IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特開2025-143342ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法
<>
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図1a
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図1b
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図2
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図3
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図4
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図5
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図6
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図7a
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図7b
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図8
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図9
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図10
  • 特開-ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025143342
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】ブレーキシステム及びブレーキシステムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/122 20060101AFI20250924BHJP
   B60T 8/94 20060101ALI20250924BHJP
   B60T 8/40 20060101ALI20250924BHJP
   B60T 17/18 20060101ALI20250924BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
B60T13/122 A
B60T8/94
B60T8/40 C
B60T17/18
B60T13/138 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025109730
(22)【出願日】2025-06-27
(62)【分割の表示】P 2022545056の分割
【原出願日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】102020101988.2
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020102590.4
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】509159159
【氏名又は名称】アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】IPGATE AG
【住所又は居所原語表記】Churerstrasse 160b, 8808 Pfaeffikon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ライバー,ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ライバー,トーマス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、ブレーキシステムとブレーキシステムを制御する方法とに関する。
【解決手段】ブレーキシステムであって、電動ドライブを有する第1の圧力供給ユニット、活性化要素を有する第2の圧力供給ユニット、及び前記第1の圧力供給ユニットを制御するための第1の制御装置を含む第1のモジュールであって、前記第1のモジュールは、第1の接続点経由で少なくとも1つの第1のブレーキ回路及び第2の接続点経由で少なくとも1つの第2のブレーキ回路に加圧媒体を供給するように設定され、前記ブレーキ回路が車輪ブレーキに割り当てられる、第1のモジュールを備え、前記ブレーキシステムは、前記第1の圧力供給ユニットにより真空を生成することによって前記車輪ブレーキの少なくとも1つのブレーキパッドの能動的退避を実施するように構成される、ブレーキシステム。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキシステム(2)であって、
● 電動ドライブ(8)を有する第1の圧力供給ユニット(6)、任意選択的な第2の圧力供給ユニット(14)、及び前記第1の圧力供給ユニット(6)を制御するための第1の制御装置(9)を含む第1のモジュールであって、前記第1のモジュールは、第1の接続点(A1)経由で少なくとも1つの第1のブレーキ回路(BK1)及び第2の接続点経由(A2)で少なくとも1つの第2のブレーキ回路(BK2)に加圧媒体を供給するように構成され、前記ブレーキ回路(BK1、BK2)に車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)が割り当てられる、第1のモジュール、
● 第3の圧力供給ユニット(90)、特にモータ/ポンプユニット(91)、前記車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)内の圧力を調節するためのブレーキ圧力調整弁及び遮断弁(USV1、USV2、HSV1、HSV2)、特に出口弁(AV1、AV2、AV3、AV4)及び入力弁(EV1、EV2、EV3、EV4)、並びに前記ブレーキ圧力調整弁(AV1-AV4、EV1-EV4)を制御するための第2の制御装置(95)を含む第2のモジュール、
● 第1のエラー事象、特に、前記第3の圧力供給ユニット(90)の少なくとも部分的故障、を検出するための検出ユニットであって、ABS機能及び/又はヨー・トルク調停を提供するために、前記第1のエラー事象における前記ブレーキシステム(2)は、前記第2のモジュールの前記ブレーキ圧力調整弁(AV1-AV4、EV1-EV4)、及び/又は前記第2のモジュールの前記遮断弁(USV1、USV2、HSV1、HSV2)の少なくとも1つ、並びに前記第1の圧力供給ユニット(6)を作動させる間に前記車輪ブレーキ内の圧力の(車輪個々の及び/又は選択的)調整を実施するように構成される、検出ユニット
を有するブレーキシステム(2)。
【請求項2】
前記第1のエラー事象における前記第1の圧力供給ユニット(6)は、前記第1の圧力供給ユニット(6)が、前記ABS制動操作を提供するために圧力を消散する際に、前記車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)内の圧力より低い圧力を有する圧力降下を生じるやり方で、制御される、請求項1に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項3】
前記第1のモジュールの前記遮断弁(USV1、USV2、HSV1、HSV2)の少なくともいくつかは、前記ブレーキ圧力調整弁(AV1-AV4、EV1-EV4)、特に前記出口弁(AV1、AV2、AV3、AV4)、と前記接続点(A1、A2)との間の油圧接続を確立するように配置及び構成され、前記車輪ブレーキのうちの1つの車輪ブレーキ内の圧力を消散するために、前記第1のエラー事象における前記ブレーキシステム(2)は好適には前記割り当てられた出口弁(AV1、AV2、AV3、AV4)を開くように構成される、請求項1又は2に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項4】
通信リンク(100)、特にバスリンク、が前記第1の制御装置(9)と前記第2の制御装置(95)との間に構成され、前記第1の制御装置(9)は好適には、前記通信リンク(100)経由で前記第3の圧力供給ユニット(90)の圧力測定値及び/又は車輪回転速度信号を受信するように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項5】
通信リンク(100)、特にバスリンク、が前記第1の制御装置(9)と前記第2の制御装置(95)との間に構成され、前記第1の制御装置(9)及び前記第2の制御装置(95)は好適には、前記通信リンク(100)経由で前記第3の圧力供給ユニット(90)の圧力測定値及び/又は車輪回転速度信号を受信するように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項6】
前記第1の制御装置(9)又は前記第2の制御装置(95)又は第3の制御装置は、前記第1のエラー事象において、前記車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)又は前記ブレーキ回路(BK1、BK2)内で車輪個々の及び/又はブレーキ回路個々の圧力フィードバック制御を実施するように、前記第1の圧力供給ユニット(6)及び前記ブレーキ圧力調整弁(AV1-AV4、EV1-EV4)を制御するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項7】
- 前記第1のモジュールの第1の遮断弁(BP1)は前記第1の圧力供給ユニット(6)と前記第1の接続点(A1)との間の第1の油圧ライン(HL1)内に配置され、第2の遮断弁(TVBK2)は前記第1の圧力供給ユニット(6)と前記第2の接続点(A2)との間の第2の油圧ライン(HL2)内に配置される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)であって、前記ブレーキシステム(2)は、
- 第2のエラー事象、特に前記第2のモジュールの全故障、を検出するように、及び
- 前記第2のエラー事象において、前記少なくとも2つのブレーキ回路(BK1、BK2)内で少なくとも1つのブレーキ回路個々の圧力フィードバック制御を実施するように、前記第1の圧力供給ユニット(6)及び前記第1及び第2の遮断弁(BP1、TVBK2)を制御するように構成されるブレーキシステム(2)。
【請求項8】
前記ブレーキシステム、特に前記第1の制御装置(9)は、
- 非均質道路状態、特にμ分割状況、を検出するように、及び
- 前記第2のエラー事象において及び前記非均質道路状態において、前記ブレーキ回路(BK1、BK2)のうち少なくとも1つの選択されたブレーキ回路内で、前記選択されたブレーキ回路(BK1、BK2)の他の車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)と比較して高い摩擦係数を有する前記選択されたブレーキ回路(BK1、BK2)の当該車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)の車輪遮断圧の関数として判断される標的ブレーキ圧力を調整するように、前記第1の圧力供給ユニット(6)を制御するように構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の、特に請求項7に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項9】
少なくとも前記第2のモジュールは車輪速度を検出するための車輪センサを有し、前記通信リンク(100)経由で、前記車輪センサは、前記検出された車輪速度から生成される車輪回転速度信号又は前記検出された車輪速度を、前記第1のモジュール、特に前記第1の制御装置(9)、へ送信するように構成される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項10】
