可能性がある。また、ディスク12の修正面と修正面との間の軸方向に沿った距離が近い場合、それぞれの面でのバランスの修正効果を十分に得ることが困難になる可能性もある。一方、バランス処理のためにディスク12間の距離を大きくすると、コストの増加を招く。本実施形態においては以上の点を考慮して、ディスク12のロータ11における最外端または最外端の近傍の合計2面と、ロータ11の軸方向に沿った中央部分の近傍であって、軸方向に対して空間を有する1面とをバランス面として選択することが好ましい。
【0034】
図2は、本発明の第1の実施形態による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
図3A、
図3B、および
図3Cはそれぞれ、第1の実施形態による回転体のバランス方法を説明するためのタービンロータの概略を示す図である。
【0035】
図2に示すように、第1の実施形態においてはまず、ステップST1において、ロータ11を単体状態としてバランス処理を行う。その後、ステップST2において、ロータ11に重量物を取り付けた後の組立状態においてバランス処理を行う。
【0036】
第1ステップとしてのステップST1は、
図3Aに示すように、ロータ11の単体に対して低速バランス処理を行うステップST11と、
図3Bに示すようにステップST11に続けて、高速バランス処理を行うステップST12とから構成される。なお、ステップST11による低速バランス処理においては、
図3Aに示すように、軸受13に代えて低速バランス処理用の支柱17を用いることが可能である。
【0037】
第2ステップとしてのステップST2は、
図2に示すように、ロータ11に重量物18を取り付けるステップST21と、低速バランス処理を行うステップST22とから構成される。なお、低速バランス処理においては、ステップST11と同様に、軸受13に代えて低速バランス処理用の支柱17を用いることが可能である。
【0038】
図2に示すように、第1の実施形態によるタービンロータ1のバランス方法としては、ロータ11を単体状態としてバランス処理を行うステップST1の工程から始める。ステップST1によるバランス処理は第1に、ステップST11において単体状態のロータ11に対して低速バランス処理を行うことによって、振動変位中の剛体モード成分を抑制できる。第2に、ステップST12において高速バランス処理を行うことによって、振動変位中の曲げモード成分を抑制できる。
【0039】
ステップST1の実行段階においては、ロータ11の単体として剛体モードの不釣り合いをほぼ0にできるとともに、弾性モードの不釣合いをほぼ0にすることができる。すなわち、実際のタービンロータ1を搭載した実機における実回転数の全域において高度なバランス状態(以下、高度バランス状態)にある。このように、単体状態のロータ11の高度バランス状態を、重量物の取り付け作業前に実現することが、本第1の実施形態によるバランス方法の特徴である。
【0040】
次のステップST2においてロータ11に種々の重量物を取り付ける、重量物取り付け作業が実行される。ステップST2においては、個々の重量物の取り付けごとに低速バランス処理を実行することによって、付加物の不釣り合いがほぼ0であることを確認する。これによって、組立後において上述した高度バランス状態を維持する。すなわち、ステップST1においてロータ11に対してバランス処理が実行された後、ステップST2に移行する。ステップST2によって、振動変位中の剛体モード成分を抑制できる。
【0041】
第1の実施形態によるタービンロータ1のバランス方法によれば、特に、振動変位の純曲げ成分となるアンバランスが単体状態のロータ11に多く含まれている場合に有効である。この場合、ステップST1において振動変位中の曲げモード成分を抑制できれば、次のステップST2において曲げモード成分を抑制する必要がなくなるため、高回転数域におけるバランス処理が不要になる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による回転体のバランス方法について説明する。
図4は、第2の実施形態による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
【0043】
図4に示すフローチャートは、上述した第1の実施形態による回転体のバランス方法における低速バランス処理および高速バランス処理に関して、より詳細に規定したフローチャートである。第2の実施形態による回転体のバランス方法においては、第1の実施形態と同様に、単体状態のロータ11によってバランス処理を行うステップST1と、ロータ11に重量物を取り付けた後にバランス処理を行うステップST2とから構成される。
【0044】
ステップST1においては、ステップST11による低速バランス処理を実行した後に、ステップST12による高速バランス処理が実行される。また、ステップST1における低速バランス処理を実行するステップST11は、低回転数域において振動計測を行うステップST111と、ステップST111の後にバランスウエイトを取り付けるステップST112とから構成される。また、ステップST12による高速バランス処理においては、高回転数域において振動計測を行うステップST121と、ステップST121の後にバランスウエイトを取り付けるステップST122とから構成される。
