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<図1>
  • -立ち入り管理装置 図1
  • -立ち入り管理装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013728
(43)【公開日】2025-01-27
(54)【発明の名称】立ち入り管理装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/00 20060101AFI20250120BHJP
   G07C 9/10 20200101ALI20250120BHJP
【FI】
G21C17/00 500
G07C9/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112872
(22)【出願日】2023-07-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将人
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 修
(72)【発明者】
【氏名】木村 佳央
(72)【発明者】
【氏名】村上 一彦
【テーマコード(参考)】
2G075
3E138
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075BA03
2G075BA16
2G075CA48
2G075DA20
2G075EA08
2G075FA13
2G075FC18
2G075GA37
3E138AA01
3E138CC01
3E138JA05
3E138JB05
3E138JC14
3E138JD02
(57)【要約】
【課題】複数人の作業者が作業エリアに一人ずつ入る際、同時に撮影された作業者のうちの最も手前の作業者の背後に別の作業者が写ることで、最も手前の作業者が身に付けている装備品が誤認されることを抑制する。
【解決手段】複数人の作業者が一人ずつ通路13を通って作業エリアに入る際、カメラ11によって同時に撮影された作業者のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品が、制御装置12による装備品選別処理によって選別される。こうして選別された複数種類の装備品についてそれぞれ、指定の装備品であるか否か及び未装着であるか否かが、制御装置12による装備品判定処理を通じて判定される。従って、カメラ11によって撮影された画像情報内の最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っていたとしても、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品について、それぞれ指定の装備品であるか否かを的確に判定することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数人の作業者が一人ずつ作業エリアに入る際、同時に撮影された前記作業者の画像情報を入力する画像入力部と、前記画像入力部に入力された前記画像情報中の前記作業者が指定の装備品を身に付けているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記判定部は、前記作業者が前記装備品を身に付けていないと判定したときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを禁止し、前記作業者が前記装備品を身に付けていると判定されたときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを許可するものとされている立ち入り管理装置において、
前記作業者は、複数種類の指定された装備品を身に付けて前記作業エリアに入るものであり、
前記判定部は、装備品検出処理と、装備品選別処理と、装備品判定処理と、立ち入り可否判定処理と、を実行するものであり、
前記装備品検出処理は、前記画像入力部に入力された前記画像情報中における作業者の装備品の前記画像情報内での位置座標を検出する処理であり、
前記装備品選別処理は、前記装備品検出処理によって位置座標が検出された前記装備品のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の前記装備品を選別する処理であり、
前記装備品判定処理は、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であるか否かを判定するとともに、前記装備品選別処理によって選別された複数種類の前記装備品についてそれぞれ指定の装備品であるか否かを判定する処理であり、
前記立ち入り可否判定処理は、前記装備品判定処理によって、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であると判定されたとき、あるいは選別された複数種類の前記装備品のうちの少なくとも一つが指定の装備品ではないと判定されたときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを禁止し、前記装備品判定処理によって、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品の全てが装着されていると判定され、且つ選別された複数種類の前記装備品の全てが指定の装備品であると判定されたときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを許可する処理である立ち入り管理装置。
【請求項2】
前記装備品検出処理は、前記画像情報内において位置座標を検出した前記装備品が指定の装備品と一致する度合を表す類似度スコアを求めるものであり、
前記装備品選別処理は、前記装備品検出処理によって位置座標が検出された前記装備品のサイズを表す矩形サイズを求め、前記類似度スコア及び前記矩形サイズが予め登録した基準値以上である装備品を最も手前の作業者が身に着けている装備品の候補として選別し、選別された複数種類の前記装備品の候補のうち同じ種類の装備品で複数の候補があるものについては、前記装備品のサイズを表す矩形サイズが最も大きい候補を残して他の候補を除外するものである請求項1に記載の立ち入り管理装置。
