(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001561
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20241225BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241225BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
H02J3/00 130
H02J3/00 170
H02J3/00 180
H02J3/32
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101210
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】大槻 知史
(72)【発明者】
【氏名】葛西 智広
(72)【発明者】
【氏名】四辻 嵩直
(72)【発明者】
【氏名】新垣 隆生
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA03
5G066AA02
5G066AA03
5G066AE03
5G066AE09
5G066JA01
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】需要家全体としての電力調整可能量を算出する。
【解決手段】本実施形態の情報処理装置は、第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する、処理部を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する、処理部
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記需要家において前記蓄電池が充放電可能に接続されているまたは接続されていない時間である接続/未接続時間の履歴に基づき、前記第2期間における前記蓄電池の接続/未接続時間を推定し、前記接続/未接続時間の推定値に基づき、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記第2期間における前記1または複数の需要家の電力デマンドの情報を取得し、前記電力デマンドの情報にさらに基づき、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記需要家における第3期間のメータ値の履歴に基づき、前記第2期間における前記需要家の電力デマンドを推定し、推定した前記電力デマンドにさらに基づいて、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記電力デマンドと、前記蓄電池の充放電の前記履歴とに基づき、前記第2期間における前記蓄電池の充電出力値及び放電出力値を時刻毎に推定し、推定した前記充電出力値及び前記放電出力値と、推定した前記電力デマンドとにさらに基づき、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記蓄電池の充放電動作に関して予め設定された制御にさらに基づき需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能を算出する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記第2期間における複数の前記需要家の前記蓄電池の残量の推定値を含む複数のシナリオを生成し、前記シナリオごとに前記電力調整可能量を推定し、前記シナリオごとに推定した前記電力調整可能量から、前記電力調整可能量を選択する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記蓄電池の充放電の前記履歴と、前記接続/未接続時間の履歴とに基づき、前記第2期間における複数の前記需要家の前記蓄電池の残量の推定値と前記接続/未接続時間の推定値とを含む複数のシナリオを生成し、前記シナリオごとに前記電力調整可能量を推定し、前記シナリオごとの前記電力調整可能量から前記電力調整可能量を選択する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記電力調整可能量に基づき、前記第2期間に対する需給調整市場への入札量を決定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、決定した前記入札量を示すデータを、前記需給調整市場の処理を行う需給調整市場システムに送信する
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、前記第2期間を分割するブロック数と、前記ブロック毎の価格とを入力とし、前記第2期間を前記ブロック数で分割したブロック毎に前記電力調整可能量を推定し、前記ブロック毎の前記電力調整可能量を制約条件として、前記ブロック毎の単価と前記ブロック毎の前記複数の需要家からの電力の調達量とを乗算及び総和した値を最大化または準最大化するように前記ブロック毎の前記調達量を算出し、前記ブロック毎の電力デマンドの計画値と、前記ブロック毎に推定される前記電力デマンドとの差分から前記ブロック毎の調達量を除いた電力量を前記ブロック毎の電力取引市場への入札量として決定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記処理部は、決定した前記ブロック毎の前記入札量を示すデータを、前記電力取引市場の処理を行う電力取引市場システムに送信する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第2期間は、デマンドレスポンスの対象時間帯である
請求項1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記処理部は、前記第2期間を指定した前記デマンドレスポンスの指令情報を受信し、前記指令情報に基づき、前記第2期間において前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充放電を制御する
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する
情報処理方法。
【請求項16】
第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定するステップと、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項17】
1または複数の需要家の蓄電池と、
第1期間における前記蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する
処理部と、
を備えた情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の安定化のため電力需給を調整し、需給バランスをとることが求められている。一方で、住宅のEV(Electric Vehicle)や蓄電池は、有休の容量(使用されずに蓄電池に蓄積されている充電量)が大きく、多数集めれば一定規模のリソースとなり得る。したがって、住宅のEVや蓄電池を多数集めて電力調整力を確保し、需要家群の合計需要を電力調整力の上下限範囲内に収めることで、電力需給バランスをとることが考えられる。
【0003】
しかしながら、住宅需要家ではデマンドの変動が大きく、需給調整が難しい場合がある。また、住宅のEVや蓄電池は、経済優先モードや給湯器のスケジューリングなどの充放電制御が住宅側で設定されていることが多い。設定されている制御の内容が外部からは分からないため、住宅側が充放電要請にいつでも応答できるとは限らない。また住宅にEVが不在の時間帯があるため、充放電要請への応答の不確実性が大きい。また需要家における実際の充放電量は、蓄電池の出力特性ではなく、(蓄電池の可能な出力より小さいことが多い)契約電力や、逆潮流の制約(例えば蓄電池からの逆潮流が禁止されることがある)により決まることも多い。
【0004】
以上のような不確定性のため、需給調整の要請であるDR(デマンドレスポンス)要請時における需要家の電力調整可能量(DR可能量)を事前に算出することは困難である。一方で、需給調整市場においては前日以前に入札量を決定する必要がある。また、経済DRにおいても、事前に電力調整可能量を知ることが望ましい。したがって、不確実な条件下で、電力調整可能量を事前に高い精度で計算することが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-139181号公報
【特許文献2】国際公開第2015/045337号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、需要家全体としての電力調整可能量を算出することを可能にする情報処理装置、情報処理方法、情報処理システム及びコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の情報処理装置は、第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する、処理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に関わる全体システム構成の概略を示す図。
【
図3】三次調整力[1]、及び三次調整力[2]の要件を詳細に示す図。
【
図4】VPP実証における制御指示のフローとRA(リソースアグリゲータ)の位置づけを示す図。
【
図5】VPP実証における実績値算出のフローを示す図。
【
図6】三次調整力[2]の事前審査方法を説明する図。
【
図7】三次調整力[2]の事前審査方法を説明する図。
【
図8】三次調整力[1]における成功判定の例を説明するための図。
【
図9】本実施形態に係るDR可能量推定装置と需要家の構成を示すブロック図。
【
図10】
