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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025157768
(43)【公開日】2025-10-16
(54)【発明の名称】流体制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/122 20060101AFI20251008BHJP
【FI】
F16K31/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059990
(22)【出願日】2024-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 達人
【テーマコード(参考)】
3H056
【Fターム(参考)】
3H056AA02
3H056BB32
3H056CA03
3H056CA08
3H056CB03
3H056CC05
3H056CD04
3H056DD03
3H056EE02
3H056GG14
(57)【要約】
【課題】2段階の開度制御が可能であるとともに、操作流体を供給するための配管スペースを削減することが可能な流体制御弁を提供すること。
【解決手段】駆動軸7は、第1シリンダ5と第2シリンダ6のそれぞれに、圧縮エアを、第1圧力または第2圧力で供給する供給路71を備えること、第1シリンダ5に装填され、圧縮エアが第1シリンダ5に第1圧力で供給されたとき、弁体32が第3開度に動作するまで、駆動軸7を離間方向に動作させる第1ピストン52と、第2シリンダ6に装填され、圧縮エアが第2シリンダ6に第1圧力で供給されたとき、弁体32が第3開度に動作するまで、第1ピストン52とともに駆動軸7を離間方向に動作させ、圧縮エアが第2シリンダ6に第2圧力で供給されたとき、弁体32が第3開度から第2開度に動作するまで、単独で駆動軸7を離間方向に動作させる第2ピストン62と、を備えること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座と、
前記弁座に当接をする第1開度と、前記弁座から最も離間をする第2開度と、の間で当接離間動作をする弁体と、
前記弁体の前記当接離間動作を行うための駆動軸と、
前記駆動軸が前記当接離間動作の方向に沿って挿通されたシリンダ部と、
前記シリンダ部に装填され、前記シリンダ部に供給される操作流体の流体圧を受けることで、前記駆動軸を前記弁体が前記離間をする方向である離間方向に動作させるピストンと、
前記ピストンに対し、前記離間方向とは逆の方向の当接方向に付勢力を与える付勢部材と、
を備える流体制御弁において、
前記シリンダ部は、前記駆動軸の軸方向に沿って積み重なる、第1シリンダと第2シリンダとを備えること、
前記駆動軸は、前記第1シリンダと前記第2シリンダのそれぞれに、前記操作流体を、第1圧力または前記第1圧力よりも高い第2圧力で供給する供給路を備えること、
前記ピストンは、
前記第1シリンダに装填され、前記操作流体が前記第1シリンダに前記第1圧力で供給されたとき、前記弁体が、前記第1開度から、前記第1開度と前記第2開度との間の第3開度に動作するまで、前記駆動軸を前記離間方向に動作させる第1ピストンと、
前記第2シリンダに装填され、前記操作流体が前記第2シリンダに前記第1圧力で供給されたとき、前記弁体が前記第1開度から前記第3開度に動作するまで、前記第1ピストンとともに、前記駆動軸を前記離間方向に動作させ、前記操作流体が前記第2シリンダに前記第2圧力で供給されたとき、前記弁体が前記第3開度から前記第2開度に動作するまで、単独で、前記駆動軸を前記離間方向に動作させる第2ピストンと、
を備えること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流体制御弁において、
前記第1シリンダは、前記第1ピストンに前記離間方向の側から当接して、前記弁体を前記第3開度に規制する第1規制部を備えること、
前記第2シリンダは、前記第2ピストンに前記離間方向の側から当接して、前記弁体を前記第2開度に規制する第2規制部を備えること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項3】
請求項2に記載の流体制御弁において、
前記第1規制部は、前記第2シリンダの前記第1シリンダの側の端部に形成されていること、
前記第2シリンダは、前記第1シリンダに対して、前記軸方向における位置を調整可能に螺合されており、前記第2シリンダの位置を調整することで、前記第1規制部の前記軸方向における位置を調整可能なこと、
前記第2規制部は、前記第2シリンダの前記第1シリンダの側とは反対側に、前記第2シリンダに対して、前記軸方向における位置を調整可能に螺合されていること、
を特徴とする流体制御弁。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の流体制御弁において、
前記第1ピストンの受圧面積は、
前記第2ピストンの受圧面積よりも大きいこと、
を特徴とする流体制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程においては流体制御弁が用いられている。具体的には、流体制御弁は、ウエハが設置される真空チャンバと、ガス供給源との間に設置され、ウエハの成膜処理を行うためのプロセスガスの流量や、真空チャンバのパージを行うための窒素ガスの流量を制御するために用いられる。
【0003】
流体制御弁としては、例えば、特許文献1に開示される流体制御弁が知られている。特許文献1に開示される流体制御弁は、エアオペレイト式開閉弁であり、操作流体により弁体と弁座の当接離間動作を制御する。具体的には、弁体は、以下のように、弁体が弁座に当接する弁閉位置(第1開度とする)と、弁体が弁座から最も離間する最大弁開位置(第2開度とする)と、これらの中間の位置(第3開度とする)に作動される。
【0004】
特許文献1に開示される流体制御弁は、ノーマルクローズ弁であり、操作流体の供給を受けていない状態では、弁体は、弁座に当接する第1開度に位置されている。
【0005】
また、特許文献1に開示される流体制御弁は、第1ピストンが装填された第1加圧室と、第1加圧室に操作流体を供給する第1制御ポートと、を備えており、第1制御ポートから第1加圧室に操作流体が供給されると、第1ピストンが動作し、弁体が第2開度に位置されるようになっている。
【0006】
