(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025011703
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 30/66 20250101AFI20250117BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20250117BHJP
H10D 64/20 20250101ALI20250117BHJP
H10D 64/60 20250101ALI20250117BHJP
H10D 64/23 20250101ALI20250117BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652D
H01L29/78 658A
H01L29/78 652T
H01L29/78 658G
H01L29/44 S
H01L21/28 301R
H01L21/28 301S
H01L29/50 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113965
(22)【出願日】2023-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】清水 康弘
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104BB21
4M104CC01
4M104DD37
4M104DD84
4M104FF06
4M104FF17
4M104FF27
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH08
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上させることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1電極と第1方向で対向する第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられた半導体部と、第2電極と半導体部との間に設けられた金属シリサイド層と、金属シリサイド層と第2電極との間に設けられた金属層と、を備える。この金属シリサイド層は、半導体部側に凹んだ凹部を有する。この金属層は、凹部の底面および側面に接する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極と第1方向で対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられた半導体部と、
前記第2電極と前記半導体部との間に設けられた金属シリサイド層と、
前記金属シリサイド層と前記第2電極との間に設けられた金属層と、を備え、
前記金属シリサイド層が、前記半導体部側に凹んだ凹部を有し、
前記金属層が、前記凹部の底面および側面に接する、
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体部が、
前記金属シリサイド層に接する第1導電型の第1半導体領域を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体部が、第2導電型の第2半導体領域を含み、
前記金属シリサイド層が、前記第1半導体領域に接する第1部分と、前記第2半導体領域に接する第2部分と、を有する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域が、前記第1方向に直交する第2方向に沿って並んで配置される、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域が、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に沿って交互に隣接配置される、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記凹部が、前記第3方向に連続的に延びる溝形状である、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1部分と前記第2部分との間で、前記半導体部の表面から前記金属シリサイド層の下端部までの深さが異なる、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1部分および前記第2部分が、前記第2方向および前記第3方向に沿って格子状に配置される、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域に接する第2導電型の第3半導体領域と、
ゲート絶縁膜を介して前記第3半導体領域と対向するゲート電極と、
をさらに備える、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2電極がアルミニウムを含み、
前記金属シリサイド層がニッケルシリコン(NiSi)を含み、
前記金属層がチタンを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のパワー半導体装置では、ソース電極の下側に、p+型半導体領域およびn+型半導体領域の両方が設けられる構造が知られている。また、この構造では、ソース電極と上記半導体領域との間には、金属シリサイド層および金属層が設けられる場合がある。
【0003】