図9に示した構成から一部の要素を省いた簡易構成を示すブロック図。
【
図11】SoC時系列推定値及び未接続時系列推定値の例を示す図。
【
図13】需給調整市場の場合のDR内容情報の例を示す図。
【
図14】経済DRの場合のDR内容情報の例を示す図。
【
図16】元の蓄電池制御を考慮しない場合の充放電可能量計算結果の例(A)の蓄電池制御を考慮する場合の充放電可能量計算結果の例(B)を示す図。
【
図17】元の蓄電池制御を考慮する場合の充放電可能量計算の補足説明図。
【
図21】上げDRの場合におけるDR可能量情報を表す図。
【
図22】DR内容情報の例(A)と、各係数の値の例(B)と、DR可能量の算出結果の例(C)を示す図。
【
図24】推定ずれリスクを考慮する場合のフローチャートの例を示す図。
【
図27】本実施形態に情報処理装置であるDR可能量推定装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に関わる全体システム構成の概略を示す図である。
【0011】
本実施形態は、大きく、電力を使用しかつ蓄電池27を保有する需要家10と、それぞれの需要家10に対して電力を供給する電力会社700と、電力需給の制御指令(図の例では電力削減指令)を出すDRAS(Demand Response Application Server)等の上位システム600と、需要家10を仲介するアグリゲーター200とを備える。図の例では需要家全体の需要(消費電力量)を減らすことを要請する「下げDR」を想定し、制御指令として削減指令を出しているが、需要家全体の需要(消費電力量)を増やすことを要請する「上げDR」の場合には、電力の消費指令を出すことになる。アグリゲーター200は、電力系統の運用に際して、発電又は配電を行う電力供給業者等の電力会社700と、電力を使用する需要家10とを仲介して、電力削減を目指す。アグリゲーター200は、電力会社700に対し電力削減を約束する一方で、配下の需要家10に電力削減計画(例えば蓄電池27の充放電計画)を作成し、計画に沿って需要家10に充電又は放電を要請する。この要請をデマンドレスポンス(DR)要請と呼ぶ。これにより、アグリゲーター200は、需要家全体としての電力削減の目標を達成することを目指す。このためアグリゲーター200は、需要家全体の電力調整可能量(DR可能量)を高い精度で推定するDR可能量推定装置100を備える。
【0012】
需要家10としては、主に住宅(低圧需要家)を想定するが、オフィスビル、商業ビル、公共施設、工場、等の高圧需要家や特別高圧需要家などであってもよい。また、電力会社700と上位システム600は一体であってもよい。また、電力会社700は、発電から配電までを一体的に運営する事業者であってもよいし、電力送配電事業者、小売事業者及び発電事業者の少なくともいずれか1つの事業者であってもよい。
【0013】
アグリゲーター200は、上位システム600からの削減指令に従って、需要家10に対してDRを要請(充電又は放電を要請)する。アグリゲーター200は本実施形態に係るDR可能量推定装置100を用いて、上位システム600からの削減指令と需要家10の情報(需要家情報)とに基づき、需要家10が保有する蓄電池27の充放電計画(DR計画)を作成する。アグリゲーター200は、DR計画に基づき、配下の需要家10に、蓄電池27に対する制御指令であるDR要請(充電又は放電の要請)を行う。これにより、アグリゲーター200は、需要家全体としての電力の削減目標を達成する。需要家10の蓄電池27は、アグリゲーター200からの充電又は放電の要請に従って、充放電を制御する。放電された電力は需要家宅内で利用される場合、卸電力取引市場で電力を売却した場合に売却先に電力を供給する場合などがあり得る。
【0014】
アグリゲーター200が上位システム600及び電力会社700の少なくとも1つに含まれていてもよい。またアグリゲーター200が2つの階層以上の構造となっており、上位システム600の代わりに、親アグリゲーターが子アグリゲーターに指令し、子アグリゲーターのDR可能量推定装置100が、親アグリゲーターと需要家10の間を仲介する構造であってもよい。アグリゲーター200は、後述する需給調整市場の処理を行う需給調整市場システム、または、電力取引市場(卸電力取引市場とも呼ぶ)の処理を行う電力取引市場システムに入札を行う機能を備えていてもよい。
【0015】
以下では、本実施形態の概要について、2021年度に開始した需給調整市場制度を想定して説明する。
【0016】
図2は、需給調整市場の商品区分を示す。
図2は、第13回需給調整市場検討小委員会資料2より抜粋した資料に基づく。2021年度に開始した需給調整市場では、応動時間等の違いに応じて、5種類の商品が提供される。応動時間は、上位システム600から削減指令(削減要請とも呼ぶ)が出されてから、削減指令に反応までの時間である。5種類の商品は、一次調整力、二次調整力[1]、二次調整力[2]、三次調整力[1]、三次調整力[2]を含む。ネットワーク経由で需要家(住宅)を束ねるアグリゲーションの場合、少なくとも1分程度の通信遅延が想定されるため、三次調整力[1]、三次調整力[2]の2種類が主なターゲットと考えられる。
【0017】
図3は、三次調整力[1]、及び三次調整力[2]の要件を詳細に示す。
図3は、令和2年度VPP事業共通実証仕様書より抜粋した資料に基づく。
【0018】
例えば三次調整力[2]は、
図3又は前述の
図2に示すように、応動時間が45分以内となっている。また、継続時間(持続時間)は、商品ブロック時間である3時間となっており、指令間隔(指令値変更間隔)が30分となっている。
【0019】
ここで商品ブロック時間とは、
・0時00分から3時00分まで
・3時00分から6時00分まで
・6時00分から9時00分まで
・9時00分から12時00分まで
・12時00分から15時00分まで
・15時00分から18時00分まで
・18時00分から21時00分まで
・21時00分から24時00分まで
のいずれかのことである。いずれの商品ブロック時間においても、継続時間は3時間である。指令間隔(指令値変更間隔)が30分であるため、例えば、15時00分から18時00分までの商品ブロック時間の場合には、
・15時00分から15時30分まで
・15時30分から16時00分まで
・16時00分から16時30分まで
・16時30分から17時00分まで
・17時00分から17時30分まで
・17時30分から18時00分まで
の30分帯ごとに指令値(削減指令値等)が決定される。
【0020】
さらに応動時間45分以内であることから、例えば、15時00分から15時30分までの期間に対する削減指令値は、14:15までに決定される。なお45分前までに上位システム600から削減指令をアグリゲーターが受信しない場合には、指令値は0(削減指令は無い)とみなされる。
【0021】
指令値は入札単価又は約定量に応じて決定されるため、削減指令値としては、最大の値である「Δ kW 約定量」(後述)に相当する値が来る可能性が高いと考えられる。入札単価は予め任意の方法で決定されるものとする。
【0022】
図4及び
図5を用いてVPP(Virtual Power Plant)実証実験(https://sii.or.jp/vpp02/)などで行われている典型的なアグリゲーションの例を説明する。
【0023】
図4は、VPP実証における制御指示のフローとRA(リソースアグリゲータ)の位置づけを示す図である。
図5は、VPP実証における実績値算出のフローを示す図である。
【0024】
図4において、制御指令であるDR指令(電力削減指令等)は、電力事業者が保有する最上位のDRAS600から、例えば、DR開始の15分前に、上位のアグリゲーションコーディネーター(AC)161を経由して、リソースアグリゲーター(RA)162に通知される。AC161及びRA162の組はアグリゲーター200に対応する。制御指令は、例えば18:00~21:00の間、10kW削減する指令を含む。RA162は、随時各需要家10から電力メータの測定値(メータ値と呼ぶこともある)、及び、蓄電池27の充放電量等の情報を収集している。RA162は、DR指令(制御指令)を通知されると、収集した情報に基づき、例えばDR開始2分前に、配下の各需要家の需要推定(デマンド推定)を行い、DR最適化処理を行う。DR最適化処理では、各需要家に要請する充放電の内容を決定し、DR指令(放電指令又は充電指令)を生成する。RA162は、算出したDR指令を制御要請として、例えばDR開始1分前に、各需要家に通知する。DR最適化処理と各需要家への制御要請の通知は、例えば5分毎に行う。
図5に示すように、DR実施完了後におけるRA162配下の需要家10のメータ値を取得し、取得したメータ値の合計値により、DRの実績(DRの成功可否)が判定される。具体的には合計値がDRの目標値にどれだけ近いかでDRの実績が判定される。したがってRA162としては、各需要家の電力メータのメータ値の合計を目標値にできるだけ近づけるように、各需要家にDR要請(充放電の要請)を行うことで、配下の需要家の電力メータのメータ値を適切に制御することが求められる。
【0025】
次に、令和2年度VPP事業共通実証仕様書(https://sii.or.jp/vpp02/uploads/R2VPP
kyoutujishousiyou.pdf)に基づき、現状想定される三次調整力の成功条件に関して述べる。
【0026】
上述の
図3に示したようにVPP実証事業仕様書においては三次調整力[1]および三次調整力[2]のそれぞれの成功判定条件として、入札量(需給調整市場のΔkW約定量に相当)に対して実績需要量が±10%以内に滞在することが定められている。評価単位は三次調整力[1]では1分、三次調整力[2]では30分と定められている。
【0027】
一方、需給調整市場検討小委員会においては、三次調整力[2]の事前審査において、5分毎の電力削減量(電力調整量)を、上位システムから制御指令で指示する制御指示量(例えば削減指示量)に対して、約定量の±10%以内の範囲に収めることが要件となっている。