また、特許文献1に開示される流体制御弁は、第2ピストンが装填された第2加圧室と、第2加圧室に操作流体を供給する第2制御ポートと、を備えており、第2制御ポートから第2加圧室に操作流体が供給されると、第2ピストンが動作し、弁体が第3開度に位置されるようになっている。
【0007】
つまり、特許文献1に開示される流体制御弁は、第1制御ポートを介して第1制御ポートに操作流体を供給するか、第2制御ポートを介して第2加圧室に操作流体を供給するかにより、第2開度と第3開度の2段階で開度制御が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8-170755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した流体制御弁は、弁体を第2開度に位置させるための第1制御ポートと、弁体を第3開度に位置させるための第2制御ポートとが別個に設けられているため、操作流体を供給するための配管を、それぞれのポートに接続しなければならないため、その分の配管スペースが必要である。このことは、半導体製造装置の高密度化を阻害するおそれがある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、2段階の開度制御が可能であるとともに、操作流体を供給するための配管スペースを削減することが可能な流体制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一態様における流体制御弁は、次のような構成を有している。
【0012】
(1)弁座と、
前記弁座に当接をする第1開度と、前記弁座から最も離間をする第2開度と、の間で当接離間動作をする弁体と、前記弁体の前記当接離間動作を行うための駆動軸と、前記駆動軸が前記当接離間動作の方向に沿って挿通されたシリンダ部と、前記シリンダ部に装填され、前記シリンダ部に供給される操作流体の流体圧を受けることで、前記駆動軸を前記弁体が前記離間をする方向である離間方向に動作させるピストンと、前記ピストンに対し、前記離間方向とは逆の方向の当接方向に付勢力を与える付勢部材と、を備える流体制御弁において、前記シリンダ部は、前記駆動軸の軸方向に沿って積み重なる、第1シリンダと第2シリンダとを備えること、前記駆動軸は、前記第1シリンダと前記第2シリンダのそれぞれに、前記操作流体を、第1圧力または前記第1圧力よりも高い第2圧力で供給する供給路を備えること、前記ピストンは、前記第1シリンダに装填され、前記操作流体が前記第1シリンダに前記第1圧力で供給されたとき、前記弁体が、前記第1開度から、前記第1開度と前記第2開度との間の第3開度に動作するまで、前記駆動軸を前記離間方向に動作させる第1ピストンと、前記第2シリンダに装填され、前記操作流体が前記第2シリンダに前記第1圧力で供給されたとき、前記弁体が前記第1開度から前記第3開度に動作するまで、前記第1ピストンとともに、前記駆動軸を前記離間方向に動作させ、前記操作流体が前記第2シリンダに前記第2圧力で供給されたとき、前記弁体が前記第3開度から前記第2開度に動作するまで、単独で、前記駆動軸を前記離間方向に動作させる第2ピストンと、を備えること、を特徴とする。
【0013】
(2)(1)に記載の流体制御弁において、前記第1シリンダは、前記第1ピストンに前記離間方向の側から当接して、前記弁体を前記第3開度に規制する第1規制部を備えること、前記第2シリンダは、前記第2ピストンに前記離間方向の側から当接して、前記弁体を前記第2開度に規制する第2規制部を備えること、が好ましい。
【0014】
(3)(2)に記載の流体制御弁において、前記第1規制部は、前記第2シリンダの前記第1シリンダの側の端部に形成されていること、前記第2シリンダは、前記第1シリンダに対して、前記軸方向における位置を調整可能に螺合されており、前記第2シリンダの位置を調整することで、前記第1規制部の前記軸方向における位置を調整可能なこと、前記第2規制部は、前記第2シリンダの前記第1シリンダの側とは反対側に、前記第2シリンダに対して、前記軸方向における位置を調整可能に螺合されていること、が好ましい。
【0015】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、前記第1ピストンの受圧面積は、前記第2ピストンの受圧面積よりも大きいこと、が好ましい。
【0016】
上記の流体制御弁は、駆動軸の軸方向に沿って積み重なる、第1ピストンが装填された第1シリンダと第2ピストンが装填された第2シリンダとを備えており、第1ピストンは、操作流体が第1シリンダに第1圧力で供給されたとき、弁体が、第1開度から第3開度に動作するまで、駆動軸を離間方向に動作させ、第2ピストンは、操作流体が第2シリンダに第1圧力で供給されたとき、弁体が第1開度から第3開度に動作するまで、第1ピストンとともに駆動軸を離間方向に動作させ、操作流体が第2シリンダに第2圧力で供給されたとき、弁体が第3開度から第2開度に動作するまで、単独で駆動軸を離間方向に動作させる。したがって、操作流体を第1圧力で供給するか、第2圧力で供給するかにより、第2開度と第3開度との2段階で、弁体の開度制御することができる。また、第1シリンダおよび第2シリンダに対する、第1圧力または第2圧力での操作流体の供給は、駆動軸が備える供給路によって行われる。よって、操作流体を供給するための配管は、当該供給路のみに接続すれば良いため、配管スペースを削減することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の流体制御弁によれば、2段階の開度制御が可能であるとともに、操作流体を供給するための配管スペースを削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る流体制御弁の断面図であり、ダイアフラム部材が第1開度にある状態(流体制御弁の弁閉状態)を示している。
図2】本実施形態に係る流体制御弁の断面図であり、ダイアフラム部材が第3開度にある状態を示している。
図3】本実施形態に係る流体制御弁の断面図であり、ダイアフラム部材が第2開度にある状態(流体制御弁の最大弁開状態)を示している。
図4】変形例に係る流体制御弁の断面図である。
図5】変形例に係る流体制御弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る流体制御弁の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明に用いる図面は、説明のために簡略化しており、形状や寸法等を正確に表すものではない。
