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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025174483
(43)【公開日】2025-11-28
(54)【発明の名称】光学部材
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20251120BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20251120BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080885
(22)【出願日】2024-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】舘 鋼次郎
(72)【発明者】
【氏名】川内 正明
(72)【発明者】
【氏名】辻 真俊
(72)【発明者】
【氏名】劉 恒
【テーマコード(参考)】
2H042
2H088
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA08
2H042AA21
2H088EA33
2H088GA03
2H088HA02
2H088MA20
(57)【要約】
【課題】ユーザに視認させる外景の視認性低下を抑制しつつ、薄型化が可能な光学部材を提供する。
【解決手段】光学部材1は、光を反射するミラー2と、光を透過する透過状態と光を反射する反射状態との切り替えが可能な切替ミラー3とを有する。ミラー2は、切替ミラー3と平行に配置されている。切替ミラー3は、反射状態では、入射角θの入射光L2をθよりも大きい反射角φでミラー2側に反射する。ミラー2は、切替ミラー3で反射した入射光L2が入射角φで入射し、当該入射光L2を反射角θで切替ミラー3側に反射する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材であって、
光を反射する第1反射層(22)を有するミラー(2)と、
光を透過する透明状態と光を反射する反射状態との切り替えが可能な第2反射層(33)を有し、前記ミラーと平行配置された切替ミラー(3)と、を備え、
前記ミラーまたは前記切替ミラーのなす平面に対する法線方向を厚み方向(D1)とし、前記ミラーまたは前記切替ミラーに入射する入射光の進行方向と前記厚み方向とのなす角度を入射角とし、前記ミラーまたは前記切替ミラーで反射した反射光の進行方向と前記厚み方向とのなす角度を反射角として、
前記第1反射層は、前記ミラーのなす平面に対して傾斜した第1の傾斜面を有し、前記第1の傾斜面に対する法線方向に沿った軸が第1の傾斜軸(ax1)であり、
前記第2反射層は、前記切替ミラーのなす平面に対して傾斜した第2の傾斜面を有し、前記第2の傾斜面に対する法線方向に沿った軸が第2の傾斜軸(ax2)であり、
前記切替ミラーは、入射光の入射角をθとして、反射光をθよりも大きい反射角φで反射し、
前記ミラーは、前記第1の傾斜軸が前記第2の傾斜軸と平行であることで、入射角φの入射光を反射角θで反射する、光学部材。
【請求項2】
前記第2反射層は、コレステリック液晶により構成されている、請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記第1反射層は、コレステリック液晶により構成されている、請求項1に記載の光学部材。
【請求項4】
前記ミラーは、前記切替ミラーと対向する一面(2a)に反射防止層(24)を備える、請求項2に記載の光学部材。
【請求項5】
前記切替ミラーは、前記ミラーと対向する対向面(3a)に反射防止層(36)を備える、請求項3に記載の光学部材。
【請求項6】
前記切替ミラーは、複数の領域(R1~RN)に区画され、
前記第2反射層は、複数の前記領域のうち1つの前記領域が透明状態に順次切り替えられ、透明状態とされた1つの前記領域とは異なる残りの前記領域が反射状態となる、請求項1に記載の光学部材。
【請求項7】
前記切替ミラーまたは前記ミラーを介した光が射出される領域であって、ユーザに外景を視認させる領域を視認領域(RV)とし、前記切替ミラーのうち外景光が入射する端部を入射端部(3A)として、
前記視認領域は、N個の領域(RV1~RVN)に区画され、
前記切替ミラーは、前記視認領域のうち前記入射端部から最も遠いN番目の第N領域(RVN)には配置されていない、請求項1に記載の光学部材。
【請求項8】
透光性材料で構成され、第一面(6a)と、前記第一面に平行な第二面(6b)とを有する導光体(6)をさらに備え、
前記ミラーは、前記第一面に配置されており、
前記切替ミラーは、前記第二面に配置されている、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一対のミラーとして機能する部材を備え、入射した光の導光および射出が可能な光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光の反射を主に行うミラーと、光の反射および透過を行うハーフミラーとが対向配置されてなる一対のミラーの間に、外景光が入射したとき、一対のミラー間で外景光の反射・射出がなされ、例えば死角補助装置として用いられる光学部材が知られている。ハーフミラーは、例えば、蒸着金属膜や誘電体多層膜で構成されるが、前者では光の吸収率が30%以上となって光量が低下し、後者では光の吸収率が小さく、光の損失を抑えることができるものの、反射率が光の波長や入射角度によって変化してしまう。
【0003】
そこで、光量の低下およびユーザに視認させる外景の明るさや色調の変化が抑制可能なハーフミラーレスの光学部材が提案されている(例えば特開2023-28532号公報)。このハーフミラーレスの光学部材は、ユーザ側に光を射出する射出面が全反射によりミラーとして機能する複数の平坦部と光を射出する複数のプリズム部とにより構成されており、上記の課題が解決可能である。
【0004】
また、ハーフミラーレスの光学部材としては、透過状態と反射状態との切替が可能な切替ミラーを用いた光学部材が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2024-22908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、この種の光学部材の分野では、薄型化のニーズが存在する。上記した光学部材は、いずれも、内部で光を導光させる部位において、入射光が正反射し、入射角と反射角とが等しくなる構造である。ここで、一対のミラーとして機能する部位間の距離、すなわち厚さをTとし、入射光の入射角および反射角をθとし、当該部位間を一往復する際に光が進む距離、すなわち幅をWとする。このとき、光学部材は、T=W/2tanθの関係により厚みTが決まるため、これ以上の薄型化が困難である。
