(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025012707
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】キャスター付き収納ボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 1/22 20060101AFI20250117BHJP
B60B 33/00 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
B65D1/22
B60B33/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115759
(22)【出願日】2023-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591239003
【氏名又は名称】株式会社SANKA
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】神子島 岩男
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA09
3E033BA13
3E033DD20
3E033DE20
3E033GA03
(57)【要約】
【課題】大径キャスターを採用しても良好な収納性を確保できる上、収納本体が高強度を発揮できるキャスター付き収納ボックスを提供すること。
【解決手段】収納本体1の底部四隅部にキャスターカバー部3が設けられ、このキャスターカバー部3内に上半分が収納され下半分が収納本体1の底部の下方へ露出する状態でキャスター2が配設され、収納本体1は、内部底部が平坦底面4に形成され、この平坦底面4の周囲部に、平坦底面4より下方へ凹む溝状凹部5が設けられ、溝状凹部5を介して平坦底面4と記壁部6とが連設する形状に収納本体1が一体成形され、溝状凹部5内にキャスターカバー部3が平坦底面4より上方へ突出しない状態で配設されているキャスター付き収納ボックス。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の箱状の収納本体の底部の四隅部にキャスターカバー部が設けられ、このキャスターカバー部内に上半分が収納され下半分が収納本体の底部の下方へ露出する状態でキャスターが配設されていると共に、このキャスターが収納本体の底部の四隅部に回転自在に設けられているキャスター付き収納ボックスであって、
前記収納本体は、壁部に囲まれた内部底部が平坦底面に形成され、
この平坦底面の辺部若しくは周囲部に、この平坦底面より下方へ凹設する凹部が設けられていてこの凹部を介して平坦底面と前記壁部とが連設する形状に前記収納本体が一体成形されていると共に、この凹部は、前記平坦底面の辺部若しくは周囲部に沿った長さを有する溝状凹部に構成されており、
この溝状凹部内の、前記収納本体底部の四隅部に相当する位置に、前記キャスターカバー部が前記平坦底面より上方へ突出しない状態で配設されていることを特徴とするキャスター付き収納ボックス。
【請求項2】
前記収納本体は、壁部の下端が少なくとも前記キャスターの上半分の下端と同等位置に配置されているか、若しくはキャスターの上半分の下端より低い位置に配置されていて、キャスターが接地面に接地した際にこの壁部の下端が接地面に近接配設するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のキャスター付き収納ボックス。
【請求項3】
前記溝状凹部は、前記平坦底面の全周囲に設けられていて、この溝状凹部と前記壁部の下端の全周とが連設する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャスター付き収納ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動に便利なキャスター付きの収納ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、衣類や小物等の収納に便利な合成樹脂製の収納ボックスが実施されている。
【0003】
また、この種の収納ボックスには、移動に便利なキャスターを底部の四隅に備えたものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャスター付きの収納ボックスは、キャスターの車輪(の径)が大きいものの方が動かし易いので好評である。しかしながら、キャスターを大径化するとその分車輪を収容するキャスターカバー部(車輪ハウス部)がボックスの底部と側壁から内側へと大きくせり出してしまうので、例えばCDやDVDのケースなどを多数収納したい場合には、内側へせり出したキャスターカバー部が邪魔になってこれらを整然と並べて収納することができず、収納効率の悪化を招いてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このようなキャスター付き収納ボックスの問題点に注目し、これを解消しようとするもので、大径キャスターを採用した場合であっても、キャスターカバー部が収納本体の内部底部と側壁から内側へとせり出すことなく良好な収納性を確保でき、さらに収納本体が補強されて高強度を発揮できるキャスター付き収納ボックスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
合成樹脂製の箱状の収納本体1の底部の四隅部にキャスターカバー部3が設けられ、このキャスターカバー部3内に上半分が収納され下半分が収納本体1の底部の下方へ露出する状態でキャスター2が配設されていると共に、このキャスター2が収納本体1の底部の四隅部に回転自在に設けられているキャスター付き収納ボックスであって、
