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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025017493
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ドレープ
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/12 20060101AFI20250130BHJP
   A61B 46/00 20160101ALN20250130BHJP
【FI】
A41D13/12 145
A41D13/12 190
A61B46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120557
(22)【出願日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】515257933
【氏名又は名称】エーアール・メディコム・インク・アジア・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】A.R. Medicom Inc. AsiaLtd.
【日本における営業所】兵庫県神戸市中央区栄町通一丁目2番10号 読売神戸ビル
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎一
(72)【発明者】
【氏名】石鞍 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ラウ エイブ
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA01
3B211AB09
3B211AC21
3B211AC22
3B211AC24
(57)【要約】
【課題】装着および固定が容易なドレープを提供すること。
【解決手段】施術の際に患者を覆うドレープ1Aであって、表面Fと裏面Bとを有するシート状のドレープ本体3Aと、このドレープ本体3Aに形成される開口部5Aと、ドレープ本体3Aの裏面Bであって、開口部5Aを患者の手術野に位置決めした場合に患者の耳に対応する位置に設けられる耳紐7とを備える。ドレープ本体1Aは、表面Fが吸水性を有すると共に裏面Bが防水性を有する。耳紐7は、ドレープ本体1Aが使用前の折り畳まれた状態において最外側に露出している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施術の際に患者を覆うドレープであって、
表面と裏面とを有するシート状のドレープ本体と、
このドレープ本体に形成される開口部と、
前記ドレープ本体の裏面であって、前記開口部を患者の手術野に位置決めした場合に前記患者の耳に対応する位置に設けられる耳紐とを備えるドレープ。
【請求項2】
前記ドレープ本体の裏面に取り付けられるシート状の取付片を更に備え、前記耳紐の端部は前記取付片における前記ドレープ本体に面する側に接合される、請求項1に記載のドレープ。
【請求項3】
前記開口部には、前記患者の鼻に対応する位置に切込みが形成される、請求項1または請求項2に記載のドレープ。
【請求項4】
前記ドレープ本体は、前記表面が吸水性を有すると共に前記裏面が防水性を有する、請求項1または請求項2に記載のドレープ。
【請求項5】
前記ドレープ本体は、使用前には前記裏面が外側になるように折り畳まれている、請求項1または請求項2に記載のドレープ。
【請求項6】
前記耳紐は、前記ドレープ本体が使用前の折り畳まれた状態において最外側に露出している、請求項5に記載のドレープ。
【請求項7】
前記ドレープ本体の表面に貼り付けられる位置固定用テープを更に備え、この位置固定用テープの粘着面の一部が前記開口部に露出する、請求項1または請求項2に記載のドレープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療従事者による施術時などに用いられるドレープ(覆布)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドレープとは、医療従事者による施術時などに、手術野の清潔を保つために、手術野だけを露出させてそれ以外の部分は患者を覆う布である。このためドレープには、手術野を露出させるための開口部が形成されている。
