(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025104893
(43)【公開日】2025-07-10
(54)【発明の名称】車両用制御プログラム、車両用制御装置、および車両制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250703BHJP
B60W 30/08 20120101ALI20250703BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/08
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223055
(22)【出願日】2023-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大庭 吉裕
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA49Z
3D241DA52Z
3D241DA58Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181CC27
5H181FF04
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】障害物との接触を回避する場面において、より適切な運転支援制御を行うことができる車両用制御プログラム、車両用制御装置、および車両制御方法を提供すること。
【解決手段】実施形態の車両用制御プログラムは、コンピュータに、車両の周辺状況を認識することと、前記車両の乗員の操舵状態を検出することと、前記乗員による前記車両の速度操作を検出することと、認識した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行することと、前記回避操舵支援の実行中に、検出した前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止する中止制御を実行することと、を実行させ、前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
車両の周辺状況を認識することと、
前記車両の乗員の操舵状態を検出することと、
前記乗員による前記車両の速度操作を検出することと、
認識した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行することと、
前記回避操舵支援の実行中に、検出した前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止する中止制御を実行することと、を実行させ、
前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する、
車両用制御プログラム。
【請求項2】
前記所定条件は、前記回避操舵支援の開始から所定時間内であることを含む、
請求項1に記載の車両用制御プログラム。
【請求項3】
前記所定条件は、前記操舵状態から前記第1閾値よりも大きい第3閾値以上の操舵量が検出されたことを含む、
請求項1に記載の車両用制御プログラム。
【請求項4】
前記中止制御の実行を抑制する場合に、前記中止制御の実行を抑制しない場合よりも前記第2閾値の値を大きくする、
請求項1に記載の車両用制御プログラム。
【請求項5】
前記速度操作は、前記車両のアクセルペダルの操作を含み、
前記第2閾値は、前記アクセルペダルの開度に対する閾値である、
請求項4に記載の車両用制御プログラム。
【請求項6】
前記速度操作は、前記車両のアクセルペダルの操作を含み、
前記第2閾値は、前記アクセルペダルの開度の変化率に対する閾値である、
請求項4に記載の車両用制御プログラム。
【請求項7】
前記回避操舵支援の実行中に前記所定条件を満たす場合は、前記中止制御を実行しない、
請求項1に記載の車両用制御プログラム。
【請求項8】
前記回避操舵支援の実行中に前記所定条件を満たす場合は、前記車両のアクセルペダルの開度の変化率を用いた前記中止制御の抑制に関する判定を実行しない、
請求項1に記載の車両用制御プログラム。
【請求項9】
前記速度操作は、前記車両のアクセルペダルの開度と、前記アクセルペダルの開度の変化率に関する操作とを含む、
請求項1に記載の車両用制御プログラム。
【請求項10】
車両の周辺状況を認識する認識部と、
前記車両の乗員の操舵状態を検出する操舵状態検出部と、
前記乗員による前記車両の速度操作を検出する速度操作検出部と、
前記認識部により認識された前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、前記操舵状態検出部により検出された前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行する操舵制御部と、
前記回避操舵支援の実行中に、前記速度操作検出部により検出された前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止する中止制御を実行する中止制御部と、を備え、
前記中止制御部は、前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する、
車両用制御装置。
【請求項11】
コンピュータが、
車両の周辺状況を認識し、
前記車両の乗員の操舵状態を検出し、
前記乗員による前記車両の速度操作を検出し、
認識した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、検出した前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行し、
前記回避操舵支援の実行中に、検出した前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止する中止制御を実行し、
前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する、
車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御プログラム、車両用制御装置、および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて予防安全技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。これに関連して、近年では、システム運行設計領域からの逸脱時において、自動車線変更機能を停止させる操作介入の判定基準となるオーバーライド閾値を、システム運行設計領域内にある正常時よりも大きい値に変更する走行制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、予防安全技術においては、車両と障害物との接触を回避する操舵支援制御に対して、制御を中止するオーバーライド閾値をどのように設計すべきかについては考慮されていなかった。そのため、障害物との接触を回避する操舵支援制御中において、適切な運転支援ができない可能性があるというのが課題であった。
【0005】
本願は上記課題の解決のため、障害物との接触を回避する場面において、より適切な運転支援制御を行うことができる車両用制御プログラム、車両用制御装置、および車両制御方法を提供することを目的の一つとしたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両用制御プログラム、車両用制御装置、および車両制御方法は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両用制御プログラムは、コンピュータに、車両の周辺状況を認識することと、前記車両の乗員の操舵状態を検出することと、前記乗員による前記車両の速度操作を検出することと、認識した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行することと、前記回避操舵支援の実行中に、検出した前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止する中止制御を実行することと、を実行させ、前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する、車両用制御プログラムである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記所定条件は、前記回避操舵支援の開始から所定時間内であることを含むものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記所定条件は、前記操舵状態から前記第1閾値よりも大きい第3閾値以上の操舵量が検出されたことを含むものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記車両用制御プログラムは、前記中止制御の実行を抑制する場合に、前記中止制御の実行を抑制しない場合よりも前記第2閾値の値を大きくするものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記速度操作は、前記車両のアクセルペダルの操作を含み、前記第2閾値は、前記アクセルペダルの開度に対する閾値である。
【0011】
(6):上記(4)の態様において、前記速度操作は、前記車両のアクセルペダルの操作を含み、前記第2閾値は、前記アクセルペダルの開度の変化率に対する閾値である。