【0020】
(流体制御弁の構成について)
本実施形態に係る流体制御弁1の構成について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る流体制御弁1の断面図であり、ダイアフラム部材34が第1開度にある状態(流体制御弁1の弁閉状態)を示している。図2は、本実施形態に係る流体制御弁1の断面図であり、ダイアフラム部材34が第3開度にある状態を示している。図3は、本実施形態に係る流体制御弁1の断面図であり、ダイアフラム部材34が第2開度にある状態(流体制御弁1の最大弁開状態)を示している。なお、図1図3の上下方向は、ダイアフラム部材34が後述する弁座33に対して当接離間をする方向と一致されており、図1図3中の上側を離間方向とし、下側を当接方向とする。
【0021】
流体制御弁1は、半導体製造工程に用いられるガスバルブである。より具体的には、ウエハが設置される真空チャンバと、ガス供給源との間に設置され、ウエハの成膜処理を行うためのプロセスガスの流量や、真空チャンバのパージを行うための窒素ガスの流量を制御するために用いられる。ウエハの成膜処理は、例えば原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)により行われる。
【0022】
流体制御弁1は、ノーマルクローズタイプのエアオペレイト式の開閉弁であり、図1に示すように、シリンダ部2と、弁部3と、スプリング部4と、を備えている。
【0023】
(シリンダ部について)
まず、シリンダ部2について説明する。シリンダ部2は、圧縮エア供給源(第1供給源8,第2供給源9)から圧縮エア(操作流体の一例)の供給を受けて駆動するエアシリンダである。また、シリンダ部2は、上下に積み重なる第1シリンダ5と第2シリンダ6とを備えている。
【0024】
第1シリンダ5は、第1シリンダハウジング51と、第1ピストン52と、を主な構成要素としている。
【0025】
第1シリンダハウジング51は、第2シリンダ6側の開口53と、その反対側の底部54と、を備える有底円筒状に形成されており、内部には、円柱状の空間として第1ピストン室55を備えている。第1ピストン室55には、円盤状に形成された第1ピストン52が装填されており、第1ピストン52は、第1ピストン室55を、開口53側の上室551と、底部54側の下室552と、に区画している。
【0026】
第1ピストン52は、第1ピストン室55内で、図中の上下方向に摺動可能とされている。より具体的には、下限位置と上限位置との間で摺動可能であり、下限位置とは、図1に示すように、第1ピストン52が、第1ピストン室55の底に当接する位置であって、上限位置とは、図2および図3に示すように、第1ピストン52が、後述する第1規制部68に当接する位置である。
【0027】
また、第1シリンダハウジング51は、開口53の内周面の、第2シリンダ6側の端部に、雌ねじ部56を備えており、第2シリンダ6は、雌ねじ部56に螺合されることで第1シリンダ5と連結している。
【0028】
第2シリンダ6は、第2シリンダハウジング61と、第2ピストン62と、規制部材63と、第1圧縮コイルばね64(付勢部材の一例)と、を主な構成要素としている。
【0029】
第2シリンダハウジング61は、円筒状に形成されており、軸方向(図中の上下方向)の両端部のうち、第1シリンダ5側は底部65に閉塞され、その反対側の端部は頭部66により閉塞されている。また、第2シリンダハウジング61は、内部に、円柱状の空間として第2ピストン室67を備えている。第2ピストン室67には、円盤状に形成された第2ピストン62が装填されており、第2ピストン62は、第2ピストン室67を、頭部66側の上室671と、底部65側の下室672と、に区画している。
【0030】
第2ピストン62は、第2ピストン室67内で、図中の上下方向に摺動可能とされている。より具体的には、下限位置と上限位置との間で摺動可能であり、下限位置とは、図1に示すように、第2ピストン62が、第2ピストン室67の底に当接する位置であって、上限位置とは、図3に示すように、第2ピストン62が、後述する第2規制部632に当接する位置である。
【0031】
第2ピストン室67の上室671には、第1圧縮コイルばね64が収納されている。第1圧縮コイルばね64は、頭部66と第2ピストン62に圧縮された状態であるため、第2ピストン62に対して、当接方向(図中下方向)の付勢力を常時与えている。
【0032】
第2シリンダハウジング61は、底部65の外周面に、雄ねじ部651を備えており、上述の通り、第1シリンダ5の雌ねじ部56に螺合される。これにより、第2シリンダハウジング61の底部65が、第1ピストン室55を閉塞し、第1シリンダ5の一部を形成している。なお、上記螺合により、第1シリンダ5と第2シリンダ6とは、同軸上に位置している。また、第2シリンダハウジング61の、第1ピストン52に面する下端面には、第1規制部68が突設されている。第1規制部68は、第1ピストン52の上限位置を定めるために用いられる。すなわち、第1ピストン52が第1規制部68に当接する位置が、第1ピストン52の上限位置である。
【0033】
第2シリンダ6は、第1シリンダ5に螺合されているため、ねじ込み深さを調整することで、第1シリンダ5に対する軸方向における位置を無段階に調整可能である。これはつまり、第1ピストン52が下限位置にあるときの第1ピストン52と第1規制部68との距離D1(すなわち、第1ピストン52の下限位置と上限位置との間のストローク)を調整可能ということである。この第1ピストン52のストロークについては、後に詳述する。
【0034】
さらに、第2シリンダハウジング61は、頭部66を軸方向に貫通する雌ねじ部69を備えており、この雌ねじ部69に、規制部材63が螺合されている。規制部材63は、略円柱状の部材であり、後述する駆動軸7を挿し込み可能な挿通孔634が貫通している。また、規制部材63の外周面には、雄ねじ部631が設けられており、規制部材63の、第2シリンダハウジング61に対するねじ込み深さを調整可能となっている。
【0035】
規制部材63は、第2シリンダハウジング61に螺合されることで、第2ピストン室67内に挿し込まれており、第2ピストン62に面する下端面には、第2規制部632が突設されている。第2規制部632は、第2ピストン62の上限位置を定めるために用いられる。すなわち、第2ピストン62が第2規制部632に当接する位置が、第1ピストン52の上限位置である。
【0036】