前記ブレーキシステム、特に前記第1の制御装置(9)、は、第3のエラー事象において、前記第1の圧力供給ユニット(6)により、センサを使用しながら1チャネルABSを実施するように圧力上昇及び圧力消散を制御するように構成される、及び/又は第4の事象において、2つのブレーキ回路(BK1、BK2)内の2つの固定的に調整された圧力レベル間で圧力を変調することにより間歇ブレーキを実施するように構成される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのブレーキ回路(BK1、BK2)内のブレーキ圧力を検出するための少なくとも1つの圧力センサが設けられる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項12】
前記第1のモジュールは:
- 圧力を増強及び消散するための回転ポンプ、特に1つのピストンポンプ又は3つのピストンポンプ;
- 貯蔵器(40)へ油圧的に接続された電磁弁(PD2);
- 前記圧力増強及び前記圧力消散をフィードバック制御するために前記第1の制御装置(9)へ好適には通信可能に接続される任意選択的に少なくとも1つの圧力変換器を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項13】
前記第1の圧力供給ユニット(6)は圧力を増強及び消散するための歯車ポンプとして構成される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項14】
前記歯車ポンプは、圧力変換器を使用しながら、又は電流の測定値、特に前記歯車ポンプの前記電動ドライブの相電流i及び前記電動ドライブの回転子の角度αに応じて、制御される、請求項13に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項15】
少なくとも1つの第3の遮断弁(BP2)が設けられ、前記第3の遮断弁(BP2)は、前記第3の遮断弁(BP2)の閉状態において、前記第1のブレーキ回路(BK1)が前記第1及び第2の圧力供給ユニット(6、14)から油圧的に切り離されるように配置及び構成される、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項16】
前記第1の油圧ライン(HL1)及び/又は前記第2の油圧ライン(HL2)は、(それぞれの場合に)吸込弁(70b、70c)を介し貯蔵器(40)へ接続される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項17】
活性化要素(26)、特にブレーキペダル、が前記第2の圧力供給ユニット(14)上に配置され、前記第2の圧力供給ユニット(14)は前記活性化要素(26)により活性化可能である単一ピストン(24)を有するマスタブレーキシリンダ(22)を含む、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)。
【請求項18】
● 通常動作時に第1の制御装置(9)により第1のモジュールの第1の圧力供給ユニット(6)を制御する工程、
● 通常動作時に第2のモジュール内の複数のブレーキ圧力調整弁(AV1-AV4、EV1-EV4)を制御する工程、
● 第1のエラー事象、特に前記第2のモジュールの部分的故障、を検出する工程、
● ABS制動操作及び/又はヨー・トルク調停を提供するために、前記第2のモジュールの前記ブレーキ圧力調整弁(AV1-AV4、EV1-EV4)及び/又は特に前記第2のモジュール及び前記第1の圧力供給ユニット(6)の特に双方向遮断弁(USV1、USV2、HSV1、HSV2)の少なくとも1つを作動させる間に前記車輪ブレーキ内の圧力の(車輪個々の及び/又は選択的)調整が発生するやり方で、前記第1のエラー事象において前記ブレーキシステム(2)を制御する工程
を含む、ブレーキシステム(2)、特に請求項1乃至17のいずれか一項に記載のブレーキシステム(2)、を制御する方法。
【請求項19】
● 第2のエラー事象、特に前記第3の圧力供給ユニット(90)の全故障、を検出する工程、及び
● 前記第2のエラー事象においてブレーキ回路個々の圧力フィードバック制御が前記少なくとも2つのブレーキ回路(BK1、BK2)において実施されるやり方で、前記第1のモジュールの前記圧力供給ユニット(6)及び少なくとも2つの遮断弁(BP1、TVBK2)を制御する工程
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
● 非均質道路状態、特にμ分割状況、を検出する工程、
● 非均質道路状態において、他の車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)と比較して高い摩擦係数を有する選択されたブレーキ回路(BK1、BK2)の車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)が標的ブレーキ圧力を判断するために利用されるやり方で、前記第2のエラー事象において前記第1の圧力供給ユニット(6)を制御する工程
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
● 第3のエラー事象、特に前記第3の圧力供給ユニット(90)の全故障及び/又は車輪センサの故障、を検出する工程、
● 第3のエラー事象において1チャネルABSが実施されるやり方で、又は第4のエラー事象において、前記ブレーキ回路(BK1、BK2)の少なくとも1つにおける2つの所定圧力レベル間で圧力を変調することにより間歇ブレーキが実施されるやり方で、第1の圧力供給ユニット(6)を制御する工程
を含む、請求項18乃至20のいずれか一項に記載の、特に請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
● 前記2つのブレーキ回路(BK1、BK2)の1つへ割り当てられる第1の車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)上の第1の車輪阻止圧力を判断する工程;
● 前記同じブレーキ回路(BK1、BK2)へ割り当てられる車輪ブレーキ(RB1、RB2、RB3、RB4)上の第2の車輪阻止圧力を判断する工程であって、前記第1及び第2の車輪阻止圧力が30%以上異なる場合に非均質道路状態が検出される、判断する工程
を含む、請求項18乃至21のいずれか一項に記載の、特に請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキシステムとブレーキシステムを制御する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
自律運転のために構成される車両を取り巻く趨勢は、ブレーキシステムの観点から、一方ではフェールセーフ設計に対する高い要求を、及び他方では例えばブレーキ圧生成機能、電源機能及びコンピュータ機能の冗長機能を提起している。
【0003】
所謂ワンボックスシステム及びツーボックスシステムが通常好まれる。これらは、電気ブレーキブースタ(BKV)(所謂eブースタ)及び電子安定制御システム(ESP/ESC)から構成される。
【0004】
公知の解決策は、相対的に長い設置長及び/又は高重量を有する。
【0005】
独国特許出願公開第10 2014 205 645A1号並びに国際公開第2011/098178号に説明されるのは、歯車機構及びピストンを介した電気モータがマスタシリンダピストン(HZピストン)に作用する同軸ドライブを有する解決策(以下では、変形形態A又はフォロアブースタ(follower booster)又はeブースタと呼ばれる)である。BKV制御は所謂フォロアブースタとしての電気素子及び反応ディスクにより行われ、ペダル行程(pedal travel)はブレーキシステムのブレーキ圧及び容積吸収の関数であり、これはフェーディング又はブレーキ回路故障が発生した場合に長いペダル行程を必要とする。
【0006】
国際公開第2009/065709号は、同様にフォロアブースタ機能を有するeブースタ(以下では変形形態B、又はフォロアブースタ又はeブースタと呼ぶ)を示す。ここでのBKV制御は、ペダル行程及び/又はペダル圧、すなわちペダルを活性化するために使用される圧力を介し行われる。電気モータ及びプランジャを有する別の圧力供給器が、ブースタピストンを介しHZピストンに作用する。
【0007】
国際公開第2012/019802号は、歯車機構及びピストンを介した電気モータがHZピストンに作用する同軸ドライブを有する、国際公開第2011/098178号と同様なアセンブリ(以下では変形形態Cと呼ぶ)を示す。行程シミュレータピストン(travel simulator piston)に作用する追加のピストン/シリンダユニットがここでは使用される。このようにすると、ペダル行程は例えばフェーディング及びブレーキ回路故障と無関係である。しかし複雑性は高く、且つ設置長は長い。
【0008】
独国特許出願公開第10 2009 033 499号は、ブースタピストンの油圧活性化による追加ESPユニットと外部圧力供給器とを有する、ブレーキブースタ(以下では変形形態Dとも呼ばれる)を示す。4つ又は5つのピストン及び6つの電磁弁(MV)を有するこのアセンブリは複雑であり、且つ設置長の観点で好ましくない。油圧的に作用しない行程シミュレータ(WS)は、マスタシリンダの上流に配置されるピストン/シリンダユニット内に在り、且つ電磁弁(MV)による減衰も切り替えもできない。
【0009】
上述のすべての解決策は、BKVモータの故障における制動機能が自律駆動モードにおける真空BKVによる支援機能と同様なポンプを有するESPユニットにより保証されるので、冗長ブレーキブースタ機能を有する。
【0010】
ESPモータの故障の際、ABSは、ブレーキブースタのモータによる圧力変調の可能性により機能し続け得、国際公開第2010/088920号に記載のように、マスタブレーキシリンダのピストンは圧力を増強及び消散するための往復運動的やり方で移動される。ブレーキブースタがESPユニットの典型的弁回路を有するESPユニットと組み合わせて使用されれば、例えば独国特許出願公開第10 2014 205 645A1号の図1に詳細に概説されるように、圧力は、非活性化時に開く入口弁(独国特許出願公開第10 2014 205 645A1号の図1の参照符号32a、32、b、34b、34a)及び切り替え弁(USV)(独国特許出願公開第10 2014 205 645A1号の図1の参照符号30a、30b)により増強及び消散され得る:すなわち、すべての4輪の共通圧力制御が実施され得るが、最適停止距離を生じるには至らない。
【0011】
今までに知られているすべてのワンボックスシステムは、斬新的ペダル行程特徴(progressive pedal travel characteristic)を実装するように、所謂行程シミュレータ(特にブレーキ・バイ・ワイヤ(brake-by-wire)システム)を有する。
【0012】
eブースタ及びESPを有する周知のシステムは、圧力供給器内に唯一の冗長性を有する、すなわち、eブースタの故障の際にESPによりブレーキを増強するための冗長出力を有する、冗長圧力供給器が存在する。安全性の観点でのより高い要件は考慮されない。
【0013】
即設置可能(ready-to-install)ユニットを形成するようにブレーキシステムの個々の部品をパッケージングすること、したがって配置、及びこのユニットの設置容積は、非常に重要である。特に、半自動又は完全自動運転のために構成される自動車において使用されるブレーキシステムの場合、多くの変形形態、例えばタンデムマスタ(ブレーキ)シリンダ又は単一マスタ(ブレーキ)シリンダが考慮される必要がある。公知のパッケージング変形形態の例は、マスタ(ブレーキ)シリンダの軸に対し垂直な圧力供給ユニットの配置(例えば欧州特許第2 744 691号に記載の)又はマスタ(ブレーキ)シリンダの軸に平行な圧力供給ユニットの配置(例えば独国特許出願公開第10 2016 105 232号に記載の)である。後者は特に、最初に述べたパッケージング変形形態と比較してより小さな設置幅によって区別される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術から進んで、本発明の目的は、改善されたブレーキシステムを規定することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は特に、自律運転(以下ではADとも呼ばれる)における使用のための及び/又はますます高い回復出力を有する(発電機動作において、発電機/又は駆動モータそれぞれを介しブレーキによりエネルギーを回復する)電気自動車/ハイブリッド車のためのブレーキシステムを実現するという目的に基づく。好適には、重量が最小化される及び/又はシステムの寸法が低減される及び/又は信頼性が増加される。
【0016】
