(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012485
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20250117BHJP
H10D 30/66 20250101ALI20250117BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H01L23/30 B
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L23/28 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115349
(22)【出願日】2023-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】平川 達也
(72)【発明者】
【氏名】三宅 英太郎
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA02
4M109CA02
4M109CA21
4M109DB09
4M109EA07
4M109EA10
4M109EA12
4M109EC07
4M109EE06
4M109GA02
(57)【要約】
【課題】インダクタンスが低減する半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、絶縁基板と、枠体と、第1の上部電極と、第1の下部電極と、第1の半導体層と、を含み、絶縁基板の上の第1の半導体チップと、第1の平板部分を含み、第1の上部電極又は第1の下部電極の一方に電気的に接続された第1の電極端子と、第1の平板部分と対向する第2の平板部分を含み、第1の上部電極又は第1の下部電極の他方に電気的に接続された第2の電極端子と、第1の電極端子及び第2の電極端子の少なくともいずれか一方に固定され、枠体に嵌め込まれた嵌合部分を含み、嵌合部分は第1の体積抵抗率と第1のヤング率を有する第1の樹脂を含む第1の樹脂部材と、第1の平板部分と第2の平板部分との間に設けられ、第1の体積抵抗率より大きい第2の体積抵抗率と第1のヤング率より大きい第2のヤング率とを有する第2の樹脂を含む第2の樹脂部材と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板を囲む枠体と、
第1の上部電極と、第1の下部電極と、前記第1の上部電極と前記第1の下部電極との間の第1の半導体層と、を含み、前記絶縁基板の上に設けられた第1の半導体チップと、
第1の平板部分を含み、前記第1の上部電極又は前記第1の下部電極の一方に電気的に接続された第1の電極端子と、
前記第1の平板部分と対向する第2の平板部分を含み、前記第1の上部電極又は前記第1の下部電極の他方に電気的に接続された第2の電極端子と、
前記第1の電極端子及び前記第2の電極端子の少なくともいずれか一方に固定され、前記枠体に嵌め込まれた嵌合部分を含み、前記嵌合部分は第1の体積抵抗率と第1のヤング率を有する第1の樹脂を含む第1の樹脂部材と、
前記第1の平板部分と前記第2の平板部分との間に設けられ、前記第1の体積抵抗率より大きい第2の体積抵抗率と前記第1のヤング率より大きい第2のヤング率とを有する第2の樹脂を含む第2の樹脂部材と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第1の半導体チップを覆い、前記第2の体積抵抗率よりも大きい第3の体積抵抗率と前記第1のヤング率よりも小さい第3のヤング率とを有する第3の樹脂を含む第3の樹脂部材を、更に備える請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3の樹脂はシリコーンゲルである、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記枠体は、前記第1の体積抵抗率より大きい第4の体積抵抗率と前記第1のヤング率より大きい第4のヤング率とを有する第4の樹脂を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第4の樹脂は前記第2の樹脂と同一である、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の樹脂はポリアミド樹脂であり、前記第2の樹脂はポリフェニレンサルファイド樹脂である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の樹脂はポリブチレンテレフタレート樹脂であり、前記第2の樹脂はポリフェニレンサルファイド樹脂である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の平板部分と前記絶縁基板との間の距離は、前記第2の平板部分と前記絶縁基板との間の距離よりも大きく、前記第1の樹脂部材は前記第1の電極端子に固定される、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記絶縁基板の上に設けられ、前記第1の電極端子と電気的に接続された第1の金属層と、
前記絶縁基板の上に設けられ、前記第2の電極端子と電気的に接続された第2の金属層と、を更に備え、
前記第1の半導体チップと前記絶縁基板との間に前記第2の金属層が設けられ、前記第1の上部電極は前記第1の金属層と電気的に接続され、前記第1の下部電極は前記第2の金属層と電気的に接続される、請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
第2の上部電極と、第2の下部電極と、前記第2の上部電極と前記第2の下部電極との間の第2の半導体層と、を含み、前記絶縁基板の上に設けられた第2の半導体チップと、
前記絶縁基板の上に設けられた第3の金属層と、を更に備え、
前記第2の半導体チップと前記絶縁基板との間に前記第3の金属層が設けられ、前記第2の上部電極は前記第1の金属層と電気的に接続され、前記第2の下部電極は前記第3の金属層と電気的に接続される、請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の平板部分と前記第2の平板部分との間の距離は2mm以下である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の半導体層は炭化珪素層を含む、請求項1記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体モジュールは、例えば、絶縁基板の上にパワー半導体チップが実装される。パワー半導体チップは、例えば、Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)である。
