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特開2025-15881ボルト緩締装置、及びボルト緩締装置の使用方法
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  • 特開-ボルト緩締装置、及びボルト緩締装置の使用方法 図1
  • 特開-ボルト緩締装置、及びボルト緩締装置の使用方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025015881
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】ボルト緩締装置、及びボルト緩締装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/02 20060101AFI20250124BHJP
   B23P 19/06 20060101ALI20250124BHJP
   B25B 13/48 20060101ALI20250124BHJP
   B25B 23/142 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B25B13/02 S
B23P19/06
B25B13/48 Z
B25B13/02 M
B25B23/142
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023118753
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】517162552
【氏名又は名称】株式会社サーマルプラント
(74)【代理人】
【識別番号】230110397
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 雅敏
(74)【代理人】
【識別番号】230128875
【弁護士】
【氏名又は名称】原 慎一郎
(74)【代理人】
【識別番号】230131945
【弁護士】
【氏名又は名称】山腰 健一
(72)【発明者】
【氏名】中尾 猛
(72)【発明者】
【氏名】岩塚 徹朗
(72)【発明者】
【氏名】兵動 憲太
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BC01
3C038CD00
3C038DA00
3C038EA06
(57)【要約】
【課題】汎用性が高く、容易に大型のボルトを簡易に緩締することが可能な装置及び方法を提供する。
【解決手段】鉛直方向に沿って垂下した管状部材と、前記管状部材内に配設された錘と、前記管状部材の一端側において、ロープを介して前記管状部材を懸吊する吊下装置と、前記管状部材の一端側において、追加のロープを介して前記管状部材を懸吊する定滑車と、前記管状部材の他端側に回転自在に取り付けられた係合部材と、を備える、ボルト緩締装置に関する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に沿って垂下した管状部材と、
前記管状部材内に配設された錘と、
前記管状部材の一端側において、ロープを介して前記管状部材を懸吊する吊下装置と、
前記管状部材の一端側において、追加のロープを介して前記管状部材を懸吊する定滑車と、
前記管状部材の他端側に回転自在に取り付けられた係合部材と、
を備える、ボルト緩締装置。
【請求項2】
鉛直方向に沿って垂下した管状部材と、前記管状部材内に配設された錘と、前記管状部材の一端側において、ロープを介して前記管状部材を懸吊する吊下装置と、前記管状部材の一端側において、追加のロープを介して前記管状部材を懸吊する定滑車と、前記管状部材の他端側に回転自在に取り付けられた係合部材と、を備えるボルト緩締装置の使用方法であって、
前記係合部材をボルトに係合させた後、前記追加のロープを前記定滑車を介して下方に移動させ、前記錘に起因した回転トルクで前記ボルトを緩締する、ボルト緩締装置の使用方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト緩締装置、及びボルト緩締装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電所の発電機器等には、構成部材の締結に大型のボルトが使用されている。このようなボルトは、軸径が例えば30mm以上を有するものもあり、緩締するには大きな回転トルクを必要とする。そのため、緩締作業には、大型のスパナやレンチ等が用いられる。
【0003】
また、ボルトを緩める従来技術として、次のような手段が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術は、ボルト頭部と被締結物との間にワッシャを介設し、当該ボルト頭部を当該ワッシャ側に押圧して当該ワッシャを塑性変形させることで、小さなトルクでボルトを緩める、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-210342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の技術をもってしても、大型のボルトを緩締するには十分な回転トルクを発生させることができず、緩締には困難を伴っていた。
【0006】
