(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025163956
(43)【公開日】2025-10-30
(54)【発明の名称】棚システム、制御装置、棚段の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20251023BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20251023BHJP
【FI】
G06Q30/0601 338
A47F5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067629
(22)【出願日】2024-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】西村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 美音
(72)【発明者】
【氏名】牛渡 伸弥
(72)【発明者】
【氏名】大竹 夏生
【テーマコード(参考)】
3B118
5L030
【Fターム(参考)】
3B118AA24
3B118BA02
3B118DA12
3B118DA13
3B118DA31
5L030BB72
(57)【要約】
【課題】物品棚からの物品の出し入れをしやすくするとともに、多くの物品を物品棚に載置できるようにする。
【解決手段】棚システムは、物品棚及び制御装置を備える。物品棚は、複数の棚段を有している。複数の棚段は、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、移動可能である。制御装置は、物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、対象棚を所定の高さに移動させる制御手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、移動可能な複数の棚段を有する物品棚と、
前記物品棚の位置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる制御手段と、
を備える棚システム。
【請求項2】
請求項1に記載の棚システムにおいて、
前記制御装置は、前記人の視線を示す視線情報を用いて前記棚選択情報を生成する選択情報生成手段を備える、棚システム。
【請求項3】
請求項2に記載の棚システムにおいて、
前記取得手段は、前記人の位置の変化を特定可能な位置情報を取得し、
前記制御手段は、前記人の位置の変化が基準を満たすときに、前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記物品棚は店舗の中に配置され、
奥行方向において最も前方の前記棚段の列である最前列は、前記店舗の顧客が移動する第1領域に対向し、
奥行方向において最も後方の前記棚段の列である最後列は、店員が前記棚段に物品を補充するための第2領域に対向し、
前記制御手段は、
前記棚選択情報が、前記第1領域に存在する人に対応する第1の前記棚選択情報である場合、前記対象棚を、前記最前列の所定の高さに移動し、
前記棚選択情報が、前記第2領域に存在する人に対応する第2の前記棚選択情報である場合、前記対象棚を、前記最後列の所定の高さに移動する、棚システム。
【請求項5】
請求項4に記載の棚システムにおいて、
前記取得手段は、前記第1領域のうち前記最前列を基準に定められた所定の範囲に人がいるか否かを特定可能な第1人存在情報を取得し、
前記制御手段は、少なくとも、前記第1人存在情報が人がいないことを示している場合に、前記第2の棚選択情報に基づいて前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚システム。
【請求項6】
請求項4に記載の棚システムにおいて、
前記第1領域と前記最前列の間には扉があり、
前記制御手段は、少なくとも、前記扉が開いていない場合に、前記第2の棚選択情報に基づいて前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚システム。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記物品棚は店舗の中に配置され、
前記複数の棚段の少なくとも2つには、互いに同一の第1物品が載せられ、
前記制御手段は、前記第1物品を載せる前記棚段の一つが前記対象棚であり、かつ、当該対象棚に前記第1物品が載せられていない場合、前記対象棚を、前記第1物品が載せられている他の前記棚段に変更する、棚システム。
【請求項8】
移動可能な複数の棚段を有する物品棚と共に使用される制御装置であって、
前記複数の棚段は、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる制御手段と、
を備える制御装置。
【請求項9】
移動可能な複数の棚段を有する物品棚と共に使用されるコンピュータが行う棚段の制御方法であって、
前記複数の棚段は、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記コンピュータは、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得し、
