(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011640
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】包装不良予測装置、包装不良予測方法及び紙葉類処理システム
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
B65B57/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113865
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 夏奈子
(57)【要約】
【課題】シュリンク包装の不良を事前に予測する包装不良予測装置、包装不良予測方法及び紙葉類処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態に係る包装不良予測装置は、被包装品をシュリンク包装するシュリンク包装機に前記被包装品が入る直前に、事前情報に基づいて、前記被包装品に対するシュリンク包装の不良発生を予測する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装品をシュリンク包装するシュリンク包装機に前記被包装品が入る直前に、事前情報に基づいて、前記被包装品に対するシュリンク包装の不良の発生を予測する包装不良予測装置。
【請求項2】
前記事前情報は、前記被包装品の属性情報である被包装品情報、包装材の属性情報である包装材情報及び前記直前に測定した測定データのうち少なくとも1つのデータ項目を含む請求項1に記載の包装不良予測装置。
【請求項3】
前記シュリンク包装の不良が起きる確率である不良発生率を生成する請求項2に記載の包装不良予測装置。
【請求項4】
前記不良発生率に基づいて包装不良の発生の有無を判定する判定部を備える請求項3に記載の包装不良予測装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記不良発生率が閾値以上の場合に包装不良が発生すると判定する請求項4に記載の包装不良予測装置。
【請求項6】
ニューラルネットワークに基づいた人工知能の学習部を備え、
前記学習部は、前記被包装品情報と前記包装材情報と前記測定データを入力データ、包装不良有無を正解データとして学習モデルを生成する請求項3に記載の包装不良予測装置。
【請求項7】
前記シュリンク包装機が前記被包装品をシュリンク処理する前に取得した前記被包装品情報、前記包装材情報、前記測定データと前記学習モデルとに基づいて、前記不良発生率を生成する判定部を備える請求項6に記載の包装不良予測装置。
【請求項8】
前記判定部の決定に基づいて、前記シュリンク包装機を制御する請求項5に記載の包装不良予測装置。
【請求項9】
被包装品をシュリンク包装するシュリンク包装機に前記被包装品が入る直前に、事前情報に基づいて、前記被包装品に対するシュリンク処理による包装不良の発生を予測する包装不良予測方法。
【請求項10】
請求項1に記載した包装不良予測装置を備える紙葉類処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、シュリンク包装装置による包装の不良を予測する包装不良予測装置、包装不良予測方法及び紙葉類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券等の紙葉類を処理する紙葉類処理システムなどにおいては、被包装品である紙葉類を包装材で包装して、包装材に熱を加えるなどしてシュリンク(収縮)させて包装品として完成させるシュリンク装置が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-20811号公報
【特許文献2】特開2019-182576号公報