【0003】
パワー半導体モジュールの内部のインダクタンスが大きいと、例えば、スイッチング時のサージ電圧が大きくなる。スイッチング時のサージ電圧が大きくなると、例えば、半導体チップが破壊するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、インダクタンスが低減する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、絶縁基板と、前記絶縁基板を囲む枠体と、第1の上部電極と、第1の下部電極と、前記第1の上部電極と前記第1の下部電極との間の第1の半導体層と、を含み、前記絶縁基板の上に設けられた第1の半導体チップと、第1の平板部分を含み、前記第1の上部電極又は前記第1の下部電極の一方に電気的に接続された第1の電極端子と、前記第1の平板部分と対向する第2の平板部分を含み、前記第1の上部電極又は前記第1の下部電極の他方に電気的に接続された第2の電極端子と、前記第1の電極端子及び前記第2の電極端子の少なくともいずれか一方に固定され、前記枠体に嵌め込まれた嵌合部分を含み、前記嵌合部分は第1の体積抵抗率と第1のヤング率を有する第1の樹脂を含む第1の樹脂部材と、前記第1の平板部分と前記第2の平板部分との間に設けられ、前記第1の体積抵抗率より大きい第2の体積抵抗率と前記第1のヤング率より大きい第2のヤング率とを有する第2の樹脂を含む第2の樹脂部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】第1の実施形態の半導体装置の一部の部材を除去した模式上面図。
【
図5】第1の実施形態の半導体装置の一部の部材を除去した模式上面図。
【
図6】第1の実施形態の半導体装置の一部の部材を除去した模式上面図。
【
図10】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図11】第1の実施形態の半導体装置の製造途中の模式断面図。
【
図12】第1の実施形態の半導体装置の製造途中の模式断面図。
【
図13】第2の実施形態の半導体装置の模式上面図。
【
図14】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図15】第2の実施形態の半導体装置の一部の部材を除去した模式上面図。
【
図16】第2の実施形態の半導体装置の一部の部材を除去した模式上面図。
【
図17】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図18】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図19】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中、同一又は類似する部材については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0009】
本明細書中、部品等の位置関係を示すために、図面の上方向を「上」、図面の下方向を「下」と記述する場合がある。本明細書中、「上」、「下」の概念は、必ずしも重力の向きとの関係を示す用語ではない。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、絶縁基板と、絶縁基板を囲む枠体と、第1の上部電極と、第1の下部電極と、第1の上部電極と第1の下部電極との間の第1の半導体層と、を含み、絶縁基板の上に設けられた第1の半導体チップと、第1の平板部分を含み、第1の上部電極又は第1の下部電極の一方に電気的に接続された第1の電極端子と、第1の平板部分と対向する第2の平板部分を含み、第1の上部電極又は第1の下部電極の他方に電気的に接続された第2の電極端子と、第1の電極端子及び第2の電極端子の少なくともいずれか一方に固定され、枠体に嵌め込まれた嵌合部分を含み、嵌合部分は第1の体積抵抗率と第1のヤング率を有する第1の樹脂を含む第1の樹脂部材と、第1の平板部分と第2の平板部分との間に設けられ、第1の体積抵抗率より大きい第2の体積抵抗率と第1のヤング率より大きい第2のヤング率とを有する第2の樹脂を含む第2の樹脂部材と、を備える。
【0011】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図2、
図7、
図8、
図9、
図10は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0012】
図3、
図5、
図6は、第1の実施形態の半導体装置の一部の部材を除去した模式上面図である。
図4は、第1の実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【0013】
【0014】
第1の実施形態の半導体装置は、パワー半導体モジュール100である。
図4に示すように、第1の実施形態のパワー半導体モジュール100は、1モジュールでハーフブリッジ回路を構成できる、いわゆる「2in1」タイプのモジュールである。パワー半導体モジュール100は、3個のハーフブリッジユニットが並列に接続されている。例えば、第1の実施形態のパワー半導体モジュール100を3個用いることにより、3相インバータ回路を構成できる。
【0015】
図4に示すように、パワー半導体モジュール100は、負端子N(第1の電極端子)、正端子P(第2の電極端子)、交流出力端子AC、複数のハイサイドMOSFET11(第1の半導体チップ)、複数のローサイドMOSFET21(第2の半導体チップ)、を含む。
【0016】
複数のハイサイドMOSFET11は並列に接続される。複数のローサイドMOSFET21は並列に接続される。複数のハイサイドMOSFET11と複数のローサイドMOSFET21とは、直列に接続される。
【0017】
図1~
図10では、ハイサイドMOSFET11が3個、ローサイドMOSFET21が3個の場合を例示している。
【0018】
第1の実施形態のパワー半導体モジュール100は、
図1~
図10に示すように、負端子N(第1の電極端子)、正端子P(第2の電極端子)、交流出力端子AC、複数のハイサイドMOSFET11(第1の半導体チップ)、複数のローサイドMOSFET21(第2の半導体チップ)、樹脂ケース24(枠体)、蓋26、金属ベース28、絶縁基板30、第1の金属層31、第2の金属層32、第3の金属層33、第1のゲート金属層36、第2のゲート金属層37、裏面金属層40、第1のゲート端子41、第2のゲート端子42、ボンディングワイヤ44、電極支持部材51(第1の樹脂部材)、スペーサ部材52(第2の樹脂部材)、封止部材53(第3の樹脂部材)を備える。
【0019】