上記のようなパワー半導体装置では、ドレイン電極とソース電極との間で逆方向の電流が流れると、金属シリサイド層と金属層との間における熱膨張係数の差異によって、熱応力が発生する。この熱応力によって、金属シリサイド層と金属層との密着性が低下すると、メタル剥がれやメタルクラックが起こりやすくなる。その結果、信頼性が低下し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性を向上させることが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1電極と第1方向で対向する第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられた半導体部と、第2電極と半導体部との間に設けられた金属シリサイド層と、金属シリサイド層と第2電極との間に設けられた金属層と、を備える。この金属シリサイド層は、半導体部側に凹んだ凹部を有する。この金属層は、凹部の底面および側面に接する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置を垂直方向に切断した断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置1の要部の構造を示す斜視図である。
【
図3】比較例に係る半導体装置垂直方向に切断した断面図である。
【
図4】比較例に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る半導体装置を垂直方向に切断した断面図である。
【
図6】第2実施形態に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を垂直方向に切断した断面図である。本実施形態に係る半導体装置1は、プレーナゲート構造を有するMOSFETである。以下の説明では、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて半導体装置の各部の配置および構成を説明する場合がある。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向(第2方向)、Y方向(第3方向)、Z方向(第1方向)を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。本実施形態では、X方向はおよびY方向は、本実施形態に係る半導体装置1に平行な面内方向を表し、Z方向は、半導体装置1に直交する面外方向を表す。
【0010】
また、p、p+の表記は、p型不純物濃度が、この順番で高くなることを意味する。さらに、n-、n+の表記は、n型不純物濃度が、この順番で高くなることを意味する。
【0011】
不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、半導体領域の深さ等の距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。
【0012】
本実施形態に係る半導体装置1は、半導体部10、ドレイン電極20、ソース電極30、ゲート電極40、金属シリサイド層50、および金属層60を備える。ドレイン電極20およびソース電極30は、第1電極および第2電極にそれぞれ相当する。
【0013】
半導体部10は、
図1に示すように、n
+型半導体領域11と、p
+型半導体領域12と、p型半導体領域13と、n
-型半導体領域14と、を含む。n
+型半導体領域11は、第1半導体領域に相当する。p
+型半導体領域12は、第2半導体領域に相当する。p型半導体領域13は、第3半導体領域に相当する。
【0014】
n+型半導体領域11は、その上面または側面で金属シリサイド50に接する。n+型半導体領域11は、金属シリサイド50および金属層60を介してソース電極30と電気的に接続される。n+型半導体領域11は、例えば、半導体部10の表面から高濃度のn型不純物をイオン注入することによって形成することができる。
【0015】
p+型半導体領域12は、その上面で金属シリサイド50に接する。また、p+型半導体領域12は、金属シリサイド50および金属層60を介してソース電極30と電気的に接続される。p+型半導体領域12は、例えば、半導体部10の表面から高濃度のp型不純物をイオン注入することによって形成することができる。
【0016】
ここで、
図2を参照して、n
+型半導体領域11とp
+型半導体領域12のレイアウトについて説明する。
【0017】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置1の要部の構造を示す斜視図である。
図2に示すように、n
+型半導体領域11およびp
+型半導体領域12は、X方向に沿って並んで配置される。また、n
+型半導体領域11およびp
+型半導体領域12は、Y方向に沿って交互に隣接配置される。
【0018】
p型半導体領域13は、n+型半導体領域11およびp+型半導体領域12を囲むように各半導体領域に接する。p型半導体領域13は、例えば、半導体部10の表面から低濃度のp型不純物をイオン注入することによって形成することができる。
【0019】
図1に戻ってn
-型半導体領域14は、半導体部10の最下層に配置されるドリフト領域である。n
-型半導体領域14は、例えばエピタキシャル成長させたSiC(炭化ケイ素)で構成される。
【0020】
n-型半導体領域14は、半導体装置1のオフ時に、ドレイン電極20とソース電極30との間に印加されるドレイン電圧により空乏化される。そのため、n-型半導体領域14の厚さは、所定の耐圧条件を満たす厚さに設計されている。
【0021】
なお、半導体部10では、種々の半導体層がp型半導体領域13とn
-型半導体領域14との間に形成されていてもよい。また、
図1および