規制部材63の、第2シリンダハウジング61に対するねじ込み深さを調整することで、第2ピストン62が下限位置にあるときの第2ピストン62と第2規制部632との距離D2(すなわち、第2ピストン62の下限位置と上限位置との間のストローク)を調整可能になっている。この第2ピストン62のストロークについては、後に詳述する。
【0037】
第2シリンダハウジング61の頭部66側の端面(図中の上端面)には、第1ピストン52の位置を検出するための第1光電センサ21と、第2ピストン62の位置を検出するための第2光電センサ22と、が取り付けられている。第1光電センサ21および第2光電センサ22は、検出対象に光を照射し、反射光を受光することで対象の位置を検出する一般的な光電センサである。第1ピストン52の直径は、第2ピストン62よりも直径が大きいため、第1光電センサ21は、第2ピストン62の最外径部よりも半径方向外側に位置されている。これにより、第1光電センサ21は、第2シリンダハウジング61を通して、第1ピストン室55内の第1ピストン52に光を照射し、反射光を受光することで、第1ピストン52の位置を検出することが可能となっている。第2光電センサ22は、第1光電センサ21よりも内周側に位置しており、頭部66を通して、第2ピストン室67内の第2ピストン62に光を照射し、反射光を受光することで、第2ピストン62の位置を検出することが可能となっている。
【0038】
シリンダ部2には、第1シリンダ5および第2シリンダ6の軸方向に沿って、駆動軸7が挿通されている。また、シリンダ部2の内部では、駆動軸7は、第1ピストン52、第2ピストン62に結合されておらず、それぞれのピストン52,62の中心部に、摺動可能に挿通されている。
【0039】
駆動軸7は、円柱状に形成されている。その軸方向は、図1中の上下方向と平行な方向であり、ダイアフラム部材34が弁座33に対して当接離間をする方向と一致している。駆動軸7の軸方向の両端部のうち、規制部材63に挿し込まれている側の端部(図中の上端部)には、圧縮エア供給源から延伸する配管10が、例えばワンタッチ継手等を介して接続されている。これにより、シリンダ部2は、圧縮エアの供給を受けることができる。より具体的には、駆動軸7に接続された配管10は分岐されており、第1供給源8と第2供給源9とが並列して接続されている。第1供給源8と第2供給源9とでは供給する圧縮エアの圧力が異なっており、第1供給源8は、第1圧力(例えば、0.4MPa)の圧縮エアをシリンダ部2供給し、第2供給源9は、第1圧力よりも高い圧力である第2圧力(例えば0.6MPa)の圧縮エアをシリンダ部2供給する。そして、切替弁(不図示)により、第1供給源8から圧縮エアの供給を行う状態と、第2供給源9からの圧縮エアの供給を行う状態と、の切替を行うことが可能になっている。
【0040】
駆動軸7は、軸心上に、圧縮エアを流すための供給路71を備えている。供給路71は、第1ピストン室55の下室552に連通する第1分岐路711と、第2ピストン室67の下室672に連通する第2分岐路712と、を備えている。よって、供給路71に圧縮エアが供給されると、第1分岐路711を介して第1ピストン室55の下室552に圧縮エアが流入するとともに、第2分岐路712を介して第2ピストン室67の下室672に圧縮エアが流入する。これにより、第1ピストン52と第2ピストン62の摺動が行われる。具体的には、第1ピストン室55の下室552に圧縮エアが流入すると、下室552の圧力が上昇することで第1ピストン52は上限位置に向かって摺動する。また、第2ピストン室67の下室672に圧縮エアが流入すると、下室672の圧力が上昇することで第2ピストン62は上限位置に向かって摺動する。ここで、第1ピストン52の下室552に面する面積(すなわち、圧縮エアの圧力を受ける受圧面積)は、第2ピストン62の下室672に面する面積(受圧面積)よりも大きいことが望ましく、本実施形態においては、第1ピストン52の受圧面積は、第2ピストン62の受圧面積の1.5倍に設定されている。
【0041】
駆動軸7は、その外周面のうち、第1ピストン室55の上室551に面する部分に、駆動軸7の半径方向に突設された第1係合部72を備えている。第1ピストン52は、下限位置から上限位置に摺動する際に、第1係合部72に当接することで、第1圧縮コイルばね64と、後述する第2圧縮コイルばね42の当接方向への付勢力に抗して、駆動軸7を離間方向に押し上げる。さらに、駆動軸7は、その外周面のうち、第2ピストン室67の上室671に面する部分に、駆動軸7の半径方向に突設された第2係合部73を備えている。第2ピストン62は、下限位置から上限位置に摺動する際に、第2係合部73に当接することで、第1圧縮コイルばね64と、後述する第2圧縮コイルばね42の当接方向への付勢力に抗して、駆動軸7を離間方向に押し上げる。
【0042】
(スプリング部について)
次にスプリング部4について説明する。スプリング部4は、ハウジング41と、第2圧縮コイルばね42(付勢部材の一例)と、を備えている。
【0043】
駆動軸7のスプリング部4側の端部(図1中の下端部)は、シリンダ部2から突出し、ハウジング41内に延伸している。そして、駆動軸7のハウジング41内の先端部には、駆動軸7の半径方向に突出するばね受け74が設けられている。そして、ハウジング41内には、駆動軸7と同軸上に、第2圧縮コイルばね42が配置されている。第2圧縮コイルばね42は、ばね受け74とハウジング41内の天井部411とに圧縮されることで、駆動軸7に対して常に当接方向(図中の下方向)に付勢力を与えている。第2圧縮コイルばね42は、駆動軸7の第1係合部72が第1ピストン52に当接することで、第1ピストン52にも当接方向の付勢力を与えており、駆動軸7の第2係合部73が第2ピストン62に当接することで、第2ピストン62にも当接方向の付勢力を与えている。
【0044】
(弁部について)
次に弁部3について説明する。弁部3は、ボディ31と、ステム32と、弁座33と、ダイアフラム部材34(弁体の一例)と、を備えている。
【0045】
ボディ31には、スプリング部4側の端面に、弁室311が穿設されている。弁室311には、弁室311の底部の中央に設けられた弁孔312から、制御流体が流入される。また、弁室311の底面には、弁孔312の外周側かつ弁孔312と同軸上に、円環状の弁座33が固定されている。さらに、弁室311には、弁座33の半径方向外側に、出力流路314が設けられている。この出力流路314は、制御流体を弁室311から流体制御弁1の外部へ出力するために用いられる。
【0046】
