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特開2025-11360キュービクル及びキュービクル監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011360
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】キュービクル及びキュービクル監視システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20250117BHJP
   G07C 9/37 20200101ALI20250117BHJP
   G07C 9/38 20200101ALI20250117BHJP
【FI】
H02B3/00 J
G07C9/37
G07C9/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113409
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 颯斗
(72)【発明者】
【氏名】玉城 将樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 亙
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JA01
3E138JB16
3E138JC05
3E138JC14
3E138JC24
3E138JD03
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性を高くすることが可能であると共に、感電を防止する。
【解決手段】実施形態のキュービクルは、キュービクルの作業者に対するディジタル認証を行い、前記キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるか否かを判断する認証装置と、前記認証装置において、当該キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるとされた場合に開錠動作を行う盤開閉装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュービクルの作業者に対するディジタル認証を行い、前記キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるか否かを判断する認証装置と、
前記認証装置において、当該キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるとされた場合に開錠動作を行う盤開閉装置と、
を備えたキュービクル。
【請求項2】
キュービクルが所定の作業対象である旨及び作業対象者の情報を対応づけて記憶したデータベースを有する中央監視装置と通信可能な通信装置を有し、
前記認証装置は、前記通信装置を介して前記中央監視装置に対し、当該キュービクルが前記作業対象であり、かつ、前記作業者が前記作業対象者であるか否かを問い合わせる、
請求項1記載のキュービクル。
【請求項3】
当該キュービクル内に通電中の機器が存在するか否かを検出する検電部と、
前記検電部の検出結果に基づき当該キュービクル内に通電中の機器が存在する旨の表示を行う表示部と、
作業者が前記通電中の機器が存在する旨の表示を確認した旨の確認操作及び開錠指示操作を行う操作部と、を備え、
前記盤開閉装置は、前記操作部において、前記確認操作及び前記開錠指示操作がなされた場合に前記開錠動作を行う、
請求項1記載のキュービクル。
【請求項4】
当該キュービクルにおいて故障が発生しているか否かを検出する故障検出部を備え、
前記認証装置は、外部から開錠指示信号が入力されている場合に、当該キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるとされた場合とみなす、
請求項1記載のキュービクル。
【請求項5】
キュービクルが所定の作業対象である旨及び作業対象者の情報を対応づけて記憶したデータベースを有する中央監視装置と通信可能な通信装置を有し、
前記認証装置により前記キュービクルが所定の作業対象ではなく、又は、前記作業者が所定の作業対象者でないと判断した場合に、開錠操作がなされた場合に当該キュービクル及び作業者の情報を前記通信装置を介して前記中央監視装置に通知する、
請求項1記載のキュービクル。
【請求項6】
第1通信装置を有し、複数のキュービクルの監視を行う中央監視装置と、
キュービクルの作業者に対するディジタル認証を行い、当該キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるか否かを判断する認証部と、前記認証部において、当該キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるとされた場合に開錠動作を行う盤開閉装置と、中央監視装置と通信可能な第2通信装置と、を有する複数のキュービクルと、を備え、
前記第2通信装置は、対応する前記キュービクルにおいて開錠操作がなされた場合に当該キュービクル及び作業者の情報を前記第1通信装置を介して前記中央監視装置に通知する、