前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚段の制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、移動可能な複数の棚段を制御させるためのプログラムであって、
前記複数の棚段は、物品棚の一部であり、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記コンピュータに、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる、制御手段と、
を持たせるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚システム、制御装置、棚段の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば店舗や倉庫には、物品を載置するための棚が設置されている。この棚は、高さが互いに異なる複数の棚段を有している。例えば特許文献1には、店舗において、客がある商品を所定の時間注視していることが検出された場合に、その客の身長に関する情報を参照して、注視されている商品を載せる棚板の高さを決定し、その高さにその棚板を移動させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品棚には、物品の出し入れをしやすくするとともに、多くの物品を載置できるようにすることが求められる。特許文献1に記載の技術では、多くの物品を棚に載置することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における棚システムは、
上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、移動可能な複数の棚段を有する物品棚と、
物品棚の位置を制御する制御装置と、
を備え、
制御装置は、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる制御手段と、
を備える。
【0006】
本開示における制御装置は、移動可能な複数の棚段を有する物品棚と共に使用され、
前記複数の棚段は、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる制御手段と、
を備える。
【0007】
本開示における棚段の制御方法は、移動可能な複数の棚段を有する物品棚と共に使用されるコンピュータが行う棚段の制御方法であって、
前記複数の棚段は、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記コンピュータは、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得し、
前記対象棚を所定の高さに移動させる。
【0008】
本開示におけるプログラムは、コンピュータに、移動可能な複数の棚段を制御させるためのプログラムであって、
前記複数の棚段は、物品棚の一部であり、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記コンピュータに、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる、制御手段と、
を持たせる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、物品棚に多くの物品を載置でき、かつ、物品棚から物品を出し入れしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示にかかる棚システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示にかかる店舗のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】本開示にかかる制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本開示にかかる制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】本開示にかかる制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】本開示にかかる制御装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本開示にかかる棚システムの構成の一例を示す図である。
【
図8】本開示にかかる店舗のレイアウトの一例を示す図である。
【
図9】本開示にかかる棚システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示において図面は、1以上の実施の形態に関連付けられる。また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
棚システムは、例えば