【請求項3】
前記装備品選別処理は、前記装備品検出処理によって前記画像情報内での位置座標が検出された複数種類の装備品のうち、作業者が身に付けたときの装備品の位置の幾何学的関係から、前記作業者の人体構造としてあり得ない装備品の組み合わせを排除することにより、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別するものである請求項1に記載の立ち入り管理装置。
【請求項4】
前記装備品判定処理は、前記画像入力部に入力された前記画像情報内の最も手前と判別された作業者が、予め登録した身体ジェスチャをしたとき、判定を開始するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の立ち入り管理装置。
【請求項5】
前記装備品検出処理は、前記画像情報内において位置情報を検出した前記装備品が指定の装備品と一致する度合を表す類似度スコアを求めるものであり、
前記装備品判定処理は、定められた時間の間に前記画像入力部に入力された前記画像情報から構成されるn個のフレームのうち、選別された複数種類の前記装備品のうちの一つの装備品における前記類似度スコアが閾値以上となるフレーム数をx個として数え、xとnとを用いて算出される評価値が予め登録した判定値以上であることに基づき前記一つの装備品が指定の装備品であると判定する一方、前記評価値が前記判定値未満であることに基づき前記一つの装備品が指定の装備品ではないと判定し、これらの判定を前記選別された全種類の前記装備品のうちの他の装備品についても実施するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の立ち入り管理装置。
【請求項6】
前記判定部は、負例判定処理を実行するものであり、
前記負例判定処理は、前記画像入力部に入力された前記画像情報内の最も手前と判別された作業者の装備品が、予め登録された負例の装備品であるか否かを判定するものであり、
前記立ち入り可否判定処理は、前記負例判定処理によって前記画像情報内の最も手前の作業者の装備が前記負例の装備であると判定されたとき、直ちに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを禁止するものである請求項1~3のいずれか一項に記載の立ち入り管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立ち入り管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等の所定の作業エリアで作業する作業者は、指定された装備品を身に付ける必要がある。このため、上記指定された装備品を身に付けた作業者のみ作業エリアへの立ち入りを許可するよう、作業エリアに入るための通路に立ち入り管理装置が設置されている。
【0003】
こうした立ち入り管理装置として、特許文献1には作業エリアに入る前の作業者をカメラで撮影し、作業者が作業エリアに入るために指定された服装をしているか否かを服の色等で判断するものが記載されている。同装置により、作業者が作業エリアに入るために指定された服装をしていないと判断された場合には、その作業者の作業エリアへの立ち入りが禁止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4781042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業者が作業エリアに入る際、通路スペースの関係から、複数の作業者が一列になって一人ずつ通路を通って作業エリアに入ることがある。この場合、立ち入り管理装置のカメラで作業者を撮影するとき、その作業者の背後に別の作業者が写るおそれがある。そして、カメラで撮影した作業者の背後に別の作業者が写ると、例えば次のようなことが生じる。すなわち、カメラに対して最も手前の作業者の背後にいる作業者が身に付けている服装といった装備品を、最も手前の作業者が身に付けている装備品と誤認することがある。この場合、最も手前の作業者が指定の装備品を身に付けているか否かを正しく判定できずに、誤判定を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決する立ち入り管理装置の各態様について記載する。
(態様1)
複数人の作業者が一人ずつ作業エリアに入る際、同時に撮影された前記作業者の画像情報を入力する画像入力部と、前記画像入力部に入力された前記画像情報中の前記作業者が指定の装備品を身に付けているか否かを判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記作業者が前記装備品を身に付けていないと判定したときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを禁止し、前記作業者が前記装備品を身に付けていると判定されたときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを許可するものとされている立ち入り管理装置において、前記作業者は、複数種類の指定された装備品を身に付けて前記作業エリアに入るものであり、前記判定部は、装備品検出処理と、装備品選別処理と、装備品判定処理と、立ち入り可否判定処理と、を実行するものであり、前記装備品検出処理は、前記画像入力部に入力された前記画像情報中における作業者の装備品の前記画像情報内での位置座標を検出する処理であり、前記装備品選別処理は、前記装備品検出処理によって位置座標が検出された前記装備品のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の前記装備品を選別する処理であり、前記装備品判定処理は、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であるか否かを判定するとともに、前記装備品選別処理によって選別された複数種類の前記装