キュービクル監視システム。
【請求項7】
前記中央監視装置は、前記キュービクルが所定の作業対象である旨及び作業対象者の情報を対応づけて記憶したデータベースを有し、
前記キュービクルの認証部が前記第2通信装置を介して前記中央監視装置に対し、当該キュービクルが前記作業対象であり、かつ、前記作業者が前記作業対象者であるか否かを問い合わせた場合に、前記データベースを参照し、問合せの結果を前記第1通信装置を介して、当該キュービクルに通知する参照部を備えた、
請求項6記載のキュービクル監視システム。
【請求項8】
前記中央監視装置は、前記キュービクルの認証部が前記第2通信装置を介して前記中央監視装置に対し、当該キュービクルで故障が発生している旨を通知した場合に、が前記作業対象であり、かつ、前記作業者が前記作業対象者であるか否かを問い合わせた場合に、当該キュービクルが前記作業対象であり、かつ、新たに設定した作業対象者を前記データベースに登録する登録部を備えた、
請求項7記載のキュービクル監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、キュービクル及びキュービクル監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受変電設備を筐体に収納したキュービクル式受変電設備(キュービクル)が知られている。
このようなキュービクル式受変電設備においては、筐体(盤)の扉は鍵で管理するのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-163518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、筐体(盤)の扉は鍵で管理していたので、鍵を持っていれば誰でもいつでも開錠可能なため、セキュリティ性が低くなってしまう虞があった。
また、誤って作業対象外のキュービクル式受変電設備においては、非遮断状態で開錠してしまう虞があり、感電する可能性もあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、セキュリティ性を高くすることが可能であると共に、感電を防止することが可能なキュービクル及びキュービクル監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のキュービクルは、キュービクルの作業者に対するディジタル認証を行い、前記キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるか否かを判断する認証装置と、前記認証装置において、当該キュービクルが所定の作業対象であり、かつ、前記作業者が所定の作業対象者であるとされた場合に開錠動作を行う盤開閉装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の受変電システムの概要構成ブロック図である。
図2図2は、管理用データベースを構成する作業管理データ、警報管理データ及び認証用データのデータフォーマットの説明図である。
図3図3は、実施形態の動作処理フローチャートである。
図4図4は、実施形態の変形例の動作処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、実施形態の受変電システムの概要構成ブロック図である。
受変電システム10は、受変電システム10全体の監視を行う中央監視装置11と、受変電動作を行うn個(nは、自然数)のキュービクル式受変電設備12-1~12-nと、を備えている。
中央監視装置11は、制御装置21と、管理用データベース(DB)22と、表示操作盤23と、通信装置24と、警報装置25と、を備えている。
上記構成において、制御装置21は、中央監視装置11全体の制御を行う。
管理用データベース22は、後述するキュービクル式受変電設備12-1~12-nに対する作業を管理するための作業管理情報が登録された作業管理データと、キュービクル式受変電設備12-1~12-nにおいて発生した警報の内容が登録された警報管理データと、作業者の認証を行うための認証用データと、を備えている。
【0009】
図2は、管理用データベースを構成する作業管理データ、警報管理データ、認証用データ及び盤開錠処理データのデータフォーマットの説明図である。
まず、作業管理データ22Aについて説明する。
【0010】
作業管理データ22Aは、作業対象のキュービクル式受変電設備についての情報を格納するデータである。
作業管理データ22Aは、図2(A)に示すように、作業IDデータ41と、作業日付データ42と、作業対象盤IDデータ43と、作業者IDデータ44と、パスワードデータ45と、を備えている。
【0011】
作業IDデータ41は、キュービクル式受変電設備に対する作業を特定するためのデータである。
作業日付データ42は、キュービクル式受変電設備に対する作業の日付、時間帯などを格納したデータである。
【0012】
作業対象盤IDデータ43は、作業対象のキュービクル式受変電設備を特定するための盤IDを格納したデータである。この場合において、キュービクル式受変電設備12-1~12-nには、キュービクル式受変電設備を特定するための固有の盤IDが予め割り当てられている。