図1に示すように、制御装置10及び物品棚20を有している。物品棚20は、移動可能な複数の棚段202を有している。棚段202の移動方向は上下である。一例として、棚段202は例えば観覧車のように回転する。複数の棚段202は、奥行方向にも少なくとも2列に並んでいる。そして制御装置10は、棚段202の移動を制御する。
【0013】
本図に示す例において、複数の棚段202は奥行方向に2列に並んでいる。各列には、同数、例えば5個の棚段202が上下に並んでいる。一方の列の棚段202は第1領域310に面しており、他方の列の棚段202は第2領域320に面している。物品棚20は、店舗又は倉庫に設置されている。物品棚20が店舗に設置されている場合、第1領域310はいわゆる店内であり、顧客が棚段202に載置されている物品30を取り出すための領域である。また第2領域320は、いわゆるバックヤードであり、店員が棚段202に物品30を補充するための領域である。
【0014】
そして、一方の列を構成する棚段202は上側に移動し、最上段に達した後、他方の列の最上段に移動する。また、他方の列を構成する棚段202は下側に移動し、最下段に達した後、一方の列の最下段に移動する。ただし、棚段202の移動はこの例に限定されない。
【0015】
物品棚20にはセンサ204が設置されている。センサ204は人が選択した棚段202を特定するための情報を生成する。例えば、センサ204は、視線を検知する。この場合、センサ204の一例は撮像装置である。ただし、センサ204はこれに限定されない。
【0016】
本図に示す例において、センサ204は複数の棚段202のそれぞれに取り付けられている。ただし、センサ204は物品棚20のうち棚段202以外の部分、例えば柱に取り付けられていてもよい。この場合、センサ204は、例えば一つの物品棚20について一つ取り付けられていてもよい。
【0017】
上記したように、物品棚20は、例えば店舗300に設置されている。この場合、例えば
図2に示すように、店舗300は、顧客が移動するための第1領域310、店員が作業を行うための第2領域320を有している。物品棚20は、第1領域310と第2領域320の間に例えばコの字状に配置されている。このようにすると、すべての物品棚20は第2領域320に面しているため、店員は、すべての物品棚20に対して物品30すなわち商品の補充を行いやすい。
【0018】
第1領域310の中央には物品棚40が設置されている。物品棚40の棚段は移動しなくてもよい。なお、物品棚40に載置される物品30の補充頻度は、物品棚20に載置されている物品30の補充頻度よりも低いのが好ましい。
【0019】
店舗300の出入口330から第1領域310に入った顧客は、物品棚20に沿って一方向に移動し、物品棚20に載置されている物品30を確認する。この際、顧客は物品棚40に載置されている物品30も確認することができるため、効率よく店内を移動できる。
【0020】
そして顧客は、購入を希望する物品30を手に取り、精算装置350が設置されている場所まで移動する。精算装置350は、物品30を登録する機能も有している。精算装置350は、店員によって操作されてもよいし、顧客によって操作されていてもよい。精算装置350とは別に商品登録装置が設けられていてもよい。そして顧客は、精算装置350を用いて購入を希望する物品30の登録処理及び精算処理を行い、出入口330から店舗300の外に出る。
【0021】
このように、顧客は店舗内を一方向に移動するのみで、物品30の選択及び精算処理を行うことができる。従って、顧客は効率よく店舗内を移動できる。また、顧客の移動方向が一方向になりやすいため、顧客の回転率は向上する。また、すべての物品棚20は第2領域320に面しているため、店員は、すべての物品棚20に対して物品30の補充を行いやすい。
【0022】
制御装置10は、例えば
図3に示すように、取得部110及び制御部120を有している。
【0023】
取得部110は、棚選択情報を取得する。棚選択情報は、物品棚20の前にいる人が選択した棚段202である対象棚を示す。
【0024】
例えば棚選択情報は、センサ204が検知した情報を用いて生成される。棚選択情報は制御装置10によって生成されてもよいし、制御装置10とは異なる装置によって生成されてもよい。
【0025】
例えばセンサ204が第1領域310又は第2領域320に存在する人の視線を検知可能な情報を生成する場合、棚選択情報は人の視線を示す視線情報を用いて生成される。このようなセンサ204の一例は、撮像装置である。例えば、視線情報が、ある棚段202に載置されている物品30又はその棚段202を人が基準時間以上連続して見ていることを示している場合、その棚段202が対象棚であることを示す棚選択情報が生成される。基準時間は、例えば5秒以上30秒以下の間のいずれかの値であるが、これに限定されない。
【0026】
制御部120は、対象棚を所定の高さに移動させる。所定の高さは、人が棚段202から物品30を取り出しやすい高さであるとともに、人が棚段202に物品30を乗せやすい高さである。
【0027】