【0012】
(7):上記(1)の態様において、前記車両用制御プログラムは、前記回避操舵支援の実行中に前記所定条件を満たす場合は、前記中止制御を実行しないものである。
【0013】
(8):上記(1)の態様において、前記車両用制御プログラムは、前記回避操舵支援の実行中に前記所定条件を満たす場合は、前記車両のアクセルペダルの開度の変化率を用いた前記中止制御の抑制に関する判定を実行しないものである。
【0014】
(9):上記(1)の態様において、前記速度操作は、前記車両のアクセルペダルの開度と、前記アクセルペダルの開度の変化率に関する操作とを含むものである。
【0015】
(10):本発明の他の態様に係る車両用制御装置は、車両の周辺状況を認識する認識部と、前記車両の乗員の操舵状態を検出する操舵状態検出部と、前記乗員による前記車両の速度操作を検出する速度操作検出部と、前記認識部により認識された前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、前記操舵状態検出部により検出された前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行する操舵制御部と、前記回避操舵支援の実行中に、前記速度操作検出部により検出された前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止する中止制御部と、を備え、前記中止制御部は、前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する、車両用制御装置である。
【0016】
(11):本発明の他の態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、車両の周辺状況を認識し、前記車両の乗員の操舵状態を検出し、前記乗員による前記車両の速度操作を検出し認識した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、検出した前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行し、前記回避操舵支援の実行中に、検出した前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止し、前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する、車両制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
上記(1)~(11)の態様によれば、障害物との接触を回避する場面において、より適切な運転支援制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の車両用制御装置が搭載される車両の構成図である。
【
図4】接触回避に関する車両制御の内容を説明するための図である。
【
図5】注意喚起制御の内容について説明するための図である。
【
図6】接触注意警報制御の内容について説明するための図である。
【
図7】自動操舵回避制御の内容について説明するための図である。
【
図8】ドライバ操舵トリガ後の操舵制御について説明するための図である。
【
図9】車両制御部140により実行されるドライバ操舵支援および中止制御について説明するための図である。
【
図10】ドライバ操舵支援制御が開始されてから所定時間△Tが経過した後にアクセル操作が実行されたときの車両制御について説明するための図である。
【
図11】実施形態における運転支援装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】中止制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の車両用制御プログラム、車両用制御装置、および車両制御方法の実施形態について説明する。
【0020】
[全体構成]
図1は、実施形態の車両用制御装置が搭載される車両の構成図である。車両用制御装置が搭載される車両(以下、自車両M)は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0021】
自車両Mには、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、ドライバモニタカメラ70と、運転操作子80と、運転支援装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とが搭載される。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。運転支援装置100は、「車両用制御装置」の一例である。
【0022】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。例えば、自車両Mの前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0023】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0024】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0025】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度等を認識する。物体認識装置16は、認識結果を運転支援装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま運転支援装置100に出力してよい。自車両Mから物体認識装置16が省略されてもよい。カメラ10、レーダ装置12、LIDAR14、および物体認識装置16のうち一部または全部は、「外界検知デバイス」の一例である。
【0026】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0027】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、例えば、表示部32と、スピーカ34とを備える。表示部32は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。表示部32は、実施形態における各種画像(映像を含む)を表示する。表示部32は、タッチパネルとして入力部と一体に構成されていてもよい。スピーカ34は、所定の音声(例えば警報等)を出力する。また、HMI30は、表示部32、スピーカ34に加えて(または代えて)、マイク、ブザー、振動発生装置(バイブレータ)、タッチパネル、スイッチ、キー等であってもよい。スイッチには、例えば、運転支援装置100において所定の運転支援を実行するか否かを切り替える切替スイッチ等が含まれてよい。
【0028】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する速度センサ、加速度を検出する加速度センサ、ヨーレート(例えば、自車両Mの重心点を通る鉛直軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサ、舵角(自車両Mの操舵輪の角度(実舵角)またはトルク量)を検出する舵角センサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。また、車両センサ40は、自車両Mの位置を検出する位置センサが設けられていてもよい。位置センサは、例えば、GPS(Global Positioning System)装置から位置情報(経度・緯度情報)を取得するセンサである。また、位置センサは、ナビゲーション装置50のGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51を用いて位置情報を取得するセンサであってもよい。
【0029】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0030】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。また、推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報、或いは車線を区画する道路区画線等の車線境界情報等を含んでいる。第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。また、第1地図情報54、第2地図情報62は、運転支援装置100内の記憶部に記憶されてよい。
【0031】
ドライバモニタカメラ70は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。ドライバモニタカメラ70は、自車両Mの運転席に着座した乗員(以下、ドライバ)の頭部および上半身(手の位置を含む)を前面から(顔面を撮像する向きで)撮像可能な位置および向きで、自車両Mにおける任意の箇所に取り付けられる。例えば、ドライバモニタカメラ70は、自車両Mのインストルメントパネルの中央部に設けられたディスプレイ装置の上部に取り付けられる。例えば、ドライバモニタカメラ70により撮像されたカメラ画像に含まれるドライバの顔の向き(ドライバモニタカメラ70の取り付け位置と撮影方向に対する顔の向き)に基づいて、ドライバが自車両Mの周囲を注意喚起しているか否か(例えば、ドライバの顔が少なくとも自車両Mの進行方向を向いているか否か)を判定することができる。また、カメラ画像に含まれるドライバの姿勢に基づいて、ドライバの姿勢が崩れているか否か(言い換えると、ドライバの姿勢が崩れたことによりドライバが意図しない運転操作を行う可能性があるか否か)を判定することができる。また、カメラ画像には、ドライバとステアリングホイール82が含まれるため、撮像された画像からドライバがステアリングホイール82を把持しているか否かを判断することもできる。ドライバモニタカメラ70は、配置された位置から自車両Mのドライバを含む車室内を所定周期で撮像し、撮像した画像を運転支援装置100に出力する。
