(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104237
(43)【公開日】2025-07-09
(54)【発明の名称】給液ノズル
(51)【国際特許分類】
B67D 7/48 20100101AFI20250702BHJP
B67D 7/52 20100101ALI20250702BHJP
【FI】
B67D7/48
B67D7/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024168113
(22)【出願日】2024-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2023221561
(32)【優先日】2023-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 直人
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA01
3E083AB15
3E083AG02
(57)【要約】
【課題】空気流入路の開口部から流入する液体によって開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置にまで移動してしまうことを抑制できる給液ノズルを提供する。
【解決手段】給油ノズル21の吐出パイプ23の先端側には、液面検知孔となる開口部35が設けられている。給油ノズル21の空気導入管路開閉機構37は、吐出パイプ23の先端が下向きになった場合に、継手部材39の接続路39Aを閉塞する位置から開放する位置に閉止ボール41が変位することにより、吐出パイプ23の上下方向の向きに応じて接続路39Aの閉塞、開放を切り換える。接続路39Aの内面のうちこの接続路39A内を開放する位置に変位した閉止ボール41よりも開口部35側、かつ、底面側となる部位には、底面側から接続路39Aの内側に向けて突出し、開口部35からの液体を遮蔽する遮蔽部51B(仕切り部材)が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給液口に挿入される吐出パイプを通じて液体を供給する給液ノズルであって、
前記液体が流通する液体流路に設けられた主弁と、
前記主弁の開弁による前記液体の流れに基づいて負圧が発生する負圧発生部と、
前記吐出パイプの先端側に設けられた開口部と前記負圧発生部とを連通し、前記負圧発生部にて生じた負圧により前記開口部から空気が流入する空気流入路と、
前記空気流入路内への空気の流入が遮断されることにより、前記液体流路を閉塞させる自動閉塞機構と、
前記空気流入路内に設けられ、前記吐出パイプの先端が下向きになった場合に前記空気流入路を閉塞する位置から開放する位置に弁が変位することにより、前記吐出パイプの上下方向の向きに応じて前記空気流入路の閉塞、開放を切り換える開閉機構と、
前記空気流入路内を開放する方向への前記弁の移動量を制限すると共に、前記空気流入路内において前記開口部と前記弁とを仕切る仕切り部材と、を備えている、ことを特徴とする給液ノズル。
【請求項2】
前記仕切り部材は、
前記空気流入路の内面のうち前記空気流入路内を開放する位置に変位した前記弁よりも前記開口部側で、かつ、底面側となる部位に、前記底面側から前記空気流入路の内側に向けて突出して設けられ、前記開口部からの液体を遮蔽する遮蔽部からなり、
前記空気流入路内の空気は、前記遮蔽部の突出端とこの突出端に対向する前記空気流入路の内面との間を流通する、ことを特徴とする請求項1に記載の給液ノズル。
【請求項3】
前記遮蔽部には、前記空気流入路内を開放する位置に変位した前記弁の中心よりも高さが低くなる位置に、前記液体を前記開口部側に排出する排出口が設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の給液ノズル。
【請求項4】
前記遮蔽部の突出端の高さは、前記空気流入路内を開放する位置に変位した前記弁の最も高い部位の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項2に記載の給液ノズル。
【請求項5】
前記仕切り部材は、
前記空気流入路内を開放する位置に変位した前記弁と前記空気流入路の底面とが非当接状態となるよう前記弁を収容する収容部材からなり、
前記収容部材には、空気が流通する空気流通部が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の給液ノズル。
【請求項6】
前記収容部材は、メッシュ状の円筒形状で形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の給液ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両(自動車)のタンク(燃料タンク)等に液体(液体燃料)を供給する給液ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、給油ノズルを備えた給油装置が記載されている。給油ノズルは、吐出パイプを有しており、吐出パイプは、例えば、ガソリン、軽油、灯油等の液体燃料の給油先(供給先)、即ち、燃料タンク、ポリタンク等の燃料被供給体(被供給体)の給油口(給液口)に挿入される。給油ノズルは、内部の流路に設けられた弁(主弁)が開弁し、流路内を流れる液体燃料(液体)が吐出パイプから吐出することにより、燃料被供給体(被供給体)に燃料(液体)を給油(供給)する。
【0003】
特許文献1の給油ノズルは、給油自動停止機構(自動閉塞機構)および空気導入管路開閉機構(開閉機構)を備えている。給油自動停止機構は、吐出パイプの先端側に設けられた空気導入管路(空気流入路)の液面検知孔(開口部)が燃料(液体)で塞がれ、この空気導入管路内への空気の流入が遮断されると、燃料(液体)の流路を閉塞させる。空気導入管路開閉機構は、吐出パイプが下向きになった場合に空気導入管路を閉塞する位置から開放する位置に閉止ボール(弁)が変位することにより、吐出パイプの上下方向の向きに応じて空気導入管路の閉塞と開放とを切り換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給液ノズル(給油ノズル)の吐出パイプから液体を吐出させているときに、給液口(給油口)の内壁に当たって跳ね返った液体(油滴)が、吐出パイプの先端側に設けられた開口部(液面検知孔)から空気流入路(空気導入管路)内に流入し、開閉機構(空気導入管路開閉機構)の弁(閉止ボール)を移動させる可能性がある。このとき、開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置まで移動し、この弁が空気流入路を閉塞してしまうと、空気流入路内への空気の流入が遮断され、自動閉塞機構が作動する可能性がある。これにより、被供給体内の液体(液面)が吐出パイプの開口部に達する前の状態にもかかわらず、即ち、被供給体内に液体を供給できる余裕があるにもかかわらず、液体の供給が停止してしまう可能性がある。
【0006】
本発明の目的の一つは、空気流入路の開口部から流入する液体によって開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置にまで移動してしまうことを抑制できる給液ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、好ましくは、給液口に挿入される吐出パイプを通じて液体を供給する給液ノズルであって、前記液体が流通する液体流路に設けられた主弁と、前記主弁の開弁による前記液体の流れに基づいて負圧が発生する負圧発生部と、前記吐出パイプの先端側に設けられた開口部と前記負圧発生部とを連通し、前記負圧発生部にて生じた負圧により前記開口部から空気が流入する空気流入路と、前記空気流入路内への空気の流入が遮断されることにより、前記液体流路を閉塞させる自動閉塞機構と、前記空気流入路内に設けられ、前記吐出パイプの先端が下向きになった場合に前記空気流入路を閉塞する位置から開放する位置に弁が変位することにより、前記吐出パイプの上下方向の向きに応じて前記空気流入路の閉塞、開放を切り換える開閉機構と、前記空気流入路内を開放する方向への前記弁の移動量を制限すると共に、前記空気流入路内において前記開口部と前記弁とを仕切る仕切り部材と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空気流入路の開口部から流入する液体によって開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置にまで移動してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態による給液ノズル(給油ノズル)を備えた燃料供給装置(給油装置)を示す正面図である。
