(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017334
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】ラジアルフィットボルトアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16B 5/02 20060101AFI20250129BHJP
F16B 35/06 20060101ALI20250129BHJP
F16B 35/00 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
F16B5/02 F
F16B35/06 Z
F16B35/00 Q
F16B5/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024112460
(22)【出願日】2024-07-12
(31)【優先権主張番号】10 2023 207 028.6
(32)【優先日】2023-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】524266629
【氏名又は名称】ピルグリム・インターナショナル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・チャールズ
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA09
3J001JA10
(57)【要約】
【課題】迅速かつ問題のない設置及び取り外しのためのボルトアセンブリを提供し、ボルトの噛み込み及び関連する計画外のコストを回避し、振動問題に対する解決策を提供する。
【解決手段】このラジアルフィットボルトアセンブリには、第1の方向に沿って直径が増大する第1及び第2のセクション、並びに軸方向に介在する中間セクションを備えるボルトと、ボルトを半径方向に取り囲み、第1の方向に沿って内径が増大する第1及び第2のセクション、並びに軸方向に介在する中間セクションを備えるスリーブであって、ボルトの第1及び第2のセクションが、それぞれスリーブの第1及び第2のセクションと半径方向に接触する、スリーブと、ボルトの中間セクションの外面とスリーブの中間セクションの内面との間に半径方向に設けられた環状間隙と、スリーブの中間セクションの外面に設けられた環状溝とが設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ボルト(12)であって、第1のセクション(24)及び第2のセクション(28)であって、前記第1及び第2のセクション双方とも第1の方向に沿って外径が増大する、第1のセクション及び第2のセクション、並びに、前記ボルト(12)の前記第1のセクション(24)と前記第2のセクション(28)との間に軸方向に介在する中間セクション(26)を備え、前記ボルト(12)の前記第1のセクション(24)の前記外径が前記ボルト(12)の前記第2のセクション(28)の前記外径よりも小さい、ボルトと、
-前記ボルト(12)を半径方向に取り囲むスリーブ(14)であって、第1のセクション(36)及び第2のセクション(40)であって前記第1及び第2のセクション双方とも前記第1の方向に沿って内径が増大する第1のセクション及び第2のセクションを備え、前記第1のセクション(36)及び前記第2のセクション(40)が同じ外径を有し、前記スリーブ(14)が、前記第1のセクション(36)と前記第2のセクション(40)との間に軸方向に介在する中間セクション(38)をさらに備え、前記スリーブ(14)の前記第1のセクション(36)の前記内径が前記スリーブ(14)の前記第2のセクション(40)の前記内径よりも小さく、前記ボルト(12)の前記第1のセクション(24)及び前記第2のセクション(28)が、それぞれ前記スリーブ(14)の前記第1のセクション(36)及び前記第2のセクション(40)と半径方向に接触し、前記スリーブ(14)の前記中間セクション(38)が前記ボルト(12)の前記中間セクション(26)を少なくとも部分的に半径方向に取り囲む、スリーブと
が設けられ、
前記ボルト(12)の前記中間セクション(26)の外面と前記スリーブ(14)の前記中間セクション(38)の内面との間には、環状間隙が半径方向に設けられ、前記スリーブ(14)の前記中間セクションの前記外面には、環状溝(42)が設けられることを特徴とする、ラジアルフィットボルトアセンブリ(10)。
【請求項2】