【0013】
作業者IDデータ44は、作業対象のキュービクル式受変電設備の作業を行う作業者を特定するための作業者IDを一又は複数格納したデータである。
【0014】
パスワードデータ45は、作業者の急な変更等の理由により、作業対象のキュービクル式受変電設備において、認証が行えないような場合に、認証に代えて盤開錠を行うためのパスワードを格納するためのデータであり、通常状態では、パスワードは格納されていない。
【0015】
次に、警報管理データ22Bについて説明する。
警報管理データ22Bは、図2(B)に示すように、警報IDデータ51と、警報日時データ52と、警報内容データ53と、警報対象盤IDデータ54と、作業者IDデータ55と、を備えている。
【0016】
警報IDデータ51は、発報された警報を個別に特定するためのIDデータを格納しており、各警報に対してそれぞれ固有のIDデータが格納されている。すなわち、同一のキュービクル式受変電設備であっても、複数回の警報が発報された場合には、警報毎に別個のIDデータがそれぞれ格納される。
【0017】
警報日時データ52は、警報が発報された日時の情報が格納される。
警報内容データ53は、例えば、作業対象のキュービクル式受変電設備の作業を行う作業者以外による開錠操作がなされたなどの警報の内容を把握することが可能なデータ(文章あるいは警報コード等)が格納される。
【0018】
警報対象盤IDデータ54は、警報を発報したキュービクル式受変電設備を特定するための盤IDを格納したデータである。
作業者IDデータ55は、警報を発することになった際の作業者を特定することが可能な場合に、対応する作業者IDを格納したデータである。
【0019】
次に、認証用データ22Cについて説明する。
認証用データ22Cは、作業者が正規の作業者であるか否かを認証(作業者の真正性を確認)するためのデータである。ここで、正規の作業者とは、予め作業を行うように指定された作業者ということである。
認証用データ22Cは、図2(C)に示すように、作業者IDデータ61と、第1認証情報データ~第m(mは自然数)認証情報データ62-1~62-mと、を備えている。
【0020】
作業者IDデータ61は、作業者を特定するための作業者IDを格納したデータである。
第1認証情報データ~第m(mは自然数)認証情報データ62-1~62-mは、例えば、指紋の特徴点のデータ群や、顔の特徴点のデータ群等の作業者の生体認証に用いるデータをそれぞれ格納している。なお、生体認証に用いるデータは、一例であり、これらに限られるものではない。例えば、虹彩認証等の他のデータであってもよい。
【0021】
次に盤開錠処理データ22Dについて説明する。
盤開錠処理データ22Dは、盤開錠処理の履歴を管理のために保存するデータである。
盤開錠処理データ22Dは、図2(D)に示すように、開錠操作日時データ71と、盤IDデータ72と、作業者IDデータ73と、認証可否データ74と、を備えている。
【0022】
開錠操作日時データ71は、開錠操作がなされた日時を格納したデータである。
盤IDデータ72は、開錠操作がなされたキュービクル式受変電設備を特定するための盤IDを格納したデータである。
作業者IDデータ73は、開錠操作を行った作業者を特定するための作業者IDを格納したデータである。
認証可否データ74は、開錠操作の際に行った認証処理で認証がなされたか否かを表すデータである。
【0023】
次にキュービクル式受変電設備の構成について説明する。
図1に示したキュービクル式受変電設備12-1~12-nの構成としては様々考えられるが、以下では、キュービクル式受変電設備12-1~12-nの中で、キュービクル式受変電設備12-1を例として説明する。
【0024】
キュービクル式受変電設備12-1は、制御装置31と、通信装置32と、検電装置33と、記憶装置34と、盤開閉装置35と、警報装置36と、認証装置37と、表示操作装置38と、を備えている。
【0025】
制御装置31は、MPU、ROM、RAM等を備えたいわゆるコンピュータとして構成されており、中央監視装置11と連携してキュービクル式受変電設備12-1全体の制御を行う。
通信装置32は、無線あるいは有線の通信ネットワークを介して中央監視装置11との間の通信を行う。
【0026】
検電装置33は、当該キュービクル式受変電設備12-1の所定箇所が非通電状態(停電状態)であるか否かを検出する。より詳細には、例えば、当該キュービクル式受変電設備12-1内で充電中の機器などがあるか否かを検出する。
記憶装置34は、揮発性のメモリ及び不揮発性のメモリを備え、各種設定あるいは動作状態等の得られたデータを記憶する。
【0027】
盤開閉装置35は、所定の盤開条件が満たされた場合に当該キュービクル式受変電設備12-1の扉を開状態とし、作業者等が筐体内にアクセス可能な状態とする。また、盤開閉装置35は、所定の盤閉条件が満たされた場合に、当該キュービクル式受変電設備12-1の扉を閉状態として保持し、作業者等が筐体内にアクセスできないようにする。
【0028】