備品についてそれぞれ指定の装備品であるか否かを判定する処理であり、前記立ち入り可否判定処理は、前記装備品判定処理によって、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であると判定されたとき、あるいは選別された複数種類の前記装備品のうちの少なくとも一つが指定の装備品ではないと判定されたときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを禁止し、前記装備品判定処理によって、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品の全てが装着されていると判定され、且つ選別された複数種類の前記装備品の全てが指定の装備品であると判定されたときに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを許可する処理である立ち入り管理装置。
【0007】
上記構成によれば、複数人の作業者が一人ずつ作業エリアに入る際、同時に撮影された作業者の画像情報が画層入力部に入力される。そして、判定部は、画像入力部に入力された画像情報中の作業者が複数種類の指定の装備品を身に付けているか否かを判定する。詳しくは、判定部は、装備品検出処理、装備品選別処理、装備品判定処理、及び立ち入り可否判定処理を通じて、上記判定を実行する。
【0008】
装備品検出処理は、画像入力部に入力された画像情報中における作業者の装備品の画像情報内での位置座標を検出する。装備品選別処理は、装備品検出処理によって位置座標が検出された装備品のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別する。装備品判定処理は、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であるか否かを判定するとともに、装備品選別処理によって選別された複数種類の装備品についてそれぞれ指定の装備品であるか否かを判定する。
【0009】
装備品判定処理により、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であると判定されるということ、あるいは選別された複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが指定の装備品ではないと判定されるということは、最も手前の作業者が指定の装備品を身に付けていないと判定されていることを意味する。この場合、立ち入り可否判定処理は、上記装備品判定処理による判定に基づき、作業者エリアへの上記作業者の立ち入りを禁止する。また、装備品判定処理により、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品の全てが装着されていると判定され、且つ、選別された複数種類の装備品の全てが指定の装備品であると判定されるということは、最も手前の作業者が指定の装備品を身に付けていると判定されていることを意味する。この場合、立ち入り可否判定処理は、上記装備品判定処理の判定に基づき、作業エリアへの上記作業者の立ち入りを許可する。
【0010】
上述したように、複数人の作業者が一人ずつ作業エリアに入る際、同時に撮影された作業者のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品が、装備品選別処理によって選別される。こうして選別された複数種類の装備品についてそれぞれ、指定の装備品であるか否か及び未装着であるか否かが、装備品判定処理を通じて判定される。従って、上記画像情報内の最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っていたとしても、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品について、それぞれ指定の装備品であるか否かを的確に判定することができる。言い換えれば、最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っていることに起因して、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品のそれぞれが指定の装備品であるか否かの判定について、誤判定が生じることを抑制できる。
【0011】
(態様2)
前記装備品検出処理は、前記画像情報内において位置座標を検出した前記装備品が指定の装備品と一致する度合を表す類似度スコアを求めるものであり、前記装備品選別処理は、前記装備品検出処理によって位置座標が検出された前記装備品のサイズを表す矩形サイズを求め、前記類似度スコア及び前記矩形サイズが予め登録した基準値以上である装備品を最も手前の作業者が身に着けている装備品の候補として選別し、選別された複数種類の前記装備品の候補のうち同じ種類の装備品で複数の候補があるものについては、前記装備品のサイズを表す矩形サイズが最も大きい候補を残して他の候補を除外するものである(態様1)に記載の立ち入り管理装置。
【0012】
上記構成によれば、類似度スコア及び矩形サイズが予め登録した基準値以上である装備品は、最も手前の作業者が身に着けている装備品の候補として、装備品選別処理によって選別される。上記候補は、最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っている場合、数多く選別される可能性がある。装備品選別処理は、選別された複数種類の装備品の候補のうち、同じ種類の装備品で複数の候補があるものについては、矩形サイズが最も大きい候補を選定して他の候補を除外する。例えば、一人の作業者が身に付ける装備品の種類毎の上限個数に至るまで、種類毎に装備品の候補を上述したように選定するとともに、その選定から外れた他の候補を除外する。従って、複数人の作業者が一人ずつ作業エリアに入る際、同時に撮影された作業者のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を、上記装備品選別処理によって的確に選別することができる。
【0013】
(態様3)