ステム32は、例えばステンレス鋼を材質として略円柱形状に形成されており、駆動軸7に面する上端面が駆動軸7に当接し、ダイアフラム部材34に面する下端面がダイアフラム部材34に当接した状態である。またステム32は、上下動可能なようにホルダ35によって保持されている。
【0047】
ダイアフラム部材34は、例えば、Ni合金を材質としており、自然状態では駆動軸7の側に膨出する球冠状となるように形成されている。また、ダイアフラム部材34の外周縁は、弁部3内でホルダ35とボディ31とにより上下方向から挟持固定されている。
【0048】
ダイアフラム部材34のステム32側の面は、ステム32に当接されており、駆動軸7が当接方向に移動してステム32が当接方向に押し下げられると、ダイアフラム部材34は、ステム32によって当接方向に弾性変形される。一方で、駆動軸7が離間方向に移動すると、ダイアフラム部材34は、自己復帰力によりステム32を離間方向に押し上げて元の球冠状の形状に戻るようになっている。このように、駆動軸7の進退に伴ってダイアフラム部材34が弾性変形することで、ダイアフラム部材34は、弁座33に対して当接離間の動作をする。より具体的には、ダイアフラム部材34は、弁座33に当接する第1開度(図1に示す位置)と、弁座33から最も離間する第2開度(図3に示す位置)と、第1開度と第2開度の間の第3開度(図2に示す位置)と、の間で動作をする。なお、ダイアフラム部材34が第1開度にある状態とは、流体制御弁1が弁閉状態であること意味し、制御流体の流れが遮断された状態である。また、ダイアフラム部材34が第2開度にある状態とは、流体制御弁1が最大弁開状態であることを意味し、制御流体の流量が最大の状態である。
【0049】
弁座33は、例えば、耐熱性の優れたPI(ポリイミド)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)からなる。弁座33の、ダイアフラム部材34に対向する端面は、ダイアフラム部材34が当接する当接面である。
【0050】
(第1ピストン、第2ピストンのストロークについて)
第1ピストン52のストローク(距離D1)は、第2ピストン62のストローク(距離D2)よりも小さく設定されている。よって、駆動軸7が距離D1の分だけ押し上げられるまで、すなわち、第1ピストン52が第1規制部68に当接するまでは、第1ピストン52と第2ピストン62とが、ともに駆動軸7を押し上げる。そして、駆動軸7が距離D1の分だけ押し上げられた後、すなわち、第1ピストン52が第1規制部68に当接した後は、第2ピストン62が単独で、第2規制部632に当接するまで駆動軸7を押し上げる。このとき、駆動軸7は、第1ピストン52に対して摺動可能に挿通されているため、第1ピストン52を上限位置に残した状態で、第2ピストン62に押し上げられ、離間方向に駆動される。
【0051】
そして、ダイアフラム部材34は、弁座33に当接する第1開度(図1に示す位置)と、弁座33から最も離間する第2開度(図3に示す位置)と、第1開度と第2開度の間の第3開度(図2に示す位置)と、の間で動作するものであるところ、第3開度は、第1ピストン52のストローク(距離D1)に対応した位置になっており、第2開度は、第2ピストン62のストローク(距離D2)に対応した位置になっている。つまり、駆動軸7が距離D1押し上げられた分だけダイアフラム部材34が弁座33から離間した状態が、ダイアフラム部材34の第3開度であり、駆動軸7が距離D2押し上げられた分だけダイアフラム部材34が弁座33から離間した状態が、ダイアフラム部材34の第2開度である。距離D1は、第2シリンダ6の、第1シリンダ5に対するねじ込み深さを調整することで、無段階に調整可能であるので、第3開度を無段階に調整することが可能になっている。また、距離D2は、規制部材63の、第2シリンダ6に対するねじ込み深さを調整することで、無段階に調整可能であるので、第2開度を無段階に調整することが可能になっている。よって、距離D1を調整することで、ダイアフラム部材34が第2開度であるときの制御流体の流量の細かい調整が可能(すなわち、制御流体の最大流量の細かい調整が可能)であり、距離D1を調整することで、ダイアフラム部材34が第3開度であるときの制御流体の流量の細かい調整が可能である。
【0052】
距離D1および距離D2の調整可能な範囲は、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の弾性力と、第1ピストン52および第2ピストン62の受圧面積と、を考慮して設定される。具体的には、ダイアフラム部材34が第3開度に位置するための距離D1は、第1ピストン52と第2ピストン62とが、ともに駆動軸7を押し上げる距離であることから、第1ピストン52および第2ピストン62の受圧面積と、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の弾性力と、を考慮して、第1圧力(0.4MPa)で駆動軸7を押し上げることが可能なストロークの範囲内で調整可能とされている。また、ダイアフラム部材34が第2開度に位置するための距離D2は、第2ピストン62が単独で駆動軸7を押し上げる距離であることから、第2ピストン62の受圧面積と、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の弾性力を考慮して、距離D1よりも大きい値で、かつ、第2圧力(0.6MPa)で駆動軸7を押し上げることが可能なストロークの範囲内で調整可能とされている。
【0053】
以上のように距離D1、距離D2が設定されるため、シリンダ部2に第1圧力(0.4MPa)の圧縮エアを供給すれば、第1ピストン52を第1規制部68に当接するまで動作させることができ、ダイアフラム部材34を第3開度の状態で維持することができる。また、シリンダ部2に第2圧力(0.6MPa)の圧縮エアを供給すれば、第2ピストン62を第2規制部632に当接するまで動作させることができ、ダイアフラム部材34を第2開度の状態で維持することができる。
【0054】
(流体制御弁の動作について)
以上のような構成の流体制御弁1の弁開動作および弁閉動作は、以下のようにして行われる。
【0055】
まず、弁開動作について説明する。弁開動作には、流体制御弁1が弁閉状態にある状態から、ダイアフラム部材34を第3開度に動作させる場合と、ダイアフラム部材34を第2開度に動作させる場合と、がある。
【0056】