複数のハイサイドMOSFET11(第1の半導体チップ)のそれぞれは、第1のソース電極11a(第1の上部電極)、第1のドレイン電極11b(第1の下部電極)、第1のゲート電極11c、第1の炭化珪素層11x(第1の半導体層)を含む。
【0020】
複数のローサイドMOSFET21(第2の半導体チップ)のそれぞれは、第2のソース電極21a(第2の上部電極)、第2のドレイン電極21b(第2の下部電極)、第2のゲート電極21c、第2の炭化珪素層21x(第2の半導体層)を含む。
【0021】
図3は、パワー半導体モジュール100から負端子N(第1の電極端子)、正端子P(第2の電極端子)、交流出力端子AC、蓋26、電極支持部材51(第1の樹脂部材)、スペーサ部材52(第2の樹脂部材)、及び封止部材53を除いた状態の上面図である。
図5は、パワー半導体モジュール100から蓋26、電極支持部材51(第1の樹脂部材)、スペーサ部材52(第2の樹脂部材)、及び封止部材53を除いた状態の上面図である。
図6は、パワー半導体モジュール100から負端子N(第1の電極端子)、蓋26、電極支持部材51(第1の樹脂部材)、スペーサ部材52(第2の樹脂部材)、及び封止部材53を除いた状態の上面図である。
【0022】
金属ベース28は、例えば、銅である。例えば、パワー半導体モジュール100を製品に実装する際、金属ベース28の裏面には、図示しない放熱板が接続される。
【0023】
絶縁基板30は、金属ベース28の上に設けられる。絶縁基板30は、金属ベース28とハイサイドMOSFET11との間に設けられる。絶縁基板30は、金属ベース28とローサイドMOSFET21との間に設けられる。
【0024】
絶縁基板30は、金属ベース28とハイサイドMOSFET11、金属ベース28とローサイドMOSFET21を電気的に分離する機能を有する。
【0025】
絶縁基板30は、例えば、セラミックである。絶縁基板30は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は、窒化シリコンである。
【0026】
絶縁基板30の表面には、第1の金属層31、第2の金属層32、第3の金属層33、第1のゲート金属層36、及び、第2のゲート金属層37が設けられる。第1の金属層31、第2の金属層32、第3の金属層33、第1のゲート金属層36、及び、第2のゲート金属層37は、例えば、銅である。
【0027】
絶縁基板30の裏面には、裏面金属層40が設けられる。裏面金属層40は、例えば、銅である。裏面金属層40は、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて金属ベース28と接合される。
【0028】
樹脂ケース24は、金属ベース28及び絶縁基板30の周囲に設けられる。樹脂ケース24は、枠体の一例である。樹脂ケース24の一部は、金属ベース28の上に設けられる。
【0029】
樹脂ケース24は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を保護する機能を有する。
【0030】
樹脂ケース24の内側の側面には、
図10及び
図11に示すように、電極支持部材51の嵌合部分51aを嵌めこむための切り欠き部24aが設けられる。
【0031】
樹脂ケース24は、第4の樹脂を含む。樹脂ケース24は、例えば、第4の樹脂で形成される。
【0032】
第4の樹脂は、第4の体積抵抗率と第4のヤング率を有する。第4の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)である。樹脂ケース24は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)で形成される。
【0033】
樹脂ケース24の上部には蓋26が設けられる。蓋26は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を保護する機能を有する。
【0034】
複数のハイサイドMOSFET11は、第2の金属層32の上に設けられる。複数のハイサイドMOSFET11のそれぞれは、第1のソース電極11a、第1のドレイン電極11b、第1のゲート電極11c、第1の炭化珪素層11xを含む。第1のソース電極11aは第1の上部電極の一例である。第1のドレイン電極11bは、第1の下部電極の一例である。第1の炭化珪素層11xは、第1の半導体層の一例である。
【0035】
第1の炭化珪素層11xは、第1のソース電極11aと第1のドレイン電極11bとの間に設けられる。ハイサイドMOSFET11は、縦型MOSFETである。
【0036】
第1のソース電極11aは第3の金属層33に電気的に接続される。第1のソース電極11aと第3の金属層33は、例えば、ボンディングワイヤ44を用いて電気的に接続される。
【0037】
第1のソース電極11aは、第3の金属層33、ローサイドMOSFET21、第1の金属層31を経由して、負端子Nに電気的に接続される。
【0038】
第1のドレイン電極11bは第2の金属層32に電気的に接続される。第1のドレイン電極11bは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて第2の金属層32に電気的に接続される。
【0039】
第1のドレイン電極11bは、第2の金属層32を経由して正端子Pに電気的に接続される。
【0040】
複数のハイサイドMOSFET11は、絶縁基板30に平行な方向に配列される。
【0041】
複数のローサイドMOSFET21は、第3の金属層33の上に設けられる。複数のローサイドMOSFET21のそれぞれは、第2のソース電極21a、第2のドレイン電極21b、第2のゲート電極21c、第2の炭化珪素層21xを含む。第2のソース電極21aは第2の上部電極の一例である。第2のドレイン電極21bは、第2の下部電極の一例である。第2の炭化珪素層21xは、第2の半導体層の一例である。
【0042】
第2の炭化珪素層21xは、第2のソース電極21aと第2のドレイン電極21bとの間に設けられる。ローサイドMOSFET21は、縦型MOSFETである。
【0043】
第2のソース電極21aは第1の金属層31に電気的に接続される。第2のソース電極21aと第1の金属層31は、例えば、ボンディングワイヤ44を用いて電気的に接続される。第2のドレイン電極21bは第3の金属層33に電気的に接続される。第2のドレイン電極21bは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて第3の金属層33に電気的に接続される。
【0044】
複数のローサイドMOSFET21は、絶縁基板30に平行な方向に配列される。
【0045】