【0032】
運転操作子80は、例えば、ステアリングホイール82、アクセルペダル84、ブレーキペダル86、方向指示器の操作スイッチ、シフトレバー、その他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量、或いは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、運転支援装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
【0033】
例えば、ステアリングホイール82には、ステアリングホイールセンサ(SWセンサ)82Aが設けられている。SWセンサ82Aは、接触センサや圧力センサ等によりドライバがステアリングホイール82を把持しているか否かを検出する。また、SWセンサ82Aは、ドライバにより入力(操作)されたステアリングホイール82の操作量(操舵量、操舵入力トルク、ステアトルク)や操作速度(舵角速度)を検出する。また、SWセンサ82Aは、操作変化率(トルク変化率)を検出してもよい。ステアリングホイール82は、必ずしも環状である必要は無く、異形ステアリングホイールやジョイスティック、ボタン等の形態であってもよい。その場合、SWセンサ82Aは、それぞれの形態に応じた操作量を検出する。
【0034】
アクセルペダル84は、アクセルペダルセンサ(APセンサ)84Aが取り付けられている。APセンサ84Aは、ドライバのアクセルペダル84に対する操作に応じて変化するアクセルペダル84の操作量(開度)を検出する。ブレーキペダル86には、ブレーキペダルセンサ(BPセンサ)86Aが設けられている。BPセンサ86Aは、ドライバのブレーキペダル86に対する操作に応じて変化するブレーキペダル86の操作量(開度)を検出する。また、APセンサ84AおよびBPセンサ86Aは、所定時間における開度の変化率(開度変化率)を検出してもよい。
【0035】
走行駆動力出力装置200は、自車両Mが走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0036】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ECUとを備える。ECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、運転支援装置100から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0037】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、運転支援装置100から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0038】
[運転支援装置]
運転支援装置100は、例えば、認識部110と、接触可能性判定部120と、運転状態検出部130と、車両制御部140と、HMI制御部150と、記憶部160とを備える。認識部110と、接触可能性判定部120と、運転状態検出部130と、車両制御部140と、HMI制御部150とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで運転支援装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。HMI制御部150は、「通知制御部」の一例である。
【0039】
例えば、運転支援装置100から走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220への指示は、運転操作子80からの検出結果よりも優先して実行されるように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220の内部において設定がなされている。なお、制動に関しては、運転支援装置100からの指示よりもブレーキペダル86の操作量に基づく制動力の方が大きい場合は、後者を優先して実行するように設定されてもよい。また、運転支援装置100からの指示を優先して実行するための仕組みとして、車内LAN(Local Area Network)における通信優先度が用いられてもよい。操舵に関しては、運転支援装置100からの指示に基づく操舵力とドライバのステアリングホイール82の操作量に基づく操舵力を加算して実行するように設定されてもよい。
【0040】
記憶部160は、上記の各種記憶装置、或いはSSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部160は、例えば、プログラム(例えば、車両制御用プログラム)、運転支援装置100内の構成部で使用される情報、その他の各種情報等が格納される。また、記憶部160には、上述した地図情報(第1地図情報54、第2地図情報62)が格納されてもよい。
【0041】
認識部110は、外界検知デバイスから入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺状況を認識する。例えば、認識部110は、周辺(例えば、自車両Mから所定距離以内)に存在する物体の位置(相対位置、車間距離)、および速度(相対速度)、加速度等の状態を認識する。物体とは、例えば、他車両、自転車、歩行者等である。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心等)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、認識部110は、物体との相対位置や相対速度を認識する。
【0042】
また、認識部110は、自車両Mの周辺の車線形状を認識する。例えば、認識部110は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、自車両Mが走行している車線(走行車線)や走行車線に隣接する隣接車線の形状や線種等を認識する。認識部110は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレール等を含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線や隣接車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。認識部110は、物体の認識結果から障害物、一時停止線、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。障害物は、自車両Mが接触を回避する必要がある物体であり、例えば、他車両、自転車、歩行者等が含まれる。
【0043】
認識部110は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部110は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部110は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置等を、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0044】
接触可能性判定部120は、認識部110により認識された周辺状況(外界情報)に基づいて、自車両Mと障害物(例えば、他車両)とが接触する可能性があるか否かを判定する。例えば、接触可能性判定部120は、周辺状況に基づいて自車両Mの前方に存在する他車両(先行車両)との接触余裕値に基づいて、自車両Mと他車両とが接触する可能性があるか否かを判定する。接触余裕値とは、例えば、接触余裕時間TTC(Time To Collision)に基づいて設定される値であるが、車間時間THW(Time Headway)に基づいて設定される値であってもよい。接触余裕時間TTCは、例えば、自車両Mと他車両との関係において、相対距離を相対速度で除算することで導出される。車間時間THWは、例えば、相対距離(車間距離)を自車両Mの速度で除算することで導出される。接触余裕時間TTCは、例えば、自車両Mと他車両の位置および速度を入力すると接触余裕時間TTCが出力される学習済みモデルや所定の関数等を用いて導出されてもよく、相対速度および相対位置と、接触余裕時間TTCとが対応付けられた対応テーブルを用いて導出されてもよい。上記導出方法は、車間時間THWについても同様である。例えば、接触余裕時間TTC(または車間時間THW)が短いほど接触余裕値が小さく(言い換えると、接触余裕時間が長いほど接触余裕値が大きく)なる。例えば、接触可能性判定部120は、接触余裕値が閾値未満である場合に自車両Mと他車両とが接触する可能性があると判定し、閾値以上である場合に接触する可能性がないと判定する。以下では、接触余裕値の一例として接触余裕時間TTCを用いて説明する。