【0003】
ドレープで患者を覆った後は、ドレープが患者に対して移動しないように固定することが望ましい。ドレープを患者に固定する手法としては、粘着テープが考えられる。すなわち、ドレープの開口部の周囲部であって、患者に面する側(便宜上、以後「裏面」と呼ぶ)に粘着テープを貼り付けたものである。例えば、歯科治療用のドレープには、患者の口に対応する位置及び大きさの開口部が形成されている。そして、その開口部の周囲部に粘着テープが貼り付けられている。ドレープを使用する際には、粘着テープを介して患者の口の周辺にドレープを貼り付けて、ドレープが患者に対して移動しないようにする。
【0004】
患者に対するドレープの移動を防止する他の手法としては、ドレープに耳紐を設けるものもある(特許文献1参照。)。このドレープは、衛生マスクなどに用いられる耳紐が設けられたものである。ドレープの使用に際しては、衛生マスクを装着するのと同様に、耳紐を患者の両耳に掛けて、ドレープが意図せず移動してしまうのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-215849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来のドレープでは、次のような問題点がある。1つ目の問題点としては、粘着テープによって患者の肌に悪影響を及ぼす可能性である。すなわち、粘着テープを用いるドレープの場合、患者の肌に広範囲に直接粘着テープを貼り付けるため、粘着剤に対して肌が敏感な患者は、広範囲にわたって肌荒れを起こしてしまう可能性がある。また、粘着テープでドレープを患者に固定してしまうと、事後的にドレープの位置を微調整することができなくなる。仮に、粘着テープを一旦剥がして再度患者に貼り付けた場合、粘着テープの粘着力が低下して、ドレープの移動を適切に防止できなくなる可能性もある。
【0007】
また、2つ目の問題点として、上記特許文献1の耳紐を用いるドレープであって、特許文献1の図1a、図1b、図2a、図2bのドレープの場合、ドレープ本体の端縁部に耳紐を接合しているが、どのように耳紐を接合しているのかが不明である。仮に、耳紐を単純にドレープ本体に溶着している場合、その耳紐の溶着部が患者の皮膚に接触して、患者に不快感を与える可能性もある。また、特許文献1の図1のc1からc4のドレープの場合、ドレープを形成する不織布の一部分を耳紐として用いているため、患者の体までを覆うような広い面積のドレープを構成することは不可能である。
【0008】
このような観点から、本発明は、広い面積を有するドレープであって、簡単に患者に装着することができ、患者に対する移動を適切に防止でき、さらには患者に不快感を与えないドレープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決するための本発明の第1の手段は、施術の際に患者を覆うドレープであって、表面と裏面とを有するシート状のドレープ本体と、このドレープ本体に形成される開口部と、ドレープ本体の裏面であって、開口部を患者の手術野に位置決めした場合に前記患者の耳に対応する位置に設けられる耳紐とを備える、ことを特徴とする。このような構成を採ることにより、ドレープで患者を覆う場合に、衛生マスクを装着するのと同様に、患者の耳に耳紐を掛ける。そして、ドレープ本体を広げて患者の顔や体を覆うが、耳紐によってドレープ本体が患者に対して移動しないので、開口部の位置が手術野に維持される。
【0010】
本発明の第2の手段は、上記第1の手段の構成に加えて、ドレープ本体の裏面に取り付けられるシート状の取付片を更に備え、耳紐の端部は取付片におけるドレープ本体に面する側に接合される、ことを特徴とする。このような構成を採ることにより、取付片がドレープ本体の裏面に溶着などの手法で取り付けられる。そして、取付片とドレープ本体の間で且つ取付片の表面に耳紐が接合される。このため、患者がドレープを装着した場合に、耳紐の端部は取付片に覆われて患者の顔(体)に直接接触せず、患者に不快感を及ぼすことが無い。
【0011】