前記環状間隙が、前記ボルト(12)の前記中間セクション(26)の全長にわたって軸方向に延在する、請求項1に記載のラジアルフィットボルトアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記環状溝(42)が、前記スリーブ(14)の前記中間セクション(38)の全長にわたって軸方向に延在する、請求項1または2に記載のラジアルフィットボルトアセンブリ(10)。
【請求項4】
少なくとも1つのスリット(44)が、前記スリーブ(14)の前記中間セクション(38)の前記外面に設けられた前記環状溝(42)の底面に形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のラジアルフィットボルトアセンブリ(10)。
【請求項5】
前記スリーブ(14)の長さが、前記ボルト(12)の最大直径の少なくとも4.5倍である、請求項1から4のいずれか一項に記載のラジアルフィットボルトアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記ボルト(12)が、少なくとも軸方向メインチャネル(48)が設けられた内側注入チャネル(46)をさらに備え、第1の半径方向補助チャネル(50)が前記ボルト(12)の前記第1のセクション(24)の前記外面に開口し、第2の半径方向補助チャネル(52)が前記ボルト(12)の前記第2のセクション(28)の前記外面に開口する、請求項1から5のいずれか一項に記載のラジアルフィットボルトアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記ボルト(12)の前記第1のセクション(24)が、前記ボルト(12)の前記外面に形成された少なくとも1つの溝(54、56)を備え、前記内側注入チャネル(46)の前記第1の半径方向補助チャネル(50)が、前記ボルト(12)の前記第1のセクション(24)の前記溝(54、56)に開口し、前記ボルト(12)の前記第2のセクション(28)が、前記ボルト(12)の前記外面に形成された少なくとも1つの溝(54、56)を備え、前記内側注入チャネル(46)の前記第2の半径方向補助チャネル(52)が、前記ボルト(12)の前記第2のセクション(28)の前記溝(54、56)に開口する、請求項7に記載のラジアルフィットボルトアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に回転用途のための、例えば船舶推進シャフトフランジカップリングなどの低速回転用途、または発電部門における蒸気もしくはガスタービンフランジカップリングなどの高速用途における結合要素用のボルトアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロータシャフトは、整列した貫通孔が設けられ、従来のフィットボルト及びフィットナットと一緒に締め付けられる2つのフランジを使用することによって駆動シャフトに結合される。
【0003】
従来のフィットボルトの場合のように頻繁なボルトの交換及び穴の準備を必要としない継手を提供するために、ラジアルフィットボルトが以前提供された。
【0004】
一般に、ラジアルフィットボルトは、相補的なテーパ内面を有するスリーブによって囲まれたテーパ本体を有するボルトを含む。
【0005】
ボルトは、ナットを取り付けるためにテーパ本体の各先端に2つのネジ付頭部をさらに備える。
【0006】
スリーブの内側のボルトを締め付けるために、ボルトの頭部に軸方向の圧力が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特定の用途、特にクリアランスが縮小された用途では、ボルトを締め付けるために必要な荷重は、ボルトのネジ付頭部に加えることができる荷重限界を超え、ボルトの取り付けを不可能にする。
【0008】
本発明の目的は、上記に示された問題を解決し、迅速かつ問題のない設置及び取り外しのためのボルトアセンブリを提供し、ボルトの噛み込み及び関連する計画外のコストを回避し、振動問題に対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ラジアルフィットボルトアセンブリに関し、このラジアルフィットボルトアセンブリには、
-両方とも第1の方向に沿って外径が増大する第1のセクション及び第2のセクション、並びにボルトの第1のセクションと第2のセクションとの間に軸方向に介在する中間セクションを備えるボルトであって、ボルトの第1のセクションの外径がボルトの第2のセクションの外径よりも小さい、ボルトと、