前記装備品選別処理は、前記装備品検出処理によって前記画像情報内での位置座標が検出された複数種類の装備品のうち、作業者が身に付けたときの装備品の位置の幾何学的関係から、前記作業者の人体構造としてあり得ない装備品の組み合わせを排除することにより、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別するものである(態様1)に記載の立ち入り管理装置。
【0014】
上記構成によれば、画像入力部に入力された画像情報内における作業者の装備品の位置座標が、装備品検出処理によって検出される。上記画像情報において、最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っている場合、複数種類の数多くの装備品が装備品検出手段によって検出される可能性がある。しかし、装備品選別処理は、位置座標が検出された複数種類の装備品のうち、作業者が身に付けたときの装備品の位置の幾何学的関係から、作業者の人体構造としてあり得ない装備品の組み合わせを排除する。これにより、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品が、装備品判別処理によって選別される。従って、複数人の作業者が一人ずつ作業エリアに入る際、同時に撮影された作業者のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を、上記装備品選別処理によって的確に選別することができる。
【0015】
(態様4)
前記装備品判定処理は、前記画像入力部に入力された前記画像情報内の最も手前と判別された作業者が、予め登録した身体ジェスチャをしたとき、判定を開始するものである(態様1)~(態様3)のいずれか一つに記載の立ち入り管理装置。
【0016】
上記構成によれば、画像入力部に入力された画像情報内の最も手前と判別された作業者が、予め登録した身体ジェスチャをすることにより、装備品判定処理による判定が開始される。これにより、作業者が自分の望むタイミングで、装備品判定処理による判定を安定して開始させることができる。
【0017】
(態様5)
前記装備品検出処理は、前記画像情報内において位置情報を検出した前記装備品が指定の装備品と一致する度合を表す類似度スコアを求めるものであり、前記装備品判定処理は、定められた時間の間に前記画像入力部に入力された前記画像情報から構成されるn個のフレームのうち、選別された複数種類の前記装備品のうちの一つの装備品における前記類似度スコアが閾値以上となるフレーム数をx個として数え、xとnとを用いて算出される評価値が予め登録した判定値以上であることに基づき前記一つの装備品が指定の装備品であると判定する一方、前記評価値が前記判定値未満であることに基づき前記一つの装備品が指定の装備品ではないと判定し、これらの判定を前記選別された全種類の前記装備品のうちの他の装備品についても実施するものである(態様1)~(態様4)のいずれか一つに記載の立ち入り管理装置。
【0018】
上記構成によれば、判定値と閾値との両方を調整することにより、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品として選別されたものが指定の装備品であるか否かの判定についての判定感度を細かく調整できる。このため、上記判定の正確さと速さとを両立する適切な判定感度に調整しやすくなる。
【0019】
(態様6)
前記判定部は、負例判定処理を実行するものであり、前記負例判定処理は、前記画像入力部に入力された前記画像情報内の最も手前と判別された作業者の装備品が、予め登録された負例の装備品であるか否かを判定するものであり、前記立ち入り可否判定処理は、前記負例判定処理によって前記画像情報内の最も手前の作業者の装備が前記負例の装備であると判定されたとき、直ちに前記作業エリアへの前記作業者の立ち入りを禁止するものである(態様1)~(態様5)のいずれか一つに記載の立ち入り管理装置。
【0020】
上記構成によれば、画像入力部に入力された画像情報内の最も手前の作業者が身に付けている装備品が負例の装備品であって、作業者の装備が負例の装備であると負例判定処理によって判定されたときには、直ちに作業エリアへの上記作業者の立ち入りが禁止される。作業者の装備が負例の装備となる状況としては、例えば、作業者が放射線防護服の下に着る専用下着のみを着用している状況、あるいは作業者の身体における装備品を身に付ける箇所が露出している状況等があげられる。こうした状況のときには、直ちに作業エリアへの上記作業者の立ち入りが禁止されるため、放射線防護服を身に付けていなかったり、装備品を身に付けずに身体が露出していたりする作業者が作業エリアに入ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】立ち入り管理装置の全体構成を示す略図である。
図2図1の立ち入り管理装置により作業エリアへの作業者の立ち入りを許可したり禁止したりする手順を示すフローチャートである。
図3】位置座標が検出された装備品のサイズを表す矩形サイズを表す説明図である。
図4図3の矩形サイズに基づき、最も手前の作業者が身に付けている装備品として選別された装備品の矩形サイズを表す説明図である。
図5図4の矩形サイズを装備品の種類と共に示す説明図である。
図6】作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別したときの図1のディスプレイの表示を示す正面図である。
図7】作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別したときの図1のディスプレイの表示を示す正面図である。
図8】作業者が装備品判定処理による判定を開始させる身体ジェスチャをしたときの図1のディスプレイの表示を示す正面図である。
図9】上記装備品判定処理による判定の結果を表示したときの図1のディスプレイの表示を示す正面図である。
図10】上記装備品判定処理による判定の結果を表示したときの図1のディスプレイの表示を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、立ち入り管理装置の一実施形態について、図1図7を参照して説明する。