封止部材53は、樹脂ケース24の中に充填される。封止部材53は、樹脂ケース24に囲まれる。封止部材53は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を覆う。
【0046】
封止部材53は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を保護する機能を有する。また、封止部材53は、ハイサイドMOSFET11、ローサイドMOSFET21、及び絶縁基板30を絶縁する機能を有する。
【0047】
封止部材53は、第3の樹脂を含む。封止部材53は、例えば、第3の樹脂で形成される。
【0048】
第3の樹脂は、第3の体積抵抗率及び第3のヤング率を有する。第3の樹脂は、例えば、シリコーンゲルである。第3の樹脂は、例えば、ポリイミド樹脂等、その他の樹脂を適用することも可能である。
【0049】
負端子Nは、絶縁基板30の上側に設けられる。負端子Nは、第1の電極端子の一例である。
【0050】
負端子Nは、第1の平板部分Np及び第1の接続部Ncを有する。負端子Nは、配線接続穴を有する。
【0051】
負端子Nは、第1の接続部Ncを用いて第1の金属層31に電気的に接続される。第1の金属層31と第1の接続部Ncは、例えば、超音波金属接合を用いて接続される。また、第1の金属層31と第1の接続部Ncは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて接続される。
【0052】
負端子Nには外部から、例えば、負電圧が印加される。負端子Nは、金属で形成される。負端子Nは、例えば、銅である。
【0053】
正端子Pは、絶縁基板30の上側に設けられる。正端子Pは、第2の電極端子の一例である。
【0054】
正端子Pは、第2の平板部分Pp及び第2の接続部Pcを有する。正端子Pは、配線接続穴を有する。
【0055】
正端子Pは、第2の接続部Pcを用いて第2の金属層32に電気的に接続される。第2の金属層32と第2の接続部Pcは、例えば、超音波金属接合を用いて接続される。また、第2の金属層32と第2の接続部Pcは、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて接続される。
【0056】
第2の平板部分Ppは第1の平板部分Npと対向する。第2の平板部分Ppと第1の平板部分Npは平行である。
【0057】
第1の平板部分Npと絶縁基板30との間の距離は、例えば、第2の平板部分Ppと絶縁基板30との間の距離よりも大きい。第2の平板部分Ppは、例えば、第1の平板部分Npと絶縁基板30との間に設けられる。
【0058】
第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppとの間の距離(
図2中のd)は、例えば、0.2mm以上2mm以下である。
【0059】
正端子Pには外部から、例えば、正電圧が印加される。正端子Pは、金属で形成される。正端子Pは、例えば、銅である。
【0060】
交流出力端子ACは、絶縁基板30の上側に設けられる。交流出力端子ACは、正端子P及び負端子Nと、絶縁基板30の同じ側に設けられる。
【0061】
交流出力端子ACは、第3の接続部ACc及び配線接続穴を有する。
【0062】
交流出力端子ACは、第3の接続部ACcを用いて第3の金属層33に電気的に接続される。第3の金属層33と第3の接続部ACcは、例えば、超音波金属接合を用いて接続される。また、第3の金属層33と第3の接続部ACcは、は、例えば、図示しない半田層又は銀ナノ粒子層を用いて接続される。
【0063】
交流出力端子ACは、ハーフブリッジ回路の出力電流を出力する。交流出力端子ACは、金属で形成される。交流出力端子ACは、例えば、銅である。
【0064】
第1のゲート端子41は、ハイサイドMOSFET11の第1のゲート電極11cに電気的に接続される。第1のゲート端子41は、例えば、第1のゲート金属層36及びボンディングワイヤ44を用いて、第1のゲート電極11cに電気的に接続される。
【0065】
第2のゲート端子42は、ローサイドMOSFET21の第2のゲート電極21cに電気的に接続される。第2のゲート端子42は、例えば、第2のゲート金属層37及びボンディングワイヤ44を用いて、第2のゲート電極21cに電気的に接続される。
【0066】
第1の金属層31は、絶縁基板30の上に設けられる。第1の金属層31は、負端子Nに電気的に接続される。第1の金属層31は、ローサイドMOSFET21の第2のソース電極21aに電気的に接続される。
【0067】
第2の金属層32は、絶縁基板30の上に設けられる。第2の金属層32は、正端子Pに電気的に接続される。
【0068】
第2の金属層32は、ハイサイドMOSFET11と絶縁基板30との間に設けられる。第2の金属層32は、ハイサイドMOSFET11の第1のドレイン電極11bに電気的に接続される。
【0069】
第3の金属層33は、絶縁基板30の上に設けられる。第3の金属層33は、交流出力端子ACに電気的に接続される。
【0070】
第3の金属層33は、ローサイドMOSFET21と絶縁基板30との間に設けられる。第3の金属層33は、ローサイドMOSFET21の第2のドレイン電極21bに電気的に接続される。
【0071】
電極支持部材51は、例えば、負端子Nを支持する。電極支持部材51は、例えば、負端子Nに固定される。負端子Nと電極支持部材51は、例えば、インサート成形を用いて一体化されている。なお、電極支持部材51は、例えば、正端子Pに固定されていても構わない。
【0072】
電極支持部材51は、嵌合部分51aを含む。嵌合部分51aは突起形状である。
【0073】
図11及び
図12は、第1の実施形態の半導体装置の製造途中の模式断面図である。
図11及び
図12は、電極支持部材51を樹脂ケース24に固定する工程を示す断面図である。
【0074】
【0075】
図10、
図11、
図12に示すように、嵌合部分51aが樹脂ケース24の内側の側面に設けられた切り欠き部24aに嵌め込まれることで、電極支持部材51は、樹脂ケース24に固定される。
【0076】
嵌合部分51aは、第1の体積抵抗率と第1のヤング率を有する第1の樹脂を含む。嵌合部分51aは、例えば、第1の樹脂で形成される。電極支持部材51の全体が第1の樹脂で形成されても構わない。
【0077】
第1の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂(PA樹脂)又はポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)である。嵌合部分51aは、例えば、ポリアミド樹脂(PA)又はポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)で形成される。