【0045】
運転状態検出部130は、自車両Mの乗員(ドライバ)の運転状態を検出する。
図2は、運転状態検出部130の機能構成図である。運転状態検出部130は、例えば、操舵状態検出部132と、速度操作検出部134と、漫然運転判定部136とを備える。操舵状態検出部132は、例えば、ステアリングホイール82を把持しているか否か、または操作量(操舵量(操舵入力トルク)、操舵トルク変化率)に関する情報を検出する。また、操舵状態検出部132は、ドライバの操舵速度や舵角速度(所定の舵角量になるまでの速さ)に関する情報が含まれてよい。また、操舵状態検出部132は、ドライバが操舵操作を行っていない状態であることを検出してもよい。操舵状態検出部132は、例えば、SWセンサ82Aや車両センサ40の検出結果や、ドライバモニタカメラ70のカメラ画像から得られるドライバの動作等に基づいて、上述の各検出を行う。
【0046】
速度操作検出部134は、APセンサ84AやBPセンサ86Aの検出結果や、車両センサ40の検出結果等に基づいて、ドライバの速度操作を検出する。速度操作には、例えば、アクセルペダル84のアクセル操作(開度)とブレーキペダル86のブレーキ操作(開度)とのうち少なくとも一方が含まれる。また、速度操作には、アクセル操作による所定時間の開度変化率とブレーキ操作による所定時間の開度変化率とのうち少なくとも一方が含まれてよい。また、速度操作検出部134は、ドライバがアクセル操作やブレーキ操作を行っていない状態を検出してもよい。
【0047】
漫然運転判定部136は、ドライバの漫然運転を判定する。漫然運転とは、例えば、ドライバの注意力の低下等により自車両Mの運転操作が緩慢になる(または操作しない)状態の運転である。例えば、漫然運転判定部136は、SWセンサ82Aの検出結果に基づき、ドライバによるステアリングホイール82の操舵操作が所定の閾値未満となる状態が所定時間以上継続する場合に、ドライバが漫然運転であると判定し、所定時間以上継続しない場合に漫然運転ではないと判定する。
【0048】
また、漫然運転判定部136は、ドライバの操舵操作に代えて(または加えて)、APセンサ84AおよびBPセンサ86Aの検出結果に基づき、アクセルペダル84およびブレーキペダル86の開度の変化率が閾値未満である状態が所定時間以上継続している場合にドライバが漫然運転であると判定してもよい。また、運転状態検出部130は、上記の判定に代えて(または加えて)、ドライバの状態が運転に適した状態ではないことが検出された状態が所定時間以上継続する場合に、ドライバが漫然運転であると判定し、所定時間以上継続しない場合に漫然運転ではないと判定してもよい。例えば、漫然運転判定部136は、ドライバモニタカメラ70により撮像された画像の解析結果に基づいて、ドライバがよそ見等によって自車両Mの周辺(特に、前方)の監視をしていない場合や、所定の顔の表情(眠気がある顔、痛みがある顔)等から集中力が低下していると予測される場合に、ドライバの状態が運転に適した状態ではないことを検出する。
【0049】
なお、上述の所定時間は、固定時間でもよく可変時間でもよい。所定時間は、例えば、自車両Mの周辺の障害物(例えば、先行車両)と自車両Mとの接触余裕時間TTCと、自車両Mの速度とに応じて設定されてよい。具体的には、自車両Mの速度が大きくなるほど所定時間を短く設定したり、接触余裕時間TTCが短くなるほど所定時間を短く設定する。これにより、自車両Mの速度と、自車両Mと障害物との位置関係とに基づく、自車両Mの状況や周辺状況に基づいて、より適切に漫然運転の判定を行うことができる。漫然運転判定は、上述の複数の条件による判定結果に基づき総合的に判断されてもよい。
【0050】
車両制御部140は、認識部110により認識された周辺状況に基づいて、自車両Mの操舵または加減速のうち、一方または双方を制御し、ドライバの運転支援を行う。例えば、車両制御部140は、MPU60により決定された推奨車線を自車両Mが走行するように将来の目標軌道を生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mが走行されるように、周辺状況に基づいて自車両Mの操舵または加減速のうち、一方または双方を制御する。また、車両制御部140は、接触可能性判定部120、および運転状態検出部130のうち少なくとも一つの処理結果に基づいて、自車両Mの操舵または加減速のうち、一方または双方を制御してもよい。例えば、車両制御部140は、自車両Mと障害物とが接触する可能性があると判定された場合に接触を回避するための回避目標軌道を生成し、生成した回避目標軌道に沿って自車両Mが走行するように、自車両Mの操舵または加減速のうち、一方または双方を制御する。また、車両制御部140は、車両制御中におけるドライバの所定の運転操作に応じて、実行中の車両制御を中止してドライバの手動運転に切り替える制御(オーバーライド制御)を行ってもよい。車両制御部140の処理の詳細については後述する。
【0051】
HMI制御部150は、HMI30により、乗員(ドライバを含む)に所定の情報を通知する。所定の情報には、例えば、自車両Mの状態に関する情報や運転支援制御に関する情報等の自車両Mの走行に関連のある情報が含まれる。自車両Mの状態に関する情報には、例えば、自車両Mの速度、エンジン回転数、シフト位置等が含まれる。また、運転制御に関する情報には、例えば、実行中の運転支援制御の種類(例えば、緩減速制御、センタリング操舵制御、接触回避制動制御、接触回避操舵制御、車線維持操舵制御)や、運転支援制御の作動理由、運転支援制御の状況等が含まれる。また、運転支援制御に関する情報には、ドライバに対する注意喚起や接触注意警報に関する情報が含まれてよい。また、所定の情報には、自車両Mの現在位置や目的地、燃料の残量に関する情報等が含まれてよく、テレビ番組、DVD等の記憶媒体に記憶されたコンテンツ(例えば、映画)等の自車両Mの走行制御に関連しない情報が含まれてもよい。
【0052】
例えば、HMI制御部150は、上述した所定の情報を含む画像を生成し、生成した画像をHMI30の表示部32に表示させてもよく、所定の情報を示す音声を生成し、生成した音声をHMI30のスピーカ34から出力させてもよい。音声が出力されるタイミングは、例えば、運転制御を開始したり、中止するタイミング、表示する画像を切り替えるタイミング、自車両Mが所定の状態になったタイミング等である。また、HMI制御部150は、HMI30により受け付けられた情報を車両制御部140等に出力してもよい。
【0053】
[車両制御部]
次に、車両制御部140の詳細について説明する。
図3は、車両制御部140の機能構成図である。車両制御部140は、例えば、制動制御部142と、操舵制御部144と、中止制御部146とを備える。例えば、車両制御部140は、制動制御部142および操舵制御部144による制御により、自車両Mと障害物との接触を回避するための警報制御と回避制御とを行う。警報制御は、自車両Mが障害物と接近した場合に作動する制御であり、例えば、後述する緩減速制御、センタリング操舵制御等が含まれる。回避制御は、警報制御が作動するよりも自車両Mが障害物に接近した場合に作動する制御であり、例えば、後述する接触回避制動制御、接触回避操舵制御等が含まれる。これらの制御は、ドライバの運転を支援する運転支援制御の一例である。
【0054】
制動制御部142は、認識部110の認識結果に基づいて、自車両Mの前方に障害物が存在すると判定された場合に、自車両Mの目標減速度に基づいて、自車両Mの制動制御を行う。例えば、制動制御部142は、自車両Mと障害物との接触余裕時間TTCに基づいて減速状態を設定し、設定した減速状態に基づく減速制御を実行する。制動制御部142は、例えば、緩減速制御部142Aと、接触回避制動制御部142Bとを備える。
【0055】
緩減速制御部142Aは、認識部110により自車両Mの前方に障害物(例えば、他車両)が存在すると判定された場合に、自車両Mの緩減速制御を行う。緩減速制御とは、減速という車両挙動(縦Gの変化)によってドライバに障害物が接近していることを通知し、障害物に対する注意喚起を促すための制御(注意喚起制御)であり、障害物との接触を回避するための接触回避制御とは異なる制御である(ただし、結果的に障害物との接触を回避することになる場合もあり得る)。例えば、緩減速制御部142Aは、自車両Mの前方に障害物が存在すると判定された場合に、自車両Mの目標減速度を導出し、導出した目標減速度に近づくように、ドライバの操作によらずに自車両Mの減速を行う。例えば、緩減速制御部142Aは、速度情報を含む目標軌道を生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mが走行するように自車両Mの減速制御を行う。緩減速制御は、運転状態検出部130によりドライバが漫然運転であると検出された場合に実行されてもよく、接触余裕値が緩減速制御の作動条件を満たす場合に実行されてもよい。
【0056】
接触回避制動制御部142Bは、自車両Mと障害物との接触を回避するための緊急ブレーキ制御を行う。例えば、接触回避制動制御部142Bは、接触可能性判定部120により自車両Mと障害物とが接触する可能性があると判定された場合に、接触を回避するための制動制御(減速制御)を行う。接触回避制動制御部142Bで実行される制動制御には、例えば、接触回避または被害軽減を支援するCMBS(Collision Mitigation Brake System)制御が含まれる。例えば、接触回避制動制御部142Bは、速度情報を含む目標軌道を生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mが走行するように自車両Mの減速制御を行う。接触回避制動制御部142Bで実行される制動制御は、例えば、緩減速制御の後に実行されてもよく、接触余裕値が接触回避制動制御の作動条件を満たす場合に実行されてもよい。