自律運転のための費用効率の高いブレーキシステムであって、安全性の観点ですべての必要とされる冗長性及び非常に高い要件を満足するブレーキシステムが好ましくは実現される。
【0017】
さらに、制動距離及び安定性の観点での十分なABSの機能とともに十分な回復機能も、ESPの故障の際にブレーキシステムにより実現される。
【0018】
特にブレーキ回路の故障の際に、冗長圧力供給器、非常に大きな範囲の機能及び可用性、同時に、非常に短い設置長及び低コストを有するブレーキシステムを制御する方法とともに、改善されたブレーキシステムを規定することが、特に本発明の目的である。さらに、提供されるのは、部分的故障/漏洩の際にすら非常に高い程度の可用性を可能にする方法である。
【0019】
ブレーキシステムの観点では、目的は請求項1に記載の特徴を有するブレーキシステムにより本発明に従って達成される。方法の観点では、目的は請求項18に記載の特徴を有する方法により、本発明に従って達成される。
【0020】
ブレーキシステムに焦点を当てた目的は、特に以下のものを有するブレーキシステムにより本発明に従って達成される:
● 電動ドライブを有する第1の圧力供給ユニット、任意選択的な第2の圧力供給ユニット、及び第1の圧力供給ユニットを制御するための第1の制御装置を含む第1のモジュールであって、第1のモジュールは、第1の接続点経由で少なくとも1つの第1のブレーキ回路及び第2の接続点経由で少なくとも1つの第2のブレーキ回路を加圧媒体へ衝突させるように規定され、第1及び第2のブレーキ回路に車輪ブレーキが割り当てられる、第1のモジュール、
● 第3の圧力供給ユニット、特にモータ/ポンプユニット、ブレーキ圧力調整弁及び遮断弁、特に車輪ブレーキ内の圧力を調節するための出口弁及び入力弁、並びにブレーキ圧力調整弁を制御するための第2の制御装置を含む、第2のモジュール、
● 第1のエラー事象、特に、第3の圧力供給ユニットの少なくとも部分的故障を検出するための検出ユニットであって、ABS機能及び/又はヨー・トルク調停を提供するための第1のエラー事象におけるブレーキシステムは、第2のモジュールのブレーキ圧力調整弁及び/又は第2のモジュール及び第1の圧力供給ユニットの遮断弁の少なくとも1つを作動させる間に車輪ブレーキ内の圧力の(車輪個々の及び/又は選択的)調整を実施するように規定される、検出ユニット。
【0021】
本明細書における圧力供給ユニットは、ブレーキ圧力を提供するブレーキシステムの1ユニット(特に構築ユニット)を意味するものと概して理解され得る。したがって、圧力供給ユニットは、少なくとも1つのブレーキ回路と加圧媒体とを衝突させるように働く。第3の圧力供給ユニットは最初に説明されたタイプのESPユニットであることが好ましい。本明細書における遮断弁は、双方向性となるように構成され得る:すなわち、2つの流れ方向に油圧透過性(hydraulically permeable)であり得る。ブレーキシステム及び/又はブレーキシステムの応用分野の設計実施形態にも依存して、任意選択的な第2の圧力供給ユニットは電子的ペダル又は中央コンピュータとして構成され得る。
【0022】
ここでの第3の圧力供給ユニットの少なくとも部分的故障は、モータ/ポンプユニットは第3の圧力供給ユニットの他の部品が依然として機能することができている間に故障する、ということを意味するものと理解され得る。
【0023】
ブレーキ圧力調整弁だけでなく、遮断弁、特に、圧力増強弁及び圧力消散弁(以降、入口弁EV及び出口弁AVとも呼ばれる)は、電磁弁として特に構成される。電磁弁は、特に前記電磁弁の単純な作動能力のおかげで有利であると分かった。
【0024】
一実施形態では、第1のエラー事象における第1の圧力供給ユニットは、前記第1の圧力供給ユニットがABS制動操作を提供するために圧力を消散する際に、車輪ブレーキ内の圧力より低い圧力を有する圧力降下を生成するやり方で、制御される。
【0025】
別の実施形態では、第1のモジュールの遮断弁の少なくともいくつかは、ブレーキ圧力調整弁、特に出口弁と接続点との間の油圧接続を確立するように配置及び構成される。車輪ブレーキのうちの1つの車輪ブレーキ内の圧力を消散するための第1のエラー事象におけるブレーキシステムはここでは、割り当てられた出口弁を開くように構成されることが好ましい。
【0026】
一実施形態では、第1のモジュールの遮断弁の少なくともいくつかは、ブレーキ圧力調整弁、特に出口弁と接続点との間の油圧接続を確立するように配置及び構成され、車輪ブレーキのうちの1つの車輪ブレーキ内の圧力を消散するための第1のエラー事象におけるブレーキシステムは、割り当てられた出口弁を開くように構成されることが好ましい。
【0027】
好都合には、通信リンク、特にバスリンクが第1の制御装置と第2の制御装置との間に構成され、第1の制御装置は好適には、通信リンク経由で第2のモジュールの圧力測定値及び/又は車輪回転速度信号を受信するように構成される。通信リンクは代替的に、イーサーネット又はFlexrayリンクであり得る。
【0028】
さらに代替的に、通信リンクはまた、例えば測定値を判断するための無線接続又はアナログ接続となるように構成され得る。
【0029】
さらに代替的に、通信リンク、特にバスリンクは第1の制御装置と第2の制御装置との間に構成され得、第1の制御装置及び第2の制御装置は好適には、通信リンク経由で第3の圧力供給ユニットの圧力測定値及び/又は車輪回転速度信号を受信するように構成される。通信リンクの故障の際、このようにして2つの制御装置によりインポートされたデータによりABS制御を行うことが可能である。本明細書において、受信することはまた、通信リンク経由で制御装置の1つからこのタイプのセンサ値及び信号をインポートすることも意味するものと理解され得る。
【0030】
一実施形態では、第1のエラー事象において、第1の制御装置及び/又は第2の制御装置及び/又は第3の制御装置は、車輪ブレーキ又はブレーキ回路内の車輪個々の及び/又はブレーキ回路個々の圧力フィードバック制御を実施するように、第1の圧力供給ユニット及びブレーキ圧調整弁を制御するように構成される。本発明によると、アクチュエータ(例えば弁)の間接的制御はまた、それぞれの他の制御装置経由で発生し得る。第3の制御装置は例えば中央制御ユニットを意味するものと理解され得る。
【0031】
別の実施形態では、第1のモジュールの第1の遮断弁が、第1の圧力供給ユニットと第1の接続点との間の第1の油圧ライン内に配置される。さらに、この実施形態によると、第2の遮断弁が、第1の圧力供給ユニットと第2の接続点との間の第2の油圧ライン内に配置される。ここでのブレーキシステムは第2のエラー事象(特に第3の圧力供給ユニットの全故障)を検出するように構成される。ここでの全故障は、第3の圧力供給ユニットのすべての部品が故障し且つもはや機能することができないということを意味するものと理解され得る。さらに、第2のエラー事象におけるブレーキシステムは、少なくとも2つのブレーキ回路内の少なくとも1つのブレーキ回路個々の圧力フィードバック制御を実施するように第1の圧力供給ユニット及び第1及び第2の遮断弁を制御するように構成される。ここでの制御は、好適には第1の制御装置経由で発生する。
【0032】
一実施形態によると、ブレーキシステム及び特に第1の制御装置は、非均質道路状態、特にμ分割状況を検出するように規定され、第2のエラー事象において及び検出された非均質道路状態において、第1の圧力供給ユニットを制御するように規定される。この制御は、ブレーキ回路のうちの少なくとも1つの選択されたブレーキ回路内の標的ブレーキ圧を調整するように働き、前記標的ブレーキ圧は、選択されたブレーキ回路の他の車輪ブレーキと比較して高い摩擦係数を有する選択されたブレーキ回路の当該車輪ブレーキの車輪阻止圧力の関数として判断される。ここでの非均質道路状態は、2つの車輪阻止圧力間の圧力差が検出されるやり方で検出される。非均質道路状態は、この圧力差が30%又は40%より大きい百分率値を有する場合に存在する。
【0033】
第3のエラー事象において、特に、上述の車輪センサの追加故障事象において、又は第2のモジュールから第1のモジュールへの車輪回転速度信号の通信において、第1の圧力供給ユニットによる第3のエラー事象における一実施形態におけるブレーキシステム(特に第1の制御装置内の)は、車輪回転速度センサを使用しながら単一チャネルABSを実施するように圧力増強及び圧力消散を制御するように規定され、及び/又は第4のエラー事象において、ブレーキシステムは、両方のブレーキ回路内の2つの固定的に調整された圧力レベル間で圧力を変調することにより間歇ブレーキを実施するように規定される。したがって、従来技術において知られたブレーキシステムと比較して車両の改善された操縦性及び制動性能がまた、別のエラー事象において及びそれと関連するブレーキシステムの別の部品の追加故障事象において達成される。
【0034】
好都合には、少なくとも1つのブレーキ回路内のブレーキ圧力を検出するための少なくとも1つの圧力センサが提供される。
【0035】
一実施形態では、第1の圧力供給ユニットと第1の接続点との間の第1の油圧ラインは弁無しに構成される。さらに、第1の圧力供給ユニットと第2の接続点との間の第2の油圧ラインは弁無しに構成される。ここでの「弁無し」とは、いかなる弁も第1の圧力供給ユニットと第1又は第2の接続点との間の第1の油圧ライン内又は第2の油圧ライン内にそれぞれ配置されないということを意味するものと理解され得る。
【0036】
別の実施態様によれば、第1のモジュールは、回転ポンプ、特に、圧力を増強及び消散するための単一回路単一ピストンポンプ又はマルチピストンポンプを有する。さらに、本実施形態による第1のモジュールは、貯蔵器へ油圧的に接続された電磁弁と少なくとも1つの任意選択的圧力変換器とを含む。圧力増強及び圧力消散をフィードバック制御するための任意選択的圧力変換器は好適には第1の制御装置へ通信可能に接続される。
【0037】
代替実施態様によると、第1の圧力供給ユニットは圧力を増強及び消散するための歯車ポンプとして構成される。歯車ポンプは、圧力変換器を使用しながら又は電流の測定値(特に歯車ポンプの電動ドライブの相電流i及び電動ドライブの回転子の角度α)に応じて巧妙に制御される。本圧力変換器の場合、前記測定値は冗長性(ホット又はコールド)を提供するために使用され得る。
【0038】
第1の圧力供給ユニットの設計構成の様々な変形形態を考えると、第1の圧力供給ユニットはこうして様々な変形形態の構成を考慮に入れている。
【0039】
別の実施形態では、第3の遮断弁の閉状態において第1のブレーキ回路が第1及び第2の圧力供給ユニットから油圧的に切り離されるやり方で配置及び構成される、少なくとも1つの第3の遮断弁が設けられる。
【0040】
さらに、第1の油圧ライン及び/又は第2の油圧ラインは、好適には(いずれの場合も)吸込弁経由で貯蔵器へ接続される。吸込弁は、第3の圧力供給ユニットが、僅かな油圧耐性により急速に貯蔵器から容積を直接搬送し得るように、並びに搬送中に第1及び第2の圧力供給ユニットが第3の圧力供給ユニットの動作の結果として切り離されるように且つこの動作により損なわれないように使用される。
【0041】
別の設計実施形態によると、活性化要素、特にブレーキペダルが第2の圧力供給ユニット上に配置される。ここでの第2の圧力供給ユニットは、活性化要素により活性化可能である単一ピストンを有するとともに与圧室だけでなく与圧室へ接続される行程シミュレータも有する、マスタブレーキシリンダを含む。さらに、与圧室は、切り替え可能電磁フィード弁FVを介し少なくとも1つのブレーキ回路へ接続される。
【0042】
上述の本発明によるブレーキシステムの実施形態の結果として、特に以下に列挙されるエラー事象において、安全性面を考慮する動作が可能となる(これらのエラー事象のすべてにおいてか、又は選択されたものにおいて)。
エラー事象1:第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)のモータの故障;弁及び第1の圧力供給ユニットによるフィードバック制御による4チャネルABS;
エラー事象2:第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の完全故障;通常動作の非典型的「セレクト・ロー」/「セレクト・ハイ」フィードバック制御による2チャネルABS;
エラー事象3:第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の完全故障、車輪回転速度センサが冗長的やり方で利用可能であり、且つ車輪ブレーキから第1のモジュール内へ直接インポートされる;1チャネルABSの確立;
