(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162599
(43)【公開日】2025-10-28
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 27/28 20060101AFI20251021BHJP
H01S 5/0225 20210101ALI20251021BHJP
H01S 5/02208 20210101ALI20251021BHJP
【FI】
G02B27/28 A
H01S5/0225
H01S5/02208
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065844
(22)【出願日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】金子 太郎
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕紀
【テーマコード(参考)】
2H199
5F173
【Fターム(参考)】
2H199AA02
2H199AA23
2H199AA41
2H199AA56
2H199AA62
2H199AA72
2H199AA74
2H199AA75
2H199AA86
5F173MC03
5F173ME14
5F173ME64
5F173ME85
5F173ME90
5F173MF03
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】光モジュールにおいて、アイソレータを高精度に実装する。
【解決手段】光モジュールは、光を出力する光源と、磁力を有し、光を透過させるアイソレータと、複数の面を有し、光源及びアイソレータを収容する筐体と、筐体の複数の面のうち少なくとも1つの面と、アイソレータと、の間に位置する磁性体と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出力する光源と、
磁力を有し、前記光を透過させるアイソレータと、
複数の面を有し、前記光源及び前記アイソレータを収容する筐体と、
前記筐体の前記複数の面のうち少なくとも1つの面と、前記アイソレータと、の間に位置する磁性体と、を備える、
光モジュール。
【請求項2】
前記磁性体は、前記筐体の前記複数の面のうち前記アイソレータとの距離が最も短い面と、前記アイソレータと、の間に少なくとも位置する、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記アイソレータは、
前記磁力を有する磁石と、
前記光を透過させる光学素子と、を備える、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記磁性体は、前記筐体の内底面に第1接着剤で固定されるか、又は、前記筐体の前記内底面に固定した任意の部品に前記第1接着剤で固定され、
前記アイソレータは、前記筐体の前記内底面又は前記任意の部品に固定された状態の前記磁性体に前記磁石を貼り付けることで、実装される、
請求項3に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記第1接着剤は、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤である、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記アイソレータは、前記磁石が前記磁性体に貼り付けられた状態で、前記磁石が前記磁性体に第2接着剤で固定される、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第2接着剤は、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤である、
請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記磁性体は、コバール又は鉄を40%以上含む材料からなる、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記筐体は、少なくともコバールを含む材料からなる、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記光モジュールは、レーザユニットである、
請求項1に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザユニットなどの光モジュールの中には、磁石を使用するアイソレータを備えるものがある。アイソレータを備える光モジュールの製造方法の例としては、特許文献1に開示された技術が挙げられる。
【0003】
特許文献1に開示された技術によれば、筐体の内部にアイソレータを収容し、強磁性体からなる保持治具を利用して、アイソレータの磁石を筐体の内側面に引き寄せる。この状態で、レーザ溶接を行うことによって、アイソレータと筐体とを固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示された技術によれば、光モジュールを製造するに際し、アイソレータを筐体の内側面に固定する。
しかし、光モジュールの中には、筐体の内側面から離れた位置にアイソレータを実装するものもある。
【0006】
ただし、光モジュールは、昨今の小型及び低消費電力のトレンドを満足する必要がある。そのため、筐体の内側面から離れた位置にアイソレータを実装する場合も、筐体とアイソレータとの間の距離が短くなる。