上記した所定の高さは、固定値でもよい。この場合、所定の高さは、例えば80cm以上120cm以下の間のいずれかの値である。また所定の高さは、物品棚20の前にいる人、例えば顧客や店員の属性によって変えられてもよい。この属性の一例は身長であるが、これに限定されない。例えば制御部120は、人の身長が高い場合は所定の高さを高くし、人の伸長が低い場合は所定の高さを低くする。
【0028】
物品棚20の前にいる人の属性を示す属性情報、例えば身長情報は、制御装置10によって生成されてもよいし、制御装置10とは異なる装置によって生成されてもよい。例えばセンサ204が撮像装置である場合、人の属性はセンサ204が生成した画像を処理することにより生成されてもよい。そして制御部120は、この属性情報を用いて所定の高さを設定する。なお、属性情報は、性別や年齢をさらに含んでいてもよい。
【0029】
奥行方向において最も前方の棚段202の列すなわち最前列は、第1領域310に対向している。また、奥行方向において最も後方の棚段202の列すなわち最後列が第2領域320に対向している。第2領域320は、例えば、店員が棚段202に物品30を補充するための領域である。この場合、制御部120は、棚選択情報が、第1領域310に存在する人に対応する第1の棚選択情報である場合、対象棚を、最前列の所定の高さに移動させる。また制御部120は、棚選択情報が、第2領域320に存在する人に対応する第2の棚選択情報である場合、対象棚を、最後列の所定の高さに移動させる。
【0030】
例えば最前列に属する棚段202に設けられたセンサ204を用いて棚選択情報が生成された場合、この棚選択情報は第1の棚選択情報になる。また最後列に属する棚段202に設けられたセンサ204を用いて棚選択情報が生成された場合、この棚選択情報は第2の棚選択情報になる。
【0031】
制御装置10は、
図4に示すように、さらに選択情報生成部130を有していてもよい。選択情報生成部130は、センサ204が生成した情報を用いて棚選択情報を生成する。
【0032】
例えばセンサ204が撮像装置である場合、選択情報生成部130は、センサ204が生成した画像、例えば複数のフレーム画像を処理することにより、視線情報を生成する。またセンサ204が視線情報を生成して出力する場合、第1領域310は、この視線情報を処理することにより棚選択情報を生成する。
【0033】
そして選択情報生成部130は、視線情報が、ある棚段202に載置されている物品30又はその棚段202を人が基準時間以上連続して見ていることを示している場合、その棚段202が対象棚であることを示す棚選択情報を生成する。
【0034】
制御装置10は、ハードウェア構成として、たとえば
図5に示すように、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0035】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0036】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0037】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0038】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどのリムーバブルメディア、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置であり、記録媒体を有している。ストレージデバイス1040の記録媒体は制御装置10の各機能(例えば取得部110、制御部120、及び選択情報生成部130)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。
【0039】
入出力インタフェース1050は、制御装置10と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0040】
ネットワークインタフェース1060は、制御装置10をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。制御装置10は、例えばネットワークインタフェース1060を介して物品棚20及び後述する入力デバイス208と通信する。
【0041】
なお、制御装置10は、それぞれが
図5に示した構成を有する複数の装置によって実現されていてもよい。
【0042】
制御装置10は、例えば
図6に示すように動作する。まず取得部110が棚選択情報を取得する(ステップS10)。すると制御部120は、棚選択情報が示す対象棚を所定の高さに移動させる(ステップS20)。上記したように、棚選択情報が、第1領域310に存在する人に対応する第1の棚選択情報である場合、制御部120は、対象棚を最前列の所定の高さに移動する。また棚選択情報が、第2領域320に存在する人に対応する第2の棚選択情報である場合、制御部120は、対象棚を最後列の所定の高さに移動する。
【0043】
このように、制御装置10は、棚選択情報が示す対象棚すなわち人が選択した棚段202を所定の高さに移動させる。例えば下方に位置していた棚段202は、人が物品を出し入れする際に上に移動する。また、上方に位置していた棚段202は、人が物品を出し入れする際に下に移動する。このため、棚段202から物品を出し入れしやすい。また、物品棚20において、複数の棚段202は奥行方向にも少なくとも2列に並んでいる。このため、物品棚20の棚段202の数を増やすことができ、その結果、物品棚20に多くの物品を載置できる。