【
図2】
図1中の燃料供給装置を模式的に示す全体構成図である。
【
図3】
図1中の給液ノズルを水平にして示す側面図である。
【
図4】
図3中の給液ノズルの一部を断面で示す部分断面図である。
【
図7】給液ノズルを上に向けたとき(開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置に移動したとき)の
図6と同様位置の断面図である。
【
図8】遮蔽部(仕切り部材)を備えた有底筒部材を示す断面図である。
【
図12】第1の変形例による有底筒部材を示す
図8と同様位置の断面図である。
【
図13】第2の変形例による有底筒部材を示す
図8と同様位置の断面図である。
【
図14】第2の実施形態による
図6と同様位置の拡大断面図である。
【
図16】
図14中の収容部材(仕切り部材)を示す斜視図である。
【
図17】第3の変形例による
図14と同様位置の拡大断面図である。
【
図18】
図17中の収容部材(仕切り部材)を示す斜視図である。
【
図19】第4の変形例による収容部材(仕切り部材)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態および変形例による給液ノズルとして、自動車等の車両に給油を行う給油所(ガソリンスタンド、サービスステーション)に設けられた給油装置の給油ノズルを例に挙げ、添付図面に従って説明する。
【0011】
図1ないし
図11は、第1の実施形態を示している。
図1において、燃料の供給所となる給油所1は、車両(図示せず)へ燃料の供給(給油)を行う計量機2を備えている。給油所1では、計量機2を用いてレギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油等の燃料を車両に給油(補給)することができる。燃料供給装置(給油装置)である計量機2は、給油所1の給油レーン(給油ブース)に設置されている。なお、
図1および
図2では、図面が複雑になることを避けるため、給油所1に設置される複数の計量機2のうちの1つを示している。
【0012】
地上設置式の計量機2は、略四角形状をなす筐体3を有している。筐体3の正面側には、モニタ装置17、設定装置18等が設けられている。
図1および
図2に示すように、計量機2は、送液管路6と、供給ポンプ12(以下、給油ポンプ12という)と、流量計13と、給液ホース8(以下、給油ホース8という)と、給液ノズル21(以下、給油ノズル21という)と、を備えている。
図2に示すように、計量機2の筐体3内には、送液管路6、給油ポンプ12、流量計13、ポンプモータ14、制御弁16、給油制御装置19(以下、制御装置19という)等が設けられている。
【0013】
一方、給油所の地下には、例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油等の燃料を貯留する貯留タンク4(以下、地下タンク4という)が埋設されている。地下タンク4は、複数個に分離または分画して設けられており、夫々のタンク毎に液種の異なる燃料(例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油)が貯留される。地下タンク4内の液面5は、例えば専用の液面検出器(図示せず)を用いて検出され、これにより、地下タンク4内の液体残量が監視されている。
【0014】
なお、
図2では、計量機2の内部構造(即ち、送液管路6、給油ポンプ12、流量計13、制御弁16等の配管構造)等を簡略化して示している。即ち、
図1に示すように、筐体3には、複数(例えば3本)の給油ホース8が液種毎に設けられるが、
図2では、1本の給油ホース8を示しており、他の給油ホース等は、説明の簡略化のために省略している。地下タンク4についても同様である。
【0015】
送液管路6は、地下タンク4と給油ホース8との間を接続している。即ち、送液管路6は、一端(下端)側が筐体3内から下向きに延びている。送液管路6の一端側は、吸上げ管6Aとなって地下タンク4に接続されている。これに対して、送液管路6の他端(先端)側は、例えば継手7を介して可撓性の給油ホース8に接続されている。送液管路6は、給油ホース8と共に、燃料供給経路を構成している。
【0016】
給油ホース8の先端側には、車両の燃料タンク等の被供給体(液体被供給体、燃料被供給体)に液体(液体燃料)を供給する給油ノズル21が設けられている。給油ノズル21は、給油作業の待機時に、ノズル掛け10に掛止されている。例えば、給油を行う給油者(セルフの給油者を含む)は、給油ノズル21をノズル掛け10から外し、この状態で、車両の燃料タンクに対する給油作業を行う。
【0017】
図3に示すように、給油ノズル21は、ノズル本体22と、ノズル先端部となる吐出パイプ23と、給油者により手動操作されるノズルレバー24と、を備えている。
図4および
図5に示すように、ノズル本体22内には、ノズルレバー24の操作によって開度が調整される主弁26が設けられている。車両には、燃料タンクに燃料を給油(補充)するための給油口61(注油口、供給口)が設けられている。給油ノズル21は、吐出パイプ23を給油口61内に挿入した状態で、ノズルレバー24を操作することにより、給油を開始することができる。なお、給油ノズル21の構成については、後で詳しく説明する。
【0018】
図1および
図2に示すように、計量機2の筐体3には、ノズル収納部としてのノズル掛け10が設けられている。ノズル掛け10には、給油ノズル21が着脱可能に掛止めされる。即ち、給油ノズル21は、通常、ノズル掛け10に収納されている。車両が給油所1に到着すると、給油者により給油ノズル21がノズル掛け10から外されて、車両の燃料タンクの給油口内に挿入される。また、ノズル掛け10にはノズルスイッチ11が付設されている。ノズルスイッチ11は、制御装置19と接続されている。
【0019】
ノズルスイッチ11は、給油ノズル21がノズル掛け10に掛止されているか否かを検出し、その検出信号を制御装置19に出力する。給油ノズル21がノズル掛け10に掛止されている間は、例えばノズルスイッチ11から制御装置19にON信号(通電)が出力される。給油ノズル21がノズル掛け10から外されている間は、ノズルスイッチ11から制御装置19にOFF信号(非通電)が出力される。なお、ノズルスイッチ11は、給油ノズル21がノズル掛け10から外されている間、ON信号(通電)を出力し、給油ノズル21がノズル掛け10に掛止されている間、OFF信号(非通電)を出力してもよい。
【0020】
送液管路6の途中には、筐体3内に位置して給油ポンプ12、流量計13および制御弁16が配設されている。給油ポンプ12により吸上げ管6Aから吸上げられた地下タンク4内の液体燃料(例えば、レギュラーガソリン)は、送液管路6内を流通するときに、流量計13により流量が計測される。給油ポンプ12は、地下タンク4内の燃料を給油ノズル21側に供給するため、ポンプモータ14により回転駆動される。この場合、ポンプモータ14の回転は、ポンプモータ14の駆動プーリ14Aと給油ポンプ12の従動プーリ12Aとの間に巻回されたベルト15を介して給油ポンプ12の回転軸に伝達される。
【0021】
流量計13は、給油ポンプ12により給油ノズル21に供給された液体燃料の給油量を、給油ノズル21毎に個別に計測する流量検出装置である。例えば、流量計13には、流量パルス発信器13Aが付設されている。流量パルス発信器13Aは、制御装置19と接続されている。流量パルス発信器13Aは、送液管路6内を流れる液体燃料の流量に応じた流量パルス信号を制御装置19に出力する。
【0022】
制御弁16は、その弁開度が可変に制御される電磁式流量制御弁により構成されている。制御弁16は、送液管路6から給油ホース8を介して給油ノズル21へと供給される液体燃料の流量を調整する。制御弁16は、制御装置19と接続されている。制御弁16は、例えば、制御装置19から出力される制御信号の周波数およびデューティ比に応じて制御弁16に供給される駆動電流が可変に制御されることで、弁開度が可変制御される。なお、制御弁16の開閉については、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)を用いたON/OFF制御(弁開度の全開/全閉制御)で、液体燃料の流量を連続的に制御するようにしてもよい。
