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特開2025-17304多重プラスチック成形の金型及びプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017304
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】多重プラスチック成形の金型及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20250129BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20250129BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20250129BHJP
   B29C 45/37 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/26
B29C33/42
B29C45/37
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024051600
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】202310910410.9
(32)【優先日】2023-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524118339
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲モウ▼啓文化科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Building F7, Cuihu Villa, Longgang Avenue, Henggang Street, Longgang District, Shenzhen City, Guangdong Provincial, China
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】呉炳華
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AG03
4F202AR20
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB28
4F202CK12
4F202CK19
4F202CK89
4F206AG03
4F206AR20
4F206JA07
4F206JB28
4F206JF01
4F206JL02
4F206JM04
4F206JN12
4F206JQ81
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生産コストが低く、プロセスが簡単であり、複数の色、複数の材料、複数の関節の製品の製造に適し、生産効率及び良品率を向上させる。多重プラスチック成形の金型及びプロセスを提供する。
【解決手段】第1の金型、第2の金型及び第3の金型を含み、前記第1の金型には、第1の部品を射出成形するための第1のキャビティが開設され、前記第2の金型には、第1の部品をマスクするためのマスクキャビティ及び第2の部品を射出成形するための第2のキャビティが開設され、前記第3の金型には、第1の部品及び第2の部品を置くための位置決めキャビティ及び第3の部品を射出成形するための第3のキャビティが開設され、前記位置決めキャビティは、前記第3のキャビティと連通していることにより、第3の部品と第1の部品及び第2の部品とを一体に接続させる多重プラスチック成形の金型及びプロセスを開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重プラスチック成形の金型であって、
第1の部品を射出成形するための第1のキャビティが開設されている第1の金型と、
第1の部品をマスクするためのマスクキャビティ及び第2の部品を射出成形するための第2のキャビティが開設されている第2の金型と、
第1の部品及び第2の部品を置くための位置決めキャビティ及び第3の部品を射出成形するための第3のキャビティが開設されている第3の金型とを含み、
前記位置決めキャビティは、前記第3のキャビティと連通し、前記第3のキャビティに注入されたプラスチックは、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティに注入されたプラスチックよりも融点が低く、互いに相溶しないことにより、第3の部品と第1の部品及び第2の部品とを一体に接続させることを特徴とする多重プラスチック成形の金型。
【請求項2】
前記金型は、いずれも上型及び下型を含み、前記キャビティ及び前記マスクキャビティは、いずれも前記上型と下型との間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の多重プラスチック成形の金型。
【請求項3】
前記マスクキャビティのマスク範囲は、マスクされる部品の輪郭範囲よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の多重プラスチック成形の金型。
【請求項4】
請求項1から4のいずれかに記載の多重プラスチック成形の金型を用いることを特徴とする多重プラスチック成形のプロセス。
【請求項5】
S1、第1の金型の第1のキャビティに第1の部品を射出成形するステップと、
S2:第2の金型の第1のマスクキャビティで第1の部品をマスクし、第2のキャビティに第2の部品を射出成形するステップと、
S3、第1の部品と第2の部品を第1の位置決めキャビティに置き、前記第3のキャビティに第3の部品を射出成形し、第3の部品と第1の部品及び第2の部品を一体に接続させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の多重プラスチック成形のプロセス。
【請求項6】