ダイアフラム部材34を第3開度に動作させる場合、流体制御弁1は以下のように動作する。流体制御弁1は、ノーマルクローズタイプであるので、シリンダ部2に圧縮エアが供給されていない状態では、第2圧縮コイルばね42の付勢力によって、駆動軸7が当接方向に押し下げられた状態である。よって、図1に示すように、ダイアフラム部材34は、ステム32によって弾性変形され、弁座33に当接した第1開度の状態とされている。つまり、流体制御弁1は、弁閉状態である。
【0057】
この状態で、シリンダ部2に対して第1供給源8を用いて第1圧力(0.4MPa)の圧縮エアを供給する。すると、下室552,672の圧力が上昇し、第1ピストン52および第2ピストン62が離間方向に摺動される。これに伴い、駆動軸7が、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の付勢力に抗して、同方向に駆動される。駆動軸7が離間方向に駆動されることで、ダイアフラム部材34は自己復帰力により同方向に動作し、ステム32を押し上げながら弁座33から離間する。
【0058】
そして、駆動軸7が距離D1の分だけ押し上げられたとき、図2に示すように、第1ピストン52が第1規制部68に当接する。このとき、第2ピストン62と第2規制部632との間には、距離D2から距離D1を引いた分だけの間隙が残っており、第2ピストン62は上限位置に達していないが、第1供給源8から供給される第1圧力(0.4MPa)の圧縮エアでは、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の付勢力に抗して、これ以上第2ピストン62および駆動軸7を押し上げることができない。よって、ダイアフラム部材34は、駆動軸7が距離D1押し上げられた分だけダイアフラム部材34が弁座33から離間した状態で、すなわち第3開度となった状態で、規制される。なお、ダイアフラム部材34が第3開度に動作されたか否かは、第1光電センサ21,第2光電センサ22により、第1ピストン52,第2ピストン62の位置を検知することで行う。
【0059】
ダイアフラム部材34を第2開度に動作させる場合、流体制御弁1は以下のように動作する。
【0060】
ダイアフラム部材34を、第3開度から第2開度に動作させる場合には、上記の通り、第1圧力(0.4MPa)の圧縮エアを供給し、ダイアフラム部材34が第3開度に規制された状態で、圧縮エアの供給源を第1供給源8から第2供給源9に切り替え、シリンダ部2に対して、第2圧力(0.6MPa)の圧縮エアを供給する。すると、第1ピストン52は、第1規制部68により、さらに離間方向への摺動が規制されている一方で、第2ピストン62と第2規制部632との間には、距離D2から距離D1を引いた分だけの間隙が存在するため、第2ピストン62が、単独で、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の付勢力に抗して、駆動軸7を離間方向に押し上げる。これにより、ダイアフラム部材34は、自己復帰力により、第3開度からさらに離間方向へ動作する。そして、第2ピストン62が第2規制部632に当接することで、ダイアフラム部材34が第2開度に規制される。
【0061】
ダイアフラム部材34を、第1開度から第2開度に動作させる場合には、第1供給源8から第2供給源9への切替を行うのではなく、初めからシリンダ部2に対して第2供給源9を用いて第2圧力(0.4MPa)の圧縮エアを供給する。この場合であっても、駆動軸7が距離D1だけ移動するまでは、第1ピストン52と第2ピストン62がともに駆動軸7を押し上げ、駆動軸7が距離D1だけ移動した後は、第2ピストン62が単独で駆動軸7を押し上げる。そして、第2ピストン62が第2規制部632に当接することで、ダイアフラム部材34が第2開度に規制される。なお、ダイアフラム部材34が第2開度に動作されたか否かは、第1光電センサ21,第2光電センサ22により、第1ピストン52,第2ピストン62の位置を検知することで行う。
【0062】
次に弁閉動作について説明する。流体制御弁1が弁開状態にあるとき(例えば、ダイアフラム部材34が第3開度または第2開度にあるとき)に、シリンダ部2への圧縮エアの供給が停止されると、第2圧縮コイルばね42が駆動軸7を当接方向に駆動するため、ダイアフラム部材34は、ステム32により弾性変形されて弁座33に当接する。すなわちダイアフラム部材34が、第1開度に動作される。これにより、流体制御弁1は、弁閉状態となる。なお、ダイアフラム部材34が第1開度に動作されたか否かは、第1光電センサ21,第2光電センサ22により、第1ピストン52,第2ピストン62の位置を検知することで行う。また、ダイアフラム部材34が動作されると同時に、第1ピストン52は、当接方向に駆動される駆動軸7の第1係合部72によって下限位置に押し下げられ、第2ピストン62は、第1圧縮コイルばね64によって下限位置に押し下げられる。
【0063】
第1ピストン52が下限位置に押し下げられることで、下室552に供給されていた圧縮エアは、第1分岐路711および供給路71を介してシリンダ部2の外部に排出される。また、第2ピストン62が下限位置に押し下げられることで、下室672に供給されていた圧縮エアは、第2分岐路712および供給路71を介してシリンダ部2の外部に排出される。
【0064】
弁閉状態では、ダイアフラム部材34と弁座33との間がシールされ、制御流体の、弁孔312から弁室311への流れが遮断される。このシールは、駆動軸7に対して負荷される第2圧縮コイルばね42の当接方向への付勢力によって保たれている。
【0065】
(作用効果について)
以上説明したように、本実施形態に係る流体制御弁1は、
(1)弁座33と、弁座33に当接をする第1開度と、弁座33から最も離間をする第2開度と、の間で当接離間動作をする弁体(例えばダイアフラム部材34)と、弁体(ダイアフラム部材34)の当接離間動作を行うための駆動軸7と、駆動軸7が当接離間動作の方向に沿って挿通されたシリンダ部2と、シリンダ部2に装填され、シリンダ部2に供給される操作流体(圧縮エア)の流体圧を受けることで、駆動軸7を弁体(ダイアフラム部材34)が離間をする方向である離間方向(図1中の上方向)に動作させるピストン(第1ピストン52,第2ピストン62)と、ピストン(第1ピストン52,第2ピストン62)に対し、離間方向とは逆の方向の当接方向(図1中の下方向)に付勢力を与える付勢部材(第1圧縮コイルばね64,第2圧縮コイルばね42)と、を備える流体制御弁1において、シリンダ部2は、駆動軸7の軸方向(図1中の上下方向)に沿って積み重なる、第1シリンダ5と第2シリンダ6とを備えること、駆動軸7は、第1シリンダ5と第2シリンダ6のそれぞれに、操作流体(圧縮エア)を、第1圧力(0.4MPa)または第1圧力よりも高い第2圧力(0.6MPa)で供給する供給路71を備えること、ピストンは、第1シリンダ5に装填され、操作流体(圧縮エア)が第1シリンダ5に第1圧力(0.4MPa)で供給されたとき、弁体(ダイアフラム部材34)が、第1開度から、第1開度と第2開度との間の第3開度に動作するまで、駆動軸7を離間方向(図1中の上方向)に動作させる第1ピストン52と、第2シリンダ6に装填され、操作流体(圧縮エア)が第2シリンダ6に第1圧力(0.4MPa)で供給されたとき、弁体(ダイアフラム部材34)が第1開度から第3開度に動作するまで、第1ピストン52とともに、駆動軸7を離間方向(図1中の上方向)に動作させ、操作流体(圧縮エア)が第2シリンダ6に第2圧力(0.6MPa)で供給されたとき、弁体(ダイアフラム部材34)が第3開度から第2開度に動作するまで、単独で、駆動軸7を離間方向(図1中の上方向)に動作させる第2ピストン62と、を備えること、を特徴とする。