【0023】
筐体3の正面側には、計量機2による燃料の給油量、金額等を表示する表示手段(表示器)としてのモニタ装置17と、給油者が手動操作することにより給油量等に関する設定が行われる設定手段(入力部)としての設定装置18とが設けられている。モニタ装置17は、例えば、液晶モニタとスピーカ(音響出力装置)とを含んで構成されている。モニタ装置17の液晶モニタ(表示画面)には、給油量等が表示される。また、モニタ装置17のスピーカからは、必要に応じて音声情報、警告音等が出力される。モニタ装置17は、給油者に必要な情報を報知(表示、音声出力)する報知手段を構成している。
【0024】
また、モニタ装置17の表示画面には、例えば、設定装置18により選択される設定項目が表示される。給油者は、設定装置18の各スイッチを操作することにより、満タン給油を選択する操作、任意のプリセット給油量を設定する操作等を行うことができる。なお、
図1および
図2では、モニタ装置17と設定装置18とを別々に設ける構成とした場合を示しているが、例えば、モニタ装置17をタッチパネルにより構成することにより、モニタ装置17と設定装置18とを一体に構成してもよい。
【0025】
計量機2の筐体3内には、設定装置18により設定された給油量に基づいて給油に関する制御を行う制御手段としての制御装置19が設けられている。制御装置19は、給油ノズル21による燃料の給油時に流量計13により計測された給油量を、モニタ装置17に表示させる。
図2に示すように、制御装置19の入力側は、ノズル掛け10のノズルスイッチ11、流量計13の流量パルス発信器13A、設定装置18等に接続されている。制御装置19の出力側は、給油ポンプ12を駆動するポンプモータ14、制御弁16、モニタ装置17等に接続されている。
【0026】
制御装置19は、給油ノズル21がノズル掛け10から外されてノズルスイッチ11からのOFF信号が入力されると、ポンプモータ14を起動する。これにより、給油ポンプ12は、地下タンク4内の燃料を送液管路6から吸上げる。また、制御装置19は、所定周波数の駆動信号を制御弁16に出力することにより制御弁16を制御する。この場合、制御装置19は、駆動信号のデューティ比を変更することにより、所定の弁開度を保つように制御弁16を制御する。
【0027】
この状態で、給油ノズル21のノズルレバー24が操作されると、車両の燃料タンクへの給油が開始される。このとき、流量計13の流量パルス発信器13Aから流量パルスが制御装置19に出力される。制御装置19は、流量パルス発信器13Aから出力された流量パルスを積算してモニタ装置17の表示画面に給油量を表示させる。また、制御装置19は、例えばプリセット給油制御等、設定装置18により設定された給油量に達したときに、給油を停止する。
【0028】
制御装置19は、計量機2のポンプモータ14、制御弁16、モニタ装置17等の各種機器を制御する。このために、制御装置19は、例えばマイクロコンピュータ、電源回路、駆動回路等を含んで構成されている。制御装置19のマイクロコンピュータは、CPUと呼ばれる演算処理装置に加えて、ROM、RAMおよび/または不揮発性メモリ等からなるメモリを有している。メモリには、プリセット給油制御等の給油の制御を行うための処理プログラムが記憶(格納)されている。
【0029】
次に、給油ノズル21について説明する。
【0030】
図1および
図2に示すように、給油ノズル21は、給油ホース8の先端に接続されている。
図3に示すように、給油ノズル21は、ノズル本体22と、吐出パイプ23と、ノズルレバー24と、を備えている。
図4および
図5に示すように、ノズル本体22は、燃料が流通する液体流路としての給油路25と、給油路25に設けられノズルレバー24の操作に基づいて開弁する主弁26と、燃料が流通することにより負圧を発生する負圧発生部29と、を有している。
【0031】
主弁26は、ノズルレバー24の操作に基づく弁軸27の移動(
図5の右方向への移動)により主弁座28から離れる方向に変位し、これにより開弁する。ノズル先端部としての吐出パイプ23は、給油を行うときに、燃料被供給体(例えば、車両の燃料タンク)の給油口61内に挿入される。
図4に示すように、吐出パイプ23の先端側には、検知孔(液面検知孔)となる開口部35が設けられている。ノズルレバー24は、給油を行うときに、給油者により手動操作される。
【0032】
負圧発生部29は、給油路25に設けられている。負圧発生部29は、液体(燃料)の流れで負圧を発生させるエゼクタ弁により構成されている。即ち、負圧発生部29は、テーパ状の弁座30Aを有する弁座部材30と、弁座部材30を吐出側から閉弁する弁体31と、弁体31を閉弁方向に付勢するバネ32Aと、弁体31の移動方向を開閉方向にガイドするガイド部材32と、を有している。
【0033】
ノズルレバー24の操作に基づいて主弁26が開弁し、液体(燃料)の供給が開始されると、負圧発生部29の弁体31は、液体(燃料)の吐出圧により開弁動作する。これにより、液体(燃料)は、弁座部材30の弁座30Aと弁体31のテーパ形状部31Aとの間を通過して吐出パイプ23へ送液される。このとき、弁座部材30の弁座30Aと弁体31のテーパ形状部31Aとの間を通過する液体(燃料)の流速によって負圧が発生する。弁座部材30は、内周側の弁座30Aと外周側の環状通路33とを連通する通路30Bを有している。
【0034】
また、給油ノズル21は、燃料被供給体の液体(燃料)の液面が吐出パイプ23の先端にまで達したか否かを検知するための検知部34(液面検知部)を備えている。検知部34は、吐出パイプ23の先端外周に設けられた開口部35と、開口部35に連通された空気導入管路36と、空気導入管路36に連通された開閉機構としての空気導入管路開閉機構37と、一端が空気導入管路開閉機構37を介して空気導入管路36に連通され、他端がガイド部材32の内部を貫通して環状通路33に連通された連通路38と、を有している。
【0035】
負圧発生部29で負圧が発生すると、開口部35からの空気が空気導入管路36、空気導入管路開閉機構37、連通路38、環状通路33、および、弁座部材30の通路30Bを介して、弁座部材30の弁座30Aの内側に吸引される。空気導入管路開閉機構37は、ガイド部材32に接続された円筒状の継手部材39と、継手部材39の内側に設けられた弁座40と、給油ノズル21が上向きの状態(例えば、ノズル掛け10に掛止された状態)のときに弁座40を閉止する位置に移動する金属球からなる弁としての閉止ボール41と、を有している。
【0036】
継手部材39は、ガイド部材32と空気導入管路36との間に設けられ、内部が空気導入管路36とガイド部材32の連通路38とを接続する接続路39Aとなっている。閉止ボール41は、重力によって低い位置へ転がる。このため、
図3ないし
図6に示すように、吐出パイプ23を車両の燃料タンクの給油口61に挿入するため、吐出パイプ23の先端が下向きに延びるように給油ノズル21をほぼ水平にすると、閉止ボール41は、弁座40から離間して空気導入管路36を開放する。これに対して、吐出パイプ23を車両の燃料タンクの給油口61から抜き出し、吐出パイプ23の先端が上向きに延びるように給油ノズル21を上向きにすると、例えば、水平に対して15°ないし35°程度上に向けると、
図7に示すように、閉止ボール41は、弁座40を閉止して空気導入管路36を遮断する。
【0037】
また、図示は省略するが、ガイド部材32の外周側の環状通路33は、燃料タンクの液面が吐出パイプ23の開口部35まで上昇したことを検知して給油を停止させる給油自動停止機構(図示せず)に連通されている。このため、吐出パイプ23の開口部35が燃料タンクに給油された液体(燃料)によって閉塞されると、負圧発生部29への空気供給が停止され、負圧発生部29で発生した負圧が環状通路33を介して給油自動停止機構に導入される。給油自動停止機構は、例えば、ダイヤフラムを有しており、ダイヤフラムは、負圧によって変位する。給油自動停止機構は、ダイヤフラムの変位に基づいてノズルレバー24(より具体的には、ノズルレバー24の操作に伴って変位する弁軸ロッド)と主弁26との接続(係合)を解除することにより、主弁26を閉弁する。これにより、燃料タンクへの給油を停止することができる。
【0038】