【0078】
スペーサ部材52は、負端子Nの第1の平板部分Npと、正端子Pの第2の平板部分Ppとの間に設けられる。スペーサ部材52は、例えば、負端子Nに固定される。負端子N、スペーサ部材52、及び電極支持部材51は、例えば、インサート成形を用いて一体化されている。なお、スペーサ部材52は、例えば、正端子Pに固定されていても構わない。
【0079】
スペーサ部材52は、例えば、第1の平板部分Npに接する。スペーサ部材52は、例えば、第2の平板部分Ppに接する。スペーサ部材52は、例えば、第1の平板部分Np又は第2の平板部分Ppと離隔していても構わない。
【0080】
スペーサ部材52は、負端子Nと正端子Pを電気的に絶縁する機能を有する。スペーサ部材52は、第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppを電気的に絶縁する機能を有する。
【0081】
スペーサ部材52の厚さは、例えば、0.2mm以上2mm以下である。
【0082】
スペーサ部材52は、第2の体積抵抗率と第2のヤング率を有する第2の樹脂を含む。スペーサ部材52は、例えば、第2の樹脂で形成される。
【0083】
第2の体積抵抗率は、第1の体積抵抗率より大きい。また、第2のヤング率は、第1のヤング率より大きい。
【0084】
第2の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)である。スペーサ部材52は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)で形成される。
【0085】
第1の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂であり、第2の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂よりも体積抵抗率が大きくヤング率が大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。また、第1の樹脂は、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂であり、第2の樹脂は、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりも体積抵抗率が大きくヤング率が大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。
【0086】
封止部材53に含まれる第3の樹脂は、第3の体積抵抗率及び第3のヤング率を有する。第3の体積抵抗率は、例えば、第2の体積抵抗率よりも大きい。また、第3のヤング率は、例えば、第1のヤング率よりも小さい。
【0087】
第1の樹脂が、例えば、ポリアミド樹脂であり、第2の樹脂が、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である場合、第3の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂よりも体積抵抗率が大きく、ポリアミド樹脂よりもヤング率の小さいシリコーンゲルである。
【0088】
また、第1の樹脂が、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂であり、第2の樹脂が、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である場合、第3の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂よりも体積抵抗率が大きく、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりもヤング率の小さいシリコーンゲルである。
【0089】
樹脂ケース24に含まれる第4の樹脂は、第4の体積抵抗率及び第4のヤング率を有する。第4の体積抵抗率は、例えば、第1の体積抵抗率より大きい。また、第4のヤング率は、例えば、第1のヤング率よりも大きい。
【0090】
樹脂ケース24に含まれる第4の樹脂は、例えば、スペーサ部材52に含まれる第2の樹脂と同一である。
【0091】
第1の樹脂が、例えば、ポリアミド樹脂である場合、第4の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂よりも体積抵抗率が大きくヤング率の大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。また、第1の樹脂が、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、第4の樹脂は、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりも体積抵抗率が大きく、ヤング率の大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。
【0092】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0093】
パワー半導体モジュールの内部のインダクタンスが大きいと、例えば、スイッチング時のサージ電圧が大きくなる。スイッチング時のサージ電圧が大きくなると、例えば、半導体チップが破壊するという問題が生じる。したがって、パワー半導体モジュールの内部のインダクタンスを低減することが望まれる。
【0094】
配線のインダクタンスには、自己誘導による自己インダクタンスと相互誘導による相互インダクタンスがある。配線のインダクタンスは自己インダクタンスと相互インダクタンスとの和になる。
【0095】
例えば、第1の実施形態のパワー半導体モジュール100では、負端子Nと正端子Pのインダクタンスは、負端子Nと正端子Pのそれぞれの自己インダクタンスと、負端子Nと正端子Pの相互誘導に伴う相互インダクタンスの和である。
【0096】
第1の実施形態のパワー半導体モジュール100では、負端子Nに第1の平板部分Npが設けられ、正端子Pに第2の平板部分Ppが設けられる。そして、第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppは平行に対向する。
【0097】
第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppでは、流れる電流の向きが逆方向になる。このため、相互インダクタンスは自己インダクタンスを打ち消す方向に作用する。したがって、負端子Nと正端子Pのインダクタンスが低減する。よって、パワー半導体モジュール100の内部のインダクタンスが低減される。
【0098】