図1に示すように、立ち入り管理装置は、カメラ11と、制御装置12と、ゲート16と、を備えている。カメラ11は、作業者が通路13を通って原子力発電所等の作業エリアに一人ずつ入る際、作業者を撮影するものである。カメラ11は、同時に撮影された作業者の画像情報を制御装置12に出力する。制御装置12は、上記画像情報を入力する画像入力部としての役割を担う。ゲート16は、上記通路13に設置されている。ゲート16は、開閉動作することにより、通路13を通っての作業エリアへの作業者の立ち入りを禁止したり許可したりする。ゲート16の開閉動作はモータ等の駆動部17によって行われる。
【0023】
制御装置12は、CPU、RAM、及びROM等を有するコンピュータであり、上記画像情報中の作業者が指定の装備品を身に付けているか否かを判定する判定部としての役割を担う。制御装置12は、カメラ11によって撮影された画像を取り込むとともに、その画像をディスプレイ15に左右反転表示(ミラー表示)することが可能となっている。ディスプレイ15は、カメラ11で撮影された作業者が自信の画像を目視できるよう配置されている。制御装置12は、駆動部17を動作させることにより、ゲート16の開閉動作を制御する。
【0024】
<作業エリアへの作業者の立ち入りの禁止と許可>
作業者は、複数種類の指定された装備品を身に付けて作業エリアに入る。そうした装備品としては、キャップ、左右のグローブ、線量計、放射線防護服、及び左右のソックスといったものがあげられる。立ち入り管理装置は、上記指定された装備品を全て身に付けている作業者のみ作業エリアへの立ち入りを許可し、上記指定された装備品のいずれか一つでも身に付けていない作業者については作業エリアへの立ち入りを禁止する。
【0025】
こうした立ち入り管理装置による作業者の作業エリアへの立ち入りの禁止と許可を行うに当たり、制御装置12は次のように作業者が身に付けている装備品の判定を行う。すなわち、通路13におけるカメラ11の前に作業者が立つと、カメラ11から制御装置12に入力される画像情報には上記作業者が写る。制御装置12は、入力した上記画像情報において、カメラ11に対して最も手前の作業者が複数種類の指定の装備品を全て身に付けているか否かを判定する。
【0026】
ただし、通路13のスペースの関係から、複数の作業者が一列になって一人ずつ通路13を通って作業エリアに入ることがある。この場合、カメラ11で作業者を撮影するとき、その作業者の背後に別の作業者が写るおそれがある。そして、カメラ11で撮影した作業者の背後に別の作業者が写ると、背後の作業者が身に付けている装備品をカメラ11に対して最も手前の作業者が身に付けている装備品と誤認することがある。この場合、最も手前の作業者が指定の装備品を身に付けているか否かを正しく判定できずに誤判定を招くおそれがある。
【0027】
こうしたことに対処するため、制御装置12は、装備品検出処理と、装備品選別処理と、装備品判定処理と、立ち入り可否判定処理と、を順に実行する。
装備品検出処理は、制御装置12に入力された上記画像情報中における作業者の装備品の上記画像情報内での位置座標を検出する処理である。装備品選別処理は、装備品検出処理によって位置座標が検出された装備品のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別する処理である。装備品判定処理は、装備品選別処理によって選別された複数種類の装備品について、それぞれ指定の装備品であるか否かを判定する処理である。装備品判定処理は、最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であるか否かを判定する処理でもある。
【0028】
立ち入り可否判定処理は、装備品判定処理によって次の(A)又は(B)の判定がなされたとき、作業エリアへの上記作業者の立ち入りを禁止する処理である。(A)最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であると、装備品判定処理によって判定されたとき。(B)装備品選別処理によって選別された複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが指定の装備品ではないと、装備品判定処理によって判定されたとき。
【0029】
装備品判定処理により、(A)の判定がなされているということ、あるいは(B)の判定がなされているということは、最も手前の作業者が指定の装備品を身に付けていないと判定されていることを意味する。この場合、立ち入り可否判定処理は、上記装備品判定処理による判定に基づき、作業者エリアへの上記作業者の立ち入りを禁止する。こうした作業エリアへの上記作業者の立ち入りの禁止は、制御装置12による駆動部17の駆動を通じて、ゲート16を閉じることによって行われる。
【0030】
立ち入り可否判定処理は、装備品判定処理によって次の(C)及び(D)の判定がなされたとき、作業エリアへの上記作業者の立ち入りを許可する処理である。(C)最も手前の作業者が身に付けるべき複数種類の装備品の全てが装着されていると、装備品判定処理によって判定されたとき。(D)装備品選別処理によって選別された複数種類の前記装備品の全てが指定の装備品であると、装備品判定処理によって判定されたとき。
【0031】
装備品判定処理により、(C)の判定がなされており且つ(D)の判定がなされているということは、最も手前の作業者が指定の装備品を身に付けていると判定されていることを意味する。この場合、立ち入り可否判定処理は、上記装備品判定処理の判定に基づき、作業エリアへの上記作業者の立ち入りを許可する。こうした作業エリアへの上記作業者の立ち入りの許可は、制御装置12による駆動部17の駆動を通じて、ゲート16を所定時間開くことによって行われる。
【0032】
上述したように、複数人の作業者が一人ずつ作業エリアに入る際、同時に撮影された作業者のうち、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品が、装備品選別処理によって選別される。こうして選別された複数種類の装備品についてそれぞれ、指定の装備品であるか否か及び未装着であるか否かが、装備品判定処理を通じて判定される。