-ボルトを半径方向に取り囲み、両方とも第1の方向に沿って内径が増大する第1のセクション及び第2のセクションを備えるスリーブであって、第1のセクション及び第2のセクションが同じ外径を有し、スリーブが、第1のセクションと第2のセクションとの間に軸方向に介在する中間セクションをさらに備え、スリーブの第1のセクションの内径がスリーブの第2のセクションの内径よりも小さく、ボルトの第1のセクション及び第2のセクションが、それぞれスリーブの第1のセクション及び第2のセクションと半径方向に接触し、スリーブの中間セクションがボルトの中間セクションを少なくとも部分的に半径方向に取り囲む、スリーブと
が設けられている。
【0010】
一般的な特徴によれば、ボルトの中間セクションの外面とスリーブの中間セクションの内面との間には、環状間隙が半径方向に設けられる。
【0011】
別の一般的な特徴によれば、スリーブの中間セクションの外面には、環状溝が設けられる。
【0012】
ボルトがスリーブに締め付けられたときにボルトによってスリーブに及ぼされる半径方向の力は、ボルトの第1のセクションからスリーブの第1のセクションに、及びボルトの第2のセクションからスリーブの第2のセクションに半径方向に伝達される。
【0013】
前記環状間隙は、ボルトをスリーブの内側に締め付けるためにボルトにかかる必要な荷重を低減し、前記環状溝は、スリーブの中間セクションがスリーブの内側でボルトを締め付けながら半径方向外側に、ボルトをスリーブから取り外しながら半径方向内側に移動することを可能にする。
【0014】
ボルトの中間セクションの外面とスリーブの中間セクションの内面との間に半径方向に設けられた前記環状間隙は、ボルトの中間セクションの全長にわたって軸方向に延在することができる。前記環状間隙は、ボルトの第1のセクションからボルトの第2のセクションまで軸方向に延在することができる。
【0015】
ボルトの中間セクションの外面とスリーブの中間セクションの内面との間に半径方向に設けられた前記環状間隙は、スリーブの中間セクションの全長にわたって軸方向に延在することができる。
【0016】
スリーブの中間セクションの外面に設けられた前記環状溝は、スリーブの中間セクションの全長にわたって軸方向に延在することができる。前記環状溝は、スリーブの第1のセクションからスリーブの第2のセクションまで軸方向に延在することができる。
【0017】
スリーブの中間セクションの外面に設けられた前記環状溝の底面には、少なくとも1つのスリットが形成されてもよい。
【0018】
前記スリットは、スリーブの中間セクションを半径方向に変形させるために必要な力を低減する。
【0019】
前記スリットは、純粋に軸方向に延在することができる。
【0020】
スリーブの長さは、ボルトの最大直径の少なくとも4.5倍であり得る。
【0021】
ボルトは、少なくとも軸方向メインチャネルが設けられた内側注入チャネルをさらに備えてもよく、第1の半径方向補助チャネルがボルトの第1のセクションの外面に開口し、第2の半径方向補助チャネルがボルトの第2のセクションの外面に開口する。
【0022】
ボルトの第1のセクションは、ボルトの外面に形成された少なくとも1つの溝を備えてもよく、内側注入チャネルの第1の半径方向補助チャネルは、ボルトの第1のセクションの溝に開口する。
【0023】
ボルトの第2のセクションは、ボルトの外面に形成された少なくとも1つの溝を備えてもよく、内側注入チャネルの第2の半径方向補助チャネルは、ボルトの第2のセクションの溝に開口する。
【0024】
本発明の他の利点及び特徴は、本発明の実施形態の詳細説明から明らかになり、それらは添付の図面に示された非限定的な例である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一例による、ラジアルフィットボルトアセンブリによって結合された2つの要素の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示されたように、第3の要素6を含んでいる2つの要素2、4を備えるデバイス、例えばロータが表わされており、各要素2、4、6は整列した貫通孔8を備える。要素2、4、6は、要素2、4、6の整列した貫通孔8を通るラジアルフィットボルトアセンブリ10によって結合される。
【0027】
ラジアルフィットボルトアセンブリ10は、ボルト12、スリーブ14、及び2つのナット16を備える。
【0028】
ボルト12は、第1のヘッドセクション18、本体20、及び第2のヘッドセクション22をこの順序で備える。
【0029】