【0007】
一方、射出面を複数の平坦部およびプリズム部で構成された光学部材は、外景光を内部に入射させる入射面を傾斜させ、入射角を大きくすることで他の光学部材よりも薄型化できるものの、複数のプリズム部によりパターン状で光がユーザ側に射出される。このため、この光学部材は、死角領域の外景の視認性が低下しうる。
【0008】
本開示は、上記の点に鑑み、ユーザに視認させる外景の視認性低下を抑制しつつ、薄型化が可能な光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の1つの観点によれば、光学部材は、
光を反射する第1反射層(22)を有するミラー(2)と、
光を透過する透明状態と光を反射する反射状態との切り替えが可能な第2反射層(33)を有し、ミラーと平行配置された切替ミラー(3)と、を備え、
ミラーまたは切替ミラーのなす平面に対する法線方向を厚み方向(D1)とし、ミラーまたは切替ミラーに入射する入射光の進行方向と厚み方向とのなす角度を入射角とし、ミラーまたは切替ミラーで反射した反射光の進行方向と厚み方向とのなす角度を反射角として、
第1反射層は、ミラーのなす平面に対して傾斜した第1の傾斜面を有し、第1の傾斜面に対する法線方向に沿った軸が第1の傾斜軸(ax1)であり、
第2反射層は、切替ミラーのなす平面に対して傾斜した第2の傾斜面を有し、第2の傾斜面に対する法線方向に沿った軸が第2の傾斜軸(ax2)であり、
切替ミラーは、入射光の入射角をθとして、反射光をθよりも大きい反射角φで反射し、
ミラーは、第1の傾斜軸が第2の傾斜軸と平行であることで、入射角φの入射光を反射角θで反射する。
【0010】
この光学部材は、平行配置されたミラーおよび切替ミラーを備え、ミラーが光を反射する第1反射層を有し、切替ミラーが光を透過する透明状態と光を反射する反射状態との切り替えが可能な第2反射層を有する。また、切替ミラーは、反射状態において、入射光の入射角をθとすると、入射光をθよりも大きい角度のφで反射する。そして、ミラーは、第1反射層の第1の傾斜軸が第2反射層の第2の傾斜軸と平行であることで、入射角φの入射光を角度のθで反射する。この光学部材は、ユーザ側に光を射出する切替ミラーが突起状のプリズムを有しないため、外景光がプリズムの配列に沿ったパターン状で射出されず、ユーザに視認させる外景の視認性低下が抑制される。また、この光学部材は、ミラーおよび切替ミラーにおける入射光とその反射光の角度が異なるため、光を正反射する場合に比べて、ミラーと切替ミラーとを往復する際に光が進む距離が増加する構成である。そのため、この光学部材は、ミラーと切替ミラーとの一往復における光が進む距離の増加分に応じてミラーと切替ミラーとの距離を短くすることができ、薄型化が可能である。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の光学部材を示す断面図である。
図2】ミラーのうち図1のII領域の拡大断面図である。
図3】切替ミラーの区画領域およびその制御用の回路基板の一例を示す図である。
図4図1のIV領域を拡大したものであって、反射状態の切替ミラーの拡大断面図である。
図5図4に相当する図であって、透明状態の切替ミラーの拡大断面図である。
図6】切替ミラーのうち第1領域が透明状態である場合についての説明図である。
図7】切替ミラーのうち第2領域が透明状態である場合についての説明図である。
図8】切替ミラーのうち第N領域が透明状態である場合についての説明図である。
図9】切替ミラーの各領域の幅および直接入射領域についての説明図である。
図10】比較例の光学部材における導光および厚みの説明図である。
図11】第1実施形態の光学部材における薄型化効果の説明図である。
図12】第2実施形態の光学部材を示す断面図である。
図13】第2実施形態の光学部材において、切替ミラーのうち1つの領域が透明状態である場合の導光の説明図である。
図14】第2実施形態の光学部材における最終領域の導光の説明図である。
図15】第3実施形態の光学部材を示す断面図である。
図16】第3実施形態の光学部材における導光の説明図である。
図17図16のXVII領域を拡大したものであって、ミラーの変形例を示す拡大断面図である。
図18図16のXVIII領域を拡大したものであって、切替ミラーの変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態の光学部材1について、図面を参照して説明する。本実施形態の光学部材1は、例えば、ユーザの視界を遮り、死角を生じさせる部材や障害物等に取り付けられ、当該死角の領域の光景を当該ユーザに視認させる死角補助装置として用いられうる。光学部材1は、例えば、車載用途の場合には、搭載される車両のピラーなどに取り付けられ、当該ピラーにより死角になる領域からの外景光をユーザの側に導光し、死角領域の光景をユーザに視認させる。
【0015】
図1は、図3のI-I線の断面図に相当する。図6図9では、後述する切替ミラー3の複数の領域R1~RNが透明状態および反射状態のいずれであるかを分かり易くするため、反射状態の領域についてはハッチングを付し、透明状態の領域については白抜きで示している。また、図6図9図11は、図1に相当する断面図である。
【0016】
光学部材1は、例えば、図1に示すように、光を反射するミラー2と、ミラー2に対して平行に対向配置され、光を透過する透明状態と光を反射する反射状態との切り替えが可能な切替ミラー3とを備える。光学部材1は、ミラー2および切替ミラー3が図示しない筐体あるいは保持部材に取り付けられ、これら2つの部材が平行状態で保持されている。光学部材1は、ミラー2の後方側から切替ミラー3の側に光が入射したとき、光の一部が切替ミラー3のうち反射状態の部位およびミラー2で反射を繰り返すと共に、光の一部が切替ミラー3のうち透明状態の部位から射出される構成である。これにより、光学部材1は、図示しない障害物で遮られた死角領域から入射した光をミラー2と切替ミラー3との間で導光しつつ、当該光を切替ミラー3の広範囲で外部に射出することで、ユーザに当該死角領域の外景を視認させる。
【0017】