本発明の第3の手段は、上記第1または第2の手段の構成に加えて、開口部には、患者の鼻に対応する位置に切込みが形成される、ことを特徴とする。このような構成を採ることにより、患者の顔をドレープ本体で覆った時に、切込みを通して患者の鼻がドレープ本体から露出する。その結果として、ドレープ本体が患者の顔により接近する。このため、ドレープ本体の切込みに患者の鼻が引っ掛かり、患者に対するドレープ本体の移動をより制限することができる。
【0012】
本発明の第4の手段は、上記第1または第2の手段の構成に加えて、ドレープ本体は、表面が吸水性を有すると共に裏面が防水性を有する、ことを特徴とする。このような構成を採ることにより、ドレープ本体の表面に血液や薬液などの液体物質が付着した場合、ドレープ本体の表面の吸水性により液体物質がドレープ本体に浸み込み、床などに流れ落ちることが確実に防止される。また、ドレープ本体に浸み込んだ液体物質は、ドレープ本体の裏面の防水性により患者までは到達しないので、患者に不快感を及ぼすことは無い。
【0013】
本発明の第5の手段は、上記第1または第2の手段の構成に加えて、ドレープ本体は、使用前には裏面が外側になるように折り畳まれている、ことを特徴とする。このような構成を採ることにより、使用前(包装時)のドレープは裏面のみが外側に露出しており、表面は全て内側に折り畳まれている。このため、医療従事者等がドレープを取り扱う際に、意図せずドレープの表面を汚染させてしまうことが防止される。
【0014】
本発明の第6の手段は、上記第5の手段の構成に加えて、耳紐は、ドレープ本体が使用前の折り畳まれた状態において最外側に露出している、ことを特徴とする。このような構成を採ることにより、使用前(包装時)のドレープを患者に装着する際は、ドレープ本体が折り畳まれた状態で患者の耳に耳紐を容易に掛けることができる。その後、ドレープ本体を広げることで、ドレープ本体が患者に対して移動せずに患者の体を覆うことができる。また、上記の構成により、患者自身がドレープを装着することもできる。
【0015】
本発明の第7の手段は、前記ドレープ本体の表面に貼り付けられる位置固定用テープを更に備え、この位置固定用テープの粘着面の一部が前記開口部に露出する、ことを特徴とする。このような構成を採ることにより、ドレープ本体で患者を覆った後に、開口部に露出している位置固定用テープの粘着面を患者の顔(体)に貼り付けることで、ドレープ本体が患者に対し移動するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係るドレープを示す図であり、図1(A)はドレープを側面から見た図であり、図1(B)はドレープを裏面側から見た図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るドレープを示す図であり、図2(A)はドレープを側面から見た図であり、図2(B)はドレープを裏面側から見た図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係るドレープを裏面側から見た図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係るドレープであって、折畳む前の状態を示す図であり、図4(A)はドレープを裏面側から見た図であり、図4(B)はドレープを表面側から見た図である。
図5】本発明の第4の実施形態に係るドレープであって、図4に開示したドレープ本体の一部を折畳んだ状態を示す図であり、図5(A)はドレープを裏面側から見た図であり、図5(B)はドレープを表面側から見た図である。
図6】本発明の第4の実施形態に係るドレープであって、図5に開示したドレープ本体の一部を折畳んだ状態を示す図であり、図6(A)はドレープを裏面側から見た図であり、図6(B)はドレープを裏面側から見た図である。
図7】本発明の第4の実施形態に係るドレープであって、図6に開示したドレープ本体の一部を折畳んだ状態を示す図であり、図7(A)はドレープを裏面側から見た図であり、図7(B)はドレープを表面側から見た図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係るドレープであって、図7に開示したドレープ本体の一部を折畳んだ使用前の状態を示す図であり、図8(A)はドレープを裏面側から見た図であり、図8(B)はドレープを表面側から見た図である。