【0045】
第2の実施形態によるバランス方法においては第1の実施形態と同様に、ステップST1の実行後にステップST2に移行する。ステップST2においては、第1の実施形態と同様に、まずステップST21においてロータ11に重量物を取り付ける作業を実行する。次に、ステップST22に移行する。ステップST22においては低速バランス処理が実行され、具体的には低回転数域において振動計測を行うステップST221と、ステップST221の後にバランスウエイトを取り付けるステップST222とから構成される。
【0046】
なお、上述した低速バランス処理および高速バランス処理において計測された振動変位が十分小さい場合、すなわち、ロータ11が高度バランス状態にある場合、バランスウエイトを取り付ける処理(ステップST122,ST222)を省略することができる。なお、以下の説明においても同様であるが、都度の説明は省略する。
【0047】
以上説明した第2の実施形態にいても、低速バランス処理および高速バランス処理を順次実行した後、ロータ11に重量物を取り付けて低速バランス処理を実行していることにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による回転体のバランス方法について説明する。
図5は、第3の実施形態による回転体のバランス方法を説明するためのフローチャートである。
【0049】
図5に示すように、第3の実施形態による回転体のバランス方法においては、単体状態のロータ11によってバランス処理を行うステップST1と、ロータ11に重量物を取り付けた後にバランスを行うステップST3とから構成される。なお、ステップST1は、第1または第2の実施形態と同様である。
【0050】
第3の実施形態によるタービンロータ1のバランス方法においては、ステップST1によるバランス処理の実行後に、ステップST3に移行する。ステップST3は、ロータ11に重量物を取り付けるステップST31と、低速バランス処理を行うステップST32と、ステップST31,ST32を所定回数(X回)だけ繰り返すための判断処理であるステップST33とから構成される。すなわち、ステップST3によるステップST31,ST32は、重量物の取り付け処理および低速バランス処理をX回繰り返す構成である。なお、X回は好適には、2回以上、重量物の総数の半分以下(2≦X≦重量物総数/2)である。
【0051】
これにより、ロータ11に重量物を取り付けることによるアンバランスの発生の可能性に対して、ステップST3によって、重量物に起因するアンバランスをより丁寧に抑制できる。特に、X回を重量物の総数の半分(X=重量物総数/2)とすると、振動変位中の曲げモード成分を理論的にほぼ0にできる。そのため、第1および第2の実施形態によるステップST2に比して、ステップST3を実行した後の振動変位は、剛体モード成分を低減するのみならず、曲げモード成分の増加も抑制可能となる。
【0052】
図6は、
図1に示すタービンロータのクリティカルマップの例を説明するための図である。
図6において、横軸は、ばね定数[kN/mm]であり、縦軸は、回転数[rpm]または周波数[Hz]である。
図6に示すクリティカルマップには、一次モードM1、二次モードM2、および三次モードM3の固有振動数が示される。これらの一次モードM1、二次モードM2、および三次モードM3の固有振動数の値はいずれも、ばね定数によって変化する。
図6に示す例では、特に二次モードM2がばね定数によって大きく変化している。このような特性に関しては、タービンロータ1の製品の仕様によって異なる。例えば非特許文献1に記載された駆動タービンロータのクリティカルマップなどは、二次モードM2がばね定数によって大きく変化するものである。
【0053】
図7に示すように、実機運転時におけるばね定数がB1の場合に、一次モードM1の固有振動数R11と二次モードの固有振動数R12を導出できる。
図6の例では、定格回転数FRを想定すると、一次モードM1の固有振動数R11は十分に低く、二次モードM2の固有振動数R12はやや高いことが分かる。なお、一次モードM1の振動変位成分は、ばね定数が0kN/mmの場合には並進モード成分のみを有し、ばね定数が無限大の場合には曲げ一次モード成分のみを有することになる。ばね定数がこれらの範囲以外(0<ばね定数:有限値)の場合には、ばね定数の増加に伴い、振動変位中の曲げ一次モード成分の割合が増加する。同様に、二次モードM2の振動変位成分は、ばね定数が0kN/mmの場合には傾きモード成分のみを有し、ばね定数が無限大の場合には曲げ二次モード成分のみを有することになる。ばね定数がこれらの範囲以外(0<ばね定数:有限値)の場合には、ばね定数の増加に伴い、振動変位中の曲げ二次モード成分の割合が増加する。
【0054】
これらのことから、