このように、給油ノズル21には、給油ノズル21の上下方向の向きに応じて空気導入管路36の開放と閉塞とを切り換える空気導入管路開閉機構37が設けられている。このため、
図3ないし
図6に示すように、給油ノズル21をほぼ水平にすると、閉止ボール41が弁座40から離間して空気導入管路36を開放する。即ち、閉止ボール41は、空気導入管路36を開放する方向に移動する。これにより、吐出パイプ23を車両の燃料タンクの給油口61に挿入したときは、給油自動停止機構が作動せず、車両の燃料タンクへの給油を行うことができる。これに対して、給油ノズル21を上に向ける(例えば、水平に対して15°ないし35°程度上に向ける)と、
図7に示すように、閉止ボール41が弁座40に着座し、空気導入管路36が遮断される。これにより、給油自動停止機構が作動して、給油が自動的に停止される。なお、給油ノズル21の基本的な構成については、例えば、特開2000-103500号公報等に詳しく記載されているため、これ以上の説明は省略する。
【0039】
ところで、空気導入管路開閉機構37は、給油ノズル21の先端を上向きとした状態でノズルレバー24を操作したときに、液体(燃料)が吐出パイプ23から流出することを防止すべく、給油を自動で停止させるための機構である。即ち、空気導入管路開閉機構37は、給油時に負圧発生部29で発生する負圧に基づいて液面が上がってきたときにこれを検知して給油を自動停止する給油自動停止機構の途中に設けられ、給油ノズル21が上向きになった場合に内部の閉止ボール41が移動して負圧経路を閉止することにより、給油を自動で停止させる姿勢検知の機構(姿勢検知機構)である。
【0040】
しかし、例えば給油口61の形状等によっては、給油中に空気導入管路開閉機構37が誤動作してしまう可能性がある。即ち、
図4に示すように、給油中に給油口61内での液体(油滴)の吹き返しにより、この液体(油滴)が吐出パイプ23の開口部35から空気導入管路36に流れ込む可能性がある。そして、この流れ込んだ液体(油滴)が空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41を押し上げることにより、給油が停止(誤停止)してしまう可能性がある。
【0041】
図4中の矢印F1は、給油ノズル21の吐出パイプ23から吐出される液体(燃料)に対応する。
図4中の矢印F2は、燃料タンクの給油口61の内壁に当たって跳ね返った液体(油滴)に対応する。
図4中の矢印F3は、吐出パイプ23の開口部35から空気導入管路36に流れ込んだ液体(油滴)に対応する。
図4に示すように、給油ノズル21の吐出パイプ23から液体(燃料)を吐出させたときに、給油口61の内壁に当たって跳ね返った液体(油滴)が、吐出パイプ23の開口部35から空気導入管路36内に流入する場合がある。
【0042】
そして、この場合に、空気導入管路36内に流入した液体(油滴)が空気導入管路開閉機構37に到達し、空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41を押し上げる可能性がある。このとき、閉止ボール41が空気導入管路36を閉塞する位置、即ち、弁座40の位置まで移動してしまうと、空気導入管路36内への空気の流入が遮断され、給油自動停止機構(自動閉塞機構)が作動してしまう可能性がある。これにより、吐出パイプ23の開口部35が燃料タンク内の液体(液面)によって塞がれる前、即ち、燃料タンク内に液体を供給できる余裕がある状態で、給油が停止してしまう可能性がある。
【0043】
そこで、第1の実施形態では、空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41の近傍(より具体的には、閉止ボール41よりも開口部35側)に、空気導入管路36内に流入した液体(油滴)が閉止ボール41側に流れることを阻止するための遮蔽部51Bを設けている。これにより、遮蔽部51Bの頂部を超えるように空気を流通させつつ、閉止ボール41側に向けて流れる液体(油滴)を遮蔽部51Bによって遮ることができる。このため、閉止ボール41側に向けて流れる液体(油滴)によって閉止ボール41が押されることにより、空気導入管路36が閉塞してしまうこと、即ち、空気導入管路開閉機構37が誤動作することを抑制できる。また、遮蔽部51Bには、排出口51Dを設けている。このため、排出口51Dにより閉止ボール41側に液体が滞留(停滞)することを抑制できる。以下、これらの点について、詳しく説明する。
【0044】
図4に示すように、給液ノズルとしての給油ノズル21は、給油口61に挿入される吐出パイプ23を通じて、車両の燃料タンク、ポリタンク等の容器(液体被供給体)に液体(例えば、ガソリン、軽油、灯油等の液体燃料)を供給する。給油口61は、容器(被供給体)に設けられる給液口(供給口)に対応する。給油ノズル21は、主弁26と、負圧発生部29と、空気流入路としての空気導入管路36、継手部材39の接続路39A、ガイド部材32の連通路38、環状通路33および弁座部材30の通路30Bと、自動閉塞機構(自動閉弁機構)としての給油自動停止機構(図示せず)と、開閉機構としての空気導入管路開閉機構37と、を備えている。
【0045】
主弁26は、液体(燃料)が流通する液体流路としての給油路25に設けられている。負圧発生部29は、主弁26の開弁による液体の流れに基づいて負圧が発生する。負圧発生部29は、弁座部材30の弁座30Aと弁体31のテーパ形状部31Aとの間を通過する液体(燃料)の流速によって負圧が発生する。空気導入管路36は、吐出パイプ23の先端側に設けられた開口部35と負圧発生部29とを連通している。より具体的には、開口部35と負圧発生部29との間は、空気導入管路36、継手部材39の接続路39A、ガイド部材32の連通路38、環状通路33および通路30Bにより連通されている。
【0046】
空気導入管路36は、負圧発生部29にて生じた負圧により開口部35から空気が流入する。開口部35から流入した空気は、空気導入管路36、継手部材39の接続路39A、ガイド部材32の連通路38、環状通路33および通路30Bを通じて、弁座部材30の弁座30Aと弁体31のテーパ形状部31Aとの間を通過する液体(燃料)に吸い込まれる。給油自動停止機構は、空気導入管路36内への空気の流入が遮断されることにより、給油路25を閉塞させる。
【0047】
給油自動停止機構は、例えば、環状通路33に接続され、負圧によって変位するダイヤフラムを有している。給油自動停止機構は、ダイヤフラムの変位に基づいてノズルレバー24(より具体的には、ノズルレバー24の操作に伴って変位する弁軸ロッド)と主弁26との接続(係合)を解除することにより、主弁26を閉弁し、給油路25を閉塞させる。なお、給油自動停止機構は、例えば、ダイヤフラムの変位をセンサにより検出し、給油路25、送液管路6および給油ホース8を含む燃料供給経路(液体流路)に設けた電磁弁を閉弁することにより、給油路25を閉塞させる構成としてもよい。即ち、給油自動停止機構は、空気導入管路36内への空気の流入が遮断されることにより液体流路を閉塞させる各種の機構を用いることができる。
【0048】
空気導入管路開閉機構37は、空気流入路内、より具体的には、継手部材39の接続路39Aに設けられている。空気導入管路開閉機構37は、弁としての閉止ボール41を有している。空気導入管路開閉機構37は、吐出パイプ23の先端が下向きになった場合に、継手部材39の接続路39Aを閉塞する位置(
図7参照)から開放する位置(
図6参照)に閉止ボール41が変位する。即ち、閉止ボール41は、継手部材39の接続路39Aを閉塞する位置から開放する方向へ移動する。これにより、空気導入管路開閉機構37は、吐出パイプ23の上下方向の向きに応じて空気導入管路36(より具体的には、接続路39A)の閉塞、開放を切り換えることが可能となっている。例えば、給油ノズル21を上向き(例えば、垂直)にしたときは、空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41が弁座40に着座し、継手部材39の接続路39Aを閉塞する。この状態から、給油ノズル21を水平に対して15°ないし35°程度上に向いた状態となるまで下げると、空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41が弁座40から離座し、継手部材39の接続路39Aを開放する。
【0049】