【0044】
棚システムは、
図7に示すように、入力デバイス208を有していてもよい。入力デバイス208は、第2領域320にいる人が操作可能な位置に設置されている。例えば入力デバイス208は物品棚20のうち第2領域320に面する柱に設置されていてもよい。また入力デバイス208は、第2領域320に設置されていてもよい。これらの場合、入力デバイス208は、選択スイッチやタッチパネルを有していてもよい。また入力デバイス208は、人が所持可能な携帯型の通信装置であってもよい。
【0045】
そして第2領域320に存在する人、例えば店員は、入力デバイス208に、選択した棚段202を特定可能な情報、例えば棚段202の番号を入力する。また入力デバイス208が棚段202別のスイッチを有していた場合、第2領域320に存在する人は、選択した棚段202に対応するスイッチを押す。棚段202を選択するためのスイッチは、例えばタッチパネルに表示されたものであってもよい。そして制御装置10の取得部110は、入力デバイス208に入力された情報を、第2の棚選択情報として取得する。
【0046】
このようにすると、制御装置10が誤った棚段202を対象棚と認識する可能性は非常に低くなる。従って、制御装置10は、第2領域320に存在する人が選択した棚段202を確実に所定の高さに移動させることができる。
【0047】
なお、
図7に示す例において、第1の棚選択情報は、センサ204を用いて生成される。このようにすると、第1の棚選択情報が生成される際に第1領域310に存在する人、例えば顧客に生じる負荷は小さい。なお、この負荷が大きくてもよい場合、第1領域310にいる人が操作可能な位置に入力デバイス208を設置し、この入力デバイス208に入力された情報を第1の棚選択情報としてもよい。
【0048】
また棚システムは、
図7に示すように扉206を有していてもよい。扉206は、例えば縁を除いて透明な板、例えばガラス板又は樹脂板で構成されており、第1領域310と物品棚20の間に設置されている。このため、物品棚20に載置されている物品30を取り出すためには、扉206を開く必要がある。
【0049】
制御部120は、扉206が開いているか閉じているかを認識できる。例えば扉206にその扉206の開閉を検知可能なセンサが取り付けられている場合、取得部110は、このセンサの検出結果を取得する。制御部120は、この検出結果を用いて扉206の開閉を認識する。
【0050】
制御部120は、第2の棚選択情報に基づいて対象棚を所定の高さに移動させる場合、すなわち第2領域320に存在している人が選択した対象棚を所定の高さに移動させる場合、扉206の開閉の認識結果をさらに用いてもよい。例えば制御部120は、少なくとも扉206が閉じている場合に、第2の棚選択情報に基づいて対象棚を所定の高さに移動させる。扉206が開いている場合には、第2の棚選択情報が生成されても対象棚を所定の高さに移動させない。このようにすると、第1領域310にいる人が物品30を取り出そうとしているときに棚段202が移動することを防止できる。
【0051】
なお、扉206はロック可能すなわち開けない状態にすることがであり、このロックする/しないを制御部120が制御できる場合がある。この場合、制御部120は、棚段202が移動している間、扉206をロックしてもよい。この場合、棚段202が移動しているときに人が物品30を取り出そうとすることを防止できる。
【0052】
店舗300は、
図8に示すように、センサ360,370を有していてもよい。センサ360は、第1領域310に存在する人の位置及び属性の少なくとも一方を示す情報を生成し、センサ370は、第2領域320に存在する人の位置を示す情報を生成する。センサ370は、人体の各部位の位置を示す情報を生成してもよい。センサ360,370の一例は撮像装置であるが、他の方式で上記した情報を生成してもよい。
【0053】
そして制御装置10の取得部110は、センサ360,370が生成した情報を取得する。そして制御装置10の制御部120は、これらの情報をさらに用いて棚段202の位置を制御する。
【0054】
例えば制御部120は、センサ360が生成した情報を用いて、第1領域310に存在する人の位置及びその変化を特定する。この処理は、例えば画像解析により行われる。すなわちセンサ360が生成した情報は、第1領域310に存在する人の位置の変化を特定可能な位置情報の一例である。そして制御部120は、この人の位置の変化が基準を満たすときに、対象棚を所定の高さに移動させる、または第1の棚選択情報が有効であると判断する。例えば制御部120は、対象棚を有する物品棚20の前方に人が所定時間以上滞在している場合に、対象棚を所定の高さに移動させる。このようにすると、第1領域310にいる人が選択する意図がない棚段202を、制御部120が誤って所定の高さに移動させることを抑制できる。
【0055】