第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppとの間の距離が小さくなればなるほど、負端子Nと正端子Pのインダクタンスが低減でき、パワー半導体モジュール100の内部のインダクタンスが低減できる。しかし、第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppとの間の距離が小さくなると、負端子Nと正端子Pの間の電気的な絶縁性が確保できなくなり、負端子Nと正端子Pが短絡し、パワー半導体モジュール100が破壊するおそれがある。
【0099】
第1の実施形態のパワー半導体モジュール100では、第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppとの間にスペーサ部材52を設けることにより、負端子Nと正端子Pの間の電気的な絶縁性が確保される。スペーサ部材52を構成する樹脂は、大きい体積抵抗率を有することが望まれる。
【0100】
第1の実施形態のパワー半導体モジュール100では、樹脂ケース24に負端子Nが固定された電極支持部材51を嵌め込むことで、負端子Nを取り付ける。電極支持部材51を用いて取り付けることで、負端子Nを容易に取り付けることが可能となる。また、電極支持部材51を用いて取り付けることで、パワー半導体モジュール100の高い機械的強度、及び、パワー半導体モジュール100の高い電気的絶縁性が担保される。
【0101】
電極支持部材51に設けられた嵌合部分51aが樹脂ケース24の内側の側面に設けられた切り欠き部24aに嵌め込まれることで、電極支持部材51は、樹脂ケース24に固定される。この際、突起形状の嵌合部分51aの弾性変形量が大きくないと、嵌合部分51aが破損するおそれがある。したがって、嵌合部分51aを構成する樹脂は、小さいヤング率を有することが望まれる。
【0102】
第1の実施形態のパワー半導体モジュール100では、嵌合部分51aは、第1の体積抵抗率と第1のヤング率を有する第1の樹脂を含む。また、スペーサ部材52は、第2の体積抵抗率と第2のヤング率を有する第2の樹脂を含む。
【0103】
第2の体積抵抗率は、第1の体積抵抗率より大きい。また、第2のヤング率は、第1のヤング率より大きい。すなわち、スペーサ部材52は、嵌合部分51aよりも大きい体積抵抗率を備え、高い電気的絶縁性を備える。また、嵌合部分51aは、スペーサ部材52より小さいヤング率を備え、弾性変形量が大きい。
【0104】
スペーサ部材52が高い電気的絶縁性を備えることで、第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppとの間の距離を小さくすることが可能となる。したがって、パワー半導体モジュール100の内部のインダクタンスが低減できる。
【0105】
また、電極支持部材51の嵌合部分51aの弾性変形量が大きくなることで、負端子Nを樹脂ケース24に取り付けることが容易となる。また、嵌合部分51aの破損が抑制され、パワー半導体モジュール100の製造歩留まりが向上する。
【0106】
第1の実施形態のパワー半導体モジュール100によれば、パワー半導体モジュール100の内部のインダクタンスの低減と、パワー半導体モジュール100の高い製造歩留まりとを両立できる。
【0107】
インダクタンスの低減と高い製造歩留まりとを両立する観点から、嵌合部分51aに含まれる第1の樹脂はポリアミド樹脂であり、スペーサ部材52に含まれる第2の樹脂はポリフェニレンサルファイド樹脂であることが好ましい。
【0108】
インダクタンスの低減と製造歩留まりとを両立する観点から、嵌合部分51aに含まれる第1の樹脂はポリブチレンテレフタレート樹脂であり、スペーサ部材52に含まれる第2の樹脂はポリフェニレンサルファイド樹脂であることが好ましい。
【0109】
パワー半導体モジュール100の中の電気的絶縁性を容易に確保する観点から、封止部材53は、第2の体積抵抗率よりも大きい第3の体積抵抗率と、第1のヤング率よりも小さい第3のヤング率を有する第3の樹脂を含むことが好ましい。
【0110】
パワー半導体モジュール100の機械的強度と電気的絶縁性を容易に確保する観点から、樹脂ケース24は、第1の体積抵抗率より大きい第4の体積抵抗率と、第1のヤング率より大きい第4のヤング率とを有する第4の樹脂を含むことが好ましい。
【0111】
パワー半導体モジュール100の内部のインダクタンスを低減する観点から、第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppとの間の距離(
図2中のd)は、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが更に好ましい。
【0112】
以上、第1の実施形態によれば、インダクタンスが低減する半導体装置を提供することができる。
【0113】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第2の半導体チップを備えない点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0114】
【0115】
図15、
図16は、第2の実施形態の半導体装置の一部の部材を除去した模式上面図である。
【0116】
【0117】
第2の実施形態の半導体装置は、パワー半導体モジュール200である。第2の実施形態のパワー半導体モジュール200は、いわゆる「1in1」タイプのモジュールである。パワー半導体モジュール200は、3個のMOSFETが並列に接続されている。
【0118】
複数のMOSFET10(第1の半導体チップ)は並列に接続される。
【0119】
図13~
図19では、MOSFET10が3個の場合を例示している。
【0120】
第2の実施形態のパワー半導体モジュール200は、
図13~
図19に示すように、負端子N(第1の電極端子)、正端子P(第2の電極端子)、複数のMOSFET10(第1の半導体チップ)、樹脂ケース24(枠体)、蓋26、金属ベース28、絶縁基板30、第1の金属層31、第2の金属層32、ゲート金属層35、裏面金属層40、ゲート端子43、ボンディングワイヤ44、電極支持部材51(第1の樹脂部材)、スペーサ部材52(第2の樹脂部材)、封止部材53(第3の樹脂部材)を備える。
【0121】
複数のMOSFET10(第1の半導体チップ)のそれぞれは、ソース電極10a(第1の上部電極)、ドレイン電極10b(第1の下部電極)、ゲート電極10c、炭化珪素層10x(第1の半導体層)を含む。
【0122】
図15は、パワー半導体モジュール200から負端子N(第1の電極端子)、正端子P(第2の電極端子)、蓋26、電極支持部材51(第1の樹脂部材)、スペーサ部材52(第2の樹脂部材)、及び封止部材53を除いた状態の上面図である。