図6に示すようなクリティカルマップとなるタービンロータの場合、剛体モード成分(並進モード、傾きモード)と、曲げモード成分(曲げ一次モード、曲げ二次モード)を抑制すれば、ばね定数に依存することなく、定格回転数と同等の高回転数域で振動変位を抑制できる。この場合、修正面の数(N+2)としては、N+2(=2+2=)4面を用いれば、効果的に振動変位を抑制できる(非特許文献2参照)。
【0055】
ここで、二次モードM2の固有振動数R12が定格回転数FRに近い場合、タービンロータ1においては、定格回転数において二次モードM2に起因する振動が生じる。この場合、二次モードM2の固有振動数R12のピーク回転数やピーク回転数の近傍の回転数で運転できないと、二次モードM2に起因する振動を抑制できない可能性がある。そこで、本発明者は、この問題についても鋭意検討を行い、以下のように解決する方法を案出した。このバランス方法について、以下の第4の実施形態において説明する。
【0056】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態による回転体のバランス方法が適用されるタービンロータの概略を示す図である。
図7に示すように、第4の実施形態によるタービンロータ1Aにおいては、軸受13がばね16を介して架台14に連結されている。軸受13には、ばね16が直列で取り付けられている。ここで、ばね16の剛性は、軸受13の剛性の50%以下にするのが好ましい。このとき、
図6に示すクリティカルマップにおいて、ばね定数は低下する。具体的に例えば、
図6に示すばね定数がばね定数B2まで低下する場合、一次モードM1の危険速度(回転数)は固有振動数R21まで低下し、二次モードM2の危険速度は固有振動数R22にまで低下する。このように、ばね16を適切に選択することによって、実運転回転数よりも低い回転数において、一次モードM1および二次モードM2のバランスをとることが可能になる。
【0057】
ここで、タービンロータ1Aのバランスを適切にするためには、計算や類似機の実測などに基づいて、事前に定量的なクリティカルマップを作成しておくことが望ましい。なお、ばね16は高回転数域におけるバランス時に用いる弾性体であるが、低回転数域においてもばね16を用いることも可能である。例えば、バランス方法を実行する設備において、単体状態のロータ11に対する低速バランス処理、単体状態のロータ11に対する高速バランス処理、および重量物を取り付けた後の低速バランス処理までを同じ設備で実行する場合などでは、ばね16を用いてこれらのバランス処理を実行することも可能である。
【0058】
また、
図7に示すタービンロータ1Aにおいては、バランスウエイト取付溝15が4面に形成されている。これらの4面は、(N+2)面バランスをするために必要な4面である。具体的に例えば、低速バランス処理においては、ロータ11の軸方向に沿った最外端のディスク12の2面を、高速バランス処理においては、これらの最外端のディスク12の2面に加えて、中央部分、具体的には中央のディスク12の両隣のディスク12の2面を用いる。第4の実施形態においては、タービン動翼などの重量物を取り付ける前に、単体状態のロータ11に(N+2)面バランスを実行するため、従来に比して高速バランス処理を実行する際のバランスの修正面の選択肢が大きくなる。これは計測についても同様であり、従来技術のように、軸端部や軸受部やそれらの近傍に限定される必要がなくなる。
【0059】
(実施例)
次に、上述した本発明の実施形態の効果を説明するための具体的な実施例によるタービンロータのアンバランスの例について説明する。
図8は、本発明の実施形態の実施例によるタービンロータのアンバランスの例を示す図である。また、軸振動の規定例としては、JIS B 8101の蒸気タービンの一般仕様である。
【0060】
図8に示すように、軸方向に対して計4か所のアンバランスP
1,P
2,P
3,P
4が配置されている。アンバランス量を以下の表1に示す。
【0061】
【0062】
本実施例については、計算によって実施形態による効果について説明する。なお、本実施例においては、軸受13のばね定数は回転数によらず一定であり、かつ等方性とする。バランスの修正位置は、低速バランス処理においては、2面(修正面25,26)、高速バランス処理においては、4面(修正面21,22,23,24)である。振動変位計側点は第1計測点31および第2計測点32において計測される。なお、本実施例によるタービンロータ1Bにおけるそれぞれのモードのピーク回転数(危険速度)は、一次モードM1においては定格回転数の約50%、二次モードM2においては、定格回転数の約130%近傍に存在している。
【0063】
図9Aおよび
図9Bはそれぞれ、実施例によるタービンロータ1Bによるアンバランスの例の第1計測点31および第2計測点32における、単体状態のロータ11の低速バランス処理(ステップST11)の実行前後の振動変位の結果である。
図9Aおよび