【特許文献3】特開2004-256161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シュリンク装置が包装材のシュリンクに失敗した場合、包装材を廃棄する必要がある。また包装材のシュリンクに失敗した包装品が倉庫に入庫されると、被包装品の品質に影響する。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、シュリンク包装の不良を事前に予測する包装不良予測装置、包装不良予測方法及び紙葉類処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る包装不良予測装置は、被包装品をシュリンク包装するシュリンク包装機に前記被包装品が入る直前に、事前情報に基づいて、前記被包装品に対するシュリンク包装の不良発生を予測する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る包装不良予測システムの構成ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る予測装置の構成ブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るラベリング部の動作例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る予測装置の学習部がAIモデルを学習するときの構成及びデータの流れを示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る予測装置の学習部が記憶するデータテーブルの例である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る予測装置の学習部がAIモデルを学習するときの動作例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る予測装置の判定部が包装状態の不良を判定するときのデータの流れを示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る予測装置の判定部が包装状態の不良を判定するときの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(実施形態)
本実施形態においては、シュリンク包装機による包装不良を予測するシステムについて示す。本実施形態は、例えば、有価証券等の紙葉類を包装処理する紙葉類処理システムに適用できる。
【0009】
図1は、実施形態に係る包装不良予測システムの構成ブロック図である。
【0010】
包装不良予測システムは、予測装置1と包装機2とを含み、包装機2が出力する包装品が不良であるかどうかもしくは不良である確率を予測装置1が予測するシステムである。
【0011】
予測装置1は、例えば、演算機能、制御機能などのコンピュータ機能を備えたCPUや、データを記憶する揮発性メモリや不揮発性メモリ、外部との通信機能などを備えるコンピュータサーバであり、人工知能機能(AIと称する場合もある)を備え、1以上のデータを学習データとして機械学習などにより学習してモデル(パラメータ)得て、得たモデル(学習モデルと称する)を用いて、包装品の不良についての予測を実施する。予測装置1の機能は、CPUなどで実行されるプログラムによる処理機能を含んでもよい。
【0012】
包装機2は、被包装対象である被包装品4(例えば紙葉類処理システムでは、紙葉類)を包装材料5(例えば、ビニール袋)で包装し、包装品を出力する装置である。包装材料で包装された被包装品を包装品と称する。包装機2は大きく、ラベリング部21、シュリンク部22の機能を備える。
ラベリング部21は、被包装品4を包装材料5で覆う機能である。動作の詳細は後述する。
【0013】
シュリンク部22は、ラベリング部21が出力する包装品6(以降、仮包装品と称する)に対して、熱などにより包装材料5を収縮させるなどし、仮包装品の包装材料5を被包装品4の形状などに合わせて包装品(仮包装品に対して特に区別する場合は、完全包装品と称する場合もある)を生成、出力する。
図1においては、例えば、包装品6-3は仮包装品のイメージ例を示し、包装品6-5は完全包装品のイメージ例を示す。
【0014】
コンベヤ3は、被包装品4や包装品6が移動するコンベヤであり、図においては、図示せぬ被包装品生成装置のある左から倉庫のある右方向へ移動する。
被包装品4は、紙葉類など包装材5で包装される製品である。図に示した被包装品4-1、4-2、4-3、4-4、4-5は、各位置での被包装品4を示しており、同一の被包装品4がコンベア上を流れている状態と見てもよいし、それぞれ別々の被包装品4が連続的にコンベア上を流れてくるような状態と見てもよい。被包装品4-1、4-2、4-3、4-4、4-5を特に区別しない場合は、被包装品4と称する。
【0015】