以下、説明の便宜上、例えば図1に矢印で示すように、互いに向き合うミラー2の一面2aおよび切替ミラー3の対向面3aに対する法線方向、すなわち光学部材1の厚み方向に相当する方向を「厚み方向D1」と称する。また、光学部材1またはその構成要素を厚み方向D1に沿った方向から見た状態を「上面視」と称する。また、切替ミラー3の対向面3aのなす平面に沿った方向であって、上面視にて切替ミラー3のうちミラー2からはみ出した部分の端部(例えば後述する入射端部3A)から当該端部とは反対側の端部に向かう方向を「導光方向D2」と称する。導光方向D2は、ミラー2および切替ミラー3により光を導光する方向に沿った方向といえる。図2以降の図において矢印等で示す厚み方向D1および導光方向D2は、図1に矢印で示す各方向に対応している。また、説明の便宜上、図1などに示す厚み方向D1と導光方向D2とのなす平面を「導光平面」と称することがある。
【0018】
また、例えば図6に示すように、外部から光学部材1に入射する光を「外景光L1」と称し、外景光L1のうち切替ミラー3で反射した光を「入射光L2」と称する。さらに、外景光L1のうち光学部材1を介して切替ミラー3の射出面3b側に射出される光を「射出光L3」と称する。また、導光平面において、ミラー2に入射する光の進行方向と厚み方向D1とのなす角度、および切替ミラー3に入射する光の進行方向と厚み方向D1とのなす角度を「入射角」と称する。ミラー2に入射する光は、反射状態の切替ミラー3で反射した光である。切替ミラー3に入射する光は、外景光L1およびミラー2で反射した入射光L2である。また、導光平面において、ミラー2で反射した光の進行方向と厚み方向D1とのなす角度、および切替ミラー3で反射した光の進行方向と厚み方向D1とのなす角度を「反射角」と称する。さらに、入射角および反射角のうち切替ミラー3におけるものを「第一入射角」、「第一反射角」と、ミラー2におけるものを「第二入射角」、「第二反射角」と、それぞれ称することがある。
【0019】
ミラー2は、可視光を所定以上の反射率(例えば、限定するものではないが80%以上)で切替ミラー3側に反射する反射部材である。ミラー2は、切替ミラー3と対をなすものであると共に、光学部材1の薄型化のため、入射光L2を第二入射角とは異なる第二反射角で反射する非対称の反射を行う設計となっている。ミラー2は、例えば図2に示すように、透明基板21と、第1反射層22と、少なくとも一部が遮光性材料で構成された遮光基板23と、反射防止層24とを備える。ミラー2は、例えば、遮光基板23、第1反射層22、透明基板21、反射防止層24がこの順に積層された構成である。ミラー2は、切替ミラー3と向き合う一面2a側から入射光L2が入射角φで入射し、第1反射層22においてこの入射光L2を反射角θ(<φ)で反射する。
【0020】
透明基板21は、例えば、ガラスや樹脂などの任意の透光性材料で構成されるものであり、第1反射層22のカバーとして機能する。透明基板21は、切替ミラー3側の一面2aに反射防止層24が形成されている。
【0021】
第1反射層22は、入射光L2をφの第二入射角とは異なる角度であって、切替ミラー3に入射する外景光L1の第一入射角と同じθの第二反射角で反射する非対称反射を行う。第1反射層22は、例えば図2に示すように、一面2aのなす平面に対して一定の角度のαで傾斜するように配向した液晶層が繰り返し積層された、周期的層構造となっている。第1反射層22は、例えば、コレステリック液晶で構成される。ミラー2は、例えば、透明基板21および第1反射層22の平均屈折率がn(n>1)であるとき、入射光L2の第二入射角のφが内部での屈折によりφ(φ<φ)に変化する。そして、ミラー2は、例えば、第1反射層22が上記の周期的層構造においてΔnの屈折率変調を有し、入射角φの光が第1反射層22内部の傾斜角αの傾斜面でブラッグ反射をする構造である。なお、このとき、sinφ/n=sinφとなる。そして、ミラー2では、例えば、第1反射層22でブラッグ反射した入射光L2は、ミラー2での内部反射角θ=φ-2αとなり、切替ミラー3側に射出される際における角度、すなわち外部反射角が外景光L1の切替ミラー3への入射角と同じθに戻る。なお、このとき、n×sin(φ-2α)=n×sinθ=sinθとなる。つまり、ミラー2は、切替ミラー3で非対称反射された入射光L2の角度を、切替ミラー3での反射前の角度に戻す役割を果たす。これにより、光学部材1は、切替ミラー3で反射された入射光L2が最終的に射出面3bから外部に射出されるときに、外景光L1の入射角と同じθに戻ることとなり、ユーザが直接視認する光景と光学部材1を介して視認する光景との連続性が確保される。
【0022】
ここで、例えば図2に示すように、角度がαの傾斜面における入射光L2とその反射光との中心を通る仮想直線を傾斜軸ax1とし、傾斜軸ax1と厚み方向D1とのなす角度、すなわち層構造の傾斜角をα1とする。傾斜軸ax1は、第1反射層22の傾斜面に対する法線方向に沿った軸ともいえる。このとき、第1反射層22は、傾斜角α1が後述する切替ミラー3の傾斜角α2と同一になっている。
【0023】
遮光基板23は、例えば、可視光を吸収する任意の黒色材料で構成され、一面2aの反対面である他面2b側からの外景光L1がミラー2を透過しない構成となっている。遮光基板23は、他面2b側からの外景光L1を遮る構成であればよく、ガラスや樹脂材料などの透明基板に任意の黒色材料等によりなる遮光膜が形成された構成、あるいは透明基板に別体の遮光部材を取り付けた構成であってもよい。
【0024】
反射防止層24は、ミラー2のうち切替ミラー3と対向する一面2a、すなわち透明基板21の表面に形成され、入射光L2が一面2aで表面反射をすることを防止するものであり、表面反射によるノイズを低減するために形成される。反射防止層24は、例えば、反射防止フィルムが用いられてもよいし、あるいは透明基板21に直接形成されたモスアイ構造であってもよい。
【0025】
切替ミラー3は、例えば図3に示すように、区画された複数の領域R1~RN(N:2以上の自然数)を有し、複数の領域R1~RNごとに可視光を透過する透明状態と可視光を反射する反射状態との切り替えが可能な調光部材である。切替ミラー3は、「調光ミラー」とも称されうる。また、複数の領域R1~RNは、区画領域ともいえるが、その数については適宜変更されうる。
【0026】
以下、説明の便宜上、図3に示すように、上面視にて、切替ミラー3のうちミラー2からはみ出す両端における一方を「入射端部3A」と称し、他方を「終端部」と称し、入射端部3Aのなす辺を「端辺」と称する。また、複数の領域の数をN(N:2以上の自然数)として、複数の領域を入射端部3Aから終端部に向かって順に第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4、・・・、第(N-1)領域R(N-1)、第N領域RNと称する。なお、図3における破線は、切替ミラー3の領域R1~RNごとの境界を示す便宜的なものであり、実際にはユーザに視認されないものである。