図9】本発明の第5の実施形態に係るドレープを表面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の各実施形態に係るドレープについて、添付した図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、異なる実施形態同士を組み合わせて実施してもよい。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るドレープ1Aを示す図である。図1(A)はドレープ1Aを側面から見た図であり、図1(B)はドレープ1Aを裏面側から見た図である。ドレープ1Aは、施術の際に患者を覆うものである。これらの図に示すように、本実施形態のドレープ1Aは、表面Fと裏面Bとを有するシート状のドレープ本体3Aと、このドレープ本体3Aに形成された開口部5Aと、ドレープ本体3Aの裏面Bであって、開口部5Aを患者の手術野に位置決めした場合に患者の耳に対応する位置に設けられる耳紐7とを備えている。以下、本実施形態のドレープ1Aについて詳細に説明する。
【0019】
図1に示すドレープ1Aは歯科治療用のものであり、開口部5Aを患者の口に位置決めして使用される。但し、本実施形態のドレープ1Aを歯科治療以外の施術に使用することも可能である。ドレープ本体3Aは不織布若しくは織布によりシート状に形成されており、平面形状は概ね四角形となっている。但し、平面形状は四角形に限定されるものではなく、施術に応じて様々な形状を採用することが可能である。ドレープ本体3Aには、概ね円形の開口部5Aが形成されている。この開口部5Aは、患者の手術野を露出させるためのものであり、本実施形態では患者の口を露出させるようになっている。このため、開口部5Aの大きさは患者(一般的な人を想定)の口の大きさに対応したものとなっている。なお、開口部5Aは最初から形成しておいても良いし、開口部5Aの周囲にミシン目を付けておき、使用時にミシン目を切り裂いて開口部5Aの不織布を取り除くようにしてもよい。その場合、異なる大きさ(例えば、大人用の大きさ及び子供用の大きさ)の開口部5Aを形成するために、異なる大きさいのミシン目を付けておいてもよい。
【0020】
また、ドレープ本体3Aはシート状であるため、表面Fと裏面Bとを有している。表面Fは、患者を覆った場合に外側に面し、逆に裏面Bは患者側に面するようになっている。ここで、ドレープ本体3Aの表面Fと裏面Bとは異なる性質を有している。すなわち、ドレープ本体3Aの表面Fは吸水性を有し、ドレープ本体3Aの裏面Bは防水性を有している。ドレープ本体3Aの表面Fに吸水性を持たせる理由は、血液や薬液などの液状物質がドレープ本体3Aに付着した場合に、その液状物質がドレープ本体3Aの表面に浸み込むことによって、ドレープ本体3Aの表面を伝って下に流れ落ちないようにするためである。一方、裏面Bに防水性を持たせるのは、ドレープ本体3Aの表面Fに付着した液状物質が、患者の体表面に浸透するのを防止するためである。ドレープ本体3Aは、例えば、シート状の多孔質体(例えば不織布)と、シート状の樹脂シート(例えばポリエチレン)とを貼り合わせることで形成することができる。
【0021】
ドレープ本体3Aの裏面Bには、患者の耳に掛けるための耳紐7が設けられている。この耳紐7は、伸縮性を有する材料から作られている。耳紐7はドレープ本体3Aに対して例えば溶着法により結合されている。耳紐7は、衛生マスクのように、ドレープ本体3Aを患者に装着するためのものである。このため、耳紐7の位置は、ドレープ本体3Aの開口部5Aが患者の口に位置決めされた場合に、患者の耳の位置に対応している。なお、耳紐7はドレープ本体7Aの裏面に結合すると説明したが、ドレープ本体3Aの端部(上下左右)から離間した位置に設ければよい。
【0022】
本実施形態のドレープ1Aを使用する場合は、医療従事者または患者自身がドレープ1Aを患者の顔に載せて、耳紐7を患者の両耳に掛ける。これにより、ドレープ1Aが患者の顔に対して移動しなくなる。そして、ドレープ本体3Aを患者を覆うように広げる。一方、施術が終了した場合は、患者の両耳から耳紐7を外すことにより、ドレープ本体3Aを患者から容易に取り去ることができる。