【0066】
(2)(1)に記載の流体制御弁1において、第1シリンダ5は、第1ピストン52に離間方向(図1中の上方向)の側から当接して、弁体(ダイアフラム部材34)を第3開度に規制する第1規制部68を備えること、第2シリンダ6は、第2ピストン62に離間方向(図1中の上方向)の側から当接して、弁体(ダイアフラム部材34)を第2開度に規制する第2規制部632を備えること、が好ましい。
【0067】
(3)(2)に記載の流体制御弁において、第1規制部68は、第2シリンダ6の第1シリンダ5の側の端部に形成されていること、第2シリンダ6は、第1シリンダ5に対して、軸方向(図1中の上下方向)における位置を調整可能に螺合されており、第2シリンダ6の位置を調整することで、第1規制部68の軸方向における位置を調整可能なこと、第2規制部632は、第2シリンダ6の第1シリンダ5の側とは反対側に、第2シリンダ6に対して、軸方向(図1中の上下方向)における位置を調整可能に螺合されていること、が好ましい。
【0068】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の流体制御弁において、第1ピストン52の受圧面積は、第2ピストン62の受圧面積よりも大きいこと(例えば、1.5倍大きい)、が好ましい。
【0069】
上記の流体制御弁1は、駆動軸7の軸方向に沿って積み重なる、第1ピストン52が装填された第1シリンダ5と、第2ピストン62が装填された第2シリンダ6とを備えており、第1ピストン52は、操作流体(圧縮エア)が第1シリンダ5に第1圧力(0.4MPa)で供給されたとき、弁体(ダイアフラム部材34)が、第1開度から第3開度に動作するまで、駆動軸7を離間方向に動作させ、第2ピストン62は、操作流体(圧縮エア)が第2シリンダ6に第1圧力(0.4MPa)で供給されたとき、弁体(ダイアフラム部材34)が第1開度から第3開度に位置するまで、第1ピストン52とともに駆動軸7を離間方向に動作させ、操作流体(圧縮エア)が第2シリンダ6に第2圧力(0.6MPa)で供給されたとき、弁体(ダイアフラム部材34)が第3開度から第2開度に動作するまで、単独で駆動軸7を離間方向に動作させる。
したがって、操作流体(圧縮エア)を第1圧力(0.4MPa)で供給するか、第2圧力(0.6MPa)で供給するかにより、第2開度と第3開度との2段階で、弁体(ダイアフラム部材34)の開度制御することができる。また、第1シリンダ5および第2シリンダ6に対する、第1圧力(0.4MPa)または第2圧力(0.6MPa)での操作流体(圧縮エア)の供給は、駆動軸7が備える供給路71によって行われる。よって、操作流体を供給するための配管10は、当該供給路71のみに接続すれば良いため、配管スペースを削減することが可能である。
【0070】
第2開度の調整(距離D2の調整)は、第2シリンダ6のねじ込み深さの調整により行うことができ、第3開度の調整(距離D1の調整)は、規制部材63のねじ込み深さの調整により行うことができる。つまり、第2開度の調整(距離D2の調整)および第3開度の調整(距離D1の調整)は、流体制御弁1の上方側から行うことが可能であるため、流体制御弁1の横側に、調整を行うためのスペースを確保する必要がない。よって、流体制御弁1の配置スペース(フットプリント)の削減につながる。
【0071】
加えて、第1ピストン52,第2ピストン62の位置(ダイアフラム部材34の開度)を検出するための光電センサ21,22は、第2シリンダ6の上端面に集約して配設されているため、流体制御弁1の配置スペース(フットプリント)の削減につながる。
【0072】
(流体制御弁の変形例について)
変形例に係る流体制御弁100について説明する。流体制御弁1では、第1シリンダ5に装填された第1ピストン52の受圧面積を、第2シリンダ6に装填された第2ピストン62の受圧面積よりも大きく設定しているが、以下に説明する流体制御弁100のように、第1ピストンを、ピストン122とピストン123とに分割することで、受圧面積をかせぐこととしても良い。
【0073】
流体制御弁100は、ノーマルクローズタイプのエアオペレイト式の開閉弁であり、図4に示すように、シリンダ部11と、弁部3と、スプリング部4と、を備えている。弁部3およびスプリング部4の構成は、流体制御弁1と同一であるため、シリンダ部11と、シリンダ部11に挿通される駆動軸7の、流体制御弁1と異なる点について以下に説明する。
【0074】
シリンダ部11は、圧縮エア供給源(第1供給源8,第2供給源9)から圧縮エア(操作流体の一例)の供給を受けて駆動するエアシリンダである。また、シリンダ部11は、上下に積み重なる第1シリンダ12と第2シリンダ6とを備えている。
【0075】
第1シリンダ12は、第1シリンダハウジング121と、ピストン122,123(第1ピストンの一例)と、を主な構成要素としている。
【0076】
第1シリンダハウジング121は、第2シリンダ6側の開口124と、その反対側の底部125と、を備える有底円筒状に形成されており、内部には、円柱状の空間として、底部125側のピストン室126と、開口124側のピストン室127とが、同軸上に並んで設けられている。ピストン室126,127には、それぞれ、円盤状に形成されたピストン122,123が装填されている。ピストン122は、ピストン室126を、開口124側の上室1261と、底部125側の下室1262と、に区画し、ピストン123は、ピストン室127を、開口124側の上室1271と、底部125側の下室1272と、に区画している。これらピストン122,123は、第2シリンダ6に装填される第2ピストン62と同一径とされている。