そのため、筐体が金属製の場合には、アイソレータの磁石が筐体に引き寄せられてしまい、アイソレータを正しい位置に実装できないという問題が発生する。
【0007】
そこで本開示の目的は、上述した課題を鑑み、アイソレータを高精度に実装可能な光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様による光モジュールは、
光を出力する光源と、
磁力を有し、前記光を透過させるアイソレータと、
複数の面を有し、前記光源及び前記アイソレータを収容する筐体と、
前記筐体の前記複数の面のうち少なくとも1つの面と、前記アイソレータと、の間に位置する磁性体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上述の態様によれば、アイソレータを高精度に実装可能な光モジュールを提供できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】関連技術に係る光モジュールの構成例を示す平面図である。
【
図4】本開示に係る光モジュールの構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の実施の形態及び関連技術について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
本開示の実施の形態を説明する前に、関連技術について説明する。なお、以下の実施の形態及び関連技術で説明する光モジュールは、例えば、レーザユニットである。
【0013】
<関連技術>
図1は、関連技術に係る光モジュール900の構成例を示す平面図である。
図1を参照すると、光モジュール900は、光源10、アイソレータ20、及び筐体30を備える。なお、光モジュール900は、SiP(Silicon Photonics)や、BOA(Booster Optical Amplifier)などの他の構成要素も備えているが、これらの他の構成要素は、
図1では省略されている(後述する光モジュール100も同様)。
【0014】
光源10は、光を出力する。
アイソレータ20は、磁力を有し、光源10から出力された光を透過させる。このとき、アイソレータ20は、光源10から出力された光を、その出力方向(x軸プラス方向)にのみ透過させ、その出力方向の逆方向(x軸マイナス方向)の光を遮断する。これにより、光源10から出力された光の反射光などが光源10に回り込むことを抑制できる。
【0015】
図2及び
図3は、アイソレータ20の構成例を示す図であり、
図2は平面図、
図3は側面図である。
図2及び
図3を参照すると、アイソレータ20は、磁石21及び光学素子22を備える。なお、
図2及び
図3に示されるアイソレータ20を、
図1に示される光モジュール900に組み込む場合は、磁石21の主面(xz平面)が、筐体30の後述する面30Aと正対するように、アイソレータ20が組み込まれる(後述する光モジュール100も同様)。
【0016】
磁石21は、磁力を有する。
光学素子22は、光源10から出力された光を透過させる。
また、光学素子22は、ファラデー回転子などの素子を含んでおり、磁石21及び光学素子22の機能によって、光源10から出力された光を、その出力方向(x軸プラス方向)にのみ透過させ、その出力方向の逆方向(x軸マイナス方向)の光を遮断する。
【0017】
再度
図1を参照すると、筐体30は、光源10及びアイソレータ20を収容する。筐体30は、直方体形状であり、4つの面(内側面)30A~30Dを有している。ただし、筐体30は、4つの面30A~30Dを有する直方体形状には限定されず、複数の面(内側面)を有し、光源10及びアイソレータ20を収容可能な形状であれば良い。
また、筐体30は、金属製であり、例えば、少なくともコバールを含む材料などから構成される。
【0018】
ここで、光モジュール900は、昨今の小型及び低消費電力のトレンドを満足する必要があるため、筐体30とアイソレータ20との間の距離が短くなる。
図1の例では、アイソレータ20は、筐体30の4つの面30A~30Dのうち、面30Aとの間の距離が最も短い。また、筐体30は、金属製である。
【0019】
そのため、アイソレータ20を実装する際に、アイソレータ20の磁石21が筐体30の面30Aに引き寄せられてしまい、アイソレータ20を正しい位置に実装できないという問題が発生する。
【0020】
以下で説明する本開示の実施の形態は、上記の課題を解決し、アイソレータ20を高精度に実装可能とするものである。
【0021】
<実施の形態1>
図4は、本開示に係る光モジュール100の構成例を示す平面図である。
図4を参照すると、光モジュール100は、光モジュール900と比較して、磁性体40が追加されている点が異なる。
【0022】
磁性体40は、例えば、鉄又はコバールを40%以上含む材料などから構成される。
磁性体40は、筐体30の4つの面30A~30Dのうち少なくとも1つの面と、アイソレータ20と、の間に位置する。
【0023】
図4の例では、アイソレータ20は、筐体30の4つの面30A~30Dのうち、面30Aとの間の距離が最も短い。そのため、アイソレータ20の磁石21が筐体30の面30Aに引き寄せられてしまう可能性が最も高い。そのため、磁性体40は、筐体30の面30Aと、アイソレータ20と、の間に位置している。このように、磁性体40は、筐体30の4つの面30A~30Dのうちアイソレータ20との距離が最も短い面30Aと、アイソレータ20と、の間に少なくとも位置するのが良い。
【0024】