この上で、第1の実施形態では、継手部材39の接続路39A内に、開口部35からの液体(油滴)を遮蔽する遮蔽部51Bが設けられている。遮蔽部51Bは、有底筒部材51の底部により構成されている。即ち、空気導入管路36は、有底筒部材51の内側に嵌合した状態で、有底筒部材51と共に継手部材39の内側に嵌合している。有底筒部材51は、筒部51Aと、底部となる遮蔽部51Bと、を備えている。円筒状の筒部51Aの内側には、空気導入管路36の上流端が嵌合される。筒部51Aの一端側、即ち、空気導入管路36が挿入される開口とは反対側は、閉止ボール41を覆う(ガードする)ための遮蔽部51Bとなっている。
【0050】
図10に示すように、遮蔽部51Bは、有底筒部材51の底部のうち、この底部に貫通して設けられた空気通路51C以外の部位により構成されている。遮蔽部51Bの断面積(軸方向に対して直交する方向に切断した横断面の面積)は、空気通路51Cの断面積(軸方向に対して直交する方向に切断した横断面の面積)よりも大きい。即ち、遮蔽部51Bは、有底筒部材51の底部の半円よりも大きく、空気通路51Cは、有底筒部材51の底部の半円よりも小さい。
【0051】
図6に示すように、有底筒部材51は、遮蔽部51Bが、空気導入管路36の上流端と継手部材39の弁座40との間に位置するように、空気導入管路36と継手部材39との間に設けられる。この場合、遮蔽部51Bは、空気の流通方向(有底筒部材51の軸方向)に関して、継手部材39の接続路39Aの閉止ボール41より開口部35側に設けられている。また、遮蔽部51Bは、接続路39Aの内面のうち閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときに底面側(下側)となる部位に、この底面側から接続路39Aの内側(底面側に対向する接続路39Aの内壁)に向けて突出(延出・隆起)して設けられている。
【0052】
即ち、
図3および
図4に示すように給油ノズル21を水平にし、
図6に示すように接続路39A内を開放する位置に閉止ボール41を変位させる。このとき、遮蔽部51Bは、接続路39Aの内面のうち閉止ボール41より開口部35側(
図6の左側)に設けられている。また、遮蔽部51Bは、接続路39Aの内面のうち
図6の下側となる底面側に設けられている。そして、遮蔽部51Bは、この底面側から
図6の上側に向けて突出している。これにより、遮蔽部51Bは、
図6の左側(空気の流通方向の上流側)から見て閉止ボール41を全体的に覆っている。また、遮蔽部51Bの上端(上面)となる突出端51B1と筒部51Aとの間は、空気通路51Cとなっている。このため、空気導入管路36内の空気は、遮蔽部51Bの突出端51B1とこの突出端51B1に対向する接続路39Aの内面との間を流通する。
【0053】
また、遮蔽部51Bには、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときの閉止ボール41の中心よりも高さが低くなる位置に、液体を開口部35側に排出する排出口51Dが設けられている。即ち、遮蔽部51Bには、遮蔽部51Bを軸方向に貫通する排出口51Dが設けられている。排出口51Dは、遮蔽部51Bよりも閉止ボール41側に入り込んだ液体を開口部35側に排出する。
図6に示すように、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときの閉止ボール41の中心の高さ位置を「A」とした場合、排出口51Dは、閉止ボール41の中心の高さ位置Aよりも低くなる位置に設けられている。
【0054】
また、遮蔽部51Bの突出端51B1の高さは、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときの閉止ボール41の最も高い部位の高さよりも高くなっている。即ち、
図6に示すように、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときの閉止ボール41の最も高い部位の高さ位置を「B」とし、遮蔽部51Bの突出端51B1の高さ位置を「C」とする。この場合、遮蔽部51Bの突出端51B1の高さ位置Cは、閉止ボール41の最も高い部位の高さ位置Bよりも高い。これにより、
図6の状態で、
図6の左側から閉止ボール41を見たときに、遮蔽部51Bによって閉止ボール41全体が覆われる。
【0055】
第1の実施形態による給油ノズル21は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0056】
車両の燃料タンクに給油をするときに、給油者は、計量機2の給油ノズル21をノズル掛け10から外し、燃料タンクの給油口61に給油ノズル21の吐出パイプ23を挿入する。この状態で、給油者は、給油ノズル21のノズルレバー24を操作する。これにより、給油ポンプ12が作動し、地下タンク4内の液体燃料が、送液管路6、給油ホース8を通じて給油ノズル21に供給され、吐出パイプ23から吐出した液体燃料を、車両の燃料タンク等に供給することができる。このとき、送液管路6を流れる液体燃料の流量は流量計13によって計測され、計測された液体燃料の流量は、筐体3の外側面に設けられたモニタ装置17に表示される。
【0057】
給油ノズル21から燃料タンクに給油された液体(燃料)が満タンに近付き、給油ノズル21の吐出パイプ23の開口部35が液体(燃料)によって閉塞されると、負圧発生部29への空気供給が停止される。これにより、負圧発生部29で発生した負圧が環状通路33を介して給油自動停止機構に導入される。このとき、給油自動停止機構は、負圧によるダイヤフラムの変位に基づいてノズルレバー24(より具体的には、ノズルレバー24の操作に伴って変位する弁軸ロッド)と主弁26との接続を解除することにより、主弁26を閉弁する。これにより、燃料タンクへの給油が停止される。給油者は、給油が停止されると、給油ノズル21をノズル掛け10に戻し、給油作業を終了する。
【0058】
次に、空気導入管路開閉機構37の動作について説明する。
【0059】
給油ノズル21がノズル掛け10に掛かっている状態等の待機状態(給油ノズル21が上向きの状態)においては、空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41が弁座40に位置し、継手部材39の接続路39Aを閉塞している。これにより、給油ノズル21を外した待機状態(吐出パイプ23を上向きにしている状態)にてノズルレバー24を操作しても、開口部35から負圧発生部29に空気が供給されない。このため、ノズルレバー24の操作により主弁26を開弁させて、液体(燃料)が流れることにより弁体31も開弁され負圧発生部29にて発生した負圧が給油自動停止機構に導入されるが、給油自動停止機構に空気が供給されないために、給油自動停止機構内のダイヤフラムが変位することにより給油路25内の主弁26は開弁されず(または、副弁が開弁されず)、給油ノズル21から液体は吐出されない。一方、吐出パイプ23を下向きにする(給油口61に挿入する)と、閉止ボール41が弁座40より離間し、継手部材39の接続路39Aが開放される。これにより、開口部35から空気が負圧発生部29に供給され、液体の供給が継続できる。
【0060】
ここで、
図4に示すように、給油ノズル21から吐出された液体が車両の給油口61の内側の流路に当たって跳ね返り、この跳ね返った液体(油滴)が開口部35を経て空気導入管路36に流入する可能性がある。そして、この液体(油滴)が空気導入管路開閉機構37に流れることにより、閉止ボール41が弁座40の位置まで移動してしまう可能性がある。これに対して、第1の実施形態では、
図6に示すように、継手部材39の接続路39A内にこの接続路39Aの内面(底面)から起立した遮蔽部51Bが設けられている。このため、空気導入管路開閉機構37にまで流れた液体(油滴)が閉止ボール41まで流れることを、遮蔽部51Bによって抑制することができる。これにより、閉止ボール41が弁座40の位置まで移動してしまうことを抑制できる。また、遮蔽部51Bの上部は、空気流入路となる空気通路51Cが形成されている。空気導入管路36の空気は、空気通路51Cを通じて負圧発生部29に供給される。
【0061】
また、遮蔽部51Bには、閉止ボール41の中心位置Aよりも低い位置に、貫通孔(液体排出孔)となる排出口51Dが設けられている。このため、開口部35から流入した液体の量が多く、万が一、遮蔽部51Bの高さを超える液面となり、遮蔽部51Bよりも負圧発生部29側に液体が流入したとしても、排出口51Dを通じて開口部35側に液体が排出される。これにより、遮蔽部51Bよりも負圧発生部29側で液体が滞留(停滞)し、この滞留(停滞)した液体により閉止ボール41が移動してしまうことを抑制できる。なお、図示は省略するが、排出口を閉止ボール41の中心位置付近に設けた場合、排出口を通過した液体の流れ(液圧)が閉止ボール41の中心に作用し、閉止ボール41が移動しやすくなる可能性がある。そこで、