【0077】
ピストン122,123は、ピストン室126,127内で、図中の上下方向に摺動可能とされている。より具体的には、下限位置と上限位置との間で摺動可能であり、下限位置とは、図4に示すように、ピストン122,123が、ピストン室126,127の底に当接する位置であって、上限位置とは、ピストン122,123が、距離D1だけ第2シリンダ6側へ摺動した位置、すなわち、ピストン123が、第1規制部68に当接する位置である。
【0078】
また、第1シリンダハウジング121は、開口124の内周面の、第2シリンダ6側の端部に、雌ねじ部128を備えており、第2シリンダ6は、雌ねじ部128に螺合されることで第1シリンダ12と連結している。
【0079】
第2シリンダ6は、流体制御弁1と同一の構成であり、底部65の外周面に設けられた雄ねじ部651が、雌ねじ部128に螺合されることで、底部65が、ピストン室127を閉塞し、第1シリンダ12の一部を形成している。また、第2シリンダ6は、第1シリンダ12に螺合されているため、ねじ込み深さを調整することで、第1シリンダ12に対する軸方向における位置を無段階に調整可能である。これはつまり、ピストン123が下限位置にあるときの、ピストン123と第1規制部68との距離D1(すなわち、ピストン123の下限位置と上限位置との間のストローク)を調整可能ということである。
【0080】
なお、流体制御弁100においては、ピストン122,123の直径が、第2ピストン62の直径と同一に設定されているため、流体制御弁1に設けられていた第1光電センサ21を設けるスペースがない。よって、第2光電センサ22のみが設けられ、第2ピストン62の位置を検出することで、ダイアフラム部材34が第1開度にあるか否か、第3開度にあるか否か、第2開度にあるか否か、を検知する。
【0081】
シリンダ部11に挿通される駆動軸7は、以下の点において流体制御弁1と異なっている。
【0082】
駆動軸7に設けられた供給路71は、ピストン室126の下室1262に連通する第1分岐路711Aと、ピストン室127の下室1272に連通する第1分岐路711Bと、第2ピストン室67の下室672に連通する第2分岐路712と、に分岐されている。よって、供給路71に圧縮エアが供給されると、第1分岐路711Aを介してピストン室126の下室1262に圧縮エアが流入され、第1分岐路711Bを介してピストン室127の下室1272に圧縮エアが流入され、第2分岐路712を介して第2ピストン室67の下室672に圧縮エアが流入される。これにより、ピストン122,123と第2ピストン62の摺動が行われる。
【0083】
また、駆動軸7は、その外周面のうち、ピストン室126の上室1261に面する部分に、駆動軸7の半径方向に突設された第1係合部72Aを備え、ピストン室127の上室1271に面する部分に、駆動軸7の半径方向に突設された第1係合部72Bを備えている。ピストン122,123は、下限位置から上限位置に摺動する際に、第1係合部72A,72Bに当接することで、第1圧縮コイルばね64と、第2圧縮コイルばね42の当接方向への付勢力に抗して、駆動軸7を離間方向に押し上げる。なお、駆動軸7が第2係合部73を備える点は、流体制御弁1と同様である。
【0084】
以上のような構成の流体制御弁100においても、流体制御弁1と同様に、圧縮エアを第1圧力(0.4MPa)で供給するか、第2圧力(0.6MPa)で供給するかにより、第2開度と第3開度との2段階で、ダイアフラム部材34の開度制御することができる。また、第1シリンダ12および第2シリンダ6に対する、第1圧力または第2圧力での圧縮エアの供給は、駆動軸7が備える供給路71によって行われるため、圧縮エアを供給するための配管10は、当該供給路71のみに接続すれば良い。よって、配管スペースを削減することが可能である。
【0085】
なお、上記の実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
【0086】
例えば、本実施形態に係る流体制御弁1(100)においては、第1圧力は0.4MPaとし、第2圧力は0.6MPaとして説明しているが、圧力値はこれらに限定されるものではない。第1圧力は、第1ピストン52(122,123)および第2ピストン62の受圧面積と、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の弾性力と、を考慮してダイアフラム部材34を第3開度に動作させることができる圧力に調整される。また、第2圧力は、第2ピストン62の受圧面積と、第1圧縮コイルばね64および第2圧縮コイルばね42の弾性力と、を考慮してダイアフラム部材34を第2開度に動作させることができる圧力に調整される。
【0087】
さらに、本実施形態に係る流体制御弁1(100)は、駆動軸7とダイアフラム部材34とが連結されない構成(分離型)として説明しているが、図5に示すように、駆動軸7とダイアフラム部材36とを連結した一体型の弁装置としても良い。具体的には、以下の通りである。
【0088】
図5に示すように、駆動軸7の弁部3側の先端部75に、弁座33と当接離間をするための弁体37(弁体の一例)が結合されている。そして、ダイアフラム部材36は、自然状態では駆動軸7の側に膨出する球帯状となるように形成されている。そして、ダイアフラム部材36は、その中心が駆動軸7の軸心の延長線上に位置した状態で、中央部が先端部75と弁体37とに挟持固定されている。なお、挟持固定するものでなく、例えばレーザ溶接により接合することとしても良い。ダイアフラム部材36の外周縁は、弁部3内で上下方向から挟持固定されている。ダイアフラム部材36は、以上のように固定されることで、弁室311を、弁室311とその上部とに区画するとともに、弁体37が当接離間の方向に動作されるに合わせて弾性変形を繰り返すようになっている。
【0089】
以上のような構成によっても、流体制御弁1と同様に、圧縮エアを第1圧力(0.4MPa)で供給するか、第2圧力(0.6MPa)で供給するかにより、第2開度と第3開度との2段階で、弁体37の開度制御することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 流体制御弁
2 シリンダ部
5 第1シリンダ
6 第2シリンダ
7 駆動軸
33 弁座
34 ダイアフラム部材(弁体の一例)
42 第2圧縮コイルばね(付勢部材の一例)
52 第1ピストン
62 第2ピストン
64 第1圧縮コイルばね(付勢部材の一例)
71 供給路
図1
図2
図3
図4
図5