図9Bにおいて、横軸の回転数は定格回転数によって正規化されており、縦軸の振動変位は低速バランス処理前の最大振動変位によって正規化されている。本実施例においては、ばね16として、一次モードM1および二次モードM2のピーク回転数が、定格回転数よりも十分低くなるように設定したばねが用いられる。
図9Aおよび
図9Bから、低速バランス処理を実行することによって、振動変位が1/20以上1/6以下程度にまで低減されていることが分かる。
【0064】
図10Aおよび
図10Bはそれぞれ、実施例によるタービンロータ1Bによるアンバランスの例の第1計測点31および第2計測点32における、単体状態のロータ11の高速バランス処理(ステップST12)の実行後と最終状態である重量物18を取り付けた後の低速バランス処理(ステップST22)との振動変位の結果である。
【0065】
図10Aおよび
図10Bから、高速バランス処理によって、振動変位が1/100近くまで低減されていることが分かる。その後、ロータ11のディスク12に重量物18を取り付けると、一次モードM1および二次モードM2におけるピーク回転数が上昇し、計算範囲内においては一次モードM1のピークだけとなる。この場合、一次モードM1のピークはさらに小さくなり、単体状態のロータ11においてバランスをとった際の効果が維持されていることが分かる。また、高回転数域においては、二次モードM2の影響によって、振動変位の上昇傾向が伺えるが、この場合においても振動変位は十分に小さいことが確認された。
【0066】
図11A、
図11B、
図11C、および
図11Dは、本実施形態によるタービンロータ1のアンバランスの例における振動変位中のモード成分の変化である。
図11Aおよび
図11Bはそれぞれ、ステップST11による低速バランス処理の実行前後である。
図11Cは、ステップST12による高速バランス処理の実行前である。
図11Dは、ステップST22による低速バランス処理の実行後である。
図11Eは、従来技術によるタービンロータのアンバランスの例におけるステップST102の実行後の振動変位中のモード成分の変化である。
図11A~
図11Eにおいて、横軸は、並進モードδp、コニカルモードδΘ、曲げ一次モードΦ1、曲げ二次モードΦ2、および曲げ三次モードΦ3の成分であり、縦軸の無次元振幅は、
図11Aに示す曲げ一次モードΦ1の値を1として正規化した振幅である。
【0067】
図11Aから、バランス処理前(ステップST11の実行前)のロータ11における振動変位には、曲げ三次モードΦ3以外のすべてのモードの成分が含まれていることが分かる。その後、低速バランス処理を実行すると(ステップST11の実行後)、
図11Bから、不釣合い剛体成分である並進モードδpおよびコニカルモードδΘがほぼ抑制されていることが分かる。続けて高速バランス処理を実行すると(ステップST12の実行後)、
図11Cから、不釣合いの曲げ一次モードΦ1および曲げ二次モードΦ2の成分についても抑制されていることが分かる。さらに、この状態のロータ11に重量物18を取り付けても、
図11Dから、それぞれのモード成分の値は大きく変化しないことが分かる。
【0068】
これに対し、
図11Eから、従来技術による低速バランス処理の実行後(ステップST102の実行後)においては、
図11Bとほぼ同等のモード成分を有していることが分かる。これらのことから、曲げモード成分を低下させるためには、曲げモードを有するモードが生じる回転数でバランス作業を実行すべきことがわかる。
【0069】
以上説明した実施形態によれば、第1ステップにおいてロータ単体状態を高回転数域で運転するが、タービン動翼などの重量物が取り付けられていない状態であることから、運転設備は通常の高速バランスに比べて小さく安価なもので対応でき、コストの増大を防止できる。また、バランスウエイト取付修正面や振動変位計測点に選択できる位置の自由度が高いため、精度的により高いバランス効果を期待できる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いても良い。
【0071】
すなわち、本発明が意図する構成であれば、本発明が意図する効果を得られるすべての回転体や回転機械に対して本発明を適用できる。例えば、タービンロータの形状は、
図1に示すディスク型のみならず、凹型の溝をロータに加工することによってタービン動翼を取り付ける構造などであっても良い。また、装置や計測など、バランス処理に影響がないことを条件として、単体状態のロータに対して行う高回転域での高速バランス処理において、あらかじめ複数の重量物を取り付けてあっても良い。例えば、バランスウエイト取付に影響することなく、翼長が短く、かつ回転時に大きな負荷がかからない、タービン前側段落などにおいても、同様に適用できる。
【0072】
上述した各実施形態および各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1B タービンロータ
11 ロータ
12 ディスク
13 軸受
14 架台
15 バランスウエイト取付溝
16 ばね
17 支柱
18 重量物
21,22,23,24,25,26 修正面
31 第1計測点
32 第2計測点