【0033】
従って、上記画像情報内の最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っていたとしても、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品について、それぞれ指定の装備品であるか否かを的確に判定することができる。言い換えれば、最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っていることに起因して、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品のそれぞれが指定の装備品であるか否かの判定について、誤判定が生じることを抑制できる。
【0034】
図2は、作業エリアへの作業者の立ち入りを許可したり禁止したりする手順を示すフローチャートである。このフローチャートにおけるステップ101(S101)の処理は上記装備品検出処理に相当し、S102の処理は上記装備品選別処理に相当する。また、S103~S105の処理は上記装備品判定処理に相当し、S106~S108の処理は上記立ち入り可否判定処理に相当する。
【0035】
制御装置12は、図2のS100の処理として、上記装備品判定処理による前回の判定が開始されてから所定時間が経過しているか否かを判断する。ここでの所定時間としては、装備品判定処理による前回の判定が終了するのに必要な時間、例えば4秒という時間が採用される。S100で所定時間が経過していないと判断された場合には、その所定時間が経過するまでS100の処理をループして実行する。S100で所定時間が経過していると判断された場合には、S101に進む。
【0036】
<装備品検出処理(S101)>
制御装置12は、S101の処理として、カメラ11から入力した上記画像情報中における作業者及びその装備品の上記画像情報内での位置座標を検出する。制御装置12は、S101の処理として、上記画像情報内において位置座標を検出した上記作業者に関して、その作業者が真の作業者である度合を表す類似スコアを求める。詳しくは、制御装置12は、上記画像情報内において位置座標を検出した作業者の画像データから、多層ニューラルネットワークで構成される学習モデルを用いて、上記類似度スコアを求める。更に、制御装置12は、S101の処理として、上記画像情報内において位置座標を検出した上記装備品が指定の装備品と一致する度合を表す類似度スコアを求める。詳しくは、制御装置12は、上記画像情報内において位置座標を検出した装備品の画像データから、多層ニューラルネットワークで構成される学習モデルを用いて、上記類似度スコアを求める。
【0037】
<装備品選別処理(S102)>
制御装置12は、S102の処理として、S101で位置座標が検出された作業者のサイズを表す矩形サイズを求めるとともに、その作業者の装備品の各々について装備品のサイズを表す矩形サイズを求める。このように矩形サイズが求められた作業者及びその装備品はそれぞれ、上述したように類似度スコアが求められている。図3における複数の四角は、制御装置12が求めた上記矩形サイズのうち、上記類似度スコアが予め登録された基準値以上となる作業者及びその装備品の矩形サイズを表している。図3の矩形における「HxW」との表記のうち、「H」は矩形の高さ(ピクセル値)を表し、「W」は矩形サイズの幅(ピクセル値)を表している。
【0038】
制御装置12は、類似度スコアが予め登録された基準値以上である作業者の候補のうち、矩形サイズが最も大きいものをカメラ11に対し最も手前の作業者として選定する。更に、制御装置12は、最も手前の作業者として設定された作業者の矩形サイズの中に位置座標がある装備品を、カメラ11に対して最も手前の作業者が身に着けている複数種類の装備品の候補として選別する。このように選別される装備品の候補としては、キャップ、左右のグローブ、線量計、放射線防護服、及び左右のソックスがあげられる。
【0039】
制御装置12は、S102の処理として、選別された複数種類の装備品の上記候補のうち同じ種類の装備品で複数の候補があるものについては、矩形サイズが最も大きい候補を選定して他の候補を除外する。詳しくは、制御装置12は、一人の作業者が身に付ける装備品の種類毎の上限個数に至るまで、種類毎に装備品の候補を上述したように選定するとともに、その選定から外れた他の候補を除外する。なお、上記装備品としてのキャップ、グローブ、線量計、放射線防護服、及びソックスにおける上記上限個数はそれぞれ、1個、2個、1個、1個、及び2個である。
【0040】
図4における複数の四角は、制御装置12が上述した候補の除外を行った後における複数種類の装備品を示している。これらの装備品は、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品、すなわち図5に示すようにキャップ、左右のグローブ、線量計、放射線防護服、及び左右のソックスとして扱われる。図4の矩形における「HxW」との表記のうち、「H」は矩形の高さ(ピクセル値)を表し、「W」は矩形の幅(ピクセル値)を表している。
【0041】
図6は、上述した手法を用いて、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別したときのディスプレイ15の表示を示している。図6から分かるように、ディスプレイ15には、カメラ11によって撮影された最も手前の作業者の画像が表示される。更に、ディスプレイ15には、上記作業者が身に付けている複数種類の装備品の画像、すなわちキャップ、左右のグローブ、線量計、放射線防護服、及び左右のソックスの画像も表示される。制御装置12は、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品として選別したものの矩形サイズを、それら装備品を囲む四角の枠としてディスプレイ15に表示する。更に、制御装置12は、それら枠の近傍に上記複数種類の装備品の名称を表示するとともに、それら装備品における上記類似度スコアを%表示する。こうした類似スコアの%表示は、0~100%の範囲内の値によって行われる。