制御部120は、第1領域310のうち最前列の棚段202を基準に定められた所定の範囲に人がいない場合に、第2の棚選択情報に基づいて対象棚を所定の高さに移動させてもよい。所定の範囲は、例えば人が最前列の棚段202から物品30を取り出すことが可能な範囲である。この範囲の境界の一例は、平面視において最前列の棚段202から0.5m以上1.5m以内のいずれかの値である。
【0056】
このようにすると、第1領域310にいる人が物品30を取り出そうとしているときに、第2の棚選択情報に基づいて棚段202が移動することを防止できる。
【0057】
なお、この例において、人の存在は、センサ360が生成した情報を用いて特定される。すなわちセンサ360が生成した情報は、上記した所定の範囲に人がいるか否かを特定可能な第1人存在情報の一例である。そして制御部120は、センサ360が生成した情報を用いて、上記した所定の範囲に人がいるか否かを特定する。
【0058】
制御部120は、第2領域320のうち最後列の棚段202を基準に定められた所定の範囲に、人体の少なくとも一部が存在しない場合に、第2の棚選択情報に基づいて対象棚を所定の高さに移動させてもよい。人体の一部の例は、手であるが、それ以外でもよい。所定の範囲は、例えば人が最後列の棚段202に物品30を出し入れすることが可能な範囲である。この範囲の境界の一例は、平面視において最後列の棚段202から0.1m以上1.0m以内のいずれかの値である。
【0059】
このようにすると、第2領域320にいる人が物品30を出し入れしようとしているときに、第2の棚選択情報に基づいて棚段202が移動することを防止できる。
【0060】
なお、この例において、人体の少なくとも一部の存在は、センサ370が生成した情報を用いて特定される。すなわちセンサ370が生成した情報は、上記した所定の範囲に人体の少なくとも一部が存在しているか否かを特定可能な第2人存在情報の一例である。そして制御部120は、センサ370が生成した情報を用いて、上記した所定の範囲に上記した所定の範囲に人体の少なくとも一部が存在しているか否かを特定する。
【0061】
物品棚20が店舗に設置されている場合、
図9に示すように、物品棚20が有する複数の棚段202の少なくとも2つには、互いに同一の物品30Aが載せられていてもよい。この場合、制御部120は、物品30Aを載せる棚段202の一つが対象棚であり、かつ、この棚段202に物品30Aが載せされていない場合、すなわち棚段202が空の場合、対象棚を、物品30Aが載せられている他の棚段202に変更してもよい。
【0062】
図9に示す例において、物品棚20は偶数個の棚段202を有している。そして互いに対角にある2つの棚段202に同一の物品30が載置される。例えば物品棚20が10個の棚段202を有している場合、物品30Aを載せる棚段202、物品30Bを載せる棚段202、物品30Cを載せる棚段202、物品30Dを載せる棚段202、物品30Eを載せる棚段202、物品30Aを載せる棚段202、物品30Bを載せる棚段202、物品30Cを載せる棚段202、物品30Dを載せる棚段202、及び物品30Eを載せる棚段202がこの順に並んでいる。
【0063】
このようにすると、店舗において物品30が欠品していることにより販売機会を遺失する可能性は低くなる。
【0064】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。そして、各実施の形態は、適宜他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0065】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0066】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1.上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、移動可能な複数の棚段を有する物品棚と、
前記物品棚の位置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる制御手段と、
を備える棚システム。
2.上記1に記載の棚システムにおいて、
前記制御装置は、前記人の視線を示す視線情報を用いて前記棚選択情報を生成する選択情報生成手段を備える、棚システム。
3.上記2に記載の棚システムにおいて、
前記取得手段は、前記人の位置の変化を特定可能な位置情報を取得し、
前記制御手段は、前記人の位置の変化が基準を満たすときに、前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚システム。
4.上記1~3のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記物品棚は店舗の中に配置され、
奥行方向において最も前方の前記棚段の列である最前列は、前記店舗の顧客が移動する第1領域に対向し、
奥行方向において最も後方の前記棚段の列である最後列は、店員が前記棚段に物品を補充するための第2領域に対向し、
前記制御手段は、
前記棚選択情報が、前記第1領域に存在する人に対応する第1の前記棚選択情報である場合、前記対象棚を、前記最前列の所定の高さに移動し、