図6に示すように、第1の実施形態では、排出口51Dは、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときの閉止ボール41の中心の高さ位置Aよりも低くなる位置に開口している。
【0062】
さらに、遮蔽部51Bは、閉止ボール41よりも高くなるよう設けられている。即ち、遮蔽部51Bの上面(突出端51B1)の高さCは、閉止ボール41の頂点の高さBよりも高い。これにより、閉止ボール41の頂点にまで達する量(所定の量)まで液体をせき止めることができる。また、万が一、遮蔽部51Bの高さを超える液体が閉止ボール41側に流入したとしても、この液体の流れ(液圧)が閉止ボール41に直接的に当たることを抑制できる。これにより、液体の流れ(液圧)が閉止ボール41に与える影響を低減させることができる。
【0063】
なお、遮蔽部51Bは、閉止ボール41が開口部35から脱落することを防止するための脱落防止機能も兼ねている。また、
図6に示すように、継手部材39の接続路39A内には、継手部材39の内周面39Bと弁座40との間に位置して段差部39Cが設けられている。この段差部39Cは、閉止ボール41が弁座40側へ移動する際の障壁となっている。即ち、閉止ボール41は、弁座40側へ移動するときに段差部39Cを乗り越える必要がある。このため、段差部39Cによって閉止ボール41が容易に弁座40側へ移動することを抑制できる。
【0064】
以上のように、第1の実施形態では、
図6に示すように、継手部材39の接続路39Aの内面のうち閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときのこの閉止ボール41より開口部35側、かつ、底面側(下側)となる部位には、この底面側から接続路39Aの内側に向けて突出し、開口部35からの液体を遮蔽する遮蔽部51Bが設けられている。そして、開口部35側から接続路39Aに流れる空気は、遮蔽部51Bの突出端51B1とこの突出端51B1に対向する接続路39Aの内面との間の空気通路51Cを流通する。
【0065】
このため、例えば、燃料タンクの給油口61の内壁に当たって跳ね返った液体が、吐出パイプ23の先端側に設けられた開口部35から接続路39Aに流入しても、この流入した液体が閉止ボール41に勢い良く当たることを遮蔽部51Bによって抑制できる。これにより、空気導入管路36の開口部35から流入する液体によって閉止ボール41が接続路39Aを閉塞する位置にまで移動してしまうことを抑制できる。即ち、接続路39A内に流入した液体の流れによって空気導入管路開閉機構37が作動(誤作動)してしまうことを遮蔽部51Bによって抑制できる。
【0066】
第1の実施形態では、遮蔽部51Bには、閉止ボール41の中心位置Aよりも高さが低くなる位置に液体を開口部35側に排出する排出口51Dが設けられている。このため、遮蔽部51Bよりも閉止ボール41側に液体が流入したとしても、この液体を遮蔽部51Bの排出口51Dを通じて開口部35側に排出できる。これにより、遮蔽部51Bよりも閉止ボール41側に流入した液体が、その位置で滞留(停滞)することにより閉止ボール41が移動してしまうことを抑制できる。
【0067】
第1の実施形態では、遮蔽部51Bの突出端51B1の高さCは、閉止ボール41の最も高い部位の高さBよりも高い。このため、遮蔽部51Bによって閉止ボール41を全体的に遮蔽することができる。また、液体が遮蔽部51Bを超えたとしても、この超えた液体が直接的に閉止ボール41に当たることを抑制できる。これにより、この面からも、閉止ボール41が接続路39Aを閉塞する位置に移動することを抑制できる。
【0068】
なお、第1の実施形態では、遮蔽部51Bの排出口51Dの内径寸法を軸方向にわたって一定にした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、
図12に示す第1の変形例のように、排出口51Dの内径寸法を閉止ボール41側に向かう程大きくしてもよい。即ち、排出口51Dを略円錐状の貫通孔としてもよい。この構成によれば、開口部35側から排出口51Dを通じて閉止ボール41側に液体を入り込みにくくでき、かつ、閉止ボール41側から排出口51Dを通じて開口部35側に液体を排出し易くできる。
【0069】
第1の実施形態では、遮蔽部51Bは、空気の流通方向となる軸方向(筒部51Aの軸方向)に対して直交する方向に突出する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、
図13に示す第2の変形例のように、遮蔽部51Bは、閉止ボール41とは反対側に向けて斜めに突出する構成としてもよい。即ち、遮蔽部51Bは、突出端51B1側が閉止ボール41から離れるように傾斜させてもよい。この構成によれば、開口部35側から流入した液体(油液)を遮蔽部51Bによって戻る方向(開口部35側)に導くことができる。
【0070】
第1の実施形態では、遮蔽部51Bを、有底筒部材51の底部により構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、遮蔽部は、円形の板体に空気通路を貫通して設けた円板状部材により構成してもよい。また、略半円状の板体により遮蔽部を構成してもよい。いずれの場合も、遮蔽部は、空気流入路(接続路、空気導入管路)の内面から内側に向けて突出するように設けることができる。
【0071】
第1の実施形態では、遮蔽部51Bを空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41の近傍に設けた場合、即ち、遮蔽部51Bを閉止ボール41に隣接して設けた場合を例に挙げて説明した。より具体的には、第1の実施形態では、遮蔽部51Bを継手部材39内に設けている。しかし、これに限らず、例えば、遮蔽部を、閉止ボールから開口部側に離間した位置、例えば、空気導入管路の下流端、または、空気導入管路の下流端よりも開口部側となる位置に設けてもよい。即ち、遮蔽部は、空気流入路(継手部材、空気導入管路)内の弁(閉止ボール)より開口部側に設けることができる。
【0072】
第1の実施形態では、空気流入路となる空気導入管路36、継手部材39の接続路39A等を断面が円形の円管路とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、空気流入路は、例えば、断面が四角形状の管路等、断面が円形でない管路にしてもよい。いずれの場合も、遮蔽部は、空気流入路の内面から内側に向けて突出する構成とすることができる。この場合、遮蔽部は、空気流入路の内面のうち弁(閉止ボール)が空気流入路内を開放する位置に変位したときの底面側(下側)から空気流入路の内側(上側)に向けて突出する構成とすることができる。
【0073】
次に、
図14ないし
図16は、第2の実施形態を示している。第2の実施形態は、空気流入路内に弁を収容する収容部材を設ける構成としたことにある。なお、第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
前述の第1の実施形態では、空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41の近傍に、空気導入管路36内に流入した液体(油滴)が閉止ボール41側に流れることを抑制するための遮蔽部51Bが設けられている。この遮蔽部51Bは、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときに、開口部35からの液体(油滴)による閉止ボール41への影響を低減させるよう空気導入管路36と閉止ボール41とを仕切る。即ち、遮蔽部51Bは、接続路39A内を開放する方向への閉止ボール41の移動量を制限すると共に、接続路39A内において開口部35と閉止ボール41とを仕切る「仕切り部材」に対応する。遮蔽部51Bは、接続路39Aの内面のうち閉止ボール41よりも開口部35側で、かつ、底面側(下側)となる部位に、この底面側から接続路39Aの内側に向けて突出して設けられている。このため、開放する方向に移動した閉止ボール41は、遮蔽部51Bに当接することにより、遮蔽部51Bより開口部35側への移動が制限される(閉止ボール41の移動量が制限される)。