【0057】
操舵制御部144は、自車両Mの操舵を制御する。操舵制御部144は、例えば、センタリング操舵制御部144Aと、接触回避操舵制御部144Bとを備える。
【0058】
センタリング操舵制御部144Aは、認識部110により自車両Mの前方に障害物が存在すると判定された場合に、自車両Mを走行車線の中央に向けて移動する目標軌道が生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mが走行するように操舵制御(センタリング操舵制御)を実行する。この操舵制御は、障害物との接触を回避するためのものではなく、中央付近に横移動する車両挙動(横Gの変化)によって、ドライバに障害物が接近していることを通知し、障害物に対する注意喚起を促すための制御である(ただし、結果的に障害物との接触を回避することになる場合もあり得る)。この操舵制御により、前方の障害物をドライバに早期に気付かせることができ、接触を回避するための運転に寄与することができる。なお、センタリング操舵制御は、運転状態検出部130によりドライバが漫然運転であると検出された場合に実行されてもよく、接触余裕値が操舵制御の作動条件を満たす場合に実行されてもよい。また、上述した緩減速制御およびセンタリング操舵制御は、別々に実行されてもよく、同じタイミング(例えば、注意喚起制御段階)で同時に実行されてもよい。
【0059】
接触回避操舵制御部144Bは、接触可能性判定部120により自車両Mと障害物とが接触する可能性があると判定された場合に、接触を回避するための目標軌道(回避目標軌道)を生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mが走行するように、回避操舵支援に関する操舵制御を実行する。例えば、接触回避操舵制御部144Bは、自車両Mの走行車線内での回避が可能である場合に、ドライバの操舵操作によらずに、同一車線を逸脱しない範囲で障害物に接触しない方向に移動する操舵制御を行う。また、接触回避操舵制御部144Bは、例えば、ドライバの操舵操作(例えば、第1閾値以上の操舵量)をトリガ(ドライバ操舵トリガ)として、自車両Mが走行車線を区画する区画線を跨いで障害物との回避操作を行った後に、回避操作後の自車両Mの挙動が安定するように自車両Mの操舵制御を行ってもよい。接触回避操舵制御部144Bの操舵制御では、例えば、回避目標軌道と自車両Mの位置とに基づいて随時フィードフォワード制御やフィードバック制御が行われて自車両Mの舵角が調整される。接触回避操舵制御部144Bで実行される操舵制御は、例えば、センタリング操舵制御の後に実行されてもよく、接触余裕値が上記操舵制御の作動条件を満たす場合に実行されてもよい。
【0060】
中止制御部146は、上述した制動制御(緩減速制御、接触回避制動制御)の実行中または操舵制御(センタリング操舵制御、接触回避操舵制御)の実行中におけるドライバの運転操作(ドライバ操作)によって中止制御を実行するか否かの判定(オーバーライド判定)を行う。そして、中止制御部146は、中止制御を実行すると判定された場合に、実行中の制動制御や操舵制御を中止してドライバの手動運転に切り替える中止制御(オーバーライド制御)を実行する。
【0061】
例えば、中止制御部146は、運転状態検出部130により検出されるドライバのアクセル操作またはブレーキ操作の内容に基づいてオーバーライド判定を行う。この場合、中止制御部146は、例えば、制動制御中または操舵制御中において、ドライバのアクセル操作量(APセンサ84Aにより検出されるアクセルペダル84の開度)またはブレーキ操作量(BPセンサ86Aにより検出されるブレーキペダル86の開度)が速度オーバーライド閾値以上となった場合に、中止制御を実行すると判定する。また、中止制御部146は、上述の操作量に代えて(または加えて)、開度変化率が速度オーバーライド閾値以上となった場合に、中止制御を実行すると判定してもよい。速度オーバーライド閾値は、「第2閾値」の一例である。第2閾値は、判定対象に応じた開度に対する閾値または開度変化率に対する閾値である。
【0062】
また、中止制御部146は、ドライバのステアリングホイール82による操舵操作の内容に基づいてオーバーライド判定を行ってもよい。例えば、中止制御部146は、制動制御中または操舵制御中において、ドライバの操舵操作による操舵入力トルクが操舵オーバーライド閾値以上となった場合に、オーバーライド制御を行うと判定する。操舵オーバーライド閾値は、第1閾値(ドライバ操舵トリガ)よりも大きい値である。
【0063】
なお、車両制御部140は、上述した車両制御の他に、例えばLKAS(Lane Keeping Assistance System)制御(車線維持制御)として、自車両Mが走行車線内に維持するように(言い換えると、自車両Mの走行車線外への逸脱を抑制するように)、車線維持操舵支援に関する操舵制御を実行してもよい。例えば、車両制御部140は、車線維持制御において、認識部110により認識された走行車線から自車両Mが逸脱しないようにステアリング装置220を制御してドライバの操舵操作を支援する。この場合、車両制御部140は、自車両Mが走行車線の中央を走行するように目標軌道(車線維持目標軌道)を生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mが走行するように自車両Mの操舵制御を実行する。車両制御部140による操舵制御では、例えば、車線維持目標軌道と自車両Mの位置とに基づいて随時フィードフォワード制御やフィードバック制御が行われて自車両Mの舵角が調整される。また、車両制御部140は、LKAS制御に代えて、RDM((Road Departure Mitigation;路外逸脱抑制)制御の場合にも同様の制御が実行されてよい。
【0064】
[接触回避に関する車両制御について]
次に、実施形態における接触回避に関する車両制御の内容について具体的に説明する。また、以下の説明では、障害物が自車両Mの前方を走行する他車両(先行車両)であるものとする。
図4は、接触回避に関する車両制御の内容を説明するための図である。
図4の例では、接触余裕時間TTCに基づき接触可能性があると判定された場合の車両制御の内容を示している。なお、
図4の例において、時刻T1が最も早く、時刻T2、T3、T4、T5の順に遅くなっているものとする。
図4の例では、時刻T1よりも前の段階から所定周期で運転状態検出部130による漫然運転であるか否かの判定が継続して行われているものとする。
【0065】
まず、時刻T1において、接触可能性判定部120により自車両Mと他車両とが接触する可能性があると判定されたとする。接触する可能性があると判定された場合、車両制御部140は、接触余裕時間TTCと漫然運転判定の結果とに基づいて、ドライバに周囲(特に進行方向)の注意喚起を促すための注意喚起制御(
図4の(1))を行う。
【0066】
図5は、注意喚起制御の内容について説明するための図である。
図5の例では、同一方向(図中X軸方向)に進行可能な2つの車線L1、L2を示している。車線L1は、道路区画線LN1、LN2により区画され、車線L2は道路区画線LN2、LN3により区画されている。また、
図5の例において、自車両Mは、車線L1上を速度VMで走行し、他車両m1は、自車両Mの前方に存在し、車線L1上を速度Vm1で走行しているものとする。
【0067】
図5の例において、車両制御部140は、自車両Mと他車両m1との相対位置および相対速度に基づく接触余裕時間TTCが第1所定時間未満となる時刻T2となり、且つドライバが漫然運転であると判定されている場合に注意喚起制御を行う。時刻T2は、例えば、接触余裕時間TTCが約3~4[秒]程度となる時刻である。
【0068】
注意喚起制御には、例えば、緩減速制御とセンタリング操舵制御とのうち、少なくとも一方が含まれる。注意喚起制御で実行される緩減速制御は、第1減速状態での制御である。緩減速制御部142Aは、ドライバに対して進行方向(縦方向)に第1上限減速度(約0.1[G]程度)の負荷(縦G)がかかるように目標減速度(第1目標減速度)を設定する。また、注意喚起制御(第1減速状態)において、緩減速制御部142Aは、最初に第1の減速度合(例えば、0.05[G]の縦G)で緩減速制御を行い、その後に第1の減速度合よりも度合の大きい第2の減速度合(例えば、0.1[G]の縦G)で減速制御を行ってもよい。このように減速度合を段階的に大きくするように制御することで、緩減速制御の実行開始時におけるドライバ等の乗員に負荷を軽減することができると共に、乗員が緩減速制御で驚いてしまうことを抑制することができる。
【0069】
また、
図5に示す注意喚起制御において、センタリング操舵制御部144Aは、認識部110による認識結果や地図情報等に基づいて、自車両Mの重心または中心等の基準点が走行車線(車線L1)の中央に位置付けられるように操舵するセンタリング操舵制御を行う。
図5の例において、車両制御部140は、緩減速制御およびセンタリング操舵制御に対応する自車両Mの将来の目標軌道K1を生成し、生成した目標軌道K1に沿って自車両Mが走行するように自車両Mの操舵および速度を制御する。
【0070】