警報装置36は、当該キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31において、何らかの警報対象の異常が検出された場合に、スピーカ、ブザーなどを介した音(音声)、インジケータによる光、表示操作装置38への表示等により、当該キュービクル式受変電設備12-1周辺の作業者に対し警報を行う。より具体的には、当該キュービクル式受変電設備12-1が作業対象ではない場合や、当該キュービクル式受変電設備12-1内に充電中の機器が存在したりする等の通電状態が検出された場合には、その旨を作業者に警報として通知することとなる。
【0029】
認証装置37は、表示操作装置38を介して入力された認証用情報(指紋、顔画像等)を中央監視装置11の管理用データベース22を構成する認証用データ22Cを参照して作業者が真性の作業者であるか否かの認証を行う。
【0030】
表示操作装置38は、警報情報を含む各種情報の表示や、作業者が認証のための情報を入力したり、当該キュービクル式受変電設備12-1の設定データの入力を行ったりするために用いられる。
【0031】
より詳細には、表示操作装置38は、例えば、タッチパネルディスプレイ、指紋センサ、カメラ等を備えており、当該キュービクル式受変電設備12-1の動作状態及び警報状態等を表示するとともに、キュービクル式受変電設備12-1に作業者の認証に必要なデータを入力したり、作業者が各種操作子を操作して設定データの入力などを行う。
【0032】
次に実施形態の動作を説明する。
図3は、実施形態の動作処理フローチャートである。
以下の説明においては、キュービクル式受変電設備12-1を例として動作を説明するものとする。
【0033】
まず、中央監視装置11の管理者は、キュービクル式受変電設備12-1~12-nに対するメンテナンスや修理などの作業予定が発生した場合、中央監視装置11において、作業計画者が作業日までに、作業対象のキュービクル式受変電設備及び作業者を特定して、作業対象盤盤と作業者情報を作業管理データ22Aとして、中央監視装置11の管理用データベース22に登録しておくものとする(ステップS11)。
【0034】
一方、キュービクル式受変電設備12-1は、通常時においては、自己の動作状態等に対応する機器情報等を表示操作装置38の表示画面に表示している(ステップS21)。
なお、キュービクル式受変電設備12-1において、重故障や軽故障(の信号)がある場合は、表示操作装置38の表示画面に表示に故障している機器の情報を表示することとなる。
【0035】
その後、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、表示操作装置38において、開錠操作がなされたか否かを判定する(ステップS22)。
具体的には、表示操作装置38において、作業者による開錠指示及び認証用情報(作業者ID、指紋、顔画像、虹彩画像等)の入力がなされたか否かを判定する。
【0036】
ステップS22の判定において、開錠操作がなされていない場合には(ステップS22;No)、処理を再びステップS21に移行して機器の情報表示を継続する。
ステップS22の判定において、開錠操作がなされた場合には(ステップS22;Yes)、制御装置31は、認証処理を行う(ステップS23)。
【0037】
より詳細には、制御装置31は、認証処理として、まず、通信装置32及び中央監視装置11の通信装置24を介して、中央監視装置の制御装置21と通信を行い、管理用データベース22から当該キュービクル式受変電設備12-1の盤IDに対応し、かつ、当該通信の時刻において有効な作業管理データ22Aが存在する場合には当該作業管理データ22Aを取得し、さらに認証用情報に含まれる作業者IDに対応する認証用データ22Cを取得する。
【0038】
続いて制御装置31は、作業管理データ22Aが取得できた場合には、取得した作業者IDに対応する認証用データ22C及び自己の盤IDに基づいて、認証装置37により認証を行って、当該キュービクル式受変電設備12-1が作業対象のキュービクル式受変電設備であり、かつ、作業者IDが真性の作業者IDと等しいか否かの認証を行う。
【0039】
さらに制御装置31は、開錠操作がなされた時刻、開錠対象とされたキュービクル式受変電設備の盤ID及び作業者IDを盤開錠処理情報として、中央監視装置11に通知する(ステップS24)。
【0040】
すなわち、中央監視装置11の管理用データベースに登録されていない作業者による盤の開錠が試みられた場合及び作業対象として登録されていないキュービクル式受変電設備盤の開錠が試みられた場合は、万一の事故発生を想定して、原因究明と装置改善をするべく過去検証を実施するために、盤開錠処理情報により、誰がいつどの盤の開錠を試みたのかを容易に把握できるようにしているのである。
【0041】
この結果、中央監視装置11の制御装置21は、通知された盤開錠処理情報及び認証可否情報を盤開錠処理データ22Dとして管理用データベース22に登録する(ステップS12)。
【0042】
続いて、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、ステップS23の処理において、認証装置37により認証がなされて認証済み状態となったか否かを判定する(ステップS25)。
【0043】