【0027】
切替ミラー3は、例えば、複数の領域R1~RNが端辺に対して平行配置となるように区画される。図3では、上面視にて、切替ミラー3が矩形、複数の領域R1~RNが長方形状であるが、これに限定されるものではなく、例えば、切替ミラー3および複数の領域R1~RNが平行四辺形とされてもよく、その外郭については、適宜変更されうる。
【0028】
切替ミラー3は、複数の領域R1~RNの後述する透明電極32、34にFPC等の配線4が接続されると共に、配線4を介して駆動制御用の回路基板5に接続されている。これより、切替ミラー3は、複数の領域R1~RNそれぞれにおける透明状態/反射状態の切り替えの制御が可能となっている。回路基板5は、例えば、図示しない回路配線を有する基板に図示しないCPU、ROM、RAMやI/Oなどが搭載されてなる電子制御ユニットである。CPU、ROM、RAM、I/Oは、それぞれ、Central Processing Unit、Read Only Memory、Random Access Memory、Input/Outputの略称である。回路基板5は、例えば、図示しない任意の電源に接続されると共に、ミラー2の他面2b側に配置される。回路基板5は、例えば、図示しない記録媒体に予め格納された切替ミラー3の駆動制御用のプログラムを読み込んで実行し、切替ミラー3における調光制御を行う。
【0029】
切替ミラー3は、例えば図4に示すように、第1透明基板31と、第1透明電極32と、第2反射層33と、第2透明電極34と、第2透明基板35と、反射防止層36とを備える。切替ミラー3は、例えば、第1透明基板31、第1透明電極32、第2反射層33、第2透明電極34、第2透明基板35がこの順に積層されると共に、ミラー2と向き合う対向面3aおよびその反対面である射出面3bに反射防止層36が形成されている。
【0030】
第1透明基板31および第2透明基板35は、例えば、ガラスや樹脂などの任意の透光性材料で構成される。第1透明基板31は、第2反射層33のカバーに相当するものであり、ミラー2と向き合う対向面3aの反対面に第1透明電極32が形成されている。第2透明基板35は、第2反射層33のベース基板に相当するものであり、第1透明基板31と向き合う面に、第2透明電極34が形成されている。第1透明基板31の対向面3aおよび第2透明基板35の射出面3bには、反射防止層36が形成されている。反射防止層36は、例えば、反射防止フィルムが用いられるか、あるいは透明基板31、35に直接形成されるモスアイ構造などとされ、透明基板31、35の表面における反射を防止し、ひいては表面反射光によるノイズ発生を抑制する。
【0031】
第1透明電極32および第2透明電極34は、例えば、ITO(酸化インジウム錫)等の透光性のある任意の導電性材料で構成され、可視光を透過する電極である。第1透明電極32および第2透明電極34は、例えば、一方または双方が複数の領域R1~RNで区画された所定のパターン形状とされ、領域R1~RNにおける個別の電圧印加が可能な構成とされている。
【0032】
第2反射層33は、例えば、第1反射層22と同様に、コレステリック液晶で構成され、透明電極32、34による電圧印加時には透明状態となり、そうでない通常時には反射状態となる。第2反射層33は、例えば、反射状態では、可視光を所定以上の反射率(限定するものではないが、例えば80%以上)で反射すると共に、光を透過しない構成である。第2反射層33は、例えば図4に示すように、反射状態においては、外景光L1または入射光L2をθの第一入射角とは異なるφ(>θ)の第一反射角でミラー2側に反射する非対称反射を行うように設計されている。具体的には、第2反射層33は、第1反射層22と同様に、対向面3aのなす平面に対して一定の角度のαで傾斜するように配向した液晶層が繰り返し積層され、所定の屈折率変調を有する周期的層構造となっている。切替ミラー3は、例えば、第1透明基板31および第2反射層33の平均屈折率がnであるとき、入射光L2の入射角θが内部での屈折によりθに変化し、入射角θの光が第2反射層33内部の傾斜角αの傾斜面でブラッグ反射をする。このとき、sinθ/n=sinθが成り立つ。そして、切替ミラー3では、第2反射層33でブラッグ反射した入射光L2は、切替ミラー3での内部反射角がφ=θ+2αとなり、ミラー2側に射出される際における外部反射角が第一入射角のθよりも大きい第一反射角のφとなる。なお、このとき、n×sin(θ+2α)=n×sinφ=sinφが成り立つ。
【0033】
ここで、図4に示すように、第2反射層33のうち角度がαの傾斜面における入射光L2とその反射光との中心を通る仮想直線を傾斜軸ax2とし、傾斜軸ax2と厚み方向D1とのなす角度、すなわち傾斜角をα2とする。傾斜軸ax2は、第2反射層33の傾斜面に対する法線方向に沿った軸ともいえる。このとき、第2反射層33は、傾斜角α2が傾斜角α1と同一であると共に、傾斜軸ax2が傾斜軸ax1と平行になっている。これにより、光学部材1は、切替ミラー3における第一入射角とミラー2における第二反射角が同じθ、かつ切替ミラー3における第一反射角とミラー2における第一入射角が同じφとなる。このため、光学部材1は、切替ミラー3での反射により角度変化した入射光L2が、ミラー2での非対称反射により切替ミラー3への入射角に戻る構造となり、ユーザに視認させる死角領域の光景とユーザが直接視認する光景との連続性を確保することができる。
【0034】
第2反射層33は、例えば図5に示すように、透明状態においては、液晶材料の配列が変化し、層内において屈折率が一様となって上記の傾斜面が存在しない状態になるように電圧印加により制御される。「層内において屈折率が一様」とは、例えば、厚み方向D1、導光方向D2およびこれらのなす導光平面に対して直交する方向の各方向において、屈折率が一様であることを意味する。このため、第2反射層33は、透明状態では、入射した外景光L1またはミラー2で反射した入射光L2を透過させる。そして、切替ミラー3のうち透明状態の領域は、入射角θの外景光L1またはミラー2で反射した入射光L2が、内部で屈折すると共に、第2反射層33を透過し、射出面3bから射出される際に再び屈折し、θの角度の射出光L3として射出される。
【0035】