包装材5は、被包装品4を包装するものを示し、本実施形態においては例えばビニール袋である。被包装品4同様に、図に示した包装材5-1、5-2、5-3、5-4、5-5は、各位置での包装材5を示している。包装材5-1、5-2、5-3、5-4、5-5を特に区別しない場合は、包装材5と称する。
【0016】
包装品6は、被包装品4を包装材5で包装した全体を示す。被包装品4同様に、図に示した包装品6-1、6-2、6-3、6-4、6-5は、各位置での包装品6を示している。包装品6-1、6-2、6-3、6-4、6-5を特に区別しない場合は、包装品6と称する。ただし、シュリンク前の包装品6を仮包装品6と称し、シュリンク後の包装品6を完全包装品6と称する場合もある。
【0017】
速度測定部23は、コンベヤ3や包装品6の移動速度を測定する。
静電気量測定部24は、被包装品4の静電気量を測定する。特に被包装品4が紙葉類である場合は、コンベヤ3などの摩擦などにより被包装品4に静電気が発生するが、アースなどにより静電気を取り除くことが難しく、後段のラベリング部21の機能に影響する。
温度測定部211は、シュリンク部22内の温度を測定する。シュリンク部22内の温度は、包装材5への影響が強く、包装品6の包装の良否への影響が強い。
【0018】
図2は、実施形態に係る予測装置の構成ブロック図である。
【0019】
学習部11は、深層学習などニューラルネットワークに基づいたAIの機械学習を備え、入力データTDを取得し、機械学習による学習を実行し、学習モデルを生成する。本実施形態のAIは、K(Kは自然数)次元の入力層に対して1次元の出力層とする。入力層に入力するデータをモデル入力データと称し、出力層が出力するデータをモデル出力データと称する。
【0020】
入力データTDは、学習部11に対する学習データの例であり、静電気量、ヒーター温度、包装品侵入速度、被包装品サイズ、被包装品種類、包装材材質種類、包装不良有無など被包装品4に紐づけられたデータである。本実施形態においては、入力データTDのうち、良否判定情報を正解データ(モデル出力データに相当)とし、残りのデータのうち少なくとも1以上のデータをモデル入力データとする。また上記したように被包装品4が紙葉類である場合は、静電気の影響は大きく、少なくともモデル入力データには静電気量を含めることが望ましい。
【0021】
包装情報記録部111は、例えば不揮発性メモリなどを備えた記憶装置であり、学習部11が取得した入力データTDが格納される。
包装不良品特徴学習部112は、入力データTDに基づいて機械学習などによる学習を実行し、学習モデルの生成などを実施する。
【0022】
判定部12は、包装機2の運用中に、包装機2から必要なデータを取得し、学習部11が生成した学習モデルを用いて、包装不良有無(良否判定情報)、包装不良発生率などを求める。包装不良発生率は、包装機2から出力された完全包装品6の包装が失敗している確率を示し、包装機2から出力された完全包装品6の包装が正常である確率を特に正常包装率と称する。判定部12は、求めた包装不良有無、包装不良発生率などを出力してもよいし、包装不良発生率に基づいて包装不良の予測判定をしてもよい。
【0023】
包装不良発生率算出部121は、学習部11が生成した学習モデルを用いて、包装不良発生率を求めて出力する。例えば、学習モデルの出力層(例えばシグモイド関数)の出力値を用いて包装不良発生率(=1-正常包装率)とすることでもよい。
【0024】
包装不良判定部122は、包装不良有無、包装不良発生率などに基づいて、シュリンク部22に入る直前の被包装品4に包装不良が発生するか否かを予測して出力する。
【0025】
制御部13は、包装不良判定部122が出力した予測結果に基づいて、包装機2を制御するための制御信号を生成して出力する。また制御部13は、予測装置1の周辺機器である図示せぬキーボードやマウスなどからの命令に応じて、予測装置1内部の各機能を制御することでもよい。例えば制御部13は、図示せぬキーボードやマウスなどからの命令に応じて、学習部11が起動する学習モードと判定部12が起動する運用モードとの切替をすることでもよい。
【0026】
提示制御部14は、包装不良判定部122が出力した予測結果を提示部15に表示させせるための表示データや、音声出力させるための音声データを生成し、提示部15に出力する。
提示部15は、モニタやスピーカであり、提示制御部14から入力される表示データを表示したり、音声データをスピーカから音声として出力したりすることでもよい。
入出力部16は、予測装置1の外部とのデータのやり取りをする。