本実施の形態1によれば、磁性体40は、筐体30の面30Aと、アイソレータ20と、の間に位置している。そのため、アイソレータ20は、磁石21が磁性体40に貼り付けられることで、実装される。このように、アイソレータ20は、筐体30の面30Aに引き寄せられずに実装されるため、高精度に実装可能である。また、磁性体40は、筐体30の面30Aに引き寄せられないため、高精度に実装可能である。そのため、磁性体40を高精度に実装しておけば、アイソレータ20を、さらに高精度に実装可能である。
【0025】
続いて以下では、アイソレータ20の実装方法の例について説明する。ここでは、
図4に示される位置に、アイソレータ20及び磁性体40を実装するものとする。なお、以下では、光源10の実装方法については、説明を省略する。
【0026】
まず、アイソレータ20の実装予定位置と筐体30の面30Aとの間にて、磁性体40を、筐体30の内底面に接着剤(第1接着剤)で固定するか、又は、筐体30の内底面に固定した任意の部品に接着剤(第1接着剤)で固定する。この接着剤は、例えば、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤で良い。このとき、磁性体40は、筐体30の面30Aに引き寄せられないため、高精度に実装可能である。
【0027】
次に、筐体30の内底面又は上記の任意の部品に固定された状態の磁性体40に対し、アイソレータ20の磁石21を貼り付ける。この状態で、アイソレータ20の磁石21を、磁性体40に接着剤(第2接着剤)で固定する。このとき、接着剤は、磁石21又は磁性体40の少なくとも1つに予め塗布しておけば良い。この接着剤も、例えば、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤で良い。
【0028】
以上の通り、アイソレータ20は、磁石21が磁性体40に貼り付けられて磁性体40に固定される。そのため、アイソレータ20は、筐体30の面30Aに引き寄せられずに実装されるため、高精度に実装可能である。
【0029】
上述したように本実施の形態1によれば、光モジュール100には、筐体30の4つの面30A~30Dのうち少なくとも1つの面(
図4の例では、面30A)と、アイソレータ20と、の間に位置する磁性体40が設けられている。そのため、アイソレータ20は、筐体30に引き寄せられることなく、磁性体40に貼り付けられて、実装されるため、高精度に実装可能である。
【0030】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。そして、各実施の形態は、適宜他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0031】
また、各図面は、1又はそれ以上の実施形態を説明するための単なる例示である。各図面は、1つの特定の実施形態のみに関連付けられるのではなく、1又はそれ以上の他の実施形態に関連付けられても良い。当業者であれば理解できるように、いずれか1つの図面を参照して説明される様々な特徴又はステップは、例えば明示的に図示又は説明されていない実施形態を作り出すために、1又はそれ以上の他の図に示された特徴又はステップと組み合わせることができる。例示的な実施形態を説明するためにいずれか1つの図に示された特徴又はステップのすべてが必ずしも必須ではなく、一部の特徴又はステップが省略されても良い。いずれかの図に記載されたステップの順序は、適宜変更されても良い。
【0032】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光を出力する光源と、
磁力を有し、前記光を透過させるアイソレータと、
複数の面を有し、前記光源及び前記アイソレータを収容する筐体と、
前記筐体の前記複数の面のうち少なくとも1つの面と、前記アイソレータと、の間に位置する磁性体と、を備える、
光モジュール。
(付記2)
前記磁性体は、前記筐体の前記複数の面のうち前記アイソレータとの距離が最も短い面と、前記アイソレータと、の間に少なくとも位置する、
付記1に記載の光モジュール。
(付記3)
前記アイソレータは、
前記磁力を有する磁石と、
前記光を透過させる光学素子と、を備える、
付記1に記載の光モジュール。
(付記4)
前記磁性体は、前記筐体の内底面に第1接着剤で固定されるか、又は、前記筐体の前記内底面に固定した任意の部品に前記第1接着剤で固定され、
前記アイソレータは、前記筐体の前記内底面又は前記任意の部品に固定された状態の前記磁性体に前記磁石を貼り付けることで、実装される、
付記3に記載の光モジュール。
(付記5)
前記第1接着剤は、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤である、
付記4に記載の光モジュール。
(付記6)
前記アイソレータは、前記磁石が前記磁性体に貼り付けられた状態で、前記磁石が前記磁性体に第2接着剤で固定される、
付記4に記載の光モジュール。
(付記7)
前記第2接着剤は、エポキシ系接着剤又はアクリル系接着剤である、
付記6に記載の光モジュール。
(付記8)
前記磁性体は、コバール又は鉄を40%以上含む材料からなる、
付記1に記載の光モジュール。
(付記9)
前記筐体は、少なくともコバールを含む材料からなる、
付記1に記載の光モジュール。
(付記10)
前記光モジュールは、レーザユニットである、
付記1に記載の光モジュール。
【符号の説明】
【0033】
10 光源
20 アイソレータ
21 磁石
22 光学素子
30 筐体
30A~30D 面
40 磁性体
100 光モジュール