エラー事象4:第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の完全故障及び車輪回転速度センサの故障;自動間歇ブレーキの確立。
【0043】
エラー事象1におけるABS制御について代替的に又は追加的に、このエラー事象において、ブレーキ圧力が選択的に選択された車輪内で生成されるように、ヨー・トルク制御がさらに発生し得る。
【0044】
本方法の観点で、本目的は特に、ブレーキシステム、特に上述のブレーキシステムを制御する方法により達成され、前記方法は以下の工程を含む:
● 通常動作時に第1の制御装置により第1のモジュールの第1の圧力供給ユニットを制御する工程、
● 通常動作時に第2のモジュール内の複数のブレーキ圧力調整弁を制御する工程、
● 第1のエラー事象、特に第2のモジュールの部分的故障を検出する工程、
● ABS制動操作及び/又はヨー・トルク調停を提供するために、車輪ブレーキ内の圧力の(車輪個々の及び/又は選択的)調整が、第2のモジュール及び第1の圧力供給ユニットの少なくとも1つの(特に、双方向性)遮断弁を使用する間に発生するようなやり方で、第1のエラー事象においてブレーキシステムを制御する工程。
【0045】
一実施形態では、本方法はさらに以下の工程を含む:
● 第2のエラー事象、特に第3の圧力供給ユニットの全故障を検出する工程、
● 第2のエラー事象においてブレーキ回路個々の圧力フィードバック制御が少なくとも2つのブレーキ回路において実施されるやり方で第1のモジュールの第1の圧力供給ユニット及び少なくとも2つの遮断弁を制御する工程。
【0046】
別の実施形態によると、本方法は以下の工程を含む:
● 非均質道路状態、特にμ分割状況を検出する工程、
● 非均質道路状態において、他の車輪ブレーキと比較して高い摩擦係数を有する選択されたブレーキ回路の車輪ブレーキが標的ブレーキ圧力を判断するために利用されるやり方で、第2のエラー事象において第1の圧力供給ユニットを制御する工程。
【0047】
別の実施形態では、本方法はさらに以下の工程を含む:
● 第3のエラー事象、特に第3の圧力供給ユニットの全故障及び車輪センサの故障を検出する工程、
● 第3のエラー事象において1チャネルABSが実施されるやり方で、又は第4のエラー事象において、ブレーキ回路(BK1、BK2)の少なくとも1つにおける2つの所定圧力レベル間で圧力を変調することにより間歇ブレーキが実施されるやり方で、第1の圧力供給ユニットを制御する工程。
【0048】
代替実施態様によると、本方法はさらに以下の工程を含む:
● 2つのブレーキ回路の1つへ割り当てられる第1の車輪ブレーキ上の第1の車輪阻止圧力を判断する工程;
● 同じブレーキ回路へ割り当てられる車輪ブレーキ上の第2の車輪阻止圧力を判断する工程であって、第1の車輪阻止圧力と第2の車輪阻止圧力とが30%超だけ異なる場合に非均質道路状態が検出される、判断する工程。
【0049】
ブレーキシステムに関連して説明された利点と同様な利点が、本方法に関して導出される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明の例示的実施形態は添付図面により以下により詳細に説明される。添付図面において、非常に単純化された図示におけるいくつかの事例では:
【0051】
図1a】第1の実施形態による第1の圧力供給ユニットを有するブレーキシステムの第1の例示的実施形態の回路図を示す。
図1b】第1の実施形態による第1の圧力供給ユニットを有するブレーキシステムの第2の例示的実施形態の回路図を示す。
図2】第2の実施形態による第1の圧力供給ユニットを有するブレーキシステムの第1の例示的実施形態の回路図を示す。
図3】第3の実施形態による第1の圧力供給ユニットを有するブレーキシステムの第1の例示的実施形態の回路図を示す。
図4】第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の回路図を示す。
図5】4チャネルABS制御における第1のエラー事象において圧力を消散する間の第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の回路図を示す。
図6】4チャネルABS制御における第1のエラー事象において圧力を増強する間の第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の回路図を示す。
図7a】2つの車輪ブレーキを有するブレーキ回路における「セレクト・ハイ」制御の概略時間的プロファイルを示す。
図7b】2つの車輪ブレーキを有するブレーキ回路における「セレクト・ロー」制御の概略時間的プロファイルを示す。
図8】2つの遮断弁及び1つのフィード弁を有する本発明によるブレーキシステムの第1の例示的実施形態の回路図を示す。
図9】4つの遮断弁及び1つのフィード弁を有する本発明によるブレーキシステムの第2の例示的実施形態の回路図を示す。
図10】ヨー・トルク制御における第1のエラー事象における圧力を増強する間の第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の回路図を示す。
図11】ヨー・トルク制御における第1のエラー事象における圧力を消散する間の第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の回路図を示す。
【0052】
添付図面において、いくつかの事例では、等価機能を有する部品は同じ参照符号を与えられる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1aに示す第1の例示的実施形態によるブレーキシステム2は、第1の実施形態では第1の圧力供給ユニット6を有する。この実施形態では、第1の圧力供給ユニット6は、ピストン/シリンダユニットのピストンに作用する電動ドライブ8を有する。さらに、ブレーキシステム2(特に、第1の圧力供給ユニット6)は、特に電動ドライブ8に制御信号を供給する第1の制御装置9を有する。
【0054】
第1の圧力供給ユニット6はここでは、第1のブレーキ回路BK1及び第2のブレーキ回路BK2を加圧媒体に衝突させるように働く。この目的を達成するために、第1の圧力供給ユニット6のシリンダは油圧ラインを介し第1のブレーキ回路BK1(接続点A1参照)及び第2のブレーキ回路BK2(接続点A2参照)へ油圧的に接続される。
【0055】
図1aによる例示的実施形態では、第1のブレーキ回路BK1及び第2のブレーキ回路BK2から油圧的に可逆的に第1の圧力供給ユニット6を絶縁することができる遮断弁PD1が、この油圧ライン内に追加的に配置される。ここでの遮断弁PD1は、電磁弁として構成される。
【0056】
加えて、第1の圧力供給ユニット6、及び特に、第1の圧力供給ユニット6のシリンダは、逆止弁が配置される貯蔵器40への油圧接続ラインを有する。貯蔵器40への油圧接続は加圧媒体を貯蔵器40から吸い込むために役立つ。
【0057】
さらに、ブレーキシステム2は、図1aでは単に概略的に示される第3の圧力供給ユニット90を有する。第3の圧力供給ユニット90はESPユニットとも呼ばれる:すなわちESPユニットは第3の供給ユニット90をそれぞれ含む。さらに、第3の圧力供給ユニット90を制御する第2の制御装置95が提供される。
【0058】
通信リンク100(特に、CANバスリンク)が第1の制御装置9と第2の制御装置95との間に構成される。通信リンク100は2つの制御装置9、95間でデータ及び/又は信号を交換するために役立つ。
【0059】
特に、いかなる弁も、図1aによる例示的実施形態では第1のブレーキ回路BK1及び第2のブレーキ回路BK2の油圧ライン内に配置されない。
【0060】
さらに、遮断弁PD1と第1又は第2のブレーキ回路BK1、BK2との間にそれぞれ配置される圧力変換器p/Uが油圧ライン内に設けられる。この圧力変換器p/Uは、特にエラー事象(以下の実施形態参照)の際、圧力がブレーキ回路BK1、BK2内で調整されるように、ブレーキ回路BK1、BK2に関連する圧力情報を提供するために役立つ。
【0061】
圧力変換器p/uの代案として、この実施形態では第1の圧力供給ユニット6により調整された圧力に関連する情報の項目が、モータ・ロータリ・エンコーダα/U及び/又はモータ電流i/uを介し圧力を推定することにより発生する。
【0062】
図1bは、第1の実施形態による第1の圧力供給ユニット6を有するブレーキシステム2の第2の例示的実施形態の回路図を示す。
【0063】
この例示的実施形態は、図1aによるブレーキシステム2の前述の例示的実施形態にほぼ対応する。ここでの差異は、遮断弁BP1、TVBK2が何れの場合もブレーキ回路BK1、BK2までの油圧ライン内に配置されるという点にある。これらの2つの遮断弁BP1、TVBK2によるブレーキ回路個々のブレーキ圧力の調整は、特にエラー事象において可能である。
【0064】
第2の実施形態による第1の圧力供給ユニット6を有するブレーキシステム2の第1の例示的実施形態の回路図が図2に示される。ブレーキシステム2のこの例示的実施形態は同様に、図1aによるブレーキシステム2の設計実施形態にほぼ対応する。しかし、図2による例示的実施形態における第1の圧力供給ユニット6は、回転ポンプとして、特に単一回路ピストンポンプとして、特に1つ又は複数の、特に3つのピストンを有するポンプとして構成される。ピストンポンプは、偏心器を介した1つ又は複数のピストンが電気モータのシャフトにより駆動される、ESPポンプドライブに相当するやり方で具現化される。この設計実施形態では、圧力増強又は圧力消散をそれぞれ可能にするための弁PD2が追加的に提供される。圧力を増強する際、PD2弁は有利にはまた、偏心器により駆動されるポンプの圧力パルスを補償するために使用され得る。圧力パルスは、特に1ピストンポンプの場合非常に高い。
【0065】
図3に示すように第3の実施形態による第1の圧力供給ユニット6を有する第1の例示的実施形態によるブレーキシステム2は、第1の圧力供給ユニット6の実施形態を除外して、同様に、図1aによるブレーキシステム2に対応する。図3による例示的実施形態では、第1の圧力供給ユニット6は歯車ポンプとして構成される。圧力変換器p/uの代案として、この例示的実施形態における圧力供給ユニット6により提供される圧力に関連する情報の項目を提供することは、モータ・ロータリ・エンコーダα/U及び/又はモータ電流i/uにより圧力を推定ことにより発生する。歯車ポンプの機械的及び機能的設計実施形態のおかげで、いかなる弁PD2も、圧力がまた、回転方向の逆転により(例えば、B6ブリッジ回路を介し操作されるブラシレス電気モータとして歯車ポンプの駆動モータを具現化し及び電気モータを4象限動作で操作することにより)歯車ポンプにより消散され得るので、この例示的実施形態では必要とされない。さらに、動作原理に関係する理由のために、圧力パルスは偏心ピストンポンプの場合より著しく弱い。
【0066】
図4は、本発明によるブレーキシステム2における使用のためのモータ/ポンプユニット91を有する第3の圧力供給ユニット90(ESPユニットとも呼ばれる)の回路図を示す。ESPユニットは周知であり、モータM、弁HSV1、HSV2、USV1、USV2、及び車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4へ割り当てられた入口弁EV1~EV4及び出口弁AV1~AV4、並びにブレーキ回路毎に1つの貯蔵室(SpK)を有する主部品ポンプPを有する。このシステムは多くの刊行物及び特許出願において説明されている。前記システムは、ツーボックスブレーキシステム「eブースタ+ESP」として既に市販されており、及びとりわけ電気自動車及びハイブリッド車において使用されている。本出願では、ESPユニットの出口弁だけが、発電機の軸トルクと相互作用するCANインターフェースを介しeブースタにより作動される(すなわち車輪ブレーキにおけるブレーキ圧力の増強の回避のための回復)、及び貯蔵室SpKは加圧媒体を収容するために使用される。
【0067】
本発明の一態様は、第1の制御装置9が通信リンク100を介しESPユニットの第2の制御装置95(「ECU-ESP」)へ通信可能に接続され、及び安全性面を実現するために、少なくとも入口弁EV1~EV4が第1の制御装置9により制御されることができるということにある。
【0068】
本発明の(別の)態様は、ESPユニットの出口弁AV1~AV4及びHSV弁を使用する間の車輪個々の圧力消散にある。
【0069】