切替ミラー3は、調光制御時においては、複数の領域R1~RNのうち少なくとも1つの領域に電圧印加がなされ、電圧印加がされた領域が可視光を主に透過させる透明状態となる。そして、切替ミラー3は、第1領域R1~第N領域RNのうち少なくとも1つの領域が透明状態とされ、残りのすべての領域が反射状態とされると共に、透明状態となる領域が順次切り替えられる調光制御がなされる。
【0036】
例えば、切替ミラー3は、図6に示すように、あるタイミングでは第1領域R1が電圧印加により透明状態となり、残りの領域が反射状態となる。このタイミングで第1領域R1に入射した外景光L1は、第1領域R1を透過し、射出光L3として射出される。一方、他の領域に入射した外景光L1は、ミラー2側に反射され、その後、ミラー2および切替ミラー3にて反射が繰り返され、第1領域R1に到達した外景光L1とは異なる方向に導光される。なお、図6では、見易くするため、切替ミラー3のうち透明状態の領域に入射する外景光L1を実線で示し、反射状態の領域に入射する外景光L1およびその反射光を破線で示している。これは、図7についても同様である。
【0037】
また、切替ミラー3は、例えば図7に示すように、他のタイミングでは第2領域R2が電圧印加により反射状態から透明状態に切り替えられ、残りの他の領域が反射状態となる。言い換えると、切替ミラー3は、例えば第1領域R1が透明状態から反射状態に切り替えられると同時に、第2領域R2が反射状態から透明状態に切り替えられ、他の領域R3~RNが反射状態のまま維持される。このとき、外景光L1は、透明状態の第2領域R2に到達したものについては第2領域R2から射出光L3として射出され、反射状態の他の領域に到達したものについては切替ミラー3から射出されずに導光される。
【0038】
そして、切替ミラー3は、順次透明状態となる1つの領域が順次切り替えられ、例えば図8に示すように、他のタイミングでは第N領域RNが電圧印加により透明状態となり、残りの領域が反射状態となる。このタイミングでは、外景光L1は、切替ミラー3とミラー2により導光され、透明状態の第N領域RNに到達した入射光L2がそのまま射出光L3として射出され、第N領域RNに到達しなかったものは他の方向へ導光される。なお、図6図8では、見易くするため、外景光L1または入射光L2のミラー2または切替ミラー3の内部における光の屈折を省いて簡略化したものを示している。これは、以降の図面についても同様である。
【0039】
このように、切替ミラー3は、複数の領域R1~RNのうち少なくとも1つの領域が透明状態、他のすべての領域が反射状態となり、透明状態となる領域が順次変更される調光制御がなされる。これにより、ミラー2と切替ミラー3との間に入射した外景光L1は、切替ミラー3のうち反射状態の領域で高い反射率で反射しつつ、透明状態の領域から高い透過率で射出される。また、切替ミラー3は、透明状態の領域が順次切り替えられるため、広範囲で外景光L1または入射光L2を射出光L3として射出し、ユーザに死角領域の外景を視認させることができる。
なお、切替ミラー3のうち外景光L1が直接入射する領域、すなわち入射端部3Aから外景光L1が入射する所定の位置までの領域を「直接入射領域」とする。このとき、図6に示すように、切替ミラー3が直接入射領域に複数の領域R1、R2を有する構成である場合、光学部材1は、調光制御において、直接入射領域に含まれる領域数だけ透明状態とし、残りのすべての領域を反射状態とされてもよい。このように、光学部材1は、調光制御においては、切替ミラー3のうち直接入射領域に含まれる領域数に応じて、あるタイミングで透明状態とする領域数を1または複数とされてもよい。
また、例えば図9に示すように、直接入射領域の導光方向D2における幅をDL1とし、複数の領域R1~RNの導光方向D2における幅をPとして、光学部材1は、例えば、幅PがDL1に等しくされてもよい。言い換えると、光学部材1は、直接入射領域の幅DL1に応じて、切替ミラー3の各領域の幅Pおよび領域数が決定されてもよい。DL1=Pの場合、光学部材1は、調光制御においては、複数の領域R1~RNのうち1つの領域のみを透明状態とし、他のすべての領域を反射状態とし、透明状態の領域を順次切り替えればよい。一方、上記のように、DL1>Pの場合において、直接入射領域にk個(k:2以上の整数)の領域が含まれるときには、調光制御では、DL1≒k×Pとなるk個の複数の領域を一度に透明状態とし、他の残りの領域をすべて反射状態とすればよい。このような調光制御により、あるタイミングにおいて、直接入射領域に位置する1つまたは複数の領域が同時に透明状態または反射状態となり、ミラー2および切替ミラー3での導光の効率が向上する。
【0040】
以上が、光学部材1の基本的な構成である。光学部材1は、一対のミラーにより外景光L1および入射光L2の一部を正反射により導光する構成(以下「比較例」という)に比べて、一対のミラー間の距離を短くすること、すなわち薄型化が可能となっている。
【0041】
具体的には、比較例は、例えば図10に示すように、一対のミラー100、110を有し、外景光L1の一部をハーフミラー110で正反射し、この正反射光がミラー100で正反射される。また、比較例は、外景光L1の他の一部または正反射光がハーフミラー110から外部に射出される。ここで、一対のミラー100、110が平行配置されると共に、これらの距離、すなわち比較例の光学部材の厚みをTとし、一対のミラーへの光の入射角および反射角をθとする。このとき、光が一対のミラー100、110を一往復する際にミラー100のなす平面方向に沿って当該光が進む幅を往復幅Wとすると、Wは、2Ttanθとなる。
なお、図10に示すように、ハーフミラー110のうち導光方向D2における一端からの直接入射領域の幅を直接入射幅DL1とし、ハーフミラー110の同方向における幅をXとする。直接入射幅DL1は、外景光L1を光学部材に取り入れることが可能な幅であり、ハーフミラー110から射出される光の平均明るさに影響する。例えば、比較例は、反射および透過における効率を100%としたとき、射出光L3の平均明るさが実景比でDL1/Xとなる。実景比とは、光学部材を介さずに視認する光景の明るさに対する射出光L3で視認する光景の明るさの比である。また、直接入射幅DL1が往復幅Wと一致する場合、比較例は、光線の損失がないため、最も効率よく導光でき、上記の平均明るさとなる。
【0042】