ステップS25の判定において、認証装置37により認証がなされず認証済み状態とならなかった場合には(ステップS25;No)、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、真性の作業者による盤開錠処理がなされなかったとして、その旨の警報を発報する(ステップS26)。
【0044】
より詳細には、表示操作装置38において、認証がなされなかった理由及び開錠されない旨を表示するとともに、ブザー音、インジケータの点滅などに操作者に対して注意喚起を行う警報を発報する。
【0045】
続いて、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、警報日時、警報内容、自己の盤ID及び入力された作業者IDを警報情報として中央監視装置11の制御装置21に通知して処理を終了する(ステップS27)。
【0046】
これにより中央監視装置11の制御装置21は、通知された警報情報に基づいて警報管理データ22Bを生成し、管理用データベース22に登録する(ステップS13)。
【0047】
ステップS25の判定において、認証装置37により認証がなされて認証済み状態となった場合には(ステップS25;Yes)、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、盤開閉装置35を制御して、キュービクル式受変電設備12-1の扉の開錠(盤開錠)を行う(ステップS28)。
【0048】
これにより作業者は、キュービクル式受変電設備12-1のメンテナンスあるいは修理等の作業を行う(ステップS29)。
そして、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、キュービクル式受変電設備12-1のメンテナンスあるいは修理等の作業が終了したか否かを判定する(ステップS30)。
【0049】
より詳細には、作業者により表示操作装置38において、作業終了の操作がなされたか否かを判定する。
ステップS30の判定において、作業者による表示操作装置38における作業終了の操作が未だなされておらず、作業が終了していない場合には(ステップS30;No)、処理を再びステップS29に移行し、待機状態となる。
【0050】
ステップS30の判定において、作業者による表示操作装置38における作業終了の操作がなされて、作業が終了した場合には(ステップS30;Yes)、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、盤開閉装置35を制御して、キュービクル式受変電設備12-1の扉の施錠(盤施錠)を行う(ステップS31)。
【0051】
続いて、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、当該キュービクル式受変電設備12-1の状態情報を通知する。
【0052】
ここで、状態情報は、自己の動作状態等に対応する機器情報等である。
これにより中央監視装置11の制御装置21は、常に管理下にあるキュービクル式受変電設備の状態を把握することができることになる。
【0053】
以上の説明のように、本実施形態によれば、作業者の指や顔の情報を読み取り、認証装置で認証を行い、当該作業者が、中央監視装置11の管理用データベース22に作業対象者として登録されていれば管理用データベース22に登録されている作業対象のキュービクル式受変電設備(盤)を開錠し、作業対象者として登録されていなければ開錠することはないので、確実に所定の作業者にのみ作業を行わせることが可能となる。
【0054】
以上の説明においては、予め管理用データベースに登録されている作業対象者が作業対象のキュービクル式受変電設備に対する作業を行える場合について説明したが、実際の運用においては、作業当日に作業者が交代となる場合も生じ得る。
【0055】
しかしながら、実施形態は、真正な作業者が開錠操作を行わない場合には、開錠がなされることがないので、メンテナンスあるいは修理の作業が滞る可能性がある。
そこで、この様な場合にも対応できるようにした実施形態の変形例について説明する。
【0056】
図4は、実施形態の変形例の動作処理フローチャートである。
図4において、図3と同様の部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を援用するものとする。
【0057】
この場合においても、中央監視装置11の管理者は、キュービクル式受変電設備12-1~12-nに対するメンテナンスや修理などの作業予定が発生した場合、中央監視装置11において、作業計画者が作業日までに、作業対象のキュービクル式受変電設備及び作業者を特定して、作業対象盤盤と作業者情報を作業管理データ22Aとして、中央監視装置11の管理用データベース22に登録しておくものとする。また、表示操作装置38において、機器の情報表示がなされているものとする。
【0058】
作業当日に作業者が交代となった場合には、交代した新たな作業者は、中央監視装置11の管理者に対し、作業者IDに代わるパスワードの発行依頼を電話、スマートフォンのアプリなどにより行う(ステップS51)。
これにより、中央監視装置11の管理者は、対応する作業管理データ22Aのパスワードデータ45にパスワードを登録する(ステップS41)。
【0059】