【0027】
図3は、実施形態に係るラベリング部の動作例を示す模式図である。
図3(a)から(d)の順にラベリング部の動作を時系列に示す。コンベア3は、左から右へ移動しているものとする。
【0028】
包装材接着部222は、ラベリング部21の内部に備えられ、包装材5をコンベア3の上部に設置し、被包装品4が包装材5に覆われたタイミングで包装材5の口を閉じるように動作する。以下に図を参照して、動作の詳細を説明する。
【0029】
図3(a)は、被包装品4が包装材5の手前にある状態であり、包装材接着部222からコンベア3に対して垂直に降ろすように包装材5が設置されている。コンベア3とともに被包装品4が移動して、
図3(b)のように被包装品4が包装材5に当たると、包装材5が包装材接着部222から引き出されるように伸びる。
【0030】
さらに被包装品4が移動して、
図3(c)のように被包装品4が包装材5に覆われたところで、
図3(d)のように包装材接着部222の上部が下に降り、またコンベア3の方から包装材接着部222の下部が上に上がることで、包装材接着部222の上部と下部とで包装材5の口を占めるように挟み込む。この状態で包装材接着部222の上部と下部に熱を加えるなどにより包装材5の口を接着させると、包装品6(仮包装品)ができる。
【0031】
以下、予測装置1の動作を、AIの学習時、運用時の順に説明する。
【0032】
図4は、実施形態に係る予測装置の学習部がAIモデルを学習するときの構成及びデータの流れを示す模式図である。
図1、2に記載のブロックと同一の機能名称、符号のブロックは、同一の機能ブロックを示す。
【0033】
被包装品4は包装機2に入力され、包装品6として出力される。包装機2から出力された包装品6は、検査装置7に入力される。
【0034】
検査装置7は、包装機2が出力した包装品6を検査する。例えば検査装置7は、X線検査やAIを用いた画像検査により包装品6を検査することでもよい。具体的には、検査装置7に入力された包装品6に対して、包装不良判定部71が良否を判定し、良否データ(OK/NGなど)を予測装置1へ出力する。予測装置1は、入力された良否データを包装情報記録部111に格納する。包装品6の良否は、例えば、包装材5が破れていたり、とじ込みが弱かったりなどした場合は否(NG)とし、それ以外の場合は良(OK)とする。また、検査装置7を用いずに、人間が目視などで包装品6を検査し、検査結果を判定し、良否データを包装情報記録部111に格納してもよい。
【0035】
包装機2は、仮包装品6をシュリンク部22に入力する直前に取得した静電気量、ヒーター温度、包装品侵入速度などの測定データを予測装置1に出力し、学習部11の包装情報記録部111に格納する。さらに、被包装品4の高さや水平面の大きさ(縦横サイズ)などの被包装品サイズ、被包装品4の種類など被包装品4の属性情報である被包装品情報や、包装材5の属性情報である包装材情報などを学習部11の包装情報記録部111に格納する。被包装品情報、包装材情報は、図示せぬキーボードなどから入力してもよいし、被包装品4のラベルなどから包装機2が被包装品情報を取得して、測定データとともに予測装置1に送信するなど様々な方法が考えられる。測定データは、被包装品情報、包装材情報でないデータとして環境データと称することもある。測定データ、被包装品情報、包装材情報は、包装品6の包装材5のシュリンクの状態に影響する。
【0036】
図5は、実施形態に係る予測装置の学習部が記憶するデータテーブルの例であり、列ごとに項目ごとのデータを示し、行ごとに検査装置に入力した包装品6に紐づけられた包装品ID、測定データや被包装品情報、包装の良否判定情報を示している。
【0037】
データテーブルDTにおいて、列ごとのデータ項目には、測定データとして静電気量C-1、ヒーター温度C-2、侵入速度C-3、被包装品情報として被包装品サイズC-4、被包装品種類C-5、良否判定結果として良否判定情報C-6を含める例を示すが、包装の良否判定に関わる任意のデータ項目をM個(自然数)以上追加してもよい。例えば、包装材の材質種類などの包装材情報をデータ項目に追加してもよい。また行ごとに示す包装品6ごとのデータは、AIの学習機能を入力することを想定して、N(1より大きな自然数)個以上の多量のデータであることが望ましい。
【0038】