また、上記特許文献1の従来技術によれば、上記塑性変形可能な所定のワッシャと、このワッシャを押圧するための特殊な押圧工具(例えば、油圧工具)が必要であるため、汎用性に欠けるという問題点があった。
【0007】
また、上記特許文献1の従来技術によれば、ボルト締結時に上記ワッシャを使用する必要があるため、当該ワッシャが使用されていない既設のボルトには対応できず、汎用性に欠けるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、汎用性が高く、容易に大型のボルトを簡易に緩締することが可能な装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、
鉛直方向に沿って垂下した管状部材と、
前記管状部材内に配設された錘と、
前記管状部材の一端側において、ロープを介して前記管状部材を懸吊する吊下装置と、
前記管状部材の一端側において、追加のロープを介して前記管状部材を懸吊する定滑車と、
前記管状部材の他端側に回転自在に取り付けられた係合部材と、
を備える、ボルト緩締装置に関する。
【0010】
また、本発明は、
鉛直方向に沿って垂下した管状部材と、前記管状部材内に配設された錘と、前記管状部材の一端側において、ロープを介して前記管状部材を懸吊する吊下装置と、前記管状部材の一端側において、追加のロープを介して前記管状部材を懸吊する定滑車と、前記管状部材の他端側に回転自在に取り付けられた係合部材と、を備えるボルト緩締装置の使用方法であって、
前記係合部材をボルトに係合させた後、前記追加のロープを前記定滑車を介して下方に移動させ、前記錘に起因した回転トルクで前記ボルトを緩締する、ボルト緩締装置の使用方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配管等の管状部材内に配設した錘の自重による回転トルクを利用してボルトの緩締を行うようにしている。したがって、錘の重さを適宜変化させることにより、上記回転トルクを自在に変化させることができるので、ボルトの大きさや締結の強度に対して自在に対応し、当該ボルトの緩締を行うことができる。結果として、汎用性が高く、容易に大型のボルトを簡易に緩締することが可能な装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のボルト緩締装置の一例を示す構成図である。
図2】本発明のボルト緩締装置の使用方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明のボルト緩締装置の一例を示す図である。
図1に示すように、本発明のボルト緩締装置10は、鉛直方向に沿って垂下した管状部材としての配管11と、配管11内に配設された錘12とを備えている。錘12は配管11内に適宜配設された図示しない治具によって、当該配管11内に具設されている。
【0014】
また、配管11の上端側にはロープ21を介して配管11を懸吊する吊下装置13と、同じく配管11の上端側に追加のロープ22を介して配管11を懸吊する定滑車15とを備えている。さらに、配管11の下端にはスパナ状の係合部材14が回転自在に取り付けられている。
【0015】
なお、各構成要素を構成する材料は汎用の材料から構成することができ、例えば配管11はSUS等の金属材料や樹脂材料から構成することができる。錘12は鉛や鉄等の金属材料から構成することができる。
【0016】
次に、図1に示すボルト緩締装置10を用いたボルトの緩締方法について説明する。
最初に、図1に示すように、追加のロープ22の、配管11と接続された反対側の端部を作業者Pが握持する。次いで、係合部材14の係合部14AをボルトSに係合させる。
【0017】
次いで、図2に示すように、作業者Pの腕を上方に動かし、追加のロープ22の握持位置を上方に移動させる。すると、ロープ21及び追加のロープ22で懸吊された配管11は、吊下装置13及び定滑車15を介して鉛直下方に移動し、係合部材14には反時計回りの回転トルクが発生するようになる。
【0018】
この回転トルクはボルトSに作用し、ボルトSは反時計回りの回転トルクを受けることにより、緩締される。
【0019】
なお、回転トルクの大きさは、錘12の重さを変化させることにより適宜変更することができる。回転トルクを大きくしたいときは錘12の重さを大きくし、回転トルクを小さくしたいときは錘12の重さを小さくする。錘12の重さは、錘12自体の大きさや使用する材料の密度を異なるようにすることによって変化させることができる。
【0020】
このように、 本発明によれば、配管11内に配設した錘12の自重による回転トルクを利用してボルトSの緩締を行うようにしている。したがって、錘12の重さを適宜変化させることにより、上記回転トルクを自在に変化させることができるので、ボルトSの大きさや締結の強度に対して自在に対応し、ボルトSの緩締を行うことができる。結果として、汎用性が高く、容易に大型のボルトを簡易に緩締することが可能な装置及び方法を提供することができる。
【0021】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0022】
10 ボルト緩締装置
11 配管
12 錘
13 吊下装置
14 係合部材
15 定滑車
21 ロープ
22 追加のロープ
P 作業者
S ボルト





図1
図2