【0023】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るドレープ1Bについて説明する。図2は、本実施形態に係るドレープ1Bを示す図であり、図2(A)はドレープ1Bを側面から見た図であり、図2(B)はドレープ1Bを裏面側から見た図である。これらの図に示すように、本実施形態のドレープ1Bは、上述の第1の実施形態のドレープ1Aと主要部を共通としている。一方、本実施形態のドレープ1Bは、耳紐7をドレープ本体3Bに結合する手法が第1の実施形態のドレープ1Aと異なっている。すなわち、本実施形態のドレープ1Bでは、耳紐7は、シート状の取付片9を介して前記ドレープ本体3Bに結合される。耳紐7は、ドレープ1Bに備えられる。この点で、耳紐7が直接ドレープ本体3Aに結合される第1の実施形態のドレープ1Aとは異なっている。
【0024】
取付片9は、概ね長方形のシート状の部材である。取付片9の材料は、ドレープ本体3Bと同様に不織布若しくは織布であってもよい。取付片9は、第1の実施形態のドレープ1Aにおいて耳紐7が結合される位置を覆うような態様でドレープ本体3Bに取り付けられる。その際、取付片9の周縁部のうち開口部5Bに近い側がドレープ本体3Bの裏面Bに取り付けられる。このため、取付片9の周縁部のうち開口部5Bから遠い側はドレープ本体3Bから離れている。取付片9をドレープ本体3Bに取り付ける手法としては、溶着の他に接着などでもよい。
【0025】
耳紐7の端部は、取付片9におけるドレープ本体3Bに面する側に接合される。すなわち、耳紐7の端部が、ドレープ本体3Bと取付片9の間に挟まれるように取付片9に取り付けられる。このため、耳紐7の端部は取付片9によって覆われ、患者側には露出しないようになる。耳紐7の端部は、溶着状態によっては突起状に形成されて患者の肌に触れると不快感を及ぼす場合がある。しかし、本実施形態のドレープ1Bでは、耳紐7の端部が患者側に露出しないことから、患者がドレープ1Bを装着した場合に、患者に上記のような不快感を及ぼすことが防止される。
【0026】
[第3の実施形態]
次に、図3に基づいて第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係るドレープ1Cは、ドレープ本体3Cに形成された開口部5Cの形状に特徴を有している。すなわち、ドレープ本体3Cにおける患者の鼻に対応する位置に、開口部5Cから繋がる切込み6を有している。換言すれば、開口部5Cには切込み6が形成される。具体的には、患者の鼻筋に沿ってドレープ本体3Cが切断されている。このため、患者の顔をドレープ本体3Cで覆った場合に、切込み6を通して患者の鼻が露出し、その結果としてドレープ本体3Cが患者の肌により近づく。また、患者の鼻が切込み6に嵌っている状態では、ドレープ本体3Cが患者の鼻に引っ掛かり、ドレープ本体3Cの意図しない移動が抑制される。
【0027】
切込み6の形成方法は、単純に患者の鼻に対応する位置でドレープ本体3Cに切断線を形成するほか、ドレープ本体3Cの一部を鼻に合わせて部分的に除去するようにしてもよい。また、切断線ではなく、いわゆるミシン目を形成しておき、患者の鼻の大きさに合わせて切込みの大きさを調整できるようにしてもよい。
【0028】
[第4の実施形態]
次に、図4から図8に基づいて、第4の実施形態に係るドレープ1Dについて説明する。本実施形態のドレープ1Dは、ドレープ本体の折り畳み方に特徴がある。具体的にドレープ本体は、使用前には裏面が外側になるように折り畳まれている点が特徴である。図4から図8は、ドレープ本体が完全に広げられた状態から完全に折りたたまれた状態までの変化を示す図である。以下詳細に説明する。
【0029】
図4において、ドレープ本体は便宜的に9個の区画に分けられており、それぞれの区画の間の境界線で折り畳むようになっている。なお、境界線は説明の便宜のために図示したものであって、実際に境界線がドレープ本体に明記されている訳では無い。また、ドレープ本体が折り畳まれる過程で、各区画がどのように移動するかを分かり易くするために、各区画に番号を付している。なお、図5(B)、図6(B)、図7(B)では一部の区画の番号が上下反転しているが、これも説明の便宜のためである。図4(A)はドレープ1Dを裏面から見た図であり、区画B1から区画B9で構成されている。一方、図4(B)はドレープ1Dを表面から見た図であり、区画F1から区画F9で構成されている。そして、例えば、区画B1と区画F1がドレープ本体の裏面と表面で同じ区画となっている。なお、ドレープ本体を9個の区画に分けたのは説明の便宜のためであり、9個以外の区画に分けてもよい。