なお、時刻T2において、HMI制御部150は、ドライバに注意喚起制御(緩減速制御、センタリング操舵制御)の作動理由を示す情報を含む画像を生成し、生成した画像を表示部32に表示させてドライバに通知してもよい。また、画像には、注意喚起を促す情報が含まれてもよい。ただし、この場合には、音声出力は行わなくてもよい。これにより、ドライバに対して、自車両Mが他車両m1に接近していることを簡易に伝えて注意喚起を促すことができ、ドライバに早期の回避操作を促すことができる。
【0071】
図4に戻り、上述した注意喚起制御を行ってもドライバが注意喚起(または、オーバーライド制御)に応じない状態で接触余裕時間TTCが第2所定時間(第2所定時間<第1所定時間)未満となる時刻T3となり、且つドライバが漫然運転であると判定されている場合に接触注意警報制御(
図4の(2))を行う。なお、注意喚起に応じているか否かは、例えば、ドライバモニタカメラ70により撮像されたカメラ画像に基づいて判定される。時刻T3は、例えば接触余裕時間TTCが約2[秒]程度となる時刻である。
【0072】
図6は、接触注意警報制御の内容について説明するための図である。
図6では、
図5に示す状況から、ドライバのアクセル操作がない状況で接触余裕時間TTCが2[秒]となった場面を示している。接触注意警報制御段階において、緩減速制御部142Aは、目標減速度(第2目標減速度)を設定し、設定した第2目標減速度に応じた緩減速制御を実行するとともに目標軌道K2を生成し、生成した目標軌道K2に沿って自車両Mが走行するように制御する。接触注意警報制御で実行される緩減速制御は、第2減速状態での制御である。第2減速状態において、緩減速制御部142Aは、ドライバに対して進行方向(縦方向)に第2上限減速度(約0.2[G]程度)以下で第1上限減速度よりも大きい負荷(縦G)がかかるように目標減速度(第2目標減速度)を設定する。これにより、ドライバに自車両Mが他車両m1に接近していることを、より明確に気付かせることができる。このように、必要に応じて減速度を高めながら減速制御を行うため、他車両m1を気付かせるための時間をより多く創出することができ、ドライバは余裕を持って他車両m1との接触を回避する運転を行うことができる。
【0073】
なお、接触注意警報制御時において、緩減速制御に加えて(または代えて)、センタリング操舵制御部144Aによるセンタリング操舵制御が実行されてもよい。また、接触注意警報制御時において、HMI制御部150は、表示部32に表示された注意喚起情報の画像を強調表示したり、警報をスピーカ34に出力させる制御(警報エスカレーション制御)を実行してもよい。これにより、更に減速させながらも、接触の可能性が高いことを画像や音で強くドライバに通知して、更に明確にドライバに対して注意喚起や接触回避制御を促すことができる。上述した注意喚起制御および接触注意警報制御は、「警報制御」として実行される制御である。
【0074】
図4に戻り、接触注意警報制御の実行後に、車両制御部140は、認識部110により認識された周辺状況に基づき、走行車線内で自動回避が可能であると判定した時刻T4において、自動操舵回避制御を実行する(
図4の(3))。時刻T4は、時刻T3よりも自車両Mが他車両m1に近づいている状態の時刻(例えば、接触余裕時間TTCが約2[秒]より前)である。
【0075】
図7は、自動操舵回避制御の内容について説明するための図である。
図7の例では、接触注意警報制御の実行後にドライバによる所定のアクセル操作がされていない場合の制御である。この場合、接触回避操舵制御部144Bは、認識部110による認識結果に基づき、走行車線(車線L1)の領域と他車両m1の位置とを認識し、走行車線内で回避スペースが存在する場合に、その回避スペースを走行するための回避目標軌道K3を生成し、生成した回避目標軌道K3に沿って自車両Mが走行するように操舵制御を実行する。この場合、必要に応じて車両制御部140による加減速制御が実行されてよい。また、自動操舵回避制御時において、HMI制御部150は、上述した警報エスカレーション制御を継続して実行してもよい。これにより、安全性が高い制御で操舵回避が可能である場合に、自動操舵制御を実行することで、より適切な車両制御を実現できる。
【0076】
なお、車両制御部140は、時刻T4のタイミングで、接触回避制動制御部142BによりCMBS制御が並行して実行されてもよい。CMBS制御が実行された場合には、上述した自動操舵回避制御や後述するドライバ操舵支援制御が実行されなくてもよい。この場合、HMI制御部150は、CMBS制御に関する警報(画像、音声)を出力させてよい。
【0077】
図4に戻り、ドライバがステアリングホイール82を操作して(ドライバ操舵トリガを検出して)他車両m1を回避する方向に操舵操作を行った時刻T5において、接触回避操舵制御部144Bは、走行車線(車線L1)に隣接する隣接車線(車線L2)を更に逸脱することがないように接触回避操舵制御(ドライバ操舵支援(回避操舵支援の一例))を実行する(
図4の(4))。ここでのドライバ操舵トリガは、例えば、他車両m1を回避するためのドライバによる操舵入力トルクが第1閾値以上(且つ、操舵オーバーライド閾値未満)となることである。ドライバ操舵支援制御は、自動操舵回避制御の後に実行されてもよく、接触注意警報制御の後に(自動操舵回避制御を行わずに時刻T4のタイミングで)実行されてもよい。
【0078】
図8は、ドライバ操舵トリガ後の操舵制御について説明するための図である。
図8の例において、自車両Mの他車両m1との接触が差し迫った場合であって、且つドライバ操舵トリガを検出した場合に、接触回避操舵制御部144Bは、自車両Mが車線L1から隣接車線L2に移動することを許容し、更に隣接車線L2を更に逸脱することがないように自車両Mの操舵制御を行う。この場合、接触回避操舵制御部144Bは、車線L2に車線変更する回避目標軌道K4を生成し、ドライバによる操舵操作により自車両Mの位置が回避目標軌道K4に近づくように、自車両Mの操舵を制御して回避操舵支援を実行する。この場合、接触回避操舵制御部144Bは、操舵制御に代えて(または加えて)、ドライバの操舵操作に対してステアリングホイール82に反力を与えて操舵入力トルク量が抑制されるように制御してもよい。また、ドライバ操舵支援時において、HMI制御部150は、上述した警報エスカレーション制御を継続して実行してもよい。これにより、ドライバの操舵操作によって緊急回避操舵が行われた場合においても、より適切な車両制御が実現できる。
【0079】
図4に戻り、車両制御部140は、
図4の(1)に示す注意喚起制御後に接触余裕時間TTCが限界値近くになり、且つ、ドライバが操舵操作を行った場合に、
図4の(4)の制御と同様に、隣接車線を更に越えることがないようにドライバ操舵支援を実行する(
図4の(5))。この場合、HMI制御部150は、ドライバ操舵支援制御が作動していることの通知や警報等の通知制御を行ってよい。上述した接触回避制動制御および接触回避操舵制御は、「回避制御」として実行される制御である。
【0080】
[中止制御の抑制]
例えば、上述した
図4の(4)、(5)に示すドライバ操舵支援制御において、ドライバ操舵支援時に(更に加えてオーバーライド制御が実行されていない場合に)、操舵制御部144(車両システム)側で自車両Mを回避目標軌道K4に近付けるようにする操舵(舵角)制御が実行されると、自車両Mの挙動の変化(特に横移動)によりドライバの姿勢が崩れてしまう場合があり得る。この場合には、姿勢が崩れたことによりドライバが意図なくアクセルペダル84やブレーキペダル86を操作し、その影響で中止制御部146による中止制御が実行されてしまう可能性がある。そのため、実施形態において、中止制御部146は、ドライバ操舵支援時に所定条件を満たす場合には、ドライバ操舵支援制御を中止する中止制御の実行を抑制する。
【0081】
例えば、中止制御部146は、第1の所定条件として、ドライバ操舵支援が開始してから所定時間の間にドライバによる速度操作(例えば、アクセル操作)が実行された場合には、ドライバが速度オーバーライド閾値以上のアクセル操作を行った場合であっても中止制御が実行されることを抑制する(中止制御を実行されにくくする)。
【0082】
図9は、車両制御部140により実行されるドライバ操舵支援および中止制御について説明するための図である。なお、
図9の例では、ドライバ操舵支援制御が開始される前後の自車両Mの挙動と、車両制御状態と、ドライバのアクセルペダル84に対するアクセル操作状態とが示されている。また、
図9の例において、時刻Taが最も早く、時刻Tb、Tc、Tdの順に遅くなっているものとする。また、
図9の例において、時刻T*における自車両Mの位置および速度VMをM(t*)およびVM(t*)と表すものとする。
【0083】
時刻Taでは、自車両Mの車両制御状態はオフ状態となっている。なお、この時点において、自車両Mは、例えば、ドライバの指示(切替スイッチ等による運転支援の実行指示)によりLKAS等の制御が実行されていてもよい。時刻Tbでは、自車両Mが
図4の(2)に示す接触注意警報の実行条件を満たすため、接触注意警報制御が実行されている。その後、車両制御部140は、ドライバ操舵トリガを検出した時点でドライバ操舵支援制御が開始し、自車両Mが回避目標軌道K4に沿って走行するように、ドライバ操舵支援(回避操舵支援)制御が実行される。
【0084】