【0028】
なお需給調整市場の三次調整力[1]や三次調整力[2]の場合は、前日以前に上げ/下げ可能な電力量を入札する必要がある。具体的には、三次調整力[1]の場合は前週月曜日の14時から前週火曜日の14時の間に入札し、三次調整力[2]の場合は前日12 時~14時に入札する必要がある。その後14時~15時の間に約定処理が行われる。結果として約定された場合は、ΔkW約定量が算出され、このΔkW 約定量が、指令値の最大値となる。したがって、入札量は多すぎると上げ/下げDRに失敗するリスクが高まる。一方少なすぎると適正なインセンティブ(入札量×入札単価によって定まる)が得られなくなるため、前日以前に、入札量を精度高く見積もることは重要である。
【0029】
図6及び
図7は、三次調整力[2]の事前審査方法を説明する図である。
図6及び
図7は、第10回需給調整市場検討小委員会資料3より抜粋した資料に基づく。
図6における「応札を予定しているΔkW」が約定量に対応する。
図7に示すように、ΔkW値以下の範囲で、上位システムからの電力の制御指示量に対して当該ΔkW値の±10%以内の範囲に、需要家全体の電力削減量を30分単位で調整する必要がある。換言すれば、目標値(後述する基準値から制御指示量だけ電力を調整した場合の電力)と、需要家全体の30分単位の平均電力値(30分値)との差分を、ΔkW約定量の±10%以内に収める必要がある(三次調整力[2]の場合。三次調整力[1]の場合は1分値を用いる)。
【0030】
図8は、三次調整力[1]における成功判定の例を説明するための図である。
図8は、命和2年度VPP事業共通実証仕様書より抜粋した資料に基づいている。グラフG1は需要家全体の需要量(電力)の推定値(予測値)に相当する基準値を表す。実線グラフG2は実際の需要量(電力)を表す。グラフG3は制御指示量を表す。基準値は、DR開始指示又は制御指示の直前又は一定時間前に計算される需要の推定値(予測値)である。
【0031】
例えば三次調整力[1]の場合、制御対象時刻15分前に実際の制御量の指示が与えられる。その場合に、応動評価に関して、1分値(1分の平均電力値)が、目標値(=基準値-制御指示量)に対して、ΔkW約定量の±10%以内の幅に収まっていれば成功と判定する。換言すれば、需要削減量が(制御指示量+約定量の10%)~(制御指示量-約定量の10%)であれば、成功とする。
【0032】
図の例では、ΔkW約定量は1,000kWであり、1,000kWの10%は100kWである。制御対象時刻9:00の15分前に制御指示が与えられ、制御指示量(削減指示量)が1,000kWである。(基準値-1,000)kWが目標値であり、アグリゲーターの需要調整後の電力値が目標値に対して±100kWであれば、すなわち需要削減量が1,100~900kWであれば、判定結果は成功となる。商品ブロック時間に相当する制御対象時間(9:00~12:00)内における変更指示時刻(10:43)に、変更対象時刻(10:58)に対する制御量の変更指示が与えられる。変更指示時刻から変更対象時刻までは、1分平均値kWの削減量が、変更前後のいずれかの制御指示量に対して、ΔkW約定量の±10%の範囲に、収まっていれば成功とする。
【0033】
電力の1分電力値または30分電力値と、目標値との差分が、ΔkW約定量の±10%以内の範囲を成功区間S(
図8参照)とする。三次調整力[1]の場合、1分電力値を用い、三次調整力[2]の場合、30分電力値を用いる。制御対象時間のうち、成功区間Sに入った時間の割合を滞在率と呼ぶ。滞在率は任意の時間単位(5分単位、制御対象時間の単位など)で算出されてよい。滞在率に応じて応動評価がなされてもよい。
【0034】
上記では本実施形態の概要について、2021年度に開始した需給調整市場制度を想定して説明したが、次に、本実施形態の概要について、経済DRの場合を想定して説明する。
【0035】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejpes/139/10/139_NL10_10/_pdf/-char/jaにあるように、現在の需給運用では、発電・販売それぞれのアクターが、電力事業者による30分単位の計画値同時同量(30分単位)を求められており、発電・販売のそれぞれの計画値を事前に策定する必要がある。計画値同時同量は、発電計画と需要計画を一致させることである。計画値と実績値に一定以上の乖離がある場合はインバランス料金と言われる罰金が課される場合がある。したがって、需要想定が変化した場合、必要な電力調達を行うことで計画値を事前に見直し、実績値を計画値に一致させる方策を取ることが多い。必要な電力調達を行うかは、発電側の場合、発電機の出力調整と、電力取引市場(卸電力取引市場、時間前市場など)での取引とを、経済メリットを考慮して決定する。一方、販売側の場合、電力調達コストより需要調整のために需要家に支払う報酬の方が安価であれば、市場価格よりも低い報酬で需要抑制(節電)することで、販売者側に経済メリットがある。したがって、販売側で需要抑制(需給調整)を行うことも可能である。この需要調整のことを“経済DR”と呼ぶ。たとえば元々の需要の計画値が1000kWhであった場合に、需要の計画値が1500kWhに上振れした場合を考える。この場合に電力取引市場から500kWhの電力調達が必要であるが、発電や充電池の放電によりみかけの需要を100kWh下げることができれば、電力取引市場からの調達電力を100kWh減らし400kWhとすることができる。
【0036】
経済DRにおいて電力取引市場からの調達量をどれだけ削減できるか、つまり見かけの需要をどれだけ削減できるかの可能量を計算する問題は、
図1の需給調整市場と同等の枠組みでとらえることができる。経済DRでは、必ずしもDRASなどの上位システムがあるわけではないが、計画値同時同量の義務を負っている点は同様である。計画値に実際の需要をあわせるためには、電力取引市場からの調達と需要家からの調達(蓄電池の充放電)の二つがあるが、この内、安価な、需要家からの調達のことを入札とみなし、この需要家からの調達量の最大化を経済DRの目標とする。異なるのは、計画値同時同量の評価間隔および入札間隔(以下、ブロックと呼ぶ)が共に30分間隔である点、また、需給調整市場のように需要家からの調達量を増やすことにより直接のインセンティブを得られるのではなくブロック毎の料金(電力取引市場から調達するための料金が減少することにより間接的なインセンティブが得られる点、さらにブロック毎の単価が異なる可能性がある点である。
【0037】
また以上の需給調整市場(事前審査)の場合と、需給調整市場(実評価)の場合と、経済DRの場合の計3つの場合は、下記のような変数を考えることで統一的に扱うことができる。
【0038】
・ブロック数(またはブロックの単位時間)
・各ブロックの価格
・評価単位(評価長)
【0039】
需給調整市場(事前審査)の場合、ブロック数:1、ブロックの価格:なし、評価単位は三次調整力[1]の場合1分、三次調整力[2]の場合は5分とすればよい。
需給調整市場(実評価)の場合、ブロック数:1、ブロックの価格:なし、評価単位は三次調整力[1]の場合1分、三次調整力[2]の場合は30分とすればよい。
また経済DRの場合、ブロック数:DR時間÷30分、ブロックの価格: 電力取引市場から調達するための料金単価、評価長さ30分とすればよい。
なお経済DRの場合は、元の計画値を超えて増減してもメリットがない点も需給調整市場との相違点であるがこの点については後述する。
【0040】
図9は、本実施形態に係るDR可能量推定装置100と需要家10(需要家A,B,C,・・・)の構成を詳細に示すブロック図である。
図9には、電力会社700等が有する電力系統500及びDRAS等の上位システム600も示される。図には需要家Aの構成のみ示しているが、需要家B、C・・・等も同様の構成を有する。
図9に示す構成は一例であり、
図9に示した要素のうちの一部が存在しなくてもよいし、追加の要素が存在してもよい。例えば、
図10は、
図9に示した構成から一部の要素を省いた構成(便宜上、簡易構成と呼ぶ)のブロック図の例である。
【0041】
図9において、DR可能量推定装置100の受信部110は、需要家10から1分ごとのメータ値31及び1分ごとの充放電値32(充電値及び放電値の少なくとも一方)を、通信ネットワーク400経由で取得する。通信ネットワーク400はインターネット等の広域ネットワークでも、ローカルエリアネットワークでも、プライベートネットワークでもよい。また受信部110は、上位システム600からの電力削減指令30(DR指令又は制御指令)を、通信ネットワーク400経由で受信する。電力削減指令30が受信されると、DR可能量推定装置100の処理部120は、後述するDR可能量を推定する。
【0042】
なお、DR可能量推定装置100の処理部120は、充放電計画作成機能を備えていてもよい。この場合、処理部120は、例えばDR時間帯では、1分ごとのメータ値31及び1分ごとの充放電値32を基に、需要家の充放電計画を作成し、充電指令33又は放電指令34を、需要家10に送信する。充放電計画の作成と、充電指令33又は放電指令34の送信とは、例えば一定時間(例えば5分毎)の間隔で行われる。充電指令33又は放電指令34を受信した需要家10の蓄電池27は、所定の充電電力値又は所定の放電電力値で充電又は放電を行う。充放電計画作成機能の構成及び動作は本実施形態の本質ではないため、これ以上の説明は省略する。
【0043】
需要家10は、電力系統500から電力の供給を受ける。供給される電力は、分電盤21を通じて、負荷22へ供給される。電力系統500から供給される電力量は、電力メータ20により例えば毎分測定される。また蓄電池27、電気自動車(EV)26、太陽光発電(PV)パネル25等は、PCS23を通じて、分電盤21と接続されている。蓄電池27がEV26の一部であってもよい。
【0044】