その後、キュービクル式受変電設備12-1の制御装置31は、表示操作装置38において、パスワードを用いたパスワード開錠操作がなされたか否かを判定する(ステップS52)。
具体的には、表示操作装置38において、作業者による開錠指示及びパスワードの入力がなされたか否かを判定する。
【0060】
ステップS52の判定において、パスワード開錠操作がなされていない場合には(ステップS52;No)、表示操作装置38において、機器の情報表示を継続する。
ステップS52の判定において、パスワード開錠操作がなされた場合には(ステップS52;Yes)、制御装置31は、パスワード認証処理を行う(ステップS53)。
【0061】
より詳細には、制御装置31は、認証処理として、まず、通信装置32及び中央監視装置11の通信装置24を介して、中央監視装置の制御装置21と通信を行い、管理用データベース22から当該キュービクル式受変電設備12-1の盤IDに対応し、かつ、当該通信の時刻において有効な作業管理データ22Aが存在する場合には当該作業管理データ22Aを取得する。
【0062】
続いて制御装置31は、作業管理データ22Aが取得できた場合には、対応するパスワードデータ45に基づいて、認証装置37により認証を行って、当該キュービクル式受変電設備12-1が作業対象のキュービクル式受変電設備であり、かつ、入力されたパスワードがパスワードデータ45に格納されたパスワードと等しいか否かの認証を行う。
【0063】
さらに制御装置31は、実施形態と同様に、開錠操作がなされた時刻、開錠対象とされたキュービクル式受変電設備の盤ID及び作業者IDを盤開錠処理情報として、中央監視装置11に通知する(ステップS24)。
以降は、実施形態と同様にステップS12~ステップS14及びステップS25~ステップS32の処理を行う。
【0064】
これらの結果、作業者が急に交代して、対象作業者のディジタル認証が行えなくなった場合であっても、対象作業差の代わりの作業者が容易に対応可能となり、実施形態と同様に、交代した作業者が入力したパスワードが登録されていなければ開錠することはないので、確実に所定の作業者にのみ作業を行わせることが可能となる。
【0065】
上記説明は、予め作業対象のキュービクル式受変電設備が特定されている場合の態様であったが、中央監視装置11の管理用データベース22に登録されていない作業対象外の盤について、現場で何らかの異常が確認された場合のように、緊急にキュービクル式受変電設備を開錠する必要が生じた場合には、現地の作業者が中央監視装置11の作業計画者に作業対象盤の登録を依頼し、作業計画者は、中央監視装置11において対象のキュービクル式受変電設備+盤を遠隔操作で開錠するか、中央監視装置のデータベースに作業対象盤を登録するかを状況によって選択することができる。中央監視装置のデータベースに作業対象盤が登録された場合、作業者は通常通りディジタル認証によって盤を開錠できる。
【0066】
本実施形態の中央監視装置及びキュービクル式受変電設備の制御装置は、MPUと、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0067】
本実施形態の中央監視装置及びキュービクル式受変電設備の制御装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでUSBメモリ、SSD等の半導体メモリ装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0068】
また、本実施形態の中央監視装置及びキュービクル式受変電設備の制御装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の中央監視装置及びキュービクル式受変電設備の制御装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0069】
また、本実施形態の中央監視装置及びキュービクル式受変電設備の制御装置のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0071】
例えば、上記説明において、認証装置は、表示操作部から画像情報等の認証情報を取得するようにしていたが、認証装置自体にカメラ等の認証情報取得装置を設けるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 受変電システム
11 中央監視装置
12-1~12-n キュービクル式受変電設備
21 制御装置(参照部、登録部)
22 管理用データベース
22A 作業管理データ
22B 警報管理データ
22C 認証用データ
22D 盤開錠処理データ
23 表示操作盤
24 通信装置(第1通信装置)
25 警報装置
31 制御装置
32 通信装置(第2通信装置)
33 検電装置
34 記憶装置
35 盤開閉装置
36 警報装置
37 認証装置
38 表示操作装置(表示部、操作部)
41 作業IDデータ
42 作業日付データ
43 作業対象盤IDデータ
44 作業者IDデータ
45 パスワードデータ
51 警報IDデータ
52 警報日時データ
53 警報内容データ
54 警報対象盤IDデータ
55 作業者IDデータ
61 作業者IDデータ
62 認証情報データ
図1
図2
図3
図4