例えば、データE-2を例に説明すると、包装機2が包装品ID2を生成したときの測定データである静電気量CD-12、ヒーター温度CD-22、侵入速度CD-32や、包装品ID2を包装している被包装品4の被包装品情報である被包装品サイズCD-42、被包装品種類CD-52、包装品ID2を検査装置7で検査した結果である良否判定情報CD-62が包装情報記録部111に格納される。
【0039】
本実施形態においては、良否判定情報を正解データ(モデル出力データに相当)とし、測定データ、被包装品情報、包装材情報のデータのうち少なくとも1項目以上のデータをモデル入力データとする。
【0040】
図6は、実施形態に係る予測装置の学習部がAIモデルを学習するときの動作例を示すフローチャートである。
【0041】
学習部11は、入力データ(
図2のTDに相当)を取得し、包装情報記録部111に格納する(ステップS11)。ステップS11において、入力データTDは、試験などで取得したデータでもよいし、運用中に取得したデータでもよい。
学習部11は、包装情報記録部111に格納された測定データ、被包装品情報をモデル入力データとして、データ(特徴量)の選択、加工などデータ前処理をし、包装の良否判定情報を正解データとして学習を実行し、学習モデルを作成する(ステップS12、13)。
【0042】
以下、作成した学習モデルを用いて、判定部が包装不良発生率を算出し、包装不良の検知をする動作の例を示す。
【0043】
図7は、実施形態に係る予測装置の判定部が包装状態の不良を判定するときのデータの流れを示す模式図である。
【0044】
包装機2の通常の運用においては、被包装品生成装置から出力されコンベヤ3に乗せられて運ばれてくる被包装品4が入力されると、被包装品4に対し、包装材5などを付けるなどの処理を実施して完全包装品6を生成し、倉庫などへ出力する。本実施形態の包装機2は、ラベリング部21で被包装品4を包装材5で包み仮包装品6を生成させ、仮包装品6をシュリンク部22に入れる直前に、静電気量測定部24、温度測定部211、速度測定部23で静電気量CD-1、ヒーター温度CD-2、侵入速度CD-3を測定し、予測装置1へ出力する。
【0045】
図8は、実施形態に係る予測装置の判定部が包装状態の不良を判定するときの動作例を示すフローチャートである。
【0046】
予測装置1は、図示せぬ検知部にてラベリング部21から仮包装品が出力されたことを検知すると(ステップS100)、包装機2から測定データを取得する(ステップS101)。ステップS100において、検出した仮包装品の品番(
図5の包装品IDでもよい)を外部装置などから受信すると、品番を包装情報記録部111に格納しておき、ステップS101で取得した測定データをその品番に紐づけて包装情報記録部111に格納する。判定部12の包装不良発生率算出部121は、取得した測定データと予め生成された学習モデルとから包装不良発生率を得る(ステップS102)。
【0047】
包装不良発生率算出部121においては、学習部11が生成した学習モデルが予め図示せぬメモリなどにダウンロードなどされ、また被包装品情報や包装材情報が別途入力されているものとする。包装不良発生率算出部121は、入力された測定データ、包装材情報及び被包装品情報を学習モデルに入力し、包装不良発生率を出力する。算出された包装不良発生率は、品番に紐づけて包装情報記録部111に格納する。
【0048】
予測された包装不良発生率は、包装不良判定部122に入力され、包装不良判定部122は、包装不良発生率を予め設定した閾値と比較する(ステップS103)。包装不良発生率が閾値以上の場合は、包装不良判定部122は、包装不良が発生する可能性が高いと判断する(ステップS104)。制御部13は、包装不良判定部122の判定結果に基づいて、仮包装品6をシュリンク部22に入れないためにコンベヤ3を止めるなどの制御信号を生成し、包装機2へ出力する(ステップS105)。包装機2においては、通常運用で動いているコンベヤ3を一旦停止するなど、仮包装品6をシュリンク部22に入れないための動作をする。
【0049】
またステップS105において、提示制御部14が、包装不良判定部122の判定結果を提示部15に提示させるための画像データや音声データを生成し、提示部15に画像データを表示させたり、スピーカなどから音声を出力させたりして、運用者に提示することでもよい。また同様にステップS104において、包装不良発生率を提示部15に画像データを表示させて、運用者が包装不良発生率に基づいて包装機2を制御することでもよい。
【0050】