蓄電池27および電気自動車(EV)26は、HEMSなどのゲートウェイ(GW)24を通じて、外部からの信号、例えば充電指令33及び放電指令34の少なくとも一方を受信可能である。蓄電池27は、充電指令33又は放電指令34に基づき、充電又は放電を実行することができる。また蓄電池27は、充電又は放電した電力量を示す充放電値32を、ゲートウェイ24を通じて、DR可能量推定装置100に送信できる。
【0045】
電力メータ20は、測定したメータ値31をDR可能量推定装置100に送信する。電力メータ20は、メータ値31を、ゲートウェイ24を経由せずに送信する。但し、メータ値31をゲートウェイ24経由で送信する構成も可能である。
【0046】
DR可能量推定装置100は、受信部110、処理部120、入出力DB200、履歴DB191、DR可能量DB210を備える。処理部120は、蓄電池SoC時系列推定部140、デマンド推定部150、DR可能量推定部160を備える。入出力DB200は、DR内容情報170、電池スペック情報180、パラメータ情報190を格納する。
【0047】
DR可能量推定装置100は、本装置100の操作者であるユーザとの入出力I/F220に有線又は無線で接続されている。入出力I/F220が通信ネットワーク400を介して、DR可能量推定装置100と接続されてもよい。入出力I/F220は、操作入力部230及び表示部240を備えている。操作入力部230はキーボード、マウス、タッチパネル、音声入力装置、ジェスチャ入力装置等の情報又はデータを入力するための装置である。表示部240は液晶表示装置、有機EL表示装置等の画面に情報又はデータを表示する装置である。
【0048】
操作入力部230は、入出力DB200に格納する情報を入力する機能を有している。例えば、入出力DB200は入出力I/F200からのユーザの指示情報に基づき、任意の外部装置からデータをダウンロードして、入出力DB200にデータを格納してもよい。表示部240は入出力DB200の情報又はDR可能量DB210の情報を表示する機能を有している。表示部240は、DR可能量DB210の情報又は当該情報に基づくデータを表示する機能を有していてもよい。
【0049】
受信部110は通信ネットワーク400経由で、需要家10からメータ値(測定値)31及び充放電値32を受信する。例えばメータ値31及び充放電値32を1分ごとに受信する。受信部110は、受信したメータ値31及び充放電値32を、履歴DB191に格納する。履歴DB191には第1期間における充放電値32の履歴及び第2期間におけるメータ値31の履歴が格納されている。第1期間及び第2期間は同じでも異なってもよい。また、受信部110は、上位システム600からの制御指令の一例である電力削減指令30を受信する。
【0050】
蓄電池SoC時系列推定部140は、履歴DB191に格納された充放電値32を元に、各需要家の蓄電池SoCの時系列を推定することにより、各需要家のSoC時系列推定値141を算出する。推定の対象時間帯は、例えばDRの時間帯である第2期間に対応する。なお、本実施形態では推定の対象とするDR時間帯は将来の時間帯であることを想定するが、過去の時間帯に対する推定を行うことも排除されない。なお、将来の時間帯に対する推定を特に予測と呼んでもよい。
【0051】
また、蓄電池SoC時系列推定部140は、EV26(又は蓄電池27)が宅内に接続されていない時間を推定し、未接続時系列推定値142を算出する。推定は、例えばDRの時間帯(第2期間)を対象に行う。EV26が宅内に接続されていない場合、EV26内の蓄電池を需給調整の際に利用できない。EV26が宅内に接続されていないとは、EV26内の蓄電池が充放電可能に宅内の電力系統(PCS23)に接続されていないことを意味する。本実施形態では、EV26(又は蓄電池27)が宅内に接続されていない時間を推定するが、宅内に接続されている時間を推定してもよい。宅内に接続されている時間または接続されていない時間を、接続/未接続時間と記載してもよい。
【0052】
デマンド推定部150は、履歴DB191に格納されたメータ値31を元に、各需要家の電力デマンド(電力需要)の時系列を推定することにより、各需要家のデマンド時系列推定値151を得る。推定は、例えばDRの時間帯を対象に行う。推定の方法は、SoC時系列推定値141及び未接続時系列推定値142の推定と同様でよい。あるいは、メータ値31から回帰分析によりデマンド値を推定してもよい。ここで、電力メータ20で、デマンド値と充放電量とを合計したメータ値が計測される場合もあり、その場合は、算出するデマンドの値に、蓄電池の充放電量を含めないようにするため、電力メータ20で計測される値に対して、蓄電池の充電量を減算、放電量を加算することで、デマンド値を得てもよい(後述する式(1)及び式(2)参照)。
【0053】
DR可能量推定部160は、デマンド時系列推定値151とSoC時系列推定値141と未接続時系列推定値142とに基づき、各需要家の蓄電池27を利用する場合の電力調整可能量であるDR可能量を推定し、推定したDR可能量をDR可能量DB210に格納する。DR可能量(電力調整可能量)は、需要家群の蓄電池(EVが備える蓄電池の場合を含む)の充電可能量または放電可能量の合計に相当する。
【0054】
ここで、蓄電池SoC時系列推定部140及びデマンド推定部150の動作のアルゴリズムについては、需要家毎に公知の方法を使えばよい。単純には、k日前のデマンドの実績値又はSoCの実績値をそのままデマンド時系列推定値151 及びSoC時系列推定値141としてもよいし、当該実績値を一定値シフトするような手法を用いてもよい。また平日、休日などの日の属性や、天候、気温などの情報を用いて推定値を算出してもよい。また後述する複数の予測シナリオを用いる例においては、過去数日以内の各日のデマンド又はSoCの実績値をそのままデマンド時系列推定値151 及びSoC時系列推定値141として用いたり、あるいは、存在する実績から存在しない過去の実績(架空の実績)を復元又は推定したりするような手法を用いてもよい。未接続時系列推定値142については、例えばEVの接続履歴を記憶しておき、k日前の実績値をそのまま未接続時系列推定値142としてもよいし、その実績値を一定値シフトするような手法を用いてもよい。また平日、休日などの日の属性や、天候、気温などの情報を用いて推定値を算出してもよい。また後述する複数の予測シナリオを用いる例においては、過去数日以内の各日の接続有無の実績値をそのまま未接続時系列推定値142として用いたり、あるいは、存在する実績から存在しない過去の実績(架空の実績)を復元又は推定したりするような手法を採ってもよい。
【0055】
なお、受信部110によるネットワーク経由のデータ送受信の方法、入出力DB200におけるデータの入出力の方法については、本実施形態では特に限定しない。以下では、DR可能量推定部160の入出力に関わるデータについて詳細に説明する。
【0056】
[SoC時系列推定値141及び未接続時系列推定値142]
図11を用いて蓄電池SoC時系列推定部140が作成する、SoC時系列推定値141及び未接続時系列推定値142の詳細について説明する。
図11の左図は、SoC時系列推定値141および未接続時系列推定値142の例を示す。
図11の右図は、各需要家のSoC推定値のデータをグラフで表示した例を示す。グラフが存在しない時間は蓄電池が未接続であることを意味する。蓄電池の未接続は、EVが未接続の場合を含む。
【0057】
図11において18:00-18:30の30分間の各需要家の接続有無推定を1分毎に表す未接続時系列推定値142 (接続有の場合1、接続無しの場合0)と、各需要家の蓄電池の推定SoC(単位はkWh)を1分毎に表すSoC時系列推定値141とが示される。蓄電池がEVの蓄電池である場合は、EVが不在の場合や、つなぎ忘れの場合は接続無となる。EVが接続されたり、接続が外れたりする事象が、DR時間帯の中で生じる場合、DR可能量に大きな影響があるため、未接続時系列推定値142が重要となる。また、宅内等に接続されている蓄電池については、住宅側の設定により、様々な充放電制御が自律的に行われている。例えば特定の時間帯にエアコンを動作させる設定が行われていたり、特定の時間帯にお湯を沸かす設定が行われていたりする場合があり得る。したがって、予め定められた時刻や、EVが需要家宅に到着後一定時間経過後に、充放電が開始されたり、終了したりという動きが生じる場合もある。
【0058】
本例では、需要家1については、18:00時点で5.00kWhのSoCであり、その後、毎分0.06kWh(=3.6kW)ずつSoC推定値は増加している(つまり18:00時点以降、蓄電池が充電し続ける)。需要家2については、18:15までは1.25kWhの一定のSoCであり、18:15以降は蓄電池が未接続(例えばEVが不在)となっている。需要家3については、18:05までは蓄電池が未接続(例えばEVが不在)であり、18:05に3.93kWhのSoCで蓄電池が接続され、18:10以降は毎分0.03kWh(=1.8kW)でSoC推定値が減少する(つまり、18:10以降、蓄電池が放電し続ける)。
【0059】
[デマンド時系列推定値151]
図12を用いて、デマンド推定部150が作成するデマンド時系列推定値151の詳細について説明する。
図12は、デマンド時系列推定値151の例を示す。
【0060】
ここでは18:00-18:15の15分間の需要家のデマンド推定値(単位はWmin)を1分毎に示す。デマンドについては基本的には欠測はなく、すべての時刻で値が示される。なおデマンドの値は、以下の方法により得ることができる。デマンド値と充放電量とを合わせたメータ値が計測されるため
メータ値=デマンド+充電量-放電量 (1)
という関係式が成り立つ。
したがって
デマンド=メータ値-充電量+放電量 (2)
の関係式によりデマンド値を得ることができる。
【0061】
[DR内容情報170]
図13及び
図14を用いて、入出力DB200におけるDR内容情報170の詳細について説明する。
図13は、需給調整市場の場合のDR内容情報170の例を示す。DR内容情報170は、DR日、時間帯、上げ/下げの別、ブロック長、評価長、ブロック単価などの情報からなる。