これに対して、光学部材1は、切替ミラー3に入射角θで入射した光が反射角φで反射され、ミラー2に入射角φで入射した光が反射角θで反射される構成である。ここで、例えば図11に示すように、光が切替ミラー3とミラー2とを一往復する際の導光方向D2に沿って進む距離、すなわち往復幅を比較例と同じWとする。また、このとき、ミラー2の第1反射層22と切替ミラー3の第2反射層33との厚み方向D1における距離、すなわち厚みをTとする。また、切替ミラー3のうち入射端部3Aからの直接入射領域の幅を比較例と同一のDL1とし、切替ミラー3の導光方向D2における幅を比較例と同じXとする。このとき、W=T(tanθ+tanφ)=2Ttanθとなるが、先述のとおりφ>θであるため、(tanθ+tanφ)>2tanθとなり、T<Tが成り立つ。つまり、光学部材1は、ミラー2および切替ミラー3において非対称反射をする構成であることで、一対のミラー100、110で光が正反射される比較例よりも薄型化された構造となる。また、光学部材1は、切替ミラー3における直接入射幅DL1が比較例と同じであるため、射出光L3の平均明るさが比較例と同等以上に保たれる。
【0043】
次に、好ましい調光制御について説明する。人の視覚の時間分解能をC(単位:Hz)とし、第1領域R1から第N領域RNまでの各領域を1回ずつ透明状態にする切り替え制御に要する時間を「全面切り替え時間」とする。このとき、切替ミラー3は、全面切り替え時間をS(単位:sec)として、調光制御においては、S<1/Cを満たすことが好ましい。
【0044】
全面切り替え時間Sは、領域R1~RNそれぞれが1回の電圧印加により透明状態となっている時間を「透明時間」として、全領域の透明時間の合計時間を意味する。つまり、調光制御は、全面切り替え時間を人の視覚の時間分解能以下の時間(例えば1/30秒以下)で実行することが好ましい。例えば、切替ミラー3は、全面切り替え時間Sが1/30秒以下であることが好ましく、1/60秒以下であるとより好ましい。これにより、切替ミラー3は、複数の領域R1~RNでの透明状態/反射状態の全面切り替えをユーザに認識させない状態、すなわち調光制御による違和感を覚えさせない状態となる。また、切替ミラー3は、上記の調光制御により、複数の領域R1~RNそれぞれの透過光、すなわち射出面3b全体の透過光による外景をユーザに視認させることができる。
【0045】
切替ミラー3は、複数の領域R1~RNそれぞれにおける電圧印加の時間を変えることで、各領域の透明時間が個別に制御されうる。例えば、第1領域R1、第2領域R2、・・・第K領域RK、・・・第(N-1)領域R(N-1)、第N領域RNのそれぞれの透明時間をt、t、・・・t、・・・t(N-1)、tとすると、全面切り替え時間Sは、以下の式(1)で表される。なお、Kは1~Nまでの整数であり、透明時間t~tは、各領域における通電時間と略同一となる。
【0046】
【数1】
また、例えば、ミラー2の反射率をR、切替ミラー3の反射状態における反射率をR、透明状態における透過率をT、第1領域R1~第N領域RNにおける光量をI~Iとする。このとき、第1領域R1の光量I、第2領域R2の光量I、第N領域RNの光量Iは、それぞれ以下の(2)式~(4)式で表される。
【0047】
=T×t/S・・・(2)
=R×R×T・t/S・・・(3)
=R (N-1)×R (N-1)×T×t/S・・・(4)
つまり、透明時間t~tの長さは、第1領域R1~第N領域RNのそれぞれにおいてユーザが視認する外景の明るさに比例する。言い換えると、透明時間t~tを適宜変えることにより、第1領域R1~第N領域RNの光量I~Iを等しくすることが可能である。例えば、第1領域R1および第2領域R2の光量を等しくしたい場合、以下の(5)式、(6)式を満たせばよい。
【0048】
=I×R×R×t/t・・・(5)
=t/(R×R)・・・(6)
第3領域R3以降の領域においても同様の関係が成立するため、第3領域R3の光量Iを第1領域R1、第2領域R2における各光量と等しくしたい場合、以下の(7)式、(8)式を満たせばよい。
【0049】
=I×R×R×t/t=I×R ×R ×t/t・・・(7)
=t/(R ×R )・・・(8)
同様に、第N領域RNの光量Iを第1領域R1~第(N-1)領域R(N-1)における各光量と等しくしたい場合、以下の(9)式、(10)式を満たせばよい。
【0050】
=I(N-1)×R×R×t/t(N-1)=I×R (N-1)×R (N-1)×t/t・・・(9)
=t/(R (N-1)×R (N-1))・・・(10)
切替ミラー3は、(10)式を満たす調光制御がなされることで、領域R1~RNの各領域における射出光の光量が均等になり、ユーザが視認する外景の明るさを均一化することが可能である。
【0051】
本実施形態によれば、平行配置されたミラー2および切替ミラー3を有し、切替ミラー3が光を透過する透明状態と光を反射する反射状態との切り替えが可能であり、ミラー2および切替ミラー3が光を非対称で反射する構成の光学部材1となる。光学部材1は、切替ミラー3が入射角θの外景光L1または入射光L2の一部を射出面3bから射出すると共に、他の一部を反射角φ(>θ)で反射し、ミラー2が入射角φの入射光L2を反射角θで反射する。光学部材1は、切替ミラー3の複数の領域R1~RNが時分割で透明状態と反射状態との切り替えがなされ、射出面3bに光を射出しない領域が存在せず、射出面3bからパターン状の光が射出されないため、ユーザに視認させる外景の視認性低下が抑制される。また、光学部材1は、ミラー2および切替ミラー3における入射光とその反射光の角度が異なるため、光を正反射する場合に比べて、ミラーと切替ミラーとを往復する際に光が進む距離が増加する構成である。これにより、光学部材1は、ミラー2と切替ミラー3との一往復における光が進む距離の増加分に応じてミラー2と切替ミラー3との距離を短くすることができ、薄型化が可能となっている。また、光学部材1は、切替ミラー3を透過した光の角度が切替ミラー3への入射角と同一、かつ切替ミラー3で非対称反射した反射光がミラー2での非対称反射により元の入射角に戻るため、ユーザに視認させる死角領域の光景と外景との連続性が確保される。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態の光学部材1について説明する。図12図13は、図1に相当する断面図である。
【0053】
本実施形態の光学部材1は、例えば図12に示すように、光学部材1によりユーザに外景を視認させる領域を視認領域RVとして、視認領域RVのうち終端の領域RVNに切替ミラー3が配置されていない点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0054】