前記収納本体1は、壁部6に囲まれた内部底部が平坦底面4に形成され、
この平坦底面4の辺部若しくは周囲部に、この平坦底面4より下方へ凹設する凹部5が設けられていてこの凹部5を介して平坦底面4と前記壁部6とが連設する形状に前記収納本体1が一体成形されていると共に、この凹部5は、前記平坦底面4の辺部若しくは周囲部に沿った長さを有する溝状凹部5に構成されており、
この溝状凹部5内の、前記収納本体1底部の四隅部に相当する位置に、前記キャスターカバー部3が前記平坦底面4より上方へ突出しない状態で配設されていることを特徴とするキャスター付き収納ボックスに係るものである。
【0009】
また、前記収納本体1は、壁部6の下端が少なくとも前記キャスター2の上半分の下端と同等位置に配置されているか、若しくはキャスター2の上半分の下端より低い位置に配置されていて、キャスター2が接地面に接地した際にこの壁部6の下端が接地面に近接配設するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のキャスター付き収納ボックスに係るものである。
【0010】
また、前記溝状凹部5は、前記平坦底面4の全周囲に設けられていて、この溝状凹部5と前記壁部6の下端の全周とが連設する形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャスター付き収納ボックスに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、動かし易い大径キャスターを採用しても、このキャスターの上半分が収納されるキャスターカバー部が平坦底面の辺部若しくは周囲部に設けられている凹部内にあって平坦底面より上方へ突出しないために、キャスターカバー部が収納本体内で邪魔にならず効率良く収納物を収納でき、しかも前記凹部が平坦底面とも壁部とも一体成形されていると共に、この凹部が平坦底面の辺部若しくは周囲部に沿った長さを有する溝状凹部に構成されているため、この平坦底面も壁部も凹部によって補強されて高強度を発揮し変形しにくい収納本体を実現できるなど、極めて実用性に優れたキャスター付き収納ボックスとなる。
【0012】
また、請求項2記載の発明においては、収納本体の壁部の下端がキャスターの上半分の下端と同等位置に配置されているか、若しくはキャスターの上半分の下端より低い位置に配置されていて、キャスターが接地面に接地した際にこの壁部の下端が接地面に近接配設するように構成されているため、壁部の下端と接地面との隙間が小さく、収納本体の下方にゴミなどが入りにくい一層実用性に優れたキャスター付き収納ボックスとなる。
【0013】
また、請求項3記載の発明においては、凹部により平坦底面と壁部が全周に渡って補強されて収納本体が高強度化する一層実用性に優れたキャスター付き収納ボックスとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】本実施例を示す蓋体を外した状態の斜視図である。
【
図6】本実施例を示す蓋体を外した状態の拡大斜断面図である。
【
図7】本実施例に、別の収納ボックスを組合せた使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0016】
本発明のキャスター付き収納ボックスは、合成樹脂製の箱状の収納本体1の底部の四隅部にキャスターカバー部3が設けられ、このキャスターカバー部3内に上半分が収納され下半分が垂下露出された状態でキャスター2が配設されていると共に、このキャスター2が収納本体1の底部の四隅部に回転自在に設けられている。即ち、本発明のキャスター付き収納ボックスは、前記キャスター2を介してユーザーが自由に移動可能である。
【0017】
また、本発明の収納本体1は、壁部6に囲まれた内部底部が平坦底面4に形成され、この平坦底面4の辺部若しくは周囲部と前記壁部6との間に、この平坦底面4より下方へ凹設する凹部5が設けられていてこの凹部5を介して平坦底面4と前記壁部6とが連設する形状に一体成形されていると共に、この凹部5は、前記平坦底面4の辺部若しくは周囲部に沿った長さを有する溝状凹部5に構成されており、この凹部5内に前記キャスターカバー部3が、前記平坦底面4より上方へ突出しないようにして配設されている。
【0018】
そのため、動かすのが容易な大径キャスター2が採用されていても、このキャスター2の上半分が収納されるキャスターカバー部3は凹部5内にあって平坦底面4より上方へ突出しないために、キャスターカバー部3が平坦底面4上に収納物を載置収納する際の邪魔にならない。
【0019】
従って、動かし易い大径キャスター2を採用することが容易に可能であり、それでいて、たとえCDやDVDのケースのような収納物を多数収納本体1内に収納したい場合でも、キャスターカバー部3の存在に左右されることなくそれらを平坦底面4上に整然と並べて収納本体1内に効率良く収納可能である。
【0020】
また、本発明の収納本体1は、前記平坦底面4の辺部若しくは周囲部に沿った長さを有する前記溝状凹部5によって平坦底面4も前記壁部6も補強されているため、高強度を発揮する。
【0021】
また、例えば、前記収納本体1は、壁部6の下端が少なくとも前記キャスター2の上半分の下端と同等位置に配置されているか、若しくはキャスター2の上半分の下端より低い位置に配置されていて、キャスター2が接地面に接地した際にこの壁部6の下端が接地面に近接配設するように構成されていても良く、このように構成されていると、壁部6の下端と接地面との隙間が小さいために、この小さい隙間から収納本体1の下方にゴミなどが入りにくくなる。
【実施例0022】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施例のキャスター付き収納ボックスは、合成樹脂製の箱状の収納本体1の底部の四隅部にキャスターカバー部3が設けられ、このキャスターカバー部3内に上半分が収納され下半分が垂下露出された状態でキャスター2が配設されていると共に、このキャスター2が収納本体1の底部の四隅部に回転自在に設けられている。