第1のエラー事象において圧力を消散する間の第3の圧力供給ユニット90(ESPユニット)の回路図が、図5におけるブレーキ回路内に一例として示される。ここでの第1のエラー事象は、第3の圧力供給ユニット90のモータMが故障したということを意味するものと理解され得る。この場合、フィードバック制御の目的のための圧力消散は第1の圧力供給ユニット6を介し発生する。これは具体的には、第1の圧力供給ユニット6のピストンが戻され(矢印により識別される紙面内の右の方向へ)及び出口弁AV4、AV3及び遮断弁HSV2の開放が発生するという意味で発生し、通常状態の前記出口弁AV4、AV3は活性化されない場合は閉じられる。この状態において流量のために開いている弁は、開状態をハイライトするために、何れの場合も図5ではアスタリスク(“*”)を備える(図5の左半分)。他の電磁弁の状態は明示的に説明されない。このようにして、少なくとも入口弁EV1-EV4は、例えば圧力を消散する際に能動的活性化により閉じられる。車輪ブレーキRB3、RB4からの圧力消散は特に図5に例示的やり方で示される(車輪ブレーキから第1の圧力供給ユニット6への加圧媒体の流れ方向は、矢印により識別される)。この目的のために、本発明による圧力供給ユニット90は、ESPユニットにおける典型的使用とは対照的に本発明により双方向に操作される、遮断弁HSV1、HSV2を備え得る。遮断弁HSV1、HSV2はまた、活性ポンプによる通常ESP動作時に貯蔵器40から流体を再供給するために使用される。所与の構成のおかげで、車輪ブレーキRB1、RB2又はRB3、RB4(不図示)それぞれからの圧力は、遮断弁USV1、USV2が閉じられる際に遮断弁HSV1、HSV2を開閉することにより選択的に消散し得る。車輪個々の圧力調整は、出口弁AV1~AV4をそれに応じて切り替えることにより発生し得る。
【0070】
第1のエラー事象において、弁、特に遮断弁USV1、USV2、HSV1、HSV2及び出口弁AV1~AV4の作動はまた、通常の場合のように第2の制御装置95によるのではなく第1の制御装置9により発生し得る。第1の制御装置9により制御する際、ここでの目的のために必要とされる制御信号が通信リンク100により第3の圧力供給ユニット90へ送信される。しかし、エラー事象が無い通常動作では、第2の制御装置95が弁の活性化を担う。ここでの通常動作は、(車輪の滑り又は阻止を防止するように)フィードバック制御の目的のための圧力増強と比較して例えば車両を制動するために必要とされる圧力増強を意味するものと理解され得る。
【0071】
入口弁EV1~EV4は圧力を消散する際に閉じられる(活性化することにより)。第1の圧力供給ユニット6への油圧接続は遮断弁HSV2を開くことにより構成され;次に、ここでの加圧媒体の流出は、慣例によりポンプPによるのではなく第1の圧力供給ユニット6により容易にされる。
【0072】
図5における2つの車輪ブレーキRB3、RB4の例により示され説明された圧力消散は代替的にまた、似たやり方で、ブレーキ回路個々に又は車輪ブレーキ個々に発生し得る。車輪ブレーキ回路個々のフィードバック制御(ヨー・トルクフィードバック制御とも呼ばれる)が4チャネルABS動作及びヨー・トルク調停のために使用される。
【0073】
圧力は好適には、圧力消散をフィードバック制御するための圧力に関連する情報があらゆる時点に存在するようにこのフィードバック制御中にESPユニット内の圧力変換器p/Uにより検出される。
【0074】
第1のエラー事象における圧力増強が、一例として図6による第3の圧力供給ユニット90の回路図により示される。この場合、第2の制御装置95は、第3の圧力供給ユニット90の通常動作時のように第3の圧力供給ユニット90の入口弁EV1~EV4を制御する。出口弁AV1~AV4は圧力を増強する際に(非活性化され)閉じられる。加えて、弁USV2又はUSV1は圧力増強中に開放される一方で弁HSV1、HSV2は(非活性化され)閉じたままである。2つの車輪ブレーキRB3、RB4における圧力増強は図6における例により示されるので、このブレーキ回路BK1内に位置する遮断弁HSV2、USV2が何れの場合も参照される。代替的に、図6における2つの車輪ブレーキRB3、RB4の例により示され説明された圧力増強はまた、似たやり方で、ブレーキ回路個々に又は車輪ブレーキ個々に発生し得、その結果、車輪個々の圧力増強及びヨー・トルク調停が発生し得る。
【0075】
第1の圧力供給ユニット6をブレーキ回路BK1、BK2から絶縁する遮断弁PD1(備えられていれば)は圧力増強中に開くように操作される。第1の圧力供給ユニット6は油圧ラインを介し加圧媒体を車輪ブレーキRB3、RB4内へ運ぶ。また、この例示的実施形態では、圧力変換器p/U(図6によると、第2のブレーキ回路BK2内に配置される)は好適には、圧力に関係する情報を検出するために利用される。代替的に、この例示的実施形態における第3の圧力供給ユニット90の弁の制御もまた、通信リンク100を介し第1の制御装置9により引受けられ得る。
【0076】
車速V、車輪周速度V、基準速度VRFE、「ハイ車輪」のブレーキ回路圧力P、「ロー車輪」のブレーキ回路圧力Pの時間プロファイルが何れの場合も図7a、図7bに示される。滑り係数λは、車輪が不安定になる車輪速度であり、及び基準速度VRFEに近似的に等しい。このようにして、λ限度又は(基準速度VRFE)などの典型的キー指標、圧力消散Pabの副点1、1’、2、4(滑り係数λを越えた)、圧力増強Paufの時点3、5(滑り係数λを下回った)が図7a、図7bに示される。
【0077】
均質状態(例えば、すべての車輪がアスファルト上に位置する)では、切り替えは「セレクト・ロー」フィードバック制御に対し発生する(図7b)、すなわち、非常に低いのでいかなる車輪も阻止されない対応圧力が調整される。このようにして、全制動行為の約20%が無しで済まされる。
【0078】
非均質状態では、例えばμ分割、すなわち、車両側の車輪が氷上にあり、他車両側の車輪が湿った又は乾いた道路上にある条件では、「セレクト・ハイ」フィードバック制御(図7a)が始まる、すなわち、阻止されていない車輪がフィードバック制御される一方で、低摩擦係数を有する車輪は阻止されたままである。ここでもまた、最適制動作用の約20%が無しで済まされる。
【0079】
既に説明したように、図7aは「セレクト・ハイ」フィードバック制御を示す。ABSフィードバック制御の説明は、いくつかの特許出願、ブレーキマニュアル及びブレーキパンフレットから知られている一般的原理を前提としている。タイヤ滑り特性の結果として、車速Vと車輪周速度Vとの間の滑り=車輪滑りがこうしてブレーキ圧力増加の結果として形成される。多くの要因の関数である滑り係数λの場合、タイヤ周方向力の最大値を越え、フィードバック制御の無いタイヤ周方向力は車輪阻止に至る。車輪加速(正及び負)並びに滑りλを評価するフィードバックコントローラにより、圧力消散Pab及び圧力増強Paufによる圧力フィードバック制御は、所望最適ブレーキ力及びコーナリング力の観点で効果的になる。基準速度=λ限度(最適滑りλに対応する)が同様に、複雑なアルゴリズムを使用して、フィードバックコントローラにより形成される。
【0080】
このようにして、図7aは特に、2つの車輪ブレーキを有するブレーキ回路における「セレクト・ハイ」フィードバック制御の例示的時間プロファイルを示す。時点1で、第1の圧力供給ユニット6による圧力増強Paufの結果として、車輪VR1における(低摩擦係数低μにおける)阻止限度は圧力p1に到達し、この車輪は、さらなる圧力増強Paufの場合の結果として、車輪周速度V=0、したがって車輪阻止に達する。結果的に、圧力は増強され続ける。さらなる圧力増強Paufは、圧力レベルpにおいてλ限度を越えてまもなくの時点2の車輪VR2が同様に不安定になり及び車輪周速度VR2は急激に低下するという効果がある。結果的に、圧力は、例えばピストンを回復することにより圧力供給器により低減される。前に定められた圧力p及びpの圧力差ΔPが評価される。圧力差ΔP=P-Pが大きければ、すなわち、圧力pが圧力pを30%超だけ越えれば、「セレクト・ハイ」フィードバック制御(選択的「高μ」制御とも呼ばれる)が開始される。次に、圧力は両方のブレーキ回路においてΔPab=20%だけ適度に低減される、すなわち、回路遮断弁(BP1/BP2、TVBK2図9参照)は選択的圧力消散のために利用されなく及び開状態に在る。
【0081】
結果として、車輪VR2は時点3で阻止されなく、及び時点3でλ滑り限度を再びアンダーシュートする。段階的な圧力増強が時点3から続く。第1の段階で、圧力は、圧力pが再び到達され及びその後越えられるように、例えば前のΔPab値の70%だけ増加され、及び第2の工程で、さらに30%だけ増加される。この局面では、圧力変換器p/Uは圧力測定のために好適に使用される。滑り限度が再び時点4で越えられる。その後、圧力は、時点2におけるように再び低減され、その後、車輪が時点5で再び滑り限度をアンダーシュートするように再び段階的に増加される。このフィードバック制御方法は、フィードバック制御中は継続される。
【0082】
図7bは、特に2つの車輪ブレーキを有するブレーキ回路における「セレクト・ロー」フィードバック制御の例示的時間プロファイルを示す。ここで、圧力差ΔP=P-Pは相対的に僅かであり10%~20%の範囲内である。その結果、僅かな圧力差を有する車輪は不安定になる。これは均質な車道上の動作の指標である。「セレクト・ハイ」フィードバック制御の文脈で先に説明したように、圧力はΔPabだけ低減され及び段階的に再び増加される。しかし「セレクト・ハイ」フィードバック制御とは対照的に、「セレクト・ロー」フィードバック制御の場合の圧力は、ロー車輪が時点6で阻止状態から解放されるように、すなわち「セレクト・ハイ」フィードバック制御とは対照的にいかなる車輪も阻止状態では作動されないように、より強く消散される(例えばΔPab=40%)。圧力は、最初に車輪VR2及び次に車輪VR1が時点3でλ限度をアンダーシュートするまで低く維持されており;次に、再び段階的に増加されるだけである。車輪VR1の滑り限度は時点4で再び越えられ、及び圧力は再び低下されて、及びその後段階的に増加される。
【0083】
図7a、7bは「セレクト・ロー」/「セレクト・ハイ」フィードバック制御の一般的態様だけを示す。圧力レベルが「ハイ」車輪において低減される場合の「セレクト・ハイ」フィードバック制御における別の試験など多くの強化が考えられる。代替的に、「セレクト・ロー」車輪はまた、フィードバック制御無しに再び阻止状態から出て、及びλ限度を越え得る。この潜在的車輪速度プロファイルは図7aにおいてXにより識別される。その後、別の「セレクト・ロー」/「セレクト・ハイ」試験が、任意選択的に「セレクト・ハイ」フィードバック制御から「セレクト・ロー」フィードバック制御へ切り替わることにより発生し得る。
【0084】
既に説明したように、一例示的実施形態では、第2のエラー事象において、「セレクト・ロー」フィードバック制御から「セレクト・ハイ」フィードバック制御への切り替えは、車両が非均質硬質地面(例えば部分的凍結道路)上に位置するということを第1の制御装置9が検出すると第1の制御装置9を介し発生する。この目的のため、第1の圧力供給ユニット6による本発明によるブレーキシステム2が個々のブレーキ回路BK1、BK2において様々な圧力を調整し得るということが必要である。図1b、8、9により既に概略的に示された設計実施形態は特にこの目的のために好適である。この制御戦略が実施されるために、制御装置9は、車輪の阻止に繋がる個々の車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4における圧力を監視する。2つの車輪間の(特にブレーキ回路BK1、BK2内の)これらの圧力が互いに30%超だけ逸脱すれば、第1の制御装置9による切り替えが、前記エラー事象においてすら非常に正な制動結果を依然として達成するように「セレクト・ロー」フィードバック制御から「セレクト・ハイ」フィードバック制御へ発生する。
【0085】
図8は、第1のモジュール(Xブーストと呼ぶ)及び第2のモジュールを含むブレーキシステム2の回路図を示す。第1のモジュール(Xブースト)は、電動ドライブ8を有する第1の圧力供給ユニット6、マスタブレーキシリンダ22を有する第2の圧力供給ユニット14、及びブレーキペダルを有する活性化要素26を有する。さらに提供されるのは、様々な電磁弁及び逆止弁を有する弁設置部である。
【0086】
第2のモジュール(特に、第3の圧力供給ユニット90)は、電動ドライブを備えたポンプを有する電気的に駆動されるモータ/ポンプユニット91を含む。第3の圧力供給ユニット90は任意のESPユニットであり得る。好適なESPユニットは、独国特許出願公開第10 2014 205 645A1号に詳細に説明されている。代替的に、ESP機能の無い標準ABSユニットが第2のモジュールとして使用され得る。