切替ミラー3は、本実施形態では、図12に示すように、導光方向D2における一端がミラー2から突き出るように配置され、当該一端が入射端部3Aとなっている。切替ミラー3は、例えば、上面視にて、入射端部3Aとは反対側の終端部がミラー2の外郭よりも内側に配置され、視認領域RVのうち入射端部3Aから最も遠い位置にある後述の領域RVNには配置されていない。切替ミラー3は、本実施形態では、例えば、視認領域RVの区画数よりも1つ少ない(N-1)個の領域R1~R(N-1)に区画されている。切替ミラー3は、例えば図13に示すように、視認領域RVのうち領域RVN以外の領域に射出光L3を射出する場合には、領域R1~R(N-1)のうち少なくとも1つの領域が透明状態に制御される。そして、切替ミラー3は、例えば図14に示すように、領域RVNに入射光L2を射出する場合には、電圧印加がなされず、領域R1~R(N-1)がすべて反射状態となる。つまり、切替ミラー3は、本実施形態では、例えば領域RVNに光を射出する際に通電がされない点を除き、上記第1実施形態よりも1つ以上少ない領域R1~R(N-1)について上記第1実施形態と同様の調光制御がなされる。これにより、光学部材1は、上記第1実施形態よりも調光制御が簡素化されると共に、導光方向D2において小型化された構造となる。
【0055】
視認領域RVは、切替ミラー3を介して射出される射出光L3またはミラー2で反射された入射光L2のうち切替ミラー3を介さずに射出される光によりユーザに外景を視認させる領域である。視認領域RVは、例えば、入射端部3A側から第1領域RV1、第2領域RV2、・・・第(N-1)領域RV(N-1)、第N領域RVNといったように、N個の複数の領域RV1~RVNに区画される。複数の領域RV1~RVNは、例えば、導光方向D2における幅が略均等とされ、それぞれ、ミラー2と切替ミラー3との間の往復回数が異なる光が射出される。以下、説明の簡便化のため、光のミラー2と切替ミラー3との間における往復回数を単に「往復回数」と称する。
【0056】
例えば、第1領域RV1は、切替ミラー3のうち透明状態の第1領域R1に到達した外景光L1、すなわち往復回数が0回の光が射出光L3として射出され、ユーザに外景を視認させる。例えば、第2領域RV2は、切替ミラー3のうち透明状態の第2領域R2に到達した入射光L2、すなわち往復回数が1回の光が射出光L3として射出され、ユーザに外景を視認させる。例えば、第(N-1)領域RV(N-1)は、切替ミラー3のうち透明状態の第(N-1)領域R(N-1)に到達した入射光L2、すなわち往復回数が(N-2)回の光が射出光L3として射出され、ユーザに外景を視認させる。そして、第N領域RVNは、例えば図14に示すように、入射光L2のうち往復回数が(N-1)回の光が、切替ミラー3が配置されていない領域を通過して射出光L3として射出され、ユーザに外景を視認させる。
なお、上記では、切替ミラー3の複数の領域R1~R(N-1)の導光方向における幅が視認領域RVの各領域の幅および直接入射幅DL1(=往復幅W)に一致する場合を代表例として説明した。しかしながら、そうでない場合であっても、光学部材1は、視認領域RVのうち往復回数(N-1)回の光を射出する領域に切替ミラー3が配置されない構成であればよい。例えば、光学部材1は、直接入射幅DL1に切替ミラー3のm個の領域R1~Rmが存在する場合であっても、視認領域RVの終端の領域RVNに切替ミラー3が配置されていなければ、上記のように調光制御が簡素される効果が得られる。
【0057】
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、視認領域RVのうち入射端部3Aから最も遠い第N領域RVNに切替ミラー3が配置されないため、上記第1実施形態よりも調光制御が簡素化され、かつ小型化の効果も得られる光学部材1となる。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態の光学部材1について説明する。図15では、図1に相当する断面を示すと共に、見易くするためにミラー2および切替ミラー3を簡素化したものを示している。
【0059】
本実施形態の光学部材1は、例えば図15に示すように、ミラー2および切替ミラー3が取り付けられる導光体6をさらに備える点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0060】
導光体6は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、アクリル等の樹脂材料やガラスなどの任意の透光性の材料で構成されている。導光体6は、本実施形態では、ミラー2および切替ミラー3とは別体であり、例えば、図示しないOCAなどの光学接着剤により、ミラー2および切替ミラー3が貼り付けられている。導光体6は、例えば図15に示すように、平滑面である第一面6aと、第一面6aに対して平行な平滑面である第二面6bとを有する。導光体6は、例えば、第一面6aの一部にミラー2が接着され、第二面6bの一部に切替ミラー3が接着されている。導光体6は、第一面6aのうち一端から所定の領域がミラー2から露出しており、この露出領域が外景光L1を内部に入射させる入射部6aaとなっている。導光体6は、第二面6bのうち入射部6aaとは反対側の端部からの所定領域が切替ミラー3から露出しており、この露出領域が切替ミラー3を介さずに入射光L2を外部に射出する射出部6baとなっている。なお、導光体6は、平行な第一面6aおよび第二面6bを有していればよく、内部における入射光L2の導光に支障のない範囲内で他の部位の形状等については適宜変更されうる。
【0061】
入射部6aaは、図15に示すように、導光方向D2における幅をDiとし、導光体6のうち第一面6aと第二面6bとの厚み方向D1における距離をTとして、Di=T(tanθ1+tanφ1)となっている。つまり、入射部6aaの幅Diは、上記第1、第2実施形態における往復幅Wに相当するものである。θ1とは、図16に示すように、入射角θで入射部6aaに入射した外景光L1が、屈折率がnの導光体6の内部で屈折した入射光L2の切替ミラー3への入射角である。φ1とは、入射角θ1の入射光L2が反射状態の切替ミラー3で反射した反射光の反射角であり、θ1よりも大きい。なお、第一面6aは、例えば、一端からの幅Diの領域が入射部6aaとされ、残りのすべての領域がミラー2により覆われている。
【0062】
射出部6baは、ミラー2と切替ミラー3との間における入射光L2の最大往復回数をXとして、切替ミラー3を介さずに往復回数がX回目の入射光L2を外部に射出する領域である。射出部6baは、例えば、導光方向D2における幅をDoとして、Do≦Diとなっている。