ボルト12の本体20は、ちょうど3つのセクションを備える。ボルト12の本体20は、第1の方向に沿って外径が増大する第1のテーパセクション24を備え、本体20の第1のテーパセクション24の最小直径は、ボルト12の第1のヘッドセクション18から軸方向に延在する。本体20はまた、本体20の第1のテーパセクション24の最大直径から軸方向に延在する中間セクション26を備える。本体20は、第1の方向に沿って外径が増大する第2のテーパセクション28をさらに備え、第2のテーパセクション28の最小直径は、本体20の中間セクション26から軸方向に延在し、本体20の第2のテーパセクション28は、本体20の第1のテーパセクション24と軸方向に対向し、本体20の第2のテーパセクション28の最大直径は、ボルト12の第2のヘッドセクション22から軸方向に延在する。
【0030】
本実施形態では、本体20の第1のセクション24の長さは、本体20の第2のセクション28の長さに等しく、本体20の中間セクション26の長さは、本体20の第1のセクション24の長さよりも小さい。あるいは、本体20の第1のセクション24の長さは、本体20の第2のセクション28の長さとは異なってもよい。変形例では、本体20の中間セクション26の長さは、本体20の第1のセクション24の長さまたは本体20の第2のセクション28の長さよりも大きくてもよい。
【0031】
ボルト12の本体20は一般的なテーパ形状を有し、本体20の第1のセクション24の外面は、本体20の第2のセクション28の外面の軸方向延長部分にあり、本体20の第1のセクション24の外径は、本体20の第2のセクション28の外径よりも小さい。
【0032】
図2により明確に見られるように、本体20の中間セクション26の外径を低減するために、本体20の中間セクション26の外面に環状溝30が設けられ、例えば機械加工によって形成され、本体20の中間セクション26の外面は、本体20の第2のセクション28の外面の軸方向延長部分の半径方向内側にある。本体20の中間セクション26の外面に設けられた環状溝30の底面はテーパ状である。前記環状溝30は、本体20の中間セクション26の外面の全長にわたって設けられ、一方の部分では本体20の第1のセクション24によって、他方の部分では本体20の第2のセクション28によって軸方向に画定される。
【0033】
ボルト12の第1のヘッドセクション18及び第2のヘッドセクション22は、各々2つのナット16のうちの1つのためのネジ山(図示せず)を備える。第1のヘッドセクション18は、本体20の第1のセクション24の最小直径から軸方向に延在する円筒セクション32を備える。第2のヘッドセクション22は、本体20の第2のセクション28の最大直径から軸方向に延在する円筒セクション34を備え、第2のヘッドセクション22の円筒セクション34は、第1のヘッドセクション18の円筒セクション32と同じ外径を有する。
【0034】
スリーブ14は、ちょうど3つのセクションを備える。スリーブ14は、外側円筒面を有し、第1の方向に沿って内径が増大するテーパ内面を有する第1のセクション36を備える。スリーブ14はまた、スリーブ14の第1のセクション36の最小厚さから軸方向に延在し、第1の方向に沿って内径が増大するテーパ内面を有する中間セクション38を備える。スリーブ14は、スリーブ14の第1のセクション36の外側円筒面の直径に等しい直径の外側円筒面を有し、第1の方向に沿って内径が増加するテーパ内面を有する第2のセクション40をさらに備え、スリーブ14の第2のセクション40の最大厚さは、スリーブ14の中間セクション38から軸方向に延在し、スリーブ14の第2のセクション40は、スリーブ14の第1のセクション36と軸方向に対向している。
【0035】
本実施形態では、スリーブ14の第1のセクション36の長さは、スリーブ14の第2のセクション40の長さに等しく、スリーブ14の中間セクション38の長さは、スリーブ14の第1のセクション36の長さよりも小さい。あるいは、スリーブ14の第1のセクション36の長さは、スリーブ14の第2のセクション40の長さとは異なってもよい。変形例では、スリーブ14の中間セクション38の長さは、スリーブ14の第1のセクション36の長さまたはスリーブ14の第2のセクション40の長さよりも長くてもよい。
【0036】
スリーブ14の第1のセクション36のテーパ内面は、スリーブ14の第2のセクション40のテーパ内面の軸方向延長部分にあり、スリーブ14の第1のセクション36の外径は、スリーブ14の第2のセクション40の外径よりも小さい。スリーブ14の中間セクション38のテーパ内面は、スリーブ14の第2のセクション40のテーパ内面の軸方向延長部分にある。