【0087】
2つのモジュール(Xブースト及びESPユニット)は、2つのブレーキ回路BK1、BK2と加圧媒体とを衝突させるように規定され、ここで、モジュールは好適には直列に流体接続される。一例示的実施形態では、Xブーストは車両のスカットルへ固定され、2つの油圧インターフェース又は接続点A1、A2(BK1、BK2に関係する図8における太黒点参照)における第2のモジュール(ESPユニット)はそれぞれ、油圧ラインにより車両のスカットルへ接続される。
【0088】
第1の圧力供給ユニット6は第1の油圧ラインHL1を介し第1のブレーキ回路BK1又は対応インターフェースへそれぞれ接続される。さらに提供されるのは、第1の圧力供給ユニットを第2のブレーキ回路又は対応インターフェースへそれぞれ接続するための第2の油圧ラインHL2である。
【0089】
本発明によると、Xブーストの第2の圧力供給ユニット14は、ピストン24及びピストン室を有する1つのマスタブレーキシリンダ22だけを有する。例示的実施形態では、第2の圧力供給ユニット14は単一回路により及び第3の油圧ラインHL3を介し具現化され、フィード弁69はブレーキ回路BK1又は対応油圧インターフェースへそれぞれ接続される。第2の油圧ラインHL2への流体接続は任意選択的な第1の遮断弁BP1(点線の境界によりハイライトされる)を介し実行される。第2の圧力供給ユニット14は、エラーの無い(例えばブレーキ回路故障の無い)通常ブレーキ・バイ・ワイヤ動作において活性化要素26が行程シミュレータ28だけに作用するやり方でフィード弁69を閉じることによりブレーキ回路BK1、BK2から絶縁されることができる。
【0090】
図8のような例示的実施形態では、ブレーキ回路BK1、BK2は、存在すれば任意選択的な第1の遮断弁BP1(活性化されないと好適に開く)により絶縁されることができる。本発明によると、第1の圧力供給ユニット6の故障の際、第2の圧力供給ユニット14のマスタブレーキシリンダ22は、第1の遮断弁BP1を開くことにより、このようにして第1のブレーキ回路BK1だけへ、又は第1及び第2のブレーキ回路BK1、BK2へのいずれかで接続され得る。この緊急動作のために、フィード弁69は、活性化されない場合に開く弁として構成される。電流が依然として印加される限り、前記フィード弁69は、第2の圧力供給ユニット14がブレーキ回路BK1、BK2からもはや油圧的に切り離されないように開く。
【0091】
第1の圧力供給ユニット6は同様に、第2のブレーキ回路BK2(第1の遮断弁BP1は閉じられる)又は両方のブレーキ回路BK1、BK2に選択的に作用する(第1の遮断弁BP1は活性化されない場合に開かれる)。第1の遮断弁BP1は「第1の圧力供給ユニット6が両方のブレーキ回路BK1、BK2に圧力を供給し、及び第2の圧力供給ユニット14が、閉じられたフィード弁69により第1のブレーキ回路BK1から切り離される」ように通常動作時は開く。容積がブレーキ回路BK1、BK2から失われるということが確立されれば、ブレーキ回路BK1は、第1のブレーキ回路BK1内の漏洩の際に第2のブレーキ回路BK2が油圧液損失無しに作動され続け得るように、第1の遮断弁BP1により第1の圧力供給ユニット6から切り離され得る。
【0092】
例示的実施形態では、遮断弁BP1は電磁弁として具現化され、コネクタ(弁座コネクタ)による遮断弁BP1の球座は、第1の圧力供給ユニット6に至る油圧ラインの一部へ接続される。このようにして、遮断弁BP1はまた、第1のブレーキ回路BK1の故障の際に活性化することにより確実に閉じられ得、及び第1の圧力供給ユニット6の動作時に高圧により強制的に開かれない。
【0093】
第2の圧力供給ユニット14は、活性化要素26が活性化されると、活性化要素26の活性化の変数の関数として復元力の形式の漸進的触覚抵抗が感じられ得るように、マスタブレーキシリンダ22の壁内の排気穴を介し行程シミュレータ28を供給する。ここでの活性化の変数は、どれくらい「しっかりと及び/又はどれくらい遠く」、ドライバが、ブレーキペダルとして構成された活性化要素26を活性化するか、したがってピストン24をマスタブレーキシリンダ22へ押し込むかということを意味するものと理解され得る。漸進的触覚抵抗はペダル特性とも呼ばれる。
【0094】
行程シミュレータ弁29は行程シミュレータ28への接続を阻止するために提供され得る。
【0095】
第2の圧力供給ユニット14は、油圧ラインを介し貯蔵器40へ接続される少なくとも1つの排気穴38を有する。貯蔵器40は同様にブレーキシステム2の一部である。
【0096】
例示的実施形態では、スロットルDRだけでなく逆止弁RVHZは、排気穴38と貯蔵器40との間の油圧ライン内に配置され得る。この逆止弁RVHZ及び第1の圧力供給ユニット6により、第1の圧力供給ユニット6内だけでなく行程シミュレータ28内に配置された密封素子の保存の状態に関係する診断を行うことが可能である。行程シミュレータ弁29は(存在すれば)、マスタブレーキシリンダ22の密閉性を照査する際に閉じられ得る。
【0097】
図示のように、マスタブレーキシリンダ22は、環状シールとして構成される2つの密封素子42a、42bを有する。排気穴38は2つの密封素子42a、42bとの間に配置される。スロットルDRは、2つの密封素子42a、42bと貯蔵器40との間に配置される排気穴38間の接続部内に配置される。
【0098】
スロットルDRは、ペダル特性が密封素子42aの故障の際にほぼ変更されない(10秒内に3mmペダル行程)ようにその流量の観点で寸法決めされる。さらに、加圧媒体の温度関連容積補償がスロットルDRを介し発生し得る。
【0099】
ブレーキ回路BK1、BK2内の高圧ピーク(第1の圧力供給ユニット6に著しくストレスをかけ得る)が、第3の圧力供給ユニット90のABS動作中に生成され得る。図8による設計実施形態の変形形態では、圧力制限弁UVは、高圧ピークが消散され及びシステムへの損傷が回避されるように、穴を介し第1の圧力供給ユニット6のピストン室へ接続される。
【0100】
吸込弁NVは同様に、第1の圧力供給ユニット6のピストン室へ流体接続され、及び加圧媒体が貯蔵器40から再供給されることを可能にする。このようにして、第1の圧力供給ユニット6は、追加の加圧媒体をブレーキ回路BK1、BK2内へ独立に導入し得る。第1の圧力供給ユニット6のシリンダ内に設けられる追加排気穴は、第1の圧力供給ユニット6のピストンの初期位置における容積補償を可能にする。
【0101】
第3の圧力供給ユニット90は図8では概略的に示されるだけである。前記圧力供給ユニット90は最終的に、四輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4を供給する。概略図では、車輪ブレーキRB1、RB2は車両の前車軸VAを作動し、及び車輪ブレーキRB3、RB4は車両の後車軸HAを作動する。車両を駆動するための電気駆動モータが車両の後車軸HA上に位置する。車両は純粋な電気自動車又はハイブリッド車であり得る。
【0102】
第1のブレーキ回路BK1は車輪ブレーキRB1、RB2へ接続され、第2のブレーキ回路BK2は車輪ブレーキRB3、RB4へ接続される。対応割り振りは図8に示す油圧アセンブリにとって有利である。
【0103】
第3の圧力供給ユニット90はさらに、制御装置95(「ECU-ESP」)を保有する。
【0104】
第2の圧力供給ユニット14は同様に、貯蔵器40内の磁気フロートゲージNSの位置を検出するレベル検出器NSTを有するプリント回路基板を保有する。PCBはさらに、ピストン24とペダル行程との間の行程の距離の差だけでなくペダル行程を検出するためのセンサ30a、30bを有する。
【0105】
第3の圧力供給ユニット90のポンプを貯蔵器40へ接続する吸込弁70bが、第3の圧力供給ユニット90の追加加圧媒体を提供するために第1のブレーキ回路BK1内に設けられる。
【0106】
第3の圧力供給ユニット90のポンプが第2のブレーキ回路BK2の加圧媒体を必要とする場合、加圧媒体はこうして吸込弁70cを介し貯蔵器40から提供され得る。
【0107】
このようにして、加圧媒体を吸い込むために、2つのブレーキ回路BK1、BK2は、それぞれの油圧ラインHL1、HL2により、何れの場合も、1つの吸込弁70b又は70cそれぞれを介し貯蔵器40へ接続される。加圧媒体の最適吸い込みを実現するために、吸込弁70cは好適には、30mm~50mmの範囲内の直径(特には40mmの直径)を有する。
【0108】
例示的実施形態は任意選択的に、ブレーキパッドとディスクブレーキとの間のクリアランスの制御器を保有する。車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4(図8参照)は無摩擦車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4として構成され得る。ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムでは、ブレーキシステム内の圧力無しにクリアランスにより離間されたブレーキパッドを有するディスクブレーキが、摩擦抵抗が低減されることを可能にする。これは、本出願人により欧州特許第2,225,133号において説明されるように、ブレーキパッドのロールバックシール、復元スプリングの使用により、又は圧力供給器6により真空を生成することによりブレーキパッドを能動的に退避させることにより実現され得る。
【0109】
動作中可変である車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4内のクリアランスは、第1の圧力供給ユニット6により圧力プロファイルを評価することにより車輪個々又はブレーキ回路個々のやり方で測定され得る。本発明によると、対応する測定は、サービス時に又はそうでなければ車両の動作中に発生し得る。測定は、静止車両において又は制動後に好適に行われる。
【0110】
車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4の知られたクリアランス値を使用することにより、車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4を活性化する際のクリアランスは、最初に第1の圧力供給ユニット6のピストン行程制御により迅速に克服される。この点に関し、小さな時定数を有する第1の圧力供給ユニット6の電動ドライブ8としてブラシレスモータの使用は、クリアランスを克服する行為が、ブレーキを活性化する際に運転者がクリアランスを知覚すること無く実施され得るので、好まれることになる。
【0111】
さらに、ブレーキシステム2は、車両電気モータがクリアランスの局面において活性であるように制御され得る。このようにして、制動行為はブレーキを活性化する際に直ちに生成される。
【0112】
本発明の一例示的実施形態では、車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4のクリアランスの差は、第2のモジュール(ESPユニット)の入口弁EV1~EV4が活性化されるという点で及び/又は1つ又は複数の車両軸の電気モータが制動の始めに制動行為を生成するために利用されるという点で補償される。クリアランスにより、低速における新ブレーキシステムのスティックスリップ(stick-slip)効果は概して低減又は回避され得る。
【0113】
一例示的実施形態では、ESPユニットの故障(エラー事象4)における本発明によるブレーキシステム2は、間歇ブレーキの非常に単純な変形形態を実装する。車輪のロックは回避され、操縦可能性は、第1の圧力供給ユニット6のピストンを上側及び下側圧力範囲間で往復運動的やり方で移動させることにより、維持される。1チャネルABS動作とは対照的に、いかなる測定値(例えば圧力、車輪速度)も、この減速形式では必要とされない。
【0114】
自動間歇ブレーキは、本格的な車輪個々のABSと比較して十分な停止距離(ABSモードにおける停止距離の約200%)に至り、及び操縦可能性を維持することにより受容可能安定性に到る。
【0115】
本発明によるブレーキシステムは、ブレーキペダルがピストン24にだけ作用し、及びフィード弁69によりブレーキ回路BK1、BK2から絶縁されるという決定的利点を提供し得る。このようにして、Xブースト又はXブースタそれぞれを有する自動間歇ブレーキの機能は、従来技術(国際公開第2011/098178号)とは対照的に、運転者により妨害され得ない。
【0116】