【0063】
なお、切替ミラー3は、例えば、上記第2実施形態と同様に、光学部材1による視認領域RVを構成する領域RV1~RVNのうち最後の領域RVNを除いた領域に対応する複数の領域R1~R(N-1)に区画されている。そして、光学部材1は、上記第2実施形態と同様に、第N領域RVNには切替ミラー3が配置されておらず、導光体6の射出部6baが第N領域RVNに対応する構成となっている。
【0064】
また、ミラー2および切替ミラー3は、本実施形態では、導光体6と同じ屈折率となっている。これにより、光学部材1は、導光体6に入射した入射光L2が、導光体6と、ミラー2または切替ミラー3との界面において反射しなくなり、当該界面における反射光に起因するノイズが抑制される。
【0065】
本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様の効果に加えて、ミラー2および切替ミラー3が導光体6のうち平行な第一面6aと第二面6bにそれぞれ配置されているため、これら一対のミラーの平行状態を安定して確保できる効果も得られる光学部材1となる。
【0066】
また、上記では、ミラー2および切替ミラー3が導光体6に図示しない光学接着剤などにより貼り付けられる構造の光学部材1について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ミラー2は、図17に示すように、透明基板21に代えて、導光体6を第1反射層22の支持基板として用い、導光体6、第1反射層22および遮光基板23により構成されてもよい。また、切替ミラー3は、例えば図18に示すように、第1透明基板31に代えて、導光体6を第2反射層33の支持基板として用い、導光体6上に第1透明電極32、第2反射層33、第2透明電極34、第2透明基板35が積層された構成であってもよい。つまり、ミラー2および切替ミラー3は、導光体6とは別途製造され、導光体6に取り付けられてもよいし、導光体6の第一面6aおよび第二面6bに直接形成されてもよい。また、光学部材1は、第二面6b側からの外光が第二面6bで表面反射し、ノイズが生じることを抑制するため、射出部6baに反射防止層が形成されてもよい。さらに、上記では、第二面6bのうち終端の領域に切替ミラー3が配置されない例について説明したが、これに限定されるものではなく、光学部材1は、第二面6bの全域に切替ミラー3が配置されてもよい。
【0067】
(他の実施形態)
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0068】
本開示に記載の制御部(例えば回路基板5)及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0069】
なお、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0070】
(本開示の観点)
上記した本開示については、例えば以下に示す観点として把握することができる。
[第1の観点]
光学部材であって、
光を反射する第1反射層(22)を有するミラー(2)と、
光を透過する透明状態と光を反射する反射状態との切り替えが可能な第2反射層(33)を有し、前記ミラーと平行配置された切替ミラー(3)と、を備え、
前記ミラーまたは前記切替ミラーのなす平面に対する法線方向を厚み方向(D1)とし、前記ミラーまたは前記切替ミラーに入射する入射光の進行方向と前記厚み方向とのなす角度を入射角とし、前記ミラーまたは前記切替ミラーで反射した反射光の進行方向と前記厚み方向とのなす角度を反射角として、
前記第1反射層は、前記ミラーのなす平面に対して傾斜した第1の傾斜面を有し、前記第1の傾斜面に対する法線方向に沿った軸が第1の傾斜軸(ax1)であり、
前記第2反射層は、前記切替ミラーのなす平面に対して傾斜した第2の傾斜面を有し、前記第2の傾斜面に対する法線方向に沿った軸が第2の傾斜軸(ax2)であり、
前記切替ミラーは、入射光の入射角をθとして、反射光をθよりも大きい反射角φで反射し、
前記ミラーは、前記第1の傾斜軸が前記第2の傾斜軸と平行であることで、入射角φの入射光を反射角θで反射する、光学部材。
[第2の観点]
前記第2反射層は、コレステリック液晶により構成されている、第1の観点に記載の光学部材。
[第3の観点]
前記第1反射層は、コレステリック液晶により構成されている、第1または第2の観点に記載の光学部材。
[第4の観点]
前記ミラーは、前記切替ミラーと対向する一面(2a)に反射防止層(24)を備える、第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載の光学部材。
[第5の観点]
前記切替ミラーは、前記ミラーと対向する対向面(3a)に反射防止層(36)を備える、第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載の光学部材。
[第6の観点]
前記切替ミラーは、複数の領域(R1~RN)に区画され、
前記第2反射層は、複数の前記領域のうち1つの前記領域が透明状態に順次切り替えられ、透明状態とされた1つの前記領域とは異なる残りの前記領域が反射状態となる、第1ないし第5の観点のいずれか1つに記載の光学部材。
[第7の観点]
前記切替ミラーまたは前記ミラーを介した光が射出される領域であって、ユーザに外景を視認させる領域を視認領域(RV)とし、前記切替ミラーのうち外景光が入射する端部を入射端部(3A)として、
前記視認領域は、N個の領域(RV1~RVN)に区画され、
前記切替ミラーは、前記視認領域のうち前記入射端部の側から数えてN番目の第N領域(RVN)には配置されていない、第1ないし第5の観点のいずれか1つに記載の光学部材。
[第8の観点]
透光性材料で構成され、第一面(6a)と、前記第一面に平行な第二面(6b)とを有する導光体(6)をさらに備え、
前記ミラーは、前記第一面に配置されており、
前記切替ミラーは、前記第二面に配置されている、第1ないし第7の観点のいずれか1つに記載の光学部材。
【符号の説明】
【0071】
2…ミラー、2a…一面、22…第1反射層、24…反射防止層、3…切替ミラー、3a…対向面、3A…入射端部、33…第2反射層、36…反射防止層、6…導光体、6a…第一面、6b…第二面、D1…厚み方向、R1~RN…(切替ミラーの)区画された領域、RV…視認領域、RV1~RVN…(視認領域の)区画された領域
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