【0062】
ここでは1月13日の18:00-21:00に下げDRが出て、かつブロック長が3時間と指定された場合を示している。このDR内容情報は、実際に発行されたDRではなく、今後発生すると見込まれるとしてユーザから指定(入力)されたDRの内容である。ここでブロックとは、入札する時間単位のことで、ブロック長が180分の場合は、180分毎の入札量を算出する必要がある。需給調整市場の場合は、3時間帯全体で一つの入札量を入札するため、ブロック数は必ず1となる。このため、ブロック長はDR時間帯全体に相当する180分となっている。また評価長は5分である。この場合は、5分毎の電力を、目標値(=基準値-指令値(制御指示量))に対し許容範囲に含ませる(目標値±10%の範囲に合わせる)ことが成功条件となる。なお、ここではDR向きが「下げ」の場合としたが、「上げ」の場合は、目標値は基準値+指令値となる。
【0063】
図14は、経済DRの場合のDR内容情報170の例を示す。ここでは1月13日の18:00-21:00に下げDRが出て、かつブロック長が30分(あるいはブロック数が6)と指定された場合を示している。このDR内容情報は、実際に発行されたDRではなく、今後発生すると見込まれるとしてユーザから指定(入力)されたDRの内容である。
【0064】
ブロック長が30分の場合、18:00-21:00の3時間を30分で除した6個のブロックに関して、DR可能量を計算すればよい。またこの場合は、このブロック毎にブロック単価が設定されており、ブロック毎の入札量と単価との積の総和を最大化するようなDR可能量を計算するものとする。
【0065】
なお経済DRにおいて、「下げDR」が出る場合とは、実績値が計画値を上回りそうな場合に相当する。この場合、そのまま計画値を上回ってしまうと、電力取引市場から調達するための料金、を支払うことになる。一方、電力を計画値まで下げることができれば、この料金を支払う必要がなくなるため、この調達単価を、ブロック単価とみなすことができる。
【0066】
[蓄電池スペック情報180]
図15を用いて、入出力DB200における蓄電池スペック情報180の詳細について説明する。
図15は、蓄電池スペック情報180の例を示す。
蓄電池スペック情報180は、キャパシティ、放電出力、充電出力、最低メータ、最高メータ制約などを含む。ここで需要家1~4の蓄電池のキャパシティは10.0kWhで、放電出力及び充電出力は4.0kW、最低メータ制約は100W、最高メータ制約は6000Wである。メータ制約は電力メータ20の値の制約であり、電力メータ20のメータ値31は100W以上6000W以下である必要がある。最低メータ制約は正の値であることから逆潮流は禁止されていることになる。逆潮流を許容する場合は、最低メータ制約を負の値にすればよい。
【0067】
[みかけの充放電余力計算の詳細」
上述の
図15に示した放電出力及び充放電出力自体は時刻によらない値であるが、各時刻における蓄電池の接続の有無、及び、蓄電池に対して予め設定されている制御(元の蓄電池制御)の有無により、見かけの充放電可能量が時刻により変動する。そこで、見かけの充放電可能量の詳細について、
図16及び
図17を用いて説明する。蓄電池の元の蓄電池制御の有無により、見かけの充放電可能量が時刻により変動する例を示す。
【0068】
図16(A)は、元の蓄電池制御を考慮しない場合の充放電可能量の計算結果の例を示す。需要家k、時刻tの放電可能量及び充電可能量をそれぞれE
k,t,F
k,tとする。
まず蓄電池の接続の有無について見かけの充放電可能量が時刻により変動する例を示す。
前述した
図11の推定結果の場合、需要家3については、18:05から蓄電池が接続される。この場合30分単位で、蓄電池の接続有無(例えばEVの在不在)を判定することとすると、18:30までは充放電できない設定となる。このため、
図16(A)のように、18:00-18:30までのE
k,t(放電可能量)は0であり、18:30以降のE
k,tは2.0となっている。
【0069】
同様に、需要家2については、18:16から蓄電池が未接続となる(
図11参照)。この場合も30分単位で蓄電池の接続有無(例えばEVの在/不在)を判断することとすると、全時間帯で放電不可となるが、ここでは逆に接続されなくなる直前まで放電可能とするロジックを用いることとすると、
図16(A)のように、18:00-18:30までの需要家2の蓄電池のE
k,tは1.0となる。なお、この値は2kWで全30分の内15分使用するため、2×15/30により1.0kWと算出したものである。なお、需要家3についても需要家2と類似のロジックを用いて、18:05に接続されてから18:30まで放電可能とするロジックを用いて、放電可能量を算出してもよい。
【0070】
以上に説明した以外の需要家(需要家1,4)では30分単位の時間帯において常時接続か未接続かのいずれかである。したがって、需要家1,4では、接続の時間帯のみ、Ek,t及びFk,tは非ゼロの値となり、未接続の時間帯ではEk,t及びFk,tはゼロの値となる。
【0071】
図16(B)は、元の蓄電池制御を考慮する場合の充放電可能量の計算結果の例を示す。
図17は、元の蓄電池制御を考慮する場合の充放電可能量計算の補足説明図である。
図17に模式的に示したように、元の蓄電池制御がある場合については、その分定格出力から値が増減するため、見かけの充放電可能量を計算する必要がある。
【0072】
まず需要家1については、18:00~19:30まで3.6kWで充電し続けると推定されている(
図11参照)。したがって、この充電が行われると推定される時間帯では、見かけの放電余力は定格よりも3.6kW大きい7.6kWであり、充電余力は定格よりも3.6kW小さい0.4kWとなる。
【0073】
一方、需要家3については、18:10以降、1.8kWで放電し続けると推定されているため(
図11参照)、見かけの放電余力は定格よりも1.8kW小さい2.2kWであり、充電余力は定格よりも1.8kW大きい5.8kWとなる。
【0074】
需要家2については、蓄電池が接続されていると推定されている18:00~18:15の時間帯において元の蓄電池制御が存在しないため、充電余力及び放電余力は、いずれも定格出力4.0kWに一致する。
【0075】
需要家4については、蓄電池に元の蓄電池制御が存在せず、SoC推定値が0のため、充電のみ可能であり、充電余力は定格出力4.0kWに一致する。
【0076】
以上のことから、蓄電池の接続の有無に加えて、元の蓄電池制御の有無を考慮する場合は、
図16(B)に示した値をE
k,t及びF
k,tとして採用する。ここで30分間のkWhは、kWの値の1/2になることに注意する。たとえば需要家1の18:00-18:30のE
k,tは7.6kWと算出されたが、
図16(B)はkWh単位の表記のため、7.6kWと等しい3.8kWhに相当する値3.8が記載されている。なお、このE
k,tやF
k,tの計算には、DR開始時刻以降の時系列としてのSOC推定値及び未接続推定値を用いているため(DR開始時刻の推定値をDRの時間帯の間共通に適用しているのではないため)、DR可能量の算出精度を高めることができる。
【0077】
なおDR時間帯に、元の蓄電池制御が有効に設定されているかは需要家により異なるため、需要家の状況又は設定に応じて、
図16(A)及び
図16(B)の方式を使い分ければよい。例えば需要家がDR時間帯は元の蓄電池制御を解除する設定にしている場合は、
図16(A)の方式を用いればよい。各需要家についてDR時間帯に元の蓄電池制御が行われるか否かの情報が入出力DB200に格納されていてもよい。
【0078】
[パラメータ情報190]
図18を用いて、入出力DB200におけるパラメータ情報190について説明する。
図18は、パラメータ情報190の例を示す。パラメータ情報190はDR可能量推定部160でDR可能量を複数のシナリオを用いて推定する場合に用いるパラメータである。パラメータ情報190は、例えば、推定に使用するシナリオの個数S、シナリオの作成に使用する過去データの日数SCENARIO_DAYS、シナリオごとの推定結果を昇順又は降順にソートした際に何番目の推定結果を選択するかの値Pを含む。各パラメータの詳細は後述する。
【0079】
[DR可能量DB210]
図19を用いて、DR可能量推定部160の出力であるDR可能量情報を格納するDR可能量DB210について説明する。DR可能量推定部160の動作の詳細は後述する。
図19は、DR可能量DB210の例を示す。
ここでは18:00-18:30から20:30-21:00の各ブロックについての全需要家の合計DR可能量(電力調整可能量)とその各需要家の内訳をkWhで示している(各セルは30分毎であるため、平均kWで表すとこの値の2倍になることに注意する)。例えば18:00-18:30までの合計DR可能量は3.0kWhであり、その内訳は、需要家1が2.0kWh、需要家3が1.0kWhであることを示す。
【0080】
以下、DR可能量推定部160の動作例を実施例1~5として説明する。
【0081】
(
図10に示した簡易構成における下げDRの場合の実施例:実施例1)
ここでは、
図10の簡易構成において、DR可能量推定部160が、SoC時系列推定値141、未接続時系列推定値142、蓄電池スペック情報180、DR内容情報170を入力として、DR可能量を推定し、推定したDR可能量の情報をDR可能量DB210に格納する実施例について述べる。
【0082】
図20は、
図10の簡易構成の処理のフローチャートである。
まずStep1では、蓄電池SoC時系列推定部140が、各需要家のDR時間帯における接続有無の推定およびSoCの推定を行い、各需要家の蓄電池のSoC推定結果を表すSoC時系列推定値141、及び各需要家の蓄電池の接続有無の推定結果を表す未接続時系列推定値142を生成する。
【0083】
次にStep2では、DR可能量推定部160が、SoC時系列推定値141と未接続時系列推定値142を基に、ブロックごとの各需要家の放電可能量(供出可能量)を計算する。前述したように放電される電力は、宅内で利用される場合、需要家宅外に供給(売却先に提供)される場合のいずれもあり得る。