図16は、パワー半導体モジュール100から蓋26、電極支持部材51(第1の樹脂部材)、スペーサ部材52(第2の樹脂部材)、及び封止部材53を除いた状態の上面図である。
【0123】
絶縁基板30の表面には、第1の金属層31、第2の金属層32、ゲート金属層35が設けられる。
【0124】
樹脂ケース24の内側の側面には、
図19に示すように、電極支持部材51の嵌合部分51aを嵌めこむための切り欠き部24aが設けられる。
【0125】
樹脂ケース24は、第4の樹脂を含む。樹脂ケース24は、例えば、第4の樹脂で形成される。
【0126】
第4の樹脂は、第4の体積抵抗率と第4のヤング率を有する。第4の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である。樹脂ケース24は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂で形成される。
【0127】
複数のMOSFET10は、第2の金属層32の上に設けられる。複数のMOSFET10のそれぞれは、ソース電極10a、ドレイン電極10b、ゲート電極10c、炭化珪素層10xを含む。ソース電極10aは第1の上部電極の一例である。ドレイン電極10bは、第1の下部電極の一例である。炭化珪素層10xは、第1の半導体層の一例である。
【0128】
炭化珪素層10xは、ソース電極10aとドレイン電極10bとの間に設けられる。MOSFET10は、縦型MOSFETである。
【0129】
ソース電極10aは第1の金属層31に電気的に接続される。ソース電極10aと第1の金属層31は、例えば、ボンディングワイヤ44を用いて電気的に接続される。
【0130】
ソース電極10aは、第1の金属層31を経由して、負端子Nに接続される。
【0131】
ドレイン電極10bは第2の金属層32に電気的に接続される。ドレイン電極10bは、ドレイン電極10bは、第2の金属層32を経由して正端子Pに接続される。
【0132】
複数のMOSFET10は、絶縁基板30に平行な方向に配列される。
【0133】
封止部材53は、樹脂ケース24の中に充填される。封止部材53は、樹脂ケース24に囲まれる。封止部材53は、MOSFET10及び絶縁基板30を覆う。
【0134】
封止部材53は、第3の樹脂を含む。封止部材53は、例えば、第3の樹脂で形成される。
【0135】
第3の樹脂は、第3の体積抵抗率及び第3のヤング率を有する。第3の樹脂は、例えば、シリコーンゲルである。第3の樹脂は、例えば、ポリイミド樹脂等、その他の樹脂を適用することも可能である。
【0136】
負端子Nは、絶縁基板30の上側に設けられる。負端子Nは、第1の電極端子の一例である。
【0137】
負端子Nは、第1の平板部分Np及び第1の接続部Ncを有する。負端子Nは、配線接続穴を有する。
【0138】
負端子Nは、第1の接続部Ncを用いて第1の金属層31に電気的に接続される。
【0139】
負端子Nには外部から、例えば、負電圧が印加される。
【0140】
正端子Pは、絶縁基板30の上側に設けられる。正端子Pは、第2の電極端子の一例である。
【0141】
正端子Pは、第2の平板部分Pp及び第2の接続部Pcを有する。正端子Pは、配線接続穴を有する。
【0142】
正端子Pは、第2の接続部Pcを用いて第2の金属層32に電気的に接続される。
【0143】
第2の平板部分Ppは第1の平板部分Npと対向する。第2の平板部分Ppと第1の平板部分Npは平行である。
【0144】
第1の平板部分Npと絶縁基板30との間の距離は、例えば、第2の平板部分Ppと絶縁基板30との間の距離よりも大きい。第2の平板部分Ppは、例えば、第1の平板部分Npと絶縁基板30との間に設けられる。
【0145】
第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppとの間の距離(
図14中のd)は、例えば、0.2mm以上2mm以下である。
【0146】
正端子Pには外部から、例えば、正電圧が印加される。
【0147】
ゲート端子43は、MOSFET10のゲート電極10cに電気的に接続される。ゲート端子43は、例えば、ゲート金属層35及びボンディングワイヤ44を用いて、ゲート電極10cに電気的に接続される。
【0148】
第1の金属層31は、絶縁基板30の上に設けられる。第1の金属層31は、負端子Nに電気的に接続される。第1の金属層31は、MOSFET10のソース電極10aに電気的に接続される。
【0149】
第2の金属層32は、絶縁基板30の上に設けられる。第2の金属層32は、正端子Pに電気的に接続される。
【0150】
第2の金属層32は、MOSFET10と絶縁基板30との間に設けられる。第2の金属層32は、MOSFET10のドレイン電極10bに電気的に接続される。
【0151】
電極支持部材51は、例えば、負端子Nを支持する。電極支持部材51は、例えば、負端子Nに固定される。負端子Nと電極支持部材51は、例えば、インサート成形を用いて一体化されている。なお、電極支持部材51は、例えば、正端子Pに固定されていても構わない。
【0152】
電極支持部材51は、嵌合部分51aを含む。嵌合部分51aは突起形状である。
【0153】
図19に示すように、嵌合部分51aが樹脂ケース24の内側の側面に設けられた切り欠き部24aに嵌め込まれることで、電極支持部材51は、樹脂ケース24に固定される。
【0154】
嵌合部分51aは、第1の体積抵抗率と第1のヤング率を有する第1の樹脂を含む。嵌合部分51aは、例えば、第1の樹脂で形成される。電極支持部材51の全体が第1の樹脂で形成されても構わない。
【0155】
第1の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂である。嵌合部分51aは、ポリアミド樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂で形成される。
【0156】
スペーサ部材52は、負端子Nの第1の平板部分Npと、正端子Pの第2の平板部分Ppとの間に設けられる。スペーサ部材52は、例えば、負端子Nに固定される。負端子N、スペーサ部材52、及び電極支持部材51は、例えば、インサート成形を用いて一体化されている。なお、スペーサ部材52は、例えば、正端子Pに固定されていても構わない。
【0157】
スペーサ部材52は、例えば、第1の平板部分Npに接する。スペーサ部材52は、例えば、第2の平板部分Ppに接する。スペーサ部材52は、例えば、第1の平板部分Np又は第2の平板部分Ppと離隔していても構わない。
【0158】
スペーサ部材52は、負端子Nと正端子Pを電気的に絶縁する機能を有する。スペーサ部材52は、第1の平板部分Npと第2の平板部分Ppを電気的に絶縁する機能を有する。