間歇ブレーキの代わりに、「セレクト・ロー」フィードバック制御による1チャネルABS動作(エラー事象3における)が実施され得る。これは、停止距離のさらなる劣化(本格的な車輪個々のABSによる停止距離と比較して約400%停止距離)に至るが、無制限車両安定性に到り、及びこの特徴の観点で、間歇ブレーキより優れている。1チャネルABS動作のこの形式では、通信リンク/インターフェース(例えばCANインターフェース)を介しESPユニットからインポートされ得る例えば圧力及び車輪速度などの測定値が必要とされる。
【0117】
図8による本発明によるブレーキシステム2の可用性をさらに増加するために、第1の圧力供給ユニット6の電動ドライブ8は、2つの冗長な三相ストランドを介しXブーストの制御ユニット9(ECU-DV)へ接続され、及び電動システムは(部分的に)冗長となるように具現化される。例えば、2つのB6ブリッジがストランド毎に設けられ得る。さらに、少なくとも1つの例示的実施形態では、電子システムは2つの冗長電源へ接続される。このようにして、電動ドライブ8の故障確率は4-10の係数だけ低減され得、エラー事象(第1の圧力供給ユニット6の故障)はさらに著しく低減され得る。
【0118】
ESPユニット90の制御装置95及びXブーストの制御ユニット9(ECU-DV)は通信リンク100(例えばCANバス)を介し互いに接続される。この点で、ドライブ91の活性化及び/又は設けられた弁の活性化を引き起こす制御コマンドが第3の圧力供給ユニット90へリリースされることが可能である(図8も参照)。
【0119】
次の安全性関連冗長性が、図8のようにブレーキシステム2を使用することにより実施され得る:
- 以下のブレーキ回路故障における法的要件を満たすための十分な制動行為を保証すること:a)第2の圧力供給ユニット14の故障、b)第1の圧力供給ユニット6の故障、又はc)第1の圧力供給ユニット6及び第3の圧力供給ユニット90の故障(同時)、すなわち2重エラーにおける法的要件も満たすこと:
○ エラー事象1 - 第3の圧力供給ユニット90の故障:両方のブレーキ回路BK1、BK2内の第1の圧力供給ユニット6を介しブレーキ力を増強することによる減速;
○ エラー事象2 - 第3の圧力供給ユニット90及びブレーキ回路BK1の故障:例えば後車軸上の第1の圧力供給ユニット6を介しブレーキ力を増強することによる減速;
○ エラー事象3 - 第3の圧力供給ユニット90及び第2のブレーキ回路BK2の故障:例えば前車軸上の第2の圧力供給ユニット14による減速(第1の遮断弁BP1が閉じた)
○ エラー事象4 - 第1の圧力供給ユニット6の故障:第3の圧力供給ユニット90を介しブレーキ力を増強することによる減速;
○ エラー事象5 - 第1の圧力供給ユニット6及び第1のブレーキ回路BK1又は第2のブレーキ回路BK2の故障:ブレーキ回路BK1、BK2の1つ内の第3の圧力供給ユニット90を介しブレーキ力を増強することによる減速(1つの軸上の車両電気モータにより任意選択的に助長される);
○ エラー事象6 - 第1の圧力供給ユニット6及び第3の圧力供給ユニット90の故障:前車軸VA上のマスタブレーキシリンダによる及び任意選択的に後車軸HA上の電気駆動モータによる制動;
○ エラー事象7 - オンボードネットワークの故障:任意選択的に前車軸VA及び後車軸HA上の第2の圧力供給ユニット14による制動;
- 第3の圧力供給ユニット90を介し第1のブレーキ回路BK1内の圧力を生成し、第1の遮断弁BP1は閉じた状態で第1の圧力供給ユニット6を介し第2のブレーキ回路BK2内の圧力を生成し、及び第2の圧力供給ユニット14のセンサアセンブリを介し第1の圧力供給ユニット6を制御することによるESPユニットの故障における電子的ブレーキ力分散(EBV:electronic brake force distribution)。この目的を達成するために必要とされるのはS/Wブレーキ回路分割である、すなわち前車軸VAの車輪は第1のブレーキ回路BK1へ接続され、及び後車軸HAの車輪は第2のブレーキ回路BK2へ接続される;
- ブレーキパッドとディスクブレーキとの間のクリアランスを制御すること;
- ESPユニットの弁を作動させる際の4チャネルABS動作及び/又はヨー・トルクフィードバック制御;
- 自動間歇ブレーキの1チャネルABS動作又は実装。
【0120】
図9は、図8によるXブーストの代替設計実施形態を示す。図8による例示的実施形態とは対照的に、第2の遮断弁TVBK2図9の第2の油圧ラインHL2内に配置される。この第2の遮断弁TVBK2は、第2のブレーキ回路BK2が第1の圧力供給ユニット6から油圧的に切り離されることを可能にする。このようにして、第1の圧力供給ユニット6は、第1のブレーキ回路BK1内、又は第2のブレーキ回路BK2内、又は両方のブレーキ回路内に加圧媒体を選択的に提供し得る。容積損失が第2のブレーキ回路BK2内に検出されると、第2のブレーキ回路BK2は切り離され得る。
【0121】
さらに、図9による例示的実施形態は、第3の遮断弁BP2が第1のブレーキ回路BK1の第1の遮断弁BP1と第1の接続点A1との間の第1の油圧ラインHL1内に設けられるという点で異なる。この第3の遮断弁BP2は好適には、第1の遮断弁BP1と第3の遮断弁BP2との間の油圧接続内の第3の油圧ラインが第1の油圧ラインHL1内へ開くように配置される。第3の遮断弁BP2は、第1のブレーキ回路BK1が第1の圧力供給ユニット6からだけでなく第2の圧力供給ユニット14からも油圧的に切り離されることを可能にする。したがって、故障した第1の圧力供給ユニット6の場合、第2の圧力供給ユニット14から始まる加圧媒体がフィード弁69、第1の遮断弁BP1及び第2の遮断弁TVBK2を介し第2のブレーキ回路BK2内へ導入されることが可能である。いかなる加圧媒体も、第3の遮断弁BP2が閉じられると第1のブレーキ回路BK1内へ投与されない。
【0122】
次の安全性関連冗長性は、図9のようにブレーキシステム2を使用することにより実施され得る:
- 1つ又は複数の圧力供給ユニットの故障の際に十分な制動行為を保証すること、
○ エラー事象1~7:実施形態1を参照;
○ エラー事象8 - フィード弁69の故障(例えば漏洩)又は電気的作動の故障:行程シミュレータ28が完全に効果的であるように遮断弁BP1及びBP2により第3の油圧ラインHL3を閉鎖すること;第1の圧力供給ユニット6がブレーキ回路BK2内の車輪圧を調整する。及び/又はESPユニットがブレーキ回路BK1及びBK2の両方内の車輪圧を調整する、
○ さらなる自由度:ブレーキ回路の故障の際にマスタブレーキシリンダの圧力をブレーキ回路BK1又はBK2内へ選択的に供給すること;
- ESPユニットの弁を作動させる際に4チャネルABSフィードバック制御及び/又はヨー・トルクフィードバック制御を保証すること、
- セレクト・ロー及びセレクト・ハイ方法による2チャネルABS動作、又は車輪回転速度センサによるセレクト・ロー方法による1チャネルABS;
- 第2の圧力供給ユニット14を介しブレーキ回路BK1内の圧力を生成し、閉じた第1の遮断弁BP1により第1の圧力供給ユニット6を介しブレーキ回路BK2内の圧力を生成し、及び第2の圧力供給ユニット14のセンサアセンブリを介し圧力供給を制御することによるESPユニットの故障における電子的ブレーキ力分散(EBV)。この目的を達成するために必要とされるのはS/Wブレーキ回路分散であり、ブレーキ回路内へのブレーキ力分散は、遮断弁BP1、BP2及びTVBK2を介し制御される。本発明によると、好適な圧力を印加するための第1の圧力供給ユニット6のピストンは往復ストローク運動で制御され得る。任意選択的に、圧力の調整は弁、特に遮断弁のPWM制御を介し発生し得る;
- クリアランス制御は図8の例示的実施形態において既に具現化されている。図9のような例示的実施形態は、遮断弁BP1、TVBK2を順次開くことによるブレーキ力増強操作に先立つ対応パイロット制御により、ブレーキ回路BK1、BK2の車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4内の等しくないクリアランスを補償する追加可能性を提示する。代替的に、ブレーキ回路BK1、BK2への異なる流れ断面が確立され、及び等しくないクリアランスが同時に補償され得るように、PWM操作も使用され得る。ここではS/Wブレーキ回路分割が好適である。この方法は、ブレーキ回路遮断弁がXブーストモジュールの構成部品であるので容易に可能であり、及び故障に対するいかなる時間遅延及び脆弱性もなく実施され得る(例えばXブースト及びESPユニット間のインターフェースを利用することにより)。このようにして、ブレーキシステムは、例えばクリアランスが前車軸上のブレーキパッド上に設けられないが後車軸上に設けられるやり方で設計され得る。このようにして、第1の圧力供給ユニット6の故障は、圧力が活性化ユニットにより生成され及び前車軸VAの車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4に対し本発明に従って働く場合の制動における時間遅延に到らない。さらに、より大きな制動行為が前車軸VAにより生成され得る。
【0123】
ヨー・トルクフィードバック制御中の第1のエラー事象において圧力を消散する(図11参照)又は圧力を増強する(図11参照)間の第3の圧力供給ユニット(ESPユニット)の回路図が図10図11にそれぞれ示される。原理的に、ここでのフィードバック制御は、第1のエラー事象において同様に可能な4チャネルABSと同様なやり方で行われる。しかし、ヨー・トルクフィードバック制御の場合、圧力増強だけでなく圧力消散は(4チャネルABSフィードバック制御とは対照的に)、USV弁だけでなく入口弁EV1-EV4も介し発生する。流れにとって適切な開かれた弁は、図11だけでなく図10にもそれぞれアスタリスク(*)を備える。他の電磁弁の状態は明示的に説明されない。例えば、少なくとも入口弁EV2、EV3、EV4がこうして、圧力消散中に能動的活性化により閉じられる。弁がPWM信号により作動可能な弁である限り、本出願の文脈で「開く」はまた、これらの弁は所定開口断面がこれにより確立されるようにPWM信号による作動により作動されるということを意味するものと理解され得る。このようにして、それぞれの弁を通る流量はPWM信号により弁を作動させることにより制御され得る。具体的には、図10、11の入口弁EV1-EV4及び弁USV1、USV2はPWM信号により作動可能である。このようにして、以下に説明される状況において、これらの弁を通る流量がそれぞれ、フィードバック制御されるか又は制御されることができる。
【0124】
車輪ブレーキRB4内の圧力増強中の車輪選択的ヨー・トルクフィードバック制御は図10に例示的なやり方で示される。この目的を達成するために、それぞれの車輪ブレーキ(ここでは車輪ブレーキRB4)へ割り当てられる入口弁EV1及びそれぞれのブレーキ回路(ここでは、第1のブレーキ回路BK1)へ割り当てられる遮断弁USV2は、加圧媒体の流れにより貫通される。この実施形態における弁は、前記弁が非活性化開状態において受動的に開かれ、及び加圧媒体の流量を双方向に許容するので能動的に活性化される必要はない。車輪ブレーキRB4内の選択的圧力生成のために、圧力が増強されない(RB1-RB3の)他の入口弁EV1-EV3は電磁弁が開状態から活性化閉状態へ移動されるやり方で作動される。この文脈では、活性化されない場合に開かれる弁の場合の作動は、入口弁EV1-EV3が閉じられる(すなわち加圧媒体を導かないように切り替えられる)ということを意味するものと理解され得る。同様に、車輪ブレーキRB4内の選択的圧力生成のためのHSV弁は閉じられる(すなわち、加圧媒体を導かないように切り替えられる)。
【0125】
このようにして、遮断弁USV2及び入口弁EV4を介した第1の圧力供給ユニット6からの圧力の影響は車輪ブレーキRB4に対し排他的に発生する(矢印により概略的に指示される)。車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4に加えて、ヨー・トルクは複数の車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4内で生成され得る。この目的を達成するために、車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4内のそれらの入口弁EV1-EV4は何れの場合も閉じられ、圧力が増強されることはない。この強化によりヨー・トルクが例えば1つの車両側の2つの車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4内で同時に生成され得る。ブレーキ回路は通常、白黒又は対角となるように具現化されるので、この事例では、結果的に1つのブレーキの回路の1つの車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4が何れの場合も圧力により影響を受ける。第1のモジュールの回路遮断弁BP1/BP2、TVBK2の順次操作又は同時多重操作の結果としてヨー・トルクフィードバック制御のさらなる潜在的強化が可能である(図9による実施形態)。このようにして、車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4(例えば右後方車輪のRB4)内の圧力は、回路遮断弁TVBK2が圧力弁に到達次第、この圧力を維持するために閉じられる圧力レベルにされ得る。