【0084】
最後にStep3では、DR可能量推定部160が、ブロックごとに、全需要家の放電可能量を合計し、DR可能量(電力調整可能量)として出力する。
【0085】
以下、具体例として、
図11のSoC時系列推定値141及び未接続時系列推定値142と、
図15の蓄電池スペック情報180と、
図14のDR内容情報170とを入力とする場合の
図20のStep2の詳細について述べる。
【0086】
まず需要家1については、18:00時点のSoC推定結果が5.0kWhであり、放電出力(最大値)が4.0kWであることから、最大の4.0kW(30分当たり2.0kWh)で放電出力を継続する場合、1時間15分継続可能であることが分かる。したがって、30分毎に、DR可能出力を計算すると、18:00-18:30と18:30-19:00のブロックについては2.0kWh、19:00-19:30のブロックについては1.0kWhの電力を放電可能であることがわかる。
【0087】
次に需要家2については、18:00時点のSoC推定は1.25kWであるものの、18:15に接続できなくなるため、最初の15分間しか放電することができない。また放電出力(最大値)は4.0kWであることから、15分間で1.0kWhの電力を放電可能である。なお18:15までは確実に接続されることを前提に計算したが、18:15以前に未接続となる可能性が高い場合には、放電不可と考え、放電可能量は0kWhとしてもよい。
【0088】
次に需要家3については、18:00時点で不在の予想であるため、18:30までは放電不可であると考える。この場合、18:00-18:30までの放電可能量は0kWとなる。一方、18:30時点のSoC推定は3.3kWhであることから、最大放電出力4kWを継続する場合、最初の18:30-19:00のブロックでは2.0kWh放電できるものの、次の19:00-19:30のブロックでは残りの1.1kWhしか放電できない。
【0089】
次に需要家4については、18:00以降継続して接続している推定結果ではあるが、SoC推定結果は0kWであるため、放電可能量は0kWhである。
以上の結果をまとめたものが、前述した
図19のDR可能量情報である。
【0090】
Step3では、DR可能量推定部160が、ブロック毎にこれらの各需要家の値を合計することで、
図19に示すように、全需要家の合計DR可能量が得られる。すなわち、合計DR可能量は、ブロックの順に3.0kWh、4.0kWh、2.3kWh、0kWh 、0kWh 、0kWhとなる。
【0091】
以上の手法により、蓄電池(例えばEV搭載の蓄電池)が電力系統に未接続となる可能性がある場合にも、1又は複数の需要家のDR可能量(放電可能量)を計算することが可能である。
【0092】
(上げDRの場合の実施例:実施例2)
実施例1では下げDRの場合について示したが、実施例2では、上げDRの場合について記載する。上げDRの場合、蓄電池の残り容量を「キャパシティ値-SoC推定値」(“-”は減算を表す)と定義し、実施例1の記載における放電出力を充電出力と読み替えれば、実施例1と同様の処理により、DR可能量を推定することができる。以下、上げDRの場合にDR可能量を計算する例を示す。上げDRの時間帯は18:00-21:00とする。
【0093】
需要家1については、18:00時点の上げ余力(充電余力)、すなわち蓄電池の残り容量が、「キャパシティ値-18:00時点のSoC推定値」により、10.0-5.0=5.0kWhとして算出される。充電出力(最大値)は4kWであることから、充電可能な継続時間は(5.0/4.0=1.25h=)1時間15分である。
【0094】
需要家2については、18:00~18:15までしか接続されないと推定されているため、下げDRの場合と同様、1kWhが充電可能量となる。
【0095】
また需要家3については、18:30時点の上げ余力が、「キャパシティ値-18:30時点のSoC推定値」により、10.0-3.3=6.7kWhとして算出される。充電出力(最大値)が4.0kWであることから、充電可能な継続時間は(6.7/4.0=)1.675hであり、約1時間40分である。
【0096】
一方需要家4については、18:00時点の上げ余力が、「キャパシティ値-18:00時点のSoC推定値」により、10.0-0.0=10.0kWhとして算出される。充電出力(最大値)が4.0kWであることから、18:00から20:30まで充電し続けることが可能である。
【0097】
【0098】
図21は、上げDRの場合におけるDR可能量情報を表す。ブロックごとに各需要家のDR可能量(充電可能量)と、合計DR可能量が示されている。また全ブロックのDR可能量の合計、すなわちDR時間帯全体のDR可能量が示されている。
【0099】
以上の手法により、蓄電池(例えばEV搭載の蓄電池)が電力系統に未接続となる可能性がある場合にも、1又は複数の需要家のDR可能量(ここでは充電可能量)を計算することが可能である。
【0100】
(ブロック毎の入札により収益を最大化する経済DRの場合の実施例:実施例3)
実施例1及び実施例2では、時間帯を分割した各ブロックにおいて、全ての需要家が可能な最大出力で放電又は充電することで、前詰めにDRするような手法について述べたが、ここでは、ブロック毎の単価が定義されており、入札量×単価の総和を最大化する実施例について述べる。
【0101】
下げDRの場合、この問題は、下記のような最適化問題として表現できる。(上げDRの場合は、下記式(4)の“-Ib(t)”を、“Ib(t)”に置き換えればよい。なおここで充電もしくは放電した電力は、いずれ放電もしくは再充電することから、この時点の電力購入単価は無視したが、この時間帯のみの収支を考える場合は、Pbの値を、放電の場合は入札単価+電力購入単価(放電により電力購入量が減るため)、充電の場合は入札単価-電力購入単価(充電により電力購入量が増えるため)と考えても良い。
また経済DRの場合は、計画値に近づけることが目標であることから、計画値を超えて、充放電しても意味がないため、Ibに計画値を超えてはならないことを意味する上下限制約を付けても良い。なお、フル充放電をしたとしても計画値に至らないことが多いため、この上下限制約を省略しても多くの場合問題ない。
【0102】
・変数
-x
k,t: 需要家k∈Kに時刻t∈Tで最大出力の放電要請を行う場合1、放電要請しない場合0とする連続変数
-z
k,t: 需要家k∈Kに時刻t∈Tで最大出力の充電要請を行う場合1、充電要請しない場合0とする連続変数
-I
b: ブロックbの入札量
・定数:
-K: 需要家の集合
-T: 時刻(評価単位)の集合
-E
k,t: 需要家kが時刻tに最大出力で放電した場合の放電量
-F
k,t: 需要家kが時刻tに最大出力で充電した場合の充電量
-G
k,t: 需要家kが時刻tの元の充放電予定量(充電の場合+、放電の場合-)
-A
k: DR開始時刻における、需要家kの放電余力
-C
k: DR開始時刻における、需要家kの充電余力
-b(t): 時刻tが含まれるブロックを返す関数
-Pb: ブロックbの単価(入札単価)
【0103】
ここで式(3)は、収益最大化を表す式である。式(4)は、充放電により入札量に相当する目標値を達成する式を表す。なおここでは、基準値(例えばDR開始直前(1時間前など)の推定値。
図8の基準値(1分値)を参照)と、本来の需要推定値(デマンド推定部150のデマンド推定値。例えば前日の推定値)との誤差を無視するような手法を取っているが、その差分を考慮してもよい。式(5)は、各需要家の蓄電池の各時刻のSoCが、0からキャパシティの範囲に収まることを表す制約式である。
【0104】
ここでEk,tは需要家kの蓄電池の放電出力であり、Fk,tは需要家kの蓄電池の充電出力である。
【0105】
また、Akは需要家kのDR開始時点のSoCに相当する量であり、Ckは需要家kのDR開始時点のキャパシティからSoCを減算した値に相当する量である。
【0106】
上記の変数xk,t,zk,t,Ibの最適解もしくは準最適解を求める解法としては、Gurobi Optimizer、CPLEXなどの数理計画ソルバーを用いてもよいし、勾配法、シミュレーティッドアニーリング(Simulated Annealing),遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)などのメタヒューリスティック解法を用いてもよい。
【0107】
なお、上記の定式化は一例であり、その他の目的関数や制約式を用いても構わない。例えば、追加的な問題設定として、需要家の状況に応じて、需要家kには必ず放電させる条件を加えるためには、制約式としてxk,t=1を加えればよい。同様に、需要家kには必ず充電させる条件を加えるためには、制約式としてzk,t=1を加えればよい。また需要家kには決して充電させない条件を加えるためには、制約式としてxk,t=0を加えればよい。同様に、需要家kには決して放電させない条件を加えるためには、制約式としてzk,t=0を加えればよい。
【0108】
また以上の定式化では、あくまで需要家が想定通り動いた場合の振る舞いを最適化しており、
・需要家の需要推定値が基準値からずれる場合
・需要家が要請通り動かない場合
が考えられる場合は、それらの誤差を予め推定して、その推定値を使って、最適化を行ってもよい。
【0109】
(実施例3の具体例)
実施例3の具体例として、18:00-21:00を6ブロックに分けて入札する場合において、各ブロックの入札単価が、5円,5円,5円,20円,20円,20円と後半の単価の方が高くなるケースを考える。入札単価は予め任意の方法で決定しておく。各ブロックの入札単価が同じであってもよい。
図22(A)は、この場合のDR内容情報の例を示す。また
図11のSoC時系列推定値141及び未接続時系列推定値142、
図15の蓄電池スペック情報180、
図14のDR内容情報170を入力とする場合、上記モデルの各係数は