【0037】
環状溝42は、スリーブ14の中間セクション38の外面に設けられ、例えば機械加工によって形成され、スリーブ14の中間セクション38の外径をスリーブ14の第2のセクション40の外側円筒面の外径よりも小さくする。スリーブ14の中間セクション38の外面に設けられた環状溝42の底面は円筒形である。前記環状溝42は、スリーブ14の中間セクション38の外面の全長にわたって設けられ、一方の部分ではスリーブ14の第1のセクション36によって、他方の部分ではスリーブ14の第2のセクション40によって軸方向に画定される。
【0038】
スリーブ14はボルト12の本体20を半径方向に取り囲み、スリーブ14の長さはボルト12の最大直径の少なくとも4.5倍であり、より正確には、スリーブ14の長さは整列した貫通孔8の直径の少なくとも4.5倍である。スリーブ14の第1のセクション36はボルト12の本体20の第1のセクション24と半径方向に接触し、スリーブ14の第2のセクション40はボルト12の本体20の第2のセクション28と半径方向に接触し、スリーブ14の中間セクション38はボルト12の本体20の中間セクション26を接触せずに半径方向に取り囲む。したがって、スリーブ14の中間セクション38とボルト12の本体20の中間セクション26との間には、環状間隙が半径方向に残る。スリーブ14の第1のセクション36の内面は、本体20の第1のセクション24の外面と同じ勾配を有し、スリーブ14の第2のセクション40の内面は、本体20の第2のセクション28の外面と同じ勾配を有するので、本体20の第1のセクション24によってスリーブ14の第1のセクション36に及ぼされる力は均一であり、本体20の第2のセクション28によってスリーブ14の第2のセクション40に及ぼされる力に等しい。
【0039】
図3により明確に見られるように、スリーブ14の中間セクション38の外面に設けられた環状溝42の底面には、複数のスリット44が形成される。各スリット44は、前記溝42の全長にわたって軸方向に延在し、本実施形態では、各スリット44は純粋に軸方向に延在する。スリット44は、ボルト12がスリーブ14の内側に締め付けられたときにスリーブ14の中間セクション38が半径方向外側に拡大するのを助ける。あるいは、スリットは、前記溝42の長さ未満、例えば前記溝42の長さの80%で軸方向に延在する。
【0040】
図1及び
図2に戻ると、ボルト12は、油などの潤滑剤を注入するために設定され、軸方向メインチャネル48、本体20の第1のセクション24の外面及び軸方向メインチャネル48に開口する第1の半径方向補助チャネル50、並びに本体20の第2のセクション28の外面及び軸方向メインチャネル48に開口する第2の半径方向補助チャネル52が設けられた内側注入チャネル46を備える。軸方向メインチャネル48は、ボルト12の第1のヘッドセクション18の側に位置するボルト12の第1の先端から本体20の第2のセクション28の少なくとも1/3まで延在する。
【0041】
本体20の第1のセクション24の外面には2つの溝54が設けられ、両方の溝54は、対向する螺旋構造で本体20の第1のセクション24の外面に螺旋形状を形成することによって延在し、このように本体20の第1のセクション24の外面にX字形の溝54を形成する。本体20の第1のセクション24の外面にも、螺旋形状を有する前記2つの溝54を軸方向に囲み、それらと連通する2つの環状溝56が設けられる。スリーブ14の第1のセクション36は、本体20の第1のセクション24に設けられた前記環状溝56を半径方向に取り囲む。
【0042】
内側注入チャネル46の第1の半径方向補助チャネル50は、本体20の第1のセクション24に設けられた螺旋形状を有する前記2つの溝54によって形成されたX字形の溝54の中央に開口する。したがって、第1の半径方向補助チャネル50によって注入された潤滑剤は、螺旋形状を有する両方の溝54を両方の環状溝56に流れ、本体20の第1のセクション24とスリーブ14の第1のセクション36との間の界面を潤滑する。
【0043】
本体20の第2のセクション28の外面には2つの溝54が設けられ、両方の溝54は、対向する螺旋構造で本体20の第2のセクション28の外面に螺旋形状を形成することによって延在し、このように本体20の第2のセクション28の外面にX字形の溝54を形成する。本体20の第2のセクション28の外面にも、螺旋形状を有する前記2つの溝54を軸方向に囲み、それらと連通する2つの環状溝56が設けられる。スリーブ14の第2のセクション40は、本体20の第2のセクション28に設けられた前記環状溝56を半径方向に取り囲む。