前記棚選択情報が、前記第2領域に存在する人に対応する第2の前記棚選択情報である場合、前記対象棚を、前記最後列の所定の高さに移動する、棚システム。
5.上記4に記載の棚システムにおいて、
前記第1領域に存在する人の視線情報を用いて前記第1の棚選択情報を生成する選択情報生成手段と、
前記第2領域に配置されていて当該第2領域に存在する人によって入力され、前記第2の棚選択情報を生成するための入力デバイスと、
を備える棚システム。
6.上記4又は5に記載の棚システムにおいて、
前記取得手段は、前記第1領域のうち前記最前列を基準に定められた所定の範囲に人がいるか否かを特定可能な第1人存在情報を取得し、
前記制御手段は、少なくとも、前記第1人存在情報が人がいないことを示している場合に、前記第2の棚選択情報に基づいて前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚システム。
7.上記4~6のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記第1領域と前記最前列の間には扉があり、
前記制御手段は、少なくとも、前記扉が開いていない場合に、前記第2の棚選択情報に基づいて前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚システム。
8.上記4~7のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記取得手段は、前記第2領域のうち前記最後列を基準に定められた所定の範囲に人体の少なくとも一部が存在するか否かを特定可能な第2人存在情報を取得し、
前記制御手段は、少なくとも、前記第2人存在情報が人体が存在していないことを示している場合に、前記第2の棚選択情報に基づいて前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚システム。
9.上記1~8のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記物品棚は店舗の中に配置され、
前記複数の棚段の少なくとも2つには、互いに同一の第1物品が載せられ、
前記制御手段は、前記第1物品を載せる前記棚段の一つが前記対象棚であり、かつ、当該対象棚に前記第1物品が載せられていない場合、前記対象棚を、前記第1物品が載せられている他の前記棚段に変更する、棚システム。
10.上記1~9のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記物品棚は店舗の中に配置され、
奥行方向において最も前方の前記棚段の列である最前列は、前記店舗の顧客が移動する第1領域に対向し、
前記第1領域と前記最前列の間にはロック可能な扉があり、
前記制御手段は、前記棚段が移動している間、前記扉をロックする、棚システム。
11.上記1~10のいずれか一項に記載の棚システムにおいて、
前記取得手段は、前記人の身長を示す身長情報を取得し、
前記制御手段は、前記身長情報を用いて前記所定の高さを設定する、棚システム。
12.移動可能な複数の棚段を有する物品棚と共に使用される制御装置であって、
前記複数の棚段は、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる制御手段と、
を備える制御装置。
13.移動可能な複数の棚段を有する物品棚と共に使用されるコンピュータが行う棚段の制御方法であって、
前記複数の棚段は、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記コンピュータは、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得し、
前記対象棚を所定の高さに移動させる、棚段の制御方法。
14.コンピュータに、移動可能な複数の棚段を制御させるためのプログラムであって、
前記複数の棚段は、物品棚の一部であり、上下に複数並んでいるとともに、奥行方向にも少なくとも2列に並んでおり、
前記コンピュータに、
前記物品棚の前にいる人が選択した棚段である対象棚を示す棚選択情報を取得する取得手段と、
前記対象棚を所定の高さに移動させる、制御手段と、
を持たせるプログラム。
15.上記14に記載のプログラムを記録した記録媒体。
【0067】
また、上述した付記1に従属する付記2~付記11に記載した構成の一部または全ては、付記12,13,14,15のそれぞれに対しても付記2~付記11と同様の従属関係により従属し得る。さらには、付記1,12,13,14,15に限らず、上述した各実施の形態から逸脱しない範囲において、様々なハードウェア、ソフトウエア、ソフトウエアを記録するための種々の記録手段、またはシステムに対しても同様に、付記として記載した構成の一部または全てを従属させ得る。
【符号の説明】
【0068】
10 制御装置
20 物品棚
30 物品
40 物品棚
110 取得部
120 制御部
130 選択情報生成部
202 棚段
204 センサ
206 扉
208 入力デバイス
300 店舗
310 第1領域
320 第2領域
330 出入口
340 出入口
350 精算装置
360 センサ
370 センサ