ここで、ドライバ操舵支援制御が開始されてすぐの場合には、上述したようにドライバが意図していない自車両Mの挙動の変化によりドライバの姿勢が崩れる可能性が高い。そのため、車両制御部140は、例えば、ドライバ操舵支援制御が開始されてから所定時間△Tが経過されるまでの間は、アクセル操作がオーバーライド閾値以上となる場合であっても中止制御の実行を抑制する。所定時間△Tは、例えば、予め決められた固定時間でもよく、自車両Mの走行状況(例えば、自車両Mと周辺の障害物(他車両m1)との位置関係(相対位置)や自車両Mの速度VM)や、周辺状況(例えば、道路形状、走行車線の幅員)に応じた可変時間でもよい。
【0085】
中止制御の実行を抑制するとは、例えば、速度オーバーライド閾値(第2閾値)を、通常時の速度オーバーライド閾値よりも所定量だけ大きくして、中止制御を実行しにくくすることを含む。ここでの通常時とは、中止制御の実行を抑制しない場合であり、例えば、上記所定時間△Tの前または後の時間帯(
図9の例では、接触注意警報制御時または所定時間△T経過後のドライバ操作支援制御時)である。所定量は、例えば、予め決められた固定量でもよく、自車両Mの走行状況や周辺状況に応じた可変量でもよい。
【0086】
図9の例では、ドライバ操舵トリガによりドライバ操舵支援制御を開始してから所定時間△Tが経過するまでの間に、ドライバによる速度オーバーライド閾値以上のアクセル操作が行われているが(
図9に示すアクセル操作「オン(ON)」状態)、この期間でのアクセル操作に対する中止制御は実行されず、時刻TcおよびTdにおいても継続してドライバ操舵支援制御が実行される。
【0087】
なお、所定時間△Tが経過するまでの間に、通常時よりも所定量だけ大きくした速度オーバーライド閾値以上のアクセル操作を検出した場合には、中止制御部146は、中止制御を実行する。これにより、中止制御の実行条件を厳しくして中止条件を実行しにくくするものの、完全に中止制御が実行できなくすることを防止することができる。
【0088】
図10は、ドライバ操舵支援制御が開始されてから所定時間△Tが経過した後にアクセル操作が実行されたときの車両制御について説明するための図である。
図10の例は、
図9と比較して、アクセル操作が所定時間△Tより後のタイミングで実行されている点で相違する。
図10に示すように、速度オーバーライド閾値以上となるアクセル操作が所定時間△Tより後のタイミング(且つ、ドライバ操舵支援制御の実行中)に行われた場合、中止制御部146は、実行中のドライバ操舵支援制御に対する中止制御を実行する。したがって、
図10に示す時刻Tdの時点では、車両制御状態はオフ(OFF)状態となっており、自車両Mはドライバの手動運転によって走行する。なお、ドライバ操舵支援制御が中止制御により中止された場合、HMI制御部150は、中止されたことを示す情報をHMI30に出力させてドライバに通知してもよい。これにより、アクセル操舵によってドライバ操舵支援制御が途中で中止されたことをドライバに把握させて、適切な運転を意識させることができる。
【0089】
上述したように、ドライバ操舵支援制御の実行が開始されてから所定時間△Tが経過するまでの間は、中止制御の実行を抑制することで、ドライバが意図していない(姿勢を崩したことによる)アクセル操作によってドライバ操舵支援制御が中止されること(または手動運転に切り替えられてしまうこと)を抑制することができる。したがって、障害物との接触を回避する場面において、より適切な運転支援制御を行うことができる。
【0090】
また、中止制御部146は、上述した第1の所定条件に代えて(または加えて)、第2の所定条件として、ドライバ操舵支援制御中におけるドライバの操舵操作の操舵量が第1閾値よりも大きい第3閾値以上である場合に、ドライバ操舵支援制御に対する中止制御の実行を抑制してもよい。操舵量は、例えば、SWセンサ82Aの検出結果や操舵状態検出部132の検出結果に基づいて取得される。第3閾値は、操舵オーバーライド閾値未満の値である。ドライバ操舵支援時における自車両Mの挙動の変化によってドライバの姿勢が崩れた場合には、崩れた影響でドライバが意図しない操舵操作を行う可能性がある。そのため、上述したようにドライバ操舵トリガの判定条件となる第1閾値よりも大きい第3閾値以上の操舵量を検出した場合には、ドライバのアクセル操作に対する中止制御の実行を抑制する。これにより、上述と同様に、より適切な運転支援制御を行うことができる。
【0091】
また、中止制御部146は、ドライバ操舵支援制御が開始されてから所定時間△Tが経過するまでの間は、ドライバの操舵操作の操舵量が操舵オーバーライド閾値以上となる場合であっても中止制御を実行しなくてもよい。
【0092】
また、中止制御部146は、上述した操舵操作の操舵量に代えて、操舵速度を用いて中止制御の実行を抑制するか否かの判定を行ってもよい。ドライバの姿勢が崩れた場合には、通常運転時よりも速い操舵操作が行われる可能性が高い。そのため、中止制御部146は、ドライバ操舵支援制御中における操舵速度が所定速度以上である場合には、中止制御の実行を抑制する。
【0093】
また、ドライバによるアクセル操作は、アクセル開度を含む。また、ドライバによるアクセル操作は、アクセルの開度の変化率を含んでもよい。運転者の姿勢が崩れる可能性が高い場合は、オーバーライド閾値を抑制し、運転者がオーバーライドしたい場合はオーバーライドすることもできる。なお、中止制御部146は、アクセル操作閾値として、アクセルの開度とアクセルの開度の変化率とをそれぞれを用いてもよい。これにより、より細かいドライバのアクセル操作を用いてオーバーライド制御を実行するか否かを、より適切に判定することができる。
【0094】
なお、中止制御部146は、所定条件を満たす場合に、通常時よりも速度オーバーライド閾値を大きくして中止制御の実行を抑制することに代えて(または加えて)、判定対象を制限することで中止制御の実行を抑制してもよい。例えば、中止制御部146は、通常時に判定対象としてアクセル操作量(アクセルペダルの開度)または開度変化率を用いていた場合に、中止制御の抑制時には、開度変化率を用いた判定を実行しないようにする。ドライバの姿勢が崩れる場合には、開度変化率が急激に変化する可能性が高いため、中止制御の抑制時に開度変化率によるオーバーライド判定を無効化にすることで、ドライバが意図せずに中止制御が実行されることを、より適切に抑制することができる。
【0095】
また、中止制御部146は、ドライバ操舵支援制御の実行中に、所定条件を満たす場合に、一時的(例えば、ドライバ操舵支援制御を開始してから所定時間△Tが経過するまでの間)に、中止制御を実行しないように制御してもよい。ドライバの姿勢が崩れる可能性が高い場面では、中止制御を完全に無効化することで、アクセル操作量に関係なくドライバに分かりやすい制御を行うことができる。なお、この場合、HMI制御部150は、一時的に中止制御が実行できなくなることを示す情報をHMI30に出力させてドライバに通知してもよい。これにより、一時的に中止制御が実行できなくなることをドライバに把握させて、適切な運転を意識させることができる。なお、実施形態において、「中止制御の実行を抑制する」は、「中止制御を実行しない」ことが含まれてよい。
【0096】
[処理フロー]
図11は、実施形態における運転支援装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図11の例では、運転支援装置100により実行される処理のうち、主にドライバ操舵支援中における中止制御の抑制処理を中心として説明する。なお、運転支援装置100は、
図11に示す処理の他、上述した各実行条件に応じて、
図4に示すような接触可能性判定処理や漫然運転判定処理、注意喚起制御処理、接触注意警報制御処理、自動操舵回避制御処理等が実行可能である。
図11に示す処理は、所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。
【0097】
図11の例において、認識部110は、自車両Mの周辺状況を認識する(ステップS100)。次に、運転状態検出部130は、ドライバの操舵状態を検出する(ステップS110)。次に、接触可能性判定部120は、自車両Mが障害物と接触する可能性があるか否かを判定する(ステップS120)。障害物と接触する可能性があると判定された場合、接触回避操舵制御部144Bは、自車両Mが障害物との接触を回避するための回避目標軌道を生成し(ステップS130)、生成した回避目標軌道に沿って自車両Mが走行するように回避操舵支援を実行する(ステップS140)。なお、ステップS140の処理による回避操舵支援は、例えば、ドライバ操舵トリガの検出によって実行されるドライバ操舵支援制御である。
【0098】
次に、中止制御部146は、回避操舵支援の実行中にドライバの操舵操作を検出したか否かを判定する(ステップS150)。実行中にドライバの操舵を検出したと判定した場合、中止制御部146は、アクセル操作に関する条件が所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS160)。所定条件を満たすと判定した場合、中止制御部146は、中止制御の実行を抑制する(ステップS170)。また、所定条件を満たさないと判定した場合、中止制御部146は、中止制御を実行する(ステップS180)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
【0099】
また、ステップS120の処理において、障害物と接触する可能性がないと判定した場合、またはステップS150の処理において、回避操舵支援の実行中にドライバのアクセル操作を検出していないと判定した場合、本フローチャートの処理は、終了する。