前記第3のキャビティに注入されたプラスチックは、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティに注入されたプラスチックよりも融点が低く、互いに相溶しないことを特徴とする請求項5に記載の多重プラスチック成形のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形金型の技術分野に関し、特に多重プラスチック成形の金型及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の2色プラスチック成形プロセスとは、2つの異なる材料を同一の金型に射出成形することにより、射出成形された部品が2つの材料からなる成形プロセスを達成する。複数の色、複数の材料の多部品の製品に対して、異なる金型に単一の部品を形成してから、各部品を組み立てて一体に接続させる必要があり、組み立て過程が煩雑で、生産効率に影響を与えるだけでなく、製品を損傷しやすく、不良品率を増加させ、生産要求を満たすことが困難である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、上記した従来技術における問題を解決するために、多重プラスチック成形の金型及びプロセスを提供することを目的とする。本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術案を提供する。
【0004】
本発明に係る第1の態様は、第1の金型、第2の金型及び第3の金型を含み、前記第1の金型には、第1の部品を射出成形するための第1のキャビティが開設され、前記第2の金型には、第1の部品をマスクするためのマスクキャビティ及び第2の部品を射出成形するための第2のキャビティが開設され、前記第3の金型には、第1の部品及び第2の部品を置くための位置決めキャビティ及び第3の部品を射出成形するための第3のキャビティが開設され、前記位置決めキャビティは、前記第3のキャビティと連通し、前記第3のキャビティに注入されたプラスチックは、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティに注入されたプラスチックよりも融点が低く、後に第3のキャビティに注入されたプラスチックは、前に第1のキャビティ及び第2のキャビティに注入されたプラスチックを溶融させて混合させることがなく、第3のキャビティに注入された材料の化学的特性によって第1のキャビティ及び第2のキャビティのプラスチックを化学的に溶融させて混合させることもないことにより、第3の部品と第1の部品及び第2の部品とを一体に接続させるように、各部品の独立完全性を保持している多重プラスチック成形の金型を提供する。
【0005】
本願の実施例において、単一の製品を製造するために、3種類または3種類以上の色又は材料を必要とする場合、まず、第1の金型を使用して、第1のキャビティに第1の材料を注入して、第1の部品を射出成形し、その後、第2の金型を使用して、マスクキャビティにより第1の部品をマスクして、第2のキャビティと第1の部品との連通を遮断してから、第2のキャビティに第2のの材料を注入して、第2の部品を射出成形することにより、射出成形過程における接着剤の漏れ又は相互溶解のリスクを回避することができ、第1の部品及び第2の部品の成形後、第3の金型を使用して、第3のキャビティに第3の材料を注入して、第3の部品を射出成形することにより、複数の色、複数の材料で単一の製品を射出成形するという目的を達成する。(それに応じて、3種類以上の異なる部品を製造する場合、該当するマスクキャビティを有する複数の金型を順次用意し、前に射出成形された部品に対して領域マスクを行い、次の部品の射出成形を行うことにより、複数の色/複数の材料の部品を順次製造することができる。)同時に、位置決めキャビティが第3のキャビティと連通し、第3の部品が射出成形された後に第1の部品及び第2の部品と一体に接続されるため、成形された後に組み立てを行う手順が省略され、生産効率を向上させ、生産組立コスト及び不良品率を低下させ、且つ部品間の組み立て隙間を調整する必要がなく、各部品間をゼロの隙間にし、部品間の組み立て隙間の多重配位を減少させ、製品全体の密封性を向上させ、一部の電子回路のパッケージング工程として適する。
【0006】
さらに、前記金型は、いずれも上型及び下型を含み、前記キャビティ及び前記マスクキャビティは、いずれも前記上型と下型の間に設けられる。
【0007】
さらに、前記マスクキャビティのマスク範囲は、マスクされる部品の輪郭範囲よりも大きい。不規則な部品に対して、マスクキャビティは、例えば円柱形又は直方体のように、その部品よりも大きい範囲の規則的な形状に設けてもよく、金型の製造要求を簡略化することができるだけでなく、射出成形過程における迅速なマスクの実行にも便利であり、位置合わせアライメントの手間を低減する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記の多重プラスチック成形の金型を用いる多重プラスチック成形のプロセスを提供する。
【0009】
さらに、
S1、第1の金型の第1のキャビティに第1の部品を射出成形するステップと、
S2:第2の金型の第1のマスクキャビティで第1の部品をマスクし、第2のキャビティに第2の部品を射出成形するステップと、
S3、第1の部品と第2の部品を第1の位置決めキャビティに置き、前記第3のキャビティに第3の部品を射出成形し、第3の部品と第1の部品及び第2の部品を一体に接続させるステップと、を含む。
【0010】
さらに、前記第3のキャビティに注入されたプラスチックは、前記第1のキャビティ及び前記第2のキャビティに注入されたプラスチックよりも融点が低く、互いに相溶しない。具体的には、異なるプラスチックの融点の異なる物理的特性及び互いに相溶しない化学的特性によって、各部品に独立完全性を保持させ、射出成形後に可動機構を有する可動機能を達成し、多可動関節の製品の製造に適し、金型の製造コストを低減することもできる。
【0011】
本発明は、金型の生産コストが低く、プロセスが簡単であり、複数の色、複数の材料、複数の関節の製品の製造に適し、生産効率と良品率を向上させるという有益な効果を有する。
【0012】
以下、本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、実施例の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明し、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例1の金型構造模式図である。