【0030】
次に、ドレープ本体を折り畳むプロセスについて説明する。図5(A)に示すように、ドレープ1Dの裏面から見て、区画B4から区画B6の下辺でドレープ本体の一部を表面側に折り畳む。すると、図5(B)に示すように、ドレープ本体を表面側から見ると、区画B7から区画B9が表面側に折り畳まれる。次に、図6(A)に示すように、ドレープ1Dの裏面側から見て、区画B4から区画B6の上辺でドレープ本体の一部を表面側に折り畳む。すると、図6(B)に示すように、ドレープ1Dを表面側から見ると、区画B1から区画B3が表面側に折り畳まれる。
【0031】
次に、図7に基づいて、ドレープ本体をさらに折り畳むプロセスについて説明する。図7(A)に示すように、ドレープ1Dの裏面側から見て、区画B5の左辺でドレープ本体の一部を表面側に折り畳む。すると、図7(B)に示すように、ドレープ1Dを表面側から見ると、区画B6が表面側に折り畳まれる。さらに、図8(A)に示すように、ドレープ1Dの裏面側から見て、区画B5の右辺でドレープ本体の一部を表面側に折り畳む。すると、図8(B)に示すように、ドレープ1Dを表面側から見ると、区画B4が表面側に折り畳まれる。
【0032】
以上のようにドレープ本体が折り畳まれると、使用前の状態(包装時の形態)となる。図8から明らかなように、使用前の状態のドレープ1Dは、裏面側の区画B4及び区画B5のみが外側に露出しているため、医療従事者が取り扱う場合でも、ドレープ本体の表面を汚染させることが無い。また、本実施形態のドレープ1Dは、折り畳まれた状態で耳紐7が最外側に位置している。このため、ドレープ本体を広げる前に耳紐7を患者の耳に掛けることができ、容易にドレープを患者に装着することができる。
【0033】
[第5の実施形態]
次に、図9に基づいて第5の実施形態について説明する。図9は、ドレープ1Eを表面側から見た図である。本実施形態のドレープ1Eは、ドレープ本体3Eで患者を覆った後に、ドレープ本体3Eの表面と患者との両方に貼り付けられる位置固定用テープ11を更に備える点が特徴である。具体的には、ドレープ本体3Eの表面側であって、開口部5Eの上下端部(患者の鼻と顎に対応する位置)に位置固定用テープ11が設けられている。位置固定用テープ11の粘着面の一部が開口部5に露出する。位置固定用テープ11は、事前にドレープ本体3Eに貼り付けておいても良いし、別途用意しておいて使用時に貼り付けるようにしてもよい。なお、位置固定用テープ11を事前に貼り付けて置く場合は、開口部5Eに露出する粘着面には裏紙などを貼っておき、使用時にその裏紙を剥がして使用する。
【0034】
位置固定用テープ11の使用方法は次の通りである。まず、ドレープ本体3Eで患者を覆う。次に、患者の耳に耳紐(図示略)を掛ける。ドレープ本体3Eの位置を微調整した上で、位置固定用テープ11がドレープ本体3Eと患者の皮膚の両方に渡るように貼り付ける。これにより、ドレープ本体3Eが患者の体(顔)に対して移動するのを確実に防止することができる。
【0035】
上述したように、本発明のドレープは種々の特徴的な構成を有している。これらの各構成は単独でも技術的効果を奏するものであるが、各構成を任意に組み合わせた場合でも優れた技術的効果を奏するものである。このため、各構成の任意の組み合わせも本願が想定する発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1A,1B,1C,1D,1E ドレープ
3A,3B,3C,3E ドレープ本体
5A,5B,5C,5E 開口部
6 切込み
7 耳紐
9 取付片
11 位置固定用テープ
F1からF9 ドレープ本体の表面の各区画
B1からB9 ドレープ本体の裏面の各区画
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9