【0075】
これに対して、第2の実施形態では、継手部材39内に収容部材71が設けられている。収容部材71は、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときに、開口部35からの液体(油滴)による閉止ボール41への影響を低減させるよう空気導入管路36と閉止ボール41とを仕切る。即ち、収容部材71は、接続路39A内を開放する方向への閉止ボール41の移動量を制限すると共に、接続路39A内において開口部35と閉止ボール41とを仕切る「仕切り部材」に対応する。収容部材71は、接続路39A内を開放する位置に変位した閉止ボール41と接続路39Aの底面とが非当接状態となるよう閉止ボール41を収容する。この場合に、収容部材71は、メッシュ状の円筒形状で形成されている。即ち、収容部材71は、透過構造となっている。以下、収容部材71、および、この収容部材71を継手部材39内に保持するための抑え部材72について説明する。
【0076】
第2の実施形態では、第1の実施形態の有底筒部材51に代えて、抑え部材72および収容部材71を備えている。
図14および
図15に示すように、抑え部材72は、筒部72Aと、抑え部72Bと、を有している。筒部72Aは、円筒状に形成されている。筒部72Aの内側には、一端側(
図14の左側)から空気導入管路36の上流端が挿入される。筒部72Aの他端側(
図14の右側)の開口、即ち、空気導入管路36が挿入される一端側の開口とは反対側の開口には、継手部材39内で収容部材71が軸方向に変位することを阻止する抑え部72Bが設けられている。抑え部72Bは、筒部72Aの他端側の開口に架け渡されている。筒部72Aの外周側には、継手部材39の開口に嵌合する小径部72Cが設けられている。小径部72Cを継手部材39内に嵌合させた状態で、抑え部72Bは収容部材71の底部71Bと当接する。
【0077】
収容部材71は、筒部71Aと、底部71Bと、フランジ部71Cと、を有している。収容部材71は、全体がメッシュ状の網部材により山高帽子(シルクハット)の如き形状に形成されている。なお、
図16および後述の
図18、
図19では、メッシュ(網目)を誇張して示している。即ち、これらの図面では、メッシュ(網目)の部材であることを分かりやすく表すために網目を記載しており、実際の網目とは相違する。
【0078】
収容部材71の筒部71Aは、円筒状に形成されている。
図14に示すように、閉止ボール41が弁座40から離間したとき(空気導入管路開閉機構37が開弁状態のとき)にに、閉止ボール41は、筒部71Aに入り込む。収容部材71の底部71Bは、筒部71Aの一端側(
図14の左側)の開口、即ち、抑え部材72側の開口を閉塞している。フランジ部71Cは、筒部71Aの他端側(
図14の右側)、即ち、抑え部材72とは反対側に位置して、筒部71Aの径方向外側に向けて全周にわたって突出している。フランジ部71Cは、継手部材39内で段差部39Cに当接している。収容部材71は、継手部材39の段差部39Cと抑え部材72の抑え部72Bとの間に挟持される。この場合に、フランジ部71Cは、段差部39Cに接着剤により接着させてもよい。
【0079】
ここで、閉止ボール41は、重力によって低い位置へ転がる。このため、給油ノズル21の吐出パイプ23を車両の燃料タンクの給油口61に挿入するため、吐出パイプ23の先端が下向きに延びるように給油ノズル21をほぼ水平にすると、閉止ボール41は、弁座40から離間して空気導入管路36(接続路39A)を開放する。このとき、閉止ボール41は、
図14に示すように、収容部材71の筒部71A内に入り込む。これにより、閉止ボール41は、継手部材39の底面と非当接状態となるよう収容部材71(筒部71A)内に収容される。継手部材39の底面は、継手部材39の内周面39Bのうち、閉止ボール41が接続路39A内を開放する位置に変位したときに下側となる部位である。なお、給油ノズル21の先端側を上向きの状態(例えば、ノズル掛け10に掛止された状態)にすると、閉止ボール41は収容部材71(筒部71A)内から弁座40に向けて移動し、空気導入管路36(接続路39A)を閉止する。
【0080】
収容部材71には、空気が流通する空気流通部が設けられている。このために、収容部材71は、全体がメッシュ状の網部材により形成されている。即ち、収容部材71の筒部71Aと底部71Bとフランジ部71Cは、メッシュ状の網部材により形成されている。このため、収容部材71(筒部71A、底部71B、フランジ部71C)は、空気流通部となる網部材のメッシュの間を空気が流通することが可能となっている。即ち、
図14に二点鎖線の矢印81で示すように、空気導入管路36内の空気は、収容部材71(筒部71A、底部71B、フランジ部71C)の空気流通部(メッシュの間)を通過して下流側となるガイド部材32の連通路38側に流通する。
【0081】
なお、収容部材71は、網部材に代えて、例えば、複数の穴が形成されたパンチング部材(パンチング板)により形成してもよい。この場合は、パンチング部材(パンチング板)の穴が、収容部材の空気流通部に対応する。空気流通部の具体的な構成、即ち、網目の材質、線径、目開き、空間率、パンチ(穴)の形状、大きさ、間隔等は、例えば、空気の流通に対して大きな抵抗とならず、かつ、液体(油滴)が通過するときにこの液体(油滴)の勢い(力)を十分に抑制できるように設定することができる。
【0082】
このように、第2の実施形態では、継手部材39内の閉止ボール41が装着される部分に、この閉止ボール41を収容することが可能な収容部材71が設けられている。収容部材71は、網状またはパンチ状の気液を透過する部材により形成されている。収容部材71は、空気導入管路開閉機構37の負圧経路が開放されているとき、即ち、閉止ボール41が弁座40から離座しているときに、この閉止ボール41を接続路39Aの中央に保持する保持部材である。これにより、吐出パイプ23の開口部35から空気導入管路36内に流入した液体(油滴)は、収容部材71内の閉止ボール41に勢い良く当たることが抑制される。この結果、収容部材71は、空気導入管路36内に流入した液体(油滴)によって閉止ボール41が弁座40に向けて押されること(即ち、負圧経路が誤って閉止されること)を抑制できる。
【0083】
第2の実施形態は、上述の如き抑え部材72および収容部材71を備えるもので、その基本的作用については、上述した第1の実施形態によるものと格別差異はない。即ち、第2の実施形態によれば、網状またはパンチ状の部品となる収容部材71を備えており、この収容部材71で開弁している閉止ボール41を継手部材39内の中央に保持できるように構成している。このため、第2の実施形態も、例えば、燃料タンクの給油口61の内壁に当たって跳ね返った液体が、吐出パイプ23の先端側に設けられた開口部35から接続路39Aに流入したときに、この流入した液体が閉止ボール41に勢い良く当たることを収容部材71によって抑制することができる。これにより、空気導入管路36の開口部35から流入する液体によって閉止ボール41が接続路39Aを閉塞する位置にまで移動してしまうことを抑制できる。即ち、接続路39A内に流入した液体の流れによって空気導入管路開閉機構37が作動(誤作動)してしまうことを収容部材71によって抑制できる。この結果、給油ノズル21の姿勢検知の機能を維持しつつ空気導入管路開閉機構37の誤動作を抑制できる。
【0084】
しかも、収容部材71は、メッシュ状の円筒形状で形成されている。このため、収容部材71の空気流通部をメッシュ(網目)の間により構成することができる。そして、収容部材71は、メッシュの間を通じて空気導入管路36内の空気をガイド部材32の連通路38側に向けて流通させ、かつ、吐出パイプ23の開口部35から接続路39Aに流入した液体が閉止ボール41に勢い良く当たることを抑制する。これにより、空気導入管路開閉機構37が作動(誤作動)してしまうことを抑制できる。
【0085】
なお、第2の実施形態では、収容部材71の全体(筒部71A、底部71Bおよびフランジ部71C)をメッシュ状の網部材または複数の穴が形成されたパンチング部材(パンチング板)により形成する場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、
図17および