【0159】
スペーサ部材52の厚さは、例えば、0.2mm以上2mm以下である。
【0160】
スペーサ部材52は、第2の体積抵抗率と第2のヤング率を有する第2の樹脂を含む。スペーサ部材52は、例えば、第2の樹脂で形成される。
【0161】
第2の体積抵抗率は、第1の体積抵抗率より大きい。また、第2のヤング率は、第1のヤング率より大きい。
【0162】
第2の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である。スペーサ部材52は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂で形成される。
【0163】
第1の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂であり、第2の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂よりも体積抵抗率が大きくヤング率が大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。また、第1の樹脂は、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂であり、第2の樹脂は、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりも体積抵抗率が大きくヤング率が大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。
【0164】
封止部材53に含まれる第3の樹脂は、第3の体積抵抗率及び第3のヤング率を有する。第3の体積抵抗率は、例えば、第2の体積抵抗率よりも大きい。また、第3のヤング率は、例えば、第1のヤング率よりも小さい。
【0165】
第1の樹脂が、例えば、ポリアミド樹脂であり、第2の樹脂が、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である場合、第3の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂よりも体積抵抗率が大きく、ポリアミド樹脂よりもヤング率の小さいシリコーンゲルである。
【0166】
また、第1の樹脂が、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂であり、第2の樹脂が、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂である場合、第3の樹脂は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂よりも体積抵抗率が大きく、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりもヤング率の小さいシリコーンゲルである。
【0167】
樹脂ケース24に含まれる第4の樹脂は、第4の体積抵抗率及び第4のヤング率を有する。第4の体積抵抗率は、例えば、第1の体積抵抗率より大きい。また、第4のヤング率は、例えば、第1のヤング率よりも大きい。
【0168】
樹脂ケース24に含まれる第4の樹脂は、例えば、スペーサ部材52に含まれる第2の樹脂と同一である。
【0169】
第1の樹脂が、例えば、ポリアミド樹脂である場合、第4の樹脂は、例えば、ポリアミド樹脂よりも体積抵抗率が大きくヤング率の大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。また、第1の樹脂が、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂である場合、第4の樹脂は、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂よりも体積抵抗率が大きく、ヤング率の大きいポリフェニレンサルファイド樹脂である。
【0170】
第2の実施形態のパワー半導体モジュール200によれば、第1の実施形態のパワー半導体モジュール100と同様、パワー半導体モジュール200の内部のインダクタンスの低減と、パワー半導体モジュール200の高い製造歩留まりとを両立できる。
【0171】
以上、第2の実施形態によれば、インダクタンスが低減する半導体装置を提供することができる。
【0172】
第1及び第2の実施形態では、並列に配置されるパワー半導体チップの数が3個の場合を例に説明したが、パワー半導体チップは、2個であっても、4個以上であっても構わない。
【0173】
第1及び第2の実施形態では、パワー半導体モジュールが「2in1」タイプ及び「1in1」のモジュールである場合を例に説明したが、パワー半導体モジュールは、例えば、「4in1」タイプ、「6in1」タイプ、チョッパー回路など、その他の回路構成であっても構わない。また、パワー半導体チップの数が1個であっても構わない。
【0174】
第1及び第2の実施形態では、半導体チップがMOSFETである場合を例に説明したが、半導体チップは、例えば、Insulated Gate Bipolar Transustor(IGBT)、ダイオードなど、その他の半導体チップであっても構わない。
【0175】
第1及び第2の実施形態では、半導体チップの半導体層が、炭化珪素層である場合を例に説明したが、半導体チップの半導体層は、例えば、窒化物半導体層、シリコン層など、その他の半導体層であっても構わない。
【0176】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0177】
10 MOSFET(第1の半導体チップ)
10a ソース電極(第1の上部電極)
10b ドレイン電極(第1の下部電極)
10x 炭化珪素層(第1の半導体層)
11 ハイサイドMOSFET(第1の半導体チップ)
11a 第1のソース電極(第1の上部電極)
11b 第1のドレイン電極(第1の下部電極)
11x 第1の炭化珪素層(第1の半導体層)
21 ローサイドMOSFET(第2の半導体チップ)
21a 第2のソース電極(第2の上部電極)
21b 第2のドレイン電極(第2の下部電極)
21x 第2の炭化珪素層(第2の半導体層)
24 樹脂ケース(枠体)
30 絶縁基板
31 第1の金属層
32 第2の金属層
33 第3の金属層
51 電極支持部材(第1の樹脂部材)
51a 嵌合部分
52 スペーサ部材(第2の樹脂部材)
53 封止部材(第3の樹脂部材)
100 パワー半導体モジュール(半導体装置)
200 パワー半導体モジュール(半導体装置)
N 負端子(第1の電極端子)
Np 第1の平板部分
P 正端子(第2の電極端子)
Pp 第2の平板部分