図2では、X方向に沿って並んで配置された2つのp型半導体領域13間の領域には、何も図示されていないが、この領域は、例えばショットキーバリアダイオード領域とすることができる。
【0022】
ドレイン電極20は、n-型半導体領域14の裏面に設けられる。ソース電極30は、半導体部10を挟んでドレイン電極20とZ方向で対向するように配置される。ソース電極30は、層間絶縁膜70によって、ゲート電極40と電気的に絶縁される。ドレイン電極20およびソース電極30は、例えばアルミニウム等の金属を用いて形成することができる。また、層間絶縁膜70は、例えばシリコン酸化膜(SiO2)である。
【0023】
ゲート電極40は、ゲート絶縁膜41を介してp型半導体領域13と対向する。ゲート電極40は、例えばポリ歯根を用いて形成することができる。また、ゲート絶縁膜41は、例えばシリコン酸化膜(SiO2)である。なお、本実施形態では、ゲート電極40は、プレーナ型であるが、トレンチ型であってもよい。
【0024】
金属シリサイド層50は、n+型半導体領域11上に設けられる。また、金属シリサイド層50は、p+型半導体領域12上にも設けられる。金属シリサイド層50は、ニッケルシリコン(NiSi)を含む。
【0025】
金属シリサイド層50を形成する際、まずシリコン膜がn
+型半導体領域11上およびp
+型半導体領域12上に成膜される。続いて、ニッケル等から成る金属膜が、例えばスパッタリングによってシリコン膜上に成膜される。その後、アニール処理等によってシリコンと金属とを反応させて、金属シリサイド層50が形成される。ここで、
図2を参照して、金属シリサイド層50の構造を説明する。
【0026】
図2に示すように、金属シリサイド層50には、半導体部10(n
+型半導体領域11、p
+型半導体領域12)側に凹んだ凹部51を有する。この凹部51は、Y方向に沿って連続的に延びる溝形状に形成される。なお、n
+型半導体領域11およびp
+型半導体領域12では、金属シリサイド層50に接する領域が凹部51の外周面の形状に沿って凹んでいる。
【0027】
図1に戻って、金属層60は、上記凹部51の内側面および底面にそれぞれ接する。すなわち、金属層60の底面の形状は、金属シリサイド50の凹部51の内周面に密着するように凸状となっている。また、金属層60の上面は、金属シリサイド50側に凹んでいる。そのため、金属層60と接するソース電極30の底面は、金属層60の凹みに沿って凸形状となっている。金属層60は、チタン等の金属を蒸着することによって形成することができる。
【0028】
ここで、
図3および
図4を参照して、本実施形態と比較する比較例について説明する。
【0029】
図3は、比較例に係る半導体装置垂直方向に切断した断面図である。
図4は、比較例に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。
図3および
図4では、上述した半導体装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0030】
本比較例に係る半導体装置100では、
図4に示すように、金属シリサイド層50が、平板状に形成される。そのため、
図4に示すように、金属シリサイド層50の上面のみが、金属層60との接触面となる。
【0031】
上記のように構成された半導体装置100では、例えばソース電極30からドレイン電極20に向かう逆方向の電流が流れると、特にp+型半導体領域12に大電流が集中する。そのため、p+型半導体領域12が発熱する。発生した熱は、p+型半導体領域12に接する金属シリサイド層50、およびその金属シリサイド層50に接する金属層60に伝わる。
【0032】
p+型半導体領域12に接する金属シリサイド層50と金属層60との間で熱膨張係数は異なる。そのため、熱膨張係数の差異に起因する熱応力が、金属シリサイド層50と金属層60との界面で発生する。この熱応力によって、金属シリサイド層50と金属層60と界面で密着性が低下し得る。この密着性が低下すると、金属層60が金属シリサイド層50から剥離するメタル剥がれや、金属層60にクラックが生じるメタルクラックが起こりやすくなる。
【0033】
そこで、本実施形態では、n+型半導体領域11またはp+型半導体領域12をエッチング等によって凹部を形成し、ニッケル等から成る金属膜をスパッタすることで凹部51を形成する。また、この凹部51の内側面および底面に密着するように金属層60を形成する。その結果、アンカー効果によって、金属シリサイド層50と金属層60との密着性が強化される。よって、金属層60のメタル剥がれやメタルクラックが起こりにくくなるので、信頼性が向上する。
【0034】
また、本実施形態では、ソース電極30にはアルミニウムが含まれる。アルミニウムは比較的柔軟な金属である。そのため、ソース電極30は、凹部51側まで入り込むことによって、金属シリサイド層50と金属層60との熱膨張係数の差異に起因する熱応力が緩和するクッションとして機能する。これにより、金属層60のメタル剥がれやメタルクラックがさらに起こりにくくなるので、信頼性がより一層向上する。
【0035】
なお、本実施形態に係る半導体装置1では、ゲート電極20とソース電極30との間に所定の電圧が印加されると、p型半導体領域13内にチャネルが形成される。これにより、ドレイン電極20からソース電極30に向かう順方向の電流が流れる。このとき、電流値が大きいと、n+型半導体領域11に接する金属シリサイド層50と、この金属シリサイド層50に接する金属層60との界面で熱応力が発生する。そのため、これら2つの層の密着性の低下が懸念される。
【0036】