図18に示す第3の変形例のように、収容部材71の全体を、網部材またはパンチング部材(パンチング板)により形成しなくてもよい。即ち、収容部材71の底部75(空気流入路と対向する面)は、液体を遮蔽する遮蔽部としてもよい。例えば、底部75は、板材等の遮蔽部材により形成してもよい。このように、収容部材71の一部は、メッシュやパンチではない構成としてもよい。
【0086】
第2の実施形態では、収容部材71を円筒状の筒部71Aと円状の底部71Bとを有する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、
図19に示す第4の変形例のように、筒部76を半円筒状とすると共に、底部77を半円状としてもよい。この場合、半円筒状の筒部76および半円状の底部77は、液体を遮蔽する遮蔽部材(板状部材)により形成してもよい。このように、収容部材71は、閉止ボール41が収容部材71内に収容(載置)されたときに、閉止ボール41の上部が開放される構成としてもよい。この場合、この開放された部分が、収容部材71の空気流通部に対応する。
【0087】
即ち、収容部材71の空気流通部は、メッシュの間、パンチの穴だけでなく、閉止ボール41に対して開放される部位も含まれる。また、半円筒状の筒部76および半円状の底部77は、液体を遮蔽する遮蔽部材(板状部材)とした場合、半円筒状の筒部76の底面に液体を排出する排出口78を設けることができる。なお、収容部材71を円筒形状とした場合は、半円筒状とした場合と比較して、収容部材71内での閉止ボール41の動きを制限できる。即ち、収容部材71を円筒形状とした場合は、収容部材71内で閉止ボール41が大きく動き回る(はみ出る)ことを抑制できる。
【0088】
以上の実施形態および変形例をまとめると、給油ノズル21は、空気導入管路36(接続路39A)の閉塞、開放を切り換える空気導入管路開閉機構37を備えていることに加えて、空気導入管路36(接続路39A)と空気導入管路開閉機構37の閉止ボール41とを仕切る「仕切り部材」を備えている。「仕切り部材」は、空気導入管路36(接続路39A)内を開放する方向への閉止ボール41の移動量を制限すると共に、空気導入管路36(接続路39A)内において開口部35と閉止ボール41とを仕切る。より具体的には、「仕切り部材」は、閉止ボール41が空気導入管路36(接続路39A)内を開放する位置に変位したときの吐出パイプ23の開口部35からの液体(液体燃料)による閉止ボール41への影響を低減させるよう空気導入管路36(接続路39A)と閉止ボール41とを仕切る。
【0089】
「仕切り部材」は、第1の実施形態、第1変形例および第2変形例の遮蔽部51Bが含まれる。また、仕切り部材は、第2の実施形態、第3変形例および第4変形例の収容部材71が含まれる。遮蔽部51Bは、継手部材39の接続路39Aの内面に設けられている。空気導入管路36の空気は、遮蔽部51Bの突出端と接続路39Aの内面との間を流通する。一方、収容部材71は、接続路39A内を開放する位置に変位した閉止ボール41と接続路39Aの底面とが非当接状態となるよう閉止ボール41を収容する。空気導入管路36の空気は、収容部材71の空気流通部(メッシュの間、パンチ穴)を流通する。空気流通部は、メッシュの間、パンチ穴に限らず、空気を流通することが可能で、かつ、液体の勢い(力)を抑制できる各種の構成を採用することができる。
【0090】
なお、実施形態および変形例では、計量機2として、地上設置型の給油装置(燃料供給装置)を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、計量機として給油ノズルを昇降させる懸垂式の給油装置を用いてもよい。
【0091】
実施形態および変形例では、計量機2が燃料を供給する燃料被供給体(供給対象、被供給体)として、車両の燃料タンクを例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、燃料供給装置となる計量機は、例えば、ガソリン携行缶、ポリタンク等、車両の燃料タンク以外の燃料被供給体に燃料を供給してもよい。
【0092】
実施形態および変形例では、ガソリンスタンド(サービスステーション)に設置される計量機2を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、燃料供給装置となる計量機は、例えば、工場、商店、ホームセンター等、ガソリンスタンド(サービスステーション)以外の給油所に設置してもよい。
【0093】
実施形態および変形例では、給液ノズルとして、ガソリン、軽油等の液体燃料を供給する給油ノズル21を例に挙げて説明した。しかし、給液ノズルは、液体燃料に限らず、燃料以外の液体等、各種の液体の供給に用いることができる。
【0094】
以上説明した実施形態および変形例(以下、「実施形態」という)によれば、空気流入路内を開放する方向への開閉機構の弁の移動量を制限すると共に、空気流入路において開口部と弁とを仕切る仕切り部材を備えている。このため、空気流入路の開口部から流入する液体によって開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置にまで移動してしまうことを仕切り部材により抑制することができる。
【0095】
実施形態によれば、仕切り部材は、空気流入路の内面のうちこの空気流入路内を開放する位置に変位した開閉機構の弁より開口部側、かつ、底面側となる部位に、この底面側から空気流入路の内側に向けて突出して設けられ、開口部からの液体を遮蔽する遮蔽部からなる。そして、空気流入路内の空気は、遮蔽部の突出端とこの突出端に対向する空気流入路の内面との間を流通する。このため、例えば、被供給体の給油口の内壁に当たって跳ね返った液体が、吐出パイプの先端側に設けられた開口部から空気流入路内に流入しても、この流入した液体が開閉機構の弁に勢い良く当たることを遮蔽部によって抑制できる。これにより、空気流入路の開口部から流入する液体によって開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置にまで移動してしまうことを抑制できる。即ち、空気流入路内に流入した液体の流れによって開閉機構が作動(誤作動)してしまうことを遮蔽部によって抑制できる。
【0096】
実施形態によれば、遮蔽部には、開閉機構の弁の中心よりも高さが低くなる位置に液体を開口部側に排出する排出口が設けられている。このため、遮蔽部よりも弁側に液体が流入したとしても、この液体を遮蔽部の排出口を通じて開口部側に排出できる。これにより、遮蔽部よりも弁側に流入した液体が、その位置で滞留(停滞)することにより弁が移動してしまうことを抑制できる。
【0097】
実施形態によれば、遮蔽部の突出端の高さは、開閉機構の弁の最も高い部位の高さよりも高い。このため、遮蔽部によって開閉機構の弁を全体的に遮蔽することができる。また、液体が遮蔽部を超えたとしても、この超えた液体が直接的に弁に当たることを抑制できる。これにより、この面からも、開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置に移動することを抑制できる。
【0098】
実施形態によれば、仕切り部材は、空気流入路内を開放する位置に変位した開閉機構の弁と空気流入路の底面とが非当接状態となるよう弁を収容する収容部材からなる。そして、収容部材には、空気が流通する空気流通部が設けられている。このため、例えば、被供給体の給油口の内壁に当たって跳ね返った液体が、吐出パイプの先端側に設けられた開口部から空気流入路内に流入しても、この流入した液体が開閉機構の弁に勢い良く当たることを収容部材によって抑制できる。これにより、空気流入路の開口部から流入する液体によって開閉機構の弁が空気流入路を閉塞する位置にまで移動してしまうことを抑制できる。即ち、空気流入路内に流入した液体の流れによって開閉機構が作動(誤作動)してしまうことを収容部材によって抑制できる。
【0099】
実施形態によれば、収容部材は、メッシュ状の円筒形状で形成されている。このため、収容部材の空気流通部をメッシュ(網目)の間により構成することができる。
【符号の説明】
【0100】
21 給油ノズル(給液ノズル)
23 吐出パイプ
61 給油口(給液口)
26 主弁
29 負圧発生部
30B 通路(空気流入路)
33 環状通路(空気流入路)
36 空気導入管路(空気流入路)
38 連通路(空気流入路)
39A 接続路(空気流入路)
37 空気導入管路開閉機構(開閉機構)
35 開口部
41 閉止ボール(弁)
51B 遮蔽部(仕切り部材)
51B1 突出端
51D 排出口
61 給油口(給液口)
71 収容部材(仕切り部材)