【0024】
具体的には、
図1に示すように、収納本体1は平面視略長方形状の平坦底面4の外周全周から壁部6が立ち上がる上部開口型の箱状体に一体成形されている。言い換えると、この収納本体1は、四方を壁部6に囲まれた内底部が平坦底面4に形成された形状に一体成形されている。以下、本実施例では、収納本体1の長辺部に沿う方向を左右方向、短辺部に沿う方向を前後方向と定めて説明する。
【0025】
また、この平坦底面4の全周囲部に、この平坦底面4より下方へ凹設する凹部5が設けられていてこの凹部5を介して平坦底面4と前記壁部6の下端の全周とが連設する形状に
前記収納本体1が一体成形されている(
図4,
図6参照)。言い換えると、この凹部5は、前記壁部6の周方向に沿った長さを有する平面視環状の溝状凹部5に構成されている。尚、図示していないが、溝状凹部5は、平坦底面4の前後一対の長辺部のみに設けられている構成が採用されていても良いし、左右一対の短辺部のみに設けられる構成が採用されていても良い。
【0026】
そして、この環状の溝状凹部5のうち、前後の長辺部に相当する部位の左右両端部内に(前記収納本体1底部の四隅部に相当する位置に)、前方及び後方から視て上方に向かって半円形に凹む形状であって且つ収納本体1前側に存するものは前方が半円形に開口し収納本体1後側に存するものは後方が半円形に開口する形状の前記キャスターカバー部3が前記平坦底面4より上方へ突出しない状態で設けられ(一体成形され)ている(
図4~
図6参照)。
【0027】
このように構成されたキャスターカバー部3内に上半分が収納され下半分が垂下露出された状態でキャスター2が配設されていると共に、このキャスター2はその回転軸11の軸方向が収納本体1の前後方向と一致するように配設されて収納本体1の底部の四隅部に回転自在に設けられている。
【0028】
さらに具体的には、四箇所の各キャスターカバー部3の下方には、収納本体1の前後方向に小間隔を置いた前後対設状態にして一対の薄板状の軸受片9が垂下状に一体成形されており、この一対の軸受片9間にキャスター2が回転自在に軸支されている。即ち、軸受片9を介して収納本体1の底部四隅部にキャスター2が回転自在に設けられており、この四箇所のキャスター2を介して収納本体1は左右方向(収納本体1の長辺部の長さ方向)に移動可能に構成されている。
【0029】
また、本実施例のキャスター2は、動かし易い比較的大径の車輪10を具備するものが採用されている。即ち、この大径のキャスター2(車輪10)の上半分を収納でき、且つ前記平坦底面4より上方へ突出しない形状の前記キャスターカバー部3が、前記溝状凹部5内に設けられている。言い換えると、このような大径のキャスター2(車輪10)の上半分を収納可能なキャスターカバー部3が溝状凹部5内に収まるように、平坦底面4が底上げされた形状に収納本体1が一体成形されている。
【0030】
また、キャスター2についてさらに具体的に説明すると、車輪10の中心部両側から前記回転軸11が突設されていて、この両側の回転軸11が前記一対の軸受片9に回転自在に軸支されていると共に、一方の回転軸11の先端部には円板状の化粧板12が設けられており(
図5参照)、この化粧板12が収納本体1の外側(前側及び後側)に存するようにして車輪10が軸受片9に軸支されていることにより、前記各キャスターカバー部3の前方開口部と後方開口部とにはこの化粧板12が配設されている。即ち、収納本体1の外観上ではこの化粧板12しか見えず(車輪10や軸受部分が見えず)、体裁良好となるように構成されている(
図1~
図3参照)。
【0031】
また、本実施例では、前記収納本体1は、前記壁部6の下端が前記キャスター2の上半分の下端と同等位置に配置される形状に一体成形されていて、キャスター2が接地面に接地した際にこの壁部6の下端が接地面に近接配設するように構成されている。
【0032】
即ち、本実施例は、壁部6の下端と接地面との隙間が小さくなるように構成されており、これによりこの小さい隙間から収納本体1の下方にゴミなどが入りにくくなると共に、収納本体1に腰高感がなく、安定感のある体裁の良い外観を呈するものとなるように構成されている。尚、図示していないが、壁部6の下端がキャスター2の上半分の下端より低い位置に配置される形状に形成されていても良い。
【0033】
また、本実施例の収納本体1は、上部開口部を開閉着脱自在に閉塞する合成樹脂製の平面視略長方形状の蓋体13を備えている。
【0034】
この蓋体13の開閉着脱構造について説明すると、収納本体1の左右の壁部6の上部にバックル14が回動自在に設けられており、収納本体1の上部開口部を閉塞している蓋体13の左右部にこの左右のバックル14を回動係止させると蓋体13が閉塞状態に保持され、この閉塞保持状態で左右のバックル14を蓋体13の左右部から回動係脱させると蓋体13を取外して収納本体1の上部開口部を開放できる構造が採用されている。
【0035】
また、図面の蓋体13は、上面の四隅部に前記キャスター2の下半分ほどを収容可能なキャスター収容凹部15が設けられ(一体成形され)ていて、収納本体1の上部開口部を閉塞しているこの蓋体13上に、別のキャスター付収納ボックスをスタッキングできるように構成されている。
【0036】
また、本実施例の収納本体1は、前記壁部6の上下方向の途中部に全周に渡って支持段部7が形成(一体成形)されており、この支持段部7に(例えば大きさの異なる)別の収納ボックス8の底部外周部を載置して多段収納のような使い方も可能となるように構成されている(
図7参照)。
【0037】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。