【0100】
図12は、中止制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図12の例では、回避操舵支援制御が開始された後に、所定条件を満たすか否かに基づいて中止制御が実行するか否かの判定条件を調整することで、中止制御が抑制される処理を示している。
図12に示す処理は、回避操舵支援制御が実行中の間、所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。
【0101】
図12の例において、中止制御部146は、速度操作検出部134によりドライバのアクセルペダル84の開度を取得し(ステップS200)、所定時間における開度変化率を取得する(ステップS210)。次に、中止制御部146は、所定条件として、回避操舵支援が開始されてから所定時間経過前か否かを判定する(ステップS220)。所定時間経過前ではないと判定した場合(つまり、所定条件を満たさないと判定した場合)、中止制御部146は、開度または開度変化率が第2閾値(速度オーバーライド閾値)以上であるか否かを判定する(ステップS230)。中止制御部146は、開度または開度変化率が第2閾値以上であると判定した場合に、中止制御を実行し(ステップS240)、第2閾値未満であると判定した場合に中止制御を実行せずに処理を終了する。
【0102】
また、ステップS220の処理において、回避操舵支援が開始されてから所定時間経過前であると判定した場合(つまり、所定条件を満たすと判定した場合)、開度のみを対象とし、更に開度が第2閾値よりも大きい閾値以上であるか否かを判定する(ステップS250)。中止制御部146は、開度が第2閾値よりも大きい閾値以上であると判定した場合には中止制御を実行し(ステップS240)、閾値未満の場合には中止制御を実行せずに処理を終了する。これにより、本フローチャートを終了する。
【0103】
図12の処理では、回避操舵支援が開始されてから所定時間が経過されるまでの間は、アクセルペダルの開度変化率によるオーバーライド判定は行わない。更に、ステップS250の処理において、中止制御を実行するか否かを判定する閾値をステップS230の処理における第2閾値よりも大きくする。このように中止制御を実行するための条件を厳しくすることで、中止制御の実行を抑制することができる。
【0104】
上述したように実施形態によれば、車両用制御プログラムにおいて、コンピュータに、自車両Mの周辺状況を認識することと、自車両のドライバ(乗員の一例)の操舵状態を検出することと、ドライバによる自車両の速度操作を検出することと、認識した自車両の周辺状況に基づいて、自車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、ドライバの操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行することと、回避操舵支援の実行中に、検出した速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、回避操舵支援を中止する中止制御を実行することと、を実行させ、回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、中止制御の実行を抑制することにより、障害物との接触を回避する場面において、ドライバに対して、より適切な運転支援制御を行うことができる。
【0105】
また、実施形態によれば、例えば回避操舵支援の開始時(初期)はドライバの姿勢が崩れている可能性が高いためオーバーライド閾値を通常よりも厳しくして中止制御の実行を抑制することで、運転者が意図しないアクセル操作によるオーバーライド(中止制御)の実行を抑制することができる。また、実施形態によれば、回避操舵支援中の操舵量が第3閾値以上となった場合に、ドライバの姿勢が崩れている可能性が高いため、中止制御の実行を抑制することで、ドライバが意図しないアクセル操作によるオーバーライドを抑制することができる。
【0106】
[変形例]
上述の実施形態において、ドライバ操舵支援制御は、
図8に示すように自車両Mが走行車線(車線L1)から隣接車線(車線L2)に移動した際に、更に車線L2を逸脱することがないように操舵制御が実行されることに加えて(または代えて)、走行車線(車線L1)内での接触回避操舵制御を行ってもよい。この場合、ドライバ操舵支援制御は、障害物との接触を回避し、且つ走行車線を逸脱しないように回避目標軌道を生成し、生成した回避目標軌道に沿って自車両Mが走行するように回避操舵支援が実行される。また、この操舵制御中において、ドライバの操舵操作が検出された場合に回避操舵支援が抑制される。
【0107】
また、実施形態では、操舵制御部144は、ドライバ操舵支援制御に加えて(または代えて)、例えば
図7に示すような自動操舵回避制御中において、ドライバの操舵操作や速度が検出された場合(且つ、オーバーライド制御を実行しない場合)に、上述した中止制御の抑制制御が実行されてもよい。
【0108】
また、実施形態では、上述した所定条件に代えて(または加えて)、ドライバモニタカメラ70のカメラ画像から、実際にドライバの姿勢が崩れている状態か否かを判定し、その判定結果に基づいて中止制御の実行を制御してもよい。この場合、運転状態検出部130は、例えば、ドライバモニタカメラ70のカメラ画像の解析結果からドライバの姿勢を抽出し、抽出したドライバの姿勢が、予め決められた基本姿勢(正面を向いた姿勢)から所定量以上変化している場合(例えば、横Gによって姿勢が横に傾いている場合)にドライバの姿勢が崩れている状態であると判定する。中止制御部146は、所定条件として、運転状態検出部130によりドライバの姿勢が崩れている状態であると判定されている間、中止制御の実行を抑制する。なお、中止制御部146は、ドライバ操舵支援制御が開始されてから所定時間が経過する前であっても、運転状態検出部130によりドライバの姿勢が崩れていない状態であると判定された場合には、中止制御の実行を抑制しなくてもよい。また、上記の所定時間が経過した後であっても、ドライバの姿勢が崩れている状態のままである場合には、崩れている状態が元に戻る(基本姿勢に戻る)までの間、中止制御の実行の抑制を継続してもよい。これにより、カメラ画像から、より正確にドライバの姿勢を把握することができ、ドライバの姿勢に応じて、より適切な運転支援の制御を行うことができる。
【0109】
また、上述した実施形態では、ドライバ操舵支援制御の実行中におけるオーバーライド判定の一例としてドライバのアクセル操作を用いて説明したが、アクセル操作に代えて(または加えて)、ブレーキ操作を用いてもよい。
【0110】
上述の実施形態では、注意喚起制御(緩減速制御、センタリング制御)を実行した後の接触回避操舵制御(ドライバ操舵支援制御)について説明したが、注意喚起制御を行わずに、ドライバ操舵支援制御が実行された場合に適用されてよい。
【0111】
また、上述の実施形態で示した各数値は、あくまでも一例であり、道路状況(形状や車線数、道路種別)やドライバの運転状況(漫然度合)、車両状況(速度、車種、形状、乗車人数)等に応じて適宜調整されてよい。
【0112】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
コンピュータによって読み込み可能な命令(computer-readable instructions)を格納する記憶媒体(storage medium)と、
前記記憶媒体に接続されたプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記コンピュータによって読み込み可能な命令を実行することにより(the processor executing the computer-readable instructions to:)
車両の周辺状況を認識し、
前記車両の乗員の操舵状態を検出し、
前記乗員による前記車両の速度操作を検出し、
認識した前記車両の周辺状況に基づいて、前記車両と障害物とが接触する可能性があると判定し、且つ、検出した前記乗員の操舵状態から第1閾値以上の操舵量が検出された場合に、前記障害物との接触を回避する回避操舵支援を実行し、
前記回避操舵支援の実行中に、検出した前記速度操作から第2閾値以上の速度操作が検出された場合に、前記回避操舵支援を中止し、
前記回避操舵支援の実行中に所定条件を満たす場合に、前記中止制御の実行を抑制する、
車両用制御装置。
【0113】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0114】
10…カメラ、12…レーダ装置、14…LIDAR、16…物体認識装置、20…通信装置、30…HMI、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、60…MPU、70…ドライバモニタカメラ、80…運転操作子、82…ステアリングホイール、84…アクセルペダル、86…ブレーキペダル、100…運転支援装置、110…認識部、120…接触可能性判定部、130…運転状態検出部、132…操舵状態検出部、134…速度操作検出部、136…漫然運転判定部136、140…車両制御部、142…制動制御部、144…操舵制御部、146…中止制御部、150…HMI制御部、160…記憶部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置、M…自車両