図22(B)に示すようになる。この場合、上記最適化問題を解くと、
図22(C)のようなDR可能量の算出結果が得られる。ここでx
k,t,z
k,tの各需要家と各時刻のセルには、x
k,tが非ゼロの場合は、E
k,t×x
k,tの値が、z
k,tが非ゼロの場合は-F
k,t×z
k,tの値がそれぞれ示されている。充電はマイナス、放電はプラス(単位kW)である。
【0110】
この場合の各ブロックのDR可能量は、0.0kWh、0.0 kWh、0.0 kWh、4.0 kWh、3.3 kWh、2.0 kWhとなっている。各ブロックのDR可能量は各ブロックの入札量I
bに対応する。DR可能量の合計量は実施例1と同じ9.3kWhであるが、単価の高い後ろの時刻に入札量が偏った計画が得られている。また需要家4については、前半充電して、後半放電する結果が得られており、全需要家の充放電余力を使い切るような計画が得られている。
図22(C)の算出結果に基づき、各ブロックについて入札量I
bで入札を行うことで、利益の最適化が見込まれる。
【0111】
(逆潮流ができない場合又は充放電量に上限がある場合などの実施例:実施例4)
まず、以下のように、変数及び定数を定義する。
・Dk,t: 需要家kの時刻tのデマンド推定値
・uk: 需要家kの電力供給上限電力(メータ値の上限値)
・lk: 需要家kの電力供給下限電力(メータ値の下限値)
【0112】
逆潮流ができない場合、メータ値がlk未満にならないような蓄電池の制御が行われることがある。また、メータ値がuk以上にならないような蓄電池の制御が行われることがある。このような条件は、上記の定式化のEk,Fkを次のように変更することで対応することができる。
【0113】
この値の計算において、デマンド推定D
k,tの予測精度を高めることで、DR可能量の精度も高めることができる。
【0114】
(実施例4の具体例)
実施例4の具体例として、需給調整市場の事前審査を想定し、18:00-18:30がDR時間帯の下げDRに関して単一入札ブロックで入札するケースを考える(需給調整市場では3時間が1ブロックであるが、ここでは簡単のため30分1ブロックと考える)。また評価時間間隔が5分であるケースを考える。つまり5分毎に削減目標を達成しなければケースである。
【0115】
図23は、実施例4のDR可能量の計算例を示す。
今
図23の左図に示すような、各需要家の5分毎のデマンド推定結果と、放電出力(式(7)のE
k,tに相当する値。簡単のため時刻によらず一定とする)が得られたとする。
【0116】
図23の中央図は、
図23の左図のケースで各需要家の放電可能量を斜線の領域で表したものである。需要家1や需要家2のよう放電出力とデマンド推定結果の大小関係が不変なケースにおいて、需要家1ではΣ
tD
k,t、需要家2ではΣ
tE
k,tが放電可能量となる。この放電可能量は、30分毎の粗いデマンド推定結果(Σ
tD
k,t)を求め、min(Σ
tD
k,t,Σ
tE
k,t )により放電可能量を導出する場合と変わらない。
【0117】
一方、需要家3のようにブロック内でデマンド推定結果が単調増加(もしくは単調減少)するケースや、需要家4のようにブロック内でデマンド推定結果が大きく変動するようなケースでは、Dk,tとEk,tとは時刻に応じて大小関係が変わる。したがって、評価間隔に近い時間間隔で放電可能量の推定を行うことにより、精度の高い放電可能量が得られる。
【0118】
図23の右図は、全需要家の放電可能量を合計したもの(
図23の中央図の斜線部の積み上げグラフ)からDR可能量を得るための手法を模式的に表したものである。需給調整市場の場合は、全評価時間帯において、目標を達成する必要があるため、積み上げグラフの最も小さい値をDR可能量とすればよい。
図23の右図の例では、横の破線で示す値がDR可能量となる。
【0119】
積み上げグラフの最小値は、需要家3や需要家4のデマンドの偏りが反映したものである。したがって、需要家3や需要家4のデマンドを5分単位で推定した結果として、正しくDR可能量を見積もることができている。なおここでは、蓄電池のキャパシティを無視して説明したが、蓄電池のキャパシティを考慮した最適化を行う場合は、本実施例で計算したEk,tを用いて、実施例3の最適化を行えばよい。
【0120】
(デマンド推定結果等が実際のデマンド値からずれるリスク(推定ずれリスク)を考慮し、シナリオ最適化を行う実施例:実施例5)
これまではデマンド推定結果とSoC推定結果にそれぞれ実際の値からずれがないことを前提としたが、実際には推定結果がずれることもある。本実施例5では保守的にDR可能量を見積もる手法として、上記の推定ずれリスクを考慮して、最適化を行うフローについて述べる。
【0121】
図24は、推定ずれリスクを考慮する場合のフローチャートの例である。
Step1では、需要家毎に、SCENARIO_DAYS(パラメータ)が示す日数の過去のデータからデマンドの実績データとSoCの実績データとを抽出する。需要家群のデマンドとSoCとを含むシナリオをS個作成する。Sはでも1又は複数でもよい。シナリオは抽出したデータそのものでよいし、抽出したデータを加工して生成してもよい。
【0122】
例えばSCENARIO_DAYS=7とする場合、ある需要家に対し、s=1では3日前、s=2では5日前、s=3では2日前・・・、といった形でシナリオによって異なる日のデマンドとSoCとの実績データとを予測値として抽出し、他の需要家については同じシナリオに対して上記需要家とは別の日のデータを抽出する。少なくとも同じシナリオで2以上の需要家のデータが異なる日であるとする。これにより様々な日の需要家のデータが組み合わされたシナリオが得られる。たとえば、多くの需要家がDR時間帯の最初のブロックでSoCが少なくなるような傾向がある場合、最初のブロックのSoC合計が少なくなるようなシナリオが多く得られるが、一部のシナリオでは、最初のブロックのSoCが高い日の需要家のデータもいくつか抽出されることで、最初のブロックのSoC合計が少しだけ大きいシナリオも実現できる。なお、各需要家でデマンドとSoCとは同じ日のものを抽出するものとし、これにより整合性が保たれる。
【0123】
次にStep2では、各シナリオs(s=1,2,...,S)について、例えば実施例3または実施例4で述べた方法により、各シナリオの最適な入札量を得る。
【0124】
Step3では、得られた結果を例えば総収益(または総入札量)の昇順にソートし、下からP番目の値を最適化の結果として採用する。
【0125】
この際、例えばPの値を小さくすればより保守的な見積もりを行うことができる。Pの値をS/2程度にすれば平均的な見積もりを行うことができる。Pの値をS近くにすれば、リスクの高い(最大収益に近い)見積もりを行うことができる。
【0126】
(実施例5の具体例)
実施例5の具体例を、
図25を用いて説明する。S=100及びP=5とする。簡単のため単一ブロックのケースについて述べる。
【0127】
図25は、実施例5の動作の具体例を示す図である。
図25の左図は、Step2の結果得られた1~100回目の最適入札量を表す。
図25の中央図は、この100個の値を昇順に並べたものを表す。
図25の右図は、これらの中からP=5番目の値を取り出したものである。
【0128】
(出力の画面の例)
最後に出力の画面の例について述べる。
図26は、表示部240の出力画面の例を示す。出力画面には、操作入力部230として入札量算出ボタン300も含まれる。例えば、
図26の出力画面において、DR日、DR時間帯、パラメータ情報(SCENARIO _DAYS、S、P)などを入力し、入札量算出ボタン300を押下することで、充放電要請内容の画面部分に、算出結果が出力される。出力形式としては、合計DR可能量を表形式又は棒グラフ形式で表してもよい。また合計DR可能量の内訳として、需要家毎のDR可能量を出力してもよい。なお30分毎の入札ブロックの単価はあらかじめ任意の方法で決定されているものとし、本例では入札ブロックごとに異なるが、全入札ブロックで共通の値であってもよい。
なお、ここで決定したブロック毎の入札量を示すデータを、電力取引市場の処理を行う電力取引市場システムに送信する処理まで行っても良い。
また経済DRの場合は、需要家からの調達量の総和になるため、ブロック毎に計画値と実績見込み値(推定電力デマンド値)との差分から、需要家からの調達量を除いた部分である、電力取引市場からの調達量を、電力取引市場へ入札すべき電力の入札量として、画面出力しても良い。さらにこの電力取引市場からの調達分を入札量として示すデータを、電力取引市場の処理を行う電力取引市場システムに送信する処理まで行っても良い。
【0129】
(ハードウェア構成)
本実施形態に係るDR可能量推定装置のハードウェア構成について、
図27を参照して説明する。
図27は、本実施形態に情報処理装置であるDR可能量推定装置のハードウェア構成を示す。
図27に示すように、本実施形態に係るDR可能量推定装置は、コンピュータ1000により構成される。コンピュータ1000は、CPU1001(中央演算装置)と、入力装置1002と、表示装置1003と、通信装置1004と、記憶装置1005と、を備え、これらはバス1006により相互に接続されている。
【0130】
CPU1001は、コンピュータ1000の制御装置及び演算装置である。CPU1001は、バス1006を介して接続された各装置(例えば、入力装置1002、通信装置1004、記憶装置1005)から入力されたデータやプログラムに基づいて演算処理を行い、演算結果や制御信号を、バス1006を介して接続された各装置(例えば、表示装置1003、通信装置1004、記憶装置1005)に出力する。
【0131】