【0126】
さらに、別の圧力レベルが、他のブレーキ回路の車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4(例えば右側前輪のRB2)内で調整され得、第2のブレーキ回路遮断弁BP1又は代替的にBP2が圧力を維持するために閉じられる。ブレーキ回路遮断弁BP1/BP2及びTVBK2は、車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4の入口弁が、並列に接続された逆止弁を有するので圧力を維持するために必要とされる。このようにして、第2のモジュール(ESPユニット)内の圧力を維持することは、圧力が消散した場合、又はより低い圧力レベルが第2のブレーキ回路内で調整される場合不可能である。したがって、以下の状態は、図10による圧力増強のための第3の圧力供給ユニット90の関連弁の結果である:
HSV1:閉じられた(活性化されていない)
HSV2:閉じられた(活性化されていない)
EV4:開かれた(PWM方法により活性化されない場合又は活性化された場合に開かれた:すなわち、部分的に開かれた)
EV1-EV3:閉じられた(活性化された)
すべての他の弁は油圧(特に非活性化)初期状態
【0127】
図11に示す圧力消散の場合、例えば、加圧媒体の戻りが、似ているが反転されたやり方で車輪ブレーキRB4から入口弁EV4及び遮断弁USV2を介し第1の圧力供給ユニット6まで発生する。類似したやり方で、次に、圧力消散はまた複数の車輪ブレーキにおけるヨー・トルク調停の際に発生する。ここでもまた、多重化方法が好適に使用される。
【0128】
一実施形態では、複数の車輪ブレーキRB1、RB2、RB3、RB4(特に、4つすべて)が追加的に、類似したやり方で個々に及び車輪選択的に作動され得、したがって、車輪選択的ヨー・トルクフィードバック制御が実施され得る。代替的に又は追加的に、一実施形態におけるヨー・トルクフィードバック制御は、1つのブレーキ回路の2つの車輪ブレーキが何れの場合も併せて作動されるようにブレーキ回路選択的やり方で発生し得る。
【0129】
具体的には、以下の状態が、図11による圧力消散のための第3の圧力供給ユニット90の関連弁に関して導出される:
HSV1:閉じられた(活性化されていない)
HSV2:閉じられた(活性化されていない)
EV4:開かれた(PWM方法により活性化されない場合又は活性化された場合に開かれた:すなわち、部分的に開かれた)
USV1:閉じられた(活性化されると閉じられる)
EV1-EV3:閉じられた(活性化された)
すべての他の弁は油圧(特に非活性化)初期状態
【0130】
この時点で、上述のすべての部品は何れの場合も個々に、-それぞれの文脈で追加的に説明された特徴が無くても、前記特徴がそれぞれの文脈で任意選択的特徴として個々に明示的に識別されなくても、例えば「特に」、「好適には」、「例えば」(例えば「任意選択的に」、括弧など)を使用することにより - 及び特に本明細書と特許請求の範囲の導入部においてそれぞれ定義されるように本発明の独立設計実施形態又は精緻化として組み合わせ又は任意のサブ組み合わせで、考慮されるべきであるということが指摘される。これらからの乖離が可能である。具体的には、用語「特に」又は括弧付きはそれぞれの文脈において必須である特徴を識別しないということが指摘される。
【符号の説明】
【0131】
2 ブレーキシステム
6 第1の圧力供給ユニット
8 電動ドライブ
9 制御装置(ECU-DV)
14 第2の圧力供給ユニット
22 マスタブレーキシリンダ
24 ピストン
26 活性化要素
28、WS 行程シミュレータ
28a、28b 行程シミュレータの密封素子
29 行程シミュレータ弁
30a、30b ペダル行程センサ
38 第2の圧力供給ユニットの排気穴
40 貯蔵器
42a、42b 補助ピストンの密封素子
69 フィード弁
70b、70c、80d 吸込弁(逆止弁)
RV1、RV2、NV 吸込弁(逆止弁)
RVHZ 逆止弁(マスタシリンダ)
74、PD1、PD2 遮断弁
80、UV 圧力制限弁
90 第3の圧力供給ユニット
91 モータ/ポンプユニット
95 ESPユニットの制御装置
100 通信リンク(CANバス)
A1、A2 接続点
B1、B2 電気的接続(三相)
P ポンプ
M モータ
BP1、TV1 第1の遮断弁
TVBK2、TV2 第2の遮断弁
BP2 第3の遮断弁
RB1、RB2、RB3、RB4 車輪ブレーキ
DR スロットル
BK1 第1のブレーキ回路
BK2 第2のブレーキ回路
HL1 第1の油圧ライン
HL2 第2の油圧ライン
HL3 第3の油圧ライン
HL4 第4の油圧ライン
VA 前車軸
HA 後車軸
NS フロートゲージ
NST レベル検出器
HSV1、HSV2 ESPユニットの遮断弁
USV1、USV2 ESPユニットの遮断弁
AV1、AV2、AV3、AV4 ESPユニットの出口弁
EV1、EV2、EV3、EV4 ESPユニットの入口弁
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2025-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキシステムであって、
電動ドライブを有する第1の圧力供給ユニット、活性化要素を有する第2の圧力供給ユニット、及び前記第1の圧力供給ユニットを制御するための第1の制御装置を含む第1のモジュールであって、前記第1のモジュールは、第1の接続点経由で少なくとも1つの第1のブレーキ回路及び第2の接続点経由で少なくとも1つの第2のブレーキ回路に加圧媒体を供給するように設定され、前記ブレーキ回路車輪ブレーキに割り当てられる、第1のモジュールを備え
前記ブレーキシステムは、前記第1の圧力供給ユニットにより真空を生成することによって前記車輪ブレーキの少なくとも1つのブレーキパッドの能動的退避を実施するように構成される、
ブレーキシステム。
【請求項2】
第1のエラー事象を検出するように構成された検出ユニットをさらに備え、前記ブレーキシステムは、前記第1のエラー事象において、第2のモジュールの少なくとも1つのブレーキ圧力調整弁、及び/又は前記第2のモジュールの1つ又は複数の遮断弁、並びに前記第1の圧力供給ユニットを作動させる間に前記車輪ブレーキ内の圧力の調整を実施するように適合される、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記ブレーキシステムは、圧力プロファイルを評価することにより、車輪個々又はブレーキ回路個々のやり方で、車輪ブレーキ内のクリアランスを測定するように適合される、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記ブレーキシステムは、車輪ブレーキを活性化する際に、前記第1の圧力供給ユニットのピストン行程制御により、車輪個々のクリアランス又はブレーキ回路個々のクリアランスを克服するように構成される、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記電動ドライブはブラシレスモータを備え、前記ブレーキシステムは、前記車輪ブレーキのうちの少なくとも1つを活性化する際に、運転者が前記ブレーキシステムを活性化する際に遅延を知覚しないように、前記第1の圧力供給ユニットのピストン行程制御により迅速にクリアランスを克服するように構成される、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
ブレーキシステムであって、
車輪ブレーキと、
電動ドライブを有する第1の圧力供給ユニット、及び前記第1の圧力供給ユニットを制御するように適合された第1の制御装置を含む第1のモジュールであって、前記第1のモジュールは、第1の接続点経由で少なくとも1つの第1のブレーキ回路及び第2の接続点経由で少なくとも1つの第2のブレーキ回路に加圧媒体を供給するように設定され、前記ブレーキ回路がそれぞれの車輪ブレーキに割り当てられる、第1のモジュールと、を備え、
前記車輪ブレーキは、クリアランスの確立を可能とするためのロールバックシール及び/又は復元スプリングを含み、前記ブレーキシステムは、
a)少なくとも1つの車輪個々のクリアランス又はブレーキ回路個々のクリアランスを特定して、
b)それぞれの車輪ブレーキを活性化する際に前記第1の圧力供給ユニットのピストン行程制御によって、前記それぞれの車輪ブレーキに関連する前記少なくとも1つの車輪個々のクリアランス又はブレーキ回路個々のクリアランスを克服すること、を行うように構成される、
ブレーキシステム。
【請求項7】
第2の圧力供給ユニット、前記車輪ブレーキ内の圧力を調整するための遮断弁及びブレーキ圧力調整弁、並びに前記ブレーキ圧力調整弁を制御するように構成された第2の制御装置を含む第2のモジュールをさらに備える、請求項6に記載のブレーキシステム。
【請求項8】
前記ブレーキシステムは、前記第2のモジュールの前記ブレーキ圧力調整弁に含まれる1つ又は複数の入口弁を活性化することにより、前記車輪ブレーキの前記クリアランスの差を補償するように構成される、請求項7に記載のブレーキシステム。
【請求項9】
前記ブレーキシステムは、車両電気モータが制動行為を生成するように、前記車輪ブレーキの前記クリアランスを克服する段階において、前記車両電気モータを制御するように構成される、請求項6に記載のブレーキシステム。
【請求項10】
前記第2のモジュールの前記遮断弁のうちの少なくともいくつかは、前記ブレーキ圧力調整弁と前記接続点との間の油圧接続を確立するように配置及び構成される、請求項2に記載のブレーキシステム。
【請求項11】
通信リンクが前記第1の制御装置と前記第2の制御装置との間に構成される、請求項7に記載のブレーキシステム。
【請求項12】
前記第1の制御装置は、前記通信リンク経由で前記第2の圧力供給ユニットの圧力測定値及び/又は車輪回転速度信号を受信するように構成される、請求項11に記載のブレーキシステム。
【請求項13】
活性化要素により活性化される単一ピストンを有するマスタブレーキシリンダを含む第2の圧力供給ユニットをさらに備える、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項14】
車輪ブレーキを有するブレーキシステムを制御する方法であって、
車輪個々のクリアランス又はブレーキ回路個々のクリアランスを特定することと、
前記車輪ブレーキのうちの少なくとも1つを活性化する際に、第1の圧力供給ユニットを制御して前記車輪個々のクリアランス又は前記ブレーキ回路個々のクリアランスを克服することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記クリアランスの差は、電子安定システム(ESP)ユニットの入口弁を活性化することにより補償される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
-車輪ブレーキと、
-電動ドライブを有する第1の圧力供給ユニットを含む第1のモジュールと、
-第2の圧力供給ユニット、前記車輪ブレーキ内の圧力を調整するように構成されたブレーキ圧力調整弁、及び前記ブレーキ圧力調整弁を制御するように構成された第2の制御装置を含む第2のモジュールと、を有するブレーキシステムを制御する方法であって、
前記方法は、前記第1の圧力供給ユニットを使用して真空を生成することにより、前記車輪ブレーキのうちの少なくとも1つの車輪ブレーキの少なくとも1つのブレーキパッドを能動的に退避させることを含む、
方法。
【請求項17】
前記第2のモジュールの前記ブレーキ圧力調整弁の中の1つ又は複数の入口弁を活性化することにより、前記車輪ブレーキ内のクリアランス間の差を補償することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【外国語明細書】