一方、包装不良発生率が閾値よりも小さい場合は、包装不良判定部122は、包装不良が発生する可能性が低いと判断する。包装機2においては、通常運用のようにコンベヤ3を止めずに仮包装品6をシュリンク部22に入れ、完全包装品6として出力させる(ステップS106)。またステップS106において、提示制御部14が、包装不良判定部122の判定結果を提示部15に提示させるための画像データや音声データを生成し、提示部15に画像データを表示させたり、スピーカなどから音声を出力させたりして、運用者に通知することでもよい。
【0051】
以上の手順により、包装品6の包装材5をシュリンク(収縮)させる前に、閉じあき、破れなどの包装不良が発生するかどうかを予想することができる。従来は包装材5のシュリンクが失敗してしまうと、その包装材5は廃棄する必要があったが、本実施形態により包装材5をシュリンクさせる前で予想することで包装材5の無駄をなくすことができる。
【0052】
また本実施形態においては、学習部11が包装不良有無(良否判定情報)を正解データした学習モデルを生成する場合の例を示したが、学習部11は、包装不良発生率を正解データとし、被包装品情報、包装材情報、環境データを入力データとして機械学習を実行し、学習モデルを作成することでもよい。この場合、例えば
図5において、良否判定情報CD-6を取得中の期間について測定データや被包装品情報がほぼ一定の場合は、良否判定情報CD-6全データの中の否(NG)の割合を包装不良発生率とし、学習部11の学習モデルに対する正解データとする。一方、良否判定情報CD-6を取得中の期間について測定データの値、被包装品情報が変動する場合は、例えば、一定とみなせる測定データの値、被包装品情報ごとにデータテーブルDTを分けて、それぞれのデータごとに包装不良発生率を算出し、正解データとする。判定部12の包装不良発生率算出部121は、取得した測定データと学習モデルとから直接的に包装不良発生率を取得する(
図8のステップS102に相当)。
【0053】
また本実施形態においては、包装不良判定部122による良否予想をシュリンク部22直前としたが、包装機2の直前(包装機2に被包装品4が入る前)でシュリンク包装の良否予想をしてもよい。
【0054】
特に本実施形態は、有価証券等の紙葉類を処理する紙葉類処理システムに適用することができる。被包装材5が紙葉類である紙葉類処理システムにおいては、セキュリティ上、包装機2が包装品6を出力してから倉庫までの処理時間が短く、例えば
図4に示したような検査装置7を設置できない場合は、包装品6が倉庫に入庫されてから積みあがった包装品6に対する不良品の検査をするなどの必要があり非常な手間となるが、本実施形態により解消することができる。また紙葉類処理システムにおいては、包装機2は制御できるが、包装機2から出力された包装品6の倉庫への入庫止めることが難しい場合がある。本実施形態により、包装機2が包装品6を出力する前に包装機2を止めることができるため、倉庫へ包装不良の包装品6が運ばれる可能性を小さくすることができる。
【0055】
以上に述べた少なくとも1つの実施形態によれば、シュリンク包装の不良を事前に予測する包装不良予測装置、包装不良予測方法及び紙葉類処理システムを提供することができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0057】
また、フローチャート、シーケンスチャートなどに示す処理は、CPU、ICチップ、デジタル信号処理プロセッサ(Digital Signal ProcessorまたはDSP)などのハードウェアもしくはマイクロコンピュータを含めたコンピュータなどで動作させるソフトウェア(プログラムなど)またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現してもよく、また要旨を逸脱しない範囲でフローチャート、シーケンスチャート内のステップの順番を入れ替えた場合についても本発明に含まれる。
【0058】
また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1…予測装置、2…包装機、3…コンベヤ、4…被包装品、5…包装材、6…包装品、7…検出装置、11…学習部、12…判定部、13…制御部、14…提示制御部、15…提示部、16…入出力部、23…速度測定部、24…静電気量測定部、111…包装情報記録部、112…包装不良品特徴学習部、121…包装不良発生率算出部、122…包装不良判定部、211…温度測定部、222…包装材接着部。