【0044】
内側注入チャネル46の第2の半径方向補助チャネル52は、本体20の第2のセクション28に設けられた螺旋形状を有する前記2つの溝54によって形成されたX字形の溝54の中央に開口する。したがって、第2の半径方向補助チャネル52によって注入された潤滑剤は、螺旋形状を有する両方の溝54を両方の環状溝56に流れ、本体20の第2のセクション28とスリーブ14の第2のセクション40との間の界面を潤滑する。
【0045】
前述されたように、
図1~
図3に描写された例では、本体20の中間セクション26の外面に環状溝30が設けられる。あるいは、本体20の中間セクション26は、本体20の第2のセクション28の外面の軸方向延長部分にテーパ外面を有してもよく、環状溝は、スリーブ14の中間セクション38の内面に設けられ、前記環状溝は、スリーブ14の中間セクション38の内面の全長にわたって設けられ、一方の部分ではスリーブ14の第1のセクション36によって、他方の部分ではスリーブ14の第2のセクション40によって軸方向に画定され、したがって、スリーブ14の中間セクション38と本体20の中間セクション26との間に半径方向の環状間隙も設けられる。変形例では、本体20の中間セクション26の外面上の環状溝30と、スリーブ14の中間セクション38の内面上の環状溝の両方が設けられてもよい。
【0046】
以下の説明は、整列した貫通孔8の内側のラジアルフィットボルトアセンブリ10の組立プロセスに関する。
【0047】
位置決めステップでは、スリーブ14及びボルト12の両方が、整列した貫通孔8内にクリアランス状態で位置決めされる。
【0048】
締付ステップでは、ボルト12は、油圧工具を使用することによってスリーブ14の内側に締め付けられ、スリーブ14は、スリーブ14を通してボルト12を引き込む間に拡大し、整列した貫通孔8の孔とラジアルフィットボルト12のアセンブリ10との間に半径方向の締まり嵌めを提供する。本体20の中間セクション26の外面またはスリーブ14の中間セクション38の内面に設けられた環状溝30は、スリーブ14を通るボルト12の引き込みを容易にし、環状溝42は、スリーブ14の中間セクション38の外面に設けられ、スリーブ14の中間セクション38が外側に拡大して半径方向の嵌合を作成することを可能にする。
【0049】
スリーブ14が拡大して半径方向の嵌合を形成した後、次いで、2つのナット16が位置決めされる。一方のナット16に張力を加えるために油圧工具を使用して、ラジアルフィットボルト12は、次いで軸方向の伸張を受け、次いで圧力が保持され、ナット16が締め付けられて締め付け荷重が作成される。
【0050】
以下の説明は、整列した貫通孔8からのラジアルフィットボルトアセンブリ10の分解プロセスに関する。
【0051】
弛緩ステップでは、油圧工具は、一方のナット16に張力を加えて、前記ナット16が弛緩されることを可能にする。
【0052】
潤滑剤ステップでは、潤滑剤が内側注入チャネル46に注入され、潤滑剤は、第1の半径方向補助チャネル50によって流れて本体20の第1のセクション24とスリーブ14の第1のセクション36との間の界面を潤滑し、第2の半径方向補助チャネル52によって流れて本体20の第2のセクション28とスリーブ14の第2のセクション40との間の界面を潤滑する。
【0053】
取外ステップでは、ボルト12がスリーブ14から取り外され、環状溝30が本体20の中間セクション26の外面またはスリーブ14の中間セクション38の内面に設けられ、環状溝42がスリーブ14の中間セクション38の外面に設けられ、スリーブ14の中間セクション38が直径を低減することを可能にする。
【0054】
オイル注入方法が成功しなかった場合、反対側からナット16を取り外すことにより、油圧工具を使用することによってスリーブ14をボルト12の半径方向嵌合から機械的に押し出すことができる。
【符号の説明】
【0055】
2 要素、4 要素、6 要素、8 貫通孔、10 ラジアルフィットボルトアセンブリ、12 ラジアルフィットボルト、14 スリーブ、16 ナット、18 第1のヘッドセクション、20 本体、22 第2のヘッドセクション、24 第1のテーパセクション、26 中間セクション、28 第2のテーパセクション、30 環状溝、32 円筒セクション、34 円筒セクション、36 第1のセクション、38 中間セクション、40 第2のセクション、42 環状溝、44 スリット、46 内側注入チャネル、48 軸方向メインチャネル、50 第1の半径方向補助チャネル、52 第2の半径方向補助チャネル、54 溝、56 環状溝
【外国語明細書】