図2】本発明の実施例1の得られる製品の構造模式図である。
図3】本発明の実施例2の金型構造模式図である。
図4】本発明の実施例2の得られる製品の構造模式図である。
図5】本発明の実施例2の得られる製品の関節回転状態の模式図である。
【0014】
なお、図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、理解に影響を与えない模式的なものみを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例1:
本願の実施例は、図1及び図2に示すように、5つの部品を有する単一の製品を製造し、A1、A2、A3、A4及びA5の5つの金型を提供し、A1金型に部品1のキャビティ11が開設され、A2金型に部品2のキャビティ21及び部品1のマスクキャビティ22が開設され、A3金型に部品3のキャビティ31及び部品1、2のマスクキャビティ32が開設され、A4金型に部品4のキャビティ41及び部品1、部品2、部品3のマスクキャビティ42が開設され、A5金型に部品5のキャビティ51及び部品1、部品2、部品3、部品4の位置決めキャビティ52が開設され、キャビティ51が位置決めキャビティ52と連通している。
【0016】
射出成形プロセスは、
1、A1金型のキャビティ11に部品1を射出成形するステップと、
2、A2金型のマスクキャビティ22で部品1をマスクし、A2金型のキャビティ21に部品2を射出成形するステップと、
3、A3金型のマスクキャビティ32で部品1と部品2をマスクし、A3金型のキャビティ31に部品3を射出成形するステップと、
4、A4金型のマスクキャビティ42で部品1、部品2及び部品3をマスクし、A4金型のキャビティ41に部品4を射出成形するステップと、を含み、
部品1、部品2、部品3及び部品4を位置決めキャビティ52に置き、A5金型のキャビティ51に部品5を射出成形し、射出成形が完了すると、部品1、部品2、部品3、部品4及び部品5が一体に接続され、製品の全体組立を自動で達成できる。
【0017】
実施例2:
A6、A7、A8及びA9の5つ の金型を提供し本願の実施例は、図3及び図4に示すように、4つの部品を有する単一の製品を製造し、A6、A7、A8及びA9の4つの金型を提供し、A6金型に部品6のキャビティ61が開設され、A7金型に部品7のキャビティ71及び部品6のマスクキャビティ72が開設され、A8金型に部品8のキャビティ81、部品7のマスクキャビティ82及び部品6の位置決めキャビティ83が開設され、キャビティ81が位置決めキャビティ83と連通し、A9金型に部品9のキャビティ91及び部品6、部品7、部品8の位置決めキャビティ92が開設され、キャビティ91が位置決めキャビティ92と連通している。
【0018】
射出成形プロセスは、
a.A6金型のキャビティ61にABS-赤色プラスチックを注入し、部品6を射出成形するステップと、
b.A7金型のマスクキャビティ72で部品6をマスクし、A7金型のキャビティ71にPC-黄色プラスチックを注入し、部品7を射出成形するステップと、
c.A8金型のマスクキャビティ82で部品7をマスクし、A8金型のキャビティ81にPA-青色プラスチックを注入し、部品8を射出成形し、射出成形が完了すると、部品6と部品8は、可動関節機構に接続されているステップと、
A9金型のマスクキャビティ92で部品6、部品7及び部品8をマスクし、A9金型のキャビティ91にPOM-緑色プラスチックを注入し、部品9を射出成形し、射出成形が完了すると、部品6、部品7、部品8及び部品9が一体に接続され、製品の全体組立を自動で達成し、部品7及び部品9、部品9及び部品8は、可動関節機構に接続されているステップと、を含む。
【0019】
本実施例は、ABS-赤色プラスチック、PC-黄色プラスチック、PA-青色プラスチック及びPOM-緑色プラスチックを例示的に選択して射出成形を行い、他の実施例において、他の材料を選択してもよく、接触する2つの部品について、後に射出成形された材料が前に射出成形された材料よりも融点が低く、互いに相溶しない限り、同様の技術的効果を達成でき、隣接する部品が溶融又は相溶せず、各部品の独立完全性を保証している。
【0020】
なお、本発明の実施例について、矛盾しない範囲で本発明の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせて新しい実施例を得ることもできる。
【0021】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の保護範囲に準じる。本発明は、好ましい実施例によって以上のように開示されたが、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の技術的解決手段の範囲を逸脱することなく、上記に開示された技術的内容によって若干の変更又は修飾を均等な変化の等価物として行うことができるが、本発明の技術的解決手段の内容を逸脱することなく、本発明の技術的本質に基づいて以上の実施例に対して行う任意の簡単な修正、等価な変更及び修飾は、いずれも本発明の技術的解決手段の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0022】
A1 A1金型
A2 A2金型
A3 A3金型
A4 A4金型
A5 A5金型
A6 A6金型
A7 A7金型
A8 A8金型
A9 A9金型
1 部品1
2 部品2
3 部品3
4 部品4
5 部品5
6 部品6
7 部品7
8 部品8
9 部品9
11 キャビティ
21 キャビティ
22 マスクキャビティ
31 キャビティ
32 マスクキャビティ
41 キャビティ
42 マスクキャビティ
51 キャビティ
52 位置決めキャビティ
61 キャビティ
71 キャビティ
72 マスクキャビティ
81 キャビティ
82 マスクキャビティ
83 位置決めキャビティ
91 キャビティ
92 位置決めキャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】