【0042】
図6の画像には、最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っているものの、別の作業者が身に付けている装備品が最も手前の作業者が身に付けているものとして選別されることは、上述した手法を用いることによって回避される。
【0043】
なお、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別する手法としては、上述した手法とは別の手法を採用することも可能である。例えば、制御装置12は、上記画像情報内での位置座標が検出された複数種類の装備品のうち、作業者が身に付けたときの位置の幾何学的関係から、作業者の人体構造としてあり得ない組み合わせを排除するものとする。これにより、上記画像情報内での位置座標が検出された複数種類の装備品のうちから、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別するようにしてもよい。
【0044】
図7は、こうした手法を用いて、制御装置12が最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別したときの結果を示している。図7には、最も手前の作業者の背後に別の作業者がいることに伴い、別の作業者が身に付けている装備品のサイズ、具体的には左右のグローブのサイズが、それらグローブを囲む矩形サイズ(画面上でのピクセル値)として表されている。その矩形サイズの近傍には装備品の名称と類似度スコアとが表示されている。しかし、別の作業者が身に付けている装備品が最も手前の作業者が身に付けているものとして選別されることは、上述した手法を用いることによって回避される。
【0045】
<装備品判定処理(S103~S105)>
制御装置12は、上記画像情報内の最も手前と判別された作業者が予め登録した身体ジェスチャ、例えば手を上記画像情報内の上部領域に入るまで上げるという通常は行わないジェスチャをしたとき、装備品判定処理による判定を開始する。詳しくは、制御装置12は、S103の処理として、上記画像情報内における最も手前の作業者が上記身体ジェスチャ、すなわち判定開始動作を行ったか否かを判断する。図8は、判定開始動作としての上記身体ジェスチャを作業者が行ったときのディスプレイ15の表示を示している。図8の画像の上部領域は二点鎖線で示されている。そして、図2のS103で判定開始動作が行われていないと判断された場合には、S108に進む。S103で判定開始動作が行われたと判断された場合には、S104に進む。
【0046】
制御装置12は、S104の処理として、装備品判定処理による判定を実施する。詳しくは、制御装置12には、定められた時間の間にカメラ11から制御装置12に入力された画像情報から構成されるn個のフレームのうち、選別された複数種類の装備品のうちの一つの装備品の類似度スコアが閾値以上となるフレーム数をx個として数える。制御装置12は、xとnとを用いて算出される評価値、例えばx/nが判定値以上であることに基づき、上記一つの装備品が指定の装備品であると判定する。また、制御装置12は、x/nが判定値未満であることに基づき、上記一つの装備品が指定の装備品ではないと判定する。制御装置12は、これらの判定を選別された複数種類の装備品のうちの他の装備品についても実施する。更に、制御装置12は、S104の処理として、選別された複数種類の装備品のうち作業者が身に付けるべき装備品として不足している種類の装備品があるときには、作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であると判定する。
【0047】
S104の処理において、作業者が身に付けるべき複数種類の装備品のうちの少なくとも一つが未装着であると判定されることは、上記(A)の判定がなされていることを意味している。また、S104の処理において、選別された複数種類の装備品のうちの一つの装備品が指定の装備品ではないと判定されることは、上記(B)の判定がなされていることを意味している。S104の処理において、作業者が身に付けるべき複数種類の装備品の全てが装着されていると判定されることは、上記(C)の判定がなされていることを意味している。また、S104の処理において、選別された複数種類の装備品のうちの全てが指定の装備品であると判定されることは、上記(D)の判定がなされていることを意味している。
【0048】
制御装置12は、続くS105の処理として、上述した装備品判定処理による判定の結果をディスプレイ15に表示する。図9及び図10は、このときのディスプレイ15の表示の例を示している。S104の処理において、上記(C)の判定がなされており且つ上記(D)の判定がなされている場合、すなわちOK判定がなされた場合には、そのことが図9に示すようにディスプレイ15に表示される。また、S104の処理において、上記(A)の判定又は上記(B)の判定がなされている場合、すなわちNG判定がなされた場合には、そのことが図10に示すようにディスプレイ15に表示される。図9及び図10において、「右手」及び「左手」との表記はグローブに対応しており、「右足」及び「左足」との表記はソックスに対応している。
【0049】
制御装置12は、上述したS104の処理として、負例判定処理による判定も実施する。負例判定処理は、制御装置12に入力された上記画像情報内の最も手前と判別された作業者の装備品が、予め登録された負例の装備品であるか否かを判定する処理である。負例判定処理によって作業者の装備が負例の装備であると判定される状況としては、例えば、作業者が放射線防護服の下に着る専用下着のみを着用している状況、あるいは作業者の身体における装備品を身に付ける箇所が露出している状況等があげられる。
【0050】