しかし、本実施形態では、p+型半導体領域12に接する金属シリサイド層50だけでなくn+型半導体領域11に接する金属シリサイド層50にも凹部51が形成される。そのため、アンカー効果によって、n+型半導体領域11に接する金属シリサイド層50と、この金属シリサイド層50に接する金属層60との密着性が強化される。よって、p+型半導体領域12側だけでなくn+型半導体領域11側でもメタル剥がれやメタルクラックが起こりにくくなるので、さらに信頼性を向上させることが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る半導体装置を垂直方向に切断した断面図である。
図6は、第2実施形態に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。
図5および
図6では、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る半導体装置2は、金属シリサイド層50の形状が第1実施形態と異なる。上述した第1実施形態に係る金属シリサイド層50では、n+型半導体領域11に接する第1部分50aと、p+型半導体領域12に接する第2部分50bとの間で、半導体部10の表面から金属シリサイド層50の下端部までの深さは同じである。
【0039】
一方、本実施形態に係る金属シリサイド層50では、
図5および
図6に示すように、第1部分50aと第2部分50bとの間で半導体部10の表面から金属シリサイド層50の下端部までの深さが異なる。具体的には、第2部分50bの深さd2が、第1部分50aの深さd1よりも大きい。上記深さが大きくなるにつれて、金属シリサイド層50と金属層60との間におけるアンカー効果が高くなる。
【0040】
第1部分50aおよび第2部分50bを有する金属シリサイド層50を形成するために、本実施形態では、
図6に示すように、n
+型半導体領域11を深さd1に達するまでエッチングするとともに、p
+型半導体領域12を深さd2に達するまでエッチングする。
【0041】
本実施形態に係る半導体装置2でも、第1実施形態と同様に、ドレイン電極20とソース電極30との間に逆方向の電流が流れると、電流がp+型半導体領域12に集中する。そのため、熱応力が金属シリサイド層50と金属層60との界面で発生し得る。
【0042】
しかし、本実施形態に係る金属シリサイド層50では、p+型半導体領域12に接する第2部分50bの深さd2が、n+型半導体領域11に接する第1部分50aの深さd1よりも大きい。そのため、第2部分50bのアンカー効果が第1実施形態よりも高くなる。そのため、金属シリサイド層50と金属層60との密着性がより強化される。したがって、信頼性をさらに向上させることが可能となる。
【0043】
なお、本実施形態では、第2部分50bの深さd2が、第1部分50aの深さd1よりも大きいが、深さの大小関係は、電流の大きさに応じて適宜変更してもよい。例えば、大電流がドレイン電極20とソース電極30との間で順方向に流れる場合には、第1部分50と金属層60との密着性が低下しやすくなる。
【0044】
上記のような場合には、第1部分50aの深さd1を第2部分50bの深さd2よりも大きくすればよい。これにより、第1部分50と金属層60との密着性が強化される。したがって、信頼性をさらに向上させることが可能となる。
【0045】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る半導体装置の要部の構造を示す斜視図である。
図7では、上述した第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、本実施形態に係る半導体装置3の断面構造は、
図1に示す第1実施形態と同様であるため、図示および説明を省略する。
【0046】
本実施形態に係る半導体装置3は、金属シリサイド層50の構造が第1実施形態と異なる。具体的には、n+型半導体領域11に接する第1部分50aと、p+型半導体領域12に接する第2部分50bとが、X方向およびY方向に沿って格子状に配置される。換言すると、第1部分50aおよび第2部分50bが、X方向およびY方向に沿って断続的に交互に配置される。
【0047】
第1部分50aは、n+型半導体領域11側に凹んだ凹形状に形成されるとともに、第2部分50bはp+型半導体領域12側に凹んだ凹形状に形成される。また、第1部分50aおよび第2部分50bの各々の凹形状に沿って、金属層60が隙間なく埋め込まれる。そのため、アンカー効果によって、金属シリサイド層50と金属層60との密着性が強化される。これにより、ドレイン電極20とソース電極30との間に順方向および逆方向の電流が流れても、金属層60の剥がれやクラックといった不具合が起こりにくくなる。
【0048】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に信頼性を向上させることが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、
図7に示すように、Y方向に沿って配置された第1部分50aと第2部分50bとの間には、n
+型半導体領域11が介在する。そのため、n
+型半導体領域11の面積が、第1実施形態よりも拡大する。これにより、オン抵抗を低減することが可能となる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3:半導体装置
10:半導体部
11:n+型半導体領域(第1半導体領域)
12:p+型半導体領域(第2半導体領域)
13:p型半導体領域(第3半導体領域)
20:ドレイン電極(第1電極)
30:ソース電極(第2電極)
40:ゲート電極
50:金属シリサイド層
50a:第1部分
50b:第2部分
51:凹部
60:金属層