具体的には、CPU1001は、コンピュータ1000のOS(オペレーティングシステム)や、DR可能量推定プログラム(情報処理プログラム)などを実行し、コンピュータ1000を構成する各装置を制御する。DR可能量推定プログラムは、コンピュータ1000に、DR可能量推定装置の上述の各機能構成を実現させるプログラムである。CPU1001がDR可能量推定プログラムを実行することにより、コンピュータ1000がDR可能量推定装置として機能する。入力装置1002は、コンピュータ1000に情報を入力するための装置である。入力装置1002は、例えば、キーボード、マウス、及びタッチパネルであるが、これに限られない。ユーザは、入力装置1002を用いることにより入力情報を入力することができる。
【0132】
表示装置1003は、画像や映像を表示するための装置である。表示装置1003は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、CRT(ブラウン管)、及びPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。これらにより、表示装置1003に最適化結果を表示させることができる。
【0133】
通信装置1004は、コンピュータ1000が、外部装置と無線又は有線で通信するための装置である。通信装置1004は、例えば、モデム、ハブ、及びルータであるが、これに限られない。また入力情報は、通信装置1004を介して外部装置から入力されてもよい。
【0134】
記憶装置1005は、コンピュータ1000のOSや、DR可能量推定プログラム、DR可能量推定プログラムの実行に必要なデータ、及びDR可能量推定プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する記憶媒体である。記憶装置1005には、主記憶装置と外部記憶装置とが含まれる。主記憶装置は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。また、外部記憶装置は、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。なお、コンピュータ1000は、CPU1001、入力装置1002、表示装置1003、通信装置1004、及び記憶装置1005を、1つ又は複数備えてもよいし、プリンタやスキャナなどの周辺機器を接続されていてもよい。また、DR可能量推定装置は、単一のコンピュータ1000により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ1000からなるシステムとして構成されてもよい。さらに、DR可能量推定プログラムは、コンピュータ1000の記憶装置1005に予め記憶されていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよいし、インターネット上にアップロードされていてもよい。いずれの場合も、DR可能量推定プログラムをコンピュータ1000にインストールして実行することにより、DR可能量推定装置を構成することができる。
【0135】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0136】
本実施形態は以下のような構成をとることもできる。
[項目1]
第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する、処理部
を備えた情報処理装置。
[項目2]
前記処理部は、前記需要家において前記蓄電池が充放電可能に接続されているまたは接続されていない時間である接続/未接続時間の履歴に基づき、前記第2期間における前記蓄電池の接続/未接続時間を推定し、前記接続/未接続時間の推定値に基づき、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する
項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記処理部は、前記第2期間における前記1または複数の需要家の電力デマンドの情報を取得し、前記電力デマンドの情報にさらに基づき、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する
項目1または2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記処理部は、前記需要家における第3期間のメータ値の履歴に基づき、前記第2期間における前記需要家の電力デマンドを推定し、推定した前記電力デマンドにさらに基づいて、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する、
項目3に記載の情報処理装置。
[項目5]
前記処理部は、前記電力デマンドと、前記蓄電池の充放電の前記履歴とに基づき、前記第2期間における前記蓄電池の充電出力値及び放電出力値を時刻毎に推定し、推定した前記充電出力値及び前記放電出力値と、推定した前記電力デマンドとにさらに基づき、前記需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量を算出する
項目4に記載の情報処理装置。
[項目6]
前記処理部は、前記蓄電池の充放電動作に関して予め設定された制御にさらに基づき需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能を算出する
項目5に記載の情報処理装置。
[項目7]
前記処理部は、前記第2期間における複数の前記需要家の前記蓄電池の残量の推定値を含む複数のシナリオを生成し、前記シナリオごとに前記電力調整可能量を推定し、前記シナリオごとに推定した前記電力調整可能量から、前記電力調整可能量を選択する
項目1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目8]
前記処理部は、前記蓄電池の充放電の前記履歴と、前記接続/未接続時間の履歴とに基づき、前記第2期間における複数の前記需要家の前記蓄電池の残量の推定値と前記接続/未接続時間の推定値とを含む複数のシナリオを生成し、前記シナリオごとに前記電力調整可能量を推定し、前記シナリオごとの前記電力調整可能量から前記電力調整可能量を選択する
項目2に記載の情報処理装置。
[項目9]
前記処理部は、前記電力調整可能量に基づき、前記第2期間に対する需給調整市場への入札量を決定する
項目1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目10]
前記処理部は、決定した前記入札量を示すデータを、前記需給調整市場の処理を行う需給調整市場システムに送信する
項目9に記載の情報処理装置。
[項目11]
前記処理部は、前記第2期間を分割するブロック数と、前記ブロック毎の価格とを入力とし、前記第2期間を前記ブロック数で分割したブロック毎に前記電力調整可能量を推定し、前記ブロック毎の前記電力調整可能量を制約条件として、前記ブロック毎の単価と前記ブロック毎の前記複数の需要家からの電力の調達量とを乗算及び総和した値を最大化または準最大化するように前記ブロック毎の前記調達量を算出し、前記ブロック毎の電力デマンドの計画値と、前記ブロック毎に推定される前記電力デマンドとの差分から前記ブロック毎の調達量を除いた電力量を前記ブロック毎の電力取引市場への入札量として決定する
請求項4に記載の情報処理装置。
項目4~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目12]
前記処理部は、決定した前記ブロック毎の前記入札量を示すデータを、前記電力取引市場の処理を行う電力取引市場システムに送信する
項目11に記載の情報処理装置。
[項目13]
前記第2期間は、デマンドレスポンスの対象時間帯である
項目1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目14]
前記処理部は、前記第2期間を指定した前記デマンドレスポンスの指令情報を受信し、前記指令情報に基づき、前記第2期間において前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充放電を制御する
項目13に記載の情報処理装置。
[項目15]
第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する
情報処理方法。
[項目16]
第1期間における1または複数の需要家の蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定するステップと、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出するステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
[項目17]
1または複数の需要家の蓄電池と、
第1期間における前記蓄電池の充放電の履歴に基づき、前記第1期間と異なる第2期間における前記蓄電池の残量を推定し、
前記蓄電池の残量の推定値に基づき、前記第2期間における前記1または複数の需要家の前記蓄電池の充電可能量または放電可能量の合計である電力調整可能量を算出する
処理部と、
を備えた情報処理システム。
【符号の説明】
【0137】
10 需要家
20 電力メータ
21 分電盤
22 負荷
23 PCS
24 ゲートウェイ(GW)
25 PVパネル
26 電気自動車(EV)
27 蓄電池
30 電力削減指令
31 メータ値(測定値)
32 充放電値
33 充電指令
34 放電指令
100 DR可能量推定装置
110 受信部
140 蓄電池SoC時系列推定部
141 SoC時系列推定値
142 未接続時系列推定値
150 デマンド推定部
151 デマンド時系列推定値
160 DR可能量推定部
161 アグリゲーションコーディネーター(AC)
162 リソースアグリゲーター(RA)
170 DR内容情報
180 電池スペック情報
180 蓄電池スペック情報
190 パラメータ情報
200 アグリゲーター
230 操作入力部
240 表示部
300 入札量算出ボタン
400 通信ネットワーク
500 電力系統
600 上位システム
700 電力会社
1000 コンピュータ
1002 入力装置
1003 表示装置
1004 通信装置
1005 記憶装置
1006 バス