制御装置12は、負例判定処理として、上記画像情報内の最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品の画像データから、負例判定用の学習モデルを用いて、作業者の装備が負例の装備であるか否かを判定する。負例判定用の上記学習モデルとしては、多層ニューラルネットワークで構成される学習モデルとすることが考えられる。制御装置12は、上記作業者の装備が負例の装備であると判定したときには、直ちにNG判定を行う。更に、制御装置12は、続くS105の処理で、NG判定であることをディスプレイ15に表示する。
【0051】
<立ち入り可否判定処理(S106~S108)>
制御装置12は、S106の処理として、上記OK判定がなされたか否かを判断する。S106でOK判定がなされたと判定された場合にはS107に進む。制御装置12は、S107の処理として、駆動部17の駆動を通じてゲート16を所定時間開き、その所定時間が経過した後に駆動部17の駆動を通じてゲート16を閉じる。このようにゲート16を開くことにより、作業エリアへの作業者の立ち入りが許可される。なお、上記所定時間としては、例えば作業者が開いたゲート16を通過することが可能な時間に設定することが考えられる。
【0052】
S106でOK判定がなされていない、言い換えればNG判定がなされていると判断された場合にはS108に進む。制御装置12は、S108の処理として、駆動部17の駆動を通じてゲート16を閉じた状態とする。その結果、作業エリアへの作業者の立ち入りが禁止される。
【0053】
次に、本実施形態の立ち入り管理装置の作用効果について説明する。
(1)カメラ11によって撮影された画像情報内の最も手前の作業者の背後に別の作業者が写っていることに起因して、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品のそれぞれが指定の装備品であるか否かの判定について、誤判定が生じることを抑制できる。
【0054】
(2)制御装置12が実行する装備品選別処理では、図6に対応する手法や図7に対応する手法を用いて、カメラ11に対し最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を選別する。これにより、作業者が作業エリアに入る際、カメラ11によって撮影された装備品のうちから、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品を的確に選別することができる。
【0055】
(3)制御装置12に入力された画像情報内の最も手前にいる作業者が、予め登録された身体ジェスチャとして、手を上げるという通常は行わないジェスチャをしたとき、装備品判定処理による判定を開始するようにした。これにより、作業者が自分の望むタイミングで、装備品判定処理による判定を安定して開始させることができるようになる。
【0056】
(4)制御装置12が実行する装備品検出処理では、制御装置12に入力された画像情報内において、位置情報を検出した装備品が指定の装備品と一致する度合を表す類似度スコアが求められる。制御装置12が実行する備品判定処理では、定められた時間の間に上記画像情報から構成されるn個のフレームのうち、選別された複数種類の前記装備品のうちの一つの装備品における上記類似度スコアが閾値以上となるフレーム数が、x個として数えられる。制御装置12は、xとnとを用いて算出される評価値、例えばx/nが判定値以上であることに基づき、上記一つの装備品が指定の装備品であると判定する。また、制御装置12は、x/nが判定値未満であることに基づき、上記一つの装備品が指定の装備品ではないと判定する。制御装置12は、これらの判定を前記選別された全種類の前記装備品のうちの他の装備品についても実施する。
【0057】
上記装備品判定処理による判定では、判定値と閾値との両方を調整することにより、最も手前の作業者が身に付けている複数種類の装備品として選別されたものが指定の装備品であるか否かの判定についての判定感度を細かく調整できる。このため、上記判定の正確さと速さとを両立する適切な判定感度に調整しやすくなる。
【0058】
(5)制御装置12に入力された上記画像情報内の最も手前の作業者が身に付けている装備品が負例の装備品であって、作業者の装備が負例の装備であると負例判定処理によって判定されたときには、直ちにNG判定が行われる。制御装置12は、そのNG判定に基づきゲート16を閉じることにより、直ちに作業エリアへの上記作業者の立ち入りを禁止する。作業者の装備が負例の装備となる状況としては、例えば、作業者が放射線防護服の下に着る専用下着のみを着用している状況、あるいは作業者の身体における装備品を身に付ける箇所が露出している状況等があげられる。こうした状況のときには、上述したように直ちに作業エリアへの上記作業者の立ち入りが禁止されるため、放射線防護服を身に付けていなかったり、装備品を身に付けずに身体が露出していたりする作業者が作業エリアに入ることを防止できる。
【0059】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・装備品判定処理において、最も手前の作業者が身に付けている服が指定の装備品(放射線防護服)であるか否かを必ずしも判定する必要はない。例えば、放射線防護服を身に付ける必要がない作業エリアでは、作業者が独自の作業服を身に付けていることがある。こうした場合に上記判定を省略することにより、作業者の服に関してNG判定が不必要になされることを抑制できる。
【0060】
・作業者の服についての負例判定処理については、必ずしも行う必要はない。
・作業者が装備品判定処理による判定を開始させる際、その開始を指示するための予め登録された身体ジェスチャとして、手を上にあげるというジェスチャを例示したが、それ以外の身体ジェスチャを採用してもよい。
【0061】
・装備品判定処理で用いられる評価値としてx/nを例示したが、それ以外の評価値を用いてもよい。例えば、定数bを加えた(x/n)+bという評価値や、log(x/n)という評価値を用いることもできる。
【0062】
・ディスプレイ15については必ずしも設ける必要はない。
【符号の説明】
【0063】
11…カメラ
12…制御装置
13…通路
15…ディスプレイ
16…ゲート
17…駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10